JP2007321891A - 配管の遮音方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】 二層の剥がれ解消、耐火性付与、無機質繊維の飛散防止、固体伝搬音の低減。
【解決手段】 遮音層と吸音層の二層からなる配管用防音材の配管への施工において、遮音層と吸音層は接着固定され、配管に施工する際、配管の直線部分は、吸音層の配管側にシワを配管と平行に発生させ、配管と配管用防音材とが部分的に接触して空気層が形成されるようにする配管の遮音方法。上記吸音層は、無機質繊維を主成分とするものであって施工時に無機質繊維の飛散を防止した形態のもの。上記吸音層は、合成繊維をニードル加工した無機質繊維を主成分とするもの、好ましくは合成繊維からなる不織布をニードル加工により無機質フェルトと一体化したもの。上記遮音層は、面密度が1.5kg/m2以上のもの。上記配管用防音材は、配管の直線部分に関しては、配管の直線部分に施工する前の形状がシート状の防音材を折り曲げて端部を接合させ楕円形状のものとしたものであって、施工する際には円筒状とし、配管の直線部分を構成する管に挿入して用いるもの。
【選択図】 図2
Description
より、具体的には、本発明は以下の点を解決すべき課題とする。
(1)遮音層と吸音層の二層からなる配管用防音材において、配管施工時に外側の遮音層の外径と内側の吸音層の内径の差による遮音層と吸音層の剥がれを解消する。
(2)吸音層にグラスウールなどの無機質繊維によるフェルトを使用し、耐火性を持たせる。
(3)施工時に吸音層のグラスウールなどの無機質繊維の飛散を防止する。
(4)配管から伝わる固体伝搬音を効率よく低減させる。
(2)遮音層と吸音層は接着固定され、配管に施工した際、吸音層の配管側にシワ(歪み)が配管と平行に発生するようにし、配管と配管用防音材が部分的に接触することによって、遮音層と吸音層の二層からなる配管用防音材において、配管施工時に外側の遮音層の外径と内側の吸音層の内径の差による遮音層と吸音層の剥がれの問題点は解消した。
(3)吸音層については、グラスウールやロックウールなどの無機質繊維からなるフェルトで、片面に合成繊維からなる不織布をニードル加工したもので、配管側に合成繊維からなる不織布が位置することによって切断面以外は、無機質繊維が表面に出ていないため、飛散防止となるばかりか、不燃性のあるグラスウールやロックウールなどの無機質繊維からなるフェルトを使用し耐火性を持たせることが可能となった。吸音層において、不織布をニードル加工しているため、管を挿入する際、グラスウールやロックウールを削ぎ落とすことなく挿入できる。
(4)遮音層と吸音層は接着固定され、配管に施工した際、吸音層の配管側にシワ(歪み)が配管と平行に発生するようにし、配管と配管用防音材が部分的に接触し、空気層が空間音伝達上インピーダンス差を設けることが可能となり、遮音層の透過損失値を効果的に引き出す役目を果たす。また、空気層は断熱性にも優れるので、配管の結露や凍結を防止することができる。配管と配管防音材が部分的に接触しているのみなので、配管から伝わる固体伝搬音の元となる振動を減衰させる効果を発揮する。
(5)また、形状としては、予めシート状の防音材を作成し、折り曲げて端部を接合させ、楕円形状のものを作製することで、施工時に、楕円状のものを円形状に加工させ、中に配管を通すだけで、その際、配管と接するものがグラスウールやロックウールなどの無機質フェルトと一体化した合成繊維からなる不織布なので、配管と吸音層の滑りも良く挿入が容易であり、また、配管の外径と、配管用防音材の吸音層を円形にしたときの内径の差が10mm以上あることから、施工が簡単であるとともに、かさばらず保管や運搬等が容易である。
本発明の防音材は、遮音層と吸音層は接着固定され、直管の配管に施工した際、吸音層の配管側にシワ(歪み)が配管と平行に発生し、配管と配管用防音材が部分的に接触する。よって、遮音層と吸音層が剥がれることなく、また、直管の配管と配管用防音材が部分的に接触し、空気層が空間音伝達上インピーダンス差を設けることが可能となり、遮音層の透過損失値を効果的に引き出す役目を果たす。
音が吸音され減衰する仕組みは、吸音層の配管側に配管と平行に発生させたシワと無機質繊維を主成分とする層の内部に存在する気孔によって、空気層による間隙が形成され、この間隙に音波が入射すると細い繊維の隙間に含まれる空気が振動し、繊維の表面との粘性摩擦によって、音のエネルギーの一部が熱のエネルギーに変換される。
遮音層には面密度が1.5kg/m2以上のものである。音がある物体を通過するとき、その物体の密度が高くなるにつれ、音の透過が減少するという質量則によって、音は減衰される。
本発明では、上記微粉末状の無機充填剤を使用することによって、面密度が1.5kg/m2以上、好ましくは面密度が2.0kg/m2以上、より好ましくは2.5kg/m2以上、さらに好ましくは2.8kg/m2以上のものを得ることが可能となり、優れた制振遮音効果を有する遮音層を実現したものである。
配管用防音材を構成する吸音層は、グラスウールやロックウールなどの無機質繊維からなるフェルトで、施工時に無機質繊維の飛散を防止した形態のもので、具体的には片面に合成繊維からなる不織布をニードル加工したもので、配管側に合成繊維からなる不織布が位置することによって切断面以外は、無機質繊維が表面に出ていないため、飛散防止となる。また、不燃性のあるグラスウールやロックウールなどの無機質繊維からなるフェルトを使用している。グラスウール、ロックウールからなる無機質繊維を樹脂バインダーで処理し、ニードル加工等により形成したフェルトや、該フェルトの表面を不織布で被覆したもの等が挙げられる。これらの中でも、ガラス長繊維から形成したフェルトやフェルト積層材料は、制振遮音性能や成形性、施工性に優れるので特に好ましい。吸音層において、不織布をニードル加工しているため、管を挿入する際、グラスウールやロックウールを削ぎ落とすことなく挿入できる。
直管、継手の吸音材は種類を異なるものとすることができる。特に継手が予め防音材が一体化成形する場合は、自動化プレス機を用い圧縮するため、圧縮強度の高いロックウールフェルトを採用することが望ましい。直管に関しては、圧縮処理が必要でないため、より吸音率の高いグラスウールのものを採用することができる。継手が後から防音材を巻き付ける場合も、圧縮処理が必要でないため、より吸音率の高いグラスウールのものを採用することができる。
また、空気層は断熱性にも優れるので、配管の結露や凍結を防止することができる。また、無機質繊維シート層は、適度の強度を有するために遮音シートを積み重ねて保管や運搬をすることができる。本発明の防音材は、安価な材料を使用し容易に製造することができるので製造コストが安く、またカッターナイフ等で簡単に切断、加工することができるので、曲管部や継手部にも容易に施工することができる。
[吸音層]吸音層として目付340g/m2のガラス不織布に目付30g/m2のポリエステル不織布をニードル加工し、厚み5mmのものを使用した。
[防音材:本発明品]本発明の実施例として、幅440mm、長さ1000mmの遮音層の表面に、水系のアクリル系接着剤を塗布し、幅420mm、長さ1000mmの吸音層を貼り合わせた。なお、吸音層については、表面にポリエステル不織布が位置するように貼り合わせた。その後、吸音層が突きつけとなるよう折りたたみ、遮音層を20mm重ね、その上にさらにアクリル系粘着テープを貼り、呼び径100の硬質塩化ビニル管用の本発明品を得た。
[比較例]また比較例として、幅420mm、長さ1000mmの遮音層の表面に、水系のアクリル系接着剤を塗布し、幅400mm、長さ1000mmの吸音層を貼り合わせた。なお、吸音層については、表面にポリエステル不織布が位置するように貼り合わせた。その後、吸音層が突きつけとなるよう折りたたみ、遮音層を20mm重ね、その上にさらにアクリル系粘着テープを貼り、呼び径100の硬質塩化ビニル管用の比較例を得た。
上記した本発明品と比較例について、円筒状に手で折り曲げ、呼び径100の硬質塩化ビニル管に挿入したところ、本発明品については容易に挿入できたが、比較例については、吸音層のシワと硬質塩化ビニル管の端部が干渉するため、挿入は困難であった。挿入後の状態として、本発明品は、硬質塩化ビニル管と吸音層のシワの部分と部分接触している状態、比較例は、吸音層のシワがつぶれ、硬質塩化ビニル管と全面で接触している状態であった。本発明品の吸音層の内径は129mm、比較例の吸音層の内径は122mm、塩化ビニル管の外径は114mmであり、本発明品の吸音層の内径と塩化ビニルの外径の差は15mm、比較例の吸音層の内径と塩化ビニルの外径の差は8mmであった。
実験図を図4に示す。防音処理した木造軸組工法の実験棟内部に長さ1.7mの呼び径100の塩化ビニル管を通し、それに本発明品ならびに比較例を施工し、18リットルの水を流した際の、排水騒音の最大値を測定した。この結果、本発明品と比較例を比較したところ、本発明品の方が防音性能が優れていることが分かった。また、防音処理無しを測定したところ、防音効果も確認できた。排水騒音の測定結果を表1に示す。
耐火性能に関しては、ISO834に準拠し、試験体を図5に示した。加熱時間は1時間とし、判定は「発煙性の無、有害な変形が無」の場合、合格とした。この結果、本発明品を施工した試験体については、合格であり、耐火性が確認できた。
Claims (8)
- 遮音層と吸音層の二層からなる配管用防音材の配管への施工において、遮音層と吸音層は接着固定され、配管に施工する際、配管の直線部分は、吸音層の配管側にシワを配管と平行に発生させ、配管と配管用防音材とが部分的に接触して空気層が形成されるようにすることを特徴とする配管の遮音方法。
- 上記の吸音層は、無機質繊維を主成分とするものであって施工時に無機質繊維の飛散を防止した形態のものとしている請求項1の配管の遮音方法。
- 上記の吸音層は、合成繊維をニードル加工した無機質繊維を主成分とするものとしている請求項1または2の配管の遮音方法。
- 上記の吸音層は、合成繊維からなる不織布をニードル加工により無機質フェルトと一体化したものとしている請求項3の配管の遮音方法。
- 上記の遮音層は、面密度が1.5kg/m2以上のものとしている請求項1ないし4のいずれかの配管の遮音方法。
- 上記の配管用防音材が、配管の直線部分に関しては、配管の直線部分に施工する前の形状がシート状の防音材を折り曲げて端部を接合させ楕円形状のものとしたものであって、施工する際には円筒状とし、配管の直線部分を構成する管に挿入して用いるものである請求項1ないし5のいずれかの配管の遮音方法。
- 施工する際に、配管の直線部分に関しては、楕円形状の防音材を円筒状に加工させ、中にそれを通して施工し、継手に関しては、予め防音材が一体化された継手を施工するか、後から防音材を継手に巻き付けて行う請求項6の配管の遮音方法。
- 上記の楕円形状の防音材は、遮音層の表面に、接着剤を塗布し、吸音層を表面にポリエステル不織布が位置するように貼り合わせ、その後、吸音層が突きつけとなるよう折りたたみ、遮音層を一部分重ね、その上にさらに粘着テープを貼り硬質塩化ビニル管用としたものである請求項7の配管の遮音方法。
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