JP2001185773A - 圧電/電歪デバイス - Google Patents

圧電/電歪デバイス

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JP2001185773A
JP2001185773A JP36458799A JP36458799A JP2001185773A JP 2001185773 A JP2001185773 A JP 2001185773A JP 36458799 A JP36458799 A JP 36458799A JP 36458799 A JP36458799 A JP 36458799A JP 2001185773 A JP2001185773 A JP 2001185773A
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plate
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electrostrictive device
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JP36458799A
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Yukihisa Takeuchi
幸久 武内
Kosei Onishi
孝生 大西
Koji Kimura
浩二 木村
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NGK Insulators Ltd
Original Assignee
NGK Insulators Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 高速かつ精密に、平面内運動や回転運動によ
る大きな変位を得ることができる圧電/電歪デバイスを
提供する。 【解決手段】 長手方向における一端が2枚の振動板3
A・3Bによって挟持され、かつ、他端が別の2枚の振
動板3C・3Dによって挟持された連結板2が、基板5
に形成された対向する凹部6A・6Bの底面間に跨設さ
れ、振動板3A〜3Dの一方の平板面の少なくとも一部
に圧電素子4A〜4Dが配設されると共に、振動板3A
〜3Dは凹部6A・6Bの側面及び底面に接合され、固
定板1は、固定板1の長手方向が振動板3A〜3Dが連
結板2を挟持する方向と平行になるように、連結板2に
接合されてなる圧電/電歪デバイス31である。圧電素
子4A〜4Dに電圧を印加して固定板1を変位させ、或
いは固定板1の変位に基づく圧電素子4A〜4Dの起電
力を測定して固定板1の変位量を測定する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】 本発明は、圧電/電歪膜を
用いたデバイスに係り、特に、電気エネルギーを機械的
な変位や力あるいは振動等の機械エネルギーに変換した
り、その逆の変換を行う素子において、その作動特性を
向上せしめる圧電/電歪デバイスの構造に関するもので
ある。具体的には、各トランスデューサ、各種アクチュ
エータ、周波数領域機能部品(フィルタ)、トランス、
通信用や動力用の振動子や共振子、発信子、ディスクリ
ミネータ、超音波センサや加速度センサ、角速度センサ
や衝撃センサ、質量センサ等の各種のセンサ、更には、
内野研二著「圧電/電歪アクチュエータ 基礎から応用
まで」(日本工業技術センター編、森北出版)に記載の
サーボ変位素子等に用いられるユニモルフ型素子並びに
バイモルフ型素子に適用されるものであり、好ましくは
光学機器、精密機器等の各種精密部品等の変位や位置決
め調整、角度調整の機構に用いられる各種アクチュエー
タに好適に採用される圧電/電歪デバイスに関する。
【0002】
【従来の技術】 近年、光学や磁気記録、精密加工等の
分野において、サブミクロンオーダーでの光路長や位置
を調整する変位制御素子が所望されるようになってきて
いる。これに応えるものとして、強誘電体等の圧電/電
歪材料に電界を加えたときに惹起される逆圧電効果や電
歪効果に基づくところの変位を利用した素子である圧電
/電歪アクチュエータ等の開発が進められている。
【0003】 その中で、ハードディスクに代表される
磁気記録分野においては、近年特に記憶容量の大容量化
が著しいが、これは書込/読出とい記録方式の改善に加
え、記録トラック数を増して記録媒体をより効率よく使
用し、記録密度自体を増大させるという試みがなされて
いることによる。
【0004】 この試みはこれまで、ボイスコイルモー
タの改良を主に行われてきたが、新たな技術として、例
えば、「TRANSDUCER’97」の「1997
International Conference
on solid−state Sensors an
d Actuators」の予稿集1081〜1084
頁には、Si若しくはNiのマイクロマシンプロセスで
作製した静電方式のマイクロアクチュエータをハードデ
ィスク用磁気ヘッドのトラッキングシステムに適用する
試みが紹介されている。
【0005】 また、特開平10−136665号公報
には、図16に示されるような、圧電/電歪材料から構
成される板状体に少なくとも1つの孔部を設けることに
より固定部103と可動部104とこれらを接続する少
なくとも1つの梁部102とを一体的に形成し、少なく
とも1つの梁部102の少なくとも一部に固定部103
と可動部104とを結ぶ方向に伸縮が生じるように、電
極層105を設けて変位発生部を構成し、変位発生部の
伸縮に伴って発生する固定部103に対する可動部10
4の変位が、板状体の面内における弧状変位又は回転変
位となるような圧電アクチュエータが開示されている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】 しかしながら、従来
の主としてボイスコイルモータを用いた記録ヘッドの位
置決め技術では、さらなる大容量化に応えるべく、トラ
ック数を増して正確にそのトラックをトレースするよう
に、正確に位置決めすることは困難である。
【0007】 また、前述した静電方式マイクロアクチ
ュエータを用いた技術は、マイクロマシニングにより形
成した複数の板状電極間に電圧を印加することにより変
位を得るものであるが、構造上、共振周波数を上げるこ
とが難しく、その結果、高速動作を行った場合に振動が
減衰し難く、位置決めの精度が低下するという問題を内
在する。また、変位原理的に、電圧−変位特性の直線性
に劣るという特徴があり、精密な位置合わせの観点から
みると、解決課題は多い。更に、マイクロマシニングと
いうプロセス自体、製造コストの面で問題がある。
【0008】 更に、特開平10−136665号公報
開示の圧電アクチュエータは、圧電作動部がモノモルフ
構造をとっていることから、おのずと圧電膜の主歪みの
軸と圧電作動部の主変位の軸とは同軸若しくは平行とな
り、このため圧電作動部自体の発生変位は小さく、可動
部の変位も小さいという問題がある。また圧電アクチュ
エータ自体が重く、しかも特開平10−136665号
公報中にも記されているように、動作上有害な振動、例
えば高速作動時の残留振動や振動ノイズに対しても影響
を受けやすく、孔部に充填材を充填して有害振動を抑制
しなければならない必要がある。ところが、このような
充填材の使用は、可動部の変位に対して悪影響を与える
おそれがある。更に、圧電アクチュエータそのものが、
機械的強度に劣る圧電/電歪材料そのもので構成せざろ
うを得ないことから、材料強度からくる形状の制約、使
用用途の制約等を受け易いという問題もある。
【0009】
【課題を解決するための手段】 本発明は上述した圧電
/電歪デバイスの問題点に鑑みてなされたものであり、
本発明によれば、高速かつ精密に、平面内運動や回転運
動による大きな変位を得ることができる圧電電歪デバイ
スが提供される。即ち、本発明によれば、第1の圧電/
電歪デバイスとして、長手方向における一端が少なくと
も2枚の振動板によって挟持され、かつ、他端が別の少
なくとも2枚の振動板によって挟持された連結板が、基
板に形成された対向する凹部の底面間に跨設され、当該
各振動板の少なくとも一方の平板面の少なくとも一部に
圧電素子が配設されると共に、当該各振動板が、少なく
とも当該各振動板が当該連結板を挟持する方向において
当該凹部の側面と接合され、固定板が、当該固定板の長
手方向が当該振動板が当該連結板を挟持する方向と平行
になるように、当該連結板に接合されてなることを特徴
とする圧電/電歪デバイス、が提供される。
【0010】 この第1の圧電/電歪デバイスにおいて
は、固定板と連結板との接合部に切欠部を形成すること
が好ましい。また、連結板を、連結板の跨設方向におい
て2分割して、連結板の中央部に間隙部を形成し、この
間隙部を横架するように、固定板を連結板の平板面に接
合して構成することも可能である。この場合には、分割
された連結板を横架する位置において、固定板の端部に
切欠部を形成することが好ましい。なお、固定板を連結
板と交差するように連結板に接合する構造も好適に採用
される。
【0011】 また、連結板における、連結板と基板と
の接合部と、連結板と振動板との接合部との間におい
て、連結板に切欠部を形成することも好ましい。また、
連結板を固定板の長手方向に少なくとも2分割し、固定
板を分割されて形成された少なくとも2枚の連結板に接
合した構造とすることも可能である。更に、固定板と連
結板との接合部から固定板の長手方向にかけて、固定板
にひんじ部を設けることも好ましい。
【0012】 なお、第1の圧電/電歪デバイスにおい
ては、固定板と連結板との接合部を中心として、対角対
置に位置する1組の圧電素子を同位相で駆動し、かつ、
他組の圧電素子を逆位相で駆動する作動方法が好適に採
用される。一方、固定板の長手方向軸を対称軸として、
線対称の位置にある1組の圧電素子を同位相で駆動し、
かつ、他組の圧電素子を逆位相で駆動する作動方法も用
いられる。ところで、本発明の圧電/電歪デバイスにお
いては、連結板を挟持する1対の振動板2枚を、連結板
の厚み方向にずれた位置において、それぞれ連結板と接
合した構造とすることが可能であり、このときには、連
結板を挟持する1対の振動板2枚と連結板との接合位置
の中点を点対称中心として、各振動板の一方の平板面に
圧電素子を配設し、かつ、これらの圧電素子を同位相で
駆動する作動方法を用いることも可能である。
【0013】 さて、本発明によれば、第2の圧電/電
歪デバイスとして、連結板が基板に形成された凹部の側
面間に跨設され、少なくとも一方の平板面の少なくとも
一部に圧電素子を配設した少なくとも2枚の振動板が、
当該連結板と当該基板の凹部底面との間に跨設され、固
定板が、当該固定板の長手方向が当該振動板の跨設方向
と平行となるように当該連結板に接合されてなることを
特徴とする圧電/電歪デバイス、が提供される。
【0014】 この第2の圧電/電歪デバイスにおいて
は、平板面を対向するように構成した2枚1組の振動板
を、少なくとも2組ほど、連結板と基板の凹部底面との
間に跨設した構造も好適に採用される。また、固定板と
連結板との接合部に切欠部を形成することも好ましい。
更に、連結板を連結板の跨設方向において2分割して、
連結板の中央部に間隙部を形成し、この間隙部を横架す
るように、固定板を連結板の平板面に接合した構造とす
ることもできる。なお、分割された連結板を横架する位
置において、固定板の端部に切欠部を形成することが好
ましい。
【0015】 上述した本発明にかかる第1及び第2の
圧電/電歪デバイスについては、少なくとも、連結板と
振動板並びに基板から選ばれた任意の2つの部材の全て
の接合が、それぞれの側面でなされていることが好まし
い。従って、連結板をその跨設方向に分割した場合を除
いては、固定板もまた連結板と互いの側面において接合
されていることが好ましい。そして、少なくとも、連結
板と振動板並びに基板は一体的に形成されていることが
好ましい。従って、この場合にも、連結板をその跨設方
向に分割した場合を除いては、固定板もまた連結板等と
一体的に形成されていることが好ましい。このような各
部の側面接合や一体構造は、少なくとも圧電素子を除く
デバイス各部、即ち、基板、固定板、連結板、振動板
を、グリーンシート積層法を用いて作製することで、容
易に得ることができる。
【0016】 本発明の圧電/電歪デバイスは、固定板
の変位、特に固定板の先端の変位を利用するものである
が、この固定板の変位としては、固定板の長手方向にお
ける一軸方向変位、若しくは、固定板と連結板との接合
部近傍を中心とした面内回転変位、或いは連結板の長手
方向軸を中心とした回転変位、の少なくともいずれかを
用いることが好ましく、このうち回転変位については、
圧電素子の変位を2段階に拡大する拡大機構に基づくも
のを利用することが好ましい。ここで、「2段階に拡大
する拡大機構」とは、圧電素子の発生変位を連結板の撓
み変位に拡大した後、更にその拡大された変位でもっ
て、固定板の回転モードの変位へ拡大する拡大機構をい
う。このような各種の変位は、振動板及び圧電素子の配
設位置や圧電素子の駆動位相を制御することにより行わ
れる。なお、1個の圧電素子を2分割し、一方を駆動用
素子として用い、他方を補助素子として用いることも好
ましい。ここでの補助素子とは、故障診断用素子、変位
確認/判定用素子、駆動補助用素子等をいう。
【0017】 圧電素子及び圧電素子の電極に導通する
電極リードを樹脂若しくはガラスからなる絶縁コーティ
ング層により被覆することが好ましい。樹脂としては、
フッ素樹脂若しくはシリコーン樹脂が好適に用いられ
る。こうして、絶縁コーティング層を形成した場合に
は、更にその表面上に、導電性部材からなるシールド層
を形成することが好ましい。
【0018】 基板、固定板、連結板、振動板の材料と
しては、安定化ジルコニアあるいは部分安定化ジルコニ
アが好適に用いられる。一方、圧電素子における圧電膜
としては、ジルコン酸鉛、チタン酸鉛、マグネシウムニ
オブ酸鉛からなる成分を主成分とする材料が好適に用い
られる。固定板、連結板、振動板の少なくともいずれか
の形状はレーザ加工若しくは機械加工によりトリミング
して寸法調整を容易に行うことができ、圧電素子におけ
る電極をレーザ加工若しくは機械加工することにより、
圧電素子の有効電極面積を調整することも好ましい。な
お、本発明においては、2個以上の上述した圧電/電歪
デバイスを、少なくともそれぞれの固定板が連結するよ
うに一体化し、1個の圧電/電歪デバイスとすることも
好ましい。
【0019】 ところで、本発明の圧電/電歪デバイス
を前述した特開平10−136665号公報記載の圧電
アクチュエータと比較すると、本発明の圧電/電歪デバ
イスは、振動板を有するユニモルフ若しくはバイモルフ
型構造であるため、圧電膜の主歪みの軸と圧電作動部
(圧電膜の歪みにより変位を起こす部分)の主変位の軸
とは方向が異なるものであり、この特徴を活かして圧電
膜の歪みを屈曲モードへ拡大でき、従って、大きな固定
板の変位が得られるという特徴を有する。また、本発明
の圧電/電歪デバイスは、機能分化が可能であり、圧電
膜以外の基板等を機械的強度、靱性に優れるジルコニア
を主成分とする材料で構成し得ることから、所望の強度
を有し、しかも小型、薄型、軽量のデバイスを得ること
ができる利点がある。更に、変位特性に対する外部から
の影響を受け難く、従って充填材等を用いる必要がない
という特徴をも有する。なお、本発明において使用する
圧電素子、圧電膜そして圧電セラミックスの「圧電」に
は、「圧電」及び「電歪」の双方の意味が含まれる。
【0020】
【発明の実施の形態】 以下、本発明の実施の形態につ
いて図面を参照しながら説明する。図1(a)は、第1
の圧電/電歪デバイス(以下、「デバイス」という。)
31の一実施態様を示す平面図であり、図1(b)は、
Y1軸を通り、X−Y平面に垂直な面、即ち、Y−Z平
面におけるデバイス31の断面を、X軸方向から見た断
面図である(以下、図1(b)のような断面図を「Y1
軸における矢視AA図」のように表現することとす
る。)。ここで、デバイス31において、連結板2は、
その長手方向(X軸方向)における一端が2枚の振動板
3A・3Bによって挟持され、かつ、他端が別の2枚の
振動板3C・3Dによって挟持された状態において、基
板5に形成された対向する凹部6A・6Bの底面間に跨
設されている。また、振動板3A〜3Dの一方の平板面
には圧電素子4A〜4Dがそれぞれ配設されると共に、
振動板3A〜3Dは凹部6A・6Bの側面及び底面に接
合され、固定板1は、固定板1の長手方向が振動板3A
〜3Dが連結板2を挟持する方向、即ちY軸方向と平行
になるように、連結板2に接合されている。
【0021】 これら固定板1、連結板2、振動板3A
〜3D、基板5の各部材の接合は、各部材の側面におい
て好適に行われ、一体的に形成されていることが好まし
い。後述するグリーンシート積層法を用いれば、容易に
一体成形されたデバイス31を得ることができる。な
お、圧電素子4A〜4Dには、圧電素子4A〜4Dを形
成する電極から電極リードが基板5へ向けて配設される
が、図1では省略されている。
【0022】 ここで、固定板とは、圧電素子の駆動に
より所定の変位を生ずる要素であって、固定板には、例
えば磁気ヘッド等の部材を取り付けられる。また、連結
板とは、固定板と基板並びに振動板を連結する要素をい
い、振動板とは表面に配設した圧電素子によって歪みを
生じ、この歪みを連結板に伝達する要素をいう。なお、
振動板は、逆に固定板が変位したときに発生する歪みが
連結板を介して振動板に伝達された場合に、その歪みを
圧電素子に伝達する役割をも果たす。基板とは、駆動部
(連結板、固定板、振動板並びに圧電素子をいう。)を
保持すると共に、測定装置へ取り付けるための種々の電
極端子を配設し、実際の使用においてハンドリングに供
される要素をいう。
【0023】 基板に形成される凹部は、必ずしも底面
に対して垂直な側面を有する窪みである必要はなく、ま
た、必ずしも一方向に開口している部位を有する必要も
ない。底面と側面とは曲率を有した角部を有していても
良い。即ち、凹部とは1辺の底面と2辺の側面を有して
いる部位をいう。例えば、基板の外周の一部を四角形状
に切り欠くことで凹部が形成され、また、基板内部に四
角形状の孔部を設けた場合には、4辺の内の3辺を凹部
とみなすことができる。なお、凹部における側面と底面
のなす角は、本発明におけるデバイスの駆動特性が得ら
れる範囲で、傾きを有していてもよい。
【0024】 圧電素子4A〜4Bの態様としては、図
12に示されるように、圧電膜86を第1電極85と第
2電極87とで挟んで層状に形成した積層型圧電素子8
8が代表的であるが、図13に示すような振動板89上
に圧電膜90を配し、圧電膜90上部に第1電極91と
第2電極92とが、一定幅の隙間部93を形成した櫛型
構造を有する圧電素子94Aを用いることもできる。な
お、図13における第1電極91と第2電極92は、振
動板89と圧電膜90の接続面の間に形成されてもかま
わない。更に、図14に示すように、櫛型の第1電極9
1と第2電極92との間に圧電膜90を埋設するように
した圧電素子94Bも好適に用いられる。
【0025】 図13及び図14に示した櫛型電極を有
する圧電素子を用いる場合には、櫛形電極におけるピッ
チDを小さくすることで、変位を大きくすることが可能
となる。このような図12〜図14記載の圧電素子は、
後述する本発明のデバイス全てに適用することができ
る。
【0026】 さて、デバイス31において、圧電素子
4A〜4Dに電圧を印加すると、圧電膜には印加電圧に
応じた歪みが発生する。この歪みが振動板3A〜3Dに
伝達され、次に連結板2へ、更に固定板1へと伝達され
ることにより、固定板1に所定の変位が発生する。
【0027】 従って、図1に示されるように、振動板
3A〜3Dにおける同じ向きの平板面に圧電素子4A〜
4Dを配設した場合に、固定板1と連結板2との接合部
を中心として、即ち、X軸とY軸の交点を中心として、
対角対置に位置する1組の圧電素子4A・4Dを同位相
で駆動し、かつ、他組の圧電素子4B・4Cを、圧電素
子4A・4Dに対して逆位相で駆動すると、圧電素子4
A・4Dが伸びた場合に圧電素子4B・4Cは縮み、こ
の状態が圧電素子4A〜4Dが配設された振動板3A〜
3Dの変位となって現れるため、固定板1には、図1中
の矢印K1で示されるような、X−Y平面内におけるX
軸とY軸の交点を中心とした面内回転変位が生ずる。
【0028】 一方、固定板1の長手方向軸であるY軸
を対称軸として、線対称の位置にある1組の圧電素子4
A・4Cを同位相で駆動し、かつ、他組の圧電素子4B
・4Dを逆位相で駆動すると、図1中の矢印K2で示さ
れるような、X−Y平面内におけるY軸方向の一軸方向
変位が得られる。
【0029】 なお、圧電素子の駆動に関する同位相/
逆位相とは、発生する圧電素子の歪み方向を定めるもの
であり、同位相とは同じ方向の歪みとなるように圧電素
子を駆動することであり、逆位相とは逆方向の歪みとな
るように駆動させるか、若しくは信号を加えずに駆動さ
せないこと、即ち相対的にみて逆向きの歪みとなるよう
に駆動することを意味する。従って、電界誘起歪みの横
効果(d31)を利用するもの並びに電界誘起歪みの縦効
果(d33)を利用するものを適宜組み合わせて、一群の
圧電素子を構成することが可能である。また、分極操作
の必要な圧電材料で圧電素子を構成すれば、全て同じd
33若しくはd31を利用するものであっても、駆動時の信
号を分極時の極性と同じ向きとするか逆向きとするか
で、位相を制御することができる。
【0030】 このように、デバイス31は、圧電素子
4A〜4Dの変位を拡大した連結板2の変位が、更に固
定板1の変位として拡大される構造を有していることか
ら、連結板2の長さと固定板の長さを種々に選択するこ
とにより、応答速度や固定板1の先端変位量、変位の発
生力を任意に設定することが可能である。
【0031】 さて、固定板1に上述した変位を発生さ
せるデバイス31においては、固定板1連結板2の長手
方向中央部において連結板2と接合されていることが好
ましく、この場合には変位の制御が容易であって、最も
大きな変位拡大率を得ることができる。
【0032】 また、デバイス31において、振動板3
A〜3Dと圧電素子4A〜4Dは、全てが同一形状を有
する必要はない。例えば、振動板3A・3Cと圧電素子
4A・4CのY軸方向長さを短くして、逆に振動板3B
・3Dと圧電素子4B・4DのY軸方向長さを長く設定
して、固定板1に前述した一軸方向変位を発生させるこ
とも可能である。同様に、振動板3A・3Dと圧電素子
4A・4DのY軸方向長さを短くして、逆に振動板3B
・3Cと圧電素子4B・4CのY軸方向長さを長く設定
することにより、固定板1に面内回転変位を発生させる
ことも可能である。
【0033】 更に、振動板3A・3Dには圧電素子4
A・4Dを設けずにX軸方向に平行なスリットを設けた
構造とし、或いは振動板3A・3Dを設けない構造とし
て、圧電素子4B・4Cを同位相で駆動することによ
り、固定板1に面内回転変位を起こすことが可能であ
り、振動板3A・3Cには圧電素子4A・4Cを設けず
にX軸方向に平行なスリットを設けた構造とし、或いは
振動板3A・3Dを設けない構造として、圧電素子4B
・4Dを同位相で駆動することにより、固定板1に一軸
方向変位を起こすことも可能である。
【0034】 なお、デバイス31では、振動板3A〜
3Dの一方の平板面にのみ圧電素子4A〜4Dが設けら
れているが、他方の平板面にも圧電素子を配設すること
も、また好ましい。この場合、全ての圧電素子を駆動用
に用いることができることはいうまでもなく、一方の平
板面側の圧電素子については、上述したように固定板1
の駆動に用い、他方の平板面側の圧電素子については、
補助素子として用いることもできる。ここでの補助素子
とは、故障診断用素子、変位確認/判定用素子、駆動補
助用素子等をいい、補助素子の使用により高精度な固定
板の駆動が可能となる。
【0035】 補助素子の配設は、振動板3A〜3Dの
一方の平板面に設けられた圧電素子4A〜4DをX軸方
向に分割した2素子1組として形成することによっても
行うことができる。この場合、固定板1と連結板2との
接合部に近い側の圧電素子を駆動用として用い、他方を
補助素子として用いる。1個の圧電素子の分割は、1個
の圧電素子を配設した後にレーザ加工等により分割加工
する方法、あるいは圧電素子を配設する際に最初から分
割して2素子1組として配設する方法のいずれを用いて
もよい。更に1枚の振動板に複数の圧電素子を配設し
て、変位・振動の制御を行うことも好ましい。
【0036】 なお、圧電素子は連結板2に掛からなけ
れば、基板5に掛かるように設けても構わない。上述し
た振動板や圧電素子の態様は種々に組み合わせて用いる
ことができることはいうまでもない。
【0037】 次に、図2の平面図は、本発明のデバイ
スの別の実施態様を示すものである。デバイス32にお
いては、振動板3A〜3Dは、それぞれが凹部6A・6
Bの側面とのみ接合されており、凹部6A・6Bの底面
とは接合されずに、凹部6A・6Bの底面と振動板3A
〜3Dとの間には、間隙部7が形成されている。このよ
うに、振動板3A〜3Dは、少なくとも振動板3A〜3
Dが連結板2を挟持する方向(Y軸方向)において凹部
6A・6Bの側面と接合されていればよく、この場合に
は、前述したデバイス1と比較して、固定板1のY軸へ
の一軸方向変位をより純粋なものとすることができる利
点がある。
【0038】 なお、デバイス31とデバイス32のそ
れぞれの固定板1の形状を比較しても明らかなように、
固定板1の形状には制限はなく、固定板1の先端に取り
付ける素子やセンサの形状並びに重量等を考慮して、固
定板1の形状を設定すればよい。
【0039】 続いて、本発明のデバイスの更に別の実
施態様を示す平面図を図3に示す。デバイス33は、デ
バイス31における固定板1と連結板2との接合部に、
切欠部8を設けた構造を有している。この場合には、デ
バイス31と比較して、連結板の変位をより効率よく、
固定板1の面内回転変位に変換することが可能となる。
つまり、先に図1に示したデバイス31における固定板
1の面内回転変位は、主に連結板2のX−Y平面内にお
ける撓み変位に基づいて発生するものであり、そのため
連結板2と固定板1との接合角度が概略維持された変位
であるのに対し、図3に示したデバイス33のように切
欠部8を設けた場合には、更に連結板2と固定板1との
接合位置において、連結板2の撓み変位を、更に固定板
1と連結板2の接合角を変化させる形の回転変位に変換
することが可能となり、その結果、固定板1の変位をよ
り大きなものすることができる。即ち、図1に示したデ
バイス31は、圧電素子4A〜4Dの変位を主に連結板
2の撓み変位に拡大して利用するものであり、図3に示
したデバイス33は、その撓み変位に拡大された変位を
更に回転変位として拡大した、いうなれば2段階の拡大
機構を有効に発現し得る構造である。なお、切欠部8
は、連結板2の幅方向の距離、即ちY軸方向の距離を、
固定板1内に至るまでに長く形成することが好ましく、
一方、切欠部8の幅、即ち切欠部8のX軸方向の距離は
短い方が好ましい。
【0040】 図4は、本発明のデバイスの更に別の実
施態様を示す平面図である。デバイス34における振動
板の配設状態は、前述したデバイス32と同様である
が、デバイス34においては、連結板2が、連結板2の
跨設方向であるX軸方向において2分割されて連結板2
の中央部に間隙部9が形成され、この間隙部9を横架す
るように、固定板1を連結板2の平板面に接合した構造
を有している。
【0041】 このように、固定板1を別体として準備
することにより、用途等に応じて、固定板1の材料選択
及び形状選択の幅を広げることができる利点がある。し
かしながら、連結板2と固定板1とは、接着剤等を用い
て接合しなければならないために、信頼性の点で若干劣
ることは否めない。なお、デバイス34において、分割
された連結板2を横架する位置、即ち間隙部9におい
て、固定板1の端部に、デバイス33と同様の切欠部8
を形成することが可能である。
【0042】 図5(a)は、本発明のデバイスの更に
別の実施態様を示す平面図であり、デバイス35におい
ては、固定板1が連結板2と交差するように連結板2に
接合して形成された構造を有している。このような構造
とすることにより、固定板1の両端を大きく変位させる
ことができ、両端のそれぞれに素子やセンサを取り付け
ることが可能となる。
【0043】 図5(b)はY1軸における矢視AA図
であり、ここで、連結板2を挟持する1対の振動板2枚
(振動板3C・3D)は、連結板2の厚み方向(Z軸方
向)にずれた位置において、それぞれ連結板2と接合さ
れている。この場合には、連結板2を挟持する1対の振
動板2枚(振動板3C・3D)と連結板2との接合位置
の中点Oを点対称中心として、振動板3C・3Dの一方
の平板面に圧電素子4C・4Dを配設し、かつ、これら
の圧電素子4C・4Dを同位相で駆動すると、図5
(c)に示されるY軸における矢視BB図に示されるよ
うに、連結板2の長手方向軸(X軸)を中心とした回転
変位を生じさせることが可能となる。
【0044】 図6(a)は、デバイス35の連結板2
における、連結板2と基板5との接合部と、連結板2と
振動板3A〜3Dとの接合部との間において、連結板2
に切欠部10を形成したデバイス36を示す平面図であ
り、図6(b)は、X軸における矢視AA図である。こ
の切欠部10の形成により、固定板1をより効率よく動
作させることが可能となる。なお、この切欠部10の形
成に当たっては、連結板2の厚みをも低減させると、更
に動作効率が高まるため、好ましい。切欠部10の形状
は、その幅及び/又は厚みを小さくする限りにおいて、
制限されるものではない。
【0045】 さて、図7に示したデバイス37は、連
結板2を固定板1の長手方向(Y軸方向)に2分割し、
更に、分割された連結板2のそれぞれを連結板2の跨設
方向に2分割した態様を有している。従って、固定板1
は、結果的に4枚の連結板2に横架するように、連結板
2の片側平面に接合されている。ここで、連結板2と固
定板1とが一体的に形成されていてもよいことは言うま
でもなく、連結板2の分割は3分割以上であっても構わ
ない。本発明におけるこのような固定板の長手方向(Y
軸方向)における連結板の分割とは、連結板が分割され
て間隙が形成された結果、新たに形成された連結板のY
軸方向の幅が小さくなる場合に加えて、連結板のY軸方
向幅を変化させずに、Y軸方向に間隙を介して複数並列
に配設された形状となる場合をも含む。
【0046】 このようなデバイス37においては、圧
電素子4A〜4Dは、それぞれ1枚ずつの連結板2を、
対応する振動板3A〜3Dを介して駆動する態様となっ
ているために、圧電素子4A〜4Dの歪みを固定板1に
作用させるポイント(接合部)を複数取ることができ、
例えば、圧電素子4A・4Dを同位相で、圧電素子4B
・4Cを圧電素子4A・4Dとは逆位相で駆動すること
により、効率的に固定板1に面内回転変位を生ぜしめる
ことが可能となる。
【0047】 また、圧電素子4A・4Cを同位相で、
圧電素子4B・4Dを圧電素子4A・4Cとは逆位相で
駆動することにより、Y軸方向の一軸方向変位を得るこ
とができるが、このとき、Y軸方向において連結板2間
に間隙部11が形成されているために、前述したデバイ
ス31等と比較して、より純粋な変位を得ることが可能
となる。
【0048】 なお、間隙部11において、連結板2よ
りも厚みの薄い板状部材をY軸方向において、連結板2
間に跨設しても構わない。この場合には、板状部材を跨
設しない場合と比較すると、固定板1の相対的な変位量
は低下するものの、剛性を高めて、より早い応答速度で
固定板1を動作させることが可能となる。また、間隙部
11は必ずしも連結板2の全長(X軸方向長さ)にわた
って形成する必要はなく、連結板2内の少なくとも一部
に形成されていてもその効果は得られる。
【0049】 図8には、固定板1の長手方向に分割さ
れて形成された2枚の連結板に、固定板1が一体的に接
合され、また、固定板1と連結板2との接合部から固定
板1の長手方向にかけて、固定板1にひんじ部12が設
けられ、更に固定板1と連結板2との接合部に切欠部8
が形成されたデバイス38の平面図を示した。ひんじ部
12は固定板1の面内回転変位の発生を補助するため、
切欠部8と同時に形成することによって、より効果的に
大きな面内回転変位を得ることができるようになる。こ
のようなひんじ部12は、前述したデバイス31〜37
においても形成することができることはいうまでもな
い。
【0050】 さて、次に、図9には、本発明のデバイ
スの更に別の実施態様を示す。デバイス39は、例え
ば、図9(a)に示されるように、2枚の振動板3A・
3Bを用いた場合には、前述したデバイス32における
振動板3A・3Cを取り除いた態様である。つまり、デ
バイス39は、連結板2が基板5に形成された凹部6の
側面間に跨設され、圧電素子4A・4Bを配設した2枚
の振動板3A・3Bが、連結板2と基板5の凹部6底面
との間に跨設され、固定板1が、固定板1の長手方向が
振動板3A・3Bの跨設方向(Y軸方向)と平行となる
ようにして連結板2に接合された構造を有している。な
お、振動板3A・3Bは、通常は、固定板1の長手方向
軸(Y軸)について対称な位置に配設される。また、連
結板2と凹部6底面との間に跨設される振動板は2枚以
上であってもよい。
【0051】 図9(b)〜(d)は、このデバイス3
9に好適に採用される振動板3Bの態様を示すY1軸に
おける矢視AA図である。この振動板3Bの態様は当然
に振動板3Aにも適用される。図9(b)は、連結板2
と基板5のそれぞれの表面近傍に振動板3Bを跨設した
態様を示している。
【0052】 また、図9(c)は、平板面を対向する
ように構成した2枚1組の振動板3B・3Cを、連結板
2と基板5との間に跨設した構造を示している。この場
合、振動板3Aについても、2枚1組となるように別に
1枚の振動板3Dが設けられ、合計4枚の振動板で固定
板を駆動することとなる。このような構造において、圧
電素子4B・4Cを同位相で駆動し、圧電素子4Aと圧
電素子4D(図示されていない振動板3Dに配設される
圧電素子)を圧電素子4B・4Cとは逆位相で駆動する
ことにより、固定板1に面内回転変位を支配的に生じさ
せることが可能であり、また、全ての圧電素子4A〜4
Dを同位相で駆動することにより、一軸方向変位を支配
的に生じさせることが可能となる。こうして、2枚の振
動板/圧電素子を用いた場合と比較して、Z軸方向の固
定板1の変位を抑制することが可能となるのみならず、
固定板1の変位量と駆動力を大きくとることができる利
点があり、好ましい。なお、前述したように、連結板2
と凹部6底面との間に跨設される振動板は2枚以上であ
ってもよいことに対応して、平板面を対向するように構
成した2枚1組の振動板は、2組以上配設することがで
きる。
【0053】 図9(d)は、振動板3Bを、連結板2
の厚み方向の中央部に設置した態様を示している。この
場合、圧電素子4B(振動板3B)の連結板2に対する
作用点を連結板2の重心位置とすることができるため
に、固定板1のZ軸方向の変位を低減させることが可能
となり、好ましい。
【0054】 なお、これら図9(c)、(d)に示し
た振動板の態様は、連結板を挟持する他の実施の態様に
対しても適用することが可能である。即ち、図9(c)
の態様を適用した場合には、連結板の厚み方向に対向す
る2枚1組の振動板で連結板を挟持することとなり、図
9(d)の態様を適用した場合には、連結板の厚み方向
の中央部において2枚の振動板で連結板が挟持されるこ
ととなる。
【0055】 続いて、図17には、前述した図3記載
のデバイス33を2個連結したデバイス40の平面図を
示した。デバイス40においては、圧電素子4A〜4D
によって駆動される固定板1Aと、圧電素子4E〜4H
によって駆動される固定板1Bが連結され、一体的な固
定板1が形成されている。このような構造とすることに
より、大きな発生変位を維持し、さらにデバイスの駆動
力を増大させることができる効果がある。こうして、例
えば、固定板に各種センサや磁気ヘッド等の他のデバイ
スを固定する際に、そのデバイスの大きさや質量に応じ
て、デバイス33の構造とするか、連結したデバイス4
0の構造とするかを、適宜選択することが容易となる。
【0056】 また、デバイス40は、変位制御並びに
振動制御の観点からは、連結した一方のデバイス(例え
ば固定板1B側)を所定のタイミングで制動用に駆動さ
せることで、高速作動時に発生する固定板1の不要な残
留振動を低減し、高速な位置決めを行うことができる特
徴を有する。
【0057】 このようなデバイスの連結は、デバイス
33を用いた場合に限定されるものではなく、図1〜図
9に示した全てのデバイス31〜39にも適用すること
ができる。例えば、図18の平面図に示されるデバイス
41は、図5に示したデバイス35を連結した構造を有
し、連結板2A・2Bの長手方向軸を中心とした回転変
位の発生変位を維持し、また駆動力を増大させ、一方、
固定板1の制動を行うことが可能となる。
【0058】 さて、上述したデバイスの連結は、2個
のデバイスの連結に限定されるものではなく、実施態様
を考慮して2個以上のデバイスを連結することも可能で
ある。一例として、図19に、図3に示したデバイス3
3を4個連結したデバイス42の平面図を示す。デバイ
ス42は、換言すれば、図17に示したデバイス40を
X軸について対称となるように2個連結した構造でもあ
るが、このような構造とすることによって、より純粋な
X軸方向並びにY軸(Y1軸、Y2軸)方向の変位を、
大きな力で発生することが可能となる。
【0059】 以上、本発明のデバイスの構造を中心
に、その実施の態様について説明してきたが、固定板の
変位モード、即ち面内回転変位、一軸方向変位、回転変
位の各種の変位モードは、固定板の変位方向がそれぞれ
説明した方向に支配的であることを意味しているもので
あって、それ以外の方向成分を有することを完全に排除
しているものではない。本発明のデバイスを、磁気ヘッ
ドへ適用することを考えると、ヘッドと記録媒体との間
隔(ギャップ)を一定に保つように、三次元的に変位し
ない一軸方向変位と面内回転変位を用いることが好まし
い。
【0060】 なお、上述した各種のデバイスについて
は、圧電素子がユニモルフ構造となっているが、勿論、
バイモルフ構造としても何ら問題はなく、更に、配設す
る振動板、圧電素子の数についても、上述したデバイス
の設計思想を逸脱しない範囲において任意に選択するこ
とができることはいうまでもない。また、本発明のデバ
イスは、上述したように、圧電素子によって駆動する変
位素子や振動子といった能動素子としての利用に限定さ
れず、加速度センサや衝撃センサ等の受動素子である各
種センサにも用いることができる。特に、加速度の検出
にあっては、固定板先端におもり等の慣性質量を設け
て、先端部の重量を大きくすることによって、検出感度
の向上を容易に図ることができる。
【0061】 次に、前述したデバイス39を例に、圧
電素子からの電極リードの形成の態様について説明す
る。図10(a)は、デバイス39に配設した圧電素子
4A・4Bに、電極リード21A〜21Dを設けると共
に、圧電素子4A・4Bと電極リード21A〜21Dに
絶縁コーティング層22を設け、更に絶縁コーティング
層22を被覆するようにシールド層23を形成した一実
施態様を示す平面図であり、図10(b)〜(d)は、
それぞれが、図10(a)中のX1軸における矢視AA
図であって、異なる実施の態様を示している。
【0062】 絶縁コーティング層22は、固定板1や
圧電素子4A・4Bを液体雰囲気や加湿雰囲気等で使用
する場合の圧電素子4A・4Bや電極リード21A〜2
1Dの短絡を有効に防止する機能を有する。シールド層
23は、デバイスを高周波数で動作させる場合や高周波
の振動を検出する場合等に、外部からの電磁波を遮断し
て変位精度を良好に確保する他、誤作動やノイズの混入
を防止する機能を有する。
【0063】 シールド層23の配設の態様としては、
図10(b)に示されるように、基板5を挟み込むよう
に形成する態様の他、図10(c)に示されるように、
基板5上の配線部分のみを囲う態様や、図10(d)に
示すように、配線部分を上部片側のみでシールドする態
様が挙げられるが、中でも、図10(b)、(c)に示
すような配線部分全体をシールドする態様が好ましい。
なお、図10(a)においては、基板5に設けられたス
ルーホール24を用いて基板5の各面に形成されたシー
ルド層23の導通を確保しているが、基板5の側面を利
用してこの導通を図ってもよい。これら、絶縁コーティ
ング層22及びシールド層23の形成に好適に用いられ
る材料の詳細については、デバイスの構成材料について
後述する際に併せて説明する。
【0064】 次に、本発明のデバイスに用いられる材
料について説明する。基板、固定板、連結板、振動板と
しては、好適にはセラミックが用いられ、例えば、安定
化ジルコニア、部分安定化ジルコニア、アルミナ、マグ
ネシア、窒化珪素等を挙げることができる。このうち、
安定化ジルコニアと部分安定化ジルコニアは、薄板にお
いても機械的強度が大きいこと、靭性が高いこと、圧電
膜や電極材との反応性が小さいことから最も好適に採用
される。なお、これら基板等の材料として、安定化ジル
コニア若しくは部分安定化ジルコニアを使用する場合に
は、少なくとも振動板には、アルミナあるいはチタニア
等の添加物を含有させて構成すると好ましい。
【0065】 また、セラミックを用いた場合には、後
述するグリーンシート積層法を用いて、デバイスを一体
的に成形することができるため、各部の接合部の信頼性
の確保や製造工程の簡略化等の見地から好ましい。
【0066】 なお、本発明のデバイスにおける固定板
の厚みや形状には制限がなく、使用用途に応じて適宜設
計されることは既に述べたが、基板の厚みもまた、操作
性を考慮して適宜決められる。これに対し、振動板の厚
みは3〜20μm程度とすることが好ましく、振動板と
圧電素子を合わせた厚みは15〜60μmとすることが
好ましい。また、連結板の厚みは20〜600μm、幅
30〜500μmが好適であり、連結板のアスペクト比
(幅(Y軸方向長さ)/厚み(Z軸(X軸及びY軸の両
方に垂直な軸)方向長さ))は、0.1〜15の範囲と
することが好ましいが、特にX−Y平面内の変位をより
支配的なものとする為には、0.1〜7の範囲とするこ
とが好ましい。
【0067】 圧電素子における圧電膜としては、膜状
に形成された圧電セラミックスが好適に用いられるが、
電歪セラミックスや強誘電体セラミックス、或いは反強
誘電体セラミックスを用いることも可能である。また、
分極処理が必要な材料でも、必要でない材料のいずれで
あってもよい。但し、磁気記録ヘッド等に用いる場合に
は、固定板の変位量と駆動電圧若しくは出力電圧とのリ
ニアリティが重要とされるため、歪み履歴の小さい材料
を用いることが好ましく、従って、坑電界としては、1
0kV/mm以下の材料を用いることが好ましい。
【0068】 具体的な圧電セラミックスとしては、ジ
ルコン酸鉛、チタン酸鉛、マグネシウムニオブ酸鉛、ニ
ッケルニオブ酸鉛、亜鉛ニオブ酸鉛、マンガンニオブ酸
鉛、アンチモンスズ酸鉛、マンガンタングステン酸鉛、
コバルトニオブ酸鉛、チタン酸バリウム等や、これらの
いずれかを組み合わせた成分を含有するセラミックスが
挙げられる。このうち、本発明においては、ジルコン酸
鉛とチタン酸鉛及びマグネシウムニオブ酸鉛からなる成
分を主成分とする材料が好適に用いられるが、これは、
このような材料が高い電気機械結合係数と圧電定数を有
すること、圧電膜の焼結時における基板(セラミック基
板)との反応性が小さく、所定の組成のものを安定に形
成することができること等の理由による。
【0069】 更に、上記圧電セラミックスに、ランタ
ン、カルシウム、ストロンチウム、モリブデン、タング
ステン、バリウム、ニオブ、亜鉛、ニッケル、マンガ
ン、セリウム、カドミウム、クロム、コバルト、アンチ
モン、鉄、イットリウム、タンタル、リチウム、ビスマ
ス、スズ等の酸化物、若しくはこれらいずれかの組み合
わせ又は他の化合物を、適宜添加したセラミックスを用
いてもよい。例えば、ジルコン酸鉛とチタン酸鉛及びマ
グネシウムニオブ酸鉛を主成分とし、これにランタンや
ストロンチウムを含有させ、坑電界や圧電特性を調整し
て用いることもまた好ましい。
【0070】 一方、圧電素子の電極は、室温で固体で
あり、導電性に優れた金属で構成されていることが好ま
しく、例えば、アルミニウム、チタン、クロム、鉄、コ
バルト、ニッケル、銅、亜鉛、ニオブ、モリブデン、ル
テニウム、パラジウム、ロジウム、銀、スズ、タンタ
ル、タングステン、イリジウム、白金、金、鉛等の金属
単体あるいはこれらのいずれかを組み合わせた合金が用
いられ、更に、これらに圧電膜あるいは振動板と同じ材
料を分散させたサーメット材料を用いてもよい。
【0071】 圧電素子における電極の材料選定は、圧
電膜の形成方法に依存して決定される。例えば、振動板
上に第1電極を形成した後、第1電極上に圧電膜を焼成
により形成する場合には、第1電極には圧電膜の焼成温
度においても変化しない白金等の高融点金属を使用する
必要があるが、圧電膜を形成した後に圧電膜上に形成さ
れる第2電極は、低温で電極形成を行うことができるの
で、アルミニウム等の低融点金属を使用することができ
る。
【0072】 また、圧電素子を一体焼成して形成する
こともできるが、この場合には、第1電極及び第2電極
の両方を圧電膜の焼成温度に耐える高融点金属としなけ
ればならない。一方、図13に示したように、圧電膜9
0上に第1及び第2電極91・92を形成する場合に
は、双方を同じ低融点金属を用いて形成することができ
る。このように、第1電極及び第2電極は、圧電膜の焼
成温度に代表される圧電膜の形成温度、圧電素子の構造
に依存して、適宜好適なものを選択すればよい。なお、
電極リードは、圧電素子における電極と同時に形成する
ことが可能であり、また、振動板上の電極リードは圧電
素子と同時に形成しておき、その後に基板上の電極リー
ドを、スパッタ法、スクリーン印刷法等、種々の方法を
用いて形成しても良い。
【0073】 続いて、圧電素子並びに電極リード上に
形成する絶縁コーティング層の材料としては、絶縁性の
ガラス若しくは樹脂が用いられるが、変位を阻害しない
ようにしてデバイスの性能を上げるためには、ガラスよ
りも樹脂を用いることが好ましく、化学的安定性に優れ
たフッ素樹脂、例えば、四フッ化エチレン樹脂系テフロ
ン(デュポン(株)製のテフロンPTFE)、四フッ化
エチレン・六フッ化プロピレン共重合体樹脂系テフロン
(テフロンFEP)、四フッ化エチレン・パーフロロア
ルキルビニルエーテル共重合体樹脂系テフロン(テフロ
ンPFA)、PTFE/PFA複合テフロン等が好適に
用いられる。また、これらのフッ素樹脂よりも耐食性、
耐候性等に劣るが、シリコーン樹脂(中でも熱硬化型の
シリコーン樹脂)も好適に用いられる他、エポキシ樹
脂、アクリル樹脂等も目的に応じて使用することができ
る。なお、圧電素子並びにその近傍と、電極リード並び
にその近傍とで異なる材料を用いて、絶縁コーティング
層を形成することも好ましい。更に、絶縁性樹脂に無機
・有機充填材を添加し、振動板等の剛性を調整すること
も好ましい。
【0074】 絶縁コーティング層を形成した場合に、
絶縁コーティング層上に形成されるシールド層の材料と
しては、金、銀、銅、ニッケル、アルミニウム等の種々
の金属が好適に用いられるが、他にも上述した圧電素子
における電極等に用いられる全ての金属材料を用いるこ
とができる。また、金属粉末を樹脂と混合してなる導電
性ペーストを用いることもできる。
【0075】 続いて、本発明のデバイスの作製方法に
ついて、前述したデバイス31を例に説明するが、その
他のデバイス32〜39も同様の方法により作製するこ
とができる。上述した通り、デバイスは固定板等の部材
から構成されているため、別体で準備された種々の材料
からなる部品をそれぞれ接合して作製することが可能で
ある。しかし、この場合、生産性が高いものではなく、
接合部における破損等が生じやすいことから、信頼性の
面で問題がある。そこで、本発明においてはセラミック
ス粉末を原料としてグリーンシート積層法が好適に採用
される。
【0076】 グリーンシート積層法においては、先
ず、ジルコニア等のセラミックス粉末にバインダ、溶
剤、分散剤等を添加混合してスラリーを作製し、これを
脱泡処理後、リバースロールコーター法、ドクターブレ
ード法等の方法により所定の厚みを有するグリーンシー
ト若しくはグリーンテープを作製する。次に、グリーン
シートを金型を用いた打ち抜き(パンチング)等の方法
により、図11に示すような種々のグリーンシート部材
(以下、「シート部材」という。)を作製する。
【0077】 シート部材51は、焼成後に、基板5、
連結板2、固定板1並びに振動板3A〜3Dとなる部材
であり、この時点ではそれらの形状が不明確な一枚板の
状態となっている。これは、前述したように、振動板3
A〜3Dは、3〜20μmと薄く形成することが好まし
いことから、グリーンシートの状態でこれら各部材の形
状を形成するよりも、焼成後に、レーザ加工等により、
不要な部分を切り落とす方が、形状精度が良好に保た
れ、好ましいことによる。
【0078】 シート部材52は、基板5となる他、固
定板1と連結板2の厚みを振動板3A〜3Dよりも厚く
形成するための部材であって、孔部55、固定板1、連
結板2が形成されている。固定板1と連結板2の接合部
には、切欠部8を形成しておくこともできる。このシー
ト部材52を所定数ほど積層して、所望する固定板1並
びに連結板2の厚みを得る。なお、固定板1を連結板2
よりも薄く形成する場合には、シート部材52から固定
板1となる部分のみを削除したシート部材を作製し、こ
れを積層すればよい。孔部55を形成したシート部材5
3は、基板5となる部材である。所定枚数ほど積層する
ことで、所望する厚みを得ることができる。
【0079】 これらのシート部材51〜53を、この
順番で基準孔54を利用して位置決めを行いながら積層
して、熱圧着等の方法により一体化し、積層体を作製す
る。そしてその後、1200℃〜1600℃の温度で焼
成を行う。なお、シート部材51の最終的に振動板3A
〜3Dが形成される位置に、予め圧電素子4A〜4Dを
形成しておき、積層体と一体焼成することも好ましい。
同時焼成による圧電素子4A〜4Dの配設方法として
は、金型を用いたプレス成形法又はスラリー原料を用い
たテープ成形法等によって圧電膜を成形し、この焼成前
の圧電膜をシート部材51に熱圧着で積層し、同時に焼
結して基板と圧電膜とを同時に作製する方法が挙げられ
る。但し、この場合には、後述する膜形成法を用いて、
基板あるいは圧電膜に予め電極を形成しておく必要があ
る。
【0080】 圧電膜の焼成温度は、これを構成する材
料によって適宜定められるが、一般には、800℃〜1
400℃であり、好ましくは1000℃〜1400℃で
ある。この場合、圧電膜の組成を制御するために、圧電
膜の材料の蒸発源の存在化に焼結することが好ましい。
なお、圧電膜の焼成と基板との焼成を同時に行う場合に
は、両者の焼成条件をマッチングすることが当然に必要
となる。
【0081】 また、焼結後の積層体における振動板形
成位置に、スクリーン印刷法、ディッピング法、塗布
法、電気泳動法等の厚膜形成法、イオンビーム法、スパ
ッタリング法、真空蒸着、イオンプレーティング法、化
学気相蒸着法(CVD)、メッキ等の各種薄膜形成法に
より、圧電素子を配設することができる。このうち、本
発明においては、圧電膜を形成するにあたり、スクリー
ン印刷法やディッピング法、塗布法、電気泳動法等によ
る厚膜形成法が好適に採用される。これは、これらの手
法は、平均粒径0.01〜5μm、好ましくは0.05
〜3μmの圧電セラミックスの粒子を主成分とするペー
ストやスラリー、又はサスペンションやエマルション、
ゾル等を用いて圧電膜を形成することができ、良好な圧
電作動特性が得られるからである。また、特に電気泳動
法は、膜を高い密度で、かつ、高い形状精度で形成でき
ることをはじめ、技術文献「「DENKI KAGAK
U」、53,No.1(1985)p63〜68、安斎
和夫著」に記載されているような特徴を有する。従っ
て、要求精度や信頼性等を考慮して、適宜、手法を選択
して用いると良い。
【0082】 例えば、作製した積層体を所定条件にて
焼成した後、焼成後のシート部材21の表面の所定位置
に第1電極を印刷、焼成し、次いで圧電膜を印刷、焼成
し、更に第2電極を印刷、焼成して圧電素子を配設する
ことができ、続いて形成された圧電素子における電極を
測定装置に接続するための電極リードを印刷、焼成す
る。ここで、例えば、第1電極として白金(Pt)を、
圧電膜としてはジルコン酸チタン酸鉛(PZT)を、第
2電極としては金(Au)を、更に電極リードとして銀
(Ag)等の材料を使用すると、焼成工程における焼成
温度が逐次低くなるように設定されるので、ある焼成段
階において、それより以前に焼成された材料の再焼結が
起こらず、電極材等の剥離や凝集といった不具合の発生
を回避することが可能となる。
【0083】 なお、適当な材料を選択することによ
り、圧電素子の各部材と電極リードを逐次印刷して、一
回で一体焼成することも可能であり、一方、圧電膜を形
成した後に低温で各電極等を設けることもできる。ま
た、圧電素子の各部材と電極リードはスパッタ法や蒸着
法等の薄膜法によって形成してもかまわず、この場合に
は、必ずしも熱処理を必要としない。
【0084】 こうして圧電素子を膜形成法によって形
成することにより、接着剤を用いることなく圧電素子と
振動板とを一体的に接合、配設することができ、信頼
性、再現性を確保し、集積化を容易とすることができ
る。ここで、更に圧電膜を適当なパターンに形成しても
よく、その形成方法としては、例えば、スクリーン印刷
法やフォトリソグラフィー法、あるいはレーザ加工法、
又はスライシング、超音波加工等の機械加工法を用いる
ことができる。
【0085】 次に、圧電素子4A〜4Dや電極リード
が形成された焼成後の積層体の所定位置に振動板3A〜
3Dや固定板1、連結板2、また必要に応じて切欠部8
を形成する。ここで、YAGレーザの第4次高調波を用
いた加工により、焼結後のシート部材21の不要な部分
を切り出し加工して除去することが好ましい。こうし
て、振動板3A〜3D、固定板1、連結板2を図1に示
す形状に加工することができる。なお、基板5に相当す
る部分であって、不要な部分を前記レーザ加工やダイシ
ングによって除去しても構わない。また、主にシート部
材22により形成された固定板1、連結板2の形状や、
シート部材21により形成された振動板3A〜3D等の
形状を、このような加工時に調整することで、変位量を
調整することも好ましい。
【0086】 更に、図12に示した圧電素子88を、
図15に示すように、第2電極87を上部電極、第1電
極85を下部電極として、その中間に圧電膜86を形成
した圧電素子88を一度配設した後、上部電極をYAG
第4次高調波レーザ、機械加工等により除去して圧電素
子の有効電極面積を調整して、圧電/電歪デバイスのイ
ンピーダンス等の電気特性を調整し、所定の変位特性を
得ることも好ましい。なお、圧電素子88の構造が、図
13あるいは図14に示されるような櫛型構造である場
合には、一方のあるいは両方の電極の一部を除去すれば
よい。
【0087】 このような加工においては、上記のYA
G第4次高調波レーザを用いた加工以外にも、YAGレ
ーザ及びYAGレーザの第2次又は第3次高調波、エキ
シマレーザ、CO2レーザ等によるレーザ加工、電子ビ
ーム加工、ダイシング(機械加工)など、駆動部の大き
さと形状に適した種々の加工方法を適用することができ
る。
【0088】 なお、本発明のデバイスは、上述したグ
リーンシートを用いた作製方法の他に、成形型を用いた
加圧成形法や鋳込成形法、射出成形法等を用いて作製す
ることもできる。これらの場合においても、焼成前後に
おいて、切削や研削加工、レーザ加工、パンチングによ
る打ち抜き、あるいは超音波加工等の機械加工により加
工が施され、所定形状とされる。
【0089】 こうして作製されたデバイス11におけ
る圧電素子4A〜4D並びに並びに電極リード上に形成
する絶縁コーティング層は、ガラス若しくは樹脂を用い
て、スクリーン印刷法、塗布法、スプレー法等によって
形成することができる。ここで、材料としてガラスを用
いた場合には、デバイス自体をガラスの軟化温度程度ま
で昇温する必要があり、また硬度が大きいので変位若し
くは振動を阻害するおそれがあるが、樹脂は柔らかく、
しかも乾燥程度の処理で済むことから、樹脂を用いるこ
とが好ましい。
【0090】 なお、絶縁コーティング層として用いら
れる樹脂として、フッ素樹脂あるいはシリコーン樹脂が
好適に用いられる旨は既に述べたが、これらの樹脂を用
いる場合には、下地のセラミックスとの密着性を改善す
る目的で、使用する樹脂とセラミックスとの種類に応じ
たプライマー層を形成し、その上に絶縁コーティング層
を形成することが好ましい。
【0091】 次に、絶縁コーティング層上に形成され
るシールド層の形成は、絶縁コーティング層が樹脂から
なる場合には、焼成処理を行うことが困難なため、種々
の金属材料を用いる場合には、スパッタ法等の加熱を要
しない方法を用いて行われ、一方、金属粉末と樹脂から
なる導電性ペーストを用いる場合には、スクリーン印刷
法、塗布法等を好適に用いることができる。なお、絶縁
コーティング層をガラスで形成した場合には、ガラスが
流動しない温度以下で、金属ペーストをスクリーン印刷
等し、焼成することも可能である。
【0092】 以上、本発明の圧電/電歪デバイスの態
様、材料、製法について、詳述してきたが、本発明が上
記実施の態様に限定されるものでないことはいうまでも
なく、本発明には上記の実施態様の他にも、本発明の趣
旨を逸脱しない限りにおいて、当業者の知識に基づいて
種々の変更、修正、改良等を加え得るものであることが
理解されるべきである。
【0093】
【発明の効果】 以上の説明で明らかなように、本発明
の圧電/電歪デバイスは、構造が簡単であり小型化、軽
量化が容易であるとともに、外部からの有害振動等の影
響を受け難い特徴を有する。また、静的変位のみなら
ず、動的変位のいずれに対しても高精度な制御が可能で
あり、大変位を容易に得ることができるとともに、セン
サとして用いた場合には高感度とすることができるとい
う特徴を有する。更にグリーンシート積層法といった簡
便な製造方法を用いることにより、一体構造として信頼
性を高めつつ、安価に作製することができる利点があ
る。加えて、構成材料の選択の許容範囲が広く、目的に
応じて都度好適な材料を使用することができる利点もあ
る。従って、各種のアクチュエータやセンサに組み込ん
だ場合に高精度な制御、測定が可能となり、また、小型
化、軽量化にも寄与するという優れた効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の圧電/電歪デバイスの一実施態様を
示す(a)平面図及び(b)断面図である。
【図2】 本発明の圧電/電歪デバイスの別の実施態様
を示す平面図である。
【図3】 本発明の圧電/電歪デバイスの更に別の実施
態様を示す平面図である。
【図4】 本発明の圧電/電歪デバイスの更に別の実施
態様を示す平面図である。
【図5】 本発明の圧電/電歪デバイスの更に別の実施
態様を示す(a)平面図及び(b)断面図並びに(c)変位説明
図である。
【図6】 本発明の圧電/電歪デバイスの更に別の実施
態様を示す(a)平面図及び(b)断面図である。
【図7】 本発明の圧電/電歪デバイスの更に別の実施
態様を示す平面図である。
【図8】 本発明の圧電/電歪デバイスの更に別の実施
態様を示す平面図である。
【図9】 本発明の圧電/電歪デバイスの更に別の実施
態様を示す(a)平面図及び(b)(c)(d)断面図である。
【図10】 図9記載の圧電/電歪デバイスの更に詳細
な構造の一態様を示す(a)平面図及び(b)(c)(d)断面図で
ある。
【図11】 本発明の圧電/電歪デバイスの作製に用い
られるシート部材の形状例を示す平面図である。
【図12】 本発明の圧電/電歪デバイスに配設される
圧電素子の一実施態様を示す斜視図である。
【図13】 本発明の圧電/電歪デバイスに配設される
圧電素子の別の実施態様を示す斜視図である。
【図14】 本発明の圧電/電歪デバイスに配設される
圧電素子の更に別の実施態様を示す斜視図である。
【図15】 本発明の圧電/電歪デバイスの圧電素子の
加工方法の一例を示す説明図である。
【図16】 従来の圧電/電歪デバイス(圧電アクチュ
エータ)の構造の一例を示す斜視図である。
【図17】 本発明の圧電/電歪デバイスの更に別の実
施態様を示す平面図である。
【図18】 本発明の圧電/電歪デバイスの更に別の実
施態様を示す平面図である。
【図19】 本発明の圧電/電歪デバイスの更に別の実
施態様を示す平面図である。
【符号の説明】
1…固定板、2…連結板、3A〜3D…振動板、4A〜
4D…圧電素子、5…基板、6A・6B…凹部、7…間
隙部、8…切欠部、9…間隙部、10…切欠部、11…
間隙部、12…ひんじ部、21A〜21D…電極リー
ド、22…絶縁コーティング層、23…シールド層、2
4…スルーホール、31〜39…圧電/電歪デバイス
(デバイス)、51〜53…シート部材、54…基準
孔、55…孔部、85…第1電極、86…圧電膜、87
…第2電極、88…圧電素子、89…振動膜、90…圧
電膜、91…第1電極、92…第2電極、93…隙間
部、94A・94B…圧電素子、102…梁部、103
…固定部、104…可動部、105…電極層。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 木村 浩二 愛知県名古屋市瑞穂区須田町2番56号 日 本碍子株式会社内 Fターム(参考) 2H041 AC08 AZ01 AZ02 AZ08

Claims (31)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 長手方向における一端が少なくとも2枚
    の振動板によって挟持され、かつ、他端が別の少なくと
    も2枚の振動板によって挟持された連結板が、基板に形
    成された対向する凹部の底面間に跨設され、 当該各振動板の少なくとも一方の平板面の少なくとも一
    部に圧電素子が配設されると共に、当該各振動板が、少
    なくとも当該各振動板が当該連結板を挟持する方向にお
    いて当該凹部の側面と接合され、 固定板が、当該固定板の長手方向が当該振動板が当該連
    結板を挟持する方向と平行になるように、当該連結板に
    接合されてなることを特徴とする圧電/電歪デバイス。
  2. 【請求項2】 当該固定板と当該連結板との接合部に切
    欠部が形成されていることを特徴とする請求項1記載の
    圧電/電歪デバイス。
  3. 【請求項3】 当該連結板が当該連結板の跨設方向にお
    いて2分割されて、当該連結板の中央部に間隙部が形成
    され、当該間隙部を横架するように、当該固定板が当該
    連結板の平板面に接合されてなることを特徴とする請求
    項1記載の圧電/電歪デバイス。
  4. 【請求項4】 分割された当該連結板を横架する位置に
    おいて、当該固定板の端部に切欠部が形成されているこ
    とを特徴とする請求項3記載の圧電/電歪デバイス。
  5. 【請求項5】 当該固定板が、当該連結板と交差するよ
    うに接合されてなることを特徴とする請求項1記載の圧
    電/電歪デバイス。
  6. 【請求項6】 当該連結板における、当該連結板と当該
    基板との接合部と、当該連結板と当該振動板との接合部
    との間において、当該連結板に切欠部が形成されている
    ことを特徴とする請求項1記載の圧電/電歪デバイス。
  7. 【請求項7】 当該連結板が当該固定板の長手方向に少
    なくとも2分割され、当該固定板が、分割されて形成さ
    れた少なくとも2枚の連結板と接合されてなることを特
    徴とする請求項1記載の圧電/電歪デバイス。
  8. 【請求項8】 当該固定板と当該連結板との接合部から
    当該固定板の長手方向にかけて、当該固定板にひんじ部
    が設けられていることを特徴とする請求項2記載の圧電
    /電歪デバイス。
  9. 【請求項9】 当該固定板と当該連結板との接合部を中
    心として、対角対置に位置する1組の圧電素子を同位相
    で駆動し、かつ、他組の圧電素子を逆位相で駆動するこ
    とを特徴とする請求項1記載の圧電/電歪デバイス。
  10. 【請求項10】 当該固定板の長手方向軸を対称軸とし
    て、線対称の位置にある1組の圧電素子を同位相で駆動
    し、かつ、他組の圧電素子を逆位相で駆動することを特
    徴とする請求項1記載の圧電/電歪デバイス。
  11. 【請求項11】 当該連結板を挟持する1対の振動板2
    枚が、当該連結板の厚み方向にずれた位置において、そ
    れぞれ当該連結板と接合されていることを特徴とする請
    求項1記載の圧電/電歪デバイス。
  12. 【請求項12】 当該連結板を挟持する1対の振動板2
    枚と当該連結板との接合位置の中点を点対称中心とし
    て、当該各振動板の一方の平板面に圧電素子を配設し、
    かつ、当該圧電素子を同位相で駆動することを特徴とす
    る請求項11記載の圧電/電歪デバイス。
  13. 【請求項13】 連結板が基板に形成された凹部の側面
    間に跨設され、 少なくとも一方の平板面の少なくとも一部に圧電素子を
    配設した少なくとも2枚の振動板が、当該連結板と当該
    基板の凹部底面との間に跨設され、 固定板が、当該固定板の長手方向が当該振動板の跨設方
    向と平行となるように当該連結板に接合されてなること
    を特徴とする圧電/電歪デバイス。
  14. 【請求項14】 平板面を対向するように構成した2枚
    1組の振動板が、少なくとも2組ほど、当該連結板と当
    該基板の凹部底面との間に跨設されてなることを特徴と
    する請求項13記載の圧電/電歪デバイス。
  15. 【請求項15】 当該固定板と当該連結板との接合部に
    切欠部が形成されていることを特徴とする請求項13記
    載の圧電/電歪デバイス。
  16. 【請求項16】 当該連結板が当該連結板の跨設方向に
    おいて2分割されて、当該連結板の中央部に間隙部が形
    成され、当該間隙部を横架するように、当該固定板が当
    該連結板の平板面に接合されてなることを特徴とする請
    求項13記載の圧電/電歪デバイス。
  17. 【請求項17】 分割された当該連結板を横架する位置
    において、当該固定板の端部に切欠部が形成されている
    ことを特徴とする請求項16記載の圧電/電歪デバイ
    ス。
  18. 【請求項18】 少なくとも、当該連結板と当該振動板
    並びに当該基板から選ばれた任意の2つの部材の全ての
    接合が、それぞれの側面でなされていることを特徴とす
    る請求項1又は13記載の圧電/電歪デバイス。
  19. 【請求項19】 少なくとも、当該連結板と当該振動板
    並びに当該基板が、一体的に形成されていることを特徴
    とする請求項1又は13記載の圧電/電歪デバイス。
  20. 【請求項20】 少なくとも当該圧電素子を除くデバイ
    ス各部が、グリーンシート積層法を用いて作製されてい
    ることを特徴とする請求項1又は13記載の圧電/電歪
    デバイス。
  21. 【請求項21】 当該固定板の変位として、当該固定板
    の長手方向における一軸方向変位、若しくは、当該固定
    板と当該連結板との接合部近傍を中心とした面内回転変
    位、或いは、当該連結板の長手方向軸を中心とした回転
    変位、の少なくともいずれかを用いることを特徴とする
    請求項1又は13記載の圧電/電歪デバイス。
  22. 【請求項22】 当該回転変位が、当該圧電素子の変位
    を2段階に拡大する拡大機構に基づいたものであること
    を特徴とする請求項21記載の圧電/電歪デバイス。
  23. 【請求項23】 1個の圧電素子を2分割し、一方を駆
    動用素子として用い、他方を補助素子として用いること
    を特徴とする請求項1又は13記載の圧電/電歪デバイ
    ス。
  24. 【請求項24】 当該圧電素子及び当該圧電素子の電極
    に導通する電極リードが、樹脂若しくはガラスからなる
    絶縁コーティング層により被覆されてなることを特徴と
    する請求項1又は13記載の圧電/電歪デバイス。
  25. 【請求項25】 当該樹脂がフッ素樹脂若しくはシリコ
    ーン樹脂であることを特徴とする請求項24記載の圧電
    /電歪デバイス。
  26. 【請求項26】 当該絶縁コーティング層の表面上に、
    更に導電性部材からなるシールド層が形成されてなるこ
    とを特徴とする請求項24記載の圧電/電歪デバイス。
  27. 【請求項27】 当該基板、当該固定板、当該連結板、
    当該振動板が、安定化ジルコニアあるいは部分安定化ジ
    ルコニアからなることを特徴とする請求項1又は13記
    載の圧電/電歪デバイス。
  28. 【請求項28】 当該圧電素子における圧電膜が、ジル
    コン酸鉛、チタン酸鉛、マグネシウムニオブ酸鉛からな
    る成分を主成分とする材料からなることを特徴とする請
    求項1又は13記載の圧電/電歪デバイス。
  29. 【請求項29】 当該固定板、当該連結板、当該振動板
    の少なくともいずれかの形状が、レーザ加工若しくは機
    械加工によりトリミングして寸法調整されたものである
    ことを特徴とする請求項1又は13記載の圧電/電歪デ
    バイス。
  30. 【請求項30】 当該圧電素子における電極がレーザ加
    工若しくは機械加工されることにより、当該圧電素子の
    有効電極面積の調整されたものであることを特徴とする
    請求項1又は13記載の圧電/電歪デバイス。
  31. 【請求項31】 少なくともそれぞれの固定板を連結し
    た2個以上の圧電/電歪デバイスからなることを特徴と
    する請求項1又は13記載の圧電/電歪デバイス。
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