JP2008013948A - 排水トラップ - Google Patents
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Abstract
【解決手段】 上方に排水口(3)を備え、内部に流れ込んだ排水を溜める封水部(2)を備えた有底筒状のトラップ本体(1)と、トラップ本体(1)に設けた、封水部(2)を溢れた排水を排出する排出口(4)と、上下に開口した筒状体(6)からなり、上方の開口は排水口(3)に水密的に接続され、下端はトラップ本体(1)内の封水部(2)内に配置される防臭筒(5)と、からなる排水トラップにおいて、少なくとも嵌合する部分が封水部(2)よりも上方に配置される、防臭筒(5)に嵌合して防臭筒(5)の開口面積を減少する消音部材(7)を備えて構成する。具体的には、消音部材(7)を、上下に開口した筒状部(9)と、防臭筒(5)の内周面と筒状部(9)の外周面との間を塞ぐ板状部(8)と、から構成する。
【選択図】 図4
Description
排水トラップは、以下に記載するトラップ本体、防臭筒、ロックナットからなる。
トラップ本体は、有底略円筒形状であって、上方の開口を排水口とし、内部には排水が溜まる封水部を備え、更にトラップ本体の側面に該封水部を溢れた排水が流れる排出口を備えて成る。
更に、排水口の上端周縁に、周縁に沿って外周方向に向かって凸を連続して設けたフランジ部を備えてなると共に、排水口の外側面に雄ねじを設けてなる。
防臭筒は、上下に開口した筒状体からなり、上方の開口は排水口に水密的に接続され、下端はトラップ本体内の封水部内に配置される。
ロックナットは筒状にして内部にトラップ本体の雄ねじと螺合する雌ねじを備えて成る。
このような排水トラップは、次のような排水機器である流し台に施工される。
本発明の排水トラップが取り付けられる流し台は、流し台の使用者が作業を行う天板部と、天板部上の開口の内に設けられた、底面に排水トラップ取付用の取付孔を有するシンクと、該天板部の下方に配置されたキャビネット部と、をそれぞれ設けてなる。
シンクの取付孔の周縁を間に介した状態で、フランジ部の下面とロックナットの上面とで、シンクの取付孔の周縁を挟むようにして、トラップ本体の雄ねじとロックナットの雌ねじを螺合させ、シンクに対してトラップ本体を固定させる。
また、上方の開口が排水口に水密的に接続され、下端がトラップ本体内の封水部内に配置されるように、防臭筒を排水トラップに接続する。
更に排出口をパイプ管からなる排水配管を介して床下配管に接続させ、排水トラップの施工が完了する。
また、このとき封水部に排水が溜まることで、排水トラップ内に形成された排水流路(排水口から排出口に至るまでの排水の流れ路)の少なくとも一部、封水部に、排水が必ず溜まった状態が生じる。この封水部に溜まった排水は封水と呼ばれ、下水側から臭気や害虫類が逆流してきた場合でも、これら臭気や害虫類がこの封水を乗り越える事ができないため、屋内側に臭気や害虫類が進入することを防止することができる。
上記封水式の排水トラップにおいて、
流し台の使用によって排水トラップ内に排水が流れてゆく際、排水配管中の空気や床下配管中の空気を巻き込んで排水が流れてゆくため、排水が完了するまで一時的に排出口側の気圧が下がる場合があり、これは「自己サイホン作用」と呼ばれる。
同様に一時的に排出口側の気圧が下がる現象は、床下配管に接続されている別の排水機器に排水が行われた際にも発生する場合があり、これは「誘導サイホン作用」と呼ばれる。
このような、自己サイホン作用、または誘導サイホン作用が働くと、排水の流れによって排出口側の気圧が下がる一方で、排水口側の気圧は1気圧のまま変化が無い。このため、防臭筒の筒状体内部では封水の水位は気圧差分降下してゆき、水位が防臭筒の下端まで下がると、そこで空気が排水の流れ(防臭筒の下端から、防臭筒と封水部外壁の間の部分の水面迄の間の流れ)に混入して、「ゴボゴボ」といった不快な音を発生させる。
この「ゴボゴボ」という騒音を小さくする方法として、防臭筒の筒状体の排水が流れる部分の開口面積を小さくして、空気が大量に流れないようにする方法があるが、このような方法を採用すると、同時に排水も大量に流れることができなくなり、排水トラップの重要な要素である排水性能が悪化する。
本発明は上記問題点に鑑み発明されたものであって、流し台、洗面台、浴槽・浴室、洗濯機パン等の排水トラップを使用した際、排水を処理する排水性能をあまり悪化させずに、「ゴボゴボ」といった騒音を小さくすることを目的とする。
請求項1に記載の本発明では、嵌合する部分が封水部よりも上方に配置される、防臭筒に嵌合して防臭筒の排水が流れる部分の開口面積を減少する消音部材を備えたことで、防臭筒の筒状体の内側に覆いを設けたこととなり、騒音が直接防臭筒の筒状体の外側に洩れなくなるため、大きな騒音が発生しにくくなる。
一方で、防臭筒の下方の排水が流れる部分の開口面積が大きいままであるため、単純に防臭筒の筒状体の、排水流路の断面積を小さくした場合より良好な排水性能を得ることができる。
請求項2に記載の本発明では、上記消音部材の形状を具体的に示すことができる。
請求項3に記載の本発明では、排水の通過部分を縦方向の開口とし、更に筒状部の下端に底面を設けたことで、騒音の発生源である防臭筒の筒状部の下端から、直接騒音が排水口に向かうことがなくなり、大きな騒音が発生しにくくなる。
請求項4に記載の排水トラップは、上記排水トラップの消音部材において、通水部を奇数個設けると共に、該通水部を、筒状部の中心軸を中心として等角度に配置して構成したことから、通水部の(筒状部の中心軸に向かう方向の)対向位置には通水部ではなく、筒状部の壁が配置されることになる。通水部の開口同士が向かい合った位置で配置されると、騒音が共鳴しやすく、騒音がより大きな音となるが、本発明では、通水部の開口の対向位置には壁を設けたため、共鳴が発生し難く、騒音が大きくなりにくい。
図1乃至図5に示した、本発明の実施例は、以下に記載したトラップ本体(1)、防臭筒(5)、ロックナット(11)、消音部材(7)、その他の部材より構成されてなる。
トラップ本体(1)は、有底略円筒乃至略半円球形状であって、上方の開口を排水口(3)とし、内部には排水が溜まる封水部(2)を備え、更にトラップ本体(1)の側面に該封水部(2)を溢れた排水が流れ出る排出口(4)を備えて成る。
更に、排水口(3)の上端周縁に、周縁に沿って外周方向に向かって凸を連続して設けたフランジ部(12)を備えてなると共に、排水口(3)の外側面に雄ねじを設けてなる。
防臭筒(5)は、上下に開口した、上方ほど径が大きく、下方ほど径が小さくなる逆三角錐台の形状の筒状体(6)からなり、上方の開口の外周にはパッキング(P)が備えられて排水口(3)に水密的に接続されるように構成され、下端は施工完了時トラップ本体(1)内の封水部(2)内に配置される。
また、この防臭筒(5)の内面には、消音部材(7)と嵌合する被嵌合部(13)を、封水部(2)の上端よりも上方の位置に設けてなる。
ロックナット(11)は筒状にして内部にトラップ本体(1)の雄ねじと螺合する雌ねじを備えて成る。
消音部材(7)は、上記防臭筒(5)の被嵌合部(13)に着脱自在に嵌合固定される部材であって、有底筒状にして、上方は開口し、下方は底面に接する側面に排水が流れる通水部(10)を設けたことで開口してなる筒状部(9)と、リング状にして防臭筒(5)の内面に設けられた被嵌合部(13)と嵌合する嵌合部(14)と、該嵌合部(14)と筒状部(9)外周面との間を塞ぐように設けられる板状部(8)と、から構成されてなる。
更に、上記消音部材(7)は通水部(10)を奇数個、この実施例では3個設けると共に、該通水部(10)を、平面視筒状部(9)の中心軸を中心として等角度(この実施例では120度毎)に配置し、その対向位置には他の通水部(10)ではなく、筒状部(9)の壁面が配置されるように構成して成る。
本発明の排水トラップが取り付けられる流し台(N)は、流し台(N)の使用者が作業を行う天板部(T)と、天板部(T)上の開口の内に設けられた、底面に排水トラップ取付用の取付孔(S1)を有するシンク(S)と、該天板部(T)の下方に配置されたキャビネット部(C)と、をそれぞれ設けてなる。
シンク(S)の取付孔の周縁(S1)を間に介した状態で、フランジ部(12)の下面とロックナット(11)の上面とで、シンク(S)の取付孔の周縁(S1)を挟むようにして、トラップ本体(1)の雄ねじとロックナット(11)の雌ねじを螺合させ、シンク(S)に対してトラップ本体(1)を固定させる。
また、上方の開口が排水口(3)に水密的に接続され、下端がトラップ本体(1)内の封水部(2)内に配置されるように、防臭筒(5)を排水トラップに接続する。
更に防臭筒(5)の被嵌合部(13)に消音部材(7)の嵌合部(14)を着脱自在に嵌合させて、防臭筒(5)に消音部材(7)を接続する。
最後に排出口(4)をパイプ管からなる排水配管を介して床下配管に接続させ、排水トラップの施工が完了する。
また、このとき封水部(2)に排水が溜まることで、排水トラップ内に形成された排水流路(排水口(3)から排出口(4)に至るまでの排水の流れ路)の少なくとも一部に、封水と呼ばれる排水が溜まって、トラップ機能を生じる。
一方で、防臭筒(5)の下方の排水が流れる部分の開口面積(防臭筒(5)の筒状体(6)の下端の開口面積)は大きいままであるため、排水性能は、防臭筒(5)の筒状体(6)の排水が流れる部分の開口面積を、消音部材(7)の筒状部(9)の排水が流れる部分の開口面積と同じとなるように寸法設計した従来例と比べて良好である(もちろん排水の入り口に当たる筒状部(9)の上端の、排水が流れる部分の開口面積は、防臭筒(5)の筒状体(6)上端の、排水が流れる部分の開口面積より小さくなっているため、各部寸法が上記実施例と全く同じで、消音部材(7)のみ省略したような排水トラップと比べれば排水性能は悪化する)。
また、上記実施例の消音部材(7)では、排水の通過部分を縦方向の開口とし、更に筒状部(9)の下端に底面を設けたことで、騒音の発生源である防臭筒(5)の下端から一直線に直接騒音が排水口(3)に向かうことがなくなる。騒音の音波は、防臭筒(5)内を反射するか、又は壁面を介して排水口(3)に到達するようになるため、その分音のエネルギーが減少し、排水口(3)に開放される騒音量を減じることができた。
更に、上記消音部材(7)は通水部(10)を奇数個、この実施例では3個設けると共に、該通水部(10)を、平面視筒状部(9)の中心軸を中心として平面視等角度(この実施例では120度毎)に配置し、その対向位置には他の通水部(10)ではなく、筒状部(9)の壁面が配置されるように構成して成る。
通水部(10)の開口同士が向かい合った位置で配置されると、騒音が共鳴しやすく、騒音がより大きな音となるが、本発明では、通水部(10)の開口の対向位置には壁を設けたため、共鳴が起こらず、騒音が大きくなりにくい。
例えば、上記実施例では、流し台(N)の排水トラップに本発明の構成を採用しているが、本発明は上記実施例に限定されることなく、例えば図6に示したように、浴槽用トラップに、本発明の構成を採用しても構わない。
2a 封水部上端 3 排水口
4 排出口 5 防臭筒
6 筒状体 7 消音部材
8 板状部 9 筒状部
9a 筒状部底面 10 通水部
11 ロックナット 12 フランジ部
13 被嵌合部 14 嵌合部
15 溢れ流路 C キャビネット部
N 流し台 P パッキング
S シンク S1 取付孔周縁
T 天板部
Claims (4)
- 上方に排水口(3)を備え、内部に流れ込んだ排水を溜める封水部(2)を備えた有底筒状のトラップ本体(1)と、
トラップ本体(1)に設けた、封水部(2)を溢れた排水を排出する排出口(4)と、
上下に開口した筒状体(6)からなり、上方の開口は排水口(3)に水密的に接続され、
下端はトラップ本体(1)内の封水部(2)内に配置される防臭筒(5)と、
からなる排水トラップにおいて、
少なくとも嵌合する部分が封水部(2)よりも上方に配置される、防臭筒(5)に嵌合して防臭筒(5)の開口面積を減少する消音部材(7)を備えたことを特徴とする排水トラップ。 - 上記排水トラップの上記消音部材(7)が、
上下に開口した筒状部(9)と、
防臭筒(5)の内周面と筒状部(9)の外周面との間を塞ぐ板状部(8)と、
から構成したことを特徴とする請求項1記載の排水トラップ。 - 上記排水トラップの上記消音部材(7)において、
筒状部(9)下端に底面を設けるとともに、
底面に面した側面に通水部(10)を形成したことを特徴とする請求項2記載の排水トラップ。 - 上記排水トラップの上記消音部材(7)において、
通水部(10)を奇数個設けると共に、該通水部(10)を、平面視筒状部(9)の中心軸を中心として等角度に配置して構成したことを特徴とする請求項3記載の排水トラップ。
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