JP2008011825A - カロテノイド含有粉体およびその製造方法 - Google Patents
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Abstract
海洋細菌アグロバクテリウム属細菌N−81106株(例えば、特許第3570741号公報参照)の変異株であるTSUG1C11(受託番号:FERM P−19416)、(例えば、特開2005−058216号公報参照)、菌株TSN18E7(受託番号:FERM P−19746)、(例えば、特開2005−058216号公報参照)等の培養液より得られる安定性に優れたカロテノイドを含有する粉体およびその製造方法を提供する。
【解決の手段】
カロテノイド生産性海洋細菌の菌体懸濁液に水溶性抗酸化剤を添加し乾燥して得られるカロテノイド含有粉体およびその製造方法を用いる。
【選択図】なし
Description
適量の菌体懸濁液を1.5ml容エッペンドルフチューブを用いて、15,000回転、5分間遠心分離を行ない菌体を得た。この菌体に20μlの純水に懸濁し、次いで240μlのジメチルホルムアミドおよび240μlのアセトンを加え約1時間振とうし、カロテノイドを抽出した。この抽出液を15,000回転、5分間遠心分離により残渣を除去後、TSKgel ODS−80TMカラム(東ソー社製)を用いた高速液体クロマトグラフィー(以下HPLCと略記する)でアスタキサンチンを定量した。なおAxの分離はA液として純水とメチルアルコールの5対95の混合溶媒、B液としてメチルアルコールとテトラヒドロフランの7対3の混合溶媒を用い、1ml/minの流速でA液を5分間カラムに通過させた後、同じ流速A液からB液へ5分間の直線濃度勾配を行ない、さらにB液を5分間通過させることにより行なった。Ax濃度は470nmの吸光度をモニターし、既知濃度のAx試薬(シグマ製)で作成した検量線より濃度を算出した。
表1に示した組成の培地300mlを500ml容のバッフル付き三角フラスコに入れ121℃、20分間で滅菌後、N−81106株の変異株の一つであるTSTT001株を植菌し、25℃で1日間、毎分100回転の振とう速度で前々培養を行なった。
実施例1の菌体懸濁液に1Lあたり8gの、水溶性抗酸化剤であるアスコルビン酸を添加し(対固形分3.0重量%)した。この溶液10mlを密栓した容器中、80℃で加熱し、一日ごとにその0.5mlを回収してカロテノイドの残存量を測定した。加熱によるアスタキサンチン量の推移を図1に、総カロテノイド量(アスタキサンチン、アドニキサンチン、フェニコキサンチン、カンタキサンチン、エキネノン、及びβ−カロテンの総量)を図2に示した。加熱開始時のスラリー1L当りのアスタキサンチンおよび総カロテノイド量を100%とした場合の3日間加熱後のアスタキサンチン残存量は87%、総カロテノイド量は91%だった。
実施例1の菌体懸濁液に1Lあたり26gの、水溶性抗酸化剤であるクエン酸3ナトリウムを添加し(対固形分10重量%)した。この溶液10mlを密栓した容器中、80℃で加熱し、一日ごとにその0.5mlを回収してカロテノイドの残存量を測定した。加熱によるアスタキサンチン量の推移を図1に、総カロテノイド量(アスタキサンチン、アドニキサンチン、フェニコキサンチン、カンタキサンチン、エキネノン、及びβ−カロテンの総量)を図2に示した。加熱開始時のスラリー1L当りのアスタキサンチンおよび総カロテノイド量を100%とした場合の3日間加熱後のアスタキサンチン残存量は86%、総カロテノイド量は89%だった。
実施例1の菌体懸濁液10mlを密栓した容器中、80℃で加熱し、一日ごとにその0.5mlを回収してカロテノイドの残存量を測定した。加熱によるアスタキサンチン量の推移を図1に、総カロテノイド量(アスタキサンチン、アドニキサンチン、フェニコキサンチン、カンタキサンチン、エキネノン、及びβ−カロテンの和)を図2に示した。加熱開始時のスラリー1L当りのアスタキサンチンおよび総カロテノイド量を100%とした場合の3日間加熱後のアスタキサンチン残存量は80%、総カロテノイド量は83%だった。すなわち、抗酸化剤を添加せずに過熱した場合のアスタキサンチン残存量は、アスコルビン酸を添加した実施例1およびクエン酸3ナトリウムを添加した実施例2に比較しそれぞれ7%および6%低く、総カロテノイド残存量はそれぞれ8%及び6%低いものであり、アスコルビン酸やクエン酸3ナトリウムの添加によるカロテノイドの安定化効果が確認された。
実施例1の菌体懸濁液に、脂溶性抗酸化剤であるエトキシキンのエタノール溶液(69g/L)を1Lあたり10ml添加し(対固形分約0.3重量%)した。この溶液10mlを密栓した容器中、80℃で加熱し、一日ごとにその0.5mlを回収してカロテノイドの残存量を測定した。加熱によるアスタキサンチン量の推移を図1に、総カロテノイド量(アスタキサンチン、アドニキサンチン、フェニコキサンチン、カンタキサンチン、エキネノン、及びβ−カロテンの和)を図2に示した。加熱開始時のスラリー1L当りのアスタキサンチンおよび総カロテノイド量を100%とした場合の3日間加熱後のアスタキサンチン残存量は82%、総カロテノイド量は89%だった。総カロテノイドの残存量は実施例1や実施例2と同等だったが、アスタキサンチン残存量ではアスコルビン酸を添加した実施例1およびクエン酸3ナトリウムを添加した実施例2に比較しそれぞれ5%および4%低いものだった。
実施例1の菌体懸濁液に1Lあたり26gの、脂溶性抗酸化剤であるα−トコフェロールを添加し(対固形分10重量%)した。この溶液10mlを密栓した容器中、80℃で加熱し、一日ごとにその0.5mlを回収してカロテノイドの残存量を測定した。加熱によるアスタキサンチン量の推移を図1に、総カロテノイド量(アスタキサンチン、アドニキサンチン、フェニコキサンチン、カンタキサンチン、エキネノン、及びβ−カロテンの和)を図2に示した。加熱開始時のスラリー1L当りのアスタキサンチンおよび総カロテノイド量を100%とした場合の3日間加熱後のアスタキサンチン残存量は76%、総カロテノイド量は84%だった。すなわち、抗酸化剤を添加せずに過熱した場合のアスタキサンチン残存量は、アスコルビン酸を添加した実施例1およびクエン酸3ナトリウムを添加した実施例2に比較しそれぞれ11%および10%低く、総カロテノイド残存量はそれぞれ7%及び5%低いものであり、α−トコフェロールにはこの菌体懸濁液中のカロテノイドに対する安定化効果がないことが確認された。
アスコルビン酸の添加量を固形分に対して0〜3重量%の間で段階的に変えた他、実施例2と同様の実験を行った。その結果を、アスコルビン酸存在下、67時間加熱後のカロテノイド残存量として、表4に示した。アスコルビン酸添加量が0.1重量%ではアスタキサンチン残存量および総カロテノイド残存量ともに無添加の場合と同等だったが、0.3%添加することで無添加に対してアスタキサンチン残存量および総カロテノイド残存量ともに約5%向上した。すなわちアスコルビン酸によるこの菌体懸濁液中のカロテノイドの安定化には固形分当り0.3重量%の添加が必要であることが判明した。
クエン酸3ナトリウムの添加量を固形分に対して0〜10重量%の間で段階的に変えた他、実施例3と同様の実験を行った。その結果を、クエン酸3ナトリウム存在下、67時間加熱後のカロテノイド残存量として、表5に示した。アスコルビン酸添加量が0.1重量%ではアスタキサンチン残存量および総カロテノイド残存量ともに無添加の場合と同等だったが、0.3%添加することで無添加に対して総カロテノイド残存量は約8%向上した。また1%の添加でアスタキサンチン残存量は5%向上した。すなわちクエン酸3ナトリウムによるこの菌体懸濁液中のカロテノイドの安定化には固形分当り0.3〜1重量%の添加が必要であることが判明した。
実施例1の湿菌体1kgに純水1.5kgを加えて菌体スラリーを調製した。この菌体懸濁液の固形分含量は18重量%だった。この懸濁液の1Lにアスコルビン酸10.4gおよびクエン酸3ナトリウム18gを添加してよく撹拌した。
アスコルビン酸とクエン酸3ナトリウムを添加しなかったことをのぞき、実施例6と同様に噴霧乾燥と凍結乾燥を行った。凍結乾燥による粉体の回収量は1Lの懸濁液当り180gであるのに対し、噴霧乾燥による粉体の回収量は160gだった。噴霧乾燥での粉体回収量の低下は実施例6と同様に装置内壁への粉体の吸着によるものだった。回収した粉体中のカロテノイドの組成を、粉体中のカロテノイド含量として、表6に示した。表中の略号は、Axがアスタキサンチンを、Adがアドニキサンチンを、Pxがフェニコキサンチンを、Cxがカンタキサンチンを、Ecがエキネノンを、βがβ−カロテンを、示す。その結果から、凍結乾燥では組成比、カロテノイド含量ともに実施例6と同様の結果だったが、噴霧乾燥ではいずれのカロテノイドとも、凍結乾燥粉末よりも低い含量となっていた。すなわち、アスコルビン酸とクエン酸3ナトリウムを添加しないことで、噴霧乾燥による加熱によりカロテノイドが分解して含量が低下することが確認された。
実施例6で調製した噴霧乾燥粉体を80℃で過熱し、一日おきにその一定量を回収してカロテノイドを抽出し、HPLCでその含有量を測定することにより、加熱による残存カロテノイド量の経時変化を追跡した。加熱開始時のアスタキサンチン含量または総カロテノイド含量を100%としたときの、アスタキサンチン残存量を図3に、総カロテノイド残存量を図4に示した。後述する比較例4で調製した粉体を同様に加熱した場合よりもアスタキサンチン、総カロテノイドともに残存量が高く、アスコルビン酸とクエン酸3ナトリウムを添加することで、粉体中のカロテノイドが加熱分解に対して安定化されることが確認された。
比較例4で調製した噴霧乾燥粉体を実施例7と同様に過熱して、残存カロテノイド量の経時変化を追跡した。アスタキサンチン残存量を図3に、総カロテノイド残存量を図4に示したが、実施例7に比較して残存カロテノイドの減少が早く、カロテノイドが不安定であることが確認された。
Claims (6)
- カロテノイド生産性海洋細菌の菌体懸濁液に水溶性抗酸化剤を添加し乾燥して得られるカロテノイド含有粉体。
- 請求項1に記載の水溶性抗酸化剤がアスコルビン酸、クエン酸又はそれらの塩であるカロテノイド含有粉体。
- アスコルビン酸、クエン酸又はそれらの塩を、粉体重量当り0.1〜10重量%含有する請求項2に記載のカロテノイド含有粉体。
- カロテノイド生産性海洋細菌が、N−81106株(受託番号:FERM P−14023)の変異育種によって得られた菌株又はそれらの遺伝子組換え株である請求項1〜3のいずれかに記載のカロテノイド含有粉体。
- カロテノイド生産性海洋細菌を培養して得られる培養液中の固形分に対し、アスコルビン酸、クエン酸又はそれらの塩を添加した後に乾燥することを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載のカロテノイド含有粉体の製造方法。
- アスコルビン酸、クエン酸又はそれらの塩の添加量がカロテノイド生産性海洋細菌を培養して得られる培養液中の固形分に対し0.1〜10重量%である請求項5に記載のカロテノイド含有粉体の製造方法。
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2006
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