JP2017157697A - 断熱および電磁波遮蔽用複合シート、並びにその利用 - Google Patents
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Abstract
Description
電磁波遮蔽の観点から見ると、電磁波遮蔽についての言及はないものの、特許文献1の自動製パン機の内蓋は、加熱室に面する表面に鏡面処理を施した金属材料で構成されており、特許文献2の炊飯器の外ケースはステンレス等の金属製である。また、特許文献3の炊飯器では、IH炊飯器の実施形態の際に金属製の外ケースを使用している。
また、特許文献3のガラスウールは断熱性と柔軟性を有するものの、製造工程において、ガラスウールの成形性を保つため、ガラス繊維の原料調合後、溶融した原料を繊維化装置により繊維化した後で、繊維に接着剤を塗布し、未硬化の繊維を平面状の堆積面上に順次落下させ層状に堆積させ、未硬化の繊維質集合体とする工程の他に、接着剤を使用せず、繊維を平面状の堆積面上に順次落下させ層状に堆積させて、繊維質集合体とした後に、繊維質集合体に対し、ニードルを高速で上下方向に往復運動させることにより、ニードルを繊維質集合体に挿入することで、繊維を互いに絡み合わせ、接着剤のバインダーを使用することなく、ガラスウールの保形性を保つ工程がある。
上記工程により、ガラスウールを任意の寸法で裁断した後で取り扱うと、その断面や、ガラスウールの通気遮断シートが積層されない面からガラス繊維が飛散し易いという欠点があり、その飛散したガラス繊維は人体の肌を刺激し、時にかゆみや痛みを伴う、という問題があった。
そこで、本発明の目的は、柔軟性を有し、繊維の飛散が生じ難く、断熱性と電磁波遮蔽性の機能を併せ持った複合シートを提供することにある。
(1)断熱層と、金属層とが、粘着層または接着層を介して積層された断熱および電磁波遮蔽用複合シートであって、該断熱層が、高さ0.5mm〜5.0mmの表裏凹凸構造体である、第1の紙または繊維シートと、第2の紙または繊維シートで、構成されることを特徴とする断熱および電磁波遮蔽用複合シート。
(2)前記金属層が、厚さ1μm〜250μmのアルミ箔であることを特徴とする前記(1)に記載の断熱および電磁波遮蔽用複合シート。
(3)前記第1の紙または繊維シートと、第2の紙または繊維シートが、UL94燃焼試験において、V−0であることを特徴とする前記(1)または(2)に記載の断熱および電磁波遮蔽用複合シート。
(4)前記第1の紙または繊維シートと、第2の紙または繊維シートが、少なくとも、植物繊維、動物繊維、および有機合成による高分子から合成された合成繊維からなる群より選択される一の繊維と、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂、および紫外線硬化樹脂からなる群より選択される一の樹脂と、からなることを特徴とする前記(1)〜(3)のいずれか1項に記載の断熱および電磁波遮蔽用複合シート。
(5)前記第1の紙または繊維シートと、第2の紙または繊維シートが、1枚の紙または繊維シートであることを特徴とする前記(1)〜(4)のいずれか1項に記載の断熱および電磁波遮蔽用複合シート。
(6)前記金属層の前記断熱層に対する反対面に、粘着層または接着層を介して、更にセパレーターが積層されてなることを特徴とする前記(1)〜(5)のいずれか1項に記載の断熱および電磁波遮蔽用複合シート。
(7)前記(1)〜(6)のいずれか1項に記載の断熱および電磁波遮蔽用複合シートを備えていることを特徴とする電気機器。
(8)前記電気機器が炊飯器であることを特徴とする前記(7)に記載の電気機器。
さらに、複合シートは、該表裏凹凸構造体による空隙が形成されているため、断熱層中に空気を留め、断熱性を発現させている。
また、上記断熱性に加えて、金属層を有していることにより、電磁波遮蔽性も高めることができるだけでなく、熱線を反射する効果も有することにより、断熱性をより一層高めることができる。
そして抄紙技術による紙または繊維シートを用いることにより、繊維の折れ、または繊維の突出が生じず、飛散性を低下させることができ、本発明品を取り扱う際、人体の肌に対する刺激性を低下させることができるので取り扱い性をよくすることができる。
したがって、本発明複合シートは、柔軟性を有し、繊維の飛散が生じ難く、断熱性と電磁波遮蔽性の機能を併せ持った非常に有用なものである。
図1、2は本発明に係る複合シート第一実施形態を模式的に示す断面図である。本実施形態の複合シート1、2は、少なくとも断熱層と、金属層が、粘着層または接着層を介して積層された断熱および電磁波遮蔽用複合シートであって、該断熱層が、高さ0.5mm〜5.0mmの表裏凹凸構造体である、第1の紙または繊維シートと、第2の紙または繊維シートで、構成される複合シートである。以下、各構成について説明する。
断熱層20は、複合シートにおいて断熱性(保温性、保冷性)に資する部材であり、断熱層平面方向に柔軟性がある構造となっている。
また、上記凹部と凸部の区別は、上記表裏凹凸構造体の高さTにおいて、半分の高さを基準として区別され、凹凸構造体の該半分の高さよりも低い部分(第2の紙または繊維シートにより近い部分)が凹部、高い部分(第2の紙または繊維シートにより遠い部分)が凸部である。
例としては、天然の木材パルプに、難燃剤となる水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、無機のリン系、含窒素化合物、または炭酸カルシウムなどの粉体を、水溶液の含浸、または内添などにより担持させたものが挙げられる。
難燃剤を担持させた紙または繊維シートは、一般に紙または繊維シート中に含まれる難燃剤の比率によってその性能が異なることがわかっているが、本発明で使用される難燃剤を担持させた紙または繊維シートは、少なくとも燃焼性UL94規格で定められている試験方法で、V−0を達成することが好ましいが、達成のために難燃剤の配合量が過剰になると、紙または繊維シート自体の柔軟性が悪化してしまうため、表裏凹凸構造体加工中に紙または繊維シート切れが発生しやすくなってしまう。したがって、該特性を両立できるような含有量を有する紙または繊維シートであることが望ましい。
つまり表裏凹凸構造体は、該構造体の表面側と裏面側の両面に、空隙を形成させる形状を有していればよく、表裏凹凸構造体形状が、凹部と凸部とを交互に有しており、凹部表面側内に空隙が形成されると共に、凸部裏面側内にも空隙が形成されている。
また表裏凹凸構造体形状は、1種類形状のみでなく、第1の紙または繊維シート平面方向に複数種類の形状が含まれていてもよいが、複合シートの柔軟性、断熱性および製造工程を考慮した場合、1種類の形状のみであることが好ましい。また、該平面方向にかけて第1の紙または繊維シートが、少なくとも表裏凹凸構造体形状を有していればよいので、該平面方向にかけての表裏凹凸構造体形状分布が、規則的であっても、周期的であっても、さらに不規則的であってもよい。ただし、複合シートの柔軟性、断熱性および製造工程を考慮した場合、表裏凹凸構造体形状分布は該平面方向にかけて規則的であることが好ましい。
これに対し、本発明では抄紙技術による紙または繊維シートを用いることにより、繊維の折れ、または繊維の突出が生じず、飛散性を低下させることができるので、電気機器に使用した際、人体の肌に対する刺激性を低下させることができ、取り扱い性をよくすることができる。
さらに紙または繊維シートと、難燃剤を担持させた紙または繊維シートに対し、特に難燃剤を担持させた紙または繊維シートには難燃性を阻害しない範囲であることを条件として、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂、または紫外線硬化樹脂をコーティングした際には、より飛散性と人体の肌に対する刺激性を低下させることができるので、取り扱い性をさらに高めることができる。
ここで粘着層と接着層とは、積層し、硬化後に再剥離可能かどうかの点や、硬化過程の煩雑さにより区別される。一般に、粘着層は被着体から再剥離可能であることが多く、被着体へ積層後に温度をかけるなどの硬化工程を伴わないことが多い。接着層は、被着体へ積層後に接着層を硬化する工程を必要とし、被着体から再剥離することができない。
第1粘着層または第1接着層11の材料としては、アクリル系、エポキシ系、またはウレタン系などの熱可塑性樹脂にイソシアネートなどの硬化剤を加えた組成物や、エポキシ樹脂、またはでんぷんなどの熱硬化性樹脂などが挙げられる。特に耐熱性の観点から、アクリル樹脂の粘着剤や、熱硬化性樹脂が好ましい。より好ましくは、表裏凹凸構造体加工適正の面から、でんぷんが好ましい。
第1粘着層または第1接着層11の厚さは、粘着力または接着力の観点から10μm以上が好ましく、シートの折り曲げ性およびコストの関係から50μm以下であることが好ましい。
第1の紙または繊維シートの一方の面のみが、第2の紙または繊維シートと固定された表裏凹凸構造体であることにより、断熱層だけでなく、複合シート全体が平面方向に柔軟性を有している。
ここで本発明においては、表裏凹凸構造体を形成している箇所の紙または繊維シート領域を第1の紙または繊維シート10、表裏凹凸構造体を形成していない箇所の紙または繊維シート領域を第2の紙または繊維シート12と称することとする。本発明複合シートでは、第1の紙または繊維シートと第2の紙または繊維シートとが断熱層端部の一方の箇所で繋がっている。
つまり図2の複合シートは、紙または繊維シートの表裏凹凸構造体と表裏凹凸構造体を形成していない境界を折り曲げることにより作製できる。この場合、図1の複合シートと比較すると、第1粘着層または第1接着層が不要であることから、コスト的に好ましいだけでなく、第1の紙または繊維シートと第2の紙または繊維シートが、粘着または接着されていないので、表裏凹凸構造体の自由度が増すこととなり、柔軟性を、第1粘着層または第1接着層を有するものよりも、さらに良好なものとすることができる。
金属層14は電磁波を遮蔽するための層であり、柔軟性を有することが好ましい。金属層14を構成する材料としては、アルミ、銅、ニッケル、パーマロイ、鉄、金、または銀などが挙げられる。金属層14の厚さは、柔軟性および十分な電磁波遮蔽性を考慮すると、1μm〜250μmであることが好ましい。金属層の厚みは、遮蔽したい周波数により変えることができる。0.1MHz〜10MHzの電磁波を遮蔽したい場合は、金属層の厚みが140μm〜250μmであることが好ましく、10MHz以上の電磁波を遮蔽したい場合は1μm以上、140μm未満であることが好ましい。金属層の種類は、コストや入手し易さ、金属箔の強度の観点からアルミ箔であることが好ましい。
第2粘着層または第2接着層13は、断熱層20と金属層14とをつなぎ合わせるための層であり、柔軟、かつ、粘着力が良好な熱硬化性樹脂で構成されることが好ましい。
第2粘着層または第2接着層13を構成する材料としては、上記第1粘着層または第1接着層と同様の材料を使用することができる。中でも、耐熱性および柔軟性の観点からアクリル樹脂の粘着剤が好ましい。
第2粘着層または第2接着層13の厚さは、粘着力または接着力の観点から10μm以上が好ましく、シートの折り曲げ性およびコストの関係から50μm以下であることが好ましい。
本発明の複合シートの第二実施形態として、図1、2の断熱層20、第2粘着層または第2接着層13、および金属層14に加えて、金属層14の断熱層20に対する反対面に、第3粘着層または第3接着層15を積層させ、さらにその表面にセパレーター16が積層された複合シートが挙げられる。図4はその実施形態を模式的に示す断面図である。以下、複合シート1〜2と異なる点についてのみ説明し、共通する点については説明を省略する。
第3粘着層または第3接着層15は、複合シート3を任意の形状に追従させながら、その被着体に固定させる場合に有用である。第3粘着層または第3接着層15を構成する材料としては、上記第1粘着層または第1接着層11、第2粘着層または第2接着層13、と同様の材料を使用することができる。中でも、耐熱性および柔軟性の観点からアクリル樹脂の粘着剤が好ましい。
第3粘着層または第3接着層15の厚さは、粘着力または接着力の観点から10μm以上が好ましく、シートの折り曲げ性およびコストの関係から50μm以下であることが好ましい。
加えて粘着層または接着層としては、被着体に固定する場合の貼損じ対策として、リワーク可能な粘着層または接着層を採用することが好ましい。
セパレーター16は、第3粘着層または第3接着層15との剥離強度が低いものであり、公知のセパレーターを使用すればよいが、第3粘着層または第3接着層15に対する剥離強度は、例えば、0.2N/25mm以下である。セパレーターの基材は、紙、ポリエステルフィルム、ポリプロピレンフィルム、またはポリオレフィンフィルムなどが使用できる。第3粘着層または第3接着層15との剥離強度が0.2N/25mm以下であることで、セパレーター16の剥離がし易く、第3粘着層または接着層15が破断し難い。
さらに、複合シートは、該表裏凹凸構造体による空隙が形成されているため、断熱層中に空気を留め、断熱性を発現させている。
また、上記断熱性に加えて、金属層を有していることにより、電磁波遮蔽性も高めることができるだけでなく、熱線を反射する効果も有することにより、断熱性をより一層高めることができる。
そして抄紙技術による紙または繊維シートを用いることにより、繊維の折れ、または繊維の突出が生じず、飛散性を低下させることができ、本発明品を取り扱う際、人体の肌に対する刺激性を低下させることができるので取り扱い性をよくすることができる。
加えて、第1の紙または繊維シートが、第2の紙または繊維シートに固定されず、1枚の紙または繊維シートで構成されて断熱層を形成させた際には、固定に使用する粘着層または接着層が不要となるため、コスト的に好ましいだけでなく、表裏凹凸構造体の自由度が増すこととなり、柔軟性をさらに良好なものとすることができる。
さらに紙または繊維シートに難燃剤を担持させた際には、難燃性を高めることができる。
また紙または繊維シートと、難燃剤を担持させた紙または繊維シートに対し、特に難燃剤を担持させた紙または繊維シートには難燃性を阻害しない範囲であることを条件として、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂、または紫外線硬化樹脂をコーティングした際には、より飛散性と人体の肌に対する刺激性を低下させることができるので、取り扱い性をさらに高めることができる。
そして複合シートを巻き重ねて使用した場合には、上記複合シート自身の断熱性に加え、複合シートの重なりによって作り出された新たな空隙のため、一層断熱性を高めるだけでなく、金属層の増加により、一層電磁波遮蔽性をも高めることもできる。
したがって、本発明複合シートは、柔軟性を有し、繊維の飛散が生じ難く、断熱性と電磁波遮蔽性の機能を併せ持った非常に有用なものである。
以上説明した本発明の複合シートは、電気機器における断熱、並びに電磁波遮蔽用用途で使用することが望ましい。例えば、ヒーターを用いる電気機器において、ヒーターの周囲、電気機器の外装部内などに設けることで、ヒーターから発生する熱を外部に流出させづらくし、かつ、電磁波を外部に漏らさない。しかも、当該複合シートは柔軟性を有するため、電気機器の複合シート使用箇所形状に合わせて、複合シートの形状を、表裏凹凸構造体の形状を保持したまま柔軟に追従させて設置できるため、既存の断熱部材に代えて設置が容易である。
また、設置スペースが狭くとも、柔軟性により、多くの複合シートを設置することができるため、より高い断熱性を電気機器に付与することもできる。
加えて複合シート断熱層に抄紙技術による紙または繊維シートを用いることにより、繊維の折れ、または繊維の突出が生じず、飛散性を低下させることができるので、電気機器に使用した際、人体の肌に対する刺激性を低下させることができるので取り扱い性をよくすることができ、さらに紙または繊維シートに難燃剤を担持させた際には、難燃性を高めることができる。
そして紙または繊維シートと、難燃剤を担持させた紙または繊維シートに対し、特に難燃剤を担持させた紙または繊維シートには難燃性を阻害しない範囲であることを条件として、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂、または紫外線硬化樹脂をコーティングした際には、より飛散性と人体の肌に対する刺激性を低下させることができるので、取り扱い性をさらに高めることができる。
さらに複合シートを巻き重ねて使用した場合には、上記複合シート自身の断熱性に加え、複合シートの重なりによって作り出された新たな空隙のため、一層断熱性を高めるだけでなく、金属層の増加により、一層電磁波遮蔽性をも高めることもできる。
これに対し、本発明複合シートは柔軟性を有しているため、当然のことながら円形形状に対する追従性も有している。さらに、複合シートを、炊飯器内の複合シート使用箇所に巻き重ねて使用した場合には、位置的に内側となる複合シート断熱層の表裏凹凸構造体表面側部分と、内側複合シートより位置的に外側となる複合シートの金属層と、が新たに作り出す空隙と、かつ、複合シート表裏凹凸構造体形状により有している空隙での空気の割合が、巻き重ねて使用することにより増加することで、より断熱性を向上させることができる。
また、巻き重ねて使用することで金属層の割合も増加することにより、金属層が熱線を反射する効果を有することにより、断熱性をより一層高めることができるだけでなく、さらに電磁波遮蔽性効果も向上させることができる。
電気機器で複合シートを使用する箇所は、断熱性または電磁波遮蔽性の少なくとも一方が要求される箇所であればよく、ヒーターの周囲、電気機器の外装体内などが挙げられる。
したがって電気機器としては、炊飯器だけでなく、製パン機やヒーターなど幅広い機器に適用することが可能である。
かつ、複合シートは、電磁波遮蔽性も有しているのは勿論であるが、加えて複合シート断熱層の紙または繊維シートが、抄紙技術による紙または繊維シートを用いていることにより、180°に折り曲げられた状態であっても、紙または繊維シートによる繊維の折れ、または繊維の突出が生じず、飛散性を低下させることができ、電気機器に使用した際、人体の肌に対する刺激性を低下させることができるので取り扱い性をよくすることができ、加えて、第1の紙または繊維シートが、第2の紙または繊維シートに固定されず、1枚の紙または繊維シートで構成されて断熱層を形成させた際には、固定に使用する粘着層または接着層が不要となるため、コスト的に好ましいだけでなく、表裏凹凸構造体の自由度が増すこととなり、柔軟性をさらに良好なものとすることができる。
さらに紙または繊維シートに難燃剤を担持させた際には、難燃性を高めることができる。
そして紙または繊維シートと、難燃剤を担持させた紙または繊維シートに対し、特に難燃剤を担持させた紙または繊維シートには難燃性を阻害しない範囲であることを条件として、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂、または紫外線硬化樹脂をコーティングした際には、より飛散性と人体の肌に対する刺激性を低下させることができるので、取り扱い性をさらに高めることができ、非常に有用なものである。
本発明の断熱および電磁波遮蔽用複合シートの製造方法は特に限定されるものではないが、以下の方法が例示される。
(1)断熱層を作製する断熱層作製工程
(2)金属層表面か、断熱層の第2の紙または繊維シート表面に、粘着層または接着層を付与する、コーティング工程
(3)上記金属層表面か、断熱層の第2の紙または繊維シート表面に、粘着層または接着層を介して、断熱層の第2の紙または繊維シートと、金属層とを、貼合する金属層貼合工程
(4)(必要に応じて)金属層にセパレーターを貼合するセパレーター貼合工程
具体的には、粘着剤または接着剤を塗布後、乾燥の他に、熱、あるいは電離放射線(例えば電子線または紫外線)を照射することによる硬化反応などを適宜行なうことにより、粘着剤は粘着層に、そして接着層の場合は未硬化、もしくは半硬化させた接着層とする。
ここで塗布手段は特に限定されず、ロールコーティング法、またはグラビアコーティング法などを含めた、公知の技術が採用できる。
したがって、第2の紙または繊維シートに粘着剤または接着剤を塗布する場合には、ロール状の第2の紙または繊維シートを用いて塗布し、その後枚葉状にカットしていく方法(roll to roll)であっても構わなく、その方が生産性は高くなる。または、あらかじめ粘着層または接着層を互いに剥離力の異なるセパレーター同士で挟んだノンキャリアタイプのロール状、もしくは枚葉状のフィルムを、ラミネーターでロール状、もしくは枚葉状の第2の紙または繊維シートに貼合させることでも形成することができる。
その後、表裏凹凸構造体形状を崩さないように保持した状態で、第1の紙または繊維シートと、第2の紙または繊維シートと、を貼り合せることで断熱層を作製することができる。
また、第1の紙または繊維シートと、第2の紙または繊維シートを、1枚の紙または繊維シートより作製する場合には、1枚の紙または繊維シートの、第1の紙または繊維シートとなる箇所に表裏凹凸構造体形状加工を行い、続いて1枚の紙または繊維シートの、第1の紙または繊維シートとなる箇所と第2の紙または繊維シートとなる箇所の境界とする近辺を折り曲げることで、第1の紙または繊維シート表裏凹凸構造体の、第1の紙または繊維シート凹部裏面側全てと一方の該裏面側端部が、第2の紙または繊維シートの平面方向全ての領域上内で第2の紙または繊維シートに接するような形状とすることにより、断熱層を作製することができる。
ここで金属層表面か、断熱層の第2の紙または繊維シート表面に対し、付与された粘着層または接着層上には、作業利便性のため、セパレーターを貼合させておいてもよい。
また、ロール状の金属層を用いて粘着剤または接着剤を塗布し、その後枚葉状にカットしていく方法であっても構わない。加えて、あらかじめ粘着層または接着層を互いに剥離力の異なるセパレーター同士で挟んだロール状、もしくは枚葉状のノンキャリアタイプのフィルムを、ロール状、もしくは枚葉状の金属層に対し、ラミネーターで貼合させることでも作製することができる。
断熱層厚さと複合シート総厚さはマイクロメーターによって評価を行った。測定時には、表裏凹凸構造体の全体はもちろん、該構造体を構成する、紙または繊維シートの繊維がつぶれないようにして測定を行った。測定値は、表裏凹凸構造体の第1の紙または繊維シート凸部表面側頂点と、表裏凹凸構造体に対する反対面となる、(1)断熱層厚さでは第2の紙または繊維シートの第1の紙または繊維シート側でない表面、または(2)複合シート総厚さでは金属層もしくはセパレーターの第1の紙または繊維シート側でない表面、の間隔を、断熱層または複合シートの測定方向とは垂直となる平面方向の2つの両端付近それぞれ2箇所と、中央付近1箇所を含む、合計5箇所を測定した平均値を厚さとした。
柔軟性の評価は、折り曲げ試験にて行った。3.0cm×7.0cmの複合シートの試験片を用意し、長辺方向が半分の長さになるように180°折り曲げたとき、表面に破れが見られず、元の形状に戻せるものを○、表面が破断したものや、元の形状に戻らないものを×とした。なお、折線は考慮に入れない。表裏凹凸構造体を有する複合シートは、表裏凹凸構造体加工方向(図1、2、4において、複合シート厚さ方向に垂直な方向、12〜16に平行な方向)が長辺方向になるよう試験片採取を行い、試験片の短辺の両側をあわせるよう折り曲げた。
人体の肌への影響評価は、柔軟性の評価試験片と同じものを用いた。柔軟性試験後、目視で観察したとき、手で触ったときに刺激がなく、繊維の飛散や脱落がないものを○、チクチクした刺激があるものや、繊維の飛散や脱落があるものを×とした。
断熱性の評価方法は、ホットプレートおよび温度センサーを使用して評価した。まず、ホットプレートを100℃に加熱し、次に、3.0cm×5.0cmの複合シートの試験片を用意し(上記柔軟性の評価方法と同様に、表裏凹凸構造体加工方向を長辺方向とした)、試験片の初期温度を測定した。続いて、ホットプレート上に試験片を置き、試験片の温度変化を観察した。測定開始から15分後の温度を測定値とし、その温度が低いほど断熱性が高いと評価した。15分後の温度が60℃以下であれば◎、60℃〜80℃であれば○、80℃以上であれば×と評価した。
電磁波遮蔽性の評価方法は、KEC法で評価した。KEC法とは、信号発信器、測定治具、スペクトルアナライザーを用いた、電磁波シールド効果測定システムであり、試験片の電磁波遮蔽性能を測定することができる。ここでは、9cm×14cmの複合シートの試験片を用意し(上記柔軟性の評価方法と同様に、表裏凹凸構造体加工方向を長辺方向とした)、KEC法測定治具にシートを挟み、複合シートの断熱層側を、KEC法測定治具の電波発信側に向け、試験片の電磁波遮蔽性を測定した。10MHz、100MHz、500MHz、および1GHzにおける、電界成分および磁界成分の電磁波遮蔽率をデシベル(dB)で表示した。前述の周波数において、遮蔽率が40dBを超えるものを○、一部周波数において20dBから40dBのものを△、一部周波数において20dB未満のものを×とした。さらに、該周波数において、遮蔽率が40dBを超えており、かつ、0.5MHz〜1MHzの領域において、電界成分および磁界成分の遮蔽率が30dB以上であるものを◎とした。
植物繊維を使用し、抄紙機により作製したロール状の紙(厚さ100μm)を、表裏凹凸構造体高さが3.0mmになるようにコルゲーターにて構造付与した後、第1の紙または繊維シートとして枚葉状にカットし、でんぷん糊を表裏凹凸構造体加工後の第1の紙または繊維シート凹部裏面側と該裏面側端箇所(第2の紙または繊維シート接触箇所)のみに厚さ25μmとなるようにコーティングしてから、該第1の紙または繊維シートを、該ロール状の紙から枚葉状にカットした第1の紙または繊維シートと同紙である第2の紙または繊維シートと、該でんぷん糊を介して貼合することにより、断熱層を作製した。断熱層の厚さは3.10mmであった。
続いて金属層となるアルミ箔(厚さ30μm)の片面に、互いに剥離力の異なるセパレーター同士で挟んだノンキャリアタイプであるアクリル系粘着剤(商品名:TD06A、株式会社巴川製紙所、厚さ25μm)を、一方の相対的に剥離力の弱いセパレーターを剥がして他方のセパレーター付きの状態にて貼合した。
その後金属層の粘着剤面を、セパレーターを剥がして露出させ、第2の紙または繊維シートの表裏凹凸構造体とは反対面側と貼合することにより、複合シートを得た。複合シートの総厚さは3.13mmであった。
実施例1のロール状の紙を、UL94燃焼試験において、V−0である、難燃剤を担持させたロール状の難燃紙(水酸化アルミニウム紙180g/m2、厚さ100μm)とした以外は実施例1と同様にして、複合シートを作製した。断熱層の厚さは3.11mm、複合シートの総厚さは3.14mmであった。
実施例1の金属層の断熱層に対する反対面側に、セパレーター同士で挟んだノンキャリアタイプであるアクリル系粘着剤(商品名:TX48A、株式会社巴川製紙所、厚さ25μm)を、一方の相対的に剥離力の弱いセパレーターを剥がして貼合する以外は実施例1と同様にして、金属層の断熱層に対する反対面に粘着層、セパレーター(厚さ38μm)の順に積層された複合シートを得た。断熱層の厚さは3.10mm、複合シートの総厚さは3.20mmであった。
枚葉状にカットした実施例1の平面状の紙(厚さ100μm)の第1の紙または繊維シートとする箇所と第2の紙または繊維シートとする箇所の境界面に対し、スチール製の定規により、ボールペンで直線の印を引いておき、その印を目印として、該紙を山折りして、山の内側の紙同士が完全に接触するまで折り曲げた後、広げることで、該紙の第1の紙または繊維シートとする箇所と第2の紙または繊維シートとする箇所の境界面に折り目をつけた紙とした。
続いて第1の紙または繊維シートとする箇所を、表裏凹凸構造体高さが3.0mmになるようにプリーツマシンTK-11(株式会社東洋工機)にて印を基準としながら表裏凹凸構造体形状を付与した後、該折り目を利用して再び折り曲げることにより、第1の紙または繊維シートの表裏凹凸構造体の凹部第1の紙または繊維シート裏面側全てと一方の該裏面側端部が、第2の紙または繊維シートの平面方向全ての領域上内で第2の紙または繊維シートに接するような形状であり、かつ、第1の紙または繊維シートと第2の紙または繊維シート間に粘着層または接着層のない構造である断熱層を作製した以外は実施例1と同様にして、複合シートを得た。断熱層の厚さは3.09mm、複合シートの総厚さは3.13mmであった。
抄紙機により作製した、UL94燃焼試験において、V−0である、難燃剤を担持させたロール状の難燃紙(水酸化アルミニウム紙180g/m2、厚さ100μm)表面に、アニオン性ポリアクリルアミド系樹脂(商品名:ポリマセット512、荒川化学工業株式会社)を、厚さ5μmとなるように均一にコーティングした以外は実施例1と同様にして、複合シートを得た。断熱層の厚さは3.12mm、複合シートの総厚さは3.15mmであった。
実施例5の金属層の断熱層に対する反対面に、セパレーター同士で挟んだノンキャリアタイプであるアクリル系粘着剤(商品名:TX48A、株式会社巴川製紙所、厚さ25μm)を、一方の相対的に剥離力の弱いセパレーターを剥がして貼合する以外は実施例4と同様にして、金属層の断熱層に対する反対面に粘着層、セパレーター(厚さ38μm)の順に積層された複合シートを得た。断熱層の厚さは3.12mm、複合シートの総厚さは3.22mmであった。
実施例1を2枚重ね合わせて、複合シートを得た。断熱層の厚さは6.23mm(1枚目断熱層の厚さ3.11mm、2枚目断熱層の厚さ3.12mmの合計値)、複合シートの総厚さは6.30mm(1枚目複合シートの厚さ3.14mm、2枚目複合シートの厚さ3.16mmの合計値)であった。
断熱層を、ガラス板(厚さ1.80mm)とした以外は実施例1と同様にして、複合シートを作製した。複合シートの総厚さは1.85mmであった。
断熱層を、ガラスウール(厚さ10.00mm)とした以外は実施例1と同様にして、複合シートを作製した。複合シートの総厚さは10.02mmであった。
実施例1で作製した複合シートの第1の紙または繊維シートの表裏凹凸構造体に対し、第2の紙または繊維シートとは反対側である表裏凹凸構造体の凸部表面側に、第1の紙または繊維シート、および第2の紙または繊維シートと、同紙である、第3の紙または繊維シートを貼合するため、第1の紙または繊維シート凹凸構造体の凸部表面側を含む第3の紙または繊維シート接触箇所に、でんぷん糊を厚さが25μmとなるようにコーティングした後、枚葉状の第3の紙または繊維シートを貼合し、表裏凹凸構造体である第1の紙または繊維シートの表裏両側に、紙または繊維シートを有する複合シートを作製した。断熱層の厚さは3.12mm(第3紙または繊維シートと該でんぷん糊厚さは除く)、複合シートの総厚さは3.29mmであった。
特に複合シートを2枚重ね合わせた実施例7は、断熱性と電磁波遮蔽性に関し、最も良好な結果を示した。これは、一方の複合シート断熱層の表裏凹凸構造体表面側部分と、他方の複合シートの金属層と、が新たに作り出す空隙と、かつ、複合シート表裏凹凸構造体形状により有している空隙での空気の割合が、重ねて使用することにより増加することで、より断熱性を向上させ、さらに、重ねて使用することで金属層の割合も増加することにより、金属層が熱線を反射する効果を有することにより、断熱性をより一層高めることができるだけでなく、さらに電磁波遮蔽効果も向上させることができることによるものと考えられる。
両図から明らかなように、本発明の複合シートは、繊維の折れ、または繊維の突出が生じず、飛散性を低下させることができ、使用の際、人体の肌に対する刺激性を低下させることができるので取り扱い性をよくすることができ、作業性に優れるものである。
さらに図示しないが、実施例5、6は、難燃紙表面に、難燃性を阻害しない範囲で熱硬化性樹脂であるアニオン性ポリアクリルアミド系樹脂をコーティングしているので、より飛散性と人体の肌に対する刺激性を低下させることができ、さらに取り扱い性を高めることができた。
また、実施例2、5、および6は、UL94燃焼試験において、V−0を達成するように、難燃剤を担持させたロール状の難燃紙を使用しているので、複合シートとして、柔軟性、人体の肌への影響、断熱性、および電磁波遮蔽性が良好なだけでなく、難燃性においてもUL94燃焼試験において、V−0となり、優れていた。
断熱性については、ガラス板に代えてセラミックスの板を使用すると良化する可能性があるが、その場合であっても、板状のため、柔軟性が不足する。
ここで図8を用いて、人体の肌への影響の詳細を説明する。図8(a)は、柔軟性評価後の比較例2の複合シートの折り曲げ部分である複合シートの厚さ方向断面を示す写真図であり、図8(b)は、該複合シートを、水平方向に90°回転させた状態を示す写真図である。
両図から明らかなように、比較例2の複合シートは、複合シートから折れたガラスウールが突出し、飛散し易くなっており、例えば、電化製品に組み込む際の組み立てや据付時に、人体の肌を刺激しやすくなってしまう。
10 第1の紙または繊維シート
11 第1粘着層または第1接着層
12 第2の紙または繊維シート
13 第2粘着層または第2接着層
14 金属層
15 第3粘着層または第3接着層
16 セパレーター
20 断熱層
T 表裏凹凸構造体の高さ
Claims (8)
- 断熱層と、金属層とが、粘着層または接着層を介して積層された断熱および電磁波遮蔽用複合シートであって、
該断熱層が、高さ0.5mm〜5.0mmの表裏凹凸構造体である、第1の紙または繊維シートと、第2の紙または繊維シートで、構成されることを特徴とする断熱および電磁波遮蔽用複合シート。 - 前記金属層が、厚さ1μm〜250μmのアルミ箔であることを特徴とする請求項1に記載の断熱および電磁波遮蔽用複合シート。
- 前記第1の紙または繊維シートと、第2の紙または繊維シートが、UL94燃焼試験において、V−0であることを特徴とする請求項1または2に記載の断熱および電磁波遮蔽用複合シート。
- 前記第1の紙または繊維シートと、第2の紙または繊維シートが、
少なくとも、植物繊維、動物繊維、および有機合成による高分子から合成された合成繊維からなる群より選択される一の繊維と、
熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂、および紫外線硬化樹脂からなる群より選択される一の樹脂と、からなることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の断熱および電磁波遮蔽用複合シート。 - 前記第1の紙または繊維シートと、第2の紙または繊維シートが、1枚の紙または繊維シートであることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の断熱および電磁波遮蔽用複合シート。
- 前記金属層の前記断熱層に対する反対面に、粘着層または接着層を介して、更にセパレーターが積層されてなることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の断熱および電磁波遮蔽用複合シート。
- 請求項1〜6のいずれか1項に記載の断熱および電磁波遮蔽用複合シートを備えていることを特徴とする電気機器。
- 前記電気機器が炊飯器であることを特徴とする請求項7に記載の電気機器。
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