JP2008009894A - コイン識別センサおよびコインセレクタのコイン識別装置 - Google Patents
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Abstract
本発明は、組み立て性を改善し判別精度が高くかつコストを安価にすることができるコイン識別センサおよびコイン識別装置を提供することを目的とする。
【解決手段】
コアにコイルを巻きつけた3個のコインセンサを一列に一体化して設けたコイン識別センサ21A,21B、21C、21Dをコイン通路のコイン進行方向に対してクロスする方向に相対配置して形成したコイン検知部25X1、25Zを形成すると共に、第1、第2のコイン検知部をコイン通路4に順次配設し、これら各コイン検知部からの順次得た検出出力に基づき、コインの径、材質/厚みの検知データから真贋を判別するコイン識別装置である。
【選択図】図2
Description
本発明は特に電子的に円板体の大きさや材質などを検出して判別するためのコイン識別装置に関する。具体的には本発明は各種の自動販売機あるいは両替機あるいはゲーム機など、投入されたコインあるいはメダルによって動作される機器に組み込まれるのに好適なコインセレクタのコイン識別装置に関する。
例えば、従来技術として、コインなど円板体が自重で落下する通路に、厚み方向の対向側壁に相対して取り付けた一対のコイルを一組とするコインセンサ(以下センサと略記する)を複数個配設し、コインなどの円板体がこれら各センサのコイル間を落下通過する過程で発生する磁束変化に基づく各センサの電圧信号変化を検出して、真贋を判別する構成の判別装置がある(特許文献1)。
この場合、左右両端のセンサは、コインの大きさすなわち所定の直径であるかを判別し、中央部のセンサで材質/厚みの検出を行っている。
こうした設置するスペースの物理的制約から多数のセンサを配置することは困難で、選別精度の向上が難しかった。また小型化するのが難しかった。
また小さい多数のセンサを取り扱うことによる部品管理の手間など、製造面、管理面などトータル的にコスト高になるという問題もあった。
第2の目的は、完成した製品が高品質でかつ低コストで製作することができるコイン識別センサおよびコイン識別装置を提供することである。
第3の目的は、連続投入に対しても、1個ずつ確実に選別することができるコイン識別装置を提供することである。
第4の目的は、組立性を改善し、製造が容易になるように図ったコイン識別センサおよびコイン識別装置を提供することである。
この構成によれば、コイン識別センサはコイン検知のための複数のセンサが一列に揃って一体化固定されている構造となっているので、この単体のコイン識別センサを二個用意し、二個のコイン識別センサをコイン通路に対して対称設置すれば複数のセンサはどれも位置ずれすることなく完全に合致する。このため、従来のような位置ずれの心配があった識別センサを個別に配設していたものに比べ、コインの識別性能の精度が高く保てるコイン識別装置を得ることができる。また取り付けも容易となり組立性が向上する。
すなわち、予め3つのセンサが検査するコインの両端部分と中央部分とにそれぞれ通過し合う位置関係で設置してある。したがって、両端部のセンサによりコインの直径を検知し、中央部のセンサによりコインの厚み/材質に関するデータを検出することができる。また径が異なるコインが検査対象となっても、コインの径に合わせてセンサの位置を変えることは単なる設計変更で対応することができるので、常に検査対象のコインに対して、良好な選別性能を発揮することができるコイン識別センサを容易に得ることが可能となる。
また、3つのセンサは単体のコイン識別センサに一体となって設けられているので、識別センサから後段に位置する判別回路などへの配線が、センサを個別配置としている従来の識別装置に比べて複雑にならないため、簡単に配線作業できるメリットもある。
さらに本発明構成であると、3つのセンサが一体化されたことにより小型化するので、コンパクトなコインセレクタを作ることが出来るようになる。そして製造コストも安価にすることができる。
この構成によれば、コア本体には3つの矩形状のコアが一体に突設してあるので、これらの各コアにコイルを矩形状に装着するだけで、3つのセンサから成るコイン識別センサを容易に形成することができる。
コイン識別センサは、コインの大小の違いや、コインのコイン通路内での通過位置に違いがあっても、センサとコインとの相対面積が増減しない矩形状のコアとコイルからなっていつため、均一な検出出力が出力し、検出性能は良好である。
コイルが3つであっても、装着対象は1つのコア本体であり集中して作業に当たれる。コイル装着後、コアから脱落したりすることなくコア本体にコイルがセッティングされた適度の大きさの単体部品となるので、小さく扱い難い単品のコイルやセンサをコイン通路に装着していた従来装置のような組み立て煩雑さが無くなる。そしてこれにより部品管理が向上するという実利性をも有する。
この構成により、コイン通路の側面に矩形状の形体のコイン識別センサを均一に全面的に接触させて安定に取り付けることができる。相対する二体のコイン識別センサによりコイン検知部が形成され、この間を通過するコインを検知し、コインの直径、材質/厚みなどを良好に検出することができる。
コイン通路を挟んで、それぞれ2つずつのコイン識別センサを対向対置することにより、第1コイン検知部をコイン通路の上流位置に、第2コイン検知部を第1コイン検知部の下流位置に配置させたコインセレクタを容易に得ることができる。第1、第2のコイン検知部の両端に位置するセンサは、コイン通路を通過するコインの直径部の両端部通過位置に対峙させてあるので、コインの直径を検出することができる。中央に位置するセンサは、コイン通路を通過するコインの中央部通過位置に対峙させてあるので、材質又は厚みを検出することができる。
またコインの真偽は、第1コイン検知部、第2コイン検知部の順で発生する検出出力に基づき判別されるので、糸釣りコイン等を投入し、コインを上げ下げして不正な購買動作や悪戯を行おうとしても、その場合には検出出力が第2検知装置、第1検知装置と出力順が違って検出されるものとなるので、此れから不正操作を見つけることができる。よってこの場合には出力順位が違う検出出力を利用してリジェクトするなどの処置を行わせることにより、不正操作、悪戯を未然に防止することができる。
この場合も、先のケースと同様に、垂直なコイン通路に上下に配置した第1、第2のコイン検知部によりコイン判別のための検知が行われる。通過するコインの左右端部通過位置に対峙する第1,第2のコイン検知部の左右センサにより直径を検出し、コインの中央部位置に対峙する中間センサにより材質/厚みセンサを検出し、これらの検出出力から後段の判別回路によってコインの真偽が判別される。
また糸釣りコイン等による不正や悪戯も、先の場合と同様に検知出力の順が上位のコイン検知装置、次いで下位のコイン検知装置からであるかをウォッチすることにより、未然に防止できる。
この構成では、コイン検知部をコインの進行経路に沿ってまたは上下方向の通路に沿って順に2個配置し、それら各コイン検知部の中央のセンサのうちいずれか一方を材質検出専用に、他方を厚み検出専用にと役割を分担する構成としたので、判別装置全体を構成する回路の配線等もシンプルにすることができる。
径検出第1センサのピーク値時点での材質データのピックアップを行い、次に径
検出第2センサのピーク値時点での厚みデータのピックアップを行う検出方式に
よって、材質/厚みのデータとして最も有効である、コインの中央部と材質/厚みの各専用センサとが対応したときのデータを、確実にかつ安定的に検出することができる。このため、単独のコイン投入はもとより、コインが連続して投入されても、コイン1個ごとの各データの取得を確実に行うことができるので、精度の高い判別処理となる。またスピーディーにコイン処理できるようになる。よって本コインセレクタをゲーム機などに搭載した場合、そのゲーム機などの稼動率を上げることができる。
なお、円板体としてコインという呼称で説明するが、これには通貨などのコインやゲーム機用のメダルやトークンなどが含まれる。
また、実施例として、コインが自重で垂直に落下するコイン通路に本発明を適用した場合に付き説明するが、コイン通路が適当な角度で下向きに傾斜し、コインが転動して行く傾斜したコイン通路にも本発明が適用できることは言うまでもない。
図1は、本発明のコインの検知装置を備えたコインセレクタの概要図である。図2は、本発明の一体型センサ体にて構成されている検知装置の要部構造図である。図3はコインの検知回路のブロック図、図4乃至7は、一体型センサ体の構造を示す様々な部分図である。図9乃至図12は、コインセンサのコイルの結線回路図であり、図13と図14は、従来のコイルの結線仕方の場合に、コインがコイン通路を一方側に偏って通過する時の検出が不正確になることを説明するための図である。図15は、コイン検知装置によりコインを検知した際の、径、材質、厚みに関する電圧グラフ図である。図16は、連続して投入されたコインを検知装置が検知した際の、径、材質、厚みに関する電圧グラフ図である。
したがって、コイン通路4は、前後の側板5a、5bと左右の垂直壁6a、6bとで画定された断面矩形の上下方向に伸びるトンネル状の通路構造となっている。
ここで、左右の垂直壁6a、6bは、コイン通路4の幅(W)方向に移動し得る構造とされている。垂直壁6a、6bを移動可能とする手段は、例えば図示はしなかったが、外部から操作できる移動調整部材に垂直壁を移動可能に連繋する機構などにより行うことができる。移動調整部材の操作で垂直壁6a,6bが側板5a、5bの間でコインの径方向に互いに近づくように、あるいは離れるように平行移動させることができる。これにより大きさが違う複数種のコインに対応して、コイン通路4を使用が想定される最大コインの直径よりも僅かに大きい通路幅Wになるように自由に調整設定することができる。垂直壁6a、6bが可動式でコイン通路幅Wが調整できるものとすれば、投入されたコインがコイン通路4の中央部を通過するようになるので、センサによる判別を安定して行うことができるように、検出精度が向上する。
図3に示すようにコイン通路4の裏表に位置するセンサ10と13が組となって左端センサ16を形成し、図1に示すように、コイン通路4の左端に位置している。同様にセンサ12と15が組となって右端センサ18を形成し、図1に示すようにコイン通路4の右端に位置している。センサ11と14が組となって中央センサ17を形成し、同様にコイン通路4の中央部に位置している。
前記左端センサ16と右端センサ18は、コインの径を検出する径検出センサである。前記中央センサ17は、コインの材質を検出する材質センサである。
次に各センサの構造を図4乃至図8をも参照して説明する。センサは皆同様の構造なので、例えば、前側の側板5aに配置しているセンサ10、11、12を代表して説明する。
センサ10、11、12は各々がコア10B、11B、12Bを有し、これらのコア10B、11B、12Bにセンサコイル10c、11c、12cが巻かれている。センサコイル10c、11c、12cに電流が流れることにより磁束が発生する。
同様に、後ろ側の側板5bに配置しているセンサ13、14、15においても、コア13B、14B、15Bとセンサコイル13c、14c、15cとを有している。
前記各センサコイル10c、11c、12c、13c、14c、15cに通電がなされると、コイン通路4間に磁束が発生する。その磁束を通過するコインが切る時に磁束量が変化し、その変化量に応じた電圧値をセンサコイルから検出して、コインを検知するものとなっている。
次にこの一体型センサ体21Aの構造を説明する。なお各センサは同一構造なので、センサの同一部にはそれぞれのセンサを示す数字に同一アルファベットを付して説明する。
図4、5、6等に示すように一体型センサ体21Aは、コイン通路4に相対する形状が横長で、フェライトなどの強磁性材料により形成された矩形状のコア本体24を有する。コア本体24にはその長手方向の中央位置線上に3つの断面矩形状のコア10B、11B、12Bが一定の間隔を置いて突出形成されている。すなわち、図5に示すように、コア本体24の中央部位置にコア11Bが位置し、このコア11Bの左右にコア10Bとコア12Bとが同じ距離Dだけ離れて配置形成されている。
そしてこれら各コア10B、11B、12Bにセンサコイル(以下コイルと略記する) 10c、11c、12cが巻き付けられている。これにより円板体であるコインなどを判別するための3つのセンサ10、11、12が構成されている。
左端のセンサ10は、そのコア10Bに銅線を密着して巻き付けて矩形のコイル10cを形成してある。このコイルは従来のように丸型であっても良いがコアの外周にフィットした構造の方が磁束発生効率が良い。同様に右端のセンサ12もそのコア12Bに銅線を密着して巻き付けて矩形のコイル12cを形成してある。
中央部のセンサ11も同様に、そのコア11Bに銅線を密着して巻き付けて矩形のコイル11cを形成してある。
この一体型センサ体21Aがコイン識別センサである。
次にもう一つの一体型センサ体21Bを、そのコア本体が前記一体型センサ体21Aのコア本体24とコイン通路4を挟んで対称配置となるように、後ろ側の側板5bに当接させて配設固定する。
これにより向き合う一体型センサ体21Aと21Bとによりコイン通路4の上位位置に第1コイン検知部25Xが形成される。
こうして、2個のコイン識別センサなる一体型センサ体21A,21Bにて、1つのコイン検知部が形成される。コイン検知部はコイン識別装置となるものである。
また第1コイン検知部25Xの中央のセンサ12と14は第3のセンサとしての材質センサ17となり、コインの通過による磁束変化で生じる発振出力の変化を検出している。発振出力はコインCの材質の影響を受けるので、これを利用してコインの材質を検出している。
第2コイン検知部25Zにあっては、センサ30、33とでコインの左端部とのの相対面積を検出する左端センサ36を構成し、センサ32、35とでコインの右端部との相対面積を検出する右端センサ38を構成している。
この左端センサ37と右端センサ38とで、前述と同様に通過するコインの大きさによるその左右端部とセンサとの相対面積の差異で現れる発振出力の変化を検出し、径を検出することができる径検出第2センサ39が構成されている。
またセンサ31、34とで厚みを検出する第4のセンサとしての厚みセンサ37を構成し、コインCの通過による磁束変化で生じる発振出力の変化を検出している。発振出力はコインの厚みの影響を受けて変化するので、これを利用してコインの厚みを検出している。
よって、上の組の一体型センサ体21A、21Bからなる第1コイン検知部25Xは、主として材質の検出に関連し、副として径の検出に関連する検出用として設けられ、下の組の一体型センサ体21C、21Dからなる第2コイン検知部25Zは、共に径と厚みの検出用として設けてある。
なお、実施例では、上位位置にある第1コイン検知部25Xの中央センサ11、14が材質を検知し、下位の第2コイン検知部25Zの中央のセンサ31,34が厚みを検知するものとして説明しているが、その検知順序を逆にして先に第1コイン検知部の中央センサで厚みを検知し、次に第2コイン検知部の中央センサで材質を検知するようにしてもよい。すなわち、第1、第2のコイン検知部21X、21Zの位置を上下逆に入れ替え配置した構成であってもよい。また、第1コイン検知部、および第2コイン検知部と、その上下位置関係は対応するものでもないから、下位に位置するコイン検知部が第1コイン検知部であって、上位に位置するコイン検知部が第2コイン検知部であってもよいことは言うまでもない。
前記コイル14cの巻き終わりは、コイル11cの巻き終わりに接続され、コイルの巻き始めとコイル11cの巻き始めが共に発振回路42に接続してある。コイル11cとコイル14cとは、材質の検出に有利な磁束がコイン通路4を前後の側板5a、5bに向かい横断して発生するようになるる和動接続とされている。
この接続では、コイン通路4を挟んで対置する直列接続したコイル13cとコイル15c、およびコイル10cとコイル12cとは、差動接続されて径の検出を行っている。
径の検出には和動接続が有利であるが、中央の材質センサ17が和動接続のため、干渉を避けるために材質センサ17と隣接する左右の上記コイル10c、12cおよび13c、15c同士は差動接続にしてある。
この場合、単純に図13に示すようなコイン通路4の前と後のコイル30c、32cと33c、35c同士を直並列接続した回路では、次のような懸念がある。それは、コインCがコイン通路4を通過する際に、図14に示すような前後の側板のいずれか一方例えば前側の側板5aの方へ、より近接して通過するなどした場合に、コインCに近い側のセンサ30、32は反応が高まる。逆にコインCから離れている側のセンサ33,35の反応は鈍いものとなる。
このため、コインのこのような偏った通過の時は、コインCがコイン通路4の中央を通過した時と比べセンサの反応度が偏り、検出出力にバラツキが出るようになる。
すなわち、コイン通路4の前側にある左端センサ36のコイル30cの巻き終わりを、コイン通路4の後ろ側にある右端センサ38のコイル35cの巻き終わりに接続する。
同様にコイン通路4の後ろ側にある左端センサ36のコイル33cの巻き始めを、コイン通路4の前側にある右端センサ38のコイル32cの巻き始めに接続する。
左端センサのコイル30cの巻き始めとコイル33cの巻き終わりを共通接続して、発振回路44に接続し、そして右端センサ38のコイルの巻き終わり32cとコイルの35c巻き始めを共通接続して発振回路に44に接続させてある。発振回路44は検波・整流回路48に接続してある。
この結果、相対配置したコイル30c、32cとコイル33c、35cとの間には、コイン通路4を前後の側板5a、5bの一方に向かって横断する磁束が十分に発生して、これによりコインCの径の検出が精度高く行なわれる。
前記各検波・整流回路45,46,47,48は、それぞれA/D変換回路49,50,51、52を介して制御回路としてのマイクロプロセッサ56に接続してある。54はコイン通路4に斜めに配置したキャンセル板(図1参照)である。キャンセル板54がコイン通路4の延長上に突出している場合、コインCがキャンセル板54に導かれ、返却通路60を介して図示しない返却口に返される。
キャンセル板54は、通常図示しないスプリングで押されてコイン通路4の延長上に突出している。しかし、正コインと判別され、マイクロプロセッサ56の信号でソレノイド55が励磁された場合、キャンセル板54がコイン通路4の延長上から外れる。そしてコインCは垂直に落下して、受け入れ通路61を介して図示しない保留部に案内される。53はマイクロプロセッサ56のメモリである。
同図は、或る金種のコインが一枚単独でコイン通路4を落下したときのコインの
直径、材質、厚みを反映した電圧波形を示している。
波形Sは、第1コイン検知部25Xの径検出第1センサ19により径を検出し、その検出出力を検波し整流回路で整流したときの出力値である。
波形Uは、第1コイン検知部25Xの材質センサ17により材質を検出し、検出出力を検波し整流回路で整流したときの出力値である。
波形Vはコインが次に通過する第2コイン検知部25Zの径検出第2センサ39により径を検出し、検出出力を検波し整流回路で整流したときの出力値である。
波形Wは、コインが次に通過する第2コイン検知部25Zの厚みセンサ37に
より厚みを検出し、検出出力を検波し整流回路で整流したときの出力値である。
1センサ19に接近するにつれて徐々に出力が変化し、コインCの直径部(真中)が同センサ19をまさに通過する時点で最大に変化しピーク値Pcとなり、コインCがセンサ19を過ぎるにつれ徐々に出力変化が小さくなりやがてコイン無し時の電圧値に戻ることを示している。
したがって、ピーク値PcはコインCの直径に相応する検出値であり、このピー
ク値Pcから径の判別が出来る。
こうして検出された径データを示す波形Vにも、同様のピーク値Pdがある。
この場合も波形Vは、コインCが径検出第2センサ39に対して接近し通り過ぎる過程で同様な出力変化をし、コインCの直径部(真中)がセンサ39と相対したその時点でピーク値Pdになることを示している。
よって、ピーク値PdはコインCの直径に相応する検出値であり、このピーク値
Pdから径の判別が出来る。
なお、この場合、波形Vの方が波形Sより出力変化が大きい。
これは、径の検出に有利な磁束を同方向に発生させ磁束量を増やせるという和動接続のコイル30c、32c、33c、35cとなっている径検出第2センサ39の方が、磁束の発生方向が逆向きのため磁束量は少なくなってしまうという差動接続のコイル10c、12c、13c、15cとなっている径検出第1センサ19よりは、コインの通過により変化する(切る)磁束量が多くなり、大きな検出出力を得られるからであり、結局、径の検出には第2コイン検知部25Zの左右の端センサ36,38が有力に関与していることを示している。
ある期間中にわたってほぼ一定の出力がある。
したがって、材質データとして、この出力変化期間のうちの或る電圧値をピック
アップすることが考えられるが、無原則にピックアップするのでは不安定な検出
になり得策ではない。
そこで、径検出第1センサ19の径の検出波形Sと関連づけてその検出タイミン
グを決定し、その時点での電圧値をピックアップする。
すなわち、同15図に示すように、径の波形Sがピーク値Pcとなったその時点での電圧値Paを、波形Uから取得する。
波形Sがピーク値Pcとなるとき、コインCはその中央部(真中)が径検出第1セ
ンサ19に相対している。
したがって、このピーク値Pcに対応する波形Uの電圧値PaもコインCの中央部と材質センサ17とが対峙し、材質のデータが広範囲に捕捉される最適時の検出値であり、材質を十二分に反映したデータとなっている。したがって、この電圧値Paを材質の判定に利用する。
すなわちこの波形Sの場合は、前回検出時の電圧値より今回検出時の電圧値が低い限りは、これを新規データとして更新記憶し、今回電圧値が前回電圧値より高くなり反転するときに、その前回電圧値がピーク値であると判断するようにマイクロプロセッサ56にプロミグラングすることにより行う。
また第1コイン検知部25Xを形成する一体型センサ体21A、21Bは、径検出第1センサ19を構成する左端センサ16と右端センサ18、および材質センサ17の三者が横一列に並んだ構造なので、コインCの中央部直径部分が横断的に径検出第1センサ19と材質センサ17の双方に同時に相対するものとなる。
このため、径、材質を同時に検知し、かつ径、材質のデータとして十分なデータ
が検知できるコインCの中央部直径部分での検出を行うことができるものである。
しているある期間中にわたってほぼ一定の出力変化がある。
この厚みデータの検出も、先の材質データのピックアップと同様の方式で行う。
すなわち今度は、径検出第2センサ39の径の検出波形Vと関連つけて検出タイ
ミングを決定し、その時点での電圧値をピックアップする。
図16に示すように、径の波形Vがピーク値Pdとなったその時点での電圧値Pbを波形Wから取得する。
この場合も、ピーク値Pdとなるとき、コインCはその中央部(真中)が径検出第
2センサ39に相対している。したがって、このピーク値Pdに対応するこの電
圧値PbもコインCの中央部と厚みセンサ37とが対峙し、厚みのデータが広範
囲に捕捉される最適時の検出値であり、厚みを十二分に反映したデータとなって
いる。したがって、この電圧値Pbを厚みの判定に利用する。
この検出方式にあっても、第2コイン検知部25Zが、その径検出第2センサ39を構成する左端センサ36と右端センサ38、および厚みセンサ37の三者が横一列に並んでいるという構造的特長を活用することで、径データ、厚みデータとして頗る有用なコインCの真中部での検出が行えるものである。
このコイン検知を第1検知出力、第2検知出力の順に発生する出力から行うコイン識別方式とすると、糸釣りコインなどによる不正を防止することができる。
すなわち、糸釣りコインを上下に動かして識別装置に対してコインを行き来させると、第2コイン検知部25Zから先に検知出力が出て、次に第1コイン検知部25Xから検知出力が出るという正常なコインの投入の場合の第1、第2検知出力の順と逆な検知出力の順となるので、この検知出力の出力順の違いから不正コインの投入があったと判別することができるので、不正コインの使用の防止が可能である。
コインCが間隔をおいて投入されるときは、図15のように各センサはコイン一
枚に対応して反応し、一つの安定した検出電圧波形となる。
これに対して、コインCが連続投入されると、上下に位置する第1コイン検知部21Xの各センサ16,17、18および第2コイン検知部21Zの各センサ36,37,38は、連なっている上下のコインの双方の影響を受けたセンサ出力となって、コイン一個ずつを反映した検出値にならない。
波形Sは、上の第1コイン検知部25Xの径検出第1センサ19による検知出力を検波し整流したときの電圧出力値であり、先行コインによるその直径に相応する第1のピーク値Pcが出力され、時間を置いて後続コインによるその直径に相応する第2のピーク値Pcが出力されている。
波形Vは、下の第2コイン検知部25Zの径検出第2センサ39による検知出力を検波し整流したときの電圧出力値であり、同様に先行コインによるその直径に相応する第1のピーク値Pdが出力され、時間を置いて後続コインによるその直径に相応する第2のピークPd値が出力されている。
波形Uは上の第1コイン検知部25Xの材質センサ17による検知出力を検波し整流したときの電圧出力値であり、その波形は、互いに上下に連なるコインの影響を受けたものとなり、時間をおいた前半と後半の或る期間にわたり大きく変化する電圧の出力となっている。
また波形Wは、下の第2コイン検知部25Zの厚みセンサ37による検知出力を検波し整流したときの電圧出力値であり、この場合も、互いの上下のコインの影響を強く受けた電圧波形になり、先行コインが第1コイン検出装置25Xに入った当初から、後続コインが第2コイン検知部25Zを通過し切るまでの期間にわたり、大きな電圧値でかつ小刻みに変動する不安定な電圧の出力となっている。
コインであっても二枚のコインが接触する接点部分を除きコインは離れているの
でその影響は無く、第1コイン検知部25Xの左右端センサ16、18と第2コイン検知部25Zの左右端センサ36,38からは、通過するコインの径に応じた出力Pc、Pdがコインの通過順に出力して径の検出が行われる。
よって、波形Sの最初のピーク値Pcと波形Vの最初のピーク値Pdをピックア
ップすることで、先行コインの径のデータとする。
後続コインについては、波形Sの二番目のピーク値Pcと波形Vの二番目のピー
ク値Pdをピックアップして、後続コインの径のデータとする。
次に先行コインの厚みデータの取得を、波形Wにおいて、径の波形Vの最初のピーク値Pd時点での電圧値Pbをピックアップし、これを先行コインの厚みデータとする。
こうすることで、取得したそれぞれの電圧値Pa,Pbは、材質センサ17と厚みセンサ37に、先行コインがその中央部(真中部)を対峙させた時の検出値であり、十二分に材質および厚みを反映しており、それらの判別に有効である。
後続コインにおいても、その材質データの取得と厚みデータの取得を、同様の手
法で行う。
すなわち波形Uにおいて、径の波形Sの2回目のピーク値Pc時点での電圧値P
aをピックアップし、これを後続コインの材質データとする。
同じく波形Wにおいて、径の波形Vの2回目のピーク値Pd時点での電圧値Pb
をピックアップし、これを後続コインの厚みデータとする。
得られたそれぞれの電圧値Pa、Pbは、後続コインのその中央部(真中部)での
センサ検出値であり、十二分にその後続コインの材質および厚みを反映しており、
それらの判別に有効である。
このような検出方式によって、2個の連続投入されたコインの径、材質、厚みの
データをコイン1個ずつ個別に検出し、判別することができる。
コインを個々にその径、材質、厚みのデータの検出をすることが可能となり、連
続コイン投入に対しての判別も的確にかつ安定して行うことができるようになる。
れコイン通路4を垂直に落下する過程で、コインCは第1コイン検知部25Xにより径、材質が検知され、続いて第2コイン検知部25Zにより径、厚みが検知される。径検出第1センサ19、材質センサ17、径検出第2センサ39厚みセンサ37の各検知出力は各発振回路41〜48の出力を変化させ、それらの変化出力が各検波・整流回路45〜48に入力する。
こうして各検波・整流回路45〜48に入力した径、材質、厚みに関連した電圧出力は、各A/D変換回路49〜52に入力しデジタル値に変換してマイクロプロセッサ56に送信される。マイクロプロセッサ56は、メモリ53に記憶されたプログラムに基づいて、予め設定された基準値と比較しコインが所定の直径であるか、所定の材質であるか、さらに所定の厚みであるかを判別する。
判別の結果、基準値内にある場合は、真正と判断され、キャンセル板54がコイン通路4から退避し、受け入れ通路61から保留部に貯留され、基準値以外の時は、偽コインと判断される。このときはキャンセル板54がコイン通路4に突出したままの状態であるため、返却通路60の方へ偽コインは振り分けられ、返却口にも戻される。
図2は、本発明のコイン識別センサにて構成したコイン識別装置の概要図である。
図3は、コインセレクタの検知回路のブロック図である。
図4は、本発明のコイン識別センサの構造図である。
図5は、コイン識別センサのコア本体の正面図である。
図6は、図5におけるE−E矢視断面図である。
図7は、本発明のコイン識別センサの中央縦断面図である。
図8は、本発明の一体型センサ体の中央横断面図である。
図9は、材質センサのコイルの結線図である。
図10は、厚みセンサのコイルの結線図である。
図11は、第1コイン検知部の径検出第1センサのコイルの結線図である。
図12は、第2コイン検知部の径検出第2センサのコイルの結線図である。
図13は、図12のコイルの結線に改良する前の径検出第2センサのコイルの結線図である。
図14は、コインがコイン通路を一方側に偏って通過する時に、図13のコイル結線では検出が不正確になることを説明するための図である。
図15は、第1,第2コイン検知部によりコインを検知した際の、径、材質、厚みに関する電圧グラフ図である。
図16は、連続して投入されたコインを第1,第2コイン検知装置が検知した際の、径、材質、厚みに関する電圧グラフ図である。
4 コイン通路
5a,5b 側板
6a、6b 垂直壁
10、1、12、13,14、15 コインセンサ
10c、11c、12c、13c、14c、15c コイル
10B、11B、12B、13B、14B,15B コア
17 材質センサ
19 径検出第1センサ
21A,21B、21C,21D コイン識別センサ
24 コア本体
25X 第1コイン検知部
25Z 第2コイン検知部
30、31、32、33,34、35 コインセンサ
30c、31c、32c、33c、34c、35c コイル
30B、31B、32B、33B、34B,35B コア
37 厚みセンサ
39 径検出第2センサ
C コイン
Claims (8)
- コアにコイルを巻き付けた複数個のセンサが一列に一体化して配設固定されてなる構造を特徴とするコイン識別センサ。
- 請求項1において、前記コイン識別センサはコインセレクタのコイン通路に隣接して設けられ、かつコインの進行方向に対してクロスする方向に配設されるものであって、当該コイン識別センサは、横一列に並ぶ3個のセンサを有し、そのうちの2個の両端センサはコイン通路を通過するコインの両端部通過位置に対応するように、残りの1個の中間センサはコインの中央部通過位置に対応するような態様で配設されていることを特徴とするコイン識別センサ。
- 請求項2において、前記コイン識別センサは、間隔をおいて3個の矩形状のコアが横一列に並んで突設形成されているコア本体と、これら各コアにそれぞれ巻回した3個の矩形状のコイルとから成ることを特徴とするコイン識別センサ。
- 請求項2または3において、コイン通路を挟んで矩形状の二体の前記コイン識別センサをコインの進行方向に対してクロスする方向に相対配置させてコイン検知部を形成し、該コイン検知部にてコインを検知するコインセレクタのコイン識別装置。
- 請求項4において、コイン通路を挟んで組みとなる前記一対ずつのコイン識別センサからなる第1コイン検知部と第2コイン検知部を、コイン通路のコインの進行方向に順次配設してなることを特徴とするコインセレクタのコイン識別装置。
- 請求項5において、前記第1コイン検知部と前記第2コイン検知部を、垂直に形成されたコイン通路に上下に配設したことを特徴とするコインセレクタのコイン識別装置。
- 請求項5または6において、前記第1コイン検知部は、コインの両端部通過位置に対応位置する両端センサにより径を検出する径検出第1センサとコインの中央部通過位置に対応位置した材質を検出する材質センサを有し、一方第2コイン検出部は、コインの左右端部通過位置に対応位置する両端センサより径を検出する径検出第2センサとコインの中央部通過位置に対応位置した厚みを検出する厚みセンサを有することを特徴とするコインセレクタのコイン識別装置。
- 請求項7において、前記径検出第1センサの径データのピーク値出力時点で前記材質センサの検出出力をピックアップし、材質の判断値データとして取得し、前記径検出第2センサの径データのピーク値出力時点で厚みセンサの検出出力をピックアップし、厚みの判断値データとして取得して、これら径、材質および厚みのデータからコインの真贋を判別するようにしたコインセレクタのコイン識別装置。
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