JP2008001585A - リン酸塩系ガラスおよびリン酸塩系ガラスを用いた電子部品 - Google Patents

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Abstract

【課題】
従来のリン酸塩系ガラスはガス透過率が高く、電子部品の封着に適したものがなかった。
【解決手段】
とCeOを主成分とするリン酸塩系ガラスであって、Pを30〜75(mol%)、CeOを8〜60(mol%)の範囲で含むリン酸塩系ガラスは、Heガス透過率が1×10−10(Pa・m/S)より小さく、かつ耐水性に優れ、かつ熱膨張係数が40〜180(×10−7/℃)の範囲であり、電子部品の封着に好適に用いることができる。
【選択図】図1

Description

本発明は、PとCeOを主成分とするリン酸塩系ガラスに係り、特に、ガス透過率が低くかつ耐水性の高いリン酸塩系ガラス、および前記リン酸塩系ガラスを用いた電子部品に関する。
従来から、低融点ガラスとして鉛を含むガラスが用いられてきたが、環境への配慮から鉛は敬遠される傾向にあり、鉛フリーの低融点ガラスとして、下記特許文献1ないし10に示すように、リン酸(P)系ガラス、リン酸―すず(P−SnO)系ガラス、リン酸−亜鉛(P−ZnO)系ガラス、あるいはリン酸−すず−亜鉛(P−SnO−ZnO)系ガラスの開発が盛んに行われている。また、非特許文献1には、各種ガラスのHeガス透過率が示されている。
特許文献1には、P−SnO系ガラスが開示されており、P−SnO系ガラスにMgO、CaO、SrO、BaOのいずれかを含有するとガラスの耐久性が向上し、さらにアルカリ金属酸化物成分を添加することでガラスの流動性が向上することが開示されている。
特許文献2および特許文献3には、P−SnO−ZnO系の低融点ガラスが開示されている。SnOは軟化点を下げ、流動性を上げる効果があり、ZnOはガラスを安定化させ、線膨張係数を低下させる効果があることが記載されている。また、効果は不明であるが、他の成分として、CeOなどの希土類酸化物を5(mol%)まで含有してもよいと記載されている。
特許文献4および特許文献5には、P−SnO系ガラスに、WOあるいはMoOを含有したガラスが開示されている。さらに、作業温度が高くなるが、ガラスの耐候性を向上させるため、La、CeO、Ndなどのランタノイド酸化物を0.5〜15(mol%)含むことが好ましいと記載されている。
特許文献6に開示されているP−SnO系ガラスにも、耐候性向上のため、La、CeO、Gdなどランタノイド酸化物を10(mol%)まで添加することが好ましいことが開示されている。
特許文献7には、La、CeO、Gdなどランタノイド酸化物を0.1〜25(mol%)含むP−SnO系ガラスが開示されている。ランタノイド酸化物は、ガラスの吸湿性を低下させる、耐候性を向上させる、焼成時の失透を防止するために加える必須の成分であるが、ランタノイド酸化物が25(mol%)を超えると、溶融時の融液粘性を上げ、焼成時の流動性を阻害するとしている。CeOの含有量は、0.1〜15(mol%)が好ましいことが記載されている。
特許文献8にも、0〜2(mol%)のCeOを含むP系ガラスが開示されている。
特許文献9には、着色成分であるCuOを含むPガラスが開示されており、溶融温度を下げるために、CeOを0.45〜2質量%含有することが記載されている。
また、特許文献10には、CeをCeとして含むP系ガラスが開示されている。
特開2001−106549号公報 特開2001−139344号公報 特開2001−302279号公報 特開2005−350314号公報 特開2006−52103号公報 特開2005−162570号公報 特開2003−252648号公報 特開平7−267673号公報 特公昭63−54658号公報 特開昭64−87531号公報 Robert H. Doremus 著「GLASS SCIENCE」第2版
エポキシ樹脂やポリフェニレンサルファイド樹脂などの樹脂は、加工性に優れており、従来から電子部品の封止剤、封着剤として用いられている。しかしながら、ガス透過率が高い(Heガス透過率:1×10−4(Pa・m/S)程度)ため、内部にガス、特に水分が入り込み、酸化あるいは腐食されて特性の低下が起こることが問題となっていた。
そこで、電子部品の長寿命化を目指して、樹脂に代わり、よりガス透過率の低いガラス、特にシリカ(SiO)を主成分とするケイ酸塩ガラスが、電子部品の封着用ガラスとして用いられてきた。しかしながら、ケイ酸塩ガラスはガラス転移温度(Tg)が約600℃と高く、作業温度が高いため、封着時に電子部品の回路や基板などが熱により損傷を受けやすいという問題があった。よって、作業温度を低くすべく、ガラス転移温度(Tg)や屈服温度(At)が低い封着用ガラスが求められた。
また、ケイ酸塩ガラスは、SiO四面体が立体的に連結した三次元網目構造と、その隙間に導入された大きな陽イオンにより構成されていると言われているが、その骨格成分の原子間隔が気体分子に比べて大きいため、気体分子を構造内に取り込んでガス吸着を起こしたり、分子の透過が容易に起こることにより、ガスのリークが生じる。
一般にガラスは樹脂に比べてガス透過率が低いものの、上記のようにケイ酸塩ガラスはガス透過率が高く、ケイ酸塩ガラスを封着用ガラスとして用いると、電子部品内部にガス、特に水分が入り込むことにより内部が腐食され、特性が低下するという不都合が生じており、よりガス透過率の低い封着用ガラスが望まれていた。また、封着用ガラスは耐水性に優れることも必要である。耐水性が低いと、外部の水分が封着ガラスに吸着し、ガラスによって吸収された水分が拡散により内部に放出され、内部の電子部品の性能を低下させるからである。
ここで、非特許文献1の141ページには、各種ガラスのHeガス透過率を示すグラフが示されており、P系ガラスはケイ酸系ガラスに比べHeガス透過率が低いことがわかる。このことから、P系ガラスは、封着用ガラスとして好適に用いることができると期待される。
一方、P系ガラスでは、特許文献1ないし特許文献3に開示されているように、SnOやZnOあるいは両方を第2の主成分とすることで、軟化点の低い、安定したガラスが得られる。さらに、特許文献2ないし10に示されるように、他の微量成分を含有することで、さまざまな特質をもつP系ガラスを得ることができる。例えば、特許文献1に記載されているように、アルカリ金属酸化物はガラスの流動性を向上させ、特許文献6には、耐候性を向上させるにはランタノイド酸化物を加えるとよいことが記載されている。
しかしながら、これらP−SnO系ガラス、P−ZnO系ガラス、あるいはP−SnO−ZnO系ガラスは、耐水性に劣り、ガラスの水分吸収率が高い。後述する粉末法による耐水性評価では、これらP−SnO系ガラス、P−ZnO系ガラスの重量減少率(質量%)は、0.3〜数%であり、封着用ガラスの耐水性として十分とは言えず、耐水性に優れた、さらに重量減少率の低いガラスが望まれる。
特許文献7には、ランタノイド酸化物はガラスの吸湿性を低下させる効果を有することが開示されている。実施例の表1、2、6〜9などには、ランタノイド酸化物を2〜8%含むP−SnO系ガラスの組成が示され、耐湿性を有することが読み取れるが、La、CeO、Gdなどランタノイド酸化物は、P−SnO系ガラスに、数mol%の少量添加するものであり、また、多くても15(mol%)程度添加することが好ましいことが記載されている。またいずれのガラスもSnOを50(mol%)以上含み、Pを第2主成分とするSnO−P系ガラスであり、ランタノイド酸化物、特にCeOを主成分とするものではない。
また、例えば特許文献7に記載のP−SnO系ガラスは封着材料として用いることができるとされているものの、いずれの特許文献にも、P系ガラスのガス透過率については一切記載されておらず、これらのP系ガラスを封着材料として用いた際の、ガスが透過することによる特性変化については不明である。また、耐湿性を評価しているが定量的ではない。
本発明は、網目修飾化合物であるCeOの特性に着目し、耐水性に優れた、ガス透過率の低いリン酸塩系ガラス及び前記リン酸塩系ガラスを用いた電子部品を提供することを目的としている。
本発明は、PとCeOを主成分とするリン酸塩系ガラスであって、Pを30〜75(mol%)、CeOを8〜60(mol%)の範囲で含むことを特徴とする。
とCeOの2つをガラスの主成分とする2成分系とすることにより、ガス透過率の低いガラスを得ることができる。さらに、PとCeOを主成分とするリン酸塩系ガラスは耐水性に優れており、熱膨張係数が所定の範囲内にある。
さらに、リン酸塩系ガラスは、Pを50〜62(mol%)含むことが好ましく、CeOを8〜38(mol%)含むものであることが好ましい。
とCeOを主成分とするリン酸塩系ガラスは、他の成分を含むことができる。例えば、Alを0.5〜20(mol%)含むことがましい。さらに、Alを1〜10(mol%)含むことが好ましい。Alは、ガラスの耐水性及びガラス状態の安定化を向上させるのに効果的である。
また、Bを1〜20(mol%)含有するものであってもよい。Bは、ガラスを安定化させる効果を有する。
さらに、P−CeOを主成分とするリン酸塩系ガラスは、他の成分として、0.02〜1(mol%)のPr11、0.5〜5(mol%)のFe、0.2〜1.5(mol%)のCr、1〜3.5(mol%)のSnO、0.3〜3(mol%)のSiO、0.1〜1.5(mol%)のNiO、から選ばれるいずれかの微量成分を含むことができる。さらに、1〜3(mol%)のSnOを含むことが好ましい。
本発明のP、CeOを主成分とするリン酸塩系ガラスのHeガス透過率は1×10−10(Pa・m/S)以下であることが好ましい。Heガス透過率は、その値が小さいほど電子部品用封着用ガラスとして適しているが、Heガス透過率が1×10−10(Pa・m/S)より小さいと、内部にガスが入り込むことがほとんどなく、封着用ガラスとして特に好適に用いることができる。
また、P、CeOを主成分とするリン酸塩系ガラスは、その熱膨張係数が40〜180(×10−7/℃)の範囲内であることが好ましい。本発明のリン酸塩系ガラスは、前記範囲内のAl、BおよびPr11などの他の成分を含むことにより、様々な熱膨張係数の値を有することができるが、熱膨張係数が前記範囲内であると、被封着材がAlやステンレスの場合に、材料の熱膨張係数の差によって生じるひび割れやはがれが生じにくい。
本発明の電子部品は、第1部材と第2部材との間が、上記に記載のリン酸塩系ガラスによる封着剤を介して接合されていることを特徴とするものである。上記のように、PとCeOを主成分とするリン酸塩系ガラスは、耐水性に優れ、ガス透過率が低いので、このリン酸塩系ガラスを封着剤に用いた電子部品は、内部にガスが入り込むことにより、酸化や腐食が起こり、特性が低下することがほとんどない。
また、本発明は、前記第1部材と前記第2部材は異なる熱膨張係数を有し、前記封着剤は、前記第1部材及び前記第2部材に向かうにしたがって、徐々に、前記第1部材及び前記第2部材の熱膨張係数に近づくように、熱膨張係数の異なる複数の前記リン酸塩系ガラスを積層して形成されていることが好ましい。これにより第1部材と第2部材とが異なる熱膨張係数であっても、しっかりと前記第1部材と第2部材間を前記封着剤にて接合できる。
本発明のPとCeOを主成分とするリン酸塩系ガラスは、ガス透過率が低く、耐水性に優れている。さらにAlやB、または他の成分を添加することにより、さまざまな特性を有するガラスを得ることが可能であり、さらに所定の範囲内の熱膨張係数を有するガラスを作製することができる。
このような、ガス透過率の低い、耐水性に優れる2成分系ガラスを電子部品の封着剤として用いた場合、前記電子部品の内部にガスおよび水分が入り込むことによる電子部品や電子回路の劣化や損傷を抑え、安定した電子部品の特性を得ることができる。また、ガラスの熱膨張係数を調整することにより、接合する部材の熱膨張係数にできるだけ近づけることができるため、前記部材間を強固に接合できるとともに、熱膨張係数差によって発生するひび割れなどを抑えることができる。
本実施形態のリン酸塩系ガラスは、PとCeOを主成分とする。
は主成分であり、リン酸塩系ガラスに30〜75(mol%)含む。さらに、Pを50〜62(mol%)含むことが好ましい。なお、前記含有量はリン酸塩系ガラス全体に対する含有量であり、後述するように、リン酸塩系ガラスを作製する際には、前記含有量のmol%を基に質量%に換算して秤量、調合を行う。
とCeOを主成分とするリン酸塩系ガラスは、Pが少ないほど耐水性が高い一方、結晶化が起こりやすくガラスになりにくい。
が30(mol%)より少ないと、ガラスが結晶化し、ガラス状態が不安定となり、封着用ガラスとして好適に用いることができない。Pが50(mol%)より少なくても結晶化せずにガラス状態を保つことはできるが、他の成分の含有量にもよるものの、耐水性が低くなりやすく、封着用ガラスとして好ましくないので、Pは50(mol%)以上含有することがさらに好ましい。また、Pが75(mol%)より多いと、耐候性が悪化するので好ましくない。Pが多いと耐水性が低下するので、P含有量は62(mol%)以下であることがさらに好ましい。
CeOは、Pと同様主成分であり、リン酸塩系ガラスに8〜60(mol%)含む。CeOが8(mol%)より少ないと、耐候性が悪化し、CeOが60(mol%)より多いと、ガラスの結晶化が起こるため、いずれも好ましくない。さらに後述の実験結果から、CeOが少ないと耐水性が低いが、CeOが多くなり、特に8(mol%)以上であると耐水性が向上する。よってCeOは8(mol%)以上含むことが好ましい。
また、CeOが多く含まれるほど、ガラスが不安定となり結晶化が起こりやすいため、CeOは60(mol%)以下であることが好ましいが、CeOが38(mol%)より多く含む場合、他に含む成分により、結晶化が起こるものがあるため、CeOは38(mol%)以下であることが、さらに好ましい。
本発明のリン酸塩系ガラスは、主成分であるP、CeOの酸化物の他に、Alや、Bなどの他の酸化物を含んでいてもよい。かかる場合、第1主成分(組成比が一番大きい)が、Pで、第2主成分(組成比が二番目に大きい)が、CeOであることに限定されないが(例えばCeOより大きい組成比の成分があってもよい)、Pが第1主成分で、CeOが第2主成分であることが、ガス透過率が低く、耐水性の向上した、安定したガラス状態を適切に得ることができ、好ましい。また、Pが第1主成分であることがさらに好ましい。
Alは、リン酸塩系ガラスに1〜10(mol%)含むことが好ましい。Alが1(mol%)より少ないと、耐候性が悪く、さらに得られるリン酸塩系ガラスの硬度が低すぎて、実用に耐えない。一方Alが10(mol%)より多いと、ガラスの結晶化を促進するため好ましくない。Alはガラス転移温度を上げる効果を有しているため、作業温度が低いガラスを得るためには、Alの含有量は少ないほうが好ましい。
また、後述の実験結果から、Alを含むリン酸塩系ガラスは耐水性に優れるが、Alが10(mol%)より多く含まれていても耐水性に変化はないことから、Alの上限は10(mol%)が好ましい。
は、リン酸塩系ガラスに1〜20(mol%)含むことが好ましい。Bは、P、CeOを主成分とするリン酸塩系ガラスの結晶化を防止し、ガラスを安定化させる効果がある。Bが1(mol%)より少ないと、リン酸塩系ガラスの結晶化が起こり、Bが20(mol%)より多いと、得られるリン酸塩系ガラスの耐候性が悪く、ガス透過率が上昇するので、いずれも好ましくない。
また、本実施形態のリン酸塩系ガラスは、他の微量成分として、Pr11、Fe、Cr、SnO、SiO、NiOの少なくとも1種を含むものであってよい。これらの酸化物は、ガラスの結晶化の抑制、ガラス転移温度の調整等のために加えられる。
Pr11は、リン酸塩系ガラスに0.02〜1(mol%)含むことが好ましい。Pは還元されると気体状の金属リン(P)となり蒸発するが、Pr11は、Pの還元を防止する効果を有する。よって、P、CeOを主成分とするリン酸塩系ガラスがPr11を含むと、上記リンの蒸発防止効果が発現し、耐水性が向上するが、Pr11が0.02(mol%)より少ないと、上記リンの蒸発防止効果が発現せず、耐水性が低い。またPr11が2(mol%)より多いと、リン酸塩ガラスの結晶化を促進するため、好ましくない。
Feは、リン酸塩系ガラスに0.5〜5(mol%)含むことが好ましい。Feは、ガラスの接着性を向上させる効果、特にAlとガラスの間の接合を改善する効果があるが、含有量が0.5(mol%)より少ないと、その効果が現れず、5(mol%)より多いと接着性が高すぎ、またガラスが結晶化するので好ましくない。
Crは、リン酸塩系ガラスに0.2〜1.5(mol%)含むことが好ましい。Crは、ガラスの接着性を向上させる効果、特にステンレスとガラスの間の接合を改善する効果があるが、含有量が0.2(mol%)より少ないと、その効果が現れず、1.5(mol%)より多いとガラスの結晶化が起こるので好ましくない。
SnOは、リン酸塩系ガラスに1〜3.5(mol%)含むことが好ましい。SnOは、Crと同じように、ガラスの接着性を向上させる効果、特にステンレスとガラスの間の接合を改善する効果があるが、含有量が1(mol%)より少ないと、その効果が現れず、3.5(mol%)より多いとガラスの結晶化が起こるので好ましくない。また、SnOはリン酸塩系ガラスの耐水性を向上させる効果がある。後述の実験結果に示すように、SnOを3.5(mol%)含むリン酸塩系ガラスは十分な耐水性を有し、SnOが3.5(mol%)より多くても、リン酸塩系ガラスの耐水性は変化しなかったことから、SnOは1〜3.5(mol%)含むことが好ましい。さらに、SnOは1〜3(mol%)含むことが好ましい。
SiOは、リン酸塩系ガラスに0.3〜3(mol%)含むことが好ましい。SiOは、CrやSnOと同じように、ガラスの接着性を向上させる効果、特にステンレスとガラスの間の接合を改善する効果があるが、含有量が0.3(mol%)より少ないと、その効果が現れず、3(mol%)より多いとガラスの結晶化が起こるので好ましくない。
NiOは、リン酸塩系ガラスに0.1〜1.5(mol%)含むことが好ましい。NiOは、CrやSnO、SiOと同じように、ガラスの接着性を向上させる効果、特にステンレスとガラスの間の接合を改善する効果があるが、含有量が0.1(mol%)より少ないと、その効果が現れず、1.5(mol%)より多いとガラスの結晶化が起こるので好ましくない。
その他に、PとCeOを主成分とするリン酸塩系ガラスは、上記以外の酸化物、例えば、アルカリ土類金属の酸化物である酸化バリウム(BaO)、酸化ストロンチウム(SrO)、を含むものであってもよい。これらの酸化物は、1〜20(mol%)含むことが好ましい。また酸化チタン(TiO)あるいは酸化亜鉛(ZnO)を含むものであってもよい。TiOは0.1〜35(mol%)、ZnOは1〜20(mol%)含むことが好ましい。
とCeOを主成分とするリン酸塩系ガラスに含まれる成分は、これらの酸化物に限られず、例えば、酸化マグネシウム(MgO)、酸化鉄(II)(FeO)、酸化セリウム(II)(CeO)、酸化ビスマス(Bi)、酸化銅(CuO)、酸化バナジウム(V)、酸化コバルト(CoO)、酸化マンガン(MnO)、フッ化カルシウム(CaF)、酸化ニッケル(NiO)、酸化ジルコニウム(ZrO)、酸化すず(SnO)などの酸化物を含むものであってもよい。ただし、LiOを除くNaO,KOなどのアルカリ金属酸化物を含むリン酸塩系ガラスは、耐候性、耐水性が低下するので、LiOを除くアルカリ金属酸化物は含まないことが好ましい。
上記したリン酸塩系ガラスを構成する全成分を合計すると100mol%となる。
以上述べたような成分を所定量秤量し混合した後、加熱することによりガラスを作成する。例えば、リン酸として、脱水したオルトリン酸を用い、所定量のmol%となるように秤量し、同様に秤量したCeO、AlやB、その他の成分を乳鉢を用いて、粉砕しながら十分に均一になるように混合する。均一に混合した粉状のガラス原料成分を、例えば白金製のるつぼに入れ、電気炉を用いて大気中で約1000〜1500℃の温度で所定時間加熱して溶融する。その際、昇温速度は特に制限はなく、10℃/分の昇温速度で急激に加熱してもよい。
その後、板状または棒状に成形しながら急冷し、リン酸塩系ガラスを得る。あるいは得られた板状または棒状のリン酸塩系ガラスを粉砕して粉末状のリン酸塩系ガラスを得ることもできる。なお、混合した粉状のガラス原料を加熱する前に、篩にかけて粒子径を一定の大きさ以下に揃えておくと、ガラスがより均一となり好ましい。
得られるリン酸塩系ガラスは透明であるが、添加された微量成分により、黒色、あるいは緑色などの色を呈する。
本発明のリン酸塩系ガラスは、安定したガラス状態を保つので、例えばガラス状態のガラスを再び加熱し冷却しても、結晶化しないで再度ガラス状態に戻すことが可能である。
前記組成によって得られる本発明のPとCeOを主成分とするリン酸塩系ガラスは、熱膨張係数(α)が40〜180(×10−7/℃)の範囲内にできる。特に60〜110(×10−7/℃)の範囲の熱膨張係数を有するリン酸塩ガラスが容易に得られる。また、ガラス転移温度(Tg)を、500〜700℃の範囲内、屈服温度(At)を、500〜700℃の範囲内に出来る。従って500〜700℃の範囲内で良好な流動性を有し、封着などの作業を行うことができる。さらに、耐水性に関し、以下に示す粉末法による測定方法で測定したところ、重量減少率が0.1(%)に満たない、非常に低いものである。同じ方法によって、P−SnO系ガラス、P−ZnO系ガラスの重量減少率を測定すると、0.3〜数%であることから、本発明のPとCeOを主成分とするリン酸塩系ガラスは耐水性に優れていることがわかる。
本実施形態のリン酸塩系ガラスの耐水性、あるいはP−SnO系ガラス、P−ZnO系ガラスの耐水性は、JIS R 3502−1995〔化学分析用ガラス器具の実験方法〕及びJOGIS 06−1975〔光学ガラスの化学的耐久性の測定方法(粉末法)〕に基づき、次のように測定した。
得られたガラスを乳鉢を用いて粉砕し、粉末とする。次に篩によって粒径を250−425μmとしたガラス粉末試料を比重g(約3g)、約90℃の純水に1時間入れ、重量減少率(%)を測定した。
重量減少率(%)は、{(ガラス粉末の試験前の重量―ガラス粉末の試験後の重量)/ガラス粉末の試験前の重量}×100で求めた。
前記重量減少率(%)が少ないほど、前記ガラス粉末の溶ける量が少ないため耐水性に優れる。
本実施形態のリン酸塩系ガラスは、前記重量減少率(%)がいずれも、0.1(%)以下で、重量減少率が非常に低く、耐水性に優れている。
また、本発明のリン酸塩系ガラスのHeガス透過率を、JIS Z 2331〔ヘリウム漏れ試験方法〕の浸せき法(ボンビング法)に基づき、次のように測定した。
ガラス試料を例えば内部が空洞の円柱形に成型する。内部の空洞部の容量は0.04(ml)程度とする。
予備試験として、温度90℃に加熱した媒体(住友3M社製、フロリナート(登録商標))中に試料を30秒間浸漬して、発泡の有無を目視にて確認した。発泡が確認されたものは、ガス透過率が高すぎるためHeガス透過率測定は不適とし、発泡の見られなかった試料についてのみ、次に示すHeガス透過率測定試験を行った。
ガラス試料を真空容器内に入れ、真空ポンプを用いて内部を真空にした後、Heガスを内部に満たし、圧力0.5MPaで2時間加圧した。その後、圧力を取り除いてガラス試料を取り出し、リークディテクタに接続された真空容器に入れ、Heガスの漏れ量を測定し、試料のガス透過率を算出した(一回目の測定)。続いて30分後に、再び、試料のガス透過率を算出した(二回目の測定)。さらに続いて30分後に、再び、試料のガス透過率を算出した(三回目の測定)。
以上のようにして測定したリン酸塩系ガラスのHeガス透過率は、1×10−10(Pa・m/S)以下の値であり、本発明のリン酸塩系ガラスのガス透過率は非常に小さく、ほとんどガスを通さない、封着用ガラスとして好適なガラスである。
なお、本実施形態のリン酸塩系ガラスはガス透過率が低く、封着用ガラスとして好適である理由としては、CeOは網目修飾化合物であることが考えられる。すなわち、網目修飾化合物であるCeOが主成分として多く含まれていることで、P分子構造の隙間を埋めることにより、ガス透過率を下げる働きがあるものと考えられる。同様に、CeOがP分子構造の隙間を埋めているため、本来は吸水性の高いPが吸水しにくく、従って耐水性にも優れているものと考えられる。
図1は、電子部品の一例を示す斜視図である。なお電子部品は一例であり、本実施形態で好適に用いられる電子部品は図1に示すものに限られない。
図1に示す電子部品1は、内部に電子部品が収納されたパッケージ構造となっており、外部と、入力用のリード線2、および出力用のリード線3それぞれ2本づつでつながっている。パッケージ7の外壁は、例えばステンレスで作られており、側面の所定の位置に開口部5が設けられ、その開口部5からそれぞれのリード線2,3が外部へ延びている。図2(図1の一部を拡大した部分斜視図)に示すように前記リード線3はちょうど前記開口部5に挿入される部分の周囲に例えばアルミナによる被覆部材8が設けられている。そして前記被覆部材8と前記パッケージ7間の開口部5内は封着用ガラス6で封着され、外部から密閉されたものとなっている。なお図2では前記リード線3が図示されているが、前記リード線2も同様にパッケージ7間が封止されている。そして、前記封着用ガラス6として、本実施形態のPとCeOを主成分とするリン酸塩系ガラスが用いられる。
本実施形態のリン酸塩系ガラスは、ガス透過率が低く、また耐水性に優れるため、前記リン酸塩系ガラスを前記封着用ガラス6として用いたときに、内部に気体や水分が入り込むことがないので、ガス、特に水分による電子部品の腐食が起こらず、電子部品1の特性の安定化を図ることが出来る。
ところで、アルミナで形成された被覆部材(第1部材)8と、ステンレスで形成されたパッケージ(第2部材)7とは熱膨張係数が違うので、前記封着用ガラス6は全体が同じ熱膨張係数のリン酸塩系ガラスで形成された単層構造でなく、被覆部材8側およびパッケージ7側に向かうにしたがって、徐々に被覆部材8およびパッケージ7の熱膨張係数に近づくように、熱膨張係数が異なる複数のリン酸塩系ガラスを積層して形成されたものであることが好ましい。
すなわち、図2に示すように、前記封着ガラス6を熱膨張係数の異なるリン酸塩系ガラス9,10の積層構造とし、リン酸塩系ガラス9を前記被覆部材8の熱膨張係数に近い値にし、リン酸塩系ガラス10を前記パッケージ7の膨張係数に近い値に設定する。前記ステンレスの熱膨張係数は約180(×10−7/℃)であり、アルミナの熱膨張係数は約70(×10−7/℃)であるので、前記封着ガラス13の熱膨張係数の範囲がほぼ70〜180(×10−7/℃)の範囲であって、パッケージ7側(ステンレス)から被覆部材8側(アルミナ)に向かうにしたがって徐々に熱膨張係数が小さくなるように、熱膨張係数が異なる複数のリン酸塩系ガラス9,10を積層して前記封着ガラス6を形成する。なお各リン酸塩系ガラス9,10の界面では焼成によって各元素が拡散するので、図2に示すようなはっきりとした積層界面が現れなくてもよい。
また部材表面が凹凸面であるような場合、例えばアルミナ等で形成された部材はその表面が凹凸面で形成されやすいが、かかる場合、前記封着ガラス6が凹部内を適切に埋め、部材とガラス間の密封性を良好なものにできる。
以上により、各材料間の熱膨張係数の差を小さくすることが可能となるため、加熱によるひび割れやはがれを抑えることができる。よって電子部品1の特性がより安定化し、長寿命を得ることが出来る。
なお、リード線の他に、光ファイバやセラミックス線を用いることもできるし、パッケージの材質はステンレスに限られず、ジュメット、コバール、モリブデンなど他の金属やセラミックでもよい。
さらに、内部の密閉性が要求される、MEMS(Micro Electro Mechanical Systems)など小型デバイスなどの封着や、磁気ヘッドのコア半体間に充填される接合ガラス等に、本実施形態のリン酸塩系ガラスを用いることも可能である。
本発明のリン酸塩系ガラスを用いて封着する方法としては、前記の方法で作成された板状または棒状のリン酸塩系ガラス6を、開口部5のパッケージの外壁とリード線2,3の間に置いて、約750℃に加熱してガラスを溶融させて封着させることができる。また、板状または棒状のリン酸塩系ガラスの代わりに、板状または棒状のリン酸塩系ガラスを粉砕して得られる粉末状のリン酸塩系ガラスを用い、開口部5のパッケージの外壁とリード線2,3の間に詰めた後、加熱溶融させて封着を行ってもよい。
表1に示す組成比(mol%)を有するリン酸塩系ガラスを作製した。また、各リン酸塩系ガラスの熱膨張係数、ガラス転移温度、屈服温度を測定し、同じ表中に示す。
Figure 2008001585
表1に示す実施例1ないし34の組成成分を有するリン酸塩系ガラスは、いずれも、結晶化することがなく、良好なリン酸塩系ガラスを作製できた。
表1に示す、各所定の原料を秤量、混合した後、白金ルツボに入れ、1000〜1500℃の電気炉中で30分加熱して溶融し、急冷しながら棒状に成形し、各リン酸塩系ガラスを得た。
実施例1および2に示す組成から得られたリン酸塩系ガラスについて、前述した測定方法に従い、Heガス透過率を測定した。得られた結果を他の試料の結果と共に表2に示す。
Figure 2008001585
表2中のバックグラウンド値とは、真空容器内に何も入れない状態でHeガス漏れ量を測定した場合の値である。なお、アルミナについては、予備試験において発泡が見られたので、Heガス透過率は測定せず、測定不可とした。
表2に示すように、本発明のリン酸塩系ガラスのHeガス透過率は、市販のホウケイ酸ガラスのHeガス透過率に比べて約1000倍低く、バックグラウンド値とほぼ等しい値を示した。すなわち、Heガス透過率測定における誤差範囲内であり、ガス透過率が非常に低いことがわかる。このようにガス透過率が低いガラスは封着用として有用である。
また、実施例1および2の棒状のリン酸塩系ガラスを用いて、図1に示す電子部品の開口部を封着したところ、電子部品を損傷することなく、リード線と開口部の隙間を封着することができた。
表1に示すように、本実施例のリン酸塩系ガラスは、熱膨張係数(α)が約68〜103(×10−7/℃)の範囲内である。そこで、リン酸塩系ガラスを数種類用いて、熱膨張係数が約110(×10−7/℃)である電磁ステンレスと、熱膨張係数が約70(×10−7/℃)であるアルミナの間を図3のように、接合する実験を行った。
図3は、板状の電磁ステンレス板11とアルミナ板12との間を熱膨張係数が異なる複数のリン酸塩系ガラスの積層構造(図は2層であるが実験では、下記に記載するように、7層構造)による封着ガラス13にて接合した。
実験では、電磁ステンレス板11とアルミナ板12の板の間を、電磁ステンレス板11側からアルミナ板12に向けて順に、実施例10のガラス、実施例1のガラス、実施例11のガラス、実施例12のガラス、実施例13のガラス、実施例14のガラス、及び実施例15のガラスの積層構造よる封着ガラス13にて接合した。そして、780℃に加熱した後、室温に冷却する、加熱冷却試験を繰り返す試験を行ったところ、封着ガラス13、アルミナ板12及び電磁ステンレス板11のいずれにもひび割れやはがれが見られず、本積層による接合は良好な接着性を有するものであった。
また、実施例1ないし3などのガラスについて、前述する方法に従って耐水性を測定したところ、表1に示すように、いずれも、重量減少率が0.0031〜0.0619(%)であり、耐水性に優れていることがわかった。また、CeOを含まない、P−ZnO系ガラス(比較例5)について、耐水性を測定したところ、ガラスが全て水に溶解した。すなわち重量減少率が100%であった。このように、本実施例のリン酸塩系ガラスは優れた耐水性を有する。
実施例と同様な方法にて、表1の比較例に示す組成に従ってガラスを作製した。比較例1に示す組成でガラスを作製したところ、加熱途中の500℃付近から結晶化が進み、ガラスが得られなかった。また、比較例2ないし4に示すPが75(mol%)より多い組成では、ガラスが得られたが、重量減少率が多く、耐水性が低かった。
比較例5ないし8に示すCeOの含有量が8(mol%)より小さい組成では、結晶化が起こらずガラスが得られたが、耐水性を測定した重量減少率が高く、耐水性が低かった。特に、CeOの含有量が5.0(mol%)である比較例6に示す組成では、耐水性を測定しようとしたところ、ガラスが全て水に溶けてしまった。また比較例8では、重量減少率が7.73(%)と高く、耐水性のないものであった。また、得られたこれらのガラスを再加熱したところ、結晶化が起こった。
実施例30ないし33および比較例7について、CeOの含有量に対する重量減少率を図4に示す(横軸はCeOの含有量(mol%)、縦軸は重量減少率(%))。実施例30ないし33および比較例7は、表1に示すように、ZnO以外のPなどの組成は全て等しい。図4から、CeOの含有量が多くなるほど、重量減少率が低い傾向にある。特に、CeOの含有量が5%では、重量減少率はほぼ0.1(%)であるが、CeOの含有量が8%以上で重量減少率が0.04(%)と急激に低下し、CeOの含有量がそれ以上では徐々に低下している。このことから、リン酸塩系ガラスのCeO含有量は8%以上であると、耐水性に優れていることがわかる。
含有量が30(mol%)である比較例9では、結晶化が起こり、ガラスが得られなかった。
実施例および比較例と同様な方法にて、SnOおよびFeの添加効果の傾向を調べるために、表3の参考例に示す組成に従ってガラスを作製した。
Figure 2008001585
参考例1,2および比較例8について、SnOの含有量に対する重量減少率を図5に示す(横軸はSnOの含有量(mol%)、縦軸は重量減少率(%)の対数)。
参考例1ないし3は、表3に示すように、CeOの含有量が5〜7.5(mol%)で、本発明のリン酸塩系ガラスに比べてCeOの含有量が低いものである。また、SnO以外の組成がほぼ等しい。図5から、SnO含有量が0の場合、重量減少率は7.7(%)と高いが、SnOを添加することで重量減少率が急激に低下している。またグラフの縦軸は対数軸であり、重量減少率は、SnO含有量に対して直線的に減少していることから、SnOは少量加えただけでも、重量減少率が急激に低下していることがわかる。このことから、SnO含有量は少量でも、耐水性に優れたリン酸塩系ガラスが得られる傾向があることがわかる。
参考例3ないし7について、Feの含有量に対する重量減少率を図6に示す(横軸はFeの含有量(mol%)、縦軸は重量減少率(%))。
参考例3ないし7は、表3に示すように、CeOの含有量が5.5〜6.0(mol%)で、本発明のリン酸塩系ガラスに比べてCeOの含有量が低いものである。また、Fe以外の組成がほぼ等しい。図6から、Fe含有量が0の場合、重量減少率は0.13(%)と高いが、Feを1mol%添加すると重量減少率が0.7(%)低下し、Feの含有量が高くなるにつれてさらに低下している。よって、Feは少量でも、耐水性に優れたリン酸塩系ガラスが得られる傾向があることがわかる。ただし、Feの含有量が5(mol%)を超えるとガラスが結晶化してしまうので、Feは5(mol%)以下が好ましい。
実施例25,26および参考例8,9に示す組成では、Alが6〜12(mol%)で、それ以外の組成がほぼ同じである。これらの組成について、耐水性を測定した重量減少率を比べると、ほぼ0.01(%)であることから、Alの含有量が増えても耐水性にほとんど影響を与えないことがわかった。また、Al含有量が12(mol%)である参考例9では、得られたガラスを再加熱したところ、結晶化が起こった。
本実施形態のリン酸塩系ガラスを用いて封着を行った電子部品を示す斜視図、 図1の一部を拡大した前記電子部品の斜視図、 実験で使用した積層構造の概念図、 CeOの含有量に対する、リン酸塩系ガラスの耐水性を表す重量減少率(横軸はCeOの含有量(mol%)、縦軸は重量減少率(%))、 SnOの含有量に対する、リン酸塩系ガラスの耐水性を表す重量減少率(横軸はSnOの含有量(mol%)、縦軸は重量減少率(%)の対数)、 Feの含有量に対する、リン酸塩系ガラスの耐水性を表す重量減少率(横軸はFeの含有量(mol%)、縦軸は重量減少率(%))、
符号の説明
1 電子部品
2,3 リード線
5 開口部
6、13 封着用ガラス
7 パッケージ
8 被覆部材
9、10 リン酸塩系ガラス
11 電磁ステンレス板
12 アルミナ板

Claims (12)

  1. とCeOを主成分とするリン酸塩系ガラスであって、Pを30〜75(mol%)、CeOを8〜60(mol%)の範囲で含むことを特徴とするリン酸塩系ガラス。
  2. を50〜62(mol%)含む請求項1記載のリン酸塩系ガラス。
  3. CeOを8〜38(mol%)含む請求項1または2記載のリン酸塩系ガラス。
  4. Alを0.5〜20(mol%)含む請求項1ないし3のいずれかに記載のリン酸塩系ガラス。
  5. Alを1〜10(mol%)含む請求項4記載のリン酸塩系ガラス。
  6. を1〜20(mol%)含む請求項1ないし5のいずれかに記載のリン酸塩系ガラス。
  7. 0.02〜1(mol%)のPr11、0.5〜5(mol%)のFe、0.2〜1.5(mol%)のCr、1〜3.5(mol%)のSnO、0.3〜3(mol%)のSiO、0.1〜1.5(mol%)のNiO、から選ばれるいずれかの微量成分を含む請求項1ないし6のいずれかに記載のリン酸塩系ガラス。
  8. 1〜3(mol%)のSnOを含む請求項7記載のリン酸塩系ガラス。
  9. Heガス透過率が1×10−10(Pa・m/S)以下である請求項1ないし8のいずれかに記載のリン酸塩系ガラス。
  10. 熱膨張係数が40〜180(×10−7/℃)である請求項1ないし9のいずれかに記載のリン酸塩系ガラス。
  11. 第1部材と第2部材との間が、請求項1ないし10のいずれかに記載のリン酸塩系ガラスによる封着剤を介して接合されていることを特徴とする電子部品。
  12. 前記第1部材と前記第2部材は異なる熱膨張係数を有し、前記封着剤は、前記第1部材及び前記第2部材に向かうにしたがって、徐々に、前記第1部材及び前記第2部材の熱膨張係数に近づくように、熱膨張係数の異なる複数の前記リン酸塩系ガラスを積層して形成されている請求項11記載の電子部品。
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