JP2007244206A - 魚類の色調改善剤及びその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】 カロテノイド生産性細菌N−81106株の変異育種菌株であるTSUG1C11株又はTSN18E7株より得られ、マダイに代表される魚類の色調を改善し、かつ表皮中に多量のカロテノイドを蓄積させうる剤、およびその製造方法を提供する。
【解決手段】 カロテノイド生産性細菌N−81106株の変異育種菌株であるTSUG1C11(受託番号FERM P−19416)又はTSN18E7(受託番号FERM P−19746)を培養し、当該培養液より回収される固形分からなる魚類の色調改善剤およびその製造方法を用いる。
【選択図】なし
【解決手段】 カロテノイド生産性細菌N−81106株の変異育種菌株であるTSUG1C11(受託番号FERM P−19416)又はTSN18E7(受託番号FERM P−19746)を培養し、当該培養液より回収される固形分からなる魚類の色調改善剤およびその製造方法を用いる。
【選択図】なし
Description
本発明は、微生物の培養により得られる、脂溶性色素である天然アスタキサンチンを含有した固形分よりなる色調改善剤及びその製造方法に関するものである。アスタキサンチンは養殖サケ・マス・マダイの色揚げ剤や鶏卵の色調改善剤、健康補助食品、医薬品として有用な化合物である。
β‐カロチンやリコペンなどに代表されるカロテノイド類の化合物のうち、アスタキサンチン(以下「Ax」と略記する。)は、オキアミ、カニ、エビなどの甲殻類やマダイ、サケ、マスなどの魚類、フラミンゴなどの鳥類、藻類や微生物等に広く分布する天然の化合物である。近年はサケやマス、マダイ等の養殖魚の色揚げ剤や鶏卵の色調改善剤としてAxの需要が増加している。またAxには抗酸化活性や抗癌活性などの様々な生理的作用が確認され、医薬品や健康補助食品としての利用も注目されている。
Axの製造方法としては、化学合成法、天然物からの抽出法、微生物による発酵生産法などがあるが、現在は主に価格等の要因から化学合成法による製品が広く流通している。しかし、化学合成法では原料に臭素および塩素を含むハロゲン系化合物や重金属類を使用するため安全性に懸念があり(例えば、特許文献1参照)、消費者の自然、天然志向にともない天然物由来のAxへの要求が強くなっている。
天然物からの抽出法としてはオキアミ等からの抽出法があるが、これらは含量が低く、採取、抽出、精製などに多大な労力を要し、コスト的に問題があった。
微生物を利用した製法としては、酵母ではファフィア・ロドチーマ(Phaffia rhodozyma)(例えば、非特許文献1参照)、藻類ではヘマトコッカス・プルビアリス(Hematococcus pluvialis)(例えば、非特許文献2参照)の報告がある。しかしながらファフィア酵母は増殖速度が遅いため培養日数が長く、細胞壁が強固なために抽出効率が低く、含量が少ないためコスト高である。またヘマトコッカス藻類は増殖速度が非常に遅いために培養日数が長く、光を必要とするため立地条件や設備などに制約がある他、クロロフィルなどの夾雑物の除去が必要になりコスト高である。
これらの問題を解決する方法として海洋性アグロバクテリウム属細菌N−81106株(受託番号FERM−12782)の培養により得る方法が開示されている(例えば、特許文献2参照)。当該発明によれば、藻類や酵母に比べて細菌は増殖が速く、また細胞壁が脆弱であり、藻類と異なりクロロフィルなどのカロテノイド以外の色素を含まず、酵母のように副生成物の多糖類を生産しないという利点がある。当該発明によればAxを含有した菌体が迅速に得られ、さらに菌体を回収した後、アセトンなどの有機溶媒と菌体を混和・攪拌するだけで容易にAxを抽出できるという利点がある。なお、この微生物は後に16SリボゾーマルRNA遺伝子の配列解析が行われた結果、パラコッカス属細菌と再同定された。海洋バイオテクノロジー研究所においてMBIC01143としても管理され、その諸性質に関する情報の概略は国立遺伝学研究所日本DNAデータバンク(DDBJ)や米国NIHのデーターベース(NCBI)に公開されている(例えば、非特許文献3、4、5参照)。また該微生物を用いて変異育種を行ない、Axの生産能が向上したTSUG1C11株(独立行政法人産業技術総合研究所 特許生物寄託センターへ寄託された、受託番号FERM P−19416)やTSN18E7株(独立行政法人産業技術総合研究所 特許生物寄託センターへ寄託された、受託番号FERM P−19746)の取得例が報告されている(例えば、特許文献3参照)。
上記N−81106株は細胞中にAxを主なカロテノイドとして蓄積するが、その他にβ−カロテン、エキネノン、β−クリプトキサンチン、3−ヒドロキシエキネノン、カンタキサンチン、3’−ヒドロキシエキネノン、シス−アドニキサンチン、アドニルビン、アドニキサンチンなどの多様なカロテノイドを蓄積し、これらの生成比率は培養条件により変化することも知られている(例えば、非特許文献6参照)。
当該微生物のAxの生合成経路は三澤らにより解明されている(例えば、非特許文献7参照)。彼らはβ−カロテンからAxを合成する酵素の遺伝子であるcrtWおよびcrtZを見出し、大腸菌にクローニングして製造した両酵素の性質を解析した。その結果によれば、これらはそれぞれβ−カロテンの3および3’位にケト基を導入する酵素、および4および4’位に水酸基を導入する酵素である。この発見に基づき、Axの生合成経路として、1)β−カロテンにcrtZが優先して作用してβ−クリプトキサンチンを経てゼアキサンチンが第一に生産され、次いでcrtWが作用してアドニキサンチン(4−ケトゼアキサンチンとも称される)を経てAxが生産される経路と、2)crtWが優先して作用してエキネノンを経てカンタキサンチンが第一に生産され、次いでcrtZが作用してフェニコキサンチンを経てAxに至る経路の、二つの経路が存在することが解明された。
しかしながら、特許文献2や特許文献3には当該細菌が色揚げに利用できることを示唆しているものの、実際に色揚げを行った例は示されていなかった。細菌により得られたカロテノイドによる色揚げの例としては、フラボバクテリウム属細菌N−81106株より抽出精製された4−ケトゼアキサンチンを用いてワキンを飼育した例が知られている(例えば、特許文献4参照)。この例においては精製した4−ケトゼアキサンチンのアセトン溶液を市販の飼料に噴霧した後に乾燥した飼料を用いて飼育することにより、視認により赤色の良好なワキンが得られることが述べられているのみであり、当該細菌そのものを用いた場合の効果については全く述べられていなかった。また色揚げ機能の評価も目視により非投与群との比較をおこなったのみであり、客観的かつ定量的な色揚げ効果は知られていなかった。
またその他の細菌によるものとして土壌細菌であるE−396またはA−581−1株を培養し、遠心分離により得られた菌体をスプレードライヤーにより乾燥して得た乾燥菌体を用いて白色レグホンおよびマダイを飼育した例が知られている(例えば特許文献5参照)。しかしながら、本報告においても色揚げ機能の評価は、白色レグホンの飼育により得られた鶏卵の卵黄、表皮や肉の色調、または飼育したマダイの体表の色調を目視により非投与群と比較したのみであり、客観的かつ定量的な色揚げ効果は知られていなかった。また、本報告において示された細菌はE−396、A−581−1株およびE−396株をN−methyl−N’−nitoro−N−nitorsoguranidineで処理して得られたアスタキサンチンを生産せずカンタキサンチンを生産する菌(カンタキサンチン生産変異株)を用いた例が開示されるのみであり、その他の細菌の菌体を用いた場合の例は全く知られていなかった。
本発明は、海洋細菌アグロバクテリウム属細菌N−81106株の変異株であるTSUG1C11株又はTSN18E7株より得られ、マダイに代表される魚類の色調を改善し、かつ表皮中に多量のカロテノイドを蓄積させうる剤、およびその製造方法を提供することにある。
本発明者らは鋭意検討の結果、上記海洋細菌N−81106株の変異株であるTSUG1C11株(受託番号FERM P−19416)又はTSN18E7株(受託番号FERM P−19746)を培養し、培養液から固形分を回収し、これを乾燥することにより得られた乾燥物を得、これを各種飼料原料と混合してマダイを飼育することにより、同じ飼料原料を用いるものの当該乾燥物を混合しなかった場合と比較すると、有意に体表の赤色が強く、かつ表皮中のカロテノイド含量の高いマダイが得られることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち本発明は、カロテノイド生産性細菌N−81106株の変異育種菌株であるTSUG1C11(受託番号FERM P−19416)又はTSN18E7(受託番号FERM P−19746)を培養し、当該培養液より回収される固形分からなる魚類の色調改善剤。
また本発明は、カロテノイド生産性細菌N−81106株の変異育種菌株であるTSUG1C11(受託番号FERM P−19416)又はTSN18E7(受託番号FERM P−19746)を、栄養培地とともに撹拌しながら培養した後、当該培養液より固形分を分離する魚類の色調改善剤の製造方法である。
本発明に用いる細菌株TSUG1C11株やTSN18E7株の性質については前記特許第3570741号公報および前記特開2005−058216号公報に記載されている。
本発明の色調改善剤は、前記カロテノイド生産性細菌N−81106株の変異育種菌株であるTSUG1C11又はTSN18E7を培養し、当該培養液より回収される固形分からなるが、この固形分中にはアスタキサンチンを含むものであることが好ましく、また、アスタキサンチン以外にも、アドニキサンチン、フェニコキサンチン、カンタキサンチン、エキネノン、ゼアキサンチン、β−カロテン、リコペンの内の1又は2以上を含むものであることが好ましい。このようなカロテノイド色素を魚類の色調を改善することで本発明の目的を達しうるからである。
上記のように本発明の色調改善剤はその主成分として、アスタキサンチン、アドニキサンチン、フェニコキサンチン、カンタキサンチン、エキネノン、ゼアキサンチン、β−カロテン、およびリコペン等のカロテノイドを含有する。そして、これらの色調改善剤中の含有量は、色調改善剤を製造する際の細菌の培養条件により大きく変化するが、カロテノイドの総含量として、色調改善剤(乾燥物)の粉体あたり、0.5〜1.5重量%を含有させればよい。
また、個々のカロテノイドの色調改善剤中の存在比も培養条件により大きく変化し、アスタキサンチンを0.1〜1重量%、アドニキサンチンを0.05〜1重量%、フェニコキサンチンを0.1〜1重量%、カンタキサンチンを0.1〜1重量%、エキネノンを0.05〜1重量%、β−カロテンを0.05〜1重量%の間の含量で、それぞれ含有させるとよい。
例えば後記の実施例中、実施例1に示す条件で培養して得た粉体は、アスタキサンチンを0.33重量%、アドニキサンチンを0.16重量%、フェニコキサンチンを0.20重量%、カンタキサンチンを0.18重量%、エキネノンを0.20重量%、β−カロテンを0.13重量%含有する。その他の成分として細菌の菌体を構成する蛋白質、脂質、炭水化物等が主成分として含まれる他、1〜3%の粗灰分を含有する。また乾燥の条件により大きく変化するが10%未満の水分を含有する。
これらの細菌の培養方法に特に限定はないが、振とう培養や通気撹拌培養等の好気的な条件が好ましく、培養時間としては24時間〜200時間程度、培養温度としては10〜40℃付近が好ましく、pHは6〜8が好ましい。
用いられる栄養培地としては、細菌が増殖しカロテノイドを生産しうるものであればいずれを使用してもよく、炭素源には廃糖蜜、グルコース、フルトース、マルトース、ショ糖、デンプン、乳糖、グリセロール、酢酸などが、窒素源にはコーンスチープリカー、ペプトン、酵母エキス、肉エキス、大豆粕等の天然成分や、酢酸アンモニウム、塩化アンモニウム、硫酸アンモニウム等のアンモニウム塩、又はアンモニア水や、グルタミン酸、アスパラギン酸、グリシン等のアミノ酸類が、無機塩にはリン酸1ナトリウム、リン酸2ナトリウム、リン酸1カリウム、リン酸2カリウム等のリン酸塩や塩化ナトリウムなどが、金属イオンには塩化マグネシウム、硫酸マグネシウム、硫酸第一鉄、硫酸第二鉄、塩化第一鉄、塩化第二鉄、クエン酸鉄、硫酸アンモニウム鉄、塩化カルシウム、硫酸カルシウム、硫酸亜鉛、塩化亜鉛、硫酸銅、塩化銅、硫酸マンガン、塩化マンガンなどが、ビタミン類としては酵母エキスやビオチン、ニコチン酸、チアミン、リボフラビン、イノシトール、ピリドキシン等が使用できる。
培養後、培養液から固形分を分離して回収するが、分離・回収の方法に限定はなく、遠心分離法やろ過法等の一般的な方法を適用できる。この際、固形分が回収できる条件であれば、その条件に特に限定は無いが、カロテノイドは熱安定性が低いため低温であることが好ましく、しかし溶液が凍結する温度では固形分の回収が不可能になるため、凍結しない温度であることが好ましい。その様な温度として、−5℃〜100℃の温度領域が上げられるが、より好ましくは0〜80℃である。
得られた固形分はそのまま用いることもでき、また通常の方法で乾燥して用いることもできる。乾燥方法にも特に限定はなく、凍結乾燥法、噴霧乾燥法、真空乾燥法等の通常の方法が用いられる。この際の条件は、カロテノイドがほとんど分解しない条件であれば特に限定は無く、その様な条件は乾燥方法ごとに異なるため、適用する方法に従って、随時実験的に設定される。例えば噴霧乾燥においては、入口温度120℃、出口温度60℃で噴霧乾燥を行うことにより、約90%の回収率で目的物が回収された。
このようにして得られた固形分は単独で用いることもできるが、より好ましくは様々な飼料の原料と混合して魚類に与えられる。飼料原料と混合する場合、原料の配合比は魚の成長に良好なものであれば特に限定はなく、フィッシュミール、大豆ミール、小麦粉、デンプン、大豆油、肝油などの原料と80℃を越えない温度で混合される。
対象となる魚類については特に限定はなく、マダイやハナダイ等の体表が赤色を呈する魚類や、ブリ、カンパチ、ヒラマサの様なカロテノイドに由来する黄色を体表に呈するもの、またサケやマス類の様な肉質にカロテノイドを蓄積して赤色を呈するものに特に好ましく用いられる。
魚類への投与法については特に限定はなく、魚類が良好に成育する条件下において、過剰投与などによる生育環境の汚染が生じない任意の範囲で自由に使用することができる。
魚体中のカロテノイドの蓄積量の評価方法に特に限定はないが、解剖して表皮や筋肉組織などを採取し、それらを抽出した後に、比色法や、HPLCなどクロマトグラフィー等の既存の方法で定量すればよい。例えば抽出溶媒としてメタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、ジクロロメタン、クロロフォルム、ジメチルフォルムアミド、ジメチルスルフォキシド、酢酸エチル等が用いられる。
比色法の場合は抽出液から、遠心分離やろ過などの方法で不溶性物質を除去した後、アスタキサンチン等の赤色カロテノイドの定量として480nmの吸光度、そしてゼアキサンチン等の黄色カロテノイドの定量として460nmの吸光度を測定することが好ましい。
HPLCによる場合は比色法の場合と同様に試料を調整した後、逆相法や順相法など既存の方法で行うことができる。
本発明によれば、カロテノイド生産性海洋細菌N−81106株の育種によって得られた菌株であるTSUG1C11株(受託番号FERM P−19416)又はTSN18E7株(受託番号FERM P−19746)を培養し、その培養液より固形分を回収することで、魚類の色調改善効果に優れた色調改善剤が得られる。
当該色調改善剤を用いて魚類を飼育することでカロテノイドを高含量に含んだ魚体を得ることができる。
以下、本発明の実施の形態について詳細に説明する。なお本発明は、これらの実施例のみに限定されるものではなく、発明の要旨を逸脱しない範囲で、任意に変更が可能であることは言うまでもない。
HPLCによるカロテノイドの定量法
(カロテノイドの抽出と定量法)
適量な培養液を1.5ml容エッペンドルフチューブを用いて、15,000回転、5分間遠心分離を行ない菌体を得た。この菌体に20μlの純水に懸濁し、次いで240μlのジメチルホルムアミドおよび240μlのアセトンを加え約1時間振とうし、カロテノイドを抽出した。この抽出液を15,000回転、5分間遠心分離により残渣を除去後、TSKgel ODS−80TMカラム(東ソー社製)を用いた高速液体クロマトグラフィー(以下HPLCと略記する)でアスタキサンチンを定量した。なおAxの分離はA液として純水とメチルアルコールの5対95の混合溶媒、B液としてメチルアルコールとテトラヒドロフランの7対3の混合溶媒を用い、1ml/minの流速でA液を5分間カラムに通過させた後、同じ流速A液からB液へ5分間の直線濃度勾配を行ない、さらにB液を5分間通過させることにより行なった。Ax濃度は470nmの吸光度をモニターし、既知濃度のAx試薬(シグマ製)で作成した検量線より濃度を算出した。
(比色によるカロテノイドの定量法)
比色による定量を行う場合は、試料よりアセトンおよびジエチルエーテルでカロテノイドを抽出した後、遠心分離により不溶物を除去したのち、ベンゼンで希釈して吸光度を測定した。この際、赤色カロテノイドは480nmを測定し、分子吸光係数として1900(単位:g/100ml)を用いて定量した。また、黄色カロテノイドは460nmを測定し、分子吸光係数には2500(単位:g/100ml)を用いて定量した。分光光度計には株式会社島津製作所製UV−260型分光光度計を用いた。カロテノイド濃度の算出は下式(1)により計算した。
(カロテノイドの抽出と定量法)
適量な培養液を1.5ml容エッペンドルフチューブを用いて、15,000回転、5分間遠心分離を行ない菌体を得た。この菌体に20μlの純水に懸濁し、次いで240μlのジメチルホルムアミドおよび240μlのアセトンを加え約1時間振とうし、カロテノイドを抽出した。この抽出液を15,000回転、5分間遠心分離により残渣を除去後、TSKgel ODS−80TMカラム(東ソー社製)を用いた高速液体クロマトグラフィー(以下HPLCと略記する)でアスタキサンチンを定量した。なおAxの分離はA液として純水とメチルアルコールの5対95の混合溶媒、B液としてメチルアルコールとテトラヒドロフランの7対3の混合溶媒を用い、1ml/minの流速でA液を5分間カラムに通過させた後、同じ流速A液からB液へ5分間の直線濃度勾配を行ない、さらにB液を5分間通過させることにより行なった。Ax濃度は470nmの吸光度をモニターし、既知濃度のAx試薬(シグマ製)で作成した検量線より濃度を算出した。
(比色によるカロテノイドの定量法)
比色による定量を行う場合は、試料よりアセトンおよびジエチルエーテルでカロテノイドを抽出した後、遠心分離により不溶物を除去したのち、ベンゼンで希釈して吸光度を測定した。この際、赤色カロテノイドは480nmを測定し、分子吸光係数として1900(単位:g/100ml)を用いて定量した。また、黄色カロテノイドは460nmを測定し、分子吸光係数には2500(単位:g/100ml)を用いて定量した。分光光度計には株式会社島津製作所製UV−260型分光光度計を用いた。カロテノイド濃度の算出は下式(1)により計算した。
C= A×D×10000/E1% 1cm×W (1)
式(1)中、Cは試料のカロテノイド含量(単位:μg/g)、Aは抽出液の480nmまたは460の吸光度(単位:任意単位)、Dは希釈液容量(単位:ml)、E1% 1cmは分子吸光係数(単位:g/100ml)、Wは抽出に用いた試料の重量(単位:g)である。
式(1)中、Cは試料のカロテノイド含量(単位:μg/g)、Aは抽出液の480nmまたは460の吸光度(単位:任意単位)、Dは希釈液容量(単位:ml)、E1% 1cmは分子吸光係数(単位:g/100ml)、Wは抽出に用いた試料の重量(単位:g)である。
(実施例1)
菌体の調製
表1に示した組成の培地300mlを500ml容のバッフル付き三角フラスコに入れ121℃、20分間で滅菌後、N−81106株の変異株の一つであるTSN18E5株(受託番号FERM P−19746)を植菌し、25℃で1日間、毎分100回転の振とう速度で前々培養を行なった。
菌体の調製
表1に示した組成の培地300mlを500ml容のバッフル付き三角フラスコに入れ121℃、20分間で滅菌後、N−81106株の変異株の一つであるTSN18E5株(受託番号FERM P−19746)を植菌し、25℃で1日間、毎分100回転の振とう速度で前々培養を行なった。
次いで表2に示した組成の培地100mlを500ml容のバッフル付き三角フラスコに入れ121℃、20分間で滅菌し、上記培養液5mlを植菌して25℃で約18時間、毎分100回転の振とう速度で前培養した。
さらに、表3に示す組成の培地約1.4Lを3Lの発酵槽に入れ、121℃、20分間で滅菌後、得られた上記培養液90mlと金属塩を添加し本培養を開始した。培養装置は千代田製作所社のTFL−3を使用し、排ガス分析装置はエイブル社のDEX−2562を使用した。培養温度は22℃、pHは7.0〜7.4とした。培養時のpH調整はアルカリに2Nの水酸化ナトリウム水溶液を、酸には2Nの塩酸水溶液を用いて制御した。また通気は1.5L/minの速度で空気を供給し、毎分400回転の回転速度で撹拌した。
約116時間培養を行ったのち、遠心分離により湿菌体を回収した。さらに得られた湿菌体を東京理科機器製凍結乾燥機FE−81型を用いて、トラップ温度、約−80℃、試料周辺の温度、室温、真空度、約60Torrにおいて乾燥菌体を回収した。同様の培養を11回行って、約210gの凍結乾燥菌体を得た。
この粉体の一部を採取し、アセトンでカロテノイドを抽出した後、HPLCで定量したところ、本乾燥菌体は単位重量当り0.33wt%のアスタキサンチンを含有していた。また本菌体は0.03wt%のアスタキサンチン、0.16wt%のアドニキサンチン、0.20wt%のフェニコキサンチン、0.18wt%のカンタキサンチン、0.20wt%のエキネノン及び0.13wt%のβ−カロテンを含有した。
以上のカロテノイドの組成比は表4にまとめた。なお、表4中、Aは「アスタキサンチン」を、Bは「アドニキサンチン」を、Cは「フェニコキサンチン」を、Dは「カンタキサンチン」を、Eは「エキネノン」を、Fは「β−カロテン」を、n.d.は「検出されず」を示す。
耐熱性の分析
実施例1の乾燥菌体を遮光条件下、80℃で一日加熱した後、実施例1と同様にカロテノイドを抽出して定量した。その結果を表4に示すが、加熱を行わなかった場合に対する40%付近にまで低下していた。すなわち80℃での加熱処理により、カロテノイドの有効濃度が著しく低下することが判明した。
(実施例3)
マダイの色揚げ試験
表5に示す飼料原料を室温で混合、ペレットとした後に凍結乾燥し、−20℃で凍結保存した。体重91.5+/−1.5g(平均重量91.5g、標準偏差1.5g)のマダイを1群16匹で2系列、60L水槽において1週間の予備飼育した後、上記の飼料を用いて12週間飼育した。飼育は,人工海水を用いた閉鎖循環システムで行い,飼育水温は18〜24℃で,各水槽への注水量は0.5ml/minであった。給餌は1日3回(10:00、13:00、及び18:00)、マダイがほぼ飽食するまで行った。飼育期間終了後、体表の色を観察したところ、良好な赤色を呈していた。
マダイの色揚げ試験
表5に示す飼料原料を室温で混合、ペレットとした後に凍結乾燥し、−20℃で凍結保存した。体重91.5+/−1.5g(平均重量91.5g、標準偏差1.5g)のマダイを1群16匹で2系列、60L水槽において1週間の予備飼育した後、上記の飼料を用いて12週間飼育した。飼育は,人工海水を用いた閉鎖循環システムで行い,飼育水温は18〜24℃で,各水槽への注水量は0.5ml/minであった。給餌は1日3回(10:00、13:00、及び18:00)、マダイがほぼ飽食するまで行った。飼育期間終了後、体表の色を観察したところ、良好な赤色を呈していた。
さらに魚体を解剖して、表皮、肝臓及び筋肉組織をそれぞれ回収し、各組織をホモジナイズしたのちにカロテノイドをアセトンおよびジエチルエーテルで抽出し、さらにベンゼンにより所定の吸光度が0.1〜0.5の範囲内になるように希釈して吸光度を測定した。
その結果を表6に示す。赤色カロテノイド及び黄色カロテノイド共に表皮中に選択的に蓄積していることが判明した。さらに表皮中のカロテノイドをHPLCで分析した結果を表7に示した。カロテノイドのなかでも,アスタキサンチンおよびβ‐カロテンの蓄積が顕著であった。
Claims (8)
- カロテノイド生産性細菌N−81106株の変異育種菌株であるTSUG1C11(受託番号FERM P−19416)又はTSN18E7(受託番号FERM P−19746)を培養し、当該培養液より回収される固形分からなる魚類の色調改善剤。
- 固形分が、アスタキサンチンを含むことを特徴とする請求項1記載の魚類の色調改善剤。
- 固形分が、アスタキサンチン、アドニキサンチン、フェニコキサンチン、カンタキサンチン、エキネノン、ゼアキサンチン、β−カロテンおよびリコペンからなる群より選ばれる1又は2以上を含むことを特徴とする請求項1記載の魚類の色調改善剤。
- 培養液より回収される固形分を乾燥してなる請求項1〜3のいずれかに記載の魚類の色調改善剤。
- カロテノイド生産性細菌N−81106株の変異育種菌株であるTSUG1C11(受託番号 FERM P−19416)又はTSN18E7(受託番号 FERM P−19746)を、栄養培地とともに撹拌しながら培養した後、当該培養液より固形分を分離する魚類の色調改善剤の製造方法。
- 固形分を分離した後、さらに当該固形分を乾燥することを特徴とする請求項5記載の魚類の色調改善剤の製造方法。
- 固形分が、アスタキサンチンを含むことを特徴とする請求項5又は請求項6記載の魚類の色調改善剤の製造方法。
- 固形分が、アスタキサンチン、アドニキサンチン、フェニコキサンチン、カンタキサンチン、エキネノン、ゼアキサンチン、β−カロテンおよびリコペンからなる群より選ばれる1又は2以上を含むことを特徴とする請求項5又は請求項6記載の魚類の色調改善剤の製造方法。
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