JP2008007724A - 水性粘着剤組成物および粘着シート - Google Patents

水性粘着剤組成物および粘着シート Download PDF

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Abstract

【課題】表皮材をはじめとする難接着性な自動車内装材基材への投錨性及び接着性に乏しいポリオレフィン被着体への接着性に優れ、高温雰囲気下における接着保持力及び耐曲面反発性に優れた粘着剤層を形成し得る水性粘着剤組成物を提供すること。
【解決手段】カルボニル基含有ポリマーのエマルジョン(G)と、分子中に2個以上のヒドラジノ基を含む化合物(H)と、沸点が100℃以下のケトン系溶剤(I)とを含有する水性粘着剤組成物であって、
前記カルボニル基含有ポリマーのエマルジョン(G)を構成するポリマーのガラス転移温度が−10〜−70℃であり、テトラヒドロフラン可溶分のゲルパーミーエーションクロマトグラムの最大値を示す分子量が、30万〜80万である事を特徴とする水性粘着剤組成物。
【選択図】 なし

Description

本発明は、高温雰囲気下における接着保持力及び耐曲面反発性に優れた粘着剤層が形成可能な水性粘着剤組成物及びそれを用いてなる粘着シートに関する。詳しくは、表皮材に代表される難接着性な自動車内装材基材への投錨性及び接着性に乏しいポリオレフィン被着体への接着性に優れた粘着剤層が形成可能な水性粘着剤組成物及びそれを用いてなる粘着シートに関する。
従来から、表皮材などの自動車内装材基材を自動車室内に装着させる方法として、有機溶剤を含有する溶剤型接着剤を内装材基材にスプレー塗装して貼りつける方法が一般的であった。しかしながらこの方法によった場合、接着剤の染み出しやリワーク性が問題となり、あらかじめ内装材基材に粘着剤層が設けられた粘着シートの利用が望まれていた。
また近年、環境問題として大気中へのVOCの放出規制,現場作業環境の改善のため、接着剤の脱有機溶剤化の要求が強くなってきている。
このような状況のもと、自動車内装材基材としての表皮材などを基材としてなる粘着シートの粘着剤層の形成に好適に使用できる水性粘着剤の開発が切望されていた。
しかしながら、溶剤型と比較して、エマルジョン型粘着剤を構成するポリマーは高分子量であるため、例えば自動車内装材を基材とした場合、粘着剤層が基材に投錨しずらく、基材と粘着剤層との間での剥離が生じやすい傾向にある。
そのため連鎖移動剤を用い、ポリマーの分子量を調整する事により、またはポリマーのガラス転移温度を低く設定する事により、投錨性を上げ、基材への接着力を増加させる方法が一般に行われている。しかし、ポリマーの低分子量及び硬度不足からくる凝集力低下のために耐熱性不足が認められる。この傾向は、例えば、自動車内装材を自動車室内の天井部材として使用する場合等、基材が高温にさらされる状態の時に特に顕著となり、接着力や接着保持力等の粘着物性の低下が著しく、内装材基材が粘着剤層から剥がれてくる等の問題が生じる。よって、投錨性と耐熱性を両立させる事は従来困難であった。
また、被着体がポリオレフィン系の時には、被着体に対する十分な接着力が得られにくいという問題があった。
この点を改善するには、従来、粘着剤に粘着付与剤樹脂を添加する事が一般に行われており、十分な接着力を得るには、粘着付与樹脂の添加量をある程度増大させる必要があった。
しかしながら、粘着付与樹脂の添加量を増大すると、接着剤層の凝集力、特に高温下における凝集力が損なわれやすく、接着保持力が低下する傾向にあり、接着性と耐熱性を両立させる事は従来困難であった。
他方、アクリルエマルジョン系粘着剤の耐熱性を高めるために、粘着剤の主成分であるアクリル系共重合体中に架橋性単量体を導入した場合、耐熱性は高められるものの、架橋速度が速すぎて皮膜成形時に硬くなり、自動車内装材基材に対する投錨性及びポリオレフィン系表面に対する接着性が著しく低下する傾向にある。
以上の事から有機溶剤型接着剤の代替品としての、高温雰囲気下における接着保持力、耐曲面反発性などの粘着特性のバランスを満足するエマルジョン型水性粘着剤は開発されていない。
また、特許文献1には、アクリル系共重合体と、石油樹脂系粘着付与剤樹脂と、エラストマーとを含有する発泡体用水性エマルジョン型粘着剤が開示されている(特開平7−179835号公報参照)。
しかしながら特許文献1に開示されているエマルジョン型粘着剤では、現在の自動車製造メーカーの製品規格を満足することは困難である。
また、特許文献2には、アクリル系共重合体と、軟化温度が100℃以上のロジン系粘着付与樹脂とを含有する発泡体用水性エマルジョン型粘着剤が開示されている(特開平11−131034号公報参照)。
しかし、特許文献2に開示される粘着剤は、ロジン系粘着付与樹脂が多量に配合されているため、粘着剤層の凝集力、特に高温雰囲下における凝集力が損なわれやすく、接着保持力が十分に得られないことに加え、難接着基材である自動車内装材基材への投錨性も不十分である。
また、特許文献3には、カルボニル基含有ポリマーエマルジョンと2個以上のヒドラジノ基とを含む化合物に、沸点200℃以下の低分子カルボニル化合物を配合する事により、貯蔵安定性に優れた水性架橋性樹脂組成物が得られる旨が開示されている(特開平5−222296号公報参照)。
しかしながら、特許文献3に開示の組成物は、樹脂分の可溶化率が高いため、樹脂の強度が弱く、粘着剤として使用した場合には、特に得られる粘着剤層の凝集力が不十分となりやすい。
また、特許文献4には、カルボニル基含有ポリマーエマルジョンと2個以上のヒドラジノ基を含む化合物に、高沸点ケトン溶剤を配合する事により、貯蔵安定性に優れた水性インキ用組成物が得られる旨が開示されている(特開平11−172168号公報参照)。
しかし、特許文献4に開示されるケトン溶剤は高沸点であるため、乾燥工程を経た後の皮膜にケトン溶剤が多量に残留し、臭気が問題となり、さらには粘着物性へ悪影響を及ぼす。
特開平7−179835号公報 特開平11−131034号公報 特開平5−222296号公報 特開平11−172168号公報
本発明の課題は、表皮材をはじめとする難接着性な自動車内装材基材への投錨性及び接着性に乏しいポリオレフィン被着体への接着性に優れ、高温雰囲気下における接着保持力及び耐曲面反発性に優れた粘着剤層を形成し得る水性粘着剤組成物を提供する事である。
本発明は、カルボニル基含有ポリマーのエマルジョン(G)と、分子中に2個以上のヒドラジノ基を含む化合物(H)と、沸点が100℃以下のケトン系溶剤(I)とを含有する水性粘着剤組成物であって、
前記カルボニル基含有ポリマーのエマルジョン(G)を構成するポリマーのガラス転移温度が−10〜−70℃であり、テトラヒドロフラン可溶分のゲルパーミーエーションクロマトグラムの最大値を示す分子量が、30万〜80万である事を特徴とする水性粘着剤組成物に関する。
また、本発明は、カルボニル基含有ポリマーのエマルジョン(G)が、エチレン性不飽和二重結合とカルボニル基とを有する単量体(a1)と、スチレン、α−メチルスチレン及びベンジル(メタ)アクリレートからなる群より選ばれる少なくとも一種の単量体(a2)並びに前記単量体(a1)(a2)と共重合可能なその他のラジカル重合性単量体(a3)を、乳化剤(B)及び水性媒体(C)の存在下に重合してなる事を特徴とする上記発明の水性粘着剤組成物に関する。
さらに本発明は、その他のラジカル重合性単量体(a3)が、分子中にエチレン性不飽和二重結合を2個以上有する単量体を含まない事を特徴とする上記発明の水性粘着剤組成物に関する。
また、本発明は、乳化剤(B)が、ラジカル重合性の官能基を有さない非反応性乳化剤である事を特徴とする上記発明の水性粘着剤組成物に関する。
また、本発明は、スチレン、α−メチルスチレン及びベンジル(メタ)アクリレートからなる群より選ばれる少なくとも一種の単量体(a2)が、重合に使用する単量体の合計100重量%中に、1〜8重量%である事を特徴とする上記発明の水性粘着剤組成物に関する。
また、本発明は、カルボニル基含有ポリマーのエマルジョン(G)中のポリマーのカルボニル基1モルに対して、2個以上のヒドラジノ基を含む化合物(H)中のヒドラジノ基が0.5〜5モルであり、かつ、2個以上のヒドラジノ基を含む化合物(H)中のヒドラジノ基1モルに対して、沸点が100℃以下のケトン系溶剤(I)中のカルボニル基が1〜7モルである事を特徴とする上記発明の水性粘着剤組成物に関する。
また、本発明は、剥離処理されていないシート状基材に、上記いずれかの発明の水性粘着剤組成物から形成される粘着剤層(2)が積層されてなる粘着シートに関する。
また、本発明は、剥離処理されていないシート状基材と剥離シートとが、上記いずれかの発明の水性粘着剤組成物から形成される粘着剤層(2)を介して積層されてなる事を特徴とする粘着シートに関する。
また、本発明は、剥離処理されていないシート状基材が、自動車内装材基材である事を特徴とする上記発明の粘着シートに関する。
また、本発明は、自動車内装材基材が表皮材であることを特徴とする上記発明の粘着シートに関する。
さらに、本発明は、剥離シートに、上記いずれかの発明の水性粘着剤組成物を塗工、乾燥し、粘着剤層(1)を形成し、該粘着剤層(1)に剥離処理されていないシート状基材を積層し、前記粘着剤層(1)を硬化する事を特徴とする粘着シートの製造方法に関する。
さらにまた、本発明は、剥離処理されていないシート状基材が、自動車内装材基材である事を特徴とする上記発明の粘着シートの製造方法に関する。
本発明によって、従来のエマルジョン型粘着剤の問題であった、表皮材をはじめとする難接着性な自動車内装材基材への投錨性及び接着性に乏しいポリオレフィン被着体への接着性に優れ、高温雰囲気下における接着保持力及び耐曲面反発性に優れた粘着剤層を形成し得る水性粘着剤組成物を提供する事ができるようになった。
本発明の水性粘着剤組成物を構成する成分あるカルボニル基含有ポリマーのエマルジョン(G)について説明する。
カルボニル基含有ポリマーのエマルジョン(G)は、エチレン性不飽和二重結合とカルボニル基とを有する単量体(a1)を必須成分とし、必要に応じその他の共重合可能な単量体とともに乳化重合することにより得ることができるが、好ましくは下記の単量体(a2)(a3)と共に乳化重合してなるものである。
ポリマーのエマルジョン(G)を得るために使用する単量体(a1)は、エチレン性不飽和二重結合とカルボニル基とを分子中に有するものである。
該単量体(a1)は、カルボニル基、すなわち、分子中に2個以上のヒドラジノ基を含む化合物(H)と架橋反応する、ケト基(狭義のカルボニル基)あるいはアルド基(アルデヒド基)を、カルボニル基含有ポリマーのエマルジョン(G)中の分散粒子、即ち単量体から形成される共重合体中に導入する機能を担う。共重合体中に導入されたカルボニル基は、後述する分子中に2個以上のヒドラジノ基を含む化合物(H)と反応し、接着剤層の硬化に寄与する。
単量体(a1)としては、具体的には、
(メタ)アクロレイン;
ビニルメチルケトン、ビニルエチルケトン、ビニルイソブチルケトン、さらに長鎖もしくは分岐したアルキルビニルケトンなどのアルキルビニルケトン;
ホルミルスチロール;
ジアセトン(メタ)アクリレート、アセトアセトキシエチル(メタ)アクリレートなどのケト基を有する(メタ)アクリレート;
ダイアセトンアクリルアマイド等が例示できる。特に好ましいのはダイアセトンアクリルアマイド、アクロレイン等である。これらの単量体は単独で用いてもよく、あるいは2種以上併用してもよい。
エチレン性不飽和二重結合とカルボニル基とを有する単量体(a1)の使用割合は、乳化重合に使用される単量体の合計100重量%中、0.05〜1重量%であることが好ましく、より好ましくは0.1〜0.4重量%である。
使用割合が0.05重量%より少ないと、粘着剤の架橋速度が低下するばかりでなく、十分な架橋密度が確保しにくくなり、耐熱性、耐水性などが不十分となる傾向にある。他方、使用割合が1重量%より多いと、粘着性の低下を招きやすく、コスト高を招く。
本発明においては、粘着剤に良好な耐熱性を付与するために、スチレン、α−メチルスチレン及びベンジル(メタ)アクリレートからなる群より選ばれる少なくとも一種の単量体(a2)を用いることが好ましい。
スチレン、α−メチルスチレン及びベンジル(メタ)アクリレートからなる群より選ばれる少なくとも一種の単量体(a2)の使用割合は、乳化重合に使用される単量体の合計100重量%中、1〜8重量%であることが好ましく、より好ましくは3〜6重量%である。
使用割合が、1重量%以下であると難接着性な自動車内装材基材への投錨性が低下する傾向にあり、耐熱性を得るにも不十分な量である。他方、8重量%よりも多いと、得られる共重合体の分子量が低くなり、所望の耐熱性が得られにくく、高温雰囲気下における接着保持力が低下する傾向を示す。
ここで、単量体(a2)の作用効果について説明する。
共重合に供する単量体として、芳香族系単量体を用いた場合、得られる共重合体の分子量は低下傾向を示し、それにより基材に対する投錨性の向上効果が発現するものと従来より考えられている。しかしながら、共重合体の分子量の低下は、耐熱性の低下を引き起こしやすいため、芳香族系単量体を使用するにあたってはその選択が重要となる。
ここに、本発明のごときエマルジョン樹脂の分子量について議論するにあたって、エマルジョン樹脂は非常に高分子量であるため、一般的な有機溶剤には溶解せず、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(以下、「GPC」と称す)などような常用の測定方法では分子量の測定が不可能な場合が多い。
そのため、得られた樹脂の、有機溶剤中に溶解した成分の分子量を測定し、その分子量の大小をもって、エマルジョン樹脂の分子量の大小を見積もるということが従来よりおこなわれている。
本発明に至る検討途上において、単量体(a2)を使用せずに得られ、かつ、テトラヒドロフラン(以下、「THF」と称す)可溶分のGPC測定による重量平均分子量(Mw)が同程度である樹脂と比較した場合、単量体(a2)を含有する樹脂は、可溶分のMwが同程度であるにも関わらず、ゲルパーミエーションクロマトグラムの最大値、すなわちピークに相当する分子量が高いという特徴を見出した。
詳細な機構は不明であるが、上記の特徴ゆえに、単量体(a2)を含む共重合体から得られる粘着剤は、格別に優れた投錨性と耐熱性との両立を果たすことができたものと考えられる。
本発明では、単量体(a2)として、耐熱性の観点からスチレンを使用することが特に望ましい。単量体(a2)としてスチレンを使用した場合に、特に良好な耐熱性を得ることが可能である。
次に、単量体(a3)について説明する。
本発明で使用する単量体(a3)は、必要に応じて、形成される共重合体のガラス転移温度(Tg)が、−10〜−70℃となるように前記単量体(a1)(a2)と共重合することが好ましい。
単量体(a3)としては、例えば、
アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸ブチル、アクリル酸−2−エチルヘキシル等のアクリル酸エステル類;
メタクリル酸エチル、メタクリル酸ブチル、メタクリル酸2−エチルヘキシル、メタクリル酸シクロヘキシル等のメタクリル酸エステル類;
アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、マレイン酸、2−メタクリロイルプロピオン酸等の不飽和基含有各種カルボン酸;
酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、第3級カルボン酸ビニル等のビニルエステル類;
ビニルピロリドンの如き複素環式ビニル化合物;
エチレン、プロピレン等の如きα−オレフィン類;
ブタジエンの如きジエン類;
グリシジルメタクリレート,アリルグリシジルエーテル等のグリシジル基含有単量体;
2−ヒドロキシエチルメタクリレート等の水酸基含有単量体;
ジメチルアミノエチルメタクリレート等のアミノ基含有単量体;
アクリルアミド等のカルボン酸アミド基含有単量体;
ジメチルビニルメトキシシラン等の不飽和結合含有シラン化合物;
アクリロニトリル等のシアノ基含有単量体;
ジビニルベンゼン等の多官能ビニル単量体;
などを挙げる事ができる。
本発明の、カルボニル基含有ポリマーのエマルジョン(G)を構成するポリマーのガラス転移温度は−10〜−70℃であることが重要であり、−35〜―55℃であることが好ましい。
ポリマーのガラス転移温度が−10℃よりも高いと、自動車内装材基材への投錨性及びポリオレフィン被着体への接着性が不十分となり易い。他方、ポリマーのガラス転移温度が−70℃未満の場合、高温雰囲気下における接着保持力は不十分である。
本発明におけるポリマーのガラス転移温度(Tg)は下記の式[I]により理論的に導かれる。
1/Tg=[(W1/Tg1)+(W2/Tg2)+・・・・(Wn/Tgn)]/100 [I]
ただし、
W1:単量体1の重量%、Tg1:単量体1のみから形成され得るホモポリマーのガラス転移温度(°K)、
W2:単量体2の重量%、Tg2:単量体2のみから形成され得るホモポリマーのガラス転移温度(°K)、
Wn:単量体nの重量%、Tgn:単量体nのみから形成され得るホモポリマーのガラス転移温度(°K)、
(ここに、W1+W2+・・・・+Wn=100)
尚、ラジカル重合性不飽和単量体を水性媒体中で重合する際に乳化剤として、ラジカル重合性不飽和基を有するものを使用する場合には、ラジカル重合性不飽和単量体の構成の特定及び共重合体のTgの計算に際して、ラジカル重合性不飽和基を有する乳化剤は単量体には含めないものとする。
本発明では、単量体(a3)として、分子中にエチレン性不飽和二重結合を2個以上有する単量体、例えばジビニルベンゼン、ジアリルフタレートに代表される多官能ビニル単量体を使用しないことが好ましい。
アクリルエマルジョン系粘着剤の耐熱性を高めるために、粘着剤の主成分であるアクリル系共重合体中に上記のような単量体を導入した場合、粘着剤自体の耐熱性は高められるものの、皮膜成形時に硬くなり自動車内装材基材に対する投錨性及びポリオレフィン系表面に対する接着性が低下する傾向にある。
本発明に使用するカルボニル基含有のポリマーエマルジョン(G)の水分散粒子の平均粒子径は、好ましくは250nm以上、より好ましくは400〜800nmである。平均粒子径が250nm未満では、エマルジョンの粘度が高くなりすぎ、粘着剤としてのロール塗工性が低く、一方、800nmを超えると、粘着剤の耐水性が低下し、また被着体に対する粘着力が低下する。なお、このエマルジョンの平均子粒径は、動的光散乱法などの公知の方法で求めることができる。また、この平均粒子径は、例えば反応容器への乳化剤の仕込み量で調整することができる。
本発明においては、カルボニル基含有ポリマーのエマルジョン(G)を構成するポリマ−のテトラヒドロフラン可溶分のゲルパーミーエーションクロマトグラムの最大値を示す分子量が、30万〜80万であることが重要であり、50万〜80万であることが好ましい。30万未満では、高温雰囲気下における接着保持力は低下する傾向にある。他方、80万を超えると、表皮材などの自動車内装材基材への投錨性及びポリオレフィン被着体への接着性が不十分となり易い。
本発明における分子量測定方法は以下の通りである。
すなわち、ポリマーエマルジョンをポリエチレンテレフタレート(PET)フィルムに乾燥膜厚が約20g/m2となるように塗工し、25℃で24時間乾燥して得られた乾燥皮膜を、THF中に25℃で1日間浸漬する。その後、THFをフィルターで濾過後、GPC測定を行う。
なお、GPCの測定条件は以下のとおりである。
装置:Shodex GPC System−21〔昭和電工(株)製〕
カラム:Shodex KF−602.5を1本、Shodex KF−606Mを2本〔昭和電工(株)製〕の合計3本を連結して使用。
溶媒:テトラヒドロフラン
流速:0.5ml/min
温度:40℃
試料濃度:0.1wt%
試料注入量:50μl
カルボニル基含有ポリマーのエマルジョン(G)は、40〜90℃の温度で乳化重合をおこなうことによって得ることができる。
カルボニル基含有ポリマーのエマルジョン(G)の固形分濃度は、広い範囲にわたって変えられるが、円滑な製造および実用上の制約の両面から考えて、30〜70重量%が適当である。
得られたカルボニル基含有ポリマーのエマルジョン(G)は、揮発性塩基化合物で中和して使用することが好ましい。
揮発性塩基化合物としては、アンモニア;アミン類として、モノエチルアミン、ジメチルエタノールアミン、メチルプロパノールアミンなどが使用される。これらは単独でも、2種以上を組み合わせて使用してもよい。
本発明において使用される重合開始剤について説明する。
本発明において用いることが出来るラジカル重合開始剤としては、例えば、過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウム、過硫酸ナトリウム等の過硫酸塩類、アゾビスイソブチロニトリル及びその塩酸塩、2,2−アゾビス(2−アミジノプロパン)二塩酸塩、4,4−アゾビス(4−シアノ吉草酸)等のアゾ系開始剤、過酸化水素、ターシャリーブチルハイドロパーオキサド等の過酸化物系開始剤等が挙げられる。
また、これらラジカル開始剤と還元剤とを併用し、レドックス重合することもできる。併用可能な還元剤としては、ピロ亜硫酸ソーダ、L−アスコルビン酸等が挙げられる。
重合開始剤の使用量は、乳化重合に使用する単量体の合計100重量部に対し0.3〜1重量部であることが好ましく、0.4〜0.8重量部であることがより好ましい。即ち、1重量部よりも多い量を用いると耐水性の低下をきたす傾向にあり、また0.3重量部未満の量であると重合安定性に問題が生じ易い。
カルボニル基含有ポリマーのエマルジョン(G)を得る際には、乳化剤(B)はアニオン乳化剤単独でも、ノニオン乳化剤との併用で使用するのも良い。使用量は、乳化重合に使用する単量体の合計100重量部に対し0.1〜10重量部であることが好ましく、0.5〜5重量部であることがより好ましい。即ち、5重量部を超えると耐水性の低下をきたす場合があり、また0.1重量部未満であると重合安定性に問題が生じる場合がある。
また、乳化剤(B)は、ラジカル重合性の官能基を有する反応性乳化剤であってもよいし、ラジカル重合性の官能基を有さない非反応性乳化剤であってもよいし、あるいは両者を併用してもよいのであるが、表皮材をはじめとする自動車内装材基材への投錨性の点で、ラジカル重合性の官能基を有さない非反応性乳化剤のみを使用する事が好ましい。反応性乳化剤は耐熱性の観点から有利ではあるが、その効果以上の投錨性悪化という弊害を招きやすい。
本発明において用いられる乳化剤(B)のうち、ラジカル重合性の官能基を有さない非反応性乳化剤としては、ドデシルベンゼンスルホン酸塩、ラウリル硫酸塩、アルキルジフェニルエーテルスルホン酸塩、ジアルキルスルホコハク酸塩、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル硫酸塩、ポリオキシエチレン多環フェニルエーテル硫酸塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸塩等のアニオン系非反応性乳化剤;
及び、
ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンオクチルフェニルエーテルなどのポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル類;
ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンステアリルエーテル、ポリオキシエチレンオレイルエーテルなどのポリオキシエチレンアルキルエーテル類;
ポリオキシエチレンジスチレン化フェニルエーテルなどのポリオキシ多環フェニルエーテル類;
ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル等のノニオン系非反応性乳化剤などが挙げられる。
具体的には、アニオン系非反応性乳化剤としては、ハイテノールNF−08〔エチレンオキサイド単位の繰り返し数(以下、「EOユニット数」という):8〕、NF−17(EOユニット数:17)〔以上、第一工業製薬(株)製〕、エレミノールES−12(EOユニット数:6)、ES−30(EOユニット数:15)、ES−70(EOユニット数:35)〔以上、三洋化成工業(株)製〕等が挙げられる。
ノニオン系非反応性乳化剤としては、エマルゲン1108(EOユニット数:8)、1118S−70(EOユニット数:18)、1135S−70(EOユニット数:35)、1150S−70(EOユニット数:50)〔以上、花王(株)製〕等が挙げられる。
上記の非反応性乳化剤は単独で用いてもよく、複数種併用することも可能である。
なお、乳化剤(B)のうち、反応性乳化剤としては、従来公知のものを使用できる。
本発明において使用される水性媒体(C)としては、水が挙げられ、本発明の目的、効果を損なわない範囲で親水性の有機溶剤も必要に応じて使用することができる。
次に連鎖移動剤について説明する。
本発明においては、乳化重合をおこなうにあたり、得られるポリマーの分子量の調節のため、連鎖移動剤を使用してもよい。
連鎖移動剤としては、例えば、チオール基や水酸基を有する化合物が一般に知られている。チオール基を有する化合物としては、例えば、ラウリルメルカプタン、2−メルカプトエチルアルコール、ドデシルメルカプタン、メルカプトコハク酸等のメルカプタン類や、メルカプトプロピオン酸n−ブチルやメルカプトプロピオン酸オクチル等のメルカプトプロピオン酸アルキルや、メルカプトプロピオン酸メトキシブチル等のメルカプトプロピオン酸アルコキシアルキルが挙げられる。また、メチルアルコール、n−プロピルアルコール、イソプロピルアルコール(IPA)、t−ブチルアルコール、ベンジルアルコール等のアルコール類があげられる。
本発明においては臭気及び凝集物の点から、イソプロピルアルコール等のアルコール類を使用することが好ましい。
連鎖移動剤の使用量は、乳化重合に使用する単量体の合計100重量部に対し0.05〜1重量部であることが好ましく、0.1〜0.4重量部であることがより好ましい。即ち、1重量部を超える量を用いると耐水性、耐熱性等の低下をきたす場合があり、また0.05重量部未満の量であると接着不良の問題が生じる場合がある。
また、本発明の水性粘着剤組成物は粘着付与樹脂を含有してもよく、重合時にラジカル重合性単量体に溶解させて用いたり、重合後に添加したり、またその両方の手法をとることができる。重合時に添加する目的としては、粘着力の向上に加えて、粘着付与樹脂が有する連鎖移動効果を利用することでもある。
粘着付与樹脂としては、ロジン系樹脂、テルペン系樹脂、芳香族系石油樹脂、脂肪族系石油樹脂等の中から少なくとも1種以上を使用することができる。
ロジン系樹脂としては天然ロジン、ロジンエステル、水添ロジン、水添ロジンエステル、重合ロジン、重合ロジンエステル、不均化ロジン、不均化ロジンエステルなどがある。
テルペン系樹脂としてはα−ピネン樹脂、β−ピネン樹脂、テルペンフェノール樹脂、水添テルペンフェノール樹脂等がある。
芳香族系石油樹脂としてはスチレンオリゴマー、α−メチルスチレン/スチレン共重合体等がある。
重合時に粘着付与樹脂を使用する場合には、その使用量は、乳化重合に使用する単量体の合計100重量部に対して30重量部以下であることが好ましく、1〜10重量部であることがより好ましい。
次に、本発明において用いられる、分子中に2個以上のヒドラジノ基を含む化合物(H)について説明する。
分子中に2個以上のヒドラジノ基を含む化合物(H)は、カルボニル基含有ポリマーのエマルジョン(G)を構成するポリマー中のカルボニル基と反応する。カルボニル基とヒドラジノ基との反応により接着剤層中に架橋構造が形成され、その結果、接着力、耐熱性、耐溶剤性等に優れる粘着剤層を得ることができる。
分子中に2個以上のヒドラジノ基を含む化合物(H)の配合量は、カルボニル基含有ポリマーのエマルジョン(G)中のポリマーのカルボニル基1モルに対して、2個以上のヒドラジノ基を含む化合物(H)中のヒドラジノ基が0.5〜5モルとなるように配合することが好ましく、1.0〜3.5モルとなるように配合することがより好ましい。
0.5モル未満では、架橋効率は上がらず、耐熱性は向上し難い。また、5モルより多い場合は、化合物(H)が析出したり、架橋が速すぎる結果として投錨不良を起こす場合がある。
本発明において用いられる分子中に2個以上のヒドラジノ基を含む化合物(H)としては、例えば炭素数が1〜18の多価カルボン酸のジヒドラジド類として、コハク酸ジヒドラジド、アジピン酸ジヒドラジド、シュウ酸ジヒドラジド、マロン酸ジヒドラジド、マレイン酸ジヒドラジド、セバシン酸ジヒドラジド、イタコン酸ジヒドラジド、トリメリット酸ジもしくはトリヒドラジド、1,3−ビス(ヒドラジノカルボエチル)−5−イソプロピルヒダントインなどが挙げられる。
これらは単独でも2種以上を組み合わせて用いても良い。好ましく使用できるのはアジピン酸ジヒドラジド及び1,3−ビス(ヒドラジノカルボエチル)−5−イソプロピルヒダントインである。
次に、本発明において用いられる、沸点が100℃以下のケトン系溶剤(I)についてについて説明する。
ケトン系溶剤(I)は、アルド基若しくはケト基にもとづくカルボニル基を含有するアルデヒド類又はケトン類であって、その沸点は100℃以下であることが重要であり、さらに80℃以下であることが好ましい。
沸点が100℃を超えるケトン系溶剤を使用した場合、粘着剤層中に残留しやすくなり、粘着剤物性に悪影響を及ぼしたり、さらには臭気が問題となるため好ましくない。
沸点が100℃以下のケトン系溶剤(I)の具体例としては、たとえばホルムアルデヒド(沸点−21℃)、アセトアルデヒド(同21℃)、プロピオンアルデヒド(同49℃)、ブチルアルデヒド(同75℃)、イソバレルアルデヒド(同93℃)、ピバリンアルデヒド(同75℃)、グリオキザール(同51℃)、アクロレイン(同52℃)、プロピオールアルデヒド(同60℃)、アセトン(同56℃)、メチルエチルケトン(同80℃)、イソプロピルメチルケトン(同95℃)、メチルビニルケトン(同81℃)などがあげられる。これらのアルデヒド類又はケトン類は1種類を用いてもよいし、2種以上を併用することもできる。
ここで、本発明に用いる、沸点が100℃以下のケトン系溶剤(I)の作用効果について説明する。
一般にカルボニル基とヒドラジノ基間の縮合反応は、水性粘着剤組成物の貯蔵中、又は皮膜の乾燥前の水が多量に存在する状態では、室温でも急速には進行しないとされている。しかしながら実際には、水によるその架橋反応を阻害する効果は十分ではなく、貯蔵中に反応が進行してしまい、粘着剤として使用した際には投錨性不良の問題を引き起こしやすい。ここに、ケトン系溶剤が存在すると、水性粘着剤組成物の貯蔵中、又は皮膜の乾燥前の水が多量に存在する状態においては、ケトン系溶剤が、ヒドラジノ基を含む化合物(H)と反応し、ヒドラジノ基をブロックする効果を奏するため、ポリマーの架橋反応を効果的に遅延させることができるのである。
上記の遅延効果により、基材上に形成される粘着剤層の形成直後はポリマーの架橋反応は十分に進行していない状態となり、そのために粘着剤層は流動性に富むため、基材表面と十分に親和することができる。しかる後、粘着シートの製造において通常おこなわれるエージング工程の間に架橋反応は完結するため、基材と十分に親和された状態の、すなわち基材に対する投錨性に優れる粘着剤層を得ることができる。
さらにまた、塗工、乾燥され、基材上に設けられた直後の粘着剤層中には、ごく微量ではあるが、ケトン系溶剤が、ヒドラジノ基を含む化合物(H)と結合したブロック体の形態にて存在していることを本発明者らは突き止めた。このブロック体の存在による、粘着剤層の可塑効果により、上記のごとき基材と粘着剤層との親和が促進され、さらに、前記ブロック体が基材表面に含浸することにより、基材と粘着剤層との間の親和性がより一層高められ、基材に対する極めて良好な投錨性が得られたものと推察される。
なお、前記の、粘着剤層中及び基材表面に残留しているブロック体については、粘着シートのエージング工程においてケトン系溶剤が脱離、揮発し、一方、ヒドラジノ基を含む化合物(H)はポリマーの架橋に有効に寄与することとなる。
本発明における沸点が100℃以下のケトン系溶剤(I)の配合量は、分子中に2個以上のヒドラジノ基を含む化合物(H)中のヒドラジノ基1モルに対して、沸点が100℃以下のケトン系溶剤(I)中のカルボニル基が1〜7モルとなるように配合することが好ましく、1〜3モルとなるように配合する事がより好ましい。
1モル未満では、硬化の遅延効果が得られず、また可塑効果も得られ難い。7モルより多い場合は、可塑効果が得られ投錨性は向上するものの、耐熱性及び臭気の点で問題となる。
本発明の水性粘着剤組成物には、必要に応じて、一般の水性粘着剤に使用される種々の添加剤、例えば消泡剤、湿潤剤、アルカリ性化合物、着色顔料、増粘剤、可塑剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、防腐剤などを配合することができる。
次に本発明の粘着シートについて説明する。
本発明の粘着シートは、剥離処理されていないシート状基材に、本発明の水性粘着剤組成物から形成される粘着剤層(2)が積層されてなるものである。
ここに、粘着剤層(2)とは、必要に応じておこなわれるエージング工程等を経て、架橋反応が完結した状態のものを示す。
本発明の粘着シートは、上記粘着剤層(2)の他方の面に、さらに剥離シートが積層された態様のものも含まれる。
剥離処理されていないシート状基材の種類としては、特に制限されることなく従来公知の種々の基材が使用可能であるが、自動車内装材基材であることが好ましく、その中でも頻繁に使用される、表皮材が特に好ましく用いられる。
表皮材の構成としては、単層であってもよく、同じ若しくは異なる種類の基材が複数積層されてなる積層体の態様であってもよい。積層体の構成としては、例えば以下のような構成例が挙げられる。
表皮層/発泡体層/不織布層
上記のような構成の表皮材の場合、不織布層の上に粘着剤層が設けられ、該粘着剤層を介して自動車室内に貼り付けられる。
表皮材が単層のものである場合は、前記構成のうち発泡体層及び不織布層が存在しないこととなり、表皮層が粘着剤層を介して直接自動車室内に貼り付けられる。
表皮層を構成する材料としては、織物(ファブリック)、熱可塑性ポリオレフィン系エラストマー、軟質ポリ塩化ビニル、人工皮革などが挙げられる。
発泡体層を構成する材料としては、ウレタン樹脂、ポリオレフィン樹脂などが挙げられる。
不織布層を構成する材料としては、綿、ポリエステル、ナイロンなどが挙げられる。
なお、表皮材は、自動車室内におけるドアトリームやピラーなどの部位の内装材として好適に用いられるものである。
本発明の水性粘着剤組成物を剥離処理されていないシート状基材にコーティングし、乾燥、硬化することにより、粘着シートを得ることができる。
本発明の粘着シートはまた、水性粘着剤組成物を剥離シート上にコーティングし、乾燥させ、粘着剤層(1)を設けた後、該粘着剤層(1)と剥離処理されていないシート状基材とを貼り合せ、粘着剤層を剥離処理されていないシート状基材上に転写し、必要に応じておこなわれるエージング工程等を経て、粘着剤層(1)を硬化させて粘着剤層(2)とすることによっても得ることができる。
ここに、粘着剤層(1)とは、粘着剤の乾燥工程を経たものの、架橋反応が完結していない状態のものを示す。
また、剥離シートとは、紙やプラスチックフィルムなどの各種素材からなるシート状基材の表面を、シリコンなどを用いて剥離処理してなるものである。
水性粘着剤組成物を剥離処理されていないシート状基材あるいは剥離シートにコーティングする方法としては特に制限されるものではなく、コンマコーター、ブレードコーター、グラビアコーター等のロールコーター、スロットダイコーター、リップコーター、カーテンコーター、スプレー塗工機等の従来公知のコーティング装置によることができる。
得られた粘着シートは、耐熱粘着性にすぐれ、さらに、加熱経時前後で粘着性能の変化が少なく、耐熱経時性に優れるため、自動車用や建築用の工業材として有用である。
以下、実施例、比較例を挙げて本発明を詳細に説明するが、本発明は以下の実施例のみに限定されるものではない。なお、以下の「部」及び「%」はいずれも重量に基づく値である。
[実施例1]
還流冷却器、攪拌機、温度計、窒素導入管、原料投入口を具備する容積2Lの4つ口フラスコに、イオン交換水24.8部を入れ、窒素を導入しつつ攪拌しながら、内温を78℃に加温した。
一方、単量体(a1)として、ダイアセトンアクリルアマイド(以後、「DAAm」と略す)0.4部、単量体(a2)としてスチレン(以後、「St」と略す)3部、単量体(a3)としてアクリル酸(以後、「AA」と略す)1部、メタクリル酸メチル(以後、「MMA」と略す)2.4部、アクリル酸ブチル(以後、「BA」と略す)50部、アクリル酸2−エチルヘキシル(以後、「2−EHA」と略す)29.2部、アクリル酸エチル(以後、「EA」と略す)14部、乳化剤(B)としてハイテノールNF―08〔EOユニット数:8、第一工業製薬(株)製のアニオン型非反応性乳化剤〕1.5部、粘着付与樹脂としてペンセルD−135(重合ロジンエステル系粘着付与剤:荒川化学工業社製)5部及びイオン交換水26.9部の混合物をホモミキサーで乳化し、該油溶成分の平均粒子径が1.3μmの単量体エマルジョン(A)を作製した。
上記の反応容器中に、単量体エマルジョン(A)の5%を添加し、同時に5%過硫酸アンモニウム(以後、「APS」と略す)水溶液3部を添加して乳化重合を開始した。
次いで、単量体エマルジョン(A)の残り95%に連鎖移動剤としてイソプロピルアルコール(以後、「IPA」と略す)0.3部を添加し再乳化した。
反応容器に5%APS水溶液を添加してから3分後に、連鎖移動剤を加えた上記単量体エマルジョン及び5%APS水溶液9部を同時に5時間かけて滴下した。この間反応容器内は80℃に保った。
滴下終了後、3時間80℃に保ち、熟成を行った。その後冷却を開始し、30℃まで冷却し、アンモニア水を添加し、平均粒子径600nm、固形分濃度62.5%、pH7、粘度250mPa・sのポリマーエマルジョンを得た。
尚、単量体から求められるガラス転移温度(以下、「理論Tg」という)は−48℃であった。ポリマーのテトラヒドロフラン可溶分のゲルパーミーエーションクロマトグラムの最大値を示す分子量は56.3万であった。
得られたポリマーエマルジョン100部に対し、固形分換算にて、エマルジョン型ロジン系粘着付与樹脂として荒川化学(株)製「スーパーエステルE−650」を8.9部、消泡剤:0.1部、防腐剤:0.01部、濡れ剤:0.1部を加え、アジピン酸ジヒドラジド(以後、「ADH」と略す)0.33部(DAAmのカルボニル基1モルに対してヒドラジノ基が1.6モル)、アセトン0.32部(ADHのヒドラジノ基1モルに対してカルボニル基が1.5モル)を添加し、さらに増粘剤で12000mPa・s(BL型粘度計、25℃で#4ロータ/60rpmにて測定)に増粘して水性粘着剤組成物を得た。なお、粘着剤組成物の調製はホモミキサーにて行った。
[実施例2]
アセトン0.32部を、メチルエチルケトン0.4部(ADHのヒドラジノ基1モルに対してカルボニル基が1.5モル)へ変更したこと以外は実施例1と同様に行い、水性粘着剤組成物を得た。
[実施例3]
IPAを0.025部に減量したこと以外は実施例1と同様に行い、水性粘着剤組成物を得た。
[実施例4]
重合に供する単量体の組成を表1に示す配合に変更したこと以外は実施例1と同様に行い、水性粘着剤組成物を得た。
[比較例1]
重合に供する単量体の組成を表1に示す配合に変更したこと以外は実施例1と同様に行い、水性粘着剤組成物を得た。
[比較例2]
DAAmの代わりに、多官能ビニル単量体であるジビニルベンゼン(以後、「DVB」と略す)を使用したこと以外は実施例1と同様に行い、水性粘着剤組成物を得た。
[比較例3]
アセトンの代わりに、エステル系溶剤である酢酸エチルを使用したこと以外は実施例1と同様に行い、水性粘着剤組成物を得た。
[比較例4]
アセトン0.32部の代わりに、ジアセトンアルコール0.63部(アジピン酸ジヒドラジドのヒドラジノ基1モルに対してカルボニル基が1.5モル、沸点:168℃)を使用した以外ことは実施例1と同様に行い、水性粘着剤組成物を得た。
[比較例5]
IPAを使用せず、5%APS水溶液を2部に減量したこと以外は実施例1と同様に行い、水性粘着剤組成物を得た。
[比較例6]
重合に供する単量体の組成を表1に示す配合に変更したこと以外は実施例1と同様に行い、水性粘着剤組成物を得た。
[比較例7]
重合に供する単量体の組成を表1に示す配合に変更したこと以外は実施例1と同様に行い、水性粘着剤組成物を得た。
[比較例8]
アセトンを使用しないこと以外は実施例1と同様に行い、水性粘着剤組成物を得た。
各実施例、比較例で得られた水性粘着剤組成物をアプリケーターで剥離紙上に乾燥膜厚60g/m2となるように塗工し、100℃の乾燥オーブンで3分間乾燥させ、接着剤層(1)を形成した。
次いで、剥離紙上に設けられた接着剤層に、下記構成からなる厚さ10mmの表皮材の不織布面を貼り合わせ、表皮材の厚さがもとの厚さの10%になるように加圧して圧着し、剥離紙/粘着剤層(1)/表皮材なる構成の積層体を得た。
なお、基材として使用した表皮材は、表皮層(ファブリック)/発泡ウレタン層/ポリエステル不織布層からなる3層構造のものである。
得られた積層体を23℃−65%RH雰囲気下に24時間以上放置することによりエージングをおこない、粘着剤層(1)の架橋反応を完結させ、粘着シートを得た。
[粘着シートの評価]
<定荷重剥離試験>
得られた粘着シートをそれぞれ幅25mm、長さ100mmの短冊状にカットし、剥離紙を剥がして幅25mm×長さ80mm部分をポリプロピレン板(以下、「PP板」と略記する)に貼り合わせ、2Kgのロールにて1往復させて圧着して測定試料を得た。
得られた測定試料を23℃−50%の雰囲気下で24時間放置し、さらにその後、80℃雰囲気下で1時間放置した後に、貼付け面が下側となるようにしてPP板を水平に保ち、貼付けられていない部分の粘着シートの端部に100gの錘を吊り下げ、1時間放置し、PP板から剥がれた部分の長さを計測した。1時間以内にPP板からすべて剥がれ落ちた場合は、それまでの時間を測定した。なお、試験は80℃雰囲気下で行った。
<曲面接着性の評価>
幅15mm、長さ25mmの粘着シートを、10mmφのPP樹脂円筒の曲面に、試料の長さ方向が円周方向に沿うように貼り付け、2kgゴムローラーで圧着し、23℃−50%の雰囲気下で24時間放置した。その後、さらに80℃雰囲気下で24時間放置後、試料の長さ方向の末端部分の剥がれ状態を目視で観察し、下記基準で評価した。
○;剥離なし。
△;試料末端の5mm以下の部分が剥離している。
×;試料末端の5mmを超える部分が剥離している。
以上の評価結果を表2に示す。
Figure 2008007724
Figure 2008007724

Claims (12)

  1. カルボニル基含有ポリマーのエマルジョン(G)と、分子中に2個以上のヒドラジノ基を含む化合物(H)と、沸点が100℃以下のケトン系溶剤(I)とを含有する水性粘着剤組成物であって、
    前記カルボニル基含有ポリマーのエマルジョン(G)を構成するポリマ−のガラス転移温度が−10〜−70℃であり、テトラヒドロフラン可溶分のゲルパーミーエーションクロマトグラムの最大値を示す分子量が、30万〜80万である事を特徴とする水性粘着剤組成物。
  2. カルボニル基含有ポリマーのエマルジョン(G)が、エチレン性不飽和二重結合とカルボニル基とを有する単量体(a1)と、スチレン、α−メチルスチレン及びベンジル(メタ)アクリレートからなる群より選ばれる少なくとも一種の単量体(a2)並びに前記単量体(a1)(a2)と共重合可能なその他のラジカル重合性単量体(a3)を、乳化剤(B)及び水性媒体(C)の存在下に重合してなる事を特徴とする請求項1記載の水性粘着剤組成物。
  3. その他のラジカル重合性単量体(a3)が、分子中にエチレン性不飽和二重結合を2個以上有する単量体を含まない事を特徴とする請求項2記載の水性粘着剤組成物。
  4. 乳化剤(B)が、ラジカル重合性の官能基を有さない非反応性乳化剤である事を特徴とする請求項2又は3記載の水性粘着剤組成物。
  5. スチレン、α−メチルスチレン及びベンジル(メタ)アクリレートからなる群より選ばれる少なくとも一種の単量体(a2)が、重合に使用する単量体の合計100重量%中に、1〜8重量%である事を特徴とする請求項2ないし4いずれか記載の水性粘着剤組成物。
  6. カルボニル基含有ポリマーのエマルジョン(G)中のポリマーのカルボニル基1モルに対して、2個以上のヒドラジノ基を含む化合物(H)中のヒドラジノ基が0.5〜5モルであり、かつ、2個以上のヒドラジノ基を含む化合物(H)中のヒドラジノ基1モルに対して、沸点が100℃以下のケトン系溶剤(I)中のカルボニル基が1〜7モルである事を特徴とする請求項1ないし5いずれか記載の水性粘着剤組成物。
  7. 剥離処理されていないシート状基材に、請求項1ないし6いずれか記載の水性粘着剤組成物から形成される粘着剤層(2)が積層されてなる粘着シート。
  8. 剥離処理されていないシート状基材と剥離シートとが、請求項1ないし6いずれか記載の水性粘着剤組成物から形成される粘着剤層(2)を介して積層されてなる事を特徴とする粘着シート。
  9. 剥離処理されていないシート状基材が、自動車内装材基材である事を特徴とする請求項7又は8記載の粘着シート。
  10. 自動車内装材基材が表皮材であることを特徴とする請求項9記載の粘着シート。
  11. 剥離シートに、請求項1ないし6いずれか記載の水性粘着剤組成物を塗工、乾燥し、粘着剤層(1)を形成し、該粘着剤層(1)に剥離処理されていないシート状基材を積層し、前記粘着剤層(1)を硬化する事を特徴とする粘着シートの製造方法。
  12. 剥離処理されていないシート状基材が、自動車内装材基材である事を特徴とする請求項11記載の粘着シートの製造方法。

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