以下、本発明の実施の形態について、図面を用いて詳細に説明する。
図1は、本発明の一実施の形態に係る画像形成装置の全体構成を概略的に示す図であり、図2は同装置の制御系の主要部を示す図である。
図1、2に示す画像形成装置1は、電子写真プロセス技術を利用した中間転写方式のカラー画像形成装置である。すなわち、画像形成装置1は、感光体上に形成されたC(シアン)、M(マゼンタ)、Y(イエロー)及びK(ブラック)の各色トナー像を中間転写体に転写(一次転写)し、中間転写体上で4色のトナー像を重ね合わせた後、用紙に転写(二次転写)することにより、画像を形成する。
また、画像形成装置1には、CMYKの4色に対応する感光体を中間転写体の走行方向に直列配置し、中間転写体に一回の手順で各色トナー像を順次転写させるタンデム方式が採用されている。
図1、2に示すように、画像形成装置1は、画像読取部10、操作表示部20、画像処理部30、画像形成部40、用紙搬送部50、定着部60、表面電位検出部80および制御部100を備えている。制御部100は、本発明の「算出部」および「回転速度変更部」として機能する。
制御部100は、CPU(Central Processing Unit)101、ROM(Read Only Memory)102及びRAM(Random Access Memory)103等を備えている。CPU101は、ROM102から処理内容に応じたプログラムを読み出してRAM103に展開し、展開したプログラムと協働して画像形成装置1の各ブロックの動作を集中制御する。このとき、記憶部72に格納されているLUT(Look Up Table)等の各種データが参照される。記憶部72は、例えば不揮発性の半導体メモリ(いわゆるフラッシュメモリ)又はハードディスクドライブで構成される。
制御部100は、通信部71を介して、LAN(Local Area Network)又はWAN(Wide Area Network)等の通信ネットワークに接続された外部の装置(例えばパーソナルコンピューター)との間で各種データの送受信を行う。制御部100は、例えば、外部の装置から送信された画像データを受信し、この画像データ(入力画像データ)に基づいて用紙に画像を形成する。通信部71は、例えばLANカード等の通信制御カードで構成される。
画像読取部10は、ADF(Auto Document Feeder)と称される自動原稿給紙装置11及び原稿画像走査装置(スキャナー)12等を備えて構成される。
自動原稿給紙装置11は、原稿トレイに載置された原稿Dを搬送機構により搬送して原稿画像走査装置12へ送り出す。自動原稿給紙装置11は、原稿トレイに載置された多数枚の原稿Dの画像(両面を含む)を連続して一挙に読み取ることができる。
原稿画像走査装置12は、自動原稿給紙装置11からコンタクトガラス上に搬送された原稿D又はコンタクトガラス上に載置された原稿Dを光学的に走査し、原稿Dからの反射光をCCD(Charge Coupled Device)センサー12aの受光面上に結像させ、原稿画像を読み取る。画像読取部10は、原稿画像走査装置12による読取結果に基づいて入力画像データを生成する。この入力画像データには、画像処理部30において所定の画像処理が施される。
操作表示部20は、例えばタッチパネル付の液晶ディスプレイ(LCD:Liquid Crystal Display)で構成され、表示部21及び操作部22として機能する。表示部21は、制御部100から入力される表示制御信号に従って、各種操作画面及び各機能の動作状況等の表示を行う。操作部22は、テンキー及びスタートキー等の各種操作キーを備え、ユーザーによる各種入力操作を受け付けて、操作信号を制御部100に出力する。
画像処理部30は、入力画像データに対して、初期設定又はユーザー設定に応じたデジタル画像処理を行う回路等を備えている。例えば、画像処理部30は、制御部100の制御下で、階調補正データ(階調補正テーブル)に基づいて階調補正を行う。また、画像処理部30は、入力画像データに対して、階調補正の他、色補正及びシェーディング補正等の各種補正処理、並びに圧縮処理等を施す。これらの処理が施された画像データに基づいて、画像形成部40が制御される。
画像形成部40は、入力画像データに基づいて、Y成分、M成分、C成分及びK成分の各有色トナーによる画像を形成するための画像形成ユニット41Y、41M、41C、41K、及び中間転写ユニット42等を備えている。
Y成分、M成分、C成分及びK成分用の画像形成ユニット41Y、41M、41C、41Kは、同様の構成を有する。図示及び説明の便宜上、共通する構成要素は同一の符号で示し、それぞれを区別する場合には符号にY、M、C又はKを添えて示すこととする。図1では、Y成分用の画像形成ユニット41Yの構成要素についてのみ符号が付され、その他の画像形成ユニット41M、41C、41Kの構成要素については符号が省略されている。
画像形成ユニット41は、露光装置411、現像装置412、感光体ドラム413(本発明の「像担持体」として機能)、帯電装置414、及びドラムクリーニング装置415等を備えている。
感光体ドラム413(例えば、φ60mm)は、例えばアルミニウム製の導電性円筒体(アルミ素管)の周面に、アンダーコート層(UCL:Under Coat Layer)、電荷発生層(CGL:Charge Generation Layer)及び電荷輸送層(CTL:Charge Transport Layer)を順次積層することで構成された、光導電性を有する感光体である。感光体ドラム413は、例えば負帯電型の有機感光体(OPC:Organic Photo-conductor)である。
帯電装置414は、光導電性を有する感光体ドラム413の表面を一様に負極性に帯電させる。帯電装置414は、例えば20mm幅を有するストロコロン帯電器である。
露光装置411は、例えば半導体レーザーで構成され、感光体ドラム413に対して各色成分の画像に対応するレーザー光を照射する。レーザー光の照射により感光体ドラム413の電荷発生層で正電荷が発生し、電荷輸送層の表面まで輸送されると、感光体ドラム413の表面電荷(負電荷)が中和される。その結果、感光体ドラム413の表面には、周囲との電位差により各色成分の静電潜像が形成される。
現像装置412は、各色成分の現像剤(例えば、小粒径のトナーとキャリアー(磁性体)とからなる二成分現像剤)を収容しており、感光体ドラム413の表面に各色成分のトナーを付着させることにより静電潜像を可視化してトナー像を形成する。現像装置412における現像ローラー(例えば、φ25mm)は、回転駆動される円筒状の現像スリーブ412A(本発明の「現像剤担持体」として機能)と、現像スリーブ412A内に内挿され、回転しないように現像装置412の筺体に固定された円柱状のマグネットローラーとからなる。
マグネットローラーは、その周方向に沿って複数の磁石が配されてなり、その磁力によってキャリアーが現像スリーブ412Aの外周面上に担持されて搬送され、感光体ドラム413と対向する位置(現像位置)で起立して磁気ブラシが形成される。キャリアーに静電吸着されて搬送されてきたトナーが、当該現像位置において、現像スリーブ412Aと感光体ドラム413との電位差により感光体ドラム413側に移動し、その周面に形成された静電潜像が現像される。
ドラムクリーニング装置415は、感光体ドラム413の表面に摺接されるドラムクリーニングブレードを有する。一次転写後に感光体ドラム413の表面に残存する転写残トナーは、ドラムクリーニングブレードによって掻き取られ、除去される。
表面電位検出部80は、例えば表面電位センサーであり、感光体ドラム413の回転方向における現像スリーブ412Aの下流側、かつ、感光体ドラム1の近傍に配置されている。表面電位検出部80は、帯電装置414により帯電させられた感光体ドラム413の表面上の電位値(表面電位)を非接触で検出し、その検出信号を制御部100に出力する。
中間転写ユニット42は、中間転写体となる中間転写ベルト421、一次転写ローラー422、二次転写ローラー424、駆動ローラー423A、従動ローラー423B、及びベルトクリーニング装置426等を備えている。
中間転写ベルト421は、無端状ベルトで構成され、駆動ローラー423A及び従動ローラー423Bに張架される。中間転写ベルト421は、駆動ローラー423Aの回転により矢印A方向に一定速度で走行する。一次転写ローラー422によって、中間転写ベルト421が感光体ドラム413に圧接されると、中間転写ベルト421に各色トナー像が、相互に重なるように順次転写される(一次転写)。そして、中間転写ベルト421が二次転写ローラー424によって用紙Sに圧接されると、中間転写ベルト421に転写されたトナー像が用紙Sに転写される(二次転写)。
ベルトクリーニング装置426は、中間転写ベルト421の表面に摺接されるベルトクリーニングブレードを有する。二次転写後に中間転写ベルト421の表面に残存する転写残トナーは、ベルトクリーニングブレードによって掻き取られ、除去される。
定着部60は、用紙Sの定着面(トナー像が形成されている面)側に配置される定着面側部材を有する上側定着部60A、用紙Sの裏面(定着面の反対の面)側に配置される裏面側支持部材を有する下側定着部60B、加熱源60C等を備える。定着面側部材に裏面側支持部材が圧接されることにより、用紙Sを狭持して搬送する定着ニップが形成される。
定着部60は、トナー像が二次転写され、搬送されてきた用紙Sを定着ニップで加熱、加圧することにより、用紙Sにトナー像を定着させる。定着部60は、定着器F内にユニットとして配置される。また、定着器Fには、エアを吹き付けることにより、定着面側部材又は裏面側支持部材から用紙Sを分離させるエア分離ユニットが配置されていても良い。
用紙搬送部50は、給紙部51、排紙部52、及び搬送経路部53等を備える。給紙部51を構成する3つの給紙トレイユニット51a~51cには、坪量やサイズ等に基づいて識別された用紙S(規格用紙、特殊用紙)が予め設定された種類毎に収容される。
給紙トレイユニット51a~51cに収容されている用紙Sは、最上部から一枚ずつ送出され、レジストローラー52a等の複数の搬送ローラーを備えた搬送機構52により画像形成部40に搬送される。このとき、レジストローラー52aが配設されたレジスト部により、給紙された用紙Sの傾きが補正されると共に搬送タイミングが調整される。そして、画像形成部40において、中間転写ベルト421のトナー像が用紙Sの一方の面に転写され、定着部60において定着工程が施される。定着工程によりトナー像が定着された用紙Sは、排紙ローラー52aを備えた排紙部52により画像形成装置1の外部に排紙される。
ところで、従来の画像形成装置1においては、感光体ドラム413と現像装置412との組み合わせによっては感光体ドラム413に対する磁気ブラシの擦過力が大きくなる場合がある。この場合、静電潜像が現像されて感光体ドラム413に形成されたトナー像が擦過力の大きい磁気ブラシによって崩されてしまい、特に、ドットスクリーン画像を形成する場合における画質(画像品質)が低下するという問題があった。感光体ドラム413に対する磁気ブラシの擦過力は、感光体ドラム413と現像スリーブ412Aとの間隔(DSギャップ)、現像剤のトナー濃度の耐久状態、温湿度環境の変化による現像スリーブ412A上の現像剤搬送量に応じて変化する。
図3Aは、磁気ブラシの擦過力と、現像スリーブ412Aによるトナー像の形成(磁気ブラシの擦過)の前後における感光体ドラム413の表面電位の低下量との関係を示す図である。図3Aに示すように、感光体ドラム413の表面電位の低下量は、磁気ブラシの擦過力に比例して大きくなる。
磁気ブラシの擦過力が小さい場合(がさつきの悪化領域)、感光体ドラム413の表面電位の低下量は小さくなり、感光体ドラム413に形成されるトナー像(画像)のがさつきは悪化する。ここで、画像のがさつきとは、写真画像のように一様な、または、滑らかな濃度であるべき画像が濃淡のある画像として形成される現象である。画像のがさつきは、主として、現像されたトナー像が磁気ブラシにより擦られ、トナー像を形成しているトナーの一部がはぎ取られ、または、移動する結果として生ずる。
一方、磁気ブラシの擦過力が大きい場合(粒状性の悪化領域)、感光体ドラム413の表面電位の低下量は大きく、感光体ドラム413に形成されるトナー像の粒状性は悪化する。ここで、トナー像の粒状性とは、感光体ドラム413に形成されるトナー像の均一性を表す。なお、磁気ブラシの擦過力が小さくも大きくもない場合、感光体ドラム413の表面電位の低下量は所定範囲(画像良好領域)内に収まり、感光体ドラム413に形成されるトナー像の画質は良好な状態である。
図3Bは、現像スリーブ412Aの回転速度と感光体ドラム413の回転速度との比で表される現像θと磁気ブラシの擦過力との関係を示す図である。図3Bに示すように、磁気ブラシの擦過力は、現像θに比例して大きくなる。
現像θが小さい場合(がさつきの悪化領域)、磁気ブラシの擦過力は小さく、感光体ドラム413に形成されるトナー像には、画像のがさつきが発生する。一方、現像θが大きい場合(粒状性の悪化領域)、磁気ブラシの擦過力は大きく、感光体ドラム413に形成されるトナー像の粒状性は悪化する。
図3Bに示すように、現像θが1である、すなわち現像スリーブ412Aの回転速度と感光体ドラム413の回転速度とが等しい場合、感光体ドラム413に対する磁気ブラシの擦過が生じないため、トナー像の形成(磁気ブラシの擦過)の前後における感光体ドラム413の表面電位の低下量は生じない。現像θが1より大きい、すなわち現像スリーブ412Aの回転速度(例えば、900mm/sec)が感光体ドラム413の回転速度(例えば、450mm/sec)より大きい場合、磁気ブラシが感光体ドラム413の表面より早く移動して擦過することとなるため、磁気ブラシの擦過力ひいてはトナー像の形成の前後における感光体ドラム413の表面電位の低下量が大きくなる。
そこで本実施の形態では、制御部100は、感光体ドラム413の表面電位の低下量により、感光体ドラム413に対する磁気ブラシの擦過力(擦過状態)を判断し、感光体ドラム413の表面電位の低下量が所定範囲(画像良好領域、図3Aを参照)に収まるように、現像スリーブ412Aの回転速度を変更する。
図4A,4Bは、図3A,3Bに示す関係から導かれる関係であって、現像θと、トナー像の形成の前後における感光体ドラム413の表面電位の低下量との関係を示す図である。図4Aは、現在設定されている現像θがθ1である場合、感光体ドラム413の表面電位の低下量が所定範囲(画像良好領域)内に収まっており、感光体ドラム413に形成されたトナー像の画質が良好な状態であることを示している。
図4Bは、現在設定されている現像θがθ1である場合、磁気ブラシの擦過力が大きく、感光体ドラム413の表面電位の低下量が所定範囲(画像良好領域)内に収まっておらず(具体的には、所定範囲の上限より大きく)、感光体ドラム413に形成されたトナー像の粒状性が悪化して当該トナー像の画質が不良な状態であることを示している。
この場合、制御部100は、感光体ドラム413の表面電位の低下量が所定範囲(画像良好領域)の上限以下に収まるように、現像スリーブ412Aの回転速度を変更する。図4Bの例では、制御部100は、現像θがθ1から所定範囲内のθ2に変更されるように、現像スリーブ412Aの回転速度を低下する制御を行う。この制御を行うことによって、静電潜像が現像されて感光体ドラム413に形成されたトナー像が当該磁気ブラシによって崩されてしまい、特に、ドットスクリーン画像を形成する場合における画質(画像品質)が低下することを防止することができる。
図5は、本実施の形態における画像形成装置1の動作例を示すフローチャートである。なお、図5に示す処理は、例えば画像形成のパラメーター値の最適化を非画像形成時に行う画像安定化制御の前に実行される。
まず、表面電位検出部80は、感光体ドラム413の表面上の電位値(表面電位)を非接触で検出し、その検出信号を制御部100に出力する(ステップS100)。制御部100に出力される検出信号に応じた表面電位は、現像スリーブ412Aによりトナー像が形成された後における感光体ドラム413の表面電位である。
次に、制御部100は、表面電位検出部80の検出結果に基づいて、現像スリーブ412Aによるトナー像の形成(磁気ブラシの擦過)の前後における感光体ドラム413の表面電位の低下量(第1の変化量)を算出する(ステップS120)。具体的には、制御部100は、現像スリーブ412Aによりトナー像の形成される前における感光体ドラム413の表面電位(具体的には、あらかじめ設定された帯電電位値、例えば-600V)と、ステップS100において表面電位検出部80から出力された表面電位(例えば-550V)との差分を算出することによって、感光体ドラム413の表面電位の低下量を算出する。
次に、制御部100は、ステップS120またはS200にて算出した感光体ドラム413の表面電位の低下量が所定範囲(画像良好領域)の上限より大きいか否かについて判定する(ステップS140)。本実施の形態では、制御部100は、現像スリーブ412Aによるトナー像の形成の前後における感光体ドラム413の表面電位の低下量ΔVと、当該トナー像の品質との関係を示す品質関係情報を参照して、感光体ドラム413の表面電位の低下量が所定範囲(画像良好領域)の上限(例えば60V)より大きいか否かについて判定する。
図6は、本実施の形態における品質関係情報を示す図である。品質関係情報は、感光体ドラム413の表面電位の低下量に応じた、トナー像(画像)のがさつきの悪化状況と、トナー像の粒状性の悪化状況とを予め実験により求めて生成され、記憶部72に記憶されている。トナー像のがさつきの悪化状況について、○はトナー像のがさつきの悪化が発生しなかったことを示し、×は運用上問題がある重度なトナー像のがさつきの悪化が発生したことを示している。また、トナー像の粒状性の悪化状況について、○はトナー像の粒状性の悪化が発生しなかったことを示し、△は運用上問題がない軽微な粒状性の悪化が発生したことを示し、×は運用上問題がある重度な粒状性の悪化が発生したことを示している。
図6に示すように、品質関係情報には、感光体ドラム413の表面電位の低下量ΔVが小さい場合(ΔV<40)、磁気ブラシの擦過力が小さいため、感光体ドラム413に形成されるトナー像(画像)のがさつきが悪化するとともに、当該トナー像の粒状性も悪化することが規定されている。また、品質関係情報には、感光体ドラム413の表面電位の低下量ΔVが大きい場合(ΔV>60)、磁気ブラシの擦過力が大きいため、感光体ドラム413に形成されるトナー像(画像)のがさつきは悪化しないものの、当該トナー像の粒状性が悪化することが規定されている。以上より、品質関係情報には、感光体ドラム413の表面電位の低下量について画像良好領域を示す所定範囲として、40~60(境界値を含む)が規定されている。
ステップS140における判定の結果、感光体ドラム413の表面電位の低下量が所定範囲の上限より大きくない場合(ステップS140、NO)、制御部100は、感光体ドラム413に形成されるトナー像の画質は良好な状態であると判断する。そして、画像形成装置1は、図5における処理を終了する。
一方、感光体ドラム413の表面電位の低下量が所定範囲の上限より大きい場合(ステップS140、YES)、制御部100は、感光体ドラム413の表面に対する磁気ブラシの擦過力が減少してトナー像の品質が向上するように、現像スリーブ412Aの回転速度を低下させることによって現像θを低下させる(ステップS160)。
次に、表面電位検出部80は、感光体ドラム413の表面電位を検出し、その検出信号を制御部100に出力する(ステップS180)。次に、制御部100は、表面電位検出部80の検出結果に基づいて、現像スリーブ412Aによるトナー像の形成(磁気ブラシの擦過)の前後における感光体ドラム413の表面電位の低下量を算出する(ステップS200)。ステップS200の処理が完了することによって、処理はステップS140の前に戻り、制御部100は、感光体ドラム413の表面電位の低下量が所定範囲(画像良好領域)の上限より大きいか否か、すなわち現像θの低下によって感光体ドラム413の表面電位の低下量が所定範囲内に収まったか否かについて判定する。
以上詳しく説明したように、本実施の形態では、画像形成装置1は、感光体ドラム413(像担持体)の表面に磁気ブラシを摺擦させてトナー像を形成する現像スリーブ412A(現像剤担持体)と、感光体ドラム413の回転方向における現像スリーブ412Aの下流側に設けられ、感光体ドラム413の表面電位を検出する表面電位検出部80と、表面電位検出部80の検出結果に基づいて、トナー像の形成の前後における感光体ドラム413の表面電位の変化量(第1の変化量)を算出する算出部(制御部100)と、感光体ドラム413の表面に対する磁気ブラシの擦過力が減少してトナー像の品質が向上するように、第1の変化量に基づいて現像スリーブ412Aの回転速度を変更する回転速度変更部(制御部100)とを備える。
このように構成した本実施の形態によれば、感光体ドラム413の表面に対する磁気ブラシの擦過力が減少するように、より具体的には感光体ドラム413の表面電位の低下量が所定範囲(画像良好領域)内に収まるように、感光体ドラム413の表面電位の変化量(低下量)に基づいて現像スリーブ412Aの回転速度ひいては現像θが変更(低下)させられる。このような制御を行うことによって、感光体ドラム413に対する磁気ブラシの擦過力が様々な要因で変化しても、静電潜像が現像されて感光体ドラム413に形成されたトナー像が当該磁気ブラシによって崩されてしまい、特に、ドットスクリーン画像を形成する場合における画質(画像品質)が低下することを防止することができる。
なお、上記実施の形態において、感光体ドラム413に対する磁気ブラシの擦過力が大きいことに起因する画質の低下をより確実に防止する観点から、感光体ドラム413の表面電位の低下量から感光体ドラム413の劣化に起因する分を除くことによって、感光体ドラム413の表面を磁気ブラシが摺擦することのみに起因する表面電位の低下量を正確に算出しても良い。上記実施の形態では、感光体ドラム413の劣化に起因する表面電位の低下量に変動がないことを想定しているが、実際には変動するおそれもあり、この場合、当該変動により所定範囲(画像良好領域)も変動してしまうからである。以下、感光体ドラム413の表面電位の低下量から感光体ドラム413の劣化に起因する分を除くための処理について説明する。
図7A,7Bは、現像θと、トナー像の形成の前後における感光体ドラム413の表面電位の低下量との関係を示す図である。図7Aは、現在設定されている現像θがθ1である場合、感光体ドラム413の表面電位の低下量が所定範囲(画像良好領域)内に収まっており、感光体ドラム413に形成されたトナー像の画質が良好な状態であることを示している。
図7Bは、現在設定されている現像θがθ1である場合、磁気ブラシの擦過力が大きく、感光体ドラム413の表面電位の低下量(第1の変化量)が所定範囲(画像良好領域)内に収まっておらず(具体的には、所定範囲の上限より大きく)、感光体ドラム413に形成されたトナー像の粒状性が悪化して当該トナー像の画質が不良な状態であることを示している。
制御部100は、現像θの値を複数の異なる値(図7A,7Bの例では、θ2およびθ3)にそれぞれ変化させた場合における表面電位検出部80の検出結果に基づいて、現像θがθ2,θ3である場合における感光体ドラム413の表面電位の低下量も算出する。そして、制御部100は、現像θがθ1,θ2,θ3である場合における感光体ドラム413の表面電位の低下量に応じた1次近似線L(図7A,7Bを参照)を生成する。
次に、制御部100は、生成した1次近似線Lから、現像θが1である場合においてトナー像の形成の前後における感光体ドラム413の表面電位の低下量(0点、縦軸と1次近似線Lとの交点)を第2の変化量として算出する。この第2の変化量は、感光体ドラム413の表面電位の低下量のうち感光体ドラム413の劣化に起因する分に相当する。
そして、制御部100は、現像θがθ1である場合における感光体ドラム413の表面電位の低下量(第1の変化量)と、現像θが1である場合における感光体ドラム413の表面電位の低下量(第2の変化量)との差分が所定範囲(画像良好領域)内に収まっていれば(図7Aを参照)、感光体ドラム413に形成されるトナー像の画質は良好な状態であると判断する。
一方、第1の変化量と第2の変化量との差分が所定範囲(画像良好領域)内に収まっていなければ(図7Bを参照)、制御部100は、感光体ドラム413に形成されるトナー像の画質は良好な状態でないと判断する。そして、制御部100は、感光体ドラム413の表面に対する磁気ブラシの擦過力が減少してトナー像の品質が向上するように、現像スリーブ412Aの回転速度を低下させることによって現像θをθ1から所定範囲内のθ4に低下させる。
図8は、感光体ドラム413の表面電位の低下量から感光体ドラム413の劣化に起因する分を除いて制御を行う場合における画像形成装置1の動作例を示すフローチャートである。なお、図8に示す処理は、例えば画像形成のパラメーター値の最適化を非画像形成時に行う画像安定化制御の前に実行される。
まず、表面電位検出部80は、現在設定されている現像θがθ1(例えば、2)である場合において、感光体ドラム413の表面上の電位値(表面電位)を非接触で検出し、その検出信号を制御部100に出力する(ステップS300)。
次に、制御部100は、表面電位検出部80の検出結果に基づいて、現像スリーブ412Aによるトナー像の形成(磁気ブラシの擦過)の前後における感光体ドラム413の表面電位の低下量(第1の変化量、例えば65V)を算出する(ステップS320)。
次に、現像θの値を複数の異なる値、つまりθ2(例えば、1.8)、θ3(例えば、2.2)にそれぞれ変化させた場合における表面電位検出部80の検出結果に基づいて、現像θがθ2,θ3である場合における感光体ドラム413の表面電位の低下量(例えば、θ2において55V、θ3において75V)を算出する(ステップS340)。
次に、制御部100は、現像θがθ1,θ2,θ3である場合における感光体ドラム413の表面電位の低下量に応じた1次近似線L(図7A,7Bを参照)を生成する(ステップS360)。
次に、制御部100は、ステップS360において生成した1次近似線Lから、現像θが1である場合においてトナー像の形成の前後における感光体ドラム413の表面電位の低下量(0点)を第2の変化量(例えば、15V)として算出する(ステップS380)。
次に、制御部100は、現像θがθ1である場合における感光体ドラム413の表面電位の低下量(第1の変化量)と、現像θが1である場合における感光体ドラム413の表面電位の低下量(第2の変化量)との差分(ΔV)を算出する(ステップS400)。
次に、制御部100は、ステップS400またはS500にて算出した差分(例えば、50V)が所定範囲(画像良好領域)の上限(例えば、45V)より大きいか否かについて判定する(ステップS420)。具体的には、制御部100は、第1の変化量と第2の変化量との差分(ΔV)と、磁気ブラシの擦過力に起因するトナー像の品質との関係を示す品質関係情報を参照して、ステップS400またはS500にて算出した差分が所定範囲(画像良好領域)の上限より大きいか否かについて判定する。
図9は、品質関係情報を示す図である。図9に示すように、品質関係情報には、第1の変化量と第2の変化量との差分(ΔV)が小さい場合(ΔV<25)、磁気ブラシの擦過力が小さいため、感光体ドラム413に形成されるトナー像(画像)のがさつきが悪化するとともに、当該トナー像の粒状性も悪化することが規定されている。また、品質関係情報には、第1の変化量と第2の変化量との差分(ΔV)が大きい場合(ΔV>45)、磁気ブラシの擦過力が大きいため、感光体ドラム413に形成されるトナー像(画像)のがさつきは悪化しないものの、当該トナー像の粒状性が悪化することが規定されている。以上より、品質関係情報には、第1の変化量と第2の変化量との差分(ΔV)について画像良好領域を示す所定範囲としてとして、25~45(境界値を含む)が規定されている。
ステップS420における判定の結果、差分が所定範囲(画像良好領域)の上限より大きくない場合(ステップS420、NO)、制御部100は、感光体ドラム413に形成されるトナー像の画質は良好な状態であると判断する。そして、画像形成装置1は、図8における処理を終了する。
一方、差分(例えば、50V)が所定範囲(画像良好領域)の上限より大きい場合(ステップS420、YES)、制御部100は、感光体ドラム413の表面に対する磁気ブラシの擦過力が減少してトナー像の品質が向上するように、現像スリーブ412Aの回転速度を低下させることによって現像θをθ1からθ4(例えば1.6)に低下させる(ステップS440)。
表面電位検出部80は、ステップS440による変更後の現像θにおいて、感光体ドラム413の表面上の電位値(表面電位)を非接触で検出し、その検出信号を制御部100に出力する(ステップS460)。
次に、制御部100は、表面電位検出部80の検出結果に基づいて、現像スリーブ412Aによるトナー像の形成(磁気ブラシの擦過)の前後における感光体ドラム413の表面電位の低下量(第1の変化量)を算出する(ステップS480)。
次に、制御部100は、現像θがθ1である場合における感光体ドラム413の表面電位の低下量(第1の変化量)と、現像θがθ4である場合における感光体ドラム413の表面電位の低下量(第2の変化量)との差分(ΔV、例えば25<30(V)<45)を算出する(ステップS500)。ステップS500の処理が完了することによって、処理はステップS420の前に戻り、制御部100は、ステップS500にて算出した差分(例えば、30V)が所定範囲(画像良好領域)の上限(例えば、45V)より大きいか否か、すなわち現像θの低下によって感光体ドラム413の表面電位の低下量が所定範囲内に収まったか否かについて判定する。
以上より、感光体ドラム413の劣化に起因する表面電位の低下量に変動が生じても、感光体ドラム413の表面を磁気ブラシが摺擦することのみに起因する表面電位の低下量を正確に算出して制御を行うことができる。その結果、感光体ドラム413に対する磁気ブラシの擦過力が大きいことに起因する画質の低下をより確実に防止することができる。
また、上記実施の形態では、何れも本発明を実施するにあたっての具体化の一例を示したものに過ぎず、これらによって本発明の技術的範囲が限定的に解釈されてはならないものである。すなわち、本発明はその要旨、またはその主要な特徴から逸脱することなく、様々な形で実施することができる。