JP2007330913A - 焼酎粕の処理方法及び処理装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】焼酎粕を公害防止規定を満たし放流可能な水と有用な乾燥された粉粒状飼料資源等に、効率よく固液分離する焼酎粕の処理方法及び処理装置を提供する。
【解決手段】焼酎粕とビール粕とを混合した混合物を、該廃棄物中の蒸発成分と固形廃棄物との固液分離を減圧脱水乾燥する工程と、蒸発成分の溜出物は冷却捕集し微量の残留アルコール等と水の公害防止規定を満たす放流可能な水とに分離する工程とからなり、固形廃棄物は有用な乾燥された粉粒状飼料資源等として再生回収する焼酎廃液の処理方法及び装置を構成するものである。
【選択図】図1

Description

本発明は、焼酎粕(焼酎蒸溜廃棄物)を公害防止規定を満たし放流可能な水と有用な乾燥された粉粒状飼料資源等に効率よく固液分離する焼酎粕の処理方法及び処理装置に関するものである。
日時絶え間なく生成される焼酎粕は、10%前後の有機物を包含し河川に放流することは不可であり、また従来実施されていた海洋投棄も環境を汚染するため、禁止されることになった。
従って、10%前後の固形分を含有する焼酎粕を河川等に放流することができる清浄化処理を行った水と、保管、貯蔵、搬送に適し、再使用時の使い勝手の良い状態にし嵩を減量した(乾燥された粉粒状体が望ましい)固形物とに固液分離する廃棄物処理技術の開発が急務である。
それゆえ、焼酎粕の廃棄物処理法の開発に努力が払われ、多くの提案があるが、従来技術では充分効率的で確実な処理方法がなかった。
焼酎粕は、その原料により性状が異なるが、性状が固形分濃度20%程度で、流動性を消失し、粘稠且つ粘着性の強いペースト状スラッジとなり、更にペースト状スラッジは、熱伝導性が悪く、加熱面に張り付いた薄層部のみが加熱され、加熱面に焦げ付きを起し、ペースト状スラッジを均等に昇温出来ず、焼酎粕の濃縮、乾燥が進行を阻害するのみならず、かかる状態で局部加熱されるため、突沸が起こり、スラッジを濃縮乾燥系全体に飛散させ、汚染し、以後、更に濃度上昇と共にその傾向を増大する難濃縮乾燥の難固液分離性になり、更に速やかに固液分離し固形分の廃棄物を充分な乾燥状態にしないと腐敗し、更なる公害を発生する厄介な廃棄物である。また、焼酎粕は重量が大きく、廃棄するのに運搬性が悪い。
それゆえ、焼酎粕処理の実施のために、過去多くの開発努力が払われ、これに対応した加熱濃縮乾燥方式による処理法の開発努力や、加熱濃縮乾燥方式の困難さより、視点を代えて、加熱濃縮乾燥法によらない固液分離法の開発、固形分の分解による無害化の方策の開発、従来の汚水処理システムを適用できるように改修する試みがなど多くの開発努力が払われてきた。
かかる従来技術の概要を総括すると、例えば、
(a)「焼酎蒸溜廃液+第3物質+活性菌」による固液分離促進廃液処理法の開発例
焼酎廃液+植物繊維製品(オカラ、ヌカ、フスマ、脱穀粕など)+トリコスポロン菌(トリコスポロン菌を用い固液分離容易とする、例、特開平7−148497号公報)
焼酎蒸溜廃液+鶏糞(水分蒸発を容易とし固形分を発酵肥料化、例、特開平6−316478号公報)
焼酎廃液+第3物質(オカラ、ヌカ、フスマ、鶏糞など)+イエバエ幼虫(廃液中固形物をイエバエ幼虫に食わせ有用な生物物質と消化残渣化、例、特開平9−47231号公報)
焼酎廃液+土壌資材(鹿沼土、ビートモス、腐葉土など)+土壌菌(上記組合せの廃棄物に土壌菌を作用させ液中の水分蒸発を促進、例、特開平11−207371号公報)
篩による焼酎廃液炉別(繊維質物質改修→炉液+デキストリン→噴霧乾燥
→篩による未発酵繊維状固形物の除去→濾液(焼酎廃液と定義)+デキストリン→噴霧乾燥(デキストリンにより廃液中有機成分を分解しアミノ酸を多量に含む有用物質化する、例、特開2005‐213157号公報)
(b)焼酎廃液を含有水分率に低い物質と混合し乾燥する廃液処理方法の開発例
焼酎蒸溜廃液+第3物質(オカラ、ヌカ、フスマ、粉穀、おが屑など)混練押出し機で強制加熱、混練、脱水乾燥、造粒し家畜用飼料に(例、特開平10−286067号公報)
焼酎蒸溜廃液+第3物質(オカラ、ヌカ、フスマ、粉穀、おが屑など)、(強制風乾、例、特開2000−140812号公報)
焼酎蒸溜廃液+稲わら→混合粉砕→圧搾し固液分離→「分離固形分+穀物類」飼料→「圧搾炉液+微生物培養」飼料(例、特開2002−142686号公報)
(c)既存の汚水処理装置あるいは廃棄物処理装置に焼酎廃液処理に適応できるように手を加えた焼酎廃液処理方法の開発例
廃液濃縮装置と炭化乾燥装置より構成される廃液処理法(廃液を強引に濃縮し、濃縮された廃液を更に炭化乾燥する、例、特開平11−108553号公報)
焼酎廃液の強引な焼却処理による処理方法及び該焼却装置(例、特開平10−115411号公報)
焼酎廃液の加熱処理―濾別による固液分離―濾液を生物処理して無害化放流
(濾別を容易にするため廃液の高温処理し、濾過により固液分離、濾液は生物処理で無害化、例、特開2001−310187号公報)
焼酎蒸溜廃液処理に適応すべく既存汚水処理システムを改修した処理法(処理システムは、嫌気処理→曝気処理→硝化、脱窒→分離膜による濾過分離→光触媒による濾液内有機物の酸化分解→活性炭使用の処理水浄化、例、特開2004−97858号公報)
(d)焼酎蒸溜廃液の減圧濃縮乾燥による処理方法の開発例
焼酎蒸溜廃液の固液分離を減圧(真空)乾燥法適用の廃液処理方法開発例
麦、蕎麦焼酎蒸溜廃液等固形分が粘稠でなく扱い易い廃液の減圧乾燥廃液処理法として、真空乾燥固液分離法の適用(例、特開平6−76号公報)
焼酎蒸溜廃液固形分の濃縮乾燥過程で粘稠、粘着性の高いペースト状スラッジを呈する芋焼酎蒸溜廃液をも含む廃液処理方法に対する固液分離法の適用(例、特開平7−184629号公報及び特開平7−194363〜特開平7−194365号公報)
特開平7−184629号公報:粘稠、粘着性ペースト状スラッジを濃縮乾燥槽機壁に張り付かせ焦げ付きや、不均等加熱をおこさせず、突沸による飛沫汚染をおこさせずに濃縮乾燥可能とする濃縮乾燥層の開示
特開平7−194363号公報:前記公開公報に開示された濃縮乾燥槽を用いる焼酎蒸溜廃液処理を実施するプロセス及び装置全体像を開示する。
特開平7−194364号公報:前記公開公報に開示したプロセスにおいて、廃液の濃縮乾燥層の加熱、加温の熱源として、焼酎製造時の焼酎蒸留装置における蒸溜物冷却用コンデンサー冷却排水活用を規定した衛星公報
特開平7−194365号公報:前記基本公報に開示したプロセスにおいて、粘稠、粘着性ペースト状スラッジの濃縮乾燥の内容物の突沸によるミスト汚染を防止するためのミストセパレーターの設置とその構造を規定したものである。
このように焼酎蒸溜廃液処理法としては、多くの発明が開示され提供されている。
引用特許文献リスト:
特開平7−148497号公報 特開平6−316478号公報 特開平9−47231号公報 特開平11−207371号公報 特開2005−213157号公報 特開平10−286067号公報 特開2000−140812号公報 特開2002−142686号公報 特開平11−108553号公報 特開平10−115411号公報 特開2001−310187号公報 特開2004−97858号公報 特開平6−76号公報 特開平7−184629号公報 特開平7−194363号公報 特開平7−194364号公報 特開平7−194365号公報
焼酎粕(焼酎蒸溜廃液)は、10%前後の有機物を包含するので、固液分離を行い、清浄水と乾燥状態の固形物(出来得れば再利用化の有用資源に)とに分離することが環境維持のため必須である。
焼酎粕の性状は、
(1)固形分濃度20%以上から流動性を失ったペースト状スラッジとなる。
(2)ペースト状スラッジは、極めて親水性の高い緻密微細粒子よりなる、極めて高い粘稠性、粘着性を有する物であり、濾過、圧搾による固液分離が極めて困難である。
(3)加熱による濃縮、乾燥も濃縮乾燥機器壁に接触部が張り付き、局部加熱され焦げ付きを生じ、且つ熱伝導悪く、均等加熱がし難いこと、更に局部加熱による突沸により被濃縮乾燥物飛沫を濃縮乾燥系、真空排除系全体に撒き散らし、溜出水の汚染を招くミスト汚染が発生する。更に乾燥終期において、乾燥物が微粉末として系内を漂い、溜出水ミスト汚染するなど問題点多く、濃縮乾燥による固液分離も極めて難しい。
(4)焼酎醸造時に生成する蒸溜残渣は、速やかに固液分離し、含有有機物(固形物)を乾燥状態にしない限り腐敗を起こし、更なる環境汚染を起す厄介な廃棄物である。
従って、前記引用文献に開示されたように多くの提案がなされたのである。
しかながら、前記引用文献の開示される廃液処理技術は、廃液の固液分離、有効分離回収、固形物への転換に対し、一応の効果成果は示すものの、
(1)前記引用文献のグループ(a)〜(b)に属する開示技術は、廃液処理実施方策の道筋は提供するが、多量の廃液処理における安定処理能力、回収された有益分離固形物が長期保管に耐え安定に品質管理、保証が出来る乾燥状態の物でない点などで、廃液処理技術として開発未完結であり、精々ローカルに使用できる程度のもので、安定した定常的に操業し、滞りなく廃液処理を継続できる域には達していないものである。
(2)前記引用文献のグループ(c)に属する開示技術は、エネルギー効率を無視した腕力に任せた処理法である傾向を有するものか、焼酎醸造蒸溜廃液処理には適用の可能性に疑問を有するものであり、同じく安定した定常的に操業し、廃液処理を継続できる域には達していないものである。
(3)前記引用文献のグループ(d)に属する開示技術は、焼酎蒸溜廃液の減圧(真空)濃縮乾燥法による固液分離を実施する方法を開示するものであり、難濃縮乾燥性の廃液を焦げ付きを起さず、ミスト汚染を起さずに清浄な溜出水と完全乾燥された固形分に、固液分離する装置に工夫を加え実現可能な状態として開発し開示しているが、処理対象廃液の性状改善に何ら配慮せず、装置上の工夫で何とか実施可能状態に漕ぎ着けることに留意しているため、効果に限界があり不充分で、操業安定性における苦しさは排除できず、より一層の改善が望まれるものである。
かかる観点に立ち、上記問題点を解消した焼酎粕の処理法開発を目指し、本発明に到ったのである。
本発明は、前記の課題を解消し、安定効率的な焼酎粕処理方法及び処理装置として、下記の処理方法及び処理装置を発明した。即ち、
1.焼酎粕とビール粕とを混合した混合物を、蒸発成分と固形物との固液分離を減圧脱水乾燥する工程と、蒸発成分の溜出物は冷却捕集し微量の残留アルコール等と公害防止規定を満たす放流可能な水とに分離する工程とからなり、固形物は有用な乾燥された粉粒状有機飼料資源として再生回収する焼酎粕の処理方法である。
2.焼酎粕とビール粕とを混合した混合物を貯蔵用ホッパーから、内部に蒸気を通し前記混合物を加熱しうる攪拌翼を備え下部に加熱用ジャケットを有する2重構造の減圧脱水乾燥槽に供給し、溜出蒸気を冷却凝集捕捉する冷却凝縮用コンデンサーと真空ポンプとにより蒸発成分と固形物とに固液分離するとともに、前記混合物の濃縮乾燥中に飛散し溜出蒸気と共に溜出し溜出水に混入する飛散物をディスクセパレーターにより乾燥粉末として捕捉分離し、前記固液分離により分離された粉粒状固形成分を取り出す焼酎粕の処理方法である。
3.焼酎粕とビール粕とを混合した混合物を貯蔵するホッパーと、内部に蒸気を通し前記混合物を加熱しうる攪拌翼を備え、下部に加熱用ジャケットを有する2重構造の減圧脱水乾燥槽と、溜出蒸気を冷却凝集捕捉するコンデンサーと、真空ポンプと、前記溜出蒸気と共に溜出し溜出水を汚染する飛散物の乾燥粉末を捕捉分離するディスクセパレーターとの構成よりなる焼酎粕の処理装置である。
4.前記処理装置におけるディスクセパレーターは、底部に減圧脱水乾燥槽の溜出蒸気の真空排気孔と接続した連結管が配設され、円筒状ディスクセパレーター本体内部に、溜出蒸気と共に流出するミストを捕捉するための円板をジャバラ状に連続した捕捉体が装着され、該ディスクセパレーター円筒上部を密閉し、該円筒状ディスクセパレーターは上端部に真空排気系に通じる排気口排気配管を配設し、該ディスクセパレーターにおける捕捉体は、支持軸に交互の向きに固定され格子状又は孔状に形成された焼酎粕の処理装置である。
減圧脱水乾燥装置にかかるディスクセパレーターを設置することは、被減圧脱水乾燥物の性状が低濃度域より流動性を消失し、且つ極めて親水性高い緻密微細粒子よりなる極めて高い粘稠性、粘着性を有するペースト状スラッジとなるものであり、減圧脱水乾燥槽器壁面への被減圧脱水乾燥物の接触面の貼り付き、焦げ付きが生じ易く、且つ熱伝導性が悪いため、均等加熱を障害し、更にこの局部加熱により突沸を起こさせ、被減圧脱水乾燥物飛沫、ミストを減圧脱水乾燥系、真空排除系全体に撒き散らし、又溜出水の汚染を招き、更に乾燥終期において得られる乾燥物も微粉末状となり、系内を漂い、処理装置全体及び溜出水の汚染を引き起こし易い性状の物であるため、かかるディスクセパレーターの設置が必須となるのである。
ミスト捕捉を完全にするため、緻密なメッシュのネットや、公知の濾布フィルターなどを使用すれば、短時間で目詰まりを起こして操業不能となるのであり、この課題解決のために、種々研究の結果、蒸溜充填塔の充填物を充填した構造物をミスト捕捉体とすることが極めて有効であることを見出したのである。
この際、ミスト捕捉効果は、充填体の形状、大きさ、充填量、充填密度などの選定で任意に調整選択できるし、充填体形態構造をベルルサドル、インターロックスサドル形態など付着したミストの掃除、洗浄、除去の容易なものにしておけば、簡単な洗浄作業で容易に再生使用が可能で極めて有効であり、本発明の要件の効果・意義は極めて大きい。
なお、ディスクセパレーターで使用するベルルサドル、インターロックスサドル形態充填体は、任意の称呼寸法規格品の物から選択できるが、ミスト捕捉の目的には称呼寸法の小さなものを選択する必要もなく、38〜75mmの大きな称呼寸法の物を選定して、空隙率が大きく取れ、目詰まりが起こり難く圧損も少なくミスト捕捉効果も充分である。
4.また、本発明の焼酎粕処理法実施に際しては、焼酎粕とビール粕配合混合比率は、それぞれの固形分比率で1:0.7以上である混合物を、本発明の処理装置の減圧脱水乾燥槽に供給し減圧脱水乾燥を行い、廃液の固液分離を行う。
なお、本発明において、焼酎粕とビール粕の固液分離処理に際し、焼酎粕にビール粕を前記規定の配合比率として固液分離処理を実施することの効果は極めて大きい。その効果は既に記載した通り、焼酎粕は、固形分濃度約20%付近より流動性を失い、極めて親水性高い緻密微細粒子よりなる、極めて高粘稠性、粘着性を有するペースト状スラッジとなり、加熱による減圧脱水乾燥の際に、減圧脱水乾燥槽器壁面に被減圧脱水乾燥物の接触層が、張り付き、局部加熱され焦げ付きを生じ、且つ熱伝導性が悪く均等加熱を障害し、更に局部加熱により突沸をおこさせ、被減圧脱水乾燥物飛沫、ミストを減圧乾燥系、真空排除系全体に撒き散らし、溜出水の汚染を招き、更に乾燥終期において乾燥物が微粉末として系内を漂い、溜出水を汚染する障害を発生する。
この際、本発明に規定するように、焼酎粕にビール粕を配合すると、減圧脱水に伴う強粘稠性、粘着性のペースト状スラッジ化が回避され、流動性の消失が防止でき、減圧脱水乾燥過程における攪拌効果が増大し、減圧脱水乾燥槽器壁面への被減圧脱水乾燥物の接触面の貼り付き、焦げ付きが生じなくなり、加熱の均等性が改善され、減圧脱水乾燥効率が大幅に改善され、不均等加熱に基づく突沸による被減圧脱水乾燥物の飛沫、ミスト飛散による、脱水乾燥系、減圧排気系、流出水へのミスト汚染を回避できるである。
更に、乾燥終期においても、ビール粕が焼酎粕固形分を結合抱合した状態となるため、完全に乾燥しても、焼酎粕を単独で固液分離し、乾燥固形分を得る場合のように、乾燥固形物の微粉末が系内全体を漂い、脱水乾燥系、減圧排気系、流出水へのミスト汚染を起こすトラブルが回避できるのである。
焼酎粕におけるビール粕を選定する根拠は、前記の効果に加え、本焼酎粕の固形分を分離、回収し、有効資源として再生する際の対象物としての有機飼料、有機肥料又はそれ等の原材料を考える際、ビール粕自体も有機飼料、有機肥料又はそれ等の原材料として適合性が高いこと、更に本発明で得る焼酎粕固形分回収、再生品の有用資源としての商品化を考慮する時、その商品品質の一定、安定、管理、保証面からも、配合相手が品質が管理された一定の物が定常的に多量に安定して供給される必要があり、ビール粕はこれら全てを満足するものである。
また、配合比率範囲の選定は、焼酎粕の原材料により定まる性状に対応すべく選定した。即ち、焼酎粕が高粘稠性、高粘着性の難減圧脱水乾燥してペースト状スラッジとなる焼酎粕は、減圧脱水乾燥過程での器壁への被減圧脱水乾燥物の貼り付き、焦げ付き防止と攪拌効率改善、突沸によるミスト生成、乾燥回収物の粉粒化の容易性、乾燥固形分のミスト飛散による汚染防止を考慮し、焼酎粕とビール粕配合混合比率は、それぞれの固形分比率で1:0.7以上であるビール粕高配合比側を選択すればよい。
1.多量に日時生産される焼酎粕は、多量の有機物を包含するので、そのまま破棄、放流することは、環境汚染を引き起こすため不可能であり、更に、固液分離が困難な性状を有し、そのためにその処理法として開発された方法の多くも、固液分離不充分で完全な乾燥状態で固形分を分離出来ないため、嵩高、高粘稠、粘着性で腐敗性の高いペースト状スラッジとして固形分を分離する程度であるので、分離固形分が飼料、肥料資源として有効であるが、搬送性、取扱い性に欠け、生成現地での局地利用に限定され、多量の生成物を即日定常的に消費、活用できず、速やかに流通、消費しないと含水ペースト状スラッジの腐敗が進行し、更なるより悪質な環境汚染を引き起こす状態にあったが、本発明の処理法により、清浄流出水と、完全乾燥された長期保存も可能な飼料或いは肥料又はそれら原材料用粉粒状体として分取することを可能とし、永年の課題であった該焼酎粕による環境汚染問題解消と、その有効資源としての再生を一挙に解決することを可能としたのである。
2.処理対象物の性状が、20%程度に濃縮された時点で流動性を消失し、極めて粘稠、粘着性の高いペースト状スラッジと化するため、濾過法による固液分離法適用は不可能で、一方、加熱減圧脱水、乾燥法適用に際しては、高粘稠・粘着性で熱伝導性の悪いペースト状スラッジは、加熱減圧脱水乾燥機壁面に被減圧脱水乾燥物が貼り付き、焦げ付きを生じ、局部加熱を起こさせ、更に局部加熱に基づく被減圧脱水乾燥物の突沸により、該減圧脱水乾燥系及び蒸発、蒸溜分離する溜出液排出系全体をも汚染し、蒸溜分取した溜出水も汚染する難固液分離性状の物であるが、本発明の処理方法は、これら難問を解決し、かかる性状の廃液を効率よく迅速、完全に固液分離し、焼酎蒸溜廃液中の液体成分を完全に清浄化され、河川等に放出するに充分な環境基準を満たす清浄水となし、また、廃液中の固形成分を完全に乾燥された安定して長期保存も可能な飼料或いは肥料又はそれら原材料用粉粒状体として分取するまでの完全完結プロセスを開示、提供したである。
3.本発明の方法は、焼酎粕の固液分離を減圧脱水乾燥法により実施するため、省エネルギー、操業効率の優秀なコンパクトな一体完全完結型のプロセスであり、更に、プロセスを構成する装置は、設置面積も少なく、運転コストの少ない操業、管理容易の処理能力の高い処理装置である。
本発明の焼酎廃液の処理を実施する代表例装置を以下に図示し説明する。
なお、開示した装置に対し、装置構成内容と、その機構、操作に対する説明も行うことにより、本発明のプロセスの解説と効果の実証を行う。
図1には、本発明の焼酎蒸溜廃液処理装置の構成概要を示す代表例の装置を示している。
以下、図1に示した焼酎粕処理装置に従い、本発明のプロセス構成ユニットの機能、作用を説明し、本発明プロセスの操作法の概要を解説する。
図1における撹拌翼101を有するホッパーからなる「焼酎粕+ビール粕」混合・供給装置1を用い、被減圧脱水乾燥物、即ち焼酎粕とビール粕を処理する焼酎粕原料組成内容に従い「焼酎粕固形分/ビール粕固形分」=1:0.7以上の割合で混合し、本発明の焼酎粕処理装置の減圧脱水乾燥槽2に供給する。
蒸溜廃液における固形成分の性状に基づき、減圧脱水乾燥過程におけるペースト状スラッジが強粘稠、粘着性となるため、攪拌の容易さ、均等加熱性を維持し、焦げ付き防止、不均等加熱に基づく突沸を防止し、突沸による被減圧脱水乾燥物の飛沫飛散による乾燥系全体及び分離した溜出水のミスト汚染を抑制、防止するために、処理構成組成「焼酎粕/ビール粕」をビール粕混率リッチ側に設定する。 また、乾燥末期の固形分乾燥物微粉の漂いによる汚染防止に配慮するときは、「焼酎粕/ビール粕」組成は、ビール粕混率を低く設定すればよい。
焼酎粕とビール粕と混合し粉末状とするためのビール粕混合量の最適値(最小値)を求めるための実験をした。
ここで、焼酎粕は水分量90重量%、固形分10重量%、比重1.034であり、ビール粕は水分量61重量%、固形分39重量%、比重0.65であった。
なお、焼酎粕の固形分は、10〜13重量%、ビール粕の固形分は、35〜40重量%の範囲でバラつく。
Figure 2007330913
上記実験結果より、焼酎粕1に対してビール粕は0.7以上ないとパサパサにならない。実際には、焼酎粕1、ビール粕とも水分量にばらつきがあるから、焼酎粕1に対してビール粕は0.75以上の割合で混合することが望ましい。
所定割合に混合された「焼酎粕+ビール粕」を投入ポンプ102により(本実施例では焼酎粕を対象とし配合比=1:0.75とした)加温用ジャケット201付き2重缶構造の減圧脱水乾燥槽2中に、先ずその槽内容積の1/3量程度の量を供給し、減圧脱水乾燥槽2に設置した攪拌用モータ202を駆動して槽内に設置した攪拌翼203を駆動し、注入粕の攪拌を開始し、スチーム管204を経て駆動軸205に導入された蒸気とジャケット201内にスチーム管204より所定温度にコントロールした蒸気を供給して加温し、真空ポンプPを作動させ、(例えば、減圧真空乾燥操業条件を70mmHgとする場合は、水の沸点は43℃、加温水温度は100〜120℃が妥当)粕の減圧脱水乾燥に取り掛かる。
なお、加温用ジャケット201で加温を行った使用済みの加温水は、加温水回収(戻り)配管206を通じてスチームドレン出口207へ排出される。この循環により減圧脱水乾燥槽温度を所定温度に維持加温し減圧脱水乾燥を続行する。
減圧脱水乾燥槽2内の「焼酎粕+ビール粕」は、焼酎粕にビール粕が混合されているため、減圧脱水乾燥過程で強粘稠、粘着性化することが抑制され、減圧脱水乾燥槽2の壁面への貼り付き、焦げ付き、局部加熱の発生も抑制され、局部加熱に基づく突沸による廃液、スラッジの飛沫飛散も抑制され、ミスト汚染が抑制されるので、操業性が改善される。
このように、本発明における「焼酎粕とビール粕を混合して減圧脱水乾燥を実施する」という構成要素は、難減圧脱水乾燥の焼酎粕の減圧脱水乾燥を容易にする上で極めて重要なものある。
しかしながら、ミスト汚染は完全に排除、解決されたのではないので、本発明の廃液処理装置においては、減圧脱水乾燥槽2と溜出物冷却凝縮器3(コンデンサー)間に、ディスクセパレーター4を設置し、溜出物と共に飛散、溜出するミストを完全に捕捉、除去できるよう設計、設置した。
かくして、廃液中の液状成分は蒸発して、ディスクセパレーター4及び溜出水冷却凝縮器(コンデンサー)3を経由し、冷却凝縮され、真空ポンプPを経てミストを伴わない清浄水(主として水、一部のアルコールなど揮発性有機物)として、バッファタンク5に捕集される。
処理物の組成が「焼酎粕/ビール粕」=1:0.8の実施例の場合、減圧脱水乾燥槽2の槽内容量の1/3まで供給し、濃縮乾燥を開始するが、溜出水重量が当初供給量の1/2程度以下になった時、「焼酎粕+ビール粕」混合供給装置1を駆動させ、先に供給したと同様の配合比の「焼酎粕+ビール粕」を、再び減圧脱水乾燥槽2の容量の1/3に到るまで追加し減圧脱水乾燥を継続する。
溜出水冷却凝縮器3からバッファタンク5への溜出水の溜出が終了した時点で、減圧脱水乾燥槽2と減圧(真空)排気系10の運転を停止し、減圧脱水乾燥槽2の底部の乾燥物出口207より乾燥された粉粒状固形物を取り出し、その後再び前記と同様操作で「焼酎粕+ビール粕」の廃液処理を再開する。
該乾燥物は、完全に乾燥された長期保管、輸送にも耐え得る粉粒状乾燥固形である。
本発明の廃液処理装置におけるディスクセパレーター4の配置関係は、図1に、その構造の概要は図2に示す。
ディスクセパレーター4は外搭401とその内部に挿入設置した円板をジャバラ状に連続したディスク411からなり、ディスク411は支持軸412に装着され、ディスク411は、図3に示すように、SUS製格子416又は孔が形成されている。
ディスクに変えて、図4に示すように、円塔状ミストセパレーター本体内壁にほぼ隙間なく挿入できる外径のSUS製円筒414の底面に、内部に充填する充填材415を充填保持でき流出蒸気を抵抗なく通過させうるSUS製格子を円筒底面として取り付けたものであってもよい。そして、その内部にはミストを捕捉するためのベルルサドル、インターロックスサドル形態の充填材415が充填されている。
内部にはミストを捕捉するためのベルルサドル、インターロックスサドル形態の充填材415が充填されているミスト捕捉体は、空隙率が大きく流体通過圧損が小さい割に充填表面積が大きく、ミストの捕捉効率が大きく、称呼寸法の大きな充填体を充填しても充分なミスト捕捉が可能であり、完全なミスト捕捉が達成できる上、金網や濾布構造のミスト濾過体と異なり、容易に目詰まりをおこし再生不能となることなく、充填材を取り出し、ミストを捕捉吸着付着したディスクフィルタは、コンデンサー3の冷却用冷却水入口301から供給された冷却水を供給管303を介して逆洗しその表面を洗浄掃除すれば、容易に完全復元し再使用できる極めて効果的ミスト捕捉体を形成するのである。排水は、逆洗タンク407に収容され、出口408を経て排出される。
バッファタンク5に捕集される溜出水は、ミストを伴わないほぼ清浄な溜出水ではあるが、若干のアルコール成分と有機物を含有するので、実施例で示すプラントには、更にpH調整や薬剤処理をして清浄化するための装置を設置したプラントを構成してもよい。
なお、バッファタンク5に貯水された溜出水を清浄化した後の処理水の水質は次表に示す通りである。
Figure 2007330913
上記のように、本発明の処理装置を用いた処理法により焼酎粕の処理が、容易、迅速、効率的且つ経済的に完結して実施できる。
本発明は、焼酎醸造工業で生じる焼酎粕の処理に有効であり、環境汚染防止に役立つ。
本発明の概要を示す焼酎粕処理装置フローシートである。 該焼酎粕理装置におけるディスクセパレーターの構成図である。 ディスクの正面図である。 ディスクセパレーターの底面図である。
符号の説明
1 「焼酎蒸溜廃液+ビール粕」混合・供給装置
2 減圧脱水乾燥槽
201 減圧脱水乾燥加熱用2重缶構造ジャケット
202 攪拌用モータ
203 攪拌翼
204 スチーム管
205 駆動軸
206 加温水回収配管
207 乾燥物出口
3 溜出水冷却凝縮器(コンデンサー)
4 ディスクセパレーター
5 バッファタンク
10 減圧(真空)排気系

Claims (6)

  1. 焼酎粕とビール粕とを混合した混合物を、蒸発成分と固形物との固液分離を減圧脱水乾燥する工程と、蒸発成分の溜出物は冷却捕集し微量の残留アルコール等と公害防止規定を満たす放流可能な水とに分離する工程とからなり、固形物は有用な乾燥された粉粒状有機飼料資源として再生回収する焼酎粕の処理方法。
  2. 焼酎粕とビール粕とを混合した混合物を貯蔵用ホッパーから、内部に蒸気を通し前記混合物を加熱しうる攪拌翼を備え下部に加熱用ジャケットを有する2重構造の減圧脱水乾燥槽に供給し、溜出蒸気を冷却凝集捕捉する冷却凝縮用コンデンサーと真空ポンプとにより蒸発成分と固形物とに固液分離するとともに、前記混合物の濃縮乾燥中に飛散し溜出蒸気と共に溜出し、溜出水に混入する飛散物をディスクセパレーターにより乾燥粉末として捕捉分離し、前記固液分離により分離された粉粒状固形成分を取り出す焼酎粕の処理方法。
  3. 焼酎粕とビール粕とを混合した混合物を貯蔵するホッパーと、内部に蒸気を通し前記混合物を加熱しうる攪拌翼を備え、下部に加熱用ジャケットを有する2重構造の減圧脱水乾燥槽と、溜出蒸気を冷却凝集捕捉するコンデンサーと、真空ポンプと、前記溜出蒸気と共に溜出し溜出水を汚染する飛散物の乾燥粉末を捕捉分離するディスクセパレーターとの構成よりなる焼酎粕の処理装置。
  4. 前記処理装置におけるディスクセパレーターは、底部に減圧脱水乾燥槽の溜出蒸気の真空排気孔と接続した連結管が配設され、円筒状ディスクセパレーター本体内部に、溜出蒸気と共に流出するミストを捕捉するための円板をジャバラ状に連続した捕捉体が装着され、該ディスクセパレーター円筒上部を密閉し、該円筒状ディスクセパレーターは上端部に真空排気系に通じる排気口排気配管を配設し、該ディスクセパレーターにおける捕捉体は、支持軸に交互の向きに固定され格子状又は孔状に形成された請求項3に記載の焼酎粕の処理装置。
  5. 前記ディスクセパレーターは、前記ディスクトセパレータ本体円筒内壁径に近い外径の円筒ケーシングの底部と上端部を格子で蓋と底を形成させ、内部にベルルサドル、インターロックスサドル形態の蒸溜塔充填材を充填した請求項4に記載の焼酎粕の処理装置。
  6. 前記焼酎粕とビール粕配合混合比率は、それぞれの固形分比率にて1:0.7以上である請求項1に記載の焼酎粕の処理方法。
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