JPWO2007083752A1 - 超音波アクチュエータ - Google Patents

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Abstract

内部電極層(5)は、積層方向に圧電体層(1)を介して交互に配された共通電極層(3)及び給電電極層(6)からなる。共通電極層(3)は、共通電極(3a)を有する。給電電極層(6)は、第一給電電極層(6a)と第二給電電極層(6b)とからなる。第一給電電極層(6)は、圧電体層(1)の主面をその長手方向(L)及び短手方向(S)にそれぞれ2分割してなる4つの領域(A1〜A4)のうち圧電体層(1)の主面の第一対角線方向(D1)に対向する2つの領域(A2,A4)にそれぞれ設けられた、互いに導通する一対の第一電極(2,2)を有する。第二給電電極層(6)は、4つの領域(A1〜A4)のうち圧電体層(1)の主面の第二対角線方向(D2)に対向する2つの領域(A1,A3)にそれぞれ設けられた、互いに導通する一対の第二電極(4,4)を有する。共通電極(3a)、第一電極(2,2)、及び第二電極(4,4)は、それぞれの外部電極(7g,7b,7a)に接続されている。

Description

本発明は、圧電素子及びそれを備えた超音波アクチュエータに関するものである。
従来から、各種電気機器等に用いられる、圧電素子(電気機械変換素子)を備えた超音波アクチュエータが知られている(例えば、特許文献1参照)。この圧電素子は、圧電体と電極とを交互に積層してなる。そして、上記超音波アクチュエータでは、電極に電圧を印加することにより圧電素子を振動させ、これにより、可動体を運動させる。
特表2003−501988号公報
ここで、本発明者は、超音波アクチュエータとして以下に示すものを考案した。図16は、その超音波アクチュエータの斜視図であり、図17(a)は、超音波アクチュエータに用いられている圧電素子の斜視図であり、図17(b)は、圧電素子の分解斜視図である。
図16、図17に示すように、圧電素子100は、ケース103に設けられた3つの支持部104A〜104Cにてこのケース103に収容支持されている。圧電素子100の端面には駆動子110,110が設けられており、これらの駆動子110,110は可動体111を支持している。駆動子110,110は支持部104Bにより可動体111に押圧されている。
圧電素子100は、圧電体101と内部電極102とを交互に積層してなる。内部電極102Gは、圧電体101の主面のほぼ全面に亘って設けられた共通電極(グラウンド電極)である。また、圧電体101は、図17で示す矢印の方向に分極されている。
内部電極102A〜102D,102Gは、それぞれの外部電極103A〜103D,103Gに接続されている。この各外部電極103A〜103D,103Gは、圧電素子100の端面に設けられている。各外部電極103A〜103D,103Gには、例えば、ワイヤー108A〜108D,108Gがはんだ107を介して接続されている。そして、これらのワイヤー108A〜108D,108Gを通じて、各内部電極102A〜102D,102Gには電圧が供給される。
ところで、圧電素子100の、後述する伸縮振動の共振周波数及び屈曲振動の共振周波数は、それぞれ圧電素子100の材料や形状等により決定される。そして、圧電素子100の材料や形状等は、伸縮振動の共振周波数及び屈曲振動の共振周波数が略一致するように決められている。
以下、超音波アクチュエータの動作について説明する。図6〜図8は、それぞれ圧電素子の振動形態を説明する概念図である。
ワイヤー108Gをグラウンドに接続するとともに、ワイヤー108A,108Cを介して圧電体101の主面の一方の対角線上に配した内部電極102A,102Cに特定周波数の正弦波の基準電圧を印加し、ワイヤー108B,108Dを介して他方の対角線上に配した内部電極102B,102Dに基凖電圧とほぼ同じ大きさ・周波数の正弦波の電圧を印加する。これにより、内部電極102A,102Cに同位相の電圧が加わり、内部電極102B,102Dに同位相の電圧が加わる。基準電圧と内部電極102B,102Dに印加した電圧との位相差が0°の場合、図6に示すように、圧電素子100には1次モードの伸縮振動が誘起される。一方、その位相差が180°の場合、図7に示すように、圧電素子100には2次モードの屈曲振動が誘起される。
また、内部電極102A,102Cに前記略一致させた共振周波数近傍の周波数の正弦波の基準電圧を加え、内部電極102B,102Dに、位相が基準電圧と90°又は−90°だけ異なる、基準電圧とほぼ同じ大きさ・周波数の正弦波の電圧を加えると、圧電素子100には1次モードの伸縮振動と2次モードの屈曲振動とが調和的に誘起される。これにより、圧電素子100の形状が、図8(a)〜(d)に示すような順で変化する。その結果、圧電素子100に設けられた駆動子110,110が、図8の紙面を貫く方向から見て略楕円運動する。つまり、圧電素子100の伸縮振動及び屈曲振動の合成振動により駆動子110,110が楕円運動する。この楕円運動により駆動子110,110に支持された可動体111が圧電素子100との間で相対運動して、矢印A又は矢印Bの方向に動く。
ところで、上記超音波アクチュエータでは、少なくとも5本のワイヤー108A〜108D,108Gを圧電素子100上の外部電極103A〜103D,103Gに接続する必要がある。このため、圧電素子100の振動時に、ワイヤー108A〜108D,108Gや、ワイヤー108A〜108D,108Gと外部電極103A〜103D,103Gとを接続する導電性接続部材としてのはんだ107が負担となって、圧電素子100の振動が阻害されてしまう。その結果、超音波アクチュエータの効率が低下するおそれがあった。
本発明は、かかる点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、圧電素子の振動阻害を抑制することにある。
その目的を達成するために、本発明は、略矩形状の圧電体層と内部電極層とを交互に積層してなる圧電素子であって、前記内部電極層は、積層方向に前記圧電体層を介して交互に配された共通電極層及び給電電極層からなり、前記共通電極層は、共通電極を有し、前記給電電極層は、前記圧電体層の主面に設けられた第一給電電極層と、主面に該第一給電電極層が設けられた圧電体層とは異なる圧電体層の主面に設けられた第二給電電極層とを有し、前記第一給電電極層は、前記圧電体層の主面をその長手方向及び短手方向にそれぞれ2分割してなる4つの領域のうち前記圧電体層の主面の第一対角線方向に対向する2つの領域にそれぞれ設けられた、互いに導通する一対の第一電極を有し、前記第二給電電極層は、前記4つの領域のうち前記圧電体層の主面の第二対角線方向に対向する2つの領域にそれぞれ設けられた、互いに導通する一対の第二電極を有し、前記共通電極、前記第一電極、及び前記第二電極は、前記圧電素子の外面に設けられた、それぞれの外部電極に接続されている構成としたものである。
本発明によれば、圧電体層の主面をその長手方向及び短手方向にそれぞれ2分割してなる4つの領域のうち圧電体層の主面の第一対角線方向に対向する2つの領域にそれぞれ設けられた、第一給電電極層の一対の第一電極を互いに導通させ、4つの領域のうち圧電体層の主面の第二対角線方向に対向する2つの領域にそれぞれ設けられた、第二給電電極層の一対の第二電極を互いに導通させることにより、ワイヤー等の数を減らすことができる。その結果、圧電素子の振動阻害を抑制することができる。
また、ワイヤー等の接続工数を減らすことができるので、製造が容易になる。特に、圧電素子は機械的強度が弱いため、ワイヤー等を外部電極に接続する際、機械的ストレスにより圧電素子が壊れるおそれがあるが、上述のように、ワイヤー等の接続工数が減ることにより、この接続工程における圧電素子の破壊を低減することができる。
さらに、ワイヤー等と外部電極との接続点も減らすことができるので、信頼性も向上する。
図1は、本発明の実施形態1に係る超音波アクチュエータの斜視図である。 図2は、圧電素子の斜視図である。 図3は、圧電素子の分解斜視図である。 図4は、圧電体層の平面図である。 図5(a)は、第一給電電極層と共通電極層との位置関係を示す図であり、図5(b)は、第二給電電極層と共通電極層との位置関係を示す図である。 図6は、1次モードの伸縮振動の変位図である。 図7は、2次モードの屈曲振動の変位図である。 図8は、圧電素子の動作を示す概念図である。 図9は、超音波アクチュエータの変形例の斜視図である。 図10は、実施形態2に係る圧電素子の分解斜視図である。 図11(a)は、実施形態3に係る圧電素子の斜視図であり、図11(b)は、圧電素子の分解斜視図である。 図12は、圧電素子の分解斜視図である。 図13は、超音波アクチュエータの変形例の斜視図である。 図14(a)は、圧電素子の斜視図であり、図14(b)は、圧電素子の分解斜視図である。 図15は、超音波アクチュエータの変形例の斜視図である。 図16は、超音波アクチュエータの斜視図である。 図17(a)は、圧電素子の斜視図であり、図17(b)は、圧電素子の分解斜視図である。
符号の説明
1 圧電体層
2 第一電極
3 共通電極層
3a 共通電極
4 第二電極
5 内部電極
6 給電電極層
6a 第一給電電極層
6b 第二給電電極層
7 外部電極
7a 第二電極用の外部電極
7b 第一電極用の外部電極
7g 共通電極用の外部電極
8 駆動子
9 可動体
10 ワイヤー
11 ケース(支持体)
12,21,23,33,43 圧電素子
13a〜13c 支持部
22 第一側部電極
24 第二側部電極
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。
(実施形態1)
−超音波アクチュエータの構成−
図1は、本実施形態1に係る超音波アクチュエータの斜視図であり、図2は、その超音波アクチュエータに用いられている圧電素子12の斜視図であり、図3は、圧電素子12の分解斜視図であり、図4は、圧電体層1の平面図であり、図5(a)は、第一給電電極層6aと共通電極層3との位置関係を示す図であり、図5(b)は、第二給電電極層6bと共通電極層3との位置関係を示す図である。
図1〜図3に示すように、超音波アクチュエータは、圧電素子12を備えている。この圧電素子12は、互いに対向する一対の主面と、この主面と直交して圧電素子12の主面の長手方向に延びる、互いに対向する一対の端面と、これらの主面及び端面の両方と直交して圧電素子12の主面の短手方向に延びる、互いに対向する一対の側面とを有している。主面、端面及び側面が圧電素子12の外面を構成し、端面及び側面が圧電素子12の周囲面を構成している。本実施形態では、主面、端面及び側面のうち主面が最大の面積を有している。
圧電素子12は、3つの支持部13a〜13cを介してケース11(支持体)に収容支持されている。圧電素子12の一方の端面には駆動子8,8が設けられており、これらの駆動子8,8は平板状の可動体9を支持している。圧電素子12の他方の端面(駆動子8,8が設けられた端面とは反対側の端面)の支持体13bは、駆動子8,8を可動体9に押圧している。これにより、駆動子8,8の先端部と可動体9との摩擦力が高められ、圧電素子12の振動が駆動子8,8を介して確実に可動体9に伝搬される。
圧電素子12は、略矩形状の圧電体層1と内部電極層5とを交互に積層してなる略直方体状のものである。この圧電体層1は、例えばチタン酸ジルコン酸鉛などのセラミック材料からなる絶縁体層である。内部電極層5は、積層方向(圧電素子12の厚み方向)に圧電体層1を介して交互に配された共通電極層3及び給電電極層6からなる。この共通電極層3は、圧電体層1の上側主面のほぼ全面に亘って設けられた略矩形状の共通電極3aを有している。この共通電極3aには、その長手方向中央部から圧電素子12の両端面に向かってそれぞれ延びる引出電極3b,3bが設けられている。
給電電極層6は、圧電体層1の上側主面に設けられた第一給電電極層6aと、上側主面にこの第一給電電極層6aが設けられた圧電体層1とは異なる圧電体層1の上側主面に設けられた第二給電電極層6bとからなる。つまり、圧電体層1の主面上には、共通電極層3、第一給電電極層6a、及び第二給電電極層6bのうちいずれか1つが印刷されている。また、圧電体層1は、図3の矢印で示すように、第一給電電極層6a又は第二給電電極層6b側から共通電極層3側へと分極されている。
第一給電電極層6aは、圧電体層1の上側主面をその長手方向L及び短手方向Sにそれぞれ2等分してなる4つの領域A1〜A4(図4参照)のうち圧電体層1の上側主面の第一対角線方向(第一対角線の延びる方向)D1に対向する2つの領域A2,A4にそれぞれ形成された、導通電極2aを介して互いに導通する一対の第一電極2,2を有している。この各第一電極2は略矩形状の電極であり、積層方向から見て共通電極層3と重なっている(図5(a)参照)。つまり、各第一電極2は、共通電極層3と圧電体層1を挟んで対向している。導通電極2aも、積層方向から見て共通電極層3と重なっている(図5(a)参照)。各第一電極2には、その長手方向中央部から圧電素子12の端面に向かって延びる引出電極2bが設けられている。この各引出電極2bは、積層方向から見て共通電極層3と重なっていない(図5(a)参照)。つまり、各引出電極2bは、共通電極層3と対向していない。このため、圧電体層1の各引出電極2bに対向する部分には電界が生じない。つまり、この部分は圧電的に不活性な部分となる。
第二給電電極層6bは、圧電体層1の上側主面をその長手方向L及び短手方向Sにそれぞれ2等分してなる4つの領域A1〜A4のうち圧電体層1の上側主面の第二対角線方向(第二対角線の延びる方向)D2に対向する2つの領域A1,A3にそれぞれ形成された、導通電極4aを介して互いに導通する一対の第二電極4,4を有している。この各第二電極4は略矩形状の電極であり、積層方向から見て共通電極層3と重なっている(図5(b)参照)。導通電極4aも、積層方向から見て共通電極層3と重なっている(図5(b)参照)。各第二電極4には、その長手方向中央部から圧電素子12の端面に向かって延びる引出電極4bが設けられている。この各引出電極4bは、積層方向から見て共通電極層3と重なっていない(図5(b)参照)。このため、圧電体層1の各引出電極4bに対向する部分には電界が生じない。
異なる圧電体層1上の共通電極3a同士は、引出電極3bを介して共通電極用の外部電極7gで接続されている。第一電極2,2は、引出電極2bを介して第一電極用の外部電極7bに接続されている。第二電極4,4は、引出電極4bを介して第二電極用の外部電極7aに接続されている。この各外部電極7a,7b,7gは、圧電素子12の一方の端面及び一方の主面に亘って設けられていて、圧電素子12の振動のノード部(節)近傍まで延びている。各外部電極7a,7b,7gの、圧電素子12の主面上の部分には、ワイヤー10がはんだを介して接続されている。そして、このワイヤー10を通じて、内部電極層5には圧電素子12を振動させるための電圧が印加される。このように、各外部電極7a,7b,7gを圧電素子12の一方の端面及び一方の主面に亘って形成して、圧電素子12の振動のノード部付近まで延伸することにより、圧電素子12とワイヤー10との接続点が振動に悪影響を及ぼすことを抑制している。
ところで、圧電素子12の伸縮振動の共振周波数及び屈曲振動の共振周波数は、それぞれ圧電素子12の材料や形状等により決定される。そして、圧電素子12の材料や形状等は、伸縮振動の共振周波数及び屈曲振動の共振周波数が略一致するように決められている。本実施形態では、圧電素子12の材料や形状等は、1次モードの伸縮振動の共振周波数及び2次モードの屈曲振動の共振周波数が略一致するように決定されている。
以上のように、対角線方向D1,D2に並べて配置された電極2,4を互いに導通させ、異なる圧電体層1上の共通電極3a同士を外部電極7gで接続し、圧電体層1上の第一電極2,2を外部電極7bに接続し、圧電体層1上の第二電極4,4を外部電極7aに接続している。つまり、圧電素子12には共通電極用の外部電極7g、第一電極用の外部電極7b、及び第二電極用の外部電極7aの、計3つの外部電極7を設ければよい。これにより、外部電極7に接続すべきワイヤー10の数を3つに減らすことができる。その結果、圧電素子12の振動阻害を抑制することができ、超音波アクチュエータの効率低下を抑制することができる。
また、ワイヤー10の接続工数を減らすことができるので、超音波アクチュエータの製造が容易になる。特に、圧電素子12は機械的強度が弱いため、ワイヤー10を外部電極7に接続する際、機械的ストレスにより圧電素子12が壊れるおそれがあるが、上述のように、ワイヤー10の接続工数が減ることにより、この接続工程における圧電素子12の破壊を低減することができる。
さらに、ワイヤー10と外部電極7との接続点も減らすことができる。これにより、この接続点に設けられたはんだによる振動阻害を抑制することができる。また、この接続点は超音波アクチュエータを駆動させる上で重要な箇所であるが、湿度や温度変化などの外部環境の影響を受けやすいので、上述のように、その接続点を少なくすることにより、超音波アクチュエータの信頼性を向上させることができる。
その上、小型の超音波アクチュエータ(例えば、圧電素子12の長さが0.1mm〜10mm程度のもの)では、各給電電極層6a,6bに異なる電位の電極を形成すると、その異なる電位の電極間の距離が充分にとれず、高い電圧を印加したとき、その異なる電位の電極間でリーク電流が発生することがある。リーク電流が発生すると、給電電力のロスが生じ、超音波アクチュエータの効率が低下する。しかし、各給電電極層6a,6bを上述のような構成にすることにより、各給電電極層6a,6bには同電位の電極だけが形成される。その結果、リーク電流が発生しにくくなり、小型で効率が高い超音波アクチュエータを実現することができる。
それに加えて、共通電極3a、第一電極2、及び第二電極4は、それぞれ引出電極3b,2b,4bを介して外部電極7g,7b,7aに接続されているので、圧電素子12の周囲面の異なる位置に、共通電極3a、第一電極2、及び第二電極4をそれぞれ引き出すことができる。その結果、共通電極3a、第一電極2、及び第二電極4の間に充分な絶縁距離を確保することができる。このように、充分な絶縁距離を取るためには、異なる電位の電極3a,2,4の引出電極3b,2b,4bを圧電体層1の厚み以上の間隔を開けて形成することが望ましい。
また、上述のように、共通電極3a、第一電極2、及び第二電極4は、それぞれ、圧電的に不活性な部分に配置された引出電極3b,2b,4bを介して外部電極7g,7b,7aに接続されているので、圧電素子12に余分な振動が発生しない。その結果、圧電素子12がバランスよく振動し、その振動効率が向上する。
以下、給電電極層6等についてさらに説明する。
第一給電電極層6aの第一電極2,2及び導通電極2aのなす形状が、圧電体層1の上側主面の中心点M(図4参照)に対して点対称の形状である。また、第二給電電極層6bの第二電極4,4及び導通電極4aのなす形状も、圧電体層1の上側主面の中心点Mに対して点対称の形状である。つまり、引出電極2bを除く(以外の)第一給電電極層6aの形状及び引出電極4bを除く第二給電電極層6bの形状が、それぞれ圧電体層1の上側主面の第一対角線及び第二対角線の交点に対して点対称の形状である。このように、給電電極層6の形状を圧電体層1の上側主面の中心点Mに対して略点対称の形状にすることにより、圧電素子12の振動、特に2次モードの屈曲振動の対称性が向上する。このことにより、圧電素子12に余分な振動が発生せず、エネルギーロスが大幅に低減される。その結果、給電電力を効率よく振動に変換することができる。
また、第一給電電極層6aの第一電極2,2及び導通電極2aのなす形状と第二給電電極層6bの第二電極4,4及び導通電極4aのなす形状とが、圧電体層1の上側主面の長手方向Lに延びる中心線C(図4参照)に対して互いに反転した形状である。つまり、引出電極2bを除く第一給電電極層6aの形状をその中心線Cに対して反転した形状が、引出電極4bを除く第二給電電極層6bの形状である。このように、第一給電電極層6aの形状及び第二給電電極層6bの形状を、その中心線Cに対して互いに略反転した形状にすることにより、圧電素子12の振動、特に2次モードの屈曲振動の対称性が向上する。このことにより、圧電素子12に余分な振動が発生せず、エネルギーロスが大幅に低減される。その結果、給電電力を効率よく振動に変換することができる。
また、第一給電電極層6aの数及び第二給電電極層6bの数が同数である。これにより、圧電素子12の振動の対称性が向上する。このことにより、圧電素子12に余分な振動が発生せず、エネルギーロスが大幅に低減される。その結果、給電電力を効率よく振動に変換することができる。
また、給電電極層6は、第一給電電極層6a及び第二給電電極層6bが積層方向に交互に配されてなる。これにより、圧電素子12の導通電極2a,4a配置部分の振動の対称性が向上する。このことにより、圧電素子12に余分な振動が発生せず、エネルギーロスが大幅に低減される。その結果、給電電力を効率よく振動に変換することができる。
また、圧電素子12の積層方向の最外層が圧電体層1である。これにより、以下の効果が得られる。つまり、電子機器内部の非常に小さい空間に小型の超音波アクチュエータ(例えば、長さが1mm〜20mm程度のもの)を実装する場合、圧電素子12の最外層が共通電極層3又は給電電極層6であると、圧電素子12の主面にその周辺にある金属部品が接触したときに、その最外層の電極層がショートして、超音波アクチュエータの特性が著しく低下することがある。そこで、上述のように、圧電素子12の積層方向の最外層を絶縁体である圧電体層1とすることにより、圧電素子12の主面に金属部品が接触してもショートが発生しない。その結果、超音波アクチュエータの信頼性を向上させることができる。
−超音波アクチュエータの動作−
以下、超音波アクチュエータの動作について説明する。図6は、本実施形態に係る1次モードの伸縮振動の変位図であり、図7は、2次モードの屈曲振動の変位図であり、図8は、圧電素子12の動作を示す概念図である。なお、図6〜図8においては、圧電素子12の主面はその紙面と平行な位置関係にある。
例えば、ワイヤー10を介して共通電極層3と第一給電電極層6aとの間に、前記略一致させた共振周波数近傍の周波数の基準交流電圧を印加し、ワイヤー10を介して共通電極層3と第二給電電極層6bとの間に、位相が基準交流電圧と90°又は−90°だけ異なる、基準交流電圧とほぼ同じ大きさ・周波数の交流電圧を印加すると、圧電素子12には、図6に示す1次モードの伸縮振動と図7に示す2次モードの屈曲振動とが調和的に誘起される。
そして、圧電素子12の形状が、図8(a)〜(d)に示すような順で変化する。その結果、圧電素子12に設けられた駆動子8,8が、図8の紙面を貫く方向から見て略楕円運動する。つまり、圧電素子12の伸縮振動及び屈曲振動の合成振動により駆動子8,8が楕円運動する。この楕円運動により駆動子8,8に支持された可動体9が圧電素子12との間で相対運動して、図1に示す矢印A又は矢印Bの方向に動く。
ここで、伸縮振動の伸縮方向は、圧電素子12の主面の長手方向、つまり、可動体9の可動方向であり、屈曲振動の振動方向は、駆動子8,8が可動体9を支持する方向である。圧電素子12の積層方向は、伸縮振動の伸縮方向及び屈曲振動の振動方向の両方と垂直な方向である。
なお、本実施形態では、外部電極7a,7b,7gを圧電素子12の一方の端面及び一方の主面に亘って形成しているが、図9に示すように、圧電素子12の端面にのみ形成してもよい。
(実施形態2)
本実施形態2は、給電電極層6の構成が実施形態1と異なるものである。図10は、本実施形態2に係る圧電素子21の分解斜視図である。
図10に示すように、第一給電電極層6aは、一対の第一電極2,2に加え、前記第二対角線方向D2に対向する2つの領域A1,A3の一方A1に設けられた第一側部電極22を有している。この第一側部電極22は略矩形状の電極であり、積層方向から見て共通電極層3と重なっている。第一側部電極22には、その長手方向中央部から圧電素子12の端面に向かって延びる引出電極22aが設けられている。この引出電極22aは、積層方向から見て共通電極層3と重なっていない。このため、圧電体層1の引出電極22aに対向する部分には電界が生じない。
第二給電電極層6bは、一対の第二電極4,4に加え、前記第一対角線方向D1に対向する2つの領域A2,A4の一方A2に設けられた第二側部電極24を有している。この第二側部電極24は略矩形状の電極であり、積層方向から見て共通電極層3と重なっている。第二側部電極24には、その長手方向中央部から圧電素子12の端面に向かって延びる引出電極24aが設けられている。この引出電極24aは、積層方向から見て共通電極層3と重なっていない。このため、圧電体層1の引出電極24aに対向する部分には電界が生じない。
第一電極2,2と第二側部電極24とは、引出電極2b,24aを介して第一電極用の外部電極7bで接続され、第二電極4,4と第一側部電極22とは、引出電極4b,22aを介して第二電極用の外部電極7aで接続されている。この各外部電極7a,7bは、圧電素子12の両端面にそれぞれ設けられている。外部電極7gも、圧電素子12の両端面にそれぞれ設けられている。
以上のように、給電電極層6に側部電極22,24をさらに設けることにより、電極面積を大きくすることができる。これにより、圧電素子21の変位を大きくすることができ、超音波アクチュエータの効率を向上させることができる。
なお、本実施形態では、第一側部電極22及び第二側部電極24を圧電体層1の上側主面の長手方向Lに延びる中心線Cに対して略左右対称となるように配置してもよい。この場合、第一給電電極層6aの第一電極2,2、導通電極2a及び第一側部電極22のなす形状と第二給電電極層6bの第二電極4,4、導通電極4a及び第二側部電極24のなす形状とが、圧電体層1の上側主面の長手方向Lに延びる中心線Cに対して互いに反転した形状となる。
(実施形態3)
本実施形態3は、給電電極層6の構成が実施形態1、2と異なるものである。図11(a)は、本実施形態3に係る圧電素子23の斜視図であり、図11(b)は、圧電素子23の分解斜視図であり、図12は、圧電素子33の分解斜視図である。
図11に示すように、第一給電電極層6aは、一対の第一電極2,2に加え、前記第二対角線方向D2に対向する2つの領域A1,A3にそれぞれ設けられた一対の第一側部電極22,22を有している。
第二給電電極層6bは、一対の第二電極4,4に加え、前記第一対角線方向D1に対向する2つの領域A2,A4にそれぞれ設けられた一対の第二側部電極24,24を有している。
このように、給電電極層6に側部電極22,24をさらに設けることにより、電極面積を大きくすることができる。これにより、圧電素子23の変位を大きくすることができ、超音波アクチュエータの効率を向上させることができる。
また、2次モードの屈曲振動を効率よく誘起させるためには、圧電体層1の上側主面の対角部にそれぞれ配置された一対の電極が同電位となることが望ましい。そこで、図11に示すように、第一電極2,2と異なる圧電体層1上の第二側部電極24,24同士とは、圧電素子21の両端面にそれぞれ設けられた第一電極用の外部電極7b,7bで接続され、異なる圧電体層1上の第二電極4,4同士と第一側部電極22,22とは、圧電素子21の両端面にそれぞれ設けられた第二電極用の外部電極7a,7aで接続されている。つまり、第一給電電極層6a及び第二給電電極層6bの互いに対向する電極2a〜2d,4a〜4d同士は、それぞれ外部電極7a,7bで接続されている。これにより、第一電極2は、外部電極7bを通じて第二側部電極24と導通して同電位となり、第二電極4は、外部電極7aを通じて第一側部電極22と導通して同電位となる。その結果、圧電体層1の上側主面の対角部にそれぞれ配置された一対の電極をすべて同電位とすることができる。この場合、外部電極7a,7bは、上述のように、圧電素子23の各端面に2箇所ずつ、計4箇所形成する必要がある。しかし、ワイヤー10と接続するのは、圧電素子23の一方の端面上の外部電極7a,7bだけで構わないので、圧電素子12とワイヤー10との接続箇所は、外部電極7a,7bとワイヤー10との接続、各1つずつ、計2つと、共通電極用の外部電極7gとワイヤー10との接続、1つの、合計3つとなる。
また、外部電極7gが圧電素子23の両端面にそれぞれ形成されている。これにより、圧電素子23の方向性がなくなり、圧電素子23に駆動子8,8を実装するとき、その位置をそろえる必要がなくなる。その結果、超音波アクチュエータの量産性が向上する。なお、外部電極7gを圧電素子23の一方の端面にのみ形成してもよい。
また、第一給電電極層6aの第一電極2,2、導通電極2a及び第一側部電極22,22のなす形状と第二給電電極層6bの第二電極4,4、導通電極4a及び第二側部電極24,24のなす形状とが、それぞれ、各給電電極層6a,6bが設けられた圧電体層1の上側主面の中心点Mに対して点対称の形状である。つまり、引出電極2bを除く第一給電電極層6aの形状及び引出電極4bを除く第二給電電極層6bの形状が、それぞれ圧電体層1の上側主面の第一対角線及び第二対角線の交点に対して点対称の形状である。
また、第一給電電極層6aの第一電極2,2、導通電極2a及び第一側部電極22,22のなす形状と第二給電電極層6bの第二電極4,4、導通電極4a及び第二側部電極24,24のなす形状とが、圧電体層1の上側主面の長手方向Lに延びる中心線Cに対して互いに反転した形状である。つまり、引出電極2bを除く第一給電電極層6aの形状及び引出電極4bを除く第二給電電極層6bの形状が、その中心線Cに対して互いに反転した形状である。
また、図11(b)に示すように、給電電極層6は、第一給電電極層6a又は第二給電電極層6bが積層方向に何層か連続して配されてなっていてもよく、あるいは、第一給電電極層6a及び第二給電電極層6bがランダムに配されてなっていてもよいが、図12に示すように、第一給電電極層6aの数及び第二給電電極層6bの数が同数で、給電電極層6が、第一給電電極層6a及び第二給電電極層6bが積層方向に交互に配されてなることが望ましい。
(その他の実施形態)
前記実施形態では、外部電極7を圧電素子12,21,23,33の周囲面にのみ形成し、圧電素子12,21,23,33の主面に形成しないことが望ましい。この場合、圧電素子12,21,23,33の外面のうち、面積が最も大きい主面に外部電極7が形成されないことになるため、その周辺にある金属部品と接触してもショートが起こりにくくなる。さらに、外部電極7と共通電極層3との間には電界が発生しないので、圧電素子12,21,23,33に余分な振動が発生せず、超音波アクチュエータの効率低下を抑制することができる。
また、前記実施形態では、第一電極2、第二電極4、第一側部電極22、及び第二側部電極24を略矩形状の電極としたが、これに限らず、例えば、これらを振動による応力の分布に応じた形状のものとしてもよい。
また、前記実施形態では、外部電極7にはんだによりワイヤー10を接続する構成について説明したが、ワイヤボンディングによる接続、導電性接着剤による接続、圧着による接続、接触による接続など、他の電気的接続方法を用いてもよい。これらにより、前記実施形態と同様の効果が得られる。
また、前記実施形態では、ワイヤー10による給電について説明したが、導電性ゴムによる給電、フレキシブル基板による給電や、コンタクトピンによる給電など、他の給電方法を用いてもよい。これらにより、前記実施形態と同様の効果が得られる。
以下、導電性ゴムによる給電の一例について説明する。図13、図14に示すように、各支持部13a〜13cは、シリコーンゴムに金属粒子を混入した導電性ゴムからなる。領域A4(図4参照)の第一電極2には、この第一電極2から圧電素子43の側面に向かって延びる引出電極2cが設けられている。領域A3(図4参照)の第二電極4には、この第二電極4から圧電素子43の側面に向かって延びる引出電極4cが設けられている。圧電素子43の両側面には、外部電極7cがそれぞれ設けられている。共通電極3aは、外部電極7gを介して支持部13bに接続されている。第一電極2,2及び第二側部電極24,24は、引出電極2c及び外部電極7cを介して支持部13cに接続されている。第二電極4,4及び第一側部電極22,22は、引出電極4c及び外部電極7cを介して支持部13aに接続されている。そして、これらの支持部13a〜13c等を通じて、内部電極層5には電圧が印加される。その他の点に関しては、実施形態3とほぼ同様である。以上により、圧電素子43にはんだを設ける必要がなくなるため、はんだを設けた圧電素子43の部位に振動による応力が集中して圧電素子43が割れてしまうことを抑制することができる。
また、前記実施形態では、超音波アクチュエータの駆動力が付与されて駆動される可動体9は平板状であるが、これに限られるものではなく、可動体9の構成としては任意の構成を採用することができる。例えば、図15に示すように、可動体は所定の軸X回りに回動可能な円板体9であり、超音波アクチュエータの駆動子8,8が円板体9の側周面9aに当接するように構成されていてもよい。かかる構成の場合、超音波アクチュエータを駆動すると、駆動子8,8の略楕円運動によって、円板体9が所定の軸X回りに回動させられる。
また、前記実施形態では、駆動子8,8を圧電素子12,21,23,33の一方の端面に設けた構成について説明したが、圧電素子12,21,23,33の一方の側面に形成してもよい。この場合、1次モードの伸縮振動の伸縮方向は、駆動子8,8が可動体9を支持する方向となり、2次モードの屈曲振動の振動方向は、可動体9の可動方向となる。
また、前記実施形態では、支持体をケース11で構成しているが、圧電素子12,21,23,33を支持する支持部を有する限り、如何なるもので構成してもよい。
以上説明したように、本発明は、給電電極層の構成を工夫することにより圧電素子の振動阻害を抑制するものであり、各種電子機器等に用いられる超音波アクチュエータ等に有用である。
本発明は、圧電素子及びそれを備えた超音波アクチュエータに関するものである。
従来から、各種電気機器等に用いられる、圧電素子(電気機械変換素子)を備えた超音波アクチュエータが知られている(例えば、特許文献1参照)。この圧電素子は、圧電体と電極とを交互に積層してなる。そして、上記超音波アクチュエータでは、電極に電圧を印加することにより圧電素子を振動させ、これにより、可動体を運動させる。
特表2003−501988号公報
ここで、本発明者は、超音波アクチュエータとして以下に示すものを考案した。図16は、その超音波アクチュエータの斜視図であり、図17(a)は、超音波アクチュエータに用いられている圧電素子の斜視図であり、図17(b)は、圧電素子の分解斜視図である。
図16、図17に示すように、圧電素子100は、ケース103に設けられた3つの支持部104A〜104Cにてこのケース103に収容支持されている。圧電素子100の端面には駆動子110,110が設けられており、これらの駆動子110,110は可動体111を支持している。駆動子110,110は支持部104Bにより可動体111に押圧されている。
圧電素子100は、圧電体101と内部電極102とを交互に積層してなる。内部電極102Gは、圧電体101の主面のほぼ全面に亘って設けられた共通電極(グラウンド電極)である。また、圧電体101は、図17で示す矢印の方向に分極されている。
内部電極102A〜102D,102Gは、それぞれの外部電極103A〜103D,103Gに接続されている。この各外部電極103A〜103D,103Gは、圧電素子100の端面に設けられている。各外部電極103A〜103D,103Gには、例えば、ワイヤー108A〜108D,108Gがはんだ107を介して接続されている。そして、これらのワイヤー108A〜108D,108Gを通じて、各内部電極102A〜102D,102Gには電圧が供給される。
ところで、圧電素子100の、後述する伸縮振動の共振周波数及び屈曲振動の共振周波数は、それぞれ圧電素子100の材料や形状等により決定される。そして、圧電素子100の材料や形状等は、伸縮振動の共振周波数及び屈曲振動の共振周波数が略一致するように決められている。
以下、超音波アクチュエータの動作について説明する。図6〜図8は、それぞれ圧電素子の振動形態を説明する概念図である。
ワイヤー108Gをグラウンドに接続するとともに、ワイヤー108A,108Cを介して圧電体101の主面の一方の対角線上に配した内部電極102A,102Cに特定周波数の正弦波の基準電圧を印加し、ワイヤー108B,108Dを介して他方の対角線上に配した内部電極102B,102Dに基準電圧とほぼ同じ大きさ・周波数の正弦波の電圧を印加する。これにより、内部電極102A,102Cに同位相の電圧が加わり、内部電極102B,102Dに同位相の電圧が加わる。基準電圧と内部電極102B,102Dに印加した電圧との位相差が0°の場合、図6に示すように、圧電素子100には1次モードの伸縮振動が誘起される。一方、その位相差が180°の場合、図7に示すように、圧電素子100には2次モードの屈曲振動が誘起される。
また、内部電極102A,102Cに前記略一致させた共振周波数近傍の周波数の正弦波の基準電圧を加え、内部電極102B,102Dに、位相が基準電圧と90°又は−90°だけ異なる、基準電圧とほぼ同じ大きさ・周波数の正弦波の電圧を加えると、圧電素子100には1次モードの伸縮振動と2次モードの屈曲振動とが調和的に誘起される。これにより、圧電素子100の形状が、図8(a)〜(d)に示すような順で変化する。その結果、圧電素子100に設けられた駆動子110,110が、図8の紙面を貫く方向から見て略楕円運動する。つまり、圧電素子100の伸縮振動及び屈曲振動の合成振動により駆動子110,110が楕円運動する。この楕円運動により駆動子110,110に支持された可動体111が圧電素子100との間で相対運動して、矢印A又は矢印Bの方向に動く。
ところで、上記超音波アクチュエータでは、少なくとも5本のワイヤー108A〜108D,108Gを圧電素子100上の外部電極103A〜103D,103Gに接続する必要がある。このため、圧電素子100の振動時に、ワイヤー108A〜108D,108Gや、ワイヤー108A〜108D,108Gと外部電極103A〜103D,103Gとを接続する導電性接続部材としてのはんだ107が負担となって、圧電素子100の振動が阻害されてしまう。その結果、超音波アクチュエータの効率が低下するおそれがあった。
本発明は、かかる点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、圧電素子の振動阻害を抑制することにある。
その目的を達成するために、本発明は、略矩形状の圧電体層と内部電極層とを交互に積層してなる圧電素子であって、前記内部電極層は、積層方向に前記圧電体層を介して交互に配された共通電極層及び給電電極層からなり、前記共通電極層は、共通電極を有し、前記給電電極層は、前記圧電体層の主面に設けられた第一給電電極層と、主面に該第一給電電極層が設けられた圧電体層とは異なる圧電体層の主面に設けられた第二給電電極層とを有し、前記第一給電電極層は、前記圧電体層の主面をその長手方向及び短手方向にそれぞれ2分割してなる4つの領域のうち前記圧電体層の主面の第一対角線方向に対向する2つの領域にそれぞれ設けられた、互いに導通する一対の第一電極を有し、前記第二給電電極層は、前記4つの領域のうち前記圧電体層の主面の第二対角線方向に対向する2つの領域にそれぞれ設けられた、互いに導通する一対の第二電極を有し、前記共通電極、前記第一電極、及び前記第二電極は、前記圧電素子の外面に設けられた、それぞれの外部電極に接続されている構成としたものである。
本発明によれば、圧電体層の主面をその長手方向及び短手方向にそれぞれ2分割してなる4つの領域のうち圧電体層の主面の第一対角線方向に対向する2つの領域にそれぞれ設けられた、第一給電電極層の一対の第一電極を互いに導通させ、4つの領域のうち圧電体層の主面の第二対角線方向に対向する2つの領域にそれぞれ設けられた、第二給電電極層の一対の第二電極を互いに導通させることにより、ワイヤー等の数を減らすことができる。その結果、圧電素子の振動阻害を抑制することができる。
また、ワイヤー等の接続工数を減らすことができるので、製造が容易になる。特に、圧電素子は機械的強度が弱いため、ワイヤー等を外部電極に接続する際、機械的ストレスにより圧電素子が壊れるおそれがあるが、上述のように、ワイヤー等の接続工数が減ることにより、この接続工程における圧電素子の破壊を低減することができる。
さらに、ワイヤー等と外部電極との接続点も減らすことができるので、信頼性も向上する。
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。
(実施形態1)
−超音波アクチュエータの構成−
図1は、本実施形態1に係る超音波アクチュエータの斜視図であり、図2は、その超音波アクチュエータに用いられている圧電素子12の斜視図であり、図3は、圧電素子12の分解斜視図であり、図4は、圧電体層1の平面図であり、図5(a)は、第一給電電極層6aと共通電極層3との位置関係を示す図であり、図5(b)は、第二給電電極層6bと共通電極層3との位置関係を示す図である。
図1〜図3に示すように、超音波アクチュエータは、圧電素子12を備えている。この圧電素子12は、互いに対向する一対の主面と、この主面と直交して圧電素子12の主面の長手方向に延びる、互いに対向する一対の端面と、これらの主面及び端面の両方と直交して圧電素子12の主面の短手方向に延びる、互いに対向する一対の側面とを有している。主面、端面及び側面が圧電素子12の外面を構成し、端面及び側面が圧電素子12の周囲面を構成している。本実施形態では、主面、端面及び側面のうち主面が最大の面積を有している。
圧電素子12は、3つの支持部13a〜13cを介してケース11(支持体)に収容支持されている。圧電素子12の一方の端面には駆動子8,8が設けられており、これらの駆動子8,8は平板状の可動体9を支持している。圧電素子12の他方の端面(駆動子8,8が設けられた端面とは反対側の端面)の支持体13bは、駆動子8,8を可動体9に押圧している。これにより、駆動子8,8の先端部と可動体9との摩擦力が高められ、圧電素子12の振動が駆動子8,8を介して確実に可動体9に伝搬される。
圧電素子12は、略矩形状の圧電体層1と内部電極層5とを交互に積層してなる略直方体状のものである。この圧電体層1は、例えばチタン酸ジルコン酸鉛などのセラミック材料からなる絶縁体層である。内部電極層5は、積層方向(圧電素子12の厚み方向)に圧電体層1を介して交互に配された共通電極層3及び給電電極層6からなる。この共通電極層3は、圧電体層1の上側主面のほぼ全面に亘って設けられた略矩形状の共通電極3aを有している。この共通電極3aには、その長手方向中央部から圧電素子12の両端面に向かってそれぞれ延びる引出電極3b,3bが設けられている。
給電電極層6は、圧電体層1の上側主面に設けられた第一給電電極層6aと、上側主面にこの第一給電電極層6aが設けられた圧電体層1とは異なる圧電体層1の上側主面に設けられた第二給電電極層6bとからなる。つまり、圧電体層1の主面上には、共通電極層3、第一給電電極層6a、及び第二給電電極層6bのうちいずれか1つが印刷されている。また、圧電体層1は、図3の矢印で示すように、第一給電電極層6a又は第二給電電極層6b側から共通電極層3側へと分極されている。
第一給電電極層6aは、圧電体層1の上側主面をその長手方向L及び短手方向Sにそれぞれ2等分してなる4つの領域A1〜A4(図4参照)のうち圧電体層1の上側主面の第一対角線方向(第一対角線の延びる方向)D1に対向する2つの領域A2,A4にそれぞれ形成された、導通電極2aを介して互いに導通する一対の第一電極2,2を有している。この各第一電極2は略矩形状の電極であり、積層方向から見て共通電極層3と重なっている(図5(a)参照)。つまり、各第一電極2は、共通電極層3と圧電体層1を挟んで対向している。導通電極2aも、積層方向から見て共通電極層3と重なっている(図5(a)参照)。各第一電極2には、その長手方向中央部から圧電素子12の端面に向かって延びる引出電極2bが設けられている。この各引出電極2bは、積層方向から見て共通電極層3と重なっていない(図5(a)参照)。つまり、各引出電極2bは、共通電極層3と対向していない。このため、圧電体層1の各引出電極2bに対向する部分には電界が生じない。つまり、この部分は圧電的に不活性な部分となる。
第二給電電極層6bは、圧電体層1の上側主面をその長手方向L及び短手方向Sにそれぞれ2等分してなる4つの領域A1〜A4のうち圧電体層1の上側主面の第二対角線方向(第二対角線の延びる方向)D2に対向する2つの領域A1,A3にそれぞれ形成された、導通電極4aを介して互いに導通する一対の第二電極4,4を有している。この各第二電極4は略矩形状の電極であり、積層方向から見て共通電極層3と重なっている(図5(b)参照)。導通電極4aも、積層方向から見て共通電極層3と重なっている(図5(b)参照)。各第二電極4には、その長手方向中央部から圧電素子12の端面に向かって延びる引出電極4bが設けられている。この各引出電極4bは、積層方向から見て共通電極層3と重なっていない(図5(b)参照)。このため、圧電体層1の各引出電極4bに対向する部分には電界が生じない。
異なる圧電体層1上の共通電極3a同士は、引出電極3bを介して共通電極用の外部電極7gで接続されている。第一電極2,2は、引出電極2bを介して第一電極用の外部電極7bに接続されている。第二電極4,4は、引出電極4bを介して第二電極用の外部電極7aに接続されている。この各外部電極7a,7b,7gは、圧電素子12の一方の端面及び一方の主面に亘って設けられていて、圧電素子12の振動のノード部(節)近傍まで延びている。各外部電極7a,7b,7gの、圧電素子12の主面上の部分には、ワイヤー10がはんだを介して接続されている。そして、このワイヤー10を通じて、内部電極層5には圧電素子12を振動させるための電圧が印加される。このように、各外部電極7a,7b,7gを圧電素子12の一方の端面及び一方の主面に亘って形成して、圧電素子12の振動のノード部付近まで延伸することにより、圧電素子12とワイヤー10との接続点が振動に悪影響を及ぼすことを抑制している。
ところで、圧電素子12の伸縮振動の共振周波数及び屈曲振動の共振周波数は、それぞれ圧電素子12の材料や形状等により決定される。そして、圧電素子12の材料や形状等は、伸縮振動の共振周波数及び屈曲振動の共振周波数が略一致するように決められている。本実施形態では、圧電素子12の材料や形状等は、1次モードの伸縮振動の共振周波数及び2次モードの屈曲振動の共振周波数が略一致するように決定されている。
以上のように、対角線方向D1,D2に並べて配置された電極2,4を互いに導通させ、異なる圧電体層1上の共通電極3a同士を外部電極7gで接続し、圧電体層1上の第一電極2,2を外部電極7bに接続し、圧電体層1上の第二電極4,4を外部電極7aに接続している。つまり、圧電素子12には共通電極用の外部電極7g、第一電極用の外部電極7b、及び第二電極用の外部電極7aの、計3つの外部電極7を設ければよい。これにより、外部電極7に接続すべきワイヤー10の数を3つに減らすことができる。その結果、圧電素子12の振動阻害を抑制することができ、超音波アクチュエータの効率低下を抑制することができる。
また、ワイヤー10の接続工数を減らすことができるので、超音波アクチュエータの製造が容易になる。特に、圧電素子12は機械的強度が弱いため、ワイヤー10を外部電極7に接続する際、機械的ストレスにより圧電素子12が壊れるおそれがあるが、上述のように、ワイヤー10の接続工数が減ることにより、この接続工程における圧電素子12の破壊を低減することができる。
さらに、ワイヤー10と外部電極7との接続点も減らすことができる。これにより、この接続点に設けられたはんだによる振動阻害を抑制することができる。また、この接続点は超音波アクチュエータを駆動させる上で重要な箇所であるが、湿度や温度変化などの外部環境の影響を受けやすいので、上述のように、その接続点を少なくすることにより、超音波アクチュエータの信頼性を向上させることができる。
その上、小型の超音波アクチュエータ(例えば、圧電素子12の長さが0.1mm〜10mm程度のもの)では、各給電電極層6a,6bに異なる電位の電極を形成すると、その異なる電位の電極間の距離が充分にとれず、高い電圧を印加したとき、その異なる電位の電極間でリーク電流が発生することがある。リーク電流が発生すると、給電電力のロスが生じ、超音波アクチュエータの効率が低下する。しかし、各給電電極層6a,6bを上述のような構成にすることにより、各給電電極層6a,6bには同電位の電極だけが形成される。その結果、リーク電流が発生しにくくなり、小型で効率が高い超音波アクチュエータを実現することができる。
それに加えて、共通電極3a、第一電極2、及び第二電極4は、それぞれ引出電極3b,2b,4bを介して外部電極7g,7b,7aに接続されているので、圧電素子12の周囲面の異なる位置に、共通電極3a、第一電極2、及び第二電極4をそれぞれ引き出すことができる。その結果、共通電極3a、第一電極2、及び第二電極4の間に充分な絶縁距離を確保することができる。このように、充分な絶縁距離を取るためには、異なる電位の電極3a,2,4の引出電極3b,2b,4bを圧電体層1の厚み以上の間隔を開けて形成することが望ましい。
また、上述のように、共通電極3a、第一電極2、及び第二電極4は、それぞれ、圧電的に不活性な部分に配置された引出電極3b,2b,4bを介して外部電極7g,7b,7aに接続されているので、圧電素子12に余分な振動が発生しない。その結果、圧電素子12がバランスよく振動し、その振動効率が向上する。
以下、給電電極層6等についてさらに説明する。
第一給電電極層6aの第一電極2,2及び導通電極2aのなす形状が、圧電体層1の上側主面の中心点M(図4参照)に対して点対称の形状である。また、第二給電電極層6bの第二電極4,4及び導通電極4aのなす形状も、圧電体層1の上側主面の中心点Mに対して点対称の形状である。つまり、引出電極2bを除く(以外の)第一給電電極層6aの形状及び引出電極4bを除く第二給電電極層6bの形状が、それぞれ圧電体層1の上側主面の第一対角線及び第二対角線の交点に対して点対称の形状である。このように、給電電極層6の形状を圧電体層1の上側主面の中心点Mに対して略点対称の形状にすることにより、圧電素子12の振動、特に2次モードの屈曲振動の対称性が向上する。このことにより、圧電素子12に余分な振動が発生せず、エネルギーロスが大幅に低減される。その結果、給電電力を効率よく振動に変換することができる。
また、第一給電電極層6aの第一電極2,2及び導通電極2aのなす形状と第二給電電極層6bの第二電極4,4及び導通電極4aのなす形状とが、圧電体層1の上側主面の長手方向Lに延びる中心線C(図4参照)に対して互いに反転した形状である。つまり、引出電極2bを除く第一給電電極層6aの形状をその中心線Cに対して反転した形状が、引出電極4bを除く第二給電電極層6bの形状である。このように、第一給電電極層6aの形状及び第二給電電極層6bの形状を、その中心線Cに対して互いに略反転した形状にすることにより、圧電素子12の振動、特に2次モードの屈曲振動の対称性が向上する。このことにより、圧電素子12に余分な振動が発生せず、エネルギーロスが大幅に低減される。その結果、給電電力を効率よく振動に変換することができる。
また、第一給電電極層6aの数及び第二給電電極層6bの数が同数である。これにより、圧電素子12の振動の対称性が向上する。このことにより、圧電素子12に余分な振動が発生せず、エネルギーロスが大幅に低減される。その結果、給電電力を効率よく振動に変換することができる。
また、給電電極層6は、第一給電電極層6a及び第二給電電極層6bが積層方向に交互に配されてなる。これにより、圧電素子12の導通電極2a,4a配置部分の振動の対称性が向上する。このことにより、圧電素子12に余分な振動が発生せず、エネルギーロスが大幅に低減される。その結果、給電電力を効率よく振動に変換することができる。
また、圧電素子12の積層方向の最外層が圧電体層1である。これにより、以下の効果が得られる。つまり、電子機器内部の非常に小さい空間に小型の超音波アクチュエータ(例えば、長さが1mm〜20mm程度のもの)を実装する場合、圧電素子12の最外層が共通電極層3又は給電電極層6であると、圧電素子12の主面にその周辺にある金属部品が接触したときに、その最外層の電極層がショートして、超音波アクチュエータの特性が著しく低下することがある。そこで、上述のように、圧電素子12の積層方向の最外層を絶縁体である圧電体層1とすることにより、圧電素子12の主面に金属部品が接触してもショートが発生しない。その結果、超音波アクチュエータの信頼性を向上させることができる。
−超音波アクチュエータの動作−
以下、超音波アクチュエータの動作について説明する。図6は、本実施形態に係る1次モードの伸縮振動の変位図であり、図7は、2次モードの屈曲振動の変位図であり、図8は、圧電素子12の動作を示す概念図である。なお、図6〜図8においては、圧電素子12の主面はその紙面と平行な位置関係にある。
例えば、ワイヤー10を介して共通電極層3と第一給電電極層6aとの間に、前記略一致させた共振周波数近傍の周波数の基準交流電圧を印加し、ワイヤー10を介して共通電極層3と第二給電電極層6bとの間に、位相が基準交流電圧と90°又は−90°だけ異なる、基準交流電圧とほぼ同じ大きさ・周波数の交流電圧を印加すると、圧電素子12には、図6に示す1次モードの伸縮振動と図7に示す2次モードの屈曲振動とが調和的に誘起される。
そして、圧電素子12の形状が、図8(a)〜(d)に示すような順で変化する。その結果、圧電素子12に設けられた駆動子8,8が、図8の紙面を貫く方向から見て略楕円運動する。つまり、圧電素子12の伸縮振動及び屈曲振動の合成振動により駆動子8,8が楕円運動する。この楕円運動により駆動子8,8に支持された可動体9が圧電素子12との間で相対運動して、図1に示す矢印A又は矢印Bの方向に動く。
ここで、伸縮振動の伸縮方向は、圧電素子12の主面の長手方向、つまり、可動体9の可動方向であり、屈曲振動の振動方向は、駆動子8,8が可動体9を支持する方向である。圧電素子12の積層方向は、伸縮振動の伸縮方向及び屈曲振動の振動方向の両方と垂直な方向である。
なお、本実施形態では、外部電極7a,7b,7gを圧電素子12の一方の端面及び一方の主面に亘って形成しているが、図9に示すように、圧電素子12の端面にのみ形成してもよい。
(実施形態2)
本実施形態2は、給電電極層6の構成が実施形態1と異なるものである。図10は、本実施形態2に係る圧電素子21の分解斜視図である。
図10に示すように、第一給電電極層6aは、一対の第一電極2,2に加え、前記第二対角線方向D2に対向する2つの領域A1,A3の一方A1に設けられた第一側部電極22を有している。この第一側部電極22は略矩形状の電極であり、積層方向から見て共通電極層3と重なっている。第一側部電極22には、その長手方向中央部から圧電素子12の端面に向かって延びる引出電極22aが設けられている。この引出電極22aは、積層方向から見て共通電極層3と重なっていない。このため、圧電体層1の引出電極22aに対向する部分には電界が生じない。
第二給電電極層6bは、一対の第二電極4,4に加え、前記第一対角線方向D1に対向する2つの領域A2,A4の一方A2に設けられた第二側部電極24を有している。この第二側部電極24は略矩形状の電極であり、積層方向から見て共通電極層3と重なっている。第二側部電極24には、その長手方向中央部から圧電素子12の端面に向かって延びる引出電極24aが設けられている。この引出電極24aは、積層方向から見て共通電極層3と重なっていない。このため、圧電体層1の引出電極24aに対向する部分には電界が生じない。
第一電極2,2と第二側部電極24とは、引出電極2b,24aを介して第一電極用の外部電極7bで接続され、第二電極4,4と第一側部電極22とは、引出電極4b,22aを介して第二電極用の外部電極7aで接続されている。この各外部電極7a,7bは、圧電素子12の両端面にそれぞれ設けられている。外部電極7gも、圧電素子12の両端面にそれぞれ設けられている。
以上のように、給電電極層6に側部電極22,24をさらに設けることにより、電極面積を大きくすることができる。これにより、圧電素子21の変位を大きくすることができ、超音波アクチュエータの効率を向上させることができる。
なお、本実施形態では、第一側部電極22及び第二側部電極24を圧電体層1の上側主面の長手方向Lに延びる中心線Cに対して略左右対称となるように配置してもよい。この場合、第一給電電極層6aの第一電極2,2、導通電極2a及び第一側部電極22のなす形状と第二給電電極層6bの第二電極4,4、導通電極4a及び第二側部電極24のなす形状とが、圧電体層1の上側主面の長手方向Lに延びる中心線Cに対して互いに反転した形状となる。
(実施形態3)
本実施形態3は、給電電極層6の構成が実施形態1、2と異なるものである。図11(a)は、本実施形態3に係る圧電素子23の斜視図であり、図11(b)は、圧電素子23の分解斜視図であり、図12は、圧電素子33の分解斜視図である。
図11に示すように、第一給電電極層6aは、一対の第一電極2,2に加え、前記第二対角線方向D2に対向する2つの領域A1,A3にそれぞれ設けられた一対の第一側部電極22,22を有している。
第二給電電極層6bは、一対の第二電極4,4に加え、前記第一対角線方向D1に対向する2つの領域A2,A4にそれぞれ設けられた一対の第二側部電極24,24を有している。
このように、給電電極層6に側部電極22,24をさらに設けることにより、電極面積を大きくすることができる。これにより、圧電素子23の変位を大きくすることができ、超音波アクチュエータの効率を向上させることができる。
また、2次モードの屈曲振動を効率よく誘起させるためには、圧電体層1の上側主面の対角部にそれぞれ配置された一対の電極が同電位となることが望ましい。そこで、図11に示すように、第一電極2,2と異なる圧電体層1上の第二側部電極24,24同士とは、圧電素子21の両端面にそれぞれ設けられた第一電極用の外部電極7b,7bで接続され、異なる圧電体層1上の第二電極4,4同士と第一側部電極22,22とは、圧電素子21の両端面にそれぞれ設けられた第二電極用の外部電極7a,7aで接続されている。つまり、第一給電電極層6a及び第二給電電極層6bの互いに対向する電極2a〜2d,4a〜4d同士は、それぞれ外部電極7a,7bで接続されている。これにより、第一電極2は、外部電極7bを通じて第二側部電極24と導通して同電位となり、第二電極4は、外部電極7aを通じて第一側部電極22と導通して同電位となる。その結果、圧電体層1の上側主面の対角部にそれぞれ配置された一対の電極をすべて同電位とすることができる。この場合、外部電極7a,7bは、上述のように、圧電素子23の各端面に2箇所ずつ、計4箇所形成する必要がある。しかし、ワイヤー10と接続するのは、圧電素子23の一方の端面上の外部電極7a,7bだけで構わないので、圧電素子12とワイヤー10との接続箇所は、外部電極7a,7bとワイヤー10との接続、各1つずつ、計2つと、共通電極用の外部電極7gとワイヤー10との接続、1つの、合計3つとなる。
また、外部電極7gが圧電素子23の両端面にそれぞれ形成されている。これにより、圧電素子23の方向性がなくなり、圧電素子23に駆動子8,8を実装するとき、その位置をそろえる必要がなくなる。その結果、超音波アクチュエータの量産性が向上する。なお、外部電極7gを圧電素子23の一方の端面にのみ形成してもよい。
また、第一給電電極層6aの第一電極2,2、導通電極2a及び第一側部電極22,22のなす形状と第二給電電極層6bの第二電極4,4、導通電極4a及び第二側部電極24,24のなす形状とが、それぞれ、各給電電極層6a,6bが設けられた圧電体層1の上側主面の中心点Mに対して点対称の形状である。つまり、引出電極2bを除く第一給電電極層6aの形状及び引出電極4bを除く第二給電電極層6bの形状が、それぞれ圧電体層1の上側主面の第一対角線及び第二対角線の交点に対して点対称の形状である。
また、第一給電電極層6aの第一電極2,2、導通電極2a及び第一側部電極22,22のなす形状と第二給電電極層6bの第二電極4,4、導通電極4a及び第二側部電極24,24のなす形状とが、圧電体層1の上側主面の長手方向Lに延びる中心線Cに対して互いに反転した形状である。つまり、引出電極2bを除く第一給電電極層6aの形状及び引出電極4bを除く第二給電電極層6bの形状が、その中心線Cに対して互いに反転した形状である。
また、図11(b)に示すように、給電電極層6は、第一給電電極層6a又は第二給電電極層6bが積層方向に何層か連続して配されてなっていてもよく、あるいは、第一給電電極層6a及び第二給電電極層6bがランダムに配されてなっていてもよいが、図12に示すように、第一給電電極層6aの数及び第二給電電極層6bの数が同数で、給電電極層6が、第一給電電極層6a及び第二給電電極層6bが積層方向に交互に配されてなることが望ましい。
(その他の実施形態)
前記実施形態では、外部電極7を圧電素子12,21,23,33の周囲面にのみ形成し、圧電素子12,21,23,33の主面に形成しないことが望ましい。この場合、圧電素子12,21,23,33の外面のうち、面積が最も大きい主面に外部電極7が形成されないことになるため、その周辺にある金属部品と接触してもショートが起こりにくくなる。さらに、外部電極7と共通電極層3との間には電界が発生しないので、圧電素子12,21,23,33に余分な振動が発生せず、超音波アクチュエータの効率低下を抑制することができる。
また、前記実施形態では、第一電極2、第二電極4、第一側部電極22、及び第二側部電極24を略矩形状の電極としたが、これに限らず、例えば、これらを振動による応力の分布に応じた形状のものとしてもよい。
また、前記実施形態では、外部電極7にはんだによりワイヤー10を接続する構成について説明したが、ワイヤボンディングによる接続、導電性接着剤による接続、圧着による接続、接触による接続など、他の電気的接続方法を用いてもよい。これらにより、前記実施形態と同様の効果が得られる。
また、前記実施形態では、ワイヤー10による給電について説明したが、導電性ゴムによる給電、フレキシブル基板による給電や、コンタクトピンによる給電など、他の給電方法を用いてもよい。これらにより、前記実施形態と同様の効果が得られる。
以下、導電性ゴムによる給電の一例について説明する。図13、図14に示すように、各支持部13a〜13cは、シリコーンゴムに金属粒子を混入した導電性ゴムからなる。領域A4(図4参照)の第一電極2には、この第一電極2から圧電素子43の側面に向かって延びる引出電極2cが設けられている。領域A3(図4参照)の第二電極4には、この第二電極4から圧電素子43の側面に向かって延びる引出電極4cが設けられている。圧電素子43の両側面には、外部電極7cがそれぞれ設けられている。共通電極3aは、外部電極7gを介して支持部13bに接続されている。第一電極2,2及び第二側部電極24,24は、引出電極2c及び外部電極7cを介して支持部13cに接続されている。第二電極4,4及び第一側部電極22,22は、引出電極4c及び外部電極7cを介して支持部13aに接続されている。そして、これらの支持部13a〜13c等を通じて、内部電極層5には電圧が印加される。その他の点に関しては、実施形態3とほぼ同様である。以上により、圧電素子43にはんだを設ける必要がなくなるため、はんだを設けた圧電素子43の部位に振動による応力が集中して圧電素子43が割れてしまうことを抑制することができる。
また、前記実施形態では、超音波アクチュエータの駆動力が付与されて駆動される可動体9は平板状であるが、これに限られるものではなく、可動体9の構成としては任意の構成を採用することができる。例えば、図15に示すように、可動体は所定の軸X回りに回動可能な円板体9であり、超音波アクチュエータの駆動子8,8が円板体9の側周面9aに当接するように構成されていてもよい。かかる構成の場合、超音波アクチュエータを駆動すると、駆動子8,8の略楕円運動によって、円板体9が所定の軸X回りに回動させられる。
また、前記実施形態では、駆動子8,8を圧電素子12,21,23,33の一方の端面に設けた構成について説明したが、圧電素子12,21,23,33の一方の側面に形成してもよい。この場合、1次モードの伸縮振動の伸縮方向は、駆動子8,8が可動体9を支持する方向となり、2次モードの屈曲振動の振動方向は、可動体9の可動方向となる。
また、前記実施形態では、支持体をケース11で構成しているが、圧電素子12,21,23,33を支持する支持部を有する限り、如何なるもので構成してもよい。
本発明の実施形態1に係る超音波アクチュエータの斜視図である。 圧電素子の斜視図である。 圧電素子の分解斜視図である。 圧電体層の平面図である。 (a)は、第一給電電極層と共通電極層との位置関係を示す図であり、(b)は、第二給電電極層と共通電極層との位置関係を示す図である。 1次モードの伸縮振動の変位図である。 2次モードの屈曲振動の変位図である。 圧電素子の動作を示す概念図である。 超音波アクチュエータの変形例の斜視図である。 実施形態2に係る圧電素子の分解斜視図である。 (a)は、実施形態3に係る圧電素子の斜視図であり、(b)は、圧電素子の分解斜視図である。 圧電素子の分解斜視図である。 超音波アクチュエータの変形例の斜視図である。 (a)は、圧電素子の斜視図であり、(b)は、圧電素子の分解斜視図である。 超音波アクチュエータの変形例の斜視図である。 超音波アクチュエータの斜視図である。 (a)は、圧電素子の斜視図であり、(b)は、圧電素子の分解斜視図である。
符号の説明
1 圧電体層
2 第一電極
3 共通電極層
3a 共通電極
4 第二電極
5 内部電極
6 給電電極層
6a 第一給電電極層
6b 第二給電電極層
7 外部電極
7a 第二電極用の外部電極
7b 第一電極用の外部電極
7g 共通電極用の外部電極
8 駆動子
9 可動体
10 ワイヤー
11 ケース(支持体)
12,21,23,33,43 圧電素子
13a〜13c 支持部
22 第一側部電極
24 第二側部電極
以上説明したように、本発明は、給電電極層の構成を工夫することにより圧電素子の振動阻害を抑制するものであり、各種電子機器等に用いられる超音波アクチュエータ等に有用である。
本発明は、圧電素子及びそれを備えた超音波アクチュエータに関するものである。
従来から、各種電気機器等に用いられる、圧電素子(電気機械変換素子)を備えた超音波アクチュエータが知られている(例えば、特許文献1参照)。この圧電素子は、圧電体と電極とを交互に積層してなる。そして、上記超音波アクチュエータでは、電極に電圧を印加することにより圧電素子を振動させ、これにより、可動体を運動させる。
特表2003−501988号公報
ここで、本発明者は、超音波アクチュエータとして以下に示すものを考案した。図16は、その超音波アクチュエータの斜視図であり、図17(a)は、超音波アクチュエータに用いられている圧電素子の斜視図であり、図17(b)は、圧電素子の分解斜視図である。
図16、図17に示すように、圧電素子100は、ケース103に設けられた3つの支持部104A〜104Cにてこのケース103に収容支持されている。圧電素子100の端面には駆動子110,110が設けられており、これらの駆動子110,110は可動体111を支持している。駆動子110,110は支持部104Bにより可動体111に押圧されている。
圧電素子100は、圧電体101と内部電極102とを交互に積層してなる。内部電極102Gは、圧電体101の主面のほぼ全面に亘って設けられた共通電極(グラウンド電極)である。また、圧電体101は、図17で示す矢印の方向に分極されている。
内部電極102A〜102D,102Gは、それぞれの外部電極103A〜103D,103Gに接続されている。この各外部電極103A〜103D,103Gは、圧電素子100の端面に設けられている。各外部電極103A〜103D,103Gには、例えば、ワイヤー108A〜108D,108Gがはんだ107を介して接続されている。そして、これらのワイヤー108A〜108D,108Gを通じて、各内部電極102A〜102D,102Gには電圧が供給される。
ところで、圧電素子100の、後述する伸縮振動の共振周波数及び屈曲振動の共振周波数は、それぞれ圧電素子100の材料や形状等により決定される。そして、圧電素子100の材料や形状等は、伸縮振動の共振周波数及び屈曲振動の共振周波数が略一致するように決められている。
以下、超音波アクチュエータの動作について説明する。図6〜図8は、それぞれ圧電素子の振動形態を説明する概念図である。
ワイヤー108Gをグラウンドに接続するとともに、ワイヤー108A,108Cを介して圧電体101の主面の一方の対角線上に配した内部電極102A,102Cに特定周波数の正弦波の基準電圧を印加し、ワイヤー108B,108Dを介して他方の対角線上に配した内部電極102B,102Dに基準電圧とほぼ同じ大きさ・周波数の正弦波の電圧を印加する。これにより、内部電極102A,102Cに同位相の電圧が加わり、内部電極102B,102Dに同位相の電圧が加わる。基準電圧と内部電極102B,102Dに印加した電圧との位相差が0°の場合、図6に示すように、圧電素子100には1次モードの伸縮振動が誘起される。一方、その位相差が180°の場合、図7に示すように、圧電素子100には2次モードの屈曲振動が誘起される。
また、内部電極102A,102Cに前記略一致させた共振周波数近傍の周波数の正弦波の基準電圧を加え、内部電極102B,102Dに、位相が基準電圧と90°又は−90°だけ異なる、基準電圧とほぼ同じ大きさ・周波数の正弦波の電圧を加えると、圧電素子100には1次モードの伸縮振動と2次モードの屈曲振動とが調和的に誘起される。これにより、圧電素子100の形状が、図8(a)〜(d)に示すような順で変化する。その結果、圧電素子100に設けられた駆動子110,110が、図8の紙面を貫く方向から見て略楕円運動する。つまり、圧電素子100の伸縮振動及び屈曲振動の合成振動により駆動子110,110が楕円運動する。この楕円運動により駆動子110,110に支持された可動体111が圧電素子100との間で相対運動して、矢印A又は矢印Bの方向に動く。
ところで、上記超音波アクチュエータでは、少なくとも5本のワイヤー108A〜108D,108Gを圧電素子100上の外部電極103A〜103D,103Gに接続する必要がある。このため、圧電素子100の振動時に、ワイヤー108A〜108D,108Gや、ワイヤー108A〜108D,108Gと外部電極103A〜103D,103Gとを接続する導電性接続部材としてのはんだ107が負担となって、圧電素子100の振動が阻害されてしまう。その結果、超音波アクチュエータの効率が低下するおそれがあった。
本発明は、かかる点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、圧電素子の振動阻害を抑制することにある。
その目的を達成するために、本発明は、略矩形状の圧電体層と内部電極層とを交互に積層してなる圧電素子であって、前記内部電極層は、積層方向に前記圧電体層を介して交互に配された共通電極層及び給電電極層からなり、前記共通電極層は、共通電極を有し、前記給電電極層は、前記圧電体層の主面に設けられた第一給電電極層と、主面に該第一給電電極層が設けられた圧電体層とは異なる圧電体層の主面に設けられた第二給電電極層とを有し、前記第一給電電極層は、前記圧電体層の主面をその長手方向及び短手方向にそれぞれ2分割してなる4つの領域のうち前記圧電体層の主面の第一対角線方向に対向する2つの領域にそれぞれ設けられた、互いに導通する一対の第一電極を有し、前記第二給電電極層は、前記4つの領域のうち前記圧電体層の主面の第二対角線方向に対向する2つの領域にそれぞれ設けられた、互いに導通する一対の第二電極を有し、前記共通電極、前記第一電極、及び前記第二電極は、前記圧電素子の外面に設けられた、それぞれの外部電極に接続されている構成としたものである。
本発明によれば、圧電体層の主面をその長手方向及び短手方向にそれぞれ2分割してなる4つの領域のうち圧電体層の主面の第一対角線方向に対向する2つの領域にそれぞれ設けられた、第一給電電極層の一対の第一電極を互いに導通させ、4つの領域のうち圧電体層の主面の第二対角線方向に対向する2つの領域にそれぞれ設けられた、第二給電電極層の一対の第二電極を互いに導通させることにより、ワイヤー等の数を減らすことができる。その結果、圧電素子の振動阻害を抑制することができる。
また、ワイヤー等の接続工数を減らすことができるので、製造が容易になる。特に、圧電素子は機械的強度が弱いため、ワイヤー等を外部電極に接続する際、機械的ストレスにより圧電素子が壊れるおそれがあるが、上述のように、ワイヤー等の接続工数が減ることにより、この接続工程における圧電素子の破壊を低減することができる。
さらに、ワイヤー等と外部電極との接続点も減らすことができるので、信頼性も向上する。
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。
(実施形態1)
−超音波アクチュエータの構成−
図1は、本実施形態1に係る超音波アクチュエータの斜視図であり、図2は、その超音波アクチュエータに用いられている圧電素子12の斜視図であり、図3は、圧電素子12の分解斜視図であり、図4は、圧電体層1の平面図であり、図5(a)は、第一給電電極層6aと共通電極層3との位置関係を示す図であり、図5(b)は、第二給電電極層6bと共通電極層3との位置関係を示す図である。
図1〜図3に示すように、超音波アクチュエータは、圧電素子12を備えている。この圧電素子12は、互いに対向する一対の主面と、この主面と直交して圧電素子12の主面の長手方向に延びる、互いに対向する一対の端面と、これらの主面及び端面の両方と直交して圧電素子12の主面の短手方向に延びる、互いに対向する一対の側面とを有している。主面、端面及び側面が圧電素子12の外面を構成し、端面及び側面が圧電素子12の周囲面を構成している。本実施形態では、主面、端面及び側面のうち主面が最大の面積を有している。
圧電素子12は、3つの支持部13a〜13cを介してケース11(支持体)に収容支持されている。圧電素子12の一方の端面には駆動子8,8が設けられており、これらの駆動子8,8は平板状の可動体9を支持している。圧電素子12の他方の端面(駆動子8,8が設けられた端面とは反対側の端面)の支持部13bは、駆動子8,8を可動体9に押圧している。これにより、駆動子8,8の先端部と可動体9との摩擦力が高められ、圧電素子12の振動が駆動子8,8を介して確実に可動体9に伝搬される。
圧電素子12は、略矩形状の圧電体層1と内部電極層5とを交互に積層してなる略直方体状のものである。この圧電体層1は、例えばチタン酸ジルコン酸鉛などのセラミック材料からなる絶縁体層である。内部電極層5は、積層方向(圧電素子12の厚み方向)に圧電体層1を介して交互に配された共通電極層3及び給電電極層6からなる。この共通電極層3は、圧電体層1の上側主面のほぼ全面に亘って設けられた略矩形状の共通電極3aを有している。この共通電極3aには、その長手方向中央部から圧電素子12の両端面に向かってそれぞれ延びる引出電極3b,3bが設けられている。
給電電極層6は、圧電体層1の上側主面に設けられた第一給電電極層6aと、上側主面にこの第一給電電極層6aが設けられた圧電体層1とは異なる圧電体層1の上側主面に設けられた第二給電電極層6bとからなる。つまり、圧電体層1の主面上には、共通電極層3、第一給電電極層6a、及び第二給電電極層6bのうちいずれか1つが印刷されている。また、圧電体層1は、図3の矢印で示すように、第一給電電極層6a又は第二給電電極層6b側から共通電極層3側へと分極されている。
第一給電電極層6aは、圧電体層1の上側主面をその長手方向L及び短手方向Sにそれぞれ2等分してなる4つの領域A1〜A4(図4参照)のうち圧電体層1の上側主面の第一対角線方向(第一対角線の延びる方向)D1に対向する2つの領域A2,A4にそれぞれ形成された、導通電極2aを介して互いに導通する一対の第一電極2,2を有している。この各第一電極2は略矩形状の電極であり、積層方向から見て共通電極層3と重なっている(図5(a)参照)。つまり、各第一電極2は、共通電極層3と圧電体層1を挟んで対向している。導通電極2aも、積層方向から見て共通電極層3と重なっている(図5(a)参照)。各第一電極2には、その長手方向中央部から圧電素子12の端面に向かって延びる引出電極2bが設けられている。この各引出電極2bは、積層方向から見て共通電極層3と重なっていない(図5(a)参照)。つまり、各引出電極2bは、共通電極層3と対向していない。このため、圧電体層1の各引出電極2bに対向する部分には電界が生じない。つまり、この部分は圧電的に不活性な部分となる。
第二給電電極層6bは、圧電体層1の上側主面をその長手方向L及び短手方向Sにそれぞれ2等分してなる4つの領域A1〜A4のうち圧電体層1の上側主面の第二対角線方向(第二対角線の延びる方向)D2に対向する2つの領域A1,A3にそれぞれ形成された、導通電極4aを介して互いに導通する一対の第二電極4,4を有している。この各第二電極4は略矩形状の電極であり、積層方向から見て共通電極層3と重なっている(図5(b)参照)。導通電極4aも、積層方向から見て共通電極層3と重なっている(図5(b)参照)。各第二電極4には、その長手方向中央部から圧電素子12の端面に向かって延びる引出電極4bが設けられている。この各引出電極4bは、積層方向から見て共通電極層3と重なっていない(図5(b)参照)。このため、圧電体層1の各引出電極4bに対向する部分には電界が生じない。
異なる圧電体層1上の共通電極3a同士は、引出電極3bを介して共通電極用の外部電極7gで接続されている。第一電極2,2は、引出電極2bを介して第一電極用の外部電極7bに接続されている。第二電極4,4は、引出電極4bを介して第二電極用の外部電極7aに接続されている。この各外部電極7a,7b,7gは、圧電素子12の一方の端面及び一方の主面に亘って設けられていて、圧電素子12の振動のノード部(節)近傍まで延びている。各外部電極7a,7b,7gの、圧電素子12の主面上の部分には、ワイヤー10がはんだを介して接続されている。そして、このワイヤー10を通じて、内部電極層5には圧電素子12を振動させるための電圧が印加される。このように、各外部電極7a,7b,7gを圧電素子12の一方の端面及び一方の主面に亘って形成して、圧電素子12の振動のノード部付近まで延伸することにより、圧電素子12とワイヤー10との接続点が振動に悪影響を及ぼすことを抑制している。
ところで、圧電素子12の伸縮振動の共振周波数及び屈曲振動の共振周波数は、それぞれ圧電素子12の材料や形状等により決定される。そして、圧電素子12の材料や形状等は、伸縮振動の共振周波数及び屈曲振動の共振周波数が略一致するように決められている。本実施形態では、圧電素子12の材料や形状等は、1次モードの伸縮振動の共振周波数及び2次モードの屈曲振動の共振周波数が略一致するように決定されている。
以上のように、対角線方向D1,D2に並べて配置された電極2,4を互いに導通させ、異なる圧電体層1上の共通電極3a同士を外部電極7gで接続し、圧電体層1上の第一電極2,2を外部電極7bに接続し、圧電体層1上の第二電極4,4を外部電極7aに接続している。つまり、圧電素子12には共通電極用の外部電極7g、第一電極用の外部電極7b、及び第二電極用の外部電極7aの、計3つの外部電極7を設ければよい。これにより、外部電極7に接続すべきワイヤー10の数を3つに減らすことができる。その結果、圧電素子12の振動阻害を抑制することができ、超音波アクチュエータの効率低下を抑制することができる。
また、ワイヤー10の接続工数を減らすことができるので、超音波アクチュエータの製造が容易になる。特に、圧電素子12は機械的強度が弱いため、ワイヤー10を外部電極7に接続する際、機械的ストレスにより圧電素子12が壊れるおそれがあるが、上述のように、ワイヤー10の接続工数が減ることにより、この接続工程における圧電素子12の破壊を低減することができる。
さらに、ワイヤー10と外部電極7との接続点も減らすことができる。これにより、この接続点に設けられたはんだによる振動阻害を抑制することができる。また、この接続点は超音波アクチュエータを駆動させる上で重要な箇所であるが、湿度や温度変化などの外部環境の影響を受けやすいので、上述のように、その接続点を少なくすることにより、超音波アクチュエータの信頼性を向上させることができる。
その上、小型の超音波アクチュエータ(例えば、圧電素子12の長さが0.1mm〜10mm程度のもの)では、各給電電極層6a,6bに異なる電位の電極を形成すると、その異なる電位の電極間の距離が充分にとれず、高い電圧を印加したとき、その異なる電位の電極間でリーク電流が発生することがある。リーク電流が発生すると、給電電力のロスが生じ、超音波アクチュエータの効率が低下する。しかし、各給電電極層6a,6bを上述のような構成にすることにより、各給電電極層6a,6bには同電位の電極だけが形成される。その結果、リーク電流が発生しにくくなり、小型で効率が高い超音波アクチュエータを実現することができる。
それに加えて、共通電極3a、第一電極2、及び第二電極4は、それぞれ引出電極3b,2b,4bを介して外部電極7g,7b,7aに接続されているので、圧電素子12の周囲面の異なる位置に、共通電極3a、第一電極2、及び第二電極4をそれぞれ引き出すことができる。その結果、共通電極3a、第一電極2、及び第二電極4の間に充分な絶縁距離を確保することができる。このように、充分な絶縁距離を取るためには、異なる電位の電極3a,2,4の引出電極3b,2b,4bを圧電体層1の厚み以上の間隔を開けて形成することが望ましい。
また、上述のように、共通電極3a、第一電極2、及び第二電極4は、それぞれ、圧電的に不活性な部分に配置された引出電極3b,2b,4bを介して外部電極7g,7b,7aに接続されているので、圧電素子12に余分な振動が発生しない。その結果、圧電素子12がバランスよく振動し、その振動効率が向上する。
以下、給電電極層6等についてさらに説明する。
第一給電電極層6aの第一電極2,2及び導通電極2aのなす形状が、圧電体層1の上側主面の中心点M(図4参照)に対して点対称の形状である。また、第二給電電極層6bの第二電極4,4及び導通電極4aのなす形状も、圧電体層1の上側主面の中心点Mに対して点対称の形状である。つまり、引出電極2bを除く(以外の)第一給電電極層6aの形状及び引出電極4bを除く第二給電電極層6bの形状が、それぞれ圧電体層1の上側主面の第一対角線及び第二対角線の交点に対して点対称の形状である。このように、給電電極層6の形状を圧電体層1の上側主面の中心点Mに対して略点対称の形状にすることにより、圧電素子12の振動、特に2次モードの屈曲振動の対称性が向上する。このことにより、圧電素子12に余分な振動が発生せず、エネルギーロスが大幅に低減される。その結果、給電電力を効率よく振動に変換することができる。
また、第一給電電極層6aの第一電極2,2及び導通電極2aのなす形状と第二給電電極層6bの第二電極4,4及び導通電極4aのなす形状とが、圧電体層1の上側主面の長手方向Lに延びる中心線C(図4参照)に対して互いに反転した形状である。つまり、引出電極2bを除く第一給電電極層6aの形状をその中心線Cに対して反転した形状が、引出電極4bを除く第二給電電極層6bの形状である。このように、第一給電電極層6aの形状及び第二給電電極層6bの形状を、その中心線Cに対して互いに略反転した形状にすることにより、圧電素子12の振動、特に2次モードの屈曲振動の対称性が向上する。このことにより、圧電素子12に余分な振動が発生せず、エネルギーロスが大幅に低減される。その結果、給電電力を効率よく振動に変換することができる。
また、第一給電電極層6aの数及び第二給電電極層6bの数が同数である。これにより、圧電素子12の振動の対称性が向上する。このことにより、圧電素子12に余分な振動が発生せず、エネルギーロスが大幅に低減される。その結果、給電電力を効率よく振動に変換することができる。
また、給電電極層6は、第一給電電極層6a及び第二給電電極層6bが積層方向に交互に配されてなる。これにより、圧電素子12の導通電極2a,4a配置部分の振動の対称性が向上する。このことにより、圧電素子12に余分な振動が発生せず、エネルギーロスが大幅に低減される。その結果、給電電力を効率よく振動に変換することができる。
また、圧電素子12の積層方向の最外層が圧電体層1である。これにより、以下の効果が得られる。つまり、電子機器内部の非常に小さい空間に小型の超音波アクチュエータ(例えば、長さが1mm〜20mm程度のもの)を実装する場合、圧電素子12の最外層が共通電極層3又は給電電極層6であると、圧電素子12の主面にその周辺にある金属部品が接触したときに、その最外層の電極層がショートして、超音波アクチュエータの特性が著しく低下することがある。そこで、上述のように、圧電素子12の積層方向の最外層を絶縁体である圧電体層1とすることにより、圧電素子12の主面に金属部品が接触してもショートが発生しない。その結果、超音波アクチュエータの信頼性を向上させることができる。
−超音波アクチュエータの動作−
以下、超音波アクチュエータの動作について説明する。図6は、本実施形態に係る1次モードの伸縮振動の変位図であり、図7は、2次モードの屈曲振動の変位図であり、図8は、圧電素子12の動作を示す概念図である。なお、図6〜図8においては、圧電素子12の主面はその紙面と平行な位置関係にある。
例えば、ワイヤー10を介して共通電極層3と第一給電電極層6aとの間に、前記略一致させた共振周波数近傍の周波数の基準交流電圧を印加し、ワイヤー10を介して共通電極層3と第二給電電極層6bとの間に、位相が基準交流電圧と90°又は−90°だけ異なる、基準交流電圧とほぼ同じ大きさ・周波数の交流電圧を印加すると、圧電素子12には、図6に示す1次モードの伸縮振動と図7に示す2次モードの屈曲振動とが調和的に誘起される。
そして、圧電素子12の形状が、図8(a)〜(d)に示すような順で変化する。その結果、圧電素子12に設けられた駆動子8,8が、図8の紙面を貫く方向から見て略楕円運動する。つまり、圧電素子12の伸縮振動及び屈曲振動の合成振動により駆動子8,8が楕円運動する。この楕円運動により駆動子8,8に支持された可動体9が圧電素子12との間で相対運動して、図1に示す矢印A又は矢印Bの方向に動く。
ここで、伸縮振動の伸縮方向は、圧電素子12の主面の長手方向、つまり、可動体9の可動方向であり、屈曲振動の振動方向は、駆動子8,8が可動体9を支持する方向である。圧電素子12の積層方向は、伸縮振動の伸縮方向及び屈曲振動の振動方向の両方と垂直な方向である。
なお、本実施形態では、外部電極7a,7b,7gを圧電素子12の一方の端面及び一方の主面に亘って形成しているが、図9に示すように、圧電素子12の端面にのみ形成してもよい。
(実施形態2)
本実施形態2は、給電電極層6の構成が実施形態1と異なるものである。図10は、本実施形態2に係る圧電素子21の分解斜視図である。
図10に示すように、第一給電電極層6aは、一対の第一電極2,2に加え、前記第二対角線方向D2に対向する2つの領域A1,A3の一方A1に設けられた第一側部電極22を有している。この第一側部電極22は略矩形状の電極であり、積層方向から見て共通電極層3と重なっている。第一側部電極22には、その長手方向中央部から圧電素子12の端面に向かって延びる引出電極22aが設けられている。この引出電極22aは、積層方向から見て共通電極層3と重なっていない。このため、圧電体層1の引出電極22aに対向する部分には電界が生じない。
第二給電電極層6bは、一対の第二電極4,4に加え、前記第一対角線方向D1に対向する2つの領域A2,A4の一方A2に設けられた第二側部電極24を有している。この第二側部電極24は略矩形状の電極であり、積層方向から見て共通電極層3と重なっている。第二側部電極24には、その長手方向中央部から圧電素子12の端面に向かって延びる引出電極24aが設けられている。この引出電極24aは、積層方向から見て共通電極層3と重なっていない。このため、圧電体層1の引出電極24aに対向する部分には電界が生じない。
第一電極2,2と第二側部電極24とは、引出電極2b,24aを介して第一電極用の外部電極7bで接続され、第二電極4,4と第一側部電極22とは、引出電極4b,22aを介して第二電極用の外部電極7aで接続されている。この各外部電極7a,7bは、圧電素子12の両端面にそれぞれ設けられている。外部電極7gも、圧電素子12の両端面にそれぞれ設けられている。
以上のように、給電電極層6に側部電極22,24をさらに設けることにより、電極面積を大きくすることができる。これにより、圧電素子21の変位を大きくすることができ、超音波アクチュエータの効率を向上させることができる。
なお、本実施形態では、第一側部電極22及び第二側部電極24を圧電体層1の上側主面の長手方向Lに延びる中心線Cに対して略左右対称となるように配置してもよい。この場合、第一給電電極層6aの第一電極2,2、導通電極2a及び第一側部電極22のなす形状と第二給電電極層6bの第二電極4,4、導通電極4a及び第二側部電極24のなす形状とが、圧電体層1の上側主面の長手方向Lに延びる中心線Cに対して互いに反転した形状となる。
(実施形態3)
本実施形態3は、給電電極層6の構成が実施形態1、2と異なるものである。図11(a)は、本実施形態3に係る圧電素子23の斜視図であり、図11(b)は、圧電素子23の分解斜視図であり、図12は、圧電素子33の分解斜視図である。
図11に示すように、第一給電電極層6aは、一対の第一電極2,2に加え、前記第二対角線方向D2に対向する2つの領域A1,A3にそれぞれ設けられた一対の第一側部電極22,22を有している。
第二給電電極層6bは、一対の第二電極4,4に加え、前記第一対角線方向D1に対向する2つの領域A2,A4にそれぞれ設けられた一対の第二側部電極24,24を有している。
このように、給電電極層6に側部電極22,24をさらに設けることにより、電極面積を大きくすることができる。これにより、圧電素子23の変位を大きくすることができ、超音波アクチュエータの効率を向上させることができる。
また、2次モードの屈曲振動を効率よく誘起させるためには、圧電体層1の上側主面の対角部にそれぞれ配置された一対の電極が同電位となることが望ましい。そこで、図11に示すように、第一電極2,2と異なる圧電体層1上の第二側部電極24,24同士とは、圧電素子23の両端面にそれぞれ設けられた第一電極用の外部電極7b,7bで接続され、異なる圧電体層1上の第二電極4,4同士と第一側部電極22,22とは、圧電素子23の両端面にそれぞれ設けられた第二電極用の外部電極7a,7aで接続されている。つまり、第一給電電極層6a及び第二給電電極層6bの互いに対向する電極2,2,22,22,4,4,24,24同士は、それぞれ外部電極7a,7bで接続されている。これにより、第一電極2は、外部電極7bを通じて第二側部電極24と導通して同電位となり、第二電極4は、外部電極7aを通じて第一側部電極22と導通して同電位となる。その結果、圧電体層1の上側主面の対角部にそれぞれ配置された一対の電極をすべて同電位とすることができる。この場合、外部電極7a,7bは、上述のように、圧電素子23の各端面に2箇所ずつ、計4箇所形成する必要がある。しかし、ワイヤー10と接続するのは、圧電素子23の一方の端面上の外部電極7a,7bだけで構わないので、圧電素子23とワイヤー10との接続箇所は、外部電極7a,7bとワイヤー10との接続、各1つずつ、計2つと、共通電極用の外部電極7gとワイヤー10との接続、1つの、合計3つとなる。
また、外部電極7gが圧電素子23の両端面にそれぞれ形成されている。これにより、圧電素子23の方向性がなくなり、圧電素子23に駆動子8,8を実装するとき、その位置をそろえる必要がなくなる。その結果、超音波アクチュエータの量産性が向上する。なお、外部電極7gを圧電素子23の一方の端面にのみ形成してもよい。
また、第一給電電極層6aの第一電極2,2、導通電極2a及び第一側部電極22,22のなす形状と第二給電電極層6bの第二電極4,4、導通電極4a及び第二側部電極24,24のなす形状とが、それぞれ、各給電電極層6a,6bが設けられた圧電体層1の上側主面の中心点Mに対して点対称の形状である。つまり、引出電極2bを除く第一給電電極層6aの形状及び引出電極4bを除く第二給電電極層6bの形状が、それぞれ圧電体層1の上側主面の第一対角線及び第二対角線の交点に対して点対称の形状である。
また、第一給電電極層6aの第一電極2,2、導通電極2a及び第一側部電極22,22のなす形状と第二給電電極層6bの第二電極4,4、導通電極4a及び第二側部電極24,24のなす形状とが、圧電体層1の上側主面の長手方向Lに延びる中心線Cに対して互いに反転した形状である。つまり、引出電極2bを除く第一給電電極層6aの形状及び引出電極4bを除く第二給電電極層6bの形状が、その中心線Cに対して互いに反転した形状である。
また、図11(b)に示すように、給電電極層6は、第一給電電極層6a又は第二給電電極層6bが積層方向に何層か連続して配されてなっていてもよく、あるいは、第一給電電極層6a及び第二給電電極層6bがランダムに配されてなっていてもよいが、図12に示すように、第一給電電極層6aの数及び第二給電電極層6bの数が同数で、給電電極層6が、第一給電電極層6a及び第二給電電極層6bが積層方向に交互に配されてなることが望ましい。
(その他の実施形態)
前記実施形態では、外部電極7を圧電素子12,21,23,33の周囲面にのみ形成し、圧電素子12,21,23,33の主面に形成しないことが望ましい。この場合、圧電素子12,21,23,33の外面のうち、面積が最も大きい主面に外部電極7が形成されないことになるため、その周辺にある金属部品と接触してもショートが起こりにくくなる。さらに、外部電極7と共通電極層3との間には電界が発生しないので、圧電素子12,21,23,33に余分な振動が発生せず、超音波アクチュエータの効率低下を抑制することができる。
また、前記実施形態では、第一電極2、第二電極4、第一側部電極22、及び第二側部電極24を略矩形状の電極としたが、これに限らず、例えば、これらを振動による応力の分布に応じた形状のものとしてもよい。
また、前記実施形態では、外部電極7にはんだによりワイヤー10を接続する構成について説明したが、ワイヤボンディングによる接続、導電性接着剤による接続、圧着による接続、接触による接続など、他の電気的接続方法を用いてもよい。これらにより、前記実施形態と同様の効果が得られる。
また、前記実施形態では、ワイヤー10による給電について説明したが、導電性ゴムによる給電、フレキシブル基板による給電や、コンタクトピンによる給電など、他の給電方法を用いてもよい。これらにより、前記実施形態と同様の効果が得られる。
以下、導電性ゴムによる給電の一例について説明する。図13、図14に示すように、各支持部13a〜13cは、シリコーンゴムに金属粒子を混入した導電性ゴムからなる。領域A4(図4参照)の第一電極2には、この第一電極2から圧電素子43の側面に向かって延びる引出電極2cが設けられている。領域A3(図4参照)の第二電極4には、この第二電極4から圧電素子43の側面に向かって延びる引出電極4cが設けられている。圧電素子43の両側面には、外部電極7cがそれぞれ設けられている。共通電極3aは、外部電極7gを介して支持部13bに接続されている。第一電極2,2及び第二側部電極24,24は、引出電極2c及び外部電極7cを介して支持部13cに接続されている。第二電極4,4及び第一側部電極22,22は、引出電極4c及び外部電極7cを介して支持部13aに接続されている。そして、これらの支持部13a〜13c等を通じて、内部電極層5には電圧が印加される。その他の点に関しては、実施形態3とほぼ同様である。以上により、圧電素子43にはんだを設ける必要がなくなるため、はんだを設けた圧電素子43の部位に振動による応力が集中して圧電素子43が割れてしまうことを抑制することができる。
また、前記実施形態では、超音波アクチュエータの駆動力が付与されて駆動される可動体9は平板状であるが、これに限られるものではなく、可動体9の構成としては任意の構成を採用することができる。例えば、図15に示すように、可動体は所定の軸X回りに回動可能な円板体9であり、超音波アクチュエータの駆動子8,8が円板体9の側周面9aに当接するように構成されていてもよい。かかる構成の場合、超音波アクチュエータを駆動すると、駆動子8,8の略楕円運動によって、円板体9が所定の軸X回りに回動させられる。
また、前記実施形態では、駆動子8,8を圧電素子12,21,23,33の一方の端面に設けた構成について説明したが、圧電素子12,21,23,33の一方の側面に形成してもよい。この場合、1次モードの伸縮振動の伸縮方向は、駆動子8,8が可動体9を支持する方向となり、2次モードの屈曲振動の振動方向は、可動体9の可動方向となる。
また、前記実施形態では、支持体をケース11で構成しているが、圧電素子12,21,23,33を支持する支持部を有する限り、如何なるもので構成してもよい。
本発明の実施形態1に係る超音波アクチュエータの斜視図である。 圧電素子の斜視図である。 圧電素子の分解斜視図である。 圧電体層の平面図である。 (a)は、第一給電電極層と共通電極層との位置関係を示す図であり、(b)は、第二給電電極層と共通電極層との位置関係を示す図である。 1次モードの伸縮振動の変位図である。 2次モードの屈曲振動の変位図である。 圧電素子の動作を示す概念図である。 超音波アクチュエータの変形例の斜視図である。 実施形態2に係る圧電素子の分解斜視図である。 (a)は、実施形態3に係る圧電素子の斜視図であり、(b)は、圧電素子の分解斜視図である。 圧電素子の分解斜視図である。 超音波アクチュエータの変形例の斜視図である。 (a)は、圧電素子の斜視図であり、(b)は、圧電素子の分解斜視図である。 超音波アクチュエータの変形例の斜視図である。 超音波アクチュエータの斜視図である。 (a)は、圧電素子の斜視図であり、(b)は、圧電素子の分解斜視図である。
符号の説明
1 圧電体層
2 第一電極
3 共通電極層
3a 共通電極
4 第二電極
5 内部電極
6 給電電極層
6a 第一給電電極層
6b 第二給電電極層
7 外部電極
7a 第二電極用の外部電極
7b 第一電極用の外部電極
7g 共通電極用の外部電極
8 駆動子
9 可動体
10 ワイヤー
11 ケース(支持体)
12,21,23,33,43 圧電素子
13a〜13c 支持部
22 第一側部電極
24 第二側部電極
以上説明したように、本発明は、給電電極層の構成を工夫することにより圧電素子の振動阻害を抑制するものであり、各種電子機器等に用いられる超音波アクチュエータ等に有用である。
本発明は、音波アクチュエータに関するものである。
従来から、各種電気機器等に用いられる、圧電素子(電気機械変換素子)を備えた超音波アクチュエータが知られている(例えば、特許文献1参照)。この圧電素子は、圧電体と電極とを交互に積層してなる。そして、上記超音波アクチュエータでは、電極に電圧を印加することにより圧電素子を振動させ、これにより、可動体を運動させる。
特表2003−501988号公報
ここで、本発明者は、超音波アクチュエータとして以下に示すものを考案した。図16は、その超音波アクチュエータの斜視図であり、図17(a)は、超音波アクチュエータに用いられている圧電素子の斜視図であり、図17(b)は、圧電素子の分解斜視図である。
図16、図17に示すように、圧電素子100は、ケース103に設けられた3つの支持部104A〜104Cにてこのケース103に収容支持されている。圧電素子100の端面には駆動子110,110が設けられており、これらの駆動子110,110は可動体111を支持している。駆動子110,110は支持部104Bにより可動体111に押圧されている。
圧電素子100は、圧電体101と内部電極102とを交互に積層してなる。内部電極102Gは、圧電体101の主面のほぼ全面に亘って設けられた共通電極(グラウンド電極)である。また、圧電体101は、図17で示す矢印の方向に分極されている。
内部電極102A〜102D,102Gは、それぞれの外部電極103A〜103D,103Gに接続されている。この各外部電極103A〜103D,103Gは、圧電素子100の端面に設けられている。各外部電極103A〜103D,103Gには、例えば、ワイヤー108A〜108D,108Gがはんだ107を介して接続されている。そして、これらのワイヤー108A〜108D,108Gを通じて、各内部電極102A〜102D,102Gには電圧が供給される。
ところで、圧電素子100の、後述する伸縮振動の共振周波数及び屈曲振動の共振周波数は、それぞれ圧電素子100の材料や形状等により決定される。そして、圧電素子100の材料や形状等は、伸縮振動の共振周波数及び屈曲振動の共振周波数が略一致するように決められている。
以下、超音波アクチュエータの動作について説明する。図6〜図8は、それぞれ圧電素子の振動形態を説明する概念図である。
ワイヤー108Gをグラウンドに接続するとともに、ワイヤー108A,108Cを介して圧電体101の主面の一方の対角線上に配した内部電極102A,102Cに特定周波数の正弦波の基準電圧を印加し、ワイヤー108B,108Dを介して他方の対角線上に配した内部電極102B,102Dに基準電圧とほぼ同じ大きさ・周波数の正弦波の電圧を印加する。これにより、内部電極102A,102Cに同位相の電圧が加わり、内部電極102B,102Dに同位相の電圧が加わる。基準電圧と内部電極102B,102Dに印加した電圧との位相差が0°の場合、図6に示すように、圧電素子100には1次モードの伸縮振動が誘起される。一方、その位相差が180°の場合、図7に示すように、圧電素子100には2次モードの屈曲振動が誘起される。
また、内部電極102A,102Cに前記略一致させた共振周波数近傍の周波数の正弦波の基準電圧を加え、内部電極102B,102Dに、位相が基準電圧と90°又は−90°だけ異なる、基準電圧とほぼ同じ大きさ・周波数の正弦波の電圧を加えると、圧電素子100には1次モードの伸縮振動と2次モードの屈曲振動とが調和的に誘起される。これにより、圧電素子100の形状が、図8(a)〜(d)に示すような順で変化する。その結果、圧電素子100に設けられた駆動子110,110が、図8の紙面を貫く方向から見て略楕円運動する。つまり、圧電素子100の伸縮振動及び屈曲振動の合成振動により駆動子110,110が楕円運動する。この楕円運動により駆動子110,110に支持された可動体111が圧電素子100との間で相対運動して、矢印A又は矢印Bの方向に動く。
ところで、上記超音波アクチュエータでは、少なくとも5本のワイヤー108A〜108D,108Gを圧電素子100上の外部電極103A〜103D,103Gに接続する必要がある。このため、圧電素子100の振動時に、ワイヤー108A〜108D,108Gや、ワイヤー108A〜108D,108Gと外部電極103A〜103D,103Gとを接続する導電性接続部材としてのはんだ107が負担となって、圧電素子100の振動が阻害されてしまう。その結果、超音波アクチュエータの効率が低下するおそれがあった。
本発明は、かかる点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、圧電素子の振動阻害を抑制することにある。
その目的を達成するために、本発明は、略矩形状の圧電体層と内部電極層とを交互に積層してなる圧電素子と、該圧電素子の外面に設けられた駆動子と、該駆動子に支持された可動体とを備える超音波アクチュエータであって、前記駆動子は、前記圧電素子の外面のうち、前記圧電体層の主面と直交し該主面の長辺と平行な面に設けられており、前記内部電極層は、積層方向に前記圧電体層を介して交互に配された共通電極層及び給電電極層からなり、前記共通電極層は、共通電極を有し、前記給電電極層は、前記圧電体層の主面に設けられた第一給電電極層と、主面に該第一給電電極層が設けられた圧電体層とは異なる圧電体層の主面に設けられた第二給電電極層とを有し、前記第一給電電極層は、前記圧電体層の主面をその長手方向及び短手方向にそれぞれ2分割してなる4つの領域のうち前記圧電体層の主面の第一対角線方向に対向する2つの領域にそれぞれ設けられた、互いに導通する一対の第一電極を有し、前記第二給電電極層は、前記4つの領域のうち前記圧電体層の主面の第二対角線方向に対向する2つの領域にそれぞれ設けられた、互いに導通する一対の第二電極を有し、前記共通電極、前記第一電極、及び前記第二電極は、前記圧電素子の外面に設けられた、それぞれの外部電極に接続されている構成としたものである。
本発明によれば、圧電体層の主面をその長手方向及び短手方向にそれぞれ2分割してなる4つの領域のうち圧電体層の主面の第一対角線方向に対向する2つの領域にそれぞれ設けられた、第一給電電極層の一対の第一電極を互いに導通させ、4つの領域のうち圧電体層の主面の第二対角線方向に対向する2つの領域にそれぞれ設けられた、第二給電電極層の一対の第二電極を互いに導通させることにより、ワイヤー等の数を減らすことができる。その結果、圧電素子の振動阻害を抑制することができる。
また、ワイヤー等の接続工数を減らすことができるので、製造が容易になる。特に、圧電素子は機械的強度が弱いため、ワイヤー等を外部電極に接続する際、機械的ストレスにより圧電素子が壊れるおそれがあるが、上述のように、ワイヤー等の接続工数が減ることにより、この接続工程における圧電素子の破壊を低減することができる。
さらに、ワイヤー等と外部電極との接続点も減らすことができるので、信頼性も向上する。
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。
(実施形態1)
−超音波アクチュエータの構成−
図1は、本実施形態1に係る超音波アクチュエータの斜視図であり、図2は、その超音波アクチュエータに用いられている圧電素子12の斜視図であり、図3は、圧電素子12の分解斜視図であり、図4は、圧電体層1の平面図であり、図5(a)は、第一給電電極層6aと共通電極層3との位置関係を示す図であり、図5(b)は、第二給電電極層6bと共通電極層3との位置関係を示す図である。
図1〜図3に示すように、超音波アクチュエータは、圧電素子12を備えている。この圧電素子12は、互いに対向する一対の主面と、この主面と直交して圧電素子12の主面の長手方向に延びる、互いに対向する一対の端面(圧電素子12の外面のうち、圧電体層1の主面と直交し該主面の長辺と平行な面)と、これらの主面及び端面の両方と直交して圧電素子12の主面の短手方向に延びる、互いに対向する一対の側面とを有している。主面、端面及び側面が圧電素子12の外面を構成し、端面及び側面が圧電素子12の周囲面(圧電素子12の外面のうち、圧電体層1の主面と直交する面)を構成している。本実施形態では、主面、端面及び側面のうち主面が最大の面積を有している。
圧電素子12は、3つの支持部13a〜13cを介してケース11(支持体)に収容支持されている。圧電素子12の一方の端面には駆動子8,8が設けられており、これらの駆動子8,8は平板状の可動体9を支持している。圧電素子12の他方の端面(駆動子8,8が設けられた端面とは反対側の端面)の支持部13bは、駆動子8,8を可動体9に押圧している。これにより、駆動子8,8の先端部と可動体9との摩擦力が高められ、圧電素子12の振動が駆動子8,8を介して確実に可動体9に伝搬される。
圧電素子12は、略矩形状の圧電体層1と内部電極層5とを交互に積層してなる略直方体状のものである。この圧電体層1は、例えばチタン酸ジルコン酸鉛などのセラミック材料からなる絶縁体層である。内部電極層5は、積層方向(圧電素子12の厚み方向)に圧電体層1を介して交互に配された共通電極層3及び給電電極層6からなる。この共通電極層3は、圧電体層1の上側主面のほぼ全面に亘って設けられた略矩形状の共通電極3aを有している。この共通電極3aには、その長手方向中央部から圧電素子12の両端面に向かってそれぞれ延びる引出電極3b,3bが設けられている。
給電電極層6は、圧電体層1の上側主面に設けられた第一給電電極層6aと、上側主面にこの第一給電電極層6aが設けられた圧電体層1とは異なる圧電体層1の上側主面に設けられた第二給電電極層6bとからなる。つまり、圧電体層1の主面上には、共通電極層3、第一給電電極層6a、及び第二給電電極層6bのうちいずれか1つが印刷されている。また、圧電体層1は、図3の矢印で示すように、第一給電電極層6a又は第二給電電極層6b側から共通電極層3側へと分極されている。
第一給電電極層6aは、圧電体層1の上側主面をその長手方向L及び短手方向Sにそれぞれ2等分してなる4つの領域A1〜A4(図4参照)のうち圧電体層1の上側主面の第一対角線方向(第一対角線の延びる方向)D1に対向する2つの領域A2,A4にそれぞれ形成された、導通電極2aを介して互いに導通する一対の第一電極2,2を有している。この各第一電極2は略矩形状の電極であり、積層方向から見て共通電極層3と重なっている(図5(a)参照)。つまり、各第一電極2は、共通電極層3と圧電体層1を挟んで対向している。導通電極2aも、積層方向から見て共通電極層3と重なっている(図5(a)参照)。各第一電極2には、その長手方向中央部から圧電素子12の端面に向かって延びる引出電極2bが設けられている。この各引出電極2bは、積層方向から見て共通電極層3と重なっていない(図5(a)参照)。つまり、各引出電極2bは、共通電極層3と対向していない。このため、圧電体層1の各引出電極2bに対向する部分には電界が生じない。つまり、この部分は圧電的に不活性な部分となる。
第二給電電極層6bは、圧電体層1の上側主面をその長手方向L及び短手方向Sにそれぞれ2等分してなる4つの領域A1〜A4のうち圧電体層1の上側主面の第二対角線方向(第二対角線の延びる方向)D2に対向する2つの領域A1,A3にそれぞれ形成された、導通電極4aを介して互いに導通する一対の第二電極4,4を有している。この各第二電極4は略矩形状の電極であり、積層方向から見て共通電極層3と重なっている(図5(b)参照)。導通電極4aも、積層方向から見て共通電極層3と重なっている(図5(b)参照)。各第二電極4には、その長手方向中央部から圧電素子12の端面に向かって延びる引出電極4bが設けられている。この各引出電極4bは、積層方向から見て共通電極層3と重なっていない(図5(b)参照)。このため、圧電体層1の各引出電極4bに対向する部分には電界が生じない。
異なる圧電体層1上の共通電極3a同士は、引出電極3bを介して共通電極用の外部電極7gで接続されている。第一電極2,2は、引出電極2bを介して第一電極用の外部電極7bに接続されている。第二電極4,4は、引出電極4bを介して第二電極用の外部電極7aに接続されている。この各外部電極7a,7b,7gは、圧電素子12の一方の端面及び一方の主面に亘って設けられていて、圧電素子12の振動のノード部(節)近傍まで延びている。各外部電極7a,7b,7gの、圧電素子12の主面上の部分には、ワイヤー10がはんだを介して接続されている。そして、このワイヤー10を通じて、内部電極層5には圧電素子12を振動させるための電圧が印加される。このように、各外部電極7a,7b,7gを圧電素子12の一方の端面及び一方の主面に亘って形成して、圧電素子12の振動のノード部付近まで延伸することにより、圧電素子12とワイヤー10との接続点が振動に悪影響を及ぼすことを抑制している。
ところで、圧電素子12の伸縮振動の共振周波数及び屈曲振動の共振周波数は、それぞれ圧電素子12の材料や形状等により決定される。そして、圧電素子12の材料や形状等は、伸縮振動の共振周波数及び屈曲振動の共振周波数が略一致するように決められている。本実施形態では、圧電素子12の材料や形状等は、1次モードの伸縮振動の共振周波数及び2次モードの屈曲振動の共振周波数が略一致するように決定されている。
以上のように、対角線方向D1,D2に並べて配置された電極2,4を互いに導通させ、異なる圧電体層1上の共通電極3a同士を外部電極7gで接続し、圧電体層1上の第一電極2,2を外部電極7bに接続し、圧電体層1上の第二電極4,4を外部電極7aに接続している。つまり、圧電素子12には共通電極用の外部電極7g、第一電極用の外部電極7b、及び第二電極用の外部電極7aの、計3つの外部電極7を設ければよい。これにより、外部電極7に接続すべきワイヤー10の数を3つに減らすことができる。その結果、圧電素子12の振動阻害を抑制することができ、超音波アクチュエータの効率低下を抑制することができる。
また、ワイヤー10の接続工数を減らすことができるので、超音波アクチュエータの製造が容易になる。特に、圧電素子12は機械的強度が弱いため、ワイヤー10を外部電極7に接続する際、機械的ストレスにより圧電素子12が壊れるおそれがあるが、上述のように、ワイヤー10の接続工数が減ることにより、この接続工程における圧電素子12の破壊を低減することができる。
さらに、ワイヤー10と外部電極7との接続点も減らすことができる。これにより、この接続点に設けられたはんだによる振動阻害を抑制することができる。また、この接続点は超音波アクチュエータを駆動させる上で重要な箇所であるが、湿度や温度変化などの外部環境の影響を受けやすいので、上述のように、その接続点を少なくすることにより、超音波アクチュエータの信頼性を向上させることができる。
その上、小型の超音波アクチュエータ(例えば、圧電素子12の長さが0.1mm〜10mm程度のもの)では、各給電電極層6a,6bに異なる電位の電極を形成すると、その異なる電位の電極間の距離が充分にとれず、高い電圧を印加したとき、その異なる電位の電極間でリーク電流が発生することがある。リーク電流が発生すると、給電電力のロスが生じ、超音波アクチュエータの効率が低下する。しかし、各給電電極層6a,6bを上述のような構成にすることにより、各給電電極層6a,6bには同電位の電極だけが形成される。その結果、リーク電流が発生しにくくなり、小型で効率が高い超音波アクチュエータを実現することができる。
それに加えて、共通電極3a、第一電極2、及び第二電極4は、それぞれ引出電極3b,2b,4bを介して外部電極7g,7b,7aに接続されているので、圧電素子12の周囲面の異なる位置に、共通電極3a、第一電極2、及び第二電極4をそれぞれ引き出すことができる。その結果、共通電極3a、第一電極2、及び第二電極4の間に充分な絶縁距離を確保することができる。このように、充分な絶縁距離を取るためには、異なる電位の電極3a,2,4の引出電極3b,2b,4bを圧電体層1の厚み以上の間隔を開けて形成することが望ましい。
また、上述のように、共通電極3a、第一電極2、及び第二電極4は、それぞれ、圧電的に不活性な部分に配置された引出電極3b,2b,4bを介して外部電極7g,7b,7aに接続されているので、圧電素子12に余分な振動が発生しない。その結果、圧電素子12がバランスよく振動し、その振動効率が向上する。
以下、給電電極層6等についてさらに説明する。
第一給電電極層6aの第一電極2,2及び導通電極2aのなす形状が、圧電体層1の上側主面の中心点M(図4参照)に対して点対称の形状である。また、第二給電電極層6bの第二電極4,4及び導通電極4aのなす形状も、圧電体層1の上側主面の中心点Mに対して点対称の形状である。つまり、引出電極2bを除く(以外の)第一給電電極層6aの形状及び引出電極4bを除く第二給電電極層6bの形状が、それぞれ圧電体層1の上側主面の第一対角線及び第二対角線の交点に対して点対称の形状である。このように、給電電極層6の形状を圧電体層1の上側主面の中心点Mに対して略点対称の形状にすることにより、圧電素子12の振動、特に2次モードの屈曲振動の対称性が向上する。このことにより、圧電素子12に余分な振動が発生せず、エネルギーロスが大幅に低減される。その結果、給電電力を効率よく振動に変換することができる。
また、第一給電電極層6aの第一電極2,2及び導通電極2aのなす形状と第二給電電極層6bの第二電極4,4及び導通電極4aのなす形状とが、圧電体層1の上側主面の長手方向Lに延びる中心線C(図4参照)に対して互いに反転した形状である。つまり、引出電極2bを除く第一給電電極層6aの形状をその中心線Cに対して反転した形状が、引出電極4bを除く第二給電電極層6bの形状である。このように、第一給電電極層6aの形状及び第二給電電極層6bの形状を、その中心線Cに対して互いに略反転した形状にすることにより、圧電素子12の振動、特に2次モードの屈曲振動の対称性が向上する。このことにより、圧電素子12に余分な振動が発生せず、エネルギーロスが大幅に低減される。その結果、給電電力を効率よく振動に変換することができる。
また、第一給電電極層6aの数及び第二給電電極層6bの数が同数である。これにより、圧電素子12の振動の対称性が向上する。このことにより、圧電素子12に余分な振動が発生せず、エネルギーロスが大幅に低減される。その結果、給電電力を効率よく振動に変換することができる。
また、給電電極層6は、第一給電電極層6a及び第二給電電極層6bが積層方向に交互に配されてなる。これにより、圧電素子12の導通電極2a,4a配置部分の振動の対称性が向上する。このことにより、圧電素子12に余分な振動が発生せず、エネルギーロスが大幅に低減される。その結果、給電電力を効率よく振動に変換することができる。
また、圧電素子12の積層方向の最外層が圧電体層1である。これにより、以下の効果が得られる。つまり、電子機器内部の非常に小さい空間に小型の超音波アクチュエータ(例えば、長さが1mm〜20mm程度のもの)を実装する場合、圧電素子12の最外層が共通電極層3又は給電電極層6であると、圧電素子12の主面にその周辺にある金属部品が接触したときに、その最外層の電極層がショートして、超音波アクチュエータの特性が著しく低下することがある。そこで、上述のように、圧電素子12の積層方向の最外層を絶縁体である圧電体層1とすることにより、圧電素子12の主面に金属部品が接触してもショートが発生しない。その結果、超音波アクチュエータの信頼性を向上させることができる。
−超音波アクチュエータの動作−
以下、超音波アクチュエータの動作について説明する。図6は、本実施形態に係る1次モードの伸縮振動の変位図であり、図7は、2次モードの屈曲振動の変位図であり、図8は、圧電素子12の動作を示す概念図である。なお、図6〜図8においては、圧電素子12の主面はその紙面と平行な位置関係にある。
例えば、ワイヤー10を介して共通電極層3と第一給電電極層6aとの間に、前記略一致させた共振周波数近傍の周波数の基準交流電圧を印加し、ワイヤー10を介して共通電極層3と第二給電電極層6bとの間に、位相が基準交流電圧と90°又は−90°だけ異なる、基準交流電圧とほぼ同じ大きさ・周波数の交流電圧を印加すると、圧電素子12には、図6に示す1次モードの伸縮振動と図7に示す2次モードの屈曲振動とが調和的に誘起される。
そして、圧電素子12の形状が、図8(a)〜(d)に示すような順で変化する。その結果、圧電素子12に設けられた駆動子8,8が、図8の紙面を貫く方向から見て略楕円運動する。つまり、圧電素子12の伸縮振動及び屈曲振動の合成振動により駆動子8,8が楕円運動する。この楕円運動により駆動子8,8に支持された可動体9が圧電素子12との間で相対運動して、図1に示す矢印A又は矢印Bの方向に動く。
ここで、伸縮振動の伸縮方向は、圧電素子12の主面の長手方向、つまり、可動体9の可動方向であり、屈曲振動の振動方向は、駆動子8,8が可動体9を支持する方向である。圧電素子12の積層方向は、伸縮振動の伸縮方向及び屈曲振動の振動方向の両方と垂直な方向である。
なお、本実施形態では、外部電極7a,7b,7gを圧電素子12の一方の端面及び一方の主面に亘って形成しているが、図9に示すように、圧電素子12の端面にのみ形成してもよい。
(実施形態2)
本実施形態2は、給電電極層6の構成が実施形態1と異なるものである。図10は、本実施形態2に係る圧電素子21の分解斜視図である。
図10に示すように、第一給電電極層6aは、一対の第一電極2,2に加え、前記第二対角線方向D2に対向する2つの領域A1,A3の一方A1に設けられた第一側部電極22を有している。この第一側部電極22は略矩形状の電極であり、積層方向から見て共通電極層3と重なっている。第一側部電極22には、その長手方向中央部から圧電素子12の端面に向かって延びる引出電極22aが設けられている。この引出電極22aは、積層方向から見て共通電極層3と重なっていない。このため、圧電体層1の引出電極22aに対向する部分には電界が生じない。
第二給電電極層6bは、一対の第二電極4,4に加え、前記第一対角線方向D1に対向する2つの領域A2,A4の一方A2に設けられた第二側部電極24を有している。この第二側部電極24は略矩形状の電極であり、積層方向から見て共通電極層3と重なっている。第二側部電極24には、その長手方向中央部から圧電素子12の端面に向かって延びる引出電極24aが設けられている。この引出電極24aは、積層方向から見て共通電極層3と重なっていない。このため、圧電体層1の引出電極24aに対向する部分には電界が生じない。
第一電極2,2と第二側部電極24とは、引出電極2b,24aを介して第一電極用の外部電極7bで接続され、第二電極4,4と第一側部電極22とは、引出電極4b,22aを介して第二電極用の外部電極7aで接続されている。この各外部電極7a,7bは、圧電素子12の両端面にそれぞれ設けられている。外部電極7gも、圧電素子12の両端面にそれぞれ設けられている。
以上のように、給電電極層6に側部電極22,24をさらに設けることにより、電極面積を大きくすることができる。これにより、圧電素子21の変位を大きくすることができ、超音波アクチュエータの効率を向上させることができる。
なお、本実施形態では、第一側部電極22及び第二側部電極24を圧電体層1の上側主面の長手方向Lに延びる中心線Cに対して略左右対称となるように配置してもよい。この場合、第一給電電極層6aの第一電極2,2、導通電極2a及び第一側部電極22のなす形状と第二給電電極層6bの第二電極4,4、導通電極4a及び第二側部電極24のなす形状とが、圧電体層1の上側主面の長手方向Lに延びる中心線Cに対して互いに反転した形状となる。
(実施形態3)
本実施形態3は、給電電極層6の構成が実施形態1、2と異なるものである。図11(a)は、本実施形態3に係る圧電素子23の斜視図であり、図11(b)は、圧電素子23の分解斜視図であり、図12は、圧電素子33の分解斜視図である。
図11に示すように、第一給電電極層6aは、一対の第一電極2,2に加え、前記第二対角線方向D2に対向する2つの領域A1,A3にそれぞれ設けられた一対の第一側部電極22,22を有している。
第二給電電極層6bは、一対の第二電極4,4に加え、前記第一対角線方向D1に対向する2つの領域A2,A4にそれぞれ設けられた一対の第二側部電極24,24を有している。
このように、給電電極層6に側部電極22,24をさらに設けることにより、電極面積を大きくすることができる。これにより、圧電素子23の変位を大きくすることができ、超音波アクチュエータの効率を向上させることができる。
また、2次モードの屈曲振動を効率よく誘起させるためには、圧電体層1の上側主面の対角部にそれぞれ配置された一対の電極が同電位となることが望ましい。そこで、図11に示すように、第一電極2,2と異なる圧電体層1上の第二側部電極24,24同士とは、圧電素子23の両端面にそれぞれ設けられた第一電極用の外部電極7b,7bで接続され、異なる圧電体層1上の第二電極4,4同士と第一側部電極22,22とは、圧電素子23の両端面にそれぞれ設けられた第二電極用の外部電極7a,7aで接続されている。つまり、第一給電電極層6a及び第二給電電極層6bの互いに対向する電極2,2,22,22,4,4,24,24同士は、それぞれ外部電極7a,7bで接続されている。これにより、第一電極2は、外部電極7bを通じて第二側部電極24と導通して同電位となり、第二電極4は、外部電極7aを通じて第一側部電極22と導通して同電位となる。その結果、圧電体層1の上側主面の対角部にそれぞれ配置された一対の電極をすべて同電位とすることができる。この場合、外部電極7a,7bは、上述のように、圧電素子23の各端面に2箇所ずつ、計4箇所形成する必要がある。しかし、ワイヤー10と接続するのは、圧電素子23の一方の端面上の外部電極7a,7bだけで構わないので、圧電素子23とワイヤー10との接続箇所は、外部電極7a,7bとワイヤー10との接続、各1つずつ、計2つと、共通電極用の外部電極7gとワイヤー10との接続、1つの、合計3つとなる。
また、外部電極7gが圧電素子23の両端面にそれぞれ形成されている。これにより、圧電素子23の方向性がなくなり、圧電素子23に駆動子8,8を実装するとき、その位置をそろえる必要がなくなる。その結果、超音波アクチュエータの量産性が向上する。なお、外部電極7gを圧電素子23の一方の端面にのみ形成してもよい。
また、第一給電電極層6aの第一電極2,2、導通電極2a及び第一側部電極22,22のなす形状と第二給電電極層6bの第二電極4,4、導通電極4a及び第二側部電極24,24のなす形状とが、それぞれ、各給電電極層6a,6bが設けられた圧電体層1の上側主面の中心点Mに対して点対称の形状である。つまり、引出電極2bを除く第一給電電極層6aの形状及び引出電極4bを除く第二給電電極層6bの形状が、それぞれ圧電体層1の上側主面の第一対角線及び第二対角線の交点に対して点対称の形状である。
また、第一給電電極層6aの第一電極2,2、導通電極2a及び第一側部電極22,22のなす形状と第二給電電極層6bの第二電極4,4、導通電極4a及び第二側部電極24,24のなす形状とが、圧電体層1の上側主面の長手方向Lに延びる中心線Cに対して互いに反転した形状である。つまり、引出電極2bを除く第一給電電極層6aの形状及び引出電極4bを除く第二給電電極層6bの形状が、その中心線Cに対して互いに反転した形状である。
また、図11(b)に示すように、給電電極層6は、第一給電電極層6a又は第二給電電極層6bが積層方向に何層か連続して配されてなっていてもよく、あるいは、第一給電電極層6a及び第二給電電極層6bがランダムに配されてなっていてもよいが、図12に示すように、第一給電電極層6aの数及び第二給電電極層6bの数が同数で、給電電極層6が、第一給電電極層6a及び第二給電電極層6bが積層方向に交互に配されてなることが望ましい。
(その他の実施形態)
前記実施形態では、外部電極7を圧電素子12,21,23,33の周囲面にのみ形成し、圧電素子12,21,23,33の主面に形成しないことが望ましい。この場合、圧電素子12,21,23,33の外面のうち、面積が最も大きい主面に外部電極7が形成されないことになるため、その周辺にある金属部品と接触してもショートが起こりにくくなる。さらに、外部電極7と共通電極層3との間には電界が発生しないので、圧電素子12,21,23,33に余分な振動が発生せず、超音波アクチュエータの効率低下を抑制することができる。
また、前記実施形態では、第一電極2、第二電極4、第一側部電極22、及び第二側部電極24を略矩形状の電極としたが、これに限らず、例えば、これらを振動による応力の分布に応じた形状のものとしてもよい。
また、前記実施形態では、外部電極7にはんだによりワイヤー10を接続する構成について説明したが、ワイヤボンディングによる接続、導電性接着剤による接続、圧着による接続、接触による接続など、他の電気的接続方法を用いてもよい。これらにより、前記実施形態と同様の効果が得られる。
また、前記実施形態では、ワイヤー10による給電について説明したが、導電性ゴムによる給電、フレキシブル基板による給電や、コンタクトピンによる給電など、他の給電方法を用いてもよい。これらにより、前記実施形態と同様の効果が得られる。
以下、導電性ゴムによる給電の一例について説明する。図13、図14に示すように、各支持部13a〜13cは、シリコーンゴムに金属粒子を混入した導電性ゴムからなる。領域A4(図4参照)の第一電極2には、この第一電極2から圧電素子43の側面に向かって延びる引出電極2cが設けられている。領域A3(図4参照)の第二電極4には、この第二電極4から圧電素子43の側面に向かって延びる引出電極4cが設けられている。圧電素子43の両側面には、外部電極7cがそれぞれ設けられている。共通電極3aは、外部電極7gを介して支持部13bに接続されている。第一電極2,2及び第二側部電極24,24は、引出電極2c及び外部電極7cを介して支持部13cに接続されている。第二電極4,4及び第一側部電極22,22は、引出電極4c及び外部電極7cを介して支持部13aに接続されている。そして、これらの支持部13a〜13c等を通じて、内部電極層5には電圧が印加される。その他の点に関しては、実施形態3とほぼ同様である。以上により、圧電素子43にはんだを設ける必要がなくなるため、はんだを設けた圧電素子43の部位に振動による応力が集中して圧電素子43が割れてしまうことを抑制することができる。
また、前記実施形態では、超音波アクチュエータの駆動力が付与されて駆動される可動体9は平板状であるが、これに限られるものではなく、可動体9の構成としては任意の構成を採用することができる。例えば、図15に示すように、可動体は所定の軸X回りに回動可能な円板体9であり、超音波アクチュエータの駆動子8,8が円板体9の側周面9aに当接するように構成されていてもよい。かかる構成の場合、超音波アクチュエータを駆動すると、駆動子8,8の略楕円運動によって、円板体9が所定の軸X回りに回動させられる。
た、前記実施形態では、支持体をケース11で構成しているが、圧電素子12,21,23,33を支持する支持部を有する限り、如何なるもので構成してもよい。
以上説明したように、本発明は、給電電極層の構成を工夫することにより圧電素子の振動阻害を抑制するものであり、各種電子機器等に用いられる超音波アクチュエータ等に有用である。
本発明の実施形態1に係る超音波アクチュエータの斜視図である。 圧電素子の斜視図である。 圧電素子の分解斜視図である。 圧電体層の平面図である。 (a)は、第一給電電極層と共通電極層との位置関係を示す図であり、(b)は、第二給電電極層と共通電極層との位置関係を示す図である。 1次モードの伸縮振動の変位図である。 2次モードの屈曲振動の変位図である。 圧電素子の動作を示す概念図である。 超音波アクチュエータの変形例の斜視図である。 実施形態2に係る圧電素子の分解斜視図である。 (a)は、実施形態3に係る圧電素子の斜視図であり、(b)は、圧電素子の分解斜視図である。 圧電素子の分解斜視図である。 超音波アクチュエータの変形例の斜視図である。 (a)は、圧電素子の斜視図であり、(b)は、圧電素子の分解斜視図である。 超音波アクチュエータの変形例の斜視図である。 超音波アクチュエータの斜視図である。 (a)は、圧電素子の斜視図であり、(b)は、圧電素子の分解斜視図である。
符号の説明
1 圧電体層
2 第一電極
3 共通電極層
3a 共通電極
4 第二電極
5 内部電極
6 給電電極層
6a 第一給電電極層
6b 第二給電電極層
7 外部電極
7a 第二電極用の外部電極
7b 第一電極用の外部電極
7g 共通電極用の外部電極
8 駆動子
9 可動体
10 ワイヤー
11 ケース(支持体)
12,21,23,33,43 圧電素子
13a〜13c 支持部
22 第一側部電極
24 第二側部電極

Claims (11)

  1. 略矩形状の圧電体層と内部電極層とを交互に積層してなる圧電素子であって、
    前記内部電極層は、積層方向に前記圧電体層を介して交互に配された共通電極層及び給電電極層からなり、
    前記共通電極層は、共通電極を有し、
    前記給電電極層は、前記圧電体層の主面に設けられた第一給電電極層と、主面に該第一給電電極層が設けられた圧電体層とは異なる圧電体層の主面に設けられた第二給電電極層とを有し、
    前記第一給電電極層は、前記圧電体層の主面をその長手方向及び短手方向にそれぞれ2分割してなる4つの領域のうち前記圧電体層の主面の第一対角線方向に対向する2つの領域にそれぞれ設けられた、互いに導通する一対の第一電極を有し、
    前記第二給電電極層は、前記4つの領域のうち前記圧電体層の主面の第二対角線方向に対向する2つの領域にそれぞれ設けられた、互いに導通する一対の第二電極を有し、
    前記共通電極、前記第一電極、及び前記第二電極は、前記圧電素子の外面に設けられた、それぞれの外部電極に接続されている圧電素子。
  2. 第一給電電極層は、前記一対の第一電極に加え、前記第二対角線方向に対向する2つの領域の一方に設けられた第一側部電極を有し、
    第二給電電極層は、前記一対の第二電極に加え、前記第一対角線方向に対向する2つの領域の一方に設けられた第二側部電極を有し、
    前記第一電極と前記第二側部電極とは、前記外部電極で接続され、
    前記第二電極と前記第一側部電極とは、前記外部電極で接続されている請求項1記載の圧電素子。
  3. 第一給電電極層は、前記一対の第一電極に加え、前記第二対角線方向に対向する2つの領域にそれぞれ設けられた一対の第一側部電極を有し、
    第二給電電極層は、前記一対の第二電極に加え、前記第一対角線方向に対向する2つの領域にそれぞれ設けられた一対の第二側部電極を有し、
    前記第一電極と前記第二側部電極とは、前記外部電極で接続され、
    前記第二電極と前記第一側部電極とは、前記外部電極で接続されている請求項1記載の圧電素子。
  4. 給電電極層の形状が、前記圧電体層の主面の中心点に対して略点対称の形状である請求項1記載の圧電素子。
  5. 第一給電電極層の形状及び第二給電電極層の形状が、前記圧電体層の主面の長手方向に延びる中心線に対して互いに略反転した形状である請求項1記載の圧電素子。
  6. 第一給電電極層の数及び第二給電電極層の数が同数である請求項1記載の超音波アクチュエータ。
  7. 給電電極層は、前記第一給電電極層及び前記第二給電電極層が積層方向に交互に配されてなる請求項1記載の圧電素子。
  8. 圧電素子の積層方向の最外層が前記圧電体層である請求項1記載の圧電素子。
  9. 外部電極は、前記圧電素子の端面及び側面からなる周囲面にのみ設けられている請求項1記載の圧電素子。
  10. 請求項1記載の圧電素子と、
    前記圧電素子の端面又は側面に設けられた駆動子と、
    前記駆動子に支持された可動体とを備え、
    前記内部電極層に給電することにより前記圧電素子を1次モードの伸縮振動と2次モードの屈曲振動とが合成された振動をさせ、該振動により前記駆動子を略楕円運動させて前記可動体を前記圧電素子との間で相対運動させる超音波アクチュエータ。
  11. 圧電素子を支持する支持部を有する支持体をさらに備え、
    前記支持部は、導電性ゴムからなる請求項10記載の超音波アクチュエータ。
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