JP2001267783A - 電磁波吸収シート - Google Patents
電磁波吸収シートInfo
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- JP2001267783A JP2001267783A JP2000072205A JP2000072205A JP2001267783A JP 2001267783 A JP2001267783 A JP 2001267783A JP 2000072205 A JP2000072205 A JP 2000072205A JP 2000072205 A JP2000072205 A JP 2000072205A JP 2001267783 A JP2001267783 A JP 2001267783A
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Abstract
(57)【要約】
【課題】 主として3GHz(望ましくは1GHz)以
上の周波数域で10dB以上(70%減衰)の吸収能に
優れた低コストの電磁波吸収シートを提供する。 【解決手段】 金属線材を線材切削法で製作した不定形
横断面を成す切削金属繊維1と、繊維結合機能を有する
バインダー繊維2又はそのバインダー繊維2を含む単相
物又は混合複相物である非バインダー繊維3とを均一に
混合し、前記バインダー繊維2で繊維結合された不織布
4を、単層又は複層させて不織布層Aを形成する。そし
て、その不織布層Aの片面に電波反射性能を有する鉄、
アルミ、銅又はそれらの合金から成る金属面体5を張設
して構成する。
上の周波数域で10dB以上(70%減衰)の吸収能に
優れた低コストの電磁波吸収シートを提供する。 【解決手段】 金属線材を線材切削法で製作した不定形
横断面を成す切削金属繊維1と、繊維結合機能を有する
バインダー繊維2又はそのバインダー繊維2を含む単相
物又は混合複相物である非バインダー繊維3とを均一に
混合し、前記バインダー繊維2で繊維結合された不織布
4を、単層又は複層させて不織布層Aを形成する。そし
て、その不織布層Aの片面に電波反射性能を有する鉄、
アルミ、銅又はそれらの合金から成る金属面体5を張設
して構成する。
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、主として1GHz
以上の周波数域において、効果的に吸収性能が得られる
電磁波吸収シートに関する。
以上の周波数域において、効果的に吸収性能が得られる
電磁波吸収シートに関する。
【0002】
【従来の技術】社会の高度な技術化にともなって、各種
電子機器が広く使用されるようになり、これらの機器か
ら発せられる電磁波が電子機器の制御や性能あるいは人
々の一般生活に影響を与えるおそれがあることから、電
磁波の発生源には遮蔽体をはじめとする様々な電磁波漏
洩防止措置がなされ、また、被受信体には発生電磁波の
影響を受けないようにするためにその電磁波を反射ある
いは吸収するための各種技術が提供されている。
電子機器が広く使用されるようになり、これらの機器か
ら発せられる電磁波が電子機器の制御や性能あるいは人
々の一般生活に影響を与えるおそれがあることから、電
磁波の発生源には遮蔽体をはじめとする様々な電磁波漏
洩防止措置がなされ、また、被受信体には発生電磁波の
影響を受けないようにするためにその電磁波を反射ある
いは吸収するための各種技術が提供されている。
【0003】通常、10MHz〜1GHz近傍の周波数
帯域では主としてフェライト等の磁性材料やカーボンな
どで構成された吸収体が用いられ、1GHz以上ではカ
ーボン等の導電材料、カーボニル鉄等の磁性材料、金属
繊維、導電性繊維、導電性塗料などが用途に応じて用い
られている。
帯域では主としてフェライト等の磁性材料やカーボンな
どで構成された吸収体が用いられ、1GHz以上ではカ
ーボン等の導電材料、カーボニル鉄等の磁性材料、金属
繊維、導電性繊維、導電性塗料などが用途に応じて用い
られている。
【0004】それらの中で、金属繊維を使った不織布状
の電磁波吸収体シートとして、特開平2−12898、
特開平9−307268等が提案されている。これらに
使用されている金属繊維としては、主として、高分子繊
維の表面に金属をメッキした導電性高分子繊維や、金属
を繰り返し冷間引き抜き加工して繊維状まで細かくした
金属そのものの繊維などが大多数を占めている。
の電磁波吸収体シートとして、特開平2−12898、
特開平9−307268等が提案されている。これらに
使用されている金属繊維としては、主として、高分子繊
維の表面に金属をメッキした導電性高分子繊維や、金属
を繰り返し冷間引き抜き加工して繊維状まで細かくした
金属そのものの繊維などが大多数を占めている。
【0005】例えば、前記導電性高分子繊維では、特開
平2−19898があり、これには直径20μm、長さ
5mmの金属繊維についての開示がなされている、ま
た、特開昭58−188190には、加圧成形した樹脂
の中に直径が10〜100μm、長さが1〜5mmの金
属繊維を含ませた形態が示されている。さらに、特開平
8−288685には、長さ1mm以上で太さが長さの
1/10以下の金属繊維が示されている。
平2−19898があり、これには直径20μm、長さ
5mmの金属繊維についての開示がなされている、ま
た、特開昭58−188190には、加圧成形した樹脂
の中に直径が10〜100μm、長さが1〜5mmの金
属繊維を含ませた形態が示されている。さらに、特開平
8−288685には、長さ1mm以上で太さが長さの
1/10以下の金属繊維が示されている。
【0006】これらの繊維は比較的直線性が良いことと
絡みにくいことから、いずれも不織布製造時に繊維が設
備のパスラインで、絡んで引き千切れたりしにくく、製
造中の吸収体シートの流れに沿って配列し易くなってい
る。しかし、これらの電磁波吸収体シートは、いずれも
製造工程が複雑であるために高価なものとなり、また使
用されている金属繊維は線径が非常に均一且つ長さも一
定なものであることから、電磁波入射時の反射減衰効果
が電磁波の偏波面が吸収体シートの流れに平行なときと
垂直なときとで大きく異なる。
絡みにくいことから、いずれも不織布製造時に繊維が設
備のパスラインで、絡んで引き千切れたりしにくく、製
造中の吸収体シートの流れに沿って配列し易くなってい
る。しかし、これらの電磁波吸収体シートは、いずれも
製造工程が複雑であるために高価なものとなり、また使
用されている金属繊維は線径が非常に均一且つ長さも一
定なものであることから、電磁波入射時の反射減衰効果
が電磁波の偏波面が吸収体シートの流れに平行なときと
垂直なときとで大きく異なる。
【0007】即ち、偏波面が電磁波吸収体シートの流れ
に平行な時の方が電磁波の反射減衰量が大きい(即ち、
良く吸収する)というように吸収体シートの流れ(方
向)と電磁波偏波面との相対関係において吸収量が異な
る(以下「シート異方性」と呼ぶ)という大きな問題が
あった。この現象を別の角度から説明すると、電磁波吸
収体シートの誘電率が平行偏波と垂直偏波とでは大きく
異なるということになる。
に平行な時の方が電磁波の反射減衰量が大きい(即ち、
良く吸収する)というように吸収体シートの流れ(方
向)と電磁波偏波面との相対関係において吸収量が異な
る(以下「シート異方性」と呼ぶ)という大きな問題が
あった。この現象を別の角度から説明すると、電磁波吸
収体シートの誘電率が平行偏波と垂直偏波とでは大きく
異なるということになる。
【0008】前記「シート異方性」に関して、「Tet
uji Inuiら、1989 Internatio
nal symposium on Nagoya
p.775」の文献がある。その文献中、対象となる不
織布中に入っている金属繊維は、直径8μm、長さ40
mm、質量比0.3〜3wt%であり、この金属繊維が
原因で電磁波吸収量のシート異方性を引き起こしている
と考えられる。そのように、従来の電磁波吸収体シート
のいずれもが、受ける電磁波の偏波面が平行及び垂直の
両方に対し充分な電磁波吸収性能をえるための特別な設
計を必要とするという欠点を有するものとなっていて、
これまで、その欠点を解決することができなかった。
uji Inuiら、1989 Internatio
nal symposium on Nagoya
p.775」の文献がある。その文献中、対象となる不
織布中に入っている金属繊維は、直径8μm、長さ40
mm、質量比0.3〜3wt%であり、この金属繊維が
原因で電磁波吸収量のシート異方性を引き起こしている
と考えられる。そのように、従来の電磁波吸収体シート
のいずれもが、受ける電磁波の偏波面が平行及び垂直の
両方に対し充分な電磁波吸収性能をえるための特別な設
計を必要とするという欠点を有するものとなっていて、
これまで、その欠点を解決することができなかった。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】上記実情に鑑みてなさ
れたもので、従来の電磁波吸収体シートに金属繊維とし
て用いられている金属メッキ高分子繊維や冷間引き抜き
加工された金属繊維は「シート異方性」を有するので使
用せず、本発明においては「シート異方性」を解消する
のに有効な線材切削法により製作された切削金属繊維を
用いることによって、電磁波の偏波面が平行又は垂直に
かかわらず、主として3GHz(望ましくは1GHz)
以上の周波数域で10dB以上(70%減衰)の電磁波
吸収能が得られ、且つ低コストで製造できる電磁波吸収
シートを提供するものである。
れたもので、従来の電磁波吸収体シートに金属繊維とし
て用いられている金属メッキ高分子繊維や冷間引き抜き
加工された金属繊維は「シート異方性」を有するので使
用せず、本発明においては「シート異方性」を解消する
のに有効な線材切削法により製作された切削金属繊維を
用いることによって、電磁波の偏波面が平行又は垂直に
かかわらず、主として3GHz(望ましくは1GHz)
以上の周波数域で10dB以上(70%減衰)の電磁波
吸収能が得られ、且つ低コストで製造できる電磁波吸収
シートを提供するものである。
【0010】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するため
に、本発明は、金属線材を線材切削法で製作した不定形
横断面を成す切削金属繊維1と、繊維結合機能を有する
バインダー繊維2又はそのバインダー繊維2を含む単相
物又は混合複相物である非バインダー繊維3とを均一に
混合し、前記バインダー繊維2で繊維結合された不織布
4を、単層又は複層させて不織布層Aを形成する。そし
て、その不織布層Aの片面に電波反射性能を有する鉄、
アルミ、銅又はそれらの合金から成る金属面体5を直接
又は前記切削金属繊維1を含まない間隔保持充填材6を
介して張設して成る電磁波吸収シートである。
に、本発明は、金属線材を線材切削法で製作した不定形
横断面を成す切削金属繊維1と、繊維結合機能を有する
バインダー繊維2又はそのバインダー繊維2を含む単相
物又は混合複相物である非バインダー繊維3とを均一に
混合し、前記バインダー繊維2で繊維結合された不織布
4を、単層又は複層させて不織布層Aを形成する。そし
て、その不織布層Aの片面に電波反射性能を有する鉄、
アルミ、銅又はそれらの合金から成る金属面体5を直接
又は前記切削金属繊維1を含まない間隔保持充填材6を
介して張設して成る電磁波吸収シートである。
【0011】また、上記構成おいて、前記非バインダー
繊維3を、無機繊維及び/又は有機繊維とするものであ
る。
繊維3を、無機繊維及び/又は有機繊維とするものであ
る。
【0012】さらに、上記構成おいて、前記無機繊維
を、ガラス繊維及び/又はアルミナとシリカから成るセ
ラミック繊維とするものである。
を、ガラス繊維及び/又はアルミナとシリカから成るセ
ラミック繊維とするものである。
【0013】さらにまた、上記構成おいて、前記バイン
ダー繊維2の無機繊維に対する混合率を10〜40%と
し、可撓性を有することを特徴とするものである。
ダー繊維2の無機繊維に対する混合率を10〜40%と
し、可撓性を有することを特徴とするものである。
【0014】またさらに、上記構成おいて、前記切削金
属繊維1が、フェライト系ステンレス鋼、鉄又は銅で製
作され、その切削金属繊維1の太さが30〜50μmの
ものを中心に殆どが10〜70μm範囲内にあり、長さ
が10〜30mmのものを中心に1〜50mm範囲内に
あり、不織布層A中に前記切削金属繊維1が100本〜
500本/cm3含有されて成るものである。
属繊維1が、フェライト系ステンレス鋼、鉄又は銅で製
作され、その切削金属繊維1の太さが30〜50μmの
ものを中心に殆どが10〜70μm範囲内にあり、長さ
が10〜30mmのものを中心に1〜50mm範囲内に
あり、不織布層A中に前記切削金属繊維1が100本〜
500本/cm3含有されて成るものである。
【0015】また、上記構成おいて、前記金属面体5
を、金属板4a、金属箔4b又は金属網4cとするもの
である。
を、金属板4a、金属箔4b又は金属網4cとするもの
である。
【0016】さらに、上記構成おいて、前記不織布層A
の露出面の全体を高分子膜7で被覆し、その不織布層A
内への水の侵入を防止できるようにしたことを特徴とす
るものである。
の露出面の全体を高分子膜7で被覆し、その不織布層A
内への水の侵入を防止できるようにしたことを特徴とす
るものである。
【0017】
【発明の実施の形態】本発明の実施の形態を図で以下説
明する。本発明は、図1に示すように、金属線材を線材
切削法で製作した不定形横断面を成す切削金属繊維1
と、繊維結合機能を有するバインダー繊維2又はそのバ
インダー繊維2を含む単相物又は混合複相物である非バ
インダー繊維3とを均一に混合し、前記バインダー繊維
2で繊維結合された不織布4を、単層(図1に示す)又
は複層(図2に示す)させて不織布層Aを形成する。
明する。本発明は、図1に示すように、金属線材を線材
切削法で製作した不定形横断面を成す切削金属繊維1
と、繊維結合機能を有するバインダー繊維2又はそのバ
インダー繊維2を含む単相物又は混合複相物である非バ
インダー繊維3とを均一に混合し、前記バインダー繊維
2で繊維結合された不織布4を、単層(図1に示す)又
は複層(図2に示す)させて不織布層Aを形成する。
【0018】そして、その不織布層Aの片面に電波反射
性能を有する鉄、アルミ、銅又はそれらの合金から成る
金属面体5を直接(図1及び図2に示す)又は、図3に
示すように、前記切削金属繊維1を含まない間隔保持充
填材6を介して張設して電磁波吸収シートを構成する。
性能を有する鉄、アルミ、銅又はそれらの合金から成る
金属面体5を直接(図1及び図2に示す)又は、図3に
示すように、前記切削金属繊維1を含まない間隔保持充
填材6を介して張設して電磁波吸収シートを構成する。
【0019】前記金属面体5は、金属板4a、金属箔4
b又は金属網4cとする形態が可能である。
b又は金属網4cとする形態が可能である。
【0020】前記非バインダー繊維3としては、不織布
として適した無機繊維及び/又は有機繊維を用いること
ができる。そして、前記無機繊維としては、ガラス繊維
及び/又はアルミナとシリカから成るセラミック繊維が
使用できる。また、前記バインダー繊維2の無機繊維に
対する混合率を10〜40%とし、可撓性を持たせるこ
とができる。
として適した無機繊維及び/又は有機繊維を用いること
ができる。そして、前記無機繊維としては、ガラス繊維
及び/又はアルミナとシリカから成るセラミック繊維が
使用できる。また、前記バインダー繊維2の無機繊維に
対する混合率を10〜40%とし、可撓性を持たせるこ
とができる。
【0021】さらに、前記切削金属繊維1については、
フェライト系ステンレス鋼、鉄又は銅で製作される。そ
して、その切削金属繊維1の太さが30〜50μmのも
のを中心に殆どが10〜70μm範囲内にあり、長さが
10〜30mmのものを中心に1〜50mm範囲内にあ
り、不織布層A中に前記切削金属繊維1が100本〜5
00本/cm 3含有されて成るものが好ましい。
フェライト系ステンレス鋼、鉄又は銅で製作される。そ
して、その切削金属繊維1の太さが30〜50μmのも
のを中心に殆どが10〜70μm範囲内にあり、長さが
10〜30mmのものを中心に1〜50mm範囲内にあ
り、不織布層A中に前記切削金属繊維1が100本〜5
00本/cm 3含有されて成るものが好ましい。
【0022】また、不織布層Aの繊維間に水が直接侵入
することによって、誘電率が変化し、電磁波吸収性能が
低下するのを防止するために、図4に示すように、少な
くとも前記不織布層Aの露出面の全体を高分子膜7で被
覆する形態が可能である。そうすれば、濡れやすい条件
下に用いても、不織布層A内への水の侵入を防止しでき
て安定した性能が得られる。
することによって、誘電率が変化し、電磁波吸収性能が
低下するのを防止するために、図4に示すように、少な
くとも前記不織布層Aの露出面の全体を高分子膜7で被
覆する形態が可能である。そうすれば、濡れやすい条件
下に用いても、不織布層A内への水の侵入を防止しでき
て安定した性能が得られる。
【0023】これを、さらに具体的に、以下の実施例で
説明する。
説明する。
【0024】
【実施例1】図1に示す電磁波吸収シートについて性能
実験を行った。不織布層Aの切削金属繊維1は、長さが
300mmで、平均30μmのフェライト系ステンレス
鋼(SUS430)を、ガラス繊維(グラスウール)
と、そのガラス繊維に対して質量比30%の、繊維結合
機能を有するポリエステル繊維を含ませて不織布製造機
にかけて製造し、厚さ10mmで大きさ300mm角に
した不織布4を用いた。その不織布4の単位体積中に含
まれる繊維の本数は、80本数/CC、230本数/C
C、360本数/CC、550本数/CCの4種類のも
のを用意した。
実験を行った。不織布層Aの切削金属繊維1は、長さが
300mmで、平均30μmのフェライト系ステンレス
鋼(SUS430)を、ガラス繊維(グラスウール)
と、そのガラス繊維に対して質量比30%の、繊維結合
機能を有するポリエステル繊維を含ませて不織布製造機
にかけて製造し、厚さ10mmで大きさ300mm角に
した不織布4を用いた。その不織布4の単位体積中に含
まれる繊維の本数は、80本数/CC、230本数/C
C、360本数/CC、550本数/CCの4種類のも
のを用意した。
【0025】それら4種類の各不織布4の裏面にアルミ
箔を貼ったサンプルついて、電磁波吸収量を周波数1〜
18GHzにわたり反射電力法で測定した。そして、例
えば230本数/CCの場合において、平行偏波と垂直
偏波の電磁波吸収量(反射減衰量:単位dB)の計算結
果は図7に示すようであった。即ち、本発明に用いる不
織布4にはシート異方性が認められず、どちらの偏波に
対してもその吸収量に大きな差がないことがわかる。こ
れを誘電率で調べると、下記数式1のようになる。
箔を貼ったサンプルついて、電磁波吸収量を周波数1〜
18GHzにわたり反射電力法で測定した。そして、例
えば230本数/CCの場合において、平行偏波と垂直
偏波の電磁波吸収量(反射減衰量:単位dB)の計算結
果は図7に示すようであった。即ち、本発明に用いる不
織布4にはシート異方性が認められず、どちらの偏波に
対してもその吸収量に大きな差がないことがわかる。こ
れを誘電率で調べると、下記数式1のようになる。
【0026】
【数式1】
【0027】この数式1に示されているように、平行、
垂直いずれの場合も大差ないことでもわかる。なお、図
7に示されているように3〜4GHz以下では吸収量が
低下してくることが認められる。しかし、それ以上では
安定した良好な数値が示されている。そこで、本発明サ
ンプルの3〜18GHzの範囲における吸収量の平均レ
ベルを数値で表わした結果を、従来品のサンプルと比較
して下記表1に示す。
垂直いずれの場合も大差ないことでもわかる。なお、図
7に示されているように3〜4GHz以下では吸収量が
低下してくることが認められる。しかし、それ以上では
安定した良好な数値が示されている。そこで、本発明サ
ンプルの3〜18GHzの範囲における吸収量の平均レ
ベルを数値で表わした結果を、従来品のサンプルと比較
して下記表1に示す。
【0028】
【表1】
【0029】上記表1中で平行、垂直は偏波面がシート
製作時に不織布の流れとの関係を示している。この表1
に示されるように、本発明品でも繊維本数が80本数/
CC及び550本数/CCでは平行、垂直を問わず吸収
量は10dB以下であり、この本数では230本数/C
C及び360本数/CCの場合程の良い性能が得られて
いないことがわかる。また従来品では230本数/CC
及び360本数/CCのところで平行、垂直の差が著し
く現れており、シート異方性が顕著に認められる。
製作時に不織布の流れとの関係を示している。この表1
に示されるように、本発明品でも繊維本数が80本数/
CC及び550本数/CCでは平行、垂直を問わず吸収
量は10dB以下であり、この本数では230本数/C
C及び360本数/CCの場合程の良い性能が得られて
いないことがわかる。また従来品では230本数/CC
及び360本数/CCのところで平行、垂直の差が著し
く現れており、シート異方性が顕著に認められる。
【0030】本発明では、上記構成の電磁波吸収シート
において、用いられるグラスウールに替えてセラミック
繊維を用いたり、またグラスウールにセラミック繊維を
加えたりする各態様では、それ自体が難燃材、断熱材な
ので、難燃、断熱の機能を果たせることにもなる。ま
た、、難燃性、断熱性を必要としない場合には、前記切
削金属繊維1をポリエステル繊維のみか、また他の合成
繊維又は天然繊維と前記ポリエステル繊維とを混合した
ものでも良く、同様の電磁波吸収性能を得ることができ
る。
において、用いられるグラスウールに替えてセラミック
繊維を用いたり、またグラスウールにセラミック繊維を
加えたりする各態様では、それ自体が難燃材、断熱材な
ので、難燃、断熱の機能を果たせることにもなる。ま
た、、難燃性、断熱性を必要としない場合には、前記切
削金属繊維1をポリエステル繊維のみか、また他の合成
繊維又は天然繊維と前記ポリエステル繊維とを混合した
ものでも良く、同様の電磁波吸収性能を得ることができ
る。
【0031】
【実施例2】また、図1に示す電磁波吸収シートについ
て別の素材構成による性能実験を行った。不織布層A部
分の切削金属繊維1は、長さが300mmで、平均30
μmのフェライト系ステンレス鋼(SUS430)を質
量比10%と、アルミナとシリカから成るセラミック繊
維と、そのセラミック繊維に対して質量比20%の、繊
維結合機能を有するポリエステル繊維を含ませて不織布
製造機にかけて製造し、厚さ10mmで大きさ300m
m角にした不織布4を用いた。
て別の素材構成による性能実験を行った。不織布層A部
分の切削金属繊維1は、長さが300mmで、平均30
μmのフェライト系ステンレス鋼(SUS430)を質
量比10%と、アルミナとシリカから成るセラミック繊
維と、そのセラミック繊維に対して質量比20%の、繊
維結合機能を有するポリエステル繊維を含ませて不織布
製造機にかけて製造し、厚さ10mmで大きさ300m
m角にした不織布4を用いた。
【0032】この時、その不織布4中のステンレス製切
削金属繊維1の長さは1〜50mmにわたり、その本数
は320本/CCあった。そして、その不織布層Aの裏
側にアルミ箔を貼った。次に、周波数1〜18GHzに
わたり反射電力法で測定した。その結果、周波数帯域3
〜18GHzにおいて、12〜15dBの吸収量が測定
された。
削金属繊維1の長さは1〜50mmにわたり、その本数
は320本/CCあった。そして、その不織布層Aの裏
側にアルミ箔を貼った。次に、周波数1〜18GHzに
わたり反射電力法で測定した。その結果、周波数帯域3
〜18GHzにおいて、12〜15dBの吸収量が測定
された。
【0033】
【実施例3】さらに、図2に示す電磁波吸収シートにつ
いて性能実験を行った。不織布層A部分の切削金属繊維
1は、長さが300mmで平均30μmのフェライト系
ステンレス鋼(SUS430)を、ガラス繊維(グラス
ウール)と、そのガラス繊維に対して質量比20%の、
繊維結合機能を有するポリエステル繊維を含ませて不織
布製造機にかけて製造し、厚さ5mmで大きさ300m
m角にした不織布4を用いた。
いて性能実験を行った。不織布層A部分の切削金属繊維
1は、長さが300mmで平均30μmのフェライト系
ステンレス鋼(SUS430)を、ガラス繊維(グラス
ウール)と、そのガラス繊維に対して質量比20%の、
繊維結合機能を有するポリエステル繊維を含ませて不織
布製造機にかけて製造し、厚さ5mmで大きさ300m
m角にした不織布4を用いた。
【0034】前記切削金属繊維1は、前記不織布4の単
位体積中に含まれる量を、2.5%、5.0%、7.5
%の3種類のものを用意した。製造された不織布4中の
ステンレス製の切削金属繊維1は、長さが1〜50mm
に分布していた。また、含まれる本数は、それぞれ18
0本/CC、300本/CC、440本/CCであっ
た。
位体積中に含まれる量を、2.5%、5.0%、7.5
%の3種類のものを用意した。製造された不織布4中の
ステンレス製の切削金属繊維1は、長さが1〜50mm
に分布していた。また、含まれる本数は、それぞれ18
0本/CC、300本/CC、440本/CCであっ
た。
【0035】これらの不織布4を上から、180本/C
C、300本/CC、440本/CCの順に3層積層し
た不織布層Aの最下層の下面にアルミ箔を貼ったもの
(イ)と、その不織布4の順序をひっくり返して、上か
ら、440本/CC、300本/CC、180本/CC
の順に積層した不織布層Aの最下層の下面にアルミ箔を
貼ったもの(ロ)の2種類を製作した。そしてそれら2
種類(イ),(ロ)の電磁波吸収シートを、周波数1〜
18GHzにわたり反射電力法で測定した。
C、300本/CC、440本/CCの順に3層積層し
た不織布層Aの最下層の下面にアルミ箔を貼ったもの
(イ)と、その不織布4の順序をひっくり返して、上か
ら、440本/CC、300本/CC、180本/CC
の順に積層した不織布層Aの最下層の下面にアルミ箔を
貼ったもの(ロ)の2種類を製作した。そしてそれら2
種類(イ),(ロ)の電磁波吸収シートを、周波数1〜
18GHzにわたり反射電力法で測定した。
【0036】それら2種類(イ),(ロ)の測定結果
は、図10に示す(ロ)の切削金属繊維1がより多く含
まれる(440本/CC)層を上にして測定した値が2
5dBレベルで、図10に示す(イ)の切削金属繊維1
が比較的少ない(180本/CC)層を上にして測定し
た値が35dBレベルであった。このことから、異なる
密度の不織布4を複層させた場合には、表面側に密度が
低い不織布4を配置させた方がより優れた吸収能を得ら
れることがわかる。また、表面側に密度が高い不織布4
を配置させた方でも、図7で示す単層の場合のレベルを
上回っていた。即ち、不織布4が単層である場合(図7
に示す)よりも、異なる密度の不織布4を複層させた場
合(図10に示す(イ)及び(ロ))の方がより優れた
吸収能を得られることがわかる。
は、図10に示す(ロ)の切削金属繊維1がより多く含
まれる(440本/CC)層を上にして測定した値が2
5dBレベルで、図10に示す(イ)の切削金属繊維1
が比較的少ない(180本/CC)層を上にして測定し
た値が35dBレベルであった。このことから、異なる
密度の不織布4を複層させた場合には、表面側に密度が
低い不織布4を配置させた方がより優れた吸収能を得ら
れることがわかる。また、表面側に密度が高い不織布4
を配置させた方でも、図7で示す単層の場合のレベルを
上回っていた。即ち、不織布4が単層である場合(図7
に示す)よりも、異なる密度の不織布4を複層させた場
合(図10に示す(イ)及び(ロ))の方がより優れた
吸収能を得られることがわかる。
【0037】
【実施例4】また、図3に示す電磁波吸収シートについ
て性能実験を行った。本実施例では、抵抗膜型吸収体と
して知られている1/4λ構造の吸収体を作る目的で、
長さが1〜50mmに分布しているステンレス製の切削
金属繊維1を、不織布層A中に400本/CCで混入
し、ガラス繊維(グラスウール)と、そのガラス繊維
に、繊維結合機能を有するポリエステル繊維を含ませて
不織布製造機にかけて製造した厚さ1.5mmの不織布
シートを用いた。
て性能実験を行った。本実施例では、抵抗膜型吸収体と
して知られている1/4λ構造の吸収体を作る目的で、
長さが1〜50mmに分布しているステンレス製の切削
金属繊維1を、不織布層A中に400本/CCで混入
し、ガラス繊維(グラスウール)と、そのガラス繊維
に、繊維結合機能を有するポリエステル繊維を含ませて
不織布製造機にかけて製造した厚さ1.5mmの不織布
シートを用いた。
【0038】そして、その下面に厚さ7.5mmの切削
金属繊維を含ませずにガラス繊維にポリエステル繊維を
含ませた間隔保持充填材6の不織布シートを貼って、さ
らにその下面にアルミ箔を貼って複合化した電磁波吸収
シートを作成した。そして前記1.5mm厚の不織布層
Aを上にして、周波数1〜10GHzにわたり反射電力
法で測定した。その結果、図11に示すように周波数
9.5GHz近傍において、40dB以上の吸収量が測
定された。
金属繊維を含ませずにガラス繊維にポリエステル繊維を
含ませた間隔保持充填材6の不織布シートを貼って、さ
らにその下面にアルミ箔を貼って複合化した電磁波吸収
シートを作成した。そして前記1.5mm厚の不織布層
Aを上にして、周波数1〜10GHzにわたり反射電力
法で測定した。その結果、図11に示すように周波数
9.5GHz近傍において、40dB以上の吸収量が測
定された。
【0039】
【発明の作用】本発明に用いる切削金属繊維1は、円形
断面を有する金属線の表面を微細な溝の着いた刃物で、
線軸にある角度で刃物を当て、線軸方向に平行に連続し
て削って行くことにより、連続的に削り出されるもので
ある。その切削金属繊維1の横断面は刃物の溝形状や切
削条件により変化し様々な形状即ち異形(不定形)を呈
している。
断面を有する金属線の表面を微細な溝の着いた刃物で、
線軸にある角度で刃物を当て、線軸方向に平行に連続し
て削って行くことにより、連続的に削り出されるもので
ある。その切削金属繊維1の横断面は刃物の溝形状や切
削条件により変化し様々な形状即ち異形(不定形)を呈
している。
【0040】図9は、ステンレス鋼繊維(材質:SUS
430)の切削金属繊維1の横断面を示すものである。
この断面異形に加えて、切削加工された繊維の1本づづ
にはそれぞれに加工時のせん断加工歪みがあるため、全
て繊維に直線性はなく、様々な曲がり方している。そし
て、隣り合ったそれらの繊維同士が絡み合っている状態
がしばしば見られることになる。このような状態を有す
る金属繊維は、従来の吸収体に使用されている繊維には
全く見られないものであり、これが上述の電磁波吸収量
におけるシート異方性を改善するための大きな要因とな
るのである。本発明における切削金属繊維1として用い
られる金属は、鉄、非鉄を問わず導電性を有し、且つ線
状に加工でき、且つその線が刃物で切削できるものが該
当する。
430)の切削金属繊維1の横断面を示すものである。
この断面異形に加えて、切削加工された繊維の1本づづ
にはそれぞれに加工時のせん断加工歪みがあるため、全
て繊維に直線性はなく、様々な曲がり方している。そし
て、隣り合ったそれらの繊維同士が絡み合っている状態
がしばしば見られることになる。このような状態を有す
る金属繊維は、従来の吸収体に使用されている繊維には
全く見られないものであり、これが上述の電磁波吸収量
におけるシート異方性を改善するための大きな要因とな
るのである。本発明における切削金属繊維1として用い
られる金属は、鉄、非鉄を問わず導電性を有し、且つ線
状に加工でき、且つその線が刃物で切削できるものが該
当する。
【0041】そこで、このような切削金属繊維1を非バ
インダー繊維3の主体となるガラス繊維(グラスウー
ル)などの無機繊維や、繊維結合機能を有する有機バイ
ンダー繊維2とともに不織布製造機に供給すると、切削
金属繊維1は上記不定形状のため不織布製造機内を通過
中に千切られて成形されていく。
インダー繊維3の主体となるガラス繊維(グラスウー
ル)などの無機繊維や、繊維結合機能を有する有機バイ
ンダー繊維2とともに不織布製造機に供給すると、切削
金属繊維1は上記不定形状のため不織布製造機内を通過
中に千切られて成形されていく。
【0042】即ち、不織布製造機内通過時の製造条件に
応じて、最初に供給された長い切削金属繊維が分断さ
れ、その分断された切削金属繊維の長さがある分布を呈
するようになるとともに、不織布中における空間的分布
も製造時の不織布シートの流れ方向とは無関係にランダ
ム分布する。そして、分断された切削金属繊維のうち長
さが1mm以下のものは不織布シート製造時に絡まるこ
とができずに落下し、また、その長さが50mm以上の
ものはプレス成形により圧迫されて千切れてしまい存在
する確率が極めて低くなる。
応じて、最初に供給された長い切削金属繊維が分断さ
れ、その分断された切削金属繊維の長さがある分布を呈
するようになるとともに、不織布中における空間的分布
も製造時の不織布シートの流れ方向とは無関係にランダ
ム分布する。そして、分断された切削金属繊維のうち長
さが1mm以下のものは不織布シート製造時に絡まるこ
とができずに落下し、また、その長さが50mm以上の
ものはプレス成形により圧迫されて千切れてしまい存在
する確率が極めて低くなる。
【0043】そして、例えば、平均300mm長さの切
削ステンレス鋼繊維(材質:SUS430)をガラス繊
維(グラスウール)とともに不織布製造機に供給し、あ
る条件下で不織布を製造したときのステンレス繊維の長
さ分布と不織布中での分散の状況を見ると、図6に示す
通りである。この図6ではステンレス繊維が分断され
て、かなり短くなっていることがわかる。
削ステンレス鋼繊維(材質:SUS430)をガラス繊
維(グラスウール)とともに不織布製造機に供給し、あ
る条件下で不織布を製造したときのステンレス繊維の長
さ分布と不織布中での分散の状況を見ると、図6に示す
通りである。この図6ではステンレス繊維が分断され
て、かなり短くなっていることがわかる。
【0044】切削ステンレス繊維が分断され短くなって
いるということは、その分本数が増加していることを意
味する。一定体積の不織布シート中に入っている切削ス
テンレス繊維の本数を見るために、その不織布シートを
X線透過写真で撮影した。その写真図5に示されるよう
に、切削ステンレス繊維は不織布シートの製造方向とは
無関係に曲がりくねって分散している様子がわかる。
いるということは、その分本数が増加していることを意
味する。一定体積の不織布シート中に入っている切削ス
テンレス繊維の本数を見るために、その不織布シートを
X線透過写真で撮影した。その写真図5に示されるよう
に、切削ステンレス繊維は不織布シートの製造方向とは
無関係に曲がりくねって分散している様子がわかる。
【0045】本発明では、不織布A中の切削金属繊維1
について、良好な電波吸収能を示すときのその本数、長
さ、繊維径などを示しているが、その測定方法について
以下説明する。まず、繊維径の測定については、これら
の繊維を垂直に立てて樹脂に埋め込み、これを固めた
後、繊維に垂直な面を切断研磨し、この面を顕微鏡で拡
大して観察した。
について、良好な電波吸収能を示すときのその本数、長
さ、繊維径などを示しているが、その測定方法について
以下説明する。まず、繊維径の測定については、これら
の繊維を垂直に立てて樹脂に埋め込み、これを固めた
後、繊維に垂直な面を切断研磨し、この面を顕微鏡で拡
大して観察した。
【0046】ステンレス鋼繊維(材質:SUS430)
の、図8は線の長さ方向、図9は線の輪切り方向で切断
したときの断面の顕微鏡写真図である。その繊維径は、
その写真図である図9から、各ファイバー断面の長径と
短径の平均を繊維径としn=30で算術平均した。ま
た、長さと本数は不織布形成直後の一定領域中に含まれ
る繊維をすべて抜き取って本数を数えて測定した。
の、図8は線の長さ方向、図9は線の輪切り方向で切断
したときの断面の顕微鏡写真図である。その繊維径は、
その写真図である図9から、各ファイバー断面の長径と
短径の平均を繊維径としn=30で算術平均した。ま
た、長さと本数は不織布形成直後の一定領域中に含まれ
る繊維をすべて抜き取って本数を数えて測定した。
【0047】その結果、本数は上記実施例でも示すよう
に、100本以下または500本以上になると、吸収性
能が低下することから、これらを上下限とした。次に、
製作した電磁波吸収シートの吸収量の測定は、電波暗室
内で反射電力法を用いて行い、電波吸収体に直接電波を
送信し、これからの反射レベルを測定した後、これと幾
何学的に同面積の金属板からの反射レベルを同様に測定
し、両者の比から吸収量を測定した。なお、測定値と吸
収量との関係は次の数式2に示す通りである。
に、100本以下または500本以上になると、吸収性
能が低下することから、これらを上下限とした。次に、
製作した電磁波吸収シートの吸収量の測定は、電波暗室
内で反射電力法を用いて行い、電波吸収体に直接電波を
送信し、これからの反射レベルを測定した後、これと幾
何学的に同面積の金属板からの反射レベルを同様に測定
し、両者の比から吸収量を測定した。なお、測定値と吸
収量との関係は次の数式2に示す通りである。
【0048】
【数式2】
【0049】本発明で使用される切削金属繊維1の太さ
は、以下の理由により限定した。即ち、太さは平均径1
0μm以下になると不織布製造中に粉砕されて落下して
しまう。また70μm以上になると切削金属繊維1が不
織布製造工程中に千切れにくくなり、長さの分布が一様
ではなくなるためこれを使用する上限とした。
は、以下の理由により限定した。即ち、太さは平均径1
0μm以下になると不織布製造中に粉砕されて落下して
しまう。また70μm以上になると切削金属繊維1が不
織布製造工程中に千切れにくくなり、長さの分布が一様
ではなくなるためこれを使用する上限とした。
【0050】次に、、繊維結合機能を有する合成樹脂製
のバインダー繊維2と電磁波吸収シートの可撓性との関
係について説明する。電磁波吸収シートの可撓性につい
ては、10mm厚の吸収シートを幅20mmの帯状に切断
し、これを直径100mmの丸棒に巻き付けた時、電磁波
吸収シートが折れずに巻き付けできるがどうかで可撓性
の有無を判断した。
のバインダー繊維2と電磁波吸収シートの可撓性との関
係について説明する。電磁波吸収シートの可撓性につい
ては、10mm厚の吸収シートを幅20mmの帯状に切断
し、これを直径100mmの丸棒に巻き付けた時、電磁波
吸収シートが折れずに巻き付けできるがどうかで可撓性
の有無を判断した。
【0051】バインダー繊維2としては、代表的なもの
として、繊維結合機能を有するポリエステル繊維を用い
たが、電磁波吸収シート内にあって加熱されると溶け、
その周囲の切削金属繊維1や無機繊維、有機繊維などの
非バインダー繊維3とを接着結合させる。したがって、
その量が少ない場合には不織布シートの厚さが定まら
ず、得たい一定の厚さを得ることができない。また多す
ぎると不織布シートの柔軟性が損なわれて曲げにくくな
る。このため、上記の簡易な丸棒巻付けテストでの試験
結果に基づいて、可撓性を保持するためにバインダー繊
維2の無機繊維に対する混合率を10〜40%とした。
として、繊維結合機能を有するポリエステル繊維を用い
たが、電磁波吸収シート内にあって加熱されると溶け、
その周囲の切削金属繊維1や無機繊維、有機繊維などの
非バインダー繊維3とを接着結合させる。したがって、
その量が少ない場合には不織布シートの厚さが定まら
ず、得たい一定の厚さを得ることができない。また多す
ぎると不織布シートの柔軟性が損なわれて曲げにくくな
る。このため、上記の簡易な丸棒巻付けテストでの試験
結果に基づいて、可撓性を保持するためにバインダー繊
維2の無機繊維に対する混合率を10〜40%とした。
【0052】
【発明の効果】本発明は以上のようで、線材切削法によ
り製作された切削金属繊維1を用いた電磁波吸収シート
によって、従来の金属繊維に備わる「シート異方性」を
解消し、電磁波の偏波面が平行又は垂直にかかわらず、
各種電子機器から発せられる主として3GHz以上(望
ましくは1GHz以上)の周波数域の電磁波を10dB
以上(70%減衰)吸収することによって、電子機器の
制御や性能を電磁波から保護するとともに、人々の一般
生活への電磁波の影響を有効に防ぐことができるように
なった。
り製作された切削金属繊維1を用いた電磁波吸収シート
によって、従来の金属繊維に備わる「シート異方性」を
解消し、電磁波の偏波面が平行又は垂直にかかわらず、
各種電子機器から発せられる主として3GHz以上(望
ましくは1GHz以上)の周波数域の電磁波を10dB
以上(70%減衰)吸収することによって、電子機器の
制御や性能を電磁波から保護するとともに、人々の一般
生活への電磁波の影響を有効に防ぐことができるように
なった。
【0053】また、従来の電磁波吸収体体シートは、そ
の製造工程が複雑なので高価であったが、それに比べる
と本発明の製造工程は単純であり、その分低コストで製
造できるので、吸収性能の優れた電磁波吸収シートを低
価格で提供することが可能となった。
の製造工程が複雑なので高価であったが、それに比べる
と本発明の製造工程は単純であり、その分低コストで製
造できるので、吸収性能の優れた電磁波吸収シートを低
価格で提供することが可能となった。
【図1】本発明の断面構成を示す縦断斜視図。
【図2】不織布を複数積層した形態の断面構成を示す縦
断斜視図。
断斜視図。
【図3】不織布と金属面体との間に間隔保持充填材を積
層した形態の断面構成を示す縦断斜視図。
層した形態の断面構成を示す縦断斜視図。
【図4】高分子膜で被覆した形態の斜視図。
【図5】不織布の表面からのX線透過写真図。
【図6】切削金属繊維長さの偏差分布グラフ図。
【図7】切削金属繊維230本/CCの場合の電磁波吸
収シートにおける、周波数に対する吸収量のグラフ図。
収シートにおける、周波数に対する吸収量のグラフ図。
【図8】切削金属繊維の長さ方向で切断したときの形状
を示す写真図。
を示す写真図。
【図9】切削金属繊維の輪切り方向で切断したときの形
状を示す写真図。
状を示す写真図。
【図10】実施例3の3種類の不織布を積層した場合に
おける、上下側からの周波数に対する吸収量の比較グラ
フ図。
おける、上下側からの周波数に対する吸収量の比較グラ
フ図。
【図11】実施例4の電磁波吸収シートにおける周波数
に対する吸収量のグラフ図。
に対する吸収量のグラフ図。
1 切削金属繊維 2 バインダー繊維 3 非バインダー繊維 4 不織布 5 金属面体 5a 金属板 5b 金属箔 5c 金属網 6 間隔保持充填材 7 高分子膜 A 不織布層
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) D04H 1/54 D04H 1/54 B (71)出願人 591236378 関東鋼線株式会社 栃木県宇都宮市西川田南2丁目5番12号 (72)発明者 松村 和仁 栃木県宇都宮市若草2丁目1番12号若草第 2住宅1−8 (72)発明者 吉田 健一 大阪府大阪市此花区島屋一丁目1番3号住 友電気工業株式会社大阪製作所内 (72)発明者 岩井 通 大阪府大阪市此花区島屋一丁目1番3号住 友電気工業株式会社大阪製作所内 (72)発明者 中田 秀一 栃木県宇都宮市西川田南2丁目5番12号関 東鋼線株式会社内 (72)発明者 吉沢 聖人 栃木県宇都宮市西川田南2丁目5番12号関 東鋼線株式会社内 Fターム(参考) 4F100 AA19A AA19B AA20A AA20B AB01A AB01B AB02C AB04A AB04B AB10C AB17A AB17B AB17C AB31C AB33C AG00A AG00B AK01A AK01B AK01E AK41 AS00D BA02 BA03 BA04 BA05 BA07 BA10A BA10C BA10E BA13 DC16C DD32 DG15A DG15B DG18A DG18B GB41 JA13A JA13B JD05E JD08 JG10C JK17A JK17B YY00A YY00B 4L047 AA02 AA04 AA05 AA21 AA28 AB02 AB09 BA09 BB06 CA05 CA07 CC03 CC16 5E321 AA23 BB25 BB33 BB34 BB41 GG11
Claims (7)
- 【請求項1】 金属線材を線材切削法で製作した不定形
横断面を成す切削金属繊維(1)と、繊維結合機能を有
するバインダー繊維(2)又はそのバインダー繊維
(2)を含む単相物又は混合複相物である非バインダー
繊維(3)とを均一に混合し、前記バインダー繊維
(2)で繊維結合された不織布(4)を、単層又は複層
させて不織布層(A)を形成し、その不織布層(A)の
片面に電波反射性能を有する鉄、アルミ、銅又はそれら
の合金から成る金属面体(5)を直接又は前記切削金属
繊維(1)を含まない間隔保持充填材(6)を介して張
設して成る電磁波吸収シート。 - 【請求項2】 非バインダー繊維(3)が、無機繊維及
び/又は有機繊維である請求項1記載の電磁波吸収シー
ト。 - 【請求項3】 無機繊維が、ガラス繊維及び/又はアル
ミナとシリカから成るセラミック繊維である請求項2記
載の電磁波吸収シート。 - 【請求項4】 バインダー繊維(2)の無機繊維に対す
る混合率を10〜40%とし、可撓性を有することを特
徴とする請求項3記載の電磁波吸収シート。 - 【請求項5】 切削金属繊維(1)が、フェライト系ス
テンレス鋼、鉄又は銅で製作され、その切削金属繊維
(1)の太さが30〜50μmのものを中心に殆どが1
0〜70μm範囲内にあり、長さが10〜30mmのも
のを中心に1〜50mm範囲内にあり、不織布層(A)
中に前記切削金属繊維(1)が100本〜500本/c
m3含有されて成る請求項1乃至4のうちいずれか一項
記載の電磁波吸収シート。 - 【請求項6】 金属面体(5)が、金属板(4a)、金
属箔(4b)又は金属網(4c)である請求項1乃至5
のうちいずれか一項記載の電磁波吸収シート。 - 【請求項7】 不織布層(A)の露出面の全体を高分子
膜(7)で被覆し、その不織布層(A)内への水の侵入
を防止できるようにしたことを特徴とする請求項1乃至
6のうちいずれか一項記載の電磁波吸収シート。
Priority Applications (2)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2000072205A JP2001267783A (ja) | 2000-03-15 | 2000-03-15 | 電磁波吸収シート |
US10/117,092 US6521829B2 (en) | 1999-03-25 | 2002-04-08 | Electromagnetic wave absorbing sheet |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2000072205A JP2001267783A (ja) | 2000-03-15 | 2000-03-15 | 電磁波吸収シート |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2001267783A true JP2001267783A (ja) | 2001-09-28 |
Family
ID=18590663
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2000072205A Pending JP2001267783A (ja) | 1999-03-25 | 2000-03-15 | 電磁波吸収シート |
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Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2001267783A (ja) |
Cited By (6)
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---|---|---|---|---|
WO2004084602A1 (ja) * | 2003-03-20 | 2004-09-30 | Nippon Muki Co., Ltd. | 電磁波吸収材およびその製造方法 |
JP2017112133A (ja) * | 2015-12-14 | 2017-06-22 | 三菱電線工業株式会社 | 電波吸収体及びその製造方法 |
JP2017157697A (ja) * | 2016-03-02 | 2017-09-07 | 株式会社巴川製紙所 | 断熱および電磁波遮蔽用複合シート、並びにその利用 |
CN107745557A (zh) * | 2017-10-20 | 2018-03-02 | 南京大学 | 一种防隔热/吸波一体化结构材料及其制备方法 |
KR20190094035A (ko) * | 2018-02-02 | 2019-08-12 | 이정석 | 전자파 차폐보드 |
US11958308B1 (en) | 2023-05-31 | 2024-04-16 | G13 Innovation In Production Ltd | Thermal paper, and methods and systems for forming the same |
-
2000
- 2000-03-15 JP JP2000072205A patent/JP2001267783A/ja active Pending
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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JP2017157697A (ja) * | 2016-03-02 | 2017-09-07 | 株式会社巴川製紙所 | 断熱および電磁波遮蔽用複合シート、並びにその利用 |
CN107745557A (zh) * | 2017-10-20 | 2018-03-02 | 南京大学 | 一种防隔热/吸波一体化结构材料及其制备方法 |
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