JP4721768B2 - ダイカスト用スリーブ - Google Patents

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Description

本発明は、ダイカスト用スリーブに関し、特にダイカスト装置に要求される耐摩耗性、耐食性、濡れ性、耐熱性、耐熱衝撃性、及び断熱性に優れ、溶湯と接する内筒を高温に曝してもその構造強度を保持することができる溶融金属のダイカスト用スリーブに関する。
溶融金属の射出成形に使用するダイカスト用スリーブ(以下、単にスリーブと称す)は、軸方向に湯道となる貫通孔を有し、後方端上部から金属溶湯を注湯するための給湯口を有するとともに、前方端に金属溶湯を成形型へ送り込むための射出口を有する筒体からなり、貫通孔内でプランジャを軸方向に往復運動させ、この貫通孔から高温の溶融金属を成形型に射出する。このため、貫通孔内面と溶融金属との接触によりこの貫通孔内面が浸食され、またプランジャとの摺動による摩擦が生じる。さらに、上記の浸食及び摩耗によって、貫通孔内面では、面性状が悪化し、プランジャとのクリアランスが増大するため、溶融金属が付着して鋳造作業及び鋳物に対して悪影響を及ぼしている。
従来からこのような浸食及び摩耗によるスリーブの貫通孔内面の損傷を防止するため、例えばスリーブには、SKD−61のような熱間ダイス鋼が用いられている。しかしながら、熱間ダイス鋼は、熱伝導率が高いため断熱性に劣り、また硬度及び強度の温度依存性も大きく、高温下でこれらの機械的特性が著しく劣化するため、熱間での耐摩耗性に劣る欠点を有している。そこで、この材料面での劣性を補うため、スリーブを水冷する構造のダイカスト用スリーブが用いられているが、水冷による貫通孔内面の温度低下が余儀なくされるため、鋳物の品質面での強度不足やバラツキが生じる。また、低温のスリーブとの接触による溶湯温度の低下を防止するため、予め高温の溶湯を給湯する方法により鋳造されている。
特許文献1には、前述のダイカスト用スリーブでの問題点を解決するために、耐摩耗性、耐食性、耐熱性、耐熱衝撃性、断熱性及び濡れ性に優れた特性を有する材料を使用した内筒と、耐熱金属製の外筒からなる二重構造のダイカスト用スリーブが提案されている。例えば、内筒として緻密質窒化珪素質セラミックス等を用い、外筒として耐熱金属を用いた二重構造のダイカスト用スリーブが提案されている。
また、特許文献2には、内筒と外筒との間に断熱性に優れた特性を有する材料からなる中間筒を組み込んだ三重構造のダイカスト用スリーブが提案されている。例えば、内筒として緻密質窒化珪素質セラミックスを用い、中間筒として多孔質窒化珪素質セラミックスを用い、さらに外筒として耐熱金属を用いた三重構造のダイカスト用スリーブが提案されている。
この三重構造の射出成形用スリーブは、二重構造のダイカスト用スリーブと同様、耐摩耗性、耐食性、耐熱性、耐熱衝撃性及び濡れ性に優れており、さらに断熱性もある程度向上するため、スリーブ内の溶湯温度の低下が小さく、また、外筒の温度を比較的低くすることができる利点を有している。
しかし、上記三重構造のダイカスト用スリーブは、中間筒として用いた多孔質窒化珪素質セラミックスの熱膨張係数は小さく、一方、耐熱金属製の外筒の熱膨張係数が大きいため、鋳造時の高温状態では、中間筒を外筒内に正確に保持することができなくなる等の欠点があったため、これを解決するため、内筒と中間筒とを予め接合しておき、次に外筒と焼嵌め等で接合する方法が採用されている。
特許文献3には、上記三重構造のダイカスト用スリーブの欠点、問題点を解消するため、(A)内筒として、高温においても耐摩耗性、耐食性、耐熱性、耐熱衝撃性、断熱性、強度及び濡れ性に優れた特性を持つセラミックスを用いる点、(B)中間筒として、断熱性、強度に優れ、しかも内筒の熱膨張係数よりも大きな値を有し、かつ外筒の熱膨張係数よりも小さい値を有するセラミックス材料を用いる点、(C)外筒として、構造設計及び製造が容易であり、安価な金属材料を用いる点が開示されている。具体的には、内筒としてサイアロンセラミックス又は緻密な窒化珪素質セラミックス、中間筒としてジルコニア質セラミックス、及び外筒として耐熱金属を用いる点が開示されている。
また、(A)の内筒、(B)の中間筒及び(C)の外筒の三重構造からなり、さらに(D)スリーブ内を強制的に比較的高い温度域において温度制御するため、内筒の内部若しくは外周部又は中間層の内部、内周部もしくは外周部に加熱ヒーターを装着する点が開示されている。具体的には、内筒としてサイアロンセラミックス又は窒化珪素質セラミックス、中間筒としてジルコニア質セラミックス、外筒として耐熱金属を用いた三重構造からなり、内筒の内部もしくは外周部又は中間筒の内部、内周部もしくは外周部に加熱ヒーターを装着する点が開示されている。
特開昭53−070034号公報 特開平2−104459号公報 特開平6−079426号公報
しかしながら、熱間ダイス鋼を使用してスリーブを水冷する構造のダイカスト用スリーブでは、スリーブ内面の浸食を増大させるためスリーブの耐用期間は短くなり、また溶湯温度を高くするためには品質上及び省エネルギーの観点からも好ましくない。
また、特許文献1に示すような、セラミック製の内筒と、耐熱金属製の外筒からなる二重構造のダイカスト用スリーブでは、耐摩耗性、耐食性、耐熱性、耐熱衝撃性及び濡れ性に優れているが、緻密質窒化珪素質セラミックスは、熱伝導率が比較的高いため断熱効果が不十分であり、鋳造時に外筒の温度が高くなるおそれがあり、またスリーブ内では溶湯の温度が低下するおそれがある。さらに、緻密質の窒化珪素質セラミックスは熱膨張係数が小さく、一方耐熱金属製の外筒の熱膨張係数が大きいため、スリーブ全体が高温となると、内筒と外筒との熱膨張量の差がスリーブ軸方向、径方向とも大きくなり、内筒を外筒内に正確に保持することができなくなり、内筒と外筒との相対的な位置精度、姿勢精度が悪化する。
このため、プランジャの往復運動する軸と内筒の軸との相対的な位置精度、姿勢精度が悪化し、スリーブ内面とプランジャとの摺動状態が悪化し、摩耗が多くなったりあるいは偏摩耗したりするため、スリーブの耐用期間が短くなる。
また、特許文献2に示すような三重構造のダイカスト用スリーブは、中間筒として用いた多孔質窒化珪素質セラミックスの断熱効果がまだ十分とはいえず、内筒を十分に高温に保つことができないため、スリーブ内において溶湯の温度が低下し、鋳物の品質面で不利である。また、この多孔質の窒化珪素質セラミックスの熱膨張係数は、緻密質の窒化珪素質セラミックスのそれと同程度であって小さく、一方、耐熱金属製の外筒の熱膨張係数が大きいため、鋳造時の高温状態では、多孔質窒化珪素質セラミックス製の中間筒と耐熱金属製の外筒との熱膨張係数による寸法差がスリーブの軸方向、径方向とも大きくなり、中間筒を外筒内に正確に保持することができなくなるおそれがある。
さらに、多孔質の窒化珪素質セラミックスは、強度が弱く、焼嵌め等による締め代を大きくすることができないため、中間筒及び内筒を外筒内に正確に保持するための十分な力を得ることが難しく、中間筒及び内筒と外筒との相対的な位置精度、姿勢精度を維持することが困難である。このため、プランジャの往復運動する軸と内筒の軸との相対的な位置精度、姿勢精度が悪化し、貫通孔内面とプランジャとの摺動状態が悪化して摩耗量が多くなったり、偏摩耗したりするため、スリーブの耐用期間が短くなる問題点を有している。
また、内筒と中間筒とを予め接合しておき、次に外筒と焼嵌め等で接合する方法では、中間筒と外筒との熱膨張係数の差が大きいため、中間筒と外筒との焼嵌め代を大きくしなければならず、この場合中間筒の強度不足が問題となる。また、焼嵌めに際し外筒の温度を比較的高温としなければならないため、設計・製造上明らかに不利である。
さらに、上記従来の三重構造のダイカスト用スリーブにおいては、従来の二重構造のダイカスト用スリーブの場合と同様、スリーブ内部の温度分布は、射出孔内での溶湯の分布状態の影響を強く受ける。特に横型のダイカストマシーンに用いられるスリーブでは、鋳造過程において給湯された溶湯がスリーブの射出孔内の底部に沿って鋳型に射出されるため、スリーブ内部の温度分布は下部の温度が上部の温度よりも高くなる。そのため、スリーブの下部の熱膨張量が上部の熱膨張量よりも大きくなり、スリーブ全体に反りが生じる。このような反りは、温度分布の不均一さによるものであるため、断熱効果の小さい二重構造のダイカスト用スリーブの方が断熱効果の大きな三重構造のダイカスト用スリーブよりも顕著に現れる。さらに当然のことながら、鋳造する金属材料の融点が高い程溶湯の温度も高くなり、スリーブ内部の温度も高くなるため、上記のような問題点が顕著に現れる。従って、融点のより高い金属材料の鋳造に、上記した従来の技術によるダイカスト用スリーブを適用することは非常に困難である。
したがって、特許文献3に示すように、使用中のプランジャとの摺動運動に問題を解決する方法として内筒の内部もしくは外周部又は中間筒の内部、内周部もしくは外周部に加熱ヒーターを装着することが提案されているが、構造的にはヒーターを内蔵することで制作上の困難性が増大する問題があり、また操業中にヒーターを加熱する電力を費やすことで、ユーティリティの負荷が高くなる問題があった。
本発明は、上述した現状に鑑みてなされたものであり、ヒーター等を埋設又は設置することなく、耐用寿命の短期化が解消され、製作容易で安価なスリーブを提供することを目的とする。また、電気などのユーティリティを使うことなく、省資源、省エネルギーの観点からも環境に優しいスリーブを提供することを目的とする。
上記目的を達成するため、本発明に係るダイカスト用スリーブは、複数の層の筒体からなり、最も内側に配置される内筒の軸方向に湯道となる貫通孔、前方端に金属溶湯を成形型へ送り込むための射出口と、上記筒体の後方端上部に金属溶湯を上記湯道に注湯するための給湯口とを有するダイカスト用スリーブであって、上記内筒は、上記給湯口に対向する下部の厚みが、上部の厚みより大きく、後方端から前方端に向かって漸減していることを特徴とする。
このように、給湯口に対向する下部の厚みを上部の厚みより大きくすることにより、金属溶湯から、溶道側の筒体の下部に集中的に熱が与えられるが、その下部の熱を良好に拡散させることができるため、またスリーブ下部の構造上の強度が増加するため、溶湯をスリーブ内に注湯した場合に発生する反りを抑えることができる。そのことにより、プランジャを摺動させる際に摩耗及び偏摩耗を抑制し、ダイカスト用スリーブの耐用寿命を長期化することができる。また、本発明によれば、反りの原因となるスリーブ内の温度不均一を解消するための加熱ヒーターを付加的に設ける必要がなく、安価で使いやすいスリーブとすることができる。さらに、本発明によれば、電気などのユーティリティを使う必要がないため、省資源の点からも環境に優しいスリーブとすることができる。湯道側の筒体の厚みを後方側から前方側に向かって漸減させたことにより、溶湯の給湯口側の高温領域の変形や反りを防止することができる。また、上記給湯口に対向する湯道側の筒体の厚みが大きく、かつ長手方向の後方端側の厚みが前方端側の厚みより大きいことにより、プランジャとの摺動状態が良好で、長寿命化が可能なダイカスト用スリーブとすることができる。
本発明に係るダイカスト用スリーブは、上記内筒の後方端の厚みが、前方端の厚みの1.1倍〜1.5倍であることを特徴とする。
このような構成とすることにより、スリーブの変形や反りを防止することができる。
本発明に係るダイカスト用スリーブは、上記内筒が25W/(m・)以上の熱伝導率、850℃以上の耐熱衝撃値を有するセラミックスからなる。
上記内筒を形成するセラミックスが、熱伝導率25W/(m・)以上、耐熱衝撃値が850℃以上の材料からなることにより、溶湯金属の熱を外筒へ良好に放出し、また高温の溶湯のヒートショックによる破損を防ぐことができる。
本発明に係るダイカスト用スリーブは、上記内筒が、緻密質の窒化珪素質セラミックスからなることを特徴とする。
上記内筒に緻密質の窒化珪素質セラミックスを用いることにより、溶湯との濡れ性も向上させることができる。また、ダイカスト用スリーブの使用時の熱サイクルの繰り返しのため必要とされる熱衝撃性や強度を向上させることができる。ここで、緻密質窒化珪素質セラミックス(サイアロンセラミックス)とは、β-SiのSi4+位置にAl3+、N3−の位置にO2−が置換固溶したSi6−Z Al8−Z で表されるセラミックスである。
本発明によれば、給湯口に対向する下部の厚みを上部の厚みより大きくすることにより、溶湯をスリーブ内に注湯した場合に発生するスリーブの変形や反りを防止することができ、そのことによりダイカスト用スリーブの耐用寿命を長期化することができる。また、本発明によれば、スリーブ内の温度分布を均一とし、スリーブとプランジャとの摺動摩耗を減少させるための加熱ヒーターを付加的に設ける必要がなく、安価で使いやすいスリーブとすることができる。さらに、本発明によれば、電気などのユーティリティを使う必要がないため、省資源の点からも環境に優しいスリーブとすることができる。湯道側の筒体の厚みを後方側から前方側に向かって漸減させたことにより、溶湯の給湯口側の高温領域の変形や反りを防止することができる。また、上記給湯口に対向する湯道側の筒体の厚みが大きく、かつ長手方向の後方端側の厚みが前方端側の厚みより大きいことにより、プランジャとの摺動状態が良好で、長寿命化が可能なダイカスト用スリーブとすることができる。
以下本発明の実施の形態を図面を用いて説明する。
(実施の形態1)
本発明に係るダイカスト用スリーブは、例えばアルミニウム等の金属溶湯を鋳造する際に用いられるものであって、金型へ射出成形する際、上記金属溶湯が当該スリーブ内に注入される。
図1は、略円筒形の断面形状を有するダイカスト用スリーブを示す断面図であって、例えば上記筒体が3つの筒体層(内筒1、中間筒2及び外筒3)からなり、金属溶湯と接する筒体である内筒1における給湯口に対向する下部の厚みが、上部の厚みより大きいダイカスト用スリーブを示している。
本発明のダイカスト用スリーブは、軸方向に湯道となる貫通孔を有し、後方端上部に金属溶湯を注湯するための給湯口6を、前方端に金属溶湯を成形型へ送り込むための射出口を有するものである。ここで、上記筒体は3つの筒体(内筒1、中間筒2及び外筒3)からなり、給湯口6から注入された金属溶湯は、後方側からプランジャ4により押し出されるものである。
金属溶湯と接する内筒1は、合金工具鋼、高速度鋼、コバルト系サーメット複合材、又はチタン系サーメット複合材等の耐熱性に優れた材料で形成すればよいが、耐摩耗性、耐食性、耐熱性、耐熱衝撃性、断熱性、強度及び濡れ性に優れるため、サイアロンセラミックスからなることが好ましく、さらには緻密質の窒化珪素質セラミックスからなることが好ましい。また、内筒の外側に配置された中間筒2は、如何なるセラミック材料を用いても良いが、断熱性及び強度に優れるため、安定化ジルコニア質セラミックスであることが好ましい。中間筒2のセラミック材料は、内筒1の熱膨張係数より大きく、かつ外筒の熱膨張係数より小さいセラミック材料であることが好ましい。また、中間筒2の外周面を覆う外筒3は、セラミック材料、金属材料、合金材料でもよいが、設計変更が容易であるため金属材料からなることが好ましい。具体的には、SKD−61、SKD−6、SKD−8、又はSUS630等の金属材料であることが好ましい。
ダイカスト用スリーブは、平常時においては、真っ直ぐな円筒形状をなしており、プランジャをスリーブ内に摺動させても抵抗を受けることなく摩耗が生じることがない。しかし、射出成形をするに際しスリーブの給湯口6から溶湯を注入した場合、従来のダイカスト用スリーブでは、給湯口6に対向する下方領域に急激な熱の上昇が見られ、下方が高温となり熱により膨張するため、このスリーブは後端側に向かって上方に反ることとなる。そのため、プランジャ4をスリーブ内に摺動させた場合、摩擦抵抗を受けるため可動しなくなったり、著しく摩耗したりする。この場合、金型に射出される射出量が不安定となり、製品の品質が低下することとなる。
そこで、本発明の実施の形態1においては、金属溶湯と接する筒体(内筒1)の、上記給湯口6に対向する下部の厚み1aが上部の厚み1bより大きくなるようにダイカスト用スリーブを形成する。具体的には、下部の厚み1aが上部の厚み1bの1.2〜3.0倍であることが好ましい。より好ましくは、1.2倍〜2.0倍である。下部の厚み1aが上部の厚み1bの1.2倍より小さいと、スリーブのたわみ量が大きくなり不都合である。また、3.0倍より大きくなると、スリーブのたわみ量が同様に大きくなるため不都合である。なお、上記内筒1における給湯口6に対向する下部とは、少なくとも給湯口6の中心と貫通孔の軸を結ぶ直線の延長線と、内筒1とが接する部位を含む領域であり、径方向の領域、軸方向の領域については後述する。
金属溶湯と接する内筒1の、上記給湯口6に対向する下部の厚み1aを上部の厚みより大きくすることにより、ダイカスト用スリーブの反りの発生を抑制することができる。
さらに、内筒1の上記給湯口6に対向する下部の厚みを1aとする領域は、図3Bに示す円筒形のスリーブの断面において、内筒1の中心から角度Xを60度以上180度未満の範囲とすることが好ましい。内筒1の下部において厚み1aを有する領域と円筒の中心とがなす角度Xが60度未満であると、上方部の熱の伝播が速くなり過ぎるため、下方部と比較して高温になり、スリーブを長手方向に見た際に給湯口が下側に反る。また、角度Xが180度以上であると、上方部の熱の伝播が悪くなり、上方部の温度が低くなるため、スリーブを長手方向に見た際に給湯口が上側に反る。なお、角度Xは120度以上180度未満とすることがより好ましい。角度の測定方法は、3次元測定器にてスリーブ外径を基準にセンター位置を求め、そのセンター基準で内径を測定して各肉厚を求めた際に、給湯口のある上部の厚みよりも1mm以上大きい肉厚部分をその角度Xの変化点として角度を算出した。
また、上記筒体が複数の層からなることが好ましいが、この場合、少なくとも金属溶湯と接する筒体である内筒1における上記給湯口6に対向する下部の厚みが、上部の厚みより大きくなっていればよい。さらに、筒体が複数の層から形成される場合、2〜3層であることが好ましく、外周に使用する中間筒や外筒は熱伝導率の小さい断熱材料であることが好ましい。このような材料としては、ジルコニアやコージェライトが好ましい。
また、内筒1よりもその外周に使用する部材の熱膨張係数が小さいことがより好ましい。これにより高温の湯を使用してもその熱膨張により筒体1が外れることを防ぐことができる。
さらに、上記筒体は、円筒形であることが好ましい。これにより内筒1がその外周に位置する中間筒や外筒と焼嵌めで固定することができるため、内筒1に外周の中間筒や外筒からの圧縮応力を受けることで、高熱による熱衝撃やプランジャからの衝撃時に発生する引張り応力を緩和することができるため、破損しにくい構造とすることができる
さらにまた、少なくとも湯道側に配置された筒体、即ち上記内筒1における上記給湯口6に対向する下部の厚み1aが、上部の厚み1bの1.2〜3.0倍であることがこのましい。
下部の厚み1aが上部の厚み1bの1.2倍より小さいと、スリーブに給湯した際に湯と直に触れる下部の温度が上昇して熱膨張に差が生じるため、上方へのたわみ量が大きくなる。また、3.0倍より大きくなると、下部の温度上昇による熱の伝わり方が遅くなり過ぎるため、上部の方が熱膨張による伸びが大きくなるため、下方へのたわみが大きくなる。したがって、熱膨張による伸びに大きな差が生じにくい下部の厚みの範囲は、上部の厚み1bの1.2〜3.0倍であり、さらに好ましくは、1.2〜2.0倍である。
この熱膨張による反りの測定方法は、プランジャとの位置関係から測定することができる。すなわち給湯する前は、スリーブの中心とプランジャの中心は同じ位置であるため、プランジャの先端をスリーブに挿入した際にプランジャ外径とスリーブ外径の寸法差は、どこを測定しても同様となる。高温の給湯中にこの差を測定することで、どちらにどの程度の反りが発生しているかを測定することができる。
図2は、湯道側の筒体である内筒1の厚みが後方端から前方端に向かって漸減するダイカスト用スリーブを示す。このダイカスト用スリーブが、内筒、中間筒及び外筒からなる三重構造である点、内筒、中間筒及び外筒の材料、並びに製造方法等は、図1に図示したスリーブと同様であるが、少なくとも湯道側の筒体(内筒)の厚みを後方端から前方端に向かって漸減させている点のみ異なる。ここで、湯道側の筒体である内筒1の後方端の厚み1cを前方端の厚み1dの1.1倍〜2.0倍とすることが好ましい。湯道側の筒体の後方端の厚み1cが、前方端の厚み1dの1.1倍未満であると、厚みが薄くなりすぎて、熱の伝播が速くなり過ぎるため、下方部の熱膨張が大きくなり下方が上方に比較して伸びが大きいため反りが発生し、また強度的にも厚みが薄いため有効でない。一方、湯道側の筒体の後方端の厚み1cが、前方端の厚み1dの2.0倍を超えると厚みが厚くなりすぎて熱伝播が遅くなるため、下方部の熱膨張が小さくなるために下方が上方に比較して伸びが小さいため反りが発生する。さらに好ましくは、1.1〜1.5倍である。
なお、厚みの測定方法は、後方端と前方端の端面における肉厚をデジタルノギス等で測定すれば良い。
また、少なくとも湯道側の筒体である内筒1の厚みを後方端から前方端に向かって漸減させ、上記内筒1の後方端の厚みを前方端の厚みの1.1倍〜2.0倍とすることにより、ダイカスト用スリーブの反りをより確実に抑えることができる。
また、内筒1の厚みが後方端から前方端に向かって漸減するダイカスト用スリーブにおいて、図4A〜Cに示すように、ダイカスト用スリーブの後方端側上部の、中間筒1と内筒2との間に溝7を形成しても良い。内筒の当該部分に溝7を形成することにより、外筒3の温度が高温になりすぎるのを防ぐことができる。焼嵌めにより内筒と中間筒はほぼ全面が接しており、内筒から伝播してきた熱は、すぐに中間筒に伝えられていたが、溝7を形成したことにより接触面積が減少するため、急激な熱の伝播が抑えられて熱衝撃による破損が抑えられるとともに、肉厚を変化させたものと併用することで、さらに反りや変形を抑えられる良好なダイカスト用スリーブとすることができる。
また、溝7を形成することにより、その部分の肉厚を小さくしたのと同様の効果もあるため、肉厚を極端に小さくできない部分では、溝7を形成することで変形や反りを少なく抑えることも可能である。
また、上記内筒1の外径部に溝を形成したセラミック複合スリーブにおいて、溶湯投入口側の内筒の外径部に溝7を形成したことにより、最も変形し易い溶湯投入口6の変形を防止することができる。
これにより高温の溶湯が投入された際の熱により、投入口6の下方部分が変形することを抑えることができる。
これは溝7を形成することで肉厚を小さくすることと同様の効果を得ることが可能なためである。例えば投入口の下方の最も高温になる部分と、対象となる上方の位置に複数の溝7を形成することで、肉厚を薄くした際と同様に熱を伝播させることができる。さらに肉厚の変化と組み合わせることにより最適なダイカスト用スリーブとすることができる。
(ダイカスト用スリーブの製造方法)
次に窒化珪素質セラミックスを用いた場合のダイカスト用スリーブの製造方法について説明する。まず、原料粉末として窒化珪素粉末を用い、これに焼結助剤を添加する。この焼結助剤として、アルミナ、イットリア、酸化ケイ素等を用いることが好ましい。この調合原料に溶媒を添加し混合粉砕用のボールとともにボールミルに入れて、攪拌、混合、粉砕してスラリーとする。上記溶媒としては、水を用いれば良い。このスラリーに含まれる上記調合原料の平均粒径を所定の粒径にした後、バインダーを添加して混合攪拌する。このようにして得られるスラリーをスプレードライヤーにより噴霧乾燥させて造粒し、この造粒した原料をセラミックスの一般的な成形方法であるラバー成形法によって成形して成形体を得る。その後、この成形体から切削加工により所定の形状を作り出し、常圧焼成によって緻密体である窒化珪素質セラミックスとした筒体を作製する。ここで、ラバー成形法とは、例えば湿式静水圧加圧成形方法であれば、ゴム製の成形型に造粒原料を充填し、圧力容器内の圧力媒体に浸漬して外部から均等に加圧しながら成形体を作製する方法である。
複数の筒体を用いる場合は、例えば、上記窒化珪素質セラミックスからなる筒体を内筒1として用いる際、上述と同様の方法によりジルコニア質セラミックスからなる筒体を、その内径が上記窒化珪素質セラミックスからなる内筒の外径より小さくなるように製作し、上記ジルコニア質セラミックスの筒体を加熱膨張させることで、上記窒化珪素質セラミックスからなる内筒1の外周にジルコニア質セラミックスの中間筒2をはめ込み、さらに常温まで冷却すれば、窒化珪素質セラミックスの内筒1の外周にジルコニア質セラミックスの中間筒2を有する二重構造のスリーブを形成することができる。さらに、例えばこの二重構造のスリーブの最外層に耐熱金属で作製した外筒3を上記と同様に加熱膨張させることで、三重構造のスリーブとすることができる。上記耐熱金属としてSKD材、SS材、SC材及びSUS材を用いることができるが、好ましくはSKD材である。
(窒化珪素質セラミックスからなる内筒を有するダイカスト用スリーブの製造方法)
次に、上記他の窒化珪素質セラミックスからなる内筒を有するダイカスト用スリーブの製造方法について説明する。ここで、用いる窒化珪素質セラミックスとは、β-SiのSi4+位置にAl3+、N3−の位置にO2−が置換固溶したSi6−Z Al8−Z で表されるβ−サイアロンの結晶相を主たる結晶相とし、その粒界相を軽希土類元素、重希土類元素、珪素、アルミニウム、酸素及び窒素で構成したものである。
先ず第1の方法として、β化率40%以下の窒化珪素質粉末であって、含有するβ型窒化珪素質部のz値が0.5以下である粉末と、添加物成分としてRE粉末と、Al粉末と、Fe粉末と、あるいはWO粉末とを混合、成形し、窒素分圧50〜300kPa、温度1800℃以下において開気孔率5%以下となるまで焼成し、その後相対密度96%以上となるまで緻密化させる。
β型窒化珪素質粉末は粒成長の核となって粗大かつアスペクト比の小さい結晶となりやすいので、β化率が40%を超えると強度、破壊靱性値が低下する。また、含有するβ型窒化珪素質部のz値が0.5を超える場合、概粉末が粒成長の核となり、焼結後の主相となるβ−サイアロンのz値が1を超えやすく、熱伝導率が低下する。従って、β化率は40%以下が良く、望ましくはβ化率10%以下が良い。また、z値は0.5以下が良い。このようにすると、アスペクト比5以上の針状結晶組織が得られ高強度となる。β化率は、α(102)回折線とα(210)回折線のピーク強度の和をIα、β(101)回折線とβ(210)回折線のピーク強度の和をIβとしたときに、次の式によって算出される。
(β化率)=100×Iβ/(Iα+Iβ) (%)
上記窒化珪素質粉末は、RE粉末(ここで、REは希土類元素を示す)と、Al粉末と、Fe粉末と、あるいはWO粉末とを、旧知の方法、例えばバレルミル、回転ミル、振動ミル、ビーズミルなどによって湿式混合、粉砕する。粉砕メディア(粉砕ボール)は、窒化珪素質、ジルコニア質、アルミナ質のものが使用可能であるが、不純物として混入の影響の少ない材質、望ましくは同じ材料組成の窒化珪素質が良い。粉砕により、粒度D90を3μm以下となるように微粉砕することが焼結性の向上、結晶組織の針状化の点から望ましい。混合、粉砕工程において微粉砕するため、粒径の大きいRE粉末、Al粉末、Fe粉末、あるいはWO粉末を使用しても良い。また、前もって上記添加物粉末を微粉砕させても良い。なお微粉砕方法は、粉砕メディアの小径化、粉砕メディア使用量の増量、スラリー粘度の低粘度化、粉砕時間の延長などの方法によって達成できる。また、スラリー粘度の低粘度化には分散剤を添加することが望ましい。しかしながら、短時間粉砕のためには、平均粒径1μm以下の粉末を使用する方が望ましい。
次に、得られた湿式スラリーを乾燥させて乾燥粉体を得る。湿式スラリーは、#200より細かいメッシュを通した後に磁力を用いて脱鉄するなどの方法で極力異物を除去する方が望ましい。また、湿式スラリーの段階でパラフィンワックスやPVA(ポリビニルアルコール)、PEG(ポリエチレングリコール)などの有機バインダーを粉体重量に対して1〜10質量%外添、混合する方が成形性のために望ましい。乾燥方法は、ビーカーなどで乾燥させても良いし、スプレードライヤーにて乾燥させても良く、他の方法であっても良い。
次に、得られた乾燥粉体をプレス成形、CIP成形などによって相対密度45〜60%の所望の形状とする。成形圧力は500〜3000kgf/cmの範囲であれば成形体の密度の向上、乾燥粉体の潰れ性の観点より望ましい。プレス成形の場合は成形クラックの防止のためにも、500〜1200kgf/cmの範囲が望ましい。また、鋳込み成形、射出成形、テープ成形などの成形方法であっても良い。成形後、成形体を切削、積層、接合することによって所望の形状としても良い。得られた成形体を、窒素、真空中などで脱脂した方が良い。ヘリウムや水素などの高価なガスを含む雰囲気中で脱脂すると製造コストが高くなるため好ましくない。脱脂温度は添加した有機バインダーの種類によって異なるが、900℃以下が良い。特に好ましくは500〜800℃である。
次に、成形体を、焼成による成分の揮発を抑制するため、さらには外部からの異物の付着防止のために、焼成サヤ中に配置する。焼成サヤは、窒化珪素質や炭化珪素質、またはその複合物などの材質が良い。また焼成サヤの気孔率が高い場合は、その表面に窒化珪素質の粉末を塗布しても良い。また、カーボン質の材質表面に窒化珪素質の粉末を塗布しても良い。焼成サヤ内には成形体の含有成分の揮発を抑制するためにRE、Al、SiOなどの成分を含んだ共材を配置しても良い。
次に焼成過程について説明する。焼成炉は一般的な窒化珪素質焼結体に用いる黒鉛抵抗発熱体を使用した焼成炉などが使用可能である。また、カーボン粉末など大気中の酸素ガスを除去可能な粉末中に焼成サヤごと埋設する方法や、焼成サヤ内に窒化珪素質粉末、炭化珪素質粉末中を充填し、その中に成形体を埋設する方法を用いれば、電気炉(大気中)で焼成することも可能である。この場合、大気中の酸素ガスは除去され、窒素分圧=大気圧となり、以下に説明する本発明の窒素分圧の範囲内となる。
次に焼成炉内に焼成サヤごと配置し、窒素分圧50〜300kPa、温度1800℃以下において開気孔率5%以下となるまで焼成し、その後相対密度96%以上となるまで緻密化させる。室温から300〜1000℃までは真空にて昇温し、その後50〜300kPaの窒素ガスを導入する。このとき成形体の開気孔率は40〜55%程度であるため、成形体中には窒素ガスが十分充填される。1000〜1400℃付近で焼結助剤成分が固相反応を経て、液層成分を形成し、約1400℃以上の温度域でSi(サイアロン)成分を溶解し、β−サイアロンを析出し、緻密化が開始する。β−サイアロンはβ−SiのSi4+位置にAl3+、N3−の位置にO2−が置換固溶したものであるが、Si−AlN−Al−SiO系の多くの状態図(例えば、K.H.Jack,J.Mater.Sci.、11(1976)1135−1158、Fig.11)にあるように、β(またはβ'とも言う)−サイアロン相の安定領域はSi−Al−SiO系に対してN3−が価数の安定には不足であり、N成分の外部からの供給が必要となる。窒素ガス分圧を低く抑えることによってβ−サイアロンのz値を低くすることが可能である。すなわち、開気孔率が十分大きな場合(開気孔率が40〜55%から5%に達するまでの段階)はできるだけ窒素分圧を低く設定する必要があり、300kPaが上限である。300kPaを超える窒素分圧の場合、β−Si中へのAl,O,Nの置換固溶が進み、z値が1を超えやすくなり、熱伝導率が低下する。50kPaより小さい場合、β−サイアロン(またはSi)の平衡窒素分圧より小さくなり、β−サイアロン(またはSi)の分解反応が進行し溶融金属Siとなるため、正常な窒化珪素質焼結体にならない。また、温度が1800℃を超えるとAl,O,Nの置換固溶が進行し、z値が1を超えやすくなり、熱伝導率が低下する。焼結が進行し、開気孔率が5%以下となった場合、試料中へのNの供給量が少なくなるため、300kPaを超える窒素分圧であっても構わないし、1800℃以上の温度にしても構わず、最終的には相対密度96%以上まで緻密化を進行させることで、高強度、高熱伝導の窒化珪素質焼結体が得られる。望ましくは、最終緻密化温度は1800℃以下とした方が、微細な結晶組織とするためには有効である。また、窒素分圧を全て150kPa以下とした方が経済的観点からも望ましい。また、より緻密化を促進するために、開気孔率が5%以下となった段階で200MPa以下の高圧ガス圧処理、HIP処理を施しても構わない。この場合、望ましくは開気孔率1%以下で、相対密度が97%以上、さらには99%以上まで焼結を促進させた後に高圧ガス圧処理、HIP処理を施す方が良い。
また、添加したFe粉末、あるいはWO粉末が焼成によりFe珪化物、あるいはW珪化物となる際の酸素成分の存在がβ−サイアロンのz値を低くすることに効果的である。Fe粉末、あるいはWO粉末は、主相であるβ−サイアロン(Si)と反応して珪化物を生成するが、その際に脱離した酸素成分の存在によりβ−サイアロン化するためにさらなるN成分の供給が必要となるため、z値を低くできるものと思われる。
このような製造方法によって窒化珪素質焼結体を得ることができるが、以下のような第2の製造方法を用いることもできる。
先ず、上述と同様の窒化珪素質粉末と、上記添加物粉末と、金属シリコン粉末とを、(金属シリコン粉末)/(窒化珪素質粉末)の重量比で1〜10となるように混合、成形し、窒素分圧50kPa〜1.1MPa、1000〜1400℃の温度範囲で金属シリコン粉末を窒化珪素に変換した多孔質窒化体であって、上記多孔質体中の窒化珪素部のβ化率が40%以下、z値が0.5以下であり、上記窒化体を窒素分圧50〜300kPa、温度1800℃以下において開気孔率5%以下となるまで焼成し、その後相対密度96%以上となるまで緻密化させる。
金属シリコン粉末は、上記窒化珪素質粉末と上記添加物粉末と同時にIPAなどで湿式混合、粉砕することもできるし、別途粉砕した後に、湿式混合することもできるが、粗大な金属シリコン粒子はその後の窒化不足と、焼結不足の原因となりやすいので、金属シリコン粒子単独でD90を10μm以下、望ましくは6μm以下に粉砕することが重要である。さらには、同時に湿式混合、粉砕する場合や、別途粉砕した後に、湿式混合する場合には、混合粉のD90を5μm以下にすることが重要である。混合、粉砕工程に置いて微粉砕するため、例えば#40メッシュ以下の粒径の大きい安価な金属シリコン粉末を使用することは経済的に有効である。混合、粉砕方法、乾燥方法、成形方法、脱脂方法、焼成セット方法は上記の旧知の方法に従えばよい。なお、金属シリコン粉末を含有した成形体は含有しない場合より密充填に近づき、相対密度が50〜65%となる。
次に、金属シリコン粉末を含有した成形体を、窒素分圧50kPa〜1.1MPa、1000〜1400℃の温度範囲で金属シリコン粉末を窒化珪素に変換した多孔質窒化体とし、上記多孔質窒化体中の窒化珪素部のβ化率が40%以下、z値が0.5以下とする。
金属シリコン粉末はNガスと窒化反応することでSi成分となる。このとき生成したSi成分は金属シリコン粉末成分より大きな体積となるが、多孔質体の空隙部を埋めるように体積膨張するため、窒化反応により相対密度が55〜70%まで上昇するため、その後の焼成収縮率が小さくなり、焼成変形が小さくなるメリットがある。また、相対密度の上昇によって開気孔率が減少し、成形体中に充填される窒素ガス量が少なくなるため、焼成時のβ−サイアロン化に必要なN成分の供給量を低減させ、z値が小さくなるメリットもある。また、1000〜1400℃の温度範囲で窒化する際にRE−Al−SiOが固相反応しAlがSi中へ固溶しにくくなるメリットもある。しかしながら、窒化反応は発熱反応であるため、急激な窒化反応は自己発熱による温度暴走を引き起こし、α−Siより焼結性の劣るβ−Si(サイアロン)への窒化、さらにはSiメルトを生じる危険性がある。また、従って、(金属シリコン粉末)/(窒化珪素質粉末)の重量比が10より大きい場合、急激な窒化反応を制御するのが困難であり、温度暴走を引き起こすことがあり、(金属シリコン粉末)/(窒化珪素質粉末)の重量比が1より小さい場合、上記メリットが十分生かせないことがある。従って、(金属シリコン粉末)/(窒化珪素質粉末)の重量比は1〜10、望ましくは3〜8が良い。次に窒素分圧が50kPaより小さい場合、窒化反応に長時間を要し、窒化不足となることもある。1.1MPaを超えると急激な窒化反応が発生し、温度暴走が生じやすくなる。また、1000℃より低い温度では窒化反応が進行しない。1400℃を超えると未窒化Siが溶融して割れの原因となるため望ましくない。また、1400℃を超えるとRE−Al−Si−Oを含む液層が生成し、z値が大きなβ−サイアロンの析出が始まり、熱伝導率の低い焼結体となりやすい。
より望ましくは次のように窒化反応を進行させることが良い。すなわち、Si粉末を含む成形体は、窒化工程において成形体の表面のSi粉末から窒化が始まり、時間の経過と共に成形体のより内部に存在するSi粉末の窒化が進行するので、窒化工程の途中または終了時には成形体表面よりも内部のSi量が多い状態が存在する。成形体をこの状態から完全に窒化させるには、低温での窒化(第1の窒化工程)の後、高温での窒化(第2の窒化工程)を行う必要がある。すなわち、1000〜1200℃の温度で上記成形体中のSi粉末の10〜70質量%を窒化すると共に、全窒化珪素(サイアロン)のβ化率を30%未満とする第1の窒化工程と、1100〜1400℃で上記脱脂体中のSi粉末の残部を窒化珪素(サイアロン)に変換して窒化体を得ると共に、窒化体中の全窒化珪素(サイアロン)のβ化率を40%未満とする第2の窒化工程とによって、窒化による発熱反応を制御し、その後の均一な焼結を進行することが好ましい。上記第2の窒化工程の温度は第1の窒化工程の温度よりも高くする。また、第1の窒化工程と第2の窒化工程は連続して実施した方が経済的であるため好ましい。
以上のようにして金属シリコン粉末を窒化すると、窒化珪素部のβ化率が40%以下、z値が0.5以下の多孔質窒化体となる。望ましくは、β化率10%以下の多孔質窒化体とする方が、アスペクト比5以上の針状結晶組織が得られ高強度となり望ましい。また前述のように焼結前のz値は極力小さい方が望ましいが、特にz値が0.5を超えるようなβ−サイアロン粉末に窒化された場合、概粉末が粒成長の核となり、焼結後の主相となるβ−サイアロンのz値が1を超えやすく、熱伝導率が低下する。なお、焼成緻密化方法は前述の方法に従えばよいが、窒化反応工程と焼成緻密化工程は連続で行った方が工程短縮など経済的観点から望ましいが、別途分けて実施しても良い。
続いて、例えばジルコニア質セラミックスからなる中間筒2を作製する。上記中間筒2として如何なるセラミック材料からなる筒体を用いても良いが、断熱性及び強度に優れるため、上記中間筒2はジルコニア質セラミックスからなる筒体であることが好ましい。
以下にジルコニア質セラミックスからなる筒体の作製方法を示す。まず、ジルコニア粉末と、焼結助剤であるY、MgOとを用意し、これらの粉末を混合する。これらの粉末を溶媒(例えば水)と粉砕ボール(ジルコニア質、窒化珪素質、アルミナ質のものが使用可能であるが、不純物として混入の影響の少ない、同じ材料組成のジルコニア質ボールを用いることが好ましい)とともに粉砕機に入れ、所定の粉末粒度まで粉砕しつつ湿式混合しジルコニア質スラリーとする。上記混合・粉砕方法としては、旧知の方法、例えばバレルミル、回転ミル、振動ミル、ビーズミルなどを用いることができる。上述のようにして作成されたスラリーにバインダーを所定の比率で添加し、4時間以上の十分な混合攪拌を行う。上記バインダーとしては、パラフィンワックスやPVA(ポリビニルアルコール)、PEG(ポリエチレングリコール)などを用いることが好ましい。その後上述のように混合・攪拌したものをスプレードライヤーで噴霧乾燥させて造粒する。その後この造粒した原料を例えばラバー成形法により成形する。成形方法としては、このラバー成形法以外に鋳込み成形法、射出成形法、テープ成形法を用いることができる。
上述のように成形するに際し、この中間筒2を、この内径が上記窒化珪素質セラミックスの内筒1の外径より小さくなるように形成することが好ましい。その後、上記のように形成された中間筒2を内筒1の外周に配置したまま、上記中間筒2を加熱膨張させ、上記中間筒2に内筒1をはめ込む。その後、この上記内筒1の外周に中間筒2をはめ込んだものを常温まで冷却する。さらに、この嵌合体の外周に耐熱金属SKD材で作製した外筒3を配置し、上記と同様に加熱膨張させる。これにより、内筒1を窒化珪素質セラミックス、中間筒2をジルコニア質セラミックス、外筒3をSKD材とする3層のスリーブを作製することができる。上記耐熱金属としてSKD材の他にSS材及びSUS材を用いることができる。
さらに、内筒1を形成する窒化硅素質セラミックスは、β型窒化珪素質セラミックスを用いることがより好ましい。このような窒化硅素質セラミックスは、例えば平均粒径0.8μmの酸化鉄(Fe)の粉末、平均粒径1μmのWO粉末を水を用いて湿式混合し、得られたスラリーを100℃で乾燥して予備混合粉末を作製する。次にこの予備混合粉末と、窒化珪素(Si)粉末(平均粒径1μm、α化率90%、Fe不純物含有量100ppm)、Si粉末(平均粒径3μm、Fe不純物含有量200ppm)とからなる原料粉末に、焼結助剤として、平均粒径1μmのY粉末と、平均粒径0.7μmのAl粉末とを混合し、造粒、成形して成形体を得る。
この得られた成形体を焼成時の収縮を考慮して所定寸法に切削加工を施し所望の形状とする。これを窒素雰囲気中600℃で3時間保持することにより脱脂し、さらに得られた脱脂体を表面が窒化珪素質セラミックスから成るカーボン製のこう鉢中に載置し、実質的に窒素からなる150kPaの窒素分圧中、一定の温度、保持時間で順次窒化し、さらに昇温して120kPaの窒素分圧中1500℃で3時間、1770℃で10時間、200kPaの窒素分圧中1800℃で3時間、順次保持して焼成し、β型窒化珪素質セラミックスからなる内筒1を得ることができる。
また、この窒化珪素質セラミックスは、Fe、Cr、Mn、Cuのうち少なくとも1種の金属珪化物とW、Moのうち少なくとも1種の金属珪化物を含むことが好ましく、これによりFe珪化物と、W珪化物は結晶構造が近似しているので互いに隣接した結晶相を形成するため、機械的特性及び熱的特性、特に機械的強度と耐熱衝撃性がさらに向上する。これら金属珪化物は熱力学的な安定相であるためであり、また、これらの金属珪化物は、機械的応力や熱応力がかかった場合でも相変態を起こしにくく、相変態に伴う更なる機械的応力や熱応力の増大の恐れがないため好適である。
これらの結晶構造により、得られた内筒1は、熱伝導率が25W/(m・K)以上、耐熱衝撃値が850℃以上となり、高温の溶融金属が開口部より投入されて、内筒1の内部に高温となって流れる際に、熱を外筒方向へ放出して逃がすことが容易となるため、内筒1の表面と内部の熱応力差による変形やクラックの発生を防ぐことができる。
また、耐熱衝撃値が高いことにより、高温の溶融金属が開口部より投入されて、内筒1の内部に高温となって流れる際に内筒の表面が瞬間的に高温に曝されるため、表面と内部で大きな温度差が生じることになるが、耐熱衝撃値が高いことでこのヒートショックによる割れやクラックの発生を防ぐことができる。
次に、表1に示すような各種窒化珪素質セラミックスにより内筒を作製し、試料No.1〜17のダイカスト用スリーブを作製した。
熱伝導率、耐熱衝撃値、及びたわみ等を計測した。各値の測定方法は以下の通りである。熱伝導率はJIS R 1648に準拠して測定し、具体的には各試料表面にルビーレーザーのパルス光を均一に照射し、試料裏面の温度上昇を赤外線センサーまたは熱電対で測定する。裏面の温度応答曲線から、最高温度の半分に達する時間を求めることにより熱拡散率が求められ、最高温度と予め比熱既知の標準試料より求めておいたレーザー照射による吸収熱量から比熱が求められる。そして熱伝導率は熱拡散率と比熱と密度を掛け合わせて算出される。
耐熱衝撃値は、JIS R 1650に準拠して測定し、10ヶの試料を加熱炉内で所定の温度まで昇温し、加熱炉下に設けた冷却水槽に自由落下させ冷却する。その後、試料にクラック発生の有無を確認し、全ての試料にクラックが発生しない時の加熱最高温度を、耐熱衝撃値とする。
さらに、反りの測定方法は、予め、スリーブにプランジャの先端を挿入し、スリーブ端面の外径と、挿入したプランジャの付根部分を使って、ダイヤルゲージを45度毎に8ヶ所、押し当てながら各寸法を測定する。700℃のアルミ溶湯を給湯し、給湯中は高温であるため保護手袋を着用して同様に各寸法を測定した。この測定結果から、例えばスリーブ上側の寸法において、給湯前と比較して給湯中の測定結果が、0.2mm少ない数値であった場合、上側に0.2mmの反りが生じているという判定とした。
その計測結果を表1に示した。ここで、表中、窒化珪素1とは、以下の製法により得られた窒化珪素質セラミックスからなる内筒を用いた三重構造のダイカスト用スリーブである。
先ず、原料粉末として、平均粒径1μmの窒化珪素粉末を87重量部と、焼結助剤として周期律表第3a族酸化物であるイットリウム酸化物5.2重量部、アルミニウム酸化物2.4重量部、酸化ケイ素粉末1.5重量部を使用し、粉末に対し、60重量部の水と220重量部の窒化珪素ボールを粉砕機に入れ、所定の粉末粒度まで混合、粉砕して窒化珪素質スラリーを得た。このスラリーに各バインダーを所定の比率で添加し、2時間以上の十分な混合攪拌を行った後、スプレードライヤーで噴霧乾燥させて造粒し、この造粒した原料をラバー成形法により成形し造粒体を作製した。
続いて、上記と同様に、原料粉末として、平均粒径1.2μmのジルコニア粉末を96重量部と、焼結助剤としてYを3.5重量部、MgOを0.5重量部を使用し、この粉末に対して50重量部の水と70重量部のアルミナボールを粉砕機に入れ、所定の粉末粒度まで混合し、粉砕してジルコニア質スラリーを得た。このスラリーにバインダーを所定の比率で添加し、4時間以上の十分な混合攪拌を行った後、スプレードライヤーで噴霧乾燥させて造粒し、この造粒した原料をラバー成形法により成形しジルコニア質セラミックスからなる筒体を作製した。このジルコニア質セラミックスは、その内径が上記窒化珪素質セラミックスの筒体の外径より小さくなるように製作し、上記ジルコニア質セラミックスの筒体を加熱膨張させて、上記窒化珪素質セラミックスの外周にジルコニア質セラミックスの筒体をはめ込み、さらに常温まで冷却した。さらに、この二重構造のスリーブの最外層に、SKD材等の耐熱金属で作製した筒体を上記と同様に加熱膨張させ、内筒が窒化珪素質セラミックスからなる三重構造のダイカスト用スリーブを作製した。また、窒化珪素2とは、ここで、表中、窒化珪素2とは、以下の製法により得られた窒化珪素質セラミックスからなる内筒を用いた上記窒化珪素1を用いたスリーブと同様な三重構造のダイカスト用スリーブである。
先ず、平均粒径0.8μmの酸化鉄(Fe)の粉末、平均粒径1μmのWO粉末を水を用いて湿式混合し、得られたスラリーを100℃で乾燥して予備混合粉末を作製する。次にこの予備混合粉末と、窒化珪素(Si)粉末(平均粒径1μm、α化率90%、Fe不純物含有量100ppm)、Si粉末(平均粒径3μm、Fe不純物含有量200ppm)とからなる原料粉末に、焼結助剤として、平均粒径1μmのY粉末と、平均粒径0.7μmのAl粉末とを混合し、造粒、成形して成形体を得る。
この得られた成形体を焼成時の収縮を考慮して所定寸法に切削加工を施し所望の形状とする。これを窒素雰囲気中600℃で3時間保持することにより脱脂し、さらに得られた脱脂体を表面が窒化珪素質セラミックスから成るカーボン製のこう鉢中に載置し、実質的に窒素からなる150kPaの窒素分圧中、一定の温度、保持時間で順次窒化し、さらに昇温して120kPaの窒素分圧中1500℃で3時間、1770℃で10時間、200kPaの窒素分圧中1800℃で3時間、順次保持して焼成し、β型窒化珪素質セラミックスからなる内筒1を得る。
各試料の評価は、熱伝導率、耐熱衝撃値及びたわみを総合的に判断して得られたものであり、給湯中の高温時におけるスリーブの長手方向の変形量を測定し、そのたわみが0.2mmを超えるものを×、同様に0.15を超え0.2mm以下のものを△、また0.1を超え0.15以下のものを○、0.1以下のものを◎とした。
Figure 0004721768
試料No.5、9、11及び12は、内筒の前方端の肉厚及び後方端の肉厚が12mmで、内筒の肉厚は一定であり、内筒の上部の径方向肉厚を10mm、内筒の下部の径方向肉厚を12、20、30、32mmとしている。また、給湯口に対向する下部の層の両端と上記円筒形の中心とがなす角度Xは全て120°で同じである。
試料No.5、9、11及び12の測定結果から、下部の径方向肉厚の、上部に対する比率は、1.2〜3.0であることが好ましいことが分かった。試料No.5、9、及び11においては、たわみ量は小さく良好であるが、この比率が1.2以下、又は3.0以上となるとスリーブのたわみ量が増加してしまう。
また、試料No.9、13〜16の測定結果から、上記湯道側の筒体の後方端の厚みが、前方端の厚みの1.1倍〜2.0倍であることが好ましいことが分かった。湯道側の筒体の後方端の厚みが、前方端の厚みの1.1倍未満では、厚みが薄くなりすぎて、熱の伝播が速くなり過ぎるため、下方部の熱膨張が大きくなり下方が上方に比較して伸びが大きいため反りが発生し、また強度的にも厚みが薄いため有効でない。一方、湯道側の筒体の後方端の厚みが、前方端の厚みの2.3倍である試料No.16では、厚みが厚くなりすぎて熱伝播が遅くなり、下方部の熱膨張が小さくなるために下方が上方に比較して伸びが小さいため、たわみ量が0.18と大きく良好でない。
さらに、試料No.3〜7の測定結果から、円筒形のスリーブの断面における、上記給湯口に対向する下部の層の両端と上記円筒形の中心とがなす角度Xは、60度以上180度未満であることが好ましいことが分かった。上記角度Xが60度より小さい試料No.3の場合、たわみ量が0.24と大きく、また上記角度Xが180度以上である試料No.7の場合も、たわみ量が0.22と大きくなってしまい、反りを抑制したダイカスト用スリーブとすることができない。
略円筒形の断面形状を有するダイカスト用スリーブであって、上記筒体が3つの層(内筒、中間筒及び外筒)からなり、金属溶湯と接する筒体における上記給湯口に対抗する下部の厚みが、上部の厚みより大きいダイカスト用スリーブの長手方向の断面図を示している。 湯道側の筒体(内筒)の厚みが後方端から前方端に向かって漸減するダイカスト用スリーブの長手方向の断面図を示している。 円筒形のスリーブの断面において、上記給湯口に対向する下部の層の両端と上記円筒形の中心とがなす角度Xが、60度≦X<180度を満たすダイカスト用スリーブの長手方向の断面図を示している。 上記ダイカスト用スリーブの径方向の断面図を示している。 湯道側の筒体(内筒)の厚みが後方端から前方端に向かって漸減するダイカスト用スリーブであって、内筒と中間筒との間に溝を設けたダイカスト用スリーブの長手方向の断面図を示している。 溝7を1つ有するダイカスト用スリーブの径方向の断面図を示している。 溝7を3つ有するダイカスト用スリーブの径方向の断面図を示している。 湯道側の筒体(内筒)の上部と下部の厚みが同じである従来のダイカスト用スリーブの長手方向の断面図を示している。
符号の説明
1 内筒
2 中間筒
3 外筒
4 プランジャ
5 取り付け板
6 給湯口(投入口)
7 溝

Claims (5)

  1. 複数の層の筒体からなり、最も内側に配置される内筒の軸方向に湯道となる貫通孔、前方端に金属溶湯を成形型へ送り込むための射出口と、上記筒体の後方端上部に金属溶湯を上記湯道に注湯するための給湯口とを有するダイカスト用スリーブであって、上記内筒は、上記給湯口に対向する下部の厚みが、上部の厚みより大きく、後方端から前方端に向かって漸減していることを特徴とするダイカスト用スリーブ。
  2. 内筒の後方端の厚みが、前方端の厚みの1.1倍〜1.5倍であることを特徴とする請求項に記載のダイカスト用スリーブ。
  3. 内筒が、25W/(m・)以上の熱伝導率を有するセラミックスからなることを特徴とする請求項1又は2に記載のダイカスト用スリーブ。
  4. 内筒が、耐熱衝撃値が850℃以上のセラミックスからなることを特徴とする請求項1〜のいずれかに記載のダイカスト用スリーブ。
  5. 内筒が、窒化珪素質セラミックスからなることを特徴とする請求項1〜のいずれかに記載のダイカスト用スリーブ。
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