JP2008006455A - 射出ポンプ用の内筒およびプランジャならびにホットチャンバダイカストマシン - Google Patents

射出ポンプ用の内筒およびプランジャならびにホットチャンバダイカストマシン Download PDF

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Abstract

【課題】 金属の溶湯に対する耐磨耗性が十分高い、射出ポンプ用の内筒およびホットチャンバダイカストマシンを提供する。
【解決手段】 内面が窒化珪素質焼結体からなり、窒化珪素質焼結体が、組成式Si6−ZAl8−Z(z=0.1〜1)で表されるβ−サイアロンを主相とし、Al,Si,RE(REは周期表第3族元素)の構成比率がそれぞれAl,SiO,RE換算でAlが5〜50質量%,SiOが5〜20質量%,残部がREおよびNであるRE−Al−Si−O−Nからなる粒界相を、主相と粒界相とからなる焼結体に対して体積比率が4〜10体積%の範囲で含む射出ポンプ用の内筒2cを備えたホットチャンバダイカストマシンである。内筒2cの耐磨耗性が向上し、長期間使用を続けてもほとんど磨耗することがないため、内筒2cの交換頻度を下げることができ、高い信頼性が得られる。
【選択図】 図1

Description

本発明は、鉛,亜鉛,錫,マグネシウム,アルミニウムおよびこれらの合金等の溶湯の鋳造に用いられる射出ポンプ用の内筒およびプランジャならびにホットチャンバダイカストマシンに関する。
従来より、ホットチャンバ方式のダイカスト鋳造法は、生産性が高い、鋳物中のガス含有量が少ない、省エネを実現できる、環境を汚染しない、自動化が容易である等の利点があることから、鉛,亜鉛,錫,マグネシウム,アルミニウムおよびこれらの合金等の画期的な鋳造方法であると期待されている。
このような鋳造方法を用いる装置や装置部材として特許文献1および特許文献2が提案されている。
図2は、特許文献1で提案されているホットチャンバダイカストマシンの断面図であり、(a)は正面から見た縦断面図、(b)は(a)の右側面から見た縦断面図である。
このホットチャンバダイカストマシン40は、セラミックスにより形成された溶湯射出主筒部42と、溶湯射出主筒部42の側面に連結して、金属の溶湯(以下、金属溶湯と称す。)43を成形型44に射出するノズル45とからなる射出機構を円筒状の保持筒46で支持しており、保持筒46はフランジ50に挿入して支持され、フランジ50はその上方に配置された油圧シリンダー61を保持する構造体62における中間部に対向突設された支持部49にボルト63で押え板64とともに固定されている。
さらに、ホットチャンバダイカストマシン40では、炉体48に保持された溶湯槽47の下部に配置されたヒーター52によって加熱された金属溶湯43が保持筒46の側面に形成された連通孔53を介して、溶湯射出主筒部42の側面の貫通孔54から溶湯射出主筒部42に入り、プランジャ51により押されて、溶湯射出主筒部42内に形成された湯道42aから、ノズル45,スプルーブッシュ55,ランナー部56を順次通って、固定金型44aと可動金型44bとからなる成形型44に射出される。このように溶湯射出主筒部42と、この溶湯射出主筒部42内を往復運動するプランジャ51とにより射出ポンプが構成されている。ノズル45は、保持筒46の側面に設けられた外筒孔57を通り、溶湯射出主筒部42の円錐状の接合端面にリング状シール58を介して接合されて、ノズル45の流出端が冷えないようにノズルヒーター59によって加熱されている。また、綿状セラミック堰60は、ノズル45の周りから金属溶湯43が漏れないように封止するものである。
金属溶湯43の圧入機構は、カップリング65を介して上下運動する油圧シリンダー61から作用力を受けるようにプランジャ51を連結した機構であり、金属溶湯43を成形型44に射出する作用が与えられている。溶湯射出主筒部42は、主筒押さえボルト66と端子67で保持筒46の段部46aに押さえられ、油圧シリンダー61の上下運動により、浮き上がらないようにしている。また、溶湯射出主筒部42と保持筒46との間には、ピンやキー(不図示)等の回り止め手段が設けられて、相互の回転が防止されている。この溶湯射出主筒部42は、金属溶湯43を溜める底板42bを備えた内筒42cと、内筒42cを囲繞して固定する外筒42dとからなるものであり、内筒42c、外筒42dとも窒化珪素質焼結体であることが記載されている。
このような内筒42cおよび外筒42dの二体構造からなる溶湯射出主筒部42は、ホットチャンバダイカストマシン40の大型化に対応して、その外径や厚みを大きくすることができるとともに、製造が容易であるという利点がある。
また、特許文献2では、プランジャが静水圧成形法、鋳込み成形法等で成形され、所定の温度で焼結された窒化珪素質焼結体であることが記載されている。
特開2004−141965号公報 特開昭56−23360号公報
しかしながら、図2に示す従来のホットチャンバダイカストマシン40に用いられた溶湯射出主筒部42は、窒化珪素質焼結体からなるため、高温における機械的特性は優れているものの、プランジャ51の上下運動に伴って金属溶湯43が溶湯射出主筒部42の内筒42cの内面を摺動するために、用いる窒化珪素質焼結体によっては大きく磨耗するという課題があった。
また、特許文献2に記載されているプランジャについても上述と同様、用いる窒化珪素質焼結体によっては大きく摩耗するという課題があった。
本発明はこのような課題に鑑み、金属溶湯に対する耐磨耗性が十分高い、射出ポンプ用の内筒およびプランジャならびにホットチャンバダイカストマシンを提供することを目的とするものである。
本発明のホットチャンバダイカストマシンの射出ポンプ用の内筒は、ホットチャンバダイカストマシンの射出ポンプにおいてプランジャが挿入される内筒であって、該内筒は内面が窒化珪素質焼結体からなり、該窒化珪素質焼結体が、組成式Si6−ZAl8−Z(z=0.1〜1)で表されるβ−サイアロンを主相とし、Al,Si,RE(REは周期表第3族元素)の構成比率がそれぞれAl,SiO,RE換算でAlが5〜50質量%,SiOが5〜20質量%,残部がREおよびNであるRE−Al−Si−O−Nからなる粒界相を、前記主相と前記粒界相とからなる焼結体に対して体積比率が4〜10体積%の範囲で含むことを特徴とするとするものである。
また、本発明のホットチャンバダイカストマシンの射出ポンプ用のプランジャは、ホットチャンバダイカストマシンの射出ポンプ用のプランジャであって、該プランジャは外面が窒化珪素質焼結体からなり、該窒化珪素質焼結体が、組成式Si6−ZAl8−Z(z=0.1〜1)で表されるβ−サイアロンを主相とし、Al,Si,RE(REは周期表第3族元素)の構成比率がそれぞれAl,SiO,RE換算でAlが5〜50質量%,SiOが5〜20質量%,残部がREおよびNであるRE−Al−Si−O−Nからなる粒界相を、前記主相と前記粒界相とからなる焼結体に対して体積比率が4〜10体積%の範囲で含むことを特徴とするものである。
また、本発明のホットチャンバダイカストマシンは、射出ポンプにより金属溶湯を成形型に押し込んで金属の成形品を得るホットチャンバダイカストマシンであって、前記射出ポンプ用のプランジャが上記構成の本発明のプランジャであり、該プランジャが挿入される内筒が上記構成の本発明の内筒であることを特徴とするものである。
また、本発明のホットチャンバダイカストマシンは、上記ホットチャンバダイカストマシンの構成において、前記プランジャの前記粒界相の前記体積比率が、前記内筒の前記粒界相の前記体積比率よりも高いことを特徴とするものである。
本発明のホットチャンバダイカストマシンの射出ポンプ用の内筒は、その内面を窒化珪素質焼結体で形成し、該窒化珪素質焼結体を組成式Si6−ZAl8−Z(z=0.1〜1)で表されるβ−サイアロンを主相とし、Al,Si,RE(REは周期表第3族元素)の構成比率がそれぞれAl,SiO,RE換算でAlが5〜50質量%,SiOが5〜20質量%,残部がREおよびNであるRE−Al−Si−O−Nからなる粒界相を、前記主相と前記粒界相とからなる焼結体に対して体積比率が4〜10体積%の範囲で含んでいるので、内筒の耐摩耗性が向上し、長期間使用を続けてもほとんど摩耗することがないため、内筒の交換頻度を下げることができる。
また、本発明のホットチャンバダイカストマシンの射出ポンプ用のプランジャは、その外面を窒化珪素質焼結体で形成し、該窒化珪素質焼結体を組成式Si6−ZAl8−Z(z=0.1〜1)で表されるβ−サイアロンを主相とし、Al,Si,RE(REは周期表第3族元素)の構成比率がそれぞれAl,SiO,RE換算でAlが5〜50質量%,SiOが5〜20質量%,残部がREおよびNであるRE−Al−Si−O−Nからなる粒界相を、前記主相と前記粒界相とからなる焼結体に対して体積比率が4〜10体積%の範囲で含んでいるので、プランジャの耐摩耗性が向上し、長期間使用を続けてもほとんど摩耗することがないため、プランジャの交換頻度を下げることができる。
また、本発明のホットチャンバダイカストマシンは、射出ポンプにより金属溶湯を成形型に押し込んで金属の成形品を得るものであり、射出ポンプ用のプランジャを上記構成の本発明のプランジャとするとともに、該プランジャが挿入される内筒を上記構成の本発明の内筒とすることで、内筒およびプランジャともほとんど摩耗することがなくなるため、信頼性の高いホットチャンバダイカストマシンとすることができる。
さらに、プランジャの粒界相の体積比率を、内筒の粒界相の体積比率よりも高くすることで、金属溶湯の一部が酸化して、硬質の酸化物となって内筒とプランジャとの間に介在したとしても、プランジャより内筒は摩耗が進行しないようになる。その結果、内筒はプランジャより寿命を延ばすことが可能となり、部品交換の容易性という観点から、より好適である。
以下、本発明の射出ポンプ用の内筒およびプランジャならびにホットチャンバダイカストマシンについて図面を用いて説明する。
図1は、本発明のホットチャンバダイカストマシンの実施の形態の一例を示す断面図であり、(a)は正面から見た縦断面図、(b)は(a)の右側面から見た縦断面図である。
本発明のホットチャンバダイカストマシン1は、鉛,亜鉛,錫,マグネシウム,アルミニウムおよびこれらの合金等の溶湯の鋳造に用いられる。図1に示すように、このホットチャンバダイカストマシン1は、セラミックスにより形成された溶湯射出主筒部2と、溶湯射出主筒部2の側面に連結して、金属溶湯3を成形型4に射出するノズル5とからなる射出機構を円筒状の保持筒6で支持しており、保持筒6はフランジ10に挿入して支持してあり、フランジ10はその上方に配置した油圧シリンダー21を保持する構造体22における中間部に対向突設した支持部9にボルト13で押え板14とともに固定してある。
さらに、このホットチャンバダイカストマシン1では、炉体8に保持された溶湯槽7の下部に配置したヒーター12によって加熱された金属溶湯3が、保持筒6の側面に形成した連通孔13を介して、溶湯射出主筒部2の側面の貫通孔14から溶湯射出主筒部2に入り、プランジャ11により押されて、溶湯射出主筒部2内に形成した湯道2aから、ノズル5,スプルーブッシュ15,ランナー部16を順次通って、固定金型4aと可動金型4bとから構成する成形型4に射出される。このように溶湯射出主筒部2と、この溶湯射出主筒部2内を往復運動するプランジャ11とにより射出ポンプを構成してある。
ノズル5は、保持筒6の側面に設けた外筒孔17を通り、溶湯射出主筒部2の円錐状の接合端面にリング状シール18を介して接合されて、ノズル5の流出端が冷えないようにノズルヒーター19によって加熱されている。また、綿状セラミック堰20は、ノズル5の周りから金属溶湯3が漏れないように封止するものである。
金属溶湯3の圧入機構は、カップリング25を介して上下運動する油圧シリンダー21から作用力を受けるようにプランジャ11を連結した機構であり、金属溶湯3を成形型4に射出する機能を有している。溶湯射出主筒部2は、主筒押さえボルト26と端子27とで保持筒6の段部6aに押さえつけて、油圧シリンダー21の上下運動によって浮き上がらないようにしてある。また、溶湯射出主筒部2と保持筒6との間には、ピンやキー(不図示)等の回り止め手段を設けて、相互の回転を防止している。この溶湯射出主筒部2は、金属溶湯3を溜める底板2bを備えた内筒2cと、内筒2cを囲繞して固定する外筒2dとから構成してある。
本発明の射出ポンプ用の内筒2cは、その内面が窒化珪素質焼結体からなり、窒化珪素質焼結体が、組成式Si6−ZAl8−Z(z=0.1〜1)で表されるβ−サイアロンを主相とし、Al,Si,RE(REは周期表第3族元素)の構成比率がそれぞれAl,SiO,RE換算でAlが5〜50質量%,SiOが5〜20質量%,残部がREおよびNであるRE−Al−Si−O−Nからなる粒界相を、主相と粒界相とからなる焼結体に対して体積比率が4〜10体積%の範囲で含むことが重要である。
また、本発明の射出ポンプ(圧入機構)用のプランジャ11は、その外面が窒化珪素質焼結体からなり、窒化珪素質焼結体が、組成式Si6−ZAl8−Z(z=0.1〜1)で表されるβ−サイアロンを主相とし、Al,Si,RE(REは周期表第3族元素)の構成比率がそれぞれAl,SiO,RE換算でAlが5〜50質量%,SiOが5〜20質量%,残部がREおよびNであるRE−Al−Si−O−Nからなる粒界相を、主相と粒界相とからなる焼結体に対して体積比率が4〜10体積%の範囲で含むことが重要である。
組成式Si6−ZAl8−Z(z=0.1〜1)で表されるβ−サイアロンの主相はβ−Si内にAl,O,N成分が固溶した結晶から構成される主相であり、固溶量zの値は、窒化珪素質焼結体の熱伝導率や強度に影響を与える。固溶量zが小さい場合は、焼結性が低下するため、緻密化を促進しようとして焼成温度を上げざるを得ず、この結果、異常な粒成長が発生し、高温における強度が低下するおそれがある。一方、固溶量zが大きいと、β−Siの結晶対称性が損なわれて、結晶の熱伝導性が低下するため、窒化珪素質焼結体の高温における熱伝導率が低下する。その結果、金属溶湯3が酸化した硬質の酸化物による摺動時の磨耗により発生した摩擦熱が速やかに放熱されず、粒界相は浸食されやすくなる。このような観点から、固溶量zは0.1〜1とすることにより、高温における熱伝導率および強度とも高い窒化珪素質焼結体を得ることができる。特に、固溶量zは0.35〜0.70であることがより好適である。
ここで、固溶量zは、次のようにして算出することができる。すなわち、窒化珪素質焼結体を粒度200メッシュ以下に粉砕し、得られた粉末に対して粉末X線回折法における回折角の角度補正用サンプルとして高純度α−窒化珪素粉末(宇部興産製E−10グレード、Al含有量は20ppm以下)を60質量%添加して乳鉢にて均一混合し、粉末X線回折法により解析範囲2θを33〜37°とし、走査ステップ幅を0.002°として、Cu−Kα線(λ=1.54056Å)にてプロファイル強度を測定する。角度の補正は、角度補正用サンプルより得られるピークの最大値を用いて補正する。
すなわち、2θ=34.565°付近に現れるα(102)の0.002°毎に得られるピーク強度の上位10点の平均2θと34.565°との差(Δ2θ)、および2θ=35.333°付近に現れるα(210)の0.002°毎に得られるピーク強度の上位10点の平均2θと35.333°との差(Δ2θ)をそれぞれ求め、その差の平均(Δ2θ+Δ2θ)/2を補正Δ2θとする。次に、2θ=36.055°付近に現れるβ(210)の0.002°毎に得られるピーク強度の上位10点の平均2θを補正Δ2θによって補正した角度を内筒2cまたはプランジャ11のβ(210)のピーク位置(2θβ)とする。そして、ピーク位置(2θβ),λ=1.54056Å,(hkl)=(210)を以下の数式に代入して格子定数a(Å)を算出する。
sinθβ=λ(h+hk+k)/(3a)+λ/(4c
この数式で算出した格子定数a(Å)と、K.H.Jack,J.Mater.Sci.,11(1976)1135−1158,Fig.13に記載された格子定数a(Å)−固溶量zのグラフとから、固溶量zを求めることができる。
そして、粒界相はRE−Al−Si−O−Nからなり、Al,Si,REの構成比率がAl,SiO,RE換算でAlが5〜50質量%,SiOが5〜20質量%,残部がREおよびNであり、主相と粒界相とからなる焼結体に対して4〜10体積%の範囲で含むことが好適である。なお、本発明では、Al,SiO,REおよびNの総和を100質量%として粒界相の構成比率を表現する。
ここで一般的に、RE−Al−Si−Oを含む酸化物は、窒化珪素やサイアロンの緻密化を促進するものである。Al,SiO,RE等の粉末原料は温度上昇に伴って反応し、1400℃以上で窒化珪素やサイアロンと濡れの良い液相を生成した後、窒化珪素やサイアロンを溶解することで、RE−Al−Si−O−Nからなる粒界相を形成する。
この粒界相におけるAlの構成比率は、窒化珪素質焼結体の熱伝導率や強度に影響を与える。Alの構成比率が低過ぎたり高過ぎたりすると、RE−Al−SiO系の最低液層生成組成(以下、低融点組成という。)から外れる可能性が高くなる。このため、焼成温度を高くしなければならず、焼成温度を高くすると、β−Si内にAl,O,N成分が固溶した結晶は粗大化し、高温における強度が低下する。併せて、Alの構成比率が高過ぎる場合には、固溶量zが1より大きくなりやすく、窒化珪素質焼結体の高温における熱伝導率も低下して、粒界相は浸食されやすくなる。
また、粒界相のSiの構成比率も、窒化珪素質焼結体の熱伝導率や強度に影響を与える。Siの構成比率が低いと、低融点組成から外れる可能性が高くなり、Alの場合と同様に、高温における強度が低下する。一方、Siの構成比率が高いと、低融点組成に近づくが、そのために粒界相を構成する原子同士の高温における結合力が弱くなるため、高温におけるフォノンの伝搬の低下により、高温における熱伝導率および強度とも低下する。
このような観点から、Al,Si,RE(REは周期表第3族元素)の構成比率はそれぞれAl,SiO,RE換算でAlが5〜50質量%,SiOが5〜20質量%,残部がREおよびNであることが重要であり、この構成比率は焼結性の向上だけではなく、高温においても粒界相の原子間結合力を保持できるので、高温における熱伝導率および強度の改善に効果的である。
また、粒界相の焼結体に対する体積比率は、窒化珪素質焼結体の耐磨耗性や強度に影響を与える。粒界相の体積比率が高過ぎると金属溶湯3が酸化した硬質の酸化物による摺動時の磨耗を受けやすく、低過ぎると強度が低下する。粒界相の焼結体に対する体積比率は、4〜10体積%であることが重要であり、この範囲にすることで耐磨耗性に優れ、強度の高い窒化珪素質焼結体を得ることができる。
このようなAl,SiO,REの構成比率および粒界相の体積比率は次のようにして求めることができる。ICP(Inductivity Coupled Plasma)分光分析法により焼結体中のREおよびAlの各比率(質量%)を測定し、この比率(質量%)をそれぞれREおよびAlにした場合の比率(質量%)に換算する。次に、酸素分析法によりLECO社製酸素分析装置(TC−136型)を用いて焼結体中のすべての酸素の比率を測定し、REおよびAlの酸素の比率を差し引き、残りの酸素の比率をSiOの比率(質量%)に換算する。焼結体中の残部をSiとみなし、各比率(質量%)をそれぞれの理論密度(Y:5.02g/cm,Er:8.64g/cm,Yb:9.18g/cm,Lu:9.42g/cm,Al:3.98g/cm,SiO:2.65g/cm,Si:3.18g/cm)で除して、粒界相の体積比率を算出する。
次に、エネルギー分散型X線分光分析法(EDS)を用いて粒界相に含まれる窒素(N)の比率(質量%)を算出し、Al,SiO,REおよび窒素(N)の各比率(質量%)の総和を100%として粒界相の構成比率を算出する。
なお、粒界相中のREは周期表第3族元素、例えばEr,Yb,Lu等であっても構わないが、REがYであることが好ましい。これは、Yが周期表第3族元素の中でも軽元素であるためフォノンの伝搬が良く、粒界相の熱伝導率の向上に効果的であるからである。また、800℃における4点曲げ強度および熱伝導率は、それぞれJIS R 1604−1995,JIS R 1611−1997に準拠して測定すればよい。
また、本発明のホットチャンバダイカストマシン1は、射出ポンプにより金属溶湯3を成形型4に押し込んで金属の成形品を得るものであり、この射出ポンプ用のプランジャ11を上記構成のプランジャ11とするとともに、プランジャ11が挿入される内筒2cを上記構成の内筒2cとすることが好適である。このようにすることで、内筒2cおよびプランジャ11ともほとんど磨耗することがなくなるため、信頼性の高いホットチャンバダイカストマシン1とすることができる。
さらに、プランジャ11の粒界相の体積比率を、内筒2cの粒界相の体積比率よりも高くすることが好適である。このようにすることで、金属溶湯3の一部が酸化して、硬質の酸化物となって内筒2cとプランジャ11との間に介在したとしても、プランジャ11より内筒2cは磨耗が進行しなくなる。その結果、内筒2cはプランジャ11より寿命を延ばすことが可能となり、部品交換の容易性という観点から、より好適である。
このような本発明の内筒およびプランジャを得るための製造方法を説明する。
まず、窒化珪素質粉末のβ化率が40%以下であって、組成式Si6−ZAl8−Zにおける固溶量zが0.5以下である窒化珪素質粉末と、添加物成分としてAl,SiO,REの各粉末とを、バレルミル,回転ミル,振動ミル,ビーズミル等を用いて湿式混合し、粉砕してスラリーとする。
ここで、添加成分であるAl,SiO,REの各粉末の合計は、窒化珪素質粉末とこれら添加成分の粉末の合計との総和を100体積%としたときに、4〜10体積%になるようにすればよい。
窒化珪素には、その結晶構造の違いにより、α型およびβ型という2種類の窒化珪素が存在する。α型は低温で、β型は高温で安定であり、1400℃以上でα型からβ型への相転移が不可逆的に起こる。
ここで、β化率とは、X線回折法で得られたα(102)回折線とα(210)回折線との各ピーク強度の和をIα、β(101)回折線とβ(210)回折線との各ピーク強度の和をIβとしたときに、次の式によって算出される値である。
β化率={Iβ/(Iα+Iβ)}×100 (%)
窒化珪素質粉末のβ化率は、窒化珪素質焼結体の強度および破壊靱性値に影響する。β化率が40%以下の窒化珪素質粉末を用いるのは、強度および破壊靱性値をともに高くすることができるからである。β化率が40%を超える窒化珪素質粉末は、焼成工程で粒成長の核となって粗大で、しかもアスペクト比の小さい結晶となりやすく、強度および破壊靱性値とも低下する。特に、β化率が10%以下の窒化珪素質粉末を用いるのが好ましく、これにより、固溶量zを0.1以上にすることができる。
また、固溶量zは、窒化珪素質焼結体の熱伝導率に影響し、固溶量zが0.5以下の粉末を用いるのは、焼結後にアスペクト比5以上の針状結晶組織が得られ、窒化珪素質焼結体の強度および熱伝導率とも高くすることができるからである。固溶量zが0.5を超える場合は、窒化珪素質粉末が焼成工程で粒成長の核となり、焼結後の主相となるβ−サイアロンの固溶量zが1を超えやすく、熱伝導率が低下するおそれがある。
窒化珪素質粉末の粉砕で用いるメディアは、窒化珪素質,ジルコニア質,アルミナ質等の各種焼結体からなるメディアを用いることができるが、不純物が混入しにくい材質、あるいは同じ材料組成の窒化珪素質焼結体からなるメディアが好適である。
なお、粒度分布曲線の累積体積の総和を100%としたときの累積体積が90%となる粒径(D90)が3μm以下となるまで粉砕することが、焼結性の向上および結晶組織の針状化の点から好ましい。粉砕によって得られる粒度分布は、メディアの外径,メディアの量,スラリーの粘度,粉砕時間等で調整することができる。スラリーの粘度を下げるには分散剤を添加することが好ましく、短時間で粉砕するには、予め累積体積50%となる粒径(D50)が1μm以下の粉末を用いることが好ましい。
次に、得られたスラリーを粒度200メッシュより細かいメッシュを通した後に乾燥させて顆粒を得る。また、スラリーの段階でパラフィンワックスやポリビニルアルコール(PVA),ポリエチレングリコール(PEG)等の有機バインダを粉末100質量%に対して1〜10質量%を混合することが、成形性のために好ましい。乾燥は、スプレードライヤーで乾燥させてもよく、他の方法であっても何ら問題ない。
次に、得られた顆粒を、冷間等方圧加圧法(CIP)を用いて相対密度が45〜60%の所望形状の成形体とする。成形圧力は50〜300MPaの範囲であれば、成形体の密度の向上や顆粒の潰れ性の観点より好適である。得られた成形体は、窒素雰囲気中、あるいは真空雰囲気中などで脱脂した方がよい。脱脂温度は添加した有機バインダの種類によって異なるが、900℃以下がよく、特に500〜800℃とすることが好適である。
次に、一般的な窒化珪素質成形体の焼成に用いる黒鉛抵抗発熱体を使用した焼成炉内に成形体を配置し、焼成する。焼成炉内には成形体の含有成分の揮発を抑制するためにAl,SiO,RE等の成分を含んだ共材を配置してもよい。
また、成形体の配置方法として、成形体を窒化珪素質粉末中または炭化珪素質粉末中に埋設する方法を用いれば、電気炉を用い、大気中で焼成することも可能である。このような方法を用いると、埋設したことにより大気中の酸素ガスは遮断され、実質的に焼成雰囲気は窒素雰囲気となる。温度については、室温から300〜1000℃までは真空雰囲気中にて昇温し、その後、窒素ガスを導入して、窒素分圧を50〜300kPaに維持する。このとき成形体の開気孔率は40〜55%程度であるため、成形体中には窒素ガスが十分充填される。1000〜1400℃付近では添加物成分であるAlやREが固相反応を経て、液相成分を形成し、約1400℃以上の温度域で、β−サイアロンを析出し、緻密化が開始する。β−サイアロンはβ−SiのSi4+位置にAl3+,N3−,O2−が置換固溶したものであり、Si−AlN−Al−SiO系の多くの状態図(例えば、K. H. Jack,J. Mater. Sci.,11(1976)1135−1158,Fig. 11)にあるように、β−サイアロン相の安定領域はSi−Al−SiO系に対してN3−が価数の安定には不足しており、外部からN3−の供給が必要となる。本発明者が鋭意検討した結果、成形体中に充填された窒素ガスがN3−となることを突き止めるとともに、窒素分圧を低く抑えることによってβ−サイアロンの固溶量zを低くすることが可能であることを見出した。
すなわち、開気孔率が40〜55%から5%に達するまでの段階はできるだけ窒素分圧を低く設定する必要があり、50〜300kPaとすることが重要である。窒素分圧が300kPaを超えると、β−Siに対しAl3+,N3−,O2−の置換固溶が進み、固溶量zが1を超えやすくなり、熱伝導率が低下する。窒素分圧が50kPaより小さくなると、β−サイアロンの平衡窒素分圧より小さくなり、β−サイアロンの分解反応が進行して、シリコンが溶融するため、正常な窒化珪素質焼結体にならない。また、温度が1800℃を超えるとAl3+,N3−,O2−の置換固溶が進行し、固溶量zが1を超えやすくなり、熱伝導率が低下する。焼結が進行し、開気孔率が5%未満となった場合は、窒化珪素質焼結体中への窒素ガスの供給量が少なくなるため、300kPaを超える窒素分圧であっても構わないし、1800℃以上の温度で焼成しても構わない。最終的には相対密度96%以上まで緻密化を進行させることで、高温における強度および熱伝導とも高い窒化珪素質焼結体からなる内筒2cおよびプランジャ11を得ることができる。
なお、微細な結晶組織を得るには焼成温度を1700℃以上1800℃未満にすればよい。また、真空雰囲気中にて昇温後、窒素分圧は150kPa以下とした方が経済的観点からも望ましい。より緻密化を促進するには、開気孔率が5%以下となった段階で200MPa以下の高圧ガス圧処理または熱間等方加圧(HIP)処理を施しても構わない。この場合、開気孔率1%以下で、相対密度が97%以上、さらには99%以上まで焼結を促進させた後に、高圧ガス圧処理または熱間等方加圧(HIP)処理を施すことが好適である。
上述したように、本発明のホットチャンバダイカストマシン1では、組成式Si6−ZAl8−Z(z=0.1〜1)で表されるβ−サイアロンを主相とし、Al,Si,RE(REは周期表第3族元素)の構成比率がそれぞれAl,SiO,RE換算でAlが5〜50質量%,SiOが5〜20質量%,残部がREおよびNであるRE−Al−Si−O−Nからなる粒界相を、主相と粒界相とからなる焼結体に対して4〜10体積%の範囲で含む窒化珪素質焼結体によって内筒2cおよびプランジャ11を構成するので、これら部品の耐磨耗性が向上し、長期間使用を続けてもほとんど磨耗することがないため、交換頻度を下げることができる。
以下、本発明の実施例を具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
(実施例1)
窒化珪素質粉末(平均粒径D50=3μm、Al含有量は200ppm、酸素含有量は0.9質量%),Y粉末(平均粒径D50=0.9μm),Er粉末(平均粒径D50=0.9μmおよび平均粒径D50=1.5μm),Yb粉末(平均粒径D50=2.3μm),Lu粉末(平均粒径D50=0.6μm),Al粉末(平均粒径D50=0.5μm),SiO粉末(平均粒径D50=1.9μm)を所定量調合し、振動ミルを用いて72時間粉砕混合し、D90=1.5μmの混合粉末からなるスラリーを作製した。次に、混合粉末に対してポリビニルアルコール(PVA)を5質量%添加し、粒度400メッシュを通して異物を除去し、脱鉄器にて脱鉄した後、乾燥し、顆粒を得た。そして、この顆粒を冷間等方圧加圧法(CIP)により成形体とし、600℃の窒素雰囲気中でポリビニルアルコール(PVA)を除去後、黒鉛抵抗発熱体を使用した焼成炉内に配置し、窒素分圧を110kPaに維持した状態で、1750℃、15時間で焼成し、焼結体を得た。アルキメデス法にてこの焼結体の気孔率を測定した結果、気孔率はすべて2%以下となっていた。さらに、300kPaの窒素中にて1800℃、5時間で再度焼成して、相対密度が97%以上の窒化珪素質焼結体からなる、軸方向の長さが136mm、内径が39.05mm、肉厚が30mmである本発明の内筒2cを得た。
内筒2c中の組成式Si6−ZAl8−Zの固溶量zは、次のようにして算出した。すなわち、原料粉末を粒度200メッシュ以下に粉砕し、得られた粉末に対して粉末X線回折法における回折角の角度補正用サンプルとして高純度α−窒化珪素粉末(宇部興産製E−10グレード、Al含有量は20ppm以下)を60質量%添加して乳鉢にて均一混合し、粉末X線回折法により解析範囲2θを33〜37°とし、走査ステップ幅を0.002°として、Cu−Kα線(λ=1.54056Å)にてプロファイル強度を測定した。角度の補正は、角度補正用サンプルより得られるピークの最大値を用いて補正した。すなわち、2θ=34.565°付近に現れるα(102)の0.002°毎に得られるピーク強度の上位10点の平均2θと34.565°との差(Δ2θ)、および2θ=35.333°付近に現れるα(210)の0.002°毎に得られるピーク強度の上位10点の平均2θと35.333°との差(Δ2θ)をそれぞれ求め、その差の平均(Δ2θ+Δ2θ)/2を補正Δ2θとした。次に、2θ=36.055°付近に現れるβ(210)の0.002°毎に得られるピーク強度の上位10点の平均2θを補正Δ2θによって補正した角度を内筒2cのβ(210)のピーク位置(2θβ)とした。そして、ピーク位置(2θβ),λ=1.54056Å,(hkl)=(210)を以下の数式に代入して格子定数a(Å)を算出した。
sinθβ=λ(h+hk+k)/(3a)+λ/(4c
この数式で、算出した格子定数a(Å)と、K. H. Jack,J.Mater.Sci.,11(1976)1135−1158,Fig. 13に記載された格子定数a(Å)−固溶量zのグラフとから、固溶量zを求め、この値を表1に示した。
また、RE,Al,SiOの構成比率、粒界相の比率は次のようにして求めた。すなわち、ICP分光分析法により内筒2c中のREおよびAlの各比率(質量%)を測定し、この比率(質量%)をそれぞれREおよびAlにした場合の比率(質量%)に換算した。次に、酸素分析法によりLECO社製酸素分析装置(TC−136型)を用いて内筒2c中のすべての酸素の比率を測定し、REおよびAlの酸素の比率を差し引き、残りの酸素の比率をSiOの比率(質量%)に換算した。内筒2c中の残部をSiとみなし、各比率(質量%)をそれぞれの理論密度(Y:5.02g/cm,Er:8.64g/cm,Yb:9.18g/cm,Lu:9.42g/cm,Al:3.98g/cm,SiO:2.65g/cm,Si:3.18g/cm)で除して、粒界相の体積比率を算出し、この値を表1に示した。
次に、エネルギー分散型X線分光分析法(EDS)を用いて粒界相に含まれる窒素(N)の比率(質量%)を算出し、RE,Al,SiOおよび窒素(N)の各比率(質量%)の総和を100%として粒界相の構成比率を算出し、この値を表1に示した。
そして、内筒2cの800℃における4点曲げ強度および熱伝導率を測定し、この結果を表1に示した。800℃における4点曲げ強度および熱伝導率は、それぞれJIS R 1604−1995,JIS R 1611−1997に準拠して測定した。
また、800℃における4点曲げ強度が500MPa以上の内筒2cについては、これら各内筒2cを形成する窒化珪素質焼結体と組成式,固溶量,主相,粒界相の構成比率および粒界相の体積比率が同じである軸方向の長さが154mm,外径が39mmである窒化珪素質焼結体から形成したプランジャ11を各内筒2cに挿入し、内筒2cおよびプランジャ11の耐磨耗性を射出ショット数で評価した。表1に示す射出ショット数は、内筒2cまたはプランジャ11が磨耗し交換に至るまでの最大射出ショット数であり、最大射出ショット数の値が大きいほど、耐磨耗性に優れていることを示す。なお、耐磨耗性の評価については、金属溶湯3として、アルミニウムの溶湯を用い、プランジャ11のストロークが50mm,圧力が15MPa,速度が20mm/secの条件とした。
Figure 2008006455
表1からわかるように、Alが5質量%未満の試料No.1,14,24,34は、固溶量zが0.1未満であったため、800°における4点曲げ強度が350MPa以下と低く、Alが50質量%を超える試料No.7,18,28,38は、固溶量zが1を超えていたため、熱伝導率が4W/(m・K)以下と低く、最大射出ショット数も1200ショット以下と低かった。
また、SiOが5質量%未満の試料No.8,19,29,39は、800°における4点曲げ強度が400MPa以下と低く、SiOが20質量%を超える試料No.12,23,33,43は、低融点組成に近づくものの、そのために粒界相を構成する原子間の高温における結合力が弱くなるため、高温におけるフォノンの伝搬が低下し、800°における4点曲げ強度および熱伝導率は、それぞれ370MPa以下、7W/(m・K)以下であり、ともに低かった。
また、組成式Si6−ZAl8−Z(z=0.1〜1)で表されるβ−サイアロンを主相とし、Al,Si,RE(REは周期律表第3族元素)の構成比率がそれぞれAl,SiO,RE換算でAlが5〜50質量%,SiOが5〜20質量%,残部がREおよびNであるRE−Al−Si−O−Nからなる粒界相を、主相と粒界相とからなる焼結体に対して体積比率が4体積%未満である試料No.13は800°における4点曲げ強度が460MPaと低く、体積比率が10体積%を超える試料No.4は、800℃における4点曲げ強度および熱伝導率は、それぞれ820MPa、17W/(m・K)とともに高いものの、粒界相の体積比率が高いために、アルミニウムが酸化した硬質の酸化物により浸食され、最大射出ショット数は5000ショットと低かった。
一方、組成式Si6−ZAl8−Z(z=0.1〜1)で表されるβ−サイアロンを主相とし、Al,Si,RE(REは周期律表第3族元素)の構成比率がそれぞれAl,SiO,RE換算でAlが5〜50質量%,SiOが5〜20質量%,残部がREおよびNであるRE−Al−Si−O−Nからなる粒界相を、主相と粒界相とからなる焼結体に対して体積比率が4〜10体積%である試料No.2,3,5,6,9〜11,15〜17,20〜22,25〜27,30〜32,35〜37,40〜42は、800℃における4点曲げ強度および熱伝導率がそれぞれ500MPa以上、10W/(m・K)以上とともに高く、機械的特性および熱伝導性が良好であると言える。また、最大射出ショット数も20000ショット以上であり、耐磨耗性も高いと言える。
(実施例2)
実施例1に示した製造方法と同様の方法でプランジャ11を作製した。そして、実施例1で作製した試料No.10の内筒と、軸方向の長さが154mm,外径が39mmであるプランジャ11を、表2に示す組合せでホットチャンバダイカストマシン1に組み込んで、内筒2cおよびプランジャ11の耐磨耗性を射出ショット数で評価した。表2に示す射出ショット数は、内筒2cまたはプランジャ11が磨耗して交換に至るまでの最大射出ショット数であり、射出ショット数の値が大きいほど耐磨耗性に優れていることを示している。また、交換部品とは、射出ショットの磨耗により、内筒2c,プランジャ11のどちらが先に交換を要した部品であるかを示す。
なお、耐磨耗性の評価については、金属溶湯3として、アルミニウムの溶湯を用い、プランジャ11のストロークが50mm,圧力が15MPa,速度が20mm/secの条件とした。
Figure 2008006455
表2からわかるように、プランジャ11の粒界相の体積比率が内筒2cの粒界相の体積比率より低い試料No.44は、プランジャ11より内筒2cの磨耗が著しかった。一方、プランジャ11の粒界相の体積比率が内筒2cの粒界相の体積比率より高い試料No.45,46は、内筒2cよりプランジャ11の磨耗が著しかった。また、部品の交換にあたっては、内筒2cの交換は煩雑であったがプランジャ11の交換は容易に行なうことができ、プランジャ11の粒界相の体積比率が内筒2cの粒界相の体積比率よりも高いNo.45,46の部品交換が容易であることが確認できた。
(a)は本発明のホットチャンバダイカストマシンの正面から見た縦断面図、(b)は(a)の右側面から見た縦断面図である。 (a)は従来のホットチャンバダイカストマシンの正面から見た縦断面図、(b)は(a)の右側面から見た縦断面図である。
符号の説明
1:ホットチャンバダイカストマシン
2:溶湯射出主筒部
2a:湯道
2b:底板
2c:内筒
2d:外筒
3:金属溶湯
4:成形型
5:ノズル
6:保持筒
6a:段部
7:溶湯槽
8:炉体
9:支持部
10:フランジ
11:プランジャ
12:ヒーター
13:連通孔
14:貫通孔
15:スプルーブッシュ
16:ランナー部
17:外筒孔
18:リング状シール
19:ノズルヒーター
20:綿状セラミック堰
21:油圧シリンダー
22:保持構造体
23:ボルト
24:押え板
25:カップリング
26:主筒押さえボルト
27:端子

Claims (4)

  1. ホットチャンバダイカストマシンの射出ポンプにおいてプランジャが挿入される内筒であって、該内筒は内面が窒化珪素質焼結体からなり、該窒化珪素質焼結体が、組成式Si6−ZAl8−Z(z=0.1〜1)で表されるβ−サイアロンを主相とし、Al,Si,RE(REは周期表第3族元素)の構成比率がそれぞれAl,SiO,RE換算でAlが5〜50質量%,SiOが5〜20質量%,残部がREおよびNであるRE−Al−Si−O−Nからなる粒界相を、前記主相と前記粒界相とからなる焼結体に対して体積比率が4〜10体積%の範囲で含むことを特徴とするホットチャンバダイカストマシンの射出ポンプ用の内筒。
  2. ホットチャンバダイカストマシンの射出ポンプ用のプランジャであって、該プランジャは外面が窒化珪素質焼結体からなり、該窒化珪素質焼結体が、組成式Si6−ZAl8−Z(z=0.1〜1)で表されるβ−サイアロンを主相とし、Al,Si,RE(REは周期表第3族元素)の構成比率がそれぞれAl,SiO,RE換算でAlが5〜50質量%,SiOが5〜20質量%,残部がREおよびNであるRE−Al−Si−O−Nからなる粒界相を、前記主相と前記粒界相とからなる焼結体に対して体積比率が4〜10体積%の範囲で含むことを特徴とするホットチャンバダイカストマシンの射出ポンプ用のプランジャ。
  3. 射出ポンプにより金属溶湯を成形型に押し込んで金属の成形品を得るホットチャンバダイカストマシンであって、前記射出ポンプ用のプランジャが請求項2記載のプランジャであり、該プランジャが挿入される内筒が請求項1記載の内筒であることを特徴とするホットチャンバダイカストマシン。
  4. 前記プランジャの前記粒界相の前記体積比率が、前記内筒の前記粒界相の前記体積比率よりも高いことを特徴とする請求項3記載のホットチャンバダイカストマシン。
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