JP2008013502A - カンジダ菌感染に基づく疾患の予防又は改善剤 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】アブラナ科植物の乳酸菌醗酵物を含有するカンジダ菌感染に基づく疾患の予防又は改善剤。乳酸菌としてはラクトバチルス・ペントーサスおよびラクトバチルス・プランタラムが挙げられる。アブラナ科植物及びニンジンからなる群から選択される少なくとも1種の植物としては、ブロッコリー、キャベツ、ケール、カリフラワー、高菜、あぶらな、からしな、大根、大根葉、野沢菜、小松菜などが挙げられる。
【選択図】なし
Description
また最近の研究では、カンジダ菌は歯周病にも関連していること(非特許文献4及び5参照)、義歯装着者において義歯に付着したカンジダ菌を含むプラークは口腔カンジダ症だけではなく、口内炎、う蝕、歯周病をも引き起こすことがあること(非特許文献6及び7参照)、および嚥下性肺炎に関係している可能性があること(非特許文献8参照)が報告されている。また、アトピー性皮膚炎患者の半分程度がカンジダ菌の皮膚プリックテストに陽性であることや、健常人と比較してカンジダ菌に特異的な抗IgE抗体価が高いこと、また、抗真菌剤の経口投与でアトピー性皮膚炎の症状が改善されることなどから、カンジダ菌とアトピー性皮膚炎が関係していることが報告されている(非特許文献9)。
項1.アブラナ科植物の乳酸菌醗酵物を含有するカンジダ菌感染に基づく疾患の予防又は改善剤。
項2.乳酸菌がラクトバチルス・ペントーサスおよびラクトバチルス・プランタラムから選ばれるいずれか1種以上である請求項1に記載のカンジダ菌感染に基づく疾患の予防又は改善剤。
項3.アブラナ科植物が、ブロッコリー、キャベツ、ケール、カリフラワー、高菜、あぶらな、からしな、大根、大根葉、野沢菜及び小松菜からなる群から選択される少なくとも1種の野菜である請求項1又は2に記載のカンジダ菌感染に基づく疾患の予防又は改善剤。
項4.カンジダ菌感染に基づく疾患が、アレルギー性疾患、アトピー性皮膚炎、歯周病、う蝕、口内炎、舌炎、口腔感染症、嚥下性肺炎又は膣炎である請求項1〜3のいずれかに記載の予防又は改善剤。
また、醗酵は、好気醗酵、嫌気醗酵のいずれでも可能であり、好ましくは嫌気醗酵である。好気醗酵の場合には撹拌醗酵より静置醗酵が好ましい。醗酵過程における乳酸菌による醗酵温度は、通常15〜40℃、好ましくは25〜35℃であり、醗酵時間は通常5〜200時間、好ましくは24〜72時間である。
ラクトバチルス・ペントーサス(Lactobacillus pentosus)VS60をMRS broth(Difco社製)にて35℃で、22時間培養した。これとは別に、ブロッコリーの可食部を約3センチメートル角に細断し、90℃以上の熱水中で1分間ブランチング処理をした後、約90℃の熱風乾燥処理によりブロッコリー乾燥物を得た。このブロッコリー乾燥物を粉砕機にかけて粉砕し、ブロッコリー乾燥粉末を得た。このブロッコリー乾燥粉末を10重量%の割合で蒸留水に懸濁混合して10%ブロッコリー粉末液を調製した。先の乳酸菌培養液をこの10%ブロッコリー粉末液に5重量%添加し、2日間培養し、ブロッコリーの乳酸菌醗酵物を得た。
実施例1で調製したブロッコリーの乳酸菌醗酵物を凍結乾燥させたものをサンプルとした。このサンプルを1日につきマウスに体重1kgあたり200mgで7日間経口投与した。一方、ポジティブコントロールでは、顆粒球増殖促進因子(G−CSF)を1日につきマウスに体重1kgあたり0.1mgを7日間静脈投与し、コントロールでは、基材(2% Tween 20)の10mLを7日間静脈投与した。その後、マウスにカンジダ・アルビカンス(Candida albicans) ATCC 44858を約106cells/マウスの量で静脈注射により投与し、マウスをカンジダ菌に感染させ、その後のマウスの生存状態を観察した。
コントロール群に比べ、ブロッコリーの乳酸菌醗酵物を摂取させた群では延命効果が認められた。
カンジダ菌Candida albicans
JCM2908をYeast Mold broth(Difco社製: YM-brothと略す)で37℃、22時間培養した。一方、実施例1で調製したブロッコリーの乳酸菌醗酵物を遠心分離(10000rpm、10分)した上清をブロッコリーの乳酸菌醗酵上清(LFBと略す)とした。また、10%ブロッコリー粉末液を遠心分離(10000rpm、10分)し、ブロッコリー粉末上清(Brと略す)とした。YM-brothにこれらのサンプルを一定量添加し、さらに前記カンジダ菌液を1重量%添加し、37℃で8時間培養した。培養液中のカンジダ菌の増殖(濁度)を660nmの波長で測定し、LFBおよびBrのカンジダ菌に対する増殖抑制効果をYM-brothのみのコントロールの濁度を100%とした時の割合(ΔOD660%)を求めることにより検討した。
歯周病原性菌Porphyromonas gingivalis FDC 381およびう蝕原性菌Streptococcus mutans ATCC 25175を0.1% Yeast extract、5mg/L Hemin、1mg/L Vitamin Kを含むTrypticase Soy broth(Difco社製: TSB-Yと略す)で37℃、2日間培養した。一方、試験例2で用いたブロッコリーの乳酸菌醗酵上清(LFB)をTSB-Y brothに一定量添加し、さらに前記P. gingivalisおよびS. mutans菌液を5重量%添加し、37℃で14時間培養した。培養液中の細菌の増殖(濁度)を620nmの波長で測定し、BFBの口腔細菌に対する増殖抑制効果をTSB-Y brothのみのコントロールの濁度を100%とした時の割合(ΔOD620%)を求めることにより検討した。
ブロッコリーの可食部を約5センチメートルの長さに切り、95℃以上の熱水中で3分間ブランチング処理を行った後、フードプロセッサー、コミトロール又はマスコロイダーを用いてピューレ状に加工し冷凍保管した。このブロッコリーピューレ50重量部に精製水49重量部及び醗酵基質として含水結晶ぶどう糖1重量部を加えて撹拌混合し、95℃で5分間加熱殺菌後30℃まで冷却した。この殺菌済みブロッコリー液に、2%酵母エキス添加還元脱脂乳で調製されたラクトバチルス・ペントーサスVS60のスターターを5重量%添加して均一に撹拌後、37℃で、24時間静置して醗酵を行い、ブロッコリーピューレの乳酸菌醗酵液を得た。本品には乳酸菌が8×108個/g濃度で含まれていた。このブロッコリーピューレの乳酸菌醗酵液を用いて以下に示す組成の飲料を調製した。調製は、全ての原料を精製水に撹拌、混合、溶解して、95℃で1分間殺菌し、その190gを缶に充填後、冷水中で冷却することにより行った。
ブロッコリーピューレの乳酸菌醗酵液 30.0
リンゴ透明濃縮果汁 10.0
果糖ぶとう糖液糖 5.0
クエン酸結晶 0.2
香料 0.2
L−アスコルビン酸 0.1
精製水 54.5
合計 100.0
ケールの可食部を約2センチメートル角に細断し、95℃以上の熱水中で1分間ブランチング処理をした後、約90℃の熱風乾燥処理によりケール乾燥物を得た。このケール乾燥物を粉砕機にかけて粉砕し、ケール乾燥粉末を得た。このケール乾燥物15重量部に精製水85重量部を加えて撹拌混合し、95℃で5分間加熱殺菌後30℃まで冷却した。この殺菌済みケール液に、2%酵母エキス添加還元脱脂乳で調製されたラクトバチルス・プランタラムJCM1149のスターターを5重量%添加して均一に撹拌後、30℃で、36時間静置して醗酵を行い、ケール粉末の乳酸菌醗酵液を得た。本品には、乳酸菌が3×109個/g濃度で含まれていた。このケールの乳酸菌醗酵液80重量部に、乳糖10重量部、トレハロース10重量部を混合溶解後、凍結乾燥処理を行って最後に粉砕して粉末品を得た。本ケールの乳酸菌醗酵生菌粉末を用いて以下に示す組成の粉末製剤を調製した。原料をV型混合機で均一に混合し、アルミラミネート製パウチに10gずつ充填し、ヒートシールにより密封した。摂取の際には、本品10gを冷水200mlに分散溶解して飲用する。
ケールの乳酸菌醗酵生菌粉末 80.0
ラクチュロース粉末 14.0
クエン酸結晶 5.0
クエン酸ナトリウム 0.8
スクラロース 0.2
合計 100.0
キャベツの可食部を約2センチメートル角に細断し、95℃以上の熱水中で1分間ブランチング処理を行った後、フードプロセッサー、コミトロール又はマスコロイダーを用いてピューレ状に加工し冷凍保管した。このキャベツピューレ50重量部に精製水49重量部及び醗酵基質として含水結晶ぶどう糖1重量部を加えて撹拌混合し、95℃で5分間加熱殺菌後30℃まで冷却した。この殺菌済みキャベツ液に、2%酵母エキス添加還元脱脂乳で調製されたラクトバチルス・ペントーサスVS60のスターターを5重量%添加して均一に撹拌後、30℃で、24時間静置して醗酵を行い、キャベツピューレの乳酸菌醗酵液を得た。本品には、乳酸菌が3×108個/g濃度で含まれていた。このキャベツの乳酸菌醗酵液を用いて以下に示す組成の混合物を調製した。全ての原料を精製水に撹拌、混合、溶解して、加温して寒天及びカラギーナンを溶解し、95℃で2分間殺菌し、その120gをプラスチックカップに充填後、アルミシールで蓋を施し冷水中で冷却しゼリーを得た。
キャベツの乳酸菌醗酵液 40.0
果糖ぶどう糖液糖 12.0
グレープフルーツ濃縮混濁果汁 10.0
寒天 0.5
カラギーナン 0.5
クエン酸結晶 0.2
香料 0.2
L-アスコルビン酸 0.1
精製水 36.5
合計 100.0
実施例2で調製したブロッコリーピューレの乳酸菌醗酵液を用いて次に示す組成のグミゼリーを調製した。砂糖をマルチトールと混合し加温溶解し、糖液を調製した。少量の精製水を加えて膨潤させておいたゼラチンをその他の原料とともに糖液に加えて加熱撹拌しながら溶解混合した。さらに加温を続けて可溶性固形分量が77%になるまで煮詰めた液を、スターチモールド方式に従って、成型された型に約5gずつ充填した。その後25℃、相対湿度50%の雰囲気下で、可溶性固形分が80%以上になるまで乾燥させた後、澱粉を取り払って、最後に離形油と粉末オブラートを少量まぶして仕上げた。口腔内で適用すると、飴のように徐々に溶解し、口腔内での滞留時間が長いため、本発明では外用組成物に該当し、口腔内疾患用に適する。
砂糖 45.0
マルチトール 24.0
ブロッコリーピューレの乳酸菌醗酵液 24.0
ゼラチン 6.0
クエン酸結晶 0.6
香料 0.3
クエン酸三ナトリウム 0.1
合計 100.0
へたおよび皮を取り除いたニンジンを約5センチメートルの長さに切り、95℃以上の熱水中で10分間ブランチング処理を行った後、破砕機又はミルを用いてニンジンをすり潰した。さらにそのニンジン破砕物をフィルタープレス、デカンター等の搾汁機を用いて搾汁した後、エバポレーターにより可溶性固形分が36%になるまで濃縮し、ニンジン濃縮ジュースを得た。一方ブランチング処理まで同様に処理したニンジンを、フードプロセッサー、コミトロール又はマスコロイダーを用いてピューレ状に加工し、ニンジンピューレを得た。このニンジンピューレ30重量部に、ニンジン濃縮ジュース30重量部、及び精製水40重量部を加えて撹拌混合し、95℃で5分間加熱殺菌後30℃まで冷却した。この殺菌済みニンジン液に、2%酵母エキス添加還元脱脂乳で調製されたラクトバチルス・プランタラムJCM1149のスターターを5重量%添加して均一に撹拌後、37℃、24時間静置して醗酵を行い、ニンジンの乳酸菌醗酵液を得た。本品1g中には、乳酸菌を5×108個/g含む。このニンジンの乳酸菌醗酵液を用いて次に示す組成の飲料を調製した。全ての原料を撹拌混合して、95℃で1分間殺菌し、その200mlをびんに充填、密栓後、冷水中で冷却した。
リンゴストレート果汁 79.8
ブロッコリーピューレの乳酸菌醗酵液 10.0
ニンジンの乳酸菌醗酵液 10.0
レモン混濁濃縮果汁 0.2
合計 100.0
常法により下記の組成のペースト状の口腔用組成物を調製した。
ブロッコリーの乳酸菌醗酵物 2.0
(実施例1により調製したもの)
酢酸dl−トコフェロール 0.05
塩酸クロルヘキシジン 0.05
ソルビット 40.0
無水ケイ酸 20.0
カルボキシメチルセルロースナトリウム 1.3
ラウリル硫酸ナトリウム 1.0
パラオキシ安息香酸メチル 0.1
サッカリンナトリウム 0.1
アネトール 0.1
メントール 0.2
ペパーミント油 0.4
グリセリン 5.0
精製水 残部
合計 100.0
常法により下記の組成の液状の口腔用組成物を調製した。
ケールの乳酸菌醗酵生菌粉末 0.5
(実施例3により調製したもの)
エタノール 10.0
トラネキサム酸 0.05
グリセリン 5.0
クエン酸 0.01
クエン酸ナトリウム 0.1
ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油 0.5
パラオキシ安息香酸メチル 0.1
ミント香料 適量
精製水 残部
合計 100.0
常法により下記の組成のトローチを調製した。
ブロッコリーの乳酸菌醗酵物 15.0
(実施例1により調製したもの)
マルチトール 21.0
アラビアガム 1.5
ショ糖脂肪酸エステル 2.5
粉末香料 1.0
クエン酸 4.0
ビタミンC 10.0
キシリトール 残部
合計 100.0
水相成分と油相成分を80℃で混合した後、冷却することにより、下記の組成のクリーム状の皮膚外用剤を調製した。
(水相)
ブロッコリーの乳酸菌醗酵物 15.0
(実施例1により調製したもの)
濃グリセリン 8.0
1,3−ブチレングリコール 5.0
モノステアリン酸ポリグリセリル 3.5
親油性モノステアリン酸グリセリル 2.5
L−アルギニン 0.2
シクロデキストリン 0.01
精製水 残部
(油相)
ステアリン酸 1.5
スクワラン 12.0
マカデミアナッツ油 1.0
パルミチン酸イソプロピル 4.0
メチルポリシロキサン 0.3
セタノール 2.0
香料 0.2
合計 100.0
Claims (4)
- アブラナ科植物の乳酸菌醗酵物を含有するカンジダ菌感染に基づく疾患の予防又は改善剤。
- 乳酸菌がラクトバチルス・ペントーサスおよびラクトバチルス・プランタラムから選ばれるいずれか1種以上である請求項1に記載のカンジダ菌感染に基づく疾患の予防又は改善剤。
- アブラナ科植物が、ブロッコリー、キャベツ、ケール、カリフラワー、高菜、あぶらな、からしな、大根、大根葉、野沢菜及び小松菜からなる群から選択される少なくとも1種の野菜である請求項1又は2に記載のカンジダ菌感染に基づく疾患の予防又は改善剤。
- カンジダ菌感染に基づく疾患が、アレルギー性疾患、アトピー性皮膚炎、歯周病、う蝕、口内炎、舌炎、口腔感染症、嚥下性肺炎又は膣炎である請求項1〜3のいずれかに記載の予防又は改善剤。
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