JP2007324905A - Ofdm受信機、妨害波判別方法、窓制御装置、及び窓制御方法 - Google Patents

Ofdm受信機、妨害波判別方法、窓制御装置、及び窓制御方法 Download PDF

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Abstract

【課題】SPキャリアにより検出可能な範囲を超える妨害波(遅延波または先行波)を含む環境でも正しくFFT窓制御を行えるようにする技術を提供する。
【解決手段】先行波制御部61は、一定量以上の遅延量の妨害波が存在していない場合のFFT窓制御を行う。ピーク位置制御部63は、遅延量が一定量以上の場合に、ピーク位置情報を参照して、妨害波が遅延波、先行波の何れであるか判定し、その判定結果を用いて、入力した遅延情報が適切なものか否か確認する。それにより、適切なものではないと確認した場合には、その遅延情報を反転部64に出力して、適切と考えられる他の遅延情報を生成させる。その遅延情報が適切なものと確認した場合には、FFT窓の位置を設定する。最適位置判定部65は、他の遅延情報から設定すべきFFT窓の位置を決定し、位置設定部62を介してFFT窓の位置を設定する。
【選択図】図6

Description

本発明は、OFDM(Orthogonal FrequencyDivision Multiplexing:直交周波数分割多重)方式により送信されたOFDM信号を受信し、適切に復調するための技術に関する。
近年、データを伝送する方式として、OFDM(Orthogonal FrequencyDivision Multiplexing:直交周波数分割多重)方式と呼ばれる伝送方式が提案されている。そのOFDM方式では、周波数軸上で直交している複数のキャリア(サブキャリア)にそれぞれデータを割り当てて伝送する。変調は逆高速フーリエ変換(IFFT)、復調は高速フーリエ変換(FFT)を用いて行うのが普通である。FFTは、時間窓(FFT窓)分を対象に行われる。OFDM方式は周波数利用効率が高いことから、地上波デジタル放送への適用が広く検討されており、日本の地上波デジタル放送であるISDB−T(Integrated Services Digital Broadcasting-Terrestrial)の規格では採用されている。
従来の単一搬送波(キャリア)を用いたデジタル変調方式では、高速伝送になるほどシンボル期間が短くなる為、マルチパス(携帯電話やテレビジョン放送などにおいて、基地局、或いは放送局から送信された電波が、建物などの障害物によって反射し、受信側が複数の経路から同じ電波を受信してしまうこと)が生じているような状況下(マルチパス環境)では、信号の復調が困難である。そこでOFDM方式では、1つのキャリアではなく、複数のキャリアに情報を分割して送信するマルチキャリア伝送方式となっている。データを分割して複数のキャリアにより送信する為、それぞれのキャリアでシンボル長を長くすることが可能となり、それによって長い遅延のマルチパスにも対応可能となっている。また、複数のキャリアにデータをそれぞれ割り当てる為、キャリア毎に変調方式を変えることも可能である。
図4は、OFDM信号のフォーマットを説明する図である。図4において、時間・周波数領域で変調されたキャリア(サブキャリア)は丸で示している。その丸のなかで黒く塗りつぶしたものは分散パイロット(SP:Scattered Pilot)情報が配置されたキャリア(以降「SPキャリア」と呼ぶ)を示し、黒く塗りつぶしていないものはデータが配置されたキャリアを示している。図4に示すようにSP情報は、周波数軸方向では12キャリアに1個、時間軸方向では4シンボルに1個、配置されている。
OFDM方式では、シンボルの終わりの部分をそのシンボルの前に付加することで、マルチパスに対する耐性を強めている。この付加した信号はガードインターバルと呼ばれる。
マルチパス環境で受信する電波は、最大電力の電波は主波、主波より遅れて受信される電波は遅延波、それより早く受信される電波は先行波、と呼ばれる。主波は通常、直接、受信される電波、つまり障害物による反射等が行われていない電波である。遅延波は、障害物による反射の他に、回折や散乱などによっても生じる。復調の障害となる電波は妨害波と総称される。
図1は、ガードインターバルによる効果を説明する図である。同図(a)はガードインターバルがない場合、同図(b)はガードインターバルがある場合、の主波と遅延波間におけるシンボルの対応関係を表している。図1に表記した「n−1」「n」及び「n+1」はシンボルが送信された順序を表している。これは以降でも同様である。
FFTは、FFT窓によって指定された範囲を対象に行われる。このため、図1(a)に示すように、ガードインターバルがない場合、主波のシンボルnのFFTを行う際に遅延波のシンボルn−1を取り込んでしまい、それによって前後のシンボル間干渉が生じて劣化がおきてしまう。これに対してガードインターバルがある場合には、図1(b)に示すように、直前に位置するシンボルn−1を取り込むことがないため、シンボル間干渉が生じることなく復調することができる。
FFT窓の位置は、復調を適切に行うために、対象とすべきシンボルの位置に合わせて制御される。その制御(FFT窓制御)により、遅延波が存在する状況下では、FFT窓の位置は主波のシンボルの位置に合わせられる。これは、ガードインターバルはシンボルの前に付加するからである。しかし、遅延波ではなく先行波が存在する状況下では、主波のシンボルが存在する範囲内に、先行波の次のシンボルが重なってしまうことになる(図2)。このため、主波のシンボルの位置に合わせると、シンボル間干渉が生じて正しく復調できなくなる。このことから、先行波が存在する状況下では、以下のようにFFT窓制御が行われる。図2を参照して具体的に説明する。
図2は、先行波がある場合に行われるFFT窓制御を説明する図である。同図(a)は正しくFFT窓制御していない場合、同図(b)は正しくFFT制御した場合のFFT窓の位置を表している。
図2(a)に示すように、遅延波のときと同じく主波のシンボルnにFFT窓の位置を合わせると、シンボルnのFFTを行う際に先行波のシンボルn+1を取り込んでしまい、シンボル間干渉が生じて正しく復調できなくなる。それに対してFFT窓の位置を先行波のシンボルnに合わせると、図2(b)に示すように、FFT窓の範囲は主波、先行波ともにシンボルnのデータであるため、正常に復調することができる。
以上のようなFFT窓制御を行うことにより、ガードインターバル長の範囲内に収まっているマルチパス環境では正しく復調することができる。このため、SFN(Single Frequency Network)放送が可能である。そのSFN放送では、同じプログラムを同一の周波数(チャンネル)で中継・伝送し、複数局で同時放送する。それにより、マルチパス環境となるが、OFDM方式を採用することで実現することができる。
図3は、従来のOFDM受信機の構成を説明する図である。ここで図3を参照して、従来のOFDM受信機について具体的に説明する。
そのOFDM受信機は、例えば地上波デジタル放送を想定したものであり、アンテナ31、チューナ32、A/D変換器33、直交復調部34、FFT部35、伝送路等化部36、誤り訂正部37、IFFT部38、及び遅延情報抽出部39を備えた構成である。
次に動作を説明する。
アンテナ31で受信されたOFDM信号はチューナ32に入力され、チューナ32によって選択されたOFDM信号のみがA/D変換器33に入力され、デジタル化される。デジタル化されたOFDM信号は、直交復調部34に入力されて直交復調される。その直交復調により、ベースバンドのOFDM信号が生成される。FFT部35は、そのOFDM信号を入力し、FFT窓で指定された部分を抽出してFFTを行い、時間領域の信号を周波数領域の信号に変換する。伝送路等化部36は、伝送路を推定し、周波数領域に変換されたOFDM信号からノイズや波形歪みの影響を除去する。誤り訂正部37は、そのような除去によって補償した後のOFDM信号を対象に誤り訂正を行う。その訂正は、OFDM信号に付加された誤り訂正符号を用いて行う。その訂正を行った後のOFDM信号が最終的な復調信号として出力される。
IFFT部38は、FFT部35が出力するOFDM信号中からSPキャリア分のみを抽出してIFFTを行い、時間領域の信号に戻す。遅延情報抽出部39は、SPキャリアの時間領域の信号から、伝送路の遅延時間(遅延情報)を検出し、その遅延時間に応じてFFT窓の位置を設定することによりFFT窓制御を行う。FFT部35は、その窓制御によって設定されたFFT窓の位置に従ってFFTを行う。
特開2001−345775号公報 特開2002−110519号公報 特開2004−228853号公報 特開2004−336279号公報
上述したように、ガードインターバルの付加により、そのインターバル長以内の遅延波、或いは先行波には対応することができる。上記SFN放送では、ガードインターバルの許容範囲外までに及ぶ妨害波が生じる地域がある。その地域では発生する干渉によって適切に復調できない。
OFDM方式で採用する変調方式によっては、FFT窓の位置を適切に合わせることで、ある程度は劣化しても受信することが可能である。このことから、ガードインターバルの許容範囲外のマルチパスが存在するマルチパス環境でも、FFT窓の位置を正しく合わせるようにすることが重要である。
図3に示す従来のOFDM受信機では、SPキャリアから伝送路の遅延情報を検出し、FFT窓制御を行っている。そのSPキャリアは図4に示すようにOFDM信号中に配置される。それにより、時間軸上では3キャリア間隔で利用可能となるため、遅延情報の検出可能な範囲は1/3シンボル長までとなる。1シンボル長はISDB−Tのモード3の場合は1.008msである。このため、その範囲は336(=1008/3)μsまでとなる。遅延波と先行波の両方を考えると、±1/6シンボル長までとなる。ISDB−Tのモード3の場合は±168μsが限界となる。
このようなことから、仮に200μsの先行波があった場合には、SPキャリアによるFFT窓制御では±168μsが検出限界であることにより、200μsの先行波はその性質上136μsの遅延波と見なされてしまう。そのように妨害波を正しく認識できなくなるため、正しいFFT窓制御を行うことが不可能となる。
ISDB−Tで一般的なモード3、ガードインターバル長が1/8シンボル長の場合、そのガードインターバル長は126μsとなる。SPキャリアによる従来のFFT窓制御は、そのガードインターバル長以内のマルチパス環境では正しく行うことが可能である。しかし、上述したようなことから、そのガードインターバル長以上のマルチパス環境では正しく行うことは非常に困難なのが現状である。このことから、SPキャリアにより検出可能な範囲を超える妨害波(遅延波または先行波)を含む環境でも正しくFFT窓制御を行えるようにすることが重要と考えられる。
本発明は、以上のようなことに鑑みてなされたものであり、SPキャリアにより検出可能な範囲を超える妨害波(遅延波または先行波)を含む環境でも正しくFFT窓制御を行えるようにする技術を提供することを目的とする。
本発明のOFDM(Orthogonal Frequency Division Multiplexing:直交周波数分割多重)受信機は、OFDM方式により送信されたOFDM信号を受信することを前提とし、受信して直交復調を行った後のOFDM信号を対象にフーリエ変換を行い、周波数領域のOFDM信号を出力するフーリエ変換回路と、周波数領域のOFDM信号に存在する分散パイロット情報から、伝送路の第1の遅延量を検出する遅延量検出手段と、フーリエ変換回路により変換された周波数領域のOFDM信号、及び前後のシンボルのOFDM信号から得られるピーク位置情報のうちの少なくとも一方を基に、遅延量検出手段が検出した第1の遅延量が適切か否か判定し、第1の遅延量が適切でないと判定した場合に、第2の遅延量を算出し、第1の遅延量または第2の遅延量のうちのいずれか一方を用いて、フーリエ変換回路がOFDM信号のなかでフーリエ変換を行うべき範囲を示す時間窓の位置を設定する窓制御手段とを具備する。
なお、上記遅延量が適切か否かの判定は、第1の遅延量の絶対値が予め定めた範囲外となっている場合に行うことが望ましい。また、フーリエ変換回路による変換結果は、フーリエ変換回路に接続された伝送路等化部からのMER(Modulation Error Rate)情報と、伝送路等化部に接続された訂正部からのBER(Bit Error Rate)情報であることが望ましい。
本発明の妨害波判別方法は、妨害波としてOFDM(Orthogonal FrequencyDivision Multiplexing:直交周波数分割多重)信号が受信される状況下で該妨害波の種類を判別するために用いられる方法であって、前後のシンボルのOFDM信号から得られるピーク位置情報を取得し、該取得したピーク位置情報が表す形状を基に、妨害波が先行波、及び遅延波の何れであるか判別する。
本発明の窓制御装置は、OFDM(Orthogonal FrequencyDivision Multiplexing:直交周波数分割多重)方式により送信されたOFDM信号を受信するOFDM受信機に、受信して直交復調を行った後のOFDM信号のなかでフーリエ変換の対象となる部分を示す時間窓の位置を制御するために搭載されることを前提とし、周波数領域のOFDM信号に存在する分散パイロット情報から検出される伝送路の遅延量を示す第1の遅延情報を取得する遅延情報取得手段と、前後のシンボルのOFDM信号から得られるピーク位置情報を少なくとも取得する位置情報取得手段と、位置情報取得手段が取得したピーク位置情報を基に、遅延情報取得手段が取得した第1の遅延情報が適切か否か判定し、第1の遅延情報が適切でないと判定した場合に、第2の遅延情報を算出し、第1の遅延情報または第2の遅延情報のうちいずれか一方を用いて、OFDM信号のなかでフーリエ変換を行うべき範囲を示す時間窓の位置を設定する窓制御手段とを具備する。
なお、上記第1の遅延情報が適切か否かの判定は、第1の遅延情報が示す遅延量の絶対値が予め定めた範囲外となっている場合に行うことが望ましい。また、上記窓制御手段は、位置情報取得手段が取得したピーク位置情報、フーリエ変換回路に接続された伝送路等化部からのMER(Modulation Error Rate)情報及び伝送路等化部に接続された訂正部からのBER(Bit Error Rate)情報を基に、第1の遅延情報が適切か否か判定を行い、該遅延情報が適切でないと判定した場合に、第2の遅延情報の算出を行うことが望ましい。
本発明の窓制御方法は、OFDM(Orthogonal FrequencyDivision Multiplexing:直交周波数分割多重)方式により送信されたOFDM信号を受信するOFDM受信機で、受信して直交復調を行った後のOFDM信号のなかでフーリエ変換の対象となる部分を示す時間窓の位置を制御するための方法であって、周波数領域のOFDM信号に存在する分散パイロット情報から検出される伝送路の遅延量を示す第1の遅延情報を取得し、前後のシンボルのOFDM信号から得られるピーク位置情報を少なくとも取得し、ピーク位置情報を基に、第1の遅延情報が適切か否か判定し、第1の遅延情報が適切でないと判定した場合に、第2の遅延情報を算出し、第1の遅延情報または第2の遅延情報のうちいずれか一方を用いて、OFDM信号のなかでフーリエ変換を行うべき範囲を示す時間窓の位置を設定する。
本発明では、前後のシンボルのOFDM信号から得られるピーク位置情報を参照して、周波数領域のOFDM信号に存在する分散パイロット情報から検出される伝送路の遅延量(第1の遅延量)が適切か否か判定し、その遅延量が適切でないと判定した場合に、その遅延量から他の遅延量(第2の遅延量)を算出し、その算出した遅延量を用いて時間窓の位置を設定する。
分散パイロット情報による遅延量の検出では、先行波を遅延波と誤認識するか、或いはその逆に遅延波を先行波と誤認識する可能性がある。しかし、ピーク位置情報が示す形状は、妨害波が先行波か遅延波かによって変化する。このため、ピーク位置情報を参照することにより、妨害波が先行波、及び遅延波の何れであるか判別することができ、その判別結果を用いて、分散パイロット情報から検出した遅延量が正しいか否か確認することができる。それにより、その確認結果を時間窓の位置の設定、つまり時間(FFT)窓制御に反映させることにより、誤認識の影響を排除することができ、復調は常に適切に行えるようになる。
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。
図5は、本実施の形態によるOFDM受信機の構成を説明する図である。そのOFDM受信機は、例えば地上波デジタル放送を想定したものであり、アンテナ51、チューナ52、A/D変換器53、直交復調部54、FFT部(フーリエ変換回路)55、伝送路等化部56、誤り訂正部57、IFFT部58、遅延情報抽出部59、及びFFT窓制御量判定部60を備えた構成となっている。本実施の形態による窓制御装置は、FFT窓制御量判定部60として実現されている。
次に動作を説明する。
アンテナ51で受信されたOFDM信号はチューナ52に入力され、チューナ52によって選択されたOFDM信号のみがA/D変換器53に入力され、デジタル化される。デジタル化されたOFDM信号は、直交復調部54に入力されて直交復調される。その直交復調により、ベースバンドのOFDM信号が生成される。FFT部55は、そのOFDM信号を入力し、FFT窓で指定された部分を抽出してFFTを行い、時間領域の信号を周波数領域の信号に変換する。その変換を行うことにより、受信したOFDM信号が復調される。
伝送路等化部56は、キャリア毎に伝送路を推定し、周波数領域に変換されたOFDM信号からノイズや波形歪みの影響を除去する。誤り訂正部57は、そのような除去によって補償した後のOFDM信号を対象に誤り訂正を行う。その訂正は、OFDM信号に付加された誤り訂正符号を用いて行う。その訂正を行った後のOFDM信号が最終的な復調信号として出力される。
IFFT部58は、FFT部55が出力するOFDM信号中からSPキャリア分のみを抽出してIFFTを行い、時間領域の信号に戻す。遅延情報抽出部59は、SPキャリアの時間領域の信号から、伝送路の遅延時間(遅延情報)を検出する。FFT窓制御量判定部60は、遅延情報抽出部59から遅延情報を入力し、その遅延情報を用いたFFT窓制御を行う。また、必要に応じて、その遅延情報が適切なものか否か確認し、適切でないことを確認した場合、その遅延情報とは異なる遅延情報を生成し、生成した遅延情報を用いたFFT窓制御を行う。遅延情報抽出部59から入力した遅延情報が適切なものか否か確認するために、直交復調部54からピーク位置情報、伝送路等化部56からMER(Modulation Error Rate)情報、誤り訂正部57からBER(Bit Error Rate)情報をそれぞれ取得する。
図7は、ピーク位置情報を説明する図である。
このピーク位置情報は、OFDM方式ではガードインターバルを付加していることを利用して、FFT窓の位置を検知するために一般的に用いられている情報である。図7に示すように、現在対象とするシンボル(現シンボル)とそれより1つ前のシンボルの相関を求め、その移動平均を求めることで生成される。求めた相関の値は、同じシンボル間で0でない値となる。このため、移動平均は、図7に示すようにピークを持つものとなる。
直交復調部54は、前のシンボルのOFDM信号を格納するためのメモリを備え、そのメモリを用いてピーク位置情報を生成する。そのピーク位置情報は、キャリア周波数誤差、送受信機間のサンプリング周波数誤差の補正に用いられる。
伝送路等化部56は、キャリア毎に伝送路を推定して、OFDM信号からノイズや波形歪みの影響を除去する。MER情報は、その影響の度合いを表す情報である。BER情報は、復調したデータのなかで正しく復調できなかったデータの割合を示す情報である。
MER情報、及びBER情報は、FFT処理によって復調されたOFDM信号の状態を表す情報である。このため、FFT窓の位置が適切なものか否かの判定に用いている。FFT窓制御量判定部60は、ピーク位置情報、MER情報、及びBER情報を参照して、遅延情報抽出部59が抽出した遅延情報が適切なものか否か判定する。それにより、その遅延情報が適切なものでないと判定した場合に、適切と考えられる遅延情報を新たに生成し、生成した遅延情報を用いたFFT窓制御を行う。ここでは混乱を避けるため以降、遅延情報抽出部59が抽出した遅延情報は「第1の遅延情報」、新たに生成する遅延情報は「第2の遅延情報」と表記する。
図6は、上記FFT窓制御量判定部60の機能構成を説明する図である。その判定部60は、図6に示すように、先行波制御部61、ピーク位置制御部63、反転部64、最適位置判定部65、及び位置設定部62を備えた構成となっている。
次に、動作を説明する。
先行波制御部61は、一定量以上の遅延量の妨害波が存在していない場合のFFT窓制御を行うためのものである。第1の遅延情報が先行波の存在を表している場合には、先行波にFFT窓の位置を合わせる制御を行う。
先行波制御部61が対象とする遅延量は、対応可能とさせる最大遅延量(ここでは絶対値)に依存する。例えば最大遅延量を252μs(ISDB−Tのモード3では1/4シンボル長に相当)とすれば、SPキャリアによる検出限界となる1/3シンボル長(モード3では336μs)からこの数値(252μs)を引いた値(84=336−252)となる。これは、図9に示すように、168μs以上252μs以下では逆方向の168μs以下84μs以上と誤って遅延量を検出してしまう可能性があるためである。即ち例えば168μs以上252μs以下の遅延波を168μs以下84μs以上の先行波と誤って見なしてしまうような可能性があるためである。そのような可能性のない範囲内(挙げた例では−84μs〜+84μsの範囲内)の遅延量でのFFT窓制御を先行波制御部61に行わせるため、その制御は常に適切に行うことができる。図9では、252μsの遅延波を84μsの先行波と誤認識したことを表している。
FFT窓制御によるFFT窓の位置の設定は、位置設定部62を介して行われる。位置設定部62は、FFT部55にFFT窓設定信号を出力して、FFT窓の位置を設定する。FFT部55は、位置設定部62により位置が設定されたFFT窓に従って、OFDM信号からFFTの対象となる部分を抽出する。
ピーク位置制御部63は、その範囲外の制御を行うためのものである。第1の遅延情報が先行波制御部61の対象範囲外の遅延量を示していた場合、ピーク位置情報を参照して、妨害波が遅延波、先行波の何れであるか判定し、その判定結果を用いて、第1の遅延情報が適切なものか否か確認する。
図8は、ピーク位置情報が表す形状の妨害波による変化を説明する図である。同図(a)は先行波があるマルチパスの場合、同図(b)は遅延波があるマルチパスの場合の形状をそれぞれ示している。
ピーク位置情報(相関値の移動平均)が表す形状は、図8に示すように、妨害波が先行波、遅延波の何れであるかによって変化する。妨害波が先行波であった場合(図2(a)、或いは図2(b))、図8(a)に示すように、ピークを境にして、そのピークから移動平均が0となるポイントまでの範囲は、時間軸上で早い側のほうが長くなっている。妨害波が遅延波であった場合には(図1(b))、図8(b)に示すようにその逆となる。ピーク位置制御部63は、そのことに着目し、妨害波が先行波、遅延波の何れであるか判定し、第1の遅延情報がその判定結果と矛盾するか否か確認することにより、その第1の遅延情報が適切なものか否か確認する。それにより、第1の遅延情報が適切なものではないと確認した場合には、第1の遅延情報を反転部64に出力して、適切と考えられる第2の遅延情報を生成させる。第1の遅延情報が適切なものと確認した場合には、第1の遅延情報から設定すべきFFT窓の位置を決定し、位置設定部62を介してFFT窓の位置を設定する。
図8に示すように、ピーク位置情報から妨害波の種類を確認することができる。このため、誤った遅延量の抽出によるFFT窓制御によって生じる劣化を回避することができる。
SPキャリアによるFFT窓制御では±168μsが検出限界であれば、仮に200μsの先行波があった場合には、200μsの先行波はその性質上136μsの遅延波と見なし、遅延情報抽出部59は136μsを第1の遅延情報として抽出する。このようなことから反転部64は、第1の遅延情報が136μsであれば、それから200μsの第2の遅延情報を生成し、最適位置判定部65に出力する。最適位置判定部65は、そのような反転処理によって生成した第2の遅延情報から設定すべきFFT窓の位置を決定し、位置設定部62を介してFFT窓の位置を設定する。
ピーク位置情報による妨害波の種類の判定では、その種類を正しく判定できない可能性がある。このことから、最適位置判定部65は、BER情報、MER情報をモニタし、一定レベルより良い受信状況であれば、先行波を遅延波と誤認識、或いはその逆の誤認識を行っていないと判断し、ピーク位置情報による確認が適切に行えたと見なす。逆にBER情報、或いはMER情報が悪い受信状況を示していれば、ピーク位置情報による確認が誤っていた可能性があるとして、現在有効としている遅延情報を反転部64に反転処理させて得られる遅延情報によりFFT窓の位置を決定し、位置設定部62を介してその位置の設定を行う。それにより、現在有効としている遅延情報が100μsの先行波と示していれば、その先行波は268μsの遅延波を誤認識したものとして、FFT窓を主波に合わせるFFT窓制御を行う。その逆であれば、FFT窓を先行波に合わせるFFT窓制御を行う。そのようにして、FFT窓制御を状況に応じて適切な形で行い、より適切に受信できるように維持させる。
最適位置判定部65は、BER情報、MER情報による受信状況の確認を随時、行い、その受信状況が悪ければ反転処理を行い、FFT窓の位置の設定を行う。それにより、より適切に受信できるようにFFT窓制御を行い、FFT窓の位置を最適化する。
なお、本実施の形態では、受信状況の確認をBER情報、及びMER情報により行っているが、その確認は、それらのうちの一方のみを用いて行うようにしても良い。最適位置判定部65による反転処理は、一時的な劣化を伴うため、一定期間の経過を条件に行うようにさせても良い。
(付記1)
OFDM(Orthogonal Frequency Division Multiplexing:直交周波数分割多重)方式により送信されたOFDM信号を受信するOFDM受信機において、
受信して直交復調を行った後のOFDM信号を対象にフーリエ変換を行い、周波数領域のOFDM信号を出力するフーリエ変換回路と、
前記周波数領域のOFDM信号に存在する分散パイロット情報から、伝送路の第1の遅延量を検出する遅延量検出手段と、
前記フーリエ変換回路により変換された前記周波数領域のOFDM信号、及び前後のシンボルのOFDM信号から得られるピーク位置情報のうちの少なくとも一方を基に、前記遅延量検出手段が検出した前記第1の遅延量が適切か否か判定し、前記第1の遅延量が適切でないと判定した場合に、第2の遅延量を算出し、前記第1の遅延量または前記第2の遅延量のうちのいずれか一方を用いて、前記フーリエ変換回路が前記OFDM信号のなかでフーリエ変換を行うべき範囲を示す時間窓の位置を設定する窓制御手段と
を具備することを特徴とするOFDM受信機。
(付記2)
前記遅延量が適切か否かの判定は、前記第1の遅延量の絶対値が予め定めた範囲外となっている場合に行う
ことを特徴とする付記1記載のOFDM受信機。
(付記3)
前記フーリエ変換回路による変換結果は、前記フーリエ変換回路に接続された伝送路等化部からのMER(Modulation Error Rate)情報と、前記伝送路等化部に接続された訂正部からのBER(Bit Error Rate)情報である
ことを特徴とする付記1、または2記載のOFDM受信機。
(付記4)
妨害波としてOFDM(Orthogonal Frequency Division Multiplexing:直交周波数分割多重)信号が受信される状況下で該妨害波の種類を判別するために用いられる方法であって、
前後のシンボルのOFDM信号から得られるピーク位置情報を取得し、
該取得したピーク位置情報が表す形状を基に、前記妨害波が先行波、及び遅延波の何れであるか判別する
ことを特徴とする妨害波判別方法。
(付記5)
前記OFDM信号の復調結果を参照して、前記妨害波が先行波、及び遅延波の何れであるかの判別を行う
ことを特徴とする付記4記載の妨害波判別方法。
(付記6)
OFDM(Orthogonal Frequency Division Multiplexing:直交周波数分割多重)方式により送信されたOFDM信号を受信するOFDM受信機に、受信して直交復調を行った後のOFDM信号のなかでフーリエ変換の対象となる部分を示す時間窓の位置を制御するために搭載される窓制御装置において、
前記周波数領域のOFDM信号に存在する分散パイロット情報から検出される伝送路の遅延量を示す第1の遅延情報を取得する遅延情報取得手段と、
前後のシンボルのOFDM信号から得られるピーク位置情報を少なくとも取得する位置情報取得手段と、
前記位置情報取得手段が取得したピーク位置情報を基に、前記遅延情報取得手段が取得した前記第1の遅延情報が適切か否か判定し、前記第1の遅延情報が適切でないと判定した場合に、第2の遅延情報を算出し、前記第1の遅延情報または前記第2の遅延情報のうちいずれか一方を用いて、前記OFDM信号のなかで前記フーリエ変換を行うべき範囲を示す時間窓の位置を設定する窓制御手段と
を具備することを特徴とする窓制御装置。
(付記7)
前記第1の遅延情報が適切か否かの判定は、前記第1の遅延情報が示す遅延量の絶対値が予め定めた範囲外となっている場合に行う
ことを特徴とする付記6記載の窓制御装置。
(付記8)
前記窓制御手段は、前記位置情報取得手段が取得したピーク位置情報、前記フーリエ変換回路に接続された伝送路等化部からのMER(Modulation Error Rate)情報及び前記伝送路等化部に接続された訂正部からのBER(Bit Error Rate)情報を基に、前記第1の遅延情報が適切か否か判定を行い、該遅延情報が適切でないと判定した場合に、前記第2の遅延情報の算出を行う
ことを特徴とする付記6、または7記載の窓制御装置。
(付記9)
OFDM(Orthogonal Frequency Division Multiplexing:直交周波数分割多重)方式により送信されたOFDM信号を受信するOFDM受信機で、受信して直交復調を行った後のOFDM信号のなかでフーリエ変換の対象となる部分を示す時間窓の位置を制御するための方法であって、
前記周波数領域のOFDM信号に存在する分散パイロット情報から検出される伝送路の遅延量を示す第1の遅延情報を取得し、
前後のシンボルのOFDM信号から得られるピーク位置情報を少なくとも取得し、
前記ピーク位置情報を基に、前記第1の遅延情報が適切か否か判定し、前記第1の遅延情報が適切でないと判定した場合に、第2の遅延情報を算出し、
前記第1の遅延情報または前記第2の遅延情報のうちいずれか一方を用いて、前記OFDM信号のなかで前記フーリエ変換を行うべき範囲を示す時間窓の位置を設定する
ことを特徴とする窓制御方法。
(付記10)
前記第1の遅延情報が適切か否かの判定は、前記第1遅延情報が示す遅延量の絶対値が予め定めた範囲外となっている場合に行う
ことを特徴とする付記9記載の窓制御方法。
(付記11)
前記前記窓制御手段は、前記位置情報取得手段が取得したピーク位置情報、前記フーリエ変換回路に接続された伝送路等化部からのMER(Modulation Error Rate)情報及び前記伝送路等化部に接続された訂正部からのBER(Bit Error Rate)情報を基に、前記第1の遅延情報が適切か否か判定を行い、前記第1の遅延情報が適切でないと判定した場合に、前記第2の遅延情報の算出を行う
ことを特徴とする付記9、または10記載の窓制御方法。
ガードインターバルによる効果を説明する図である。 先行波がある場合に行われるFFT窓制御を説明する図である。 従来のOFDM受信機の構成を説明する図である。 OFDM信号のフォーマットを説明する図である。 本実施の形態によるOFDM受信機の構成を説明する図である。 FFT窓制御量判定部60の機能構成を説明する図である。 ピーク位置情報を説明する図である。 ピーク位置情報が表す形状の妨害波による変化を説明する図である。 SPキャリアによる遅延量の検出で生じる誤認識を説明する図である。
符号の説明
51 アンテナ
52 チューナ
53 A/D変換器
54 直交復調部
55 FFT部
56 伝送路等化部
57 誤り訂正部
58 IFFT部
59 遅延情報抽出部
60 FFT窓制御量判定部
61 先行波制御部
62 位置設定部
63 ピーク位置制御部
64 反転部
65 最適位置判定部

Claims (10)

  1. OFDM(Orthogonal Frequency Division Multiplexing:直交周波数分割多重)方式により送信されたOFDM信号を受信するOFDM受信機において、
    受信して直交復調を行った後のOFDM信号を対象にフーリエ変換を行い、周波数領域のOFDM信号を出力するフーリエ変換回路と、
    前記周波数領域のOFDM信号に存在する分散パイロット情報から、伝送路の第1の遅延量を検出する遅延量検出手段と、
    前記フーリエ変換回路により変換された前記周波数領域のOFDM信号、及び前後のシンボルのOFDM信号から得られるピーク位置情報のうちの少なくとも一方を基に、前記遅延量検出手段が検出した前記第1の遅延量が適切か否か判定し、前記第1の遅延量が適切でないと判定した場合に、第2の遅延量を算出し、前記第1の遅延量または前記第2の遅延量のうちのいずれか一方を用いて、前記フーリエ変換回路が前記OFDM信号のなかでフーリエ変換を行うべき範囲を示す時間窓の位置を設定する窓制御手段と
    を具備することを特徴とするOFDM受信機。
  2. 前記遅延量が適切か否かの判定は、前記第1の遅延量の絶対値が予め定めた範囲外となっている場合に行う
    ことを特徴とする請求項1記載のOFDM受信機。
  3. 前記フーリエ変換回路による変換結果は、前記フーリエ変換回路に接続された伝送路等化部からのMER(Modulation Error Rate)情報と、前記伝送路等化部に接続された訂正部からのBER(Bit Error Rate)情報である
    ことを特徴とする請求項1、または2記載のOFDM受信機。
  4. 妨害波としてOFDM(Orthogonal Frequency Division Multiplexing:直交周波数分割多重)信号が受信される状況下で該妨害波の種類を判別するために用いられる方法であって、
    前後のシンボルのOFDM信号から得られるピーク位置情報を取得し、
    該取得したピーク位置情報が表す形状を基に、前記妨害波が先行波、及び遅延波の何れであるか判別する
    ことを特徴とする妨害波判別方法。
  5. OFDM(Orthogonal Frequency Division Multiplexing:直交周波数分割多重)方式により送信されたOFDM信号を受信するOFDM受信機に、受信して直交復調を行った後のOFDM信号のなかでフーリエ変換の対象となる部分を示す時間窓の位置を制御するために搭載される窓制御装置において、
    前記周波数領域のOFDM信号に存在する分散パイロット情報から検出される伝送路の遅延量を示す第1の遅延情報を取得する遅延情報取得手段と、
    前後のシンボルのOFDM信号から得られるピーク位置情報を少なくとも取得する位置情報取得手段と、
    前記位置情報取得手段が取得したピーク位置情報を基に、前記遅延情報取得手段が取得した前記第1の遅延情報が適切か否か判定し、前記第1の遅延情報が適切でないと判定した場合に、第2の遅延情報を算出し、前記第1の遅延情報または前記第2の遅延情報のうちいずれか一方を用いて、前記OFDM信号のなかで前記フーリエ変換を行うべき範囲を示す時間窓の位置を設定する窓制御手段と
    を具備することを特徴とする窓制御装置。
  6. 前記第1の遅延情報が適切か否かの判定は、前記第1の遅延情報が示す遅延量の絶対値が予め定めた範囲外となっている場合に行う
    ことを特徴とする請求項5記載の窓制御装置。
  7. 前記窓制御手段は、前記位置情報取得手段が取得したピーク位置情報、前記フーリエ変換回路に接続された伝送路等化部からのMER(Modulation Error Rate)情報及び前記伝送路等化部に接続された訂正部からのBER(Bit Error Rate)情報を基に、前記第1の遅延情報が適切か否か判定を行い、該遅延情報が適切でないと判定した場合に、前記第2の遅延情報の算出を行う
    ことを特徴とする請求項5、または6記載の窓制御装置。
  8. OFDM(Orthogonal Frequency Division Multiplexing:直交周波数分割多重)方式により送信されたOFDM信号を受信するOFDM受信機で、受信して直交復調を行った後のOFDM信号のなかでフーリエ変換の対象となる部分を示す時間窓の位置を制御するための方法であって、
    前記周波数領域のOFDM信号に存在する分散パイロット情報から検出される伝送路の遅延量を示す第1の遅延情報を取得し、
    前後のシンボルのOFDM信号から得られるピーク位置情報を少なくとも取得し、
    前記ピーク位置情報を基に、前記第1の遅延情報が適切か否か判定し、前記第1の遅延情報が適切でないと判定した場合に、第2の遅延情報を算出し、
    前記第1の遅延情報または前記第2の遅延情報のうちいずれか一方を用いて、前記OFDM信号のなかで前記フーリエ変換を行うべき範囲を示す時間窓の位置を設定する
    ことを特徴とする窓制御方法。
  9. 前記第1の遅延情報が適切か否かの判定は、前記第1遅延情報が示す遅延量の絶対値が予め定めた範囲外となっている場合に行う
    ことを特徴とする請求項8記載の窓制御方法。
  10. 前記前記窓制御手段は、前記位置情報取得手段が取得したピーク位置情報、前記フーリエ変換回路に接続された伝送路等化部からのMER(Modulation Error Rate)情報及び前記伝送路等化部に接続された訂正部からのBER(Bit Error Rate)情報を基に、前記第1の遅延情報が適切か否か判定を行い、前記第1の遅延情報が適切でないと判定した場合に、前記第2の遅延情報の算出を行う
    ことを特徴とする請求項8、または9記載の窓制御方法。
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