JP2007320164A - インクジェット記録装置および記録ヘッドの回復方法 - Google Patents

インクジェット記録装置および記録ヘッドの回復方法 Download PDF

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Abstract

【課題】環境変化などに拘わりなく、処理液をワイパに適正に付与することができ、吐出口形成面を常に良好な状態でワイピングできるようにする。
【解決手段】処理液保持部19内には、ワイパ10A,10Bのワイピング動作に用いる処理液が保持されている。処理液保持部19にワイパ10A,10Bが接触すると、処理液がワイパ10A,10Bへと転写される。この処理液の粘度は、低温環境または低湿環境などにおいて増粘し、増粘状態においてはワイパ10A,10Bには十分に処理液が転写されない。このため、処理液が増粘する環境下にあっては、インクを付着させたワイパ10A,10Bを処理液保持部19に接触させて、インクを処理液保持部19に供給する。これにより、処理液保持部19とワイパ10A,10Bとの接触部付近における処理液の粘度は低下し、ワイパ10A,10Bには十分に処理液が転写される。
【選択図】図5

Description

本発明は、インクを吐出する吐出口を有する記録ヘッドの吐出口形成面をワイパによって払拭するインクジェット記録装置、および記録ヘッドの回復方法に関する。
紙、布、プラスチックシート、OHP用シート等の被記録材(記録媒体)に画像(文字や記号等を含む)を記録する記録装置は、現在、様々な装置に用いられている。例えば、プリンタ、複写機およびファクシミリ等に用いられる記録装置、あるいはコンピュータやワードプロセッサ等を含む複合型電子機器やワークステーションなどの出力機器として用いられる記録装置など、様々なものに用いられている。
また、記録装置の記録方式としては、インクジェット記録方式、ワイヤドット方式、熱転写方式、電子写真方式などが一般に用いられている。このうち、インクジェット方式の記録装置(インクジェット記録装置)は、予め作成された記録情報に基き、記録ヘッドから記録媒体上へインクを吐出して記録を行うものである。このインクジェット記録装置は、装置のコンパクト化が容易であり、高精細な画像の高速記録が可能であり、普通紙などにも特別の処理を施さずに直接的に記録でき、ランニングコストが安く、記録時の騒音が少ない、といった種々の利点を有している。しかも、多種類のインク(例えばカラーインク)を使用することで、カラー画像の記録が容易に実現できるという優位性も有している。
このようなインクジェット記録装置に用いられるインクジェット記録ヘッド(以下、単に記録ヘッドと称す)には、吐出口からインクを吐出させる吐出エネルギー発生手段の形態によって次のようなものが知られている。すなわち、ピエゾ素子等の電気機械変換体を用いるもの、レーザ等の電磁波を照射してインクを発熱させ、その発熱作用によってインク滴を吐出させるもの、あるいは発熱抵抗体などの電気熱変換体によって液体を加熱するものなどがある。このうち、熱エネルギーを利用してインクを滴として吐出するインクジェット方式の記録ヘッドは、インクの吐出口、これに連通する液路、および液路内に設けられた前記電気熱変換素子などからなる記録素子を高密度に配置することができる。このため高解像度の記録を行うことが可能である。特に、電気熱変換体素子をエネルギー発生素子として用いる記録ヘッドは、最近のIC技術やマイクロ加工技術を活用できるため、記録素子の高密度実装化が容易であり、製造コストを安価に抑えることができる。
また、インクジェット記録装置は、記録媒体と記録記録ヘッドとを相対移動させつつ、記録ヘッドからインクを吐出させて記録を行う。この記録媒体と記録ヘッドとの相対移動を行う形態によって、インクジェット記録装置は、シリアル型の記録方式と、ラインク型の記録方式とに大別される。シリアル記録方式は、記録媒体の搬送方向と交差する主走査方向に記録ヘッドを移動させつつ記録を行う方式である。これに対し、ライン型の記録方式は、適用可能な記録媒体の最大幅以上の幅を有する長尺な記録ヘッドを配置し、その記録ヘッドの長手方向と直交する方向に記録媒体を搬送しつつ記録していく方式である。
このように、インクジェット記録装置には、種々の記録素子および記録方式が存在する。しかし、いずれのインクジェット記録装置にあっても、良好なインク吐出性能を維持するためには、ノズル内のインクを常に吐出に適した状態に保つと共に、吐出口周辺を清浄化することが必要となる。すなわち、記録ヘッドでは、吐出口近傍のインクが乾燥し、インクの増粘、固着、堆積することがあり、さらに、吐出口内部(液路)には、気泡やゴミ等が混入することがある。これらは、吐出口の目詰まりが生じさせる要因となっている。この目詰まりを回復(予防、解消等)する方法の一つとして、吐出口よりインクを強制的に排出させる回復方法がある。この回復方法としては、例えば、ポンプに連結されたキャッピング部材を用いてインクの吐出口部に密閉系を形成し、ポンプによって吐出口面(ヘッド面)に所定の負圧吸引力を発生させることにより、吐出口からインクを強制的に排出させる吸引回復方法がある。また、記録ヘッド内に正圧を加えてノズル内に生じた増粘インクを吐出口から強制的に排出させる加圧回復方法もある。さらに、記録動作の前後、あるいは記録ヘッドの各走査の前後において、記録に寄与しないインク吐出を前述のキャップや所定のインク受け部に吐出する予備吐出も回復動作として行われている。
また、上記のような記録ヘッドからのインクの吐出あるいは排出を行う回復動作に加え、記録ヘッドの吐出口形成面に付着した異物を払拭して清掃する、いわゆるワイピング回復動作も、記録ヘッドの吐出性能を維持する上で不可欠な回復動作として行われている。すなわち、記録ヘッドの吐出口形成面には、インク、ごみ、ほこり、紙粉等の異物が付着することがあり、また、インクの排出、および吐出を行う回復動作の後には、記録ヘッドの吐出口形成面にインクが付着することがある。そのようなインクや異物が吐出口形成面に付着した状態で吐出動作が行われた場合、インク滴の吐出方向にはずれが生じ、画像品質の低下を招くこととなる。そこで、インクジェット記録装置では、ゴム状の弾性部材などからなるワイパを吐出口形成面に摺擦させて異物を払拭(ワイピング)することにより、吐出口形成面の清掃(クリーニング)を行うワイピング回復動作が従来より行われている。
しかしながら、このワイピング回復動作は、使用するインクの種類などによっては、十分なクリーニング状態が得られない、吐出口形成面における濡れ性が不均一になる、という不具合が生じている。こうした不具合の発生は、顔料インクを用いた場合に特に顕著に現れる。
すなわち、顔料インクは、光やオゾンの影響を受けたとしても色材の退色が少なく、耐候性は染料インクに比較して優れている反面、増粘したり固着したりするまでの経過時間も染料インクよりも短く、吐出口形成面に増粘や固着が発生し易い。このため、ワイパで払拭した際の吐出口形成面の清掃状態は、染料インクを用いる場合に比べて悪化する傾向にある。すなわち、記録ヘッドの吐出口形成面にワイパを摺擦させてクリーニングしても、ヘッド面にインクが薄膜状に堆積し、そのインクが短時間で固化するため、記録ヘッドを十分に回復させることができないという問題が生じている。
また、顔料インクは、元来疎水性である顔料粒子に、樹脂や活性剤等を吸着させて親水性を与えたり、顔料粒子の構造自体の末端に親水基を持たせたりすることにより、顔料粒子を水溶液中に分散させたものである。このため、吐出口形成面上でインク中の水分が蒸発した顔料インクの固着物は、色材自体が分子レベルで溶解している染料インクの固着物よりも吐出口形成面の表面性を低下させ、吐出口形成面の濡れ性を高めてしまうことがある。この場合、吐出口形成面の濡れ性は不均一な状態となる。特に、樹脂を用いて顔料を水溶液中に分散させた、いわゆる樹脂分散系の顔料インクでは、樹脂が吐出口形成面に対して吸着され易く、顔料粒子と共に樹脂が吐出口面を部分的に濡れ易くしてしまい、濡れ性の不均一はより顕著になる。また、顔料粒子の粒径は100nm程度の大きさを有し、染料分子よりもはるかに大きいため、吐出口形成面に存在する状態で、ワイパが払拭動作を行うと、顔料粒子によって吐出口形成面が削られてしまい表面性が低下することがある。これも吐出口形成面の濡れ性を不均一にする要因となっている。
このように吐出口面の濡れ性に不均一が生じた場合、吐出口から吐出されたインク滴の方向性は不安定になり、インク滴の記録媒体への着弾位置の精度が低下するため、画像品質が著しく損なわれる結果となる。
上記の問題に対し、記録ヘッドの吐出口面に顔料インクを弾くいわゆる撥水処理を施すことで、吐出方向の安定化を図ることも行われている。しかし、この撥水処理は、使用初期において吐出方向を安定させる効果はあるが、顔料インク等の濡れやすいインクを用いた場合には、徐々に撥水性が劣化し吐出の方向性は不安定なものとなる。また、前述のようなワイパによる吐出口形成面へのワイピングが行われると、濡れやすい顔料インクが吐出口面に塗り広げられることとなり、これによっても撥水性は劣化する。このため、撥水処理の有効性を長期に亘って維持することは困難であった。
また、特許文献1に示される顔料インク用のヘッドのように、吐出口周辺のみを最初から親水化することによって、吐出口周辺の濡れ性を均一化し、インク滴の吐出方向を安定化させる記録ヘッドも提案されている。
しかしながら、この親水性も経時的に劣化していくため、良好な吐出性能を長期間維持することは困難である。現在、親水性を与える処理としては、例えば、UVオゾン処理等が知られているが、この処理にあっても、使用開始直後は親水性を有するものの、時間と共にその親水の程度は劣化する。
このように、吐出口形成面の撥水性能または親水性能が変化することに対し、特許文献2に示すようなウェットワイピングと称する回復技術が開示されている。この回復技術は、吐出口形成面を払拭するワイパに、例えばグリセリンやポリエチレングリコール等の揮発性の極めて低い溶剤(以下、ウェット液と称す)を付着させ、そのワイパで吐出口形成面を払拭することにより、濡れ性の変化を防止するものである。このワイパへのウェット液の付着は、ウェット液を含浸させたスポンジ状のウェット液保持部にワイパを当接させ、ワイパにウェット液保持部のウェット液を転写することによって行う。
このウェット液には、次の3つの作用がある。第1は吐出口形成面に蓄積されたインク増粘物や固着物を溶解させる作用である。第2はワイパと吐出口形成面との間に介在させることによる潤滑材としての作用である。第3は吐出口形成面にワイパによって付着させることによって吐出口形成面を保護する膜を形成する作用である。
しかしながら本発明者らが上記のようなウェットワイピングを搭載して記録ヘッドの吐出口形成面の状態変化を検討したところ、低温環境下においてウェットワイピングの効果が少なく、吐出口形成面の状態が初期に比べて変化することが明らかとなった。この変化は、吐出液滴の着弾精度を悪化させ、記録画像の品位を低下させることとなる。
このような低温環境下でのウェット液の挙動を検討したところ、ワイパに転写されるウェット液の量は温度環境で大きく変動することが明らかとなった。すなわち、ウェット液の使用環境が低温であるほど、ワイパへのウェット液の転写量は減少した。ウェット液は、本来、記録装置本体内に、その本体寿命の間、継続して保持されているべきものである。このため、空気中の飽和蒸気圧の低いもの、すなわち蒸発しにくいものが好ましい。またインク増粘物および固着物の溶解性や記録ヘッドの各構成部材との接液性を考慮すると、インクジェット記録装置のインク組成としてもしばしば用いられるグリセリンやポリエチレングリコール等の多価アルコール類を用いることが好ましい。これらの溶剤は一般的に分子量が大きく粘度が高いものが多いため、低温環境下での粘度上昇の程度も大きい。
図13は一例として、グリセリンの温度−粘度曲線を示したものである。常温で800cp程度の粘度が、15℃で2300cp、5℃で7000cpというように、低温になるほど急激に粘度が上昇する。
このような低温環境下におけるウェット液の粘度上昇(増粘)により、ウェット液保持部からワイパへのウェット液の転写量が減少する。これは次のような現象によるものと考えられる。すなわち、ウェット液が増粘した状態でワイパがウェット液保持部に当接した場合、ウェット液とワイパとが十分に接触しないことに起因するものと考えられる。また、ワイパがウェット液保持部から離れるときにワイパ側にウェット液を引き離しにくくなるとことも要因として考えられる。
一方、上記のようなワイピング専用の処理液を用いず、ワイパが記録ヘッドの吐出口を通過するときに、吐出口から液体(インク)を吐出することでワイパをインクで濡れた状態とし、その濡れた状態のワイパにて吐出口形成面を払拭する技術も提案されている。以下、前述のウェット液をワイパに吐出して行う“ウェットワイピング”と区別するため、インクをワイパに吐出して行うワイピングを、“インクウェットワイピング”と称す。
このようなウェットワイピングを行う装置としては、例えば、特許文献3ないし特許文献5に開示されたものがある。すなわち、特許文献3には、記録ヘッドの吐出口形成面を、吐出口の配列方向に沿ってワイピングする場合に、ワイピング方向の上流側に形成された画像形成に関与しない吐出口からワイパへとインクを吐出しつつワイピングを行う技術が開示されている。さらに、画像形成に関与しない吐出口だけでなく画像形成に関与する吐出口からもインクを吐出させながら行うウェットワイピングも開示されている。
また、特許文献4には、ワイパへインクを吐出して濡らした後、この濡れたワイパで汚れを除去する技術が開示されている。さらに、特許文献5には、複数の吐出口が形成された吐出口形成面を吐出口の配列方向と直交する方向にワイピングする場合において、インク吐出を併用することにより汚れの除去性能を向上させる技術が開示されている。
しかしながらこれらのインクウェットワイピング方式では、ワイパが吐出口形成面に当接する領域以外にも多量の予備吐出を行うことになり、これが記録装置本体内を過度に汚したり、多量のミストを発生させる原因となっている。また、必要以上にインクを消費してしまうなどの不都合が生じることになる。
そこでこのような問題に対し、特許文献6には、ワイピングされる直前の吐出口(ワイピング方向に関して下流側の吐出口)からインクを順次吐出しながらワイパを濡らすようにすることが開示されている。これによれば、インクの消費を抑えつつワイピングを行うことが可能となり、特許文献4および5に示すものに比べ、ワイピング装置近傍のインクによる汚損を低減することが可能となる。
しかしながら、特許文献6に開示されているインクウェットワイピング方式にあっては、全てのワイピング動作においてインクウェットワイピングを行うようになっており、これが記録装置の耐久枚数を低減させることとなっている。また、ワイパやワイピング装置近傍のインクによる汚損についても、特許文献4および5に示すものに比べて低減されるものの、未だ十分な汚損抑制効果を期待できるものとはなっていない。すなわち、全てのワイピング毎にインクウェットワイピングを行うことは、結局、ワイピング装置近傍をインクで汚すこととなる。さらに、ワイパに付着させたインクが蒸発・増粘することにより、次回ワイピング時におけるワイピング能力の劣化が懸念される。また、ワイピング装置の可動部近傍に付着したインクの蒸発・増粘などにより、ワイピング動作が妨げられる虞もある。
特開平11−334074号公報 特開平10−138502号公報 特開昭59−45161号公報 特開平7−148934号公報 特開平11−342620号公報 特開2002−166560号公報
上記のように、ウェットワイピングを搭載したインクジェット記録装置においては、ワイパへのウェット液の転写量が、記録装置の使用環境によって大きく変動するという問題がある。すなわち、低温環境下ではウェット液の粘度上昇により、ウェット液保持部からワイパへのウェット液の転写量が常温よりも減少する。このため、所期のウェットワイプの効果が得られず、各吐出口からのインク滴の吐出性能が劣化し、良好な画像品質が得られないという問題がある。
また、上記のようにインクウェットワイプを用いたインクジェットプリンタにおいては、ワイパやワイピング装置が汚損されると共に、それらに付着したインクが蒸発、増粘してワイパやワイピング装置のワイピング性能が劣化するという問題が生じている。
本発明は、環境に影響されることなく、ワイパへの処理液の付与を適正に行え、吐出口形成面を良好な状態でワイピングすることが可能なインクジェット記録装置および記録ヘッドの回復ほうほうの提供を目的とする。
上記課題を解決するため、本発明は次のような構成を有する。
すなわち、本発明の第1の形態は、インクの吐出口が形成された記録ヘッドの吐出口形成面をワイピングするワイパを備えたインクジェット記録装置において、前記ワイパのワイピング動作に用いる処理液を保持すると共に、前記ワイパとの接触によって前記処理液を前記ワイパに転写させる転写部を有する処理液保持部と、前記ワイパを介して前記転写部にインクを供給するインク供給手段と、を備えたことを特徴とする。
また、本発明の第2の形態は、インクの吐出口が形成された記録ヘッドの吐出口形成面をワイパによってワイピングすることにより、前記吐出口の吐出性能を回復させる記録ヘッドの回復方法であって、前記ワイパのワイピング動作に用いる処理液を保持する処理液保持部に対し、前記ワイパを接触させて前記処理液を前記ワイパに転写させる転写工程と、前記ワイパを介して前記転写部にインクを供給するインク供給工程と、を備えたことを特徴とする。
本発明によれば、環境変化などによって処理液保持部に保持されている処理液の粘度が上昇した場合にも、記録ヘッドから吐出するインクをワイパを介して処理液保持部に供給することにより、処理液の粘度を低下させることが可能となる。その結果、環境変化に拘わりなく、常に十分な処理液をワイパに転写しつつ、記録ヘッドの吐出口形成面をワイピングすることができ、吐出口形成面を吐出に適した良好な状態に保つことができる。
また、処理液保持部へのインクの供給は、低温環境、低湿環境などの処理液に増粘が生じる環境下においてのみ行えばよいため、ワイパを介した転写動作による装置の汚損なども最小限に抑えることができる。
以下、図面を参照して本発明の実施の形態を説明する。
(第1の実施形態)
1.インクジェット記録装置の概略説明
図1は、本発明のインクジェット記録ヘッドの回復装置を備えた、インクジェット記録装置における主要部の概略構成を示す斜視図である。
図1に示すインクジェット記録装置20は、シリアル型の記録方式を採るインクジェット記録装置(以下、単に記録装置と称す)であり、ガイド軸3,3によって、キャリッジ2が主走査方向(図1中のX方向)に移動自在に案内されている。キャリッジ2は、キャリッジモータおよびその駆動力を伝達するベルトなどの駆動力によって往復移動される。また、このキャリッジ2は、不図示の昇降機構によって、ガイド軸3,3と共に昇降可能に構成されており、図5はキャリッジ2が上昇した状態を、図4はキャリッジ2が下降した状態をそれぞれ示している。
このキャリッジ2には、記録ヘッド1と、この記録ヘッド1にインクを供給するインクタンクとが交換可能に搭載される。この記録ヘッド1とインクタンクとは、インクジェットカートリッジを構成するものであってもよい。また、本実施形態に用いる記録ヘッド1は、ブラックインクを吐出する記録ヘッド(以下、ブラックヘッドとも言う)1Aと、カラーインクを吐出する記録ヘッド(以下、カラーヘッドとも言う)1Bとからなる。ここでは、ブラックインクとして、普通紙やマット紙等に好適な、いわゆる上乗せ系の表面張力の高いマットブラック顔料インクを用いている。このブラックインクは、顔料粒子の構造自体の末端に親水基を持たせることで顔料粒子を水溶液中に自己分散させた自己分散型のインクとなっている。また、カラーインクは、インクジェット光沢紙や写真用紙等に好適な、いわゆる浸透系の表面張力の低いカラー顔料インクを用いており、ここでは、ブラック、シアン、マゼンタ、イエローの4色を備えており、各色毎に記録ヘッドが設けられている。これらのカラーインクは顔料粒子を界面活性剤的な作用を持つ樹脂にて水中に分散させたインクである。なお、これらカラー顔料インクを、樹脂顔料インクとも言う。
また、本実施形態において、両記録ヘッド1A,1Bは、熱エネルギーを利用してインクを吐出するインクジェット記録ヘッドを用いている。各記録ヘッド1A,1Bの記録媒体との対向面(吐出口形成面)には、インクを吐出する多数の吐出口が一列または複数列形成され、各吐出口に連通する液路内には、電気エネルギーを熱エネルギーに変換する電気熱変換素子が設けられている。各記録ヘッド1A,1Bの各吐出口は、各記録ヘッド1A,1Bがキャリッジに搭載された状態において、キャリッジ2の移動方向である主走査方向(図1のX方向)と直交する副走査方向(図1のY方向)となるように形成されている。また、各記録ヘッド1A,1Bは、吐出口形成面に撥水材をコートした、いわゆる撥水ヘッドとなっている。
記録ヘッドの電気熱変換素子は、記録データによって生成される駆動信号に応じて通電、加熱される。この電気熱変換素子に発生した熱エネルギーは、液路内に供給されたインクに膜沸騰を生じさせ、その時に生じる気泡の成長、収縮による圧力変化を利用して吐出口よりインクが吐出される。なお、以下の説明において、吐出口、液路および電気熱変換体を含めた部分をノズルと称す。また、キャリッジ2の移動範囲内であって、記録領域を外れた位置(図1の右側端部)には、キャリッジ2のホームポジションHPが設定されている。このホームポジションHPには、記録ヘッドにおけるノズルの吐出性能を維持するための後述の回復装置35が設けられている。さらに、回復装置35の近傍であって、記録装置の本体部側板には、温度検出器36が設けられている。本実施形態では、温度検出器としてサーミスタを用いている。
上記のインクジェット記録装置において、記録媒体Pは、装置の前端部に設けられた記録媒体収容部から給紙ローラ31によって副走査方向Y1方向に沿って記録装置本体内に給送される。その後、搬送ローラ32上でピンチローラ(不図示)および紙押え板33により挟持され、搬送ローラ32の回転によって、給紙方向とは逆の搬送方向Y2方向へと間欠的に搬送される。この搬送動作によって、記録媒体Pは、前記ブラックヘッド1Aおよび前記カラーヘッド1Bの下面(吐出口形成面)に対し、所定の隙間を介して通過する。記録媒体Pの停止中、キャリッジ2および記録ヘッドは、ガイド軸3,3に沿って主走査方向(X方向)へと移動する。その際、記録ヘッド1A,1Bの各電気熱変換素子が駆動されてインクが吐出され、吐出されたインクは記録媒体P上に着弾する。その結果、記録媒体Pには記録ヘッドの吐出口の配列幅に対応した幅の記録が行われる。このようにして、記録ヘッドが主走査方向へと移動しつつインクを吐出して行う記録動作と、その記録幅に対応する距離だけ用紙Pを副走査方向に搬送する搬送動作とを繰り返し行う。これにより、記録媒体P上には、画像(文字、記号等を含む)が形成される。
2.回復装置
図2ないし図5は、は本実施形態におけるインクジェット記録装置に設けられた回復装置35を示す側面図であり、図2は正面図、図3ないし図5は側面図である。
回復装置35は、記録ヘッドにおける各ノズル内のインクを吐出口から吸引する吸引手段と、吐出口形成面に付着したインクや塵埃などの異物をワイパで払拭するクリーニング手段と、ワイパに供給するウェット液を保持したウェット液保持部とを備えている。
ここで、まず、吸引手段について説明する。
吸引手段は、ブラック1Aおよびカラーヘッド1Bの吐出口形成面に密着することにり、吐出口を密封可能なゴム状弾性材のキャップ4A、4Bを有するキャッピング機構と、この、キャップに連通する吸引ポンプ5A,5Bと、を備えている。
キャッピング手段は、ブラックヘッド1Aの吐出口形成面に密着することにより、吐出口1Aaを密封することが可能なキャップ(以下、ブラック用キャップとも言う)4Aを備えている。さらに、キャッピング手段は、カラーヘッド1Bの吐出口部1Baを密封可能なキャップ(以下、カラー用キャップとも言う)4Bを備えている。このキャップ4A,4Bの内部には、インクを吸収保持するためのインク吸収部材9A,9Bが設けられている。また、キャップ4A、4Bは、不図示のキャップ移動機構によってキャッピング方向(矢印B方向)および非キャッピング方向(矢印C方向)に移動可能に保持されている。このキャップ移動手段と、キャップ4A,4Bとによりキャッピング手段が構成されている。なお、各キャップ4A,4Bが吐出口形成面に密着し、各吐出口部1Aa,1Baを密封することを以下の説明においてキャッピングと言う。
また、吸引ポンプ5Aはキャップ4Aに第1チューブ6Aを介して連通するブラックインク吸引用の吸引ポンプ(吸引手段)であり、吸引ポンプ5Bはキャップ4Bに第1チューブ6Bを介して連通するカラーインク吸引用の吸引ポンプ(吸引手段)である。各吸引ポンプ5A,5Bは、第2チューブ7A,7Bを介して廃インク処理部材8に連結されている。各キャップ4A,4Bによるキャッピング状態において、各吸引ポンプ5A,5Bが駆動されると、キャップ4A,4B内には所定の吸引圧(負圧)が発生し、その負圧によって吐出口部1Aa、1Baから強制的にインクが吸引される。吸引されたインクは、第1チューブ6A,6B、ポンプ5A,5Bおよび第2チューブ7A、7Bを介して廃インク処理部材8へと排出される。これが吸引回復動作である。この吸引回復動作により、記録ヘッドの各ノズル内からは、増粘したインクや気泡、塵埃などが排除され、代わりにインクタンクから供給される吐出に適した状態のインクで満たされる。
次に、クリーニング手段について説明する。
このクリーニング手段は、ブラック1Aおよびカラーヘッド1Bの吐出口形成面を摺擦してインクやほこり等の異物を払拭するワイパ10A,10Bを備えている。ワイパ10Aはブラックヘッド用のワイパであり、ワイパ10Bはカラーヘッド用のワイパである。これらのワイパは、ウレタン、ブチルまたはシリコン等のゴム部材あるいは、多孔質のスポンジ系の部材等で形成することが可能である。この実施形態では、ワイパ10A,10Bは、ここではポリエーテルウレタンを用いている。
また、ワイパ10A、10Bは不図示のワイパ移動機構によって、図3中、矢印Dに示す方向(往方向)および矢印Eに示す方向(復方向)へと移動可能になっている。すなわち、図3の(1)に示す待機位置から後述のウェット液保持部19に至る範囲を往復移動する。なお、この矢印D,Eに示す方向は、各記録ヘッドの吐出口の配列方向である記録媒体の搬送方向(Y1,Y2方向)と平行する方向、つまり、キャリッジ2がガイド軸3に沿って移動する方向(X方向)に対して直交する方向となっている。
さらに、クリーニング手段は、ワイパ10A、10Bに付着したインク滴、ごみ、ほこり、紙粉等の異物を除去するためのワイパクリーナ11A,11Bを備えている。このワイパクリーナ11A,11Bは、各ヘッド1A,1Bとウェット液保持ユニット19との間に配置されている。このため、吐出口形成面を払拭したワイパ10A,10Bは、ウェット液保持ユニット19に達する前に、このワイパクリーナに接触しつつ通過する。これにより、ワイパ10A,10Bに付着していた増粘インクや異物などは、対応するワイパクリーナ11A、11Bに転移し、ワイパ10A,10Bから除去される。この時、キャッピング手段のキャップ4A、4Bは、不図示の駆動源により矢印C方向(図中、上昇方向)へと移動し、ワイパ10A、10Bと干渉しない位置(不図示)まで退避している。
次に、ウェット液保持部の構成例を説明する。
ここに示すウェット液保持部19は、ワイパ10A,10Bの往復移動経路の折り返し位置(図4および図5の(6)に示す位置)の近傍に設けられている。すなわち、ワイパクリーナ11A,11Bよりも、右側に配置されている(図3ないし図5参照)。このウェット液保持部19は、ウェット液保持部材20と、このウェット液保持部材20の外面に接触するよう設けたウェット液転写部材(転写部)21とから構成されている。
この実施形態におけるウェット液保持部材20は、ポリプロピレン繊維をスポンジ状に圧縮成形したもの(以下、これをPPスポンジと称す)で構成されており、ここにウェット液が含浸されている。ウェット液保持部材20として用いるポリプロピレンの繊維径、繊維をスポンジ化したときの見かけ密度、スポンジ内の繊維の配向方向、スポンジを装置内に組み込むときの圧縮率等は適宜選択することが可能である。また、ウェット液転写部材21はウェット液保持部材20から、ウェット液を外面側へと吸引し、その外面に当接したワイパ10A,10Bへウェット液を付着(転写)させるよう作用する。なお、図3ないし図5において、21aはワイパ10A,10Bが当接する当接部を示している。本実施形態では、ウェット液転写部材21の構成材料として旭化成株会社製のサンファイン(登録商標)AQ900を用いている。ここでウェット液保持部材20からウェット液転写部材21へと、確実にウェット液が供給されるようにするためには、ウェット液保持部材20の毛管力よりも大きな毛管力をウェット液転写部材21が有している必要がある。従って、ウェット液転写部材21の平均気孔径、見かけ密度、および毛管力等は、上記のような毛管力の関係を維持するように、適宜選択することが必要である。
また、本実施形態では、ウェット液としてグリセリンを用いている。グリセリンはそれ自体は蒸発しにくいが、空気中の水分を吸湿しやすく、また一旦吸湿した場合でも低湿度環境下では水分を放出する特性がある。従って、ウェット液保持部材20およびウェット液転写部材21は、吸湿、乾燥の影響を受けないように、その外周を図示しない水蒸気透過性の低い材料で遮蔽することが好ましい。但し、ウェット液保持部材20内に存在する空気の膨張、収縮に耐え得るように、完全密閉ではなく、一部に大気連通の細孔を設けることが望ましい。
またウェット液保持部材20の容積は、ウェット液の必要量から逆算して求める。すなわち、ウェット液の必要量は、次のようにして求める。まず、インクジェット記録装置の耐久枚数相当分のウェットワイピングを行ったとしても、吐出口形成面の撥水状態が劣化せず、吐出液滴の着弾位置精度が許容範囲内に保たれるような、ワイピング1回分のウェット液の転写量を実験等で求める。次いで、求めた値に耐久枚数相当分のワイピング回数を乗じることによってウェット液の必要量を求める。そして、その必要量を保持可能なウェット液保持部材20の容積を設定する。
例えば、1回のウェットワイピングにおいて、1mgのグリセリンをワイパ10A,10Bに転写し、そのワイパで撥水ヘッドの吐出口形成面をワイピングすることによって目標とする耐久枚数10000枚の記録を問題なく行うことができるとする。この場合、耐久枚数の間に必要なグリセリン量は、1mgに10000枚を乗じた値、すなわち10gとなる。この必要グリセリン量に加え、グリセリンの密度、PPスポンジのグリセリン保持量、伝達部材のグリセリン保持量、グリセリン使いきり時の残量等を考慮すると、グリセリン保持部の容積は20cc程度が必要となる。初期のグリセリン注入量は使いきり効率にもよるが、通常100%の使い切りは期待できないので、必要量の1.2倍程度は注入しておく必要がある。勿論、これらの条件、すなわち1回のワイピングで必要なグリセリンの量、耐久枚数、PPスポンジやウェット液転写部材21のグリセリン保持量などは、各インクジェット記録装置の要件などに応じて異なるため適宜設定されるべきものである。
3.電気回路構成
次に、本実施形態における電気的回路の構成を説明する。
図7は、記録装置J0013における電気的回路の全体構成を概略的に説明するためのブロック図である。本実施形態において適用する記録装置の電気的回路は、主に、キャリッジ基板E0013、メイン基板E0014、電源ユニットE0015、およびフロントパネルE0106等によって構成されている。
電源ユニットE0015は、メイン基板E0014に接続されて、各種駆動電源を供給するものである。
キャリッジ基板E0013は、キャリッジM4000に搭載されたプリント基板ユニットであり、ヘッドコネクタE0101を通じて記録ヘッドH1001との信号の授受、およびヘッド駆動電源の供給を行うインターフェースとして機能する。ヘッド駆動電源の制御に供する部分として、記録ヘッドH1001の各色吐出部に対する複数チャネルのヘッド駆動電圧変調回路E3001を有する。そのヘッド駆動電圧変調回路E3001は、フレキシブルフラットケーブル(CRFFC)E0012を通じてメイン基板E0014から指定された条件に従って、ヘッド駆動電源電圧を発生する。また、キャリッジM4000の移動に伴ってエンコーダセンサE0004から出力されるパルス信号に基づいて、エンコーダスケールE0005とエンコーダセンサE0004との位置関係の変化を検出する。さらに、その出力信号をフレキシブルフラットケーブル(CRFFC)E0012を通じてメイン基板E0014へと出力する。
キャリッジ基板E0013には、光学センサ、および周囲温度を検出するためのサーミスタが接続されている(以下、これらのセンサを「マルチセンサE3000」として参照する)。マルチセンサE3000により得られる情報は、フレキシブルフラットケーブル(CRFFC)E0012を通じてメイン基板E0014へと出力される。
メイン基板E0014は、本実施形態におけるインクジェット記録装置の各部の駆動制御を司るプリント基板ユニットである。その基板上は、ホストインタフェース(ホストI/F)E0017を有しており、不図示のホストコンピュータからの受信データに基づいて、記録動作の制御を行う。またメイン基板E0014は、キャリッジモータE0001、LFモータE0002、APモータE3005、およびPRモータE3006など各種モータに接続されて、各機能の駆動を制御する。キャリッジモータE0001は、キャリッジM4000を主走査させるための駆動源となるモータであり、LFモータE0002は、記録媒体を搬送するための駆動源となるモータである。またAPモータE3005は、記録ヘッドH1001の回復動作および記録媒体の給紙動作の駆動源となるモータであり、PRモータE3006は、フラットパス記録動作の駆動源となるモータである。さらにメイン基板E0014は、プリンタ各部の動作状態を検出するPEセンサ、CRリフトセンサ、LFエンコーダセンサ、PGセンサなどの様々なセンサに対し、センサ信号E0104によって制御信号および検出信号の送受信を行う。またメイン基板E0014は、CRFFC E0012および電源ユニットE0015のそれぞれに接続されると共に、パネル信号E0107を介してフロントパネルE0106との間にて情報の授受を行うためのインターフェースを有している。
フロントパネルE0106は、ユーザ操作の利便性のために、記録装置本体の正面に設けられたユニットであり、リジュームキーE0019、LED E0020、電源キーE0018、およびフラットパスキーを有する。さらにフロントパネルE0106は、デジタルカメラ等の周辺デバイスとの接続に用いるデバイスI/F E0100を有している。
図8は、メイン基板E1004の内部構成を示すブロック図である。
図8において、E1102はASIC(Application Specific Integrated Circuit)であり、制御バスE1014を通じてROM E1004に接続される。ASIC E1102は、ROM E1004に格納されたプログラムに従って各種制御を行う。例えば、各種センサに関連するセンサ信号E0104、およびマルチセンサE3000に関連するマルチセンサ信号E4003の送受信を行なう。さらにASIC E1102は、エンコーダ信号E1020の出力状態、およびフロントパネルE0106上の電源キーE0018、リジュームキーE0019、フラットパスキーE3004から出力状態を検出する。またASIC E1102は、ホストI/F E0017、フロントパネル上のデバイスI/F E0100の接続およびデータ入力状態に応じて、各種論理演算や条件判断等を行い、各構成要素を制御してインクジェット記録装置の駆動制御を司る。
E1103はドライバ・リセット回路であって、ASIC E1102からのモータ制御信号E1106に従って、CRモータ駆動信号E1037、LFモータ駆動信号E1035、APモータ駆動信号E4001およびPRモータ駆動信号E4002を生成する。これらの駆動信号に基づいて各モータが駆動される。ドライバ・リセット回路E1103は電源回路を有しており、メイン基板E0014、キャリッジ基板E0013、フロントパネルE0106などの各部に必要な電源を供給し、さらに電源電圧の低下を検出して、リセット信号E1015の発生および初期化を行う。
E1010は電源制御回路であり、ASIC E1102からの電源制御信号E1024に従って、発光素子を有する各センサ等への電源供給を制御する。ホストI/F E0017は、ASIC E1102からのホストI/F信号E1028を、外部に接続されるホストI/FケーブルE1029に伝達し、また、このケーブルE1029からの信号をASIC E1102に伝達する。
一方、電源ユニットE0015からは電力が供給される。供給された電力は、メイン基板E0014内外の各部に対して、必要に応じて電圧変換された上で供給される。また、ASIC E1102からの電源ユニット制御信号E4000が電源ユニットE0015に入力されることにより、記録装置本体の低消費電力モード等が制御される。
ASIC E1102は、1チップの演算処理装置内蔵の半導体集積回路であり、前述したモータ制御信号E1106、電源制御信号E1024、および電源ユニット制御信号E4000等を出力する。そしてASIC E1102は、ホストI/F E0017との信号の授受を行うと共に、パネル信号E0107を通じて、フロントパネル上のデバイスI/F E0100との信号の授受を行う。さらにASIC E1102は、センサ信号E0104を通じてPEセンサ、ASFセンサ等の各部センサ類を制御すると共に状態を検知し、またマルチセンサ信号E4003を通じてマルチセンサE3000を制御すると共に状態を検知する。さらにASIC E1102は、パネル信号E0107の状態を検知し、パネル信号E0107の駆動を制御して、フロントパネル上のLED E0020を点滅させる。
さらにASIC E1102は、エンコーダ信号(ENC)E1020の状態を検知してタイミング信号を生成し、ヘッド制御信号E1021によって記録ヘッドH1001とのインターフェースをとることにより、記録動作を制御する。エンコーダ信号(ENC)E1020は、CRFFC E0012を通じて入力されるエンコーダセンサE0004の出力信号である。また、ヘッド制御信号E1021は、フレキシブルフラットケーブルE0012を通じてキャリッジ基板E0013に入力され、前述のヘッド駆動電圧変調回路E3001およびヘッドコネクタE0101を経て記録ヘッドH1001に供給される。また、記録ヘッドH1001からの各種情報はASIC E1102に伝達される。それらの情報の内、吐出部毎のヘッド温度情報については、メイン基板上のヘッド温度検出回路E3002にて信号増幅された後、ASIC E1102に入力されることにより各種制御の判断に用いられる。
図8中、E3007はDRAMであり、記録用のデータバッファ、ホストコンピュータからの受信データバッファ等として利用され、さらに、各種制御動作に必要なワーク領域しても使用される。
4.回復動作
本実施形態において実行される回復動作としては、上述の吸引回復手段による吸引回復動作の他、記録ヘッドから記録に寄与しないインク吐出を行う予備吐出と、上記のクリーニング手段を用いたワイピング回復動作とが行われる。
予備吐出は、記録動作開始の前後および記録動作中に行われる回復動作であり、インクを吐出する吐出エネルギー発生素子(ここでは、電気熱変換素子)を駆動し、主にキャップ4A,4B内にインクを吐出することにより行う。例えば、キャップ4A、4Bをヘッド1A、1Bから離間するキャップオープン状態において、記録ヘッド1A、1Bの吐出口1Aa、1Baからキャップ4A,4B内のインク吸収部材9A、9Bに向けてインクを吐出する。
この予備吐出は、記録途中で吐出口部1Aa、1Baにおけるインクが増粘、固着することを防止するための回復動作であり、通常所定の時間間隔で行われる。なお、この予備吐出はキャップ4A,4Bとは別に設けられた不図示の予備吐出受けに向けて行っても良い。この予備吐出受けは、例えば、容器やインク吸収部材などで構成することができる。
また、ワイピング回復動作は、ワイパ10A,10Bによって各記録ヘッド1A,1Bの吐出口形成面の付着物を払拭する回復動作であるが、ここでは各ワイパ10A,10Bにウェット液を付着させて吐出口形成面を払拭するウェットワイピングを行う。
以下、このウェットワイピングによる回復動作を図9のフローチャートに従って説明する。なお、以下の回復動作の制御は、図7および図8に示す制御系おけるASIC E1102などの演算、判別、制御などの機能によって行われる。
ここでまず、インクジェット記録装置の電源オフ状態またはスタンバイ時の初期状態を説明する。初期状態の回復装置35を図3に示す。ここで、キャップ4A,4Bは各記録ヘッド1A,1Bの吐出口1Aa,1Baをそれぞれキャッピングしている。これにより、記録ヘッド1A,1Bの吐出口形成面への塵埃の付着、吐出口1Aa,1Baからのインクの蒸発などが防止される。
次に、電源が投入され、記録動作開始信号が受信されると、キャップ4A,4Bは矢印Cに示す方向へと移動(下降)する。その結果、キャップ4A,4Bは、図4に示すように各記録ヘッド1A,1Bの吐出口形成面から離間し、キャップオープンの状態となる。これでキャリッジ2は走査可能となり、記録動作が可能な状態となる。この記録可能状態で、以下のウェットワイピングが実施される。
図9は、本実施形態において実施されるウェットワイピングの動作手順を示すフローチャートである。図9において、ステップ1では、温度検出器36によって検出された温度に基づき、回復装置35における環境温度を検出する。ここで、検出温度が15℃以上であれば、ステップ7〜11の通常のウェットワイピングを行う。また、15℃未満であれば低温環境であると判断し、ステップ1〜6において本実施形態特有の動作を実行した後、通常のウェットワイピングを行う。
ここで先ず、ステップ7〜11に従って、通常のウェットワイピングを説明する。
通常のウェットワイピング動作では、各記録ヘッド1A,1Bおよびワイパクリーナ11A,11Bが記録媒体への記録を可能とする高さ位置(図4参照)に設定される(ステップ7)。このとき、ワイパ10A,10Bは、図4の(1)に示す待機位置にある。
次いで、ワイパ10A,10Bは、待機位置から矢印D方向へと移動し、(2)に示すように吐出口部1Aa,1Baを含む吐出口形成面を摺擦しつつ移動し、(3)に示す位置に達する。この間に吐出口形成面のクリーニングが行われる(ステップ8)。なお、このワイパ10A,10Bの(1)〜(3)への移動時には、キャッピング手段のキャップ4A、4Bは、不図示の駆動手段によって矢印C方向に移動(下降)している。これにより、ワイパ10A、10Bとキャップ4A,4Bとの干渉は回避される。
吐出口形成面のクリーニングが終了した後、ワイパ10A,10Bは、さらに矢印D方向へと移動し、図4の(4)に示すようにワイパクリーナ11A、11Bに摺擦しつつ移動する。この摺擦移動により、ワイパ10A、10Bに付着したインク滴、ごみ、ほこり、紙粉等は、対応するワイパクリーナ11A、11Bに転写され、ワイパ10A,10Bの表面は清掃される(ステップ9)。
この後さらにワイパ10A,10BはD方向へと移動し、位置(5)を経てウェット液転写部材21の当接部21aに当接し、ここで所定時間停止する(ステップ10)。この停止期間中に、ウェット液転写部材21の当接部21aからワイパ10A,10Bへとウェット液が移動する。以下、当接部21aからワイパへのウェット液の移動、ワイパへの付着のことを「ウェット液の転写」と言う。
ウェット液の転写後、ワイパ10A,10Bは、当接部21aとの当接位置(6)を折り返し位置として、矢印Eに示す方向へと移動し、待機位置(1)に戻る。この復帰動作において、ワイパクリーナ11A、11Bは、図示しない機構によって上昇し、退避している。またキャリッジ2も、ワイパ10A,10Bに対向するホームポジション(ワイピング可能位置)から、主走査方向(X方向)へと移動して、ワイパ10A,10Bとの接触を避けるようにしている。すなわち、ワイパ10A,10Bが記録ヘッドを行うワイピング面(ウェット液が転写されていない面)で、記録ヘッド1A,1Bの吐出口形成面が払拭されないようにしている。
以上のような通常のワイピング動作において、初回のワイピング時には、ウェット液がワイパに転写されていない状態で記録ヘッドの吐出口形成面を払拭することとなる。しかし、それ以降の通常のワイピング動作時には、ウェットワイピングが行われる。つまり、初回のワイピング動作によってワイパに転写したウェット液は、次回のウェットワイピングで用いられることになる。ここで、ウェット液は非常に蒸発しにくい性質を有しているため、次回のワイピング時にも蒸発によって消失していることはない。またウェット液は通常のインクジェット記録装置に用いられるインクに比べ、はるかに高い粘度を有しているため、ワイパに転写した後に流失することもない。また、初回のワイピングは、ウェット液を用いないドライワイピングとなるが、この1回のドライワイピングによる吐出口形成面の状態変化は、装置の耐久期間中に行われるワイピング動作回数からすれば、無視できる程度のものである。
次に、前述のステップ1において低温環境下(15℃未満)にあると判断された場合の動作を説明する。
本実施形態では、温度検出器36の検出温度が低温である場合にのみ、ワイパ10A,10Bを吐出インクで濡らし、そのインクをウェット液転写部材21に供給する動作を行う。
すなわち、ステップ2では、まず、図5に示すように、記録ヘッド1A,1Bおよびワイパクリーナ11A,11Bを、ワイパ1A,1Bと干渉しないような高さ位置へとリフトアップさせる。このリフトアップは、キャリッジ2を昇降させる図外の昇降機構によって行われる。
この後、ワイパ10A,10Bが、図5の(1)に示す待機位置から、記録ヘッド1A,1Bの吐出口形成面の下方位置(2’)へと移動し、停止する(ステップ3)。その状態で記録ヘッドがワイパに向けてインクを吐出し、ワイパ10A,10Bをインクで濡らす(ステップ4)。以下、この動作を濡らし予備吐出と言う。この濡らし予備吐出の後、ワイパ10A,10Bは、(3)→(4’)→(5)のように移動して、ワイパクリーナ11A,11Bの下方を通過し、(6)に示す位置に達する。その結果、ワイパ10A,10Bは、ウェット液保持部19のウェット液転写部材21の当接部21aに当接し、所定時間位置停止する(ステップ5)。この当接期間中に、ワイパ10A,10Bに付着しているインクは、当接部21aへと供給される。この状態を図6に示す。
図6に示すように、ウェット液転写部材21の当接部21aに供給されたインクは、ウェット液転写部材21で拡散し、ワイパ10A,10B上に付着したインク液滴の半径以上に広がって、周囲のウェット液の粘度を低下させる。これにより、ウェット液転写部材21からワイパ10A,10Bへのウェット液の転写量は、増粘時の転写量に比べて大幅に増大する。
この後、ワイパ10A,10Bは、ウェット液転写部材21との当接位置21aから待機位置へと移動する(ステップ6)。さらにステップ7では、記録ヘッド1A,1Bおよびワイパクリーナ11A,11Bが記録可能位置に移動(下降)する。すなわち、昇降機構の動作によって、記録ヘッド11A,11Bおよびワイパクリーナ11A,11Bは、図4に示す位置まで下降する。その後は、前述のステップ8〜11により前述のウェットワイピング動作が行われる。
このように、本実施形態では、低温環境下においても、ワイパ10A,10Bに対して十分にウェット液を転写させつつ、吐出口形成面を払拭する。このため、吐出口形成面に付着した異物は、ウェット液によって溶解されつつワイパ10A,10Bで払拭されることとなり、吐出口形成面からは確実に異物が除去される。また、ワイパ10A,10Bと吐出口形成面との間に介在するウェット液は、ワイピングにおける潤滑材としての機能を果たすため、円滑なワイピング動作が実現される。さらに、吐出口形成面にはウェット液の薄膜が形成され、これが吐出口形成面の保護膜として機能する。
このように、本実施形態によれば、ワイピングによるヘッド吐出口形成面の状態の変化(撥水性の劣化)を軽減することが可能となり、記録ヘッドの耐久期間の後期においても良好なインク滴の着弾精度を確保することができる。このため、初期の画像品質を継続的に維持することが可能になる。
但し、本実施形態では、ワイパへのインク付与を行うために、ワイパに向けてインクを吐出している。従って、ワイパ近傍がインクで汚れるという従来のインクウェットワイピングにおける問題は完全には解消されない。しかし、本実施形態では、環境温度に応じて必要なときにのみ、ワイパをインクで濡らすようにしている。従って、従来のインクウェットワイピングに比べ、ワイピング装置近傍の汚れは大幅に低減され、ワイピング装置の耐久性も大幅に向上する。
なお、上記のウェットワイピング動作は、従来より実施されているようなタイミングで行うことが可能である。例えば、記録ヘッドのキャップオープン状態が所定時間継続した場合、吐出口形成面が乾燥するのを回避するために、従来よりワイピング動作が行われている。これと同様に、本実施形態においてもキャップオープン状態の継続時間に応じてウェットワイピングを実施することが可能である。また、吐出口面がインクミストで汚れた状態を解消するため、吐出ドット数をカウントし、そのカウント値が所定量以上となった時点でワイピング動作を行うことも従来より実施されている。本実施形態においても、インク滴の吐出数に応じてウェットワイピングを行うことができる。
また、キャッピングを行う前にウェットワイピングを行うようにすることも有効である。さらに、吸引回復動作後には、比較的大量のインクが吐出口形成面に付着するため、吸引回復後あるいは予備吐出後に、本実施形態のウェットワイピングを行うことも望ましい。
5.ウェット液の粘度および転写量の測定結果
次に、低温環境下において上記の濡らし予備吐出と共にウェットワイピングを実施した際の、ワイパ10A,10Bに転写されるウェット液の粘度および転写量の測定結果を示す。
本実施形態では、下記の表1に示すような条件によって濡らし予備吐出およびウェットワイピングを実施した。
Figure 2007320164
この測定において、ワイパ10A,10Bは、幅(厚さ)1.5mmのポリエーテルウレタンによって構成している。従って、1200dpiのノズル配列密度を有する記録ヘッド1A,1Bを用い、インク滴の吐出量を3pl、濡らし予備吐出の発数を2000発とすると、ワイパ10A,10Bのエッジには0.43mmのインクが溜まることとなる。また、予備吐出の周波数は、実質的に6kHzに設定してあるため、濡らし予備吐出には約0.33秒の時間を要する。
また、ワイパ10A,10Bの機構的な停止位置精度の関係から、実際に濡らし予備吐出を行うノズル数はワイパ幅(厚さ)に相当する71ノズルではなく、200ノズルとした。これは、ワイパ10A,10Bの移動機構における停止位置精度を約±1.5mmと見積もったためである。このような調節は、ワイパ移動機構の停止位置精度に応じて適宜設定するものである。
表1のように濡らし予備吐にてワイパ10A,10Bにインクを付与してから、ワイパ10A,10Bを、図5において(3)→(5)→(6)と移動させ、ウェット液転写部材21の当接部21aに、上記の0.43mmのインクを供給した。このインク供給状態は図6に示されている。インクの組成にもよるが、インクジェット記録装置で用いられるインクは、通常、約60〜80%の水を含んでいる。そのためワイパ1A,1Bを介してインクが供給されたウェット液転写部材21の当接部21aは、当接部21aの近傍だけではあるがグリセリン水溶液に近い状態となる。下記の表2はグリセリン100%のウェット液が、グリセリン水溶液化したときの粘度を温度に応じて測定した結果を示している。
Figure 2007320164
表2に示すように、低温環境下でのグリセリン(Gly)の粘度は、わずかな水分比率の増加で急激に低下する。従って、吐出インクをワイパ1A,1Bを介してウェット液転写部材21の当接部21aに供給することで、その当接部21a付近のウェット液の粘度を大幅に低下させることができる。
いま仮に、前述したワイパ1A,1Bへ付与された0.43mmのインクの中の50%の水分がウェット液転写部材21の当接部21aに供給され、これによって95%のグリセリン水溶液が得られたとすると、その容積は4.3mmとなる。供給されたインクの浸透深さが不明ではあるが、これを仮に0.5mmとし、ウェット液転写部材21を構成するサンファイン(登録商標)AQ900の気孔率が約50%であるとする。この場合、インクが供給された個所を中心に直径5mm程度の部分に、95%グリセリン水溶液化が生じると考えられる。
すなわち図6の模式図に示すように、ウェット液転写部材21に供給されたインクは、ウェット液転写部材21で拡散し、その拡散範囲はワイパ10A,10Bにおけるインクの付着範囲以上となる。そして、このウェット液転写部材21におけるインクの拡散範囲に、ウェット液の粘度低下が生じる。このため、ウェット液転写部材21にインクが供給された場合には、ウェット液の増粘時よりも広い範囲からワイパ10A,10Bへとウェット液が転写され、これによってワイパ10A,10Bに対するウェット液の供給量が増加するものと考えられる。
以上のように、低温環境下で濡らし予備吐出を行ってワイパ10A,10Bにインクを付着させ、そのインクをウェット液転写部材21の当接部21aに供給することで、ウェット液の低温環境下での増粘を抑制することが可能となる。
このようにして、濡らし予備吐出によってウェット液の増粘を抑制した結果、ワイパ10A,10Bに対するウェット液の転写量は安定化(増加)することが実験的にも明らかになった。その実験における測定結果を表3に記す。
Figure 2007320164
この表3に示す参考例では、従来のウェットワイピングを用いた場合の転写量を示している。この参考例に示すように、従来の方式では、環境温度が25℃のときのウェット液の1回あたりの転写量は1.1mgとなった。同様に従来の方式では、環境温度が10℃である場合に、ウェット液の転写量が0.3mgにまで減少した。
これに対し、本実施形態の制御動作を行った場合、環境温度が25℃であるときには、従来の方式と同様にウェット液の転写量は、1.1mgに安定した。この場合、濡らし予備吐出は環境温度が高いため行われない。また、環境温度が10℃であるときには、前述の濡らし予備吐出が行われる。この予備吐出では、2000発のインク滴を吐出した。その結果、低温環境下でのウェット液の粘度上昇を抑制することが可能となり、ウェット液の転写量は0.8mgとなった。つまり、ほぼ常温に近い転写量が得られた。
以上の実験結果からも明らかなように、濡らし予備吐出によってワイパに付着させたインクをウェット液転写部材21に供給することにより、低温環境下であってもワイパ10A,10Bに対して十分なウェット液を転写することができた。
(第2の実施形態)
次に、本発明の第2の実施形態を説明する。
この第2の実施形態では、前回の濡らし予備吐出の後、インクジェット記録装置が放置されていた場合、その放置時間が所定時間を経過したときにのみ濡らし予備吐出を行ってウェット液転写部材21にインクを供給するものである。
すなわち、この第2の実施形態では、図10のフローチャートに示すような制御動作を行う。なお、図中、図9に示すフローチャートと同一の制御動作を行うステップには同一のステップ番号が付してある。
図10に示すように、この第2の実施形態では、上記第1の実施形態と同様に、まず、環境温度を判断する(ステップ1)。その後、次のステップ1Aにおいて前回の濡らし予備吐実行からの経過時間を判断する。経過時間の算出は、インクジェット記録装置がコイン電池等のバッテリーを備える場合には、その電源によって作動するタイマで経過時間を積算すれば良い。また、記録データのヘッダ情報としてインクジェット記録装置側で取得することが可能なタイマコマンドを用いて経過時間を求めることも可能である。
いずれにしろ、前回の濡らし予備吐からの経過時間が少ない場合(例えば、6時間以内の場合)は、ステップ2〜6での動作は実行せず、ステップ7〜11にて通常のウェットワイピングを行う。一方、低温環境下であり、かつ前回の濡らし予備吐出の実行からの経過時間が6時間以上である場合は、前回のワイピングによってウェット液転写部材21に供給したインク中の水分が蒸発している可能性がある。このため、ステップ2〜4によって再び濡らし予備吐出を実行してワイパ10A,10Bを濡らし、その後、ステップ5,6によってワイパ10A,10Bに付与したインクをウェット液転写部材21に供給するようになっている。
この第2の実施形態によれば、上記第1の実施形態よりもさらに濡らし予備吐出を行う回数を減らすことができる。このため、インク消費量を低減することが可能になると共に、ワイピング装置近傍の汚れを一層軽減することが可能になる。
(第3の実施形態)
次に、本発明の第3の実施形態を説明する。
この第3の実施形態では、環境温度に応じて濡らし予備吐出の吐出数を変更するようになっており、これにより上記第1の実施形態および第2の実施形態に比べ、下記の表4に示すように、より一層、インク消費量を低減することが可能になる。
Figure 2007320164
表4に示すように、この第3の実施形態では、制御温度範囲を細分化し、環境温度が低温であるほど濡らし予備吐の発数を増やすように制御している。つまり、第1の実施形態の表1における制御温度範囲を細分化したものと考えてよい。濡らし予備吐出の実行や、ワイパに付着させたインクの供給、ウェットワイピングの動作は、この第3の実施形態においても、第1の実施形態もしくは第2の実施形態と同様に行う。つまり、この第3の実施形態では、温度に応じた予備吐発数の制御のみが上記各実施形態と異なる。
表4に示す参考例では、濡らし予備吐出を行わずにそれぞれの環境温度でウェットワイピングを行ったときの、ワイピング1回あたりのウェット液の転写量が示されている。一方、表4に示すこの実施形態では、環境温度ごとに設定された濡らし予備吐出におけるインク滴の吐出数と、その予備吐出されたインクをウェット液転写部に供給した際のワイパ10A,10Bへのウェット液の転写量が示されている。
この第3の実施形態では、温度環境が15℃〜10℃の場合は濡らし予備吐出におけるインク滴の吐出数を、第1の実施形態における吐出数の半分(1000発)に設定している。そのため、若干ウェット液転写量が第1の実施形態に比べて少ないが、このような環境でインクジェット記録装置が用いられる頻度等を考慮すると、実質的に問題ないレベルのウェット液転写量が得られるといえる。また、濡らし予備吐出におけるインク滴の吐出数が第1の実施形態より少ないことから、ワイパ10A,10Bやワイピング装置近傍の汚れは、第1の実施形態に比べて軽減される。
このように、環境温度を細分化し、温度毎に濡らし予備吐出の吐出数を適正化することで、インク消費量をさらに低減することが可能になると共に、ワイパやワイピング装置近傍の汚れをより一層低減することができる。
(第4の実施形態)
次に、本発明の第4の実施形態を説明する。
この第4の実施形態では、濡らし予備吐を行うインク色を限定するものである。本実施形態においては、吐出口形成面に撥水処理を施した記録ヘッド(撥水ヘッド)の撥水性能を維持すること、すなわち濡れにくい状態を維持することを目的としている。
上記第1ないし3の実施形態では、濡らし予備吐出は全色のインクにおいて行っていたが、インクには吐出口面を濡らし易いインクと、濡らし難いインクがある。例えば、ブラックヘッド1Aが吐出するいわゆるマットブラックインクは、ここでは自己分散型の顔料インクを用いている。このマットブラックインクは、カラーヘッド1Bが吐出する他の樹脂顔料インクとは分散方法が異なるため、濡れ性にも差が生じる場合がある。また、カラーヘッド1Bから吐出されるシアン、マゼンタ、イエローの4色のインクに関しても濡れ性が同等である保証はない。特に、顔料の分散安定性を確保するために樹脂の種類を変更したり、種々の理由から各色毎のインク処方を異ならせたりした場合は、インクによって濡れ性の差が生じる場合がある。
このような場合にも、濡らし予備吐出によって各インクをウェット液転写部材21に供給すれば、ウェット液の粘度を低下させる効果は期待できる。しかし、次のウェット液の転写時において、ウェット液転写部材21に付着させた濡らし易いインクが、ウェット液転写部材21からワイパ10A,10Bへと逆に転写されてしまうことがある。その場合、次回のワイピングでは、好ましくない状態でワイピングが行われることになる。
そこで、この第4の実施形態では、濡らし予備吐出を行うインクを、吐出口形成面を濡らしにくい組成を有するインクに限定している。あるいは、顔料濃度の低いインクに限定しても良い。顔料インクは、顔料濃度が低いほど吐出口形成面を濡らしにくい性質を一般的に有しているからである。
この第4の実施形態では、マットブラックインクが他の樹脂顔料インクと比較して吐出口形成面を濡らし易い性質を有していることが判明したため、ブラックヘッド1Aのワイパ10Aは樹脂顔料インクであるカラーインクによって濡らすようにした。また、カラーインクの中でも、シアンインクは最も顔料濃度が低いため、本実施形態では、シアンインクによってワイパ10Aを濡らすようにした。これは、次のような手法によって行う。すなわち、まず、カラーヘッド1Bをワイピングするワイパ10Bを各カラーヘッド1Bから吐出されるインクで濡らした後、キャリッジ2の位置を主走査方向(図2におけるX方向)へと移動させ、シアンインクを吐出する記録ヘッド1Bの直上に位置させる。この記録ヘッドの位置制御は、記録動作時に使用される周知のエンコーダセンサ(不図示)からの信号に基づき行うことができる。この後、シアンインクを吐出させることによって、ワイパ10Aにシアンインクが付与される。
また、上記手法を用いることにより、ワイパ10Bの各ワイピング位置を、濡れにくいシアンインクのみを用いて濡らすようにすることも可能になる。また、インクの組成によっては、シアン以外のインクを用いて各ワイパ10A,1Bにおける各ワイピング位置を濡らすようにすることも可能であり、濡らし予備吐出に用いるインクは、適宜選択可能である。
このように、この第4の実施形態によれば、吐出口形成面を濡らしにくいインクのみを用いてワイパを濡らすようにしたため、吐出口形成面における撥水性を長期に亘って維持することが可能になり、より安定したインク吐出が可能になる。
なお、以上の説明においては、記録ヘッドの吐出性能を安定化させるために吐出口形成面に撥水処理を施した場合を例に採り説明したが、吐出口形成面の濡れ性を均一に保つためには、吐出口形成面に親水処理を施しても良い。吐出口形成面に親水処理を施した記録ヘッドを用いる場合には、前述とは逆に、濡らし易いインクを用いて濡らし予備吐出を行うようにする。この場合にも、キャリッジを移動させる上記手法を用いることによって、濡らし予備吐出に用いるインクを選択することが可能である。
(第5の実施形態)
次に、本発明の第5の実施形態を説明する。
この第5の実施形態では、濡らし予備吐出を行う際に、キャリッジ2をリフトアップせずにワイパ10A,10Bを濡らすようにしたものである。制御動作としては、上記第1、第3の実施形態において実行された図9および図10のステップ2を省略し、常に記録可能な高さにキャリッジ2を保持する。従って、通常のワイピング動作と同様にワイパ10A,10Bがヘッドを払拭するような撓んだ状態で濡らし予備吐を行うことになる。
この第5の実施形態によれば、キャリッジ2の昇降機構が不必要となり、コストダウンや装置の小型化が可能となる。但し、ワイパクリーナ11A、11Bの昇降機構は必要となるため、別途簡易な機構を設ける必要がある。通常、キャリッジ2のリフトアップのためにはキャリッジ2のガイド軸3をリフトアップさせることが必要となるため、昇降機構には、高い精度と複雑な構成を要求される。そのため、キャリッジ2の昇降機構を省略することができれば、大幅にコストダウンを図ることが可能となり、その高価は甚大である。
但し、この第5の実施形態では、吐出口形成面を払拭するような撓んだ状態のワイパ10A,10Bにインクが付与されることになるので、ワイパ10A,10Bの先端部より下方の腹の部分にインクが溜まり易くなり、先端部へのインク付与量はやや減少する。これに対し、ウェット液転写部材21の当接部21aには、ワイパ10A,10Bの先端部が当接することとなる。このため、ワイパの先端部へのインク付与量が減少する分、ウェット液転写部材21からワイパに転写されるウェット液の転写量も低下する傾向にある。
実際には、コストやインクジェット記録装置のサイズ、各インクに対する吐出口形成面の濡れ易さの程度、さらにはインクでの汚れを含めた製品寿命などを考慮した上で、記録ヘッド2をリフトアップする方式を採るか否かを選択すれば良い。
またこの第5の実施形態においては、図10のステップ3に示すように、濡らし予備吐位置でワイパ10A,10Bを停止させた後、濡らし予備吐を行うものとした。しかし、ワイパの移動動作に合わせて順次インクを吐出することにより、ワイパを濡らすようにしても良い。これによれば、濡らし予備吐出において、ワイパに吐出されるインクが外部に飛散することもなくなり、装置の汚損を低減することができる。
(第6の実施形態)
次に本発明の第6の実施形態を説明する。
この第6の実施形態は、図11および図12に示すように、記録ヘッド2の吐出口1Aa,1Bbの吐出口の配列方向(Y方向)に沿って複数のワイパを配列したものである。ここでは、各記録ヘッド1A,1Bの各吐出口形成面に対してそれぞれ3枚のワイパ10A1,10A2,10A3、10B1,10B2,10B3が吐出口の配列方向に所定の間隔を介して配置されている。各ワイパのうち、ワイパ10A1と10B1、10A2と10B2、10A3と10B3は、それぞれ同一形状をなすと共に、吐出口配列方向において同一位置に配置されている。従って、ここでは、紙面手前側に位置するワイパ10A1〜10A3の動作を例に採り説明する。なお、その他の構成は、上記各実施形態と同様であり、図11および図12において、図5に示す部分と同一もしくは相当部分には同一符号を付す。なお、ここでは、キャップなどの吸引手段については図示を省略している。
この第6の実施形態における各ワイパ10A1,10A2,10A3は、同一の保持部材に保持されており、ワイピング動作においてそれぞれが同時に同一方向へと移動する。ワイピング動作は、上記各実施形態と同様に、低温環境下において濡らし予備吐出を行い、その後、ウェットワイピングを行う。但し、ここでは、3枚のワイパ10A1,10A2,10A3のうち、ウェットワイピングを行うワイパは、先頭に位置する第1のワイパ10A1のみとなっており、後続のワイパ10A2,10A3にはウェット液の転写は行わない。
すなわち、第1のワイパ10A1は、上記各実施形態と同様に、濡らし予備吐出によってインクを付与された後、ウェット液転写部材21の当接部21aに当接し、インクを当接部1aに供給する。そして、後続のワイパ10A2,10A3がウェット液転写部材21に当接しない状態のまま、各ワイパ10A1,10A2,10A3は待機位置へと復帰する。従って、吐出口形成面に対するワイピング動作では、ウェット液の転写された先頭のワイパが、吐出口形成面に接触しつつ移動し、吐出口形成面にウェット液を塗布する。これにより、吐出口形成面に付着していた増粘インクやほこりなどの異物は溶解し、その後、その溶解した異物を後続のワイパ10A2,10A3が払拭して行く。このように、ウェット液による異物の溶解と、異物の払拭とを異なるタイミングで行うことにより、吐出口形成面にはより良好な清掃状態を得ることができる。また、このウェットワイピングは、記録ヘッド1Bに対しても、ワイパ10B1,10B2,10B3を用いて同様に行われる。
なお、上記第6の実施形態においては、各ワイパのうち、ワイピング方向における先頭のワイパに対してのみウェット液を転写するものとしたが、全てのワイパにウェット液を転写させるようにすることも可能である。この場合、低温環境下において実施する濡らし予備吐出は、全てのワイパに対して行うことも可能であるが、先頭のワイパのみに行っても良い。すなわち、複数枚のワイパを用いる場合には、低温度環境において少なくとも先頭のワイパに濡らし予備吐出を行うようにすれば良い。
(その他の実施形態)
本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、ウェット液、ウェット液保持部、ウェット液転写部材等の材料や、吐出口形成面の状態の撥水性、非撥水性および親水性等も適宜変更可能である。また、インクの濡れ性の指標であるインク表面張力や、吐出口形成面に対するインクの接触角等についても、種々の変更が可能であり、様々な形態に変形可能である。さらに、本明細書中では顔料インクを用いた場合を例として挙げているが、染料インクであっても本発明を適用することは可能である。
また、上記実施形態では、ウェット液に増粘が生じる環境を検出するため、温度検出器によって回復装置周辺の環境温度を検出するようにしたが、ウエット液に増粘は低湿度の環境においても生じる。従って、周知の湿度検出器などによって回復装置周辺の湿度を検出し、その湿度に応じてウェット液の転写を行うようにすることも可能である。さらに、環境温度と環境湿度の双方に基づいてワイパへの転写動作を制御するようにしても良い。
また、本発明は上記のようなワイパが往復動作を行う構成に限るものではなく、前述の特許文献2に示されるような、回転ワイパを用いたウェットワイピングの機構を有するインクジェット記録装置にも本発明は有効である。
また、上記実施形態では、ワイパ10A,10Bの折り返し位置を、ウェット液転写部材21との当接位置21a((6)に示す位置)に設定した。このため、上記各実施形態で行われるワイピングは、全てウェットワイピングを行うようになっている。しかし、ウェットワイピングと、ドライワイピングとを選択的に実施できるようにすることも可能である。例えば、図5に示すワイピング移動経路の中で、(5)に示す位置と(6)に示す位置との間に第2の折り返し位置を設定し、その第2の位置から待機位置(1)に戻るようにする。これによれば、ウェット液の転写工程((6)の第1の折り返し位置まで移動してから待機位置(1)へ戻る工程)を含むウェットワイピングと、ウェット液の転写を含まないドライワイピング工程とを選択的に実施することが可能になる。そして、このような複数のワイピング工程を実施可能とする回復装置場合にも、本発明は有効である。
本発明の実施形態におけるインクジェット記録装置の概略構成を示す斜視図である。 本発明の第1の実施形態における回復装置を示す正面図である。 図2に示す回復装置を示す側面図であり、キャッピング状態を示している。 図2に示す回復装置を示す側面図であり、記録可能な状態を示している。 図2に示す回復装置を示す側面図であり、濡らし予備吐出が行われる状態を示している。 本発明の実施形態における回復装置のウェット液転写部材にインクが供給された状態を模式的に示す斜視図である。 図1に示すインクジェット記録装置に設けられている電気回路構成を示すブロック図である。 図7に示すメイン基板の内部構成を示すブロック図である。 本発明の第1の実施形態におけるウェットワイピングの制御動作を示すフローチャートである。 本発明の第2の実施形態におけるウェットワイピングの制御動作を示すフローチャートである。 本発明の第6の実施形態における回復装置を示す側面図であり、吐出口形成面払拭時の状態を示している。 本発明の第6の実施形態における回復装置を示す側面図であり、ウェット液転写時の状態を示している。 グリセリンの温度−粘度曲線を示す図である。
符号の説明
1A マットブラック
1B カラーヘッド
2 キャリッジ
3 主走査レール
4A ブラック用のキャップ
4B カラー用のキャップ
5A、5B 吸引ポンプ
9A、9B インク吸収部材
10A ブラックヘッド用のワイパ
10B カラーヘッド用のワイパ
11A、11B ワイパクリーナ
1Aa、1Ba 吐出口
35 回復装置
36 温度検出器
19 ウエット液保持部
20 ウェット液保持部材
21 ウェット液転写部材
21a 当接部

Claims (14)

  1. インクの吐出口が形成された記録ヘッドの吐出口形成面をワイピングするワイパを備えたインクジェット記録装置において、
    前記ワイパのワイピング動作に用いる処理液を保持すると共に、前記ワイパとの接触によって前記処理液を前記ワイパに転写させる転写部を有する処理液保持部と、
    前記ワイパを介して前記転写部にインクを供給するインク供給手段と、を備えたことを特徴とするインクジェット記録装置。
  2. 前記インク供給手段は、前記処理液保持部に保持されている前記処理液の粘度が増大する環境にあるとき、前記ワイパを介して前記転写部にインクを供給することを特徴とする請求項1に記載のインクジェット記録装置。
  3. 前記処理液保持部に保持されている前記処理液の粘度が増大する環境であるか判断する判断手段をさらに備え、
    前記インク供給手段は、前記判断手段の判断結果に基づいて、前記転写部に対し前記ワイパを介してインクを供給することを特徴とする請求項1または2に記載のインクジェット記録装置。
  4. 前記判断手段は、前記処理液保持部の置かれている環境の温度を検出する温度検出手段を備えることを特徴とする請求項3に記載のインクジェット記録装置。
  5. 前記判断手段は、前記処理液保持部の置かれている環境の湿度を検出する手段を備えることを特徴とする請求項3または4に記載のインクジェット記録装置。
  6. 前記判断手段は、前記転写部に対して最後にインクが供給されてからの経過時間を求める計時手段を有し、
    前記インク供給手段は、前記処理液保持部の置かれている環境の温度および/または湿度と、前記経過時間と、に応じて前記転写部に対し前記ワイパを介してインクを供給することを特徴する請求項3ないし5のいずれかに記載のインクジェット記録装置
  7. 前記インク供給手段は、前記温度検出手段によって検出された温度が所定の温度よりも低い場合に、前記転写部に対し前記ワイパを介してインクを供給することを特徴とする請求項4に記載のインクジェット記録装置。
  8. 前記インク供給手段は、前記温度検出手段により検出された温度が低温であるほど、前記ワイパを介して前記転写部に供給するインク量を増加させることを特徴とする請求項7に記載のインクジェット記録装置。
  9. 前記転写部に対して供給されるインクは、前記吐出口から前記ワイパへ吐出されるインクであることを特徴とする請求項1ないし8のいずれかに記載のインクジェット記録装置。
  10. 前記記録ヘッドは、複数種のインクを吐出可能であり、
    前記吐出口から前記ワイパへ吐出されるインクは、前記複数種のインクの中から選択された少なくとも1種類のインクであり、前記選択されたインクは、前記吐出口形成面の濡れ性の均一化に適したインクであることを特徴とする請求項9に記載のインクジェット記録装置。
  11. 前記記録ヘッドは、撥水処理された吐出口形成面を有し、
    前記選択されたインクは、吐出口形成面を濡らしにくいインクであることを特徴とする請求項10に記載のインクジェット記録装置。
  12. 前記処理液は、エチレングリコール、ジエチレングリコール、グリセリン、ポリエチレングリコール等の多価アルコール類の単独溶剤または混合溶剤または水溶液であることを特徴とする請求項1ないし11のいずれかに記載のインクジェット記録装置。
  13. 前記処理液保持部は、繊維からなる吸収体、または連泡性の発泡体によって形成され、前記ワイパとの接触によって処理液を転写することを特徴とする請求項1ないし12のいずれかに記載のインクジェット記録装置。
  14. インクの吐出口が形成された記録ヘッドの吐出口形成面をワイパによってワイピングすることにより、前記吐出口の吐出性能を回復させる記録ヘッドの回復方法であって、
    前記ワイパのワイピング動作に用いる処理液を保持する処理液保持部に対し、前記ワイパを接触させて前記処理液を前記ワイパに転写させる転写工程と、
    前記ワイパを介して前記転写部にインクを供給するインク供給工程と、を備えたことを特徴とする記録ヘッドの回復方法。
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