JP3166876U - 減圧脱水乾燥装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】高濃度廃棄物や難処理廃棄物等を固形成分と液体成分とに分離可能である減圧脱水乾燥装置を提供すること。【解決手段】減圧脱水乾燥装置100が、蒸留釜101と、蒸留釜101の内部の廃棄物を攪拌翼13aが攪拌する廃棄物攪拌機構13と、廃棄物攪拌機構13の攪拌翼13aを攪拌軸14cが駆動する駆動機構14と、蒸留釜101の内部の廃棄物を加熱する熱源16と、蒸留釜101の内部の廃棄物から蒸発した気体を液体に凝縮するコンデンサ103と、蒸留釜101の内部の圧力を少なくとも減圧するポンプ105と、を備え、蒸留釜101の設置状態において、攪拌軸14cが水平方向に延在するように構成されている。又、この減圧脱水乾燥装置100において、蒸留釜101の廃棄物攪拌機構13が、蒸留釜101の内表面を摺動するスクレーパ13cを備えている。【選択図】 図4

Description

本考案は、廃液、汚水、汚泥、糞尿等の廃棄物を減圧環境下で加熱して固形成分と液体成分とに分離するための減圧脱水乾燥装置に関する。
従来から、各種の産業用機器等においては、廃液、汚水、汚泥、糞尿等の廃棄物を固形成分と液体成分とに分離するための固体−液体分離手段(以下、単に「固液分離手段」という)として、濾過等の固液分離手段が採用されている。
例えば、沈殿作用や、分離網、微細分離網、膜分離手段を用いて、被処理物としての糞尿を固形成分と液体成分とに分離する、自己完結型水洗式トイレが提案されている。
この自己完結型水洗式トイレは、被処理物を浄化するための浄化槽を備えている。ここで、浄化槽は、沈殿槽と、第1分離槽と、第2分離槽及び微細分離網と、膜分離槽と、を備えている。そして、この自己完結型水洗式トイレでは、先ず、被処理物中の固形物が、浄化槽の沈殿槽において、被処理物から沈殿作用により分離される。次いで、沈殿槽を経た被処理物中の比較的大きな浮遊固形物が、浄化槽の第1分離槽において、分離網により分離される。又、第1分離槽を経た被処理物中の小さな浮遊固形物が、浄化槽の第2分離槽において、微細分離網により分離される。第2分離槽を経た被処理物中の微細な固形物は、微細分離網により分離される。そして、この自己完結型水洗式トイレでは、微細分離網を経た被処理物中の水が、浄化槽の膜分離槽において、限外濾過膜や中空糸膜等の膜分離手段により、濾過処理水として分離される。このように、自己完結型水洗式トイレでは、被処理物としての糞尿が、沈殿作用と分離網と微細分離網と限外濾過膜や中空糸膜等の膜分離手段とが用いられることにより、固形物や浮遊固形物等の固形成分と、濾過処理水等の液体成分と、に分離される(例えば、特許文献1参照)。
又、他の自己完結型水洗式トイレとして、微生物と水分通過フィルタと沈殿作用とを用いて、被処理物としての汚物を固体成分と液体成分とに分離する、自己完結型水洗式トイレも提案されている。
この自己完結型水洗式トイレは、被処理物を菌床に宿る微生物により分解消滅させるための分解槽を備えている。ここで、分解槽は、微生物を付着させた菌床と、攪拌装置により回転駆動される攪拌腕及び攪拌棒と、水分通過フィルタと、沈殿部及び貯留部が設けられた汚水沈殿槽と、を備えている。そして、この自己完結型水洗式トイレでは、先ず、洗浄水を含む被処理物が、分解槽の菌床に向けて、水洗便器からポンプ又はバキュームにより排出される。すると、分解槽では、攪拌装置が回転することにより攪拌腕及び攪拌棒が回転駆動されて菌床が攪拌され、菌床と被処理物とが混合される。これにより、分解槽では、被処理物中の固体分の汚物が、菌床に宿る微生物により分解消滅される。又、この自己完結型水洗式トイレでは、被処理物中の汚水が、水分通過フィルタを通って、汚水沈殿槽の沈殿部に流下する。ここで、水分通過フィルタは、メッシュ状のフィルタであり、菌床を通過させず、水分のみを通過させる。そして、この自己完結型水洗式トイレでは、水分通過フィルタを通過した後の汚水中の水が、汚水沈殿槽の沈殿部において、沈殿作用により、微細な固体分が除去された上澄みとして分離される。尚、沈殿部で微細な固体分が除去された上澄みは、汚水沈殿槽の貯留部に流れ込む。このように、他の自己完結型水洗式トイレでは、被処理物としての汚物が、微生物と水分通過フィルタと沈殿作用とが用いられることにより、固体分の汚物や微細な固体分等の固形成分と、微細な固体分が除去された上澄み等の液体成分と、に分離される(例えば、特許文献2参照)。
更には、濾過が困難である廃液を容易に固形成分と液体成分とに分離すると共に、濾過された液体成分を無害化する廃液処理方法が提案されている。この廃液処理方法では、廃液の濾別を容易とするために、廃液を事前に高温処理する。そして、この廃液処理方法では、高温処理された廃液を、濾過により、固形成分と液体成分とに分離する。一方、濾過された液体成分は、生物処理により無害化される(例えば、特許文献3参照)。
特開2000−204629号公報 特開2000−144845号公報 特開2001−310187号公報
しかしながら、これらの従来の固液分離手段では、分離網や、膜分離手段、水分通過フィルタ等が用いられて、廃液、汚水、汚泥、糞尿等の廃棄物が固形成分と液体成分とに分離されるため、含水率の低い廃棄物を処理する場合には、分離網や、膜分離手段、水分通過フィルタ等に目詰まりが発生する場合がある。ここで、分離網や、膜分離手段、水分通過フィルタ等に目詰まりが発生した場合には、それらの液体成分を通過させる能力が著しく低下する場合がある。そのため、従来の固液分離手段では、含水率の低い廃棄物を処理する場合には、廃棄物からその液体成分を得ることが困難となり、廃棄物を固形成分と液体成分とに適切に分離することが困難となる場合がある。
つまり、従来の固液分離手段では、含水率の高い廃棄物を固形成分と液体成分とに分離することは可能であるが、含水率の低い高濃度の廃棄物を固形成分と液体成分とに適切に分離することが困難となる場合があった。
又、従来の固液分離手段では、廃液の濾別を容易とするために、廃液が事前に高温処理される。そのため、従来の固液分離手段では、例えば、高温処理されて有毒ガスを排出しない廃棄物を適切に処理することはできるが、高温処理されて有毒ガスを排出するような難処理廃棄物を安全に処理することは難しい。従って、従来の固液分離手段により、難処理廃棄物を適切にかつ安全に固形成分と液体成分とに分離するためには、廃棄物から排出された有毒ガスが大気中に拡散しないようにするために、有毒ガスの除去装置等を別途準備する必要がある。
つまり、従来の固液分離手段では、熱安定性の高い廃棄物を固形成分と液体成分とに分離することは可能であるが、熱安定性の低い難処理廃棄物を固形成分と液体成分とに適切にかつ安全に分離することが困難となる場合があった。
本考案は、上記従来の課題を解決するためになされたものであり、廃液、汚水、汚泥、糞尿等の廃棄物を固形成分と液体成分とに容易にかつ適切に分離可能であると共に、高濃度廃棄物や難処理廃棄物等を固形成分と液体成分とに分離可能である減圧脱水乾燥装置を提供することを目的としている。
上記従来の課題を解決するために、本考案に係る減圧脱水乾燥装置は、廃棄物導入口と残渣排出口とが閉鎖されて内部を減圧状態で保持可能な蒸留釜の本体としての蒸留用容器と、前記蒸留用容器の内部に前記廃棄物導入口から導入された廃棄物を該蒸留用容器の内部で攪拌翼が攪拌する廃棄物攪拌機構と、前記廃棄物攪拌機構の攪拌翼が取り付けられた攪拌軸を駆動する駆動機構と、前記蒸留釜の蒸留用容器の内部に前記導入された廃棄物を加熱する熱源と、前記蒸留釜の蒸留用容器の内部に前記導入された廃棄物から蒸発した気体を熱交換により液体に凝縮するコンデンサと、前記蒸留釜の蒸留用容器の内部の圧力を少なくとも減圧するポンプと、を備え、前記蒸留釜の設置状態において、前記駆動機構の攪拌軸が水平方向に延在するように構成されている。
かかる構成とすると、廃液、汚水、汚泥、糞尿等の廃棄物を固形成分と液体成分とに容易にかつ適切に分離可能であると共に、高濃度廃棄物や難処理廃棄物等を固形成分と液体成分とに安全に分離可能である減圧脱水乾燥装置を提供することが可能になる。又、蒸留釜の設置状態において、駆動機構の攪拌軸が水平方向に延在するように構成されているので、熱源から蒸留用容器の内部に導入された廃棄物への伝熱面積を大きく設定することが可能となる。これにより、蒸留釜を小型化することが可能になるので、減圧脱水乾燥装置を小型化することが可能になる。
前記廃棄物攪拌機構が、前記廃棄物を前記蒸留用容器の内部で攪拌すると共に、前記蒸留用容器の内表面上の蒸留残渣を掻き取るように該内表面を摺動するスクレーパを、前記攪拌翼として備えていてもよい。
かかる構成とすると、廃棄物攪拌機構が、蒸留用容器の内表面を摺動するスクレーパを備えているので、蒸留用容器の内表面上の蒸留残渣を逐次掻き取ることができる。これにより、蒸留用容器の内部にスケーリングが発生することを防止することができる。
また、前記スクレーパが、前記蒸留用容器の内部で前記スクレーパの支持部材により支持されていると共に、該支持部材と弾性部材とにより前記蒸留用容器の内表面に押し付けられていてもよい。
かかる構成とすると、スクレーパが支持部材により支持され、更に、弾性部材により蒸留用容器の内表面に押し付けられているので、蒸留用容器の内表面上の蒸留残渣を確実に掻き取ることができる。これにより、蒸留用容器の内部にスケーリングが発生することを確実に防止することができる。
又、上記の場合、前記スクレーパが、前記蒸留用容器の内表面上から掻き取った前記蒸留残渣が前記残渣排出口に向けて逐次移送されるように、該蒸留残渣の実質的な移送方向に対して傾斜していてもよい。
かかる構成とすると、スクレーパが蒸留残渣の実質的な移送方向に対して傾斜しているので、蒸留用容器の内表面を摺動することにより掻き取られた蒸留残渣が、スクレーパにより残渣排出口に向けて自動的に移送される。これにより、減圧脱水乾燥装置によるバッチ連続運転が可能になる。
また、前記減圧脱水乾燥装置が、前記コンデンサにより前記気体が熱交換によって凝縮されて得られる液体を貯蔵するタンクを更に備えていてもよい。
かかる構成とすると、減圧脱水乾燥装置において、蒸留釜の蒸留用容器の内部の圧力がポンプにより減圧されている際に、廃棄物から蒸発した気体が、コンデンサの熱交換作用により液体に凝縮される。又、減圧脱水乾燥装置において、コンデンサにより得られた液体が、タンクに貯蔵される。これにより、タンクに貯蔵された液体を、必要に応じて任意に利用することが可能になる。
本考案に係る減圧脱水乾燥装置の構成によれば、廃液、汚水、汚泥、糞尿等の廃棄物を固形成分と液体成分とに容易にかつ適切に分離することが可能になると共に、高濃度廃棄物や難処理廃棄物等を固形成分と液体成分とに分離することが可能になるという効果が得られる。
又、本考案に係る減圧脱水乾燥装置の構成によれば、蒸留釜が固形成分のスケーリングの発生を効果的に防止する格別の構成を備えているので、高濃度廃液や難処理廃液等の廃棄物を固形成分と液体成分とに適切に分離することが可能になるという効果が得られる。
又、本考案に係る減圧脱水乾燥装置の構成によれば、蒸留釜が蒸留残渣を自動的に排出するための格別の構成を備えているので、廃液、汚水、汚泥、糞尿等の廃棄物を長期間に渡り連続して固形成分と液体成分とに分離することが可能になるという効果が得られる。
更には、本考案に係る減圧脱水乾燥装置の構成によれば、コンデンサにより気体が熱交換によって凝縮されて得られる液体を貯蔵するタンクを更に備えているので、タンクに貯蔵された液体を必要に応じて任意に利用することが可能になるという効果が得られる。
図1(a)は、実施の形態1に係る蒸留釜の特徴的な構成を模式的に示す断面図である。又、図1(b)は、実施の形態1に係る蒸留釜が備えるスクレーパ及びその近傍の構成を模式的に示す斜視図である。 図2(a)は、図1(b)のIIa−IIa線に沿った断面におけるスクレーパ近傍の構成を模式的に示す断面図である。又、図2(b)は、実施の形態1に係る蒸留釜が備えるスクレーパ及びその近傍の構成を模式的に示す平面図である。 図3(a)は、実施の形態2に係る蒸留釜が備えるスクレーパ及びその近傍の構成を模式的に示す斜視図である。又、図3(b)は、実施の形態2に係る蒸留釜が備えるスクレーパ及びその近傍の構成を模式的に示す平面図である。 図4(a)は、実施の形態3に係る減圧脱水乾燥装置の構成を模式的に示すブロック図である。又、図4(b)は、実施の形態3に係る減圧脱水乾燥装置の変形例を一部抜粋して模式的に示すブロック図である。 図5は、実施の形態4に係る減圧脱水乾燥装置の構成を模式的に示すブロック図である。 図6は、実施の形態5に係る減圧脱水乾燥装置の構成を模式的に示すブロック図である。 図7は、実施の形態6に係る減圧脱水乾燥装置の構成を模式的に示すブロック図である。
以下、本考案の実施の形態を、図面を参照しながら説明する。
(実施の形態1(減圧脱水乾燥装置に用いられる蒸発釜の形態))
本考案は、濾過等の固液分離手段を用いることなく、かつ過剰な加熱処理を行うことなく、蒸留又は減圧蒸留により、廃液、汚水、汚泥、糞尿等の廃棄物や、高濃度廃棄物、難処理廃棄物を、固形成分と液体成分とに分離することを特徴とするものである。
図1(a)は、実施の形態1に係る蒸留釜の特徴的な構成を模式的に示す断面図である。この蒸留釜は減圧脱水乾燥装置に用いられるものである。尚、図1(a)では、本考案を説明するために必要となる構成のみを抜粋して示しており、その他の構成については図示を省略している。
図1(a)に示すように、実施の形態1に係る蒸留釜101は、廃液、汚水、汚泥、糞尿等の廃棄物を蒸留用容器12の内部空間12a(以下、単に「蒸留用容器12の内部」という)に導入するための廃棄物導入口10と、蒸留用容器12の内部の蒸留残渣をその外部へ排出するための残渣排出口11と、を備えている。又、この蒸留釜101は、廃棄物導入口10と残渣排出口11とがそれぞれ閉鎖されてその内部を減圧状態で保持可能な蒸留釜101の本体としての蒸留用容器12と、蒸留用容器12の内部に廃棄物導入口10から導入された廃棄物をその蒸留用容器12の内部で攪拌翼13aが攪拌する廃棄物攪拌機構13と、廃棄物攪拌機構13の攪拌翼13aを、蒸留用容器12の内部で廃棄物を攪拌するように攪拌軸14cが駆動する駆動機構14と、を備えている。
ここで、蒸留釜101の廃棄物攪拌機構13は、攪拌翼13aを蒸留用容器12の内部で直接支持する支持部材13bを備えている。この支持部材13bは、攪拌翼13aを直接支持すると共に、攪拌翼13aと後述する攪拌軸14cとを連結する。又、この蒸留釜101の駆動機構14は、少なくとも軸受15により回動可能に支持される攪拌軸14cと、攪拌軸14cと同軸状に連結されたモータ軸14bと、モータ軸14bを回転させるモータ14aと、を備えている。尚、モータ14aは、図1(a)では図示しないが、所定の固定手段により、蒸留釜101の所定の位置に固定されている。
又、図1(a)に示すように、蒸留釜101は、蒸留用容器12の内部に導入された廃棄物を加熱する熱源を備えている。本実施の形態では、蒸留釜101は、廃液、汚水、汚泥、糞尿等の廃棄物を蒸留用容器12の内部で加熱するための蒸気加熱用ジャケット構造を備えている。具体的には、蒸留釜101において、蒸留用容器12の下方には、蒸気用空間16aに通流される蒸気により蒸留用容器12の温度を上昇させてその内部に導入された廃棄物を加熱するための加熱部16が着設されている。ここで、加熱部16には、蒸気用空間16aに蒸気を供給するための蒸気供給口17と、蒸気用空間16aにおいて蒸留用容器12の加熱のために用いられた後の蒸気を排出するための蒸気排出口18と、が設けられている。尚、本実施の形態では、蒸留釜101が蒸気加熱用ジャケット構造を備えている形態を例示しているが、このような蒸気を利用する加熱形態に限定されることはない。例えば、蒸留釜101が、蒸気供給口17及び蒸気排出口18に代えて蒸気用空間16aの内部に電気ヒータを備えていると共に、蒸気用空間16aの内部に加熱用のオイルを備えていてもよい。この場合、電気ヒータにより蒸気用空間16aの内部に充填されているオイルが電気的に温められ、加熱されたオイルにより蒸留用容器12の内部に導入された廃棄物が加熱される。
又、蒸留釜101を備える減圧脱水乾燥装置100〜400(図4〜図7参照)は、減圧脱水乾燥装置100〜400の筺体(図4〜図7では図示せず)に蒸留釜101が設置された状態において、駆動機構14の攪拌軸14cが水平方向に延在するように構成されている。このように、蒸留釜101を横向きに配置することで、加熱部16から蒸留用容器12の内部に導入された廃棄物への伝熱面積を大きく設定することが可能となる。これにより、蒸留釜101を小型化することが可能になるので、減圧脱水乾燥装置100〜400を小型化することが可能になる。
そして、図1(a)に示すように、実施の形態1に係る蒸留釜101では、廃棄物攪拌機構13が、廃棄物を蒸留用容器12の内部で攪拌すると共に、蒸留用容器12の内表面12b上の蒸留残渣を掻き取るように内表面12を摺動するスクレーパ13cを特徴的に備えている。本実施の形態では、廃棄物攪拌機構13が、廃棄物を蒸留用容器12の内部で攪拌する攪拌翼13aに加えて、廃棄物を蒸留用容器12の内部で攪拌翼13aと共同して攪拌すると共に、蒸留用容器12の内表面12b上の蒸留残渣を掻き取ることができるように、蒸留用容器12の内表面12bを摺動するスクレーパ13cを備えている。ここで、図1(a)では、攪拌翼13aに加えてスクレーパ13cを更に備えている形態を例示しているが、このような形態に限定されることはない。例えば、廃棄物攪拌機構13が、攪拌翼13aのみを備えていてもよい。或いは、廃棄物攪拌機構13が、スクレーパ13cのみを備えていてもよい。更には、廃棄物攪拌機構13が、攪拌翼13aとスクレーパ13cとの両方を備えていてもよい。
図1(b)は、実施の形態1に係る蒸留釜が備えるスクレーパ及びその近傍の構成を模式的に示す斜視図である。尚、図1(a)の場合と同様、図1(b)でも、本考案を説明するために必要となる構成のみを抜粋して示しており、その他の構成については図示を省略している。
図1(b)に示すように、実施の形態1に係る廃棄物攪拌機構13は、蒸留用容器12の内表面12bを摺動する、ここでは平板状のスクレーパ13cを備えている。又、この廃棄物攪拌機構13は、スクレーパ13cが直接装着されるスクレーパ装着部材13dを備えている。そして、スクレーパ13cは、取り付け金具13h及びボルト13iが用いられることにより、スクレーパ装着部材13dの一方の側(図1(b)では下側)に対して着脱自在に装着されている。このスクレーパ13cのスクレーパ装着部材13dへの装着形態については、図2を参照しながら後に詳細に説明する。尚、実施の形態1では、取り付け金具13h及びボルト13iが用いられる形態を例示しているが、このような形態に限定されることはない。例えば、スクレーパ装着部材13dが、所定の凹部が形成されるように断面視においてπ字状の形状を有しており、この凹部にスクレーパ13cが差し込まれて、ボルト等により固定される形態としてもよい。又、スクレーパ装着部材13dにスクレーパ13cを着脱自在に装着する必要がない場合には、スクレーパ13cを、スクレーパ装着部材13dに対して任意の固定手段(例えば、接着等の固定手段)により相互に固定すればよい。
又、スクレーパ装着部材13dの他方の側における所定の位置からは、一対の支持棒13e,13eが延出している。これらの一対の支持棒13e,13eは、それぞれ、廃棄物攪拌機構13の支持部材13b(支持部材13bの水平部)における貫通孔b,bを貫通している。ここで、この貫通孔b,bのそれぞれにおいて、支持部材13bと、一対の支持棒13e,13eとは、特定の固定手段(例えば、溶接等の固定手段)により相互に固定されてはいない。一対の支持棒13e,13eは、それぞれ、支持部材13bに対して相対的に変位可能となるように、貫通孔b,bを貫通している。
又、図1(b)に示すように、実施の形態1に係る蒸留釜101の廃棄物攪拌機構13は、スクレーパ装着部材13dと、廃棄物攪拌機構13の支持部材13b(支持部材13bの水平部)と、の間に、ここではバネ等の筒状の弾性部材13g,13gを更に特徴的に備えている。ここで、バネ等の弾性部材13g,13gは、その弾性部材13g,13gの空洞領部に一対の支持棒13e,13eが挿入されるようにして、一対の支持棒13e,13eのそれぞれに伸縮自在に取り付けられている。又、この廃棄物攪拌機構13では、弾性部材13g,13gによるスクレーパ13の移動距離を制限するべく、一対の支持棒13e,13eのそれぞれにストッパー13f,13fが装着されている。このように、実施の形態1に係る蒸留釜101の廃棄物攪拌機構13では、スクレーパ13cが、蒸留用容器12の内部で支持部材13bにより支持されていると共に、この支持部材13bと弾性部材13g,13gとにより蒸留用容器12の内表面12bに押し付けられるように構成されている。
このように、実施の形態1では、廃棄物攪拌機構13の支持部材13bが、攪拌翼13aを直接支持していると共に、一対の支持棒13e,13e及びスクレーパ装着部材13dを介して、スクレーパ13cを間接的に支持している。そして、この廃棄物攪拌機構13では、支持部材13bと、一対の支持棒13e,13eとは、任意の固定手段により相互に固定されることはなく、一対の支持棒13e,13eが支持部材13bに対して摺動自在に挿通されている。又、この廃棄物攪拌機構13では、スクレーパ装着部材13dと、支持部材13bと、の間に、弾性部材13g,13gが設けられている。これにより、スクレーパ13cは、弾性部材13g,13gの特性に応じた圧力で、蒸留用容器12の内表面12bに押し付けられる。
尚、この実施の形態1では、廃棄物攪拌機構13の支持部材13bが、一対の支持棒13e,13e及びスクレーパ装着部材13dを介してスクレーパ13cを支持する形態を例示しているが、このような形態に限定されることはない。スクレーパ13cは、攪拌翼13aと共に蒸留用容器12の内部で廃液等の廃棄物を攪拌することが可能であり、かつ蒸留用容器12の内表面12b上の蒸留残渣を掻き取ることができるように、蒸留用容器12の内表面12bを摺動することが可能であれば、如何なる支持構成により支持されてもよい。
図2(a)は、図1(b)のIIa−IIa線に沿った断面におけるスクレーパ近傍の構成を模式的に示す断面図である。又、図2(b)は、実施の形態1に係る蒸留釜が備えるスクレーパ及びその近傍の構成を模式的に示す平面図である。尚、図1の場合と同様にして、図2でも、本考案を説明するために必要となる構成のみを抜粋して示しており、その他の構成については図示を省略している。
図2(a)及び図2(b)に示すように、実施の形態1に係る廃棄物攪拌機構13において、スクレーパ装着部材13dは、その一方の面から平板状に突出する突起部aを備えている。一方、廃棄物攪拌機構13は、ここでは平板状の取り付け金具13hと、ボルト13iと、を備えている。そして、図2(a)及び図2(b)に示すように、スクレーパ13cは、突起部aと取り付け金具13hとにより挟まれ、この状態においてボルト13iが取り付け金具13h及びスクレーパ13cを貫通して突起部aにねじ込まれることにより、スクレーパ装着部材13dに対して着脱自在に固定されている。又、図2(b)に示すように、本実施の形態では、突起部aが、スクレーパ13cにより蒸留用容器12の内表面12b上から掻き取られた蒸留残渣が残渣排出口11に向けて逐次移送されるようにするために、蒸留残渣の実質的な移送方向Dに対して傾斜している。これにより、スクレーパ13cは、スクレーパ装着部材13dに対して、所望の角度で傾斜して装着されるようになる。このように、本考案では、廃棄物攪拌機構13のスクレーパ13cが、蒸留用容器12の内表面12b上の蒸留残渣を掻き取るように、蒸留用容器12の内表面12bを摺動すると共に、その掻き取った蒸留残渣を残渣排出口11に向けて自動的に逐次移送する。尚、スクレーパ装着部材13Dに対するスクレーパ13cの傾斜角度は、残渣排出口11からの蒸留残渣の排出量等を考慮して、適宜設定すればよい。又、スクレーパ13cの材質や、スクレーパ13cのスクレーパ装着部材13dへの装着形態は、蒸留残渣の種類や状態、硬さ等を考慮して、適宜設定すればよい。
この実施の形態1に係る蒸留釜101では、廃棄物導入口10を介して蒸留釜101の蒸留用容器12の内部に廃液、汚水、汚泥、糞尿等の廃棄物が導入されると共に、蒸気供給口17及び蒸気排出口18を介して加熱部16の蒸気用空間16aに蒸気が通流されると、蒸留釜101の温度が上昇して、蒸留用容器12の内部に導入された廃棄物が加熱される。この際、温度上昇した廃棄物は、廃棄物攪拌機構13の攪拌翼13a及びスクレーパ13cにより、蒸留用容器12の内部で攪拌される。又、この際、蒸留釜101の蒸留用容器12の内部の圧力は、その内部の気体が例えば廃棄物導入口10を介して真空ポンプ(図4参照)により排気されて減圧される。すると、蒸留釜101の蒸留用容器12の内部に導入された廃棄物からは、例えば水蒸気が蒸発する。ここで、蒸留釜101において発生した水蒸気は、真空ポンプにより吸引されて、コンデンサ(図4参照)に導入される。このコンデンサに導入された水蒸気は、例えば冷却水により冷却されて水に凝縮された後、バッファタンク(図4参照)に貯蔵される。
又、この実施の形態1に係る蒸留釜101では、廃棄物から水蒸気が蒸発することにより、蒸留釜101の蒸留用容器12の内表面12b上に、乾燥状態とされた廃棄物由来の固形成分、つまり蒸留残渣が生成される。そして、この蒸留残渣は、廃棄物攪拌機構13のスクレーパ13cにより逐次掻き取られる。尚、スクレーパ13cにより掻き取られた残渣は、通常は粉化している。そのため、蒸留用容器12の内部で掻き取られた蒸留残渣は、所望の角度で傾斜して装着されているスクレーパ13cにより逐次移送され、蒸留釜101の残渣排出口11から連続して排出されるようになる。
実施の形態1に係る蒸留釜101の構成によれば、廃棄物攪拌機構13のスクレーパ13cが、蒸留用容器12の内部に導入された廃棄物を攪拌すると共に、蒸留用容器12の内表面12b上の蒸留残渣を逐次掻き取るので、蒸留釜101の蒸留用容器12が高温に加熱され、蒸留用容器12の内表面に固形成分のスケーリングが発生する場合であっても、蒸留用容器12の内部に導入された廃液等の廃棄物と、加熱部16に供給された蒸気と、の間の熱交換の効率が低下することはない。具体的には、蒸留釜12の蒸留用容器12の内部に高濃度廃液や難処理廃液が導入され、蒸留用容器12の内表面12b上にスケーリングが発生するような場合であっても、蒸留釜101における熱交換の効率が低下することはない。つまり、高濃度廃液や難処理廃液等の廃棄物を十分に加熱することができる。従って、実施の形態1に係る蒸留釜101の構成によれば、高濃度廃液や難処理廃液等の廃棄物を適切に処理することが可能となり、それらを固形成分と液体成分とに適切に分離することが可能になる。
又、実施の形態1に係る蒸留釜101の構成によれば、スクレーパ13cが、弾性部材13g,13gの特性に応じた圧力で、蒸留用容器12の内表面12bに押し付けられているので、蒸留用容器12の内表面12b上の蒸留残渣を効率良くかつ確実に掻き取ることができる。これにより、蒸留釜12の蒸留用容器12の内部に高濃度廃液や難処理廃液が導入されて、蒸留用容器12の内表面12b上にスケーリングが大量に発生するような場合であっても、蒸留釜101における熱交換の効率を確実にかつ十分に確保することができる。従って、実施の形態1に係る蒸留釜101の構成によれば、高濃度廃液や難処理廃液等の廃棄物を十分にかつ確実に加熱することができるので、高濃度廃液や難処理廃液等の廃棄物をより一層適切に処理することが可能となる。
更に、実施の形態1に係る蒸留釜101の構成によれば、廃棄物攪拌機構13のスクレーパ13cが、掻き取った蒸留残渣が残渣排出口11に向けて自動的に移送されるように、蒸留残渣の実質的な移送方向Dに対して傾斜されているので、蒸留用容器12の内表面12b上の蒸留残渣を掻き取りながら、その掻き取った蒸留残渣を残渣排出口11に自動的に送りこむことができる。これにより、本実施の形態に係る蒸留釜101を備える減圧脱水乾燥装置では、バッチ連続運転(廃液等の廃棄物を蒸留用容器12の内部に連続して導入するのではなく、蒸留用容器12の内部に導入された一定量の廃棄物の処理が完了すると、自動的に次の一定量の廃棄物を蒸留用容器12の内部に導入する運転)を行うことが可能になる。この場合、スクレーパ13cにより掻き取られた蒸留残渣が粉状の蒸留残渣であっても、その粉状の蒸留残渣は残渣排出口11に順次自動的に送り込まれる。つまり、掻き取られた蒸留残渣は、蒸留用容器12の内部から自動的にその外部へと排出される。従って、かかる減圧脱水乾燥装置では、ディスクフィルタ等のフィルタの目詰まりを解消するべくその動作を定期的に停止させることなく、長期間に渡りバッチ連続運転を行うことができる。これにより、本実施の形態に係る蒸留釜101を備える減圧脱水乾燥装置によれば、廃液等の廃棄物を長期間に渡り連続して固形成分と液体成分とに分離することが可能となる。
(実施の形態2(減圧脱水乾燥装置に用いられる蒸発釜の形態))
実施の形態2に係る蒸留釜の構成と、実施の形態1に係る蒸留釜101の構成とは、基本的に同様の構成である。従って、ここでは、実施の形態2に係る蒸留釜の基本的な構成に関する説明は省略し、実施の形態1に係る蒸留釜101に対する相違点を抜粋して説明する。
図3(a)は、実施の形態2に係る蒸留釜が備えるスクレーパ及びその近傍の構成を模式的に示す斜視図である。又、図3(b)は、実施の形態2に係る蒸留釜が備えるスクレーパ及びその近傍の構成を模式的に示す平面図である。尚、図3(a)及び図3(b)でも、本考案を説明するために必要となる構成のみを抜粋して示しており、その他の構成については図示を省略している。
実施の形態2は、実施の形態1の変形例である。具体的には、実施の形態2に係る廃棄物攪拌機構13では、実施の形態1で例示したスクレーパ13cが2つに分割され、それぞれのスクレーパが所定の角度で傾斜してスクレーパ装着部材13dに装着されている。
図3(a)を参照しながら詳細に説明すれば、実施の形態2に係る廃棄物攪拌機構13は、一対のスクレーパ13k,13kの2つのスクレーパを備えている。又、これに合わせて、廃棄物攪拌機構13は、一対の取り付け金具13j,13jの2つの取り付け金具を備えている。又、図3(b)に示すように、廃棄物攪拌機構13が一対のスクレーパ13k,13kの2つのスクレーパを備えていることに合わせて、スクレーパ装着部材13dの突起部aも、2つに分割されている。そして、この廃棄物攪拌機構13では、スクレーパ13k,13kのそれぞれが、取り付け金具13j,13j及び複数のボルト13iによりスクレーパ装着部材13dに着脱自在に装着されていると共に、支持部材13b及び弾性部材13g,13gにより、蒸留用容器12の内表面12bに対して所定の圧力で押し付けられている。
又、図3(b)に示すように、本実施の形態では、廃棄物攪拌機構13のスクレーパ13k,13kが、蒸留用容器12の内表面12b上の蒸留残渣を掻き取るように、蒸留用容器12の内表面12bを摺動すると共に、その掻き取った蒸留残渣が残渣排出口11に向けて自動的に移送されるように、それぞれ、蒸留残渣の実質的な移送方向Dに対して傾斜して、スクレーパ装着部材13dに装着されている。尚、図3(b)に示すように、スクレーパ13k,13kが蒸留残渣の実質的な移送方向Dに対して傾斜して装着されるようにするために、スクレーパ装着部材13dの突起部a,aのそれぞれが、所定の角度で傾斜している。
このような構成としても、実施の形態1の場合と同様にして、蒸留用容器12の内表面12b上の蒸留残渣を効率良くかつ確実に掻き取ることができる。これにより、高濃度廃液や難処理廃液等の廃棄物をより一層適切に処理することが可能な、スケーリングに強い蒸留釜を提供することが可能となる。
又、本実施の形態の構成によっても、廃棄物攪拌機構13のスクレーパ13k,13kが、掻き取った蒸留残渣を残渣排出口11に向けて移送するように、蒸留残渣の実質的な移送方向Dに対して傾斜されているので、蒸留用容器12の内表面12b上の蒸留残渣を掻き取りながら、その掻き取った蒸留残渣を残渣排出口11に自動的に送りこむことができる。これにより、本実施の形態に係る蒸留釜を備える減圧脱水乾燥装置でも、バッチ連続運転を行うことが可能になる。これにより、本実施の形態に係る蒸留釜を備える減圧脱水乾燥装置によれば、廃液等の廃棄物を長期間に渡り連続して固形成分と液体成分とに分離することが可能となる。
又、本実施の形態によれば、スクレーパ13k,13kが、スクレーパ装着部材13dに対して取り付け金具13j,13jによりそれぞれ着脱自在に装着されている。そのため、廃液等の廃棄物の種類や、蒸留残渣等の種類に応じて、スクレーパ13k,13kの種類を個別に適切に選択して、その選択したスクレーパをスクレーパ装着部材13dに自由に装着することができる。これにより、スクーリングに強い蒸留釜及びそれを備える減圧脱水乾燥装置を提供することが可能になる。
尚、その他の点については、実施の形態1の場合と同様である。
(実施の形態3(減圧脱水乾燥装置の形態))
図4(a)は、実施の形態1〜2の何れか1つの形態に係る特徴的な蒸留釜を備える減圧脱水乾燥装置の構成を模式的に示すブロック図である。又、図4(b)は、実施の形態3に係る減圧脱水乾燥装置の変形例を一部抜粋して模式的に示すブロック図である。
図4(a)に示すように、本考案に係る減圧脱水乾燥装置100は、実施の形態1〜2の何れか1つの形態に係る特徴的な蒸留釜101と、蒸留釜101から排出されたミストを捕捉するミストキャッチャー102と、蒸留釜101の蒸留用容器12の内部に導入された廃棄物から蒸発した気体成分を熱媒体との熱交換により液体成分に凝縮するコンデンサ103と、コンデンサ103から流出する液体成分の流出状態を観察するためのサイトグラス104と、コンデンサ103により気体成分が熱交換によって凝縮されて得る液体成分を貯蔵するバッファタンク106と、少なくとも蒸留釜101の蒸留用容器12の内部の圧力を減圧する真空ポンプ105と、バッファタンク106が貯蔵する液体を送出するための送液ポンプ107と、蒸留釜101に供給される廃液等の廃棄物の供給量を計量するための計量器108と、減圧脱水乾燥装置100の動作を適宜制御する制御装置114と、を備えている。ここで、計量器108は、蒸留釜101の蒸留用容器12の内部に適量の廃棄物を供給するために設けられている。尚、実施の形態3では、減圧脱水乾燥装置100が送液ポンプ107を備える形態を例示しているが、このような形態に限定されることはない。例えば、減圧脱水乾燥装置100において、送液ポンプ107を設けることなく、この送液ポンプ107に代えて、回収水の排出口のみを単に設けてもよい。この場合、回収水の排出口は、バッファタンク106に貯蔵された回収水が自重により排出されるように、減圧脱水乾燥装置100における適切な位置に設けられる。
又、この実施の形態3では、減圧脱水乾燥装置100がサイトグラス104を備えているが、図4(b)に示すように、サイトグラス104に代えて、減圧脱水乾燥装置100に計量器109が設けられる場合もある。この場合、計量器109は、コンデンサ103と真空ポンプ105とを接続する配管における所定の位置に設けられる。そして、この計量器109は、コンデンサ103からバッファタンク106に向けて通流する液体成分の流量を計量する。このような、計量器108に加えて計量器109を更に備え、計量器109が液体成分の回収側に設けられる減圧脱水乾燥装置100の変形例において、計量器109は、減圧脱水乾燥装置における異常検知等の運転管理のために設けられている。
かかる減圧脱水乾燥装置100では、廃液等の廃棄物を加熱すると共に、蒸留釜101の内部を減圧状態に維持するために、蒸留釜101の加熱部16に蒸気が通流されると共に、真空ポンプ105が駆動される。この際、廃棄物は、蒸留釜101の内部で攪拌される。又、蒸留釜101の蒸留用容器12の内部に導入された廃棄物から蒸発した気体成分を熱媒体との熱交換により液体成分に凝縮するために、コンデンサ103に熱媒体としての冷却水が通流される。これにより、コンデンサ103からは、廃棄物に含まれていた液体成分が、バッファタンク106に向けて排出される。一方、バッファタンク106に貯蔵されている液体は、回収水として、送液ポンプ107により所定の供給箇所に適宜供給される。そして、蒸留釜101の蒸留用容器12の内部に発生した蒸留残渣は、本考案に係る特徴的な廃棄物攪拌機構13のスクレーパ13c等により、蒸留釜101の外部へと逐次排出される。ここで、減圧脱水乾燥装置100における異常の発生有無等は、計量器108及び計量器109の2台の計量器が用いられて、適切に検知される。これらの減圧脱水乾燥装置100における各動作は、制御装置114により適宜制御される。
本実施の形態に係る減圧脱水乾燥装置100の構成によれば、真空ポンプ105のみにより、蒸留釜101の内部を減圧状態とするので、減圧脱水乾燥装置100の構成を簡単な構成とすることができる。そのため、メンテナンス性に優れる減圧脱水乾燥装置100を提供することが可能になる。
(実施の形態4(減圧脱水乾燥装置の形態))
図5は、実施の形態1〜2の何れか1つの形態に係る特徴的な蒸留釜を備える減圧脱水乾燥装置の他の構成を模式的に示すブロック図である。
図5に示すように、本考案に係る減圧脱水乾燥装置200は、実施の形態3の場合と同様にして、蒸留釜101と、ミストキャッチャー102と、コンデンサ103と、サイトグラス104と、バッファタンク106と、送液ポンプ107と、計量器108と、を備えている。そして、この減圧脱水乾燥装置200は、図4(a)に示した真空ポンプ105に代えて、水封式真空ポンプ110を備えている。この水封式真空ポンプ110は、バッファタンク106に貯蔵されている液体成分を利用することにより、少なくとも蒸留釜101の蒸留用容器12の内部の圧力を効果的に減圧する。このため、水封式真空ポンプ110とバッファタンク106とは、水封式真空ポンプ110側からバッファタンク106側へと液体成分を送出するための第1の配管と、バッファタンク106側から水封式真空ポンプ110側へと液体成分を送出するための第2の配管と、の2つの配管により、相互に接続されている。
尚、実施の形態4でも、減圧脱水乾燥装置200が送液ポンプ107を備える形態を例示しているが、実施の形態3の場合と同様、送液ポンプ107に代えて、回収水の排出口のみを単に設けてもよい。又、実施の形態4においても、減圧脱水乾燥装置200が、サイトグラス104に代えて、計量器109(図4参照)を備えていてもよい。
かかる減圧脱水乾燥装置200では、廃液等の廃棄物を加熱すると共に、蒸留釜101の内部を減圧状態に維持するために、蒸留釜101の加熱部16(図4参照)に蒸気が通流されると共に、水封式真空ポンプ110が駆動される。このように、減圧手段として水封式真空ポンプ110を用いることで、より一層大きな負圧を得ることができる。これにより、蒸留釜101の蒸留用容器12の内部の圧力を、より一層効果的に減圧することが可能になる。又、水封式真空ポンプ110を用いることで、廃棄物に含まれる液体成分の蒸気圧が低い場合であっても、より一層大きな負圧が得られるので、その廃棄物を液体成分と固形成分とに適切に分離することが可能になる。
尚、その他の点については、実施の形態3の場合と同様である。
(実施の形態5(減圧脱水乾燥装置の形態))
図6は、実施の形態1〜2の何れか1つの形態に係る特徴的な蒸留釜を備える減圧脱水乾燥装置の他の構成を模式的に示すブロック図である。
図6に示すように、本考案に係る減圧脱水乾燥装置300も、実施の形態3,4の場合と同様にして、蒸留釜101と、ミストキャッチャー102と、コンデンサ103と、サイトグラス104と、バッファタンク106と、送液ポンプ107と、計量器108と、を備えている。そして、この減圧脱水乾燥装置300は、図4(a)に示した真空ポンプ105や、図5に示した水封式真空ポンプ110に代えて、送液ポンプ112を備えている。又、この減圧脱水乾燥装置300は、エゼクター111を更に備えている。エゼクター111は、バッファタンク106に貯蔵されている液体成分を利用することにより、少なくとも蒸留釜101の蒸留用容器12の内部の圧力を効果的に減圧する。ここで、バッファタンク106に貯蔵されている液体成分は、送液ポンプ112によりエゼクター111に供給される。このため、バッファタンク106と送液ポンプ112とエゼクター111とは、バッファタンク106側から送液ポンプ112側へと液体成分を送出するための第1の配管と、送液ポンプ112側からエゼクター111側へと液体成分を送出するための第2の配管と、エゼクター111側からバッファタンク106側へと液体成分を送出するための第2の配管と、の3つの配管により、相互に接続されている。
かかる減圧脱水乾燥装置300では、廃液等の廃棄物を加熱すると共に、蒸留釜101の内部を減圧状態に維持するために、蒸留釜101の加熱部16(図4参照)に蒸気が通流されると共に、送液ポンプ112が駆動される。すると、この減圧脱水乾燥装置300では、バッファタンク106からエゼクター111への液体成分の供給が開始される。これにより、減圧脱水乾燥装置300では、エゼクター111が蒸留釜101の内部の圧力の減圧を開始する。このように、減圧手段としてエゼクター111及び送液ポンプ112を用いることによっても、負圧を得ることができる。これにより、実施の形態3の場合と同様、蒸留釜101の蒸留用容器12の内部の圧力を減圧することが可能になる。
尚、その他の点については、実施の形態3,4の場合と同様である。
(実施の形態6(減圧脱水乾燥装置の形態))
図7は、実施の形態1〜2の何れか1つの形態に係る特徴的な蒸留釜を備える減圧脱水乾燥装置の他の構成を模式的に示すブロック図である。
図7に示すように、本考案に係る減圧脱水乾燥装置400も、実施の形態3〜5の場合と同様にして、蒸留釜101と、ミストキャッチャー102と、コンデンサ103と、サイトグラス104と、バッファタンク106と、送液ポンプ107と、計量器108と、を備えている。そして、この減圧脱水乾燥装置400は、実施の形態4の場合と同様に水封式真空ポンプ110を備えている。又、この減圧脱水乾燥装置400は、実施の形態5の場合と同様にエゼクター111を備えている。更に、この減圧脱水乾燥装置400は、バルブ113を備えている。
本実施の形態において、エゼクター111は、実施の形態5のようにバッファタンク106に貯蔵されている液体成分を利用する代わりに、水封式真空ポンプ110がエゼクター111を通して大気を吸引することを利用して、少なくとも蒸留釜101の蒸留用容器12の内部の圧力を直接減圧する。ここで、エゼクター111を通した水封式真空ポンプ110による大気の吸引量は、バルブ113により調節される。又、水封式真空ポンプ110は、バッファタンク106に貯蔵されている液体成分を利用することにより、エゼクター111を通して大気を吸引しながら、少なくとも蒸留釜101の蒸留用容器12の内部の圧力を間接的に減圧する。このため、水封式真空ポンプ110とバッファタンク106とは、実施の形態4の場合と同様、水封式真空ポンプ110側からバッファタンク106側へと液体成分を送出するための第1の配管と、バッファタンク106側から水封式真空ポンプ110側へと液体成分を送出するための第2の配管と、の2つの配管により、相互に接続されている。又、水封式真空ポンプ110とエゼクター111とが、第3の配管により相互に接続されている。そして、エゼクター111には大気開放された第4の配管が接続されている。
かかる減圧脱水乾燥装置400では、廃液等の廃棄物を加熱すると共に、蒸留釜101の内部を減圧状態に維持するために、蒸留釜101の加熱部16(図4参照)に蒸気が通流されると共に、水封式真空ポンプ110が駆動される。すると、この減圧脱水乾燥装置400では、バルブ113の開閉度に応じて、エゼクター111への大気の供給が開始される。これにより、減圧脱水乾燥装置400では、エゼクター111が蒸留釜101の内部の圧力の減圧を開始する。このように、減圧手段として、水封式真空ポンプ110及びエゼクター111の2つの減圧手段を用いることにより、より一層効果的に負圧を得ることができる。これにより、蒸留釜101の蒸留用容器12の内部の圧力をより一層効果的に減圧することが可能になる。又、これにより、減圧脱水乾燥装置400において、より多くの種類の廃棄物を処理することが可能になる。
尚、その他の点については、実施の形態3〜5の場合と同様である。
本考案に係る減圧脱水乾燥装置は、固形成分のスケーリングの固着発生を効果的に防止する格別の構成を備え、高濃度廃液や難処理廃液等の廃棄物をも固形成分と液体成分とに分離可能な減圧脱水乾燥装置として有用である。
又、本考案に係る減圧脱水乾燥装置は、廃液等の廃棄物を長期間に渡り連続して固形成分と液体成分とに分離可能な減圧脱水乾燥装置として有用である。
10 廃棄物導入口
11 残渣排出口
12 蒸留用容器
12a 内部空間
12b 内表面
13 廃棄物攪拌機構
13a 攪拌翼
13b 支持部材
13c スクレーパ
13d スクレーパ装着部材
13e 支持棒
13f ストッパー
13g 弾性部材
13h 取り付け金具
13i ボルト
13j 取り付け金具
13k スクレーパ
14 駆動機構
14a モータ
14b モータ軸
14c 攪拌軸
15 軸受
16 加熱部
16a 蒸気用空間
17 蒸気供給口
18 蒸気排出口
100〜400 減圧脱水乾燥装置
101 蒸留釜
102 ミストキャッチャー
103 コンデンサ
104 サイトグラス
105 真空ポンプ
106 バッファタンク
107 送液ポンプ
108 計量器
109 計量器
110 水封式真空ポンプ
111 エゼクター
112 送液ポンプ
113 バルブ
114 制御装置
a 突起部
b 貫通孔

Claims (5)

  1. 廃棄物導入口と残渣排出口とが閉鎖されて内部を減圧状態で保持可能な蒸留釜の本体としての蒸留用容器と、
    前記蒸留用容器の内部に前記廃棄物導入口から導入された廃棄物を該蒸留用容器の内部で攪拌翼が攪拌する廃棄物攪拌機構と、
    前記廃棄物攪拌機構の攪拌翼が取り付けられた攪拌軸を駆動する駆動機構と、
    前記蒸留釜の蒸留用容器の内部に前記導入された廃棄物を加熱する熱源と、
    前記蒸留釜の蒸留用容器の内部に前記導入された廃棄物から蒸発した気体を熱交換により液体に凝縮するコンデンサと、
    前記蒸留釜の蒸留用容器の内部の圧力を少なくとも減圧するポンプと、
    を備え、
    前記蒸留釜の設置状態において、前記駆動機構の攪拌軸が水平方向に延在するように構成されている、減圧脱水乾燥装置。
  2. 前記廃棄物攪拌機構が、前記廃棄物を前記蒸留用容器の内部で攪拌すると共に、前記蒸留用容器の内表面上の蒸留残渣を掻き取るように該内表面を摺動するスクレーパを、前記攪拌翼として備えている、請求項1記載の減圧脱水乾燥装置。
  3. 前記スクレーパが、前記蒸留用容器の内部で前記スクレーパの支持部材により支持されていると共に、該支持部材と弾性部材とにより前記蒸留用容器の内表面に押し付けられている、請求項2記載の減圧脱水乾燥装置。
  4. 前記スクレーパが、前記蒸留用容器の内表面上から掻き取った前記蒸留残渣が前記残渣排出口に向けて逐次移送されるように、該蒸留残渣の実質的な移送方向に対して傾斜している、請求項2記載の減圧脱水乾燥装置。
  5. 前記コンデンサにより前記気体が熱交換によって凝縮されて得られる液体を貯蔵するタンクを更に備えている、請求項1記載の減圧脱水乾燥装置。
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