JP2004141965A - 金属溶湯用ホットチャンバーダイカストマシン - Google Patents
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Abstract
【解決手段】溶湯を溜める蓄積部と、該蓄積部から溶湯を成形型へ送り込むための湯道11を備えてなる主筒部13内の溶湯に圧入機構によって圧力をかけて成形型へ押し込み、成形品を得る金属溶湯用ホットチャンバーダイカストマシンであって、上記主筒部13がセラミックスにより形成された内筒7および外筒8からなる。
【選択図】図1
Description
【発明の属する技術分野】
本発明はアルミニウムおよびその合金などを鋳造するホットチャンバーダイカストマシンに関し、特に大型化されたマシンにおいてその製作が容易で安定な操業を可能とした設備に関する。
【0002】
【従来の技術】
アルミニウムおよびその合金などを鋳造する手段としてホットチャンバーダイカストマシン用いられており、特開平10−296420号などの提案がなされて来た。即ちアルミニウム系溶湯などの溶湯金属の温度を一定以上に保持するためのヒーターを有する炉体に設けた溶湯槽に支持凸部を形成し、該支持凸部上にピストンにより圧入操作される主筒が設けられ、この主筒に金型に対して圧入操作される注入筒が設けられている。上記主筒部の中のアルミニウム溶湯にプランジャーで圧力をかけて成形金型へ押し込み成型品を得るアルミニウム溶湯の射出鋳造に関しては、このアルミニウム溶湯がほとんどの金属と反応し、これを侵食するので、上記のような圧入機構に金属を採用することができない。従ってこの圧入機構と摺動する主筒部には侵食を受けることのないセラミックス材を採用することが必要であり、窒化珪素やサイアロンなどのセラミックスが用いられるようになった。
【0003】
上記金属溶湯用ホットチャンバーダイカストマシンは、具体的に、図5は射出部の断面図を示し、また図6は図5のプランジャー24および溶湯射出シリンダー23を中心軸として90°回転した同じ部分の断面図を示すものであって、図5に示すように溶湯射出シリンダー23を有する主筒部13は、その底部が、主筒部保持外筒14の段部14aによって支持され、主筒部保持外筒14中に収められており、溶湯15中に浸漬し該主筒部13は湯面19より下方にある。
【0004】
上記溶湯15は、セラミックス系耐溶湯コーティングが施された溶湯槽16に収容されており、加熱ヒーター17により下部から加熱されている。加熱ヒーター17は、炉体18内に収められ、該加熱ヒーター17は図6に示すように複数本が列設されている。上記溶湯15は、主筒部保持外筒14側面に開孔された外筒孔21を通って、主筒部13側面の主筒孔22から溶湯射出シリンダー部23に入り、上下作動するプランジャー24により押されて、注入筒25を通りスプループッシュ26から、ランナー部29を経て鋳型空間30に射出されるように成っているもので、鋳型空間30は、固定金型27と可動金型28により形成されている。なお固定金型27は固定プラテン(不図示)に、可動金型28は可動プラテン(不図示)に保持されている。
【0005】
注入筒25は先端注入部が冷えないようにノズルヒーター31によって加熱されており、また該注入筒25の周りから溶湯15が漏れないように綿状セラミックス堰32でシールされ且つ位置的にもスプループッシュ26(固定金型27の中に配置されている)を介し鋳型空間30に対する注入状態に保持されている。
【0006】
上述した主筒部保持外筒14は上部をフランジ20に挿入されて支持され、該フランジ20は、図6のように上部に設けられた油圧シリンダー42に対するサドルのような油圧シリンダー支持部体40における中間部に対向突設された支持部38に連結ボルト34で押え板35と共に固定され、油圧シリンダー支持部体40から吊り下げられる構造となっており、これによって、上記したように油圧シリンダー42と主筒部13の軸芯が溶湯槽16の温度変化や位置の移動によってずれることがないように構成されている。なお、押え板35は連結ボルト34と直交した方向においては図5に示すように連結ボルト34でフランジ20を連結している。
【0007】
上記したプランジャー24は、図6に示すようにカップリング39を介して上下運動をする油圧シリンダー42の作用を受けるように連結されていて、溶湯15を図5に示すような鋳型空間30に送り込む作用が与えられ、このような作動によって主筒部13が浮き上がらないように主筒押さえボルト36とセラミックス製の耐溶湯端子37で主筒部保持外筒14の底部に押えられている。溶湯15は補給機構によって適宜に補給され、溶湯槽16における湯面19が常に所定レベルに保持されるように成っていることは一般的に知られている如くである。
【0008】
また、図4は上記金属溶湯用ホットチャンバーダイカストマシンにおける主筒部13の拡大断面図を示すものであり、筒状部1と、底部2と、湯道5、6および湯道穴栓3、4とから構成されている。これら湯道穴?3、4は製作を容易にするために設けられたものであり、その一端もしくは両端が閉塞している湯道5、6を本体内部に加工する場合、本体の外側から湯道穴加工を行い、湯道穴栓3、4を使用することで必要な湯道5、6を本体内部に実現できる。これら部品は本体と組み込む箇所の隙間公差を適正に設定することで、特に接着することなく使用することができる(特許文献1参照)。
【0009】
【特許文献1】
特開平10−296420号公報
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
図5、6においてアルミニウムまたはアルミニウム合金などの金属溶湯の射出鋳造における主筒部13に用いられているセラミックス材は、圧縮強度は大きいが塑性的伸びが乏しいため油圧シリンダー42と一体構造とした上部からの吊り下げ構造を採用することができず、射出のための主体をなす筒状部1を溶湯槽16に近接して取付けることが必要で、筒状部1を溶湯槽16に固定する方式に従うべきものと観念されて来た。
【0011】
上記ダイカストマシンは、大型化が進み、この大型化したマシンにおいては射出力と共に溶湯洩れを防止するための押付け力なども大となり、それらの作用力に耐えるためには主筒部13における筒状部1の外径および厚みを大きくすることが試みられている。
【0012】
しかし、筒状部1の外径、厚みが大きくなるとセラミックスが大型となり、製作上の加工性が低下し、コストアップとならざるを得ない。また急熱急冷や外力などに対する強度も充分に得難いなどの欠点を有している。
【0013】
また、溶湯槽16に主筒部13を固定した機構においては、溶湯槽16やそれを保持している加熱炉体18の温度変化、作業中に生ずる射出振動などによる炉体18の位置ずれ等により油圧シリンダー42と溶湯射出シリンダー23である筒状部1との間における芯ずれが発生し易く、そうしたずれによってかじりやシール部からの溶湯洩れが発生し、操業困難となり、作業を中断せざるを得ないこととなる。即ちこのような事情から設備の充分な耐用性を確保できないという欠点を有している。
【0014】
さらに、注入機構に関しては注入筒25が筒状部1に対し圧接シールされることが不可欠であるが、上記のようにダイカストマシンが大型化した場合においては上記注入筒25の筒状部1に対する圧接力も大とならざるを得ず、このような注入筒25による巨大化した押圧圧接力に耐え得る厚みが必要となる。しかし、焼結性が低下して製作が非常に困難になっている。
【0015】
本発明は、上述した課題に鑑みなされたものであってその目的は、アルミニウム及びアルミニウム合金等を鋳造する金属溶湯用ホットチャンバーダイカストマシンの溶湯射出主筒部において、マシンが大型化された場合でも製作が容易で安定な操業を可能とした設備を提供することにある。
【0016】
【課題を解決するための手段】
本発明は上記したような従来技術における課題を解消することについて実地的研究と推考を重ね、本発明の金属溶湯用ホットチャンバーダイカストマシンは、溶湯を溜める蓄積部と、該蓄積部から溶湯を成形型へ送り込むための湯道を備えてなる主筒部内の溶湯に圧入機構によって圧力をかけて成形型へ押し込み、成形品を得る金属溶湯用ホットチャンバーダイカストマシンであって、上記主筒部がセラミックスにより形成された内筒および外筒からなることを特徴とする。
【0017】
また、本発明の金属溶湯用ホットチャンバーダイカストマシンは、上記湯道が内筒および外筒との境界面に形成されることを特徴とする。
【0018】
さらに、本発明の金属溶湯用ホットチャンバーダイカストマシンは、上記内筒および外筒との境界面がテーパー形状となっていることを特徴とする。
【0019】
さらにまた、本発明の金属溶湯用ホットチャンバーダイカストマシンは、上記内筒および外筒が複数の分割体を接合してなるとともに、各分割面がテーパー形状であることを特徴とする。
【0020】
またさらに、本発明の金属溶湯用ホットチャンバーダイカストマシンは、上記内筒および外筒におけるそれぞれの分割面の位置が交互になることを特徴とする請求項5に記載の金属溶湯用ホットチャンバーダイカストマシン。
【0021】
また、本発明の金属溶湯用ホットチャンバーダイカストマシンは、上記湯道の出口部に、外筒の外周面にむかって径が小さくなるテーパー形状の外周面を有する補強部材を設けたことを特徴とする。
【0022】
これにより、金属溶湯用ホットチャンバーダイカストマシンにおける射出機構の作動を安定化して実操業における安定な利用を可能となし、更には大型化した設備にも容易且つ低コストに即応せしめることができる。
【0023】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施形態を図面を用いて説明する。
【0024】
本発明の金属溶湯用ホットチャンバーダイカストマシンは、アルミニウムおよびその合金などの金属溶湯を鋳造する際に用いられ、例えば図5、図6に示すように、主筒部13の中の溶融したアルミニウム溶湯15等の金属溶湯にプランジャー24で圧力をかけて成形金型27、28へ押し込み成形品を得る仕組みである。
【0025】
図1(a)は本発明の金属溶湯用ホットチャンバーダイカストマシンにおける主筒部13の断面図であり、(b)はそのX−X線における断面図である。
【0026】
上記主筒部13は、溶湯を溜める蓄積部を形成する内筒7および外筒8と、底部2と、該蓄積部から溶湯を成形型へ送り込むための湯道11と、該湯道11を塞ぐ湯道穴栓3、4とから構成されている。
【0027】
本発明の主筒部13は、内筒7と外筒8とから形成されていることが重要である。
【0028】
このような構造にすることによって、内筒7、外筒8の内周側面、もしくは外周側面からの浅底溝加工によって湯道11を形成することができ、加工性が大幅に改善される。また、内筒7、外筒8の肉厚が薄くなったことで焼成が十分に行なわれ、より強度の優れたものとなる。図4に示すように従来の主筒部は13、湯道6、11を主筒肉厚部に加工するため、どうしても肉厚を厚くする必要があり、孔加工、焼成等が非常に難しくなる。孔加工については、湯道6は端面からの長軸加工となることから、作業性が悪くなる、また、従来より主筒部13は加圧小生した後加圧処理を施した窒化珪素質セラミックスからなり、これを焼成する場合、その肉厚が厚いことが焼成を困難にしており、焼成歩留まりが悪く製作コストを増大している。
【0029】
また、図2(a)、(b)に示すように上記内筒7および外筒8との境界面9がテーパー形状となっていることが好ましい。
【0030】
上記主筒部13の内筒7内には600℃以上の高温のアルミニウム溶湯などの金属溶湯が浸漬されるため、この温度においても十分な耐久性を有するように内筒7および外筒8を常温での組み立て時に、焼きばめ作業を行っておく必要がある。その際に、内筒7、外筒8の線膨張係数によって上記焼きばめの精度を管理する。この焼きばめ精度は材料の線膨張係数と使用温度でどれだけ締め付け力を与えるかによって決定され、焼きばめ作業においては作業性が良くなるように外筒8の内径を内筒7の外径より大きくなるまで加熱した状態でセットするが、内筒7、外筒8の境界面9にテーパー形状でない場合、隙間が大きく取れてスムーズにセットできるよう、外筒8をかなり高い温度まで加熱しなければならないが、テーパー形状にすればセットがスムーズ行うことができる。
【0031】
また、内筒7および外筒8が異なる材質からなる場合には、内筒7、外筒8の線膨張係数の違いによる隙間の変化をテーパー角度10を変化させることによって自動調節が可能となり、境界面9の隙間の管理を良好に行うことができる。
【0032】
なお、テーパーの向きは内筒7側の境界面9、即ち内筒7の外周面が底部2に向って小さくなるようなテーパーとすることが望ましい。これは、装置運転中にプランジャーで金属溶湯を金型へ押し出す場合、主筒部13に下向きの力が作用するため、内筒7が外筒8に保持される力をより向上させることができる。
【0033】
さらに、上記境界面9のテーパー角度10は、それぞれ内筒7のテーパー角度10a、外筒8のテーパー角度10bが0.5〜2°とすることが好ましい。これは、テーパー角度10が大き過ぎると主筒部13の底部2と上面での外径の寸法差が大きくなり、外筒8の上面部の肉厚が薄くなり、外筒8に設けられた湯道11の出口部の強度が低下しやすく、装置の耐久性が低減する。したがって、内筒7、外筒8の肉厚を適正にするには、テーパー角度10が0.5〜2°とすることが好ましい。
【0034】
また、上記主筒部13に形成された湯道11は、図1(b)、図2(b)に示すように上記内筒7および外筒8との境界面9に形成されていることが好ましい。
【0035】
これにより、予め、内筒7または外筒8に溝加工を施して、境界面9に向って開口する溝を形成しておけば、外筒8に内筒7を挿入するだけで、湯道11を容易に形成することができ、従来のように一体的に形成された筒状体に湯道11となる孔を形成する必要はなく、効率よく湯道11を形成することができる。
【0036】
なお、上記湯道を形成する際は、図3(a)に示す断面図のように内筒7に形成してもよく、また、図3(b)に示すように内筒7、外筒8にそれぞれ溝を形成してもよく、外筒8に内筒7に挿入するだけで湯道11を容易に形成することができる。
【0037】
さらに、図3(c)に示すように、上記内筒7および外筒8がそれぞれ複数の分割体7a〜7c、8a、8bを接合してなるとともに、内筒7の分割面7´、外筒8の分割面8´がそれぞれテーパー形状であることが好ましい。
【0038】
このように長さ方向にリング状の分割体7a〜7c、8a、8bを形成し、接合することによって、使用中にアルミ合金等の溶湯による静水圧力に対しても、一体型のものと同等の耐圧力性を有することができ、大型なものに対応することができる。
【0039】
また、内筒7の分割面7´テーパーの向きは内側から外側の上方へ傾くテーパーとし、内筒7の内側に上方からピストン(不図示)が降下してくる際に、内筒7の内側の各分割体7a〜7cの分割面7´のエッジ部に引っかかることなく円滑に作動することができる。また、上記分割面7´をテーパー形状とすることにより、溶湯によって内筒7に内圧がかかった場合、内周側のテーパー部肉薄部が外周側テーパー部に密着することになり、分割面7´にオイルシールなどのシール構造を設けないでも使用時の合わせ面の良好な密着性を確保でき、溶湯の漏れを無くすことが可能となる。
【0040】
また、外筒8が長さ方向で複数分割され、その分割面をテーパー形状とすることにより、同じように外筒8の分割面8´から溶湯が漏れるのを防止することが可能となる。外筒8の分割面8´のテーパーの向きは内側から外側上方へ傾くテーパーあるいは内側から外側下方へ傾くテーパーのどちらでもよい。
【0041】
さらに、各テーパー角度θについては15°〜35°が望ましい。テーパ角度θが15°未満では内圧による分割面7´への押しつけ効果が少なくなる。またテーパー角度θが35°を超えると分割面7´のエッジが鋭くなり内圧に対するエッジでの強度が不足する。
【0042】
また、上記内筒7の分割面7´、外筒8の分割面8´の位置が交互になることが好ましく、各分割面7´、8´の位置が一致しないようにすることで、内筒7と外筒8との間での溶湯漏れを防止し、両者間で良好なシール性を確保することができ、溶湯15からもたらされる静水圧に対して耐圧性を損なうことなく使用可能となる。
【0043】
上記内筒7、外筒8は、同じ材質のセラミックスから形成することが好ましく、焼きばめの際に線熱膨張係数の違いによる膨張を考慮する必要がない。材質を異にする場合は使用中の温度上昇による両材質の熱伸びを考慮して、セット時の両部品間の隙間あるいは焼きばめの採用などの両者のはめ合い管理を同時に行う必要がある。
【0044】
また、上記内筒7は、直接高温のアルミニウム溶湯等の金属溶湯が蓄積されるため、高温強度が高いセラミックスを用いることが好ましく、具体的には加圧焼成した窒化珪素から形成することが好ましい。該窒化珪素は、不純物が少なく、耐熱衝撃性が高いため、金属溶湯と反応し難く、また、内筒7には金属溶湯を押し出すためにプランジャー24が摺動するが、この摺動に対しても耐摩耗性が大きく長期間の使用においても欠け等が生じることはなく優れた耐久性を有する。
【0045】
この場合、外筒8は、摺動特性が要求されないため、常圧焼成窒化珪素で形成することによって、内筒7及び外筒8を加圧焼成した窒化珪素質セラミックスで形成した場合に比べて製作コストを低下させることができる。なお、耐久性を向上させる点では、上記内筒7、外筒8を加圧焼成した窒化珪素質セラミックスで形成することが好ましい。
【0046】
具体的に、上記常圧焼結の後、加圧処理を施した窒化珪素質セラミックスおよび加圧処理窒化珪素質セラミックスとは、Al2O、Y2O3などの金属酸化物を添加して液相焼結したものでり、このような窒化珪素質セラミックスは、結晶がアスペクト比2〜20程度の針状となるため、破壊靱性値(K1C)が4〜6MPa√mと大きくエッジ部のチッッピングの発生を少なくすることができるとともに、摩耗に対しても耐性を高めることができる。また、窒化珪素質セラミックスは水中投下時の耐熱衝撃温度ΔTが550℃と他のセラミックスに比べて大きく、高温度まで熱衝撃に耐えることができる。
【0047】
また、上記湯道11の出口部11cには、外筒8の外周面にむかって径が小さくなるテーパー形状の外周面を有する補強部材41を設けることが好ましい。
【0048】
湯道11の出口部11cには、成形型27、28へと溶湯を送るための注入筒25が設けられている。この注入筒25と出口部11cの境界部では、成形型27、28からの押しつけ力や、また成形型27、28を引き離すときは、金型の方へ引っ張られる引っ張り力を受けるなど、過酷な使用条件となるため、補強部材41を設け、さらにその外周面形状を外筒8の外周面にむかって径が小さくなるテーパー形状とすることによって、成形型27、28への引っ張り力が働いた場合でも、外筒8の補強部材41を保持することができ、また押しつけ力に対しては内筒7によって補強部材41を保持することができる。
【0049】
上記補強部材41は、外筒8に予め孔を形成し、孔内に挿入保持し、その後内筒7を挿入することで強固に保持することができる。一般的にキー、ピンなどで固定していたが、部品数が増えること、応力集中が発生する等の問題があり、テーパー形状の補強部材41を設けることで、外筒8によって無理なく補強部材41を保持することが可能となる。
【0050】
これにより、上述したようなダイカストマシンが大型となった場合において射出力や注入筒25の連結部からの溶湯洩れを阻止するためには主筒部13に対する押しつけ力も大とならざるを得ず、それらの外力に耐えるには溶湯射出主筒部外筒8の直径の大きいことが不可欠的となり、それに伴いセラミックス成形体が大型となり肉厚も大となる。即ちセラミックス体において形状が大きくなり、肉厚が大となることは何れも加速度的に製作上の困難さを増大し、当然にコストアップとなる。上記のような主筒部13を内筒7、外筒8の二重分割構造の採用によってこれらの関係を有効に解決するもので、主筒部13の厚肉化を回避し、急熱急冷時における問題をも大きく縮減する。更に大きな外力に対して内部欠陥を縮減して、より安全となり好ましいコスト低減を得しめる。
【0051】
【実施例】
図2に示すような主筒部において、内筒を窒化珪素にアルミナ、イットリアを添加し、常圧焼結をした後、0.9MPaで加圧処理を施した窒化珪素質セラミックスで、外筒を窒化珪素にアルミナ、イットリアを添加した常圧焼結した窒化珪素質セラミックスにて作製した。
【0052】
なお、境界面はテーパー角度0.5°のテーパー形状とした。
【0053】
また、従来例として図4に示すような加圧焼結した焼結窒化珪素質セラミックスから作製した。
【0054】
各試料を実際に製作し、歩留まり(焼成中の欠け、クラックの有無を確認)を比較した結果、従来品は55%であったが、本発明品は100%へ45%の改善がなされた。
【0055】
【発明の効果】
以上のように、本発明による金属溶湯用ホットチャンバーダイカストマシンにおける射出機構の作動を安定化してセラミックス材を用いた射出注入機構において、セラミックスにより形成された内筒と外筒からなる主筒部を用いることで、容易に湯道を形成でき、製造コストを低下させることができる。
【0056】
また、上記湯道が内筒および外筒との境界面に形成されることから、外筒に内筒をセットすることで、湯道を形成することにより、製作を容易にすることができる。その一端もしくは両端が閉塞している湯道を本体内部に加工する場合、本体の外側から湯道穴加工を行い湯道穴栓を使用することで必要な湯道を本体内部に実現できる。これら部品は本体と組み込む箇所の隙間公差を適正に設定することで、特に接着することなく使用することができる。
【0057】
さらに、内筒および外筒との境界面がテーパー形状としたことにより、内筒、外筒をセットするときの作業性が容易になり、また材質が異なる場合に使用中、外筒、内筒の線膨張係数の違いによる隙間の変化に対して、テーパーによる自動調節が可能となり、分割面の隙間管理を良好に行うことができる。
【0058】
またさらに、上記内筒および外筒が複数の分割体を接合してなるとともに、各分割面がテーパー形状であることから、容量が大きくなって厚肉大型になった場合に、溶湯が装置外へ漏れるのを防止することが可能となる。
【0059】
さらにまた、上記内筒および外筒におけるそれぞれの分割面の位置が交互になることから、内筒の分割面から溶湯が漏れたり、内圧の作用が外筒により遮断されて耐圧性を損なうことなく使用可能となる。
【0060】
またさらに、上記湯道の出口部に、外筒の外周面にむかって径が小さくなるテーパー形状の外周面を有する補強部材を設けたことから、注入筒を外筒から切り離すときに湯道の出口部に発生する外向きの力に対して、外筒に留まらせることができる。
【0061】
以上説明したように、作動を安定化して実操業における安定な利用を可能となし、更には大型化した設備にも容易且つ低コストに即応せしめるものであるから工業的にその効果の大きな発明である。
【図面の簡単な説明】
【図1】(a)は本発明の金属溶湯用ホットチャンバーダイカストマシンにおける主筒部を示す断面図であり、(b)は同図(a)のX−X線における断面図である。
【図2】(a)は本発明の金属溶湯用ホットチャンバーダイカストマシンにおける主筒部の他の例を示す断面図であり、(b)は同図(a)のY−Y線における断面図である。
【図3】(a)、(b)は本発明の金属溶湯用ホットチャンバーダイカストマシンにおける主筒部の種々の例を示す断面図であり、(c)は本発明の金属溶湯用ホットチャンバーダイカストマシンにおける主筒部を分割体から形成した場合における断面図である。
【図4】従来の金属溶湯用ホットチャンバーダイカストマシンにおける主筒部を示す断面図である。
【図5】本発明のホットチャンバーダイカストマシンの射出主要部構成関係を示す断面図である。
【図6】図5を90°回転した際の断面図である。
【符号の説明】
1:筒状部
2:底部
3、4:湯道穴栓
5、6:湯道
7:内筒
8:外筒
7a、8a:分割体
7´:内筒の分割面
8´:外筒の分割面
9:境界面
10:テーパー角度
11:湯道
12:湯道穴?
13:主筒部
14:主筒部保持外筒
14a:段部
15:溶湯
16:溶湯槽
17:加熱ヒーター
18:炉体
19:湯面
20:フランジ(金属製あるいはサーメット製)
21:外筒孔
22:主筒孔
23:溶湯射出シリンダー
24:プランジャー
25:注入筒部
26:スプループッシュ
27:固定金型
28:可動金型
29:ランナー部
30:鋳型空間
31:ノズルヒーター
32:綿状セラミックスの堰
34:連結ボルト
34a:連結ボルト
35:押さえ板
36:主筒押さえボルト
37:耐溶湯端子
38:支持部
39:カップリング
40:油圧シリンダー支持部体
41:補強部材
42:油圧シリンダー
Claims (6)
- 金属溶湯を溜める蓄積部と、該蓄積部から金属溶湯を成形型へ送り込むための湯道を備えてなる主筒部の溶湯に圧入機構によって圧力をかけて成形型へ押し込み、成形品を得る金属溶湯用ホットチャンバーダイカストマシンであって、上記主筒部がセラミックスにより形成された内筒および外筒からなることを特徴とする金属溶湯用ホットチャンバーダイカストマシン。
- 上記湯道が内筒と外筒との境界面に形成されることを特徴とする請求項1に記載の金属溶湯用ホットチャンバーダイカストマシン。
- 上記内筒と外筒との境界面がテーパー形状となっていることを特徴とする請求項1または2に記載の金属溶湯用ホットチャンバーダイカストマシン。
- 上記内筒および外筒が複数の分割体を接合してなるとともに、各分割面がテーパー形状であることを特徴とする請求項1乃至3の何れかに記載の金属溶湯用ホットチャンバーダイカストマシン。
- 上記内筒および外筒におけるそれぞれの分割面の位置が交互になることを特徴とする請求項4に記載の金属溶湯用ホットチャンバーダイカストマシン。
- 上記湯道の出口部に、外筒の外周面にむかって径が小さくなるテーパー形状の外周面を有する補強部材を設けたことを特徴とする請求項1乃至5の何れかに記載の金属溶湯用ホットチャンバーダイカストマシン。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2003011323A JP4215237B2 (ja) | 2002-08-30 | 2003-01-20 | 金属溶湯用ホットチャンバーダイカストマシン |
Applications Claiming Priority (2)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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