JP2007336684A - 振動体、圧電アクチュエータ、電子機器、および振動体の製造方法 - Google Patents

振動体、圧電アクチュエータ、電子機器、および振動体の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】圧電素子の導通構造に関し、格段に小型化できるとともに容易に製造でき、エネルギ効率も低下しない振動体、圧電アクチュエータ、電子機器、および振動体の製造方法の提供。
【解決手段】圧電素子30Aの電極体表面部351に形成された電極パターン311〜315は、電極体表面部351と、圧電素子30A,30Bを保持する保持体21の保持体体表面部2120とに亘って形成された導通パターン411(代表図には不図示の412,414も)により、圧電素子30Aの外部に引き出されている。この導通パターン411(412,414も)の形成には、常温では導電性粒子を含有した液状物をインクとするインクジェット法が用いられ、当該インクを乾燥固化させることにより導電性粒子を相互接触させて、導通パターン411(412,414含)が形成されている。
【選択図】図5

Description

本発明は、振動体、圧電アクチュエータ、電子機器、および振動体の製造方法に関する。
圧電素子は電気エネルギーから機械エネルギーへの変換効率や応答性などに優れ、小型化・薄型化に適するため、マイクロエレクトロニクスの分野などでは、圧電素子に交流電圧を印加した際の振動によりロータなどの被駆動体を駆動する圧電アクチュエータ(超音波モータ)の開発が進められている。
ここで、小型薄型化に好適な定在波方式であって矩形状の振動体を有する圧電アクチュエータの構造の一例として特許文献1を示す。この特許文献1の圧電アクチュエータは、2枚の矩形板状の圧電素子と、これらの圧電素子の間に介装される導電性の補強板と、圧電素子と外部基板とを導通するリード基板とを備えて構成されている。各圧電素子は厚み方向に互いに逆向きに分極されており、各圧電素子の裏側が接合される補強板を各圧電素子の共通電極として、この補強板と、各圧電素子の表側にめっきなどで形成された電極それぞれとの間に分極方向に沿って駆動電圧が印加され、圧電横効果によって各圧電素子は同時に伸縮する。
このような圧電アクチュエータにおける導通実装に関し、圧電素子に複数の電極が形成された特許文献1では、リード基板に形成するオーバーハング部を使用し、全電極からオーバーハング部でリード基板に引き出した後、外部回路内で導通をとっている。補強板の表裏の各圧電素子のそれぞれの表面に形成された各電極は略同電位とされるため、補強板の表側の圧電素子に設けられたリード基板と、補強板裏側の圧電素子に設けられたリード基板とを互いに導通して電圧印加装置に接続する。ここで、特許文献1では、1枚の基板を振動体の表裏両側に向けて折り曲げることでリード基板同士の接続を不要としている。そして、この折り曲げたリード基板の両端縁からそれぞれ、各圧電素子表面の電極に向かって突出する可撓性を有するオーバーハングパターンを配置し、オーバーハング部の先端を熱溶着などで電極に取り付ける。
なお、オーバーハングパターンによる導通の代わりに、図36に示すようにワイヤボンディングを用いることもある。この場合、同じリード基板990に対して各圧電素子991,992の表面電極からそれぞれワイヤ993で導通を図ることが可能である。
特開2004−289965号公報(図3)
しかしながら、前述のような導通関係の実装では、圧電アクチュエータの厚みが大きくなるという問題がある。すなわち、特許文献1の図3(B)を参照して説明すると、オーバーハング部461と圧電素子表面の電極とが接触しないように、リード基板46の実装の際には、オーバーハング部461の寸法に応じてリード基板46を圧電素子表面から所定間隔離してリード基板46を配置する必要があり、このように間隔を空ける分、厚くなってしまう。
また、特許文献1でもそうであるように、圧電素子表面の電極が複数に分割されている場合は、落下、振動によりオーバーハング部が撓んで他の電極に短絡しないように、その間隔を大きくする必要がある。
このように、補強板の片面側の圧電素子だけ見ても、圧電アクチュエータが厚くなる要因があるところ、特許文献1のように2枚の圧電素子表面の電極をそれぞれ導通させる場合は片側の実装構造に対して2倍の厚みが必要となるため、圧電アクチュエータ全体ではかなり嵩張ってしまう。圧電アクチュエータは、他のモータなどと比べてその厚みや長さなどの寸法に対して大きな駆動力が得られることから、小型の電子機器に搭載されることが多く、機器の小型化に伴い、今後一層の小型化が望まれている。
このような厚み寸法の問題に加えて、リード基板と圧電素子との間の所定の間隔を保持しながらオーバーハング部を圧電素子表面の電極に接合する組立作業は煩雑という問題もある。さらに、このようなリード基板を保持するスペーサやピンなどの部品が必要となり、部品点数が多くなる点でも、圧電アクチュエータ製造における組立作業が煩雑であり、またコストアップに繋がる。
一方、図36で示したようなワイヤボンディングによる実装構造では、ワイヤ993の可撓性により振動体に平面的に隣接する位置にリード基板990を設けることが可能であって、これによって厚みを減らす一定の効果はあるものの、ワイヤ993に可撓性があるがゆえにその位置が定まらず、またはんだの盛り上がりにより、やはり圧電素子991,992の表面からワイヤ993を所定間隔離して配置する必要がある。
そのうえ、振動に影響しない程度のワイヤ993の細さでは、その位置が非常に定まり難く、作業ばらつきが許容される余裕ある間隔設定が必要となるから、厚みはさらに増大する。
なお、圧電素子表面の電極が複数に分割されている場合に、落下、振動によりワイヤが撓んで他の電極に短絡しないようにその間隔を大きくする必要があったり、2枚の圧電素子を備える場合は厚みが2倍となるのはオーバーハング部の場合と同様である。
また、ワイヤボンディングの場合は、ボンディング作業を既に実施した一方の圧電素子の側を保持して反対側のもう一方の圧電素子に対してボンディングを実施する際に、既にボンディングされたワイヤの位置がばらついていることから、これらのワイヤが確実に圧電素子を保持可能な領域が狭い。このため、圧電素子を安定的に保持できず、ボンディングツールからの振動および熱を確実に伝えることができないため、ワイヤの接続品質が著しく不安定となる。
加えて、前述のボンディングワイヤも、また箔状といえどもオーバーハングも、その抗力やはんだの重みなどによって圧電素子の振動が妨げられ、また、これらワイヤやオーバーハング自体も圧電素子とは別に振動することから不要な振動モードが発生し、圧電アクチュエータのエネルギー効率が低下するという問題もある。特に、ワイヤの場合は、振動により断線するおそれもあり、信頼性の低下が懸念される。
このような問題に鑑みて、本発明の目的は、導通構造に関し、格段に小型化できるとともに容易に製造でき、エネルギ効率も低下しない振動体、圧電アクチュエータ、電子機器、および振動体の製造方法を提供することにある。
本発明の振動体は、電極が形成される圧電素子と、この圧電素子を保持する保持体とを備える振動体であって、前記圧電素子において前記電極が形成される電極体表面部と前記保持体の保持体体表面部とに亘る当該振動体の体表面部には、前記電極を前記圧電素子の外部に電気的に接続する導通部が形成され、前記導通部は、常温では導電性粒子を含有した液状物を前記体表面部に設けた後、当該液状物を常温より高い温度で乾燥固化させることにより前記導電性粒子を相互接触させて形成されていることを特徴とする。
また、本発明の振動体の製造方法は、振動体を構成する圧電素子の体表面部に電極を形成する電極形成工程と、前記圧電素子とこの圧電素子を保持する保持体とを組み立てる組立工程と、常温では導電性粒子を含有した液状物を、前記圧電素子において当該電極が形成される電極体表面部と前記保持体の保持体体表面部とを含む前記振動体の体表面部に設けた後、当該液状物を常温より高い温度で乾燥固化させることにより前記導電性粒子を相互接触させて、前記電極を前記圧電素子の外部に電気的に接続する導通部を形成する導通部形成工程とを備えることを特徴とする。
これらの発明によれば、このような液状物を用いた導通部の形成手段により、圧電素子および保持体に跨って圧電素子の電極を圧電素子外部に引き出す導通部を電極体表面部および保持体体表面部に沿った薄膜として形成することが可能となり、電極が圧電素子と一体化されることと略同様に、導通部も圧電素子および保持体と一体化される。このため、ワイヤやオーバーハング部などの導通手段によって圧電素子の厚みが嵩張ることなく、圧電素子を備える振動体の小型化を格段に促進できる。このように形成された導通部により、従来とは根本的に異なる圧電素子の導通構造を提供できる。
ここで、液状物を用いることから、従来実現し得なかった微細な導通パターンの形成が可能となり、細密配線が可能となるから、小型化・薄型化を一層促進できる。
また、液状物を圧電素子および保持体の体表面部で乾燥固化させることにより、導通部の位置が定まらないということがなく、導通部は精密にパターニングされる。さらに、導通部の組み立てが不要であるから、製造が極めて容易となる。またさらに、このように圧電素子および保持体に直接導通部を形成しているので、従来の電極への導通を取るリード基板を不要にすることもでき、このような基板を保持する構造も不要であることから、一層、製造容易となる。そのうえ、基板コストが削減でき、コストダウンもできる。
そして、配線、組み立てに起因して信頼性が低下するおそれもない。
加えて、導通部が薄膜として圧電素子および保持体に一体化されるので、圧電素子の電気エネルギと機械エネルギとの相互変換の効率が良く、エネルギ効率が低下しない。圧電素子を圧電アクチュエータに使用する場合は、導通部が圧電素子と一体に変位するから、当該変位が導通部によって妨げられず、駆動効率が良好になる。
なお、圧電素子の用途は、特に限定されず、発振子、フィルタ、およびトランスなどの電子部品や、物品寸法形状等の非接触測定装置、物品変位の測定装置、生体の診断装置、および流量計などの情報機器や、加工機械、治療器、および圧電アクチュエータなどの動力装置などとして広く利用できる。
なお、電極は、Au,Niなどによるめっき、スパッタ、蒸着などによって形成できる。
また、導通部を形成する導通性粒子としては、Ag,Au,Cuなどを例示できる。
ここで、液状物とは、常温において、導電性粒子分散媒すなわち媒質に導電性粒子が分散された状態にあるものをいう。この液状物には、粒径数μm程度のAg等の導電性粒子がエポキシ樹脂等を分散剤として水等の媒質に分散された状態のゲルやペースト状のものも含まれる。また、分散剤などを用いることにより、常温では数nm程度の非常に微細な超微粒子が高い金属含有量で分散したナノインクも液状物に含まれる。つまり、圧電素子の体表面部に吐出、塗布、噴出、滴下等が可能な程度の流動性を有するものであれば、本発明の液状物として用いることができる。なお、以下において、「液状物」はこれと同様の意味内容である。
さらに、液状物を設ける方法としては、下記のインクジェット法のほか、タンポ(パット)印刷、スクリーン印刷、ディスペンサによる塗布などを例示できる。
また、圧電素子の形状などは、棒状、板状、筒状など任意に構成でき、これに応じて保持体の形状も任意に構成できる。例えば、板状の圧電素子に積層される板状の保持体や、回転体として構成された圧電素子の軸部分を貫通する保持体などが考えられる。さらに、板状の圧電素子の場合は、板状とされて圧電素子と積層される保持体を圧電素子の側面から延出させて、この延出部分を保持体体表面部として構成する場合や、圧電素子を厚み方向に貫通するピン部を保持体に設け、このピン部の外周面を保持体体表面部として構成する場合などが考えられる。なお、圧電素子が板状の場合の平面形状については、矩形状、円環状、円形、トラス状、台形状などを例示できる。
本発明の振動体の製造方法では、前記導通部形成工程において、前記液状物としてのインクを前記体表面部に噴射することによって前記導通部を形成することが好ましい。
この発明によれば、このようなインクジェット法により、導通部の形成が必要な箇所のみに必要量だけインクを噴射し、導通部を一層微細にかつ薄く成膜できるため、一層の薄型化が図られる。また、その薄さによって圧電素子と導通部、および保持体と導通部との一体性が高まるから、エネルギ効率を良好にできる。さらに、噴射量(吐出量)を制御することにより膜厚制御が容易であり、振動体の体表面部における異なる場所に、異なった膜厚および材料で成膜することが可能となる。
なお、インクジェット法には、フォトリソグラフィ等を用いて導通部を形成する場合と比べて必要な部分にのみインクを過不足無く噴射するため材料の使用量が少なくてすむというメリットがある。
また、マスクを使わないため多品種少量生産が可能であり、設備コストも大幅に低減できる。また、薬液の廃液などがほとんどない。
ここで、インクジェット法は被噴射面に非接触の方式であるため、電極体表面部と保持体体表面部とが互いに交差するように配置されていたり、これら電極体表面部と保持体体表面部との間に段差がある場合などでも、他の印刷手段などと比べて導通部を容易に形成できる。
本発明の振動体では、前記圧電素子および保持体は、略板状とされ、前記保持体は、前記圧電素子が積層される本体と、前記本体に連設され前記圧電素子の側面部と交差する方向に延出する延出部とを有し、前記電極体表面部は、前記圧電素子の平面部とされ、前記保持体体表面部は、前記延出部の平面部とされていることが好ましい。
この発明によれば、圧電素子を保持体との積層によって補強でき、また、保持体の延出部によって、圧電素子に穿孔などすることなく圧電素子を被取付部に支持固定できる構成において、電極体表面部と保持体体表面部とが互いに略平行となるから、これら電極体表面部と保持体体表面部とに跨って液状物を吐出することで導通部を容易に形成できる。すなわち、圧電素子の電極体表面部に対して保持体体表面部が交差するように配置される場合などと比べて導通部の製造が容易な構成とすることができる。
本発明の振動体では、前記圧電素子は、略矩形板状に形成されるとともに、厚み方向に対して斜めに形成された傾斜面部を長辺側に有し、前記傾斜面部と前記電極体表面部とは、および、前記傾斜面部と前記保持体体表面部とは、互いに鈍角を為すようにそれぞれ配置され、前記振動体の体表面部は、前記電極体表面部、前記傾斜面部、および前記保持体体表面部に亘っていることが好ましい。
この発明によれば、傾斜面部によって電極体表面部と保持体体表面部との間の段差を緩和できる。この段差緩和に際して部材を追加する必要がないことが特に有利な点である。
このように電極体表面部、傾斜面部、および保持体体表面部が互いに鈍角を介して配置されることで、これら電極体表面部、傾斜面部、および保持体体表面部に亘って導通部を良好な導通品質で安定的に形成し易い。すなわち、電極体表面部と圧電素子の側面部との間の角、および圧電素子の側面部と保持体体表面部との間の角がそれぞれ直角である場合などでは、液状物のタレなどによる当該角部への液状物の不足、ムラなどが起こるおそれがあるが、このような問題が生じ難く、導通不良を防止できる。また、導通部を均一に形成し易くなり、電極体表面部、傾斜面部、および保持体体表面部への導通部の密着性が増すので、導通部の圧電素子への一体性がより向上する。
さらに、電極体表面部と保持体体表面部との間の段差が緩和されることによって、液状物を電極体表面部、傾斜面部、および保持体体表面部に対してそれぞれ吐出する方向を一方向に揃えることができ、導通部を連続的に形成できるので、生産性を向上させることができる。
本発明の振動体では、前記圧電素子は、略板状の基材から複数に個片化され、前記傾斜面部は、前記基材が厚み方向に対して斜めに分割されることで、前記圧電素子の一方の長辺側と他方の長辺側とにそれぞれ、その傾斜方向が対称となるように形成されていることが好ましい。
この発明によれば、各圧電素子は断面台形状とされ、個片化前の基材において、圧電素子の幅方向に沿って表裏交互に配置されることになる。これにより、平面矩形の板状に形成した1つ1つの圧電素子の側面部をそれぞれ斜めにカットするような場合と比べて傾斜面部を容易に形成でき、また、材料効率も良くできる。
本発明の振動体では、前記電極体表面部と前記保持体体表面部側の前記圧電素子側面部との間の角部は、前記圧電素子の厚み方向に対して斜めに面取りされていることが好ましい。
この発明によれば、面取りにより、電極体表面部と圧電素子の側面部とが鈍角を為すので、電極体表面部と保持体体表面部との間の段差を緩和できる。この段差緩和に際して部材を追加する必要がないことが特に有利な点である。本発明により、電極体表面部、圧電素子の側面部、および保持体体表面部に亘って導通部を良好な導通品質で安定的に形成できる。
本発明の振動体では、前記側面部と前記保持体体表面部との内側には、モールド部材が設けられ、前記モールド部材は、前記圧電素子の厚みと略同様の厚みの前記電極体表面部側から前記保持体体表面部側へ向かって次第に薄くなるように形成されていることが好ましい。
この発明によれば、モールド部材がスロープ状(傾斜面)に成形されるため、このモールド部材によって前述の圧電素子の傾斜面部と略同様に、電極体表面部と保持体体表面部との間の段差を緩和でき、これら電極体表面部、モールド部材の表面、および保持体体表面部に亘って導通部を良好な導通品質で安定的に形成できる。
ここで、モールド部材の形状自由度により、導通部を良好に形成可能な角度や形状でスロープを形成できる。また、このようなモールド部材は、必要な箇所にのみ部分的に設けることができる。
なお、ここでの構成とは異なり、圧電素子を貫通するピン部などが保持体に設けられた構成においても、保持体体表面部とされたピン部の外周面と圧電素子の電極体表面部との内側にモールド部材を設けてもよい。この場合、互いに交差する電極体表面部と保持体体表面部との間に形成されるスロープによって前述と同様の効果が得られる。
本発明の振動体では、前記圧電素子および保持体は、略板状とされ、前記保持体は、前記圧電素子が積層される本体と、前記圧電素子の側面部と交差する方向に延出するとともに前記本体の厚みよりも厚く形成された延出部とを有し、前記電極体表面部は、前記圧電素子の平面部とされ、前記保持体体表面部は、前記延出部の平面部とされ、これらの電極体表面部と前記保持体体表面部とは、互いに略同一面に配置されていることが好ましい。
この発明によれば、部材を追加することなく、電極体表面部と保持体体表面部との間の段差を解消することが可能となる。この段差解消により、電極体表面部および保持体体表面部に亘って導通部をより安定的に形成できる。
本発明の振動体では、前記圧電素子および保持体は、略板状とされ、前記保持体は、前記圧電素子が積層される本体と、前記圧電素子の側面部と交差する方向に延出する延出部と、前記圧電素子の厚みと略同様の厚みであって前記延出部に積層される板状部材とを有し、前記電極体表面部は、前記圧電素子の平面部とされ、前記保持体体表面部は、前記板状部材の平面部とされ、これらの電極体表面部と前記保持体体表面部とは、互いに略同一面に配置されていることが好ましい。
この発明によれば、電極体表面部と保持体体表面部との間の段差を解消することが可能であって、この段差解消により、電極体表面部および保持体体表面部に亘って導通部をより安定的に形成できる。
ここで、前述した本体およびこの本体よりも厚い延出部を有する保持体を形成する際のような部品加工を不要にできるので、部品製作コストを低減できる。
本発明の振動体では、前記圧電素子および保持体は、略板状とされ、前記保持体は、前記圧電素子と積層される本体と、前記本体に連設され前記圧電素子の側面部と交差する方向に延出する延出部とを有し、前記圧電素子は、前記本体の表裏にそれぞれ設けられ、前記電極体表面部は、前記圧電素子の各平面部とされ、前記保持体体表面部は、前記延出部の表裏それぞれの平面部とされ、前記延出部は、表裏両側にそれぞれ形成された前記導通部を互いに導通する表裏導通手段を有することが好ましい。
この発明によれば、保持体の表裏それぞれに設けられた圧電素子の体表面部に形成された電極同士の導通に際し、圧電素子に穿孔などすることなく、延出部を利用してこれら電極に設けられた導通部を互いに導通させることができる。すなわち、保持体を圧電素子の保持手段に加えて表裏導通手段としても兼用できる。
本発明の振動体では、前記圧電素子および保持体は、略板状とされ、前記保持体は、導電性とされるとともに、前記圧電素子が積層される本体と、前記本体に連設され前記圧電素子の側面部と交差する方向に延出する延出部とを有し、前記電極体表面部は、前記圧電素子の平面部とされ、前記保持体体表面部は、前記延出部の平面部とされ、前記保持体体表面部と前記導通部との間には、絶縁層が介装され、前記絶縁層は、常温では液状である絶縁体を前記保持体体表面部に設けた後、当該絶縁体を常温より高い温度で乾燥固化させることにより形成されていることが好ましい。
この発明によれば、導電性の保持体を用いることと、保持体体表面部、導通部間の絶縁とにより、前記電極が形成された圧電素子の電極体表面部と保持体本体との間に電圧を印加することができ、つまり電極として保持体を利用できる。ここで、導通部と保持体体表面部との間に絶縁層を形成しても、ワイヤボンディングやオーバーハングの場合は短絡防止のため所定寸法の隙間が必要となることと比べて格段に薄型化できる。
また、導通部と同様の手段で絶縁層も形成したので、絶縁板などを設ける場合と比べ、圧電素子の厚みを抑えること、製造が容易となること、およびエネルギ効率を低下させないことなどの前述した効果をより大きいものとできる。
なお、絶縁層の形成に関しても、前述したインクジェット法が特に好適であり、この場合のインクとして使用できる絶縁体としては、エポキシ系絶縁樹脂を例示できる。
本発明の振動体では、前記導通部は、当該振動体の振動の節近傍に形成されていることを特徴とする。
前述したように、本発明では導通部が薄膜状に圧電素子および保持体と一体に形成されるから、導通部が圧電素子の変位に与える影響は殆どないが、このように振動の節近傍に導通部を形成することによって、振動体の振動への影響をごく小さくできる。このため、振動体の振動が減衰せず、エネルギ効率を良好にできる。また、振動が異常となり過振幅となった際などでも断線せず、信頼性を向上できる。
なお、振動体が板状の保持体および圧電素子により構成される場合は、保持体の表裏両面にそれぞれ圧電素子が接合されることがより好ましい。このように圧電素子が保持体の両面に設けられることで安定的に振動するうえ、前述の導通部により、1つ1つの圧電素子における厚みが抑えられていることで振動体の厚みを表裏両方で薄くできるので、前述した効果を大きくできる。保持体の表裏にそれぞれ圧電素子を一枚〜数十枚程度貼り合わせても良い。
本発明の圧電アクチュエータは、前述の振動体を備え、前記振動体の振動を被駆動体に伝達することにより当該被駆動体を駆動することを特徴とする。
この発明によれば、前述の振動体を備えたことにより、前述と同様の作用および効果を享受できる。
なお、圧電アクチュエータの駆動方式は問わず、振動により被駆動体を駆動するタイプ(超音波モータ)としては、振動の節および腹の位置が不変の定在波駆動方式や、節および腹の位置が遷移する進行波駆動方式等を適宜採用できる。また、分極方向および電圧印加の方向等も任意に構成できる。
なお、被駆動体としては、回転駆動されるロータ、直線駆動されるリニア駆動体などを採用でき、被駆動体の駆動方向は任意に構成できる。
本発明の電子機器は、前述の振動体または前述の圧電アクチュエータを備えたことを特徴とする。
この発明によれば、前述の振動体を備えたことにより、前述と同様の作用および効果を享受できる。
ここで、本発明の電子機器としては、カメラ、プリンタ、携帯情報機器、可動玩具、計測機器など各種の電子機器が対象となる。これら電子機器における駆動機構や発振子などとして前述の振動体が組み込まれる。
本発明の電子機器では、計時部と、この計時部で計時された情報を表示する計時情報表示部とを備えた時計であることが好ましい。
この発明によれば、時計における駆動手段として一般的なステッピングモータなどに置換して、本発明の圧電素子を使用した圧電アクチュエータを採用することにより、磁気の影響を受けない、応答性が高く微小送りが可能、小型化・薄型化に有利、高トルク、保持トルク(無通電であってもロータ位置が保持される)が大きいなどの数々のメリットを享受できる。
ここで、圧電アクチュエータは、カレンダ駆動機構や時刻を示す指針の駆動機構などに組み込むことができる。この場合、圧電素子の振動によって送られるロータなどで歯車を駆動し、この歯車などを介して指針や回転板などを駆動することによって時刻や暦の情報を表示することができる。
以上の本発明によれば、圧電素子の導通構造に関し、格段に小型化できるとともに製造が容易であって、エネルギ効率も低下しない圧電素子、振動体、圧電アクチュエータ、電子機器、および圧電素子の製造方法を提供できる。
以下、図面を参照して本発明の実施形態について説明する。
なお、電子機器の実施形態として、圧電アクチュエータが組み込まれたプリンタと、電子時計(第8実施形態)とを例示する。
〔第1実施形態〕
[1.全体概略構成]
図1は、本実施形態に係るプリンタ1の概略図である。プリンタ1は、印刷用紙がセットされる用紙トレイ2と、印刷された紙PPが排出される排出部3と、筐体4内部に設置される紙送りローラ5とを備える。
ローラ5は、図示しない印刷駆動部で印刷された紙PPを排出部3に送るものである。
[2.紙送りローラの駆動機構]
ローラ5を駆動する駆動機構は、圧電アクチュエータ(超音波モータ)20と、この圧電アクチュエータ20の振動によって回転駆動されるロータ28と、ロータ28の回転を減速しつつ伝達する減速輪列29とを備えて構成されている。
減速輪列29は、ロータ28と同軸に設けられてロータ28と一体的に回転する歯車291と、この歯車291に噛合し、かつ、ローラ5の回転軸に固定された歯車292とで構成されている。
なお、圧電アクチュエータ20と、ロータ28とは、図2に示すように、圧電アクチュエータユニット10としてユニット化されている。
[3.圧電アクチュエータユニットの構成]
圧電アクチュエータユニット10は、筐体4のフレーム等に取り付けられる矩形状の支持プレート11と、支持プレート11にそれぞれ取り付けられる圧電アクチュエータ20と、圧電アクチュエータ20による被駆動体としてのロータ28とを備えて構成されている。このように、圧電アクチュエータユニット10は、圧電アクチュエータ20とロータ28とが平面的に隣接して配置されていることで薄型となっている。
支持プレート11の四隅には、筐体4のフレーム側に取り付けるための孔11Aと、図示しないカバー部材等を取り付けるためのネジピン11Bとがそれぞれ形成され、圧電アクチュエータ20は、支持プレート11の略中央にビス11C等の固定手段によって固定される。なお、圧電アクチュエータ20を固定する際の位置決め用のピン11Dがビス11Cの近傍に形成されている。
また、支持プレート11の圧電アクチュエータ20が対向する部分には、支持プレート11の厚み方向に窪む凹部11Eが圧電アクチュエータ20よりも大きい平面寸法で形成されており、圧電アクチュエータ20が十分な振幅で振動可能となっている。
[4.圧電アクチュエータの構成]
図3は、圧電アクチュエータ20の斜視図であり、図4および図5は、圧電アクチュエータ20の断面図である。
圧電アクチュエータ20は、図3〜図5に示すように、2枚の矩形板状の圧電素子30A,30Bと、これらの圧電素子30A,30Bの間に介装される板状の保持体21とを備えている。これら圧電素子30A、保持体21、および圧電素子30Bは互いに積層され、圧電素子30A,30Bの伸縮変位に伴い振動する振動体(圧電素子)20Aとして構成されている。
保持体21は、ステンレス鋼などの導電性部材であり、圧電素子30Aが積層される略矩形状の本体211と、本体211の両側面にそれぞれ連設され、本体211の外側に延出する一対の延出部としての腕部212,213とを有する。
本体211の一方の短辺の略中央には、ロータ28(図2)の外周面(本実施形態では断面円弧状)に当接される突起211Aが本体211と一体的に形成され、突起211Aは、圧電アクチュエータ20をユニット10に組み込んだ際にロータ28の径方向に沿って配置される。
この突起211Aとロータ28との相対位置は、突起211Aがロータ28の外周面に対して所定の力で当接するように調整されており、突起211Aとロータ28側面との間に適切な摩擦力が発生することで振動体20Aの振動が効率良くロータ28に伝達される。なお、本体211の他方の短辺側に突起211Aと略同様の突起がカウンタとして形成されていてもよい。
また、本体211は、圧電素子30A,30Bよりも長さが若干短く、本体211の短辺側の両端は、圧電素子30A,30Bの側面よりも内側に配置されている。
腕部212には、位置決め用ピン11D(図2)が挿通される孔212A,212Cと、ビス11Cが挿通される孔212Bとが形成され、腕部213にも同様の孔213A〜213Cが形成されている。これらの腕部212,213は、ビス11C(図2)によって支持プレート11にそれぞれ固定される。なお、支持プレート11には、絶縁処理がされているものとする。
一方の腕部212は、図示しない導通手段により、圧電アクチュエータ20外部の回路基板に導通されており、当該回路基板の回路ブロックにおける基準電位が腕部212に給電される。
なお、腕部212,213の本体211に連設される部分は、首状の括れ部212D,213Dとなっているため、振動体20Aの振動エネルギの腕部212,213への散逸が抑制される。
[5.圧電素子の構成]
圧電素子30A,30Bは、チタン酸ジルコン酸鉛(PZT(登録商標))、水晶、ニオブ酸リチウム、チタン酸バリウム、チタン酸鉛、メタニオブ酸鉛、ポリフッ化ビニリデン、亜鉛ニオブ酸鉛、スカンジウムニオブ酸鉛等から任意に選択した材料により形成され、厚み方向に分極処理がされ、エポキシ系接着剤などで保持体21に強固に接着されている。なお、これら圧電素子30A、30Bの分極方向は互いに逆向きであり、保持体21を挟んで対称となっている。
また、圧電素子30A,30Bの長手方向に沿った両方の長辺側面部は、圧電素子30A,30Bの厚み方向に対して斜めに形成された傾斜面部352とされ、これらの傾斜面部352は、その傾斜する向きが圧電素子30A,30Bの厚み方向に対して対称となっている。つまり、圧電素子30A,30Bはそれぞれ、断面台形状に形成されている。これにより、図5に示すように、圧電素子30A,30Bの電極31が形成された平面部である電極体表面部351と傾斜面部352とが為す角度θ1が鈍角となっているとともに、この傾斜面部352と腕部212,213の表面平面部(保持体体表面部)2120,2130との間の角度θ2も鈍角となっている。
圧電素子30A,30Bにおいて保持体21と重ねられない外側の面を表面、保持体21と重ねられる面を裏面とすると、これら圧電素子30A,30Bにおける少なくとも表面の略全体には、ニッケル(Ni)や金(Au)などによるめっき、スパッタ、蒸着等によって電極31がそれぞれ形成されている。なお、本実施形態では、圧電素子30A,30Bの裏面全体にも電極31と略同様の電極(図示せず)が形成され、この電極と保持体21とが接触しているが、圧電素子30A,30Bの裏面側に、このような電極が形成されず保持体21に直接重ねられていてもよい。
ここで、圧電素子30Aの構成と圧電素子30Bの構成とは互いに略同様であるため、以下では、圧電素子30A,30B共通の構成については圧電素子30と総称することもある。
また、本実施形態は、後述するように、圧電素子30の電極体表面部351、傾斜面部352、および腕部212,213の保持体体表面部2120,2130に亘る体表面部35に導通パターンなどが形成されることに特徴を有し、これらの電極体表面部351、傾斜面部352、および保持体体表面部2120,2130はいずれも、振動体20Aの体表面部35と総称される。
圧電素子30の表面に形成された電極31は、エッチングなどで形成された溝32によって分割され、互いに絶縁された5つの電極パターン311〜315がそれぞれ形成されている。
これらの電極パターン311〜315の分割態様は、大略、矩形状の電極31が圧電素子30の長手方向に沿った溝32により幅方向に3等分され、3等分されたうち幅方向両側の電極がさらに、長手方向の略中央で2つに分割されたものであり、これらの電極パターン311〜315は、圧電素子30の長手方向に沿った中心線について線対称に、かつ平面中心について点対称に配置されている。
詳しくは、これらの電極パターン311〜315は、圧電素子30の長手方向中央部で幅寸法が減少しており、圧電素子30の長手方向両側にそれぞれ配置された電極パターン311と電極パターン312とは、あるいは電極パターン314と電極パターン315とは、圧電素子30の長手方向中央を超えて互い違いに突出する。これにより、電極パターン311〜315のすべてが圧電素子30の長手方向中央部に略等しい幅で並び、これらの電極パターン311〜315のいずれとも圧電素子30の長手方向中央部で導通を取ることができる。
[5−1.導通構造(配線)について]
図6は、圧電アクチュエータ20が配線された状態を示す平面図である。
本実施形態では、電極パターン311〜315を適宜使い分けることにより、ロータ28(図2)を正方向R+および逆方向R−に駆動して紙送りローラ5(図1)を正方向にも逆方向にも駆動することが可能である。
具体的に、圧電素子30略中央で長手方向に延びる中央電極パターン313には、ロータ28の正方向R+の回転時にも逆方向R−への回転時にも電圧が印加される。また、一方の対角線上に配置された対称電極パターン(電極対)311,315には、ロータ28の正方向R+の回転時にのみ、電圧が印加され、他方の対角線上に配置された対称電極パターン(電極対)312,314には、ロータ28の正方向R−の回転時にのみ電圧が印加される。
なお、ロータ28の正転逆転に応じて、電圧が印加されない電極パターン(対称電極パターン311,315または対称電極パターン312,314)は、圧電アクチュエータ20の振動状態を電圧信号として取り出す検出電極として使用される。振動検出信号は、腕部212における電位を基準信号として、この基準信号に対する対称電極パターン311,315の電位の差、あるいは基準信号に対する対称電極パターン312,314の電位の差である差動信号として検出される。
中央電極パターン313は、液状物を乾燥固化させることで形成されたL字状の導通パターン(導通部)411により、一方の腕部212の括れ部212Dを通り、孔212Bの周りに設けられた箔状のパッド452に導通され、このパッド452から任意の導通手段により、図示しない回路基板に実装された駆動制御装置に導通されている。なお、中央電極パターン313は、圧電素子30の電極体表面部351、傾斜面部352、および保持体体表面部2120に亘って連続して形成されている。
ここで、圧電素子30の長手方向略中央部の略矩形状の部分と腕部212の表面とを合わせた領域には、液状の絶縁体が用いられた絶縁層(絶縁手段)511が形成されている。この絶縁層511により、中央電極パターン313が導通パターン411の経路上にある電極パターン314,315とは互いに導通しないようになっている。
このような絶縁層511は、導通パターン411の両端にある接点411A間の中間部411Bが異電位とされる部分に重なる場合に必要となる。すなわち、中央電極パターン313から見て、ロータ28の正回転時には対称電極パターン312,314が異電位部となり、ロータ28の逆回転時には対称電極パターン311,315が異電位部となるから、導通パターン411と電極パターン311〜315とを互いに絶縁する必要がある。以降で説明する導通パターンについても、各接点間に異電位部と重なる中間部を有する場合、絶縁層を有する絶縁手段が必要となるのは同様であるため、以降では、接点および中間部に関する説明は簡略もしくは省略する。
絶縁層511は、圧電素子30の電極体表面部351、傾斜面部352、および腕部212の表面に沿って連続して形成され、この絶縁層511によって、腕部212に3つ設けられたパッド451〜453が互いに絶縁されている。
なお、一方の腕部212に設けられたパッド451〜453を介して、圧電アクチュエータ20の片側から圧電アクチュエータ20外部へと導通を取っているため、配線作業が容易となっている。ただし、これに限らず、各電極パターン311〜315のいずれかを他方の腕部213を介して圧電アクチュエータ20の外部に導通してもよい。
なお、圧電素子30に形成された導通パターン411〜414等や、絶縁層511等はすべて、液状物/液状の絶縁体を圧電素子30に向かって吐出後、乾燥固化させること(具体的には、後述するインクジェット法(インクジェット方式))によって形成されている。
また、対称電極パターン311,315は、略L字状の導通パターン412により互いに導通されて同電位とされる。すなわち、対称電極パターン311,315は互いに離間した位置にあるが、絶縁層511が形成されていることにより、他の電極パターン313,314を跨いでこれらの対称電極パターン311,315を互いに導通させることが可能となる。
導通パターン412は、腕部212の括れ部212Dを通り、孔212Cの周りに設けられたパッド453に導通され、駆動制御装置に導通されている。なお、絶縁層511は、電極パターン315の導通パターン412が通る部分には形成されていない。
対称電極パターン312,314も、絶縁層511が形成された部分で中央電極パターン313を跨ぐコ字状の導通パターン413によって互いに導通されることにより同電位とされ、一方の電極パターン314に設けられたL字状の導通パターン414、および腕部212のパッド451を通じて駆動制御装置に導通される。
なお、導通パターン413,414の膜厚および長さ、そして前述した導通パターン412の膜厚および長さがそれぞれ調整されることにより、導通パターン413,414の合計による電気抵抗と、導通パターン412による電気抵抗とが略同一に調整されており、等価配線となっている。
以上説明した導通パターン411〜414および絶縁層511は、圧電素子30Aのみに形成されており、各圧電素子30A,30Bにおける電極パターン311同士、電極パターン312同士、電極パターン313同士、電極パターン314同士、電極パターン315同士はそれぞれ、圧電素子30A,30Bの短辺側面部353を通る導通パターン415〜419により導通されて互いに同電位とされている。
ここで、導通パターン415〜419と保持体21との絶縁が問題となるが、図7に振動体20Aの短辺側の側面部20Bを示したように、側面部20Bには、液状の絶縁体を乾燥固化させた絶縁層(絶縁手段)512が形成されている。図8の断面図にも、絶縁層512を示した。絶縁層512は、振動体20Aの両方の短辺側にそれぞれ形成されている。なお、保持体21が絶縁性の樹脂製などである場合は、このような絶縁層512は不要である。
このような絶縁層512は、振動体20Aを側面部20Bを上にした状態で起立させ、保持体21の側面211Cを底部とする凹部に液状物を吐出することにより、保持体21の側面211Cを被覆するように(圧電素子30A,30Bの裏面側に形成された図示しない電極も被覆するように)形成される。圧電素子30A,30Bの短辺側面部353は、これらの絶縁層512によって被覆されていなくてもよいが、一般に多孔質構造(ポーラス)であることが多い圧電素子30A,30Bの素地が絶縁層512によって被覆されて短辺側面部353が平滑とされることによって、この絶縁層512に重ねて導通パターン415〜419を形成し易くなる。
これらの絶縁層512により、圧電素子30A,30Bの電極体表面部351に形成された電極パターン同士が保持体21と絶縁される。
なお、図7や図8などにおいて、作図上、電極パターン311〜315や導通パターン411〜419や絶縁層511,512などの厚みが実際よりも厚く示されており、これらの実際の膜厚は、電極パターン311〜315等が数μm〜数十μm程度であり、導通パターン415〜417等が数nm〜数μm程度である。絶縁層511,512の膜厚は、圧電素子30A,30Bへの印加電圧や対称電極パターン311等から出力される振動電圧などに応じて適宜設定される。
前述のように、圧電素子30A,30Bは保持体21を共通電極としてパラレルに接続されており、圧電素子30Aの表面に形成された電極パターン311〜315それぞれと保持体21との間、および圧電素子30Bの表面に形成された電極パターン311〜315それぞれと保持体21との間に、図示しない駆動制御装置によって交流電圧が印加される。すると、分極方向および電界の方向に直交する方向に変位する圧電横効果によって圧電素子30A,30Bは同時に伸縮変位する。すなわち、圧電素子30Aが伸びるときは圧電素子30Bも伸び、圧電素子30Aが縮むときは圧電素子30Bも縮む。
[6.駆動制御装置の構成]
なお、図示しない回路基板に実装される圧電アクチュエータ20の駆動制御装置について簡単に説明すると、当該駆動制御装置は、圧電素子30A,30Bに交流電圧を印加する電圧印加部と、振動体20Aの振動状態を検出する振動検出部とを有する。また、ロータ28の回転方向に応じて、対称電極パターン311,315と対称電極パターン312,314とを電圧印加装置または振動検出装置のいずれかに通電するセレクタが設けられている。電圧印加部が印加する電圧の波形は特に限定されず、例えばサイン波、矩形状波、台形波などが採用できる。
本実施形態では、電圧印加部が発振する駆動信号の位相は単相であり、電極パターン311〜315および保持体21には、同じ位相の駆動信号が供給される。
ここで、圧電アクチュエータ20の振動体20Aは、突起211Aが良好な振動軌跡を描き、ロータ28を高効率で駆動可能なように、圧電素子30A,30Bの縦横の長さ比や厚さなどが設計されており、このように設計された振動体20Aについて、駆動電圧の周波数が設定される。この駆動周波数は、振動体20Aの振動時における縦振動共振点と屈曲共振点とが互いに近接するように設定される。
[7.圧電アクチュエータの動作]
以上説明した圧電アクチュエータ20の動作について図6などを参照して説明する。
中央電極パターン313と対称電極パターン311,315とに駆動制御装置の電圧印加部から給電されるとき、圧電素子30A,30Bはこれら電極パターン311,313,315の領域において長手方向に伸縮し、振動体20Aは長手方向に沿って縦一次振動を励振する。この際、対称電極パターン311,315の配置により、振動体20Aの平面中心を軸として図6中、時計回りにモーメントが生じ、振動体20Aは幅方向に屈曲変位する屈曲二次振動を誘起する。これら縦振動および屈曲振動の混合モードで圧電アクチュエータ20は駆動する。この縦振動と屈曲振動との位相差により、突起211Aは楕円軌道(+)を描く。この楕円軌道(+)との接線方向にロータ28(図2)が正方向(R+)に微動送りされ、突起211Aが所定の駆動周波数で楕円運動を続けることにより、ロータ28の回転を通じて紙送りローラ5が正方向に回転駆動される。
この際、対称電極パターン312,314は駆動制御装置の振動検出部に通電されており、駆動制御装置により、検出された振動状態に基いて電圧印加部が発する駆動電圧の周波数が可変に制御される。
一方、紙送りローラ5が逆方向に回転される際には、中央電極パターン313と対称電極パターン312,314とに駆動制御装置の電圧印加部から給電され、対称電極パターン311,315は駆動制御装置の振動検出部に通電される。
ここで、対称電極パターン312,314の配置により、振動体20Aには図6中、前述とは逆となる反時計回りにモーメントが生じ、突起211Aは、前述の楕円軌道(+)とは逆周りの楕円軌道(−)を描く。これにより、ロータ28は逆方向R−に回転駆動され、紙送りローラ5が逆方向に回転駆動される。
図9は、振動体20Aの屈曲振動について示す模式図である。振動体20Aの節Aは、振動体20Aの振動面内における中心にあり、Bは、振動体20Aの腹である。
ここで、図3などに示したように、各電極パターン311〜315および腕部212,213の括れ部212D,213Dはいずれも圧電素子30の長手方向略中央に配置されており、各導通パターン411〜414も、これらの電極パターン311〜315および括れ部212D,213Dの位置に合わせてそれぞれ形成されている。すなわち、導通パターン411〜414は、振動体20Aの節Aの近傍に形成されている。
[8.インクジェット手段の構成]
次に、前述の導通パターン411〜419および絶縁層511、512を形成する際に使用されるインクジェット手段について説明する。
図10は、インクジェット手段としてのインクジェットヘッド110の拡大図であり、インクジェットヘッド110は、インクを蓄積するインク室111と、インク室111からインクを振動体20Aに噴射する複数のノズル112と、インク室111とノズル112とを連通するとともにその流路が収縮可能な複数(ノズル112と同数)の圧力発生室113と、圧力発生室113を圧縮して流路を収縮させる圧電振動子114とを備えている。
ノズル112は、ノズルプレート1121にプレス加工などにより穿設されたノズル孔で構成され、互いに所定間隔を有して配置されている。
図11には、ノズル112の拡大断面図が示されている。この図11において、ノズルプレート1121の外表面1121Aには、ニッケルなどのめっきによるめっき層1122が設けられており、このめっき層1122は、ノズル112開口の周囲に所定距離を有して形成されることにより、ノズル112周囲に段差1122Aを形成している。
また、めっき層1122の外表面にはさらにコンポジットめっきによるめっき層1123が形成されている。このめっき層1123は、ノズル112の内周にも形成されている。
このめっき層1123により、ノズルプレート1121の外表面には、撥インク処理が施されている。また、ノズル112の内面のめっき層1123が形成されていない部分には、親水処理が施されている。これらの撥インク処理および親水処理により、ノズル112から噴射されるインク120(図12)がノズルプレート1121に付着するのが良好に防止されるとともに、略球形状の液滴が安定した噴射量(吐出量)で噴射可能となっている。また、この撥インク処理により、インク120がノズル112の穿設方向に沿ってまっすぐ噴射される。
圧力発生室113の外側には、圧力発生室113を収縮させる圧電振動子114が圧力発生室113の数に応じて設けられている。これらの圧電振動子114は、電圧が印加されると長手方向に伸縮する縦振動を励振する。この圧電振動子114の先端が圧力発生室113の外壁に固定されている。
圧力発生室113外壁において圧電振動子114の両側には、それぞれ薄肉部113Aが形成されている。この薄肉部113Aにより、圧電振動子114の振動で外壁が変形しやすくなっている。
このようなインクジェットヘッド110では、圧電振動子114に所定の電圧を印加して振動させると、圧電振動子114が圧力発生室113の外壁を押圧して圧力発生室113を収縮させる。これにより、圧力発生室113内のインクが押し出され、ノズル112から微小な液滴となって噴射される。
図12(A)および図12(B)は、ノズル112から噴射されるインク120を示す図である。この図12に示されるように、ノズル112から噴射されたインク120は、略球形となり、ノズル112の穿設方向に沿って真っ直ぐ噴射される。インク120の液滴が噴射された後、圧電振動子114を元の位置に戻した後さらにわずかに収縮させると、圧力発生室113が膨張し、ノズル112開口で表面張力により半球状に突出したインク120をノズル112内部へ引き込む。これにより、インク120がノズル112からこぼれるなどの不具合が確実に解消される。また、圧電振動子114の変位を制御してノズル112開口のインク120の挙動を積極的に制御することにより、液滴の吐出量が安定する。
なお、圧電振動子114の変位量や変位速度などを調整することによりインク120の吐出量、液滴の大きさや吐出速度を調整可能となっている。
このようなインクジェットヘッド110は、図示しない移動機構により、圧電素子30A,30Bおよび保持体21においてインク120が噴射される面の面内方向(X方向、Y方向)および面外方向(Z方向)にそれぞれ移動可能とされている。インクジェットヘッド110は、インク120の吐出量などの調整を行いながら、決められた膜厚かつ長さで導通パターン411〜419や絶縁層511、512を圧電素子30A,30Bに対して直接描画する。
ここで、インク吐出量の調整は、導通パターン411〜419それぞれに決められた膜厚および長さや、絶縁層511、512にそれぞれ必要とされる膜厚および範囲の面積など、また、インクにおける溶媒の蒸発速度、インクジェットヘッド110から振動体20Aにおけるインク被噴射面までの距離などに基いて行われる。
あるいは、インクジェットヘッド110から吐出されるインクの吐出量を監視して、予め設定された所定吐出量を吐出するように調整してもよい。つまり、インクジェットヘッド110から一回につき吐出される吐出量は、圧電振動子114の変位量などによって予め設定されているので、ノズル112からの液体の吐出回数を予め設定することにより、液体の所定量の吐出が可能となる。なお、所定吐出量は、調製の際に加えた溶媒の量などを勘案して設定されることが好ましい。
[9.振動体の製造方法]
次に、振動体20Aの製造方法について図13〜図19を参照して説明する。図13のフロー図に示すように、振動体20Aの製造工程は、電極形成工程S1と、個片化工程S2と、組立工程としての積層工程S3と、絶縁層形成工程S4と、導通部形成工程S5とを有する。
[9−1.電極形成工程]
図14(A)および(B)は、多数の圧電素子30が形成される基材300を示す。本実施形態では、図14(A)に示すような四角形の板状に形成された基材300を用いる。そして、この基材300の表裏両面にめっき、スパッタ、蒸着などで電極31を形成し(図14(A))、この電極31の面にエッチングによって溝32を刻設する(図14(B))。
図15は、図14(B)の拡大図である。後にそれぞれ個片化される各圧電素子30は、短手方向に沿った方向において、表裏交互となるように配列されている。一方、長手方向に沿った方向では、各圧電素子30の表裏の向きは揃っており、長手方向に延びる溝32が各圧電素子30に連続して形成されている。
[9−2.個片化工程]
次に、図15の一点鎖線に沿って基材300をダイシングし、各圧電素子30に個片化する(個片化工程S2)。ここで、図16に基材300の側面を示したように、各圧電素子30の長辺側に関しては、図16の一点鎖線に沿って斜めにダイシングし、基材300の厚みに対して斜めとなる傾斜面部352を形成する。
[9−3.積層工程]
次の積層工程S3では、ステンレス鋼板のプレス打ち抜きなどによって別途形成された保持体21(図3)に圧電素子30A,30Bを接合し、積層体としての振動体20Aを製作する。この際は、図17の概略図に示すように、位置決めピン101〜103を有する支持部材100に圧電素子30B、保持体21、圧電素子30Aの順に、接合面にエポキシ系の導電性接着剤を塗布して積層し、積層方向に沿って加圧手段105で加圧する。なお、加圧手段105と圧電素子30Aとの間には、テフロン(登録商標)製などのシート106を介装することが好ましい。この加圧により、圧電素子30A、保持体21、および圧電素子30が互いに平行となって正確に貼り合わせられ、互いに強固に接着される。
なお、支持部材100には、振動体20Aの短辺側にピン101を1つ、振動体20Aの長辺側で腕部212の両側には2本のピン102,103をそれぞれ立設した。また、接着剤の硬化に際しては、ホットエアなどを用いることにより迅速に硬化させることができる。
[9−4.絶縁層形成工程]
次の絶縁層形成工程S4では、前述のインクジェットヘッド110(図10)を使用する。絶縁層形成工程S4における使用インクは、常温では液状である絶縁体として調製される。
この液状の絶縁体には、エポキシ系絶縁樹脂などの樹脂材料を採用できる。
図18に、絶縁層形成工程S4によって形成される絶縁層511,512を示す。
絶縁層形成工程S4では、前述のような液状の絶縁体をインクとして、インクジェットヘッド110を移動しながら、絶縁層511,512が形成される圧電素子30の電極体表面部351や腕部212表面や振動体20Aの側面部20Bに当該インクを噴射する。ここで、インクジェットヘッド110内部の制御手段によって、インクを噴射するノズル112が選択され、絶縁層511、512の形成が必要な箇所にのみ、インクが過不足無い量で噴射される。
この際、傾斜面部352によって角度θ1,θ2(図5)が鈍角とされ、互いに平行に配置された圧電素子30と保持体21との間の段差が緩和されているため、圧電素子30の電極体表面部351から保持体体表面部2120へと、この傾斜面部352を介して絶縁層511を形成し易い。
インクの噴射後、ホットエアなどを利用して液状の絶縁体を常温より高い温度で乾燥固化させることにより、絶縁層511、512が形成される。
[9−5.導通部形成工程]
次に、絶縁層511、512に重ねて導通パターン411〜419を形成する。この導通部形成工程S5でも、前述のインクジェットヘッド110を使用し、常温で導電性の粒子を含有した液状物をインクとして使用する。なお、インクジェットヘッド110を絶縁層形成工程S4および導通部形成工程S5ごとにそれぞれ準備する方が、生産効率上良い。
本工程S5で使用するインクが含有する導電性の微粒子としては、金、銀、銅、パラジウム、ニッケルのいずれかを含有する金属微粒子の他に、導電性ポリマーや超電導体の微粒子などを例示でき、これらの微粒子を溶媒に分散させた液体を用いることができる。微粒子を分散させるために、微粒子表面に有機物などをコーティングして使うこともできる。また、インク被吐出面への接合剤として有機バインダなども使用できる。
なお、溶剤への分散しやすさとインクジェット法への適用との観点から、微粒子の粒径は約1nm以上約0.1μm以下であることが好ましい。
ここで、ガス中蒸発法などと、分散剤とを用いることにより、数nm程度の非常に微細な超微粒子が得られ、このような超微粒子は、分散剤で覆われているために常温では高い金属含有量でも凝集せず、液体として挙動する。このような超微粒子を含む液状物(ナノインクと呼ばれる)によれば、導通パターン411〜419の厚みおよび幅・長さ方向において十分な数の超微粒子が融合および融着接合するため、導電性を良好にできる。
このため、本実施形態では、このような超微粒子が分散された液状物をインクとして使用する。この液状物を、分散剤を捕捉する捕捉物質と、有機バインダ(樹脂)とを含有するように調製しておく。
図19に、導通部形成工程S5によって形成される導通パターン411〜419を示す。
この工程S5においても、前述の絶縁層形成工程S4と略同様に、インクジェットヘッド110を移動しながら、導通パターン411〜419が形成される電極体表面部351、傾斜面部352、保持体体表面部2120、および側面部20Bに、前述のように超微粒子が分散状態に調製されたインクを噴射する。ここで、インクジェットヘッド110内部の制御手段により、導通パターン411〜419の形成が必要な箇所にのみ、各導通パターン411〜419の位置や膜厚、長さ等が制御されつつ、インクが噴射される。
ここでも、傾斜面部352によって角度θ1,θ2(図5)が鈍角とされ、互いに平行に配置された圧電素子30と保持体21との間の段差が緩和されているため、圧電素子30の電極体表面部351から腕部212へと、この傾斜面部352を介して導通パターン411等を容易に形成できる。すなわち、仮に、電極体表面部351と圧電素子30の側面部との間の角、および圧電素子30の側面部と保持体体表面部2120との間の角がそれぞれ直角である場合などでは、液状物のタレなどによる当該角部への液状物の不足、ムラなどが起こるおそれがあるが、このような問題が生じ難く、導通不良を防止できる。
さらに、このように配置された電極体表面部351、傾斜面部352、および保持体体表面部2120には、上方から、液状物をそれぞれ吐出することができ、吐出方向が一方向であって導通パターン411〜414等を連続的に形成できるので、生産性を向上させることができる。
インクの噴射後、ホットエアなどを利用して液状物を常温より高い温度で乾燥固化させる。この際、例えば200℃程度の比較的低温において分散剤の捕捉物質が活性化し、分散剤が化学的に除去されるとともに、有機バインダが硬化収縮するため、超微粒子同士が融合、融着接合する。
ここで、本実施形態で使用されるナノインクの粒子径はnmオーダーであるため、インクの表面エネルギの上昇により、比較的低温で金属原子同士が融解されて金属結合が生じる。例えば、マクロ的なAgの融点は912℃であるところ、その粒子径がnmオーダーになると、150℃でも金属の融解を生じさせることが可能となる。これがナノ技術の最たる特徴、利点であって、結合温度が低くて済むため、圧電素子30への熱衝撃を減らすことが可能となる。
以上のような乾燥固化によって導電性粒子を相互に接触させることにより、導通パターン411〜419が形成され、振動体20Aが完成する。
そして、振動体20Aを支持プレート11(図2)に組み付けるとともに、腕部212のパッド451〜453を任意の導通手段により駆動制御装置に接続し、また、腕部212をプリンタ1の駆動部における基準電位回路ブロックに導通することにより、圧電アクチュエータ20の組み立てが終了する。
[10.本実施形態による効果]
本実施形態によれば、次のような効果を得ることができる。
(1)圧電アクチュエータ20の圧電素子30の配線に関し、導通パターン411〜419や絶縁層511,512を液状のインク120を用いて形成したことにより、これら導通パターン411〜419や絶縁層511,512を振動体20Aの体表面部35に沿った薄膜として形成することが可能となり、これら導通パターン411〜419や絶縁層511,512が圧電素子30および保持体21と一体化される。このため、ワイヤやオーバーハング部などの導通手段によって圧電アクチュエータ20の厚みが嵩張ることなく、小型化を格段に促進できる。また、インク120を用いることによって、導通パターン411〜419のような微細なパターニングが可能となり、細密配線が可能となるから、小型化・薄型化を一層促進できる。
また、このように液状のインク120を用いる方式では、インクジェットヘッド110によって導通パターン411〜419の位置などが制御され、吐出されたインク120を振動体20Aの体表面部35で乾燥固化させる方法が採られるから、導通パターン411〜419の位置が定まらないということがなく、これら導通パターン411〜419は精密にパターニングされる。さらに、これら電極パターン311〜315の圧電素子30外部への導通構造に関して組み立てが不要であるから、製造が極めて容易となる。またさらに、このように圧電素子30および保持体21に直接導通パターン411〜419を形成しているので、リード基板が不要であり、基板を保持する構造も不要であることから、一層、製造容易となる。そのうえ、基板コストが削減でき、コストダウンもできる。
そして、配線、組み立てに起因して信頼性が低下するおそれもない。
加えて、導通パターン411〜419および絶縁層511,512が薄膜として圧電素子30および保持体21に一体化されるので、圧電素子30の電気エネルギと機械エネルギとの相互変換の効率が良く、エネルギ効率が低下しない。すなわち、振動体20Aが振動する際、導通パターン411〜419および絶縁層511,512が圧電素子30と一体に変位するから、振動が導通パターン411〜419によって妨げられず、駆動効率を良好にできる。
(2)インク120を付着させ、乾燥固化させる方法として、特にインクジェット法を採用したことから、必要な箇所のみに必要量だけインク120を噴射することが容易にでき、導通パターン411〜419および絶縁層511,512を一層微細にかつ薄く、均一に成膜できる。これにより、一層の薄型化に貢献できるとともに、その薄さによって導通パターン411〜419および絶縁層511,512と圧電素子30および保持体21との一体性が高まるから、エネルギ効率を良好にできる。
(3)インクジェットヘッド110は圧電振動子114の振動によってインク120を吐出するように構成され、インク120の微量の吐出が可能となるから、導通パターン411〜419等をより精密にパターニングできる。これにより、振動体20Aの振動特性のばらつきを抑制できる。
また、インクジェットヘッド110が圧電振動子114の振動で液体流路を圧縮することによりインク120を吐出するので、例えばインクを加熱することによってインク液滴を吐出させる方式に比べて、加熱によるインクの性能劣化が低減される。
(4)圧電素子30および保持体21は互いに平行に積層されるとともに、圧電素子30の腕部212,213に隣接する側に傾斜面部352が形成されているので、電極体表面部351と保持体体表面部2120との間の段差を緩和できる。この段差緩和に際して、圧電素子30および保持体21に追加する部材が不要であることが特に有利な点である。
このように電極体表面部351、傾斜面部352、および保持体体表面部2120が互いに鈍角を介して配置されることで、これら電極体表面部351、傾斜面部352、および保持体体表面部2120に亘って導通パターン411,412,414を良好な導通品質で安定的に形成できる。また、導通パターン411,412,414を容易に均一に形成することができ、電極体表面部351、傾斜面部352、および保持体体表面部2120への導通パターン411,412,414の密着性が増すので、導通パターン411,412,414の圧電素子への一体性がより向上する。
(5)圧電素子30の傾斜面部352は、基材300の厚み方向に対して斜めにダイシングすることによって形成されており、これにより、圧電素子30の側面部の直角部分を斜めにカットするような場合と比べて傾斜面部352を容易に形成できる。また、基材300には、圧電素子30の表側の電極31と裏側の電極とを交互に形成し、そして、斜めにダイシングする向きも交互として各圧電素子30を断面台形状に形成しているので、材料効率が良好となる。
(6)導通パターン411〜414および絶縁層511は振動体20Aの振動の節Aの近傍に形成されているのでこれら導通パターン411〜414および絶縁層511による振動体20Aの振動への影響をごく小さくできる。このため、振動体20Aの振動が減衰せず、エネルギ効率を良好にできる。また、このように節Aの近傍で配線しているから、外乱時の断線なども防止できる。
(7)導通パターン411〜419に使用したナノインクは、その接合メカニズムゆえに、導電ペースト等に比べて接続抵抗が低い特徴を有し、この特徴により、基板実装分野においてインクジェット、デイスペンサ―、スクリーン印刷などあらゆる塗布方法での活用が可能である。ここで、特にインクジェットは、材料効率がよく、極めて微細なレベルで細密塗布が可能という他の塗布方法にはない特徴を有する。インクジェットによれば、例えば、パターンの最小幅を約10μmにでき、パターン同士の最小間隔(隣合うパターン同士が互いに結合しない間隔)を約10μmにできる。このため、このインクジェット法によりナノインクの使用がより効果的となり、これらインクジェット法とナノインク使用との相乗効果により、一層の細密配線に貢献できる。
ここで、市販品のナノインクと、同じく市販品の導電性ペーストとを次表の各項目について比較する。なお、表中の「IJ」はインクジェットを意味する。また、ナノインク使用かつIJ印刷の場合で細密配線を行う際のパターン幅は、例えば10μm程度とすることができるのに対して、IJ以外の印刷の場合では、100μm程度となる。
Figure 2007336684
〔第2実施形態〕
次に、本発明の第2実施形態について図20および図21を参照して説明する。本実施形態は、第1実施形態と略同様に構成されているが、第1実施形態とは異なる手段により、電極体表面部と保持体体表面部との間の段差を緩和する。
なお、以下の説明では、既に説明した実施形態と同様の構成については、同一符号を付して、説明を省略もしくは簡略する。
図20および図21はそれぞれ、本実施形態における圧電アクチュエータ22の平面図および側断面図である。
本実施形態における圧電アクチュエータ22の振動体22Aは、矩形板状の圧電素子33A,33Bと、これらの圧電素子33A,33Bの間に介装される保持体21とを備えて構成されている。
圧電素子33A,33Bの長辺側面部354(図21)は圧電素子33A,33Bの厚み方向に沿って略真っ直ぐに形成されており、第1実施形態の圧電素子30A,30Bのような傾斜面とはされていない。その代わり、本実施形態では、圧電素子33Aの電極体表面部351と腕部212の保持体体表面部2120との内側に、絶縁性のモールド部材513が設けられている。
モールド部材513は、図20に示すように、導通パターン411,412,414がいずれも通る括れ部212Dと、この括れ部212Dから各パッド451〜453にそれぞれ向かう各部分とに一体的に形成されている。導通パターン411,412,414相互間の絶縁、およびこれら導通パターン411,412,414と腕部212との間の絶縁は、このモールド部材513と絶縁層511とによって行われている。
ここで、図21に示すように、モールド部材513の厚みは、電極体表面部351側では圧電素子33Aの厚みと略同様であり、保持体体表面部2120側へ向かって次第に薄くなっている。つまり、モールド部材513の表面部513Aはスロープ状とされており、このスロープによって電極体表面部351と保持体体表面部2120との間の段差が緩和されている。
本実施形態では、電極パターン311〜315を圧電素子33Aの外部に引き出す導通パターン411,412,414がそれぞれ、電極体表面部351、モールド部材513の表面部513A、および保持体体表面部2120に亘って形成されている。ここで、モールド部材513の表面部513Aも圧電素子33Aおよび保持体21の体表面部35を構成することになる。
本実施形態の振動体22Aの製造は、絶縁層511の形成後、導通パターン411,412,414を形成する前にモールド部材513を設ける点以外は、第1実施形態と略同様に行う。モールド部材513の形成は、例えば、エポキシ系絶縁樹脂などにより調製したモールドをディスペンサなどで吐出することによって行う。
本実施形態によれば、前述の効果に加えて、次のような効果を奏する。
(8)スロープ状に形成されたモールド部材513により、前述の圧電素子30の傾斜面部352と略同様に、電極体表面部351と保持体体表面部2120との間の段差を緩和でき、導通パターン411,412,414を良好な導通品質で安定的に形成できる。
また、モールド部材513の形状自由度により、導通パターン411,412,414を良好に形成可能な角度や形状でスロープを形成できる。
〔第3実施形態〕
次に、本発明の第3実施形態を図22を参照して説明する。本実施形態は、第1実施形態と略同様に構成されているが、第1、第2実施形態とは異なる手段により、電極体表面部と保持体体表面部との間の段差に対処する。
図22は、本実施形態における圧電アクチュエータ23の側断面図である。
圧電アクチュエータ23における振動体23Aは、矩形平板状の圧電素子33A,33Bと、略板状の保持体26とを備えている。
保持体26は、圧電素子33A,33Bが積層される略矩形状の本体211と、この本体211に連設される延出部としての腕部261,262とを有する。
ここで、腕部261,262は、本体211の平面位置よりも圧電素子33A側に突出するように厚肉に形成されており、腕部261,262の表面平面部である保持体体表面部2610,2620は、圧電素子33Aの電極体表面部351と略同一面に配置されている。つまり、圧電素子33Aの電極体表面部351に対する前記の段差は解消され、電極体表面部351および保持体体表面部2610に亘り構成される体表面部35に、前述した導通パターン411,412,414がそれぞれ形成される。
本実施形態の圧電アクチュエータ23の製造は、第1実施形態と略同様に行われるため、その説明を省略する。
本実施形態によれば、前述の効果に加えて、次のような効果を奏する。
(9)腕部261,262を本体211よりも厚く形成するだけで、圧電素子33A,33Bおよび保持体21に何らの部材を追加することなく、電極体表面部351と保持体体表面部2120との間の段差を解消することが可能となる。この段差解消により、導通パターン411,412,414をより良好な導通品質で安定的に形成できる。
〔第4実施形態〕
次に、本発明の第4実施形態を図23を参照して説明する。本実施形態は、第3実施形態とは異なる手段により、電極体表面部と保持体体表面部との間の段差を解消する。
図23は、本実施形態における圧電アクチュエータ24の側断面図である。
圧電アクチュエータ24における振動体24Aは、圧電素子33A,33Bと、略板状の保持体27とを備える。
保持体27は、前述の本体211と、腕部212,213とに加えて、腕部212に積層される絶縁性の板状部材214を有する。
板状部材214には、ポリイミド製の汎用リード基板などが転用されており、腕部212の圧電素子33A側の表面212Fに積層されている。この板状部材214の厚みは、圧電素子33Aと略同様に形成されており、圧電素子33Aの電極体表面部351と、板状部材214の表面部である保持体体表面部2140とは、略同一面に配置されている。つまり、圧電素子33Aの電極体表面部351に対する段差(電極体表面部351と腕部212の表面212Fとの段差)は解消され、これら電極体表面部351および保持体体表面部2610に亘り構成される体表面部35に、前述した導通パターン411,412,414がそれぞれ形成される。
なお、本実施形態では、絶縁性の板状部材214を使用しているため、絶縁層511は、圧電素子33Aの電極体表面部351にのみ形成すれば足りる。
本実施形態の圧電アクチュエータ24の製造は、導通部形成工程S5(図13)以前に板状部材214を腕部212,213に接合する点を除き、第1実施形態と略同様に行われる。
本実施形態によれば、前述の効果に加えて、次のような効果を奏する。
(10)汎用などの板状部材214を用いることで、第3実施形態における保持体26を形成する際のような部品加工を不要としながら、第3実施形態と同様に電極体表面部351に対する段差を解消できる。すなわち、部品製作コスト上、有利な構成とできる。
〔第5実施形態〕
次に、本発明の第5実施形態を図24および図25を参照して説明する。本実施形態では、表側の圧電素子33Aに形成された電極と、裏側の圧電素子33Bに形成された電極とを互いに導通させる手段を保持体が兼ねる例を示す。
図24は、本実施形態の圧電アクチュエータ25の平面図、図25は、圧電アクチュエータ25の側断面図である。
圧電アクチュエータ25の振動体25Aは、前述の圧電素子33A,33Bと、略板状の保持体21Xとを備えた積層体である。
保持体21Xは、本体211´と、腕部212´,213とを有する。ここで、腕部212´には、腕部212´を貫通する筒状の導電部材であるスルーホール(表裏導通手段)212Hが3つ設けられている。なお、腕部212´の表裏両面には、絶縁性を確保する表面加工などにより絶縁膜514が予め形成されている。
本体211´は、圧電素子33A,33Bと同様の縦横寸法に形成されている。
ここで、圧電素子33A,33Bのいずれにも、導通パターン411〜414が形成されており、圧電素子33Aに形成された導通パターン411,412,414と、圧電素子33Bに形成された導通パターン411,412,414とは、それぞれスルーホール212Hを通じて互いに導通している。従って、前記各実施形態で形成されていた導通パターン415〜419(図6)や、絶縁層512は本実施形態では形成されていない。
本実施形態の圧電アクチュエータ25の製造において、導通パターン411,412,414を形成する際は、スルーホール212Hの内周面にもインクが案内されるようにすれば、導通パターン411同士、導通パターン412同士、および導通パターン414同士をそれぞれ、確実に導通することができる。
本実施形態によれば、前述の効果に加えて、次のような効果を奏する。
(11)腕部212´がスルーホール212Hを有することにより、圧電素子33A,33Bの電極パターン311〜315同士の導通に際し、圧電素子33A,33Bに穿孔などすることなく、これらを互いに導通させることができる。すなわち、保持体21Xを圧電素子33A,33Bの保持手段に加えて表裏導通手段としても兼用できる。
(12)また、腕部212´が表裏導通手段を有することから、振動体25Aの短辺側の側面部などを介して圧電素子33A,33Bの各電極パターン同士を導通する導通パターン、およびこの導通パターンに必要とされる絶縁層を不要にできる。
すなわち、振動体25Aの屈曲振動の腹B(図9)の付近に導通パターンや絶縁層を設けなくて済むため、振動体25Aの振動エネルギ効率を良好にでき、外乱時における断線なども防止できる。
〔第6実施形態〕
次に、本発明の第6実施形態を図26〜図29を参照して説明する。
図26は、本実施形態における圧電アクチュエータ36の側断面図である。圧電アクチュエータ(超音波モータ)36は、圧電素子361が積層される円板状の弾性体360と、この弾性体360を軸支保持する保持体365とを備え、保持体365に弾性体360と同軸に設けられた被駆動体としてのロータ368を回転駆動するものとなっている。この圧電アクチュエータ36では、弾性体360、圧電素子361、および保持体365によって振動体36Aが構成されている。
ロータ368にはピボット369Pを介してバネ部材369が設けられ、バネ部材369により、振動体36Aとロータ368とは互いに加圧された状態で組み付けられる。
なお、ロータ368が軸支される保持体365の先端部365Aの周りには、ロータ368が回転する際の摩擦抵抗を小さくする穴石365Bが設けられている。
弾性体360は、導電性材料で形成されている。また、弾性体360の圧電素子361とは反対側の面には、突起360Aが周方向において等間隔に突出形成され、これらの突起360Aはロータ368に当接されている。
また、保持体365には、絶縁性を確保する表面処理が施されている。
図27は、保持体365側から弾性体360を示す斜視図である。また、図28は、弾性体360に設けられた圧電素子361を示す平面図である。
圧電素子361は円形板状であり、この圧電素子361には、めっき、スパッタ、蒸着などで形成された導電膜がエッチングなどで刻設された溝362Dによって分割されることにより、第1電極362Aと第2電極362Bとが形成されている。すなわち、溝362Dの内側で、圧電素子361を径方向に8等分した領域を1つ置きに軸部361Z側で繋げた形状の第1電極362Aと、溝362Dの外側で、圧電素子361を径方向に8等分した領域を1つ置きに外周部361Y側で繋げた形状の第2電極362Bとが形成されている。なお、本実施形態の8分割に限らず、例えば6分割や10分割、12分割などされていてもよい。
このような第1、第2電極362A,362Bにおいて、圧電素子361の軸部361Z側には、図27、図28に示すように、導通パターン421,422がそれぞれ形成されている。第1、第2電極362A,362Bはそれぞれ、これらの導通パターン421,422によって保持体365の体表面部を介して圧電アクチュエータ36外部に引き出されている。これらの導通パターン421,422は、最終的には、図示しない回路基板に実装された駆動制御装置に導通されている。
なお、図示していないが、弾性体360の圧電素子361とは反対側には、任意の導通手段が設けられ、弾性体360には回路基板の基準電位が給電される。このような構成により、弾性体360を第1、第2電極362A,362Bの共通電極として、第1電極362Aと弾性体360との間、および第2電極362Bと弾性体360との間でそれぞれ、圧電素子361に電圧が印加される。
ここで、図27に示すように導通パターン421,422は、第1、第2電極362A,362Bがそれぞれ形成された電極体表面部3620から、保持体365の軸部365Zの外周面365Cに沿って延び、さらに、保持体365のベース部365Xの表面365Dに沿って形成されている。本実施形態では、これら電極体表面部3620と、軸部365Zの外周面365Cおよびベース部365Xの表面365Dを含む保持体体表面部3650とに亘って、振動体36Aの体表面部35が構成されている。
なお、保持体365の軸部365Zの位置は、略円板状の振動体36Aにおける呼吸振動(後述)の節近傍の位置に相当し、この節近傍に導通パターン421,422が配線されることで、これら導通パターン421,422の形成による振動体36Aの振動への影響が抑制されている。
また、本実施形態では、導通パターン421,422が通るベース部365Xの表面部分には、立体的に面取りされた3次元R形状の面取部365Eが形成されている。また、電極体表面部3620と保持体365の軸部の外周面365Cとの内側には、絶縁性のモールド部材515A,515Bがフィレット状に設けられている。
ここで、本実施形態においても、導通パターン421,422は液状物を用いるインクジェット法によって形成されている。すなわち、インクを電極体表面部3620、保持体365軸部の外周面365C、およびベース部365Xの表面365Dにそれぞれ噴射し、乾燥固化させることで導通パターン421,422が形成される。この際、モールド部材513および面取部365Eにより、導通パターン421,422をより安定的に形成できる。
ところで、圧電素子361は、図28に示すように、周方向に沿って第1電極362Aの各部362aと第2電極362Bの各部362bとが並んでいる構成において、図28中、+、−で示したように、各部362a,362bの2つごとに交互に同方向となる分極処理がなされている。つまり、圧電素子361の径方向に沿って分けられた4つの領域369A〜369Dのうち隣合う各領域における分極方向は互いに反対向き、例えば一方の領域における電荷方向が圧電素子361の表面(電極体表面部3620)から裏面(弾性体360が設けられた側)への方向であるとすると、他方の領域における電荷方向は裏面から表面への方向に設定されている。
前述の突起360Aは、領域369A〜369Dの境界にそれぞれ合計4つ配置されている。
以下、圧電アクチュエータ36の動作について説明する。
図29は、圧電アクチュエータ36の動作を示す模式図である。圧電アクチュエータ36は、第1、第2電極362A,362Bを選択的に用いることにより、図29(A)に示す正方向、図29(B)に示す逆方向の両方向にロータ368を回転駆動させることが可能である。すなわち、図示しない駆動制御装置は、導通パターン421,422を介して導通される第1、第2電極362A,362Bへの給電を切り替え可能に構成されている。
図29(A)は、第1電極362Aと弾性体360との間で圧電素子361に交流電圧を印加し、ロータ368を正方向に駆動する場合を示す。第1電極362Aのみを電圧印加対象とするとき、第1電極362Aが形成された部分に生じる圧電素子361の径方向両端側への広がり振動(呼吸振動)に対して、第2電極362Bにおける拘束力および前述した分極処理によって屈曲振動が誘起する。この屈曲振動は、図29(A)の弾性体360を模式的に示した実線および二点鎖線のように挙動し、この際、弾性体360の突起360Aが描く軌跡を矢印で示した。この突起360Aとの接線方向にロータ368が駆動される。
一方、図29(B)は、第2電極362Bと弾性体360との間で圧電素子361に交流電圧を印加し、ロータ368を逆方向に駆動する場合を示す。第2電極362Bのみを電圧印加対象とするとき、第1電極362Bにおける拘束力および前述した分極処理により、圧電素子361の呼吸振動に対して屈曲する屈曲振動が誘起する。この屈曲振動の位相は図29(A)の場合とは変わり、この屈曲振動によって突起360Aが描く軌跡を矢印で示した。この突起360Aとの接線方向にロータ368が駆動される。この屈曲振動は、図29(B)の弾性体360を示した実線および二点鎖線のように挙動し、この際、弾性体360の突起360Aが描く軌跡を矢印で示した。この突起360Aとの接線方向にロータ368が駆動される。
このように、第1、第2電極362A,362Bの境界に配置された突起360Aが振動体36Aの振動をロータの回転運動へ変換する。
ここで、弾性体360および圧電素子361は回転せず、屈曲振動の節および腹の位置は図示したように不変であるから、圧電アクチュエータ36は定在波駆動方式とされている。
本実施形態の圧電アクチュエータ36は、前記各実施形態における圧電アクチュエータとは形状および構造が異なるが、圧電素子に形成された電極を圧電素子外部に引き出す導通部が常温では導電性粒子を含有した液状物を用いて形成されている点では同様であり、この構成により、前述したものと略同様の効果を奏する。
すなわち、導通パターン421,422の形成によって圧電素子361における導通実装が嵩張らず、小型化薄型化を促進できるとともに製造も容易化できる。また、導通パターン421,422と圧電素子361および保持体365との一体性により、振動の減衰を極力小さくすることが可能であるため、振動エネルギ効率を良好にできる。
〔第7実施形態〕
次に、本発明の第7実施形態を図30および図31を参照して説明する。
図30は、本実施形態における圧電アクチュエータ37の側断面図である。圧電アクチュエータ(超音波モータ)37は、第6実施形態の圧電アクチュエータ36と一見、構造が似ているが、この圧電アクチュエータ36とは異なり、進行波駆動方式を採用している。
圧電アクチュエータ37は、圧電素子371が積層される円環状で導電性の弾性体370と、この弾性体370を軸支保持する保持体365とを備え、保持体365に弾性体370と同軸に設けられた被駆動体としてのロータ368を回転駆動するものとなっている。この圧電アクチュエータ37では、弾性体370、圧電素子371、および保持体365によって振動体37Aが構成されている。
弾性体370の表面には、ロータ368との適切な摩擦を確保するための摩擦材370Aが積層されている。
図31は、圧電素子371の平面図を示す。圧電素子371には、めっきなどで形成された導電膜が径方向に分割されることで複数の電極372A〜372Nが形成されており、これらのうち電極372A〜372Lが形成された部分は、図31に+、−で示したように、隣接するもの同士が逆極性となるように、厚さ方向にそれぞれ分極されている。
ここで、圧電素子371の電極体表面部3720には電極372A〜372Fに跨る導通パターン431が形成され、この導通パターン431は、保持体365の軸部365Zの外周面365Cに沿って延び、ベース部365Xの表面365Dに延出するように形成されている。
また、同じく圧電素子371の電極体表面部3720において電極372G〜372Lに跨る導通パターン432が形成され、この導通パターン432も、導通パターン431と同様に、電極体表面部3720と、軸部365Zの外周面365Cおよびベース部365Xの表面365Dを含む保持体体表面部3650とに亘る振動体37Aの体表面部35に沿って形成されている。
これらの導通パターン431,432は、液状物を用いてインクジェット法により形成したもので、導通パターン431によって電極372A〜372Fが互いに導通されるとともに圧電素子371の外部に引き出され、導通パターン432によって電極372G〜372Lが互いに導通されるとともに圧電素子371の外部に引き出されている。これらの導通パターン431,432は最終的に、図示しない回路基板に実装された駆動制御装置に導通されている。
このような圧電アクチュエータ37では、図示しない駆動制御装置により、電極372A〜372Fで構成される第1電極群379Aと、電極372G〜372Lで構成される第2電極群379Bとにそれぞれ、互いに略90°の位相差となる交流電圧を供給する。これにより、第1電極群379Aと弾性体370との間の電圧印加によって生じる定在波と、第2電極群379Bと弾性体370との間の電圧印加によって生じる定在波とが合成され、弾性体370の表面に弾性体370の周回方向に進行するたわみ進行波が生じる。この際、ロータ368は摩擦材370Aとの摩擦により、進行波の進行方向とは逆方向に駆動される。
駆動制御装置により、第1、第2電極群379A,379Bに供給する駆動電圧の位相差が+90°または−90°に切り替えることにより、ロータ368は正方向および逆方向の両方向に駆動される。
本実施形態についても、圧電素子に形成された電極を圧電素子外部に引き出す導通部が常温では導電性粒子を含有した液状物を用いて形成されている点では前記各実施形態と同様であり、この構成により、前記各実施形態と略同様の効果を奏する。
〔第8実施形態〕
次に、本発明の第8実施形態を図32〜図34を参照して説明する。本実施形態は、電子機器である電子時計への組み込み例を示す。
[1.全体構成]
図32は、本実施形態に係る電子時計7の外観図である。電子時計7は、計時部としてのムーブメント131と、時分秒を表示するための計時情報表示部としての文字板132、時針133、分針134、秒針135のほか、文字板132に設けられた窓部132Aから日付を表示する日付表示装置140を備えた腕時計(ウォッチ)である。
[2.日付表示装置の構成]
図33は、底板131Aに支持された日付表示装置140を示す平面図である。日付表示装置140は、第1実施形態の圧電アクチュエータ20(図3)と、この圧電アクチュエータ20によって回転駆動される被駆動体としてのロータ28と、ロータ28の回転を減速しつつ伝達する減速輪列141と、減速輪列141を介して伝達される駆動力により回転する日車142とを備えて大略構成されている。
ロータ28は、日の変わり目、あるいは日付補正時に圧電アクチュエータ20により回転駆動される。本実施形態では、ロータ28を圧電アクチュエータ20の振動体20Aに向けて付勢するバネ部材281が設けられている。
減速輪列141は、ロータ28と同軸に配置されてロータ28と一体的に回転する歯車1411と、歯車1411に噛合する日回し中間車1412と、日回し車1413とで構成されている。
なお、底板131Aの下方(裏側)には、水晶振動子が発振するパルス信号で動作するステッピングモータや(図示せず)、ステッピングモータに接続されて時針133、分針134、秒針135を駆動する運針輪列(図示せず)や、電池131B等が設けられている。電池131Bは、ステッピングモータや圧電アクチュエータ20、圧電アクチュエータ20に交流電圧を印加する駆動回路(図示せず)などの各回路に電力を供給する。
日回し中間車1412は、大径部1412Aと小径部1412Bとから構成されている。小径部1412Bは、大径部1412Aよりも若干小径の円筒形であり、その外周面には、略正方形状の切欠部1412Cが形成されている。この小径部1412Bは、大径部1412Aに対し、同心をなすように固着されている。大径部1412Aには、ロータ28の上部の歯車1411が噛合していることにより、日回し中間車1412は、ロータ28の回転に連動して回転する。
日回し中間車1412の側方の底板131Aには、板バネ1414が設けられており、この板バネ1414の基端部が底板131Aに固定され、先端部が略V字状に折り曲げられて形成されている。板バネ1414の先端部は、日回し中間車1412の切欠部1412Cに出入可能に設けられている。板バネ1414に近接した位置には、接触子1415が配置されており、この接触子1415は、日回し中間車1412が回転し板バネ1414の先端部が切欠部1412Cに入り込んだときに、板バネ1414と接触するようになっている。そして、板バネ1414には、所定の電圧が印加されており、板バネ1414が接触子1415に接触すると、その電圧が接触子1415にも印加される。従って、接触子1415の電圧を検出することによって、日送り状態を検出でき、日車142の1日分の回転量が検出できる。
なお、日車142の回転量は、板バネ1414や接触子1415を用いたものに限らず、ロータ28や日回し中間車1412の回転状態を検出して所定のパルス信号を出力するものなどを利用でき、具体的には、公知のフォトリフレクタ、フォトインタラプタ、MRセンサ等の各種の回転エンコーダ等が利用できる。
日車142は、リング状であり、その内周面に内歯車1421が形成されている。日回し車1413は、五歯の歯車を有しており、日車142の内歯車1421に噛合している。また、日回し車1413の中心には、シャフト1413Aが設けられており、このシャフト1413Aは、底板131Aに形成された貫通孔131Cに遊挿されている。貫通孔131Cは、日車142の周回方向に沿って長く形成されている。そして、日回し車1413およびシャフト1413Aは、底板131Aに固定された板バネ1413Bによって図33の右上方向に付勢されている。この板バネ1413Bの付勢作用によって日車142の揺動も防止される。
[3.圧電アクチュエータの構成]
図34は、図33の部分拡大図である。
圧電アクチュエータ20は、日付の変わり目に、あるいは、日付補正時に起動され、図示しない駆動回路によって交流電圧が供給されることにより、ロータ28を駆動する。
なお、本実施形態の日付表示装置140には、前述したすべての圧電アクチュエータを組み込むことが可能である。
本実施形態によれば、前述の効果に加えて、次のような効果を奏する。
(13)電子時計7では、時計における駆動手段として一般的なステッピングモータなどに置換して、圧電アクチュエータ20を採用しており、これによって磁気の影響を受けない。さらに、応答性が高く微小送りが可能、小型化・薄型化に有利、高トルク、保持トルク(無通電であってもロータ位置が保持される)が大きいなどのメリットを享受できる。
(14)また、圧電アクチュエータ20は特に薄型であるため、薄型化が大きな課題とされる時計への組み込みに好適であり、また、圧電素子30A,30Bにおけるパラレル接続によって低電圧で大きな変位を得ることができるから、時計など電池で駆動させる携帯機器に好適な構成とすることができる。
〔本発明の変形例〕
以上、本発明の実施態様について具体的に示したが、前記各実施形態に限らず、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の改良、変形が可能である。なお、本発明の圧電素子の製造方法および振動体の製造方法は、これらの製造装置にそれぞれ展開可能である。
本発明は、常温では導電性粒子を含有した液状物を用いて導通部を振動体の体表面部に直接形成することを要旨とするものであり、導通部を形成する方法としては、前記各実施形態で例示したインクジェット法のほかに、タンポ(パット)印刷、スクリーン印刷、ディスペンサによる塗布などを例示できる。
また、導通部と同様に、絶縁層に関しても、液状の絶縁体を用いるインクジェット法、タンポ(パット)印刷、スクリーン印刷、ディスペンサによる塗布などによって形成することも本発明に含まれる。
なお、前記各実施形態では、補強板の腕部212,213の表面にもインクジェットによって絶縁層を形成していたが、本発明では、腕部212,213には他の手段によって絶縁層が形成されていてもよい。つまり、絶縁性を確保する表面加工を別途腕部212,213に施したり、絶縁性のシートなどを腕部212,213の表面に設置したりしてもよい。
さらに、前記各実施形態では、圧電素子30A,30Bの表面部351に電極が形成されていたが、電極が形成される圧電素子の部位は特に限定されず、例えば、補強板21と対向する圧電素子30A,30Bの裏面側に複数の電極が形成され、これらの電極同士を導通する導通部がこの裏面側に形成された後、圧電素子30A,30Bが補強板21に積層されていてもよい。つまり、本発明における圧電素子の電極体表面部には、圧電素子の表裏平面、側面、周面など、その向きを問わず、すべての体表面部が含まれる。
前記実施形態では、一対の腕部212,213を有して支持部材などに両側面側で固定される振動体を示したが、これに限らず、本発明の振動体は、片側で支持固定されていてもよい。この場合、被駆動体との当接部(突起)の位置を支持固定された側とは反対側に幅方向にずらすなどして、当接部(突起)が一の楕円軌道を描くものとし、被駆動体が一方向に送られるものとしてもよい。ここで、圧電素子の表面および裏面のそれぞれの電極は、分割されていなくてもよい。
また、圧電アクチュエータの電子機器への組み込みに関し、圧電アクチュエータまたはロータにばねなどの付勢手段を設け、圧電アクチュエータの当接部(突起)とロータとの間を加圧してもよい。ここで、付勢手段としてスライドを使用してもよく、つまりスライダで圧電アクチュエータをスライド可能に保持した状態で支持部材などに組み付けてもよい。
また、前記各実施形態では、交流電圧が印加され振動する圧電素子を例示したが、直流電圧が印加された際の圧電素子の変位を利用してもよい。このような例としては、直流電圧が印加される圧電バルブなどが挙げられる。
さらに、圧電アクチュエータの電極パターンのレイアウトや、導通パターンの取り回し、圧電素子と補強板との積層態様、補強板に積層する圧電素子の個数などは任意に構成できる。圧電素子の変位方向は分極方向および電界の方向に応じて適宜設定すればよく、圧電縦効果、圧電横効果、圧電厚みすべり効果などを奏するものでもよい。
なお、補強板は必須ではなく、圧電素子単体で用いることも可能である。この場合は、圧電素子に被駆動体との当接部を一体に形成したり、別体で形成した突起部材などを圧電素子に固着したり、あるいは、矩形状などとされた圧電素子の角部を被駆動体に当接するなどすればよい。
本発明は、前記実施形態のプリンタや電子時計に適用されるものに限らず、各種の電子機器に適用可能であり、特に小型化が要求される携帯用の電子機器に好適である。
ここで、各種の電子機器としては、時計機能を備えた電話、携帯電話、非接触ICカード、パソコン、携帯情報端末(PDA)、カメラ等が例示できる。
また、時計機能を備えないカメラ、ディジタルカメラ、ビデオカメラ、カメラ機能付き携帯電話等の電子機器にも適用可能である。これらカメラ機能を備えた電子機器に適用する場合には、レンズの合焦機構や、ズーム機構、絞り調整機構等の駆動に本発明の圧電アクチュエータを用いることができる。
さらに、計測機器のメータ指針の駆動機構や、自動車等のインパネ(instrumental panel)のメータ指針の駆動機構、圧電ブザー、プリンタ等に用いられるインクジェットヘッドの圧電振動子(図13の圧電振動子114も可)、プリンタの紙送り機構、乗り物や人形などの可動玩具類の駆動機構および姿勢補正機構、超音波モータ、ハードディスクドライブ、超音波洗浄器、超音波加湿器、超音波溶着・溶接装置、超音波治療器、超音波カッター、チューブポンプ等に本発明の圧電アクチュエータを用いてもよい。
また、前記実施形態では、圧電アクチュエータ20を暦を示す表示装置の駆動に用いていたが、これに限らず、計時された時刻情報を示す指針の駆動に本発明の圧電アクチュエータを用いてもよい。
なお、前記各実施形態では、圧電アクチュエータの適用例として腕時計を示したが、これに限定されず、本発明は、懐中時計、置時計、掛け時計などにも適用できる。これらの各種時計において、例えばからくり人形などを駆動する機構としても利用できる。
また、前記各実施形態では、圧電素子を駆動装置として利用する圧電アクチュエータを示したが、圧電素子の利用範囲はこれに留まらず、正圧電効果による圧電素子の歪(変位)の状態を示す電圧信号の情報的な利用、例えば、水中通信装置(ソナー)、魚群探知機(測深機)、距離計、非破壊検査装置(超音波探傷機)、超音波診断装置、超音波厚み計、流量計などにも圧電素子を利用できる。
さらに、第1実施形態では、図16に示したように、基材300の斜めダイシングにより、圧電素子30に傾斜面部352を形成していたが、これに限らず、図35に示すように、圧電素子30の角部に面取部355を形成することによって、圧電素子の電極体表面部と保持体体表面部との間の段差緩和を図っても良い。
このような面取部355は、例えば、圧電素子30の厚み方向に沿って、切削面が円錐面のフライス、ダイシングソー等で圧電素子30の厚み寸法の半分程度まで(これより小さくても大きくても良い)切削することなどによって形成可能である。図35に示す切削角度θ3は、約90°であるが、この角度θ3は例えば60°〜120°程度の範囲で適宜決められる。このような面取部355の形成後、切削面が円筒面のフライス、ダイシングソーなどによって基材300を厚み方向に沿って分割して複数の圧電素子30に個片化すればよい。ここで、各圧電素子30の幅方向両側にそれぞれ形成される面取部355は、その傾斜する向きが圧電素子30の厚み方向に対して対称となる。なお、第1実施形態における図15、図16とは異なり、図35では各圧電素子30の表裏の向きは同じであって、面取部355が形成された側が圧電素子30の表面側であり、面取部355とは反対側の裏面側が補強板21と接合される。
本発明を実施するための最良の構成、方法などは、以上の記載で開示されているが、本発明は、これに限定されるものではない。すなわち、本発明は、主に特定の実施形態に関して特に図示され、かつ、説明されているが、本発明の技術的思想および目的の範囲から逸脱することなく、以上述べた実施形態に対し、形状、材質、数量、その他の詳細な構成において、当業者が様々な変形を加えることができるものである。
したがって、上記に開示した形状、材質などを限定した記載は、本発明の理解を容易にするために例示的に記載したものであり、本発明を限定するものではないから、それらの形状、材質などの限定の一部もしくは全部の限定を外した部材の名称での記載は、本発明に含まれるものである。
本発明の第1実施形態におけるプリンタの概略図。 前記実施形態における圧電アクチュエータユニットの斜視図。 前記実施形態におけ圧電アクチュエータの斜視図。 前記実施形態における圧電アクチュエータの長辺側断面図。 前記実施形態における圧電アクチュエータの短辺側断面図。 前記実施形態における圧電アクチュエータの配線を示す平面図。 前記実施形態における振動体の側面を示す斜視図。 前記実施形態における振動体側面側の絶縁層を示す断面図。 前記実施形態における振動体の屈曲振動について示す模式図。 前記実施形態におけるインクジェットヘッドの一部を示す断面斜視図。 前記インクジェットヘッドのノズルの拡大断面図。 前記ノズルの液滴吐出を示す断面図。 前記実施形態における振動体の製造工程を示すフロー図。 前記実施形態における基材に対する電極形成工程を示す図。 図14(A)の部分拡大図。 図15に示した基材の側断面図。 前記実施形態における積層工程について示す図。 前記実施形態における絶縁層形成工程について示す図。 前記実施形態における導通部形成工程について示す図。 本発明の第2実施形態における圧電アクチュエータの平面図。 前記実施形態における圧電アクチュエータの短辺側断面図。 本発明の第3実施形態における圧電アクチュエータの短辺側断面図。 本発明の第4実施形態における圧電アクチュエータの短辺側断面図。 本発明の第5実施形態における圧電アクチュエータの平面図。 前記実施形態における圧電アクチュエータの短辺側断面図。 本発明の第6実施形態における圧電アクチュエータの側断面図。 前記実施形態における圧電素子および弾性体を示す斜視図。 前記実施形態における圧電素子の電極体表面部を示す平面図。 前記実施形態における圧電アクチュエータの動作を示す模式図。 本発明の第7実施形態における圧電アクチュエータの側断面図。 前記実施形態における圧電素子の電極体表面部を示す平面図。 本発明の第8実施形態における時計の外観図。 前記実施形態における日付表示装置を示す平面図。 図33の部分拡大図。 本発明の変形例において、圧電素子が個片化される基材の側断面図。 従来例の圧電アクチュエータを示す図。
符号の説明
1・・・プリンタ(電子機器)、5・・・紙送りローラ、7・・・電子時計(電子機器)、20,22〜25,36,37・・・圧電アクチュエータ、20A,22A,23A,24A,25A,36A,37A・・・振動体、21,21X,26,27,365・・・保持体、28,368・・・ロータ(被駆動体)、30A,30B,33A,33B,361,371・・・圧電素子、35・・・体表面部、110・・・インクジェットヘッド、120・・・インク(液状物または液状の絶縁体)、131・・・ムーブメント(計時部)、132・・・文字板(計時情報表示部)、133・・・時針(計時情報表示部)、134・・・分針(計時情報表示部)、135・・・秒針(計時情報表示部)、140・・・日付表示装置(計時情報表示部)、211・・・本体、212,213,261,262・・・腕部(延出部)、212H・・・スルーホール(表裏導通手段)、214・・・板状部材、300・・・基材、311〜315・・・電極パターン(電極)、351,3620,3720・・・電極体表面部、352・・・傾斜面部、355・・・面取部、362A,362B・・・第1、第2電極(電極)、372A〜372N・・・電極、411〜419・・・導通パターン(導通部)、421,422・・・導通パターン(導通部)、431,432・・・導通パターン(導通部)、511・・・絶縁層、513・・・モールド部材、515A,515B・・・モールド部材、2120,2130,2140,2610,2620,3650・・・保持体体表面部、3620,3720・・・電極体表面部、A・・・節(振動の節)、S1・・・電極形成工程、S3・・・積層工程(組立工程)、S5・・・導通部形成工程、θ1,θ2・・・角度(鈍角)。

Claims (16)

  1. 電極が形成される圧電素子と、この圧電素子を保持する保持体とを備える振動体であって、
    前記圧電素子において前記電極が形成される電極体表面部と前記保持体の保持体体表面部とに亘る当該振動体の体表面部には、前記電極を前記圧電素子の外部に電気的に接続する導通部が形成され、
    前記導通部は、常温では導電性粒子を含有した液状物を前記体表面部に設けた後、当該液状物を常温より高い温度で乾燥固化させることにより前記導電性粒子を相互接触させて形成されている
    ことを特徴とする振動体。
  2. 請求項1に記載の振動体において、
    前記圧電素子および保持体は、略板状とされ、
    前記保持体は、前記圧電素子が積層される本体と、前記本体に連設され前記圧電素子の側面部と交差する方向に延出する延出部とを有し、
    前記電極体表面部は、前記圧電素子の平面部とされ、前記保持体体表面部は、前記延出部の平面部とされている
    ことを特徴とする振動体。
  3. 請求項2に記載の振動体において、
    前記圧電素子は、略矩形板状に形成されるとともに、厚み方向に対して斜めに形成された傾斜面部を長辺側に有し、
    前記傾斜面部と前記電極体表面部とは、および、前記傾斜面部と前記保持体体表面部とは、互いに鈍角を為すようにそれぞれ配置され、
    前記振動体の体表面部は、前記電極体表面部、前記傾斜面部、および前記保持体体表面部に亘っている
    ことを特徴とする振動体。
  4. 請求項3に記載の振動体において、
    前記圧電素子は、略板状の基材から複数に個片化され、
    前記傾斜面部は、前記基材が厚み方向に対して斜めに分割されることで、前記圧電素子の一方の長辺側と他方の長辺側とにそれぞれ、その傾斜方向が対称となるように形成されている
    ことを特徴とする振動体。
  5. 請求項2に記載の振動体において、
    前記電極体表面部と前記保持体体表面部側の前記圧電素子側面部との間の角部は、前記圧電素子の厚み方向に対して斜めに面取りされている
    ことを特徴とする振動体。
  6. 請求項2に記載の振動体において、
    前記側面部と前記保持体体表面部との内側には、モールド部材が設けられ、
    前記モールド部材は、前記圧電素子の厚みと略同様の厚みの前記電極体表面部側から前記保持体体表面部側へ向かって次第に薄くなるように形成されている
    ことを特徴とする振動体。
  7. 請求項1に記載の振動体において、
    前記圧電素子および保持体は、略板状とされ、
    前記保持体は、前記圧電素子が積層される本体と、前記圧電素子の側面部と交差する方向に延出するとともに前記本体の厚みよりも厚く形成された延出部とを有し、
    前記電極体表面部は、前記圧電素子の平面部とされ、
    前記保持体体表面部は、前記延出部の平面部とされ、
    これらの電極体表面部と前記保持体体表面部とは、互いに略同一面に配置されている
    ことを特徴とする振動体。
  8. 請求項1に記載の振動体において、
    前記圧電素子および保持体は、略板状とされ、
    前記保持体は、前記圧電素子が積層される本体と、前記圧電素子の側面部と交差する方向に延出する延出部と、前記圧電素子の厚みと略同様の厚みであって前記延出部に積層される板状部材とを有し、
    前記電極体表面部は、前記圧電素子の平面部とされ、
    前記保持体体表面部は、前記板状部材の平面部とされ、
    これらの電極体表面部と前記保持体体表面部とは、互いに略同一面に配置されている
    ことを特徴とする振動体。
  9. 請求項1に記載の振動体において、
    前記圧電素子および保持体は、略板状とされ、
    前記保持体は、前記圧電素子と積層される本体と、前記本体に連設され前記圧電素子の側面部と交差する方向に延出する延出部とを有し、
    前記圧電素子は、前記本体の表裏にそれぞれ設けられ、
    前記電極体表面部は、前記圧電素子の各平面部とされ、
    前記保持体体表面部は、前記延出部の表裏それぞれの平面部とされ、
    前記延出部は、表裏両側にそれぞれ形成された前記導通部を互いに導通する表裏導通手段を有する
    ことを特徴とする振動体。
  10. 請求項1に記載の振動体において、
    前記圧電素子および保持体は、略板状とされ、
    前記保持体は、導電性とされるとともに、前記圧電素子が積層される本体と、前記本体に連設され前記圧電素子の側面部と交差する方向に延出する延出部とを有し、
    前記電極体表面部は、前記圧電素子の平面部とされ、前記保持体体表面部は、前記延出部の平面部とされ、
    前記保持体体表面部と前記導通部との間には、絶縁層が介装され、
    前記絶縁層は、常温では液状である絶縁体を前記保持体体表面部に設けた後、当該絶縁体を常温より高い温度で乾燥固化させることにより形成されている
    ことを特徴とする振動体。
  11. 請求項1から10のいずれかに記載の振動体において、
    前記導通部は、当該振動体の振動の節近傍に形成されている
    ことを特徴とする振動体。
  12. 請求項1から11のいずれかに記載の振動体を備え、
    前記振動体の振動を被駆動体に伝達することにより当該被駆動体を駆動する
    ことを特徴とする圧電アクチュエータ。
  13. 請求項1から11のいずれかに記載の振動体または請求項12に記載の圧電アクチュエータを備えた
    ことを特徴とする電子機器。
  14. 請求項13に記載の電子機器は、
    計時部と、この計時部で計時された情報を表示する計時情報表示部とを備えた時計である
    ことを特徴とする電子機器。
  15. 振動体を構成する圧電素子の体表面部に電極を形成する電極形成工程と、
    前記圧電素子とこの圧電素子を保持する保持体とを組み立てる組立工程と、
    常温では導電性粒子を含有した液状物を、前記圧電素子において当該電極が形成される電極体表面部と前記保持体の保持体体表面部とを含む前記振動体の体表面部に設けた後、当該液状物を常温より高い温度で乾燥固化させることにより前記導電性粒子を相互接触させて、前記電極を前記圧電素子の外部に電気的に接続する導通部を形成する導通部形成工程とを備える
    ことを特徴とする振動体の製造方法。
  16. 請求項15に記載の振動体の製造方法において、
    前記導通部形成工程では、前記液状物としてのインクを前記体表面部に噴射することによって前記導通部を形成する
    ことを特徴とする振動体の製造方法。
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