JP4385122B2 - α−サイアロン焼結体の製造方法およびα−サイアロン焼結体 - Google Patents

α−サイアロン焼結体の製造方法およびα−サイアロン焼結体 Download PDF

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本発明は、α−サイアロン焼結体の製造方法に関するものであり、更に詳しくは、高い硬度と高い靭性を有する、希土類元素を含む特定の組成を持つα−サイアロン焼結体を簡便な方法で、低コストで製造することを可能とする新しいα−サイアロン焼結体の製造方法に関するものである。
本発明は、従来、高温での強度、硬度、耐食、耐摩擦性に優れ、精密機械部品、メカニカルシール、切削工具、エンジン部品等の分野において有用な構造材料として利用されている、α−サイアロン焼結体の製造技術の分野において、硬度及び靭性を著しく改善したα−サイアロン焼結体を作製することを可能とするα−サイアロン焼結体の新規製造方法を提供するものとして有用である。
セラミックスは、常温に限らず広い温度範囲の環境下において、高強度、高硬度等が実現できるという、他の金属材料等にはない優れた性質を持っている。その中で、α−サイアロン焼結体は、硬度、耐摩耗性、高温強度や非鉄金属に対する耐食性に優れているため、その性質を利用して、自動車部品、ボールベアリング、高温搬送用ベルト等の機械部品、溶融金属面検知センサー等の精密機器、熱押しダイス、線引ガイス、ロール等の耐摩耗工具等の耐摩耗性部材として広く用いられている。
α−サイアロンは、α−窒化ケイ素の固溶体であり、一般式Mx (Si,Al)12(O,N)16で示される。窒化ケイ素は、高温ではβ型構造が安定であるが、窒化ケイ素−窒化アルミニウム−金属酸化物系の特定の組成範囲内では、低温で安定であるα型構造が高温で安定となることが知られている。α−サイアロン焼結体は、窒化ケイ素(Si)結晶中のSi及びN原子の一部がAl及びOで置換され、更に、結晶を構成する原子間の空隙に固溶金属元素が侵入型固溶した構造を有するものであって、その焼結体はセラミックス焼結体の中でも特に高い硬度を有しており、研削材料や耐摩耗材料として使用されてきた。従来、サイアロン焼結体については、α−サイアロン単相焼結体と、α−サイアロンとβ−窒化ケイ素又はβ−サイアロンとからなる複合焼結体が開発されている。このうち、α−サイアロン単相焼結体は、通常の焼結方法によって高密度とするのは困難であり、ホットプレスや熱間静水圧プレス(HIP)、ガス圧焼結等の方法によって焼結されるのが一般である。
これに対して、α−サイアロンとβ−サイアロンからなる複合焼結体は、焼結が容易であり、常圧での焼結により容易に高密度とすることができる。そして、これらの複合焼結体は、高硬度のα−サイアロン粒子と、柱状に成長して焼結体の強度や破壊靱性を向上させるβ−サイアロン粒子とからなり、α粒子とβ粒子の相対的な量比によって機械的性質の制御が可能であり、各種の応用に対応できるという利点もある。しかしながら、複合焼結体は多相からなるため、α−サイアロンの有する、独自の特性を十分に発揮することはできないのが実情である。したがって、α−サイアロンの有する、耐熱性、高温での強度、耐熱衝撃、耐摩耗性に優れた特性を十分に生かした材料を構成するには、α−サイアロン単相焼結体が好ましい材料であることは言うまでもない。しかしながら、α−サイアロン焼結体は、上記のように高い硬度を有しており、研削性や耐摩耗性に優れているものの、結晶粒子が等軸状の粒子であるため、破壊靭性の値が3MPam1/2程度と低い。そのため、この材料は、破壊に至りやすく、実用材としては使いにくい面があったことから、靭性が低いという欠点を改善することが課題となっていた。
そこで、α−サイアロン粒子を主成分とする高靭性のセラミックス焼結体の作製が試みられている。焼結体の低い破壊靭性値を改善する方法として、焼結時の粒成長を促して柱状のα−サイアロンの粒子を生成させる方法があり、例えば、以下のような事例が報告されている。
(1)ホットプレスを用いて1500℃で一度保持してα−サイアロンの核を生成させた後、1900℃前後まで昇温して柱状のα−サイアロン粒子からなる高い硬度と靭性を有するY−α−サイアロン焼結体を作製したことが報告されている(非特許文献1参照)。
(2)別の例では、Y−α−サイアロン焼結体を作製する場合において、Yを過剰に添加した組成とし、これを50barの窒素ガス雰囲気下でガス圧焼結することによって、柱状のα−サイアロン粒子を多量に含んだ焼結体組織の焼結体を作製し、これにより、焼結体の破壊靭性値が5MPam1/2程度の高い値となったことが報告されている(非特許文献2参照)。
(3)一方で、常圧焼結によるα−サイアロン焼結体の作製も行われているが、泥しょう鋳込み成形といった特殊な成形方法により得られる相対密度68%の高密度の成形体を作製し、これを常圧焼結することによって、高硬度、高靭性のα−サイアロン焼結体を作製したことが報告されている(非特許文献3参照)。
J.Kim,A.Rosenflanz and I−W.Chen,J.Am.Ceram.Soc.,2000,83[7],1819−1821. S.Kurama,M.Herrmann and H.Mandal,J.Eur.Ceram.Soc.,2002,22,109−119. X.Xu,M.I.L.L.Oliveira and J.M.F.Ferreira,J.Am.Ceram.Soc.,2003,86[2],366−368.
このように、高い硬度を維持して、靭性を高くしたα−サイアロン焼結体の製造が可能となっている。しかしながら、前記従来の技術では、高い靭性と高い硬度を有するα−サイアロン焼結体の製造は、ホットプレス、ガス圧焼結、もしくは、泥しょう鋳込み成形等によって作製した高密度な成形体を常圧焼結する方法で行われており、製造コストが高くなるといった問題があった。
このような状況の中で、本発明者らは、上記従来技術に鑑みて、高い靭性と高い硬度を有するα−サイアロン焼結体の製造方法において、上記諸問題を解決し得る新しいα−サイアロンの製造技術を開発することを目標として鋭意研究を重ねた結果、希土類元素を含む特定の組成とすることで所期の目的を達成し得ることを見出し、本発明を完成するに至った。
本発明は、高い靭性と、高い硬度を有するα−サイアロン焼結体を製造することができるα−サイアロン焼結体の製造方法、及びその方法により製造された焼結体を提供することを目的とするものである。
また、本発明の他の目的は、ビッカース硬度が1700(HV10)以上であり、且つ破壊靭性が4.0MPam1/2以上、相対密度98%以上であり、硬度、靭性に優れたα−サイアロン焼結体を提供することである。
更に、本発明は、高硬度なα−サイアロン粒子を主成分とし、且つ常圧における焼結により容易に製造することができる、硬度が高く、しかも靭性に優れたα−サイアロン質焼結体の製造方法を提供することを目的とするものである。
上記課題を解決するための本発明は、以下の技術的手段から構成される。
(1)硬度と靭性が優れたα−サイアロン焼結体の製造方法であって、組成式R(Si,Al)12(O,N)16(但し、0.33<x<0.67、Rは希土類元素を示す。)に相当するα−サイアロンを生成するための、窒化ケイ素、アルミナ、窒化アルミニウム、及び希土類元素の酸化物からなる混合物を80重量%以上97重量%未満と、希土類元素の酸化物/シリカのモル比の値が0.2ないし1.0である希土類元素の酸化物とシリカとの混合物を3重量%以上20重量%未満、とを混合し、次いで、成形体を作製した後、該成形体を窒素含有雰囲気下、1700℃以上1950℃以下の温度で常圧焼結することを特徴とするα−サイアロン焼結体の製造方法。
(2)希土類元素が、イットリウム(Y)、ネオジウム(Nd)、サマリウム(Sm)、ガドリウム(Gd)、ジスプロシウム(Dy)、エルビウム(Er)、イッテルビウム(Yb)及びルテチウム(Lu)から選択された1又は2以上の元素からなることを特徴とする上記(1)に記載のα−サイアロン焼結体の製造方法。
次に、本発明について更に詳細に説明する。
本発明は、出発原料として、一般式Rx (Si,Al)12(O,N)16において、xが0.33以上0.67以下の範囲内に相当するα−サイアロンを生成するための、窒化ケイ素−アルミナ−窒化アルミニウム−希土類元素の酸化物の混合物を80重量%以上97重量%未満と、所定のモル比を有する希土類の酸化物とシリカとの混合物を3重量%以上20重量%未満、とを混合して調製した希土類元素及びケイ素元素を過剰に含む混合粉末を用いる。具体的には、前記の範囲内になるように予め計算した量の、窒化ケイ素−アルミナ−窒化アルミニウム−希土類元素の酸化物の混合粉末と、希土類元素の酸化物−シリカの混合粉末を秤量し、混合する。その混合物を、有機溶媒を分散媒とし、ボールミル等で良く混合した後、乾燥し、所定の組成を有する混合物を調製する。
本発明において、出発原料として使用する、窒化ケイ素、アルミナ、窒化アルミニウム、シリカとしては、好適には、窒化ケイ素(宇部興産製、純度98%、粒径0,5μm)、窒化アルミニウム(トクヤマ製、純度99%、粒径1.3μm)、アルミナ(住友化学工業製、純度99.9%、粒径0.2μm)、イットリア(信越化学工業製、純度99.9%)が例示されるが、これらに制限されない。また、希土類元素としては、イットリア、ネオジウム、サマリウム、ガドリウム、ジスプロシウム、エルビウム、イッテルビウム及びルテチウムが用いられ、希土類元素の酸化物として、好適には、イットリア、ネオジア、サマリア、ガドリア、ジスプロシア、エルビア、イッテルビア及びルテチアが例示される。本発明において、窒化ケイ素、窒化アルミニウム及び希土類元素の酸化物の混合物の混合割合を80重量%以上97重量%未満とする理由は、80重量%未満ではα−サイアロン相以外の結晶相及びガラス相が多量に生成することによって、硬度と靭性が共に低くなり、98重量%以上では焼結が不十分となり、緻密な焼結体が得られないためである。また、希土類の酸化物とシリカとの混合物の混合割合を、3重量%以上20重量%未満とする理由は、3重量%未満では、焼結が不十分となり緻密な焼結体が得られず、また、20重量%以上では、α−サイアロン相以外の結晶相及びガラス相が多量に生成することによって、硬度と靭性が共に低くなるためである。
次いで、上記混合物を成形体とした後、成形体を窒素含有雰囲気中で1700℃以上1950℃以下に加熱して、常圧焼結する。本発明では、成形体の作製には、好適には、例えば、一軸プレス、冷間水圧プレス等の比較的簡便な成形方法が利用できる。また、焼結方法としては、バッチ式の抵抗加熱炉、連続式の抵抗加熱炉等を用いた方法が例示される。焼結温度、焼結時間等の焼結条件は、成形体の組成、形状、大きさ等に応じて適宜選定できる。本発明において、窒素含有雰囲気としては、1気圧の窒素雰囲気、窒素に窒素以外の不活性ガスを数%含んだ1気圧の非酸化性雰囲気が例示される。焼結温度を、1700℃以上1950℃以下に特定した理由は、1700℃未満では、α−サイアロンの生成が十分に起こらず、また、1950℃より高い温度では、Si−N結合の分解によって緻密な焼結体が得られないためである。
本発明のα−サイアロン焼結体の製造において、前記希土類元素の酸化物とシリカとの混合物の、希土類元素の酸化物/シリカのモル比は0.2以上1.0未満とすることが望ましい。モル比が0.2未満となるとα−サイアロンと共に多量のβ−サイアロンが生成して焼結体の硬度が低下する。また、1.0以上となるとα−サイアロン以外に少なくとも希土類元素、Si、O及びNを含んだ化合物の結晶相が多量に生成して破壊靭性が低下する。そのため、希土類元素の酸化物とシリカとのモル比を前記範囲の値とすることが望ましい。上記製造方法により、アスペクト比が2以上の柱状のα−サイアロン粒子を主成分とする高い硬度と靭性を有するα−サイアロン焼結体を常圧焼結で製造することが可能である。
本発明の組成式R(Si,Al)12(O,N)16で示されるα−サイアロンにおいて、0.33<x<0.67の範囲で希土類元素を固溶させることが重要である。α−サイアロン中の希土類元素の含有割合であるxが、0.33未満であれば、β−サイアロンが共存することが多くなり、また、xが0.67を超えると、他の酸窒化物等が共存してしまうため、希土類元素は上記範囲内に限定することが重要である。更に、この範囲内にあるα−サイアロン焼結体において、希土類の酸化物/シリカのモル比の値が特定範囲にある酸化物の混合物を添加することが重要である。
本発明の製造方法で製造された、組成式R(Si,Al)12(O,N)16(但し0.33<x<0.67、Rは希土類元素を示す。)からなる、α−サイアロン焼結体は、アスペクト比2以上の柱状のα−サイアロン粒子が焼結体の断面で15%以上の面積を占有する。また、本発明のα−サイアロン焼結体は、ビッカース硬度が1700(HV10)以上であり、且つ破壊靭性が4.0MPam1/2以上である。
本発明により、(1)組成式R(Si,Al)12(O,N)16(但し0.33<x<0.67,Rは希土類元素から選択された元素を示す。)からなるα−サイアロンに相当する組成の混合物に、希土類元素の酸化物及びシリカを過剰に添加することによって、ホットプレス、ガス圧焼結、もしくは、泥しょう鋳込み成形等によって作製した高密度な成形体によらなくても、一軸プレス、冷間水圧プレス等の簡便な成形法を適用して成形した成形体を常圧焼結して、α−サイアロン焼結体を作製することが可能となる、(2)製造した焼結体は、実質的にα−サイアロン相からなり、他の結晶層を含まない、(3)相対密度が98%以上であり、しかも、高い硬度と靭性を有するα−サイアロン焼結体を製造し、提供することができる、という効果が奏される。
次に、本発明を実施例に基づいて具体的に説明するが、本発明は、以下の実施例によって何ら限定されるものではない。
以下の実施例においては、希土類元素から選択された元素として、イットリウム(Y)を用いた一例について説明する。
m/3Si12−(m+n)Alm+n16−n(m=1.1、n=1.1)のY−α−サイアロン組成に相当する量の窒化ケイ素、窒化アルミニウム、アルミナ及びイットリアを秤量して所定の重量比の混合粉Aを得た。更に、イットリア及びシリカを所定のモル比に秤量して所定の重量比の混合粉B得た。以下に、本実施例で使用した、混合粉A及び混合粉Bの、配合物質とその配合量の一例を示す。
〔混合粉A〕
窒化ケイ素:77.214g(宇部興産製、純度98%、粒径0.5μm)
窒化アルミニウム:12.661g(トクヤマ製、純度99%、粒径1.3μm)
アルミナ:3.150g(住友化学工業製、純度99.99%、粒径0.2μm)
イットリア:6.975g(信越化学工業製、純度99.9%)
〔混合粉B〕
イットリア:3.247g(信越化学工業製、純度99.9%)
シリカ:2.016g(北興化学製、純度99.9%)
次いで、所定の重量比の混合粉Aと混合粉Bをメタノール中遊星ボールミルで混合した。作製したスラリーを乾燥後、ふるいを通して混合粉末を作製した。作製した混合粉末を金型で一軸プレス後、冷間静水圧プレス(CIP)を行い、相対密度54%の成形体を作製した。この成形体を窒化硼素(BN)製ルツボに配置し、1気圧の窒素雰囲気下1800℃で焼結を行った。本実施例では、比較例を含め、混合粉Aと混合粉Bの重量比、及び混合粉B中のイットリアとシリカのモル比を変えた9種類の焼結体を作製した。混合粉Bの割合(重量%)及び混合粉B中のイットリアとシリカのモル比の値を表1に示す。
作製した9種類の焼結体については、アルキメデス法により密度を測定した後、切断して結晶相の同定をX線回折によって行った。また、鏡面研磨を行った後、ビッカース硬度及び破壊靭性の測定を行った。相対密度、ビッカース硬度(HV10)及び破壊靭性(K1c)の値を表1に示す。
Figure 0004385122
試料No.1では混合粉Bの量が2.0重量%であり、少ないため、相対密度が88%となり、焼結が不十分であった。また、試料No.9では混合粉Bの量が25重量%であり、比較的多いため、α−サイアロン相以外の結晶相及びガラス相が多量に生成し、それによって、硬度、靭性が共に低くなった。混合粉Bの量を5.0重量%とした場合、混合粉Bがシリカのみからなる試料No.2では破壊靭性は高い値を示したが、ビッカース硬度が低くなった。また、混合粉Bがイットリアのみからなる試料No.7ではビッカース硬度は高い値を示したが、破壊靭性が低くなった。混合粉Bがイットリア及びシリカからなる試料No.3から6のうち、(イットリア)/(シリカ)のモル比が0.2以上1.0未満の範囲内にある試料No.4及び5は、特に優れた物性を示し、ビッカース硬度1700(HV10)以上、且つ破壊靭性4.0MPam1/2以上の高い値を有していた。9種類の試料のうち、試料No.2、5及び7のX線回折像を測定した結果を図1に示す。
本発明に係る試料No.5ではα−サイアロン相のみが検出されているのに対して、比較例の試料No.2ではα−サイアロン相とβ−サイアロン相が検出されており、それが試料No.2の硬度が低くなった原因となっている。また、試料No.7ではα−サイアロン相以外にYSi相及びYSi2−xAl7+x2−x相の生成が確認され、そのため、破壊靭性が低くなっている。
以上、表1及び図1の結果から、試料No.3、4、5、6及び8のように、α−サイアロンの組成を有する混合粉に、イットリア及びシリカを混合した混合粉を過剰に添加した組成とすることによってビッカース硬度及び破壊靭性の高い値を示すα−サイアロン焼結体を常圧焼結で製造することができた。試料No.4、5及び8のように、α−サイアロンの組成を有する混合粉に過剰に添加する混合粉中の(イットリア)/(シリカ)のモル比を0.2以上1.0未満とすることによって、ビッカース硬度1700(HV10)以上、且つ破壊靭性4.0MPam1/2以上の高い値を示す優れたα−サイアロン焼結体を常圧焼結で製造することができた。
以上詳述したように、本発明は、α−サイアロン焼結体及びその製造方法に係るものであり、本発明により、常圧焼結により高い靭性と、高い硬度を有するα−サイアロン焼結体を製造し、提供することができる。そして、本発明のα−サイアロン焼結体は、高い硬度と靭性を有するため、その性質を利用して、精密機械、研削及び耐磨耗工具等の耐摩耗性部材として広く産業上の利用が可能である。
本発明と比較例の製造方法によるα−サイアロン焼結体のX線回折像を示す。

Claims (2)

  1. 硬度と靭性が優れたα−サイアロン焼結体の製造方法であって、組成式R(Si,Al)12(O,N)16(但し、0.33<x<0.67、Rは希土類元素を示す。)に相当するα−サイアロンを生成するための、窒化ケイ素、アルミナ、窒化アルミニウム、及び希土類元素の酸化物からなる混合物を80重量%以上97重量%未満と、希土類元素の酸化物/シリカのモル比の値が0.2ないし1.0である希土類元素の酸化物とシリカとの混合物を3重量%以上20重量%未満、とを混合し、次いで、成形体を作製した後、該成形体を窒素含有雰囲気下、1700℃以上1950℃以下の温度で常圧焼結することを特徴とするα−サイアロン焼結体の製造方法。
  2. 希土類元素が、イットリウム(Y)、ネオジウム(Nd)、サマリウム(Sm)、ガドリウム(Gd)、ジスプロシウム(Dy)、エルビウム(Er)、イッテルビウム(Yb)及びルテチウム(Lu)から選択された1又は2以上の元素からなることを特徴とする請求項1に記載のα−サイアロン焼結体の製造方法。
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