JP2008012776A - ポリイミドフィルムの製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】連続的に得られるポリイミドフィルムの、特に幅方向の端部での斜め方向へ強い配向異方性の低減せしめるポリイミドフィルムの製造方法を提供する。
【解決手段】MD方向へのフィルム歪みおよび応力の伝播に着目し、ゲルフィルム、テンター加熱第一炉および第二炉でのそれぞれの引張り弾性率の関係を求め、ゲルフィルムへの張力、最高温度、およびゲルフィルムの残溶媒率から選ばれる条件をコントロールすることにより異方性低減を図る。
【選択図】なし

Description

本発明は、ポリイミドフィルムの製造方法に関するものである。特に、ポリイミド前駆体であるポリアミド酸の有機溶媒溶液を流延塗布して部分的に乾燥および/または硬化された自己支持性を有するフィルム(以下ゲルフィルムという)を経由し、テンター加熱炉にて幅方向両端を把持しつつ加熱、焼成を行うポリイミドフィルムの製造方法において、幅方向の両端部で特に起こりやすい斜め方向の強い配向異方性を制御する方法に関するものである。
ポリイミドフィルムは、耐熱性、絶縁性、耐溶剤性および耐低温性等を備えており、コンピュータ並びにIC制御の電気・電子機器部品材料の支持体として広範に用いられている。
近年、コンピュータ並びにIC制御の電気・電子機器の小型化・軽量化が進み、配線基板やICパッケージ材料も小型化・軽量化が求められるようになっている。これらに施される配線パターンも細密になり、フレキシブルプリント配線板やTAB用キャリアテープ等に用いられるポリイミドフィルムについてもより高い寸法安定性が求められるようになってきてきた。
ポリイミドフィルムを連続的に製造する方法は、前駆体であるポリアミド酸の有機溶媒溶液を、金属ドラムなどの回転する支持体上に流延塗布し、自己支持性を有するまで乾燥および硬化させ引き剥し、その両端を把持してゲルフィルムの幅を保持または広げつつ加熱炉へ搬送して加熱してさらなる乾燥・硬化を進めるという手法が用いられる。
上述のようなテンター方式は、加熱炉での乾燥および硬化工程においてゲルフィルムの硬化収縮に抗いながら幅を保持または延伸するために好適な公知の技術ではあるが、把持される端部と拘束されない中央部との収縮度合いに差が生じやすい。そのため特に端部においてポリイミド分子鎖が斜め方向におよそ45°に強く配向する現象が長年問題とされてきた。この分子配向は、寸法安定性に関わる特性に密接に関連するため、方向による特性差、すなわち異方性の原因となり、益々高精密化するフレキシブルプリント配線板等の材料としての要求に応え得ることはできない。
そこで、幅方向のいかなる位置においても等方的なフィルムを得るための手段として特許文献1、特許文献2および特許文献3ような方法が既に開示されている。
しかしながら、特許文献1記載の方法では、フィルムの走行方向(MD)と幅方向(TD)の物性差を制御することは可能である。しかし端部において斜めおよそ45°方向に配向された場合の、配向主軸方向とそれに垂直な方向の物性差を解決する方法は示されていない。また、特許文献2に記載の方法では、製造工程に煩雑な延伸装置を導入する必要があり、またポリイミドの種類によっては延伸処理の途中でフィルムが破断しやすいという問題があった。また、特許文献3に記載の方法では、ゲルフィルムがテンターで把持された後の加熱開始温度に着目されているが、フィルム幅1000mm程度またはそれ以下の幅で生産されるフィルムにおいては有用であるが、フィルム幅の大きいものを生産すると、すなわち、キャストし、加熱炉を通過する際のフィルム幅が大きくなるほど、中央部は固定端からの距離が大きくなるため、中央部と端部での配向度合いの差がより大きくなる傾向にあり、特に端部における配向が少ないフィルムを得るには十分ではなかった。
特開昭60‐190314号公報 特開平5−237928号公報 特開平8−81571号公報
本発明は、上記の問題点に鑑みてなされたものであり、その目的は、ポリイミドフィルムの特に幅方向両端部でみられる斜め方向の強い配向異方性をコントロールし、幅方向の如何なる位置でも均質なポリイミドフィルムの製造方法を提供することにある。
上記課題に対し本発明者らは鋭意検討を重ねた結果見出したものである。すなわちポリイミドフィルムの製造過程にて、特にそのテンター加熱炉の第一ゾーンでの溶媒の揮発に伴う収縮応力に着目した。さらにゲルフィルムからポリイミドフィルムへの化学反応およびテンター加熱炉各ゾーンにおける温度差に伴って生じる、フィルム機械方向(MD方向)のフィルム剛性差にも着目した。さらに、テンター加熱炉間の緩和時間に着目し、これらをコントロールすることに着目し、以下1)〜5)を要旨とするところの発明に到達した。すなわち、
1)ポリイミド前駆体であるポリアミド酸の有機溶媒溶液を支持体上に流延塗布して部分的に乾燥および/または硬化させた自己支持性を有するフィルム(以下ゲルフィルムという)を経由し、複数の加熱炉を備えたテンター加熱炉を通過させることにより該ゲルフィルムの幅方向両端を把持しつつ加熱、焼成を行うポリイミドフィルムの製造方法であって、少なくとも
(1)加熱炉に挿入される前の上記ゲルフィルムの引張り弾性率E0
(2)テンター加熱炉の第一ゾーンにおける引張り弾性率E1
(3)テンター加熱炉の第二ゾーンにおける引張り弾性率E2
を各々測定し、E0、E1およびE2の関係によりゲルフィルムに与える張力を決定し、ポリイミドフィルムの面内配向異方性を制御することを特徴とするポリイミドフィルムの製造方法。
2)ポリイミド前駆体であるポリアミド酸の有機溶媒溶液を支持体上に流延塗布して部分的に乾燥および/または硬化させた自己支持性を有するフィルム(以下ゲルフィルムという)を経由し、複数の加熱炉を備えたテンター加熱炉を通過させることにより該ゲルフィルムの幅方向両端を把持しつつ加熱、焼成を行うポリイミドフィルムの製造方法であって、少なくとも
(1)加熱炉に挿入される前の上記ゲルフィルムの引張り弾性率E0
(2)テンター加熱炉の第一ゾーンにおける引張り弾性率E1
(3)テンター加熱炉の第二ゾーンにおける引張り弾性率E2
を各々測定し、E0、E1およびE2の関係によりテンター加熱炉の最高温度を決定し、ポリイミドフィルムの面内配向異方性を制御することを特徴とするポリイミドフィルムの製造方法。
3)ポリイミド前駆体であるポリアミド酸の有機溶媒溶液を支持体上に流延塗布して部分的に乾燥および/または硬化させた自己支持性を有するフィルム(以下ゲルフィルムという)を経由し、複数の加熱炉を備えたテンター加熱炉を通過させることにより該ゲルフィルムの幅方向両端を把持しつつ加熱、焼成を行うポリイミドフィルムの製造方法であって、少なくとも
(1)加熱炉に挿入される前の上記ゲルフィルムの引張り弾性率E0
(2)テンター加熱炉の第一ゾーンにおける引張り弾性率E1
(3)テンター加熱炉の第二ゾーンにおける引張り弾性率E2
を各々測定し、E0、E1およびE2の関係により、加熱炉に挿入される前の上記ゲルフィルムの残溶媒率Rを決定し、ポリイミドフィルムの面内配向異方性を制御することを特徴とするポリイミドフィルムの製造方法。
4)請求項1乃至3において、ポリイミドフィルムが芳香族ポリイミドフィルムであることを特徴とする、ポリイミドフィルムの製造方法。
5)請求項1乃至3において、最終的に得られるポリイミドフィルム厚みが7〜300ミクロンである、ポリイミドフィルムの製造方法。
本発明によれば、幅方向の如何なる位置においても均質かつ等方的なポリイミドフィルムを得ることができる。
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明では、ポリイミド前駆体であるポリアミド酸の有機溶媒溶液流延塗布して部分的に乾燥および/または硬化された自己支持性を有するゲルフィルムを経由し、続くテンター加熱工程にて加熱・焼成を行うが、まずポリアミド酸原料について説明する。
本発明で用いることのできるポリアミド酸原料は、酸二無水物およびその誘導体とジアミン類を実質的等モル量、有機溶媒中で制御された温度下で縮合重合せしめて得られる。
酸二無水物としては特に限定されないが、無水ピロメリット酸(PMDA)に代表される芳香族酸二無水物を用いる場合本発明の効果を発揮しやすい。また、ジアミン類としてはジアミノジフェニルエーテル(DADPE)に代表される芳香族ジアミン類が好適に用いられる。最終的に得られるフィルムの所望の剛性、柔軟性、機械強度、寸法安定性等により酸二無水物類として、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物(BPDA)、3,3’,4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物(BTDA)およびp−フェニレンビス(トリメリット酸モノエステル酸無水物)を適宜用いることができる。
またジアミン類としても、上記ジアミノジフェニルエーテルのほかに、p−フェニレンジアミン(PDA)を用いてフィルムに剛性を与えることもできる。
上記ポリアミック酸を合成する溶媒として用い得る適当な溶媒は、アミド系溶媒すなわちN,N−ジメチルホルムアミド(DMF)、N,N−ジメチルアセトアミド(DMAc)、N−メチル−2−ピロリドン(NMP)などが好ましく、溶解性を低下させない量であれば他の溶媒を混合して用いることもできる。
上記方法で前駆体となるポリアミック酸有機溶媒溶液を支持体に流延塗布し、樹脂膜とする。この樹脂膜を支持体上で加熱および乾燥させることにより、自己支持性を有するまで部分的に硬化及び/または乾燥されたフィルム、いわゆるゲルフィルムを得る。
ここで硬化を促進し、生産性およびフィルム強度を保つために、上記流延塗布工程に先立ち無水酢酸等の酸無水物に代表される化学的転化剤と、イソキノリン、β−ピコリン、ピリジン等の第三級アミン類等に代表される触媒とを混合し作用させる方法、つまり化学的イミド化法を適用することが好ましい。
このようにして得たゲルフィルムは部分的に乾燥されたものであり、溶媒を含むものであるが、その残溶媒率は、
(A−B)×100/B (%)
(式中A, Bは以下のものを表す。)
A:ゲルフィルムの重量
B:ゲルフィルムを450℃で20分間加熱した後の重量
から算出され、フィルム厚みにもよるが、この値が20〜200%の範囲にあることが好ましい。特に最終的に得られるフィルムが100ミクロン以下である場合、25〜100%、最も好ましく30〜70%の範囲にある。この範囲のフィルムを用いることが好適であり、これより高い残揮発成分率であると、自己支持性に乏しく、ゲルフィルムをテンター加熱炉へ搬送するやいなや伸びる、破断する等、安定的に生産することができない場合がある。また、これより低い残溶媒率のゲルフィルムを用いることも可能ではあるが、この場合自己ゲルフィルムが支持体より自発的に剥離し、急激な収縮が起こる傾向に有るので好ましくない。
ここで得られたゲルフィルムをサンプリングし、JIS C−2318に基づき引張り試験を行い、引張り弾性率E0を算出しておくことが肝要である。このE0は残溶媒率と相関がある。すなわち、残溶媒率が大きいほどE0は小さく、残溶媒率が小さいとその逆の傾向にある。従ってE0はゲルフィルム形成過程の加熱条件をコントロールすることにより、上記好適な範囲内で変化させることができる。ここでいう加熱とは、熱風によるもの、遠赤外線による輻射熱を利用するもの及びこれらの組み合わせの方法を用いることができる。
続くテンター加熱工程では、ゲルフィルムの残溶媒の揮発およびイミド化反応を完結させるため、複数のゾーンにて段階的に加熱するべく温度設定されたテンター加熱炉へ搬送される。
ここで、ゲルフィルムを駆動ニップロール、駆動Sロールまたはダンサーロール等を用いて、フィルムに適度な張力を与えつつ、テンターレールに敷設したピンまたはクリップでその両端を把持し、テンター加熱工程へ搬送されるわけである。
テンター加熱工程では、その第一加熱ゾーンにて残溶媒の揮発およびイミド化の進行によってフィルム剛性が増加するであろう。一方、高温にさらされることにより、剛性が低下することも考えられる。これらが協奏的に作用し、テンター第一加熱ゾーンでの引張り弾性率E1は滞留時間のなか刻々と変化する。本発明においてはE1が重要な要素となるが、第一加熱ゾーン入り口および出口における弾性率の平均値をE1とすればよい。
続く第二加熱ゾーンにおいても同様に引張り弾性率を求めE2とする。E1およびE2は加熱オーブンを敷設した引張り試験機を用いて、それぞれの温度条件化での引張り試験により求めればよい。また、サンプリングが困難な場合は、実生産条件を模した条件で実験的にフィルムを作成して測定を行えばよい。
このように段階的に加熱を受け、最終的にテンター最高温度ゾーンにおいて400〜600℃で加熱を行った後、徐冷ゾーンを経てテンター加熱工程は完了し、最終的にポリイミドフィルムの製品原反を得る。
この最高温度ゾーンではほぼポリイミドへの転化は完了しているが、高温のためゾーン内のフィルムはもはや弾性ではなく粘弾性挙動をとるものと考えられる。これは、得られたフィルムの動的粘弾性測定において、貯蔵弾性率が軒並み一桁以上低下していることからも明らかである。つまり、テンター最高温度ゾーンのフィルムは緩和時間が非常に大きいことが予想される。
このようにポリイミドフィルムの製造過程において、様々な熱履歴を受け、ゾーン毎の引張り弾性率は刻々と変化するものである。
本発明では、E0、E1、E2の関係が肝要であり、これらにより端部に生じる強い配向異方性を制御するに際して有利な効果を得た理由については、テンター加熱炉内で刻々と変化するフィルム剛性および特に第一ゾーンで発生する収縮力から、ポリイミド製膜工程に適用しうる数式モデルを設定し、有限要素法を用いた数値解析によって、フィルムに生じる応力の大きさ、向きおよび歪みを推定ならしめたことによる。
E0、E1、E2の関係につき図1を用いて概説する。
図1は、把持開始端1にてテンター把持手段2に両端を把持されてテンターレール5によりテンター第一ゾーン3、およびテンター第2ゾーン4以降へ搬送され、焼成される様子を示すものであるが、ここでE2<E1<E0、つまり加熱前のゲルフィルムが最も剛性が高く、第2ゾーンでの剛性が最も小さい場合を示している。このとき、第1ゾーンで残溶媒の揮発およびイミド化反応により収縮応力が生じるが、幅方向の両端は固定されているため収縮応力はMD方向(フィルム進行方向)へ伝播する。このときより剛性の低い第2ゾーン側のフィルムを多く引き込む形となる。ゲルフィルムの第1ゾーン側へのフィルムの歪み(変位)をΔx、第2ゾーンのフィルムの第1ゾーン側へのフィルム歪みをΔxとすると、Δx<Δxとなり、下流側のフィルム中央部が遅れるような歪みを生ずる。かかる歪みをキャンセルするためには、ゲルフィルムの搬送張力を下げることが有効である。ここで搬送張力を調整する手段としては、5に例示する駆動ニップロールや、駆動ニップロールの代わりに駆動S字ロール、ダンサーロールを用いても良い。
あるいは、Δxの歪みが下流側へ伝播することを防ぐために、続く最高温度ゾーンの温度Tmaxを下げることにより、緩和速度を大きくすることが重要であることがわかる。この一方、Tmaxは最終的に得られるポリイミドフィルムの物性(機械的強度、耐熱性、接着特性)を大きく左右する重要な操作因子であるため、物性により、ゲルフィルム張力を変化させるか最高温度を下げるか適宜選択すればよい。
このようにテンター加熱炉の第一ゾーン、第2ゾーンおよびゲルフィルムの弾性率から、各ゾーンのMD方向へフィルムの歪みを予測し、それらを減少し得る、又は緩和しうる張力や、最高温度を決定することにより、特に端部で問題とされる配向異方性を制御することができる。また生産性に支障がない限り、ゲルフィルムの残溶媒率Rを調整することも有効である。これはゲルフィルムの引張り弾性率E0を調整することに相当し、ゲルフィルムの第一ゾーンへの引き込みを制御することになる。
本発明は上述した実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能である。すなわち、請求項に示した範囲で適宜変更した技術的手段を組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。
以下に実施例に基づいて本発明の内容を具体的に説明するが、本発明はこれによって限定されるものではない。
(比較例1)
酸二無水物成分としてPMDA、ジアミン成分としてのDADPEおよびp−PDAを、仕込み組成比50/35/15(モル)を縮合重合せしめて得たポリアミド酸のDMAc溶液(固形分濃度15重量%)と無水酢酸およびイソキノリンからなるポリアミド酸混合物を、T型ダイよりエンドレスベルトへ流延塗布し、塗布された樹脂膜を140℃の熱風にて加熱・乾燥せしめ、厚み38ミクロン、幅1700mm、残溶媒率50%のゲルフィルムを得た。このゲルフィルムの室温における弾性率はE0=1.5GPaであった。ゲルフィルムに7.5kg/mの張力を与えながら、その幅方向両端をテンターへ固定し200℃、350℃、400℃、550℃の加熱炉へ搬送、加熱した。徐冷ゾーンおよび端部スリット工程を経て、幅1650mm、厚み25ミクロンのポリイミドフィルムを得た。なお、把持開始端から把持解除までのテンター加熱工程中、テンターレール幅は一定とした。
また、E1を求めるにあたり、予めゲルフィルムをくり貫いてサンプリングし、200℃での引張り弾性率を測定し、1.0GPaの値を得た。さらに300℃での引張り弾性率E2を測定したところ、0.6GPaであった。
得られたゲルフィルムを幅方向へ7等分する位置で40mm×40mmの試験片を切り出し、分子配向状態を評価した。該測定装置として、王子計測器(株)製のマイクロ波分子配向計MOA−6015Aを用いてMOR−cを求めた。ここでMOR−cは、得られる分子配向度MORを75ミクロン厚みに換算した値である。得られた結果を表1に示す。
(実施例1)
ゲルフィルムに与える張力を6.0kg/mとする以外は、比較例1と同一の方法にてポリイミドフィルムを得た。幅方向のMOR−cを表1に示す。
(実施例2)
テンター加熱炉を、200℃、350℃、400℃、520℃に設定した以外は比較例1と同一の方法にてポリイミドフィルムを得た。幅方向のMOR−cを表1に示す。
(比較例2)
比較例1と同一のポリアミド酸混合物をT型ダイよりエンドレスベルトへ流延塗布し、塗布された樹脂膜を110℃の熱風にて加熱・乾燥せしめ、厚み50ミクロン、幅1700mm、残溶媒率120%のゲルフィルムを得た。このゲルフィルムの室温における弾性率はE0=0.8GPaであった。その後は比較例1と同一の方法で幅1650mm、厚み25ミクロンのポリイミドフィルムを得た。このときのE1は0.9GPa、E2は0.6GPaであった。幅方向のMOR−c分布を表1に示す。
(実施例3)
ゲルフィルムに与える張力を9.0kg/mとする以外は、比較例2と同一の方法にてポリイミドフィルムを得た。幅方向のMOR−cを表1に示す。
Figure 2008012776
第1図は、ゲルフィルム、第一ゾーンおよび第二ゾーンでの引張り弾性率およびゲルフィルムの第一ゾーンへのフィルム歪みを例示したものである。
符号の説明
1 把持開始端
2 把持手段(クリップまたはピン)
3 テンター加熱炉第一ゾーン
4 テンター加熱炉第二ゾーン
5 テンターレール
6 ニップロール

Claims (5)

  1. ポリイミド前駆体であるポリアミド酸の有機溶媒溶液を支持体上に流延塗布して部分的に乾燥および/または硬化させた自己支持性を有するフィルム(以下ゲルフィルムという)を経由し、複数の加熱炉を備えたテンター加熱炉を通過させることにより該ゲルフィルムの幅方向両端を把持しつつ加熱、焼成を行うポリイミドフィルムの製造方法であって、少なくとも
    (1)加熱炉に挿入される前の上記ゲルフィルムの引張り弾性率E0
    (2)テンター加熱炉の第一ゾーンにおける引張り弾性率E1
    (3)テンター加熱炉の第二ゾーンにおける引張り弾性率E2
    を各々測定し、E0、E1およびE2の関係によりゲルフィルムに与える張力を決定し、ポリイミドフィルムの面内配向異方性を制御することを特徴とするポリイミドフィルムの製造方法。
  2. ポリイミド前駆体であるポリアミド酸の有機溶媒溶液を支持体上に流延塗布して部分的に乾燥および/または硬化させた自己支持性を有するフィルム(以下ゲルフィルムという)を経由し、複数の加熱炉を備えたテンター加熱炉を通過させることにより該ゲルフィルムの幅方向両端を把持しつつ加熱、焼成を行うポリイミドフィルムの製造方法であって、少なくとも
    (1)加熱炉に挿入される前の上記ゲルフィルムの引張り弾性率E0
    (2)テンター加熱炉の第一ゾーンにおける引張り弾性率E1
    (3)テンター加熱炉の第二ゾーンにおける引張り弾性率E2
    を各々測定し、E0、E1およびE2の関係によりテンター加熱炉の最高温度を決定し、ポリイミドフィルムの面内配向異方性を制御することを特徴とするポリイミドフィルムの製造方法。
  3. ポリイミド前駆体であるポリアミド酸の有機溶媒溶液を支持体上に流延塗布して部分的に乾燥および/または硬化させた自己支持性を有するフィルム(以下ゲルフィルムという)を経由し、複数の加熱炉を備えたテンター加熱炉を通過させることにより該ゲルフィルムの幅方向両端を把持しつつ加熱、焼成を行うポリイミドフィルムの製造方法であって、少なくとも
    (1)加熱炉に挿入される前の上記ゲルフィルムの引張り弾性率E0
    (2)テンター加熱炉の第一ゾーンにおける引張り弾性率E1
    (3)テンター加熱炉の第二ゾーンにおける引張り弾性率E2
    を各々測定し、E0、E1およびE2の関係により、加熱炉に挿入される前の上記ゲルフィルムの残溶媒率Rを決定し、ポリイミドフィルムの面内配向異方性を制御することを特徴とするポリイミドフィルムの製造方法。
  4. 請求項1乃至3のいずれか1項において、ポリイミドフィルムが芳香族ポリイミドフィルムであることを特徴とする、ポリイミドフィルムの製造方法。
  5. 請求項1乃至3のいずれか1項において、最終的に得られるポリイミドフィルム厚みが7〜300ミクロンである、ポリイミドフィルムの製造方法。
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