JP2007520225A - 濃縮トマト製品 - Google Patents

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Abstract

重量%で次の組成:20%を超えて99%までの乾燥残渣、80%未満で1%までの水分(これら2つの成分の合計は100%)を有するトマト果汁から得られるトマト組成物であって、ここで乾燥残渣中の非水溶性固形物の含量は、18〜70重量%の範囲である。
【選択図】なし

Description

本発明は、特にパスタに対する改善された調味力(saucing power)を有し、改善された保存力(preservation power)を有するトマト製品に関する。
果実の摩砕、種及び皮の分離によって得られるトマト果汁から調製されるトマト製品は、従来技術の中で知られている。トマト果汁は、有機及び無機の物質が溶解している水溶液中における不溶性固形物の水性懸濁液である。
この得られた果汁から、トマトパッサタ(passatas)やトマト濃縮液のような他のトマト製品を得ることができる。トマトパッサタは、一般には部分的濃縮によって果汁から得られる。トマト濃縮液は、より強力な濃縮工程によって得られる。一般的に用いられる方法は、逆浸透、低温濃縮(cryoconcentration)及び蒸発による濃縮である。逆浸透を用いることにより、満足できる濃縮収率を得るためには、冷却の代わりに約70℃の温度で操作することが必要である。さらに、化学洗浄剤を用いて膜を清掃し、かつ膜を再生する必要があり、これは次に除去しなくてはならない。実際に、上記の化合物は、微量で存在すれば、トマト製品の汚染物である。C.S. Leoni "I detivati industriali del pomodoro" experimental Station for food preserves industry in Parma, October 1993, 92〜93頁を参照されたい。
低温濃縮は、懸濁液中の固形物の比率が高いために、トマト果汁には適用できず、これは氷と共に分離されるだろう。上記の引用文献の93頁を参照されたい。
実際面として、蒸発による濃縮が、トマト果汁を濃縮するための選択できる方法として残る。上記の引用文献の93頁を参照されたい。この方法は、果汁の加熱を含む。この方法を用いると、官能的及び栄養的な特性が悪化したトマト製品が得られる。官能的な変化は、トマト濃縮液に存在するカラメル風味及び典型的な料理臭(cotto)であり、それらは主として、果汁の濃縮中に形成される硫化水素、硫化ジメチル、フルフラール、3−メチルメルカプトプロパナル、2,4−ヘプタジエナル、アセトアルデヒド、フェニルアセトアルデヒド、ピロリドンカルボン酸によるものである。S. Porretta, "Il controllo della qualita dei derivati del pomodoro", experimental Station for the food preserves industry in Parma (1991), 51頁; S.J. Kazeniacら, J. Food Sci. 35 519 (1970); Shallenberge R.S.ら, J. Agric. Food Chem. 6, 604-605 (1958)を参照されたい。
栄養面での変化は、主として、トマト中に存在するカロテノイド、特にリコピンの分解によるものである。トマトそれ自体およびその製品は、ビタミン成分および主として含有カロテノイドに由来する高い栄養価を有している。トマト製品の消費が幾つかのタイプの癌(前立腺、膵臓、胃)の危険減少と関連することが示されている。H. Gerster, J. Am.
Coll. Nutr. 1997, 16, 109-126; S.K. Clinton, Nutr. Rev. 1998, 56, 35-31を参照されたい。以前に記載された有益な栄養面での効果は、トマトに含まれるカロテノイド、特にリコピンに帰すことができる。
トマト濃縮液は、保存食品として工業的に知られており、これは使用前に希釈される。例えばイタリアで販売されている市販のトマト濃縮液は、次のように分類される。
−半濃縮液(semiconcentrate): 乾燥残渣12重量%;
−濃縮液(C): 乾燥残渣18重量%;
−2倍濃縮液(double concentrate;DC): 乾燥残渣28重量%;
−3倍濃縮液(triple concentrate;TC): 乾燥残渣36重量%。
一般的に、市販の濃縮製品は、使用前及び使用中に希釈される。3倍濃縮液(TC)そのものの調味力は、希釈前では、濃縮液を含むその他の市販のトマト製品のものより高い。「調味力」とは、製品が、食品、例えばパスタにとどまる能力を意味する。しかし、上記のように、これらの濃縮製品は、その強すぎる味のために、使用前又は使用中に希釈されなければならない。結果として、これらの製品のより高い調味力の利点は失われる。一般的に、12%を超える乾燥残渣を有する市販のトマト濃縮液は全て、このような味の問題を示すので、希釈されなければならない。
不快な味の問題を示さないので一般的に希釈される必要がない、12%の半濃縮液を用いる場合、調味力は非常に低く、TCそのものの調味力よりも低い。
トマトパッサタは、迅速なソース作製のための準備ができたベースとして用いられる。一般的に、トマトパッサタには、後述するようにして測定できる乾燥残渣が、10重量%より低いかそれに等しく、一般的に5〜7重量%に含まれる。
改善された調味力に加えて、改善された官能的特性及び改善された保存力(時間経過に伴うトマト製品の分解しやすさがより低いこと、それにより改善された貯蔵期限を意味する)を有するトマト製品を入手可能とすることが望まれていた。
本出願人は、上記の技術的問題を解決する、すなわちそのまま用いることができかつ改善された調味力、改善された官能的特性を有し、すなわちいずれのカラメル風味、苦味、料理(cotto)臭及び酸味が全くなく、さらに上記に定義される改善された保存力を有するトマト製品を驚くべきことにそして予期せぬことに見出した。
本発明の目的は、以下の組成(重量%):
− 乾燥残渣 20%を超えて99%まで
− 水分 80%未満で1%まで
を有し、これら2つの成分の合計は100%であり、乾燥残渣中の非水溶性固形物と水溶性固形物の量は、重量%で:
− 非水溶性固形物 18%〜70%
− 水溶性固形物 82%〜30%
の範囲であり、これら2つの成分の合計は100%であるトマト組成物又は製品である。
好ましくは、乾燥残渣中の非水溶性固形物と水溶性固形物は、重量%で:
− 非水溶性固形物 20%〜50%、
− 水溶性固形物 80%〜50%
の範囲である。
さらにより好ましくは、乾燥残渣中の非水溶性固形物と水溶性固形物は、重量%で:
− 非水溶性固形物 30%〜50%、
− 水溶性固形物 70%〜50%
の範囲である。
好ましくは、乾燥残渣及び水分は、次の:
− 乾燥残渣 25%〜85%、好ましくは30%〜80%
− 水分 75%〜15%、好ましくは70%〜20%
の範囲に含まれる。
本発明の製品を得るための原料のトマト果汁は、果実、又は立方体若しくはぶつ切りトマト、皮を剥いたトマト又はトマトパッサタから得ることができる。
よって、本発明のトマト製品は、制限された水分含量及び改善された調味力を有する。さらに、水分含量は限定されるので、味が改善される。水分含量が制限されることの更なる利点は、本発明のトマト製品は、より長い期間保存できることである。
調味力を測定する試験は、実施例に記載される。
全乾燥残渣、水溶性固形物及び非水溶性固形物は、実施例に記載されるようにして測定される。
本発明のトマト製品は、非水溶性固形物からトマト漿液(serum)をより完全に分離することを含む、以下に記載の方法により得ることができ、これは、乾燥残渣中の非水溶性固形物含量が70%にさえなる本発明のトマト製品を得ることを可能にする。
本発明のトマト製品の味をさらに改善するために、凍結乾燥又は低温濃縮されたトマト果汁漿液、又は浸透膜若しくは真空下での蒸発により濃縮された漿液を加えて混合することができる。よって、例えば、乾燥残渣中の非水溶性固形物の含量がより低いトマト製品を得ることができる。好ましくは、非水溶性固形物は、全水溶性固形物+非水溶性固形物を100%とするのに対して18〜70重量%、好ましくは20〜50重量%、より好ましくは30〜50重量%である。
よって、本発明のトマト製品は、非水溶性固形物と水溶性のものとの比を調整することができる。本出願人は、全固形物中に存在する水溶性固形物の量を変化させることにより、製品の味特性(多少強いトマト味)を適切に分ける(dose)ことができることを見出した。製品の嗅覚特性(新鮮なトマト臭)は、全固形物中の非水溶性固形物の量に主に依存する。なぜなら、非水溶性固形物は、揮発性成分を保持するからである。
上記のように、本発明のトマト製品は、低減された水分含量を有し、高い水分含量の食品(foods and foodstuffs)とであっても混ぜ合わせて組成物を形成するのに特に適する。つまり、トマト味は保存される。水分含量が高い食品の例は、ファーストコース(first courses)、スープ、ピューレ、ソース、果汁、レジューム(legumes)、野菜、ヨーグルト、カッテージチーズ及び一般的な乳製品である。
本発明のトマト製品は、ソース、例えばケチャップ、チリソース、トマトスープなどを製造するのに用いることもできる。
本発明のトマト製品は、特にピザのソースとして用いることができる。なぜなら、醗酵パスタには、油及び脂肪、トマト及び他の材料に加えて高い水分含量の乳製品、例えばモツァレラが加えられるからである。
さらに、本出願人は、本発明のトマト製品が、予期せぬことに、例えば機械的混合により、漿液分離することなく、脂肪含有食品と混合できることを見出している。後者の食品の量は、広い範囲内で変動できる。好ましい上限は、脂肪含有食品の非混和性である(すなわち、トマト製品ともはや混和されない)。脂肪含有食品の例は、室温で固体の動物性及び植物性脂肪、例えばバター又はマーガリン、マヨネーズ、及び/又は室温で液体の脂
肪、例えば植物油、例えばオリーブ油、及び/又はソフト−グレイン又はフレッシュ−グレイン又はハードグレインを有しかつすり砕かれたチーズである。いずれの種類のマヨネーズも用いることができ、例えば、マヨネーズに関して脂肪含量がより低い市販の「ライト」マヨネーズも用いることができる。
よって、本発明のトマト製品は、油中水型又は水中油型のエマルションの形の食品、例えばマヨネーズといずれの比でも混合できる。
好ましくは、食品中に含有される脂肪は、食品重量の10重量%より多く、より好ましくは20重量%より多い。これらの脂肪含有食品の他の例は、スプレッダブルサラミ、スプレッダブルハムなどである。
一般的に、トマト組成物中に混合できる油の量は、原料の(starting)トマト製品の重量に対して10〜25重量%の範囲である。
固形脂肪及びソフト−グレインチーズは、いずれの所望の量でも混合できる。なぜなら、これら2つの成分(ソフトグレインチーズとトマト製品)は、いずれの比においても完全に混和性であるからである。混合できる固形脂肪及びソフト−グレインチーズの量はそれぞれ、例えば30〜300重量%の範囲であり、このパーセンテージは上記のようにして算出される。
室温で固形の食品脂肪を用いる場合、本発明のトマト製品と混合する前に、上記の脂肪を、該脂肪の少なくとも軟化点まで、好ましくはそれらの融点を越えずに予め加熱するのが好ましい。
本発明のトマト製品と混合できるハード−グレイン及びすり砕かれたチーズの量は、10〜25%の範囲が好ましく、このパーセンテージは上記のようにして算出される。
上記の組成物は、すぐに使用できるソースとして用いることができる。なぜなら、上記のように、これらは油、バター及び/又はチーズを含むからである。上記の組成物に、食品のその他の通常の材料、例えばエッセンス、アロマ、防腐剤などを加えることができる。
本発明のトマト製品との組成物に混合できるマヨネーズの量は、原料のトマト製品の重量に対して90〜20重量%の範囲である。
一般的に、上記の製品、本発明のトマト製品の上記の食品との混合物を製造するためには、5〜40℃、好ましくは10〜25℃の温度で例えばミキサーを用いることにより操作する。
上記のように、本発明のトマト製品及び上記で規定したようなそれから得られる組成物は、販売されている製品に比べて改善された調味力及び改善された官能的及び栄養的特性を有する。
本発明の製品、特に本発明のトマト製品の上記の脂肪及び/又は油及び/又はチーズを含有する製品との混合物として得られる組成物は、食品として用いることもできる。例えば、これらの製品は、ソフトチーズとして作られるように、パンに塗り広げることができる。
本発明のトマト製品は、上記のように、他の食品、液体食品に添加するか又はそれと混合することができる。この場合、本発明のトマト製品の量は、原料品のものよりもより大きい粘稠度(consistence)を最終製品に与えるようなものであり得る。よって、本発明のトマト製品との液体食品の混合物を製造することにより、半固形の粘稠度を有し、例えばパンに塗り広げることができ、液体食品の味を保持する料理(preparations)を得ることができる。
上記のように、本発明のトマト製品は、改善された官能的特性、すなわち市販の製品とは異なって、カラメル味又は苦味又は酸味を有さないことと組み合わされた改善された調味力を有する。
本出願人は、改善された調味力を与えるためにトマト製品中に存在しなければならない非水溶性固形物の量は、トマト製品の乾燥残渣に対して少なくとも18重量%、好ましくは乾燥残渣に対して20〜50重量%でなければならないことを見出した。
調味される食品としては、パスタ、食肉、魚肉、野菜などを挙げることができる。
本発明の製品は、非水溶性固形物の高い含量を示す。本出願人は、市販の製品中の非水溶性固形物の量は、乾燥残渣中に15重量%以下であることを見出した。例えば、新鮮なトマト果肉中には、非水溶性固形物が、一般的に、全トマト固形物(乾燥残渣)の約12.5%である。"Tomato paste, Puree, Juice & Powder" P.G. Goose, Food Trade Press
Ltd 1964を参照されたい。
本発明のトマト組成物は、上記のように、改善された調味力を有する。知られているように、新鮮なトマト又はトマト濃縮液を用いたソースを作るための台所での調理における最終工程において、これらの材料は、脂肪及び/又は油、アロマ及び他の材料と鍋の中で混合され、加熱される。このようにして、リコピンは脂肪により可溶化され、光と酸素の付随する効果により容易に分解される。
本発明のトマト製品組成物は、室温、又は鍋でソースを製造するのに通常用いられる温度よりは実質的に低い温度で製造できるという利点を有する。よって、官能的及び栄養的な特性は、新鮮なトマトのものを実質的に維持する。
本発明のトマト製品を得る方法を以下に記載する。驚くべきことにそして予期せぬことに、懸濁液をゆっくりした撹拌下に維持することによりトマト果汁をろ過できることが見出された。上記の条件下では、フィルタ上で沈降物の層形成は起こらないが、上記の沈降物がトマト果汁懸濁液中に混合されることが実際に観察された。実際に、フィルタが迅速に閉塞されるので、トマト製品、特にトマト果汁及びトマトパッサタをろ過することは不可能であることが知られていた。しかし、本発明によるろ過工程は、迅速に進行する。最後に、漿液の浸出がもはやなくなったときに、フィルタに接着しない密な塊(compact mass)がフィルタ上に形成され、これは容易に回収できる。
よって、本発明の目的は、次の工程:
a)ろ過されるべき塊をゆっくりした撹拌下に維持して、固液分離装置を用いることにより原料のトマト製品からトマト漿液を分離し、任意に該工程の最後に1回以上水を添加し、そして工程a)を繰り返し;
b)フィルタ上で塊を回収し、及び濃縮された漿液を任意に添加し;
c)b)で回収された塊を濃縮及び/又は凍結乾燥し、80重量%未満で1重量%までの残存水分含量を有する物質を得る
を含む、本発明のトマト製品を製造する方法である。
好ましくは、トマト果汁は、既知の方法、例えば「ホットブレイク」、「コールドブレイク」法、又は例えば500〜3000atm(50.5MPa〜3.03×102MPa)程度の高圧の印加による酵素の不活性化に従って予め処理される。原料のトマト製品としては、トマトパッサタを用いることができる。
代わりに、上記のように、原料のトマト製品として、立方体、ぶつ切り及び/又は皮を
剥いだトマトを用いることができる。
本発明の方法の工程a)は、一般的に5〜40℃、好ましくは10〜25℃、より好ましくは10〜20℃の温度で大気圧の下、又は大気圧よりわずかに高い圧力、760mmHg(0.101MPa)から900mmHg(0.12MPa)までを用いることにより、又は大気圧よりわずかに低い圧力、下限が450mmHg(0.06MPa)までを印加することにより行われる。
該方法の工程a)において、1rpm〜20rpm、好ましくは2rpm〜10rpmの角速度(angular speed)を有し、撹拌機の羽根が装置の中心軸に向けて懸濁液を運ぶ形状であり、例えば中央に位置する撹拌機を備えた装置が用いられる。
代わりに、撹拌機を有さない装置を用いることができ、これは、1rpm〜20rpm、好ましくは2rpm〜10rpmの装置回転速度で長手方向中心軸の周りをそれ自体が回転する固液分離装置である。
撹拌を行う別の方法は、運動、例えば振動運動、好ましくは転動運動(nutational motion)下に維持される篩で構成された装置を用いることであり、振動数は、通常、1〜20振動/分、好ましくは2〜10振動/分である。
好ましく用いられる装置は、例えば金網クロス(woven wire cloth)又はワイヤスクリーン(wire screen)又は溶接スクリーン(welding screen)で形成された開口部又はスロットを有する壁を持つ、例えば食品グレードのステンレス鋼反応器で構成される固液分離機である。あるいは、壁は、打抜孔(punched hole)又はドリル孔(drilled hole)又はスロット刻印孔(slot milled hole)又は例えば「レーザー穿孔」又は「電子線穿孔」のような方法によりつくられるビーム穿孔孔(beam perforated hole)のような孔を有する。
開口部又はスロットの幅、又は孔の場合の直径は、0.1mm以下で好ましくは0.005mm以上である。スロットの長さは重大ではない。例えば、該長さは、処理されるべきトマト果汁の全容量に依存して、30cm〜2mの範囲であり得る。固液分離装置が底壁を有する場合、これはスロット又は孔を有さない板で作られるのが好ましい。
好ましくは、固液分離機は、円筒形の区画を有する。
該装置は、上記のように、撹拌のための機構(device)をさらに備えている。撹拌は非常にゆっくりでなければならず、角速度は、機械的撹拌の場合は、通常、1rpm〜20rpm、好ましくは2rpm〜10rpmであり、撹拌は、固形物が分離機の中央領域(長手方向の軸に関して)に運ばれるようなものである。この種類の撹拌が、固形物が壁に付着して蓄積するのを防ぎ、処理の間に分離機の壁に閉塞層(occlusive layer)が形成されることを回避することが見出された。
壁と撹拌機の羽根との間の距離は、一般に0.5〜2cmの範囲である。
本発明の方法における固液分離は、分離機内で、トマト漿液をもはや分離しない密な塊が存在するときに終了する。
この工程中に、予期せぬことに、上記のサイズの孔又は開口部を有する分離機の閉塞が起こらない。なぜなら、上記のように予期せぬことに密な塊が形成されるからである。この結果は、壁に付着しかつ実質的に不透過性の物質の層が形成されると予想されていたことから、予期できないことであった。
上記の装置を用いる本発明の方法は、スクリーンを閉塞させる物質がなく、結果として分離機洗浄のための処理中断時間がないので、非常に高い生産性を有する。
本発明による方法の固液分離のために用い得る代わりの装置は、上記のように、ろ過されるべき塊が入れられる、0.1mm以下で好ましくは0.005mm以上の孔の直径又はスロットの幅を有する凹型又は平型の篩でつくられる。篩内の塊は、もはや漿液を分離しない密な塊が形成されるまで、振動運動下に保たれる。密な塊は、篩に付着しないので容易に回収される。温度条件は、撹拌機を有する分離機を用いるときに上述したものである。好ましくは、大気圧を用いる。1分当たりの振動数は、上記のものである。
工程a)において用い得る別の装置は、壁が、例えば食品グレードのステンレス鋼製であり、上記の分離機について述べたのと同じ種類のスロット又は孔を有するシリンダーである。開口部若しくはスロットの幅又は孔の場合の直径は、0.1mm以下で好ましくは0.005mm以上である。上記のシリンダーは固定され、内部にアルキメデススクリュー型の撹拌機を有するか、又は該装置は長手方向の中心軸の周りを回転し、それ自体の中心軸の周りに巻かれた螺旋形状を有する。この場合、撹拌機は存在しない。角速度は、通常、2〜10rpmである。方法は、撹拌機を有する分離機が用いられる方法について記載した温度及び圧力条件下で行うのが好ましい。好ましくは、シリンダーは水平位置にあり(in an horizontal position)、例えば30cm〜1mの直径、2m〜20mの長さを有する。装置を不連続な様式で運転する場合、長さは2m〜5mの範囲が好ましい。装置を連続的な様式で運転する場合、長さは約20mが好ましい。不連続な様式で運転する場合、ろ過されるべき塊を、方法をさらなる回数繰り返して、密な塊が形成されかつトマト漿液がもはや分離されなくなるまでシリンダー内を通過させる。
分離機は、鋼を含む金属、又はプラスチック材料製であり得る。好ましくは、該装置は、食品グレードのステンレス鋼製である。用い得るプラスチック材料は、プロピレンホモポリマー及びコポリマー、エチレンホモポリマー及びコポリマーなどで構成され得る。
ろ過工程a)の最後に、トマトの塊は回収されて(工程b))、水溶性固形物/非水溶性固形物の比を所望の値に調整する。
濃縮工程c)は、40℃以下の温度で、例えば真空下での濃縮により、又は凍結乾燥により行われる。この場合、得られる製品中の残存水分含量は非常に低くでき、1重量%程度でありえる。
本発明の方法は、滅菌条件下で行われるのが好ましいか、又は本発明の方法により得られたトマト製品を滅菌することができる。この場合、滅菌は、通常の方法、好ましくはティンダライゼーション(tindalization)により、任意に高圧、例えば5000〜7000atmの範囲内で行うことができる。
本発明による方法は、不活性ガス、例えば窒素雰囲気下での操作により任意に行うことができる。このようにして、処理している最中の物質と酸素との光の存在下での接触が回避され、トマトのいくつかの栄養成分の分解が回避される。この様式の操作は、不慮の事象のために方法の温度が40℃より高い、好ましくは25℃より高くなるときに要求される。このようにして、処理の間にリコピンの損失がない。
本発明による分離方法で操作することにより、含有されるカロテノイド、リコピン及びその他の脂溶性ビタミン成分は、漿液から分離された工程b)の固形塊中に残る。
トマト果汁の水溶性固形物の大部分を含有する、分離機からろ過されたトマト漿液は、凍結乾燥又は既知の方法、例えば低温濃縮及び真空下での濃縮により、通常、回収される。
部分的に熟したトマトから得られるトマト果汁懸濁液から出発する本発明の方法を用いて操作する場合、工程a)における固液分離装置の溝の幅又は孔の直径は、0.1mmを超え0.5mm以下の値に達することができ、好ましくは約0.3mmである。
上記のように、分離された漿液は、トマト果汁中に含有される大部分の水溶性固形物を含有する。本出願人は、本発明のトマト製品の官能的特性(味)は、水溶性固形物を添加することにより修飾できることを見出した。この添加は、本発明のトマト製品に凍結乾燥又は濃縮されたトマト漿液を混合することにより行われる。一般的に、漿液は、低温濃縮により冷却濃縮されるか、又は上記の他の方法を用いて処理できる。
本発明による方法を用いると、上記の非水溶性固形物含量を有するトマト製品が得られる。
本発明のトマト製品に、上記のように、味をさらに改善するために漿液を加えることができる。よって、例えば、乾燥残渣中の非水溶性固形物の含量がより低い、好ましくは18〜30%に含まれるトマト製品を得ることができる。
本発明によるトマト製品は、新鮮なトマトの官能的及び栄養的特性を維持する。よって、本発明の製品において、カラメル味及び/又は料理(cotto)臭が顕著な、例えば従来技術のトマト製品に起こるような官能的特性の変動がない。
栄養的特性にも変化がないままである。なぜなら、市販の製品に起こるようなカロテノイド、特にリコピンの変化がないからである。
本発明のトマト組成物は、水溶性固形物/非水溶性固形物の比に依存して、多少強いトマト味を有し得る。市販のトマト製品についての官能的特性は、用いられるトマトの種類と果実の成熟度に依存することが強調される点である。予期せぬことに、本発明の方法を用いると、生産バッチ間で一定の味を有するトマト製品を得ることが可能である。このことは、工業的観点から重要な結果である。本出願人は、トマト味が可溶性及び不溶性固形物の比に依存することを見出した。よって、本発明によると、個人消費者の味覚により好ましく合致するトマト製品を得ることができる。なぜなら、上記のように、可溶性固形物/不溶性固形物の異なる比を有する組成物を製造することができるからである。
本発明の濃縮製品は、そのまま用いることができる。任意に、これらは、使用前又は使用中に、好ましくは乾燥含量が重量%で20%より大きく90%まで、好ましくは25〜85%、より好ましくは30〜80%に含まれるように希釈され得る。本発明の濃縮製品、例えば希釈されていない25〜99重量%の調味力は、低い乾燥残渣含量を有する、濃縮液を含む他の市販のトマト製品のものよりも高い。実際に、本発明の濃縮製品は、強すぎる又は目立ちすぎる味ではないので、使用前又は使用中に希釈する必要がない。
以下の限定しない実施例は、本発明を説明する。
実施例
特徴づけの方法
本発明によるトマト製品の調味力の測定
− 材料:
−試験されるべきトマト製品、
−植物油、好ましくはオリーブ油、
−製造業者により表示された調理時間12分での全長の壊れていない商標デ・チェッコ(De Cecco)のNo.12スパゲッティ
−海塩。
試験されるべきトマト製品90g及び植物油10g(調味料全重量:100g)を、予め秤量した1リットル容量の容器、好ましくはプラスチック容器に導入する。
別に、スパゲッティ70gを、海塩5gを含有する水1L中で、パッケージに記載された時間、調理する。最後に、調理したスパゲッティを、滴がもはや形成されなくなるまで漉す(strain)。
調理したスパゲッティを、プラスチック容器中に予め準備した調味料に加え、フォークを用いて注意深く、ゆっくり5分間混ぜる。次いで、容器を、混合せずに、沸騰した湯の湯せんに5分間かける。容器からフォークを用いて、一度に2〜3本のスパゲッティを振動させずに取り、直ちに分離する傾向にある調味料を容器内に落下させる。
プラスチック容器内には、スパゲッティに付着しなかった調味料が残る。最後に、プラスチック容器を秤量し、このようにしてパスタに付着しなかった調味料の重量を測定する。100(最初の調味料の重量)からの差が、パスタに接着したままの量(QA)を与える。
調味力は、次の等式:
Figure 2007520225
に基づいて定義される。
乾燥残渣の測定:全固形物
トマト果汁中の全乾燥残渣を、真空乾燥炉(真空度450mmHg(59.85KPa)未満)を用いて70℃で測定する。方法は、Journal Officiel des Communitees Europeenes 7.6.86 L.153 5〜6頁に記載されるとおりである。
水分含量の測定
水分含量は、全重量と乾燥残渣との差の重量により測定する。
水溶性固形物の測定
水溶性固形物の測定は、Journal Officiel des Communitees Europeenes 7.6.86 L.153
6〜9頁に記載されるようにして、アッベ屈折計(ブリックス(Brix)度)を用いて行う。
非水溶性固形物の測定
非水溶性固形物の測定は、"Tomato Production, Processing and Technology, 3rd Ed." by W.A. Gould, CTI Publications, Inc., 1992 317頁に報告されるように、乾燥残量と水溶性固形物(ブリックス値)との重量の差を算出することにより行われる。
実施例1
トマト製品の製造
処理は、滅菌条件下で行った。
酵素を不活性化するためにホットブレイクで予め処理した、部分的に熟した果実(種子及び果皮なし)からのトマト果汁10Kgを、撹拌機を備えた10Lの分離機に少しずつ移す。該分離機は、0.5mmの開口部を有するステンレス鋼スクリーンで構成される。分離機の底壁は、スロット又は孔を有さない。撹拌機の形は、分離機内の固形物が分離機の中央領域の方に運ばれるようなものである。分離機の壁と撹拌機の羽根との距離は約0.5cmである。撹拌(3rpm)を開始し、5〜10℃の範囲の温度で操作する。
3時間後に、撹拌を2rpmに減少させる。分離機内の塊が密及び均質になってくることに気づく。方法を開始してから7時間後に、分離機内の塊から漿液はもはや分離されない。撹拌を停止し、得られる物質を排出する。トマト製品2.7kgを回収する。
該製品の分析的特徴は、次のとおりである。
−乾燥残渣: 10重量%;
−水分: 90%;
−非水溶性固形物: 乾燥残渣に対して50重量%;
−水溶性固形物: 乾燥残渣に対して50重量%。
実施例2
前の実施例で得られたトマト製品1kgを凍結乾燥機に入れる。製品を凍結させたあとに、凍結乾燥を行う。最後に、トマト製品(102g)を、粉末の形態で回収する。
製品の分析的特徴は、次のとおりである。
−乾燥残渣: 98重量%;
−水分: 1%;
−非水溶性固形物: 乾燥残渣に対して50重量%;
−水溶性固形物: 乾燥残渣に対して50重量%。
実施例3
実施例1で得られたトマト製品500gを、約5mmHgの真空を35℃の温度でつくる濃縮装置において、塊を時々撹拌しながら濃縮する。
濃縮装置における塊の重量を調節する。重量が始めの重量の約50%のときに処理を停止して240gの製品を得る。
該製品の分析的特徴は次のとおりである:
−乾燥残渣: 21重量%;
−水分: 79%;
−非水溶性固形物: 乾燥残渣に対して50重量%;
−水溶性固形物: 乾燥残渣に対して50重量%。

Claims (27)

  1. 以下の組成(重量%):
    − 乾燥残渣 20%を超えて99%まで
    − 水分 80%未満で1%まで
    を有し、これら2つの成分の合計は100%であり、乾燥残渣中の非水溶性固形物と水溶性固形物の量は、重量%で:
    − 非水溶性固形物 18%〜70%
    − 水溶性固形物 82%〜30%
    の範囲であるトマト組成物又は製品。
  2. 乾燥残渣中の非水溶性固形物と水溶性固形物が重量%で:
    − 非水溶性固形物 20%〜50%、
    − 水溶性固形物 80%〜50%
    の範囲である、請求項1に記載の組成物。
  3. 乾燥残渣中の非水溶性固形物と水溶性固形物が重量%で:
    − 非水溶性固形物 30%〜50%、
    − 水溶性固形物 70%〜50%
    の範囲である、請求項2に記載の組成物。
  4. 乾燥残渣及び水分が:
    − 乾燥残渣 25%〜85%、好ましくは30%〜80%
    − 水分 75%〜15%、好ましくは70%〜20%
    の範囲で含まれる請求項1〜3のいずれか1つに記載の組成物。
  5. 凍結乾燥又は低温濃縮又は濃縮されたトマト果汁漿液と混合され、混合物が18〜70%、好ましくは20〜50%、より好ましくは30〜50%の非水溶性含量を有する請求項1〜4のいずれか1つに記載の組成物。
  6. 食品と混合された請求項1〜5のいずれか1つに記載のトマト製品の組成物。
  7. 前記食品が、ファーストコース、スープ、ピューレ、ソース、果汁、レジューム、野菜、ヨーグルト、カッテージチーズ及び一般的な乳製品から選択される請求項6に記載の組成物。
  8. 請求項1〜5のいずれか1つに記載のトマト製品を含有するソース。
  9. 用いられる前記食品が、室温で固形の動物性及び植物性脂肪、好ましくはバター又はマーガリン及び/又は室温で液体の脂肪、例えば植物油、好ましくはオリーブ油及び/又は調味されすり砕かれたソフト−グレイン又はフレッシュ−グレイン又はハード−グレインを有するチーズである請求項6に記載の組成物。
  10. 食品が、油中水型又は水中油型のエマルション、好ましくはマヨネーズである請求項6に記載の組成物。
  11. 油の量が原料のトマト製品の重量に対して10〜25重量%であり、固形の脂肪及びソフトグレインチーズの量が上記に記載したように計算して30〜300重量%である請求項9に記載の組成物。
  12. ハードグレインかつすり砕かれたチーズの量が、好ましくは、原料のトマト製品の重量に対して10〜25重量%の範囲である請求項9に記載の組成物。
  13. マヨネーズの量が、原料のトマト製品の重量に対して90〜20重量%の範囲である請求項10に記載の組成物。
  14. 請求項1〜13のいずれか1つに記載の組成物の、調味料としての使用。
  15. 次の工程:
    a)ろ過されるべき塊をゆっくりした撹拌下に維持して、固液分離装置を用いることにより原料のトマト製品からトマト漿液を分離し、任意に1回以上水を添加しかつ結果として工程a)を繰り返し;
    b)フィルタ上で塊を回収し、濃縮された漿液を任意に添加し;
    c)b)で回収された塊を濃縮及び/又は凍結乾燥し、80重量%未満で1重量%までの残存水分含量を有する製品を得る
    を含む、請求項1〜5のいずれか1つに記載のトマト製品を製造する方法。
  16. 工程a)において、トマト果汁、トマトパッサタ、立方体、ぶつ切りトマト及び/又は皮を剥いたトマトを用い、該トマト果汁は「ホットブレイク」、「コールドブレイク」法により任意に処理されていてもよい請求項15に記載の方法。
  17. 工程a)が、5〜40℃、好ましくは10〜25℃、より好ましくは10〜20℃の範囲の温度で大気圧の下、又は大気圧よりわずかに高い圧力、760mmHg(0.101MPa)から900mmHg(0.12MPa)までを用いることにより、又は大気圧よりわずかに低い圧力、下限が450mmHg(0.06MPa)までを印加することにより行われる請求項15又は16に記載の方法。
  18. 工程a)において、1rpm〜20rpm、好ましくは2rpm〜10rpmの角速度を有し、撹拌機の羽根が機構の中心軸に向けて懸濁液を運ぶ形状であり、好ましくは中央に位置する撹拌機を備えた装置が用いられる請求項15〜17のいずれか1つに記載の方法。
  19. 1rpm〜20rpm、好ましくは2rpm〜10rpmの装置回転速度で長手方向軸の周りを回転する固液分離装置が用いられる請求項15〜17のいずれか1つに記載の方法。
  20. 振動数が通常、1〜20振動/分、好ましくは2〜10振動/分である振動運動、好ましくは転動運動下に維持される篩で構成された装置が用いられる請求項15〜17のいずれか1つに記載の方法。
  21. 前記固液分離機が、例えば金網クロス又はワイヤスクリーン又は溶接スクリーンで形成された開口部又はスロットを有する壁、あるいは打抜孔又はドリル孔又はスロット刻印孔又はビーム穿孔孔のような孔を有する壁を持つ反応器で構成される請求項15〜20のいずれか1つに記載の方法。
  22. 前記開口部又はスロットの幅、又は孔の場合は直径が0.1mm以下で好ましくは0.005mm以上であり、該スロットの長さが30cm〜2mである請求項21に記載の方法。
  23. 工程a)において、固定されかつアルキメデススクリュー型の撹拌機を内部に有する好ましくは水平位置でのシリンダーが用いられるか、又は前記装置が、2〜10rpmの角
    速度で長手方向の軸の周りを回転しかつそれ自体の軸の周りに巻かれた螺旋形状を有する請求項15に記載の方法。
  24. 前記シリンダーが、30cm〜1mの直径及び2m〜20mの長さを有する請求項23に記載の方法。
  25. 前記分離機が、金属又はプラスチック材料製である請求項15〜24のいずれか1つに記載の方法。
  26. 滅菌条件下で行われるか、又は得られるトマト製品が滅菌される請求項15〜25のいずれか1つに記載の方法。
  27. 部分的に熟した果実から得られるトマト果汁懸濁液が用いられる場合に、工程a)における固液分離装置のスロットの幅又は孔の直径が、0.1mmより長いが、0.5mm以下である請求項15に記載の方法。
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