JP2008011824A - 微生物およびこれを用いたカロテノイドの製造方法 - Google Patents

微生物およびこれを用いたカロテノイドの製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】
カロテノイド生産性が従来の菌株より優れた菌株およびこれを用いたカロテノイドの製造方法を提供する。
【解決の手段】
海洋細菌TSN18E7株を変異原物質で処理することにより得られ、アスタキサンチン、リコペン、β−カロテン、β−クリプトキサンチン、3−ヒドロキシエキネノン、シス−アドニキンサンチン、カンタキサンチン、アドニルビン、ゼアキサンチンおよびアドニキサンチンからなる群より選ばれる1種又は複数種のカロテノイドを菌体内に蓄積する微生物であって、培養によりTSN18E7株よりもカロテノイドを高収量生産する微生物およびこれを用いたカロテノイドの製造方法を用いる。
【選択図】なし

Description

本発明は飼料・食品用色素、抗酸化剤として有用なカロテノイド、特にアスタキサンチンの製造に有用となる新規微生物に関し、さらに詳しくは、海洋細菌TSN18E7株の育種により得られたカロテノイド生産性、特にアスタキサンチン生産性が向上した微生物に関する。
β‐カロテン、リコペンなどに代表されるカロテノイドのうちアスタキサンチン(以下「Ax」と略記する。)は、オキアミ、カニ、エビなどの甲殻類やマダイ、サケ、マスなどの魚類、フラミンゴなどの鳥類、藻類や微生物等に広く分布する天然の化合物である。近年はAxがサケやマス、マダイ等の養殖魚の色揚げ剤や鶏卵の色調改善剤として需要が増加している。またAxには抗酸化活性や抗癌活性などの様々な生理的作用が確認され、医薬品や健康補助食品としての利用も注目されている。
Axの製造方法としては、化学合成法、天然物からの抽出法、微生物による発酵生産法などがあるが、現在は主に価格等の要因から化学合成法による製品が広く流通している。しかし、化学合成法では原料に臭素および塩素を含むハロゲン系化合物や重金属類を使用するため安全性に懸念があり(例えば、特許文献1参照)、消費者の自然、天然志向にともない天然物由来のAxへの要求が強くなっている。
天然物からの抽出法としてはオキアミ等からの抽出する方法があるが、これらは含量が低く、採取、抽出、精製などに多大な労力を要し、コスト的に問題があった。
微生物を利用した製法としては、酵母ではファフィア・ロドチーマ(Phaffia rhodozyma)(例えば、非特許文献1参照)、藻類ではヘマトコッカス・プルビアリス(Haematococcus pluvialis)(例えば、非特許文献2参照)の報告がある。しかしながらファフィア酵母は増殖速度が遅いため培養日数が長く、細胞壁が強固なために抽出効率が低く、含量が少ないためコスト高である。またヘマトコッカス藻類は増殖速度が非常に遅いために非常に培養日数が長く、光を必要とするため立地条件や設備などに制約がある他、クロロフィルなどの夾雑物の除去が必要になりコスト高である。
これらの問題を解決する方法として、細菌によるカロテノイド生産法が提案されている。例えば海洋性アグロバクテリウム属細菌N‐81106株(受託番号:FERM P‐12782)の培養により得る方法が開示されている(例えば、特許文献2参照)。藻類や酵母に比べて細菌は一般的に増殖が速く、また細胞壁が脆弱であり、藻類とことなりクロロフィルなどのカロテノイド以外の色素を含まず、酵母のように副生成物の多糖類を生産しないという利点があるためである。当該発明によればAxを含有した菌体が迅速に得られ、さらに菌体を回収した後、アセトンなどの有機溶媒と菌体を混和・攪拌するだけで容易にAxを抽出できるという利点がある。
当初当該微生物はアスタキサンチンの生産菌として特許出願されたが、さらに研究が進められた結果、アスタキサンチンの他にもリコペン、β−カロテン、β−クリプトキサンチン、3−ヒドロキシエキネノン、シス−アドニキンサンチン、カンタキサンチン、アドニルビン、ゼアキサンチン、アドニキサンチン等の多様なカロテノイドを製造することが明らかにされた(例えば、非特許文献3参照)。そのため、アスタキサンチンのみならず、様々なカロテノイドの生産においても有用なものと期待されている。
なお、この微生物は後に16sリボゾーマルRNA遺伝子の配列解析が行われた結果、パラコッカス属細菌と再同定された。海洋バイオテクノロジー研究所においてMBIC01143としても登録され、その諸性質に関する情報の概略は国立遺伝学研究所日本DNAデータバンク(DDBJ)や米国NIHのデーターベース(NCBI)より入手することができる(例えば、非特許文献4〜6参照)。
また該微生物を用いて変異育種を行ない、Axの生産能が向上したTSUG1C11株(受託番号:FERM P−19416)の取得やTSN18E7株(受託番号:FERM P−19746)が報告されている(例えば、特許文献3参照)。
これらの発明によりカロテノイド、特にアスタキサンチンを従来より効率よく製造する技術が提供されるに至った。しかしながら、さらなる効率化のため、より生産性に優れた微生物菌株の提供が望まれていた。
米国特許第4283559号明細書 特許第3570741号公報 特開2005−58216号公報 Andrewes,A.G.ら、Phytochemistry,15,1003,1976年 Renstrom,Bら、Phytochemistry,20,2561,1981年 Yokoyama,AとMiki,W.、FEMS Microbiol.Lett.,128,139,1995年 国立遺伝学研究所日本DNAデータバンクホームページ(http://www.ddbj.nig.ac.jp/) 米国National Institute of Health、National Center of Biotechnology Informationホームページ(http://www.ncbi.nlm.nih.gov/) Choi,S.K.ら、Marine Biotechnology,7,515,2005年
本発明は、カロテノイド生産性微生物、好ましくは海洋細菌N81106株の変異株、さらに好ましくはN81106株の変異株の一つであるTSN18E7株を改変し、カロテノイド生産性が従来の菌株より優れた菌株およびこれを用いたカロテノイドの製造方法を提供することにある。
すなわち本発明は、海洋細菌TSN18E7(特許生物寄託センターの受託番号:FERM P−19746)を変異原物質で処理することにより得られ、アスタキサンチン、リコペン、β−カロテン、β−クリプトキサンチン、3−ヒドロキシエキネノン、シス−アドニキンサンチン、カンタキサンチン、アドニルビン、ゼアキサンチンおよびアドニキサンチンからなる群より選ばれる1種又は複数種のカロテノイドを菌体内に蓄積する微生物であって、培養によりTSN18E7株よりもカロテノイドを高収量生産する微生物である。
また本発明は、微生物が、TSGN146006株(特許生物寄託センターの受託番号:FERM P−20565)である上記記載の微生物である。
また本発明は、上記記載の微生物を培養して、アスタキサンチン、リコペン、β−カロテン、β−クリプトキサンチン、3−ヒドロキシエキネノン、シス−アドニキンサンチン、カンタキサンチン、アドニルビン、ゼアキサンチンおよびアドニキサンチンからなる群より選ばれる1種又は複数種のカロテノイドを生産する、カロテノイドの製造方法である。以下本発明をさらに詳細に説明する。
本発明は海洋細菌N−81106株を育種して得られたTSN18E7株(例えば、特開2005−58216号公報参照)をさらに育種することで得られたカロテノイド、特にアスタキサンチン生産性が向上した新規微生物及びそれを利用したアスタキサンチン等のカロテノイドの製造法に関する。
本発明の微生物は海洋細菌N−81106株を育種して得られたTSN18E7株(例えば、特開2005−58216号公報参照)の育種により誘導された微生物である。
一般的に微生物の育種方法としては、自然突然変異により派生した優良菌株を選別していく方法などの他に、変異原物質や紫外線で細胞を処理することによって変異を加速させたのちに生産性が向上した菌株を選別していく方法や、以上の様な方法で得られた性質の異なる菌株同士を細胞融合させる方法など様々な方法を行なうことが出来る。この内、本発明の微生物はTSN18E7株を変異原物質で処理することにより得られ、変異原物質を用いる方法は短期間に有用な菌株を得る方法として好ましい。
変異原物質としてはN−メチル−N’−ニトロ−N−ニトロソグアニジン、メタンスルホン酸エチル等の化合物が知られている。予め培養して得たTSN18E7株の菌体をこれらの化合物の水溶液に懸濁して一定時間放置した後に遠心分離などの方法で菌体を回収して変異原物質を除去した後に平板培地上で培養し、優良菌株のコロニーを選択する。
コロニーの選択法については特に制限はなく、コロニーを目視した際のカロテノイドに由来する赤色の強度による方法や、任意に多数のコロニーを選択、分離して、液体培養を行ない、回収した菌体からカロテノイドを溶媒抽出し、抽出液の480nm付近の吸光度を測定することで行われる。後者の方法では96穴プレートや384穴プレートを用いて液体培養や抽出・比色定量することで、効率よく選択を行うことが出来る。この様にして一次選抜を行ない、次いで抽出液の組成をHPLC(高速液体クロマトグラフィー)などで分析してアスタキサンチン等のカロテノイド生産性の向上した菌株を絞り込むことにより優良な菌株を得る。
また、当該操作により得られた菌株に対し、同様な操作を複数回繰り返すことにより、生産性をさらに向上していくことが可能である。
菌株の保存方法については特に限定はなく、任意の培地に継代培養することで菌の活性を維持した状態で保存される他、凍結法や凍結乾燥法により保存される。継代培養による場合には菌が活発に増殖している状態で新たな培地に継代していくことが好ましい。
凍結法の場合には、培地に凍結補助剤を添加した後に凍結する。凍結補助剤にも特に限定はなく、グリセロール、マンニトール、ジメチルスルフォキシド等、通常の微生物の保存に用いられるものを任意に用いることができる。これらの添加量は菌の生存に影響のない範囲で用いられ、例えばグリセロールの場合では培養液容量の1/10〜1/3容量とされる。凍結の温度にも特に限定はないが、可能な限り低温であることが好ましく、好ましくは−20℃以下、より好ましくは−80℃以下である。
凍結乾燥を行う場合にも任意の凍結補助剤を用いて予め可能な限り低温で凍結しそののちに減圧乾燥される。凍結乾燥の場合の凍結補助剤としては上記のものの他にスキムミルクなども用いられる。凍結乾燥後の菌体は室温以下の温度で、好ましくは4℃以下で、さらに好ましくは−20℃以下で保存される。
本発明における培養方法についても特に限定はなく、通常の液体培地やそれを寒天で固めた固体培地が用いられる。固体培地の形状にも限定はなく、斜面培地や平板培地が用いられる。
培地の組成としては、細菌が増殖しカロテノイドを生産し得るものであればいずれを使用してもよい。炭素源としては、糖蜜、グルコース、フルクトース、マルトース、ショ糖、デンプン、乳糖、グリセロール、酢酸などが用いられる。窒素源としては、酢酸アンモニウム、塩化アンモニウム、硫酸アンモニウム、ペプトン、コーンスティープリカー、酵母エキスなどが用いられる。無機塩としては、リン酸1ナトリウム、リン酸2ナトリウム、リン酸1カリウム、リン酸2カリウム等のリン酸塩や塩化ナトリウムなどが用いられる。金属イオンとしては、塩化マグネシウム、硫酸マグネシウム、硫酸第1鉄、硫酸第2鉄、塩化第1鉄、塩化第2鉄、クエン酸鉄、硫酸アンモニウム鉄、塩化カルシウム・2水和物、硫酸カルシウム、硫酸亜鉛、塩化亜鉛、硫酸銅、塩化銅、硫酸マンガン、塩化マンガンなどが用いられる。ビタミン類としては、酵母エキスやビオチン、ニコチン酸、チアミン、リボフラビン、イノシトール、ピリドキシン等が用いられる。なお、固体培地を用いる場合には上記の組成の培地に寒天やジェランガム等の固形化剤を加熱溶解させた後に、培養に用いる試験管やシャーレに分注し、さらに目的の温度まで冷却して固形化して用いられる。
本発明における培養の条件については、細菌が増殖しカロテノイドを生産し得るものであれば特に限定はないが、培養温度は15〜40℃が好ましく、pHは6〜8が好ましい。また、培養時間は任意に設定できるが、カロテノイドが十分に生産される時間であることが好ましく、通常は数時間〜200時間の間に設定される。
本発明におけるカロテノイドの分析方法は、菌体または培養液から安定に効率良く抽出して定量できれば特に限定はなく、例えば抽出溶媒としてはメタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、ジクロロメタン、クロロフォルム、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルフォキシド、超臨界炭酸ガス等が用いられる。抽出されたカロテノイドの定量は抽出液を比色定量することによっても行われるが、各種カロテノイドが分離され定量性に優れる高速液体クロマトグラフィーによる行なうことが好ましい。
本発明により得られたカロテノイドは、飼料、食品、化粧品、医薬品、光学材料等の様々な用途に用いられる。使用の際の形態や純度はその用途により異なり、培養液のまま使用することも可能であり、高度に精製して用いることもでき、またその中間の純度の様々な精製度合いで使用される。
例えば飼料として用いる場合は、培養液をそのまま、或いは培養液を乾燥して用いることもでき、培養液から回収した湿菌体や乾燥菌体として用いることができる。この際、乾燥の方法はカロテノイドの極端な分解が生じなければ公知の何れの方法でも用いることができる。例えば凍結乾燥法や噴霧乾燥法などの方法が利用できる。
また培養液から菌体を回収する際の方法にも特に限定はなく、遠心分離やろ過の方法が用いられる。このような夾雑物が混在する製品には、目的物のカロテノイドの他に培地や菌体に由来するタンパク質・糖質・脂質・ミネラル類・ビタミン類などの様々な夾雑物存在し、これらが栄養源としても働くために、抽出・精製したカロテノイドよりも良好な飼料効果が得られる場合がある。
また、培養液や菌体からカロテノイド類を抽出して使用することもできる。抽出方法に特に限定はなく、上記の分析に用いた溶媒類を使用することが出来る。さらにはお互いに混和しない二種類以上の溶媒を用いた分配法や分別沈殿法などの方法で精製して用いることもできる。
さらにはカラムクロマトグラフィーなどの方法で高度に精製して用いることができる。精製する場合にはカロテノイド以外の成分とカロテノイド類を分離するが複数のカロテノイド、即ちアスタキサンチン、リコペン、β−カロテン、β−クリプトキサンチン、3−ヒドロキシエキネノン、シス−アドニキンサンチン、カンタキサンチン、アドニルビン、ゼアキサンチン、アドニキサンチンは分離せず、これらの混合物として利用することもできる。また、各成分を単一成分に分離・精製してそれぞれを単独で使用することもでき、これらから任意に選ばれる二種類以上の特定の成分の任意な混合物として利用することもできる。
このような精製されたカロテノイドは食品、医薬品、化粧品、光学材料等の原料として利用される。精製カロテノイドに要求される純度はその用途により異なり、それぞれの目的に要求される純度に調整されて利用される。
本発明によれば、以下の効果を奏することができる。
本発明によれば、養殖魚類の色揚げ用飼料などとして有用なアスタキサンチンを効率よく製造することが可能になる。
また本発明によれば、アスタキサンチンに加え、抗酸化剤として有用なリコペン、β−カロテン、β−クリプトキサンチン、3−ヒドロキシエキネノン、シス−アドニキンサンチン、カンタキサンチン、アドニルビン、ゼアキサンチン、アドニキサンチン等の多様なカロテノイドの混合物を効率よく得ることができる。
以下、本発明の実施の形態について詳細に説明する。なお本発明は、これらの実施例のみに限定されるものではなく、発明の要旨を逸脱しない範囲で、任意に変更が可能であることは言うまでもない。
(カロテノイドの抽出と定量法)
カロテノイドの定量法は逆送カラムを用いた高速液体クロマトグラフィーにて測定し、以下の操作手順で行った。すなわち培養液1mLを遠心分離して菌体を回収し、20μLの純水を加えチューブミキサーにて10分間懸濁させる。ついで500μLのジメチルホルムアミド、500μLのアセトンを加えてチューブミキサーで1時間攪拌後、14000回転5分間遠心分離を行い、上清を回収し、一部を高速液体クロマトグラフィー(TSK−gel ODS−80TM、商品名、東ソー(株)製を使用)にて生成したカロテノイドを定量した。なお、アスタキサンチンの分離はA溶媒として純水とメチルアルコールの5対95の混合溶媒、B溶媒としてメチルアルコールとテトラヒドロフランの7対3の混合溶媒を用い、1mL/minの流速でA溶媒を5分間カラムに通過させた後、同じ流速でAからBへ5分間の直線濃度勾配を行ない、さらにB溶媒を5分間通過させることによった。アスタキサンチンの定量は470nmの吸光度により行ない、既知濃度のアスタキサンチン試薬(シグマ社製)の溶液との吸光度の比較により行なった。その一例を表7に示した。
(実施例1)
表1に示す培地60mL入りの100ml容バッフル付き三角フラスコに表2のストック液をいれて培地Aを調製した。次いでTSN18E7株を植菌し、25℃、100rpmで1日間振とう培養を行なった。この培養液のうち1.0mlを1.5mlのエッペンドルフチューブに移し、15,000回転、10分間の遠心分離により菌体を回収した。
この菌体をpH7.0の0.1Mリン酸カリウム緩衝液(緩衝液A)1.0mlに懸濁し、次いで3mg/mlのN‐メチル−N’−ニトロ−ニトロソグアジニジン(以下NTGと略記する)水溶液10μlを加えて30〜60分間室温で静置して変異原処理を行った。その後、遠心分離して菌体を回収し緩衝液Aに再懸濁する操作を2回繰返してNTGを除去した。さらに、回収した菌体を5mlの培地Aに懸濁して25℃で一晩振とう培養を行ったのち、培地Aに1.5重量%の寒天を加えて調製した平板培地上に塗布して、20℃で数日間静置培養した。
生じたコロニーのうち赤色の強いものを選別し、表1に示す組成の培地で20℃、100rpmで5日間振とう培養を行った。この培養液より経時にカロテノイドを定量し、カロテノイド、特にアスタキサンチン生産性が向上した菌株の選定を行なった。
そのうち最も高い生産性を示した菌株に対し、同様の操作を4回繰り返し、最も生産性の高い菌株としてTSGN146006株を作製した。同菌株を培地Aで培養し、得られた培養液7mlに滅菌したグリセロールを3ml加えてよく混合し、予め滅菌したサンプル瓶(容量2ml)に1mlづつ分注して−80℃で凍結保存した。
また、凍結乾燥菌体を次のように調製した。すなわち、培地Aの平板培地上に植菌して20℃で静置培養し、出現したコロニーを20%スキムミルク溶液で懸濁した。次いで、アンプル管に数100μlづつ分注して、液体窒素中で凍結したのちに凍結乾燥機で乾燥し、減圧を保ったまま封管した。凍結乾燥菌体は特許生物寄託センターに受託番号:FERM P−20565株として寄託した。
(実施例2)
表1に示す培地300mL入りの500ml容バッフル付き三角フラスコに表2のストック液をいれ、次いでTSGN146006株を植菌し、25℃、100rpmで1日間振盪培養を行なった培養液を前々培養液とした。
表3に示した組成の培地100mLを500mL容の三角フラスコにいれ、表4のストック液をいれ前々培養液3mlを植菌し、25℃、100rpmで1日間振盪培養を行なった培養液を前培養液とした。表5に示した培地を2L容醗酵槽にいれ121℃、20分間滅菌後、あらかじめ滅菌しておいた表6のストック液と40mLの前培養液を植菌した。培養条件は温度22℃、攪拌数450回転、pH7.0〜7.2、通気は空気にて1VVMで制御し、120時間培養した。pHの調整には培養8時間後までは2M−水酸化ナトリウム水溶液を使用し、その後5%アンモニアをpH指標にして流加した。グルコースはYSI社製グルコースセンサー(2700SELECT)を用いて測定し、50%グルコース水溶液を適宜追加した。培養終了後の660nmの濁度(以下、ODと略記する。)とカロテノイド含量を表7、図1に示す。
本菌株の菌体収量は比較例1に示す元株であるTSN18E7より増加し、培地1リットルあたり125mgのアスタキサンチン、257mg総カロテノイドを生産した。
Figure 2008011824
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(比較例1)
TSN18E7株を用いて実施例1と同様に培養及びアスタキサンチンの定量を行なった。その結果を表2に示したが、実施例1に示す菌株の元株を用いた本培養では培地1リットルあたり87mgのアスタキサンチン、192mg総カロテノイドをしか生産しなかった。
本発明の新菌株(TSGN1460006株)と従来株(TSN8E7株)によるカロテノイド類産生量を示す図であり、図中、X軸(横軸)は各菌株を示し、Y軸(縦軸)は各々の菌株ごとに、左から、OD(Optical Density、単位は660nmにおける吸光度:任意単位)、アスタキサンチンの量(単位はmg/L)、総カロテノイドの量(単位はmg/L)、それぞれ、を示す。

Claims (3)

  1. 海洋細菌TSN18E7株(受託番号:FERM P−19746)を変異原物質で処理することにより得られ、アスタキサンチン、リコペン、β−カロテン、β−クリプトキサンチン、3−ヒドロキシエキネノン、シス−アドニキンサンチン、カンタキサンチン、アドニルビン、ゼアキサンチンおよびアドニキサンチンからなる群より選ばれる1種又は複数種のカロテノイドを菌体内に蓄積する微生物であって、培養により前記TSN18E7株よりもカロテノイドを高収量生産する微生物。
  2. 微生物が、TSGN146006株(受託番号:FERM P−20565)である請求項1に記載の微生物。
  3. 請求項1または2に記載の微生物を培養して、アスタキサンチン、リコペン、β−カロテン、β−クリプトキサンチン、3−ヒドロキシエキネノン、シス−アドニキンサンチン、カンタキサンチン、アドニルビン、ゼアキサンチンおよびアドニキサンチンからなる群より選ばれる1種又は複数種のカロテノイドを生産する、カロテノイドの製造方法。
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