JP2007503552A - 車両用の差動伝動装置 - Google Patents

Abstract

車両用の差動伝動装置であって、伝動装置入力部を備え、差動伝動装置ハウジングの互いに対峙する側でこの差動伝動装置ハウジングから外に出ている２つの伝動装置出力シャフトを備え、差動伝動装置ハウジング内で伝動装置出力シャフト間の領域に配設されている差動ケースを備え、この差動ケースが、軸受プリロードを有する玉軸受装置により、差動伝動装置ハウジング内で回転可能に支承されている。更に、玉軸受装置の軸受プリロードを生成する少なくとも１つの皿ばねが設けられている。

Description

本発明は、特許請求項１の前提部に記載した車両用の差動伝動装置（ディファレンシャルギヤ）に関する。

差動伝動装置は、主として、入力回転数あるいは入力トルクを駆動輪と接続されている２つの伝動装置出力シャフトに配分し、この際、カーブ走行時に発生するカーブ内側の車輪とカーブ外側の車輪との間の回転数差を可能とするという役割を有する。大きな駆動出力を伝達する場合、差動伝動装置は極めて熱くなり得る。その際には、熱膨張に基づき、多くの場合、差動ケースを差動伝動装置ハウジング内に支承している軸受のプリロードが変化する。差動伝動装置内の軸受プリロードの減少は音響特性に悪影響を及ぼす、つまり噛合騒音が大きくなってしまう。更に、軸受プリロードの変化により差動伝動装置の寿命が減少されてしまう。

特許文献１及び特許文献２から、軸受プリロードを生成或いは維持するための様々な可能性が知られている。プリロード力は、例えば、液圧的に、渦巻ばね、皿ばねなどにより生成され得る。

ＤＥ１９９４６３８３Ａ１ ＤＥ１９６０７３３６Ａ１

本発明の課題は、差動伝動装置ハウジング内で回転可能に支承されている差動ケースの軸受プリロードが異なる稼動温度においてもできるだけ最適な状態に留まる差動伝動装置を創作することである。

前記の課題は特許請求項１の特徴により解決される。本発明の有利な構成及び他の構成は下位請求項から見てとれる。

本発明は、伝動装置入力部と、互いに対峙する側で差動伝動装置ハウジングから外に出ている２つの伝動装置出力シャフトとを有する、車両用の周知の差動伝動装置に基づいている。差動伝動装置ハウジング内には伝動装置出力シャフト間の領域に差動ケースが配設されている。この差動ケースは、組立により予め定められた軸方向の軸受プリロードを有する玉軸受装置により、差動伝動装置ハウジング内で回転可能に支承されている。

本発明の基本原理は、玉軸受装置の軸方向の軸受プリロードを生成する少なくとも１つの皿ばね（ディスクスプリング）を設けることにある。この少なくとも１つの皿ばねにより、温度に起因する個々の差動伝動装置ハウジングコンポーネントの熱膨張の際にも軸方向の軸受プリロードが実質的に一定に保たれることが保証されている。

本発明の他の構成により差動伝動装置ハウジングはアルミニウム材料から成る。アルミニウムハウジングには、別の鋳造材料に比べると比較的軽い特有の重量を有するという長所がある。しかし、多くの場合、アルミニウムの比較的大きな熱膨張係数が問題をもたらし、このことは、従来の軸受機構コンセプトを使用する際、差動伝動装置内の軸受プリロードの大きな減少を導くことになる。少なくとも１つの皿ばねを使用することにより、アルミニウムハウジングの比較的大きな熱膨張でさえ補整され、軸受プリロードが高い稼動温度においてもほぼ一定に保持され得る。

玉軸受装置は、玉軸受であってその軸受アウタリングが差動伝動装置ハウジングと固定式で接続されていて、その軸受インナリングが差動ケースのシャフト部分に押し込まれている玉軸受によって形成され得る。この少なくとも１つの皿ばねは差動伝動装置ハウジングと玉軸受の軸受アウタリングとの間に配設され得る。

玉軸受はアンギュラ玉軸受に係るものである。アンギュラ玉軸受はＸ形配置構成で配設され得る。

次に図面と関連して本発明を詳細に説明する。唯一の図１は本発明の基本原理を示している。

図１は２部材式の差動伝動装置ハウジングを備えた差動伝動装置（ディファレンシャルギヤ）１を示していて、その差動伝動装置ハウジングは両方のハウジング半部分２、３により形成されている。差動伝動装置ハウジング２、３内には差動ケース４が配設されている。差動ケース４はアンギュラ玉軸受５、６を介して差動伝動装置ハウジング２、３内で回転可能に支承されていて、この際、アンギュラ玉軸受５、６のインナリング７、８は差動ケース４のシャフト部分９、１０上に押し込まれていて、アンギュラ玉軸受５、６の軸受アウタリング１１、１２は差動伝動装置ハウジング２、３に対して相対回転不能に配設されている。

冠歯車１３を介し、トルクが差動ケース４内に導入され得る。このトルクは、差動ケース４内で回転可能に支承されている調整歯車１４、１５を介し、傘形歯車１６、１７に伝達され、これらの傘形歯車１６、１７は伝動装置出力シャフト１８、１９の端部と接続されている。調整歯車１４、１５は伝動装置出力シャフト１８、１９の相対回転を可能とし、これは例えばカーブ走行時に必要である。

問題のない差動伝動装置の稼動のためには、ここではＸ形配置構成で配設されているアンギュラ玉軸受５、６が特定の軸受プリロードを有することが必要である。アンギュラ玉軸受５、６はそれらのインナリング７、８を用いて差動ケース４の肩部において支持されている。アンギュラ玉軸受６のアウタリング１２は直接的にハウジング部分２の肩部において支持されている。アンギュラ玉軸受５のアウタリング１１とハウジング部分３との間には皿ばね２０と間隔ディスク２１が配設されている。皿ばね２０は、間隔ディスク２１を介し、アンギュラ玉軸受５のアウタリング１１上に軸方向力を伝達し、それにより全玉軸受装置が軸方向において緊張される。そのために軸受アウタリング１１はハウジング部分３に対してすきまばめを有する。それに対し、アンギュラ玉軸受６の軸受リングはハウジング部分２に対してプレスばめを有する。

稼動中、差動伝動装置１は熱くなり、このことは、個々の伝動装置コンポーネント、特に伝動装置ハウジング部分２、３の熱膨張を導く。皿ばめ２０が無いと、差動伝動装置ハウジング２、３の熱膨張はアンギュラ玉軸受５、６の軸受プリロードの減少を導くことになる。皿ばね２０を用い、高い稼動温度においても軸受プリロードがほぼ一定に保持されることが達成され、このことは噛合部の静かな走行と長い寿命にとって必要である。

本発明の基本原理を示す図である。

符号の説明

１ 差動伝動装置
２、３ ハウジング半部分
４ 差動ケース
５、６ アンギュラ玉軸受
７、８ インナリング
９、１０ シャフト部分
１１、１２ アウタリング
１３ 冠歯車
１４、１５ 調整歯車
１６、１７ 傘形歯車
１８、１９ 伝動装置出力シャフト
２０ 皿ばね
２１ 間隔ディスク

Claims (9)

1. 車両用の差動伝動装置（１）であって、伝動装置入力部（１３）を備え、差動伝動装置ハウジング（２、３）の互いに対峙する側でこの差動伝動装置ハウジング（２、３）から外に出ている２つの伝動装置出力シャフト（１８、１９）を備え、差動伝動装置ハウジング（２、３）内で伝動装置出力シャフト（１８、１９）間の領域に配設されている差動ケース（４）を備え、この差動ケース（４）が、軸受プリロードを有する玉軸受装置（５、６）により、差動伝動装置ハウジング（２、３）内で回転可能に支承されている、前記差動伝動装置において、
   玉軸受装置（５、６）の軸受プリロードを生成する少なくとも１つの皿ばね（２０）が設けられていることを特徴とする差動伝動装置。
2. 差動伝動装置ハウジング（２、３）がアルミニウム材料から成ることを特徴とする、請求項１に記載の差動伝動装置。
3. 玉軸受装置（５、６）が、玉軸受であってその軸受アウタリングが差動伝動装置ハウジング（２、３）に対して相対回転不能に配設されている玉軸受を有することを特徴とする、請求項１又は２に記載の差動伝動装置。
4. 少なくとも１つの皿ばね（２０）が差動伝動装置ハウジング（３）と軸受アウタリングの１つ（１１）との間に配設されていることを特徴とする、請求項３に記載の差動伝動装置。
5. 皿ばね（２０）と前記の１つの軸受アウタリング（１１）との間に間隔ディスク（２１）が配設されていることを特徴とする、請求項４に記載の差動伝動装置。
6. 差動伝動装置ハウジング（３）と、皿ばね（２０）が付設されている前記の１つの軸受アウタリング（１１）とがすきまばめを形成し、それによりこの軸受アウタリングが差動伝動装置ハウジング（３）の熱膨張の際に差動伝動装置ハウジング（３）内で軸方向に移動できることを特徴とする、請求項４又は５に記載の差動伝動装置。
7. 玉軸受装置（５、６）が少なくとも２つのアンギュラ玉軸受を有することを特徴とする、請求項１〜６のいずれか一項に記載の差動伝動装置。
8. アンギュラ玉軸受（５、６）がＸ形配置構成で配設されていることを特徴とする、請求項７に記載の差動伝動装置。
9. 差動ケース（４）において調整歯車（１４、１５）が支承されていて、これらの調整歯車が、伝動装置出力シャフト（１８、１９）の付設の傘形歯車（１６、１７）と噛み合い、伝動装置出力シャフト（１８、１９）の相対回転を可能とすることを特徴とする、請求項１〜８のいずれか一項に記載の差動伝動装置。

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