JP5656667B2 - 硬質基板の研削方法 - Google Patents

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本発明は、サファイア基板、SiC基板等の硬質基板の研削方法に関する。
サファイア基板、SiC基板等の表面に窒化ガリウム(GaN)等の半導体層(エピタキシャル層)を形成し、該半導体層にLED等の複数の光デバイスが格子状に形成されたストリート(分割予定ライン)によって区画されて形成された光デバイスウエーハは、モース硬度が比較的高く切削ブレードによる分割が困難であることから、レーザビームの照射によって個々の光デバイスに分割され、分割された光デバイスは携帯電話、パソコン等の電気機器に利用されている(例えば、特開2008−6492号公報参照)。
サファイア基板はエピタキシャル層の成長に適しており、光デバイスを製造する上で不可欠な素材であるが、エピタキシャル層が成長した後は電気機器の軽量化、小型化、光デバイスの輝度の向上のために研削装置によってサファイア基板の裏面が研削される(例えば、特開2008−23693号公報)。
研削装置は、被加工物を保持する保持面を有し回転可能なチャックテーブルと、該チャックテーブルに保持された被加工物を研削する研削砥石が環状に配設された研削ホイールを回転可能に支持する研削手段と、研削手段をチャックテーブルに対して接近及び離反させる研削送り手段とから少なくとも構成され、板状の被加工物を所望の厚みに研削することができる。
特開2008−6492号公報 特開2008−23693号公報
しかし、サファイア基板、SiC基板等の硬質基板はモース硬度が高いと共に裏面が鏡面に形成されているため、ダイアモンド砥粒を主成分とする研削砥石が硬質基板の裏面ですべり研削が進行せず、研削送りによる圧力によって硬質基板が損傷するという問題がある。
本発明はこのような点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、硬質基板を損傷させることなく研削可能な硬質基板の研削方法を提供することである。
本発明によると、被加工物を保持する保持面を有し回転可能なチャックテーブルと、該チャックテーブルに保持された被加工物を研削する研削砥石が環状に配設された研削ホイールを回転可能に支持する研削手段と、研削水を供給する研削水供給手段と、被加工物を搬入搬出する搬入搬出位置と被加工物を研削する研削位置とに該チャックテーブルを位置づける位置付け手段と、該研削手段を該チャックテーブルに対して相対的に研削送りして接近及び離反させるモータを有する研削送り手段と、該チャックテーブルに保持された被加工物の厚みを検出する厚み検出手段とを備えた研削装置によって、被研削面が鏡面に形成された硬質基板を研削する硬質基板の研削方法であって、該チャックテーブルの保持面で硬質基板を保持する保持工程と、該チャックテーブルを研削位置に位置づける位置付け工程と、該研削送り手段を作動して第1の研削送り速度で該チャックテーブルに保持された硬質基板に該研削砥石を接近させ、該研削砥石が硬質基板に接触した瞬間を該研削送り手段の該モータの負荷電流値の変化によって検出する接触検出工程と、該接触検出工程によって該研削砥石と硬質基板との接触を検出した後直ちに該研削送り手段を作動して該研削砥石を硬質基板から離反させる離反工程と、該離反工程を実施した後、該研削送り手段を作動して該第1の研削送り速度よりも遅い第2の研削送り速度で該研削砥石を研削送りしながら該チャックテーブルに保持された硬質基板を研削する研削工程と、硬質基板が所望の厚みに達した際研削を終了する研削終了検出工程と、を備え、該接触検出工程では、該研削砥石が硬質基板の被研削面に接触することにより該被研削面を荒らし、該研削工程では、荒らされた該被研削面に該研削砥石を噛み付かせて研削を遂行することを特徴とする研質基板の研削方法が提供される。
好ましくは、硬質基板はサファイア基板又はSiC基板から構成される。
本発明の研削方法によると、研削送り手段を作動して第1の研削送り速度でチャックテーブルに保持された硬質基板に研削砥石を接近させて硬質基板に接触した瞬間を研削送り手段を構成するモータの負荷電流値の変化によって検出し、その後直ちに研削送り手段を作動して研削砥石を硬質基板から離反させるので、硬質基板の研削すべき面が研削砥石によって荒らされる。
よって、第1の研削送り速度よりも遅い硬質基板の研削に適した第2の研削送り速度で硬質基板に研削砥石を接触させると研削砥石の噛み付きが良好となり、研削砥石が硬質基板の裏面上ですべることなく研削を開始することができる。
本発明の研削方法を実施するのに適した研削装置の斜視図である。 チャックテーブルユニット及びチャックテーブル送り機構の斜視図である。 光デバイスウエーハの表面に保護テープを貼着する様子を示す斜視図である。 保持工程を示す分解斜視図である。 位置付け工程を示す一部断面側面図である。 接触検出工程を示す一部断面側面図である。 離反工程を示す一部断面側面図である。 研削工程を示す一部断面側面図である。 研削工程を示す斜視図である。 本発明の研削方法による研削送り手段を構成するモータの負荷電流値のタイムチャートである。
以下、本発明の実施形態を図面を参照して詳細に説明する。図1は本発明の研削方法を実施するのに適した研削装置2の斜視図を示している。研削装置2のハウジング4は、ベース6と、ベース6から垂直に立ち上がったコラム8から構成される。
コラム8には上下方向に伸びる1対のガイドレール12,14が固定されている。この一対のガイドレール12,14に沿って研削手段(研削ユニット)16が上下方向に移動可能に装着されている。研削ユニット16は支持部20を介して一対のガイドレール12,14に沿って上下方向に移動する移動基台18に取り付けられている。
研削ユニット16は、支持部20に取り付けられたスピンドルハウジング22と、スピンドルハウジング22中に回転可能に収容されたスピンドル24と、スピンドル24を回転駆動するサーボモータ26を含んでいる。
図5に示されるように、スピンドル24の先端部にはマウンター28が固定されており、このマウンター28には研削ホイール30がねじ止めされている。研削ホイール30はホイール基台32の自由端部に粒径5〜10μmのダイアモンド砥粒等をビトリファイドボンドで固めた複数の研削砥石34が固着されて構成されている。
研削手段(研削ユニット)16にはホース36を介して研削水が供給される。好ましくは、研削水としては純水が使用される。図6乃至図8に示すように、ホース36から供給された研削水が、スピンドル24に形成された研削水供給穴38、マウンター28に形成された空間40及び研削ホイール30のホイール基台32に形成された複数の研削水供給ノズル42を介して研削砥石34及びチャックテーブル54に保持されたウエーハ11に供給される。
図1を再び参照すると、研削装置2は、研削ユニット16を一対の案内レール12,14に沿って上下方向に移動する研削ユニット送り機構(研削送り手段)44を備えている。研削ユニット送り機構44は、ボールねじ46と、ボールねじ46の一端部に固定されたパルスモータ48から構成される。パルスモータ48をパルス駆動すると、ボールねじ46が回転し、移動基台18の内部に固定されたボールねじ46のナットを介して移動基台18が上下方向に移動される。
ベース6の凹部10には、チャックテーブルユニット50が配設されている。チャックテーブルユニット50は、図2に示すように、支持基台52と、支持基台52に回転自在に配設されたチャックテーブル54を含んでいる。チャックテーブルユニット50は更に、チャックテーブル54を挿通する穴を有したカバー56を備えている。
チャックテーブル54はチャックテーブル移動機構58により、ウエーハ11を搬入搬出する装置手前側の搬入搬出位置と、研削手段16の作用を受ける装置奥側の研削位置との間でY軸方向に移動される。チャックテーブル移動機構58は、ボールねじ60と、ボールねじ60のねじ軸62の一端に連結されたパルスモータ64から構成される。
パルスモータ64をパルス駆動すると、ボールねじ60のねじ軸62が回転し、このねじ軸62に螺合したナットを有する支持基台52が研削装置2の前後方向(Y軸方向)に移動する。よって、チャックテーブル54もパルスモータ64の回転方向に応じてY軸方向に移動する。
チャックテーブル54に隣接して、チャックテーブル54に保持されたウエーハ11の厚みを検出する厚み検出手段94が配設されている。厚み検出手段94の検出針(プローブ)96はチャックテーブル54に保持されたウエーハ11の研削面に接触する検出位置と、チャックテーブル54から離れた退避位置との間で回動される。
図1に示されているように、図2に示した一対のガイドレール66,68及びチャックテーブル移動機構58は蛇腹70,72により覆われている。すなわち、蛇腹70の前端部は凹部10を画成する前壁に固定され、後端部がカバー56の前端面に固定されている。また、蛇腹72の後端はコラム8に固定され、その前端はカバー56の後端面に固定されている。
ベース6には、第1のウエーハカセット74と、第2のウエーハカセット76と、ウエーハ搬送ロボット78と、複数の位置決めピン81を有するウエーハ仮置テーブル80と、ウエーハ搬入手段82と、ウエーハ搬出手段84と、洗浄手段86が配設されている。更に、ハウジング4の前方にはオペレータが研削条件等を入力する操作手段88が設けられている。
また、ベース6の概略中央部には、チャックテーブル54を洗浄する洗浄水噴射ノズル90が設けられている。この洗浄水噴射ノズル90は、チャックテーブル54がウエーハ搬入・搬出位置に位置づけられた状態において、チャックテーブル54に保持された研削加工後のウエーハに向けて洗浄水を噴出する。ベース6の凹部10には、研削砥石32により研削されたウエーハ11の研削屑を含んだ研削水を排水する排水口92が設けられている。
図3を参照すると、本発明の研削方法の研削対象物である光デバイスウエーハ11の斜視図が示されている。光デバイスウエーハ11は、サファイア基板13上に窒化ガリウム(GaN)等のエピタキシャル層(半導体層)15が積層されて構成されている。光デバイスウエーハ11は、エピタキシャル層15が積層された表面11aと、サファイア基板13が露出した裏面11bとを有している。
研削加工を実施する前のサファイア基板13は例えば1300μmの厚みを有しており、エピタキシャル層15は例えば5μmの厚みを有している。エピタキシャル層15にLED等の光デバイス19が格子状に形成された分割予定ライン(ストリート)17によって区画されて形成されている。
光デバイスウエーハ11の裏面の研削、即ちサファイア基板13の研削に先立って、光デバイスウエーハ11の表面11aに形成された光デバイス19を保護するために、光デバイスウエーハ11の表面11aに保護テープ23が貼着される。
よって、本発明の研削方法では、図4に示すように、保護テープ23を下側にして光デバイスウエーハ11をウエーハ搬入・搬出位置に位置づけられたチャックテーブル54の保持面54aで吸引保持する。よって、保持された状態ではサファイア基板13が露出する。
次いで、チャックテーブル移動機構58を駆動して、チャックテーブル54をY軸方向に移動し、図5に示すように、研削砥石34がサファイア基板13に作用する研削位置に位置づける。
次いで、図6に示すように、チャックテーブル54を矢印a方向に750rpmで回転しつつ、研削ホイール30を矢印b方向に1300rpmで回転させながら、研削ユニット送り機構44を駆動して第1の研削送り速度、即ち15μm/sでチャックテーブル54に保持されたサファイア基板13に研削砥石34を接近させ、サファイア基板13に接触した瞬間を研削ユニット送り機構44のパルスモータ48の負荷電流値の変化によって検出する。
研削砥石34がサファイア基板13に接触した瞬間には摩擦抵抗が発生するため、図10の時間t1に示す時点でパルスモータ48の負荷電流値が瞬間的に増加する。例えば、7アンペア(A)の負荷電流値が瞬間的に11Aに増加する。
このパルスモータ48の負荷電流値の変化を検出した瞬間に、図7に示すように、研削ユニット送り機構44を駆動して研削砥石34をサファイア基板13の裏面から所定距離h、例えば30μm離反させる離反工程を実施する。図10のタイムチャートで符号98で示す時間t1とt2の間が離反工程を示している。
チャックテーブル54は矢印a方向に750rpmで回転しているため、研削ユニット送り機構44のパルスモータ48の負荷電流値の変化によって検出する接触検出工程の間にもチャックテーブル54は1〜2回程度回転し、サファイア基板13の裏面(被研削面)が荒らされた状態となる。
離反工程実施後、時間t2で研削工程を開始する。この研削工程では、チャックテーブル54を矢印a方向に750rpmで回転しつつ、研削ホイール30を矢印b方向に1300rpmで回転させながら、研削ユニット送り機構44を駆動して第1の研削送り速度よりも遅い第2の研削送り速度、即ち3μm/sで研削ホイール30を下方に研削送りしながら、研削砥石34でサファイア基板13の研削を遂行する。
この研削開始時には、研削砥石34がサファイア基板13の裏面に非常に短い時間接触してサファイア基板13の研削すべき面が荒らされているので、研削に適した第2の研削送り速度でサファイア基板13に研削砥石34を接触させると噛み付きが良好となり、研削砥石34がサファイア基板13の裏面ですべることなく研削が遂行される。
厚み検出手段94の検出針96をサファイア基板13に接触させてサファイア基板13の研削を遂行し、光デバイスウエーハ11の厚さが150μmになった時点t3で研削を終了する。図10のタイムチャートで符号100で示す時間t2からt3の間が研削工程を示している。
サファイア基板13の研削を実施すると、図9に示すように、光デバイスウエーハ11の裏面11b、即ちサファイア基板13の被研削面には、多数の弧が放射状に描かれた模様を呈する研削状痕25が残留する。
上述した実施形態は、サファイア基板13の研削に本発明を適用した例について説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、SiC基板等の他の硬質基板にも同様に適用可能である。
上述した実施形態によると、サファイア基板13を研削する際、研削ユニット送り機構44を駆動して第1の研削送り速度でチャックテーブル54に保持されたサファイア基板13に研削砥石34を接近させて研削砥石34がサファイア基板13に接触した瞬間を研削ユニット送り機構44のパルスモータ48の負荷電流値の変化によって検出し、その後直ちに研削ユニット送り機構44を駆動して研削砥石34をサファイア基板13から離反させるので、サファイア基板13の研削すべき面が荒らされた状態となる。
よって、第1の研削送り速度よりも遅い研削に適した第2の研削送り速度でサファイア基板13に研削砥石34を接触させると研削砥石34の噛み付きが良好となり、研削砥石34がサファイア基板13の裏面ですべることがなくサファイア基板13の研削を実施することが出来る。
2 研削装置
11 光デバイスウエーハ
13 サファイア基板
15 エピタキシャル層
16 研削ユニット
19 光デバイス
30 研削ホイール
34 研削砥石
44 研削ユニット送り機構(研削送り手段)
48 パルスモータ
54 チャックテーブル
94 厚み検出手段

Claims (2)

  1. 被加工物を保持する保持面を有し回転可能なチャックテーブルと、該チャックテーブルに保持された被加工物を研削する研削砥石が環状に配設された研削ホイールを回転可能に支持する研削手段と、研削水を供給する研削水供給手段と、被加工物を搬入搬出する搬入搬出位置と被加工物を研削する研削位置とに該チャックテーブルを位置づける位置付け手段と、該研削手段を該チャックテーブルに対して相対的に研削送りして接近及び離反させるモータを有する研削送り手段と、該チャックテーブルに保持された被加工物の厚みを検出する厚み検出手段とを備えた研削装置によって、被研削面が鏡面に形成された硬質基板を研削する硬質基板の研削方法であって、
    該チャックテーブルの保持面で硬質基板を保持する保持工程と、
    該チャックテーブルを研削位置に位置づける位置付け工程と、
    該研削送り手段を作動して第1の研削送り速度で該チャックテーブルに保持された硬質基板に該研削砥石を接近させ、該研削砥石が硬質基板に接触した瞬間を該研削送り手段の該モータの負荷電流値の変化によって検出する接触検出工程と、
    該接触検出工程によって該研削砥石と硬質基板との接触を検出した後直ちに該研削送り手段を作動して該研削砥石を硬質基板から離反させる離反工程と、
    該離反工程を実施した後、該研削送り手段を作動して該第1の研削送り速度よりも遅い第2の研削送り速度で該研削砥石を研削送りしながら該チャックテーブルに保持された硬質基板を研削する研削工程と、
    硬質基板が所望の厚みに達した際研削を終了する研削終了検出工程と、を備え、
    該接触検出工程では、該研削砥石が硬質基板の被研削面に接触することにより該被研削面を荒らし、
    該研削工程では、荒らされた該被研削面に該研削砥石を噛み付かせて研削を遂行することを特徴とする研質基板の研削方法。
  2. 硬質基板はサファイア基板又はSiC基板から構成される請求項1記載の硬質基板の研削方法。
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