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セロオリゴ糖含有組成物
JP5001847B2
Japan
Description
translated from
本明細書においては、これらセロオリゴ糖に加え他の成分、例えばグルコースを含む組成物を「セロオリゴ糖組成物」と称することにする。
また、本明細書においては、この「セロオリゴ糖組成物」を有効成分として含有し、他の添加剤等を含有してもよい組成物を、「セロオリゴ糖含有組成物」(又は「薬剤組成物」)と称することにする。
非特許文献1、3、及び4には、糖組成として、セロビオース85.7質量%、セロトリオース3.7質量%、及びグルコース9.3質量%であるセロオリゴ糖組成物を用い、高ショ糖食(ショ糖64.7質量部、カゼイン25質量部、コーン油5質量部、ミネラル4質量部、ビタミン1質量部、塩酸コリン0.2質量部及びビタミンE0.05質量部)の1又は2.5質量%を、該セロオリゴ糖組成物で置換し、SD系雄性ラットを4週間飼育した結果が記載されている。該文献によると、上記糖組成のセロオリゴ糖組成物の摂取で、無添加系に対し、血清総コレステロール、HDL−コレステロール、トリグリセライド、及び体脂肪率が低下している。しかしながら、該文献のセロオリゴ糖は、血清脂質の低減効果を有するものの、肝臓等の内臓重量には変化がなく、内臓脂質についても低減効果が認められていない。それに対し、本発明は、特定の糖組成を有し、血中アディポネクチン濃度の低下が抑制され、セロオリゴ糖組成物を含有し、肝臓内の脂質低減効果に優れる生活習慣病の予防又は改善剤である。従って、該文献の血清脂質低下性のセロオリゴ糖とは全く異なる。
次に、本発明のセロオリゴ糖組成物又はセロオリゴ糖含有組成物のピロリ菌の抑制又は静菌について述べる。ピロリ菌(ヘリコバクター・ピロリ、又はHelicobacter・Pylori)は、グラム陰性の微好気性の桿菌である。ピロリ菌は、それが有するウレアーゼ活性により、尿素からアンモニアを生成することで、胃酸を中和して胃内の強酸性環境で生息していると考えられている。このピロリ菌により生成したアンモニアが、胃粘膜に障害を与え、胃炎、潰瘍、胃ガン、リンパ腫等の胃疾患と関連することが明らかとなっており、ピロリ菌の抑制、静菌が、これらの疾患に対する有効な予防又は改善策として認知されている。
従来のピロリ菌の抑制方法としては、抗生物質の投与が試みられてきた。この方法は、確かに、ピロリ菌の抑制効果はある。しかしながら、抗生物質の抑制作用が、ピロリ菌のみならず、人体に有用な腸内細菌にも影響する問題があった。また、副作用として下痢を生じるなど、少なからず人体に影響を及ぼす問題もあった。従って、人体に安全、かつピロリ菌に選択的に作用する抑制剤が求められてきた。従来技術として、糖類を有効成分とするピロリ菌の予防剤としては、以下のものがある。
特許文献3には、フコイダンを有効成分とする抗腫瘍剤が開示されている。該文献の抗腫瘍剤は、フコイダンによる、ピロリ菌の胃壁への定着阻害を利用し、ピロリ菌の感染予防に効果がある。それに対し、本発明のセロオリゴ糖を有効成分とするピロリ菌抑制剤は、胃壁への定着に関わらず、ピロリ菌を直接抑制するため、予防に加えて、改善効果もあり、該文献の予防剤とは全く異なるものである。
本発明は、特定の糖組成のセロオリゴ糖組成物を有効成分として含有する組成物であり、それを経口摂取することで、ヘリコバクター・ピロリ(Helicobacter・Pylori)の増加を抑制する、人体に安全なピロリ菌の抑制又は静菌剤は知られていなかった。
また、ニガリとローズマリー抽出物、又はカンゾウ抽出物を混合することによる皮膚常在菌の生存数バランス調整剤が開示されている(特許文献12)が、その効果は充分で無く、緑膿菌に対する静菌性については記載がなく、さらには乾いた時の感触としてさっぱり感や滑り感を付与するものではなく、高価で、現実的には、極めて使用し難いものであった。
(1)セロビオースと、セロトリオース、セロテトラオース、セロペンタオース、及びセロヘキサオースからなる群から選ばれる1種以上とからなるセロオリゴ糖を主成分とし、平均L/Dが3.0以下、嵩密度が0.80g/mL以下、安息角が60°以下の粉末であるセロオリゴ糖組成物。
(2)平均L/Dが2.5以下、嵩密度が0.55g/mL以下である、(1)に記載のセロオリゴ糖組成物。
(3)安息角が45°以下である、(1)又は(2)に記載のセロオリゴ糖組成物。
(4)油分保持量が0.9g/g以上である、(1)〜(3)のいずれか一項に記載のセロオリゴ糖組成物。
(5)相対湿度75%、40℃の環境下で、18時間放置された際の、吸湿度が1質量%以下である、(1)〜(4)のいずれか一項に記載のセロオリゴ糖組成物。
(6)200mgを、φ8.0mmの円形平面臼杵により、10kNで圧縮した成型体硬度が、60N以上である、(1)〜(5)のいずれか一項に記載のセロオリゴ糖組成物。
(7)100℃以上、pH7以下、10分以上加熱処理された後、セロオリゴ糖残存率が90%以上である、(1)〜(6)のいずれか一項に記載のセロオリゴ糖組成物。
(8)セロビオース含量が70質量%以上であり、セロトリオース、セロテトラオース、セロペンタオース、及びセロヘキサオースからなる群から選ばれる1種以上が0〜30質量%である、(1)〜(7)のいずれかに記載のセロオリゴ糖組成物。
(9)セロオリゴ糖に対し、グルコースを9質量%以下含む、(8)に記載のセロオリゴ糖組成物。
(10)セロビオース含量が90質量%以上、セロトリオース、セロテトラオース、セロペンタオース、及びセロヘキサオースからなる群から選ばれる1種以上が0.1〜10質量%、グルコース含量が3.5質量%以下である、(8)又は(9)に記載のセロオリゴ糖組成物。
(11)セロビオース含量が95質量%以上、セロトリオース、セロテトラオース、セロペンタオース、及びセロヘキサオースからなる群から選ばれる1種以上が0.5〜5質量%、グルコース含量が3.5質量%以下である、(10)に記載のセロオリゴ糖組成物。
(12)グルコースが2質量%以下である、(11)に記載のセロオリゴ糖組成物。
(13)セロビオース含量が50質量%以上であり、セロトリオース、セロテトラオース、セロペンタオース、及びセロヘキサオースからなる群から選ばれる1種以上が0〜50質量%であるセロオリゴ糖を、水又は水/有機溶剤の混合液に、分散又は溶解されているセロオリゴ糖組成物。
(14)(1)〜(13)のいずれか一項に記載のセロオリゴ糖組成物を有効成分として含有し、経口摂取による血中アディポネクチン濃度の低下率が30%以下に抑制された、生活習慣病の予防剤又は改善剤として用いるためのセロオリゴ糖含有組成物。
(15)前記セロオリゴ糖組成物が、経口摂取による肝臓内の中性脂肪濃度の低下率が15%以上である、(14)に記載のセロオリゴ糖含有組成物。
(16)前記セロオリゴ糖組成物が、経口摂取による血中アディポネクチン濃度の低下率が25%以下に抑制された、(14)又は(15)に記載のセロオリゴ糖含有組成物。
(17)(1)〜(13)のいずれか一項に記載のセロオリゴ糖組成物を有効成分として含有し、腸内有用細菌に資化され、腸内有害細菌に資化されない腸内細菌叢の賦活性を有し、腸内有用細菌として、ビフィドバクテリウム アドレセンティス(Bifidobacterium Adolescentis)、ビフィドバクテリウム ブレーベ(Bifidobacterium Breve)、ラクトバチルス アシドフィルス(Lactobacillus Acidophilus)、ラクトバチルス カゼイ(Lactobacillus Casei)、及びラクトバチルス ガセリ(Lactobacillus Gasseri)からなる群から選ばれる1種以上を増加させ、腸内有害細菌として、バクテロイデス フラジリス(Bacteroides Fragilis)又はユーバクテリウム アエロファシエンス(Eubacterium Aerofaciens)の増加を抑制する腸内細菌叢賦活剤として用いるためのセロオリゴ糖含有組成物。
(18)(1)〜(13)のいずれか一項に記載のセロオリゴ糖組成物を有効成分として含有し、腸内有用細菌に資化され、腸内有害細菌に資化されない腸内細菌叢の賦活性を有し腸内有害細菌として、クロストリジウム パーフリンジェンス(Clostridium perfringens)の増加を抑制する腸内細菌叢賦活剤として用いるためのセロオリゴ糖含有組成物。
(19)(1)〜(13)のいずれか一項に記載のセロオリゴ糖組成物を有効成分として含有し、ヘリコバクター ピロリ(Helicobacter Pylori)の増加抑制率が1%以上である、ピロリ菌増加抑制剤又は静菌剤として用いるためのセロオリゴ糖含有組成物。
(20)(1)〜(13)のいずれか一項に記載のセロオリゴ糖組成物を有効成分として含有し、カルシウムと経口摂取することで、大腿骨中のカルシウム濃度増加率が5%以上である、骨中カルシウム濃度増強剤として用いるためのセロオリゴ糖含有組成物。
(21)(1)〜(13)のいずれか一項に記載のセロオリゴ糖組成物を有効成分として含有し、皮膚への塗布による経皮水分蒸散量の回復促進率が10%以上である、皮膚バリヤ機能改善剤として用いるためのセロオリゴ糖含有組成物。
(22)(1)〜(13)のいずれか一項に記載のセロオリゴ糖組成物を有効成分として含有し、該有効成分が、表皮ブドウ球菌(Stapylococcus epidermidis:スタフィロコッカス・エピデミデス菌)を静菌せず、黄色ブドウ球菌(Staphylococcus aureus:スタフィロコッカス・アウレウス菌)、及び緑膿菌(Pseudomonas aeruginosa;シュードモナス・アエルギノーザ菌)を静菌する皮膚常在菌叢改善剤として用いるためのセロオリゴ糖含有組成物。
(23)(1)〜(13)のいずれか一項に記載のセロオリゴ糖組成物を有効成分として含有し、澱粉と共存下で保存された際の澱粉老化率が20%以下である、澱粉老化防止剤として用いるためのセロオリゴ糖含有組成物。
(24)(1)〜(13)のいずれか一項に記載のセロオリゴ糖組成物を有効成分として含有し、蛋白質と共存下で保存された際の蛋白質変性率が10%以下である、蛋白質変性防止剤として用いるためのセロオリゴ糖含有組成物。
(25)前記セロオリゴ糖組成物が、食品素材、化粧品素材、医薬品薬効成分、又はそれらで使用される添加物の中から選択される1種以上の構成成分に含有され、顆粒、成型体、水溶液、水分散体、ペースト、又はゲル状である、(14)〜(24)のいずれか一項に記載のセロオリゴ糖含有組成物。
(26)前記水溶液、水分散体、ペースト、又はゲル状のセロオリゴ糖含有組成物が界面活性剤、増粘剤、又はゲル化剤のいずれか1種以上を含有する、(25)のセロオリゴ糖含有組成物。
(27)(25)又は(26)に記載のセロオリゴ糖含有組成物を含むセロオリゴ糖含有食品。
(28)(25)又は(26)に記載のセロオリゴ糖含有組成物を含むセロオリゴ糖含有化粧品。
(29)(25)又は(26)に記載のセロオリゴ糖含有組成物を含むセロオリゴ糖含有医薬品。
(30)(25)又は(26)に記載のセロオリゴ糖含有組成物を含むセロオリゴ糖含有医薬部外品。
本発明のセロオリゴ糖組成物は、セロビオースと、セロトリオース、セロテトラオース、セロペンタオース、及びセロヘキサオースからなる群から選ばれる1種以上からなるセロオリゴ糖を主成分とする必要がある。ここでいう主成分とは、セロオリゴ糖組成物中に、上記のセロオリゴ糖を、50質量%以上含有することを表す。本発明のセロオリゴ糖組成物が、セロオリゴ糖を主成分とすることで、肝臓内の脂質代謝性、腸内有用細菌の選択的賦活性、ピロリ菌の増殖抑制又は静菌性に優れたセロオリゴ糖含有組成物が得られる。また、本発明のセロオリゴ糖組成物が、セロオリゴ糖を主成分とすることで、皮膚のバリヤ機能改善性、皮膚常在菌叢の改善性に優れたセロオリゴ糖含有組成物が得られる。
また、本発明のセロオリゴ糖組成物が、セロオリゴ糖を主成分とすることで、結晶形態を高度に制御され、粉体流動性、均一分散性に加え、油分保持性に優れ、吸湿し難く、圧縮成形性、耐熱耐酸性に優れたものとなる。
さらに、本発明のセロオリゴ糖組成物が、セロオリゴ糖を主成分とすることで、澱粉の老化防止性、蛋白質の変性防止性に優れるセロオリゴ糖組成物又はセロオリゴ糖含有組成物となるので、各種添加物と併せて組成物とすると、取り扱い性に優れたセロオリゴ糖含有組成物、又はセロオリゴ糖含有食品、化粧品、医薬品、医薬部外品が得られる。
油分保持量(g/g)=吸油量(g)/セロオリゴ糖組成物量(g)
で表される。この値が大きいほど、油分を含む処方、又は、常温で半固形、液状物を含む処方において、食品、化粧品、医薬品、医薬部外品を製造する際の、油分又は半固形、液状物の分離、染み出しを防止できるため好ましい。より好ましい範囲としては1.0g/g以上であり、特に好ましくは1.1g/g以上である。
本発明における生活習慣病の予防剤又は改善剤として用いるセロオリゴ糖組成物は、セロビオースを70質量%以上含有することが好ましい。セロビオース含量が高いほど、セロオリゴ糖組成物の水溶解度が向上し、服用時の生体利用率が高まるため好ましい。このセロビオース含量は、86質量%以上がより好ましく、90質量%以上がさらに好ましく、95質量%以上が特に好ましい。
低下率(%)=((セロオリゴ糖含有組成物非摂取時の濃度)−(セロオリゴ糖含有組成物摂取時の濃度))/(セロオリゴ糖含有組成物非摂取時の濃度)(%)。
中性脂肪濃度の低下率は大きいほど、上述の効果が大きくなる。従って、20%以上がより好ましい。
低下率(%)=((セロオリゴ糖含有組成物非摂取時の濃度)−(セロオリゴ糖含有組成物摂取時の濃度))/(セロオリゴ糖含有組成物非摂取時の濃度)(%)。
総コレステロール濃度の低下率は大きいほど、上述の効果が大きくなる。従って、15%以上がより好ましい。
本発明の腸内細菌叢賦活剤として用いるセロオリゴ糖含有組成物は、腸内のビフィズス菌、乳酸菌等の有用細菌を選択的に賦活し、有害細菌であるバクテロイデス フラジリス(Bacteroides Fragilis)、ユーバクテリウム アエロファシエンス(Eubacterium Aerofaciens)の増加を抑制する腸内細菌賦活剤の効果も有する。それを達成するため、セロオリゴ糖中のセロビオース、セロトリオース、セロテトラオース、セロペンタオース、及びセロヘキサオースの組成、並びにグルコース含量を以下に記す特定範囲に制御されることが好ましい。
本発明のピロリ菌の抑制剤又は静菌剤として用いるセロオリゴ糖含有組成物は、セロビオースを70質量%以上含むことが好ましい。セロビオースは、水性媒体中で、ピロリ菌の増殖を抑制する効果がある。従って、セロビオース含量が高いほど、ピロリ菌の増殖が抑制されるため好ましい。好ましい含有量としては、90質量%以上であり、95質量%以上がより好ましい。
本発明のピロリ菌の抑制剤又は静菌剤として用いるセロオリゴ糖含有組成物は、セロトリオース、セロテトラオース、セロペンタオース、及びセロヘキサオースから選ばれる1種以上を0〜30質量%含むことが好ましい。これらの糖類も、セロビオースと同様に、ピロリ菌の増殖抑制効果がある。しかしながら、グルコース残基が増えるとともに、水性媒体への溶解度が低くなるため、セロオリゴ糖として、本発明の効果を得るには、これらの含量は上述の範囲を満たす必要がある。好ましい含量範囲としては0〜10質量%であり、より好ましくは0〜5質量%であり、特に好ましくは、0.5〜5質量%である。
本発明のピロリ菌の抑制剤又は静菌剤として用いるセロオリゴ糖含有組成物は、グルコース含量が30質量%以下であることが好ましい。グルコースは、ピロリ菌を増加させるため、多量に含有すると、セロオリゴ糖のピロリ菌の抑制効果小さくなる。従って、グルコース含量は上述の範囲を満たす必要がある。グルコース含量は、小さいほどピロリ菌の抑制効果が促進され、好ましい範囲としては20質量%以下であり、より好ましい範囲としては10質量%以下であり、特に好ましくは、5質量%以下である。下限は特に設定されないが、簡便な操作で得られる範囲としては、0.1質量%以上である。
本発明のピロリ菌の抑制剤又は静菌剤として用いるセロオリゴ糖含有組成物により増殖抑制されるピロリ菌とは、ヘリコバクター・ピロリとして分類されるものが該当し、例えば、Helicobacter・Pylori ATCC 43504株、43526株等の保存菌株、及び臨床分離株が含まれる。本発明のセロオリゴ糖含むピロリ菌の抑制又は静菌剤のヘリコバクター・ピロリ(Helicobacter・Pylori)の増加抑制率は1%以上であることが好ましい。ここでいう増加抑制率とは、ピロリ菌を、セロオリゴ糖を添加した状態で培養した際の生菌数(生菌数1)の、セロオリゴ糖無添加の状態で培養した際の生菌数(生菌数2)に対する百分率であり、以下の式で表されるものである。
増加抑制率(%)=(生菌数2−生菌数1)/生菌数2×100
この増加抑制率が、高いほど、ピロリ菌の抑制又は静菌効果が大きくなるため、好ましい範囲としては10%以上であり、40%以上がより好ましく、50%以上が特に好ましい。
本発明でいうヘリコバクター・ピロリ(Helicobacter・Pylori)の生菌数は、以下の方法で測定できる。試験菌株(Helicobacter・Pylori ATCC 43504)を羊血液寒天培地K(BBL)を用いて、35℃、3日間微好気培養後、滅菌生理食塩液でMcFarland No.2(約107〜108CFU/mL)となるよう調製する。これを滅菌生理食塩液で100倍希釈し、添加用菌液とする。水で1/10に希釈したブルセラブロス(栄研化学)に5%のウマ血清を加えたものをセロオリゴ糖無添加の被験液とし、これに所定濃度のセロオリゴ糖を添加したものをセロオリゴ糖添加被験液とする。各被験液9mLに添加用菌液を1mL加え、35℃、微好気条件下で振盪培養し、これを検液とする。培養48時間後に各検液を採取し、滅菌生理食塩液で10倍希釈系列液を作製する。原液及び各希釈系列液を50μLずつ羊血液寒天培地Kにコンラージ塗抹し、微好気条件下で35℃、4〜5日間培養する。なお、0時間後は被験液のみ定量を実施する。培養後発育した菌数を計測し、1mL当たりの生菌数を求める。
以下に、骨中カルシウム濃度増強剤として用いるセロオリゴ糖含有組成物について説明する。
本発明の骨中カルシウム濃度増強剤として用いるセロオリゴ糖含有組成物は、カルシウムと経口摂取した後の大腿骨中のカルシウム濃度の増加率が5%以上であることが好ましい。この大腿骨中のカルシウム濃度の増加率が高いほど、骨粗鬆症等の予防又は改善の効果が得られるため好ましく、より好ましくは10%以上であり、特に好ましくは15%以上である。
ここでいう、大腿骨中のカルシウム濃度増加率は、大腿骨中の単位量当たりに存在する総カルシウム量(mg/g−乾燥大腿骨)のことである。その増加率とは、セロオリゴ糖の摂取と非摂取の大腿骨中の総カルシウム濃度から、以下の式で求められる。
増加率(%)=((セロオリゴ糖含有組成物摂取時の濃度)−(セロオリゴ糖含有組成物非摂取時の濃度))/(セロオリゴ糖含有組成物非摂取時の濃度)(%)
次に本発明における皮膚バリヤ機能改善剤として用いるセロオリゴ糖含有組成物について説明する。
回復促進率(%)=[(水の相対経皮水分蒸散量)−(セロオリゴ糖含有組成物の相対経皮水分蒸散量)]/(水の相対経皮水分蒸散量)×100
相対経皮水分蒸散量(%)=(TEWL2−TEWL0)/(TEWL荒れ肌−TEWL0)×100
δ=(ΔEV/V)1/2 (1)
ここで、ΔEVは、25℃における溶媒の蒸発熱(cal/mol)、Vは溶剤のモル容積(cm3/mol)である。ΔEVは、下記の式(2)で計算される。
ΔEV(cal/mol)=−3.542+23.7Tb+0.020Tb (2)
ここで、Tbは絶対温度で表した溶媒の沸点である。
δmix=(X1V1δ1+X2V2δ2+X3V3δ3+・・・+XnVnδn) (3)
ここでXは各溶媒のモル分率(mol%)であり、V(cm3/mol)は各溶媒のモル容積を表す。
また、本発明のセロオリゴ糖組成物は、皮膚バリヤ機能の改善、皮膚常在菌叢の改善効果があるため、皮膚炎、乾燥肌等のダメージ肌の予防または改善用の機能性化粧品、医薬部外品、医薬品等の用途で使用してもよい。
[製造例1]
普通寒天培地にTricoderma reeesei NBRC31329を接種し、37℃で7日間培養後、その培地表面から胞子を1白金耳取り、ポリペプトン1g、酵母エキス0.5g、リン酸1カリウム2g、硫酸アンモニウム1.5g、硫酸マグネシウム0.3g、塩化カルシウム0.3g、トレースエレメント1mL(硼酸6mg、モリブデン酸アンモニウム4水和物26mg、塩化鉄(3)6水和物100mg、硫酸銅5水和物40mg、硫酸マンガン4水和物8mg、硫酸亜鉛7水和物200mgを全量100mLの精製水に溶解させたもの)、アデカノール1mL、結晶セルロース(旭化成ケミカルズ製 商品名PH−101)10gを全量1Lの精製水に懸濁及び溶解させた培地に植菌し、28℃で5日間通気攪拌培養した。培養中は、水酸化ナトリウム水溶液を用いて、培地のpHを2.8−4.7となるように調節した。培養後の液を遠心分離し、上清を目開き0.46μmの精密ろ過膜で除菌し、ろ液を分画分子量13000の限外ろ過膜(旭化成ケミカルズ製 商品名マイクローザペンシル型モジュール ACP−0013)で体積比で10倍濃縮し粗酵素を得た。
次に、市販針葉樹由来の溶解パルプを使用し、加水分解条件を塩酸濃度0.4%塩酸水溶液、120℃、1時間として、加水分解し、酸不溶性残渣を洗浄、ろ過し、ウェットケークを得た。このウェットケークをセルロース10%濃度の水分散体とし、超高性能分散機・湿式微粉砕機(アシザワ(株)製、商品名 パールミルRL φ1mmジルコニアビーズ使用 充填率80%)を使用し、圧密・摩砕処理を施し、セルロース微粒子分散体を得た(平均重合度220、ジエチルエーテル可溶物含有率0.7%、平均粒子径0.7μm、コロイド状成分含有率51.5%)。
この摩砕セルロースが2質量%、粗酵素をタンパク質濃度0.25%になるように50mM酢酸−酢酸ナトリウム緩衝液(pH4.5)に懸濁溶解させ、全量1000mLとし、ガラス製フラスコに仕込んだ。このガラス製フラスコを、55℃の水槽に仕込み、内部を攪拌しながら4時間反応させた。反応終了後、反応液を懸濁状態で300μLを分注し、限外ろ過モジュール(分画分子量10000)を使用し、酵素、未分解セルロースを取り除いた後、高速液体クロマトグラフィーで糖濃度を分析した。該反応液の糖濃度は、セロトリオース0.1質量%、セロビオース1.5質量%、グルコース0.3質量%であった。
該反応液を、分画分子量13000の限外ろ過膜(旭化成ケミカルズ製 商品名マイクローザペンシル型モジュール ACP−0013)でろ過し、得られたろ液を陽・陰イオン交換樹脂で脱イオン処理し、70℃、減圧下で蒸留し、20倍の糖濃度の水溶液を得た。
製造例1で得られたセロオリゴ糖水溶液100mLを、200mLのガラス製フラスコに導入し、攪拌しながら、毎時10℃の速度で、70℃から25℃まで冷却した(溶媒の溶解度パラメータδは22.2)。25℃で水溶液中に晶出したセロオリゴ糖を、減圧ろ過し、40℃の通風式乾燥機で乾燥し、乳鉢で粉砕後、目開き150μmの篩いで篩下し、篩下粉末を目開き45μmの篩いで微粉を除去し、セロオリゴ糖粉末を得た。得たれたセロオリゴ糖粉末500mgをφ1.1mmの鋼鉄製円柱状臼に導入し、φ1.1mmの平面杵で、150MPa、10秒間の加圧を施し、得られた成型体の硬度を測定した。(平均L/D1.7、嵩密度0.43g/mL、セロビオース含量99質量%、セロトリオース〜セロヘキサオース含量0.1質量%、グルコース含量0.9質量%、粉体安息角43°、晶析収率50質量%、成型体硬度67N)
市販のセロビオース(アルドリッチ製 純度98質量%)を使用し、200mLのガラス製フラスコ中で70℃の水中に30質量%濃度で全量100mLになるよう溶解し、毎時10℃の速度で、70℃から25℃まで冷却した後、体積混合比50/50のイソプロピルアルコール/エタノール溶液を水に対し、50質量%になるよう、毎分10gの速度で加え、毎時10℃の速度で、70℃から25℃まで冷却した(溶媒の溶解度パラメータδは16.6)。水溶液中に晶出したセロオリゴ糖を、実施例1と同様に、減圧ろ過、乾燥、粉砕、篩下し、セロオリゴ糖粉末を得た。得られたセロオリゴ糖について実施例1と同様に成型体硬度を測定した。(平均L/D2.3、嵩密度0.54g/mL、セロビオース含量99質量%、セロトリオース〜セロヘキサオース含量0.5質量%、グルコース含量0.5質量%、粉体安息角48°、晶析収率89量%、成型体硬度107N)
製造例1で得られたセロオリゴ糖水溶液100mLを、200mLのガラス製フラスコに導入し、攪拌しながら、毎時10℃の速度で、70℃から25℃まで冷却した後、エタノールを水に対し75体積%となるよう、毎分10gの速度で加え晶析した(溶媒の溶解度パラメータδは14.5)。水溶液中に晶出したセロオリゴ糖を、実施例1と同様に、減圧ろ過、乾燥、粉砕、篩下し、セロオリゴ糖粉末を得た。得られたセロオリゴ糖について実施例1と同様に成型体硬度を測定した。(平均L/D2.5、嵩密度0.51g/mL、セロビオース含量99.9質量%、グルコース含量0.1質量%、粉体安息角55°、晶析収率92質量%、成型体硬度115N)
実施例1〜3で使用したセロオリゴ糖粉末1gを、ガラス板上に置いて、ビュレットでナタネ油(日清キャノーラ油)を適下し、滴下の度に、混練しながら、常温で油分保持量を測定した。終点(飽和吸油量)は、粉体表面に油が染み出した点として、
油分保持量=飽和吸油量(g)/セロオリゴ糖粉末量(g)
とした。実施例1のセロオリゴ糖粉末の油分保持量は、1.0g/g、実施例2は1.1g/g、実施例3は0.95g/gであり、いずれの粉末も、高い吸油性を示した。
市販のD−セロビオース粉末(シグマアルドリッチ製)を用いて、実施例4と同様に、油分保持量を測定した。市販D−セロビオースの油分保持量は、0.85であった。
実施例1〜3のセロオリゴ糖粉末を、相対湿度75%、40℃の環境下で、18時間放置された際の、吸湿度を測定した。
吸湿度=放置後の重量増加(g)/セロオリゴ糖粉末量(g)×100(質量%)
いずれの粉末も吸湿度は、1質量%未満であり、粉体のブロッキング、及び安息角の増加は全く認められなかった。
実施例1〜3のセロオリゴ糖粉末を、pH3.0のMcllvine緩衝液中に、1質量%濃度で溶解し、オートクレーブで121℃、20分間加熱した後の、糖組成を測定することで、加熱後の残存率を測定した。いずれのセロオリゴ糖粉末も、加熱後のセロオリゴ糖残存率は90%以上であり、高い耐熱・耐酸性を示した。
市販の馬鈴薯澱粉を純水中に2質量%で懸濁し、95℃で2時間加熱することで澱粉水溶液を得た。次に、実施例1〜3で得られたセロオリゴ糖粉末を純水中に6質量%溶解させたセロオリゴ糖水溶液を作製した。これらの澱粉水溶液と、各セロオリゴ糖水溶液を等量混合し、4℃にて、12時間保存し、保存前後の濁度(波長660nm)を測定することで、澱粉の変性率を求めた。
澱粉変性率=(保存後の濁度−保存前の濁度)/(保存後の濁度)×100(%)
実施例1〜3のセロオリゴ糖粉末の澱粉変性率は、それぞれ5%、17%、9%であり、セロオリゴ糖無添加の澱粉変性率31%に対し、澱粉の変性防止効果が認められた。
市販の卵白に、実施例1〜3で得られたセロオリゴ糖粉末2をそれぞれ5質量%溶解させ、卵白−セロオリゴ糖溶液を作製した。これらの卵白−セロオリゴ糖溶液を、−20℃にて、5日間保存し、保存前後の濁度(波長660nm)を測定することで、蛋白質の変性率を求めた。
蛋白質変性率=(保存後の濁度−保存前の濁度)/(保存後の濁度)×100(%)
実施例1〜3のセロオリゴ糖粉末の蛋白質変性率は、それぞれ3%、9%、7%であり、セロオリゴ糖無添加の澱粉変性率62%に対し、蛋白質の変性防止効果が認められた。
実施例1で得られたセロオリゴ糖粉末を用い、以下の方法で食品組成物を作成した。
まず、局方コーンスターチ(平均粒径は9μm)675.6g、タルク(和光純薬(株)製)15gをポリエチレン袋に入れて、3分間手で振とうした後、その混合粉体に、実施例1のセロオリゴ糖粉末195gを秤りとり(全量900g)、容量5リットルのV型混合機(ダルトン社製)に投入し、30分間混合した。ランダムに10カ所の粉体層から、粉体を0.5gずつ採取し、粉体中のセロオリゴ糖濃度を測定した。このときのセロオリゴ糖濃度の変動係数は0.9%であり、この混合粉体を目開き150μmの篩いで篩った後、篩い上部には凝集物が見られなかった。
ここでいう変動係数とは、上記のセロオリゴ糖の濃度分析において、10点の粉体サンプルにおけるセロオリゴ糖濃度の標準偏差と平均値から、以下の式で表される。
変動係数(%)=標準偏差 / 平均濃度 × 100
普通寒天培地にトリコデルマ リーセイ(Tricoderma reesei)GL−1株(独立行政法人産業技術総合研究所 特許生物寄託センター、受領番号FERM ABP−10323)を接種し、37℃で7日間培養後、その培地表面から胞子を1白金耳取り、ポリペプトン1g、酵母エキス0.5g、リン酸1カリウム2g、硫酸アンモニウム1.5g、硫酸マグネシウム0.3g、塩化カルシウム0.3g、トレースエレメント1mL(硼酸6mg、モリブデン酸アンモニウム4水和物26mg、塩化鉄(3)6水和物100mg、硫酸銅5水和物40mg、硫酸マンガン4水和物8mg、硫酸亜鉛7水和物200mgを全量100mLの精製水に溶解させたもの)、アデカノール1mL、結晶セルロース(旭化成ケミカルズ製 商品名PH−101)10gを全量1Lの精製水に懸濁及び溶解させた培地に植菌し、28℃で5日間通気攪拌培養した。培養中は、水酸化ナトリウム水溶液を用いて、培地のpHを2.8〜4.7となるように調節した。培養後の液を遠心分離し、上澄みを目開き0.46μmの精密ろ過膜で除菌し、ろ液を分画分子量13000の限外ろ過膜(旭化成ケミカルズ製 商品名マイクローザペンシル型モジュール ACP−0013)で体積比で10倍濃縮し粗酵素を得た。
次に、市販針葉樹由来の溶解パルプを使用し、加水分解条件を塩酸濃度0.4%塩酸水溶液、120℃、1時間として、加水分解し、酸不溶性残渣を洗浄、ろ過し、ウェットケークを得た。このウェットケークをセルロース10%濃度の水分散体とし、超高性能分散機・湿式微粉砕機(アシザワ(株)製、商品名 パールミルRL φ1mmジルコニアビーズ使用 充填率80%)を使用し、圧密・摩砕処理を施し、セルロース微粒子分散体を得た(平均重合度220、ジエチルエーテル可溶物含有率0.7%、平均粒子径0.7μm、コロイド状成分含有率51.5%)。
この摩砕セルロースが2質量%、粗酵素をタンパク質濃度0.25%になるように50mM酢酸−酢酸ナトリウム緩衝液(pH4.5)に懸濁溶解させ、全量1000mLとし、ガラス製フラスコに仕込んだ。このガラス製フラスコを、55℃の水槽に仕込み、内部を攪拌しながら4時間反応させた。反応終了後、反応液を懸濁状態で300μL分注し、限外ろ過モジュール(分画分子量10000)を使用し、酵素、未分解セルロースを取り除いた後、高速液体クロマトグラフィーで糖濃度を分析した。該反応液の糖濃度は、セロトリオース〜セロヘキサオース0.2質量%、セロビオース1.5質量%、グルコース0.3質量%であった。
該反応液を、分画分子量13000の限外ろ過膜(旭化成ケミカルズ製 商品名マイクローザペンシル型モジュール ACP−0013)でろ過し、得られたろ液を陽・陰イオン交換樹脂で脱イオン処理し、70℃、減圧下で蒸留し、20倍の糖濃度の水溶液を得た。
製造例2で得られたセロオリゴ糖水溶液100mLを、200mLのガラス製フラスコに導入し、攪拌しながら、毎時10℃の速度で、70℃から5℃まで冷却した。25℃で水溶液中に晶出したセロオリゴ糖を、減圧ろ過し、40℃の通風式乾燥機で乾燥し、乳鉢で粉砕後、目開き150μmの篩いで篩下し、篩下粉末を目開き45μmの篩いで微粉を除去し、セロオリゴ糖粉末CE−1Aを得た。得たれたセロオリゴ糖粉末の糖組成を表1に記す。
製造例2の菌株を、セロビブリオ ギルバス(Cellovibrio gilvus)に代え、培養時のpHを4〜10に変更し、酵素反応時の緩衝液をpH6.5のリン酸緩衝液に変更する以外は、製造例1と同様の方法でセロオリゴ糖水溶液を作成した。
得られたセロオリゴ糖水溶液を、活性炭を充填したカラムに通して、セロビオースリッチの画分を除去し、製造例2と同様の操作でセロオリゴ糖粉末CE−2Aを得た。得たれたセロオリゴ糖粉末の糖組成を表1に記す。
製造例3のセロオリゴ糖の製造方法において、セロオリゴ糖水溶液に常温でエタノールを重量比で2.5倍加え、製造例1と同様に冷却晶析し、セロオリゴ糖粉末CE−3Aを得た。
製造例4で得られたセロオリゴ糖水溶液を、そのまま噴霧乾燥(東京理化製 噴霧乾燥機 出口温度72℃)し、セロオリゴ糖粉末CE−4Aを得た。
<インスリン非上昇性についての確認試験>
生後7週齢のSDラットを1週間AIN−93G(オリエンタル酵母工業製)の自由摂取で、1週間予備飼育後、16時間絶食させ、表1の各セロオリゴ糖水溶液を、ゾンデを用いて1500mg/kgを投与した。投与前及び投与後、30分後に無麻酔下で、骸外静脈より採血し、インスリン濃度(ng/mL シバヤギ製 レビインスリンキット使用)を測定した。インスリン濃度の上昇率は、CE−1A〜3Aで30%未満であり、これらのセロオリゴ糖がインスリン非上昇性であることを確認した。
<自然発症2型糖尿病マウスにおける生活習慣病改善>
実験動物として、5週齢の雄KK−Ayマウス(日本クレア製 Ta/Jcl)を用いた。マウスは、個別のステンレスケージに入れて、室温23±5℃、湿度40〜70%、明暗各12時間(照明午前7時〜午後7時)、換気12回/時(フィルターにより除菌した新鮮空気)に維持された飼育室で動物を飼育した。
まず、5日間の予備飼育を行い、予備飼育中は、粉末飼料(CRF−1 オリエンタル酵母工業製)を給餌器に入れ、自由摂取させた。また、飲水として水道水を用い、飼育期間中は自由摂取させた。
予備飼育の後、コンピューターを用いた無作為法により、各群の群分け前の血糖値、体重がほぼ等しくなるように、1群10匹構成で群分けを行った。群分け後、粉末飼料を標準食(AIN−93G オリエンタル酵母工業製)に代え、同様に飼育した。セロオリゴ糖の添加効果は、上述の標準食中のショ糖を固定し、ショ糖以外の成分の内、2.5又は5質量%を表1に示すCE−1A〜3Aの各セロオリゴ糖粉末に代えて比較した。30日飼育及び、60日飼育の結果を表2に示す。
セロオリゴ糖としてCE−3A、CE−4Aを用いる以外は、実施例10〜12と同じ条件で飼育を行った。結果を表2に示す。
コントロールとして、セロオリゴ糖を添加せず、標準食単独で飼育を行った。結果を表2に示す。摂餌量及び体重は、試験を通し、実施例と比較例で有意差はなかった。
<飼料組成>
カゼイン 20.0質量%
L−システイン 0.3質量%
コーンスターチ 39.7質量%
α化コーンスターチ 13.2質量%
ショ糖 10.0質量%
大豆油 7.0質量%
セルロースパウダー 5.0質量%
AIN−93ミネラル混合 3.5質量%
AIN−93ビタミン混合 1.0質量%
重酒石酸コリン 0.25質量%
第三ブチルヒドロキノン 0.0014質量%
※セロオリゴ糖添加系は、上述のショ糖量10.0質量%を固定し、その他の成分を混合物として、飼料総量に対し、5.0質量%をおきかえた。
<試験項目及び方法>
(体重測定)
群分け後30日、60日後において、各マウスの体重を測定した。
(摂餌量測定)
群分け後8、15、30、60日後に、各マウスのその日の摂餌量を測定した。
(採血及び血液分析)
群分け後、15日、30日、60日後に、ヘパリン処理したキャピラリーを用いて、尾静脈から約100μLの血液を採血した。得られた血液は、遠心機(日立工機(株)製 商品名CF8DL)で、4℃、1972G、15分間の条件で遠心分離し、血漿について以下の項目の測定を行った。
・血中アディポネクチン濃度(大塚製薬製 アディポELISAキットを使用)
・血漿中性脂肪(和光純薬製 トリグリセライドE−テストワコーを使用)
・血漿総コレステロール(和光純薬製 コレステロール−E−テストワコーを使用)
(摘出器官についての測定)
投与60日後に、塩酸ケタミン50mg/kg及びキシラジン2mg/kgの腹腔内投与麻酔下で、肝臓及び副睾丸脂肪を摘出後、重量を測定し、液体窒素で凍結した。肝臓内の脂質は、上記の肝臓から脂質をヘキサン抽出し、肝臓内の総コレステロール濃度及び中性脂肪濃度を測定した。
表2の結果より、いずれの実施例も同一飼育期間において、血中アディポネクチンの低下率は30%以下に抑制され、肝臓内の中性脂肪濃度低下率も15%以上であった。それに対し、比較例2、3は血中アディポネクチン低下率、肝臓の中性脂肪濃度低下率ともに、本発明の範囲になかった。
また、実施例10〜12のセロオリゴ糖添加系は、比較例4に対し、血漿、腹腔内脂質において有意な低下を示した。実施例10と実施例11とを比較すると、飼料中のセロオリゴ糖含量が増加すると、短期間で効果が発現し、長期投与では、絶対値が低下した。実施例11と12の比較により、セロトリオース〜セロヘキサオースの含量が高いと、血中の効果発現は遅いが、肝臓脂質の低下が促進された。
また、比較例2と、実施例10〜12を比べると、飼料中のグルコース含量が多くとも、副睾丸脂質の低下作用を有するが、血中脂質への効果発現が遅れ、肝臓脂質には有意差はみられなかった。
さらに、比較例3は、セロビオース含量が70質量%未満であり、本発明の範囲にない為、実施例及び比較例2に対し、副睾丸脂質量、血中脂質への効果が小さくなった。
<健常ラットにおける生活習慣病改善>
実験動物として、5週齢の雄SDラット(日本クレア製)を用いた。ラットは、個別のステンレスケージに入れて、室温23±5℃、湿度40〜70%、明暗各12時間(照明午前7時〜午後7時)、換気12回/時(フィルターにより除菌した新鮮空気)に維持された飼育室で動物を飼育した。
まず、5日間の予備飼育を行い、予備飼育中は、粉末飼料(CRF−1 オリエンタル酵母工業製)を給餌器に入れ、自由摂取させた。また、飲水として水道水を用い、飼育期間中は自由摂取させた。
予備飼育の後、コンピューターを用いた無作為法により、各群の群分け前の血糖値、体重がほぼ等しくなるように、1群10匹構成で群分けを行った。群分け後も、粉末飼料代えることなく、同様に飼育した。
セロオリゴ糖は、上述のCE−1Aを精製水に溶解又は懸濁し、160、1000mg/kgを、ゾンデを用いて、1回/日、13週間投与した。投与後、ペントバルビタール・ナトリウム30mg/kgを腹腔内に投与して麻酔した後、後大静脈腹部より血液を2.0〜2.5mL採血し、3.8w/v%クエン酸ナトリウム0.1mLを入れた試験管に血液0.9mLを分注し、1870Gで15分間遠心分離した。遠心後の血漿を用い、上述と同様に、血中アディポネクチン濃度、血漿及び肝臓内の中性脂肪濃度を測定した。
セロオリゴ糖を投与しない以外は、実施例13、14と同様の操作で、飼育し、血中アディポネクチン濃度、血漿及び肝臓内の中性脂肪濃度を測定した。
摂餌量及び体重は、試験を通し、実施例と比較例で有意差はなかった。
表3より、実施例は、比較例に対し、アディポネクチン濃度低下率が30%以下であり、肝臓内中性脂肪濃度の低下率が15%以上であり、本発明の範囲にあった。また、セロオリゴ糖投与系は、用量依存的に、血中及び肝臓の脂質濃度が低下し、高用量系では肝臓重量も、低減する傾向がある。この試験により、健常ラットにおいても、セロオリゴ糖を摂取することで、摂餌量を変えずとも、血中及び肝臓内脂質濃度を低減できた。
<腸内細菌叢の賦活>
普通寒天培地にトリコデルマ リーセイ(Tricoderma reesei)を接種し、37℃で7日間培養後、その培地表面から胞子を1白金耳取り、ポリペプトン1g、酵母エキス0.5g、リン酸1カリウム2g、硫酸アンモニウム1.5g、硫酸マグネシウム0.3g、塩化カルシウム0.3g、トレースエレメント1mL(硼酸6mg、モリブデン酸アンモニウム4水和物26mg、塩化鉄(3)6水和物100mg、硫酸銅5水和物40mg、硫酸マンガン4水和物8mg、硫酸亜鉛7水和物200mgを全量100mLの精製水に溶解させたもの)、アデカノール1mL、結晶セルロース(旭化成ケミカルズ製 商品名PH−101)10gを全量1Lの精製水に懸濁及び溶解させた培地に植菌し、28℃で5日間通気攪拌培養した。培養中は、水酸化ナトリウム水溶液を用いて、培地のpHを2.8−4.7となるように調節した。培養後の液を遠心分離し、上清を目開き0.46μmの精密ろ過膜で除菌し、ろ液を分画分子量13000の限外ろ過膜(旭化成ケミカルズ製 商品名マイクローザペンシル型モジュール ACP−0013)で体積比で10倍濃縮し粗酵素を得た。
次に、市販針葉樹由来の溶解パルプを使用し、加水分解条件を塩酸濃度0.4%塩酸水溶液、120℃、1時間として、加水分解し、酸不溶性残渣を洗浄、ろ過し、ウェットケークを得た。このウェットケークをセルロース10%濃度の水分散体とし、超高性能分散機・湿式微粉砕機(アシザワ(株)製、商品名 パールミルRL φ1mmジルコニアビーズ使用 充填率80%)を使用し、圧密・摩砕処理を施し、セルロース微粒子分散体を得た(平均重合度220、ジエチルエーテル可溶物含有率0.7%、平均粒子径0.7μm、コロイド状成分含有率51.5%)。
この摩砕セルロースが2質量%、粗酵素をタンパク質濃度0.25%になるように50mM酢酸−酢酸ナトリウム緩衝液(pH4.5)に懸濁溶解させ、全量1000mLとし、ガラス製フラスコに仕込んだ。このガラス製フラスコを、55℃の水槽に仕込み、内部を攪拌しながら4時間反応させた。反応終了後、反応液を懸濁状態で300μL分注し、限外ろ過モジュール(分画分子量10000)を使用し、酵素、未分解セルロースを取り除いた後、高速液体クロマトグラフィーで糖濃度を分析した。該反応液の糖濃度は、セロトリオース〜セロヘキサオース0.2質量%、セロビオース1.5質量%、グルコース0.3質量%であった。
該反応液を、分画分子量13000の限外ろ過膜(旭化成ケミカルズ製 商品名マイクローザペンシル型モジュール ACP−0013)でろ過し、得られたろ液を陽・陰イオン交換樹脂で脱イオン処理し、70℃、減圧下で蒸留し、20倍の糖濃度の水溶液を得た。
製造例7で得られたセロオリゴ糖水溶液100mLを、200mLのガラス製フラスコに導入し、攪拌しながら、毎時10℃の速度で、70℃から5℃まで冷却した。25℃で水溶液中に晶出したセロオリゴ糖を、減圧ろ過し、40℃の通風式乾燥機で乾燥し、乳鉢で粉砕後、目開き150μmの篩いで篩下し、篩下粉末を目開き45μmの篩いで微粉を除去し、セロオリゴ糖粉末CE−1Bを得た。得たれたセロオリゴ糖粉末の糖組成を表4に記す。
製造例7で得られたセロオリゴ糖水溶液100mLを、200mLのガラス製フラスコに導入し、攪拌しながら、毎時10℃の速度で、70℃から5℃まで冷却した後、エタノールを水に対し70質量%となるよう、毎分10gの速度で加え晶析した。水溶液中に晶出したセロオリゴ糖を、製造例8と同様に、減圧ろ過、乾燥、粉砕、篩下し、セロオリゴ糖粉末CE−2Bを得た。得たれたセロオリゴ糖粉末の糖組成を表4に記す。
製造例7の菌株を、セロビブリオ ギルバス(Cellovibrio gilvus)に代え、培養時のpHを4〜10に変更し、酵素反応時の緩衝液をpH6.5のリン酸緩衝液に変更する以外は、製造例1と同様の方法でセロオリゴ糖水溶液を作成した。
得られたセロオリゴ糖水溶液を、活性炭を充填したカラムに通してセロビオースリッチの画分を除去し、製造例9と同様の操作でセロオリゴ糖粉末CE−3Bを得た。得たれたセロオリゴ糖粉末の糖組成を表4に記す。
製造例7のセロオリゴ糖水溶液を一旦、製造例2の方法で晶析し、得られたセロオリゴ糖を水溶液として、製造例4に記す活性炭処理でセロトリオース以上の分子量画分をカットした。製造例9と同様の操作で粉末化し、セロオリゴ糖粉末CE−4Bを得た。
製造例10の活性炭によるカラム分画において、グルコースリッチの画分を採取し、60℃の通気オーブン中で、16時間乾燥し、製造例8と同様の操作で粉末化し、セロオリゴ糖粉末CE−5Bを得た。得たれたセロオリゴ糖粉末の糖組成を表4に記す。
製造例10の活性炭によるカラム分画において、セロトリオース〜セロヘキサオースリッチの画分を採取し、60℃の通気オーブン中で、16時間乾燥し、製造例9と同様の操作で粉末化し、セロオリゴ糖粉末CE−6Bを得た。得られたセロオリゴ糖粉末の糖組成を表4に記す。
製造例7〜10で得られたCE−1B〜3Bを使用し、以下の方法で各菌株の資化テストを実施した。
Peptone−Yeast−Fildes solution(PYF 日本製薬製)培地に、本発明のセロオリゴ糖を1.0質量%添加した滅菌培地(pH7.2)1.5mLを作成し、予め、Fildes solution添加GAMブイヨン培地(日本製薬製 製品名GAMブイヨンにFildes solution0.4体積%を添加)に、以下の各種菌株を前培養しておいた供試菌液0.03mLを接種し、37℃で96時間嫌気培養した後、pHを測定し資化性を判断する。該pHが、6.0未満に下がっている状態で、該菌株がセロオリゴ糖を資化したと判断できる。なお、pHは低いほど、該菌株の増殖が進むことを意味する。結果を表5に記す。
セロオリゴ糖をCE−4B〜6Bに代えて、実施例の方法と同様に、資化性の評価を行った。
セロオリゴ糖の代わりに、ゲンチオオリゴ糖(日本食品化工製 商品名ゲントース 80P)、フラクトオリゴ糖(明治製菓製 商品名メイオリゴP)を用いて、実施例と同様に評価した。
<使用した菌株>
1)Bifidobacterium adlescentis
2)Bifidobacterium bifidum
3)Bifidobacterium breve
4)Bifidobacterium infantis
5)Bifidobacterium longum
6)Lactobacillus acidophilus
7)Lactobacillus casei
8)Lactobacillus salibarius
9)Lactobacillus gasseri
10)Lactobacillus fermentum
11)Streptococcus pyogenes
12)Bacteroides destasonis
13)Bacteroides fragilis
14)Bacteroides ovatus
15)Bacteroides thetaiotaomicron
16)Bacteroides vulfatus
17)Bacteroides uniformis
18)Bacteroides meraninogenicus
19)Fusobacterium varium
20)Fusobacterium necrophorum
21)Maegamonas hypermegas
22)Mitsuokella multiacidus
23)Eubacterium limosum
24)Eubacterium aerofacience
25)Eubacterium nitritogenes
26)Eubacterium lentum
27)Enterobacter aerogenes
28)Enterococcus faecalis
29)Clostridium butyricum
30)Clostridium clostridiiforme
31)Clostridium coccoides
32)Clostridium difficile
33)Clostridium perfringens
34)Clostridium paraputrificum
35)Clostridium ramosum
36)Clostridium innocuum
37)Clostridium sporogenes
38)Propionibacterium acnes
39)Peptostreptcoccus parvulus
40)Peptostreptcoccus asaccharolyticus
41)Peptostreptcoccus magnus
42)Peptostreptcoccus prevolli
43)Escherichia coli
44)Klebsiella pneumoniae
<評価基準>
−:pHが6.0以上
±:pHが6.0未満〜5.5
+:pHが5.5未満〜5.0
++:pHが5.0未満〜4.5
+++:pHが4.5未満
表5に示すように、セロビオース含量を高く、グルコース濃度を低く、セロトリオース〜セロヘキサオース含量を適正範囲にすることで、ビフィズス菌、乳酸菌を選択賦活し、Clostridium perfringens、Escharichia coliの増殖抑制に加え、Bacteroides fragilis、Eubacterium aerofanciensの増殖を抑制できた。
[製造例14]
普通寒天培地にトリコデルマ リーセイ(Tricoderma reesei)を接種し、37℃で7日間培養後、その培地表面から胞子を1白金耳取り、ポリペプトン1g、酵母エキス0.5g、リン酸1カリウム2g、硫酸アンモニウム1.5g、硫酸マグネシウム0.3g、塩化カルシウム0.3g、トレースエレメント1mL(硼酸6mg、モリブデン酸アンモニウム4水和物26mg、塩化鉄(3)6水和物100mg、硫酸銅5水和物40mg、硫酸マンガン4水和物8mg、硫酸亜鉛7水和物200mgを全量100mLの精製水に溶解させたもの)、アデカノール1mL、結晶セルロース(旭化成ケミカルズ製 商品名PH−101)10gを全量1Lの精製水に懸濁及び溶解させた培地に植菌し、28℃で5日間通気攪拌培養した。培養中は、水酸化ナトリウム水溶液を用いて、培地のpHを2.8−4.7となるように調節した。培養後の液を遠心分離し、上清を目開き0.46μmの精密ろ過膜で除菌し、ろ液を分画分子量13000の限外ろ過膜(旭化成ケミカルズ製 商品名マイクローザペンシル型モジュール ACP−0013)で体積比で10倍濃縮し粗酵素を得た。
次に、市販針葉樹由来の溶解パルプを使用し、加水分解条件を塩酸濃度0.4%塩酸水溶液、120℃、1時間として、加水分解し、酸不溶性残渣を洗浄、ろ過し、ウェットケークを得た。このウェットケークをセルロース10%濃度の水分散体とし、超高性能分散機・湿式微粉砕機(アシザワ(株)製、商品名 パールミルRL φ1mmジルコニアビーズ使用 充填率80%)を使用し、圧密・摩砕処理を施し、セルロース微粒子分散体を得た(平均重合度220、ジエチルエーテル可溶物含有率0.7%、平均粒子径0.7μm、コロイド状成分含有率51.5%)。
この摩砕セルロースが2質量%、粗酵素をタンパク質濃度0.25%になるように50mM酢酸−酢酸ナトリウム緩衝液(pH4.5)に懸濁溶解させ、全量1000mLとし、ガラス製フラスコに仕込んだ。このガラス製フラスコを、55℃の水槽に仕込み、内部を攪拌しながら4時間反応させた。反応終了後、反応液を懸濁状態で300μL分注し、限外ろ過モジュール(分画分子量10000)を使用し、酵素、未分解セルロースを取り除いた後、高速液体クロマトグラフィーで糖濃度を分析した。該反応液の糖濃度は、セロトリオース〜セロヘキサオース0.2質量%、セロビオース1.5質量%、グルコース0.3質量%であった。
該反応液を、分画分子量13000の限外ろ過膜(旭化成ケミカルズ製 商品名マイクローザペンシル型モジュール ACP−0013)でろ過し、得られたろ液を陽・陰イオン交換樹脂で脱イオン処理し、70℃、減圧下で蒸留し、20倍の糖濃度の水溶液を得た。
製造例14で得られたセロオリゴ糖水溶液100mLを、200mLのガラス製フラスコに導入し、攪拌しながら、毎時10℃の速度で、70℃から5℃まで冷却した後、エタノールを水に対し70質量%となるよう、毎分10gの速度で加え晶析した。水溶液中に晶出したセロオリゴ糖を、減圧ろ過、乾燥、粉砕、篩下し、セロオリゴ糖粉末CE−1Cを得た。得たれたセロオリゴ糖粉末の糖組成を表6に記す。
製造例14の菌株を、セロビブリオ ギルバス(Cellovibrio gilvus)に代え、培養時のpHを4〜10に変更し、酵素反応時の緩衝液をpH6.5のリン酸緩衝液に変更する以外は、製造例14と同様の方法でセロオリゴ糖水溶液を作成した。
得られたセロオリゴ糖水溶液を、活性炭を充填したカラムに通してグルコースリッチの画分を採取し、60℃の通気オーブン中で、16時間乾燥し、製造例2と同様の操作で粉末化し、セロオリゴ糖粉末CE−2Cを得た。得たれたセロオリゴ糖粉末の糖組成を表6に記す。
※表中の各表示は以下の糖質を示す。
G1:グルコース、CO2:セロビオース、CO3:セロトリオース、CO4:セロテトラオース、CO5:セロペンタオース、CO6:セロヘキサオース
セロオリゴ糖としてCE−1Cを用いて、以下の被検液を作製し、ピロリ菌の増加抑制率を測定した。結果を表7に示す。
<被検液>
(0)セロオリゴ糖無添加の5%ウマ血清加1/10加ブルセラブロス
(1)CE−1Cを2%溶解させた5%ウマ血清加1/10ブルセラブロス
(2)CE−1Cを5%溶解させた5%ウマ血清加1/10ブルセラブロス
(3)CE−1Cを10%溶解させた5%ウマ血清加1/10ブルセラブロス
<培養方法>
試験菌株(Helicobacter・Pylori ATCC 43504)を羊血液寒天培地K(BBL)を用いて、35℃、3日間微好気培養後、滅菌生理食塩液でMcFarland No.2(約107〜108CFU/mL)となるよう調製する。これを滅菌生理食塩液で100倍希釈し、添加用菌液とする。各被験液9mLに添加用菌液を1mL加え、35℃、微好気条件下で振盪培養し、これを検液とする。培養72時間後に各検液を採取し、滅菌生理食塩液で10倍希釈系列液を作製する。原液及び各希釈系列液を50μLずつ羊血液寒天培地Kにコンラージ塗抹し、微好気条件下で35℃、4〜5日間培養する。なお、0時間後は被験液のみ定量を実施する。培養後発育した菌数を計測し、1mL当たりの生菌数を求める。増加抑制率は以下の式で求めた。
増加抑制率(%)=(生菌数2−生菌数1)/生菌数2×100
実施例16からセロオリゴ糖をCE−2Cに代えて、被検液中のセロオリゴ糖の添加量を2%として、実施例1と同様にピロリ菌の増加抑制率を求めた。結果を表7に示す。
実施例13から、セロオリゴ糖の代わりに、D−グルコース(和光純薬製)を用いて、被検液中の添加量を2%として、実施例13と同様に、ピロリ菌の増加抑制率を求めた。結果を表7に示す。
実施例16、17から、セロオリゴ糖にピロリ菌の抑制効果があった。さらに、実施例16からは、セロオリゴ糖の添加量が増えるほど、ピロリ菌の増加抑制率は向上し、ピロリ菌の抑制効果が高いことが分かる。
また、実施例17に対し、実施例16は、セロビオース含量が高く、セロトリオース〜セロヘキサオース含量、及びグルコース含量低いが、同一添加量でピロリ菌の生菌数が少なく、セロオリゴ糖中のセロビオース含量が高い程、抑制効果が高い。
さらに、比較例7より、グルコースには、ピロリ菌の抑制効果はなかった。
セロオリゴ糖としてCE−1Cを使用し、添加量を5%、10%として、実施例16と同様の操作で培養した。培養時間を48〜96時間に振って、無添加と生菌数を比較した。結果を図1に示す。
[製造例17]
普通寒天培地にトリコデルマ リーセイ(Tricoderma reesei)を接種し、37℃で7日間培養後、その培地表面から胞子を1白金耳取り、ポリペプトン1g、酵母エキス0.5g、リン酸1カリウム2g、硫酸アンモニウム1.5g、硫酸マグネシウム0.3g、塩化カルシウム0.3g、トレースエレメント1mL(硼酸6mg、モリブデン酸アンモニウム4水和物26mg、塩化鉄(3)6水和物100mg、硫酸銅5水和物40mg、硫酸マンガン4水和物8mg、硫酸亜鉛7水和物200mgを全量100mLの精製水に溶解させたもの)、アデカノール1mL、結晶セルロース(旭化成ケミカルズ製 商品名PH−101)10gを全量1Lの精製水に懸濁及び溶解させた培地に植菌し、28℃で5日間通気攪拌培養した。培養中は、水酸化ナトリウム水溶液を用いて、培地のpHを2.8−4.7となるように調節した。培養後の液を遠心分離し、上清を目開き0.46μmの精密ろ過膜で除菌し、ろ液を分画分子量13000の限外ろ過膜(旭化成ケミカルズ製 商品名マイクローザペンシル型モジュール ACP−0013)で体積比で10倍濃縮し粗酵素を得た。
次に、市販針葉樹由来の溶解パルプを使用し、加水分解条件を塩酸濃度0.4%塩酸水溶液、120℃、1時間として、加水分解し、酸不溶性残渣を洗浄、ろ過し、ウェットケークを得た。このウェットケークをセルロース10%濃度の水分散体とし、超高性能分散機・湿式微粉砕機(アシザワ(株)製、商品名 パールミルRL φ1mmジルコニアビーズ使用 充填率80%)を使用し、圧密・摩砕処理を施し、セルロース微粒子分散体を得た(平均重合度220、ジエチルエーテル可溶物含有率0.7%、平均粒子径0.7μm、コロイド状成分含有率51.5%)。
この摩砕セルロースが2質量%、粗酵素をタンパク質濃度0.25%になるように50mM酢酸−酢酸ナトリウム緩衝液(pH4.5)に懸濁溶解させ、全量1000mLとし、ガラス製フラスコに仕込んだ。このガラス製フラスコを、55℃の水槽に仕込み、内部を攪拌しながら4時間反応させた。反応終了後、反応液を懸濁状態で300μL分注し、限外ろ過モジュール(分画分子量10000)を使用し、酵素、未分解セルロースを取り除いた後、高速液体クロマトグラフィーで糖濃度を分析した。該反応液の糖濃度は、セロトリオース〜セロヘキサオース0.2質量%、セロビオース1.5質量%、グルコース0.3質量%であった。
該反応液を、分画分子量13000の限外ろ過膜(旭化成ケミカルズ製 商品名マイクローザペンシル型モジュール ACP−0013)でろ過し、得られたろ液を陽・陰イオン交換樹脂で脱イオン処理し、70℃、減圧下で蒸留し、20倍の糖濃度の水溶液を得た。
製造例17で得られたセロオリゴ糖水溶液100mLを、200mLのガラス製フラスコに導入し、攪拌しながら、毎時10℃の速度で、70℃から5℃まで冷却した後、エタノールを水に対し60質量%となるよう、毎分10gの速度で加え晶析した。水溶液中に晶出したセロオリゴ糖を、製造例2と同様に、減圧ろ過、乾燥、粉砕、篩下し、セロオリゴ糖粉末CE−1Dを得た。CE−1Dの糖組成は、セロビオース含有率が94.9質量%、セロトリオース、セロテトラオース、セロペンタオース、セロヘキサオースを併せた含有率が2.6質量%、グルコース含有率が2.5質量%であった。
製造例18で得られたCE−1Dを、固形分25質量%の水溶液として、製造例18のセロオリゴ糖水溶液の代わりに用い、製造例18と同様の操作を繰り返し、CE−2Dを得た。CE−2Dの糖組成は、セロビオース含有率が96.3質量%、セロトリオース、セロテトラオース、セロペンタオース、セロヘキサオースを併せた含有率が1.7質量%、グルコース含有率が2.0質量%であった。
製造例18で得られたCE−1Dを、固形分25質量%の水溶液として、製造例18のセロオリゴ糖水溶液の代わりに用い、製造例18と同様の操作を繰り返し、CE−3Dを得た。CE−3Dの糖組成は、セロビオース含有率が99.1質量%、セロトリオース、セロテトラオース、セロペンタオース、セロヘキサオースを併せた含有率が0.9質量%であった。CE−3Dに、市販のグルコース(和光純薬製 特級を粉砕したもの)をCE−3Dに対し2.0質量%分追加し、CE−4Dを得た。
CE−1Dに、市販のグルコース(和光純薬製 特級を粉砕したもの)を、セロビオース、セロトリオース、セロテトラオース、セロペンタオース、セロヘキサオースの総量に対し11.5質量%となるよう追加し、CE−5Dを得た。
製造例17の菌株を、セロビブリオ ギルバス(Cellovibrio gilvus)に代え、培養時のpHを調整せず、酵素反応時の緩衝液をpH6.5のリン酸緩衝液に変更する以外は、製造例17と同様の方法でセロオリゴ糖水溶液を作成した。
得られたセロオリゴ糖水溶液を、活性炭を充填したカラムに通してセロビオースリッチの画分を除去し、製造例18と同様の操作でセロオリゴ糖粉末CE−6Dを得た。CE−6Dの糖組成は、セロビオース含有率が74.5質量%、セロトリオース、セロテトラオース、セロペンタオース、セロヘキサオースを併せた含有率が21.8質量%、グルコース含有率が3.7質量%であった。
製造例17〜22で得られたCE−1D、2D、4D、5D、6Dを用い、セロオリゴ糖水溶液として表1に示す組成の水溶液を用いて以下の試験を行った。
男性3名、女性2名(平均年齢36歳)の被験者による経皮水分蒸散量回復試験を行った。まず、各被験者が、前腕内側(被検部位)を70%エタノールでふき取った後、恒温恒湿室(室温22℃、湿度45%)で15分間馴化した後、被検部位を2チャンネル水分蒸散モニター(アサヒバイオメッド社製 TW−AS型)で3回測定し、その平均値で初期TEWL値(TEWL0)を求めた。次に、初期TEWLの測定後、被検部位を水洗し、フィンチャンバー(Epitest社製)を用いて、2質量%のドデシル硫酸ナトリウム(SDS)を被検部位に閉塞貼付塗布し、水洗後、上述と同様にTEWL(TEWL荒れ肌)を測定した。さらに、同部位に、精製水又は本発明のセロオリゴ糖水溶液を塗布し、塗布の2時間後に、同部位を上述の方法でTEWL(TEWL2)を測定した。荒れ肌を100としたTEWL相対値を、以下の式(1)で求めた。また、上記のTEWL相対値に基づき、経皮水分蒸散量の回復率を以下の式(2)により求めた。得られた結果は表8に示す。
セロオリゴ糖水溶液の代わりに、糖を添加しない精製水を使用し、実施例19〜23と同様に評価した。結果を表8に示す。
セロオリゴ糖水溶液の代わりに、ラフィノース(旭化成ケミカルズ製 オリゴGGF)を用い、結晶水を省いた糖質が固形分5%となるよう水溶液を使用し、実施例19〜23と同様に評価した。結果を表1に示す。
表8の結果より、本発明のセロオリゴ糖を用いることで、TEWLの相対値が低減し、経皮水分蒸散量の回復促進率が高くなり、皮膚のバリヤ機能が改善していることが分かる。
また、ラフィノースは、精製水に対しTEWL相対値が悪く、回復率はマイナスを示した。
実施例24〜26、比較例10、11は、セロオリゴ糖及びグルコースを表9に示す処方で水溶液(全糖濃度5質量%)とし、「べたつき」、「滑り(なめらかさ)」、及び褐変性を評価した。比較例12は、5質量%のワセリン水溶液を作成し、比較例13は、5質量%のラフィノース水溶液を作成し、上述と同様に評価した。(尚、比較例12について、実施例19〜23と同様に測定したTEWL相対値は、26.4%であった。比較例13のTEWL相対値は、42.1%であった。)
<評価方法>
実施例及び比較例で得たサンプルについて、1)べたつき、2)滑り及び3)褐変性についての評価を行った。なお、1)べたつき及び2)滑りについては、年齢24〜55歳の健常者(男6名、女6名)に、実施例24〜26、比較例10〜13の水溶液及び水を内腕部に塗布し、以下の評価基準でアンケートをとった。
1)「べたつき」の評価方法
(べたつき)
1点:べたつく
2点:ややべたつく
3点:どちらともいえない
4点:ややべたつかない
5点:べたつかない
※判断基準は全て水に対してのものである。
2)滑り(なめらかさ)の評価方法
1点:悪い
2点:やや悪い
3点:どちらともいえない
4点:やや良い
5点:良い
・ 判断基準は全て水に対してのものである。
3)褐変性の評価方法
表3の実施例24〜26、比較例12、13の糖組成で全糖濃度が10質量%であり、さらにグリシンを0.5質量%含み、pHが7になるようMclvine水溶液を作成した。作成した各水溶液を100℃で1時間加熱し、20℃に冷却後、λ=480nmの吸光度を測定した。
表9より、実施例24〜26を比較すると、セロオリゴ糖中のセロビオース含量が高いほど「滑り(なめらかさ)」が良くなった。また、実施例と比較例11を比較するとセロオリゴ糖中のセロトリオース〜セロヘキサオースの高分子量成分が増加すると、「滑り(なめらかさ)」が悪化した。褐変性については、実施例と比較例10を比較すると、評価サンプルの吸光度が顕著に増加し、溶液の変色は増した。尚、今回の評価系では、グルコース量に関わらず、「べたつき」に変化はなかった。
実施例と比較例を比較すると、ワセリンは、TEWL相対値がセロオリゴ糖並であるが、「べたつき」、「なめらかさ」等の感触が悪く、比較例13では、ラフィノースは単独では、TEWL相対値、感触がいずれも、セロオリゴ糖に至らない結果を示した。
ボディフレッシュローションの処方例を以下の表13に記す。
なお、上述の処方例1〜4のセロオリゴ糖は、上述の処方を作成するときに同時に添加してもよく、セロオリゴ糖以外の成分を混和後、セロオリゴ糖を添加してもよく。セロオリゴ糖分散体に、その他成分を添加してもよい。また、感触改善、保湿性改善等の目的で、必要に応じ上述の少糖類を添加してもよい。
1)表皮ブドウ球菌、黄色ブドウ球菌についての試験
(菌数変化の測定方法)
表皮ブドウ球菌(Staphylococcus epidermidis:スタフィロコッカス・エピデミデス菌)、黄色ブドウ球菌(Staphylococcus aureus:スタフィロコッカス・アウレウス菌)及び緑膿菌(Pseudomonas aeruginosa;シュードモナス・アエルギノーザ菌)は、下記の方法で、その数を測定した。
まず、表皮ブドウ球菌(Staphylococcus epidermidis:スタフィロコッカス・エピデミデス菌)や黄色ブドウ球菌(Staphylococcus aureus:スタフィロコッカス・アウレウス菌)及び緑膿菌(Pseudomonas aeruginosa;シュードモナス・アエルギノーザ菌)をそれぞれ、普通ブイヨン培地で35℃24時間培養し、滅菌蒸留水で107/mL程度になるように希釈し、添加用菌液とする。糖類等の供試物質を、一定濃度(例えば1.0%、0.3%、0.1%)になるように滅菌蒸留水で希釈して、それぞれの希釈液9mLに、添加用菌液1mLを加えて攪拌する。この検液を卵黄加マンニット食塩寒天培地に滴下し、35℃で48時間培養後、菌数を測定する(初期値)。
また、検液を35℃に保持し、作成から1日後及び2日後に同様の操作を行って、菌数測定に供した。
ブランクとして、滅菌蒸留水を用いて上記と同じ操作を行う。
ブランクとしての菌数測定値と、糖類等の供試物質を含有した検液の菌数測定値を比較して、糖類の表皮ブドウ球菌(Staphylococcus epidermidis:スタフィロコッカス・エピデミデス菌)や黄色ブドウ球菌(Staphylococcus aureus:スタフィロコッカス・アウレウス菌)及び緑膿菌(Pseudomonas aeruginosa;シュードモナス・アエルギノーザ菌)に静菌効果や菌増殖効果と比較評価した。
実施例として供試したサンプルの糖類組成、糖濃度を表14に示す。
これらのサンプルを用いて表皮ブドウ球菌及び黄色ブドウ球菌について試験した結果を表15に示す。
実施例27〜32と同様の試験方法で、化粧品原料として使用されるマルチトール(和光純薬(株)製試薬特級)の糖濃度を、0.1%、0.3%、1.0%として供試したサンプルを、順に比較例14、15、16とした。これらのサンプルを用いて同様に試験した結果を表15に示す。
実施例27〜32と同様の試験方法で、化粧品原料として使用されるラフィノース(和光純薬(株)製試薬特級)の糖濃度を、0.1%、0.3%、1.0%として供試したサンプルを、順に比較例17,18,19とした。これらのサンプルを用いて同様に試験した結果を表15に示す。
実施例27〜32と同様の試験方法で、イソマルトオリゴ糖(和光純薬(株)製試薬特級)の糖濃度を、0.1%、0.3%、1.0%として供試したサンプルを、順に比較例20,21,22とした。これらのサンプルを用いて同様に試験した結果を表15に示す。
実施例27〜32と同様の試験方法で、グルコース(和光純薬(株)製試薬特級)の糖濃度を、0.1%、0.3%、1.0%として供試したサンプルを、順に比較例23,24,25とした。これらのサンプルを用いて同様に試験した結果を表15に示す。
実施例27〜32と同様の試験方法で、マルトース(和光純薬(株)製試薬特級)の糖濃度を、0.1%、0.3%、1.0%として供試したサンプルを、順に比較例26,27,28とした。これらのサンプルを用いて同様に試験した結果を表15に示す。
実施例27〜32の結果より、複数のグルコースがβ1−4グルコシド結合した水溶性糖類を含有する濃度が高いほど、有害菌である黄色ブドウ球菌(Staphylococcus aureus:スタフィロコッカス・アウレウス菌)に対しては静菌作用又は増殖抑制作用を示すことがわかる。また、皮膚有益菌である表皮ブドウ球菌(Staphylococcus epidermidis:スタフィロコッカス・エピデミデス菌)に対しては、静菌作用を示さないで、菌数を維持していることがわかる。
比較例14〜20及び23〜28では、皮膚有益菌である表皮ブドウ球菌(Staphylococcus epidermidis:スタフィロコッカス・エピデミデス菌)に対しても、有害菌である黄色ブドウ球菌(Staphylococcus aureus:スタフィロコッカス・アウレウス菌)に対しても静菌作用を示さない。
比較例21〜22では、皮膚有益菌である表皮ブドウ球菌(Staphylococcus epidermidis:スタフィロコッカス・エピデミデス菌)に対しても、有害菌である黄色ブドウ球菌(Staphylococcus aureus:スタフィロコッカス・アウレウス菌)に対しても、静菌作用又は増殖抑制作用を示している。
次に、実施例28,29,31,32と比較例15,16で用いたサンプルについて緑膿菌に対する効果を試験した。表16に、その試験結果を示す。実施例28,29,31,32より、複数のグルコースがβ1−4グルコシド結合した水溶性糖類を含有する濃度が高いほど、有害菌である緑膿菌(Pseudomonas aeruginosa;シュードモナス・アエルギノーザ菌)に対しては、静菌作用又は増殖抑制作用を示す。
比較例15,16では、有害菌である緑膿菌(Pseudomonas aeruginosa;シュードモナス・アエルギノーザ菌)に対しては、静菌作用又は増殖抑制作用を示さない。
次に、本発明の改善剤を髪の毛につけて乾かした後の感触(さっぱり感及び滑り感)を評価するために、上記実施例28、31及び比較例15、18、24のサンプルについて試験を行った。試験方法は次の通りである。
また、評価結果を表17に示す。
年齢28〜50歳の健常者(男4名、女3名)で、上記サンプルの水溶液3mLと蒸留水3mLを髪の毛にまんべんなくつけて、乾かした後の感触を評価した。サンプルと蒸留水は、ハーフヘッド法で評価し、試験者には前もって、試験液の内容を明らかにしなかった。また、以下の評価基準でアンケートをとった。
(さっぱり感)
1点:さっぱり感がない
2点:ややさっぱり感がない
3点:どちらともいえない
4点:ややさっぱり感がある
5点:さっぱり感がある
※判断基準は全て蒸留水に対してのものである。
(滑り感)
1点:悪い
2点:やや悪い
3点:どちらともいえない
4点:やや良い
5点:良い
※判断基準は全て蒸留水に対してのものである。
表17より、複数のグルコースがβ1−4結合した水溶性糖類を含有する試験液が、乾いた時の髪感触としてさっぱり感や滑り感を付与することができることが判った。また、実施例28と31を比較すると、セロオリゴ糖中のセロビオース含量が高いほど、さっぱり感が良くなることが判った。
<一般食品>
セロオリゴ糖としてCE−1Cを使用し、以下の処方Aにより酸性スポーツ飲料を作製した。作製方法は、処方Aの原料を予め、混合し、水に溶解させ、オートクレーブで121℃、20分加熱殺菌し、試作した(pHは3.2)。殺菌前後で、セロオリゴ濃度を測定したところ、セロオリゴ糖の残存率は99%であった。
<処方A:酸性スポーツ飲料>
1)ショ糖 4.0質量%
2)クエン酸(水和物) 0.1質量%
3)アスコルビン酸 0.1質量%
4)グレープフルーツストレート果汁 1.0質量%
5)セロオリゴ糖CE−1 10.0質量%
6)水 83.8質量%
セロオリゴ糖としてCE−1を使用し、以下の処方Bによりオレンジジュースを作製した。作製方法は、処方Bの原料を予め混合し、水に溶解させ、オートクレーブで121℃、20分加熱殺菌し、試作した(pHは3.2)。殺菌前後で、セロオリゴ濃度を測定したところ、セロオリゴ糖の残存率は99%であった。
<処方B:オレンジジュース>
1)ショ糖 7.5質量%
2)クエン酸(水和物) 0.1質量%
4)オレンジ4倍濃縮果汁 5.0質量%
5)セロオリゴ糖CE−1 10.0質量%
6)水 76.9質量%
実施例34で得たオレンジジュース98部に、市販のゼラチン2.0部を加え、90℃で攪拌しながら溶解した。溶解後、100mLのプラスチック容器に封入し、5℃で18時間保存し、セロオリゴ糖配合ゼリーを作製した。セロオリゴ糖は均一に分散され、この操作後も99%以上残存していた。
実施例35の方法において、ゼラチンを、市販の寒天に代えて、セロオリゴ糖配合寒天を作製した。セロオリゴ糖は均一に分散され、この操作後も99%以上残存していた。
セロオリゴ糖としてCE−1Cを使用し、以下の処方Cで、焼き菓子を試作した。
<処方C:焼き菓子>
1)小麦粉 50.8質量部
2)炭酸水素ナトリウム 0.93質量部
3)マーガリン 23.1質量部
4)砂糖 10.4質量部
5)食塩 0.46質量部
6)全卵 4.63質量部
7)セロオリゴ糖 5.0質量部
8)水 4.63質量部
試作方法は、マーガリン、全卵、水を除く、粉末成分をポリ袋中に秤量し、3分間混合した。混合粉末に、マーガリン、全卵、水を加え、プラネタリーミキサーに導入した。プラネタリーミキサーで、フック翼を使用し、126RPMで、2分間、混練した。
混連で得られたドウを、100mLのポリ容器に入れ、5℃で2日間保存した。2日後に、ドウを観察したところ、常温にて、油分の染みだしがなかった。また、レオメータ(フドー製)で測定したドウの押し込み荷重は、1.2kg/cm2であり、引っ張り荷重は、0.31kg/cm2(いずれもn数=10の平均値)であった。
上記のドウを、3cm×1.5cm×1.5cm(底面積=4.5cm2)の直方体状に成型し、オーブン中160℃で、20分間加熱した。加熱後もセロオリゴ糖は、60%以上残存していた。また、加熱後の、底面積膨張率は50%未満であり、変形は小さかった(いずれもn数=10の平均値)。
実施例37の処方Cのセロオリゴ糖をショ糖に代えて、実施例37と同様に焼き菓子を作製した。実施例37と同様にドウを観察した結果、表面に油分の染みだしが見られた。また、ドウの押し込み荷重は、0.8kg/cm2であり、引っ張り荷重は、0.24kg/cm2であった。この無添加系は、油分の染みだしが抑制されず、ドウの押し込み、引っ張り荷重も小さかった。
さらに、実施例37と同様に成型した後、オーブンで加熱した。加熱後の焼き菓子の底面積膨張率は、50%以上であり、セロオリゴ糖添加系に対し、加熱による変形は大きかった。
本発明のセロオリゴ糖組成物は、食品、医薬品分野の内用剤においては、糖組成を制御することで、血中アディポネクチン濃度の低下が抑制され、経口摂取により、肝臓内の中性脂肪、総コレステロール濃度を低下させるため、生活習慣病の予防又は改善剤として利用できる。
本発明のセロオリゴ糖組成物は、腸内の有害細菌に資化されず、選択的に有用細菌を賦活するため、腸内細菌賦活剤として利用できる。
本発明のピロリ菌の増殖を抑制又は静菌するため、ピロリ菌の増殖抑制剤又は静菌剤として利用できる。
特に、化粧品、医薬品、医薬部外品分野においては、本発明のセロオリゴ糖組成物は、保湿効果が優れ、荒れ肌、敏感肌、乾燥肌等のダメージ肌を改善する外用剤において、経皮水分蒸散量の回復を促し、かつ使用感が良好で、取り扱い性が優れる皮膚バリヤ機能改善剤、又は、表皮の有害細菌に資化されず、選択的に有用細菌を賦活する皮膚常在菌叢改善剤として利用できる。
Claims (8)
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translated from
- セロビオース含量が95質量%以上、セロトリオース、セロテトラオース、セロペンタオース、及びセロヘキサオースからなる群から選ばれる1種以上が0.1〜5質量%、グルコース含量が3.5質量%以下であるセロオリゴ糖を主成分とし、平均L/Dが1.7〜3.0、嵩密度が0.43〜0.80g/mL、安息角が43〜60°の粉末であるセロオリゴ糖組成物。
- 平均L/Dが1.7〜2.5、嵩密度が0.43〜0.55g/mLである、請求項1に記載のセロオリゴ糖組成物。
- 安息角が43〜45°である、請求項1又は2に記載のセロオリゴ糖組成物。
- 油分保持率が0.9g/g以上である、請求項1〜3のいずれか一項に記載のセロオリゴ糖組成物。
- 相対湿度75%、40℃の環境下で、18時間放置された際の、吸湿度が1質量%以下である、請求項1〜4のいずれか一項に記載のセロオリゴ糖組成物。
- 200mgを、φ8.0mmの円形平面臼杵により、10kNで圧縮した成型体硬度が、60N以上である、請求項1〜5のいずれか一項に記載のセロオリゴ糖組成物。
- 100℃以上、pH7以下、10分以上加熱処理された後、セロオリゴ糖残存率が90%以上である、請求項1〜6のいずれか一項に記載のセロオリゴ糖組成物。
- グルコースが2質量%以下である、請求項1に記載のセロオリゴ糖組成物。