JP2007329263A - ウエーハの切削方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】比較的安価で簡単にしてアルミニウムを含むボンディングパッドが腐食せずに洗浄効果を維持してウエーハを個々の半導体チップに分割することができるウエーハの切削方法を提供する。
【解決手段】ボンディングパッドの腐食原因の一因が化学反応に由来している点に着目し、二酸化炭素を混合した15℃以下の冷たい切削水をウエーハWに供給しながら切削ブレード21でウエーハWの切削処理を行わせることで、アルミニウム溶出の反応速度を遅くさせることによって、ボンディングパッドの腐食を抑制できるようにした。
【選択図】 図3
【解決手段】ボンディングパッドの腐食原因の一因が化学反応に由来している点に着目し、二酸化炭素を混合した15℃以下の冷たい切削水をウエーハWに供給しながら切削ブレード21でウエーハWの切削処理を行わせることで、アルミニウム溶出の反応速度を遅くさせることによって、ボンディングパッドの腐食を抑制できるようにした。
【選択図】 図3
Description
本発明は、ボンディングパッドが表面に形成されたウエーハを個々の半導体チップに分割するウエーハの切削方法に関するものである。
IC,LSI,CCD等の半導体チップがストリートによって区画され複数形成された半導体ウエーハは、切削ブレードを備えた切削装置によって個々の半導体チップに分割される。
ここで、ストリートの切削時には、切削ブレードが高速で回転しながらウエーハに切り込むことから、ウエーハと切削ブレードとの接触部を冷却するために、接触部に切削水が噴出される。また、切削水は、切削によって生じた切削屑のウエーハへの付着を防止するとともに、付着した切削屑を除去してウエーハの表面を洗浄する役割も果たしている。このような切削水としては、純水を用いると比抵抗値が大きく静電気を生じやすいことから、純水に二酸化炭素(CO2)を混入して活性化させることで、半導体ウエーハの表面に切削屑が付着しないように工夫されている。
しかしながら、二酸化炭素が混入され活性化された切削水は、酸性が強く、半導体チップの表面に形成されたボンディングパッド、特に主にアルミニウムで形成されたボンディングパッドを侵食し、アルミニウムがイオン化してボンディングパッドから溶け出す腐食(溶出)を生じ、半導体チップの品質を低下させてしまうという問題がある。
一方、母体金属やボンディングパッドの侵食を抑えるために二酸化炭素の濃度を低く調整した場合には、洗浄効果が不十分となってしまう。
さらに、ボンディングパッド表面に絶縁被膜を形成する化合物を純水に含有させた切削液を使用することで、ボンディングパッドの腐食を抑制する方法もあるが(例えば、特許文献1参照)、高価であり、また、切削液の排出方法や配管や装置の洗浄等のメンテナンスが煩雑になり、実用に適さない。
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、比較的安価で簡単にしてアルミニウムを含むボンディングパッドが腐食せずに洗浄効果を維持してウエーハを個々の半導体チップに分割することができるウエーハの切削方法を提供することを目的とする。
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明に係るウエーハの切削方法は、ウエーハを保持するチャックテーブルと、該チャックテーブルに保持されたウエーハを切削する切削ブレードを備えた切削手段と、ウエーハに二酸化炭素を混合した切削水を供給する切削水供給手段と、を備える切削装置を用いて、アルミニウムを含むボンディングパッドが表面に形成されたウエーハを個々の半導体チップに分割するウエーハの切削方法であって、二酸化炭素を混合した15℃以下の切削水をウエーハに供給しながら前記切削ブレードでウエーハを切削するようにしたことを特徴とする。
本発明に係るウエーハの切削方法によれば、ボンディングパッドの腐食原因は明らかではないが、一因として化学反応に由来している点に着目し、二酸化炭素を混合した15℃以下の冷たい切削水をウエーハに供給しながら切削処理を行わせることで、アルミニウム溶出の反応速度を遅くさせることによって、ボンディングパッドの腐食を抑制することができ、これにより、必要濃度の二酸化炭素を混入した切削水を使用できるので、半導体ウエーハの表面が切削屑によって汚染されることがなく洗浄効果を維持でき、かつ、高価でメンテナンスが煩雑となる切削液を使用する必要がなく、経済的にして簡単に実施できるという効果を奏する。
以下、本発明を実施するための最良の形態であるウエーハの切削方法について図面を参照して説明する。
図1は、本発明の実施の形態のウエーハの切削方法を実施するための切削装置の構成例を示す概略斜視図であり、図2は、本実施の形態に適用されるウエーハの構成例を示す斜視図であり、図3は、切削手段および切削水供給手段の構成例を示す斜視図である。切削装置10は、搬出入手段13、搬送手段14、洗浄手段15、搬送手段16とともに、フレームFと一体となったウエーハWを保持するチャックテーブル17と、アライメント用のカメラ18と、チャックテーブル17に保持されたウエーハWを切削する切削手段20と、ウエーハWに切削水を供給する切削水供給手段30と、を備える。
まず、ウエーハWは、環状のフレームFに装着された粘着テープTの表面に貼着されており、粘着テープTを介して環状のフレームFに支持された状態でカセット12に収容される。ウエーハWは、図2に示すように、表面Waに格子状に形成された複数のストリートSによって複数の領域が区画され、この区画された領域にIC,LSI等の半導体チップ11が形成されている。このように構成されたウエーハWは、図1に示すように、環状のフレームFに装着された粘着テープTに表面Waを上側にして裏面が貼着される。
搬出入手段13は、カセット部12に収納されたウエーハWを搬送手段14が搬送可能な載置領域に搬出するとともに、切削処理済みのウエーハWをカセット部12に搬入するものである。搬送手段14は、搬出入手段13によって載置領域に搬出されたウエーハWをチャックテーブル17上に搬送するものである。また、洗浄手段15は、切削手段20による処理済みのウエーハWを洗浄するものである。搬送手段16は、切削手段20による処理済みのウエーハWをチャックテーブル17上から洗浄手段15へ搬送するものである。
また、チャックテーブル17は、図示しない駆動源に連結されて回転可能である。また、チャックテーブル17は、ボールネジ、ナット、パルスモータ等による送り機構によってX軸方向に移動可能に設けられている。カメラ18は、チャックテーブル17に保持されたウエーハWの表面を撮像するためのものであり、図示しないアライメント部は、カメラ18によって取得した画像を基に切削すべき領域部分を検出し、切削手段20による切削動作の位置づけに供する。
切削手段20は、チャックテーブル17に保持されたウエーハWを切削ブレード21によって切削するもので、ボールネジ、ナット、パルスモータ等による図示しない切り込み送り機構によってZ軸方向に昇降移動可能に設けられ、また、ボールネジ、ナット、パルスモータ等による図示しない割り出し送り機構によってY軸方向に移動可能に設けられている。切削ブレード21は、図3に示すように、スピンドルハウジング22内において回転可能に支持され、ブレードカバー23により覆われている。
切削水供給手段30は、二酸化炭素(CO2)を帯電防止剤として混合した15℃以下の切削水をウエーハWに供給するためのものであり、純水を蓄えた純水源31と、定温水供給装置32と、二酸化炭素供給装置33と、を備える。純水源31から供給される純水が全て定温水供給装置32を通ることにより定温、本実施の形態では15℃以下の定温、例えば15℃に維持される。二酸化炭素供給装置33は、定温水供給装置32から供給される定温状態の純水中にポンプで一定量の二酸化炭素を送り込むことにより、純水と二酸化炭素とを所定の比率で混合する。また、切削水供給手段30は、ブレードカバー23において切削ブレード21の両側に配設されてウエーハWと切削ブレード21との接触部に二酸化炭素が混合された15℃の冷却用の切削水を供給する切削水供給ノズル35と、ブレードカバー23に配設されて切削水供給ノズル35周辺のウエーハW上に向けて二酸化炭素が混合された15℃の洗浄用の切削水を噴射する噴射ノズル36と、ブレードカバー23に形成されて切削水供給ノズル35や噴射ノズル36に対する切削水が二酸化炭素供給装置33から流入するパイプ構造の切削水流入部37と、を備える。なお、切削水の流量は、切削装置10に内蔵の図示しない流量コントローラで調整される。
このような切削装置10を用いるウエーハWの切削方法において、チャックテーブル17に吸引保持されたウエーハWは、チャックテーブル17がX軸方向に移動してカメラ18の直下に位置づけられ、パターンマッチング等の処理によって切削領域が検出され、切削領域と切削ブレード21とのY軸方向の位置割り出しが行われる。位置割り出し後、チャックテーブル17がさらにX軸方向に移動するとともに、高速回転している切削ブレード21がZ軸方向に所定量切り込み送りされてウエーハWを所望のストリートSに沿って切削する。
このような切削処理に際して、従来であれば15℃〜30℃の切削水をウエーハに供給することで冷却や洗浄を行っているものであるが(特許文献1、段落0019参照)、本実施の形態では、切削水供給ノズル35や噴射ノズル36から二酸化炭素を混合した15℃以下の切削水をウエーハWに供給しながら、切削ブレード21でウエーハWを切削することで、個々の半導体チップ11に分割するようにしたものである。すなわち、ボンディングパッドの腐食原因は明らかではないが、一因として化学反応に由来している点に着目し、二酸化炭素を混合した15℃以下の冷たい切削水をウエーハWに供給しながら切削処理を行わせることで、アルミニウム溶出の反応速度を遅くさせることによって、ボンディングパッドの腐食を抑制することができるようにしたものである。
以下、本実施の形態のウエーハの切削方法による効果について、実験結果に基づいて検証する。まず、実験条件について説明する。ウエーハ切削の実験条件は、
ウエーハW:直径200mm、厚さ0.3mmのシリコンウエーハ
切削ブレード21:厚さ0.04mmの電鋳ブレード
切削ブレード21の回転数:30000rpm
チャックテーブル17の送り速度:30mm/s
切り込み量:上面から50μm
切削方法:デュアルカット方式
切削インデックス:1.5mm
ウエーハW1枚の切削時間:30分
切削水:純水+二酸化炭素混合水(比抵抗値0.5MΩ・cm)
とし、切削水の温度を、5℃、10℃、15℃、18℃、22℃、25℃、28℃として、それぞれ1枚ずつ切削加工実験を行ったものである。
ウエーハW:直径200mm、厚さ0.3mmのシリコンウエーハ
切削ブレード21:厚さ0.04mmの電鋳ブレード
切削ブレード21の回転数:30000rpm
チャックテーブル17の送り速度:30mm/s
切り込み量:上面から50μm
切削方法:デュアルカット方式
切削インデックス:1.5mm
ウエーハW1枚の切削時間:30分
切削水:純水+二酸化炭素混合水(比抵抗値0.5MΩ・cm)
とし、切削水の温度を、5℃、10℃、15℃、18℃、22℃、25℃、28℃として、それぞれ1枚ずつ切削加工実験を行ったものである。
このような実験結果について、以下のように評価を行った。まず、切削対象となるウエーハWに関して、図4中にP1〜P5で示す所定の5ヶ所に位置する1つずつの半導体チップ11を評価確認用に選定し、選定された半導体チップ11内で図5に示すように1辺にある全てのボンディングパッド11aを電子顕微鏡で観察し、溶出が発生している溶出ホール数をカウントしたものである。ボンディングパッド11aは、主にアルミニウムで形成されたものである。カウントするボンディングパッド11aの電子顕微鏡で撮影した写真を図6−1、図6−2に示す。図6−1は、例えば位置P1に存在するボンディングパッド11aの切削加工前の表面状態を示す写真であり、腐食は起こっているものの、殆ど小さいものであるため、溶出ホール数としてカウントしない。一方、図6−2は、例えば位置P1に存在するボンディングパッド11aの切削加工後の表面状態を示す写真であり、写真中に丸で囲んで示すような3μm以上の溶出ホールが存在した場合カウントするものとした。
このような評価確認結果を図7に示す。溶出ホールの概算面積は、図5に示すように、3.9mm×0.08mm×5チップ=1.56mm2であるが、ここでは、ボンディングパッド11aの単位面積1mm2当りの溶出ホール個数に換算した結果を示している。図8は、図7に示した評価確認結果をグラフ化して示す図である。評価確認結果によれば、切削水の温度が15℃を境に溶出ホール個数が大きく変化し、15℃より高い場合には化学反応が促進されてかなりの溶出ホール個数があるのに対して、15℃以下の場合には化学反応が抑制されて殆ど0であることが判る。また、図9は、実験結果中、切削水の温度が29℃、22℃、15℃の場合のボンディングパッド11aの切削加工後の表面状態を示す電子顕微鏡の写真である。図9中、黒っぽい部分が溶出ホールを示しており、切削水温度が15℃の場合には溶出ホールが存在しても極めて小さく実用上問題ない欠陥であることが判る。
本実施の形態のウエーハWの切削方法によれば、二酸化炭素を混合した15℃以下の冷たい切削水をウエーハWに供給しながら切削ブレード21による切削処理を行わせることで、ボンディングバッド11aのアルミニウム溶出の反応速度を遅くさせることによって、ボンディングパッド11aの腐食を大幅に抑制できることが判る。これにより、所望の比抵抗値となるように必要濃度の二酸化炭素を混入した切削水を使用できるので、ウエーハWの表面が切削屑によって汚染されることがなく洗浄効果を維持することができる。また、切削水として高価でメンテナンスが煩雑となる切削液を使用する必要がなく、経済的にして簡単に実施することができる。
なお、二酸化炭素を混合した15℃以下の冷たい切削水は、切削後のウエーハWの洗浄水として利用することもできる。また、切削が終了しウエーハWを保持したチャックテーブル17が非加工領域に退避移動する際に通過するウォーターカーテン用の水として利用することもできる。
11 半導体チップ
11a ボンディングパッド
17 チャックテーブル
20 切削手段
21 切削ブレード
30 切削水供給手段
11a ボンディングパッド
17 チャックテーブル
20 切削手段
21 切削ブレード
30 切削水供給手段
Claims (1)
- ウエーハを保持するチャックテーブルと、該チャックテーブルに保持されたウエーハを切削する切削ブレードを備えた切削手段と、ウエーハに二酸化炭素を混合した切削水を供給する切削水供給手段と、を備える切削装置を用いて、アルミニウムを含むボンディングパッドが表面に形成されたウエーハを個々の半導体チップに分割するウエーハの切削方法であって、
二酸化炭素を混合した15℃以下の切削水をウエーハに供給しながら前記切削ブレードでウエーハを切削するようにしたことを特徴とするウエーハの切削方法。
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Legal Events
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