JP4783034B2 - 空調用伸縮性フレキシブルダクト - Google Patents
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Description
しかし、(イ)のプラスチック製のフレキシブルダクトは、プラスチック製のため、熱に弱く、不燃性が得られないという問題がある。
(ロ)のダクトは、ややもすると、ダクトを伸ばしたり屈曲したりするとき、端縁の接合部分(ハゼ部分)に力がかかって該部分が外れてしまい、破損することがある。特許文献1には、このような不都合を考慮し、フレキシブルダクトを折り曲げても合わせ目が外れたりしないような曲げに強いものにするため、波形にロールホーミングした金属薄板を、螺旋状に巻回して筒状に形成した空調設備に使用するフレキシブルダクトにおいて、螺旋状に巻回した金属薄板の合わせ目を固着樹脂層を介在させてシームしたことを特徴とするフレキシブルダクトが記載されている。しかし、縮めた状態のダクトを伸ばす際、相当の力が必要であるため、取扱が容易とはいえず、また、重量が重いという問題がある。
空気調和・換気のための空気を通す管状路が内部に形成された、チューブ形状の管本体と、該管本体のチューブ形状を保持するための不燃性の補強部材とによって構成されてなるフレキシブルダクトであって、
前記管本体は、金属箔層と合成樹脂層とを備えた可撓性を有する、所定幅の基材フィルム又はシートをその縁部分が重なり合うように螺旋状に巻き回されて形成されるとともに、その重なり合う部分の前記管本体の外面に、前記補強部材が、螺旋状に形成されて直接に固定されることにより、前記管本体と前記補強部材とが一体化され、
前記補強部材は、ほぼ断面C字状の金属製連続性薄板により形成され、
前記管本体は、所定幅の基材フィルム又はシートの縁部分が重なり合うように螺旋状に巻き回されて形成され、この重なり合う部分において、前記補強部材のC字部分内に基材フィルム又はシートが挟み込まれるとともに、さらに該基材フィルム又はシートの内面側から前記補強部材のC字部分内に線部材が挿入されており、
かつ
前記合成樹脂層その他の有機化合物の総質量が180g/m2 以下であって、かつ前記管本体を形成する前記基材フィルム又はシートの総厚さは9mm以下であり、かつ
前記金属箔層の厚さが0.015〜0.1mm、前記合成樹脂層の総厚さが0.015〜0.5mmである空調用伸縮性フレキシブルダクトである。
(2) 請求項2に係るダクトは、
空気調和・換気のための空気を通す管状路が内部に形成された、チューブ形状の管本体と、該管本体のチューブ形状を保持するための不燃性の補強部材とによって構成されてなるフレキシブルダクトであって、
前記管本体は、金属箔層と合成樹脂層とを備えた可撓性を有する、所定幅の基材フィルム又はシートをその縁部分が重なり合うように螺旋状に巻き回されて形成されるとともに、その重なり合う部分の前記管本体の外面に、前記補強部材が、螺旋状に形成されて直接に固定されることにより、前記管本体と前記補強部材とが一体化され、
前記補強部材は、ほぼ断面C字状の金属製連続性薄板により形成され、
前記管本体は、全体として、所定幅の基材フィルム又はシートの縁部分が重なり合うように巻き回されて形成され、かつ所定幅の基材フィルム又はシートの一方の縁部分が線部材をくるんで外面に折り返され、折り返し部分を形成しており、この折り返し部分の上に、基材フィルム又はシートの他方の縁部分が重ね合わせられて、螺旋状に巻き回されており、縁部分が重ね合わせられた状態で、基材フィルム又はシートと線部材とが、前記補強部材のC字部分内に挟み込まれており、
かつ
前記合成樹脂層その他の有機化合物の総質量が180g/m2 以下であって、かつ前記管本体を形成する前記基材フィルム又はシートの総厚さは9mm以下であり、かつ
前記金属箔層の厚さが0.015〜0.1mm、前記合成樹脂層の総厚さが0.015〜0.5mmである空調用伸縮性フレキシブルダクトである。
前記合成樹脂層その他の有機化合物の総質量が180g/m2 以下であって、かつ前記基材フィルム又はシートの総厚さは9mm以下であるものとすることにより、きわめて良好な不燃性が得られ、かつ肉薄で強度及び伸縮性が確実に得られる。
また、金属箔層の厚さが0.015〜0.1mm、合成樹脂層の総厚さが0.015〜0.5mmである構成により、全体として肉薄ながら強度及び伸縮性が確実に得られるとともに、耐熱性に優れ、不燃性ダクトとしての使用が可能である。
また、請求項1に係るダクトでは、前記補強部材は、ほぼ断面C字状の金属製連続性薄板により形成され、前記管本体は、所定幅の基材フィルム又はシートの縁部分が重なり合うように螺旋状に巻き回されて形成され、この重なり合う部分において、前記補強部材のC字部分内に基材フィルム又はシートが挟み込まれるとともに、さらに該基材フィルム又はシートの内面側から前記補強部材のC字部分内に線部材が挿入されている構成により、簡単かつ確実に、また経済的にダクトを製造することができる。そして、接着剤を用いることなく、金属製連続性薄板により形成された補強部材が基材フィルム又はシートに確実に固定されるため、良好な不燃性を得ることができる。
また、請求項2に係るダクトでは、前記補強部材は、ほぼ断面C字状の金属製連続性薄板により形成され、前記管本体は、全体として、所定幅の基材フィルム又はシートの縁部分が重なり合うように巻き回されて形成され、かつ所定幅の基材フィルム又はシートの一方の縁部分が線部材をくるんで外面に折り返され、折り返し部分を形成しており、この折り返し部分の上に、基材フィルム又はシートの他方の縁部分が重ね合わせられて、螺旋状に巻き回されており、縁部分が重ね合わせられた状態で、基材フィルム又はシートと線部材とが、前記補強部材のC字部分内に挟み込まれている構成により、簡単かつ確実に、また経済的にダクトを製造することができる。そして、接着剤を用いることなく、金属製連続性薄板により形成された補強部材が基材フィルム又はシートに確実に固定されるため、良好な不燃性を得ることができる。加えて、管本体の内面に突出片がないため、風切り音やばたつきによる音の発生もなく、かつ空気抵抗も小さくすることができるという利点を有する。
基材フィルム又はシート10の構成例を図2に示す。
図2(a)は金属箔層12と合成樹脂層11の2層で構成されている例、図2(b)は無機繊維層13と合成樹脂層11の2層で構成されている例、図2(c)は金属箔層12とその両側に積層された合成樹脂層11,11の2層の計3層で構成されている例、図2(d)は金属箔層12と合成樹脂層11とさらに繊維材層14とで構成されている例を示す。図2(a)(b)(d)の各場合において、合成樹脂層11を管本体2の内面、外面をいずれの側とするかは任意である。図2(e)は図2(d)の変形例で、金属箔層12と合成樹脂層11a,11c(,11b)と繊維材層14とで構成されている例を示す。上記各層を総合した基材フィルム又はシートの総厚さは9mm以下とすることが好ましい。
金属箔層12は、アルミニウム箔、鉄箔、ステンレススチール箔等により形成される。アルミニウム箔層が加工性、経済性の面で好ましい。アルミニウム箔層による場合、その厚さは0.015〜0.1mmの範囲が好ましい。0.015mm以上の厚さを有することにより、十分な耐熱性が得られる。これより薄いと、耐熱性が不十分となり、また厚すぎると伸縮性が不良となりやすい。鉄箔、ステンレススチール箔による場合、0.01〜0.05mmの範囲が好ましい。
金属箔層12又は無機繊維層13と、合成樹脂層11との積層は、通常、各層同士を貼着して積層するが、必ずしも各層同士が貼り付けられていなくてもよい。
この繊維材層14は、ガラス繊維クロス、ガラス繊維糸、合成樹脂織布・不織布その他の繊維(好ましくは無機繊維)により形成され、繊維材層14の厚さは、好ましくは0.1〜8mmとする。
図2(d)の変形例である図2(e)に示す基材フィルム又はシート10は、金属箔層12と合成樹脂層11a,11c(,11b)と繊維材層14とで構成されている。この例では、最外面から合成樹脂(好ましくはポリエチレン)層11a、金属箔(好ましくはアルミニウム箔)層12、繊維材層(好ましくは目の粗い、網目状の薄いガラス繊維層)14、合成樹脂(好ましくはポリエステル)層11cで形成されている。繊維材層14と合成樹脂層11cとの間には接着層としての合成樹脂(好ましくはポリエチレン)層11bが介在している。最外層の合成樹脂層11aは、金属箔層12を損傷等から保護する。繊維材層14は、補強用のもので引裂強度等を向上させる。最内層の合成樹脂層11cは、繊維材層14を保護し、ダクトの流通路面を平滑にする。
本発明に係るダクトは、前記した従来公知の波形の金属薄板による金属製フレキシブルダクトに代わる不燃性のダクト(特に排気用ダクト)として好適に用いられ、また、基材フィルム又はシート10の外側に断熱保温層を巻き回して設けるものではなく、螺旋状の鋼線の外側にグラスウール等の肉厚な断熱保温材を巻いた従来公知のフレキシブルダクトとも構成が大きく異なり、圧縮率も高く、伸縮性、屈曲性、取扱性等もより優れるものである。
補強部材30は、好ましくは、ほぼ断面C字状の、亜鉛めっき鋼板、鉄等の金属製連続性薄板により形成され、このC字部分内に基材フィルム又はシートが挟み込まれることによって、基材フィルム又はシート10に直接に固定され、一体化される。つまり、補強部材30は、管本体2のチューブ形状を保持するとともに、そのC字部分が基材フィルム又はシート10への取付部分として機能している。補強部材30は、例えば厚さ0.3〜1.5mm程度、幅4〜7mm程度に形成される。
線部材20がC字部分内に挿入され、係止されることにより、補強部材30が基材フィルム又はシート10をしっかりと噛み、補強部材30が基材フィルム又はシート10から外れにくくなる。線部材20は、通常、鉄線、亜鉛めっき鋼線等、弾性を有する金属材あるいはナイロンその他の合成樹脂材により構成される。その太さは、0.3〜1.5mm程度である。
補強部材30の管本体2への固定方法は、所定幅の基材フィルム又はシート10の縁部分を重なり合うように螺旋状に巻き回すとともに、この重なり合う部分の内面に、線部材20を同様に螺旋状に位置させつつ、基材フィルム又はシート10の重なり合う部分と線部材20とを一緒に外側から包む状態で、断面C字状の補強部材30を螺旋状に巻きつつC字部分の中に挟み込む。これにより、補強部材30は、基材フィルム又はシート10と一体化されて強固に固定される。
図3に示すものは、所定幅の基材フィルム又はシート10の縁部分が重なり合う部分において、内面側にある縁部分10bが管本体の内側にヒレ状に突出するのに対し、図4に示すものは、このようなヒレ状の突出がないため、風切り音が生じたり、ヒレ状の縁部分が揺れてばたついて音が生じることがなく、空気抵抗も小さくすることができるという利点を有する。
図4に示す例における補強部材30の管本体2への固定方法は、所定幅の基材フィルム又はシート10の一方の縁部分に線部材20を位置させて、この線部材20をくるんで一方の縁部分を外面に折り返し、折り返し部分10aを形成する。そして、この折り返し部分10aの上(外面)に、基材フィルム又はシート10の他方の縁部分を重ね合わせて螺旋状に巻き回しつつ、縁部分が重ね合わせられた状態で、重ね合わされた基材フィルム又はシート10と線部材20とを一緒に外側から包む状態で、断面C字状の補強部材30を螺旋状に巻きつつC字部分の中に挟み込む。これにより、補強部材30は、基材フィルム又はシート10と一体化されて強固に固定される。
該構成を備えた空調用伸縮性フレキシブルダクトについて、財団法人日本建築総合試験所の発熱性試験(該財団が制定した「防耐火性能試験・評価業務方法書」“4.10 不燃性能試験・評価方法”に従って実施)に供したところ、(イ)加熱開始後20分間の総発熱量が、8MJ/m2 以下、(ロ)加熱開始後20分間、防火上有害な裏面まで貫通する亀裂及び穴がない、(ハ)加熱開始後20分間、最高発熱速度が、10秒以上継続して200kW/m2 を超えない、という3要件を満たす結果が得られ、建築基準法上の不燃性試験の合格基準を満たしていることが確認された。
2 管本体
10 基材フィルム又はシート
11 合成樹脂層
12 金属箔層
13 無機繊維層
14 繊維材層
20 線部材
30 補強部材
Claims (2)
- 空気調和・換気のための空気を通す管状路が内部に形成された、チューブ形状の管本体と、該管本体のチューブ形状を保持するための不燃性の補強部材とによって構成されてなるフレキシブルダクトであって、
前記管本体は、金属箔層と合成樹脂層とを備えた可撓性を有する、所定幅の基材フィルム又はシートをその縁部分が重なり合うように螺旋状に巻き回されて形成されるとともに、その重なり合う部分の前記管本体の外面に、前記補強部材が、螺旋状に形成されて直接に固定されることにより、前記管本体と前記補強部材とが一体化され、
前記補強部材は、ほぼ断面C字状の金属製連続性薄板により形成され、
前記管本体は、所定幅の基材フィルム又はシートの縁部分が重なり合うように螺旋状に巻き回されて形成され、この重なり合う部分において、前記補強部材のC字部分内に基材フィルム又はシートが挟み込まれるとともに、さらに該基材フィルム又はシートの内面側から前記補強部材のC字部分内に線部材が挿入されており、
かつ
前記合成樹脂層その他の有機化合物の総質量が180g/m2 以下であって、かつ前記管本体を形成する前記基材フィルム又はシートの総厚さは9mm以下であり、かつ
前記金属箔層の厚さが0.015〜0.1mm、前記合成樹脂層の総厚さが0.015〜0.5mmである空調用伸縮性フレキシブルダクト。 - 空気調和・換気のための空気を通す管状路が内部に形成された、チューブ形状の管本体と、該管本体のチューブ形状を保持するための不燃性の補強部材とによって構成されてなるフレキシブルダクトであって、
前記管本体は、金属箔層と合成樹脂層とを備えた可撓性を有する、所定幅の基材フィルム又はシートをその縁部分が重なり合うように螺旋状に巻き回されて形成されるとともに、その重なり合う部分の前記管本体の外面に、前記補強部材が、螺旋状に形成されて直接に固定されることにより、前記管本体と前記補強部材とが一体化され、
前記補強部材は、ほぼ断面C字状の金属製連続性薄板により形成され、
前記管本体は、全体として、所定幅の基材フィルム又はシートの縁部分が重なり合うように巻き回されて形成され、かつ所定幅の基材フィルム又はシートの一方の縁部分が線部材をくるんで外面に折り返され、折り返し部分を形成しており、この折り返し部分の上に、基材フィルム又はシートの他方の縁部分が重ね合わせられて、螺旋状に巻き回されており、縁部分が重ね合わせられた状態で、基材フィルム又はシートと線部材とが、前記補強部材のC字部分内に挟み込まれており、
かつ
前記合成樹脂層その他の有機化合物の総質量が180g/m2 以下であって、かつ前記管本体を形成する前記基材フィルム又はシートの総厚さは9mm以下であり、かつ
前記金属箔層の厚さが0.015〜0.1mm、前記合成樹脂層の総厚さが0.015〜0.5mmである空調用伸縮性フレキシブルダクト。
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