JP2008005688A - 誘導電動機の可変速駆動装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】複数組の一次巻線がそれぞれ単相インバータ群に接続されてなるオープン巻線形の誘導電動機を対象として、単相インバータ群の制御装置が、各組の一次巻線に流れる零相電流の大きさ及び極性を各組独立して制御する。制御装置は、例えば各組の単相インバータ群の出力電流から零相電流を検出する手段501と、各組の零相電流指令値の大きさに極性を設定する手段502と、極性が設定された各組の零相電流指令値と各組の零相電流検出値との偏差をなくすように各組の零相電圧指令値を生成する調節手段503と、各組の零相電圧指令値と各組の各相電圧指令値とを加算して各組の単相インバータ群の出力電圧指令値を生成する加算手段と、を備える。
【選択図】図3
Description
図8において、10は三相交流電源、20は交流電力を直流電力に変換するダイオード等からなる整流器、30は直流中間電圧を平滑する平滑コンデンサ、40はスイッチング素子41と制動抵抗器42とが直列に接続された抵抗チョッパ、50は直流電力を交流電力に変換するインバータ、60はインバータ50により可変速駆動される誘導電動機である。
すなわち、誘導電動機60の制動時には、回生電力がインバータ50を介して直流中間回路に流れ込み、直流中間電圧が所定値以上に上昇すると、制動抵抗器42に直列に接続されたスイッチング素子41をオンして制動抵抗器42を導通状態にし、回生電力を制動抵抗器42により熱消費させている。
しかし、図8のパワーフローに示すように、制動電力から電動機損失とインバータ損失とを差し引いた電力が直流中間回路に流れ込む回生電力となるが、通常、制動電力に占める電動機損失、インバータ損失の割合は小さいため、装置が大容量化するにつれて回生電力も大きくなる結果、抵抗チョッパ40の容量を大きくせざるを得ず、これによって装置が大型化、高価格化するという問題がある。
まず、特許文献1には、誘導電動機のV/f制御において、インバータの出力電圧と出力周波数の比V/fに関して、減速制御時の値を加速制御時の値よりも大きくすることによって許容範囲内で誘導電動機を過励磁状態とし、電動機内部の熱損失を増加させることが記載されている。
特許文献2には、直流中間回路に回生電力(または回生電流)検出器を設け、電動機の制動時に回生電力(または回生電流)検出値に応じてインバータの出力電圧指令値を増加させ、電動機の過励磁により、熱的許容範囲内において電動機内部の熱損失を増加させることが記載されている。
また、特許文献3には、誘導電動機が減速運転を行う場合に、インバータは各相異なった搬送波によりPWM信号を演算し、高調波損失などの電動機の内部損失を増加させることが記載されている。
更に、特許文献3に記載された従来技術では、誘導電動機に高調波電流を流すことになるので電動機のトルクリプルが大きくなり、上記と同様に振動や騒音等の問題が生じる。
また、本発明の解決課題は、誘導電動機の一次巻線に生じる漏れ磁束を低減しながら電動機等の損失を増加させるようにした誘導電動機の可変速駆動装置を提供することにある。
前記単相インバータ群の制御装置が、複数組の一次巻線に流れる零相電流の大きさ及び極性を各組独立して制御するものである。
前記制御装置は、
各組の単相インバータ群の出力電流から零相電流を検出する手段と、
各組の零相電流指令値の大きさに正または負の極性を設定する手段と、
この手段により極性が設定された各組の零相電流指令値と各組の零相電流検出値との偏差をなくすように各組の零相電圧指令値を生成する調節手段と、
前記各組の零相電圧指令値と各組の各相電圧指令値とを加算して各組の単相インバータ群の出力電圧指令値を生成する手段と、を備えたものである。
各群の単相インバータ群の出力電流から零相電流を検出する手段と、
各群の零相電流指令値の大きさに正または負の極性を設定する手段と、
この手段により極性が設定された各群の零相電流指令値と各群の零相電流検出値との偏差をなくすように各組の零相電圧指令値を生成する調節手段と、
前記各群の零相電圧指令値と各群の各相電圧指令値とを加算して各群の単相インバータ群の出力電圧指令値を生成する手段と、を備えたものである。
これに加えて請求項3,5または9に係る発明によれば、各組または各群の一次巻線に生じる漏れ磁束の総和を完全に相殺することが可能である。
なお、請求項6または10に係る発明は、請求項1〜5または7〜9に係る発明を実現するための具体的手段を開示するものである。
まず、図1はこの実施形態の全体的な構成を示すもので、複数組の一次巻線により構成されるオープン巻線形の誘導電動機をインバータによって駆動する場合の構成図である。なお、図8と同一の構成要素には同一の番号を付して説明を省略し、以下では異なる部分を中心に説明する。
始めに、図2の第1実施形態は、一般に複数組、言い換えればm(mは2以上の自然数)組の一次巻線(つまりm多重巻線)を有するオープン巻線形の誘導電動機750Aを対象とした可変速駆動装置であり、請求項1に係る発明に相当する。
そして、零相電流指令値I0m *と零相電流検出値I0mとの偏差をなくすように調節動作する零相電流調節手段503により零相電圧指令値V0m *が演算され、この零相電圧指令値V0m *が、誘導電動機750Aを可変速駆動するための第m組の各相電圧指令値Vm *に加算されて第m組の単相インバータ群に対する出力電圧指令値VmINV *が生成される。
また、零相電流指令値の大きさ|I0m *|を所定値に制御することにより、トルクの発生に寄与することなく、各組の単相インバータ群の出力電流の実効値を定格電流の実効値以下に制御し、単相インバータ群の電流容量を最大限に利用しながら電動機損失及びインバータ損失を増加させることも可能になる。
このため、請求項3に記載するように、第1〜第M組の一次巻線751,752,……,75Mに流れる零相電流指令値の大きさ|I0m *|及び極性を、次の数式1を満足するように設定することが望ましい。すなわち、全ての組の零相電流の総和が0となるように零相電流指令値の大きさ|I0m *|及び極性を設定するものである。
[数式1]
I01 *+I02 *+…………+I0M *=0
I01 *=+I0,
I02 *=−0.5I0,
I03 *=−0.5I0
と設定する。
このようにすると、m組の一次巻線に生じる漏れ磁束を相殺させてゼロにすることができ、誘導電動機やインバータの損失を増加させながら磁束の歪みや電動機750Aの振動、騒音等を防止することが可能になる。
図4において、前記インバータ・モータユニット70内のインバータは、単相インバータ701a,701b,701cを並列に接続してなる第1組の単相インバータ群701と、単相インバータ702a,702b,702cを並列に接続してなる第2組の単相インバータ群702とによって構成されており、これらの単相インバータ群701,702も並列に接続されている。
この制御装置は、第1組の単相インバータ群701に対応する第1組の零相電流制御手段100と、第2組の単相インバータ群702に対応する第2組の零相電流制御手段200とを備えており、前述した図3の零相電流制御手段500を第1組、第2組用に二つ設けた構成である。
そして、零相電流指令値I01 *と零相電流検出値I01との偏差をなくすように調節動作する零相電流調節手段103により零相電圧指令値V01 *が演算され、この零相電圧指令値V01 *が、誘導電動機750を可変速駆動するための第1組の各相電圧指令値V1 *に加算されて第1組の単相インバータ群701に対する出力電圧指令値V1INV *が生成される。
そして、零相電流指令値I02 *と零相電流検出値I02との偏差をなくすように調節動作する零相電流調節手段203により零相電圧指令値V02 *が演算され、この零相電圧指令値V02 *が、誘導電動機750を可変速駆動するための第2組の各相電圧指令値V2 *に加算されて第2組の単相インバータ群702に対する出力電圧指令値V2INV *が生成される。
このため、第1組、第2組の単相インバータ群701,702により第1組、第2組の一次巻線751,752にそれぞれ流す零相電流の大きさ及び極性を自由に制御することができ、例えば誘導電動機750の制動時に零相電流を増加させることにより、可変速制御に必要な発生トルクに影響を与えることなく電動機損失及びインバータ損失を増加させることができる。従って、制動電力からこれらを差し引いた回生電力を低減させて直流中間回路の抵抗チョッパ40を小容量化し、あるいは不要にすることができる。
これにより、第1組の一次巻線751に生じる漏れ磁束と第2組の一次巻線752に生じる漏れ磁束とが相殺されるため、全体としての漏れ磁束の量を制御しながら電動機損失及びインバータ損失を増加させることができる。
これにより、第1組の一次巻線751に生じる漏れ磁束と第2組の一次巻線752に生じる漏れ磁束とが完全に相殺されるため、全体としての漏れ磁束の量をゼロにしながら電動機等の損失を増加させることが可能になる。
この実施形態におけるインバータ・モータユニット70内のインバータは、全てが並列接続されたn(nは偶数)組の単相インバータ群(第1組〜第N(Nはnに等しい)組の単相インバータ群)1A,2B,3A,……,(N−1)A,NBからなっている。これらの単相インバータ群の構成は何れも図2,図4に示したものと同様であり、3台の単相インバータを並列接続して構成されている。なお、単相インバータ群1A,2B,3A,……,(N−1)A,NBのうち、記号の末尾に「A」を付したものを第1群の単相インバータ群、「B」を付したものを第2群の単相インバータ群とする。
この制御装置は、第1群の単相インバータ群1A,3A,……,(N−1)Aに対応する第1群の零相電流制御手段100Aと、第2群の単相インバータ群2B,4B,……,NBに対応する第2群の零相電流制御手段200Bとを備えている。
そして、零相電流指令値IA0 *と零相電流検出値IA0との偏差をなくすように調節動作する零相電流調節手段103Aにより零相電圧指令値VA0 *が演算され、この零相電圧指令値VA0 *が、誘導電動機760を可変速駆動するための第1群の各相電圧指令値VA *に加算されて第1組の単相インバータ群1A,3A,……,(N−1)Aに対する出力電圧指令値VAINV *が生成される。
そして、零相電流指令値IB0 *と零相電流検出値IB0との偏差をなくすように調節動作する零相電流調節手段203Bにより零相電圧指令値VB0 *が演算され、この零相電圧指令値VB0 *が、誘導電動機760を可変速駆動するための第2群の各相電圧指令値VB *に加算されて第2群の単相インバータ群2B,4B,……,NBに対する出力電圧指令値VBINV *が生成される。
また、単相インバータ群1A,2B,3A,……,(N−1)A,NBの電流容量を最大限に利用しながら電動機損失及びインバータ損失を増加させることが可能である。
そこで、請求項8に記載するように、第1群の零相電流制御手段100Aでは極性設定手段102Aにより零相電流指令値IA0 *の極性を+に設定すると共に、第2群の零相電流制御手段200Bにおいて、極性設定手段202Bにより零相電流指令値IB0 *の極性を−に設定すれば、第1群の一次巻線761A,763A,……,76(N−1)Aに生じる漏れ磁束と第2群の一次巻線762B,764B,……,76NBに生じる漏れ磁束とが相殺され、全体としての漏れ磁束の量を制御しながら電動機損失及びインバータ損失を増加させることができる。
ここで、誘導電動機750A,750,760の駆動運転、制動運転は、例えばトルク指令値及び速度検出値から求めた出力の極性によって判別することができる。
20:整流器
30:平滑コンデンサ
40:抵抗チョッパ
41:スイッチング素子
42:制動抵抗器
70:インバータ・モータユニット(インバータ及びオープン巻線形誘導電動機)
701,702,70M,1A,2B,3A,4B,(N−1)A,NB:単相インバータ群
701a,701b,701c,702a,702b,702c,70Ma,70Mb,70Mc:単相インバータ
750,750A,760:オープン巻線形の誘導電動機
751,752,75M,761A,762B,763A,764B,76(N−1)A,76NB:一次巻線
751a,751b,751c,752a,752b,752c,75Ma,75Mb,75Mc:巻線
100,200,100A,200B,500:零相電流制御手段
101,201,101A,201B,501:零相電流検出手段
102,202,102A,202B,502:零相電流指令値の極性設定手段
103,203,103A,203B,503:零相電流調節手段
Claims (11)
- オープン巻線である複数組の一次巻線を備えた誘導電動機をインバータにより駆動する可変速駆動装置であって、複数組の一次巻線がそれぞれ単相インバータ群に接続されてなる誘導電動機の可変速駆動装置において、
前記単相インバータ群の制御装置が、複数組の一次巻線に流れる零相電流の大きさ及び極性を各組独立して制御することを特徴とする誘導電動機の可変速駆動装置。 - 請求項1に記載した誘導電動機の可変速駆動装置において、
前記制御装置は、
複数組の一次巻線に流れる零相電流の大きさをゼロ以外の所定値に制御することを特徴とする誘導電動機の可変速駆動装置。 - 請求項1または2に記載した誘導電動機の可変速駆動装置において、
前記制御装置は、
複数組の一次巻線に流れる零相電流の大きさ及び極性を、全ての組の零相電流の総和がゼロとなるように制御することを特徴とする誘導電動機の可変速駆動装置。 - 請求項1に記載した誘導電動機の可変速駆動装置において、
前記誘導電動機は2組の一次巻線を備え、
前記制御装置は、
第1組の一次巻線に正極性の零相電流が流れ、第2組の一次巻線に負極性の零相電流が流れるように制御することを特徴とする誘導電動機の可変速駆動装置。 - 請求項4に記載した誘導電動機の可変速駆動装置において、
前記制御装置は、
第1組の一次巻線に流れる零相電流の大きさと第2組の一次巻線に流れる零相電流の大きさとが等しくなるように制御することを特徴とする誘導電動機の可変速駆動装置。 - 請求項1〜5の何れか1項に記載した誘導電動機の可変速駆動装置において、
前記制御装置は、
各組の単相インバータ群の出力電流から零相電流を検出する手段と、
各組の零相電流指令値の大きさに正または負の極性を設定する手段と、
この手段により極性が設定された各組の零相電流指令値と各組の零相電流検出値との偏差をなくすように各組の零相電圧指令値を生成する調節手段と、
前記各組の零相電圧指令値と各組の各相電圧指令値とを加算して各組の単相インバータ群の出力電圧指令値を生成する手段と、
を備えたことを特徴とする誘導電動機の可変速駆動装置。 - オープン巻線である偶数組の一次巻線を備えた誘導電動機をインバータにより駆動する可変速駆動装置であって、偶数組の一次巻線がそれぞれ単相インバータ群に接続されてなる誘導電動機の可変速駆動装置において、
前記単相インバータ群の制御装置が、偶数組の一次巻線に流れる零相電流の大きさ及び極性を各組独立して制御することを特徴とする誘導電動機の可変速駆動装置。 - 請求項7に記載した誘導電動機の可変速駆動装置において、
偶数組の一次巻線を第1群、第2群に分割し、
前記制御装置は、
第1群の一次巻線に正極性の零相電流が流れ、第2群の一次巻線に負極性の零相電流が流れるように制御することを特徴とする誘導電動機の可変速駆動装置。 - 請求項8に記載した誘導電動機の可変速駆動装置において、
前記制御装置は、
第1群の一次巻線に流れる零相電流の大きさと第2群の一次巻線に流れる零相電流の大きさとが等しくなるように制御することを特徴とする誘導電動機の可変速駆動装置。 - 請求項7〜9の何れか1項に記載した誘導電動機の可変速駆動装置において、
前記制御装置は、
各群の単相インバータ群の出力電流から零相電流を検出する手段と、
各群の零相電流指令値の大きさに正または負の極性を設定する手段と、
この手段により極性が設定された各群の零相電流指令値と各群の零相電流検出値との偏差をなくすように各組の零相電圧指令値を生成する調節手段と、
前記各群の零相電圧指令値と各群の各相電圧指令値とを加算して各群の単相インバータ群の出力電圧指令値を生成する手段と、
を備えたことを特徴とする誘導電動機の可変速駆動装置。 - 前記制御装置は、
前記誘導電動機が制動運転する場合にのみ請求項1〜5または7〜9の何れか1項に記載した制御を実行し、前記誘導電動機が駆動運転する場合には、前記一次巻線に流れる零相電流をゼロに制御することを特徴とする誘導電動機の可変速駆動装置。
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