JP2007520365A - ポリオレフィン系スプリットヤーンを用いたターポリン及びその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】表面の外観を向上させ、熱及び紫外線を遮断して強度を向上させたポリオレフィン系スプリットヤーンを用いたポリオレフィン系ターポリンを提供する。
【解決手段】所定の幅と数とに分割し、延伸板により7〜8倍に延伸して1次分繊した後、セット板により2次熱セットして、撚糸し、次いで織布したポリオレフィン系ヤーン、および所定の厚と色で積層された第1オレフィン系樹脂コーティング層と、その第1オレフィン系樹脂コーティング層上に、溶融ポリオレフィン系樹脂を積層した第2ポリオレフィン系樹脂コーティング層とを含有する、ポリオレフィン系樹脂コーティング層、を含む構成とする。
【解決手段】所定の幅と数とに分割し、延伸板により7〜8倍に延伸して1次分繊した後、セット板により2次熱セットして、撚糸し、次いで織布したポリオレフィン系ヤーン、および所定の厚と色で積層された第1オレフィン系樹脂コーティング層と、その第1オレフィン系樹脂コーティング層上に、溶融ポリオレフィン系樹脂を積層した第2ポリオレフィン系樹脂コーティング層とを含有する、ポリオレフィン系樹脂コーティング層、を含む構成とする。
Description
本発明はポリオレフィン系スプリットヤーンを用いたターポリン及びその製造方法に関し、より詳細には、ポリオレフィン系樹脂を分割して1次延伸した後、さらに分繊して2次熱セットした後織布し、その織布した布帛層の上にポリオレフィン系樹脂を第1コーティングして熱及び紫外線の遮断層を形成し、この層の上にポリオレフィン系樹脂を第2コーティングして強度補強層を形成したターポリン及びその製造方法に関する。
防水用天幕やテントのような防水布などで多様な用途に使われるターポリンは、織布の材質によってPVC(ポリ塩化ビニル)ターポリンと、PE(ポリエチレン)ターポリンとに区別することができる。ここで、PVCターポリンは、マルチフィラメントヤーンからなるPET布帛の両面に、PVCをコーティングして製造され、また、PEターポリンは、HDPEテープヤーンの両面に、LDPEをコーティングして製造される。PVCターポリン製造過程は、米国特許第4,298,645号にも詳細に開示されている。
しかしながら、実際は、HDPEは加工時の溶融張力が過大であるため、前述のような方法で製造することはほとんど不可能である。なぜならば、加工時の溶融状態での張力は延伸性と非常に密接な関係があり、フィラメントの加工領域の範囲内で樹脂の溶融張力を適切に維持しなければ、溶融状態で十分な延伸を行うことができない。通常、マルチフィラメントの加工設備で使われるノズルの直径は0.5mm(500μm)程度であり、延伸の後にフィラメントの直径は約10μm程度となる。したがって、直径の変化量を見ると、直径が1/50倍程度に減少しながら延伸されることが分かる。
しかし、HDPEの場合は溶融張力が過大であるため、溶融状態で得られる延伸性には限界がある。すなわち、HDPEを使用して製造するモノフィラメントの場合、ノズルとフィラメントの直径比が20倍未満に変化するため、マルチフィラメントヤーンを製造することは非常に難しい。
また、通常のPEターポリンはHDPEとLDPEとの平均比率が60:40である。その以上になると、LDPEコーティング時に伝えられる熱によりHDPE布帛層の強度が急激に低下して、表面が平滑にならないという問題がある。
この問題点を改善するために、本発明の出願人が出願した従来のHDPEスプリットヤーンを利用したPEターポリン及びその製造方法について、図1〜3を参照して詳細に説明する。
図1a〜1eは、従来のPEターポリンを構成するスプリットヤーンの製造過程を示す工程図であり、図2は通常のPEターポリンの構造を示す断面図である。まず、図1を参照してHDPEスプリットヤーンの製造過程について説明する。
図1aに示すように、高密度ポリエチレン樹脂20をカッターを使用していくつかのストランド22に分割した後、分割した各テープヤーンの表面に縦に適当な大きさの切り傷を作り、それを分繊してスプリットヤーンを作る(図1b)。次に、延伸板26を利用してスプリットヤーン24を約7〜8倍に延伸した後、延伸した状態を維持するために、セット板28を通過させる。それによって、スプリットヤーン24は延伸した形態をそのまま維持するようになる。次いで、いくつかのスプリットヤーン24のストランドに数回撚りをかけて図1eに示すような撚糸スプリットヤーン30を製造する。
次に、このようにして作製したPEスプリットヤーン30は、織布工程を経て布帛として製造される。このスプリットヤーン30を用いて製造したターポリンの断面構造を図2に示す。このPEターポリンの構造を見ると、分割して延伸したHDPEスプリットヤーン30を数回撚糸し、そして織布して作製したHDPE布帛層30と、このHDPE布帛層30の両面にLDPE樹脂を積層して形成したLDPEコーティング層32、32’とからなる。便宜上、スプリットヤーンとHDPE織布層は同一番号で表示した。
しかしながら、前述のHDPEスプリットヤーンを用いたターポリンの製造方法においては、図1bに示すように多数のストランドに分割したテープヤーンを分繊した後、延伸する工程(図1c)を行うが、この場合、分繊ストランドに生じた開繊キズによって、延伸時に多数の糸が断糸するため、正常の製品を製造することができないという問題点がある。
次に、図3aないし3cは従来技術によるPEターポリンの製造過程を示す工程図である。コンベヤーによってスプリットヤーン40に織布されたHDPE布帛が移送されると(図3a)、このHDPE布帛の上面に溶融状態の高温のLDPE樹脂が積層される。HDPE布帛上に供給されたLDPE樹脂は冷却ローラ及び押圧ローラで構成された一対のローラを通過しながら融着されて上部LDPEコーティング層42が形成される。
次に、HDPE布帛の下面にも高温のLDPE樹脂が積層されると共に、冷却ローラ及び押圧ローラで構成された一対のローラを通過しながら融着され、下部LDPEコーティング層42’が形成されて、図3bのような構造のターポリンが製造される。このようにコーティングされたターポリンの両端を切断した後にボビンに巻き取ると、完成品または半製品が完成される。
図3cは、このような工程を経て製造されたPEターポリンにおいて、LDPE層を厚くコーティングする用途で使われる場合、LDPE層の外面に第2コーティング層を形成することを示したものである。外観を向上させ、HDPE布帛層が一定量以上の溶融されたLDPEの熱によって強度が低下することを防止するために、前述のような方法と同様にして第1LDPEコーティング層42の上面に溶融LDPE樹脂を積層して第2LDPEコーティング層44を形成する。次に、第1LDPEコーティング層42’の下面にも溶融LDPE樹脂を積層して第2LDPEコーティング層44’を形成することによって、二重コーティング構造のターポリンを完成する。
しかしながら、前記のような従来の製造方法により製造されたターポリンは、図3cに示すように、第1コーティング層42と布帛層40とが交絡する点である結束点Aにおいて、複数の凹部が散見されるという問題がある。これはいわゆるクレーター現象と呼ばれるものである。第2コーティング層44の厚さが、第1コーティング層42の厚さとほとんど同一であるため、クレーター現象を改善することが困難である。したがって、このような点を表面で肉眼で観察すれば、凹点として現れ、あたかも製品上に欠陥があるように見えて、製品の品質には無関係に外観上悪影響を与える問題点があった。
また、通常は破断強度を向上させるために前述のターポリンを二重に重ねて製造する。これは二重のヤーンを重ねて製造するもので、この場合はより一層クレーター現象が増加するだけでなく、外観上もターポリンの表面が凹凸現象などによって美観が低下する問題点があった。
米国特許第4,298,645号
上記の従来技術の問題点を解決するため、本発明の目的は、マルチフィラメントヤーンのような効果を有する、低廉なポリオレフィン系スプリットヤーンを用いたポリオレフィン系ターポリンを提供することにある。ポリオレフィン系樹脂は低廉かつ加工が容易で、加工装置も複雑ではなく、安価に製造できる。ポリオレフィン系ヤーンを使用することにより、テープヤーンが製造され、これを分割して1次延伸して強度が増したヤーンは、分繊されて1次熱セットされる。
本発明の他の目的は、LDPEなどのようなポリオレフィン系樹脂のコーティング時に付与される熱により、ポリオレフィン系布帛層の上に凹点が生じるクレーター現象を防止すると共に、熱及び紫外線の遮断効果を持たせるために、まず所定厚さで所定の色(例えば、黒色)の第1コーティング処理した構造のポリオレフィン系樹脂層を形成し、その後に、所定厚さの第2コーティング処理した構造のポリオレフィン系樹脂コーティング層を形成することによって、表面の外観を向上させ、熱及び紫外線を遮断して強度を向上させたポリオレフィン系スプリットヤーンを用いたポリオレフィン系ターポリンを提供することにある。
また、本発明の他の目的は、ポリオレフィン系樹脂を分割して1次延伸(約7〜8倍)した後、2次熱セット前の1次延伸により強度が強くなったヤーンに切り傷処理した後、延伸板を利用して2次熱セットし、熱セットした状態で維持したヤーンを数回撚糸してポリオレフィン布帛層を形成し、形成したポリオレフィン布帛層の両面に所定厚さで所定色(例えば、黒色)のポリオレフィン系樹脂を積層して第1ポリオレフィン系樹脂コーティング層を形成し、この第1ポリオレフィン系樹脂コーティング層の外側にさらに第2ポリオレフィン系樹脂をコーティングすることによって、表面がより滑らかで、全体的な強度が向上し、マルチフィラメントヤーンのように外観が向上すると共に、熱及び紫外線が遮断できるポリオレフィン系スプリットヤーンを用いたターポリンの製造方法を提供することにある。
このような目的を達成するため、本発明のポリオレフィン系スプリットヤーンを用いたターポリンは、ポリオレフィン系樹脂を分割、延伸、及び織布したポリオレフィン系布帛層と、前記ポリオレフィン系布帛層の両面に設けた、ポリオレフィン系樹脂を積層したポリオレフィン系樹脂コーティング層とを含んでなる、ポリオレフィン系樹脂を用いたターポリンであって、
所定の幅と数とに分割し、延伸板により7〜8倍に延伸して1次分繊した後、セット板により2次熱セットして、撚糸し、次いで織布したポリオレフィン系ヤーン、および
所定の厚と色で積層された第1オレフィン系樹脂コーティング層と、その第1オレフィン系樹脂コーティング層上に、溶融ポリオレフィン系樹脂を積層した第2ポリオレフィン系樹脂コーティング層とを含有する、ポリオレフィン系樹脂コーティング層、
を含んでなることを特徴とする。
所定の幅と数とに分割し、延伸板により7〜8倍に延伸して1次分繊した後、セット板により2次熱セットして、撚糸し、次いで織布したポリオレフィン系ヤーン、および
所定の厚と色で積層された第1オレフィン系樹脂コーティング層と、その第1オレフィン系樹脂コーティング層上に、溶融ポリオレフィン系樹脂を積層した第2ポリオレフィン系樹脂コーティング層とを含有する、ポリオレフィン系樹脂コーティング層、
を含んでなることを特徴とする。
ここで、前記の所定幅に分割された複数のポリオレフィンヤーンが、3〜5本毎に1本の高強度ポリオレフィン系樹脂またはポリプロピレンのヤーンが配置されてなることが好ましい。
また、前記第2コーティング層が、第1コーティング層の厚さの二倍以上の厚さを有することが好ましい。
また、前記第1コーティング層が、紫外線を遮断するために黒色でコーティングされたものであるか、または黒色顔料が添加されてなることが好ましい。
さらに、前記第1コーティング層が、第二コーティング層の形成時に付与される熱を遮断する熱遮蔽層の機能を有することが好ましい。
また、本発明の他の目的を達成するためのポリオレフィン系スプリットヤーンを用いたターポリンの製造方法は、ポリオレフィン系樹脂を分割し、延伸し、その分割、延伸されたヤーンを織布して、ポリオレフィン系布帛を製造し、その布帛の両側に、溶融ポリオレフィン系樹脂を積層して、ポリオレフィン系コーティング層を形成することを含んでなる、ポリオレフィン系ヤーンを用いたターポリンの製造の方法であって、
所定の幅と数とに分割し、延伸板により7〜8倍に1次延伸したポリエチレンヤーンを分繊する工程、
前記ポリオレフィン系分繊ヤーンを2次熱セットする工程、
前記熱セットを通してして一定温度に維持しながら、織布形成工程においてポリオレフィン系分繊ヤーン撚糸し、織布する工程、
前記織布した布帛の両面に、所定の幅及び色の第1ポリオレフィン系樹脂コーティング層を形成する工程、及び
前記第1ポリオレフィン系樹脂コーティング層の外側に、溶融ポリオレフィン系樹脂を積層して、所定厚さの第2ポリオレフィン系樹脂コーティング層を形成する工程、
を含んでなることを特徴とする。
所定の幅と数とに分割し、延伸板により7〜8倍に1次延伸したポリエチレンヤーンを分繊する工程、
前記ポリオレフィン系分繊ヤーンを2次熱セットする工程、
前記熱セットを通してして一定温度に維持しながら、織布形成工程においてポリオレフィン系分繊ヤーン撚糸し、織布する工程、
前記織布した布帛の両面に、所定の幅及び色の第1ポリオレフィン系樹脂コーティング層を形成する工程、及び
前記第1ポリオレフィン系樹脂コーティング層の外側に、溶融ポリオレフィン系樹脂を積層して、所定厚さの第2ポリオレフィン系樹脂コーティング層を形成する工程、
を含んでなることを特徴とする。
以下、添付図面を参照しながら本発明によるポリオレフィン系スプリットヤーンを用いたターポリン及びその製造方法について詳細に説明する。
図4a〜4eは本発明のポリオレフィン系ターポリンを構成するスプリットヤーンの製造過程を示す工程図であり、図5は本発明のポリオレフィン系ターポリンの構造を示す断面図である。まず、図4を参照してポリオレフィン系スプリットヤーンを製造する過程を説明する。
図4aに示すように、まずカッターを使用してポリオレフィン系樹脂200を多数のストランド220に分割した後(図4a)、延伸板260を利用して7〜8倍に1次延伸する(図4b)。次に、分割し延伸した各テープヤーンの表面の縦に適当な大きさの切り傷を作り、これを分繊してスプリットヤーンを作製する(図4c)。続いて、セット板280を利用してスプリットヤーン240を2次熱セットし、一定温度に延伸した状態を維持する(図4d)。それによって、スプリットヤーン240は延伸した形態をそのまま維持するようになる。次に、分繊したスプリットヤーン240を数回撚りをかけ、図4eに示すような撚糸スプリットヤーン300を作る。
次に、このように製造したポリオレフィン系スプリットヤーン300は織布工程を経て布帛として製造される。
前記工程をより詳細に説明すると、まず樹脂を、
1)細く縦方向にスリットする。
2)これを摂氏50〜100度まで順次に加熱された長さ1m程度の延伸板上に接触させながら前方に延伸し、樹脂が熱により軟化して伸びるようになり(7〜8倍程度に伸ばす)、この時、樹脂(正確にはフィルム)の強度が強くなって物性が向上するようになる。
3)このように分割して延伸したヤーン(フィルムが割れて、普通300デニール以上になった糸をヤーンと呼ぶ)に、縦に切り傷(スプリット工程)を入れる。
4)上記のように延伸したヤーンは、プレスコーティング時や製品の完成後、高温の外部温度等に長時間露出すると、さらに収縮して物性や外観が顕著に低下するようになる。これを防止するために摂氏約100度の熱板上を通過させる。この時、物性がセットされる。
5)このようにして得られたスプリットヤーンは、その外観や強度などをより向上させるために、さらに撚りをかける2次撚糸工程に付すのが好ましい。
1)細く縦方向にスリットする。
2)これを摂氏50〜100度まで順次に加熱された長さ1m程度の延伸板上に接触させながら前方に延伸し、樹脂が熱により軟化して伸びるようになり(7〜8倍程度に伸ばす)、この時、樹脂(正確にはフィルム)の強度が強くなって物性が向上するようになる。
3)このように分割して延伸したヤーン(フィルムが割れて、普通300デニール以上になった糸をヤーンと呼ぶ)に、縦に切り傷(スプリット工程)を入れる。
4)上記のように延伸したヤーンは、プレスコーティング時や製品の完成後、高温の外部温度等に長時間露出すると、さらに収縮して物性や外観が顕著に低下するようになる。これを防止するために摂氏約100度の熱板上を通過させる。この時、物性がセットされる。
5)このようにして得られたスプリットヤーンは、その外観や強度などをより向上させるために、さらに撚りをかける2次撚糸工程に付すのが好ましい。
本発明のもう一つの特徴は、図4aの段階で、ポリオレフィン系樹脂200のうち、一部分(後に多数のストランドに分繊されるスプリットヤーンのうち)を、高強度ポリオレフィン系樹脂、あるいはPPヤーンで形成した点にある。すなわち、3〜5本おきに1本のスプリットヤーンに高強度ポリオレフィン系樹脂またはPPヤーン220−1を配置させて(すなわち、複数の縦糸のうち、3〜5本おきに1本ずつポリオレフィン系樹脂またはPPヤーンを入れ替えて)織布し、ターポリンの破断強度を補強するようにしたことにある。
また本発明によれば、分割工程によりスリットされたヤーンを、延伸板を利用して7〜8倍に1次延伸した後、分繊工程を経て熱セット板を利用して強度が強くなったヤーンを2次撚糸して織布を作製するため、スプリットされたヤーンの強度を維持しながら織布できる。スプリットされないヤーンは、撚糸工程で柔軟に撚りがかからない。スプリットされたヤーンは、単位面積当り密に(糸幅が1mm程度)織布ができるので、高密度の製品を製造でき、それに比例して製品の強度も向上するようになる。すなわち、各スプリットヤーンは、マルチフィラメントのように巻き取られ織布される。これによって、マルチフィラメントを使用するよりもPE等の安価なものによって、高強度のターポリンを製造できる。
一方、ポリオレフィン系樹脂はポリエチレン(例えば、高密度PE、低密度PEなど)だけでなく、PP(ポリプロピレン)、EVA(エチレンビニルアセテート)、EMA(エチルメタクリレート)コポリマーなどを含む。これらは全て再生可能であり、米国FDAが承認した人体に無害な材質である。
また、図5a〜5cは本発明によるポリオレフィン系ターポリンの製造過程を示す工程図である。コンベヤーによってスプリットヤーン400で織布されたポリオレフィン系布帛が移送されると(図5a)、このポリオレフィン系布帛の上面に溶融状態の高温のポリオレフィン系樹脂が積層し始める。ポリオレフィン系布帛上に供給されたポリオレフィン系樹脂は、冷却ローラ及び押圧ローラで構成された一対のローラを通過しながら融着されることによって、上部ポリオレフィン系樹脂コーティング層420が形成される。
次に、ポリオレフィン系織布の下面にも高温のポリオレフィン系樹脂が積層されると同時に、冷却ローラ及び押圧ローラで構成された一対のローラを通過しながら融着されることによって、下部ポリオレフィン系樹脂コーティング層420’が形成される。それによって、図5bのような構造のターポリンが作製される。このようにコーティングしたターポリンの両端を切断した後、ボビンに巻き取ると、完成品や半製品が完成となる。この過程においては、第1コーティング過程によりポリオレフィン系樹脂コーティング層420、420’が所定の色、例えば黒色のコーティング層として所定厚さ(約20〜30μm)に形成されて熱を遮断する効果を持ち、黒色の場合は特に紫外線を完全遮断する効果がある。
また、 本発明の特徴の一つである前記所定色のポリオレフィン系コーティング層420、420’は、添加した高強度ポリオレフィン系のテープヤーンまたはPPヤーン220−1の強度を維持させて熱を遮断する役割をもつ。ポリオレフィン系テープヤーンまたはPPヤーン220−1は、その特性上紫外線に弱いため、紫外線を完全に遮断するための所定色(例えば、黒色)のコーティング層420、420’は、ポリオレフィン織布層の強度を維持する重要な役割をもつ。ブラックコーティング層420、420’は第1コーティング用ポリオレフィン系樹脂層に黒色顔料を添加したものである。
通常、紫外線遮断剤を樹脂コーティング層中に添加するが、この場合、紫外線遮断剤には油分が含まれているため、後のポリオレフィン系樹脂のコーティング時に、樹脂と布帛とが接着しない問題点がある(剥離現象)。しかし、本発明においては、紫外線遮断剤の代わりに、ポリオレフィン系樹脂に一定量のブラック顔料を添加するため、互いが接着する。このため、内側にあるポリオレフィン(HDPEを含む)スプリットヤーン、ポリオレフィン系テープヤーンまたはPPヤーンの布帛層を紫外線から保護する効果が得られる。特に、PPは紫外線に非常に弱いため、より一層大きい効果が得られる。
図5cはこのような過程を経て作製されたポリオレフィン系ターポリンにおいて、ポリオレフィン系樹脂コーティング層(非限定の例として、LDPEがある)を厚くコーティングする過程で、ポリオレフィン系樹脂コーティング層の外面に第2コーティング層を形成することを(通常は、約70ないし80μm以上)示したものである。これによって、外観が向上し、必要によって一定厚さが要求される製品を作ることができるようにするため、上記したのと同様の方法で、第1ポリオレフィン系樹脂コーティング層420の上面に溶融ポリオレフィン系樹脂を積層して第2ポリオレフィン系樹脂コーティング層440を形成する。その後、第1ポリオレフィン系樹脂コーティング層420’の下面にも溶融ポリオレフィン系樹脂を積層して第2ポリオレフィン系樹脂コーティング層440’を形成する。それによって、二重コーティング層構造のターポリンを完成できる。
この完成したポリオレフィン系ターポリンにおいては、所定色、例えば黒色の第1ポリオレフィン系樹脂コーティング層が第2コーティング層により完全にカバーされているので、外部に露出されない。したがって、外観上の変化は従来のポリオレフィン系ターポリンと差はないが、溶融時に付与される熱を遮断し、外部からの紫外線を完全に遮断できる。また、コーティング厚さを第1と第2とで変更してコーティングしているため、凹部によるクレーター現象が起きない。
次に、本発明のもう一つの特徴である第1ポリオレフィン系樹脂コーティング層についてより詳細に説明する。布帛層に80〜100ミクロン以上の厚さを有するポリエチレン/ポリプロフィレン(PE/PP)系のポリオレフィン系樹脂を溶融させてプレスコーティングすることは、現実的に不可能であることが知られている。通常、その程度の厚さを有する溶融樹脂が布帛に接触すると(布帛もやはり少し強い同一系列の樹脂からなる)、その熱によって布帛の強度が顕著に低下する。したがって、一定の厚さ以上の製品を製造しようとしても、実現できないのが実情である。したがって、まず第1に30〜50μm程度の厚さにコーティングすることにより、冷却の後には、その第1コーティングされた層が第2コーティング時に付与される熱に対して遮蔽層として機能する。それにより、200μm以上のコーティング製品も製造できる。この時、第1コーティングする樹脂には油分が含まれている紫外線遮断剤の代りに、紫外線遮断のための黒色コーティング層(顔料を入れることもできる)を形成して紫外線遮断効果が得られるようにする。
以上のように、第1、第2のコーティング工程を分けない場合、布帛上のヤーンとヤーンとが交絡した凹部分に、溶融した樹脂が深く入り込み、表面があたかもクレーターのように(井戸のように)陥没する現象を生じるが、第1コーティング時に生じたこの凹部分は、第2コーティング時に自然に埋まるため、表面の外観も大幅に向上する。
第2ポリオレフィン系樹脂コーティング層は(コーティング層原料としては、LDPEだけでなく、LLDPE(線状LDPE)、EMA、EVA、ソフトPPなどを使用できる)様々な色を自由に添加できる効果もある。
本明細書内で本発明をいくつかの好ましい実施例によって記述したが、当業者ならば、添付の特許請求範囲に開示した本発明の範囲及び思想から外れずることなく、多くの変形及び修正がなされ得ることがわかる。
以上のように、本発明によれば、従来のHDPEスプリットヤーンを利用したターポリン及びその製造方法に比べて、破断強度をはるかに増加させることができると共に、外観上クレーター現象が生じない、改善された平滑な構造のターポリンを生産できる。
また、分割及び延伸工程を経て分繊され、熱セットされたヤーンを使用して織布することによって、より一層高強度で高密度な構造を有するターポリンを製造することができる。さらに、第1コーティング層の形成後、第2コーティング層の形成時に付与される熱を遮断すると共に、外部からの紫外線を完全に遮断した状態でコーティング層を形成することによって、ターポリンの強度が増加する。
Claims (10)
- ポリオレフィン系樹脂を分割、延伸、及び織布したポリオレフィン系布帛層と、前記ポリオレフィン系布帛層の両面に設けた、ポリオレフィン系樹脂を積層したポリオレフィン系樹脂コーティング層とを含んでなる、ポリオレフィン系樹脂を用いたターポリンであって、
所定の幅と数とに分割し、延伸板により7〜8倍に延伸して1次分繊した後、セット板により2次熱セットして、撚糸し、次いで織布したポリオレフィン系ヤーン、および
所定の厚と色で積層された第1オレフィン系樹脂コーティング層と、その第1オレフィン系樹脂コーティング層上に、溶融ポリオレフィン系樹脂を積層した第2ポリオレフィン系樹脂コーティング層とを含有する、ポリオレフィン系樹脂コーティング層、
を含んでなることを特徴とする、ターポリン。 - 前記の所定幅に分割された複数のポリオレフィンヤーンが、3〜5本毎に1本の高強度ポリオレフィン系樹脂またはポリプロピレンのヤーンが配置されてなる、請求項1に記載のターポリン。
- 前記第2コーティング層が、第1コーティング層の厚さの二倍以上の厚さを有する、請求項1に記載のターポリン。
- 前記第1コーティング層が、紫外線を遮断するために黒色でコーティングされたものであるか、または黒色顔料が添加されてなる、請求項1に記載のターポリン。
- 前記第1コーティング層が、第2コーティング層の形成時に付与される熱を遮断する熱遮蔽層の機能を有する、請求項1に記載のターポリン。
- ポリオレフィン系樹脂を分割し、延伸し、その分割、延伸されたヤーンを織布して、ポリオレフィン系布帛を製造し、その布帛の両側に、溶融ポリオレフィン系樹脂を積層して、ポリオレフィン系コーティング層を形成することを含んでなる、ポリオレフィン系ヤーンを用いたターポリンの製造の方法であって、
所定の幅と数とに分割し、延伸板により7〜8倍に1次延伸したポリエチレンヤーンを分繊する工程、
前記ポリオレフィン系分繊ヤーンを2次熱セットする工程、
前記熱セットを通してして一定温度に維持しながら、織布形成工程においてポリオレフィン系分繊ヤーン撚糸し、織布する工程、
前記織布した布帛の両面に、所定の幅及び色の第1ポリオレフィン系樹脂コーティング層を形成する工程、及び
前記第1ポリオレフィン系樹脂コーティング層の外側に、溶融ポリオレフィン系樹脂を積層して、所定厚さの第2ポリオレフィン系樹脂コーティング層を形成する工程、
を含んでなることを特徴とする、方法。 - 前記の所定幅に分割された複数のポリオレフィンヤーンが、3〜5本毎に1本の高強度ポリオレフィン系樹脂またはポリプロピレンのヤーンが配置されてなる、請求項6に記載の方法。
- 前記第2コーティング層が、第1コーティング層の厚さの二倍以上の厚さを有する、請求項6に記載の方法。
- 前記第1コーティング層が、紫外線を遮断するために黒色でコーティングされたものであるか、または黒色顔料が添加されてなる、請求項6に記載の方法。
- 前記第1コーティング層が、第2コーティング層の形成時に付与される熱を遮断する熱遮蔽層の機能を有する、請求項6に記載の方法。
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