JP4226140B2 - 不燃電波吸収性フェルト及び複合パネルと金属箔貼りフェルト - Google Patents
不燃電波吸収性フェルト及び複合パネルと金属箔貼りフェルト Download PDFInfo
- Publication number
- JP4226140B2 JP4226140B2 JP11400599A JP11400599A JP4226140B2 JP 4226140 B2 JP4226140 B2 JP 4226140B2 JP 11400599 A JP11400599 A JP 11400599A JP 11400599 A JP11400599 A JP 11400599A JP 4226140 B2 JP4226140 B2 JP 4226140B2
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- felt
- radio wave
- metal
- wave absorbing
- combustible
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Expired - Fee Related
Links
Landscapes
- Thermal Insulation (AREA)
- Shielding Devices Or Components To Electric Or Magnetic Fields (AREA)
- Building Environments (AREA)
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は柔軟性を有する不燃の電波吸収性無機質繊維フェルト及び、これを用いた電波吸収シールド性と断熱・防音・耐火性を有する金属折板屋根、金属床板などの複合パネルや、金属箔貼り加工したフェルトを用いた曲面形状の天井、壁面、間仕切壁のジョイント部分用の充填材無機質繊維フェルトに関する。
【0002】
【従来の技術】
携帯電話やPHS、コンピュータ等各種精密機器、電子機器やそのシステムのめざましい普及に伴い、オフィス、医療施設、研究施設、組立工場等において、無線通信や電子機器システムを正常に作動させるために好適な電磁対策環境を確保することが必要となり、近年建物の天井、床、間仕切壁、内外壁、屋根等を金属系建築部材又はフェライトタイルや導電性物質を配合した建築部材で被覆し、電磁波をシールドする施工方法が急速に拡大してきた。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、前記従来の施工方法は施工が煩雑な上、高価であるばかりか好適な電磁対策環境を確保できたとしても、不要な電波を反射散乱させたり、状況に応じては、建物空間に必要な断熱快適性、吸音・遮音等の防音快適性、防火・耐火及び対地震等の防災性を損なうケースもあり、まだ汎用されるまでには至っていないのが現状である。
【0004】
本発明は、このような課題を解決するためになされたものであり、複雑な形状からなる建築物の内部構造及び建築部材である天井、壁、床等の下地材として好適に使用できる柔軟性を有し、しかも不燃で電波吸収性能のあるフェルトを得ることを目的とし、更に該フェルトを用い金属折板屋根、金属床板、防音・断熱・耐火金属パネル等の金属系の建築部材と複合して使用することにより、建築物に要求される断熱快適性、吸音・遮音等の防音快適性、防火・耐火及び対地震等の防災性を損なうこと無く、電磁対策環境として好適な電波吸収性能を有し、しかも廉価で簡易施工のできる複合部材、複合パネルを得ることを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
前記柔軟性と不燃性及び、電波吸収性を有するフェルトは、無機質繊維フェルトにより達成でき、不燃性と適度の断熱性、防音性、防露性を付与するために、実質的にショットと称する非繊維粒子を分離除去したロックウールと柔軟性と防露性、耐水性、強度を付与するための有機質結合剤及び結合助剤、及び電波吸収性を付与するためのカーボン粒子、グラファイト粒子からなる粒子状の導電物質や繊維状の導電物質であるカーボンファイバーを配合した混合物を水に分散させスラリーとし、湿式抄造により製造する。該フェルトは、不燃性と電波吸収性を有し柔軟性はあるが、他の金属板材等に貼り加工できるほどのフェルトの引張強度が不足し、又層間で剥離が生ずる問題があるため、本発明者らは種々検討の結果、フェルトの不燃性を損なわない範囲で目付の小さな有機繊維系不織布をフェルトに積層し、ニードルパンチ加工してフェルトの引張強度及び層間剥離強度を向上させる方法を採用した。
【0006】
即ち本発明は、ショットを分離除去したロックウール80〜97wt%、結合助剤を添加した有機質樹脂又は有機質樹脂と熱融着性有機質繊維からなる結合剤2〜10wt%、カーボン粒子又はグラファイト粒子とカーボンチョップドファイバーからなる導電物質0.25〜8wt%が配合された混合物の水分散スラリーを湿式抄造して得られる厚み10mm以下、嵩密度0.4g/cm3以下の無機質繊維フェルトに、目付け50g/m2以下の有機繊維系不織布を積層しニードルパンチ加工して得られた不燃電波吸収性フェルトの構成を課題解決の手段とする。
【0007】
又本発明は、前記不燃電波吸収性フェルトを、金属折板屋根又は金属床板に貼り合わせた複合パネル構造であり、又該フェルトを板状に形成された無機質繊維と積層して芯材として用いるパネルにおいて、パネル表面側に金属有孔板、裏面側に金属板を貼り合わせた複合パネル構造であり、同じく前記芯材としとして用いるパネルにおいて、パネル表面側に有孔加工した不燃人工木材、裏面側に金属板を貼り合わせた複合パネル構造である。更に又、不燃電波吸収性フェルトの片面に金属箔を貼り合わせた金属箔貼りフェルトを曲面形状の天井、壁面、又は金属系パネルからなる間仕切壁のジョイント部分に充填して用いることを特徴とする不燃電波吸収性の金属箔貼りフェルトである。
【0008】
【発明の実施の形態】
以下本発明の柔軟性を有する不燃電波吸収性フェルト及び、これを用いた複合パネルと金属箔貼りフェルトの実施の態様を説明する。本発明の、フェルトを構成するロックウールは、SiO235〜55wt%、Al2O310〜20wt%、MgO5〜40wt%、CaO5〜40wt%、FeO0〜10wt%、Cr2O3、Na2O、K2O、TiO2、MnO等の微量成分0〜10wt%となる原料鉱石混合物を、キュポラ炉又は電気炉で溶融し、ブローイング法や高速回転体によるスピニング法で繊維化して得られる。繊維はウール状で繊維長が数ミリから数十ミリの範囲にあり、ショットと呼ばれる非繊維粒子を10〜30wt%含有するため、一般に粒状綿、細粒綿と呼ばれている。これら粒状綿・細粒綿は直接フェルト用の原料として使用することは困難であるため、ショットの分離除去と解繊切断処理による繊維長を調整した加工短繊維の形で使用する。係る処理は、粒状綿、細粒綿を水に分散させパルパー、クリナーによってなされ、実質的にショットを含まない繊維長10mm以下の、加工短繊維の形で使用する。
【0009】
不燃電波吸収性フェルト中のロックウールの配合割合は、不燃性とフェルト強度との関係で80〜97wt%の範囲が適正で、80wt%以下では不燃性が損なわれ、97wt%以上では引張強度が不充分となる。又、フェルトの高温寸法安定性、外観・表面平滑性、強度向上を目的としてロックウールの一部をセピオライト、アタパルジャイト等の天然無機質短繊維やガラスウール、セラミックウール等の人造鉱物質短繊維で少量置換することは可能である。
【0010】
本発明の不燃電波吸収性フェルトを構成する有機質結合剤として使用される樹脂は、アクリル樹脂、変性アクリル樹脂、ポリ酢酸ビニル、エチレン・酢酸共重合樹脂、ポリ塩化ビニリデン樹脂、変性ポリ塩化ビニリデン樹脂等のエマルジョンやフェノール樹脂、メラミン樹脂、エポキシ樹脂等の熱硬化性の粉末樹脂や無機物配合樹脂、更にはポリエチレンパルプのような、パルプ状の有機質結合剤を挙げることができる。また有機結合剤の一種として利用される熱融着性有機質繊維としては、ポリプロピレン、ナイロン、ポリ塩化ビニリデン等の各繊維、エチレン・プロピレン複合繊維を挙げることができ、特にエチレン・プロピレン複合繊維が好適である。
【0011】
本発明の不燃電波吸収性フェルトは、湿式抄造法で製造するため、有機質結合剤をフェルトに効果的に保持させるポリアクリルアミドや硫酸バンド等の凝集剤や、フェルトに撥水性を付与するワックスエマルジョン、シリコン樹脂エマルジョン等の撥水剤の結合助剤を少量添加する必要がある。又、凝集剤、撥水剤等からなる結合助剤(1wt%以下)を加えた有機質結合剤の配合割合は強度、不燃性との関係から2〜10wt%の範囲がよい。
【0012】
本発明の不燃電波吸収性フェルトの構成で、電波吸収性能を付与する成分として粒子状及び繊維状の導電物質を配合する。粒子状物質としてカーボン粒子、グラファイと粒子で粒径50μm以下の導電性、分散性に優れた粒子状タイプ又はペースト状に分散させたタイプであって、係る代表例として、キャボット(株)製のキャボットスペシャルブラックBPグレードや、ライオン(株)製のライオンペーストWを挙げることができる。フェルト中の好ましい配合量は、0.25wt%以上で電波吸収性を発揮し、後述のカーボンファイバーの配合量と合わせて8wt%以下の範囲に限定される。配合量が8wt%以上になると抄造時の濾水性が悪く、抄造スピードが極端に低く、生産性が上がらないことと、フェルトの導電性が良くなりすぎて電波吸収性能が低下することによる。0.25〜8wt%の配合割合は、フェルトの嵩密度を0.25g/cm3とした場合、1〜20g/l程度に相当する。
【0013】
繊維状導電物質としては、PAN系、ピッチ系のカーボンファイバーで繊維長として15mm以下が好ましい。カーボンファイバーの繊維長は、一般に長くなるほど少ない配合量で良好な電波吸収性能を示す反面、フェルト中のカーボンファイバーの分散性が悪くなり吸収性能の低下を引き起こす。又、繊維長が短かすぎると分散繊維間の相互補助効果が損なわれるため、繊維長としては15mm以下、1mm以上が好ましい。又、カーボンファイバーは、カーボン粒子との併用で0.1g/l以上で良好な吸収性能を発揮するが、5.0g/l以上となるとフェルトの導電性が良くなりすぎて電波反射による吸収性能の低下を引き起こすため、適正配合割合は0.1〜5.0g/lの範囲とすることが好ましい。フェルト中のカーボン粒子とこの範囲のカーボンファイバー配合量で吸収性能に関し相乗効果を発揮し、フェルトはギガヘルツ以上の周波数帯域で所望の電波吸収性能を示す。
【0014】
本発明の柔軟性を有する不燃電波吸収性フェルトの主たる構成成分と配合割合は前記の通りであるが、複雑な形状からなる建築物の内部構造及び建築部材である天井、壁、床等の下地材としての機能に対し、更に金属板の電波を反射する性質を利用して、該フェルトと金属折板屋根、金属床板、金属パネル等の金属系の建築部材と複合させて施工した方が、経済性と施工性の点から得策である。金属系の建築部材とフェルトとの複合化を可能にするためには、フェルトに於いて、ロールフォーミング適性に必要な、充分なるフェルトの引張強度と層間剥離が生じない強度及び外観意匠性を付与しなければならない。不燃性を損なわないことを条件に本発明者らは種々検討を重ねた結果、目付50g/m2以下好ましくは30g/m2以下の薄手のポリエステル繊維等の有機繊維系不織布をフェルトの片面又は両面に積層し、ニードルパンチ加工することでロールフォーミング適性と外観意匠性を付与することが可能となった。係るニードルパンチ加工したフェルトは鋼板と貼り合わせた後、ロールフォーミング成型機により凹凸を有する形状等各種の金属折板屋根、金属床板、金属パネルに加工することができ、フェルトと金属系建築部材との複合が可能となった。
【0015】
本発明の不燃電波吸収性フェルトと金属系の建築部材との複合化は、電波吸収シールドの経済的且つ簡便施工を可能とした。又、該フェルトと金属箔とを貼り合わせた場合には、柔軟性と電波吸収シールド性を有した曲面形状の壁、天井、間仕切壁のジョイント充填等の用途の電波吸収シールド材として使用が可能となった。係る電波吸収性と反射性によるシールド材とするために、本発明の第6の請求項に記載された通り、金属箔を貼り合わせ複合したフェルトに加工する必要がある。この場合、フェルト面にアクリル樹脂、酢酸ビニル樹脂、エチレン酢酸ビニル樹脂、ウレタン樹脂、エポキシ樹脂、合成ゴム等の接着剤を介してアルミ箔、スチール箔等の金属箔を貼り合わせ加工して目的とする複合フェルトを得ることができる。好ましい金属箔の厚みは、表面保護、フェルトの保形性、施工性を考慮して5〜200μm、より好ましくは、50〜100μmの軟質金属箔が好適である。
【0016】
本発明の不燃電波吸収性フェルトは、無機質短繊維、有機質結合剤、結合助剤及び導電性物質からなる混合物を水に分散させ、円網又は長網タイプ、ロートフォーマー等の製紙用抄造機と同様の抄造方式でフェルト状に抄造し、乾燥硬化させることにより製造することができる。本発明のフェルトの主要構成成分と製造方法については前記の通りであるが、フェルトの防水性の向上を目的にワックスエマルジョンやシリコン樹脂撥水剤を少量配合したり、防火性の向上、コストダウンを目的に有機質結合剤に難燃剤や無機物を少量配合することは可能である。
【0017】
【実施例】
以下、本発明の不燃電波吸収性フェルト及び複合パネルと金属箔貼りフェルトとを実施例により説明する。
【0018】
〈実施例1〉
SiO240wt%、CaO37wt%、MgO5wt%、Al2O313wt%、その他微量成分5wt%の組成からなる鉄鋼スラグ系ロックウール粒状綿を、水に分散してパルパーで解繊切断し、続いてクリーナーで脱ショット処理した繊維長100〜500μmのロックウール88.3wt%、繊維長10mm(3デニール)のエチレン・プロピレン複合繊維2wt%、ガラス転移温度−14℃45%濃度の熱自己架橋型アクリル樹脂エマルジョン5wt%(固形分ベース)、15%濃度ポリアクリルアミド水溶液0.2%wt%(固形分ベース)、40%濃度のワックスエマルジョン0.1wt%(固形分ベース)、カーボン粒子(キャブロック(株)製:BPグレート)4wt%、繊維長2mmのカーボンファイバー(大阪ガス(株)製:ザイラス)0.4wt%からなる混合物をミキサーで分散し、約1wt%濃度の水性スラリーを調整する。該水性スラリーをロートフォーマー抄造機で抄造して吸引脱水後150℃、20分乾燥しフェルトを製造する。続いて該フェルトの表面に、目付け20g/m2のポリエステル繊維不織布を乗せ、5mmピッチ間隔でニードルパンチ加工して、柔軟性のある無機質繊維フェルト(A)を製造した。無機質繊維フェルト(A)の強度、防火性、熱伝導率、吸音率、電波吸収性等の性能を表1に示す。
【0019】
〈実施例2〉
実施例1のカーボン粒子をグラファイト粒子(住金加工(株)製:微粒子膨張黒鉛)に置き換え、その他は実施例1と同一設定条件で無機質繊維フェルト(B)を製造した。無機質繊維フェルト(B)の性能を表1に同じく示す。
【0020】
〈実施例3〉
SiO248wt%、CaO1wt%、MgO28wt%、Al2O319wt%、その他微量成分4wt%の組成からなるニッケルスラグ系ロックウール粒状綿を水に分散してパルパーで解繊切断し、続いてクリーナーで脱ショット処理した繊維長100〜500μmのロックウール87.7wt%、繊維長10mm(3デニール)のエチレン・プロピレン複合繊維2wt%、ガラス転移温度−14℃45%濃度の熱自己架橋型アクリル樹脂エマルジョン5wt%(固形分ベース)、15%濃度ポリアクリルアミド水溶液0.2%wt%(固形分ベース)、40%濃度のワックスエマルジョン0.1wt%(固形分ベース)、カーボン粒子(キャブロック(株)製:BPグレート)4wt%、カーボンファイバー(大阪ガス(株)製:ザイラス)で2mmタイプを0.5wt%及び6mmタイプを0.5wt%(合計1wt%)からなる混合物をミキサーで分散し、約1wt%濃度の水性スラリーを調整する。該水性スラリーをロートフォーマー抄造機で抄造して吸引脱水後150℃、20分乾燥しフェルトを製造する。続いて該フェルトの表面に、目付け20g/m2のポリエステル繊維不織布を乗せ、5mmピッチ間隔でニードルパンチ加工して、柔軟性のある無機質繊維フェルト(C)を製造した。無機質繊維フェルト(C)の強度、防火性、熱伝導率、吸音率、電波吸収性等の性能を表1に示す。
【0021】
〈実施例4〉
実施例3で得られたフェルト(C)の表面に、厚み80μmの軟質アルミ箔をニトリルゴム系の接着剤(日立化成ポリマー(株)製:ハイボン2020S)で貼り合わせ、アルミ箔貼りの無機質繊維フェルト(D)を製造した。アルミ箔貼り無機質繊維フェルト(D)の性能を表1に同じく示す。
【0022】
[比較例1]
実施例1のロックウール86.7wt%、エチレン・プロヒレン複合繊維2wt%、アクリル樹脂エマルジョン5wt%、ポリアクリルアミド水溶液0.2%wt%、ワックスエマルジョン0.1wt%、カーボン粒子6wt%、からなる混合物をミキサーで分散し、約1wt%濃度の水性スラリーを調整する。該水性スラリーをロートフォーマー抄造機で抄造して吸引脱水後150℃、20分乾燥しフェルトを製造する。続いて該フェルトの表面に、目付け20g/m2のポリエステル繊維不織布を乗せ、5mmピッチ間隔でニードルパンチ加工して、柔軟性のある無機質繊維フェルト(E)を製造した。無機質繊維フェルト(E)の強度、防火性、熱伝導率、吸音率、電波吸収性等の性能を表1に示す。
【0023】
[比較例2]
実施例1のロックウール89.9wt%、エチレン・プロピレン複合繊維2wt%、アクリル樹脂エマルジョン5wt%、ポリアクリルアミド水溶液0.2%wt%、ワックスエマルジョン0.1wt%、カーボン粒子0.4wt%、繊維長2mmのカーボンファイバー2.4wt%からなる混合物を、ミキサーで分散し約1wt%濃度の水性スラリーを調整する。該水性スラリーをロートフォーマー抄造機で抄造して吸引脱水後150℃、20分乾燥しフェルトを製造する。続いて該フェルトの表面に目付け20g/m2のポリエステル繊維不織布を乗せ、5mmピッチ間隔でニードルパンチ加工して、柔軟性のある無機質繊維フェルト(F)を製造した。無機質繊維フェルト(F)の強度、防火性、熱伝導率、吸音率、電波吸収性等の性能を表1に示す。
【0024】
【表1】
【0025】
《表1の測定評価方法》
引張強度:JIS L−1068法による。
熱伝導率:JIS A−1413法による。
防火性:JIS A−1321法による。
吸音率:JIS A−1409の管内法による吸音率測定。
電波吸収性能:400mm×400mmの金属板に試験体を貼り合わせたものを用い、自由空間タイムドメイン法による反射係数を測定。反射係数は、金属板のみの反射レベルとの対比にて算出し電波吸収性能とした。
【0026】
《表1の実施例と比較例との対比》
1.引張強度については、いずれも適性値を示している。
2.熱伝導率については、いずれも充分な断熱性を示し、優位差はない。
3.防火性については、いずれも難燃1級で合格。
4.吸音率については、いずれも適性な吸音率を示し、優位さはない。
5.電波吸収性能については、実施例1〜4において3GHzで6〜12dB10GHzで19〜26dBを示しており、特に金属箔(アルミ箔)貼りの実施例4は良好で、オフィス等の通信障害対策として、6〜7dB以上の吸収性能が必要である条件をいずれの実施例においても満たしている。一方導電物質としてカーボン粒子単独使用の比較例1の場合、吸収性能が劣り、前記条件を満たしていない。又、比較例2については、カーボンファイバー高配合のため、電波反射の影響を受け、充分な吸収性能を示していない。
【0027】
〈実施例5〉
実施例3で得られたフェルト(C)を、厚み0.8mmの鋼板にニトリルゴム系接着剤(日立化成ポリマー(株)製:ハイボン2020S)で貼り合わせ、ロールホーマーにより金属折板屋根(脚高30mm、巾305mm、重量11.8kg/m2)および、金属床板(角波形状:山高25mm、巾650mm、重量11.4kg/m2)を製作した。
【0028】
〈実施例6〉
片面有孔加工したステンレス鋼板(厚さ0.5mm、孔径9mm、開孔率51%)と、吸音芯材(縦繊維加工ロックウール軽量板:密度80kg/m3、厚さ99mm)と、裏面無孔鋼板(厚さ0.5mm)との構成からなる防音・断熱・耐火パネル(日東紡績(株)製:デホンドイソバンド、パネル全厚100mm、重量18kg/m2、125Hz〜4000Hz帯での平均吸音率91%、耐火性能:1時間耐火合格)の有孔加工面側に、実施例3で得られたフェルト(C)を、ニトリルゴム系接着剤(日立化成ポリマー(株)製:ハイボン2020S)で貼り合わた金属パネルを製作した。
【0029】
〈実施例7〉
実施例3で得られたフェルト(C)とガラスウール吸音断熱材(密度48kg/m3、厚さ50mm)とからなる芯材を、表面側より片面有孔加工した不燃人工木材(日東紡績(株)製:ファイヤロックFK、厚さ8mm、孔径9mm、開孔率29%)を表面板とし、裏面側より無孔鋼板(厚さ0.5mm)を裏面板として挟着した構成の防音・断熱・耐火パネル(パネル全厚63mm、重量11kg/m2、125Hz〜4000Hz帯での平均吸音率78%、耐火性能:30分耐火合格)を製作した。
【0030】
〈実施例8〉
実施例4で得られたフェルト(D)を金属系パネルからなる間仕切り壁のジョイント部分に充填して使用した。
【0031】
《実施例5〜8の結果》
実施例5に於いては、フェルト(C)を、金属折板屋根と金属床板とを建物の天井及び屋根に施工することにより、適度の断熱防露性、防音性に加え、電波吸収性能も実施例3のレベルで得られ、建物空間の効果的な電波吸収シールド施工が可能となる。
実施例6に於いては、得られた金属パネルを工場、研究施設等の天井屋根一体構造の建物の天井部位又は、間仕切壁や外壁に施工すると吸遮音による防音性と断熱性及び耐火性に加え、建物空間の効果的な電波吸収シールド施工が可能となる。
実施例7に於いては、得られたパネルを劇場、ホールの壁に使用すると、不燃・耐火・吸音性能に加え、実施例3と同等以上のホール等の空間の効果的な電波吸収シールド施工が可能となる。
実施例8に於いては、金属系の間仕切パネルのジョイント部分には、一般に軽量無機物成型材からなるジョイント材や、難燃低発泡のプラスチック材からなるジョイント材が使用されており、電波はジョイント部分を通して漏洩する。拠って、得られた不燃電波吸収性の金属貼りフェルトを該ジョイント部分に使用することにより、効果的な電波シールドが可能となる。
【0032】
【発明の効果】
以上述べたように、本発明は、表1の結果の通り不燃1級の性能を備え、吸音性、電波吸収性を合わせ持ち、しかも柔軟性を有するため、複雑な形状からなる建築物の内部構造及び建築部材である天井、壁、床等の下地材としての機能に対応できる不燃電波吸収性フェルトとしての効果を有する。
【0033】
本発明の不燃電波吸収性フェルトは、柔軟性を有しロールフォーミング等の成型加工に適性を有しているため、金属折板屋根、金属床板、防音・断熱・耐火金属パネル等の金属板を有する建築部材と複合一体化ができ、建物の天井、屋根、間仕切壁、内外壁等の建築部位に防音性、断熱性、耐火等の防災安全性に加え、建物空間に於ける効果的な電波吸収シールドができ、汎用性のあるシールド工法としての展開を可能ならしめる効果を有する。又、不燃電波吸収性フェルトの片面に、金属箔を貼り合わた金属箔貼りフェルトは曲面形状の天井、壁面、又は金属系パネルからなる間仕切壁のジョイント部分に充填して用いることことができ、建物空間の補助的電波吸収性シールドを可能ならしめる効果を有する。
Claims (6)
- ショットを分離除去したロックウール80〜97wt%、結合助剤を添加した有機質樹脂又は有機質樹脂と熱融着性有機質繊維からなる結合剤2〜10wt%、導電物質0.25〜8wt%が配合された混合物の水分散スラリーを湿式抄造して得られる厚み10mm以下、嵩密度0.4g/cm3以下の無機質繊維フェルトに、目付け50g/m2以下の有機繊維系不織布を積層しニードルパンチ加工することを特徴とする不燃電波吸収性フェルト。
- 前記導電物質が、カーボン粒子又はグラファイト粒子の配合量1〜20g/l、カーボンチョップドファイバーの繊維長が1〜10mmで配合量が0.1〜5g/lで構成されていることを特徴とする請求項1記載の不燃電波吸収性フェルト。
- 前記不燃電波吸収性フェルトを、金属折板屋根又は金属床板に貼り合わせたことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の複合パネル。
- 前記不燃電波吸収性フェルトと、板状に形成された無機質繊維とを積層して芯材として用いるパネルにおいて、パネルの表面側に金属有孔板、裏面側に金属板を貼り合わせた構造を特徴とする請求項1又は請求項2に記載の複合パネル。
- 前記不燃電波吸収性フェルトと、板状に形成された無機質繊維とを積層して芯材として用いるパネルにおいて、パネルの表面側に有孔加工した不燃人工木材、裏面側に金属板を貼り合わせた構造を特徴とする請求項1又は請求項2に記載の複合パネル。
- 前記不燃電波吸収性フェルトの片面に、金属箔を貼り合わた金属箔貼りフェルトを曲面形状の天井、壁面、又は金属系パネルからなる間仕切壁のジョイント部分に充填して用いることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の不燃電波吸収性の金属箔貼りフェルト。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP11400599A JP4226140B2 (ja) | 1999-03-18 | 1999-03-18 | 不燃電波吸収性フェルト及び複合パネルと金属箔貼りフェルト |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP11400599A JP4226140B2 (ja) | 1999-03-18 | 1999-03-18 | 不燃電波吸収性フェルト及び複合パネルと金属箔貼りフェルト |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2000269681A JP2000269681A (ja) | 2000-09-29 |
JP4226140B2 true JP4226140B2 (ja) | 2009-02-18 |
Family
ID=14626680
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP11400599A Expired - Fee Related JP4226140B2 (ja) | 1999-03-18 | 1999-03-18 | 不燃電波吸収性フェルト及び複合パネルと金属箔貼りフェルト |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP4226140B2 (ja) |
Families Citing this family (5)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2004063578A (ja) * | 2002-07-25 | 2004-02-26 | Hitachi Chem Co Ltd | 電波吸収体 |
JP4736517B2 (ja) * | 2004-04-23 | 2011-07-27 | 横浜ゴム株式会社 | 電波吸収体 |
JP2017157697A (ja) * | 2016-03-02 | 2017-09-07 | 株式会社巴川製紙所 | 断熱および電磁波遮蔽用複合シート、並びにその利用 |
CN108716063A (zh) * | 2018-06-25 | 2018-10-30 | 中原工学院 | 一种导电阻燃抗菌纤维水刺非织造防屏蔽材料的制备方法 |
JP6896022B2 (ja) * | 2019-06-26 | 2021-06-30 | デンカ株式会社 | 熱膨張性パテ組成物及び目地材 |
-
1999
- 1999-03-18 JP JP11400599A patent/JP4226140B2/ja not_active Expired - Fee Related
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JP2000269681A (ja) | 2000-09-29 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
KR101849887B1 (ko) | 단열성이 우수한 실내 방음 커튼 | |
US6061011A (en) | Nonflammable radio wave absorber | |
CN108995329B (zh) | 一种吸声毡 | |
JP3473691B2 (ja) | 不燃吸音電波吸収性の天井板の製造方法およびそれにより得られる天井板 | |
JP4226140B2 (ja) | 不燃電波吸収性フェルト及び複合パネルと金属箔貼りフェルト | |
JP4264164B2 (ja) | 加熱膨張型無機質繊維フェルト | |
JP2001316961A (ja) | 吸音構造体 | |
JP2006002429A (ja) | 電波音波吸収断熱体 | |
JP4357955B2 (ja) | 電波音波吸収体 | |
KR101863514B1 (ko) | 불연 건축물 내장재 | |
CN213449259U (zh) | 吸声复合软包 | |
CN211080635U (zh) | 一种隔音吸波板材 | |
KR20100064841A (ko) | 방음, 방진 및 단열용 복합시트 | |
JP2003011259A (ja) | 無機質ボード | |
JP4011096B2 (ja) | 電波吸収不織布 | |
JP4576801B2 (ja) | 電波吸収性天井板、その製造方法及びそれを用いた室内無線通信障害の防止方法 | |
KR100451400B1 (ko) | 흡음 및 차음 특성이 우수한 폴리에스테르 부직포복합판재 및 그 제조방법 | |
CN219642542U (zh) | 一种玄武岩纤维复合吸声板 | |
KR200279605Y1 (ko) | 흡음 및 차음 특성이 우수한 폴리에스테르 부직포 복합판재 | |
CN214000786U (zh) | 可以吸波隔音的无纺布结构 | |
CN212446563U (zh) | 环保型阻燃吸音砂岩复合板 | |
JP2001073266A (ja) | 単層又は複層の不燃吸音電波吸収性内装材 | |
JPH10115045A (ja) | 複合ボード | |
KR20030086784A (ko) | 방음 및 전자파차단 시트 | |
JPS6331119Y2 (ja) |
Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
A621 | Written request for application examination |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621 Effective date: 20060313 |
|
TRDD | Decision of grant or rejection written | ||
A01 | Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01 Effective date: 20081118 |
|
A01 | Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01 |
|
A61 | First payment of annual fees (during grant procedure) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61 Effective date: 20081126 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20111205 Year of fee payment: 3 |
|
R150 | Certificate of patent or registration of utility model |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150 |
|
LAPS | Cancellation because of no payment of annual fees |