JPH047899A - 電磁波シールド用シート成形体とその製造方法 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】本公報は電子出願前の出願データであるた
め要約のデータは記録されません。

Description

【発明の詳細な説明】 （発明の目的） 〈産業上の利用分野〉 本発明は、各種電子機器のケーシングに内嵌めしたり、
それ自体ケーシングとして用いて、電磁波ノイズによる
事故、誤動作等を防止する、電磁波シールド用シート成
形体およびその製造方法に関するものである。

〈発明の背景〉 近時、デジタル回路を応用した電子機器が急速に職場や
家庭に浸透してきている。勿論、職場や家庭内に限らず
、屋外においても、自動車、飛行機、列車、通信設備等
を始め、あらゆるところで電子機器が使用されている。

そして、これら電子機器のケーシングには、絶縁という
目的もあって、軽量で、加工性、耐久性に優れ、しかも
安価であるプラスチックが多用されている。

しかし、プラスチックは、元来、電磁波の透過性が高い
ため、内蔵している多数のＩＣやＬＳＩから発生する高
周波パルスによる電磁波ノイズがケーシング外へ放射さ
れ、テレビの画像乱れ、銀行等のオンラインコンピュー
タの誤動作、各種の自動制御装置の誤動作等を招いたり
する。また、自ら内蔵する電子回路も他の電子機器等か
らの電磁波ノイズの侵入を受けて誤動作を起こす、いわ
ゆる電磁波障害が起きている。また、この電磁波ノイズ
による悪影響のみならず、プラスチックのケーシングに
あフてはその高い絶縁性のため、静電気を帯電し易く、
この静電気が放電する際のノイズも、誤動作を招いたり
、また、直接電子素子を破壊する原因となっている。

ところで、これら電磁波ノイズや静電気ノイズから電子
機器、電子回路を守るには、ケーシングたるプラスチッ
クに導電性を付与して解決することが考えられる。

このため、従来から、プラスチックの原料段階でカーボ
ンブラックを始めとする各種導電性フィラーを混入する
一次加工の他、二次加工として、銀微粒子等を混入した
導電性塗料を塗布する、亜鉛等の金属を溶射する、アル
ミ等を真空蒸着、スパッタリング、イオンブレーティン
グ等する、無電解メツキ、電気メツキ、スプレーメツキ
する、アルミ箔等の金属箔を貼る、等々、種々の方法が
試みられている。

ところが、プラスチックの原料段階で導電性フィラーを
混入するにあっては、コストアップや成形性低下等の問
題を生じ、また、導電性塗料塗布、金属溶射、真空蒸着
、メツキ処理等にあっては、それらの一部が離脱して回
路を短絡させる等の事故も心配される。

〈開発を試みた技術的事項〉 このように従来試みられたきた手法は、内部の絶縁に対
する信頼性を一部損なうこともあり、また、各々専用に
処理を要するものであって、現にあるケーシングに後か
ら処理する等の汎用性に欠けるものであった。本発明は
、このような背景に鑑みてなされたものであって、電磁
波シールド機能を司る部分を独立した部材、つまりシー
ト成形体として仕上げ、そして、これは合成樹脂フィル
ムの全面に金属長繊維を担持させて、電磁波シールド性
を発揮できるようにするととも、少なくともその一面は
絶縁性も確保し、現にあるケーシングに内嵌めしたり、
それ自体ケーシングとして用いることができるようにし
たものであり、また、いわゆる深絞りの成形体をも確実
容易に得られるようにしたものである。

（発明の構成） く目的達成の手段〉 本出願に係る第一の発明たる電磁波シールド用シート成
形体は、細くて長い金属繊維のマットから所望曲面形状
とされた金属繊維体を、覆うとともにその金属繊維間を
埋めるよう、合成樹脂フィルムが加熱軟化して、真空圧
および／または圧縮空気圧にて該金属繊維体に密着し、
その後冷却固化して形作られていることを特徴として成
るものである。

また、本出願に係る第二の発明たる電磁波シールド用シ
ート成形体は、前記要件に加え、細くて長い金属繊維は
、長尺な金属薄膜を巻回してなるコイル状材の端面から
旋削されてなるものであることを特徴として成るもので
ある。

そして、本出願に係る第三の発明たる電磁波シールド用
シート成形体の製造方法は、細くて長い金属繊維を分散
させてマット状とし、このマット状の金属繊維を所望曲
面形状に予備成形した後、これを本成形用の型に嵌め入
れ、上から合成樹脂フィルムを重合し、このフィルムを
加熱軟化させて、真空圧および／または圧縮空気圧にて
予備成形されている金属繊維体ごと型に密着させ、その
後冷却固化させて形作ることを特徴として成るものであ
る。

また、本出願に係る第四の発明たる電磁波シールド用シ
ート成形体の製造方法は、細くて長い金属繊維を分散さ
せてマット状とし、このマット状の金属繊維を所望曲面
形状に予備成形した後、これを本成形用の型に対し、合
成樹脂フィルム、前記予備成形されている金属繊維体、
合成樹脂フィルムの順に重合し、下側フィルムを加熱軟
化させて、真空圧にて型に密着させとともに、上側フィ
ルムも加熱軟化させて、圧縮空気圧にて予備成形されて
いる金属繊維体ごと型に密着している下側フィルムに重
着させ、その後冷却固化させて形作ることを特徴として
成るものである。

また、本出願に係る第五の発明たる電磁波シールド用シ
ート成形体の製造方法は、前記要件に加え、細くて長い
金属繊維として、長尺な金属薄膜を巻回してコイル状材
とし、該コイル状材の端面を旋削して得ることを特徴と
して成るものである。

さらにまた、本出願に係る第六の発明たる電磁波シール
ド用シート成形体の製造方法は、同じく、細くて長い金
属繊維を分散させてマット状とした後、このマット状の
金属繊維の少なくとも一方に合成樹脂繊維からなる不ｗ
１布を重着するとともに、両者をニート”ルパンチして
互いの繊維を絡み合わせ、この絡み合わされた金属繊維
を所望曲面形状に予備成形して用いることを特徴として
成るものである。

これら発明により前記目的を達成しようとするものであ
る。

〈発明の作用〉 本発明は、金属繊維を少なくともその一面から覆う合成
樹脂フィルムに担持させているから、少なくともその一
面の絶縁性が確保された上で、合成樹脂フィルム上に張
り巡らされたように存在する金属繊維の導電性が、電磁
波を外部へ漏洩すること、あるいは外部からの侵入を防
ぐ。一方、合成樹脂フィルムは金属ｍ維により繊維強化
された状態となっており、形状保形性が高くする。

また、合成樹脂フィルム上に担持された金属繊維は、長
繊維であるが故に、これを被覆する合成樹脂フィルムを
突き抜けて出てくる可能性が少ない。

また、細くて長い金属繊維を分散させてマット状とし、
このマット状の金属繊維を所望曲面形状に予備成形した
後、これに合成樹脂フィルムを被ぶせる形でこの合成樹
脂フィルムをいわゆる熱成形するから、加熱軟化状態の
合成樹脂フィルムは、予備成形された金属繊維体を型に
押し付けて、これを正規所望の形状に変形しつつ、自ら
も変形して成形される。その際、正規所望の形状に成形
された金属繊維体の表層を単に覆うだけでなく、その金
属繊維間に埋まり込みつつ変形するので、両者絡まり合
った一体のものとして得られる。しかも、これは、金属
繊維を拘束の少ない状態で予備成形してからのことなの
で、深かったり、複雑な形状にも仕上げられる。

また、本成形用の型に対し、合成樹脂フィルム、予備成
形された金属Ｉｌｌ鉢体合成樹脂フィルムの順に重合し
、下側フィルムを加熱させれば、これが軟化するととも
に真空圧にて型に吸引されて、型に密着する一方、さら
に、上側フィルムも加熱し、圧縮空気圧を作用させると
、上側フィルムは予備成形されている金属繊維ごと、型
に密着している下側フィルムに押し付けられ、三者一体
の成形体となる。また、長尺な金属薄膜を巻回してコイ
ル状材とし、該コイル状材の端面を旋削すれば、細い金
属長繊維が容易かつ安価に得ることができ、本電磁波シ
ールド用シート成形体も安価に製造することができる。

さらに、金属繊維のみのマット状材に対し、これに合成
樹脂の不織布を重着し、両者をニードルパンチして互い
の繊維を絡み合わせれば、合成樹脂の不織布の柔軟性に
より、予備成形がし易くなる。

〈実施例〉 第１図は、本発明電磁波シールド用シート成形体の一実
施例として、変矩形の船底形に成形されたものＡを示し
ており、同図ではこれが伏せられた状態で描かれている
。

そこで、その素材たる金属繊維シート材１が得られるま
でと、これが同形に成形されるまでとを分けて、第２図
および第３図に基づき説明する。

また、来電磁波シールド用シート成形体Ａ自体について
はその間に適宜説明を加える。

第２図において、１が第１図に示すごとくの形状に成形
される前の電磁波シールド用素材たるシート材であり、
２１はその原料たる金属長繊維、２はこれが分散されて
適宜幅のマット状に配置された状態を示すもので、３は
このマット状の金属長繊維の上方にロール３２状態で支
持されているポリプロピレン繊維３１からなる不織布、
４はニードルパンチ用の針４１が植設され、別途駆動手
段により上下動するベースである。

そして、金属長繊維２１は、図示しない従来公知の手段
、例えば、熊手状の引っ掛は部材、ロールや垣間を通過
する等して、掻き均され、はぼ均一の厚さで全体的に分
散した適宜幅のマット２状として前方へ送り出されてく
る。

なお、この金属長繊維２１には、これを長繊維とするに
あたって、先ず、長尺な、例えば、銅の薄膜を堅固に巻
回してコイル状材とし、その上でこの端面を一挙に適宜
幅のバイトで削り出している。

つまり、金属薄膜の材厚の幅と、旋削時の送りの幅の断
面をもった長繊維として得ている。この方法は本第二発
明及び本第３発明に関係するものであり、このようにし
て得た金属長繊維２１であれば、細くて長くて柔軟な繊
維として、しかもパリの少ない繊維として得ることがで
き、取り扱い上、例えば、マット状に配置する上で有利
であり、また、電磁波シールド用素材たるシート材、及
び電磁波シールド用シート成形体に仕上がった状態にお
いても、金属繊維の各末端が合成樹脂フィルムの層を突
き抜けて外に飛び出てくることが少ない。なお、この場
合の金属薄膜の材厚は、金属の材質、硬さにもよるが、
数μ〜数１００μ、望ましくは、数ｌＯμが適当である
。勿論、切削速度、送り速度、切削幅、バイトのすくい
角等の諸条件にも依り、また、これら諸条件を調節する
ことにより、最適な金属長繊維が得られる。

そして、このような金属長繊維２１が適宜幅のマット２
状とされた後、ポリプロピレン繊維３１の不縁布３が上
方のロール３２から繰り出されつつ、この金属長繊維２
１のマット２上に重ねられ、引き続いて、これらの上方
に位置したニードルパンチ用のベース４が上下動して、
これに植設された針４１により金属長繊維と不織布繊維
とが絡み合わされ、本実施例で用いたマット状に配置さ
れた金属繊維シート材１が得られる。

なお、ここでポリプロピレン繊維３１の不織布３を重ね
合わせてその繊維を絡み合わせるのは、金属長繊維２１
の仮止め的意味合いと、工程移送の便、予備成形性、仕
上がり後の絶縁性強化等に供するためである。また、不
織布の繊維の材質としては、その後重着される合成樹脂
フィルムの材質より軟化溶融点の高いものの方が、合成
樹脂フィルムを熱成形する際において有利である。

本実施例では、３０μ×５０μの線径の金属長繊維を、
厚くともその７．８本が重なり合い、少なくとも２　ｍ
　ｍ平方に一本金属長繊維が存在するように分散するよ
うに配置し、これにポリプロピレンの不織布を絡み合わ
せた。

図示しないが、続いて、この金属繊維シート材１を予備
成形する。これには単純にプレス成形して行える。なお
、この予備成形は、本成形と同形状にまで行うか、また
、それより若干大きめに行うかするが、何れにせよ、こ
の予備成形のために摺擦用のシート等を金型との間に介
在させる等して、金属繊維シート材１の各金属繊維が円
滑かつ均・−に変形するよう配慮する。このためには、
この予備成形のプレス成形を幾度かに分けて行ってもよ
い。

続いて、この予備成形された金属繊維体ＩＡに対し、合
成樹脂フィルムを重合していわゆる熱成形するが、実施
例では、合成樹脂フィルムとして熱可波性の軟質の塩化
ビニルフィルムを用い、同じ熱成形でも真空成形のみに
よフて行った。すなわち、第３図（ａ）〜（ｃ）は真空
成形機による熱成形の過程を概略的に示したもので、塩
化ビニルフィルム５を、その四方をクランプして支持枠
旧に固定し、これをヒーター８２で加熱軟化（第３図（
ａ）の状態）させ、引き続き、これを成形型９上にセッ
ト（第３図（ｂ）の状態）する。このとき、成形型９に
は、既に予備成形された金属繊維体ＩＡをこれに嵌め入
れるようにセットしである。すると、軟化状態の塩化ビ
ニルフィルム５と成形型９とで形成される空間部９０が
減圧、真空にされ、軟化状態の塩化ビニルフィルム５は
、予備成形された金属繊維体ＩＡを成形型９に押し付け
、かつ、金属繊維体ＩＡを変形しつつ成形型９に密着（
第３図（ｃ）の状態）する。

このとき、塩化ビニルフィルム５は、成形型９上の金属
繊維体ＩＡに先ず習って引き延ばされ変形するが、その
後、金属繊維体ＩＡを成形型９に沿うよう矯正変形させ
つつ、金属繊維体ＩＡの各金属繊維間をも埋めるように
成形型９側に吸引変形されてゆく。このため、金属繊維
体】Ａは、この塩化ビニルフィルム５に担持された状態
、逆に、塩化ビニルフィルム５は金属繊維体ＩＡにより
繊維強化された状態として一体に仕上がる。

その後、冷風等にて冷却して形状固定されるのを待って
成形型９から取り出される。なお、合成樹脂フィルムの
厚さ、硬度等を調節して、合成樹脂フィルムを重合した
側に金属繊維が露出しないよう配慮が必要である。

その後、耳の部分を切除して得られた電磁波シールド用
シート成形体Ａは、厚さ１．５１１Ｉ＋１１程度であり
、マット状に配置された細くて長い銅繊維が、塩化ビニ
ルフィルムの一面全面に絡み付いた状態の一体物となっ
ていた。第１図においては、内側が塩化ビニルフィルム
が表面被覆しており、外側（見える側）が、金属繊維が
剥き出しの側となっている。

以上の方法では、金属繊維体の片面には絶縁性が確保さ
れるが、反対面は金属繊維が剥き出しであるため、次ぎ
に、両面に絶縁性が確保できる第四発明たる製造方法に
ついて説明する。この方法では、上下二枚の合成樹脂フ
ィルムを用い、真空圧と圧縮空気圧を利用して行う。

なお、その索材たる金属繊維シート材１が得られるまで
、及び、これを予備成形するまでは前記実施例と同様で
あるため、その後、合成樹脂フィルムを重着する工程に
ついてのみ説明する。

すなわち、第４図（ａ）〜（ｃ）は真空成形機と圧縮空
気圧成形機とを一体にしたような装置における製造過程
を概略的に示したもので、先ず、配置間係として、第４
図（ａ）のごとく、真空成形機の成形型９の上方におい
て、その四方が支持枠８１に固定され、別途ヒーターで
前記実施例と同様に加熱軟化された状態の塩化ビニルフ
ィルム５が置かれ、この上方には、既に予備成形された
金属繊維体ＩＡと、もう−枚の塩化ビニルフィルム６が
同じく支持枠８３に固定されて位置し、このさらに上方
からは、成形型９の外周に合致し、上の塩化ビニルフィ
ルム６との間に空間を形成する上型７が降下自在に位置
している。

そして、先ず、第４図（ｂ）のごとく、下の塩化ビニル
フィルム５が加熱軟化された状態において、塩化ビニル
フィルム５と成形型９とで形成される空間部９０が減圧
、真空にされ、下の塩化ビニルフィルム５は成形型９に
摺って変形する。このとき、はぼ同時的に予備成形され
た金属繊維体ＩＡがこの下の塩化ビニルフィルム５が変
形した部分に嵌まり込んで来て、さらにほぼ同時的に支
持枠８３と上型７が上の塩化ビニルフィルム６とともに
降下してきて、今度は上の加熱軟化状態の塩化ビニルフ
ィルム６が、上型７との間の空間７０に送られた圧縮空
気により、予備成形された金属繊維体ＩＡをさらに成形
型９へ押し付けつつ、自らもこれに習うように変形、引
き延ばされ、かつ全体が降下を続け、成形型９と上型７
とが上下の塩化ビニルフィルムを介して閉鎖空間をつく
る。（第４図（ｂ）〜第４図（Ｃ）参照）すなわち、第
４図（Ｃ）のような状態において、圧縮空気が空間７０
に送り続けられると、上の塩化ビニルフィルム６は金属
繊維体ＩＡを成形型９に押し付けつつ各金属繊維間をも
埋めるように成形型９側に押されてゆく。一方、下の塩
化ビニルフィルム５は、成形型９に摺って変形はしてい
るものの、上からは金属繊維の間から、上の塩化ビニル
フィルム６が来るので、軟化状態の両者５．６は金属繊
維体ＩＡをサンドイッチするように一体となる。つまり
、金属繊維体ＩＡは、この塩化ビニルフィルム５．６サ
ンドイツチされ、その中間に担持された状態、また、逆
に、重ね合わさった塩化ビニルフィルム５．６は金属繊
維体ＩＡに繊維強化された状態として一体状に仕上がる
。

その後、前記実施例と同様に冷風等にて冷却して形状固
定されるのを待って成形型９から取り出される。このよ
うにして得られた電磁波シールド用シート成形体は、厚
さ３關程度であり、中の金属繊維の厚みが表面の凹凸と
はなっていたものの、金属繊維自体は両表面に露出して
おらず、両面とも絶縁性あるものに仕上がっていた。

以上、これら本発明方法によれば、極めて簡易な工程の
内に電磁波シールド用シート成形体が得られるので、こ
の電磁波シールド用シート成形体Ａを電子機器のケーシ
ングの内側に嵌め込んだり、あるいはこれ自体をケーシ
ングとして用いれば、マット状に配置された細くて長い
金属繊維がそのケーシング内側に導電性を与えたことと
なって、電磁波シールド効果を生じるようになる。

そして、嵌め入れて使う、そのままケーシングとして使
う、何にせよ、電磁波シールド用シート成形体の表裏少
なくとも一面は塩化ビニルのフィルム面が表れることと
なっているので、そちらの面は絶縁性が確保されること
となり、万一の短絡事故の危険も少ない。これは、電子
基板が振動したり、動いたりして、基板接点とケーシン
グ内面が接触する場合は勿論、本電磁波シールド用シー
ト成形体がケーシング内面より剥離落下した場合にも、
短絡危険が少ないということであり、その上でも従来に
比べ有利である。勿論、ケーシング内面とほぼ同じ形状
に形作られていれば、剥離落下という危険も考えられな
い。

なお、電子機器のプラスチックのケーシングとは、何も
箱型のものに限らず、今後益々デジタル回路の応用が進
むであろう子供のおもちゃ等における複雑な成形体をも
含むものであり、さらには、小さなケーシングに施用す
るのではなく、いわゆるテントのように形作り、コンピ
ュータールーム、制御室等として用いることもできる。

また、上記実施例にあっては、金属長繊維に銅を材料と
したものを用い、そして、これを得るにあたって、先ず
、長尺な銅のＦｉｌｍを堅固に巻回してコイル状体とし
、その上でこの端面を旋削して得たが、例えば、ステン
レス、アルミ、鉄、黄銅等の導電性の金属であっても、
同様に施用できるのは勿論であり、そして、何もその′
ｆＩｉ膜が巻回されたコイル状体から旋削して得られる
ものである必要もなく、要は長繊維状態で得られたもの
であれば良い。

また、その繊維長は数ｃｍから数十ｃｍ程度、あるいは
それ以上であるのが望ましく、また、その分散程度は、
求められる電磁波シールド用シート成形体としての性能
、つまり静電除去、電磁波シールド効果の大小によって
定めればよい。また、上記実施例では、ポリプロピレン
繊維の不織布を金属長繊維と重ね合わせるようにしたが
、必ずしも・重ね合わせる必要はなく、金属長繊維だけ
を合成樹脂フィルムを重着したものであってよい。また
、この不織布の材質自体もポリプロピレン繊維に限られ
るものでなく、ポリエステル、ポリウレタン等、各種の
合成繊維であってよい。

さらに、上記実施例では、合成樹脂フィルムに熱可盟性
の樹脂フィルムを用いたが、これに限らず、粘着剤付き
のものを用いたり、ホットメルトフィルム付きのものを
用いたり、別途ホットメルトを介在させたり、粘着面を
有する合成樹脂フィルムを重ね合わせたり、接着剤を塗
布したりしても良いこと勿論である。

さらにまた、上記合成樹脂フィルムも軟質の塩化ビニル
のフィルムに限らず、アクリロニトリル・ブタジェン・
スチレン樹脂（ＡＢＳ）、アクリル樹脂（ＰＭＭＡ）、
ポリスチレン樹脂（Ｐ　Ｓ）等の種々の熱可堕性樹脂を
用い・ることかでき、また、フィルムとは言っても極薄
い必要上よなく、枚葉状のものであればよく、さらにま
た、前記シート材を熱成形するにあたっても、実施例の
ストレートフォーミングの他、ドレープフォーミング、
プラグアシストフォーミング、リバースドローフォーミ
ング、プラグアシスト・リバースドローフォーミング、
さらには圧縮空気圧成形機を用いて、真空に代えて圧空
を使用して行ってもよいものであり、また、実施例とし
て示した各工程における作用のタイミングも前述のもの
に限らず、前工程を完全に終了してから行う、同時に行
う等適宜変形、応用できるものである。

（発明の効果） 以上述べたとおり、本発明方法によれば、極めて簡易な
工程の内に、電子機器のケーシング等に導電性を付与し
得て、電磁波シールド効果を奏することができる電磁波
シールド用シート成形体を得ることができ、また、本発
明電磁波シールド用シート成形体は、これ自体独立した
部材であり、電磁波シールド性を付与するものの、その
少なくとも一面は絶縁性を確保しており、このため、そ
のままケーシングとしても用いることができる。

したがって、今や社会的大問題となっている電子機器の
電磁波ノイズの問題解決に大きく貢献できるものである
。

【図面の簡単な説明】

第１図は本発明電磁波シールド用シート成形体を変矩形
の船底型に成形した状態を示す斜視図、第２図は、電磁
波シールド用票材たる金属繊維シート材を得るまでの一
実施例の基本的な流れを示す概要図、第３図（ａ　）（
ｂ　）（ｃ　）は合成樹脂フィルム−枚用い真空成形機
によって成形する過程の一実施例の基本的な流れを示す
概要図、第４図（ａ）（ｂ）（ｃ）は合成樹脂フィルム
を二枚用い、真空成形機と圧縮空気圧成形機の両者によ
って成形する過程の他の実施例の基本的な流れを示す概
要図である。

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 （１）細くて長い金属繊維のマットから所望曲面形状と
   された金属繊維体を、覆うとともにその金属繊維間を埋
   めるよう、合成樹脂フィルムが加熱軟化して、真空圧お
   よび／または圧縮空気圧にて該金属繊維体に密着し、そ
   の後冷却固化して形作られていることを特徴とする電磁
   波シールド用シート成形体。 （２）細くて長い金属繊維は、長尺な金属薄膜を巻回し
   てなるコイル状材の端面から旋削されてなるものである
   ことを特徴とする請求項１記載の電磁波シールド用シー
   ト成形体。（３）細くて長い金属繊維を分散させてマッ
   ト状とし、このマット状の金属繊維を所望曲面形状に予
   備成形した後、これを本成形用の型に嵌め入れ、上から
   合成樹脂フィルムを重合し、このフィルムを加熱軟化さ
   せて、真空圧および／または圧縮空気圧にて予備成形さ
   れている金属繊維体ごと型に密着させ、その後冷却固化
   させて形作ることを特徴とする電磁波シールド用シート
   成形体の製造方法。 （４）細くて長い金属繊維を分散させてマット状とし、
   このマット状の金属繊維を所望曲面形状に予備成形した
   後、これを本成形用の型に対し、合成樹脂フィルム、前
   記予備成形されている金属繊維体、合成樹脂フィルムの
   順に重合し、下側フィルムを加熱軟化させて、真空圧に
   て型に密着させとともに、上側フィルムも加熱軟化させ
   て、圧縮空気圧にて予備成形されている金属繊維体ごと
   型に密着している下側フィルムに重着させ、その後冷却
   固化させて形作ることを特徴とする電磁波シールド用シ
   ート成形体の製造方法。 （５）細くて長い金属繊維として、長尺な金属薄膜を巻
   回してコイル状材とし、該コイル状材の端面を旋削して
   得ることを特徴とする請求項３または４記載の電磁波シ
   ールド用シート成形体の製造方法。 （６）細くて長い金属繊維を分散させてマット状とした
   後、このマット状の金属繊維の少なくとも一方に合成樹
   脂繊維からなる不織布を重着するとともに、両者をニー
   ドルパンチして互いの繊維を絡み合わせ、この絡み合わ
   された金属繊維を所望曲面形状に予備成形して用いるこ
   とを特徴とする請求項３または４記載の電磁波シールド
   用シート成形体の製造方法。