JP2007321220A - 耐疲労亀裂進展性に優れた鋼板 - Google Patents

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Abstract

【課題】優れた耐疲労亀裂進展性を有する鋼板を提供すること。
【解決手段】C:0.030〜0.30%、Si:0.50%以下、Mn:0.8〜2.0%、Al:0.01〜0.10%、N:0.010%以下、P:0.03%以下、およびS:0.01%以下を含有し、残部がFeおよび不可避不純物からなる組成を有し、Z方向(板厚方向)から見て深さt/4(t=板厚)の位置において、針状フェライトを面積分率で1〜60%含み、長径が5〜100μmの範囲内にある針状フェライトの個数割合が、80%以上である鋼板。
【選択図】図1

Description

本発明は、船舶、海洋構造物、橋梁、建築物等で使用するのに適した耐疲労亀裂進展性に優れた鋼板に関するものである。
船舶、海洋構造物、橋梁、建築物等は、通常、板厚6mm以上の厚鋼板を溶接により接合して組み立てられる。鋼板の溶接部では、応力集中が起こりやすいため、疲労亀裂の発生を回避することは難しい。しかし鋼板に疲労亀裂が発生しても、その亀裂進展速度を抑えることができれば、定期点検等で、構造物の破壊を引き起こす前に亀裂を発見して、補修することが可能となる。
疲労特性、殊に耐疲労亀裂進展性に優れた鋼材として、特許文献1は、硬質相としてのベイナイト組織、あるいはマルテンサイト組織、あるいは両組織の混合組織中に、軟質相としてのフェライト組織を適正量存在せしめた鋼材を開示している(特許請求の範囲、および段落0008)。
また特許文献2は、疲労亀裂の伝播を遅延させるマイクロクラックを発生させるために、厚みが3μm以下で間隔が20μm以下のパーライトバンドが縞状に存在し、かつパーライトバンド相の間のマトリックス組織のアスペクト比(長径/短径の比)が4以上で、短径が10μm以下の集合組織コロニーからなるフェライト・パーライト鋼を開示している(特許請求の範囲、および段落0017〜0019)。
特開2000−12392号公報(特許請求の範囲、および段落0008) 特開平5−148541号公報(特許請求の範囲、および段落0017〜0019)
これまで耐疲労亀裂進展性を向上させるために、上記のような様々な技術が開示されているが、充分な耐疲労亀裂進展性が得られているとはいえず、さらなる改良が求められている。本発明はこのような事情に着目してなされたものであって、その目的は、一段と優れた耐疲労亀裂進展性を有する鋼板を提供することにある。
上記目的を達成することのできた本発明の鋼板とは、
C:0.030〜0.30%(質量%の意味、以下同じ)、
Si:0.50%以下(0%を含まない)、
Mn:0.8〜2.0%、
Al:0.01〜0.10%、
N:0.010%以下(0%を含まない)、
P:0.03%以下(0%を含まない)、および
S:0.01%以下(0%を含まない)
を含有し、残部がFeおよび不可避不純物からなる組成を有し、
Z方向(板厚方向)から見て深さt/4(t=板厚)の位置において、針状フェライトを面積分率で1〜60%含み、
長径が5〜100μmの範囲内にある針状フェライトの個数割合が、80%以上であることを特徴とする、耐疲労亀裂進展性に優れた鋼板である。
本発明の鋼板の中でも、Z方向(板厚方向)から見て深さt/4(t=板厚)の位置において、ベイナイトおよびマルテンサイトの合計の面積分率が10%以上であるものが、好ましい。
本発明の鋼板には、上記成分の他、必要に応じてさらに、(ア)Cu:2%以下(0%を含まない)、Ni:2%以下(0%を含まない)、Cr:2%以下(0%を含まない)、Mo:0.5%以下(0%を含まない)、V:0.1%以下(0%を含まない)、Nb:0.04%以下(0%を含まない)、B:0.004%以下(0%を含まない)、W:2.5%以下(0%を含まない)、およびCo:2.5%以下(0%を含まない)よりなる群から選ばれる1種以上、(イ)Ti:0.03%以下(0%を含まない)、Zr:0.1%以下(0%を含まない)およびHf:0.05%以下(0%を含まない)よりなる群から選ばれる1種以上、並びにCa:0.005%以下(0%を含まない)、Mg:0.005%以下(0%を含まない)および希土類元素:0.01%以下(0%を含まない)よりなる群から選ばれる1種以上、等を含有させることも有効であり、含有させる成分の種類に応じて、鋼板の特性がさらに改善される。
鋼板組織中に針状フェライトを存在させることにより、耐疲労亀裂進展性に優れた鋼板を得ることができる。
従来では、耐疲労亀裂進展性に優れた鋼板を得るために、主にフェライトの面積分率等に着目して研究が行われていた。しかし本発明者らが鋼組織と亀裂進展速度との関係を詳細に検討した結果、鋼組織中に針状フェライトが存在する鋼板は、優れた耐疲労亀裂進展性を有することを見出した。よって本発明の鋼板は、Z方向(板厚方向)から見て深さt/4(t=板厚)の位置において、針状フェライトを含むことを特徴とする。以下では、まず針状フェライトについて説明する。
本発明において、「針状フェライト」とは、アスペクト比(長径/短径)が2以上であり、且つγ粒内方向に成長しているものをいう。針状フェライトが存在することにより、鋼板の耐疲労亀裂進展性が向上する正確なメカニズムは不明であるが、針状フェライトは、通常のフェライトよりも隣り合う結晶粒との方位差が大きいため、亀裂の進展が、針状フェライトで一時的に停止されると推定される。但し本発明は、このような推定メカニズムに限定されない。
針状フェライトが、深さt/4(t=板厚)の位置において、1%以上の面積分率で存在するものは、耐疲労亀裂進展性に優れている。しかし針状フェライトの面積分率が過剰になっても、かえって耐疲労亀裂進展性が低下することも見出した。そこで針状フェライトの面積分率を1〜60%と定めた(以下の実施例参照)。針状フェライトの面積分率は、好ましくは5〜50%、より好ましくは10〜40%である。
本発明において「針状フェライトの面積分率」の値は、以下に記載する方法により測定される平均値を採用する:まず鋼板の深さt/4(t=板厚)の位置から試験片を採取し、ナイタール腐食を施す。次いで光学顕微鏡により倍率100〜400倍で観察して、10個の観察視野で写真撮影を行う。得られた10枚の顕微鏡写真について、Media Cybernetics社製「Image−Pro Plus」などを用いて画像解析を行い、「針状フェライトの面積分率」の平均値を算出する。
針状フェライトによる亀裂進展を抑制する効果は、針状フェライトの長径が小さすぎると充分に発揮されない。逆に大きすぎても、かえって耐亀裂進展性が低下する。そこで針状フェライトの大きさについて検討した結果、実験データから、長径が5〜100μmの範囲内にある針状フェライトの個数割合が、80%以上であれば、優れた耐亀裂進展性を確保できることを見出した(以下の実施例参照)。よって本発明は、これも要件として規定した。なおこの要件は、例えば針状フェライトが10個あれば、そのうちの8個以上の長径が5〜100μmの範囲内にあることを意味し、針状フェライトの面積分率の測定と同様に、顕微鏡写真を得た後「Image−Pro Plus」などを用いて画像解析を行うことにより判定できる。
本発明の鋼板では、深さt/4(t=板厚)の位置において、ベイナイトおよびマルテンサイトの合計の面積分率が10%以上であれば、さらに亀裂進展速度を抑制することができるため好ましい。ベイナイトおよびマルテンサイトの合計の面積分率の測定法は、針状フェライトの面積分率の測定法と同じであり、10個の観察視野から得られる平均値を採用する。
本発明の鋼板において、深さt/4の位置の組織は、実質的に針状フェライトおよび粒界フェライトと、ベイナイトおよび/またはマルテンサイトとからなるが、少量のパーライトが存在してもよい。ここで「粒界フェライト」とは、γ粒界に沿って存在するフェライトを意味する。
本発明の鋼板は、耐疲労亀裂進展性を向上させるために、針状フェライトを有することに加えて、化学成分組成が適切な範囲に調整されていることも特徴とする。よって以下では、鋼板の化学成分組成について説明する。
〈C:0.030〜0.30%〉
Cは、母材強度を確保するために必要な元素である。C量が0.030%未満では母材強度を確保することができなくなる。そこでC量の下限を0.030%と定めた。好ましい下限は0.05%である。一方、C量が0.30%を超えると、鋼全体が脆性的になり母材靱性や疲労特性が低下する。そこでC量の上限を0.30%と定めた。好ましい上限は0.2%である。
〈Si:0.50%以下(0%を含まない)〉
Siは、鋼の脱酸のために必要な元素である。その作用を充分に発揮させるために0.1%以上、好ましくは0.15%以上含有させることが好ましい。但しSi量が過剰であると、母材靱性や疲労特性を低下させる。そこでSi量の上限を0.50%と定めた。好ましい上限は0.4%である。
〈Mn:0.8〜2.0%〉
Mnは、焼入れ性を向上させ、母材強度を確保するために有用な元素である。この作用を充分に確保するためにMn量の下限を0.8%と定めた。Mn量は、好ましくは1%以上、より好ましくは1.5%以上である。一方、Mn量が2.0%を超えると、母材靭性や疲労特性が低下する。よってMn量の上限を2.0%と定めた。Mn量は、好ましくは1.8%以下である。
〈Al:0.01〜0.10%〉
Alは、脱酸作用を有する元素である。この作用を充分に発揮させるために、Al量の下限を0.01%と定めた。Al量は、好ましくは0.02%以上である。しかしAl量が過剰であると、母材靱性や疲労特性が低下する。よってAl量の上限を0.10%と定めた。Al量は、好ましくは0.06%以下、より好ましくは0.04%以下である。
〈N:0.010%以下(0%を含まない)〉
Nは、AlやTiと結合して、オーステナイト粒を微細化する作用を有する。また過剰でなければ、鋼板の機械的特性に有効に働く。そこでN量は、好ましくは0.003%以上、より好ましくは0.004%以上である。しかしN量が過剰であると、靱性や疲労特性が低下するため、その上限を0.010%に定めた。N量は、好ましくは0.008%以下、より好ましくは0.006%以下である。
〈P:0.03%以下(0%を含まない)〉
Pは、母材靱性や疲労特性に悪影響を及ぼすため、その上限を0.03%と定めた。P量は、好ましくは0.01%以下である。但しPは、不可避的に含まれるため、その量を0%にすることは工業的に困難である。
〈S:0.01%以下(0%を含まない)〉
Sは、MnとMnSを形成して、延性や疲労特性に悪影響を及ぼす元素である。よってS量の上限を0.01%と定めた。S量は、好ましくは0.005%以下である。但しSは、不可避的に含まれるため、その量を0%にすることは工業的に困難である。
本発明の鋼板の基本成分組成は上記の通りであり、残部は実質的にFeである。但し原料、資材、製造設備等の状況によって持ち込まれる不可避不純物が鋼板中に含まれることは、当然に許容される。さらに本発明の鋼板は、必要に応じて、以下の任意元素を含有していても良い。
〈Cu:2%以下、Ni:2%以下、Cr:2%以下、Mo:0.5%以下、V:0.1%以下、Nb:0.04%以下、B:0.004%以下、W:2.5%以下、およびCo:2.5%以下よりなる群から選ばれる1種以上〉
Cu、Ni、Cr、Mo、V、Nb、B、WおよびCoは、焼入性を高めて鋼板の強度を向上させる作用を有し、必要に応じて鋼板中に含有させることができる。さらにVは、焼入性に加えて、焼戻し軟化抵抗を向上させる作用を有し、またMoは、焼戻し脆性を防止する作用を有する。
これらの作用を充分に発揮させるために、これらの量の下限は、Cuについて、好ましくは0.1%、より好ましくは0.2%であり、Niについて、好ましくは0.1%、より好ましくは0.2%であり、Crについて、好ましくは0.2%、より好ましくは0.4%であり、Moについて、好ましくは0.1%、より好ましくは0.2%であり、Vについて、好ましくは0.01%、より好ましくは0.02%であり、Nbについて、0.005%、より好ましくは0.010%であり、Bについて、好ましくは0.0005%、より好ましくは0.0010%であり、Wについて、好ましくは0.1%、より好ましくは0.2%であり、およびCoについて、好ましくは0.1%、より好ましくは0.2%である。
しかしこれらの元素量が過剰になると、母材靱性や疲労特性が低下する。よってこれらの元素を含有させる場合、これらの量の上限は、Cuについて、2%、好ましくは1%であり、Niについて、2%、好ましくは1%であり、Crについて、2%、好ましくは1%であり、Moについて、0.5%、好ましくは0.3%であり、Vについて、0.1%、好ましくは0.05%であり、Nbについて、0.04%、好ましくは0.03%、より好ましくは0.025%であり、Bについて、0.004%、好ましくは0.003%、より好ましくは0.002%であり、Wについて、2.5%、好ましくは1%であり、およびCoについて、2.5%、好ましくは1%である。
〈Ti:0.03%以下、Zr:0.1%以下およびHf:0.05%以下よりなる群から選ばれる1種以上〉
Ti、ZrおよびHfは、Nと窒化物を形成して、オーステナイト粒を微細化する作用や、固溶Nを固定化する作用を有し、鋼板の靱性を改善させるために有用な元素であり、必要に応じて含有させることができる。
これらの作用を充分に発揮させるために、これらの量の下限は、Tiについて、好ましくは0.005%、より好ましくは0.010%であり、Zrについて、好ましくは0.0005%、より好ましくは0.0010%であり、およびHfについて、好ましくは0.0005%、より好ましくは0.0010%である。
しかしTi、ZrおよびHf量が過剰になると、母材靱性、HAZ靱性および疲労特性が低下する。よってこれらの元素を含有させる場合、これらの量の上限は、Tiについて、0.03%、好ましくは0.02%であり、Zrについて、0.1%、好ましくは0.05%であり、およびHfについて、0.05%、好ましくは0.02%である。
〈Ca:0.005%以下、Mg:0.005%以下および希土類元素:0.01%以下よりなる群から選ばれる1種以上〉
Ca、Mg、および希土類元素(以下、「REM」と省略する)は、いずれも靱性や疲労特性を向上させる作用を有する元素であり、必要に応じて含有させることができる。具体的にはCaおよびREMは、MnSを球状化するという介在物の形態制御により、異方性を低減する作用を有し、これにより母材靱性や疲労特性が向上する。一方、Mgは、MgOを形成し、HAZのオーステナイト粒の粗大化を抑制することによって、殊にHAZ
靱性を向上させ、さらに溶接後の疲労特性を向上させる。
これらの作用を充分に発揮させるために、これらの量の下限は、Caについて、好ましくは0.0005%、より好ましくは0.0010%であり、Mgについて、好ましくは0.0005%、より好ましくは0.0010%であり、およびREMについて、好ましくは0.0005%、より好ましくは0.0010%である。
しかしCa、MgおよびREM量が過剰になると、母材靱性、HAZ靱性および疲労特性が低下する。よってこれらの元素を含有させる場合、これらの量の上限は、Caについて、0.005%、好ましくは0.003%であり、Mgについて、0.005%、好ましくは0.003%であり、およびREMについて、0.01%、好ましくは0.005%である。
針状フェライトを有する本発明の鋼板は、950℃までの温度での圧下率を80%以上とする熱間圧延を行った後、所定の保持温度まで加速冷却してから、その温度で一定時間保持し、さらにその後に、空冷以上の冷却速度で200℃以下まで冷却することにより製造することができる。所定の温度で保持した後に、200℃以下まで冷却する際に、場合により400〜600℃付近で一旦冷却を停止して、その後に空冷しても良い。
以下、実施例を挙げて本発明をより具体的に説明するが、本発明は以下の実施例によって制限を受けるものではなく、上記・下記の趣旨に適合し得る範囲で適当に変更を加えて実施することも勿論可能であり、それらはいずれも本発明の技術的範囲に包含される。
表1に示す組成の鋼を、通常の溶製法によって溶製してスラブとした後、熱間圧延を行った。表2に950℃までの温度での圧下率(表2中で「圧下率」と記載)を示す。熱間圧延の後、表2に示す冷却速度(表2中で「第一冷却速度」と記載)で、所定温度まで冷却し(表2中で「第一停止温度」と記載)、所定時間保持した(表2中で「保持時間」と記載)。その後、再び表2に示す冷却速度(表2中で「第二冷却速度」と記載)で200℃以下まで冷却して、鋼板を製造した。なお200℃以下に冷却する途中で、一旦冷却を停止したものは、その温度を表2の「第二停止温度」の欄に記載した。
Figure 2007321220
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Figure 2007321220
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上記のようにして製造した鋼板の組織、針状フェライトの長径(個々の80%)および亀裂進展速度を以下のようにして測定した。
鋼板組織の面積分率および長径が5〜100μmの範囲内にある針状フェライトの個数割合を測定するために、まず鋼板の深さt/4(t=板厚)の位置から15mm×15mm×10mmの試験片を採取し、ナイタール腐食を施した。次いで光学顕微鏡により倍率400倍で観察して、10個の観察視野で写真撮影を行った。さらに、得られた10枚の顕微鏡写真について、Media Cybernetics社製「Image−Pro Plus」での画像解析により、各組織の面積分率および長径が5〜100μmの範囲内にある針状フェライトの個数割合を算出した。その結果を表3に示す。表3に示す組織以外の残部組織はパーライトである。なお針状フェライトの形状を示すために、針状フェライトを含む鋼板No.2、および針状フェライトを含まない鋼板No.32の組織写真を、図1および図2に示す。
亀裂進展速度を測定するために、鋼板の深さt/4(t=板厚)の位置から、亀裂進展方向がC方向(板幅方向)となるように、ASTM規格E 647に記載のコンパクトテンション試験片(CT試験片)を切り出した(図3参照)。このCT試験片を、サーボパルサ装置にて、室温、繰返し速度30Hzおよび応力比(最大応力に対する最小応力の比)0.1の条件で疲労試験を行い、応力拡大係数の範囲(ΔK)=20MPa√mにおける亀裂進展速度(mm/cycle)を測定した。その結果を表3に示す。
Figure 2007321220
Figure 2007321220
表1〜3で示されているように、本発明で規定する針状フェライトおよび組成の要件を満たす鋼板No.1〜24は、亀裂進展速度が抑制されており、耐疲労亀裂進展性に優れていることが分かる
一方、鋼板No.25〜30は、本発明の組成要件を満たさないものであり、いずれも亀裂進展速度が増大している。具体的には鋼板No.25は、C量が少ないため、針状フェライトを得ることができず、亀裂進展速度が増大している。また鋼板No.26はC量が高いため、No.27はSi量が高いため、No.28はMn量が高いため、No.29はAl量が高いため、およびNo.30はN量が高いため、脆化して亀裂進展速度が増大している。
また鋼板No.31〜35は、針状フェライトの要件を満たさないものであり、いずれも亀裂進展速度が増大している。具体的には鋼板No.31および32は、針状フェライトを含まないため、逆に鋼板No.33は、針状フェライトの面積分率が過剰であるため、鋼板No.34および35は、長径が5〜100μmの範囲内にある針状フェライトの個数割合が少ないため、亀裂進展速度が増大している。
実施例で製造した鋼板No.2(針状フェライト有り)の、深さt/4の位置における組織写真(観察倍率400倍)である。 実施例で製造した鋼板No.32(針状フェライト無し)の、深さt/4の位置における組織写真(観察倍率400倍)である。 実施例で製造した鋼板の亀裂進展速度を測定するために、鋼板から採取した疲労試験片の概略図である。

Claims (5)

  1. C:0.030〜0.30%(質量%の意味、以下同じ)、
    Si:0.50%以下(0%を含まない)、
    Mn:0.8〜2.0%、
    Al:0.01〜0.10%、
    N:0.010%以下(0%を含まない)、
    P:0.03%以下(0%を含まない)、および
    S:0.01%以下(0%を含まない)
    を含有し、残部がFeおよび不可避不純物からなる組成を有し、
    Z方向(板厚方向)から見て深さt/4(t=板厚)の位置において、針状フェライトを面積分率で1〜60%含み、
    長径が5〜100μmの範囲内にある針状フェライトの個数割合が、80%以上であることを特徴とする耐疲労亀裂進展性に優れた鋼板。
  2. Z方向(板厚方向)から見て深さt/4(t=板厚)の位置において、ベイナイトおよびマルテンサイトの合計の面積分率が10%以上である請求項1に記載の鋼板。
  3. さらにCu:2%以下(0%を含まない)、Ni:2%以下(0%を含まない)、Cr:2%以下(0%を含まない)、Mo:0.5%以下(0%を含まない)、V:0.1%以下(0%を含まない)、Nb:0.04%以下(0%を含まない)、B:0.004%以下(0%を含まない)、W:2.5%以下(0%を含まない)、およびCo:2.5%以下(0%を含まない)よりなる群から選ばれる1種以上を含有する請求項1または2に記載の鋼板。
  4. さらにTi:0.03%以下(0%を含まない)、Zr:0.1%以下(0%を含まない)およびHf:0.05%以下(0%を含まない)よりなる群から選ばれる1種以上を含有する請求項1〜3のいずれかに記載の鋼板。
  5. さらにCa:0.005%以下(0%を含まない)、Mg:0.005%以下(0%を含まない)および希土類元素:0.01%以下(0%を含まない)よりなる群から選ばれる1種以上を含有する請求項1〜4のいずれかに記載の鋼板。
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