JP2008008890A - Tftアレイ検査装置および走査ビーム装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】荷電粒子ビームが走査する範囲とステージ移動で定まるパスの範囲を一致させて、荷電粒子ビームの照射位置の位置ずれを防ぎ、TFT素子(ピクセル)内の荷電粒子ビームの位置精度を高める。
【解決手段】荷電粒子ビームの照射対象をマトリックス状に配置してなる試料上で荷電粒子ビームを二次元的に走査する走査ビーム装置において、照射対象のピッチサイズに応じて、荷電粒子ビームを走査する走査領域のピッチサイズを可変とする。走査状態では、走査領域のピッチサイズの可変状態と同期してステージの送りピッチおよび送り速度を可変とする。これによって、荷電粒子ビームの照射位置の位置ずれが解消され、TFT素子(ピクセル)内の荷電粒子ビームの位置精度を高める。
【選択図】図2
【解決手段】荷電粒子ビームの照射対象をマトリックス状に配置してなる試料上で荷電粒子ビームを二次元的に走査する走査ビーム装置において、照射対象のピッチサイズに応じて、荷電粒子ビームを走査する走査領域のピッチサイズを可変とする。走査状態では、走査領域のピッチサイズの可変状態と同期してステージの送りピッチおよび送り速度を可変とする。これによって、荷電粒子ビームの照射位置の位置ずれが解消され、TFT素子(ピクセル)内の荷電粒子ビームの位置精度を高める。
【選択図】図2
Description
本発明は、電子ビームやイオンビーム等の荷電粒子ビームを基板上で二次元的に走査して得られる走査画像に基づいて基板検査を行うTFTアレイ検査装置および走査ビーム装置に関する。
電子ビームやイオンビーム等の荷電粒子ビームを基板上で二次元的に走査し、荷電粒子ビームの走査によって得られる走査画像に基づいて基板検査を行う基板検査装置が知られている。例えば、TFTディスプレイ装置に用いるTFTアレイ基板の製造工程では、製造されたTFTアレイ基板が正しく駆動するかの検査が行われるが、このTFTアレイ基板検査では、荷電粒子ビームとして例えば電子ビームを用いて、TFTアレイ基板を走査することで走査画像を取得し、この走査画像に基づいて検査を行っている。
電子ビームをTFTアレイ基板上で二次元的に走査する際には、電子ビームとステージをX軸方向及びY軸方向に相対的に移動させている。このX軸方向及びY軸方向の移動において、通常、X軸方向に1ライン分移動して検出信号を取得した後、Y軸方向に1ライン分ずらすという一連の操作を繰り返すことによって1フレーム分の走査信号を取得している。
走査画像によってTFTアレイ基板の検査を行うには、TFTアレイのパネルが備える各ピクセルの位置を走査画像で正確に特定する必要がある。
従来、TFTアレイ上において荷電粒子ビームを走査する場合、走査領域および、その走査領域を走査する際の走査幅やステージ移動量を、TFT素子(ピクセル)の大きさに関係なく固定した値を用いている。
図9は従来のTFT素子と走査領域との関係を説明するための図である。図9では、TFT素子の一つのピクセル120と、荷電粒子ビームが走査する走査領域130との関係を示している。一般に、ピクセル120には縦方向および横方向のピッチサイズを異にする複数種類のピクセルサイズが存在する。例えば、横99μm縦297μmのピクセルサイズ、あるいは横264μm縦88μmのピクセルサイズ等が知られている。
図10は、TFTアレイ上における荷電粒子ビームの走査を説明するための図である。図10において、複数の荷電粒子ビーム源(GUN1、GUN2,…)から発せられた荷電粒子ビームはTFTアレイ基板上を照射する。この荷電粒子ビームの照射において、各荷電粒子ビーム源は、TFTアレイ上に設定した複数のパス(図10ではパス1〜パス4)の一パス内において、荷電粒子ビームを走査幅Dxfixの幅で走査する。この荷電粒子ビームの走査は、荷電粒子ビーム源によるビームの振り動作によってパスを単位として行い、一つのパスが終了した後、隣接するパスを走査する場合にはステージを移動する。このステージ移動の際には、パスの幅分に相当するステージ移動幅Lsfixだけ移動する。
図10(b)は、図10(a)に示すパス1の走査位置からステージをステージ移動幅Lsfixだけ移動することによって、パス2を走査する状態を示している。また、図10(c)は、図10(b)の位置からステージをステージ移動幅Lsfixだけ移動することによってパス3を走査する状態を示している。このようにして、TFTアレイ上に設定した複数の全パスについて走査を行っている。
従来、荷電粒子ビームの走査幅やステージ移動幅は、TFT素子(ピクセル)の大きさに関係なく固定された値が用いられている。そのため、例えば、TFTアレイを検査するTFTアレイ検査装置では、荷電粒子ビームを走査する走査領域のサイズは、ピクセルサイズに係わらず固定したサイズとしている。このように、荷電粒子ビームの走査幅やステージ移動幅が固定されている場合には、TFT素子(ピクセル)の大きさによっては、走査幅内に収まるTFT素子(ピクセル)の個数が必ずしも整数になるとは限らず、端数が生じる場合がある。例えば、図9において、走査領域130のピッチサイズは、ピクセル120のピクセルサイズの整数倍となるとは限らず、複数のピクセル120を配列して成るピクセル領域121と走査領域130との間にずれが生じることになる。
走査幅内に収まるTFT素子(ピクセル)の個数に端数が生じると、例えば、各パス間において対応するTFT素子(ピクセル)の相対位置にずれが生じ、荷電粒子ビーム源から発した荷電粒子ビームが照射する位置にずれが生じる。そのため、ピクセル内の位置精度が場所によって異なるという問題や、干渉縞模様が生じるといった問題が発生する。
また、従来、ステージ移動幅Lsfix、TFT素子(ピクセル)のx方向の幅Pxfixを固定値とし、1パスの走査エリア内で照射する荷電粒子ビームの点数Nsを入力値として設定することによって、検査の仕様を定めている。
図11は、上述した荷電粒子ビームの照射位置のずれを説明するための図である。図11(a)はパス1の走査状態を示し、図11(b)はパス2の走査状態を示している。
ここで、Pxfixの整数倍であるLsfix、TFT素子(ピクセル)のx方向の幅Pxfixを固定値とし、1パスの走査エリア内において照射する荷電粒子ビームの点数Nsを入力値とする。
図11(a)は、パス1において、荷電粒子ビームの走査幅DxsとPxfixの整数倍であるLsfixとの間にdx1の誤差が生じる状態を示している。また、図11(b)は、パス2において、荷電粒子ビームの走査幅DxsとPxfixの整数倍であるLsfixとの間にdx2の誤差が生じる状態を示している。
パス1の端部から長さを定めた場合、パス2における誤差dx2はパス1の誤差dx1にパス2で生じる誤差が累積するため、パス数が増えるに従って累積する誤差は増加することになり、ピクセルに対する荷電粒子ビームの照射位置のずれも増加することになる。したがって、Pxfixの整数倍であるLsfixを固定したままで、上記で定められたビームの走査幅Dxsで走査を行うと、荷電粒子ビームが走査する範囲とステージ移動で定まるパスの範囲とがずれ、荷電粒子ビームの照射位置が所望とする位置からずれることになる。なお、図11では、走査領域のX方向である走査幅方向について説明しているが、走査領域のY方向である、走査幅方向と直交する方法についても同様の課題を含んでいる。
そこで、本発明は前記した従来の問題点を解決し、TFT素子(ピクセル)内の荷電粒子ビームの位置精度を高めることを目的とする。
また、荷電粒子ビームが走査する範囲とステージ移動で定まるパスの範囲を一致させ、荷電粒子ビームの照射位置の位置ずれを防ぐことを目的とする。
本発明は、走査ビーム装置の形態、及びこの走査ビーム装置を備えるTFTアレイ検査装置の形態を含むものである。
本発明の走査ビーム装置の形態は、荷電粒子ビームの照射対象をマトリックス状に配置してなる試料上で荷電粒子ビームを二次元的に走査する走査ビーム装置において、照射対象のピッチサイズに応じて、荷電粒子ビームを走査する走査領域幅を可変とする。走査状態では、走査領域幅の可変状態と同期してステージの送りピッチおよび送り速度を可変とする。
これによって、荷電粒子ビームの照射位置の位置ずれが解消され、TFT素子(ピクセル)内の荷電粒子ビームの位置精度を高めることができる。
走査領域のピッチサイズは、照射対象のピッチサイズに基づいて演算により算出することができる。この走査領域幅は、走査領域の二次元の各方向のピッチサイズが、照射対象の同じ方向のピッチサイズの整数倍となるように算出する。
また、本発明の走査ビーム装置は、試料を支持するとともに少なくとも二次元方向に移動するステージと、当該ステージを駆動制御するステージ制御部とを備える構成とすることができる。ステージ制御部は、走査領域幅に基づいてステージの送りピッチおよび送り速度を設定する。ステージの送りピッチは、走査領域の走査幅方向(X方向)の送り量である。一方、ステージの送り速度は、走査領域の走査幅方向と直交する方向(Y方向)の送り量である。
走査幅方向(X方向)に対する形態では、荷電粒子ビームをTFTアレイ上で二次元的に走査させる走査ビーム装置において、荷電粒子ビームをTFTアレイ上でX方向に走査させる走査幅Dxを、TFTピクセルのX方向のピッチ幅Pxに基づいて可変とし、この走査幅Dxに基づいて走査幅方向のステージ送り幅Lsを可変とする。
荷電粒子ビームの走査幅DxをTFTピクセルのピッチ幅Pxに基づいて定めることにより、荷電粒子ビームが走査する範囲をTFTピクセルの各仕様に対応させることができ、さらに、この走査幅Dxに合わせてステージが走査幅方向に移動するステージ送り幅Lsを定めることにより、ステージ送りの範囲を荷電粒子ビームが走査する範囲に合わせることができる。
したがって、TFTピクセルのX方向のピッチ幅Pxが変化した場合であっても、荷電粒子ビームの走査範囲とステージ送りの範囲をこのピッチ幅Pxに合わせて可変とすることで、TFTピクセル上における荷電粒子ビームの照射位置のずれを防ぐことができる。
より詳細には、本発明の走査ビーム装置は、荷電粒子ビームの走査を制御するビーム走査制御部と、TFTアレイを支持するステージのステージ送りを制御するステージ制御部とを備える構成とする。
ビーム走査制御部は、TFTピクセルのX方向のピッチ幅Pxに基づいて設定された走査幅Dxで荷電粒子ビームを走査し、ステージ制御部は、走査幅Dxと同期して走査幅方向のステージ送り幅Lsを可変とする。
さらに、本発明の走査ビーム装置は、ピッチ幅Pxに基づいて走査幅Dxを算出する演算部を備える。この演算部は、TFTピクセルのX方向のピッチ幅Pxから荷電粒子ビームのX方向の走査範囲に含まれる走査点数Nsを算出し、この算出した走査点数NsとTFTピクセルのX方向のピッチ幅Pxから荷電粒子ビームがTFTアレイ上をX方向に走査する走査幅Dxを算出する。
一方、走査幅方向と直交する方向(Y方向)に対する形態では、荷電粒子ビームをTFTアレイ上で二次元的に走査させる走査ビーム装置において、荷電粒子ビームをX方向に一走査幅分だけ走査する間に、X方向の走査幅方向と直交するY方向にステージを送るステージ送り速度vyをTFTピクセルのY方向のピッチ幅Pyに基づいて可変とする。
走査幅方向と直交する方向にステージを送るステージ送り速度vyをTFTピクセルのY方向のピッチ幅Pyに基づいて可変とすることによって、ステージ送りの範囲を荷電粒子ビームが走査する範囲に合わせることができる。
より詳細には、本発明の走査ビーム装置は、荷電粒子ビームの走査を制御するビーム走査制御部と、TFTアレイを支持するステージのステージ送りを制御するステージ制御部とを備える。ステージ制御部は、TFTピクセルのY方向のピッチ幅Pyと同期してX方向の走査幅方向と直交する方向にステージを送るステージ送り速度vyを可変とする。
ステージ送り速度vyを算出する演算部を備える。この演算部は、TFTピクセルのY方向のピッチ幅Pyから、荷電粒子ビームをX方向に一走査幅分だけ走査する間に、X方向の走査幅方向と直交するY方向にステージを送るステージ送り幅Lsyを求め、求めたステージ送り幅Lsyと一走査幅分だけ走査する走査時間Tとに基づいてステージ送り速度vyを算出する。
さらに、本発明のTFTアレイ検査装置の態様は、荷電粒子ビームをTFTアレイ上で二次元的に走査させ、この走査により得られる走査画像に基づいてTFTアレイ検査を行うTFTアレイ検査装置において、上述した走査ビーム装置を備える。
荷電粒子ビームをTFTアレイ上で二次元的に走査させ、この走査により得られる走査画像に基づいてTFTアレイ検査を行う。このTFTアレイ検査装置が備える走査ビーム装置は、TFTピクセルのピッチサイズに応じて、荷電粒子ビームを走査する走査領域幅を可変とする。
TFTアレイ検査装置が備える走査ビーム装置は、TFTピクセルのX方向のピッチ幅Pxが変化した場合であっても、荷電粒子ビームの走査範囲とステージ送りの範囲をこのピッチ幅Pxに合わせて可変とすることで、TFTピクセル上における荷電粒子ビームの照射位置のずれを防ぐことができ、TFTアレイおける検査位置の精度を向上させることができる。
TFTアレイ検査装置の走査ビーム装置は、走査領域のピッチサイズの可変状態と同期してTFTアレイを支持するステージの送りピッチおよび送り速度を可変とする。走査領域のピッチサイズは、TFTピクセルのピッチサイズに基づいて演算により算出する。走査領域幅は、二次元の同方向におけるTFTピクセルのピッチサイズの整数倍である。
TFTアレイを支持するとともに少なくとも二次元方向に移動するステージと、当該ステージを駆動制御するステージ制御部とを備える。ステージ制御部は、走査領域幅に基づいてステージの送りピッチおよび送り速度を設定する。
本発明によれば、TFT素子(ピクセル)内の荷電粒子ビームの位置精度を高めることができ、TFTアレイおける検査位置の精度を向上させることができる。
以下、本発明の実施の形態について、図を参照しながら詳細に説明する。
図1は、本発明の走査ビーム装置、及びTFTアレイ検査装置の構成例を説明するための概略ブロック図である。図1において、TFTアレイ検査装置1は、TFTアレイ上に荷電粒子ビームを走査する走査ビーム装置2と、荷電粒子ビームの走査で得られる二次電子によってTFTアレイ検査を行う検査装置10とを備える。
走査ビーム装置2は、荷電粒子ビーム源3、ビーム走査制御部4、ステージ5、ステージ制御部6、制御部7,演算部8等を備え、検査装置10は、検出器11及び信号処理部12を備える。
走査ビーム装置2において、荷電粒子ビーム源3はステージ5上に載置された基板に形成されたTFTアレイ上に電子ビーム等の荷電粒子ビームを照射する。走査ビーム装置2は、TFTアレイ上の荷電粒子ビームの照射位置を走査する構成として、荷電粒子ビームを偏向させることによってTFTアレイ上を走査させるビーム走査制御部4と、ステージ5を移動させるステージ制御部6を備える。
ビーム走査制御部4は、荷電粒子ビーム源3から放出される荷電粒子ビームを偏向させることによって、TFTアレイ上を照射する荷電粒子ビームの照射位置の移動を制御する。この照射位置の制御において、荷電粒子ビームの照射位置をX軸方向に移動させることによって、TFTアレイの各パスにおいて、パス内に配列されるピクセル上に荷電粒子ビームを順に照射する。
ステージ制御部6は、ステージ5の移動を制御する。ステージ制御部6による一制御態様では、荷電粒子ビームを走査領域のX軸方向の幅を走査する間に、基板上のY軸方向に、TFTアレイの1ピクセルのY方向の幅に相当する送り量を連続送りする。また、他の制御態様では、TFTアレイの1ピクセルのY方向の幅に相当する送り幅の基板上のY軸方向へのステージ送りと、荷電粒子ビームのX軸方向の走査とを交互に行って1パス内での荷電粒子ビームの走査を行う。
ステージを連続送りする態様では、荷電粒子ビームをX方向に一走査幅分だけ走査する間に、X方向の走査幅方向と直交するY方向にステージ送り速度vyでステージ送りする。このステージ送り速度vyは、TFTピクセルのY方向のピッチ幅Pyに基づいて可変とし、照射対象のTFTピクセルのピッチサイズの仕様に応じて変更する。
ステージ制御部6は、TFTピクセルのY方向のピッチ幅Pyと同期してX方向の走査幅方向と直交する方向にステージを送るステージ送り速度vyを可変とする。このステージ送り速度vyを可変とする構成は、例えば、TFTピクセルのピッチサイズの仕様と、このピッチサイズに対するステージ送り速度vyとの関係を予め求めて記憶しておき、TFTピクセルのピッチサイズを入力することで、ステージ送り速度vyを読み出すようにすることができる。ピッチサイズとステージ送り速度vyとの関係は、テーブルの形式あるいは演算式の形式で記憶手段等に記憶しておくことができる。
また、ステージ制御部6は、一パス内の走査領域が終了した後、隣接するパスの走査領域に移動する場合には、基板上のX軸方向において1パスの幅に相当するステージ送りを行う。このステージ移動によって、荷電粒子ビーム源3と次のパスとの位置合わせを行うことができる。
制御部7は、このビーム走査制御部4とステージ制御部6を制御し、基板上の走査範囲の切り換えと、この走査範囲内での荷電粒子ビームの走査を行う。上記した構成によって、荷電粒子ビームは、ビーム走査制御部4によるX軸方向の走査と、ステージ制御部6によるY軸方向の2種類の移動とによって、基板上に形成されたTFTアレイをパス毎に走査して各ピクセルに荷電粒子ビームを照射する。
各ピクセルにおいて、荷電粒子ビームの照射位置からは二次電子が放出される。検査装置10において、この二次電子を検出器11で検出し、検出した検出信号を信号処理部12で処理することによって、TFTアレイの各ピクセルの欠陥の有無や、短絡や断線等の欠陥種の判定等のTFTアレイ検査を行う。
本発明において、ビーム走査制御部4は、TFTピクセルのX方向のピッチ幅Pxに基づいて設定された走査幅Dxで荷電粒子ビームを走査し、また、ステージ制御部6は、X方向では走査幅Dxと同期して走査幅方向のステージ送り幅Lsxを可変に制御し、Y方向ではTFTピクセルのY方向のピッチ幅Pyと同期して走査幅方向と直交する方向のステージ送り幅Lsyおよびステージ送り速度vyを可変に制御する。
上記した、ビーム走査制御部4によるピッチ幅Pxに基づいた走査幅Dxによる走査、および、ステージ制御部6による走査幅Dxと同期したステージ送り幅Lsxによるステージ送り、およびピッチ幅Pyと同期したステージ送り幅Lsyないしステージ送り速度vyによるステージ送りを行うために、走査幅Dx、ステージ送り幅Lsy、ステージ送り速度vy等を算出する演算部8を備える。
演算部8は、ピクセルサイズを入力し、入力したピクセルサイズに基づいて走査幅Dxを算出する。より詳細には、演算部8は、TFTピクセルのX方向のピッチ幅Pxを入力し、荷電粒子ビームのX方向の走査範囲に含まれる走査点数Nsを算出し、算出した走査点数NsとTFTピクセルのX方向のピッチ幅Pxから荷電粒子ビームがTFTアレイ上をX方向に走査する走査幅Dxを算出する。
また、演算部8は、TFTピクセルのY方向のピッチ幅Pyから、荷電粒子ビームをX方向に一走査幅分だけ走査する間に、X方向の走査幅方向と直交するY方向にステージを送るステージ送り幅Lsyを求め、求めたステージ送り幅Lsyと一走査幅分だけ走査する走査時間Tとに基づいてステージ送り速度vy(=Lsy/T)を算出する。なお、走査時間Tには、荷電粒子ビームを一走査幅分だけ移動させるに要する時間の他に、荷電粒子ビームを走査の終点端から始点端に戻すための帰還時間も含まれる。
図2は、ピクセルのサイズと、走査領域幅およびステージの送りピッチ、送り速度との関係を説明するための図である。
ピクセル20は、X方向ピッチPxとY方向ピッチPyのピッチサイズを有するものとする(図2中のA)。本発明は、このピクセル20のピッチサイズ(Px,Py)に応じて荷電粒子ビームを照射して走査する走査領域30のピッチサイズを定める(図2中のB)。
例えば、ピクセルのピッチサイズとして、X方向ピッチPx=99μm、Y方向ピッチPy=297μmである場合において、一つの走査領域内にX方向に474個、Y方向に10個のピクセルを設定するには、走査領域のX方向のピッチを474・99μm=46.926mmに設定し、走査領域のY方向のピッチを10・297μm=2.97mmに設定する。
また、ピクセルのピッチサイズとして、X方向ピッチPx=264μm、Y方向ピッチPy=88μmである場合において、一つの走査領域内にX方向に178個、Y方向に34個のピクセルを設定するには、走査領域のX方向のピッチを178・264μm=46.992mmに設定し、走査領域のY方向のピッチを34・88μm=2.992mmに設定する。
この走査領域30内のX方向の走査は、走査領域30内で荷電粒子ビームをX方向に振らせることによって行う。
さらに、ステージの移動量をピクセル20のピッチサイズ(Px,Py)に応じて定める。この走査領域30内においてY方向の走査を行うためにステージをY方向に移動する。このY方向のステージ移動において、ステージの送り幅Lsyおよび送り速度vyをピクセル20のピッチサイズPyに応じて定める(図2中のC)。
また、荷電粒子ビームを照射するパスを移動させるために、ステージをY方向に移動する。このY方向のステージ移動において、ステージの送り幅Lsxをピクセル20のピッチサイズPxに応じて定める(図2中のD)。このステージの送りピッチおよび送り速度は、走査領域幅の可変状態と同期して可変とする。
以下、図3の概略説明図を用いて、ピクセルのX方向のピッチサイズと、走査領域のX方向のピッチおよびステージのX方向の送りピッチとの関係を説明し、図4のフローチャートおよび図5の説明図を用いて、演算部による走査幅Dxの算出について説明する。
図3において、走査領域30(30a,30b)のX方向のピッチサイズは、ピクセル20のX方向ピッチPx(図3中のA)に応じて設定し、荷電粒子ビームを走査するビーム走査幅Dxとする(図3中のB)。この走査領域30のX方向のピッチサイズおよびビーム走査幅Dxの設定は、例えば、一走査領域においてX方向に配置するピクセル20の個数nxとピクセル20のX方向ピッチPxの積(Px・nx)で定めることができる。
図3において、走査領域30aと走査領域30bは、隣接するパスにおける各走査領域を示している。一つのパス内での走査が終了した後、ステージを移動して荷電粒子源と次のパスとの位置合わせを行い、移動後のパスにおける走査領域30bについて走査を行う。
走査領域30aから走査領域30bへの移動は、ステージをX方向送り幅LsxだけX方向に移動させることで行う。このステージのX方向送り幅Lsxは、走査領域30のX方向のピッチサイズを用いることができ、ピクセルのX方向のピッチサイズに応じて可変とする。
次に、図4のフローチャートおよび図5の説明図を用いて、演算部による走査幅Dxの算出について説明する。
はじめに、TFTピクセルのX方向のピッチ幅Pxを入力値として入力する(S1)。次に、ステージをパス間で移動させて走査範囲を切り換える際に、ステージをX方向に移動させる初期値として定められている移動量(X方向ステージ移動初期幅)Ls*を取得する。このX方向ステージ移動初期幅Ls*は、制御部7あるいは演算部8が備える記録手段(図示しない)に、初期値、あるいは前回の走査で用いたX方向ステージ移動量として記憶しておき、この値を読み出すことで取得することができる(S2)。
次に、入力したピッチ幅Pxと取得したX方向ステージ移動初期幅Ls*を用いて、走査点数Nsを算出する。走査点数Nsは、Ns=(Ls*/(Px/2)+0.5)の整数部分によって算出することができる。ここで、走査点数Nsは、荷電粒子ビームがTFTアレイ上をX方向に走査する走査幅Dxの範囲内において、照射を行う荷電粒子ビームの個数である。
図5(a)は走査幅Dxを定める前の状態を示し、図3(b)は走査幅Dxを定めた後前の状態を示している。
図5(a)の状態において、走査幅DxはX方向ステージ移動初期幅Ls*に設定されている。ここで、入力したピッチ幅Px内に2点の走査点を設定する場合には、1走査当たりの長さは(Px/2)となり、走査幅Dx内にLs*/(Px/2)個の走査点を含むことになる。Ls*/(Px/2)で定まる走査点数は必ずしも整数とならない。そこで、(Ls*/(Px/2)+0.5)の整数部分を走査点数Nsとして算出する。なお、上記演算において、走査点をピクセルの端部ではなくピクセルの内側に設定するために0.5を加算している。
次に、X方向の走査幅Dxを算出する。この算出した走査幅DxはX方向のステージ移動幅Lsに対応する。走査幅DxはDx=Ns・(Px/2)によって算出することができる。図5(b)は、ピッチ幅Pxと走査幅Dxを示している。入力したピッチ幅Pxから定まる走査点間の距離(Px/2)に1パス内に含む走査点数Nsを乗算することによって、1パスにおける走査幅Dxを定めると共に、この走査幅Dxをステージの移動幅Lsxとして設定する。
上記設定によって、1パスの走査幅Dxはピッチ幅Pxに応じた幅に設定されるため、パスの走査幅Dx内における走査点の位置はパス間で一致し、荷電粒子ビームの走査位置のずれは解消される。
図6は、本発明による走査幅Dxの設定において、各パスにおけるピクセルのピッチ幅Pxと走査幅Dxおよびステージの移動幅Lsxの間の関係を示し、図6(a)はパス1の状態を示し、図4(b)はパス2の状態を示している。パス1およびパス2のいずれにおいても、入力したピクセルのピッチ幅Pxに応じて走査幅Dxとステージの移動幅Lsxが定まるため、各パスに含むピクセルは整数個となり、各ピクセルに対する走査点の位置についての位置ずれは生じない。
以下、図7のフローチャートおよび図8の説明図を用いて、走査幅Dxの算出について説明する。
はじめに、TFTピクセルのY方向のピッチ幅Pyを入力値として入力する(図8中のA)(S11)。
次に、走査領域において、荷電粒子ビームを走査幅方向(X方向)に移動する間におけるY方向のビーム走査幅Dyを算出する。このビーム走査幅Dyは、TFTピクセルのY方向のピッチ幅Pyと同一の値とすることができる。このビーム走査幅Dyは、荷電粒子ビームを走査幅方向(X方向)に移動する間に、ステージがY方向に移動するステージ移動幅Lsyである。したがって、これらの間にはLsy=Dy=Pyの関係が成り立っている(図8中のB)(S12)。
さらに、ステージのY方向の送り速度vyを算出する。この送り速度vyは、例えば、ステージ移動幅Lsyを、荷電粒子ビームが走査領域のX方向の走査幅Dxを走査するに要する時間T1と、走査領域のX方向の終点端から始点端まで荷電粒子ビームを戻すに要する時間T2との和の時間Tで除算する演算(vy=Lsy/T)を行うことで求めることができる(図8中のC)(S13)。
1走査領域のX方向に配置されるピクセルの個数は、上述したように、例えば、ピクセルサイズが横99μm×縦297μmの場合には横方向に474個のピクセルが配列され、ピクセルサイズが横264μm×縦88μmの場合には横方向に178個のピクセルが配列されるが、図8では、説明を簡略とするために1走査領域のX方向に4個のピクセルを配列し状態を示している。図中の丸印は荷電粒子ビームの照射位置を模式的に示している。
図8は、ステージの移動状態を破線で示している。時刻t1ではピクセル20aに荷電粒子ビームを照射し、時刻t2ではピクセル20bに荷電粒子ビームを照射し、時刻t3ではピクセル20cに荷電粒子ビームを照射し、時刻t4ではピクセル20dに荷電粒子ビームを照射する状態を示している。ピクセル20b,20c,20dは、ステージがY方向(図中の上方)に移動した後の位置を示している。
なお、このとき、荷電粒子源の位置は固定されているため、移動する照射位置に荷電粒子ビームを照射するために、荷電粒子ビームの照射方向を偏向させて合わせる。これにより、X方向に配列されるピクセル20a〜20d上のX方向の一走査ライン上に荷電粒子ビームが照射される。
本発明の態様によれば、ステージのY方向の送り速度vyは、ピクセル20のY方向のピッチサイズPyの可変状態に応じて可変とし、走査領域のX方向の走査幅を走査する間に、ピクセル20のピッチサイズPy分ステージを移動することによって、各ピクセルに対して位置ずれすることなく荷電粒子ビームを照射することができる。
本発明の走査ビーム装置は、電子線マイクロアナライザ、走査電子顕微鏡、X線分析装置等に適用することができる。
1…TFTアレイ検査装置、2…走査ビーム装置、3…荷電粒子ビーム源、4…ブーム走査制御部、5…ステージ、6…ステージ制御部、7…制御部、8…演算部、10…検査装置、11…検出器、12…信号処理部、20…ピクセル、30、30a、30b…走査領域。
Claims (16)
- 荷電粒子ビームの照射対象をマトリックス状に配置している試料上で荷電粒子ビームを二次元的に走査する走査ビーム装置において、
前記照射対象のピッチサイズに応じて、荷電粒子ビームを走査する走査領域幅を可変とすることを特徴とする、走査ビーム装置。 - 前記走査領域幅の可変状態と同期してステージの送りピッチおよび送り速度を可変とすることを特徴とする、請求項1に記載の走査ビーム装置。
- 前記走査領域幅は、前記照射対象のピッチサイズに基づいて演算により算出することを特徴とする、請求項1又は2に記載の走査ビーム装置。
- 前記走査領域の二次元の各方向の大きさは、前記照射対象の同じ方向のピッチサイズの整数倍であることを特徴とする、請求項3に記載の走査ビーム装置。
- 前記試料を支持するとともに少なくとも二次元方向に移動するステージと、当該ステージを駆動制御するステージ制御部とを備え、
前記ステージ制御部は、前記走査領域幅に基づいてステージの送りピッチおよび送り速度を設定することを特徴とする、請求項1から4の何れか1つに記載の走査ビーム装置。 - 荷電粒子ビームをTFTアレイ上で二次元的に走査させる走査ビーム装置において、
荷電粒子ビームをTFTアレイ上でX方向に走査させる走査幅Dxを、TFTピクセルのX方向のピッチ幅Pxに基づいて可変とし、
前記走査幅Dxに基づいて走査幅方向のステージ送り幅Lsxを可変とすることを特徴とする、走査ビーム装置。 - 荷電粒子ビームの走査を制御するビーム走査制御部と、
TFTアレイを支持するステージのステージ送りを制御するステージ制御部とを備え、
前記ビーム走査制御部は、TFTピクセルのX方向のピッチ幅Pxに基づいて設定された走査幅Dxで荷電粒子ビームを走査し、
前記ステージ制御部は、前記走査幅Dxと同期して走査幅方向のステージ送り幅Lsxを可変とすることを特徴とする、請求項6に記載の走査ビーム装置。 - TFTピクセルのX方向のピッチ幅Pxから荷電粒子ビームのX方向の走査範囲に含まれる走査点数Nsを算出し、
前記算出した走査点数NsとTFTピクセルのX方向のピッチ幅Pxから荷電粒子ビームがTFTアレイ上をX方向に走査する走査幅Dxを算出する演算部を備えることを特徴とする、請求項6又は7に記載の走査ビーム装置。 - 荷電粒子ビームをTFTアレイ上で二次元的に走査させる走査ビーム装置において、
荷電粒子ビームをX方向に一走査幅分だけ走査する間に、X方向の走査幅方向と直交するY方向にステージを送るステージ送り速度vyをTFTピクセルのY方向のピッチ幅Pyに基づいて可変とすることを特徴とする、走査ビーム装置。 - 荷電粒子ビームの走査を制御するビーム走査制御部と、
TFTアレイを支持するステージのステージ送りを制御するステージ制御部とを備え、
前記ステージ制御部は、TFTピクセルのY方向のピッチ幅Pyと同期してX方向の走査幅方向と直交する方向にステージを送るステージ送り速度vyを可変とすることを特徴とする、請求項9に記載の走査ビーム装置。 - TFTピクセルのY方向のピッチ幅Pyから、荷電粒子ビームをX方向に一走査幅分だけ走査する間に、X方向の走査幅方向と直交するY方向にステージを送るステージ送り幅Lsyを求め、当該ステージ送り幅Lsyと前記一走査幅分だけ走査する走査時間Tとに基づいて前記ステージ送り速度vyを算出する演算部を備えることを特徴とする、請求項9又は10に記載の走査ビーム装置。
- 荷電粒子ビームをTFTアレイ上で二次元的に走査させ、この走査により得られる走査画像に基づいてTFTアレイ検査を行うTFTアレイ検査装置において、
前記TFTピクセルのピッチサイズに応じて、荷電粒子ビームを走査する走査領域幅を可変とすることを特徴とする、TFTアレイ検査装置。 - 前記走査領域幅の可変状態と同期してTFTアレイを支持するステージの送りピッチおよび送り速度を可変とすることを特徴とする、請求項12に記載のTFTアレイ検査装置。
- 前記走査領域幅は、前記TFTピクセルのピッチサイズに基づいて演算により算出することを特徴とする、請求項12又は13に記載のTFTアレイ検査装置。
- 前記走査領域幅は、二次元の同方向における前記TFTピクセルのピッチサイズの整数倍であることを特徴とする、請求項14に記載のTFTアレイ検査装置。
- 前記TFTアレイを支持するとともに少なくとも二次元方向に移動するステージと、当該ステージを駆動制御するステージ制御部とを備え、
前記ステージ制御部は、前記走査領域のピッチサイズに基づいてステージの送りピッチおよび送り速度を設定することを特徴とする、請求項12から15の何れか1つに記載のTFTアレイ検査装置。
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