JP2008005794A - シチジン‐5´‐一リン酸‐n‐アセチルノイラミン酸およびn‐アセチルノイラミン酸含有糖質の製造法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】以下の(1)(2)より選ばれる蛋白質を生産する能力を有する微生物の培養物または該培養物の処理物を酵素源として用い、該酵素源、CTPおよびN‐アセチルノイラミン酸を水性媒体中に存在せしめ、該水性媒体中でCMP‐N‐アセチルノイラミン酸(CMP‐NeuAc)を生成、蓄積させ、該水性媒体中からCMP‐NeuAcを採取することを特徴とするCMP‐NeuAcの製造法を提供することができる。(1) 特定のアミノ酸配列を有するCMP‐NeuAcシンターゼ(2)特定の塩基配列と相補的な塩基配列を有するDNAと、ストリンジェントな条件下でハイブリダイズするDNAにコードされ、かつCMP‐NeuAcシンターゼ活性を有する蛋白質
【選択図】 なし
Description
精製酵素を用いずにCMP‐NeuAcを製造する方法としては、CTP前駆物質とN‐アセチルノイラミン酸を原料として、CMP‐NeuAcシンターゼを生産する微生物菌体を用いる方法(特許文献1)がある。この方法では、微生物本来の代謝活性を利用してオロット酸等の安価な原料からCTPを供給するが、この方法で用いられている大腸菌由来のCMP‐NeuAcシンターゼの反応至適pHは塩基性側にあることが明らかになっており(非特許文献2)、微生物菌体の代謝活性を利用するのに適した中性条件で、より効率的にCMP‐NeuAcを合成する酵素の取得が求められている。
[1] 以下の(1)〜(5)より選ばれる蛋白質を生産する能力を有する微生物の培養物または該培養物の処理物を酵素源として用い、該酵素源、シチジン‐5´‐三リン酸(以下、CTPと略す)またはCTP前駆物質(I)およびN‐アセチルノイラミン酸を水性媒体中に存在せしめ、該水性媒体中でシチジン‐5´‐一リン酸‐N‐アセチルノイラミン酸(以下、CMP−NeuAcと略す)を生成、蓄積させ、該水性媒体中からCMP−NeuAcを採取することを特徴とするCMP−NeuAcの製造法。
(1)配列番号1に表されるアミノ酸配列を有する蛋白質
(2)配列番号1に表されるアミノ酸配列において、1個以上のアミノ酸が欠失、置換または付加されたアミノ酸配列からなり、かつCMP-NeuAcシンターゼ活性を有する蛋白質
(3)配列番号1に表されるアミノ酸配列と80%以上の同一性を有し、かつCMP‐NeuAcシンターゼ活性を有する蛋白質
(4)配列番号2に表される塩基配列を有するDNAにコードされる蛋白質
(5)配列番号2に表される塩基配列と相補的な塩基配列を有するDNAとストリンジェントな条件下でハイブリダイズするDNAにコードされ、かつCMP-NeuAcシンターゼ活性を有する蛋白質
[2] CTPまたはCTP前駆物質(I)が、CTP前駆物質(II)からCTPまたはCTP前駆物質(I)を生産する能力を有する原核生物の培養物または該培養物の処理物を酵素源として用い、該酵素源、エネルギー供与体およびCTP前駆物質(II)を水性媒体中に存在せしめ、該水性媒体中でCTPまたはCTP前駆物質(I)を生成、蓄積させて得られるCTPまたはCTP前駆物質(I)である、請求項1に記載のCMP−NeuAcの製造法。
[4] N‐アセチルグルコサミン‐2‐エピメラーゼ、N‐アセチルノイラミン酸シンターゼおよび以下の(1)〜(5)より選ばれる蛋白質を生産する能力を有する一つの微生物またはこれらの蛋白質を生産する能力を任意の組み合わせですべて有する複数の微生物の培養物または該培養物の処理物、およびCTP前駆物質(II)からCTPまたはCTP前駆物質(I)を生産する能力を有する原核生物の培養物または該培養物の処理物を酵素源として用い、該酵素源、CTP前駆物質(II)、N‐アセチルグルコサミンおよびエネルギー供与体を水性媒体中に存在せしめ、該水性媒体中でCMP−NeuAcを生成、蓄積させ、該水性媒体中からCMP−NeuAcを採取することを特徴とする、CMP−NeuAcの製造法。
(1)配列番号1に表されるアミノ酸配列を有する蛋白質
(2)配列番号1に表されるアミノ酸配列において、1個以上のアミノ酸が欠失、置換または付加されたアミノ酸配列からなり、かつCMP-NeuAcシンターゼ活性を有する蛋白質
(3)配列番号1に表されるアミノ酸配列と80%以上の同一性を有し、かつCMP‐NeuAcシンターゼ活性を有する蛋白質
(4)配列番号2に表される塩基配列を有するDNAにコードされる蛋白質
(5)配列番号2に表される塩基配列と相補的な塩基配列を有するDNAとストリンジェントな条件下でハイブリダイズするDNAにコードされ、かつCMP-NeuAcシンターゼ活性を有する蛋白質
[5] N‐アセチルグルコサミン‐2‐エピメラーゼを生産する能力、N‐アセチルノイラミン酸シンターゼを生産する能力、以下の(1)〜(5)より選ばれる蛋白質を生産する能力およびCTP前駆物質(I)からCTPを生産する能力を持っている1つの原核生物、またはこれらの能力を任意の組み合わせですべて有する複数の原核生物の培養物もしくは該培養物の処理物を酵素源として用い、該酵素源、エネルギー供与体、CTP前駆物質(I)およびN‐アセチルグルコサミンを水性媒体中に存在せしめ、該水性媒体中でCMP‐NeuAcを生成、蓄積させ、該水性媒体中からCMP‐NeuAcを採取することを特徴とする、CMP‐NeuAcの製造法。
(1)配列番号1に表されるアミノ酸配列を有する蛋白質
(2)配列番号1に表されるアミノ酸配列において、1個以上のアミノ酸が欠失、置換または付加されたアミノ酸配列からなり、かつCMP‐NeuAcシンターゼ活性を有する蛋白質
(3)配列番号1に表されるアミノ酸配列と80%以上の同一性を有し、かつCMP‐NeuAcシンターゼ活性を有する蛋白質
(4)配列番号2に表される塩基配列を有するDNAにコードされる蛋白質
(5)配列番号2に表される塩基配列と相補的な塩基配列を有するDNAとス
トリンジェントな条件下でハイブリダイズするDNAにコードされ、かつCMP‐NeuAcシンターゼ活性を有する蛋白質
[6] シアリルトランスフェラーゼを生産する能力を有する微生物の培養物または該培養物の処理物を酵素源として用い、該酵素源、請求項1から5のいずれかの方法で製造されたCMP‐NeuAcおよび受容体糖質を水性媒体中に存在せしめ、該水性媒体中でN‐アセチルノイラミン酸含有糖質を生成、蓄積させ、該水性媒体中からN‐アセチルノイラミン酸含有糖質を採取することを特徴とする、N‐アセチルノイラミン酸含有糖質の製造法。
[7] 以下の(1)〜(5)より選ばれる蛋白質とシアリルトランスフェラーゼとを生産する能力を有する微生物、またはそれぞれの蛋白質を生産する能力を有する2種の微生物の培養物もしくは該培養物の処理物を酵素源として用い、該酵素源、N-アセチルノイラミン酸および受容体糖質を水性媒体中に存在せしめ、該水性媒体中でN‐アセチルノイラミン酸含有糖質を生成、蓄積させ、該水性媒体中からN‐アセチルノイラミン酸含有糖質を採取することを特徴とするN‐アセチルノイラミン酸含有糖質の製造法。
(1)配列番号1に表されるアミノ酸配列を有する蛋白質
(2)配列番号1に表されるアミノ酸配列において、1個以上のアミノ酸が欠失、置換または付加されたアミノ酸配列からなり、かつCMP-NeuAcシンターゼ活性を有する蛋白質
(3)配列番号1に表されるアミノ酸配列と80%以上の同一性を有し、かつCMP‐NeuAcシンターゼ活性を有する蛋白質
(4)配列番号2に表される塩基配列を有するDNAにコードされる蛋白質
(5)配列番号2に表される塩基配列と相補的な塩基配列を有するDNAとストリンジェントな条件下でハイブリダイズするDNAにコードされ、かつCMP-NeuAcシンターゼ活性を有する蛋白質
[8] N‐アセチルノイラミン酸が、N‐アセチルグルコサミン-2‐エピメラーゼとN‐アセチルノイラミン酸シンターゼとを生産する能力を有する微生物、またはそれぞれの蛋白質を生産する能力を有する2種の微生物の培養物もしくは該培養物の処理物を酵素源として用い、該酵素源、エネルギー供与体およびN‐アセチルグルコサミンを水性媒体中に存在せしめ、該水性媒体中でN‐アセチルノイラミン酸を生成、蓄積させることによって得られたものである、請求項7に記載のN‐アセチルノイラミン酸含有糖質の製造法。
[9] N‐アセチルグルコサミン‐2‐エピメラーゼ、N‐アセチルノイラミン酸シンターゼ、以下の(1)〜(5)より選ばれる蛋白質およびシアリルトランスフェラーゼを生産する能力を持っている1つの微生物、またはこれらの蛋白質を生産する能力を任意の組み合わせですべて有する複数の微生物の培養物または該培養物の処理物を酵素源として用い、該酵素源、エネルギー供与体、N‐アセチルグルコサミンおよび受容体糖質を水性媒体中に存在せしめ、該水性媒体中でN‐アセチルノイラミン酸含有糖質を生成、蓄積させ、該水性媒体中からN‐アセチルノイラミン酸含有糖質を採取することを特徴とする、N‐アセチルノイラミン酸含有糖質の製造法。
(1)配列番号1に表されるアミノ酸配列を有する蛋白質
(2)配列番号1に表されるアミノ酸配列において、1個以上のアミノ酸が欠失、置換または付加されたアミノ酸配列からなり、かつCMP-NeuAcシンターゼ活性を有する蛋白質
(3)配列番号1に表されるアミノ酸配列と80%以上の同一性を有し、かつCMP‐NeuAcシンターゼ活性を有する蛋白質
(4)配列番号2に表される塩基配列を有するDNAにコードされる蛋白質
(5)配列番号2に表される塩基配列と相補的な塩基配列を有するDNAとストリンジェントな条件下でハイブリダイズするDNAにコードされ、かつCMP-NeuAcシンターゼ活性を有する蛋白質
(1)配列番号1に表されるアミノ酸配列を有する蛋白質
(2)配列番号1に表されるアミノ酸配列において、1個以上のアミノ酸が欠失、置換または付加されたアミノ酸配列からなり、かつCMP‐NeuAcシンターゼ活性を有する蛋白質
(3)配列番号1に表されるアミノ酸配列と80%以上の同一性を有し、かつCMP‐NeuAcシンターゼ活性を有する蛋白質
(4)配列番号2に表される塩基配列を有するDNAにコードされる蛋白質
(5)配列番号2に表される塩基配列と相補的な塩基配列を有するDNAとストリンジェントな条件下でハイブリダイズするDNAにコードされ、かつCMP‐NeuAcシンターゼ活性を有する蛋白質
をあげることができる。
また、上記の配列番号1で表されるアミノ酸配列において1以上のアミノ酸残基が欠失、置換または付加されたとは、同一配列中の任意かつ1もしくは複数のアミノ酸配列中の位置において、1または複数のアミノ酸残基の欠失、置換または付加があることを意味し、欠失、置換または付加が同時に生じてもよく、置換または付加されるアミノ酸残基は天然型と非天然型とを問わない。天然型アミノ酸残基としては、L-アラニン、L-アスパラギン、L-アスパラギン酸、L-グルタミン、L-グルタミン酸、グリシン、L-ヒスチジン、L-イソロイシン、L-ロイシン、L-リジン、L-アルギニン、L-メチオニン、L-フェニルアラニン、L-プロリン、L-セリン、L-スレオニン、L-トリプトファン、L-チロシン、L-バリン、L-システインなどがあげられる。
A群:ロイシン、イソロイシン、ノルロイシン、バリン、ノルバリン、アラニン、2-アミノブタン酸、メチオニン、O-メチルセリン、t-ブチルグリシン、t-ブチルアラニン、シクロヘキシルアラニン
B群:アスパラギン酸、グルタミン酸、イソアスパラギン酸、イソグルタミン酸、2-アミノアジピン酸、2-アミノスベリン酸
C群:アスパラギン、グルタミン
D群:リジン、アルギニン、オルニチン、2,4-ジアミノブタン酸、2,3-ジアミノプロピオン酸
E群:プロリン、3-ヒドロキシプロリン、4-ヒドロキシプロリン
F群:セリン、スレオニン、ホモセリン
G群:フェニルアラニン、チロシン
また、上記の1以上のアミノ酸残基が欠失、置換または付加されたアミノ酸配列を有する蛋白質がCMP‐NeuAcシンターゼ活性を有するためには、配列番号1記載のアミノ酸配列と、少なくとも80%以上、通常は90%以上、特に95%以上、さらには98%の同一性を有していることが好ましい。
ここでいう「ハイブリダイズする」とは、特定の塩基配列を有するDNAまたは該DNAの一部にDNAがハイブリダイズすることである。したがって、該特定の塩基配列を有するDNAまたはその一部は、ノーザンまたはサザンブロット解析のプローブとして用いることができ、またPCR解析のオリゴヌクレオチドプライマーとして使用できるDNAである。プローブとして用いられるDNAとしては、少なくとも100塩基以上、好ましくは200塩基以上、より好ましくは500塩基以上のDNAをあげることができ、プライマーとして用いられるDNAとしては、少なくとも10塩基以上、好ましくは15塩基以上のDNAをあげることができる。
上記したストリンジェントな条件下でハイブリダイズ可能なDNAとしては、例えば上記したBLASTやFASTA等を用いて上記したパラメーター等に基づいて計算したときに、配列番号2で表される塩基配列と少なくとも90%以上、好ましくは95%以上、より好ましくは97%以上、さらに好ましくは98%以上、特に好ましくは99%以上の相同性を有するDNAをあげることができる。
[A]CMP−NeuAcの製造
(1)CMP‐NeuAcシンターゼ活性を有する蛋白質を生産する能力を有する微生物の作製
本発明の方法で使用するCMP‐NeuAcシンターゼ活性を有する蛋白質を生産する能力を有する微生物は、上記した本発明で使用するCMP‐NeuAcシンターゼ活性を有する蛋白質を生産する能力を有する微生物であれば特に限定されず、該微生物としては、人為的な操作を行わなくても該CMP‐NeuAcシンターゼ活性を有する蛋白質を生産する能力を有している微生物と、CMP‐NeuAcシンターゼ活性を有する蛋白質をコードするDNAで形質転換された微生物があげられる。
上記した本発明で使用するCMP‐NeuAcシンターゼ活性を有する蛋白質をコードするDNAで形質転換された微生物としては、例えば配列番号2で表される塩基配列を有するDNAを適当な発現ベクターに挿入した組換え体DNAで形質転換された微生物、配列番号2で表される塩基配列を有するDNAを染色体上に挿入された微生物があげられる。
上記した本発明で使用するCMP‐NeuAcシンターゼ活性を有する蛋白質をコードするDNAは、該蛋白質を生産する生物の染色体DNA等からのクローニング、または該蛋白質をコードするDNAをDNA合成機等を用いて合成することによって取得することができるが、例えば、配列番号2で表される塩基配列を有するDNAは、以下のようにして取得することができる。
Pasteurella multocidaに属する微生物を公知の方法(例えば、FEMS Microbiol. Lett., 166, 289 (1998))により培養し、培養後、公知の方法(例えばカレント・プロトコールズ・イン・モレキュラー・バイオロジーに記載の方法)により、該微生物のゲノムDNAを単離精製することにより、該微生物のゲノムDNAを取得することができる。
また、配列番号2の塩基配列に基づいて設計された合成DNAをプローブとしたハイブリダイゼーション法などにより目的とするDNAを取得することもできる。
更に、決定されたDNAの塩基配列に基づいて、パーセプティブ・バイオシステムズ社製8905型DNA合成装置等を用いて化学合成することにより目的とするDNAを調製することもできる。
CMP‐NeuAcシンターゼ活性を有する蛋白質を生産する能力を有する微生物は、モレキュラー・クローニング第2版、カレント・プロトコールズ・イン・モレキュラー・バイオロジー等に記載された方法等を用い、例えば以下の方法により、上記1)に記載の方法により取得したDNAを宿主細胞中に導入することにより取得することができる。
該DNA断片を適当な発現ベクターのプロモーターの下流に挿入することにより、組換え体DNAを作製する。
宿主細胞としては、細菌、酵母、動物細胞、昆虫細胞等、植物細胞等、目的とする遺伝子を発現できるものであればいずれも用いることができる。
発現ベクターとしては、上記宿主細胞において自立複製可能ないしは染色体中への組込が可能で、本発明の製造法に用いられるDNAを転写できる位置にプロモーターを含有しているものが用いられる。
組換え体DNAには、CMP−NeuAcシンターゼをコードするDNAを発現させるための転写終結配列は必ずしも必要ではないが、構造遺伝子の直下に転写終結配列を配置することが好ましい。
酵母菌株を宿主細胞として用いる場合には、発現ベクターとして、例えば、YEp13(ATCC37115)、YEp24(ATCC37051)、YCp50(ATCC37419)、pHS19、pHS15等を用いることができる。
宿主細胞としては、サッカロマイセス属、シゾサッカロマイセス属、クルイベロミセス属、トリコスポロン属、シワニオミセス属、ピチア属、キャンディダ属等に属する酵母菌株をあげることができ、具体的には、Saccharomyces cerevisiae、Schizosaccharomyces pombe、Kluyveromyces lactis、Trichosporon pullulans、Schwanniomyces alluvius、Pichia pastoris、Candida utilis等をあげることができる。
動物細胞を宿主として用いる場合には、発現ベクターとして、例えば、pcDNA1.1、pcDNA1.1/Amp、pCDM8、pREP4(以上、インビトロジェン社)、pAGE107(特開平3-22979)、pAS3-3(特開平2-227075)、pAGE103(J. Biochem., 101, 1307 (1987))、pAGE210、pAMo、pAMoA等を用いることができる。
マウス・ミエローマ細胞としては、SP2/0、NSO等、ラット・ミエローマ細胞としてはYB2/0等、ヒト胎児腎臓細胞としてはHEK293(ATCC: CRL-1573)等、ヒト白血病細胞としては、BALL-1等、アフリカミドリザル腎臓細胞としてはCOS-1、COS-7等をあげることができる。
該方法において用いられる遺伝子導入ベクターとしては、例えば、pVL1392、pVL1393、pBlueBacIII(ともにインビトロジェン社製)等をあげることができる。
昆虫細胞としては、Spodoptera frugiperdaの卵巣細胞、Trichoplusia niの卵巣細胞、カイコ卵巣由来の培養細胞等を用いることができる。
組換えウイルスを調製するための、昆虫細胞への上記組換え遺伝子導入ベクターと上記バキュロウイルスの共導入方法としては、例えば、リン酸カルシウム法(特開平2-227075)、リポフェクション法(Proc. Natl. Acad. Sci., USA, 84, 7413 (1987))等をあげることができる。
プロモーターとしては、植物細胞中で機能するものであればいずれのものを用いてもよく、例えば、カリフラワーモザイクウイルス(CaMV)の35Sプロモーター、イネアクチン1プロモーター等をあげることができる。
組換えベクターの導入方法としては、植物細胞にDNAを導入する方法であればいずれも用いることができ、例えば、アグロバクテリウム(Agrobacterium)(特開昭59-140885、特開昭60-70080、WO94/00977)、エレクトロポレーション法(特開昭60-251887)、パーティクルガン(遺伝子銃)を用いる方法(特許第2606856、特許第2517813)等をあげることができる。
(2)CMP‐NeuAcシンターゼ活性を有する蛋白質を生産する能力を有する微生物の培養物の調製
本発明の製造法に用いられるCMP‐NeuAcシンターゼ活性を有する蛋白質を生産する能力を有する微生物を培地に培養する方法は、微生物の培養に用いられる通常の方法に従って行うことができる。
炭素源としては、該生物が資化し得るものであればよく、グルコース、フラクトース、スクロース、これらを含有する糖蜜、デンプンあるいはデンプン加水分解物等の炭水化物、酢酸、プロピオン酸等の有機酸、エタノール、プロパノール等のアルコール類等を用いることができる。
培養は、通常振盪培養または深部通気攪拌培養等の好気的条件下で行う。培養温度は15〜40℃がよく、培養時間は、通常5時間〜7日間である。培養中pHは3.0〜9.0に保持する。pHの調整は、無機または有機の酸、アルカリ溶液、尿素、炭酸カルシウム、アンモニア等を用いて行う。
プロモーターとして誘導性のプロモーターを用いた発現ベクターで形質転換した微生物を培養するときには、必要に応じてインデューサーを培地に添加してもよい。例えば、lacプロモーターを用いた発現ベクターで形質転換した微生物を培養するときにはイソプロピル−β−D−チオガラクトピラノシド等を、trpプロモーターを用いた発現ベクターで形質転換した微生物を培養するときにはインドールアクリル酸等を培地に添加してもよい。
また、培養中必要に応じて、カナマイシン、ペニシリン、ストレプトマイシン等の抗生物質を培地に添加してもよい。
CMP−NeuAcシンターゼ活性を有する蛋白質を生産する能力を有する昆虫細胞を培養する培地としては、一般に使用されているTNM-FH培地(ファーミンジェン社製)、Sf-900 II SFM培地(ライフ・テクノロジーズ社製)、ExCell400、ExCell405(いずれもJRHバイオサイエンシーズ社製)、Grace's Insect Medium(Nature, 195, 788 (1962))等を用いることができる。
また、培養中必要に応じて、ゲンタマイシン等の抗生物質を培地に添加してもよい。
CMP−NeuAcシンターゼ活性を有する蛋白質を生産する能力を有する植物細胞は、細胞として、または植物の細胞や器官に分化させて培養することができる。該形質転換体を培養する培地としては、一般に使用されているムラシゲ・アンド・スクーグ(MS)培地、ホワイト(White)培地、またはこれら培地にオーキシン、サイトカイニン等、植物ホルモンを添加した培地等を用いることができる。
また、培養中必要に応じて、カナマイシン、ハイグロマイシン等の抗生物質を培地に添加してもよい。
(3)CMP‐NeuAcの製造
1)CMP‐NeuAcの製造1
上記(2)の培養により得られた微生物の培養物および該培養物の処理物を酵素源として用い、該酵素源、CTPまたはCTP前駆物質(I)およびN‐アセチルノイラミン酸を水性媒体中に存在せしめ、該水性媒体中でCMP‐NeuAcを生成、蓄積させ、該水性媒体中にCMP‐NeuAcを製造することができる。
CMP‐NeuAcの生成において、必要に応じて界面活性剤あるいは有機溶媒を添加してもよい。界面活性剤としては、ポリオキシエチレン・オクタデシルアミン(例えばナイミーンS-215、日本油脂社製)などの非イオン系界面活性剤、セチルトリメチルアンモニウム・ブロマイドやアルキルジメチル・ベンジルアンモニウムクロライド(例えばカチオンF2-40E、日本油脂社製)などのカチオン系界面活性剤、ラウロイル・ザルコシネートなどのアニオン系界面活性剤、アルキルジメチルアミン(例えば三級アミンFB、日本油脂社製)などの三級アミン類など、CMP‐NeuAcの生成を促進するものであればいずれでもよく、1種または数種を混合して使用することもできる。界面活性剤は、通常0.1〜50 g/lの濃度で用いられる。有機溶剤としては、キシレン、トルエン、脂肪族アルコール、アセトン、酢酸エチルなどがあげられ、通常0.1〜50 ml/lの濃度で用いられる。
CMP‐NeuAcの製造に用いられるCTPまたはCTP前駆物質(I)は、CTP前駆物質(II)からCTPまたはCTP前駆物質(I)を生産する能力を有する原核生物の培養物または該培養物の処理物を酵素源として用い、該酵素源、エネルギー供与体およびCTP前駆物質(II)を水性媒体中に存在せしめ、該水性媒体中でCTPまたはCTP前駆物質(I)を生成、蓄積させることによっても得ることができる。
CMP‐NeuAcの製造に用いるCTPまたはCTP前駆物質(I)は特に制限はなく、市販のCTPまたはCTP前駆物質(I)を用いてもよいし、予め上記の方法で媒体中に生成、蓄積させ、該媒体中から採取することによって得られたCTPまたはCTP前駆物質(I)を用いてもよい。また、CTPまたはCTP前駆物質(I)が生成、蓄積した上記の媒体をそのままCTPまたはCTP前駆物質(I)として用いることもできる。さらにCMP‐NeuAcを生成する反応とCTP前駆物質(II)からCTPまたはCTP前駆物質(I)を生産する反応を同一媒体中で同時に行うことにより、同一水性媒体中でCTPまたはCTP前駆物質(I)を生成させるとともに、CMP‐NeuAcを生産することもできる。
CTP前駆物質(II)からCTPまたはCTP前駆物質(I)を生産する能力を有する原核生物の処理物としては、前記した培養物の処理物と同じものをあげることができる。
CMP‐NeuAcの製造に用いるCTP、CTP前駆物質(I)および(II)は、1mmol/l〜1mol/lの範囲で用いる。
CMP‐NeuAcの製造に用いるN‐アセチルノイラミン酸としては、市販品または微生物を用いて製造されたものなどいずれでもよく、好ましくはN‐アセチルグルコサミンからN‐アセチルノイラミン酸を生産する能力を有する微生物の培養物または該培養物の処理物を酵素源に用いて製造したN‐アセチルノイラミン酸をあげることができる。
N‐アセチルグルコサミン‐2‐エピメラーゼをコードするDNAで形質転換された微生物およびN‐アセチルノイラミン酸シンターゼをコードするDNAで形質転換された微生物の培養物または該培養物の処理物を酵素源として用いる時は、それぞれの微生物の培養物または該培養物の処理物の混合物を酵素源として用いてもよい。
N‐アセチルグルコサミン‐2‐エピメラーゼをコードするDNAおよび/またはN‐アセチルノイラミン酸シンターゼをコードするDNAで形質転換された微生物は、(1)に記載の方法に準じ、それぞれのDNAの塩基配列に基づき取得することができる。また、該微生物の培養物は、(2)に記載の方法に準じて取得することができる。
N‐アセチルグルコサミン‐2‐エピメラーゼをコードするDNAおよび/またはN‐アセチルノイラミン酸シンターゼをコードするDNAで形質転換された微生物としては、例えばSynechocystis sp. PCC6803株由来のN‐アセチルグルコサミン‐2‐エピメラーゼをコードするDNAおよびEscherichia coli由来のN‐アセチルノイラミン酸シンターゼをコードするDNAを含む組換え体DNAであるpLT4を導入されたEscherichia coli NAN8-71/pLT4(WO03/72783)等があげられる。
CMP−NeuAcの製造に用いるN−アセチルノイラミン酸は、1mmol/l〜3mol/lの範囲で、好ましくは10〜500mmol/lの範囲で用いる。
CMP‐NeuAcの生成に用いる各酵素源はいずれも、培養物を遠心分離して得られる菌体の湿重量にして1〜500g/l、好ましくは50〜300g/lで用いる。
反応液中に生成したCMP−NeuAcの採取は、活性炭やイオン交換樹脂などを用いる通常の方法によって行うことができる。
2)CMP‐NeuAcの製造2
N‐アセチルグルコサミン‐2‐エピメラーゼ、N‐アセチルノイラミン酸シンターゼおよび本発明で用いられるCMP‐NeuAcシンターゼ活性を有する蛋白質を生産する能力を有する一つの微生物またはこれらの蛋白質を生産する能力を任意の組み合わせですべて有する複数の微生物の培養物もしくは該培養物の処理物、およびCTP前駆物質(II)からCTPまたはCTP前駆物質(I)を生産する能力を有する原核生物の培養物または該培養物の処理物を酵素源として用い、該酵素源、CTP前駆物質(II)、N‐アセチルグルコサミンおよびエネルギー供与体を水性媒体中に存在せしめ、該水性媒体中でCMP‐NeuAcを生成、蓄積させることができる。
上記した微生物の培養物の処理物としては、1)に記載の培養物の処理物と同じものをあげることができる。
CTP前駆物質(II)からCTPまたはCTP前駆物質(I)を生産する能力を有する原核生物としては、1)に記載の原核生物をあげることができる。
CTP前駆物質(II)からCTPまたはCTP前駆物質(I)を生産する能力を有する原核生物の培養物の処理物としては、1)に記載の培養物の処理物と同じものをあげることができる。
CMP‐NeuAcの製造法で用いられる水性媒体は、1)に記載のものと同じものを用いることができる。
CMP‐NeuAcの製造法において、必要に応じて界面活性剤あるいは有機溶媒を添加してもよく、1)に記載の界面活性剤あるいは有機溶媒と同じものを、いずれも同様の濃度で用いることができる。
CMP‐NeuAcの製造法において用いるエネルギー供与体は、1)に記載のものと同じものを、同様の濃度で用いることができる。
CMP‐NeuAcの製造に用いるN‐アセチルグルコサミンは、1mmol/l〜3mol/lの範囲で、好ましくは10〜500mmol/lの範囲で用いる。
水性媒体中に生成したCMP‐NeuAcの分離定量はHPLCを用いて公知の方法(WO98/12343)に従って行うことができる。
反応液中に生成したCMP−NeuAcの採取は、活性炭やイオン交換樹脂などを用いる通常の方法によって行うことができる。
3)CMP‐NeuAcの製造3
N‐アセチルグルコサミン‐2‐エピメラーゼを生産する能力、N‐アセチルノイラミン酸シンターゼを生産する能力、CMP‐NeuAcシンターゼ活性を有する蛋白質を生産する能力およびCTP前駆物質(I)からCTPを生産する能力を持っている1つの原核生物、またはこれらの能力を任意の組み合わせですべて有する複数の原核生物の培養物または該培養物の処理物を酵素源として用い、該酵素源、エネルギー供与体、CTP前駆物質(I)およびN‐アセチルグルコサミンを水性媒体中に存在せしめ、該水性媒体中でCMP‐NeuAcを生成、蓄積させることもできる。
CTP前駆物質(I)からCTPを生産する能力を持っている原核生物としては、該能力を有する原核生物であれば特に制限はないが、好ましくはエシェリヒア属またはコリネバクテリウム属に属する原核生物、より好ましくはEshcerichia coliまたはCorynebacterium ammoniagenes、さらに好ましくはEshcerichia coliをあげることができる。
該培養物の処理物としては、1)に記載の培養物の処理物と同じものをあげることができる。
CMP‐NeuAcの製造法に用いるCTP前駆物質(I)としては、1)に記載のCTP前駆物質(I)と同じものを同様の濃度で用いることができる。
CMP‐NeuAcの製造法において、必要に応じて界面活性剤あるいは有機溶媒を添加してもよく、1)に記載の界面活性剤あるいは有機溶媒と同じものを、いずれも同様の濃度で用いることができる。
CMP‐NeuAcの製造法において用いるエネルギー供与体は、1)に記載のものと同じものを、同様の濃度で用いることができる。
CMP‐NeuAcの生成に用いる各酵素源はいずれも、培養物を遠心分離して得られる菌体の湿重量にして1〜500g/l、好ましくは50〜300g/lで用いる。
反応液中に生成したCMP−NeuAcの採取は、活性炭やイオン交換樹脂などを用いる通常の方法によって行うことができる。
[B]N‐アセチルノイラミン酸含有糖質の製造
(1)シアリルトランスフェラーゼを生産する能力を有する微生物の作製
本発明の方法で使用するシアリルトランスフェラーゼ活性を有する蛋白質を生産する能力を有する微生物は、該能力を有する微生物であれば特に制限されないが、該微生物としては、人為的な操作を行わなくてもシアリルトランスフェラーゼを生産する能力を有している微生物と、シアリルトランスフェラーゼをコードするDNAで形質転換された微生物をあげることができる。
シアリルトランスフェラーゼ活性を有する蛋白質をコードするDNAで形質転換された微生物としては、例えばPasteurella multocidaのpm0188で特定される塩基配列を有するDNA(WO03/27297)を適当な発現ベクターに挿入した組換え体DNAで形質転換された微生物、該塩基配列を有するDNAを染色体上に挿入された微生物があげられる。該塩基配列を有するDNAで形質転換された微生物は、その塩基配列に基づき[A]の(1)および(2)に記載の方法に準じて同様に調製することができる。
(2)N‐アセチルノイラミン酸含有糖質の製造
1)N‐アセチルノイラミン酸含有糖質の製造1
上記[B]の(1)で得られるシアリルトランスフェラーゼを生産する能力を有する微生物の培養物は[A]の(2)に記載の方法に従い調製することができる。
N‐アセチルノイラミン酸含有糖質を製造する際に用いるCMP‐NeuAcは、本発明の方法で製造したCMP‐NeuAcであればよく、CMP‐NeuAcが生成、蓄積した媒体中から採取したCMP‐NeuAcを用いてもよいし、CMP‐NeuAcが生成、蓄積した媒体をそのままCMP‐NeuAcとして用いてもよい。
オリゴ糖または多糖としては、非還元末端にガラクトースを有するオリゴ糖または多糖、あるいは非還元末端にN‐アセチルノイラミン酸を有するオリゴ糖または多糖をあげることができ、好ましくは非還元末端にラクトース、グロボトリオース、N‐アセチルラクトサミン、ラクト‐N‐テトラオース、ラクト‐N‐ネオテトラオース、ルイスaおよびルイスXからなる群より選ばれる構造を有するオリゴ糖、または非還元末端にNeuAcα2-Galβ1-4GlcおよびNeuAcα2-3Galβ1-4GlcNAcからなる群より選ばれる構造を有するオリゴ糖、より好ましくはラクトースをあげることができる。
N−アセチルノイラミン酸含有糖質の製造に用いる受容体糖質は、1mmol/l〜3mol/l、好ましくは50mmol/l〜1mol/lの範囲で用いる。
本発明のN−アセチルノイラミン酸含有糖質の製造法で生産されるN‐アセチルノイラミン酸含有糖質としては、受容体糖質にN‐アセチルノイラミン酸が付加した糖質、具体的には非還元末端にNeuAcα2−3Galβ1−4Glc、NeuAcα2−6Galβ1−4GlcおよびNeuAcα2−8NeuAcからなる群より選ばれる構造を有するオリゴ糖を含む糖質をあげることができ、好ましくは3´‐シアリルラクトースまたは6´‐シアリルラクトースをあげることができる。
N‐アセチルノイラミン酸含有糖質を製造する際に用いる水性媒体、界面活性剤および有機溶媒は、[A]の(3)に記載のCMP‐NeuAcの製造方法に準じた方法で用いることができる。
N−アセチルノイラミン酸含有糖質を製造する反応において、必要に応じてMnCl2、MgCl2、MgSO4等の無機塩、補酵素、フィチン酸等を添加することができる。
水性媒体中に生成したN‐アセチルノイラミン酸含有糖質の分離定量はDionex社製の糖分析装置などを用いて行うことができる(Anal. Biochem., 189, 151 (1990))。
2)N‐アセチルノイラミン酸含有複合等質の製造2
CMP‐NeuAcシンターゼ活性を有する蛋白質とシアリルトランスフェラーゼとを生産する能力を有する微生物、またはそれぞれの蛋白質を生産する能力を有する2種の微生物の培養物もしくは該培養物の処理物を酵素源として用い、該酵素源、N‐アセチルノイラミン酸および受容体糖質を水性媒体中に存在せしめ、該水性媒体中でN‐アセチルノイラミン酸含有糖質を生成、蓄積させ、該水性媒体中からN‐アセチルノイラミン酸含有糖質を採取することによりN‐アセチルノイラミン酸含有糖質を製造することもできる。
CMP‐NeuAcシンターゼ活性を有する蛋白質とシアリルトランスフェラーゼとを生産する能力を有する微生物、またはそれぞれの蛋白質を生産する能力を有する2種の微生物の培養物もしくは該培養物の処理物を酵素源として、N‐アセチルノイラミン酸含有糖質を製造するときは、必要に応じて媒体中にエネルギー供与体を加えてもよい。
N‐アセチルノイラミン酸含有糖質の製造に用いるN‐アセチルノイラミン酸は、市販品や、N−アセチルグルコサミンからN−アセチルノイラミン酸を生産する能力を有する微生物の培養物または該培養物の処理物を酵素源として用い、該酵素源、N‐アセチルグルコサミンおよびエネルギー供与体を水性媒体中に存在せしめ、該水性媒体中にN‐アセチルノイラミン酸を生成、蓄積させることにより製造したN‐アセチルノイラミン酸など、特に制限はない。
上記した微生物の培養物は、[A]の(2)に記載の方法に準じて取得することができる。
N‐アセチルノイラミン酸含有糖質を製造する際に用いる水性媒体あるいは界面活性剤または有機溶媒については、[A]の(3)に記載のCMP‐NeuAcの製造方法に準じた方法で用いることができる。
N‐アセチルノイラミン酸含有糖質を製造する反応において、必要に応じてMnCl2、MgCl2、MgSO4等の無機塩、補酵素、フィチン酸等を添加することができる。
水性媒体中に生成したN‐アセチルノイラミン酸含有糖質の分離定量はDionex社製の糖分析装置などを用いて行うことができる(Anal. Biochem., 189, 151 (1990))。
3)N‐アセチルノイラミン酸含有糖質の製造3
N‐アセチルノイラミン酸含有糖質は、N‐アセチルグルコサミン‐2‐エピメラーゼ、N‐アセチルノイラミン酸シンターゼ、CMP‐NeuAcシンターゼ活性を有する蛋白質およびシアリルトランスフェラーゼのすべてを生産する能力を持っている1つの微生物、またはこれらの蛋白質を生産する能力を任意の組み合わせですべて有する複数の微生物の培養物または該培養物の処理物を酵素源として用い、該酵素源、エネルギー供与体、N‐アセチルグルコサミンおよび受容体糖質を水性媒体中に存在せしめ、該水性媒体中でN‐アセチルノイラミン酸含有糖質を生成、蓄積させ、該水性媒体中からN‐アセチルノイラミン酸含有糖質を採取することによっても製造することができる。
上記のN‐アセチルノイラミン酸含有糖質の製造法で用いるエネルギー供与体は、微生物細胞内で代謝されてATPやホスホエノールピルビン酸等に変換される物質であればよく、グルコース、フルクトース、シュークロース、ラクトース、マルトース、マンニトール、ソルビトール等の炭水化物、ピルビン酸、乳酸、酢酸等の有機酸、グリシン、アラニン、アスパラギン酸、グルタミン酸等のアミノ酸、糖蜜、澱粉加水分解物等をあげることができ、いずれも、1mmol/l〜5mol/lの濃度で用いる。
上記のN‐アセチルノイラミン酸含有糖質を製造する際に用いる受容体糖質としては、[B]の(2)の1)の方法で用いる受容体糖質と同じものを用いることができ、また上記の方法で製造可能なN‐アセチルノイラミン酸含有糖質は、[B]の(2)の1)と同じN‐アセチルノイラミン酸含有糖質である。
該培養物の処理物としては、[A]の(3)の1)に記載の培養物の処理物と同じものをあげることができる。
上記のN‐アセチルノイラミン酸含有糖質の製造法に用いられる水性媒体あるいは界面活性剤または有機溶媒としては、[A]の(3)に記載したものをあげることができ、当該記載に準じた方法で用いることができる。
N‐アセチルノイラミン酸含有糖質を製造する反応において、必要に応じてMnCl2、MgCl2、MgSO4等の無機塩、補酵素、フィチン酸等を添加することができる。
上記のN‐アセチルノイラミン酸含有糖質の製造に用いる各酵素源はいずれも、培養物を遠心分離して得られる菌体の湿重量にして1〜500g/l、好ましくは50〜300g/lの濃度で用いる。
水性媒体中に生成したN‐アセチルノイラミン酸含有糖質の採取は、活性炭やイオン交換樹脂などを用いる通常の方法によって行うことができる。
(1)N‐アセチルノイラミン酸リアーゼ遺伝子(nanA)欠損株の調製
Escherichia coli HN0074(FERM BP-4425)の染色体DNA上のnanAが欠損した菌株は、ラムダファージの相同組換え系を利用した方法(Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 97, 6641-6645(2000))を用いて作製した。
当該nanA欠損株を、Escherichia coli N18-14と名づけた。
(2)発現ベクターpTK31の作製
発現ベクターpTrS32(FERM BP-5408)をPstIおよびHindIIIで酵素消化し、3.5kbのDNA断片を回収し、同様にpKYP10(特開昭58−110600)をPstIおよびHindIIIで酵素消化し、1.0kbの断片を回収した。該3.5kbと1.0kbの断片を連結し、4.5kbのpTrS31を取得した。
配列番号3および4で表される塩基配列を有する合成DNAをプライマーとしてpTrS31を鋳型にPCRを行って得られた3.8 kbのPCR産物をXhoIで酵素消化した。pUC4K(GEヘルスケアバイオサイエンス社製)をSalIで酵素消化しカナマイシン耐性遺伝子を含む1.3kbのDNA断片を取得し、上記のXhoI消化DNA断片と連結した。
(3)CMP‐NeuAcシンターゼ発現株の造成
Pasteurella multocida PM70株の染色体DNAは、ミネソタ大学より分譲されたものを用いた。
上記合成DNAをプライマーセットとして用い、Pasteurella multocida PM70株の染色体DNAを鋳型としてPCRを行った。PCRは染色体DNA0.1μg、プライマー各0.5μmol/l、Pyrobest DNAポリメラーゼ(タカラバイオ社製)2.5units、Pyrobest DNAポリメラーゼ用×10緩衝液5μl、deoxyNTP 各200μmol/lを含む反応液50μlを用い、98℃で10秒間、55℃で30秒間、72℃で1分間の工程を30回繰り返すことにより行った。
該DNA断片をpCR-Blunt vector(インビトロジェン社製)と連結し、該連結反応液を用いて公知の方法によりEscherichia coli DH5α株を形質転換し、得られた形質転換体を50μg/mlのカナマイシンを含むLB寒天培地[バクトトリプトン(ディフコ社製)10g/l、酵母エキス(ディフコ社製)10g/l、塩化ナトリウム5g/l、アガロース15g/l]に塗布後、30℃で一晩培養した。
得られたプラスミドに含まれるPCR増幅断片の塩基配列を常法により決定し、配列番号1で表されるアミノ酸配列からなる蛋白質をコードする、配列番号2で表される塩基配列であることを確認した。
該0.7kbと4.6kbの断片とを、ライゲーションキット(タカラバイオ社製)を用いて連結した。連結反応は16℃で16時間行った。該連結反応液を用いてEscherichia coli DH5α株を公知の方法に従って形質転換し、該形質転換体を50μg/mlのカナマイシンを含むLB寒天培地に塗布後、30℃で一晩培養した。
pMnK1を用いてEscherichia coli N18-14株を公知の方法に従って形質転換し、CMP‐NeuAcシンターゼを発現するEscherichia coli N18-14/pMnK1を取得した。
(4)Escherichia coli N18-14/pMnK1湿菌体の取得
実施例1(3)で得たEscherichia coli N18-14/pMnK1株を、カナマイシン50μg/mlを含むLB培地125mlの入った1L容バッフル付き三角フラスコに接種し、30℃、220rpmの条件で10時間培養した。該培養液125mlを、カナマイシン50μg/mlを含むTB+Glc培地[グルコース10g/l(別殺菌)、バクトトリプトン(ディフコ社製)12g/l、酵母エキス(ディフコ社製)24g/l、KH2PO42.3g/l(別殺菌)、K2HPO4 12.5g/l(別殺菌)]2.5Lの入った5L容培養槽に接種し、30℃、600rpm、通気量2.5L/分の条件で8時間培養を行った。培養中、培地中のグルコースが消失した時点でさらにグルコース10g/l溶液125mlを添加した。該培養中、28%アンモニア水を使用して培養液のpHを7.0に維持した。
(5)CMP−NeuAcの生産
Escherichia coli N18-14/pMnK1株湿菌体 200g/l、K2HPO47.3g/l、KH2PO4 12.7g/l、MgSO4 15g/l、フラクトース50g/l、シアル酸30g/l、CMP・2Na 17g/l、ナイミーンS−215 4g/l、キシレン10ml/lの組成からなる反応液30mlを200ml容ビーカーに入れ、該反応液をマグネティック・スターラーを用い、900rpmで攪拌し、32℃で26時間反応を行った。
該反応により、反応液中に10g/lのCMP‐NeuAc(Na塩)が生成した。
(1)Escherichia coli K235株由来CMP−NeuAcシンターゼ発現株の調製
配列番号7および8で表される塩基配列を有する合成DNAを用いて、Escherichia coli K235株(ATCC13027)の染色体DNAより、CMP‐NeuAcシンターゼ遺伝子neuAを含むDNA断片を下記方法で増幅した。
上記合成DNAをプライマーセットとして、実施例1の(3)と同一の条件でPCRを行った。
該混合液を遠心分離後、得られた上層に2倍容量の冷エタノールを加えて混合し、−80℃に30分間放置した。該溶液を遠心分離しDNAの沈殿を取得し、該DNAの沈殿を20μlのTEに溶解した。該溶解液5μlを用い、DNAを制限酵素HindIIIおよびBamHIで切断し、アガロースゲル電気泳動によりDNA断片を分離した後、1.3kbの断片を回収した。
該1.3kbおよび2.9kbの断片をライゲーションキットを用いて、16℃で16時間、連結反応を行った。該連結反応液を用いてEscherichia coli NM522を公知の方法に従って形質転換し、得られた形質転換体を50μg/mlのアンピシリンを含むLB寒天培地に塗布後、30℃で一晩培養した。
得られたプラスミドに含まれるPCR増幅断片の塩基配列を常法により決定したところ、GenBank ACCESSION No. J05023に記載のEscherichia coli 由来のCMP‐NeuAcシンターゼをコードするneuAと同じ塩基配列であった。
pNT22 0.2μgを制限酵素ClaIおよびBamHIで切断後、アガロースゲル電気泳動によりDNA断片を分離し、同様に5.5kbのDNA断片を回収した。
該1.3kbおよび5.5kbの断片をライゲーションキットを用いて、16℃で16時間、連結反応を行った。該連結反応液を用いてEscherichia coli NM522を公知の方法に従って形質転換し、形質転換体を50μg/mlのアンピシリンを含むLB寒天培地に塗布後、30℃で一晩培養した。
配列番号9および10で表される塩基配列を有するDNAを用いてEscherichia coli W3110株の染色体DNAより、CTPシンターゼ遺伝子pyrGを含む部分を増幅した。上記と同様の方法で目的とするDNA断片の増幅を確認し、該DNA断片の回収を行った。また、該DNA断片の塩基配列を常法により決定したところ、GenBank ACCESSION No. M12843に記載のpyrGと同じ塩基配列であった。
pYP41をHindIIIおよびSalIで制限酵素消化し、2.9kbのDNA断片を取得した。同様にpTK31をHindIIIおよびSalIで制限酵素消化し、4.4kbのDNA断片を取得した。
(2)N‐アセチルノイラミン酸転移酵素発現株の調製
配列番号11および12で表される塩基配列を有するDNAを用いてNeisseria gonorrhoeae ATCC33084株の染色体DNAよりα2,3‐シアル酸転移酵素遺伝子(以下、2,3-siaTとも言う)を含むDNA断片を下記方法により増幅した。
該PCR反応液の1/10量をアガロースゲル電気泳動し、目的の断片が増幅されていることを確認後、残りの反応液と等量のTE飽和フェノール/クロロホルム(1vol/vol)を添加し、混合した。
該1.0kbおよび2.9kbの断片をライゲーションキットを用いて、16℃で16時間、連結反応を行った。該連結反応液を用いてEscherichia coli NM522を公知の方法に従って形質転換し、得られた形質転換体を50μg/mlのアンピシリンを含むLB寒天培地に塗布後、30℃で一晩培養した。
得られたプラスミドに含まれるPCR増幅断片の塩基配列を常法により決定したところ、Gen Bank ACCESSION No. U60664に記載のα2,3‐シアル酸転移酵素をコードする2,3-siaTと同じ塩基配列であった。
pNT22 0.2μgを制限酵素ClaIおよびBamHIで切断後、アガロースゲル電気泳動によりDNA断片を分離し、同様に5.5kbのDNA断片を回収した。
該1.0kbおよび5.5kbの断片をライゲーションキットを用いて、16℃で16時間、連結反応を行った。該連結反応液を用いてEscherichia coli NM522を公知の方法に従って形質転換し、該形質転換体を50μg/mlのアンピシリンを含むLB寒天培地に塗布後、30℃で一晩培養した。
(3)Escherichia coli NM522/pYP3湿菌体の取得
上記(2)で得たNM522/pYP3株を、実施例1の(4)と同様に培地および培養条件で培養を行った。その際、カナマイシン50μg/mlの代わりにアンピシリン100μg/mlを用いた。また、5L容培養槽での培養は、30℃で4時間、40℃で4時間行った。得られた培養物を遠心分離し、湿菌体を取得した。
(4)Escherichia coli HN0074/pTCN21湿菌体の取得
上記(1)で得たHN0074/pTCN21株を、実施例1の(4)と同様に培養を行い、得られた培養物を遠心分離し、湿菌体を取得した。
(5)シアリルラクトースの生産
Escherichia coli N18-14/pMnK1株またはEscherichia coli HN0074/pTCN21の湿菌体 120g/l、Escherichia coli NM522/pYP3の湿菌体40g/l、K2HPO47.3g/l、KH2PO4 12.7g/l、MgSO4 15g/l、フラクトース50g/l、シアル酸30g/l、ラクトース50g/l、ナイミーンS−215 4g/l、キシレン10ml/lの組成からなる反応液50ml
を微生物培養装置BMJ(250ml)(エイブル社製)に入れ、600rpmで攪拌しながら、32℃で24時間反応を行った。
N18-14/pMnK1を使用した反応では29.0g/l、HN0074/pTCN21を使用した反応では19.2g/lの3´‐シアリルラクトースが蓄積した。
「配列表フリーテキスト」
配列番号3−人口配列の説明:合成DNA
配列番号4−人口配列の説明:合成DNA
配列番号5−人口配列の説明:合成DNA
配列番号6−人口配列の説明:合成DNA
配列番号7−人口配列の説明:合成DNA
配列番号8−人口配列の説明:合成DNA
配列番号9−人口配列の説明:合成DNA
配列番号10−人口配列の説明:合成DNA
配列番号11−人口配列の説明:合成DNA
配列番号12−人口配列の説明:合成DNA
Claims (9)
- 以下の(1)〜(5)より選ばれる蛋白質を生産する能力を有する微生物の培養物または該培養物の処理物を酵素源として用い、該酵素源、シチジン‐5’‐三リン酸(以下、CTPと略す)またはCTP前駆物質(I)およびN‐アセチルノイラミン酸を水性媒体中に存在せしめ、該水性媒体中でシチジン‐5’‐一リン酸‐N‐アセチルノイラミン酸(以下、CMP-NeuAcと略す)を生成、蓄積させ、該水性媒体中からCMP-NeuAcを採取することを特徴とするCMP-NeuAcの製造法。
(1)配列番号1に表されるアミノ酸配列を有する蛋白質
(2)配列番号1に表されるアミノ酸配列において、1個以上のアミノ酸が欠失、置換または付加されたアミノ酸配列からなり、かつCMP-NeuAcシンターゼ活性を有する蛋白質
(3)配列番号1に表されるアミノ酸配列と80%以上の同一性を有し、かつCMP‐NeuAcシンターゼ活性を有する蛋白質
(4)配列番号2に表される塩基配列を有するDNAにコードされる蛋白質
(5)配列番号2に表される塩基配列と相補的な塩基配列を有するDNAとストリンジェントな条件下でハイブリダイズするDNAにコードされ、かつCMP-NeuAcシンターゼ活性を有する蛋白質 - CTPまたはCTP前駆物質(I)が、CTP前駆物質(II)からCTPまたはCTP前駆物質(I)を生産する能力を有する原核生物の培養物または該培養物の処理物を酵素源として用い、該酵素源、エネルギー供与体およびCTP前駆物質(II)を水性媒体中に存在せしめ、該水性媒体中でCTPまたはCTP前駆物質(I)を生成、蓄積させて得られるCTPまたはCTP前駆物質(I)である、請求項1に記載のCMP-NeuAcの製造法。
- N‐アセチルノイラミン酸が、N‐アセチルグルコサミン-2‐エピメラーゼとN‐アセチルノイラミン酸シンターゼとを生産する能力を有する微生物、またはそれぞれの蛋白質を生産する能力を有する2種の微生物の培養物もしくは該培養物の処理物を酵素源として用い、該酵素源、N‐アセチルグルコサミンおよびエネルギー供与体を水性媒体中に存在せしめ、該水性媒体中にN‐アセチルノイラミン酸を生成、蓄積させて得られるN-アセチルノイラミン酸である、請求項1または2に記載のCMP-NeuAcの製造法。
- N-アセチルグルコサミン‐2‐エピメラーゼ、N-アセチルノイラミン酸シンターゼおよび以下の(1)〜(5)より選ばれる蛋白質を生産する能力を有する一つの微生物またはこれらの蛋白質を生産する能力を任意の組み合わせですべて有する複数の微生物の培養物もしくは該培養物の処理物、およびCTP前駆物質(II)からCTPまたはCTP前駆物質(I)を生産する能力を有する原核生物の培養物または該培養物の処理物を酵素源として用い、該酵素源、CTP前駆物質(II)、N‐アセチルグルコサミンおよびエネルギー供与体を水性媒体中に存在せしめ、該水性媒体中でCMP-NeuAcを生成、蓄積させ、該水性媒体中からCMP-NeuAcを採取することを特徴とする、CMP-NeuAcの製造法。
(1)配列番号1に表されるアミノ酸配列を有する蛋白質
(2)配列番号1に表されるアミノ酸配列において、1個以上のアミノ酸が欠失、置換または付加されたアミノ酸配列からなり、かつCMP-NeuAcシンターゼ活性を有する蛋白質
(3)配列番号1に表されるアミノ酸配列と80%以上の同一性を有し、かつCMP‐NeuAcシンターゼ活性を有する蛋白質
(4)配列番号2に表される塩基配列を有するDNAにコードされる蛋白質
(5)配列番号2に表される塩基配列と相補的な塩基配列を有するDNAとストリンジェントな条件下でハイブリダイズするDNAにコードされ、かつCMP-NeuAcシンターゼ活性を有する蛋白質 - N‐アセチルグルコサミン‐2‐エピメラーゼを生産する能力、N‐アセチルノイラミン酸シンターゼを生産する能力、以下の(1)〜(5)より選ばれる蛋白質を生産する能力およびCTP前駆物質(I)からCTPを生産する能力を持っている1つの原核生物、またはこれらの能力を任意の組み合わせですべて有する複数の原核生物の培養物もしくは該培養物の処理物を酵素源として用い、該酵素源、エネルギー供与体、CTP前駆物質(I)およびN‐アセチルグルコサミンを水性媒体中に存在せしめ、該水性媒体中でCMP‐NeuAcを生成、蓄積させ、該水性媒体中からCMP‐NeuAcを採取することを特徴とする、CMP‐NeuAcの製造法。
(1)配列番号1に表されるアミノ酸配列を有する蛋白質
(2)配列番号1に表されるアミノ酸配列において、1個以上のアミノ酸が欠失、置換または付加されたアミノ酸配列からなり、かつCMP-NeuAcシンターゼ活性を有する蛋白質
(3)配列番号1に表されるアミノ酸配列と80%以上の同一性を有し、かつCMP‐NeuAcシンターゼ活性を有する蛋白質
(4)配列番号2に表される塩基配列を有するDNAにコードされる蛋白質
(5)配列番号2に表される塩基配列と相補的な塩基配列を有するDNAとストリンジェントな条件下でハイブリダイズするDNAにコードされ、かつCMP-NeuAcシンターゼ活性を有する蛋白質 - シアリルトランスフェラーゼを生産する能力を有する微生物の培養物または該培養物の処理物を酵素源として用い、該酵素源、請求項1から5のいずれかの方法で製造されたCMP-NeuAcおよび受容体糖質を水性媒体中に存在せしめ、該水性媒体中でN‐アセチルノイラミン酸含有糖質を生成、蓄積させ、該水性媒体中からN‐アセチルノイラミン酸含有糖質を採取することを特徴とする、N‐アセチルノイラミン酸含有糖質の製造法。
- 以下の(1)〜(5)より選ばれる蛋白質とシアリルトランスフェラーゼとを生産する能力を有する微生物、またはそれぞれの蛋白質を生産する能力を有する2種の微生物の培養物もしくは該培養物の処理物を酵素源として用い、該酵素源、N-アセチルノイラミン酸および受容体糖質を水性媒体中に存在せしめ、該水性媒体中でN‐アセチルノイラミン酸含有糖質を生成、蓄積させ、該水性媒体中からN‐アセチルノイラミン酸含有糖質を採取することを特徴とするN‐アセチルノイラミン酸含有糖質の製造法。
(1)配列番号1に表されるアミノ酸配列を有する蛋白質
(2)配列番号1に表されるアミノ酸配列において、1個以上のアミノ酸が欠失、置換または付加されたアミノ酸配列からなり、かつCMP-NeuAcシンターゼ活性を有する蛋白質
(3)配列番号1に表されるアミノ酸配列と80%以上の同一性を有し、かつCMP‐NeuAcシンターゼ活性を有する蛋白質
(4)配列番号2に表される塩基配列を有するDNAにコードされる蛋白質
(5)配列番号2に表される塩基配列と相補的な塩基配列を有するDNAとストリンジェントな条件下でハイブリダイズするDNAにコードされ、かつCMP-NeuAcシンターゼ活性を有する蛋白質 - N‐アセチルノイラミン酸が、N‐アセチルグルコサミン-2‐エピメラーゼとN‐アセチルノイラミン酸シンターゼとを生産する能力を有する微生物、またはそれぞれの蛋白質を生産する能力を有する2種の微生物の培養物もしくは該培養物の処理物を酵素源として用い、該酵素源、エネルギー供与体およびN‐アセチルグルコサミンを水性媒体中に存在せしめ、該水性媒体中でN‐アセチルノイラミン酸を生成、蓄積させることによって得られたものである、請求項7記載のN‐アセチルノイラミン酸含有糖質の製造法。
- N‐アセチルグルコサミン‐2‐エピメラーゼ、N‐アセチルノイラミン酸シンターゼ、以下の(1)〜(5)より選ばれる蛋白質およびシアリルトランスフェラーゼを生産する能力を持っている1つの微生物、またはこれらの蛋白質を生産する能力を任意の組み合わせですべて有する複数の微生物の培養物または該培養物の処理物を酵素源として用い、該酵素源、エネルギー供与体、N‐アセチルグルコサミンおよび受容体糖質を水性媒体中に存在せしめ、該水性媒体中でN-アセチルノイラミン酸含有糖質を生成、蓄積させ、該水性媒体中からN‐アセチルノイラミン酸含有糖質を採取することを特徴とする、N‐アセチルノイラミン酸含有糖質の製造法。
(1)配列番号1に表されるアミノ酸配列を有する蛋白質
(2)配列番号1に表されるアミノ酸配列において、1個以上のアミノ酸が欠失、置換または付加されたアミノ酸配列からなり、かつCMP-NeuAcシンターゼ活性を有する蛋白質
(3)配列番号1に表されるアミノ酸配列と80%以上の同一性を有し、かつCMP‐NeuAcシンターゼ活性を有する蛋白質
(4)配列番号2に表される塩基配列を有するDNAにコードされる蛋白質
(5)配列番号2に表される塩基配列と相補的な塩基配列を有するDNAとストリンジェントな条件下でハイブリダイズするDNAにコードされ、かつCMP-NeuAcシンターゼ活性を有する蛋白質
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