以下、添付図面を参照して、実施形態について詳細に説明する。なお、説明において、同一要素又は同一機能を有する要素には、同一符号を用いることとし、重複する説明は省略する。
(第1実施形態)
図1は、第1実施形態に係る音響装置を示す斜視図である。図2は、図1の音響装置の上面図である。図3は、図1の音響装置を示す断面斜視図である。図4は、図1の音響装置を示す断面図である。図1~図4に示される第1実施形態に係る音響装置1Aは、例えば、スピーカ、又はブザーとして用いられる。音響装置1Aは、例えば、テレビ、スマートフォン等の電子機器に設けられる。音響装置1Aは、振動板2と、第1振動源3と、第2振動源4と、フレーム5と、ガスケット6と、エッジ7と、センターキャップ8と、ダンパー9と、を備える。
振動板2は、振動により音を発生させる。振動板2は、例えば、コーン型である。第1方向D1は、振動板2の軸方向である。振動板2は、例えば、ドーム型、平板型であってもよい。振動板2がドーム型の場合、第1方向D1は、振動板2が突出する方向である。振動板2が平面型の場合、第1方向D1は、振動板2に直交する方向である。振動板2は、第1方向D1から見て、円環状を呈している。振動板2の外縁部は、エッジ7に接合されている。振動板2の内縁部は、センターキャップ8に接合されている。振動板2は、例えば、樹脂、紙、又は金属により形成されている。
振動板2は、互いに対向している第1振動面2a及び第2振動面2bを有している。第1振動面2aは、音響装置1Aの内側を向く面であり、第2振動面2bは、音響装置1Aの外側を向く面である。振動板2は、径方向の断面において、第1振動面2aが湾曲内側、及び第2振動面2bが湾曲外側となるように湾曲している。これにより、効率的に振動を伝えることができる。
第1振動源3は、ベース51と、磁石52と、ヨーク53と、センターポール54と、スプリング55と、ボビン56と、ボイスコイル57と、を有している。
ベース51は、音響装置1Aの底部をなす板状部材である。ベース51は、第1方向D1から見て、円形状を呈している。第1方向D1から見て、ベース51の外縁は、振動板2の外縁と内縁との間に位置しいている。
磁石52は、ベース51上に配置されている。磁石52は、第1方向D1を軸方向とする円筒状を呈している。磁石52の中心には、センターポール54が配置されている。磁石52は、センターポール54の周りを取り囲んでいる。磁石52は、例えば、永久磁石、又は電磁石からなる。
ヨーク53は、磁石52上に配置されている。ヨーク53は、磁石52を介して第1方向D1でベース51と対向している。ヨーク53は、第1方向D1を軸方向とする円筒状を呈している。ヨーク53の中心には、センターポール54が配置されている。ヨーク53は、センターポール54の周りを取り囲んでいる。ヨーク53は、例えば、常磁性体、又は強磁性体からなる。
センターポール54は、例えば、断面円形の棒状部材であり、第1方向D1に延びている。すなわち、センターポール54の軸方向は、第1方向D1である。センターポール54は、ベース51の中央に配置されている。センターポール54は、例えば、ベース51と一体的に形成されている。センターポール54は、磁石52及びヨーク53の中央に挿入されている。
スプリング55は、コイルばねである。スプリング55は、センターポール54に挿通されて取り付けられ、ボビン56を弾性的に支持している。
ボビン56は、例えば、断面円形の棒状部材であり、第1方向D1に延びている。ボビン56の第1方向D1の一端56aは、スプリング55と対向している。ボビン56の第1方向D1の他端56bには、センターキャップ8が取り付けられている。ボビン56の一端56aには、センターポール54が挿入される挿入孔が形成されている。挿入孔は、内径がセンターポール54の外径よりも大きくなるように形成されている。
ボビン56の外周面には、外フランジ部56cが設けられている。外フランジ部56cは、ボビン56の第1方向D1における中央に設けられている。外フランジ部56cは、第1方向D1から見て、円形状を呈している。外フランジ部56cは、外径が磁石52及びヨーク53の内径よりも小さくなるように形成されている。ボビン56は、磁石52及びヨーク53の内部を第1方向D1に沿って移動可能にスプリング55によって支持されている。ボビン56は、磁石52、ヨーク53、センターポール54、及びスプリング55のそれぞれと互いに同軸となるように設けられている。
ボイスコイル57は、ボビン56の外周面に巻き付けられている。ボイスコイル57は、外フランジ部56cと一端56aとの間に巻き付けられている。ボイスコイル57の巻き付け回数は、第1方向D1から見て、最外層の外径が、磁石52及びヨーク53の内径よりも小さくなるように設定されている。ボイスコイルは、音響装置1Aを制御する制御回路(不図示)に接続されている。制御回路は、例えば、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、及びRAM(Random Access Memory)を備えている。この場合、制御回路は、ROMに記憶されているプログラムをRAMにロードし、CPUで実行することによって各種の処理を行う。制御回路は、ボイスコイル57に第1振動源3を駆動するための駆動信号を入力する。
第2振動源4は、振動板2上に複数配置されている。複数の第2振動源4は、第1方向D1から見て、振動板2の中心を囲むように等間隔で配置されている。第1方向D1から見て、振動板2の中心は、例えば、振動板2の内縁部又は外縁部が呈する円形状の中心である。振動板2の中心は、ボビン56の中心軸と一致している。振動板2の中心は、例えば、振動板2の重心であってもよい。本実施形態では、2つの第2振動源4が配置されている。2つの第2振動源4は、第1方向D1から見て、例えば、振動板2の中心の周りに180度ずつ離間して配置されている。2つの第2振動源4は、第1方向D1から見て、振動板2の中心を挟んで対向している。
図5(a)は、図4の一部を拡大して示す断面図である。図5(a)に示されるように、第2振動源4は、振動板2の第1振動面2aに配置されている。第1振動面2aは、音響装置1Aの内側を向いているので、第2振動源4に対する外部の影響を抑制し、音響装置1Aの外観を向上させることができる。第2振動源4は、振動板2の第2振動面2bに配置されていてもよい。第2振動源4は、圧電セラミック部材10と、配線部材25と、を有している。配線部材25は、図5(a)以外では図示が省略されている。
図1~図4に示されるように、フレーム5は、第1方向D1を軸方向とする略円筒部材である。フレーム5は、例えば、金属、又は樹脂により形成されている。フレーム5は、ガスケット6及びエッジ7を介して振動板2を支持すると共に、ベース51、磁石52及びヨーク53の外周面を覆っている。フレーム5の内周面には、内フランジ部5aが設けられている。内フランジ部5aは、円環状を呈し、ヨーク53上に配置され、ヨーク53に固定されている。フレーム5は、外径及び内径が、内フランジ部5aからガスケット6に向かうにしたがって徐々に大きくなるように、第1方向D1に対して傾斜している。
ガスケット6は、エッジ7を介して振動板2をフレーム5に固定するための部材である。ガスケット6は、図4に示されるように、エッジ7の外縁部に接合されている円環状の内フランジ部6aと、第1方向D1から見て、フレーム5の外縁を囲む円筒部6bと、を有している。
エッジ7は、第1方向D1から見て、振動板2を囲むように円環状を呈している。エッジ7は、振動板2とガスケット6の内フランジ部6aとに接続されている。エッジ7の内縁部は、振動板2の外縁部に接合されている。エッジ7の外縁部は、ガスケット6の内縁部に接合されている。エッジ7は、径方向の断面において、中央が音響装置1Aの外側に凸となるような円弧状に形成されている。エッジ7は、例えば、ゴムなどの弾性部材により形成されている。エッジ7は、振動板2の振動がフレーム5に伝達されることを抑制する。
センターキャップ8は、第1方向D1を軸方向とする円筒状部材である。センターキャップ8は、ボビン56の外フランジ部56c上に配置され、ボビン56の他端56b側を覆っている。センターキャップ8は、内側にボビン56の他端56bが取り付けられたドーム状の底部8aを有している。
ダンパー9は、第1方向D1から見て、円環状を呈している。ダンパー9の外縁は、フレーム5の内周面に取り付けられ、ダンパー9の内縁は、センターキャップ8の外周面に取り付けられている。ダンパー9は、例えば、径方向の断面が波型形状を示すように形成されている。
制御信号がボイスコイル57に入力されると、第1振動源3は、振動板2を第1方向D1に往復駆動し、振動板2を第1方向D1に振動させる。
図6は、圧電セラミック部材の分解斜視図である。図7は、圧電セラミック部材を示す断面図である。図6及び図7に示される圧電セラミック部材10は、例えばバイモルフ型の圧電素子である。圧電セラミック部材10は、圧電素体11と、複数(ここでは3つ)の外部電極13,14,15と、を有している。
圧電素体11は、直方体形状を呈している。直方体形状には、たとえば、角部及び稜線部が面取りされている直方体の形状、及び、角部及び稜線部が丸められている直方体の形状が含まれる。圧電素体11は、互いに対向している一対の主面11a,11bと、一対の主面11a,11bを互いに接続している4つの側面11cと、を有している。
各主面11a,11bは、一対の長辺と一対の短辺とを有する長方形状を呈している。すなわち、圧電セラミック部材10(圧電素体11)は、平面視で、一対の長辺と一対の短辺とを有する長方形状を呈している。圧電素体11の長さ(主面11aの長辺方向での圧電素体11の長さ)は、例えば、30mmである。圧電素体11の幅(主面11aの短辺方向での圧電素体11の長さ)は、例えば、15mmである。圧電素体11の厚さ(一対の主面11a,11bの対向方向での圧電素体11の長さ)は、例えば、0.5mmである。
第2振動源4は、第1方向D1から見て、各主面11a,11bの長辺方向が、振動板2の径方向と一致するように振動板2に配置されている。各主面11a,11bの短辺方向と振動板2の周方向とを一致させることで、振動板2の周方向の湾曲が圧電素体11と振動板2との接合に与える影響を抑制することができる。第1方向D1から見て、圧電素体11は、振動板2の外縁部よりも内縁部の近くに配置されている。
図5(a)に示されるように、主面11bは、振動板2の第1振動面2aと対向すると共に、第1振動面2aに接合されている。主面11bは、例えば、電気的絶縁性を有する接合部材26により、振動板2の第1振動面2aに接合されている。図5(a)に示される例では、主面11bの長辺方向の両端部が、一対の接合部材26により第1振動面2aに接合されている。この例では、第2振動源4に駆動信号が入力されておらず、第2振動源4が駆動されていない状態において、主面11bの長辺方向の中央部が第1振動面2aから離間している。図示を省略するが、接合部材26により主面11bの全面が振動板2の第1振動面2aに接合されていてもよい。
図6及び図7に示されるように、圧電素体11は、積層された複数の圧電体層17a,17b,17c,17dを含んでいる。複数の圧電体層17a,17b,17c,17dは、この順に積層されている。複数の圧電体層17a,17b,17c,17dの積層方向(以下、単に「積層方向」とも言う。)は、一対の主面11a,11bの対向方向と一致している。圧電体層17aは、主面11aを有している。圧電体層17dは、主面11bを有している。圧電体層17b,17cは、圧電体層17aと圧電体層17dとの間に位置している。本実施形態では、各圧電体層17a,17b,17c,17dの厚さは同等である。同等には、製造誤差の範囲が含まれている。圧電セラミック部材10は、積層方向が第1振動面2aと直交するように配置されている。
各圧電体層17a,17b,17c,17dは、圧電材料からなる。本実施形態では、各圧電体層17a,17b,17c,17dは、圧電セラミック材料からなる。圧電セラミック材料には、たとえば、PZT[Pb(Zr、Ti)O3]、PT(PbTiO3)、PLZT[(Pb,La)(Zr、Ti)O3]、又はチタン酸バリウム(BaTiO3)が用いられる。各圧電体層17a,17b,17c,17dは、例えば、上述した圧電セラミック材料を含むセラミックグリーンシートの焼結体から構成される。実際の圧電素体11では、各圧電体層17a,17b,17c,17dは、各圧電体層17a,17b,17c,17dの間の境界が認識できない程度に一体化されている。
各外部電極13,14,15は、主面11a上に配置されている。外部電極13,14,15は、主面11aの一方の短辺側において、外部電極13、外部電極14、外部電極15の順で当該一方の短辺に沿って並んでいる。外部電極13と外部電極14とは、主面11aの短辺方向で隣り合っている。外部電極14と外部電極15とは、主面11aの短辺方向で隣り合っている。主面11aの短辺方向において、外部電極14と外部電極15との間の距離(最短距離)は、外部電極13と外部電極14との間の距離(最短距離)よりも長い。各外部電極13,14,15は、積層方向から見て、主面11aの全ての縁(四辺)から離間している。
各外部電極13,14は、積層方向から見て、長方形状を呈している。本実施形態では、長方形状の各角が丸められている。外部電極15は、積層方向から見て、正方形状を呈している。正方形状には、たとえば、各角が面取りされている形状、及び、各角が丸められている形状が含まれる。本実施形態では、正方形状の各角が丸められている。各外部電極13,14,15は、導電性材料からなる。導電性材料には、たとえば、Ag、Pd、Pt、又はAg-Pd合金が用いられる。各外部電極13,14,15は、たとえば、上記導電性材料を含む導電性ペーストの焼結体として構成されている。
圧電セラミック部材10は、圧電素体11内に配置されている複数の内部電極21,22,23を備えている。各内部電極21,22,23は、導電性材料からなる。導電性材料には、たとえば、Ag、Pd、Pt、又はAg-Pd合金が用いられる。各内部電極21,22,23は、たとえば、上記導電性材料を含む導電性ペーストの焼結体として構成されている。本実施形態では、各内部電極21,22,23の外形形状は、長方形状を呈している。
各内部電極21,22,23は、積層方向において異なる位置(層)に配置されている。内部電極21,22,23の各々は、互いに、積層方向に間隔を有して対向している。各内部電極21,22,23は、圧電素体11の表面には露出していない。すなわち、各内部電極21,22,23は、各側面11cには露出していない。各内部電極21,22,23は、積層方向から見て、主面11a,11bの全ての縁(四辺)から離間している。
内部電極21は、圧電体層17aと圧電体層17bとの間に位置している。内部電極22は、圧電体層17bと圧電体層17cとの間に位置している。内部電極23は、圧電体層17cと圧電体層17dとの間に位置している。
外部電極13は、内部電極21と複数の接続導体33とに複数のビア導体43を通して電気的に接続されている。複数の接続導体33は、それぞれ、内部電極22,23と同じ層に位置している。具体的には、各接続導体33は、各内部電極22,23に形成された開口内に位置している。各開口は、積層方向から見て、外部電極13に対応する位置に形成されている。すなわち、各接続導体33は、積層方向から見て、各内部電極22,23に囲まれている。各接続導体33は、各内部電極22,23から離間している。
各接続導体33は、積層方向において外部電極13と対向しており、積層方向から見て外部電極13と重なる位置に配置されている。各接続導体33は、積層方向において内部電極21と対向しており、積層方向から見て内部電極21と重なる位置に配置されている。複数のビア導体43は、それぞれ、外部電極13と内部電極21と複数の接続導体33との間に位置しており、積層方向から見て外部電極13と重なる位置に配置されている。複数のビア導体43は、それぞれ、積層方向において、対応する圧電体層17a,17b,17cを貫通している。
外部電極14は、内部電極23と複数の接続導体34とに複数のビア導体44を通して電気的に接続されている。複数の接続導体34は、それぞれ、内部電極21,22と同じ層に位置している。具体的には、各接続導体34は、各内部電極21,22に形成された開口内に位置している。各開口は、積層方向から見て、外部電極14に対応する位置に形成されている。すなわち、各接続導体34は、積層方向から見て、各内部電極21,22に囲まれている。各接続導体34は、各内部電極21,22から離間している。内部電極22と同じ層に位置している接続導体33と接続導体34は、同じ開口内に隣り合って配置され、互いに離間している。
各接続導体34は、積層方向において外部電極14と対向しており、積層方向から見て外部電極14と重なる位置に配置されている。各接続導体34は、積層方向において内部電極23と対向しており、積層方向から見て内部電極23と重なる位置に配置されている。複数のビア導体44は、それぞれ、外部電極14と内部電極23と複数の接続導体34との間に位置しており、積層方向から見て外部電極14と重なる位置に配置されている。複数のビア導体44は、それぞれ、積層方向において、対応する圧電体層17a,17b,17cを貫通している。
外部電極15は、内部電極22と複数の接続導体35とに複数のビア導体45を通して電気的に接続されている。複数の接続導体35は、それぞれ、内部電極21,23と同じ層に位置している。具体的には、各接続導体35は、各内部電極21,23に形成された開口内に位置している。各開口は、積層方向から見て、外部電極15に対応する位置に形成されている。すなわち、各接続導体35の全縁は、積層方向から見て、各内部電極21,23に囲まれている。各開口は、積層方向から見て、外部電極15に対応する位置に形成されている。
各接続導体35は、積層方向において外部電極15と対向しており、積層方向から見て外部電極15と重なる位置に配置されている。各接続導体35は、積層方向において内部電極22と対向しており、積層方向から見て内部電極22と重なる位置に配置されている。複数のビア導体45は、それぞれ、外部電極15と内部電極22と複数の接続導体35との間に位置しており、積層方向から見て外部電極15と重なる位置に配置されている。複数のビア導体45は、それぞれ、積層方向において、対応する圧電体層17a,17b,17cを貫通している。
各接続導体33,34は、積層方向から見て、長方形状を呈している。本実施形態では、長方形状の各角が丸められている。各接続導体35は、積層方向から見て、正方形状を呈している。本実施形態では、正方形状の各角が丸められている。
接続導体33,34,35及びビア導体43,44,45は、導電性材料からなる。導電性材料には、たとえば、Ag、Pd、Pt、又はAg-Pd合金が用いられる。接続導体33,34,35及びビア導体43,44,45は、たとえば、上記導電性材料を含む導電性ペーストの焼結体として構成されている。ビア導体43,44,45は、対応する圧電体層17a,17b,17cを形成するためのセラミックグリーンシートに形成された貫通孔に充填された導電性ペーストが焼結することにより形成される。
圧電素体11の主面11bには、内部電極21,22,23と電気的に接続されている導体は、配置されていない。本実施形態では、主面11bを積層方向から見たとき、主面11bの全体が露出している。主面11a,11bは、自然面である。自然面とは、焼成により成長した結晶粒の表面により構成される面である。
圧電素体11の各側面11cにも、内部電極21,22,23と電気的に接続されている導体は、配置されていない。本実施形態では、各側面11cを積層方向に交差する方向から見たとき、各側面11cの全体が露出している。本実施形態では、各側面11cも、自然面である。
圧電体層17bにおいて、外部電極13に接続されている内部電極21と外部電極15に接続されている内部電極22とに挟まれている領域は、圧電的に活性な第1活性領域19を構成する。複数の圧電体層17cにおいて、外部電極14に接続されている内部電極23と外部電極15に接続されている内部電極22とに挟まれている領域は、圧電的に活性な第2活性領域20を構成する。第1活性領域19と第2活性領域20は、主面11aと主面11bとの間に配置されている。第2活性領域20は、第1活性領域19よりも主面11b側に配置されている。第1活性領域19及び第2活性領域20は、複数の圧電体層によって構成されてもよい。
本実施形態では、第1活性領域19及び第2活性領域20は、積層方向から見て、複数の外部電極13,14,15を囲むように位置している。第1活性領域19及び第2活性領域20は、積層方向から見て外部電極14と外部電極15との間に位置している領域、及び、積層方向から見て外部電極13,14,15が位置している領域の外側の領域を含んでいる。圧電体層17dは、圧電的に不活性な不活性領域である。圧電体層17dからなる不活性領域は、主面11bの全体を有している。
第1活性領域19及び第2活性領域20は、例えば、外部電極15をグラウンドに接続した状態で、外部電極13及び外部電極14に互いに極性が異なる電圧を印加することにより、互いに同じ向きに分極されている。第1活性領域19は、例えば内部電極21から内部電極22に向かう方向に分極され、第2活性領域20は、例えば内部電極22から内部電極23に向かう方向に分極されている。圧電セラミック部材10の駆動時には、例えば、外部電極13,14には互いに極性が同じ電圧が印加され、外部電極15には外部電極13,14とは互いに極性が異なる電圧が印加される。これにより、第1活性領域19及び第2活性領域20のうちの一方には、分極方向と同じ向き(順方向)の電圧が印加されて伸長し、他方には分極方向と逆向き(逆方向)の電圧が印加されて収縮する。この結果、圧電セラミック部材10が積層方向に屈曲振動する。
図5(a)に示される配線部材25は、帯状を呈し、圧電セラミック部材10に電気的に接続されている。配線部材25は、例えばフレキシブルプリント基板(FPC)又はフレキシブルフラットケーブル(FFC)である。配線部材25の一端部は、外部電極13,14,15上に配置され、外部電極13,14,15に接続されている。配線部材25は、配線部材25の厚さ方向が第2振動源4の振動方向と一致するように、配置されている。配線部材25は、例えば、外部電極13,14に接続されている第1導体層(不図示)と、外部電極15に接続されている第2導体層(不図示)と、を有している。外部電極13,14は、第1導体層によって短絡されている。
配線部材25は、例えば、センターキャップ8側に引き出されている。配線部材25の他端部は、上述の制御回路(不図示)に接続されている。制御回路は、配線部材25に第2振動源4を駆動するための駆動信号を入力する。制御信号が配線部材25に入力されると、圧電セラミック部材10が積層方向に屈曲振動する。圧電セラミック部材10は、積層方向が第1振動面2aと直交するように配置されている。したがって、第2振動源4は、振動板2を第1振動面2aに直交する方向に屈曲振動させる。制御回路は、例えば、第1振動源3及び第2振動源4に同じ駆動信号を入力する。すなわち、第1振動源3及び第2振動源4は、同じ駆動信号によって同期して駆動される。
図5(b)は、図4の一部を模式的に示す図である。図5(b)では、第1振動面2aの振動が模式的に示されている。上述のように、第1振動源3は、第1振動面2a(振動板2)を全体的に第1方向D1に振動させ、第2振動源4は、第1振動面2a(振動板2)を部分的に第1振動面2aに直交する方向に屈曲振動させる。第2振動源4は、第1振動面2aに配置されているので、第2振動源4は、第1振動源3により振動板2と共に振動させられながら、振動板2を屈曲振動させる。第2振動源4による振動は、第1振動源3による振動に比べて振幅が小さい。このため、振動板2は、第1振動源3の振動により低音を発生させ、第2振動源4の振動により高音を発生させる。この結果、音響装置1Aは、第1振動源3による低音と第2振動源による高音とが組み合わされた複合音を発生させる。
(第2実施形態)
図8は、第2実施形態に係る音響装置の上面図である。第2実施形態に係る音響装置1Bは、4つの第2振動源4を備える点で、第1実施形態に係る音響装置1Aと相違している。4つの第2振動源4は、第1方向D1から見て、振動板2の中心を囲むように等間隔で配置されている。4つの第2振動源4は、第1方向D1から見て、例えば、振動板2の中心の周りに90度ずつ離間して配置されている。
(第三実施形態)
図9は、第三実施形態に係る音響装置の上面図である。第三実施形態に係る音響装置1Cは、1つの第2振動源4を備える点で、第1実施形態に係る音響装置1Aと相違している。
(第四実施形態)
図10は、第四実施形態に係る音響装置の上面図である。第四実施形態に係る音響装置1Dは、3つの第2振動源4を備える点で、第1実施形態に係る音響装置1Aと相違している。3つの第2振動源4は、第1方向D1から見て、振動板2の中心を囲むように等間隔で配置されている。3つの第2振動源4は、第1方向D1から見て、例えば、振動板2の中心の周りに120度ずつ離間して配置されている。
以上説明したように、音響装置1A,1B,1C,1Dでは、第1振動源3及び第2振動源4が共通の振動板2を振動させることにより、振動板2が音を発生させる。したがって、第1振動源3及び第2振動源4がそれぞれ別の振動板2を振動させる構成に比べて、小型化を図ることができる。また、第2振動源4が自ら音を発生させる構成に比べて、第2振動源4を小型化することができる。これにより、音響装置1A,1B,1C,1Dを更に小型化することができる。
音響装置1A,1B,1C,1Dでは、第2振動源4は、振動板2と共に第1振動源3により振動させられながら、振動板2を屈曲振動させる。このため、第1振動源3による低音と第2振動源4による高音とが組み合わされた複合音を発生させることができる。
音響装置1A,1B,1C,1Dでは、第2振動源4は、圧電セラミック部材10を有している。このため、振動板2を容易に屈曲振動させることができる。
音響装置1A,1B,1C,1Dでは、圧電セラミック部材10の外部電極13,14,15は、圧電素体11の主面11a上に配置され、振動板2と接合された主面11bには配置されていない。つまり、外部電極13,14,15が振動板2と主面11bとの間に配置されていないので、振動板2と主面11bとの接合強度を向上させることができる。これにより、第2振動源4が振動板2から剥離することが抑制される。振動板2が導電性材料で構成されている場合も、振動板2と外部電極13,14,15とが接触していないので、電気的短絡の発生を抑制することができる。これにより、信頼性を向上させることができる。
音響装置1A,1B,1C,1Dでは、圧電素体11は、内部電極21,22,23を介して積層された複数の圧電体層17a,17b,17c,17dを含んでいる。したがって、圧電素体11が単板である場合に比べて、圧電素体11の変位を大きくすることができる。この結果、第2振動源4による振動を大きくすることができる。
音響装置1A,1B,1C,1Dでは、外部電極13,14,15に帯状の配線部材25が接続されている。配線部材25は、配線部材25の厚さ方向に柔軟性を有している。配線部材25の厚さ方向は、第2振動源4の振動方向と一致している。このため、配線部材25によれば、外部電極13,14,15にワイヤー状の配線が接続されている場合に比べて、圧電素体11の振動が阻害され難い。また、帯状の配線部材25によれば、圧電セラミック部材10との接合強度を向上させ易い。
音響装置1A,1B,1C,1Dでは、圧電体層17dは、圧電的に不活性な不活性領域であり、主面11bの全面を有している。圧電体層17dは、第1活性領域19及び第2活性領域20と振動板2との間に配置されている。つまり、圧電素体11の主面11bには、内部電極21,22,23と電気的に接続されている導体は、配置されていない。このため、振動板2が導電性材料で構成されている場合でも、振動板2と導体とが接触していないので、電気的短絡の発生を抑制することができる。これにより、信頼性を向上させることができる。
音響装置1A,1B,1Dでは、第2振動源4は、振動板2上に複数配置されている。このため、第2振動源4が1つである音響装置1Cに場合に比べて、振動板2を大きく振動させることができる。
音響装置1A,1B,1Dでは、複数の第2振動源4は、第1方向D1から見て、振動板2の中心を囲むように配置されている。このため、第2振動源4による振動板2の振動が均一化される。振動板2の振動における偏りが抑制されるので、残響を抑制することができる。
本実施形態に係る電子機器は、音響装置1A,1B,1C,1Dを備えるので、小型化を図ることができる。
本発明は必ずしも上述した実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で様々な変更が可能である。