JP2004297949A - 圧電アクチュエータおよびこれを備えた機器 - Google Patents
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Abstract
【課題】振動体の振動を阻害することなく、小型化に優れ、圧電素子の電極への配線も容易に行える圧電アクチュエータの支持構造を提供すること。
【解決手段】矩形薄型上の振動体10の中心部を支持部材2で支持することで、変位がない振動の節近傍を支持することになり、前記振動体10の振動を阻害せずに振動体10を支持でき、面内方向へのサイズが小さくできるため小型化に優れる。
【選択図】 図2
【解決手段】矩形薄型上の振動体10の中心部を支持部材2で支持することで、変位がない振動の節近傍を支持することになり、前記振動体10の振動を阻害せずに振動体10を支持でき、面内方向へのサイズが小さくできるため小型化に優れる。
【選択図】 図2
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は圧電アクチュエータの支持構造に関する。
【0002】
【背景技術】
圧電素子は、電気エネルギーから機械エネルギー、又は機械エネルギーから電気エネルギーへの変換効率や応答性に優れているうえ、小型化が可能であることから近年、圧電素子の圧電効果を利用した圧電アクチュエータの開発が進められている。この圧電アクチュエータは、圧電ブザーや超音波モータ、その他精密機械や半導体等の多岐の分野において利用されている。
従来の圧電アクチュエータの支持構造には、振動体の側面に支持部材を設置した構造や(例えば特許文献1)、側面あるいは上面に複数の支持部材を設置した構造がある(例えば特許文献2)。
【0003】
【特許文献1】
特開2000−333480号公報
【特許文献2】
特開平7−184682号公報
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、特許文献1の圧電アクチュエータの支持構造では、支持部材が振動体の側面に取り付けられているため、振動体の振動を阻害することになり、十分な駆動力を得ることができない。また、支持部材が振動体から大きくはみ出てしまうため、サイズが大きくなり、小型化に対応しきれない。さらに、圧電素子の電極への配線が長くなり、使用条件によっては断線する可能性がある。
また、特許文献2の圧電アクチュエータの支持構造では、複数設置される支持部材は振動を阻害することになり、十分な駆動力を得ることができず、さらに、支持部材の数が多いため、部材数が増え、サイズも大きくなる。
【0005】
本発明は、振動体の振動を阻害することなく、小型化に優れ、圧電素子の電極への配線も容易に行える圧電アクチュエータの支持構造を提供する。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明の圧電アクチュエータおよびそれを備えた機器は、矩形薄板状の圧電素子を含む振動体を有するとともに、前記振動体の振動方向が該振動体の面内方向である圧電アクチュエータであって、前記圧電アクチュエータを支持する支持部材は、前記振動体の振動の節近傍となる位置を支持していることを特徴とする。
但し、ここで「振動体の節近傍」とは、振動の節を含んだ範囲の場所をいう。また、「支持している」とは、支持部材に振動体が固定されている状態を意味し、この時、製造過程で生じた僅かなガタ等が存在する場合でも、支持部材に振動体が固定されているものとして扱う。
この発明によれば、振動体の振動の節あるいは節の周囲を支持部材で支持するので、変位がない振動の節を支持することになり、前記振動体の振動を阻害せずに前記振動体が支持されるようになる。また、前記支持部材が前記振動体の中央に1つだけ設けられているので面内方向へのサイズが小さくなり小型化を促進する。さらに、前記支持部材の近傍に配線することで、断線を有効に防止できる。
【0007】
また、本発明では、前記支持部材は前記振動体の振動の面内方向に対して略垂直に当該振動体を支持していることが好ましい。
この発明によれば、支持部材が振動平面に対して略垂直に設けられているので、面内方向のサイズが大きくならず、圧電アクチュエータを含む装置全体の小型化が促進される。
【0008】
また、本発明では、前記振動体の振動は、前記長手方向に沿って伸縮する縦奇数次振動と、前記長手方向に対して屈曲する屈曲偶数次振動との複合振動であり、前記支持部材は、これらの縦奇数次振動の節及び屈曲偶数次振動の節が最も近づいた位置で前記振動体を支持していることが好ましい。
この発明によれば、前記支持部材は縦奇数次振動の節と屈曲偶数次振動の節とが最も近づいた位置で前記振動体を支持しているので、これらの縦奇数次振動及び屈曲偶数次振動のどちらの振動も阻害することなしに前記振動体が支持される。
【0009】
また、本発明では、前記縦奇数次振動は縦1次振動であり、前記屈曲偶数次振動は屈曲2次振動であることが好ましい。
この発明によれば、縦1次振動および屈曲2次振動を励振させるために複雑な振動体の構造は不要であるので、振動体の構造を簡単にでき、かつ小型化できる。
【0010】
また、本発明では、前記圧電素子の電極に電圧を印加するための電圧印加手段を備え、この電圧印加手段は可撓性を有した配線板で形成され、この配線板上の導通パターンまたは当該配線板から延出した箔状の導通パターンが前記電極に接合されていることが好ましい。
この発明によれば、可撓性を有した配線板上に導通パターンを設けているので、この導通パターンを配線板上に整理することができ、配線が絡まることがなく、また配線作業が簡単となる。
【0011】
また、本発明では、前記電圧印加手段は、前記支持部材に取り付けられていることが好ましい。
この発明によれば、前記支持部材に前記圧電素子の表面に電圧を印加するための電圧印加手段を組み込むことで、前記振動体の節に近い位置に配線することができるから、前記支持部材から前記圧電素子の電極への配線が容易に行える。また、これにより、配線が長くならず、さらに、振動の影響が少ないので断線を防止し、配線によって振動が阻害されることがない。
【0012】
また、本発明では、前記圧電アクチュエータが取り付けられる取付部材には、前記振動体を振動の面内方向の一方向に付勢させる付勢手段が設けられていることが好ましい。
この発明によれば、前記取付部材に、前記振動体を振動の面内方向の一方向に付勢させる付勢手段を設けたので、振動体が取付部材ごと被駆動体の方向に付勢され、振動体が前記取付部材に確実に固定された状態で、被駆動体により大きな駆動力を伝達でき、さらに前記振動体周辺の配線等の必要部材をユニット化できるため、組み立てにおいても効率的である。
【0013】
また、本発明では、前記支持部材は弾性を有した前記振動体を面内方向の一方向に付勢可能に設けられていることが好ましい。
この発明によれば、前記振動体を前記振動体に接触する被駆動体の方向に付勢させることにより、より大きな駆動力を得ることが可能である。
【0014】
また、本発明では、前記振動体は前記圧電素子と補強板とを積層して形成され、前記支持部材には前記圧電素子を前記補強板に位置決めするための案内部が設けられていることが好ましい。
この発明によれば、前記支持部材には前記圧電素子の位置決めのための案内部が設けられているので、前記補強板に前記支持部材を取り付け、この補強板に前記圧電素子を取り付ける際に、前記圧電素子を所定の位置に容易に接着することが可能であり、また、貼り付けずれを防止する。
【0015】
また、本発明の装置は、前述の圧電アクチュエータを備えたことを特徴とする。
この発明によれば、前述の圧電アクチュエータを備えているので、前述のような効果を奏することができ、高効率で良好な振動を得ることが可能となる。
【0016】
【発明の実施の形態】
〔第一実施形態〕
本発明の第一実施形態を図1〜図6に基づいて説明する。図1は第一実施形態の圧電アクチュエータの支持構造が適用された車輪体50の平面図を示している。
図1において、車輪体50は、円盤状の基部51と、この基部51の外周部に回転可能に取り付けられた環状の外輪52と、基部51に対して僅かにスライド可能に設置された取付部材53と、この取付部材53に取り付けられた状態で外輪52に当接する圧電アクチュエータ1とを有している。この車輪体50は、例えば、おもちゃの自動車の車輪等に取り付けられている。
【0017】
基部51は、裏面側に図示しない駆動回路や検出回路等を備え、基部51の表面に設けられた導通部56がこれらの回路と導通している。
外輪52は、保持器55で保持されたボール54を介して基部51に回転可能に取り付けられている。外輪52の内周には圧電アクチュエータ1の突起部120が当接する被当接面520が形成され、圧電アクチュエータ1から駆動力を受けることにより外輪52が回転する。
取付部材53は、取付孔530を有し、圧電アクチュエータ1を挟むように一対の押さえ板3が取り付けられる。押さえ板3は、図2にも示すように圧電アクチュエータ1を表側と裏側とから支持する部材であり、取付部材53上に設けられている(図1では裏側の押さえ板3の図示を省略する)。また、取付部材53には付勢手段であるばね57が取り付けられ、基部51に設置されたばねガイド58とこのばね57とによって、圧電アクチュエータ1が被当接面520の方向に付勢されている。
【0018】
図2は圧電アクチュエータ1の振動体10の斜視図を示し、図3は圧電アクチュエータ1の中心付近の断面図を示している。
図1、図2、図3において、圧電アクチュエータ1は、矩形状の振動体10と、振動体10を平面中心近傍で支持する棒状の支持部材2と、振動体10に接続されたフレキシブル配線板4とを備えている。
振動体10は、長手方向を有する矩形平板状で寸法比が長辺:短辺が7:2に形成されており、補強板12と、その両面に接合された圧電素子11とを含んで構成されている。補強板12は、一短辺の中心に略半円状の突起部120を有し、前述したようにこの突起部120が外輪52の被当接面520に当接する。また補強板12の平面中心には支持部材2を挿入するための支持部材挿入孔121が設けられている。この補強板12にはステンレス鋼等のように靭性や強度に富む素材が用いられている。
【0019】
圧電素子11の材質にはチタン酸ジルコン酸鉛(PZT(登録商標))、水晶、ニオブ酸リチウム、チタン酸バリウム、チタン酸鉛、メタニオブ酸鉛、ポリフッ化ビニリデン、亜鉛ニオブ酸鉛、スカンジウムニオブ酸鉛等の各種のものを用いることができる。補強板12の図3中の上面側に接合される圧電素子11の平面中心には治具挿入孔116が設けられ、下面側に接合される圧電素子11の平面中心には鍔挿入孔117が設けられている。これらの治具挿入孔116と鍔挿入孔117の径は略同一に形成され、補強板12への支持部材2の挿入を干渉しない大きさになっている。また、圧電素子11は、長手方向に平行に3等分され、さらにその両側は短辺方向に平行に2等分されている。これらの等分された圧電素子11の表面には電極111〜115が形成され、これらの電極111〜115の支持部材2に近い位置に可撓性を有するフレキシブル配線板4に設けられている導電性のパターン41が圧着あるいは溶着されている。このフレキシブル配線板4上に設けられるパターン41は、先端部がフレキシブル配線板4上から延出してオーバーハングしており、この部分が各電極111〜115に接合されている。パターン41の基部51は導通部56に接続されていて、この導通部56及びパターン41を介して基部51の裏面側に設けられた回路と電極111〜115とが導通している。
【0020】
支持部材2は、補強板12の支持部材挿入孔121に略垂直に挿入されることにより振動体10を支持する。この時、支持部材2の挿入部23の径は支持部材挿入孔121の径より若干大きく設定され、挿入部23を支持部材挿入孔121に圧入することで支持部材2が補強板12に固定されている。また、挿入部23の下部に設けられた鍔22は、圧電素子11との間に隙間が空くようにして鍔挿入孔117に挿入されているとともに、その上面で補強板12を支持している。また、治具挿入孔116は支持部材2を補強板12に圧入する時に使用される治具を挿入するために設けられたものである。
さらに、支持部材2の両端部には、図4に示すように、断面略四角形の固定部21が設けられている。
【0021】
図4において、押さえ板3の中心には案内孔31が設けられている。この案内孔31の径は支持部材2の固定部21の対角寸法より若干小さく設定されており、案内孔31に固定部21を圧入することにより支持部材2が押さえ板3に固定されている。また、この際支持部材2および押さえ板3は導電性を有しており、押さえ板3が図示しない回路のGND(接地)線と電気的に導通していることで、この押さえ板3及び支持部材2を介して補強板12を接地させている。
【0022】
図5(A)〜(C)はこのような圧電アクチュエータ1において、電極111〜115及び補強板3間に電圧を印加した場合の振動体10の運動の様子を示している。
図5(A)は電極113、補強板12間に電圧を印加した際の振動を示している。電極113に電圧を印加した場合、この電極113の部分の圧電素子11が伸縮運動をする。振動体10は長手方向を有するため、長手方向に直交する方向への伸縮より長手方向への伸縮の変位が大きく、したがって振動体10は電極113の略中心を節として縦1次振動を行う。支持部材2はこの縦1次振動の節である振動体10の中心を支持するため縦1次振動の阻害することはない。
【0023】
図5(B)は電極111及び115と補強板12間に電圧を印加した際の振動を示している。電極111及び115に同時に電圧を印加すると、電極111及び115の部分の圧電素子が伸縮運動をする。振動体10全体を見ると、伸縮運動をする電極111及び115の部分と伸縮運動をしない電極112及び114の部分とが非対称になるように分かれるため、屈曲する。そのため、振動体10は電極111,112、114,115から等距離の点である振動体10の略中心点を節として長手方向に直交する方向に屈曲2次振動する。支持部材2はこの屈曲2次振動の節であり、振動体10の中心点に設けられるので屈曲2次振動を阻害することはない。
図5(A)及び図5(B)より支持部材2は縦1次振動と屈曲2次振動の両方の節が最も近づいた位置である振動体10の中心を支持することになり、これらの振動の阻害することなしに振動体10を支持することができる。
【0024】
図5(C)は電極111,113,115と補強板12間に電圧を印加した際の突起部120の動きを示している。突起部120は縦1次振動と屈曲2次振動が複合されることで楕円運動をする。突起部120はこの楕円運動の一部において楕円運動の向きと力に応じた駆動力を被当接面520に与える。
また、被当接面520に与える駆動力の向きを逆にし、外輪52の回転方向を逆にするためには、電圧を印加する電極を、節を中心に線対称にすればよい。すなわち、電極112,113,114と補強板12に電圧を印加することで突起部120は逆向きの楕円運動を描き、この楕円運動に応じた向きに駆動力が働く。
さらに、本発明の第一実施形態では、電圧を印加していない電極は振動検出に用いられ、パターン41を通して電気信号が図示しない振動検出回路に送られる。これにより振動体10の振動を検出し、フィードバック制御により電極に印加する電圧を調整することが可能である。
【0025】
以下には、図6に基づいて振動体10の製造方法について説明する。
先ず、図6(A)に示すように、プレス等でフープ材6を打ち抜くことにより、幅方向の両側に位置決め孔61を穿設するとともに、幅方向に沿った溝63、長手方向に沿った溝64、および位置決め孔61間を結ぶ位置決め線611を境にして両側に複数(本実施形態では5個)の支持部材挿入孔121を穿設し、これにより、長手方向に沿った両側部分に対して接続部65で接続された複数の補強板集合体62を形成する。この際、各補強板集合体62を幅方向に若干ずらして形成しておき、また、溝63を波状に穿設することで、隣接し合う補強板集合体62での複数の突起部120を千鳥状に形成し、多数個取り時の材料の歩留まりを向上させている。なお、この補強板集合体62は、本実施形態では、補強板12(一点鎖線)を長手方向に2個、幅方向に5個の合計10個取りするように設定されている。そして、各補強板集合体62において、幅方向に5個の補強板12は、前記位置決め線611を中心とした線対称になっている。
【0026】
一方、図6(B)に示すように、平板状の圧電基板7をレーザー加工等することにより、幅方向の両側に位置決め孔71を穿設するとともに、位置決め孔71間を結ぶ位置決め線711を境にして両側に複数(本実施形態では5個)の治具挿入孔116または鍔挿入孔117を穿設する。この際、位置決め孔71間相互のピッチ、および挿入孔116,117間相互のピッチはそれぞれ、フープ材6側での位置決め孔61間相互のピッチ、および支持部材挿入孔121間相互のピッチに等しい。したがって、圧電基板7からは、一点鎖線で示すように、補強板集合体62に対応した複数の圧電素子集合体72を取ることが可能であり、各圧電素子集合体72からは、長手方向に2個、幅方向に5個の合計10個の圧電素子11を取ることが可能である。なお、位置決め孔61や挿入孔116,117をレーザー加工で穿設する他、これらの孔71,116,117をはじめから考慮して、圧電基板7全体を焼結等により形成してもよい。
【0027】
次に、位置決め孔61,71同士を合わせるようにしてフープ材6の表裏両面に圧電基板7を接着等により接合する。この後、フープ材6および圧電基板7が一体の状態において、圧電基板7のハッチング部分、すなわち圧電基板7でのフープ材6の溝63に対応する部分のみを幅広のカッターで切削等し、フープ材6側の突起部120を露出させる。そして、圧電基板7での圧電素子集合体72の外形に沿って切削加工(具体的には、長手方向に沿った部分の切削加工)を行い、この切削加工によってフープ材6側の接続部65も同時に削除する。これにより、補強板集合体62の表裏両面に圧電素子集合体72が貼設された集合体、つまり10個の振動体が一体となった複数の集合体を得ることになる。
【0028】
次いで、複数の前記集合体を重ね合わせ、位置決め線611,711に沿って切断し、5個の振動体が一体となった集合体に分割する。さらに、この集合体を重ね合わせ、振動体の外形に沿って切断し(具体的には、長手方向に沿って切断し)、個々の振動体に分割し、単体の振動体10を得る。
以上の振動体10の製造法を用いることで、複数個の振動体10を同時に製造できるので、量産性が向上し、また、補強板12と圧電素子11とを接合した状態で切断することにより、補強板12及び圧電素子11の形状を揃える事ができ、ずれが発生しない。
【0029】
以上のような第一実施形態では、以下のような効果がある。
(1)振動体50に用いられている振動体10では、振動体10の節が支持部材2で支持されるので、振動体10の振動を阻害せずに振動体10を支持できる。また、支持部材2が振動体10の中央に1つだけ設けられているので面内方向へのサイズが小さくなり小型化を促進できる。さらに、支持部材2の近傍に配線することで、断線を有効に防止でき、配線により振動も阻害されることがない。
(2)支持部材2が振動平面に対して略垂直に設けられているので、面内方向のサイズを小さくでき、車輪体50を小型化できる。
(3)振動体10の中心は縦1次振動の節と屈曲2次振動の節とが最も近づいた位置であり、支持部材2はこの位置を支持しているので、これらの縦1次振動及び屈曲2次振動のどちらの振動も阻害することなしに振動体10を支持できる。
(4)振動体10の振動は縦1次振動を屈曲2次振動であるので、簡単な振動体10の構造でこれらの縦1次振動および屈曲2次振動を励振させることができる。
(5)可撓性を有したフレキシブル配線板4上にパターン41を設けているので、このパターン41をフレキシブル配線板4上に整理することができ、配線が絡まることがなく、また配線作業を簡単にできる。
(6)取付部材53に、振動体10を振動の面内方向の一方向に付勢させるばね57を設けたので、振動体10が取付部材53ごと被当接面520の方向に付勢され、振動体10が取付部材53に確実に固定された状態で、被当接面520に大きな駆動力を伝達でき、また、この押圧力を変化させることで外輪52の回転スピードを調整できる。さらに振動体10周辺の必要部材をユニット化できるため、効率的に組み立てできる。
(7)圧電素子11の表面が長手方向に沿って平行に3等分され、さらにその両側は短辺方向に沿って平行に2等分されているので、5つに分かれた電極111〜115のうち振動体10の一対角線方向に位置する電極に電圧を印加することにより突起部120を楕円運動させることができ、この楕円運動に応じた駆動力を得ることができる。さらに、振動体10の長手方向の中心線と線対象となるように電圧を印加する電極に替えることで突起部120の楕円運動を逆向きにでき、外輪52を逆転させることができる。
(8)電圧を印加しない電極は検出電極として用いられるため、振動体10の振動の大きさを検出でき、この検出結果に基づくフィードバック制御により電極に印加する電圧を調整でき、最適な条件で駆動できる。
(9)支持部材2は押さえ板3に挟み込まれて固定されるので、振動体10を押さえ板3で覆うことになり、振動体10を保護できる。また、支持部材2を押さえ板3に圧入により固定するため、ねじ止め等が不要で、組み立てを簡単にでき、部品点数も低減でき、かつ、装置全体を小型化できる。
【0030】
〔第二実施形態〕
次に本発明の第二実施形態について図7、図8、図9を用いて説明する。
図7には第二実施形態における圧電アクチュエータの支持構造の平面図を、図8には第二実施形態で使用されるフレキシブル配線板4Aの展開平面図を、図9に本実施形態の圧電アクチュエータの支持構造の中心付近の断面図を示す。ここで、第一実施形態と同一の構成要件については同符号で示し、説明を省略する。以下後述する第三実施形態以降についても同様である。
【0031】
本実施形態の圧電アクチュエータ1の支持構造では、支持部材2にフレキシブル配線板4Aが設けられている。このフレキシブル配線板4Aは図8に示すとおり、矩形形状をしており、このフレキシブル配線板4A上の所定位置には、互いに平行な複数の直線状のパターン41Aが形成されている。またパターン41Aが配置される部分はパターン41Aの長さにあわせてフレキシブル配線板4Aが延出している。このようなフレキシブル配線板4Aは、図7、図9に示すように、支持部材2の両端側に巻かれ、フレキシブル配線板4Aに設けられたパターン41Aが各電極111〜115の支持部材2付近に圧着あるいは溶着されている。
押さえ板3には導電性を有した接点ばね35が設置され、この接点ばね35にパターン41Aが電気的に接続されている。接点ばね35は、押さえ板3上の回路パターン36に接続されており、この回路パターン36が図示しない駆動回路と接続されている。したがって、駆動回路からは、これらの回路パターン36、接点バネ35、およびパターン41Aを介して各電極111〜115に電圧が印加される。もちろん、接点ばね35および回路パターン36は、押さえ板3に対して絶縁されている。
【0032】
第二実施形態によれば、第一実施形態の(1)から(9)の効果に加え、次のような効果が得られる。
(10)フレキシブル配線板4Aが支持部材2に巻かれているので、このフレキシブル配線板4Aからの短いパターン41Aを各電極111〜115より支持部材2近傍に接続できる。このため、長い配線やパターンを用いずに振動体10の節に近い位置に配線でき、配線作業を容易にできる。さらに、振動の影響が少ないので断線を防止でき、配線によって振動が阻害されることがない。
【0033】
また、支持部材に取り付けられる電圧印加手段として図10、図11で示されるような例も挙げられる。
図10は支持部材2Bに取り付けられているフレキシブル配線板4Bの平面図である。図11はフレキシブル配線板4Bが取り付けられた圧電アクチュエータの断面図である。
【0034】
図10、図11において、フレキシブル配線板4Bは環状であり、その一部に切れ込みが入れられている。この切れ込みは支持部材2Bに装着しやすくするものである。支持部材2Bは両端部に溝24を有し、この溝24に環状のフレキシブル配線板4Bの内周部が取り付けられている。このようなフレキシブル配線板4Bにはパターン41Bが設けられ、これらのパターン41Bが各電極111〜115の支持部材2Bの近い位置に圧着または溶着されている。この例では(10)の効果に加え、次のような効果がある。
(11)フレキシブル配線板4Bが環状形状であり、支持部材2Bの溝24に支持されるので、フレキシブル配線板4Bを支持部材2Bに接着する等の作業を不要にでき、容易に取付可能で、組み立て性を向上させることができる。
【0035】
〔第三実施形態〕
次に本発明の第三実施形態について図12に基づいて説明する。図12(A)は支持部材2Cの挿入部23Cの断面を示す斜視図である。図12(B)は挿入部23Cを示す平断面図である。
図12(A)において、支持部材2C外周には挿入方向に沿った複数の溝部25Cが等周間隔で設けられ、隣合う溝部25Cの間は突出部26Cになっている。図12(A)において破線は補強板12の支持部材挿入孔121である。支持部材2Cの挿入部23Cは、その径が支持部材挿入孔121の径より若干大きく設定され、圧入により固定されている。この時、突出部26Cは支持部材挿入孔121に食込むように圧入され、非常に強い固定力が得られる。
【0036】
第三実施形態によれば、第一実施形態の(1)から(9)の効果に加えて次の効果が得られる。
(12)支持部材2Cの補強板12への挿入部23Cに溝部25Cと突出部26Cが設けられていることで、突出部26Cが支持部材挿入孔121に食込むように圧入されるため、補強板12への支持部材2Cの固定力を強くでき、断面が円形の支持部材2の時に比べて補強板12が回りにくく、長時間振動体10を振動させても補強板12と支持部材2Cとがずれない。
【0037】
〔第四実施形態〕
次に本発明の第四実施形態について図13に基づいて説明する。図13は第四実施形態での圧電アクチュエータの支持構造における中心近傍を示す断面図である。
図13において、支持部材2Dは、下部に制御回路592を備えた土台59に直接固定されているとともに、中心部分に空洞27Dを備え、この空洞27Dには各電極111〜115(図5参照)に接続される配線8が通されている。
【0038】
土台59は基部51にスライド可能に設けられ、また図示しないばねにより外輪52の被当接面520側に付勢されている。支持部材2Dを挿入する支持部材固定孔591の径は支持部材2Dの下端部に設けられた固定部21Dの径より若干小さく設定され、支持部材2Dは支持部材固定孔591に固定部21Dを圧入することにより固定されている。
支持部材2Dの空洞27Dは支持部材2Dの両端部で開口しており、土台59の下部に通じている。また、支持部材2Dにおいて、図13中で下面側の圧電素子11と略同一高さには、配線8の挿通孔28Dが設けられている。制御回路592に接続された配線8は、空洞27Dの下端開口部から空洞27D内に通され、さらに挿通孔28Dから引き出され、下面側の圧電素子11の各電極111〜115へ接続されている。また空洞27Dの上端開口部から引き出された配線8は、上面側の圧電素子11の各電極111〜115へ接続されている。配線8の材質には軽量かつ接続が容易に行えるものが好ましく、例えばウレメット線等であればハンダ付けにより接続が容易に行える。
【0039】
第四実施形態によれば、第一実施形態の(1)から(4)および(7)、(8)の効果に加えて次のような効果が得られる。
(13)配線8が支持部材2Dの空洞27Dを通して節近傍の各電極111〜115に接続されているので、配線8は空洞27D内にまとめられることになり、配線8が振動体10に接触して振動を阻害することがない。
(14)土台59は基部51に設置され、この土台59に直接支持部材2Dが固定されているので、他の固定構造、例えば第一実施形態でいう取付部材53のような固定構造が不要であり、車輪体50全体の小型化、薄型化を促進できる。
【0040】
〔第五実施形態〕
次に本発明の第五実施形態について図14に基づいて説明する。
図14(A)は第五実施形態の圧電アクチュエータの支持構造の斜視図を、図14(B)は圧電アクチュエータの支持構造の支持部材近傍の断面図を、図14(C)は補強板の平面図を示している。
【0041】
図14(A)〜(C)において、第五実施形態の圧電アクチュエータ1は、長手方向を有する矩形平板状の補強板12Eの両面に圧電素子11Eを接合した振動体10Eと、この振動体10Eの略中心に挿通された矩形板状の支持部材2Eとを有している。
補強板12Eの各短辺の端部には対角方向に対向した一対の突起部120E、126Eが設けられ、振動体10Eが全体としてアンバランスに設定されている。また、補強板12Eの略中心には支持部材2Eが挿通された支持部材挿入孔121Eが補強板12Eの幅方向に沿って設けられ、さらに、この支持部材挿入孔121Eの両端には略円形の補助孔125Eが設けられ、この補助孔125Eに挟まれる部分、すなわち支持部材挿入孔121Eの内側部分が突起部127Eになっている。補強板12Eは導電性を有し、支持部材2Eと突起部127Eとを介して導通している。
【0042】
図14(B)で補強板12Eの下面側に接合される圧電素子11Eの略中心には、支持部材挿入孔121Eより一回り大きい鍔挿入孔117Eが設けられ、また上面側に接合される圧電素子11Eの略中心には、鍔挿入孔117Eと略同一寸法の治具挿入孔116Eが設けられている。
また、圧電素子11Eの表面の電極111Eの支持部材2E近傍には配線8Eが接続され、この配線8Eを介して図示しない制御回路と電極111Eとが導通している。
【0043】
振動体10は、支持部材2Eの挿入部23Eを補強板12Eの支持部材挿入孔121Eに挿入することで支持されている。この時支持部材挿入孔121Eの短辺は支持部材2Eの厚みより若干小さく設定され、支持部材2Eは支持部材挿入孔121Eに圧入されている。また、補助孔125E間に形成される突起部127Eは圧入の際に支持部材2Eの挿入部23Eに食込むように圧入されるので、強い固定力で挿入部23Eを固定できる。
図14(C)中で挿入部23Eの下部に当接する鍔22Eは、圧電素子11Eとの間に隙間を空けて鍔挿入孔117Eに挿入されているとともに、その上面で補強板12Eを支持している。また、治具挿入孔116Eは支持部材2Eを圧入する時に使用される治具を挿入するために設けられたものである。
支持部材2Eの両端部には押圧ばね29Eが接続されており、突起部120Eを外輪52の被当接面520(図1)の方向に付勢させている。また、本実施形態では支持部材2Eを若干撓ませ、板ばねとして作用させて突起部120Eを被当接面520の方向に付勢させることもできる。
【0044】
第五実施形態による圧電アクチュエータ1では、電極111Eに電圧を印加すると長手方向に伸縮して、縦1次振動を励振する。また同時に、突起部120E、126Eが設けられている角部近傍では、これらの突起部120E、126Eの重さ等の影響により幅方向に慣性モーメントが働くため、振動体10E全体では屈曲が発生し、幅方向に屈曲2次振動を励振する。このため、これらの縦1次振動と屈曲2次振動が複合されることにより、突起部120Eは楕円運動を行い、この楕円運動の向きを力に応じた駆動力が被駆動体に与えられる。
【0045】
第五実施形態によると第一実施形態の効果(1)、(3)、(5)に加え、次の効果が得られる。
(15)振動体10Eの中心を支持する板状の支持部材2Eは若干撓んでおり、板ばねとして作用しているので、押圧ばね29Eの弾性力と相まって突起部120Eを外輪52の被当接面520に強い力で付勢させることができ、被当接面520により大きな駆動力を与えることができる。
(16)押圧ばね29Eは直接支持部材2Eに取り付けられているので、第一実施形態のような取付部材53を不要にでき、部材点数を低減し、薄型化、小型化を促進できる。
【0046】
〔第六実施形態〕
次に第六実施形態を図15に基づいて説明する。
図15において、振動体10Fは、補強板12Fと、その両面に接着される圧電素子11Fとで構成されている。補強板12Fは径の大きい支持部材挿入孔121Fを備え、この支持部材挿入孔121Fは位置決め段差部128を有する。
一方の支持部材2Fには、支持部材挿入孔121Fの大きさに対応した径の挿入部23Fと、圧電素子11Fに挿入される段差部232とが設けられている。また、挿入部23Fは、位置決め段差部128に対応した位置に位置決め段差部231を備えている。
【0047】
前述した第一実施形態においては、振動体10の製造は補強板12の両面に圧電素子11を接合し、その、後支持部材2を補強板12に圧入することで、支持部材2は振動体10を支持している。これに対して第六実施形態では、支持部材2Fを先に補強板2Fに固定する構造となる。
つまり、このような振動体10Fでは、始めに補強板12Fに支持部材2Fを挿入する。この際、支持部材挿入孔121Fの径を挿入部23Fの径より若干小さく設定しておき、位置決め段差部231と位置決め段差部128とが接合されるように圧入する。
次に補強板12Fの両面に圧電素子11Fを接着する。この接着は、補強板12Fおよび挿入部23Fの上面に接着剤を塗布しておき、この接着剤により圧電素子11Fを補強板12Fに確実に接着することで行われる。このようにすれば、接着剤が圧電素子11Fと挿入部23Fとで囲まれる隙間9Aに充填されるため、圧電素子11Fの接着強度を確実に確保できる。また、圧電素子11Fの段差部挿入孔118を支持部材2Fの段差部232にはめ込むことで、この段差部232が圧電素子用の位置決め案内部として働くから、圧電素子11Fが補強板12Fに対して貼り付けずれを起こさない。
なお、この振動体10Fでは、圧電素子11Fの表面電極と支持部材2Fとは、隙間9Bが存在することで絶縁されている。
【0048】
このように製造された第六実施形態の圧電アクチュエータの支持構造では第一実施形態の効果(1)〜(3)に加えて次の効果が得られる。
(17)支持部材2Fの段差部232は圧電素子11Fの位置決め案内部として機能するため、支持部材2Fが取り付けられた補強板12Fに圧電素子11Fを取り付ける際には、圧電素子11Fを所定の位置に容易に接着でき、貼り付けずれを防止できる。
(18)補強板12Fの支持部材挿入孔121Fの径が大きいので、圧入によって押さえ付けられる面積も大きくでき、支持部材2Fの固定力を向上させることができる。
【0049】
なお、本発明は前述の各実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的を達成できる範囲での変形、改良等は本発明に含まれるものである。
例えば、第一実施形態、第二実施形態、及び第四実施形態から第六実施形態の圧電アクチュエータでは、補強板12の両面に圧電素子11、11E、11Fを設けているが、圧電素子11を片面にのみ設けるものでもよい。しかし、この場合には、振動体10は面内方向への振動だけではなく、面内方向以外への振動も起こりうるので、圧電素子11の両面に補強板12を設ける場合がある。
第一実施形態、第二実施形態において、突起部120は補強板12の一短辺側の略中央に設けられていたが、これに限らない。例えば、第五実施形態のように補強板12の一短辺の端部に設けられていてもよい。この場合、突起部120のために安定した屈曲振動を保てない虞があるため、振動体10の中心に対して突起部と対角な位置に同形状の突起部を設ければよい。また、突起部を取り付ける部材においても補強板に限らない。例えば、突起部は圧電素子に取り付けられても構わない。
【0050】
また、第一実施形態から第四実施形態、第六実施形態では支持部材2の断面は円形であるとしたが、これに限らない。例えば、断面形状が楕円形や多角形の支持部材を用いても構わない。この場合対応する補強板12の支持部材挿入孔121、121Fの形状も支持部材の形状に合わせる必要がある。このような変形例では、振動体10が支持部材2に対して回転しにくく、固定力を向上させることができる。
第一実施形態では、押さえ板3の31を円形の孔、この案内孔31に圧入される支持部材2の固定部21を四角形としたが、これに限られない。例えば、押さえ板3の案内孔31の断面形状を楕円あるいは多角形としてもよく、これに対する固定部21の断面形状においても案内孔31の形に合わせて楕円或いは多角形としてもよい。また、固定部21の断面形状は案内孔31の形状に必ずしも合わせる必要が無く、位置決め及び固定が可能であればよい。
【0051】
第一実施形態、第二実施形態において、圧電素子11は長手方向に平行に3等分され、さらにその両側は幅方向に平行に2等分されるとしたが、この分割方法に限るものではない。例えば、圧電素子を幅方向に平行に3等分し、その両側を長手方向に平行に2等分したものでもよい。すなわち、振動体10を屈曲振動させるために、振動体10の一対角に沿って電圧を印加できる構造であればよい。また、第五実施形態のように圧電素子11は分断されずに矩形の1対角方向に一対の突起部を対向するように設けることによって屈曲振動を発生させてもよい。
【0052】
また、ここまでの実施形態では、振動体10,10E,10Fを外輪52の被当接面520の方向に付勢しているが、これに限らない。例えば、振動体10,10E,10Fを固定し、車輪体52の被当接面520を振動体10側に付勢してもよい。
【0053】
ここで、このような圧電アクチュエータ1を用いた車輪体50の例を挙げる。このような圧電アクチュエータ1を用いた一例として、小型の圧電アクチュエータ1を搭載した小さなおもちゃ等がある。例えば、自動車のおもちゃの前輪、後輪の2輪に圧電アクチュエータ1を搭載すると、圧電アクチュエータ1の振動状態を変えることで車輪体50の正転、逆転ができるため、おもちゃを前進、後退させることができる。また、片輪を正転させ、もう片輪を逆転させることでその場で回転運動させることができる。さらに、おもちゃの自動車に限らず、ロボットの足の部分に車輪体50を搭載させる等も考えられる。このように、圧電アクチュエータ1が小型化可能であるため、小さいおもちゃ等に搭載することができ、この大きさに合わせて様々なおもちゃ等に適用できる。
【0054】
圧電アクチュエータ1を用いた車輪体50の他の例として時計の運針が挙げられる。圧電アクチュエータ1を針の軸部分や、輪列に接触させ加圧させると針が駆動する。さらに時計の円盤状をしたカレンダーの側面に接触、加圧するとカレンダーが駆動し、時計の表示部分に日付を表示させることができる。圧電アクチュエータ1は逆転可能であるから、カレンダーや時刻の修正も楽に行える。このような圧電アクチュエータは、矩形薄板状の圧電素子で小型であるため、時計全体を小型化できる。
【0055】
本発明を実施するための最良の構成、方法などは、以上の記載で開示されているが、本発明は、これに限定されるものではない。すなわち、本発明は、主に特定の実施形態に関して特に図示され、かつ、説明されているが、本発明の技術的思想および目的の範囲から逸脱することなく、以上述べた実施形態に対し、形状、材質、数量、その他の詳細な構成において、当業者が様々な変形を加えることができるものである。
したがって、上記に開示した形状、材質などを限定した記載は、本発明の理解を容易にするために例示的に記載したものであり、本発明を限定するものではないから、それらの形状、材質などの限定の一部もしくは全部の限定を外した部材の名称での記載は、本発明に含まれるものである。
【0056】
【発明の効果】
この発明によれば、振動体の振動の節近傍あるいは節を含む場所を支持部材で支持しているので、振動体の振動を阻害せずに振動体を支持できる。また、支持部材2が振動体の中央に1つだけ設けられているので面内方向へのサイズが小さくなり小型化を促進できる。さらに支持部材2の近傍に配線することで、断線を有効に防止でき、配線により振動も阻害されることがないという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】第一実施形態の圧電アクチュエータの支持構造が適用された装置の平面図。
【図2】第一実施形態の圧電アクチュエータの振動体の斜視図。
【図3】第一実施形態の圧電アクチュエータの中心付近の断面図。
【図4】第一実施形態における支持部材と押さえ板の支持構造を示す斜視図。
【図5】(A)は電圧を印加した際の縦振動の様子を表す図、(B)は電圧を印加した際の屈曲振動の様子を表す図、(C)は縦1次振動および屈曲2次振動の複合振動時の突起部の軌道を示す図。
【図6】第一実施形態の振動体の製造過程において用いられる補強板及び圧電素子の加工前の状態を示した平面図。
【図7】第二実施形態における圧電アクチュエータの支持構造の平面図。
【図8】第二実施形態で使用される電圧印加手段の展開平面図
【図9】第二実施形態における圧電アクチュエータの支持構造の断面図。
【図10】第二実施形態の変形例である支持部材に取り付けられている電圧印加手段の平面図。
【図11】第二実施形態の変形例である電圧印加手段が取り付けられた圧電アクチュエータの断面図。
【図12】(A)は第三実施形態における支持部材の補強板へ挿入する挿入部の断面を示す斜視図、(B)は挿入部を示す平面断面図。
【図13】第四実施形態における圧電アクチュエータの支持構造における中心近傍を示す断面図。
【図14】(A)は第五実施形態の圧電アクチュエータの支持構造の斜視図、(B)は補強板の平面図、(C)は圧電アクチュエータの支持構造の支持部材近傍の断面図。
【図15】第六実施形態における圧電アクチュエータの支持構造の中心付近の断面図。
【符号の説明】
1…圧電アクチュエータ、10,10E,10F…振動体、11,11E,11F…圧電素子、111,112,113,114,115…電極、2,2B,2C,2D,2E,2F…支持部材、4,4A,4B…フレキシブル配線板(電圧印加手段)、232…段差部(案内部)。
【発明の属する技術分野】
本発明は圧電アクチュエータの支持構造に関する。
【0002】
【背景技術】
圧電素子は、電気エネルギーから機械エネルギー、又は機械エネルギーから電気エネルギーへの変換効率や応答性に優れているうえ、小型化が可能であることから近年、圧電素子の圧電効果を利用した圧電アクチュエータの開発が進められている。この圧電アクチュエータは、圧電ブザーや超音波モータ、その他精密機械や半導体等の多岐の分野において利用されている。
従来の圧電アクチュエータの支持構造には、振動体の側面に支持部材を設置した構造や(例えば特許文献1)、側面あるいは上面に複数の支持部材を設置した構造がある(例えば特許文献2)。
【0003】
【特許文献1】
特開2000−333480号公報
【特許文献2】
特開平7−184682号公報
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、特許文献1の圧電アクチュエータの支持構造では、支持部材が振動体の側面に取り付けられているため、振動体の振動を阻害することになり、十分な駆動力を得ることができない。また、支持部材が振動体から大きくはみ出てしまうため、サイズが大きくなり、小型化に対応しきれない。さらに、圧電素子の電極への配線が長くなり、使用条件によっては断線する可能性がある。
また、特許文献2の圧電アクチュエータの支持構造では、複数設置される支持部材は振動を阻害することになり、十分な駆動力を得ることができず、さらに、支持部材の数が多いため、部材数が増え、サイズも大きくなる。
【0005】
本発明は、振動体の振動を阻害することなく、小型化に優れ、圧電素子の電極への配線も容易に行える圧電アクチュエータの支持構造を提供する。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明の圧電アクチュエータおよびそれを備えた機器は、矩形薄板状の圧電素子を含む振動体を有するとともに、前記振動体の振動方向が該振動体の面内方向である圧電アクチュエータであって、前記圧電アクチュエータを支持する支持部材は、前記振動体の振動の節近傍となる位置を支持していることを特徴とする。
但し、ここで「振動体の節近傍」とは、振動の節を含んだ範囲の場所をいう。また、「支持している」とは、支持部材に振動体が固定されている状態を意味し、この時、製造過程で生じた僅かなガタ等が存在する場合でも、支持部材に振動体が固定されているものとして扱う。
この発明によれば、振動体の振動の節あるいは節の周囲を支持部材で支持するので、変位がない振動の節を支持することになり、前記振動体の振動を阻害せずに前記振動体が支持されるようになる。また、前記支持部材が前記振動体の中央に1つだけ設けられているので面内方向へのサイズが小さくなり小型化を促進する。さらに、前記支持部材の近傍に配線することで、断線を有効に防止できる。
【0007】
また、本発明では、前記支持部材は前記振動体の振動の面内方向に対して略垂直に当該振動体を支持していることが好ましい。
この発明によれば、支持部材が振動平面に対して略垂直に設けられているので、面内方向のサイズが大きくならず、圧電アクチュエータを含む装置全体の小型化が促進される。
【0008】
また、本発明では、前記振動体の振動は、前記長手方向に沿って伸縮する縦奇数次振動と、前記長手方向に対して屈曲する屈曲偶数次振動との複合振動であり、前記支持部材は、これらの縦奇数次振動の節及び屈曲偶数次振動の節が最も近づいた位置で前記振動体を支持していることが好ましい。
この発明によれば、前記支持部材は縦奇数次振動の節と屈曲偶数次振動の節とが最も近づいた位置で前記振動体を支持しているので、これらの縦奇数次振動及び屈曲偶数次振動のどちらの振動も阻害することなしに前記振動体が支持される。
【0009】
また、本発明では、前記縦奇数次振動は縦1次振動であり、前記屈曲偶数次振動は屈曲2次振動であることが好ましい。
この発明によれば、縦1次振動および屈曲2次振動を励振させるために複雑な振動体の構造は不要であるので、振動体の構造を簡単にでき、かつ小型化できる。
【0010】
また、本発明では、前記圧電素子の電極に電圧を印加するための電圧印加手段を備え、この電圧印加手段は可撓性を有した配線板で形成され、この配線板上の導通パターンまたは当該配線板から延出した箔状の導通パターンが前記電極に接合されていることが好ましい。
この発明によれば、可撓性を有した配線板上に導通パターンを設けているので、この導通パターンを配線板上に整理することができ、配線が絡まることがなく、また配線作業が簡単となる。
【0011】
また、本発明では、前記電圧印加手段は、前記支持部材に取り付けられていることが好ましい。
この発明によれば、前記支持部材に前記圧電素子の表面に電圧を印加するための電圧印加手段を組み込むことで、前記振動体の節に近い位置に配線することができるから、前記支持部材から前記圧電素子の電極への配線が容易に行える。また、これにより、配線が長くならず、さらに、振動の影響が少ないので断線を防止し、配線によって振動が阻害されることがない。
【0012】
また、本発明では、前記圧電アクチュエータが取り付けられる取付部材には、前記振動体を振動の面内方向の一方向に付勢させる付勢手段が設けられていることが好ましい。
この発明によれば、前記取付部材に、前記振動体を振動の面内方向の一方向に付勢させる付勢手段を設けたので、振動体が取付部材ごと被駆動体の方向に付勢され、振動体が前記取付部材に確実に固定された状態で、被駆動体により大きな駆動力を伝達でき、さらに前記振動体周辺の配線等の必要部材をユニット化できるため、組み立てにおいても効率的である。
【0013】
また、本発明では、前記支持部材は弾性を有した前記振動体を面内方向の一方向に付勢可能に設けられていることが好ましい。
この発明によれば、前記振動体を前記振動体に接触する被駆動体の方向に付勢させることにより、より大きな駆動力を得ることが可能である。
【0014】
また、本発明では、前記振動体は前記圧電素子と補強板とを積層して形成され、前記支持部材には前記圧電素子を前記補強板に位置決めするための案内部が設けられていることが好ましい。
この発明によれば、前記支持部材には前記圧電素子の位置決めのための案内部が設けられているので、前記補強板に前記支持部材を取り付け、この補強板に前記圧電素子を取り付ける際に、前記圧電素子を所定の位置に容易に接着することが可能であり、また、貼り付けずれを防止する。
【0015】
また、本発明の装置は、前述の圧電アクチュエータを備えたことを特徴とする。
この発明によれば、前述の圧電アクチュエータを備えているので、前述のような効果を奏することができ、高効率で良好な振動を得ることが可能となる。
【0016】
【発明の実施の形態】
〔第一実施形態〕
本発明の第一実施形態を図1〜図6に基づいて説明する。図1は第一実施形態の圧電アクチュエータの支持構造が適用された車輪体50の平面図を示している。
図1において、車輪体50は、円盤状の基部51と、この基部51の外周部に回転可能に取り付けられた環状の外輪52と、基部51に対して僅かにスライド可能に設置された取付部材53と、この取付部材53に取り付けられた状態で外輪52に当接する圧電アクチュエータ1とを有している。この車輪体50は、例えば、おもちゃの自動車の車輪等に取り付けられている。
【0017】
基部51は、裏面側に図示しない駆動回路や検出回路等を備え、基部51の表面に設けられた導通部56がこれらの回路と導通している。
外輪52は、保持器55で保持されたボール54を介して基部51に回転可能に取り付けられている。外輪52の内周には圧電アクチュエータ1の突起部120が当接する被当接面520が形成され、圧電アクチュエータ1から駆動力を受けることにより外輪52が回転する。
取付部材53は、取付孔530を有し、圧電アクチュエータ1を挟むように一対の押さえ板3が取り付けられる。押さえ板3は、図2にも示すように圧電アクチュエータ1を表側と裏側とから支持する部材であり、取付部材53上に設けられている(図1では裏側の押さえ板3の図示を省略する)。また、取付部材53には付勢手段であるばね57が取り付けられ、基部51に設置されたばねガイド58とこのばね57とによって、圧電アクチュエータ1が被当接面520の方向に付勢されている。
【0018】
図2は圧電アクチュエータ1の振動体10の斜視図を示し、図3は圧電アクチュエータ1の中心付近の断面図を示している。
図1、図2、図3において、圧電アクチュエータ1は、矩形状の振動体10と、振動体10を平面中心近傍で支持する棒状の支持部材2と、振動体10に接続されたフレキシブル配線板4とを備えている。
振動体10は、長手方向を有する矩形平板状で寸法比が長辺:短辺が7:2に形成されており、補強板12と、その両面に接合された圧電素子11とを含んで構成されている。補強板12は、一短辺の中心に略半円状の突起部120を有し、前述したようにこの突起部120が外輪52の被当接面520に当接する。また補強板12の平面中心には支持部材2を挿入するための支持部材挿入孔121が設けられている。この補強板12にはステンレス鋼等のように靭性や強度に富む素材が用いられている。
【0019】
圧電素子11の材質にはチタン酸ジルコン酸鉛(PZT(登録商標))、水晶、ニオブ酸リチウム、チタン酸バリウム、チタン酸鉛、メタニオブ酸鉛、ポリフッ化ビニリデン、亜鉛ニオブ酸鉛、スカンジウムニオブ酸鉛等の各種のものを用いることができる。補強板12の図3中の上面側に接合される圧電素子11の平面中心には治具挿入孔116が設けられ、下面側に接合される圧電素子11の平面中心には鍔挿入孔117が設けられている。これらの治具挿入孔116と鍔挿入孔117の径は略同一に形成され、補強板12への支持部材2の挿入を干渉しない大きさになっている。また、圧電素子11は、長手方向に平行に3等分され、さらにその両側は短辺方向に平行に2等分されている。これらの等分された圧電素子11の表面には電極111〜115が形成され、これらの電極111〜115の支持部材2に近い位置に可撓性を有するフレキシブル配線板4に設けられている導電性のパターン41が圧着あるいは溶着されている。このフレキシブル配線板4上に設けられるパターン41は、先端部がフレキシブル配線板4上から延出してオーバーハングしており、この部分が各電極111〜115に接合されている。パターン41の基部51は導通部56に接続されていて、この導通部56及びパターン41を介して基部51の裏面側に設けられた回路と電極111〜115とが導通している。
【0020】
支持部材2は、補強板12の支持部材挿入孔121に略垂直に挿入されることにより振動体10を支持する。この時、支持部材2の挿入部23の径は支持部材挿入孔121の径より若干大きく設定され、挿入部23を支持部材挿入孔121に圧入することで支持部材2が補強板12に固定されている。また、挿入部23の下部に設けられた鍔22は、圧電素子11との間に隙間が空くようにして鍔挿入孔117に挿入されているとともに、その上面で補強板12を支持している。また、治具挿入孔116は支持部材2を補強板12に圧入する時に使用される治具を挿入するために設けられたものである。
さらに、支持部材2の両端部には、図4に示すように、断面略四角形の固定部21が設けられている。
【0021】
図4において、押さえ板3の中心には案内孔31が設けられている。この案内孔31の径は支持部材2の固定部21の対角寸法より若干小さく設定されており、案内孔31に固定部21を圧入することにより支持部材2が押さえ板3に固定されている。また、この際支持部材2および押さえ板3は導電性を有しており、押さえ板3が図示しない回路のGND(接地)線と電気的に導通していることで、この押さえ板3及び支持部材2を介して補強板12を接地させている。
【0022】
図5(A)〜(C)はこのような圧電アクチュエータ1において、電極111〜115及び補強板3間に電圧を印加した場合の振動体10の運動の様子を示している。
図5(A)は電極113、補強板12間に電圧を印加した際の振動を示している。電極113に電圧を印加した場合、この電極113の部分の圧電素子11が伸縮運動をする。振動体10は長手方向を有するため、長手方向に直交する方向への伸縮より長手方向への伸縮の変位が大きく、したがって振動体10は電極113の略中心を節として縦1次振動を行う。支持部材2はこの縦1次振動の節である振動体10の中心を支持するため縦1次振動の阻害することはない。
【0023】
図5(B)は電極111及び115と補強板12間に電圧を印加した際の振動を示している。電極111及び115に同時に電圧を印加すると、電極111及び115の部分の圧電素子が伸縮運動をする。振動体10全体を見ると、伸縮運動をする電極111及び115の部分と伸縮運動をしない電極112及び114の部分とが非対称になるように分かれるため、屈曲する。そのため、振動体10は電極111,112、114,115から等距離の点である振動体10の略中心点を節として長手方向に直交する方向に屈曲2次振動する。支持部材2はこの屈曲2次振動の節であり、振動体10の中心点に設けられるので屈曲2次振動を阻害することはない。
図5(A)及び図5(B)より支持部材2は縦1次振動と屈曲2次振動の両方の節が最も近づいた位置である振動体10の中心を支持することになり、これらの振動の阻害することなしに振動体10を支持することができる。
【0024】
図5(C)は電極111,113,115と補強板12間に電圧を印加した際の突起部120の動きを示している。突起部120は縦1次振動と屈曲2次振動が複合されることで楕円運動をする。突起部120はこの楕円運動の一部において楕円運動の向きと力に応じた駆動力を被当接面520に与える。
また、被当接面520に与える駆動力の向きを逆にし、外輪52の回転方向を逆にするためには、電圧を印加する電極を、節を中心に線対称にすればよい。すなわち、電極112,113,114と補強板12に電圧を印加することで突起部120は逆向きの楕円運動を描き、この楕円運動に応じた向きに駆動力が働く。
さらに、本発明の第一実施形態では、電圧を印加していない電極は振動検出に用いられ、パターン41を通して電気信号が図示しない振動検出回路に送られる。これにより振動体10の振動を検出し、フィードバック制御により電極に印加する電圧を調整することが可能である。
【0025】
以下には、図6に基づいて振動体10の製造方法について説明する。
先ず、図6(A)に示すように、プレス等でフープ材6を打ち抜くことにより、幅方向の両側に位置決め孔61を穿設するとともに、幅方向に沿った溝63、長手方向に沿った溝64、および位置決め孔61間を結ぶ位置決め線611を境にして両側に複数(本実施形態では5個)の支持部材挿入孔121を穿設し、これにより、長手方向に沿った両側部分に対して接続部65で接続された複数の補強板集合体62を形成する。この際、各補強板集合体62を幅方向に若干ずらして形成しておき、また、溝63を波状に穿設することで、隣接し合う補強板集合体62での複数の突起部120を千鳥状に形成し、多数個取り時の材料の歩留まりを向上させている。なお、この補強板集合体62は、本実施形態では、補強板12(一点鎖線)を長手方向に2個、幅方向に5個の合計10個取りするように設定されている。そして、各補強板集合体62において、幅方向に5個の補強板12は、前記位置決め線611を中心とした線対称になっている。
【0026】
一方、図6(B)に示すように、平板状の圧電基板7をレーザー加工等することにより、幅方向の両側に位置決め孔71を穿設するとともに、位置決め孔71間を結ぶ位置決め線711を境にして両側に複数(本実施形態では5個)の治具挿入孔116または鍔挿入孔117を穿設する。この際、位置決め孔71間相互のピッチ、および挿入孔116,117間相互のピッチはそれぞれ、フープ材6側での位置決め孔61間相互のピッチ、および支持部材挿入孔121間相互のピッチに等しい。したがって、圧電基板7からは、一点鎖線で示すように、補強板集合体62に対応した複数の圧電素子集合体72を取ることが可能であり、各圧電素子集合体72からは、長手方向に2個、幅方向に5個の合計10個の圧電素子11を取ることが可能である。なお、位置決め孔61や挿入孔116,117をレーザー加工で穿設する他、これらの孔71,116,117をはじめから考慮して、圧電基板7全体を焼結等により形成してもよい。
【0027】
次に、位置決め孔61,71同士を合わせるようにしてフープ材6の表裏両面に圧電基板7を接着等により接合する。この後、フープ材6および圧電基板7が一体の状態において、圧電基板7のハッチング部分、すなわち圧電基板7でのフープ材6の溝63に対応する部分のみを幅広のカッターで切削等し、フープ材6側の突起部120を露出させる。そして、圧電基板7での圧電素子集合体72の外形に沿って切削加工(具体的には、長手方向に沿った部分の切削加工)を行い、この切削加工によってフープ材6側の接続部65も同時に削除する。これにより、補強板集合体62の表裏両面に圧電素子集合体72が貼設された集合体、つまり10個の振動体が一体となった複数の集合体を得ることになる。
【0028】
次いで、複数の前記集合体を重ね合わせ、位置決め線611,711に沿って切断し、5個の振動体が一体となった集合体に分割する。さらに、この集合体を重ね合わせ、振動体の外形に沿って切断し(具体的には、長手方向に沿って切断し)、個々の振動体に分割し、単体の振動体10を得る。
以上の振動体10の製造法を用いることで、複数個の振動体10を同時に製造できるので、量産性が向上し、また、補強板12と圧電素子11とを接合した状態で切断することにより、補強板12及び圧電素子11の形状を揃える事ができ、ずれが発生しない。
【0029】
以上のような第一実施形態では、以下のような効果がある。
(1)振動体50に用いられている振動体10では、振動体10の節が支持部材2で支持されるので、振動体10の振動を阻害せずに振動体10を支持できる。また、支持部材2が振動体10の中央に1つだけ設けられているので面内方向へのサイズが小さくなり小型化を促進できる。さらに、支持部材2の近傍に配線することで、断線を有効に防止でき、配線により振動も阻害されることがない。
(2)支持部材2が振動平面に対して略垂直に設けられているので、面内方向のサイズを小さくでき、車輪体50を小型化できる。
(3)振動体10の中心は縦1次振動の節と屈曲2次振動の節とが最も近づいた位置であり、支持部材2はこの位置を支持しているので、これらの縦1次振動及び屈曲2次振動のどちらの振動も阻害することなしに振動体10を支持できる。
(4)振動体10の振動は縦1次振動を屈曲2次振動であるので、簡単な振動体10の構造でこれらの縦1次振動および屈曲2次振動を励振させることができる。
(5)可撓性を有したフレキシブル配線板4上にパターン41を設けているので、このパターン41をフレキシブル配線板4上に整理することができ、配線が絡まることがなく、また配線作業を簡単にできる。
(6)取付部材53に、振動体10を振動の面内方向の一方向に付勢させるばね57を設けたので、振動体10が取付部材53ごと被当接面520の方向に付勢され、振動体10が取付部材53に確実に固定された状態で、被当接面520に大きな駆動力を伝達でき、また、この押圧力を変化させることで外輪52の回転スピードを調整できる。さらに振動体10周辺の必要部材をユニット化できるため、効率的に組み立てできる。
(7)圧電素子11の表面が長手方向に沿って平行に3等分され、さらにその両側は短辺方向に沿って平行に2等分されているので、5つに分かれた電極111〜115のうち振動体10の一対角線方向に位置する電極に電圧を印加することにより突起部120を楕円運動させることができ、この楕円運動に応じた駆動力を得ることができる。さらに、振動体10の長手方向の中心線と線対象となるように電圧を印加する電極に替えることで突起部120の楕円運動を逆向きにでき、外輪52を逆転させることができる。
(8)電圧を印加しない電極は検出電極として用いられるため、振動体10の振動の大きさを検出でき、この検出結果に基づくフィードバック制御により電極に印加する電圧を調整でき、最適な条件で駆動できる。
(9)支持部材2は押さえ板3に挟み込まれて固定されるので、振動体10を押さえ板3で覆うことになり、振動体10を保護できる。また、支持部材2を押さえ板3に圧入により固定するため、ねじ止め等が不要で、組み立てを簡単にでき、部品点数も低減でき、かつ、装置全体を小型化できる。
【0030】
〔第二実施形態〕
次に本発明の第二実施形態について図7、図8、図9を用いて説明する。
図7には第二実施形態における圧電アクチュエータの支持構造の平面図を、図8には第二実施形態で使用されるフレキシブル配線板4Aの展開平面図を、図9に本実施形態の圧電アクチュエータの支持構造の中心付近の断面図を示す。ここで、第一実施形態と同一の構成要件については同符号で示し、説明を省略する。以下後述する第三実施形態以降についても同様である。
【0031】
本実施形態の圧電アクチュエータ1の支持構造では、支持部材2にフレキシブル配線板4Aが設けられている。このフレキシブル配線板4Aは図8に示すとおり、矩形形状をしており、このフレキシブル配線板4A上の所定位置には、互いに平行な複数の直線状のパターン41Aが形成されている。またパターン41Aが配置される部分はパターン41Aの長さにあわせてフレキシブル配線板4Aが延出している。このようなフレキシブル配線板4Aは、図7、図9に示すように、支持部材2の両端側に巻かれ、フレキシブル配線板4Aに設けられたパターン41Aが各電極111〜115の支持部材2付近に圧着あるいは溶着されている。
押さえ板3には導電性を有した接点ばね35が設置され、この接点ばね35にパターン41Aが電気的に接続されている。接点ばね35は、押さえ板3上の回路パターン36に接続されており、この回路パターン36が図示しない駆動回路と接続されている。したがって、駆動回路からは、これらの回路パターン36、接点バネ35、およびパターン41Aを介して各電極111〜115に電圧が印加される。もちろん、接点ばね35および回路パターン36は、押さえ板3に対して絶縁されている。
【0032】
第二実施形態によれば、第一実施形態の(1)から(9)の効果に加え、次のような効果が得られる。
(10)フレキシブル配線板4Aが支持部材2に巻かれているので、このフレキシブル配線板4Aからの短いパターン41Aを各電極111〜115より支持部材2近傍に接続できる。このため、長い配線やパターンを用いずに振動体10の節に近い位置に配線でき、配線作業を容易にできる。さらに、振動の影響が少ないので断線を防止でき、配線によって振動が阻害されることがない。
【0033】
また、支持部材に取り付けられる電圧印加手段として図10、図11で示されるような例も挙げられる。
図10は支持部材2Bに取り付けられているフレキシブル配線板4Bの平面図である。図11はフレキシブル配線板4Bが取り付けられた圧電アクチュエータの断面図である。
【0034】
図10、図11において、フレキシブル配線板4Bは環状であり、その一部に切れ込みが入れられている。この切れ込みは支持部材2Bに装着しやすくするものである。支持部材2Bは両端部に溝24を有し、この溝24に環状のフレキシブル配線板4Bの内周部が取り付けられている。このようなフレキシブル配線板4Bにはパターン41Bが設けられ、これらのパターン41Bが各電極111〜115の支持部材2Bの近い位置に圧着または溶着されている。この例では(10)の効果に加え、次のような効果がある。
(11)フレキシブル配線板4Bが環状形状であり、支持部材2Bの溝24に支持されるので、フレキシブル配線板4Bを支持部材2Bに接着する等の作業を不要にでき、容易に取付可能で、組み立て性を向上させることができる。
【0035】
〔第三実施形態〕
次に本発明の第三実施形態について図12に基づいて説明する。図12(A)は支持部材2Cの挿入部23Cの断面を示す斜視図である。図12(B)は挿入部23Cを示す平断面図である。
図12(A)において、支持部材2C外周には挿入方向に沿った複数の溝部25Cが等周間隔で設けられ、隣合う溝部25Cの間は突出部26Cになっている。図12(A)において破線は補強板12の支持部材挿入孔121である。支持部材2Cの挿入部23Cは、その径が支持部材挿入孔121の径より若干大きく設定され、圧入により固定されている。この時、突出部26Cは支持部材挿入孔121に食込むように圧入され、非常に強い固定力が得られる。
【0036】
第三実施形態によれば、第一実施形態の(1)から(9)の効果に加えて次の効果が得られる。
(12)支持部材2Cの補強板12への挿入部23Cに溝部25Cと突出部26Cが設けられていることで、突出部26Cが支持部材挿入孔121に食込むように圧入されるため、補強板12への支持部材2Cの固定力を強くでき、断面が円形の支持部材2の時に比べて補強板12が回りにくく、長時間振動体10を振動させても補強板12と支持部材2Cとがずれない。
【0037】
〔第四実施形態〕
次に本発明の第四実施形態について図13に基づいて説明する。図13は第四実施形態での圧電アクチュエータの支持構造における中心近傍を示す断面図である。
図13において、支持部材2Dは、下部に制御回路592を備えた土台59に直接固定されているとともに、中心部分に空洞27Dを備え、この空洞27Dには各電極111〜115(図5参照)に接続される配線8が通されている。
【0038】
土台59は基部51にスライド可能に設けられ、また図示しないばねにより外輪52の被当接面520側に付勢されている。支持部材2Dを挿入する支持部材固定孔591の径は支持部材2Dの下端部に設けられた固定部21Dの径より若干小さく設定され、支持部材2Dは支持部材固定孔591に固定部21Dを圧入することにより固定されている。
支持部材2Dの空洞27Dは支持部材2Dの両端部で開口しており、土台59の下部に通じている。また、支持部材2Dにおいて、図13中で下面側の圧電素子11と略同一高さには、配線8の挿通孔28Dが設けられている。制御回路592に接続された配線8は、空洞27Dの下端開口部から空洞27D内に通され、さらに挿通孔28Dから引き出され、下面側の圧電素子11の各電極111〜115へ接続されている。また空洞27Dの上端開口部から引き出された配線8は、上面側の圧電素子11の各電極111〜115へ接続されている。配線8の材質には軽量かつ接続が容易に行えるものが好ましく、例えばウレメット線等であればハンダ付けにより接続が容易に行える。
【0039】
第四実施形態によれば、第一実施形態の(1)から(4)および(7)、(8)の効果に加えて次のような効果が得られる。
(13)配線8が支持部材2Dの空洞27Dを通して節近傍の各電極111〜115に接続されているので、配線8は空洞27D内にまとめられることになり、配線8が振動体10に接触して振動を阻害することがない。
(14)土台59は基部51に設置され、この土台59に直接支持部材2Dが固定されているので、他の固定構造、例えば第一実施形態でいう取付部材53のような固定構造が不要であり、車輪体50全体の小型化、薄型化を促進できる。
【0040】
〔第五実施形態〕
次に本発明の第五実施形態について図14に基づいて説明する。
図14(A)は第五実施形態の圧電アクチュエータの支持構造の斜視図を、図14(B)は圧電アクチュエータの支持構造の支持部材近傍の断面図を、図14(C)は補強板の平面図を示している。
【0041】
図14(A)〜(C)において、第五実施形態の圧電アクチュエータ1は、長手方向を有する矩形平板状の補強板12Eの両面に圧電素子11Eを接合した振動体10Eと、この振動体10Eの略中心に挿通された矩形板状の支持部材2Eとを有している。
補強板12Eの各短辺の端部には対角方向に対向した一対の突起部120E、126Eが設けられ、振動体10Eが全体としてアンバランスに設定されている。また、補強板12Eの略中心には支持部材2Eが挿通された支持部材挿入孔121Eが補強板12Eの幅方向に沿って設けられ、さらに、この支持部材挿入孔121Eの両端には略円形の補助孔125Eが設けられ、この補助孔125Eに挟まれる部分、すなわち支持部材挿入孔121Eの内側部分が突起部127Eになっている。補強板12Eは導電性を有し、支持部材2Eと突起部127Eとを介して導通している。
【0042】
図14(B)で補強板12Eの下面側に接合される圧電素子11Eの略中心には、支持部材挿入孔121Eより一回り大きい鍔挿入孔117Eが設けられ、また上面側に接合される圧電素子11Eの略中心には、鍔挿入孔117Eと略同一寸法の治具挿入孔116Eが設けられている。
また、圧電素子11Eの表面の電極111Eの支持部材2E近傍には配線8Eが接続され、この配線8Eを介して図示しない制御回路と電極111Eとが導通している。
【0043】
振動体10は、支持部材2Eの挿入部23Eを補強板12Eの支持部材挿入孔121Eに挿入することで支持されている。この時支持部材挿入孔121Eの短辺は支持部材2Eの厚みより若干小さく設定され、支持部材2Eは支持部材挿入孔121Eに圧入されている。また、補助孔125E間に形成される突起部127Eは圧入の際に支持部材2Eの挿入部23Eに食込むように圧入されるので、強い固定力で挿入部23Eを固定できる。
図14(C)中で挿入部23Eの下部に当接する鍔22Eは、圧電素子11Eとの間に隙間を空けて鍔挿入孔117Eに挿入されているとともに、その上面で補強板12Eを支持している。また、治具挿入孔116Eは支持部材2Eを圧入する時に使用される治具を挿入するために設けられたものである。
支持部材2Eの両端部には押圧ばね29Eが接続されており、突起部120Eを外輪52の被当接面520(図1)の方向に付勢させている。また、本実施形態では支持部材2Eを若干撓ませ、板ばねとして作用させて突起部120Eを被当接面520の方向に付勢させることもできる。
【0044】
第五実施形態による圧電アクチュエータ1では、電極111Eに電圧を印加すると長手方向に伸縮して、縦1次振動を励振する。また同時に、突起部120E、126Eが設けられている角部近傍では、これらの突起部120E、126Eの重さ等の影響により幅方向に慣性モーメントが働くため、振動体10E全体では屈曲が発生し、幅方向に屈曲2次振動を励振する。このため、これらの縦1次振動と屈曲2次振動が複合されることにより、突起部120Eは楕円運動を行い、この楕円運動の向きを力に応じた駆動力が被駆動体に与えられる。
【0045】
第五実施形態によると第一実施形態の効果(1)、(3)、(5)に加え、次の効果が得られる。
(15)振動体10Eの中心を支持する板状の支持部材2Eは若干撓んでおり、板ばねとして作用しているので、押圧ばね29Eの弾性力と相まって突起部120Eを外輪52の被当接面520に強い力で付勢させることができ、被当接面520により大きな駆動力を与えることができる。
(16)押圧ばね29Eは直接支持部材2Eに取り付けられているので、第一実施形態のような取付部材53を不要にでき、部材点数を低減し、薄型化、小型化を促進できる。
【0046】
〔第六実施形態〕
次に第六実施形態を図15に基づいて説明する。
図15において、振動体10Fは、補強板12Fと、その両面に接着される圧電素子11Fとで構成されている。補強板12Fは径の大きい支持部材挿入孔121Fを備え、この支持部材挿入孔121Fは位置決め段差部128を有する。
一方の支持部材2Fには、支持部材挿入孔121Fの大きさに対応した径の挿入部23Fと、圧電素子11Fに挿入される段差部232とが設けられている。また、挿入部23Fは、位置決め段差部128に対応した位置に位置決め段差部231を備えている。
【0047】
前述した第一実施形態においては、振動体10の製造は補強板12の両面に圧電素子11を接合し、その、後支持部材2を補強板12に圧入することで、支持部材2は振動体10を支持している。これに対して第六実施形態では、支持部材2Fを先に補強板2Fに固定する構造となる。
つまり、このような振動体10Fでは、始めに補強板12Fに支持部材2Fを挿入する。この際、支持部材挿入孔121Fの径を挿入部23Fの径より若干小さく設定しておき、位置決め段差部231と位置決め段差部128とが接合されるように圧入する。
次に補強板12Fの両面に圧電素子11Fを接着する。この接着は、補強板12Fおよび挿入部23Fの上面に接着剤を塗布しておき、この接着剤により圧電素子11Fを補強板12Fに確実に接着することで行われる。このようにすれば、接着剤が圧電素子11Fと挿入部23Fとで囲まれる隙間9Aに充填されるため、圧電素子11Fの接着強度を確実に確保できる。また、圧電素子11Fの段差部挿入孔118を支持部材2Fの段差部232にはめ込むことで、この段差部232が圧電素子用の位置決め案内部として働くから、圧電素子11Fが補強板12Fに対して貼り付けずれを起こさない。
なお、この振動体10Fでは、圧電素子11Fの表面電極と支持部材2Fとは、隙間9Bが存在することで絶縁されている。
【0048】
このように製造された第六実施形態の圧電アクチュエータの支持構造では第一実施形態の効果(1)〜(3)に加えて次の効果が得られる。
(17)支持部材2Fの段差部232は圧電素子11Fの位置決め案内部として機能するため、支持部材2Fが取り付けられた補強板12Fに圧電素子11Fを取り付ける際には、圧電素子11Fを所定の位置に容易に接着でき、貼り付けずれを防止できる。
(18)補強板12Fの支持部材挿入孔121Fの径が大きいので、圧入によって押さえ付けられる面積も大きくでき、支持部材2Fの固定力を向上させることができる。
【0049】
なお、本発明は前述の各実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的を達成できる範囲での変形、改良等は本発明に含まれるものである。
例えば、第一実施形態、第二実施形態、及び第四実施形態から第六実施形態の圧電アクチュエータでは、補強板12の両面に圧電素子11、11E、11Fを設けているが、圧電素子11を片面にのみ設けるものでもよい。しかし、この場合には、振動体10は面内方向への振動だけではなく、面内方向以外への振動も起こりうるので、圧電素子11の両面に補強板12を設ける場合がある。
第一実施形態、第二実施形態において、突起部120は補強板12の一短辺側の略中央に設けられていたが、これに限らない。例えば、第五実施形態のように補強板12の一短辺の端部に設けられていてもよい。この場合、突起部120のために安定した屈曲振動を保てない虞があるため、振動体10の中心に対して突起部と対角な位置に同形状の突起部を設ければよい。また、突起部を取り付ける部材においても補強板に限らない。例えば、突起部は圧電素子に取り付けられても構わない。
【0050】
また、第一実施形態から第四実施形態、第六実施形態では支持部材2の断面は円形であるとしたが、これに限らない。例えば、断面形状が楕円形や多角形の支持部材を用いても構わない。この場合対応する補強板12の支持部材挿入孔121、121Fの形状も支持部材の形状に合わせる必要がある。このような変形例では、振動体10が支持部材2に対して回転しにくく、固定力を向上させることができる。
第一実施形態では、押さえ板3の31を円形の孔、この案内孔31に圧入される支持部材2の固定部21を四角形としたが、これに限られない。例えば、押さえ板3の案内孔31の断面形状を楕円あるいは多角形としてもよく、これに対する固定部21の断面形状においても案内孔31の形に合わせて楕円或いは多角形としてもよい。また、固定部21の断面形状は案内孔31の形状に必ずしも合わせる必要が無く、位置決め及び固定が可能であればよい。
【0051】
第一実施形態、第二実施形態において、圧電素子11は長手方向に平行に3等分され、さらにその両側は幅方向に平行に2等分されるとしたが、この分割方法に限るものではない。例えば、圧電素子を幅方向に平行に3等分し、その両側を長手方向に平行に2等分したものでもよい。すなわち、振動体10を屈曲振動させるために、振動体10の一対角に沿って電圧を印加できる構造であればよい。また、第五実施形態のように圧電素子11は分断されずに矩形の1対角方向に一対の突起部を対向するように設けることによって屈曲振動を発生させてもよい。
【0052】
また、ここまでの実施形態では、振動体10,10E,10Fを外輪52の被当接面520の方向に付勢しているが、これに限らない。例えば、振動体10,10E,10Fを固定し、車輪体52の被当接面520を振動体10側に付勢してもよい。
【0053】
ここで、このような圧電アクチュエータ1を用いた車輪体50の例を挙げる。このような圧電アクチュエータ1を用いた一例として、小型の圧電アクチュエータ1を搭載した小さなおもちゃ等がある。例えば、自動車のおもちゃの前輪、後輪の2輪に圧電アクチュエータ1を搭載すると、圧電アクチュエータ1の振動状態を変えることで車輪体50の正転、逆転ができるため、おもちゃを前進、後退させることができる。また、片輪を正転させ、もう片輪を逆転させることでその場で回転運動させることができる。さらに、おもちゃの自動車に限らず、ロボットの足の部分に車輪体50を搭載させる等も考えられる。このように、圧電アクチュエータ1が小型化可能であるため、小さいおもちゃ等に搭載することができ、この大きさに合わせて様々なおもちゃ等に適用できる。
【0054】
圧電アクチュエータ1を用いた車輪体50の他の例として時計の運針が挙げられる。圧電アクチュエータ1を針の軸部分や、輪列に接触させ加圧させると針が駆動する。さらに時計の円盤状をしたカレンダーの側面に接触、加圧するとカレンダーが駆動し、時計の表示部分に日付を表示させることができる。圧電アクチュエータ1は逆転可能であるから、カレンダーや時刻の修正も楽に行える。このような圧電アクチュエータは、矩形薄板状の圧電素子で小型であるため、時計全体を小型化できる。
【0055】
本発明を実施するための最良の構成、方法などは、以上の記載で開示されているが、本発明は、これに限定されるものではない。すなわち、本発明は、主に特定の実施形態に関して特に図示され、かつ、説明されているが、本発明の技術的思想および目的の範囲から逸脱することなく、以上述べた実施形態に対し、形状、材質、数量、その他の詳細な構成において、当業者が様々な変形を加えることができるものである。
したがって、上記に開示した形状、材質などを限定した記載は、本発明の理解を容易にするために例示的に記載したものであり、本発明を限定するものではないから、それらの形状、材質などの限定の一部もしくは全部の限定を外した部材の名称での記載は、本発明に含まれるものである。
【0056】
【発明の効果】
この発明によれば、振動体の振動の節近傍あるいは節を含む場所を支持部材で支持しているので、振動体の振動を阻害せずに振動体を支持できる。また、支持部材2が振動体の中央に1つだけ設けられているので面内方向へのサイズが小さくなり小型化を促進できる。さらに支持部材2の近傍に配線することで、断線を有効に防止でき、配線により振動も阻害されることがないという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】第一実施形態の圧電アクチュエータの支持構造が適用された装置の平面図。
【図2】第一実施形態の圧電アクチュエータの振動体の斜視図。
【図3】第一実施形態の圧電アクチュエータの中心付近の断面図。
【図4】第一実施形態における支持部材と押さえ板の支持構造を示す斜視図。
【図5】(A)は電圧を印加した際の縦振動の様子を表す図、(B)は電圧を印加した際の屈曲振動の様子を表す図、(C)は縦1次振動および屈曲2次振動の複合振動時の突起部の軌道を示す図。
【図6】第一実施形態の振動体の製造過程において用いられる補強板及び圧電素子の加工前の状態を示した平面図。
【図7】第二実施形態における圧電アクチュエータの支持構造の平面図。
【図8】第二実施形態で使用される電圧印加手段の展開平面図
【図9】第二実施形態における圧電アクチュエータの支持構造の断面図。
【図10】第二実施形態の変形例である支持部材に取り付けられている電圧印加手段の平面図。
【図11】第二実施形態の変形例である電圧印加手段が取り付けられた圧電アクチュエータの断面図。
【図12】(A)は第三実施形態における支持部材の補強板へ挿入する挿入部の断面を示す斜視図、(B)は挿入部を示す平面断面図。
【図13】第四実施形態における圧電アクチュエータの支持構造における中心近傍を示す断面図。
【図14】(A)は第五実施形態の圧電アクチュエータの支持構造の斜視図、(B)は補強板の平面図、(C)は圧電アクチュエータの支持構造の支持部材近傍の断面図。
【図15】第六実施形態における圧電アクチュエータの支持構造の中心付近の断面図。
【符号の説明】
1…圧電アクチュエータ、10,10E,10F…振動体、11,11E,11F…圧電素子、111,112,113,114,115…電極、2,2B,2C,2D,2E,2F…支持部材、4,4A,4B…フレキシブル配線板(電圧印加手段)、232…段差部(案内部)。
Claims (10)
- 矩形薄板状の圧電素子を含む振動体を有するとともに、前記振動体の振動方向が該振動体の面内方向である圧電アクチュエータであって、
前記圧電アクチュエータを支持する支持部材は、前記振動体の振動の節近傍となる位置を支持していることを特徴とする圧電アクチュエータ。 - 請求項1に記載の圧電アクチュエータにおいて、
前記支持部材は前記振動体の振動の面内方向に対して略垂直となるように当該振動体を支持していることを特徴とする圧電アクチュエータ。 - 請求項1又は請求項2に記載の圧電アクチュエータにおいて、
前記振動体の振動は、前記長手方向に沿って伸縮する縦奇数次振動と、前記長手方向に対して屈曲する屈曲偶数次振動との複合振動であり、
前記支持部材は、これらの縦奇数次振動の節及び屈曲偶数次振動の節が最も近づいた位置で前記振動体を支持していることを特徴とする圧電アクチュエータ。 - 請求項3に記載の圧電アクチュエータにおいて、
前記縦奇数次振動は縦1次振動であり、前記屈曲偶数次振動は屈曲2次振動であることを特徴とする圧電アクチュエータ。 - 請求項1から4のいずれかに記載の圧電アクチュエータにおいて、
前記圧電素子の電極に電圧を印加するための電圧印加手段を備え、この電圧印加手段は可撓性を有した配線板で形成され、この配線板上の導通パターンまたは当該配線板から延出した箔状の導通パターンが前記電極に接合されていることを特徴とする圧電アクチュエータ。 - 請求項5に記載の圧電アクチュエータにおいて、
前記電圧印加手段は、前記支持部材に取り付けられていることを特徴とする圧電アクチュエータ。 - 請求項1から請求項6のいずれかに記載の圧電アクチュエータにおいて、
前記圧電アクチュエータが取り付けられる取付部材には、前記振動体を振動の面内方向の一方向に付勢させる付勢手段が設けられていることを特徴とする圧電アクチュエータ。 - 請求項1から請求項7のいずれかに記載の圧電アクチュエータにおいて、
前記支持部材は弾性を有し、前記振動体を面内方向の一方向に付勢可能に設けられていることを特徴とする圧電アクチュエータ。 - 請求項1から請求項8のいずれかに記載の圧電アクチュエータにおいて、
前記振動体は前記圧電素子と補強板とを積層して形成され、前記支持部材には前記圧電素子を前記補強板に位置決めするための案内部が設けられていることを特徴とする圧電アクチュエータ。 - 請求項1から請求項9のいずれかに記載の圧電アクチュエータを備えたことを特徴とする機器。
Priority Applications (1)
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JP2003088816A JP2004297949A (ja) | 2003-03-27 | 2003-03-27 | 圧電アクチュエータおよびこれを備えた機器 |
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JP2003088816A Withdrawn JP2004297949A (ja) | 2003-03-27 | 2003-03-27 | 圧電アクチュエータおよびこれを備えた機器 |
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Cited By (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2008228556A (ja) * | 2007-02-14 | 2008-09-25 | Seiko Epson Corp | 圧電振動体、圧電アクチュエータ、および携帯機器 |
JP2013121213A (ja) * | 2011-12-06 | 2013-06-17 | Seiko Epson Corp | 圧電モーター、駆動装置、ロボット、電子部品搬送装置、電子部品検査装置、プリンター |
US9065036B2 (en) | 2012-02-23 | 2015-06-23 | Canon Kabushiki Kaisha | Vibration-type driving apparatus and image pickup apparatus |
-
2003
- 2003-03-27 JP JP2003088816A patent/JP2004297949A/ja not_active Withdrawn
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