JP5175761B2 - Ofdm受信装置 - Google Patents

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Description

本発明は、OFDM変調方式による伝送信号を受信するOFDM受信装置に関し、特にOFDM信号を受信する場合のFFT窓制御およびクロック再生制御に関する。
近年、音声信号および映像信号の伝送においてデジタル変調方式の開発が盛んである。特に、デジタル地上放送においては、マルチパス妨害に強い、周波数利用効率が高い等の特徴を有する直交周波数分割多重(以下、OFDM)変調方式が注目されている。
国内の地上デジタル放送では、周波数方向および時間方向にまばらにスキャタードパイロット信号(以下、SP信号)が挿入されており、受信装置ではこのSP信号を基準に伝送路ひずみを補正してデータ復調を行う。SP信号は振幅及び位相が一定の信号であり、各種キャリアの振幅及び位相の変動を推定し、補正信号を作成するのに用いられる。また、送信信号の階層構成や伝送パラメータを受信装置に提供するためのTMCC(Transmission and Multiplexing Configuration Control)信号と伝送制御に関する付加情報を伝送するためのAC(Auxiliary Channel)信号が周波数方向にランダムになるように配置されて差動2相位相シフト変調(以下、DBPSK変調)されて伝送されている。これら地上波デジタル信号については非特許文献1に詳しく記載されている。
従来のOFDM受信装置では、SP信号をFFT窓制御あるいはクロック再生制御にも利用している。FFT出力からSP信号を抽出した後、時間軸方向に補間して3キャリアごとの信号に変換後、逆フーリエ変換処理を行う。逆フーリエ変換出力のピーク位置を検出(これを遅延プロファイル検出と呼ぶ)してピーク位置が所定の位置になるようにFFT窓制御あるいはクロック再生制御を行う。
しかしながら、SP信号は時間軸方向に補間しても周波数方向に3キャリア周期の信号になるため、OFDM信号の有効シンボル長の1/3より長い遅延を有する遅延波が存在するような伝送路では逆フーリエ変換出力で遅延波が折り返し成分となって発生する。この折り返し成分によるピークで制御を行った場合には正常にFFT窓制御あるいはクロック再生制御できなくなるという問題を生じる。
一方、従来のOFDM受信装置として、特許文献1には、SPキャリアにより検出可能な範囲を超える妨害波を含む環境でも正しくFFT窓制御を行えるようにする技術が開示されている。
しかしながら、特許文献1の技術は、OFDM信号の有効シンボル長の1/3より長い遅延波が存在する場合に、逆フーリエ変換出力に生じる折り返し成分に起因してFFT窓制御或いはクロック再生制御が正常に行えなくなるという不具合を解消するものではなかった。
特開2007−324905号公報
社団法人電波産業会「ARIB STD-B31」
そこで、本発明は、上記の問題に鑑み、OFDM信号の有効シンボル長の1/3より長い遅延波が存在するような伝送路でもFFT窓制御あるいはクロック再生制御が可能なOFDM受信装置を提供することを目的とする。
本発明の一態様によれば、周波数方向および時間方向に周期的に配置されたパイロット信号と、周波数方向に既知のランダムパターンで配置されて時間方向に周期的に差動基準信号が挿入された、差動変調して送信されるサブキャリアとを含むOFDM信号を受信するOFDM受信装置において、前記OFDM信号の時間領域の信号を切り出し窓信号により切り出してフーリエ変換により周波数領域の信号に変換するフーリエ変換手段と、前記フーリエ変換手段の出力を復調し、復調データを得るデータ復調手段と、前記データ復調手段の出力を誤り訂正する誤り訂正手段と、前記フーリエ変換手段の出力から前記周波数方向および時間方向に周期的に配置されたパイロット信号を抽出する第1の信号抽出手段と、前記フーリエ変換手段の出力から前記差動基準信号を抽出する第2の信号抽出手段と、前記第1の信号抽出手段の出力と前記第2の信号抽出手段の出力を入力し、遅延プロファイル検出を行うものであって、前記第2の信号抽出手段の出力を使用した遅延プロファイル検出結果に基づいて限定した範囲で前記第1の信号抽出手段の出力の遅延プロファイル検出を行う遅延プロファイル検出手段と、前記遅延プロファイル検出手段の出力を使用して前記切り出し窓信号を生成する同期再生手段と、を具備したOFDM受信装置が提供される。
本発明によれば、OFDM信号の有効シンボル長の1/3より長い遅延波が存在するような伝送路でもFFT窓制御あるいはクロック再生制御が可能なOFDM受信装置を実現することが可能となる。
本発明の一実施形態のOFDM受信装置の構成を示すブロック図。 図1における遅延プロファイル検出回路の構成例を示すブロック図。 差動基準信号を用いた遅延プロファイル検出によるピーク位置及びそのピークの狭い範囲に限定したSP信号を用いた遅延プロファイル検出を説明するための説明図。 マルチパス受信環境における切り出し窓信号の設定タイミングを説明する説明図。 クロックの周波数ずれに起因して切り出し窓信号のタイミングにずれを生じる不具合を説明する説明図。 OFDM方式におけるSP信号の時間方向及び周波数方向の配置を示す説明図。 OFDMフレームにおけるAC,TMCC信号の時間方向及び周波数方向の配置を示す説明図。 AC,TMCC信号及びその差動基準信号の時間方向の配置を示す説明図。 OFDM信号におけるAC及びTMCCキャリアの周波数方向の配置を示す説明図。
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して詳細に説明する。
図1乃至図5で本発明の実施の形態を説明する前に、図6乃至図9を参照して本発明に係る関連技術を説明する。
日本国内の地上デジタル放送では、図6に示すように周波数方向および時間方向にまばらにスキャタードパイロット(SP)キャリアが挿入されており、受信装置ではこのSPキャリアを基準に伝送路ひずみを補正してデータ復調を行う。SPキャリアは、周波数方向に12キャリアに1本、時間方向に4シンボルに1本の割合で間欠的に挿入されているが、時間方向の4シンボル分で補間することにより、3キャリアに対して1本挿入されることになる。
図7はOFDMフレームにおけるAC,TMCC信号の時間方向及び周波数方向の配置を示している。横軸の周波数方向に時間方向の各シンボルにつき数キャリア毎に差動基準信号或いはAC,TMCC信号が配置され、縦軸の時間方向に差動基準信号を先頭にAC(Auxiliary Channel)信号及びTMCC(Transmission and Multiplexing Configuration Control)信号が204シンボル配置されている。日本のISDB−T方式だと、AC,TMCC信号を送信するときは差動のBPSK変調で送っており、フレームの先頭を差動基準信号で送る方式になっている。モード3では、受信装置においては、有効シンボル期間に8192サンプルでFFTを行い、1シンボルにつき5617本のキャリアを分離し復調する。
図8は図7における左側から見た、AC,TMCC信号及びその差動基準信号の時間方向の配置を示している。1フレームは204シンボルで構成され、フレームの先頭に差動基準信号を伝送する。受信側では、1シンボル前の信号を差動基準信号として用い、その信号と同相であれば‘0’を、異なる位相であれば‘1’として復調する。
図9は図7における上側から見た、AC及びTMCCキャリアの周波数方向の配置を示している。送信信号の階層構成や伝送パラメータを受信装置に提供するためのTMCC信号と伝送制御に関する付加情報を伝送するためのAC(Auxiliary Channel)信号が図9に示すように周波数方向にランダムになるように配置されてDBPSK変調されて伝送されている。この配置はマルチパスによる周期的なディップの影響を少なくするためである。図9の太線にて示すAC及びTMCCキャリア以外のところにデータキャリアやSPキャリアが送られてきている。これら地上波デジタル信号については「ARIB STD−B31」に詳しく記載されている。
なお、受信に際してのAC,TMCC信号はCN比が小さくても復調が容易なDBPSK変調が用いられている。その振幅はデータキャリアの平均振幅より大きくされることにより、雑音や干渉に対して強くしてある。
従来のOFDM受信装置では、上述のSP信号をFFT窓制御あるいはクロック再生制御にも利用している。FFT出力からSP信号を抽出した後、時間軸方向に補間して3キャリアごとの信号に変換後、逆フーリエ変換処理を行う。逆フーリエ変換出力のピーク位置を遅延プロファイル検出してピーク位置が所定の位置になるようにFFT窓制御或いはクロック再生制御を行う。
しかしながら、SP信号は時間軸方向に補間しても周波数方向に3キャリア周期の信号になるため、OFDM信号の有効シンボル長の1/3より長い遅延を有する遅延波が存在するような伝送路では逆フーリエ変換出力で遅延波が折り返し成分となって発生する。この折り返し成分によるピークで制御を行った場合には正常にFFT窓制御あるいはクロック再生制御できなくなり問題である。
以上述べたように、従来のOFDM受信装置ではOFDM信号の有効シンボル長の1/3より長い遅延波が存在するような伝送路では逆フーリエ変換出力の折り返し成分によりFFT窓制御あるいはクロック再生制御が正常にできなくなる問題があった。
[第1の実施形態]
以下、図1乃至図5を参照して本発明の実施の形態を詳細に説明する。
図1は本発明の一実施形態のOFDM受信装置の構成を示すブロック図である。
図1に示すOFDM受信装置100は、OFDM信号の入力端子101と、チューナ102と、直交検波回路103と、キャリア再生回路104と、フーリエ変換手段としてのFFT回路105と、データ復調手段としてのデータ復調回路106と、誤り訂正手段としての誤り訂正回路107と、TSデータの出力端子108と、同期再生手段及びクロック再生手段としての同期再生/クロック再生回路109と、第2の信号抽出手段としての差動基準抽出回路110と、第1の信号抽出手段としてのSP信号抽出回路111と、遅延プロファイル検出手段としての遅延プロファイル検出回路112と、同期制御回路113とを備えている。
入力端子101には図示しないアンテナからOFDM変調波信号(以下、OFDM信号という)が供給され、チューナ102に入力される。チューナ102で所望の周波数のOFDM信号が選局され、中間周波数帯の信号(以下、IF信号という)に変換される。
このIF信号は直交検波回路103において直交検波され、後述のキャリア再生回路104からの周波数制御信号により周波数変換されてベースバンドの同相検波軸信号(I信号という)と直交検波軸信号(Q信号という)に変換される。直交検波回路103の出力はFFT回路105に入力される。
このFFT回路105は入力されたOFDM変調波の中でガード期間を除いた有効シンボルに対してFFT演算を行う。FFT回路105の出力はデータ復調回路106に供給される。データ復調回路106では、OFDM信号にあらかじめ挿入されている等化用パイロット信号(SP信号)を用いて伝搬路歪を推定して補償することによって、FFT出力が等化処理される。このデータ復調回路106の出力は誤り訂正回路107に入力され誤り訂正される。誤り訂正された信号は再生データであるTSデータとして出力端子108から出力される。
同期再生/クロック再生回路109では、直交検波回路103の出力である時間領域の信号と遅延プロファイル検出回路112の出力である周波数領域の信号を入力し、OFDM復調に必要なタイミング同期信号を再生し、またクロック再生を行い、各回路に必要なタイミング信号と再生クロックを供給する。さらに、キャリア再生回路104では、直交検波回路103からの時間領域の信号とFFT回路105の出力信号である周波数領域の信号からキャリア周波数誤差検出を行い、周波数誤差をキャンセルするような周波数制御信号を直交検波回路103に供給する。同期再生/クロック再生回路109によるタイミング同期再生およびクロック再生の制御信号は、遅延プロファイル検出回路112からの遅延プロファイルのピーク位置情報に基づいてピーク位置が所定の位置になるように制御する。また、キャリア再生回路104によるキャリア周波数誤差検出には、周波数領域のOFDM信号のパイロット信号のサブキャリア配置を利用したものと有効シンボル期間の前に付加されるガード期間の相関を利用したものとを組み合わせる方法などが知られている。
また、FFT回路105の出力は第2の信号抽出手段である差動基準抽出回路110に入力される。差動基準抽出回路110では、OFDM変調信号に含まれるAC,TMCC信号のフレーム先頭シンボルで伝送される差動基準信号を抽出して遅延プロファイル検出回路112に供給する。さらに、FFT回路105の出力は第1の信号抽出手段であるSP信号抽出回路111に供給され、SP信号のみが抽出されて遅延プロファイル検出回路112に供給される。遅延プロファイル検出回路112には差動基準信号及びSP信号のほかにさらに同期制御回路113からの入力切替信号と検出範囲切替信号が入力される。遅延プロファイル検出回路112では、入力切替信号に応じて差動基準信号あるいはSP信号を使用して遅延プロファイル検出し、検出されたピーク位置情報を同期再生/クロック再生回路109に供給する。
同期制御回路113は、遅延プロファイル検出回路112において例えばフレーム先頭シンボルは差動基準信号を使用し、その他のシンボルはSP信号を使用するように入力切替信号を制御する。そして、選局時等の同期引き込み開始当初に差動基準信号を使用して遅延プロファイルを求めるときは、例えば有効シンボル期間のような広範囲で検出して、その後SP信号(及び204シンボルに1回の差動基準信号)を使用して遅延プロファイルを求めるときは同期引き込み開始当初に差動基準信号を使用したときのピーク位置から、検出周期の間に想定されるクロック周波数ずれによってピーク位置が変化する程度の狭い範囲内で遅延プロファイル検出をする。つまり、受信機としてのクロックの周波数ずれ量は設定事項として想定してあるが、その想定してあるクロックの周波数ずれ分を十分含むような限定した狭い範囲内で遅延プロファイルを検出する。このように狭い範囲で検出すれば、SP信号で問題になる有効シンボル長の1/3以上で信号が折り返してくるという影響を受けないでピーク位置を検出することができる。
なお、差動基準信号は既知の無変調信号なのでパイロット信号と同様に扱うことができる。差動基準信号を使用した遅延プロファイル検出では、AC,TMCC信号が図9に示すように周波数方向にランダムになるように配置されているので有効シンボル長の1/3以上の長遅延のマルチパス妨害が存在するような伝送路でも折り返し成分を発生させることなく正確に主信号であるところのピーク位置を検出できる。クロックの周波数ずれがなければSP信号を使用しても同じ位置に主信号のピークが存在する。そのピークを使用してFFT窓制御あるいはクロック再生制御すればよい。実際には、クロック周波数ずれを考慮しなければならないので所定の狭い範囲内で検出されたピークを使用する。このように制御することで有効シンボル長の1/3以上の長遅延のマルチパス妨害が存在するような伝送路でも誤動作することなく制御可能となる。
図2は図1における遅延プロファイル検出回路112の構成例のブロック図を示している。
図2に示す遅延プロファイル検出回路112は、差動基準信号の入力端子201と、SP信号の入力端子202と、入力切替信号の入力端子203と、信号選択手段としてのセレクタ204と、逆フーリエ変換手段としての逆フーリエ変換回路205と、ピーク検出手段としてのピーク検出回路206と、検出範囲切替手段としての検出範囲切替回路207と、ピーク位置情報の出力端子208と、検出範囲切替信号の入力端子209とを備えている。
差動基準抽出回路110で抽出されたフレーム先頭シンボルの差動基準信号がセレクタ204に供給される。セレクタ204にはSP信号抽出回路111よりSP信号も供給される。
また、同期制御回路113から入力切替信号が入力され、セレクタ204において差動基準信号とSP信号とのいずれかが選択される。セレクタ204の出力は逆フーリエ変換回路205に供給され、逆フーリエ変換処理される。逆フーリエ変換回路205には後述の検出範囲切替回路207からの検出範囲制御信号も入力され、逆フーリエ変換処理を広範囲で遅延プロファイル検出するときと狭い範囲で遅延プロファイル検出するときで切り替える。なお、検出範囲切替回路207による検出範囲切替えは、入力切替信号による入力切替えと同期してもよく、同じ切替信号を用いてもよい。狭い範囲で遅延プロファイル検出するときは逆フーリエ変換処理の演算量を減らすことができるので常に広範囲で検出するときよりも消費電力を低く抑えることができる。
検出範囲切替回路207には同期制御回路113から検出範囲切替信号が入力され、検出範囲切替信号に応じて検出範囲を切り替えるように逆フーリエ変換回路205とピーク検出回路206にそれぞれ検出範囲制御信号を出力する。
逆フーリエ変換回路205の出力はピーク検出回路206に供給される。ピーク検出回路206には検出範囲切替回路207からの検出範囲制御信号も入力され、逆フーリエ変換処理された信号振幅のピーク値(以下、信号振幅ピークまたは単に信号ピークという)を示す位置が検出される。逆フーリエ変換出力の信号ピークはクロック周波数ずれがなければ、遅延プロファイル検出するたびに同じ位置に検出される。したがって、検出されたピーク位置が所定の位置か否かで同期再生/クロック再生回路109を制御可能となる。
上記実施形態では、同期引き込み当初のみ差動基準信号を使用して広範囲で遅延プロファイル検出するように説明したが、これに限らず差動基準信号を使用するときは常に広範囲で遅延プロファイルを制御しても同様の効果を得ることができる。
どのようなマルチパスの影響を受けているかを、受信機側で検出する方法として、遅延プロファイル検出が知られている。遅延プロファイルは、直接波と遅延波で構成される到来波(受信波)の遅延時間と信号レベルの関係を示したものである。受信される直接波に対してマルチパスによる遅延波の重畳があると、それがFFTによるOFDM復調結果の周波数レスポンスに反映される。その周波数レスポンスをIFFT(高速逆フーリエ変換)することによって、インパルス応答特性即ち遅延プロファイルが得られる。通常、周波数レスポンスの基準としてSP信号を利用し、その振幅情報(ピーク情報)をIFFTでインパルス応答特性に変換してグラフに表示する。
受信されているFFT後のOFDM信号からSP信号を抽出し、これを逆FFTして時間軸に戻すと、主波のほかに遅延波(反射波)に基づくマルチパス波が得られる。SP信号は、周波数方向及び時間方向に周期的に入っているので、遅延プロファイルを求めたときに周波数軸で見たときに3キャリアおきに入っている。このため、シンボル長で言うと有効シンボル長の1/3以上の遅延波が入ってくると、原理的に折り返されてしまう不具合が生じ、遅延プロファイルが折り返されるために正しい遅延プロファイルが検出できない。有効シンボル長Tの1/3より長くなってしまうと、遅延プロファイルが(1/3)×Tにならずに折り返して反対の方向に生じる状態となる結果、SP信号だけでは遅延プロファイルを良好に検出できない。折り返しというのは、遅延プロファイルを検出したときに折り返し成分が発生する。つまり、実際の遅延プロファイルのピーク位置とは異なった位置に信号ピークが現れてしまい、この誤ったピーク位置情報に基づいて制御が行われることによって正しいFFT窓制御及びクロック再生制御ができなくなる。
そこで、本発明の実施形態では、周波数方向にランダムに入っているAC,TMCC信号を用いることによって、SP信号のように折り返し成分が発生するのをなくすことを可能としている。従って、AC,TMCC信号の差動基準信号を使って遅延プロファイルを求めると、主波のほかに遅延波の信号ピークが複数本発生するが、それらの信号ピークのうちの最も高いピーク(言い換えれば通常は主波のピーク)の位置の或る範囲に対して次からSP信号を使った遅延プロファイルの検出を行う。このようにすると、SP信号に関しては有効シンボル長の1/3以上の長い遅延に対して正しい検出ができないという欠点があるが、前述のAC,TMCC信号の差動基準信号についての遅延プロファイルのピーク位置で限定した遅延範囲内でSP信号の遅延プロファイルを求めてやれば正しい遅延プロファイル検出を行うことができる。
差動基準信号はフレームに1回、即ち204シンボルに1回のみ検出されるので、最初は折り返しの生じない広い範囲で差動基準信号を用いて遅延プロファイルを検出して正しいピークを見つけておき、次にそのピークを含む近傍の狭い範囲に限定してSP信号で次々に連続的に短い周期で遅延プロファイルを検出して制御をかけるので、制御周期も短くできるし、SP信号の折り返しも気にすることなく制御がかけられる。
図3は差動基準信号を用いた遅延プロファイル検出によるピーク位置e及びそのピーク位置の狭い範囲に限定したSP信号を用いた遅延プロファイル検出を説明するための図である。図3(a)〜(c)はそれぞれ図4(a)〜(c)と同様であり、図3(a)〜(c)の各図については図4(a)〜(c)で詳しく説明する。
図3の本発明の遅延プロファイル検出においては、AC,TMCC信号の差動基準信号は、長遅延の信号に対しても折り返しは生じないが、フレームに1回、即ち204シンボルに1回しか差動基準信号を検出できないデメリットがあり、これに対してSP信号は毎シンボルでも検出可能であるが前述したように有効シンボル長の1/3以上の長遅延の信号は検出できなくなるというデメリットがある。従って、本発明の実施形態は、AC,TMCC信号の差動基準信号による遅延プロファイルの検出と、SP信号による遅延プロファイルの検出との2つの遅延プロファイル検出を組み合わせて両者のデメリットをなくして良好な遅延プロファイル検出を行えるようにしたものである。
図4はマルチパス受信環境における切り出し窓信号の設定タイミングを説明する図である。
図4(a)では、送信側から直接受信側に到達する直接波においてはOFDM信号の有効シンボル期間の後端部分をコピーして有効シンボル期間の前端の前方部分に付加することにより、有効シンボル期間の前端にガード期間が追加されている。ガード期間は、最大で有効シンボル長の1/4に設定可能である。なお、ガード期間は、日本の方式では、有効シンボル長の1/4、1/8、1/16、1/32の4種類から選べるようになっている。
図4(b)は、図4(a)の直接波に対して直接波の径路とは別の径路で反射物に当たって受信側に到達する遅延波(反射波)を示している。このときの遅延波は、その遅延時間τが図4(a)に示す直接波のガード期間tg内に存在する場合の遅延波を示している。
図4(c)は、同期再生/クロック再生回路109で生成される切り出し窓信号を示している。切り出し窓信号は、FFT回路105でFFT処理を行うための有効シンボル期間Tを設定するための信号である。この切り出し窓信号は、図4(d)の直接波の遅延プロファイル(主信号)d1のピーク位置を基準に切り出し位置が設定される。このため、同期再生/クロック再生回路109では、主信号d1のピーク位置に基づいたクロック再生制御信号を生成して、再生クロックの周波数及び再生タイミングを制御し、切り出し位置を設定する。図4(a)の直接波シンボル期間(ハッチング部分)と図4(b)の遅延波シンボル期間(ハッチング部分)とが時間的に重なった範囲内に切り出し窓信号の有効シンボル期間を設定することにより、隣接するシンボル間での干渉をなくすることができる。
図4(d)は、図4(a)の直接波の遅延プロファイルの信号ピークd1と、図4(b)の遅延波の遅延プロファイルの信号ピークd2とを示している。遅延波の信号ピークd2は通常複数存在するが図では1つのみを示している。
図5はクロックの周波数ずれに起因して切り出し窓信号のタイミングにずれを生じる不具合を説明する図である。図5(a)〜(c)はそれぞれ図4(a)〜(c)と同様である。図5(d)も図4(d)と同様であるが、図5における直接波の遅延プロファイルの信号ピークd1と遅延波の遅延プロファイルの信号ピークd2は、同期再生/クロック再生回路109の回路的な或いはその環境的な要因により、再生クロックの周波数にずれを生じる結果、時間的な位置ずれ(図示の←→にて示す範囲)を発生する。
クロックの周波数ずれで主信号d1のピーク位置が時間軸上の所定の位置例えば前回の位置から前後にずれた場合は、このずれた主信号d1のピーク位置を基準に図5(c)に示す切り出し窓信号の切り出し位置が設定されるため、切り出し窓の位置もずれるなどの不具合を生じ、正しいFFT窓制御ができなくなる。
従って、このようなクロックの周波数ずれに起因した主信号のピーク位置のずれを、クロック周波数を正しくなるように調整することによって、修正してやる必要がある。このような受信機側で生じる周波数ずれ(誤差)に対しては周知の自動周波数補正(AFC)技術にて修正可能である。
本発明の実施形態によれば、AC,TMCC信号の差動基準信号を逆フーリエ変換処理してピークを検出した後に、このピーク位置を基に限定した範囲でSP信号の逆フーリエ変換処理を行い、ピーク位置を検出するようにしたことによって、OFDM信号の有効シンボル長の1/3より長い遅延波が存在するような伝送路でもFFT窓制御あるいはクロック再生制御が可能なOFDM受信装置を実現することができる。
以上述べたように本発明によれば、差動基準信号を使用して遅延プロファイル検出したピーク位置の近傍をSP信号を使用して遅延プロファイル検出してFFT窓制御あるいはクロック再生制御を行うので、有効シンボル長の1/3以上の遅延波が存在するような伝送路でも引き込み特性を劣化させることなく制御応答を早くかつ正確に動作させることが可能となる。
本発明は、地上デジタル放送の設置型の受信装置のほか、携帯端末などのモバイル機器など、マルチパス環境の悪い受信環境に置かれるOFDM受信装置に広く利用することが可能である。
102…チューナ
103…直交検波回路
104…キャリア再生回路
105…FFT回路
106…データ復調回路
107…誤り訂正回路
109…同期再生/クロック再生回路
110…差動基準抽出回路
111…SP信号抽出回路
112…遅延プロファイル検出回路
113…同期制御回路

Claims (4)

  1. 周波数方向および時間方向に周期的に配置されたパイロット信号と、周波数方向に既知のランダムパターンで配置されて時間方向に周期的に差動基準信号が挿入された、差動変調して送信されるサブキャリアとを含む直交周波数分割多重(以下、OFDM)信号を受信するOFDM受信装置において、
    前記OFDM信号の時間領域の信号を切り出し窓信号により切り出してフーリエ変換により周波数領域の信号に変換するフーリエ変換手段と、
    前記フーリエ変換手段の出力を復調し、復調データを得るデータ復調手段と、
    前記データ復調手段の出力を誤り訂正する誤り訂正手段と、
    前記フーリエ変換手段の出力から前記周波数方向および時間方向に周期的に配置されたパイロット信号を抽出する第1の信号抽出手段と、
    前記フーリエ変換手段の出力から前記差動基準信号を抽出する第2の信号抽出手段と、
    前記第1の信号抽出手段の出力と前記第2の信号抽出手段の出力を入力し、遅延プロファイル検出を行うものであって、前記第2の信号抽出手段の出力を使用した遅延プロファイル検出結果に基づいて限定した範囲で前記第1の信号抽出手段の出力の遅延プロファイル検出を行う遅延プロファイル検出手段と、
    前記遅延プロファイル検出手段の出力を使用して前記切り出し窓信号を生成する同期再生手段と、
    を具備したことを特徴とするOFDM受信装置。
  2. 周波数方向および時間方向に周期的に配置されたパイロット信号と、周波数方向に既知のランダムパターンで配置されて時間方向に周期的に差動基準信号が挿入された、差動変調して送信されるサブキャリアとを含む直交周波数分割多重(以下、OFDM)信号を受信するOFDM受信装置において、
    前記OFDM信号をフーリエ変換により周波数領域の信号に変換するフーリエ変換手段と、
    前記フーリエ変換手段の出力を復調し、復調データを得るデータ復調手段と、
    前記データ復調手段の出力を誤り訂正する誤り訂正手段と、
    前記フーリエ変換手段の出力から前記周波数方向および時間方向に周期的に配置されたパイロット信号を抽出する第1の信号抽出手段と、
    前記フーリエ変換手段の出力から前記差動基準信号を抽出する第2の信号抽出手段と、
    前記第1の信号抽出手段の出力と前記第2の信号抽出手段の出力を入力し、遅延プロファイル検出を行うものであって、前記第2の信号抽出手段の出力を使用した遅延プロファイル検出結果に基づいて限定した範囲で前記第1の信号抽出手段の出力の遅延プロファイル検出を行う遅延プロファイル検出手段と、
    前記遅延プロファイル検出手段の出力を使用してクロック再生制御信号を生成するクロック再生手段と、
    を具備したことを特徴とするOFDM受信装置。
  3. 前記遅延プロファイル検出手段は、
    前記第1の信号抽出手段の出力と前記第2の信号抽出手段の出力とを入力し、いずれかを選択する信号選択手段と、
    前記信号選択手段の出力を逆フーリエ変換により時間領域の信号に変換する逆フーリエ変換手段と、
    前記逆フーリエ変換手段の出力の信号振幅ピークを検出し、前記信号振幅ピークの位置情報を出力するピーク検出手段と、
    前記信号選択手段で前記第1の信号抽出手段の出力を選択したときと前記第2の信号抽出手段の出力を選択したときとで、前記ピーク検出手段での前記信号振幅ピークを検出する範囲を切り替える検出範囲切替手段と、
    を具備したことを特徴とする請求項1又は2に記載のOFDM受信装置。
  4. 前記遅延プロファイル検出手段は、同期引き込み開始後、まず前記第2の信号抽出手段の出力を選択して前記信号振幅ピークの位置情報を出力し、その後は前記第1の信号抽出手段の出力に切り替えることを特徴とする請求項3に記載のOFDM受信装置。
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