JP2007334243A - 画像形成装置および画像形成方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】装置が大型化せず、低コストで実施可能な画像形成装置および画像形成方法を提供する。
【解決手段】中間転写体21の表面の基準位置に基づいて各色トナー像の形成タイミングをそれぞれ制御し、前記各色トナー像を前記中間転写体21に多重転写する画像形成装置1であって、前記中間転写体21の表面から凹凸部を検出する凹凸部検出手段50と、検出した凹凸部のうちのいずれか1つを前記基準位置を示す基準凹凸部に設定する基準凹凸部設定手段とを備える。
【選択図】図1

Description

本発明は、画像形成装置および画像形成方法に関し、中間転写ベルト等の中間転写体に多重転写する各色トナー像の位置ずれを防止する技術に関する。
イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K)の各色トナー像が1つの感光体を介して中間転写ベルトに多重転写される所謂4サイクル方式のカラープリンタでは、一般に、中間転写ベルトのベルト基準位置に基づくタイミングで各色トナー像を感光体上に形成し、それらを中間転写ベルトに多重転写するため、各色トナー像が位置ずれを起こし難い。
ベルト基準位置は、例えば、中間転写ベルトに穴部を設けその穴部を透過型センサで検知したり、中間転写ベルトに反射テープを貼り付けその反射テープを反射型センサで検知したりして把握している。また、特許文献1に記載の画像形成装置では、中間転写ベルトの表面にベルト基準位置検出用のトナーパッチを形成し、そのトナーパッチを反射型センサで検知してベルト基準位置を把握する。
特開平6−289685号公報
しかしながら、中間転写ベルトに穴部を設けたり反射テープを貼り付けたりするためには、それら穴部や反射テープを設けるためのスペースをトナー像形成領域外やクリーナ当接領域外に確保しなければならない。したがって、中間転写ベルトのベルト幅を広くしなければならず、画像形成装置が大型化する。
一方、トナーパッチはトナー像形成領域やクリーナ当接領域に形成可能であり、中間転写ベルトのベルト幅を広くする必要がないため画像形成装置が大型化しない。しかし、トナーパッチを形成するためにトナーが消費され、ランニングコストが高くなる。
本発明は、上記した課題に鑑み、装置が大型化せず、低コストで実施可能な画像形成装置および画像形成方法を提供することを目的とする。
上記目的を達成するため、本発明に係る画像形成装置は、中間転写体の表面の基準位置に基づいて各色トナー像の形成タイミングをそれぞれ制御し、前記各色トナー像を前記中間転写体に多重転写する画像形成装置であって、前記中間転写体の表面から凹凸部を検出する凹凸部検出手段と、検出した凹凸部のうちのいずれか1つを前記基準位置を示す基準凹凸部に設定する基準凹凸部設定手段とを備えることを特徴とする。
本発明に係る画像形成方法は、中間転写体の表面の基準位置に基づいて各色トナー像の形成タイミングをそれぞれ制御し、前記各色トナー像を前記中間転写体に多重転写する画像形成方法であって、前記中間転写体の表面から凹凸部を検出する凹凸部検出ステップと、前記凹凸部のうちのいずれか1つを前記基準位置を示す基準凹凸部に設定する基準凹凸部設定ステップとを備えることを特徴とする。
上記構成によれば、中間転写体に穴部を設けたり反射テープを貼り付けたりするスペースを確保する必要がないため前記中間転写体が大型化せず、その結果画像形成装置が大型化しない。また、中間転写体にトナーパッチを形成する必要もないため、トナーを消費してランニングコストが高くなることもない。すなわち、本発明では、中間転写体の表面に元々存在する凹凸部の1つを基準凹凸部として利用し、その基準凹凸部によって基準位置を把握する。したがって、中間転写体に基準位置を示すマークをわざわざ設ける必要がない。
また、前記基準凹凸部設定手段は、前記凹凸部検出手段が検出した凹凸部のうち検出出力が最大のものを前記基準凹凸部に設定する構成では、基準凹凸部の設定が容易であるため、当該基準凹凸部の判別精度が高い。
また、前記基準凹凸部の検出出力を記憶する記憶手段を備え、前記基準凹凸部設定手段は、前記凹凸部検出手段が凹凸部の検出を行う毎に、検出した凹凸部のうち検出出力が最大のものを新たな基準凹凸部として再設定し、前記記憶手段に記憶させた検出出力を再設定後の基準凹凸部の検出出力に更新する構成では、検出出力が最大の凹凸部が基準凹凸部に設定されている状態を維持し易い。また、新たに生じた検出出力のより大きい凹凸部を避けてトナー像を形成することができるため、より良好なトナー像を形成することができる。
また、前記中間転写体の表面1周分の凹凸部についての検出出力の積算値が所定値以上の場合に前記各色トナー像の形成を禁止するトナー像形成禁止手段を備える構成では、凹凸部が多く表面状態が悪い中間転写体にトナー像が形成されず、品質の低い画像が形成されない。
また、ユーザに対するメッセージを表示する表示手段を備え、前記中間転写体の表面1周分の凹凸部についての検出出力の積算値が所定値以上の場合に所定のメッセージを前記表示手段に表示させる構成では、前記中間転写体の表面状態が悪くなったことをユーザは知ることができる。
また、前記凹凸部検出手段による凹凸部の検出結果に基づいて前記トナー像の形成に適した画像領域を選定する画像領域選定手段を備える構成では、凹凸部を避けてトナー像を形成する領域を確保することができるため、品質の高い画像を形成することができる。
また、前記中間転写体の表面に接離可能な清掃部材を有し、当該清掃部材を当接させて前記表面からトナーを除去するクリーナと、前記クリーナの清掃部材を制御するクリーナ制御手段とを備え、前記クリーナ制御手段は、所定条件を満たす場合を除いて、前記清掃部材が前記画像領域以外の領域に当接することを禁止する構成では、クリーナが凹凸部の存在する領域に当接され難いためクリーナが傷み難い。
また、前記クリーナ制御手段は、前記所定条件を満たす場合として、前記凹凸部検出手段による凹凸部の検出精度が低下した場合に、前記画像領域以外の領域に前記クリーナを当接させる構成では、トナー粉塵やトナーカブリ現象で中間転写体の表面が汚れた場合に、それら汚れをクリーニングし凹凸部の検出精度を向上させることができる。
また、所定値以上の検出出力を有する凹凸部が前記画像領域に存在する場合に前記各色トナー像の形成を禁止するトナー像形成禁止手段を備える構成では、検出出力の大きい凹凸部の存在する領域にトナー像が形成されないため、品質の低い画像がより形成され難い。
また、ユーザに対するメッセージを表示する表示手段を備え、所定値以上の検出出力を有する凹凸部が前記画像領域に存在する場合に所定のメッセージを前記表示手段に表示させる構成では、中間転写体の表面の状態が悪くなり画像形成に支障をきたしていることをユーザは知ることができる。
また、前記所定値は、転写材の種類、転写材の大きさ、および、色モードの少なくとも1つの条件により変更される構成では、過剰な品質を確保するためにトナー像の形成が禁止されることがない。
また、前記凹凸部検出手段は、前記中間転写体の走行方向と直交する方向に移動可能である構成では、中間転写体の表面のより広範囲から凹凸部を検出することができる。
また、前記凹凸部検出手段は、反射型センサを含む構成では、比較的低コストで実施することができる。
また、画像制御用センサが前記凹凸部検出手段を兼ねる構成では、前記凹凸部検出手段を別途設ける必要がなく、より低コストかつ簡単な構成で実施することができる。
また、前記各色トナー像が形成される感光体を1つ備え、前記感光体の表面に前記各色トナー像が1色ずつ順次形成され、形成された各色トナー像が前記中間転写体に順次多重転写される構成では、発明の効果がより顕著である。
また、前記凹凸部検出手段は、装置電源をONする毎、所定の処理毎、所定の画像形成回数毎、および、所定の画像形成動作の時間毎の少なくとも1つのタイミングで前記凹凸部を検出する構成では、基準凹凸部を最適な状態に保ち易い。
以下、本発明に係る画像形成装置および画像形成方法の実施の形態について図面を参照しながら説明する。
<画像形成装置の構成>
図1は、実施の形態に係る画像形成装置の全体の構成を示す図である。図1に示すように、本実施の形態に係る画像形成装置は、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K)の各色トナー像が形成される感光体を1つ備え、前記感光体の表面に前記各色トナー像が1色ずつ順次形成され、形成された各色トナー像が前記中間転写体に順次多重転写される所謂4サイクル方式のカラープリンタ1(以下、単に「プリンタ1」という。)である。
プリンタ1は、作像部10、中間転写部20、給紙部30、定着部40、凹凸部検出手段としての凹凸部検出部50、表示部60および制御部70などを備え、LAN等のネットワークを介して接続された外部の端末装置(不図示)から指示を受けて、Y,M,C,K各色によるカラープリント、またはK色によるモノクロプリントを実行する。
作像部10は、感光体としての感光体ドラム11と、前記感光体ドラム11の周囲に配置された帯電装置12、露光装置13、現像装置14およびクリーニング装置15などを備える。
感光体ドラム11は、表面に感光体層(不図示)が形成された円筒形状であって、矢印Aの方向に回転駆動する。
帯電装置12は、感光体ドラム11の表面を所定電位に均一帯電処理する。
露光装置13は、画像情報の時系列電気デジタル画素信号に対応したレーザービームを感光体ドラム11の表面に照射し、露光部分の帯電電位を変化させて、前記感光体ドラム11の表面に静電潜像を形成する。
現像装置14は、Y,M,C,K各色用の現像器14Y,14M,14C,14Kを備え、回転軸14aを中心に矢印Bの方向に回転駆動する。現像装置14は、現像器14Y,14M,14C,14Kに充填された各色トナーによって感光体ドラム11の表面の静電潜像を1色ずつ顕像化する。
クリーニング装置15は、感光体ドラム11の表面から転写残トナーを除去する。
中間転写部20は、中間転写体としての中間転写ベルト21、一次転写ローラ22、二次転写ローラ23、二次転写対向ローラ24、テンションローラ25,26、クリーナ対向ローラ27、および、前記中間転写ベルト21の表面に接離可能な清掃部材としてのクリーナブレード28を有するクリーナ29などを備える。
中間転写ベルト21は、無端ベルト状であって、例えばポリカーボネート、ポリイミド、ポリフェニレンスルフィド、フッ素樹脂などに導電材を添加した半導電性樹脂からなる。中間転写ベルト21は、一次転写ローラ22、二次転写対向ローラ24、テンションローラ25,26およびクリーナ対向ローラ27に張架されており、前記二次転写対向ローラ24を駆動手段(不図示)で回転駆動させることによって矢印Cの方向に周回する。
一次転写ローラ22は、中間転写ベルト21を挟んで感光体ドラム11と対向するよう配置されており、それら一次転写ローラ22と感光体ドラム11との間が一次転写位置となっている。また、二次転写ローラ23と二次転写対向ローラ24とは、中間転写ベルト21を挟んで対向するよう配置されており、それら二次転写ローラ23と二次転写対向ローラ24との間が二次転写位置となっている。
クリーナ29は、クリーナブレード28を中間転写ベルト21の表面に当接させて、その表面から不要なトナーを掻き取って除去する。不要なトナーとは、転写不良等による転写残トナー、付着したトナー粉塵、トナーカブリ現象のトナーなどである。クリーナ29によるトナーの除去は、クリーナブレード28を中間転写ベルト21の表面に当接させ、前記表面からトナーを掻き取ることによって行う。掻き取ったトナーは、クリーナ29の内部に回収される。クリーナブレード28は、基本位置として、中間転写ベルト21表面から離隔した位置に保持されており、トナーを除去するときに中間転写ベルト21の表面に当接させられる。
給紙部30は、転写材としてのシート31を収容するための給紙カセット32と、前記給紙カセット32内から前記シート31を繰り出すためのピックアップローラ33と、繰り出したシート31を二次転写位置に送り出す一対のレジストローラ34,35とを備える。シート31は、二次転写のタイミングに合わせて二次転写位置へ搬送される。
定着部40は、対向配置され接触回転する一対の定着ローラ41,42を備える。定着ローラ41,42には、それぞれ内部ヒータ(不図示)が設けられており、前記一対の定着ローラ41,42間をシート31が通過すると、そのシート31が高温下で加圧される。これにより、シート31上でトナー像を形成していたトナーが前記シート31に融着し定着する。トナー定着後のシート31は、排紙ローラ43,44によって排紙トレイ45上に排出される。
凹凸部検出部50は、中間転写ベルト21の表面から凹凸部を検出するための発光素子と受光素子からなる反射型センサであって、画像制御用センサとしてのAIDC(Auto Image Density Control)センサが前記凹凸部検出部50を兼ねる。
ここで、凹凸部とは、中間転写ベルト21の表面が完全に平滑であると仮想した場合において、前記仮想表面と実際の表面とが一致していない部分のことであり、凹部または凸部からなる。凹部としては、ウエルド、傷、窪み、或いはスジの溝部分などが挙げられ、凸部としては、ウエルド、ブツ、或いはスジの隆起した部分などが挙げられる。
なお、ウエルドとは中間転写ベルト21の合わせ目を意味する。一般的な中間転写ベルト21には、大きさに程度はあれど殆どの場合ウエルドが存在する。中間転写ベルト21を安価に製造しようとすると、射出成形で製造することが好ましく、更には射出成形工程後に行われる熱処理工程を省略することが好ましいが、このような方法が採用された場合は特に、中間転写ベルト21にウエルドが生じ易い。
表示部60は、ユーザに対するメッセージを表示する。ユーザは、表示部60を介してジョブ情報や管理情報を確認することができる。例えば、表示部60は、中間転写ベルト21の表面1周分の凹凸部について検出出力の積算値が所定値以上の場合や、所定値以上の検出出力を有する凹凸部が前記画像領域に存在する場合に、画像を形成できない旨などの所定のメッセージを表示する。さらに、表示部60は、プリンタ1への各種操作を受け付けており、ユーザは各種設定の変更などを行うことができる。
図2は、制御部の構成を示すブロック図である。
制御部70は、図2に示すように、主な構成要素として、通信インターフェース(I/F)部71、画像制御手段72、トナー像形成禁止手段73、基準凹凸部設定手段74、基準凹凸部判別手段75、画像領域選定手段76、クリーナ制御手段77および記憶手段78を備え、各部71〜78はバス79を介して通信可能になっている。
I/F部71は、LANカード、LANボードといったLANに接続するためのインターフェースである。
全体制御部72は、作像部10や中間転写部20などの動作を統括的に制御し、円滑なプリント動作を実現する。各色トナー像を中間転写ベルト21に多重転写する場合は、前記中間転写ベルト21の表面のベルト基準位置に基づいて各色トナー像の形成タイミングを制御する。
トナー像形成禁止手段73は、中間転写ベルト21の表面1周分の凹凸部について検出出力の積算値が所定値以上の場合、および、所定値以上の検出出力を有する凹凸部が前記画像領域に存在する場合などに、中間転写ベルト21への各色トナー像の形成を禁止する。詳細については後述する。
基準凹凸部設定手段74は、凹凸部検出部50が検出した凹凸部のうち検出出力が最大のものを中間転写ベルトの表面のベルト基準位置を示す基準凹凸部に設定する。さらに、凹凸部検出手段が凹凸部の検出を行う毎に、検出した凹凸部のうち検出出力が最大のものを新たな基準凹凸部として再設定し、記憶手段78に記憶させた検出出力を再設定後の基準凹凸部の検出出力に更新する。詳細については後述する。
基準凹凸部判別手段75は、基準凹凸部を設定後に再度凹凸部検出部50によって検出された凹凸部の中から前記基準凹凸部に該当する凹凸部を判別する。詳細については後述する。
画像領域選定手段76は、凹凸部検出部50による凹凸部の検出結果に基づいて中間転写ベルト21の表面からトナー像の形成に適した画像領域を選定する。詳細については後述する。なお、画像領域以外の領域を以下非画像領域と称する。
クリーナ制御手段77は、クリーナ29を制御する。具体的には、画像領域にはクリーナブレード28が当接し、非画像領域には所定の場合を除いてクリーナブレード28が当接しないようにクリーナ29を制御する。所定の場合とは、例えば凹凸部の検出精度が低下した場合である。
記憶手段78は、凹凸番号X、ベルト位置Y、検出出力Z、および凹凸順位などの凹凸情報が格納されたデータテーブルを記憶する。それら凹凸情報およびデータテーブルについての詳細は後述する。さらに、記憶手段78は、プリントジョブ毎にカウントされるプリント枚数Cに基づいて総プリント枚数Ctを算出し、プリント枚数情報として前記総プリント枚数Ctを記憶する。
<画像形成装置の動作の説明>
1.画像プロセス
制御部70は、外部の端末装置(不図示)からプリントジョブのための画像信号を受信すると、この画像信号に必要な処理を加えて画像データを生成し、当該画像データを露光装置13の駆動信号に変換する。露光装置13は、制御部70からの駆動信号を受けると、画像形成のためのレーザービームを感光体ドラム11の表面に照射し露光走査する。露光走査の際、感光体ドラム11の表面は、クリーナ装置15でクリーニングされ、イレーサランプ(不図示)で除電され、帯電装置12で一様に帯電される。
感光体ドラム11の表面の静電潜像は、各色いずれかの現像器14Y,14M,14C,14Kによりトナー像として顕像化される。各色毎に顕像化されるトナー像は、一次転写位置において中間転写ベルト21上に多重転写され、カラー画像が再現される。制御部70は、基準凹凸部が示すベルト基準に基づき各色トナー像が感光体ドラム11に形成される形成タイミングを制御する。したがって、各色トナー像は位置ずれすることなく中間転写ベルト21に多重転写される。
一方、給紙カセット32からはシート31が二次転写位置へ搬送される。二次転写位置では、二次転写ローラ23の静電作用によって、中間転写ベルト21上のトナー像がシート31上へ転写される。トナー像が転写されたシート31は、二次転写位置から定着部40へと搬送され、定着ローラ41,42でトナー像定着後、排紙トレイ45上に排出される。
2.基準凹凸部設定処理
上述したとおり、各色トナー像を形成するタイミングの制御は、基準凹凸部が示すベルト基準位置に基づいて行われる。基準凹凸部は、基準凹凸部設定手段74による基準凹凸部設定処理により設定される。基準凹凸部設定処理は、プリンタ1の初回起動時に行われる。
図3は、基準凹凸部設定処理の内容を示すフローチャートである。図3に示すように、処理をスタートすると、まず凹凸番号Xを「0」とし(ステップS11)、ベルト位置Y(サンプリング開始位置から中間転写ベルト21走行方向への移動距離)のカウンタを「0」にリセットする(ステップS12)。
次に、ベルト位置Yの値が中間転写ベルト21の周長a以上か否かを判断し(ステップS13)、ベルト位置Yの値が周長a未満の場合は(ステップS13で「NO」)、凹凸部検出部50から送信される信号に基づいて検出出力Zをサンプリングする(ステップS14)。サンプリングした検出出力Zは、正規の信号によるものと雑音等によるものとを区別するために、閾値bと比較する(ステップS15)。
図4は、中間転写体ベルトのベルト1周分の検出波形の一例を示す図である。なお、図4の左側の縦軸は反射型センサの出力電圧[V]であり、右側の縦軸は検出出力Z[V]である。
図4の波形が示すように、凹凸部が検出されないときの反射型センサの出力電圧は5.0[V]で一定しているが、凹凸部が検出されると反射型センサの出力電圧が下がってピークが生じる。
例えば、ピークP1に対応する凹凸部のベルト位置では、反射型センサの出力電圧が5.0[V]から4.7[V]に0.3[V]下がっている。また、ピークP2に対応する凹凸部のベルト位置では5.0[V]から4.5[V]に0.5[V]下がり、ピークP3に対応する凹凸部のベルト位置では5.0[V]から4.0[V]に1.0[V]下がり、ピークP4に対応する凹凸部のベルト位置では5.0[V]から3.0[V]に2.0[V]下がっている。
検出出力Zは、例えば、その下がった大きさ、すなわち凹凸部が検出されないときの反射型センサの出力電圧と、各ベルト位置における反射型センサの出力電圧との電圧差によって求める。例えば、ピークP1に対応する凹凸部のベルト位置では、反射型センサの出力凹凸部が0.3[V]下がっているため検出出力Zは0.3[V]である。また、ピークP2に対応する凹凸部のベルト位置では、反射型センサの出力凹凸部が0.5[V]下がっているため検出出力Zは0.5[V]、ピークP3に対応する凹凸部のベルト位置では、反射型センサの出力凹凸部が1.0[V]下がっているため検出出力Zは1.0[V]、ピークP4に対応する凹凸部のベルト位置では、反射型センサの出力凹凸部が2.0[V]下がっているため検出出力Zは2.0[V]である。
図4に示すように、閾値bが図4に示す値(0.5[V])に設定されている場合、ピークP1〜P4のうち検出出力Zが閾値b未満のピークP1(検出出力=0.3[V])は雑音等によるものと判断し、検出出力Zが閾値b以上のピークP2(検出出力Z=0.5[V])、P3(検出出力Z=1.0[V])、P4(検出出力Z=2.0[V])を凹凸部によるものと判断する。すなわち、ピークP2〜P4が検出されたベルト位置Yに凹凸部が存在すると判断する。
閾値b以上の検出出力Zが確認されると(ステップS15で「YES」)、その検出出力Zが検出されたベルト位置Yに凹凸部が存在していると判断し、凹凸番号Xを1つインクリメントし(ステップS16)、凹凸番号X、ベルト位置Yおよび検出出力Z等を凹凸情報としてデータテーブルに格納して(ステップS17)、ステップS13に戻る。なお、データテーブルは記憶手段78に記憶されている。
図5は、凹凸情報を格納するデータテーブルを示す図である。図5に示すデータテーブルにおいて、凹凸番号が「1」の凹凸情報が図4のピークP2に対応し、凹凸番号が「2」の凹凸情報がピークP3に対応し、凹凸番号が「3」の凹凸情報がピークP4に対応する。
ステップS15に戻って、検出出力Zが閾値b未満の場合は(ステップS15で「NO」)、検出されたピークは雑音等によるものと判断し、凹凸情報を格納することなくステップS13に戻る。
次に、ベルト位置Yの値が周長a未満であれば(ステップS13で「NO」)、検出出力Zのサンプリングを続行する(ステップS14)。一方、ベルト位置Yの値が周長a以上になると(ステップS13で「YES」)、サンプリングを終了して、凹凸番号Xが「0」であるか否かを判断する(ステップS18)。
凹凸番号Xが「0」でない場合(ステップS18で「NO」)すなわち凹部部が1つ以上検出されている場合、データテーブルを参照して凹凸順位を決定する(ステップS19)。凹凸順位は、凹凸情報の1つであって、検出出力Zの大きいものから順に「1」、「2」、「3」・・・という様に付される。図4に示す例では、凹凸番号が「3」の凹凸部(ピークP4に対応:検出出力Z=2.0[v])の凹凸順位を「1」と、凹凸番号2の凹凸部(ピークP3に対応:検出出力Z=1.0[v])の凹凸順位を「2」と、凹凸番号1の凹凸部(ピークP2に対応:検出出力Z=0.5[v])の凹凸順位を「3」とする。
次に、凹凸順位をデータテーブルに格納し(ステップS20)、凹凸順位が「1」の凹凸部(図5に示す例では凹凸番号が「3」であるピークP4に対応する凹凸部)を基準凹凸部に決定する(ステップS21)。
ステップS18に戻って、凹凸番号Xが「0」の場合(ステップS18で「YES」)すなわち凹凸部が全く検出されなかった場合は、予備処理が行われる(ステップS22)。予備処理は、設定した閾値bでは全く凹凸部が検出されなかった場合に行う処理であって、設定した閾値bよりも小さい値である閾値b’を用いて上記と同様の処理を再度行う。
ところで、閾値bは、中間転写ベルト21に通常存在するであろう大きさのウエルド、ブツ、スジ等を検出可能な値に設定されている。したがって、閾値bで全く凹凸部が検出されないことは稀ではあるが、予備処理はこのような稀なケースに対応できるよう設けられている。
3.基準凹凸部更新処理
基準凹凸部設定手段74は、基準凹凸部更新処理を実行し、既に設定されている基準凹凸部よりも検出出力Zの大きい凹凸部を検出すると基準凹凸部を更新する。基準凹凸部更新処理は、後述する所定のタイミングで行う。
図6は、中間転写体ベルトのベルト1周分の検出波形の一例を示す図である。例えば、サンプリングした検出出力Zが図6(a)に示すような波形であって、ピークP11に対応する凹凸部が基準凹凸部に設定されていたとする。その後、基準凹凸部更新処理が実行され、新たにサンプリングした検出出力Zが図6(b)に示すような波形であって、ピークP11よりもの大きいピークP12が検出された場合、ピークP12の凹凸部を新たな基準凹凸部に設定する。
図7は、基準凹凸部更新処理の内容を示すフローチャートである。図7に示すように、処理をスタートすると、まず記憶手段78のデータテーブルから凹凸情報を読み出し、凹凸番号Xを「X(凹凸番号Xの欄における最大値)」とする(ステップS31)。また、ベルト位置Yのカウンタを「0」にリセットする(ステップS32)。
次に、現在のベルト位置Yの値が中間転写ベルト21の周長a以上か否かを判断し(ステップS33)、ベルト位置Yの値が周長a未満の場合は(ステップS33で「NO」)、凹凸部検出部50から送信される信号に基づいて検出出力Zをサンプリングする(ステップS34)。そして、検出出力Zと閾値bとを比較し(ステップS35)、閾値b以上の検出出力Zが確認されると(ステップS35で「YES」)、凹凸番号Xを1つインクリメントし(ステップS16)、凹凸番号X、ベルト位置Yおよび検出出力Z等の凹凸情報を記憶手段78のデータテーブルに格納し(ステップS37)、ステップS33に戻る。
ステップS15において、検出出力Zが閾値b未満の場合(ステップS35で「NO」)、凹凸情報を格納することなくステップS33に戻る。
次に、ベルト位置Yの値が周長a未満であれば(ステップS33で「NO」)、検出出力Zのサンプリングを続行する(ステップS34)。一方、ベルト位置Yの値が周長a以上になると(ステップS33で「YES」)、凹凸番号Xが「X」であるか否かを判断する(ステップS38)。
凹凸番号Xが「X」でない場合(ステップS38で「NO」)、データテーブルを参照して凹凸順位を決定する(ステップS39)。図6(b)に示す例では、新たに増えたピークP12の検出出力Zが最も大きいため、ピークP12に対応する凹凸部の凹凸順位を「1」とし、ピークP11に対応する凹凸部の凹凸順位を「2」に決定する。そして、データテーブルの凹凸順位を更新する(ステップS40)。さらに、新たに凹凸順位が「1」となったピークP12に対応する凹凸部を基準凹凸部に決定する(ステップS41)。
ステップS38に戻って、凹凸番号Xが「X」の場合(ステップS38で「YES」)、基準凹凸部設定処理の予備処理で設定された基準凹凸部を更新する必要はないため、基準凹凸部の更新を行わずに基準凹凸部更新処理を終了する。
4.基準凹凸部判別処理
中間転写ベルト21にトナー像を多重転写する際には、基準凹凸部判別手段75が基準凹凸部判別処理を実行し、基準凹凸部を判別する。画像制御手段72は、基準凹凸部の示すベルト基準位置に基づいてトナー像を形成するタイミングを制御する。
図8は、基準凹凸部判別処理の内容を示すフローチャートである。図8に示すように、処理をスタートすると、まず、記憶手段78のデータテーブルから基準凹凸部の検出出力cを読み出す(ステップS51)。具体的には、データテーブルを参照して凹凸順位が「1」の凹凸部の検出強度Zを読み出す。また、ベルト位置Yのカウンタを「0」にリセットする(ステップS52)。
次に、ベルト位置Yの値が中間転写ベルト21の周長a以上か否かを判断し(ステップS53)、ベルト位置Yの値が周長a未満の場合は(ステップS53で「NO」)、凹凸部検出部50から送信される信号に基づいて検出出力Zをサンプリングする(ステップS54)。
次に、サンプリングした検出出力Zと基準凹凸部の検出出力cとを比較し(ステップS55)、検出出力Zと検出出力cとが一致すると(ステップS55で「YES」)、その検出出力Zが検出されたベルト位置Yに存在する凹凸部を基準凹凸部と認識し(ステップS56)、そのベルト位置Yがベルト基準位置であると認識する。
なお、ステップS55における、検出出力Zと検出出力cとが一致するか否かの判断は、必ずしも検出出力Zと検出出力cとが完全に一致するか否かで判断する場合に限定されず、検出出力cにある程度の許容範囲を設けて、検出出力Zがその範囲内に収まるか否かで判断しても良い。許容範囲は、例えば、基準凹凸部の検出出力Zであると推定可能であり、検出出力cと完全に一致しないのは検出誤差によるものだと判断できる範囲とすることが考えられる。具体例としては、許容範囲の中央値を基準凹凸部の検出出力cとし、その中央値から検出誤差が生じ得る範囲で上限値と下限値を設定することが考えられる。
ステップS55に戻って、検出出力Zと検出出力cとが一致しなければ(ステップS55で「NO」)、ステップS53に戻り、ベルト位置Yの値が周長a以上になるまで検出強度Zをサンプリングし(ステップS53)、検出出力Zと検出出力cとを比較し続ける(ステップS55)。
検出出力Zと検出出力cとが一致することなくベルト位置Yの値が周長a以上になると(ステップS53で「YES」)、中間転写ベルト21の全域をクリーナ29でクリーニングする(ステップS57)。
図9は、トナー粉塵によって汚れた中間転写ベルト21の表面状態を示す図である。図9に示すように、中間転写ベルト21の表面がトナー粉塵80で汚れていると、基準凹凸部の検出出力Zを正確にサンプリングすることができず、検出出力cと一致する検出出力Zが検出できないことがある。このような場合は、通常においてクリーニングを行わない非画像領域をクリーナ29でクリーニングする。
なお、通常において非画像領域のクリーニングを行わない理由は、凹凸部のある非画像領域にクリーナブレード28を当接させると、当該クリーナブレード28が傷み易いからである。
クリーニング後は基準凹凸部更新処理を行い(ステップS58)、基準凹凸部を更新する。その後、改めて基準凹凸部の判別をやり直すためにステップS51に戻る。
以上のように、説明した基準凹凸部判別処理は、以下のような変形例が考えられる。
変形例に係る基準凹凸部判別処理は、検出強度Zと検出出力cとが一致するか否かを判断するのではなく、検出出力Zが所定値T以上であるか否かを判断する点が相違する他、基本的には既述した基準凹凸部判別処理と同様である。したがって、相違点のみ詳細に説明する。
図10は、変形例に係る基準凹凸部判別処理の内容を示すフローチャートである。なお、図10のフローチャートでは、図8のフローチャートと共通するステップには同じ符号を付し、相違するステップにのみ新たな符号を付している。
処理をスタートすると、まず、記憶手段78のデータテーブルから所定値Tを読み出す(ステップS61)。所定値Tとは、例えば、凹凸順位が「1」の凹凸部の検出出力値と、凹凸順位が「2」の凹凸部の検出出力値との平均値であって、例えば、基準凹凸部設定処理の際に算出されデータテーブルに格納されている。なお、所定値Tは、凹凸順位が「1」の凹凸部の検出出力値と、凹凸順位が「2」の凹凸部の検出出力値との平均値に限定されず、凹凸順位が「1」の凹凸部の検出出力値と、凹凸順位が「2」の凹凸部の検出出力値との間で設定される任意の値とすることが考えられる。
次に、ステップS52からステップS54を順次行い、サンプリングした検出出力Zと所定値Tとを比較する(ステップS65)。そして、検出出力Zが所定値T以上であると判断すると(ステップS65で「YES」)、その検出出力Zが検出されたベルト位置Yに存在する凹凸部を基準凹凸部と認識し(ステップS56)、そのベルト位置Yがベルト基準位置であると認識する。
ステップS65に戻って、検出出力Zが所定値T以上でなければ(ステップS65で「NO」)、ステップS53に戻り、ベルト位置Yの値が周長a以上になるまで検出強度Zをサンプリングし(ステップS53)、検出出力Zと所定値Tとを比較し続ける(ステップS65)。
検出出力Zが所定値T以上になることなくベルト位置Yの値が周長a以上になると(ステップS53で「YES」)、ステップS57およびステップS58を行った後、改めて基準凹凸部の判別をやり直すためにステップS61に戻る。
5.画像領域選定処理
画像領域選定手段76は、画像領域選定処理を実行し、中間転写ベルト21の表面からトナー像の形成に適した画像領域を選定する。トナー像の形成に適しているか否かは凹凸部の有無で判断する。凹凸部が存在しない領域は転写濃度むら等が生じ難く、良好なトナー像を形成することができるからである。
まず、画像領域選定処理の概要を簡単に説明する。図11は、中間転写ベルトのベルト1周分の検出波形の一例を示す図である。例えば、サンプリングした検出出力Zが図11(a)に示すような波形であって、ピークP31に対応する凹凸部が基準凹凸部に設定されていたとする。このような場合、図11(a)に示すように、基準凹凸部が存在する領域以外の領域を画像領域と選定する。
図12は、画像領域選定処理の内容を示すフローチャートである。画像領域選定処理の詳細を、例えば、サンプリングした検出出力Zが図11(b)に示すような波形であって、ピークP41に対応する凹凸部が基準凹凸部に設定されている場合を例に挙げて説明する。
図12に示すように、処理をスタートすると、まず色モードとしてのプリントモードを判断する(ステップS71)。凹凸部が画像品質へ与える影響の大きさはプリントモードによって異なるからである。
図13は、検出出力と画像品質との関係を示す図である。図13に示すように、凹凸部が検出されない場合には反射型センサの出力が5.0[V]のままであるため検出出力Zが0[V]となり、この場合、OHPカラーモード、普通紙カラーモードおよび普通紙モノクロモードの画像品質ランクはいずれも「5」であり画像品質は良好である。ところが、検出出力Zが2.0[V](反射型センサの出力電圧が3.0[V])になると、OHPカラーモードの画像品質ランクは画像品質上問題があると評価される「1」まで低下する。一方、普通紙カラーモードの画像品質ランクは「2」、普通紙モノクロモードの画像品質ランクは「3」であるが、これら画像品質ランクは画像品質上許容の範囲内である。
検出出力Zが3.0[V]になると、OHPカラーモードおよび普通紙カラーモードの画像品質ランクは「1」まで低下する。一方、普通紙モノクロモードの画像品質ランクは「1」までは低下しない。さらに、検出出力Zが4.0[V]になると、OHPカラーモード、普通紙カラーモード、普通紙モノクロモードの全てのモードにおいて画像品質ランクが「1」まで低下する。このように、OHPカラー、普通紙カラーおよび普通紙モノクロは、それぞれ凹凸部から受ける影響の大きさが異なる。
プリントジョブがOHPカラーモードの場合(ステップS71で「OHPカラー」)、閾値を2.0[V]に設定し(ステップS72)、記憶手段78のデータテーブルから検出出力Zが閾値以上の凹凸部を抽出する(ステップS73)。
次に、検出出力Zが閾値以上の凹凸部が2つ以上か否かを判断する(ステップS74)。図11(b)に示す例の場合、ピークP41〜45に対応する凹凸部のうち閾値2.0[V]以上の検出出力Zを有するのはピークP41〜P43に対応する凹凸部である。すなわち、閾値以上の凹凸部は2以上である(ステップS74で「YES」)。
そこで、ピークP41に対応する凹凸部からピーク42に対応する凹凸部までの距離(ピークP41に対応する凹凸部から中間転写ベルト21の下流側へ向けてピーク42に対応する凹凸部までの距離を意味する。以下も同様。)、ピークP42に対応する凹凸部からピーク43に対応する凹凸部までの距離、ピークP43に対応する凹凸部からピーク42に対応する凹凸部までの距離をそれぞれ算出する(ステップS75)。各距離は、データテーブルのベルト位置Yの差分より算出する。
次に、凹凸部間の最大距離が用紙のサイズ以上か否かを判断する(ステップS76)。図11(b)に示す例の場合、凹凸部間が最大距離となるのは、ピークP43に対応する凹凸部からピークP41に対応する凹凸部まで距離である。
しかし、図11(b)に示すように、ピークP43に対応する凹凸部からピークP41に対応する凹凸部までの距離は、最低必要領域(シート31のサイズ)よりも小さいため(ステップS76で「NO」)、画像領域を確保することができない。すなわち、閾値以上の検出出力Zを有する凹凸部が画像領域に存在してしまう。このような場合は、凹凸部により画像品質が低下する。
そこで、画像形成禁止処理を実行して(ステップS77)、画像制御手段72による感光体ドラム11へのトナー像の形成を禁止する。さらに、画像を形成できない旨の表示を表示部60に表示する(ステップS78)。
なお、最低必要領域とは、例えばシート31のサイズがA4の場合、シート31の中間転写ベルト21周方向の寸法は約300[mm]であるため、ピークP43に対応する凹凸部からピークP41に対応する凹凸部まで距離は、中間転写ベルト21周方向に少なくとも300[mm]以上離れている必要がある。
プリントジョブが普通紙カラーモードの場合(ステップS71で「普通紙カラー」)、閾値を3.0[V]に設定する(ステップS79)。
次に、記憶手段78のデータテーブルを参照して、検出出力Zが閾値以上の凹凸部を抽出し(ステップS73)、検出出力Zが閾値以上の凹凸部が2つ以上か否かを判断する(ステップS74)。図11(b)に示す例の場合、ピークP41〜45に対応する凹凸部のうち閾値3.0[V]以上の検出出力Zを有する凹凸部は、ピークP41およびP42に対応する凹凸部である。すなわち、閾値以上の凹凸部は2以上である(ステップS74で「YES」)。
次に、ピークP41に対応する凹凸部からピーク42に対応する凹凸部までの距離、ピークP42に対応する凹凸部からピーク41に対応する凹凸部までの距離をそれぞれ算出する(ステップS75)。各距離は、記憶手段78のデータテーブルのベルト位置Yの差分より算出する。
次に、凹凸部間の最大距離が用紙のサイズ以上か否かを判断する(ステップS76)。図11(b)に示す例の場合、最大距離となるのは、ピークP42に対応する凹凸部からピークP41に対応する凹凸部まで距離である。図11(b)に示すように、ピークP42に対応する凹凸部からピークP41に対応する凹凸部までの距離は、最低必要領域以上であるため、ピークP42に対応する凹凸部からピークP41に対応する凹凸部までの領域を画像領域に選定する(ステップS80)。
プリントジョブが普通紙モノクロモードの場合(ステップS71で「普通紙モノクロ」)、閾値を4.0[V]に設定する(ステップS81)。
次に、記憶手段78のデータテーブルを参照して、検出出力Zが閾値以上の凹凸部を抽出し(ステップS73)、検出出力Zが閾値以下の凹凸部が2つ以上か否かを判断する(ステップS74)。図11(b)に示す例の場合、ピークP41〜45に対応する凹凸部のうち閾値4.0[V]以上の検出出力Zを有する凹凸部は、ピークP41に対応する凹凸部だけである。すなわち、閾値以下の凹凸部は2以上でない(ステップS74で「NO」)。この場合は、基準凹凸部が存在する領域以外を画像領域に選定する(ステップS82)。
なお、上記閾値は、プリントモード毎に設定する場合に限らず、シート31の種類毎、シート31の大きさ毎、或いは、それらを組み合わせ毎に設定しても良い。
また、画像形成禁止処理を実行したり、画像を形成できない旨の表示を表示部に表示したりするのは、画像領域を確保することができないと判断する場合に限られない。例えば、中間転写体の表面1周分の凹凸部についての検出出力の積算値が所定値以上の場合に、画像形成禁止処理を実行したり、画像を形成できない旨の表示を表示部に表示したりすることが考えられる。
中間転写体の表面1周分の凹凸部についての検出出力の積算値が所定値以上の場合とは、例えば、ピークの幅の積算値が所定値以上の場合、ピークの高さの積算値が所定値以上の場合、ピークの数の総数が所定値以上の場合などが挙げられる。
図14は、中間転写体ベルトのベルト1周分の検出波形の一例を示す図である。図14に示すように、ピークの幅の積算値が所定値以上の場合、すなわち、中間転写ベルト21の走行方向におけるベルト1周分に対する凹凸部が占める割合が所定値以上の場合は、凹凸部による画像品質の低下が著しいため、画像形成禁止処理を実行し、画像を形成できない旨の表示を表示部に表示する。
6.更新時期判定処理
基準凹凸部更新処理を実行するタイミングを判断する更新時期判定処理について説明する。更新時期判定処理は、所定の画像形成回数毎(所定のプリントまたはコピー枚数毎)に実行される。
図15は、更新時期判定処理の内容を示すフローチャートである。図15に示すように、プリントジョブが開始されると(ステップS91)、当該ジョブでプリントされたシートのプリント枚数Dをカウントする(ステップS92)。
プリントジョブが終了すると(ステップS93)、記憶手段78に記憶されている総プリント枚数Dtの値にプリント枚数Dを加算し、加算後の値を新たな総プリント枚数Dtとして更新する(ステップS94)。
次に、総プリント枚数Dtが更新枚数De以上であるか否かを判断する(ステップS95)。ここで、更新枚数Deとは、当該枚数分のプリントを行えば基準凹凸部の更新が必要になると想定される枚数であり、予め実験などから求められて内部のROM(不図示)等に格納されている。
更新枚数Deは、プリンタ1の特性に併せて、例えば10000枚等と設定される。なお、更新枚数Deは、プリンタ1の使用開始から1000枚目までを100枚と設定し、それ以降は1000枚と設定する等、変動する値として設定しても良い。
総プリント枚数Dtが更新枚数De以上であることを判断すると(ステップS95で「YES」)、フラグ格納部に格納されているフラグの値が「0」であるか否かを判断する(ステップS96)。
フラグの値が「0」であることを判断すると、(ステップS96で「YES」)、フラグを「1」に設定し(ステップS97)、処理を終える。
ステップ95に戻って、プリント枚数Dtが更新枚数De以上であることを判断すると(ステップS95で「NO」)、フラグを「0」に設定して(ステップS98)、処理を終える。
以上のような更新時期判定処理は、プリントジョブが実行される毎に行われ、プリント枚数が所定枚数以上になるとフラグを「1」にして交換時期に達したと判断する。
なお、更新時期判定処理は、上記のように所定のプリント枚数毎に実行される場合に限らず、例えば、プリンタ1の電源をONする毎、画像形成処理など所定の処理毎、所定の画像形成動作の時間毎に実行しても良く、また、それらを組み合わせたタイミング毎に実行しても良い。
7.クリーニング処理
中間転写ベルト21の表面における画像領域に対しては、クリーナ29によるクリーニングを行うが、非画像領域に対しては基本的にクリーニングを行わない。なお、画像領域および非画像領域を選定する方法については上述した通りである。
画像領域は、トナー像が形成され転写残トナーが生じるためクリーニングが必要であるが、非画像領域は、トナー像が形成されず転写残トナーも生じないため頻繁にクリーニングする必要はない。また、画像領域は、凹凸部が少ないためクリーニングを行ってもクリーナブレード28が傷み難いが、非画像領域は、凹凸部が存在するためクリーニングを行うとクリーナブレード28が傷み易い。
ただし、所定条件を満たす場合は、非画像領域に対してもクリーニングが行われる。例えば、凹凸部の検出精度が低下した場合はクリーニングが行われる。凹凸部の検出精度が低下した場合とは、例えば、基準凹凸部判定処理において基準凹凸部を検出できなかった場合、すなわち基準凹凸部の検出出力cと同じ検出出力Zを有する凹凸部を検出できなかった場合(図8におけるステップS55で「NO」)である。なお、非画像領域に対するクリーニングは、基準凹凸部更新処理を行う毎に行っても良い。
ところで、凹凸部のピークの幅の積算値が所定値以上の場合、前記ピークの高さの積算値が所定値以上の場合、前記ピークの数の総数が所定値以上の場合などのように凹凸部を示すピークの検出出力の積算値が所定値以上の場合は、中間転写ベルト21の表面に凹凸部が多くクリーナブレード28が傷み易い。したがって、そのような場合は、画像領域であるか非画像領域であるかに拘わらずクリーニングを禁止すると共に、表示部60に中間転写ベルト21の状態が悪いため交換が必要である旨の表示をする。
<変形例>
以上、本発明に係る画像形成装置を実施の形態に基づいて具体的に説明してきたが、本発明の技術的範囲は上記実施の形態に限定されないことはいうまでもない。
本発明に係る画像形成装置は、所謂4サイクル方式の画像形成装置に限定されず、所謂タンデム方式の画像形成装置であっても良い。タンデム方式の画像形成装置の場合でも、凹凸部の少ない領域にトナー像を形成することができるため画像品質を向上させる効果がある。また、中間転写体は、無端ベルト状のものに限定されず、ドラム状などであっても良い。
本発明に係る画像形成装置は、検出出力が最大のものを基準凹凸部として設定する構成に限定されず、凹凸部のうちのいずれか1つを基準凹凸部に設定する構成であっても良い。すなわち、検出出力の大きさが2番目以降の凹凸部を基準凹凸部としても良く、また、凹凸部の形状など検出出力以外の特徴を指標として基準凹凸部を設定しても良い。さらに、検出出力は、検出ピークのピーク高さ(凹凸部の深さまたは高さ)に限定されず、ピーク面積(凹凸部の容積)、ピーク幅(凹凸部の中間転写体の走行方向の幅)などでも良い。
また、本発明に係る画像形成装置は、基準凹凸部の検出出力を記憶手段に記憶させる構成に限定されず、トナー像を形成する毎に基準凹凸部を設定する構成であっても良い。
また、本発明に係る凹凸部検出手段は、反射型センサに限定されず、透過型センサ、CCDセンサなど中間転写ベルトの表面の凹凸部を検出できるものであれば良い。また、画像濃度検出センサ、レジスト検出センサなどAIDCセンサ以外の画像制御用センサが凹凸部検出手段を兼ねていても良い。さらに、画像制御用センサが凹凸部検出手段を兼ねるのではなく、画像制御用センサとは別途に凹凸部検出手段が設けられていても良い。
図16は、変形例に係る凹凸部検出手段を説明する図である。凹凸部検出手段は、中間転写体の走行方向についてのみ凹凸部を検知する構成に限定されず、図16に示すように、中間転写体の走行方向と直交する方向に移動可能であって、前記中間転写ベルトの全域に亘ってスジ81、ブツ82、ウエルド83などの凹凸部を検出する構成であっても良い。
<画像形成方法>
本発明は、画像形成装置に限られず画像形成方法であるとしてもよい。さらに、その方法をコンピュータが実行するプログラムであるとしてもよい。また、本発明に係るプログラムは、例えば磁気テープ、フレキシブルディスク等の磁気ディスク、DVD−ROM、DVD−RAM、CD−ROM、CD−R、MO、PDなどの光記録媒体、フラッシュメモリ系記録媒体等、コンピュータ読み取り可能な各種記録媒体に記録することが可能であり、当該記録媒体の形態で生産、譲渡等がなされる場合もあるし、プログラムの形態でインターネットを含む有線、無線の各種ネットワーク、放送、電気通信回線、衛星通信等を介して伝送、供給される場合もある。
また、上記プログラムは、上述した処理をコンピュータに実行させるための全てのモジュールを含んでいる必要はなく、例えば通信プログラムやオペレーティングシステム(OS)に含まれるプログラムなど、別途情報処理装置にインストールすることができる各種汎用的なプログラムを利用して、本発明の各処理をコンピュータに実行させるようにしても良い。従って、上記した本発明の記録媒体に必ずしも上記全てのモジュールを記録している必要はないし、また、必ずしも全てのモジュールを伝送する必要もない。さらに、所定の処理は、専用ハードウェアを利用して実行させるようにすることができる場合もある。
本発明に係る画像形成装置は、プリンタ、MFP(Multi Function Peripheral)、コピー機、ファクシミリ機などに利用できる。また、フルカラープリンタに限らず、モノクロプリンタにも利用可能である。
実施の形態に係るプリンタの全体の構成を示す図である。 制御部の構成を示すブロック図である。 基準凹凸部設定処理の内容を示すフローチャートである。 中間転写体ベルトのベルト1周分の検出波形の一例を示す図である。 凹凸情報を格納するデータテーブルを示す図である。 中間転写体ベルトのベルト1周分の検出波形の一例を示す図である。 基準凹凸部更新処理の内容を示すフローチャートである。 基準凹凸部判別処理の内容を示すフローチャートである。 トナー粉塵によって汚れた中間転写ベルトの表面状態を示す図である。 変形例に係る基準凹凸部判別処理の内容を示すフローチャートである。 中間転写体ベルトのベルト1周分の検出波形の一例を示す図である。 画像領域選定処理の内容を示すフローチャートである。 検出出力と画像品質との関係を示す図である。 中間転写体ベルトのベルト1周分の検出波形の一例を示す図である。 更新時期判定処理の内容を示すフローチャートである。 変形例に係る凹凸部検出手段を説明する図である。
符号の説明
1 画像形成装置
11 感光体
21 中間転写体
29 クリーナ
50 凹凸部検出手段
60 表示手段
73 トナー像形成禁止手段
74 基準凹凸部設定手段
76 画像領域選定手段
77 クリーナ制御手段
78 記憶手段

Claims (17)

  1. 中間転写体の表面の基準位置に基づいて各色トナー像の形成タイミングをそれぞれ制御し、前記各色トナー像を前記中間転写体に多重転写する画像形成装置であって、
    前記中間転写体の表面から凹凸部を検出する凹凸部検出手段と、検出した凹凸部のうちのいずれか1つを前記基準位置を示す基準凹凸部に設定する基準凹凸部設定手段とを備えることを特徴とする画像形成装置。
  2. 前記基準凹凸部設定手段は、前記凹凸部検出手段が検出した凹凸部のうち検出出力が最大のものを前記基準凹凸部に設定することを特徴とする請求項1記載の画像形成装置。
  3. 前記基準凹凸部の検出出力を記憶する記憶手段を備え、
    前記基準凹凸部設定手段は、前記凹凸部検出手段が凹凸部の検出を行う毎に、検出した凹凸部のうち検出出力が最大のものを新たな基準凹凸部として再設定し、前記記憶手段に記憶させた検出出力を再設定後の基準凹凸部の検出出力に更新することを特徴とする請求項2に記載の画像形成装置。
  4. 前記中間転写体の表面1周分の凹凸部についての検出出力の積算値が所定値以上の場合に前記各色トナー像の形成を禁止するトナー像形成禁止手段を備えることを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の画像形成装置。
  5. ユーザに対するメッセージを表示する表示手段を備え、
    前記中間転写体の表面1周分の凹凸部についての検出出力の積算値が所定値以上の場合に所定のメッセージを前記表示手段に表示させることを特徴とする請求項1から4のいずれかに記載の画像形成装置。
  6. 前記凹凸部検出手段による凹凸部の検出結果に基づいて前記トナー像の形成に適した画像領域を選定する画像領域選定手段を備えることを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の画像形成装置。
  7. 前記中間転写体の表面に接離可能な清掃部材を有し、当該清掃部材を当接させて前記表面からトナーを除去するクリーナと、前記クリーナの清掃部材を制御するクリーナ制御手段とを備え、
    前記クリーナ制御手段は、所定条件を満たす場合を除いて、前記清掃部材が前記画像領域以外の領域に当接することを禁止することを特徴とする請求項6に記載の画像形成装置。
  8. 前記クリーナ制御手段は、前記所定条件を満たす場合として、前記凹凸部検出手段による凹凸部の検出精度が低下した場合に、前記画像領域以外の領域に前記クリーナを当接させることを特徴とする請求項7に記載の画像形成装置。
  9. 所定値以上の検出出力を有する凹凸部が前記画像領域に存在する場合に前記各色トナー像の形成を禁止するトナー像形成禁止手段を備えることを特徴とする請求項6から8のいずれかに記載の画像形成装置。
  10. ユーザに対するメッセージを表示する表示手段を備え、
    所定値以上の検出出力を有する凹凸部が前記画像領域に存在する場合に所定のメッセージを前記表示手段に表示させることを特徴とする請求項6から8のいずれかに記載の画像形成装置。
  11. 前記所定値は、転写材の種類、転写材の大きさ、および、色モードの少なくとも1つの条件により変更されることを特徴とする請求項9または10に記載の画像形成装置。
  12. 前記凹凸部検出手段は、前記中間転写体の走行方向と直交する方向に移動可能であることを特徴とする請求項1から11のいずれかに記載の画像形成装置。
  13. 前記凹凸部検出手段は、反射型センサを含むことを特徴とする請求項1から12のいずれかに記載の画像形成装置。
  14. 画像制御用センサが前記凹凸部検出手段を兼ねることを特徴とする請求項1から13のいずれかに記載の画像形成装置。
  15. 前記各色トナー像が形成される感光体を1つ備え、
    前記感光体の表面に前記各色トナー像が1色ずつ順次形成され、形成された各色トナー像が前記中間転写体に順次多重転写されることを特徴とする請求項1から14のいずれかに記載の画像形成装置。
  16. 前記凹凸部検出手段は、装置電源をONする毎、所定の処理毎、所定の画像形成回数毎、および、所定の画像形成動作の時間毎の少なくとも1つのタイミングで前記凹凸部を検出することを特徴とする請求項1から15のいずれかに記載の画像形成装置。
  17. 中間転写体の表面の基準位置に基づいて各色トナー像の形成タイミングをそれぞれ制御し、前記各色トナー像を前記中間転写体に多重転写する画像形成方法であって、
    前記中間転写体の表面から凹凸部を検出する凹凸部検出ステップと、前記凹凸部のうちのいずれか1つを前記基準位置を示す基準凹凸部に設定する基準凹凸部設定ステップとを備えることを特徴とする画像形成方法。
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