JP4769522B2 - 記録ヘッドの回復装置およびインクジェット記録装置 - Google Patents

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Description

本発明は、記録ヘッドに形成されるインク吐出口の形成面をワイパーによって払拭することにより記録ヘッドの吐出性能とプリント品質を維持させる記録ヘッドの回復装置、およびこれを備えたインクジェット記録装置に関する。
現在、記録情報に基づいて紙、布、プラスチックシート、OHP用シート等の記録媒体に画像(文字や記号等を含む)を記録する記録装置としては、種々のものが知られている。例えば、プリンタ、複写機、ファクシミリ等の機能を有する記録装置、あるいはコンピュータやワードプロセッサ等を含む複合型電子機器やワークステーションなどの出力機器として用いられる記録装置等がある。こうした記録装置のうち、記録手段(記録ヘッド)から記録媒体上へインクを吐出して記録を行うインクジェット式の記録装置(インクジェット記録装置)は、以下のような種々の利点を有している。すなわち、インクジェット記録装置は、記録手段のコンパクト化が容易であり、高精細な画像を高速で記録することができる。また、インクジェット記録装置は、普通紙に特別の処理を必要とせずに記録することができるため、ランニングコストが安く、しかもノンインパクト方式であるため騒音が少ないという利点もある。さらに、多種類のインク(例えばカラーインク)を使用することによって、カラー画像の記録にも容易に対応できるという利点もある。
記録ヘッドの吐出口からインクを吐出するために利用されるエネルギーを発するエネルギーの発生素子としては、ピエゾ素子等の電気機械変換体を用いるもの、発熱抵抗体を有する電気熱変換体によって液体を加熱するものなどがある。さらに、レーザー等の電磁波を照射して発熱させ、この発熱作用によってインク滴を吐出させるもの等も知られている。その中でも、熱エネルギーを利用してインクを滴として吐出するインクジェット式の記録手段(記録ヘッド)は、吐出口を高密度に配列することができるため高解像度の記録をすることが可能である。特に、電気熱変換体素子を用いる記録ヘッドは、著しい進歩を遂げた最近の半導体技術や、信頼性の高いIC技術およびマイクロ加工技術などの長所を十分に活用することができる。このため、高密度実装化が容易で製造コストが安価であり、かつ小型化が可能なことから有利なものとして知られている。
また、記録媒体の材質に対する要求も様々であり、近年では、これらの要求に対するインクジェット記録装置の開発も進んでいる。例えば、通常の記録媒体である紙(薄紙や加工紙を含む)や樹脂薄板(OHP等)などの他に、布、皮革、不織布、さらには金属等を記録媒体として用いることができるインクジェット記録装置も存在しており、広範な技術への適用が可能になっている。
このような、インクジェット記録装置には、シリアル型の記録装置と、ライン型の記録装置とに大別される。シリアル型の記録装置は、記録媒体を間欠的に搬送すると共に、記録媒体の停止時において記録媒体の搬送方向と交叉する方向に記録ヘッドを移動させつつインク吐出を行って画像(文字や記号等も含む)の記録を行う。また、ライン型の記録装置は、適用する記録媒体の全幅あるいはそれを超える範囲に亘って延在する長尺な記録ヘッドを定位置に配置し、その記録ヘッドの延在する方向と交差する方向に連続的に記録媒体を搬送して画像の記録を行う。
ところで、インクジェット記録装置では、記録ヘッドの吐出口形成面に、インク滴、ごみ、ほこり、紙粉等の異物が付着することがあり、これがインク吐出口から吐出されるインクの吐出方向を乱す要因となることがある。そこで、これらの異物を除去するためにクリーニング部材により記録ヘッドの吐出口形成面のクリーニング(例えば摺擦による拭き取り)が行われている。
また、記録ヘッドの吐出口近傍のインクが乾燥し、インクの増粘、固着および堆積などにより吐出口の目詰まりが生じることがある。さらに、吐出口に連通するインクの液路に発生した気泡やゴミ等によっても吐出口の目詰まりが生じることがある。これらの目詰まりを回復(予防、解消等)する方法としては、例えば、吐出口よりインクを強制的に排出する吸引回復方法が採られている。この吸引回復方法では、記録ヘッドの吐出口形成面にキャッピング部材を密着させて密閉系を形成し、ポンプを用いてキャッピング内に負圧を発生させることにより、吐出口よりインクを強制的に吸引する。また、この吸引回復動作を行うことによって、吐出口形成面にはインクが付着することがあり、この付着したインクを除去するために、前述のクリーニング部材により吐出口形成面をクリーニング(拭き取り)することも行われている。クリーニング部材としては、通常、ゴム状弾性材等の可撓性部材からなる薄板状のワイパーが使用される。
インクジェット記録装置に用いるインクとしては、従来は水性染料インクを用いたものが主流であった。しかし、染料インクはそもそも染料の分子が小さいがゆえに耐光性、耐ガス性といったいわゆる耐候性が不十分であり、記録物の色味が経時的に変化してしまうという問題がある。そこで、近年では水性染料インクの代わりに水性顔料インクが使用されることも行われている。現在用いられている顔料インクは、顔料の粒径がおよそ100nm程度と染料分子に比較してはるかに大きいため、光やオゾンの影響を受けたとしても、顔料インクの色材は退色が少なく、耐候性は染料インクに比較してはるかに良好である。
しかしながら、従来のインクジェット記録装置において上記のようなクリーニングや吸引回復などの回復動作を行った場合、顔料インクは染料インクよりもクリーニング性に劣ると共に、装置の耐久性が低下するという問題が生じる。すなわち、顔料インクは、染料インクよりも増粘、固着までの経過時間が短いため、クリーニング部材によって掻き取る(または拭き取る)場合のクリーニング性が染料インクを用いる場合より劣る。このため記録手段のヘッド面にクリーニング部材を摺擦させてクリーニングしても、そのヘッド面に薄膜状にインクが堆積したり、さらに堆積したインクが固着したりすることがある。この場合、クリーニング動作によって記録ヘッドを十分に回復させることができないという問題が生じる。
また通常、染料インクは染料分子そのものが水溶液中に分散(溶解)しているが、顔料インクの顔料粒子は親水性を持たず、疎水性であるため、水には溶解しない。このため、顔料インクに水溶性を付与するために、顔料粒子に樹脂や活性剤等を吸着させることにより、顔料分散体として親水性を与えて水溶液中に分散させている。また、顔料粒子の構造自体の末端に親水基を持たせることで水溶液中に自己分散させることも行われている。
但し、このようにして水溶性を持たせた顔料インクにおいて、顔料粒子そのものは疎水性であるため、染料インクと比較して記録ヘッドから顔料インクを吐出させたときに吐出口形成面が顔料インクで濡れ易くなる性質がある。特に、前述した樹脂を用いて顔料を分散させている、いわゆる樹脂分散系の顔料インクでは、顔料粒子とともに樹脂も濡らし易い性質があるため、吐出口形成面の濡れ易さは一層顕著になる。また顔料粒子が吐出口形成面に存在する状態でクリーニング部材によって動作を行った場合、吐出口形成面へのダメージ(削れ)が生じ、これもフェイス面を濡れ易くする一因となる。このようにして吐出口面が濡れると、インクの吐出する方向性が安定しなくなり、インクが被記録媒体上に着弾する位置精度が悪くなり画像品位が低下する。
上記の問題に対して、記録ヘッドの吐出口面に顔料インクを弾くいわゆる撥水処理を施した記録ヘッドを用いれば、初期には吐出されるインクの方向性は安定する。しかし、基本的に顔料インク等の濡れ易いインクを用いた場合は、徐々に撥水性が劣化し吐出の方向性は不安定となる。また、記録ヘッドの吐出特性維持のために行なわれるクリーニング部材による払拭動作を行うことによっても、結果的に濡れ易い顔料インクを吐出口面に広げてしまうためその撥水性は劣化していき、画像品位の劣化を生じてしまう。このため顔料インク用のヘッドとしては吐出口周辺のみを最初から親水化したような記録ヘッドも提案されている(特許文献1参照)。しかしながら吐出口面の撥水性、または親水性等の性質は長期間維持できるものではなく、経時的に劣化していく。比較的知られているUVオゾン処理等でも処理直後は親水性を有するが、時間と共にその親水性の程度が変化(劣化)してしまうことがある。
このようなフェイス面の撥水性能もしくは親水性能の変化の問題に対しては、いわゆるウェットワイピングと言う技術が知られている(特許文献2参照)。これはフェイス面を払拭するワイパー(クリーニング部材)に、例えばグリセリンやポリエチレングリコール等の揮発性のきわめて低い溶剤(以下ウェット液と言う)を付着させて、そのワイパーにて吐出口形成面を払拭する技術である。これによれば、吐出口形成面の濡れ性の変化を軽減することができる。また、ウェット液の作用としては、第1に吐出口形成面に蓄積されたインク増粘物や増膜物を溶解する作用、第2にワイパーと吐出口形成面との間に介在することにより潤滑材として作用、第3に吐出口形成面を保護するための膜を形成する作用がある。
以下、従来一般に行われているウェットワイピング装置を含めた記録ヘッド回復装置の構成例を説明する。
図4はインクジェット記録装置のヘッド回復装置を前面方向から見て示す模式的正面図であり、図5は図4のヘッド回復装置を側面から見て示す模式的側面図である。
図4および図5において、1Aは普通紙やマット紙等に好適な、いわゆる上乗せ系の表面張力の高いブラック顔料インク(以下マットBkインクと言う)を吐出するマットBkヘッドである。1Bはインクジェット光沢紙や写真用紙等に好適な、いわゆる浸透系の表面張力の低いカラー顔料インク(ここでは、ブラック、シアン、マゼンタ、イエローの4色のインク)を吐出するカラーヘッドである。なおカラーヘッド1Bのこれらのインクはインクジェット記録媒体上でのインクの定着のために樹脂を添加することが多く、以下ではこれらカラー顔料インクを樹脂顔料インクとも言う。2はマットBkヘッド1Aおよびカラーヘッド1Bを位置決め保持するキャリッジであり、3は記録方向である矢印A方向に往復移動可能な状態でキャリッジ2を案内保持する主走査レールである。
さらに、4Aはブラックヘッド1Aの吐出口部1Aaに密閉系を形成する(キャッピングする)ゴムキャップ(マットBkヘッド用のキャップ)である。4Bはカラーヘッド1Bの吐出口部1Baに密閉系を形成する(キャッピングする)ゴムキャップ(カラーヘッド用のキャップ)である。これらのゴムキャップ4A、4Bは、不図示の駆動源によりキャッピング方向(矢印B方向)および非キャッピング方向(矢印C方向)へと移動可能に不図示のホルダ部材によって保持されている。この両キャップによって顔料インクヘッド用のキャッピング手段が構成されている。
図4および図5において、前記ゴムキャップ4A、4Bのそれぞれの内部には、インクを吸収保持するためのキャップ吸収部材9A、9Bが設けられている。また、吐出口部1Aa、1Baおよびこれに連通する液路中にインクが増粘して固着堆積することを防止するため、記録動作停止時および記録中にも、各記録ヘッドの吐出口から所定の時間間隔でキャップ吸収部材9A、9Bに対して予備吐出が行われる。また、5AはマットBkヘッド用の吸引ポンプ(吸引手段)であり、5Bはカラーヘッド用の吸引ポンプ(吸引手段)である。
上記構成において、記録ヘッド1A、1Bに対して吸引回復を行う場合には、まず、ゴムキャップ4A,4Bによって吐出口およびその周辺を含む吐出口部1Aa、1Baを覆い、密閉系を形成する。次いで、吸引ポンプ5A,5Bによってゴムキャップ4A、4B内に所定の吸引圧(負圧)を発生させ、吐出口および液路内のインクを、第1チューブ6A、6Bを介して吐出口部1Aa、1Baより強制的に吸引する。ここで吸引したインクは第2チューブ7A、7Bを介して廃インク処理部材8へ排出する。この後、吸引回復動作によって吐出口形成面に付着したインクを除去するためのクリーニング動作を、クリーニング部材としてのワイパー10A、10Bを用いて行う。ここで、10AはマットBkヘッド用のワイパーであり、10Bはカラーヘッド用のワイパーである。これらのワイパーはウレタン、ブチル、シリコン等のゴム部材又は多孔質のスポンジ系の材質等で形成されている。
ワイパー10A、10Bは、不図示の駆動源により図5中、矢印Dおよび矢印Eの方向に移動可能である。矢印D方向へとクリーニング部材10A、10Bが移動することにより、吐出口部1Aa,1Baを含む吐出口形成面は、ワイパー10A、10Bが(イ)→(ロ)→(ハ(破線にて示す))の順に移動し、吐出口形成面はクリーニング(拭き取り清掃)される。クリーニングが終了した後、ワイパー10A、10Bがさらに矢印D方向に移動すると、ワイパー10A、10Bはワイパー清掃部材11A、11Bに当接する((ニ)破線にて示す)。この当接により、吐出口形成面から掻きとられてクリーニング部材10A、10Bに付着したインク滴、ごみ、ほこり、紙粉等の異物は、対応するワイパー清掃部材11A、11Bに転写されて(拭き取られて)回収される。
この時、キャッピング手段のキャップ4A、4Bは、不図示の駆動源により矢印C方向へと移動(後退)し、クリーニング手段のワイパー10A、10Bと干渉しない位置(不図示)まで退避している。
ウェットワイピングのウエット液供給ユニット20は、ワイパー10A、10Bよりも図中右側のワイパー折り返し位置近傍に設けられている。このウエット液供給ユニット20において、21はウェット液保持部で、繊維からなる吸収体等の保持部材でウェット液を保持している。22はワイパー10A、10Bが当接した際に、ウェット液をワイパー10A、10Bに付与する当接部材であり、ウエット液保持部21の底面部および側面部に接触している。この当接部材22は、ウェット液保持部21の毛管力よりも強い毛管力を持つ部材で構成されているため、ウェット液保持部21に含まれるウエット液は当接部材22へと確実に供給される。ワイパー10A、10Bは図中左側からワイパー清掃部材11A、11Bにて清掃された後、ここを通過してウェットワイピングのウェット液供給ユニット20に達する。すなわち、(イ)→(ロ)→(ハ)→(ニ)→(ホ)→(ヘ)の動作を行う。ワイパー10A、10Bは左右に往復動するが、折り返し位置にてワイパー10A、10Bが図4の(ヘ)のように当接部材22に当接部22aで当接する。そして当接部22aにて所定のニップ幅分に応じてウェット液が付着する。以下、当接部22aからワイパー10A、10Bへのウェット液の移動、すなわちワイパー10A、10Bへの供給を「ウェット液の転写」とも言う。以上、(イ)〜(ヘ)の動作を繰り返すことにより、フェイス面の状態は良好に維持される。
特開平11−334074号公報 特開平10−138502号公報
しかしながら、上記のようにウェットワイピングを搭載したインクジェット記録装置においては、以下に示す問題がある。
(1)プリンタ姿勢によるウェット液漏対策に対する問題
上記従来の技術では、図5におけるウェット液保持部21に繊維からなる吸収体等の処理液保持部材を充填し、この処理液保持部材にウェット液を含浸させて保持している。これは、記録装置使用時や記録装置を輸送する際の姿勢の傾きなどによってウェット液が漏れるのを防止するためである。しかし高耐久および長期使用を目指した製品では、多量のウェット液を保持させることが必要なため、保持部材も大容量化する必要があり、保持部材によるコスト増大が生じるという問題がある。
(2)ウェット液の吸湿・膨張による問題
ウェット液の材料として使用されるグリセリンは、高湿環境下で多量の水分を吸湿する作用があり、湿度80%環境下では自重とほぼ同重量、湿度85%環境下では自重の約4倍の水分を吸湿してしまう。このため図5におけるウェット液保持部21が密閉されていない場合、ウェット液保持部21は搭載するウェット液の数倍の体積がないと、環境変化による吸湿作用によりウェット液がウェット液保持部21から溢れてしまう。よって高耐久および長期使用を目指した製品では、搭載するウェット液の重量が大きくなることに加え、吸湿による膨張分も考慮したウェット液保持部21の体積および内部の吸収体の体積も非常に大きくなる。このためインクジェット記録装置の大型化という問題が発生する。また、前述したように処理液保持部材である吸収体も大きくなることでコスト増大という問題も生じる。
この問題を回避するために、ウェット液保持部21および当接部22aを密閉することも考えられている。しかし、ウエット液保持部21を密閉したままでは、ウェット液保持部21から当接部22aへのウエット液の移動が困難になり、しかも当接部22aを密閉するには、構造が複雑化し、コスト増大を招くという問題も生じる。
本発明は、上記従来技術の問題に着目してなされたもので、簡易かつ安価な構成で、ウェット液の吸湿やインクジェット記録装置の姿勢変化によるウェット液の漏れを防止することが可能な記録ヘッドの回復装置およびインクジェット記録装置の提供を目的とする。
上記目的を達成するため、本発明は以下の構成を有するものとなっている。
すなわち、本発明の第1の形態は、記録ヘッドの吐出口形成面を払拭するためのワイパーと、前記吐出口形成面の払拭効果を向上させる処理液を保持するための第1の処理液保持部と、を備え、該第1の処理液保持部から前記ワイパーに処理液が転写されるインクジェット記録装置において、前記第1の処理液保持部に供給される処理液を保持するための第2の処理液保持部と、該第2の処理液保持部から前記第1の処理液保持部へ処理液を供給するための処理液流路と、該処理液流路に配され、前記第2の処理液保持部から前記第1の処理液保持部へ処理液が供給される状態と供給されない状態とを切り替えるための処理液流路弁と、前記第1の処理液保持部から前記第2の処理液保持部へ空気を供給するための空気流路と、該空気流路に配され、前記第1の処理液保持部から前記第2の処理液保持部へ空気が供給される状態と供給されない状態とを切り替えるための空気流路弁と、
を備えることを特徴とする。
本発明は、密閉可能な第2の処理液保持部から第1の処理液保持部へと処理液を供給するようにしたため、ウェット液の吸湿や記録装置の姿勢変化によるウェット液の漏れを軽減することが可能になる。また、第2の処理液にインクを吸収体などを介さずに貯留することが可能であるため、安価に構成することが可能になると共に、大容量のインクを貯留することができる。このため、記録ヘッドの吐出口形成面をウエット液が適正に供給されたワイパーによって払拭することが可能となり、吐出口形成面を長期に亘って適正な状態に保つことができる。
次に、図面を参照して本発明の実施の形態を説明する。
以下、[1]インクジェット記録装置の概略説明、[2]回復装置の概要、[3]記録ヘッドの概要、[4]本発明におけるウエット液供給機構の詳細な構成および動作を、順次説明する。
[1]本体の概略説明
図1は、本発明の実施形態におけるインクジェット記録装置の全体構成を概略的に示す斜視図である。ここに示すインクジェット記録装置は、記録媒体を間欠的に搬送すると共に、記録媒体の搬送停止状態において記録ヘッドを主走査方向へと移動させつつインクを吐出させて記録を行う、いわゆるシリアル型インクジェット記録装置となっている。
図1において、記録用紙等の記録媒体15は、給紙ローラ16によって装置本体内に送り込まれ、搬送ローラ12上でピンチローラ(不図示)および押え板13により挟持される。そして、搬送ローラ12を所定量ずつ間欠的に回転させることにより、マットBkヘッド1Aおよびカラーヘッド1Bのインク吐出口が形成される面(吐出口形成面)から所定の隙間をおいた位置(記録位置)を経て記録媒体が搬送される。記録媒体の搬送動作が停止状態にあるとき、キャリッジ2を主走査レール3に沿って主走査方向(X方向)へ移動し、その間に、キャリッジ2に搭載されている記録ヘッド1を記録データに基いて駆動することによりインクを吐出し、記録を行う。この記録媒体の搬送動作と、記録ヘッドによる記録動作とを繰り返すことにより、記録媒体全体に画像(文字、図形等を含む)が記録される。なお、キャリッジ2の移動範囲内であって、記録媒体への記録を行う領域(記録領域)を外れた位置(図示の右側端部)には、キャリッジ2のホームポジションHPが設定されており、このホームポジションHPの近傍には、温度センサ17が設けられている。
[2]回復装置の概要
前記ホームポジションHPの近傍には、マットBkヘッド1Aおよびカラーヘッド1Bなどの各記録ヘッドの吐出性能を維持するための記録ヘッド回復装置が設けられている。この記録ヘッド回復装置は、各記録ヘッドに対して吸引回復動作を行う吸引回復機構と、各記録ヘッドの吐出口形成面に付着したインクをワイパーにて除去するクリーニング機構と、を有する。
このうち、吸引回復機構は、図4および図5に示した従来の吸引回復装置と同様の構成を有している。すなわち、吸引回復機構には、マットBkヘッド1Aおよびカラーヘッド1Bの吐出口形成面に密着して吐出口を密封することが可能なゴム状弾性材のキャップ4A、4Bを有するキャッピング手段が設けられている。さらに、吸引回復機構には、前記キャップ4A、4Bと、このキャップ4A、4Bにチューブ6A、6Bを介して連結された吸引ポンプ5A、5Bと、これに第2チューブ7A,7Bを介して連結された廃インク処理部材8とが設けられている。吸引回復動作時には、キャップ4A、4Bを各記録ヘッドの吐出口形成面にそれぞれ密着させた状態(キャッピングした状態)で、ポンプ5A、5Bによってキャップ4A、4B内に負圧を発生させる。この負圧により吐出口に付着したインク、増粘インク、気泡、固着インクおよびほこり等の異物が吸い出され、廃インク処理部材8へと排出される。なお、この吸引回復動作は、記録開始直前や、記録中の所定の記録時間又は記録動作ごとに、あるいはヘッドの回復操作が必要になったことを検知したときなどに、必要性を考慮して実行される。
また、クリーニング機構には、マットBkヘッド1Aおよびカラーヘッド1Bの各吐出口形成面に付着したインクやほこり等の異物を掻き取る(拭き取る)ためのワイパー機構が設けられている。このワイパー機構は、各記録ヘッドに摺接可能なワイパー10A,10Bと、このワイパーを主走査方向と直交する方向へと移動させる図外の移動手段とを有する。このワイパー機構についても、上記従来技術と同様の構成を有している。但し、本実施形態におけるクリーニング機構は、ワイパー10A、10Bに吐出口形成面の濡れ性の変化を軽減するためのウエット液(処理液)を供給するウエット液供機構(処理液供給機構)が従来のものと異なる。このウエット液供給機構については、後に詳述する。
[3]記録ヘッドの概要
記録手段1としての前記マットBkヘッド1Aおよび前記カラーヘッド1Bは、熱エネルギーを利用してインクを吐出するインクジェット記録ヘッドであって、熱エネルギーを発生するための電気熱変換体を備える。すなわち、この記録手段1は、前記電気熱変換体により印加される熱エネルギーによってインク内に膜沸騰を生じさせ、その時に生じる気泡の成長、収縮による圧力変化を利用して吐出口よりインクを吐出させて記録を行う構成となっている。
[4]ウエット液供給機構の詳細な構成および動作
は、本実施形態に特有の構成を有するウエット液供給機構を示す縦断側面図である。ウエット液供給機構30は、ワイパー10A,10Bの往復移動が切り換えられる位置(折り返し位置)の近傍に設けられている。このウエット液保持機構30は、比較的小容量の第1の処理液保持部32と、比較的大容量の第2の処理液保持部35と、前記二つの処理液保持部32と35を連通させるウェット液流路33と空気流路34とから構成される。
第1の処理液保持部32は、容器状の本体部32Mと、この本体部32Mの上方を閉塞する蓋体部32Lとによってその外殻が構成されており、その正面側の側壁部には切欠部32M1が形成されている。また、この第1の処理液保持部32の内部には、ウエット液伝達部材(処理液供給部材)31A,31B、貯液部吸収体32a、漏洩防止吸収体32bが収納されている。そして、貯液部吸収体32aと本体部32Mの背面側の側壁には、ウエット液が貯留される貯液部32cが形成されている。貯液部吸収体32aおよび漏洩防止吸収体32bはポリプロピレン繊維をスポンジ状にしたもの(以下PPスポンジと言う)で構成されており、貯液部吸収体32aは本体部32Mの底部に固定され、漏洩防止吸収体32bは蓋体部32Lの内面に固定されている。なお、PPスポンジにおいて、ポリプロピレン繊維の繊維径、繊維をスポンジ化したときの見かけ密度、スポンジ内の繊維の配向方向、スポンジを装置内に組み込むときの圧縮率、等は適宜選択してよい。
また、ウエット液伝達部材31A、31Bは、本体部32Mの貯液部吸収体32aに下方部接触すると共に、その上方部が前記切欠部32Mを覆うよう配設されている。前記切欠部32Mから露出するウエット液伝達部材31A,31Bは、ワイパー10A,10Bと接触可能となっており、31aはワイパー10A,10Bとの当接部を示している。このウエット液伝達部材31A、31Bは、通気性を有する多孔質体によって形成されており、その毛管力によって貯液部吸収体32aに含浸されたウエット液を吸収し、当接部31aに当接するワイパーに供給するものとなっている。PPスポンジからのウェット液の吸収を確実にするためには、このウエット液伝達部材31A、31Bは、貯液部吸収体32aの毛管力よりも高い毛管力を有していることが必要となる。従って、貯液部吸収体32aの伝達部材の平均気孔径、見かけ密度などは、上記のような毛管力の関係が維持されるように適宜選択すればよい。本実施形態では、伝達部材31として旭化成製サンファインAQ900(サンファインAQ900は株式会社旭化成の商品名)を用いている。
また、貯液部32cの背面側の側壁には、空気流路34に連結される筒状の空気流路結合部34aと、ウエット液流路33に連結される筒状のウエット流路結合部33aが形成されている。液体貯留部32cの底部から空気流路結合部34aの開口部までの高さは、液体貯留部32c内に保つべきウエット液の液面の高さに設定されている。また、ウエット液流路結合部33aは、空気流路結合部34aの下方に設定されている。
一方、第2の処理液保持部35は中空箱状をなし、前記第1の処理液保持部32の上方に保持されている。第2の処理液保持部35の底部にはウエット液連通口35bと、空気連通管35cとが形成されており、いずれも外部に連通可能となっている。また、空気連通管35cの上端部は、第2の処理液保持部35に貯留し得る液面の上方に位置している。なお、この第2の処理液保持部35は、ウエット液連通口35および空気連通管35c以外の部分において外部との連通は遮断されている。
第2の処理液保持部35のウエット液連通口35、ウエット液流路弁33bおよびウエット液流路33を介して、第1の処理液保持部32のウエット液流路結合部33aに連結されている。さらに、第2の処理液保持部35の空気連通管35cの下端部は、空気流路弁34bおよび空気流路34を介して第1の処理液保持部32空気流路結合部34aに連結されている。各流路弁33b、34bは、いずれも記録装置における図外の制御部および弁駆動機構によって開閉可能となっている。両流路弁33b、34bが図に示す閉状態にあるとき、前記第2の処理液保持部35と第1の処理液保持部30との連通は遮断される。これにより、第2の処理液保持部35は密閉された状態となる。
次にウェット液保持部30の動作について詳細に説明する。
まず図2に示すように、通常はウェット液流路弁33bおよび空気流路弁34bは閉じられた状態になっており、第2の処理液保持部35内部に保持されるウェット液35aは外気にさらされることはなく、ウェット液35aが吸湿して膨張することはない。このため、第2の処理液保持部35の容積を、処理液の吸湿膨張分を考慮して大きめに設定しておく必要はない。つまり、第2の処理液保持部35の容積は、耐久回数を満たすウェット液35aの容積を想定して設定すればよい。このため、この回復装置は、記録装置の小型化を図る上で有利である。また第2の処理液保持部35内部はウェット液流路弁33bおよび空気流路弁34bにより密閉されることになるため、吸収体等の保持部材を収納するする必要はない。このため、吸収体を削減することができ、コスト面のメリットも期待できる。また、保持部材を収納させないため、第2の処理液保持部35における処理液の貯留率(第2の処理液保持部35の容積と、処理液貯留可能量との比率)を高めることができる。なお、第1の処理液保持部32は、少なくともウエット液伝達部材31A,31Bが通気性を有しており、密閉構造とはなっていない。このため、貯留されているウエット液が吸湿することになるが、これに関しては後に詳述する。
ところで、ワイパーによるフェイス面の払拭効果を安定させるには、ワイパーへのウェット液転写量を安定させる必要がある。それは当接部31aのウェット液による湿潤度を安定化することで実現される。しかし図5に示すような従来の一般的な回復装置では、ウェット液の消費に伴いウェット液供給ユニット20のウェット液液面が下降し、当接部22aとウェット液の水頭差が小さくなって当接部22aの湿潤度が変化する。このためワイパーへのウェット液転写量が安定しないという問題が生じている。これに対し、本実施形態では、以下の動作によって、第1の処理液保持部32からウエット液伝達部材31A,31Bの当接部31aに対し、ワイパー10A、10Bに対するウエット液の転写を安定して行うことができるようになっている。以下、この点を詳細に説明する。
図3に示すように、不図示の機構によりウェット液流路弁33bおよび空気流路弁34bが開くと、第1の処理液保持部32の貯液部32cへ第2の処理液保持部35内部のウェット液35aがウェット液流路33を通じて流入する。これにより、流入したウェット液35aと同等の体積を持つ空気が空気流路34から第2の処理液保持部35内部へと流入していく。貯液部32c内に供給されるウエット液の液位が上昇し、空気流路結合部34aの開口部を塞ぐ液位になると、空気が第2の処理液保持部35内部へ流入しなくなる。このため、ウェット液35aの貯液部32cへの流入は停止し、貯液部32cの液位上昇は止まる。
貯液部32cのウェット液35aは、貯液部吸収体32aであるPPスポンジに吸収され、伝達部材31A,Bを通じてワイパー10A、10Bへ供給される。ワイピング動作を繰り返していくと、ウェット液35aはその都度ワイパー10A、10Bへ供給されるため貯液部32cの液位は下がってくる。そして、ウェット液流路弁33bおよび空気流路弁34bが開放されると、前述したように貯液部32cの液位は上昇し、空気流路結合部34aを塞ぐ水位で上昇が止まる。その結果、貯液部32cの水位はほぼ一定に保たれ、当接部31aと貯液部32cの水頭差はほぼ一定となる。これにより、ワイパー10A、10Bへ転写されるウェット液の量は安定し、当接部31aのウェット液による湿潤度も安定化するため、ワイパー10A、10Bにより、常に良好な払拭効果を得ることができる。
また、空気流路弁34bおよびウエット液流路弁33bの開閉のタイミングは、貯液部32cからウエット液伝達部材31A、31Bへのウエット液の供給状態が適正に保たれる範囲内で、適宜設定可能である。すなわち、貯液部32c内に貯留しておくべきウエット液の液位には、多少の幅があるため、液位がこの幅の所定の液位に達するまでは各弁34b、33bを閉じておき、その所定の液位に達した時点で各弁を開くようにすることも可能である。この場合、貯液部32cの適正液位範囲の上限から所定の液位にいたるまでの、ワイピング動作回数を予め実験的に計測しておき、その計測結果に応じて各弁を開閉させるようにすればよい。例えば、100回ワイピング動作をしたら所定の液位に達するため、各弁を開けるようにすればよい。また、前述のように貯液部32cの水位を空気流路結合部34aを塞ぐ水位に保つのであれば、ウェット液35aは貯液部32cに供給されないので、ワイピング動作と同時に弁を開けてもよい。
次に、ウエット液供給機構におけるウエット液の容積、すなわち、第1の処理液保持部32および第2の処理液保持部35の容積について説明する。このウエット液供給機構に搭載すべきウェット液の量は、次のような条件を満たすよう設定される。
まず、インクジェット記録装置の耐久枚数相当分のウエットワイピングを行ったとしても、吐出口形成面の撥水状態が適正に保たれ、かつインク滴の着弾位置精度が許容範囲内に保たれるように、ワイパー10A,10Bへの1回分のウエット液の転写量を求める。これは、予め実験的に求める。そして、この1回分のワイパー10A,10Bへの転写量に耐久枚数相当分のワイピング回数を乗じ、その量をウエット液供給機構において搭載すべきウエット液の量とする。例えば、1回のウェットワイプに1mgのウェット液35aをワイパー10A,10Bに転写した後、そのワイパー10A,10Bで記録ヘッドの吐出口形成面をウエットワイピングすることにより、目標とする耐久枚数30000枚のワイピングを問題なく行うことができるとする。この場合、耐久枚数の間に必要とされるウェット液35aの量は30gとなる。従って、第2の処理液保持部35には、30gのウェット液35aを搭載できる容積が必要になる。
これに対し、第1の処理液保持部32には、第2の処理液保持部35からウェット液35aが供給されるので、第1の処理液保持部32の容積は、ある一定回数のワイピングに必要とされるウエット液量を保持できるように設定すればよい。例えば前述したように1回のワイピングに必要なウェット液量が1mgだとすると、1000回分でも1gであり、この程度の液量を保持できるように第1の処理液保持部32の容量を設定すればよい。このため、第1の処理液保持部32内部の貯液部吸収体32a、漏洩防止吸収体32bおよび貯液部32cの体積は非常に小さくすることができ、吸収体を小型化することで低コストで構成することができるというメリットがある。また、第1の処理液保持部32内部のウェット液35aは非常に微量なため、これが吸湿・膨張したとしても、その膨張分は僅かである。従って、第1の処理液保持部32にこの僅かな膨張分を加えて容積に余裕を持たせれば、ウエッ液が漏れることもなくなる。しかも、この程度の僅かな容積の増大が、インクジェット記録装置の寸法形状に影響を及ぼすことは殆どない。
次にインクジェット記録装置を傾けた場合の漏洩対策について説明する。
インクジェット記録装置全体を傾けると、これに伴って第2の処理液保持部35も傾くこととなる。しかし、通常は、ウェット液流路弁33bおよび空気流路弁34bが閉じられているので第2の処理液保持部35からウエット液が漏れることはない。一方、第1の処理液保持部32では、貯液部吸収体32aおよびウエット液伝達部材31A、31Bに保持されているウエット液と、貯液部32cにおけるウエット液とが存在する。このうち、貯液部吸収体32aなどに保持された液体はその毛管力などによって外部に漏れることはないが、貯液部32c内のウエット液は比較的自由に動ける状態にある。しかし、前述のように第1の処理液保持部33内に貯留されている液量は全体的にも非常に微量であり、貯液部32c内のウエット液はその中のさらに一部であるため、極めて微量である。このため、インクジェット記録装置を傾けた際、貯液部32c内のウエット液は漏洩防止吸収体32bおよび伝達部材に触れることでほとんど吸収されるため、外部に漏れることはない。
また、温度上昇により第2の処理液保持部35の内圧が高まった場合や、高度上昇により外圧が下がった場合にも、基本的にはウェット液流路弁33bおよび空気流路弁34bが閉じているので漏れることはない。仮にウェット液流路弁33bおよび空気流路弁34bが開いてしまっても、空気連通35cはウェット液35aの液面より上方に出ているので、第2の処理液保持部35の内圧は外圧とすぐに釣り合い、ウェット液35aが全て漏れてしまうことはない。
なお、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された範囲で適宜変更可能である。例えば、ウエット液、ウェット液保持部および伝達部材等の材質や、吐出口形成面の撥水/非撥水/親水性なども適宜変更可能である。また、インクの濡れ性の指標であるインク表面張力や前記吐出口形成面に対するインクの接触角等についても変更可能であり、様々な形態に変形可能である。また、インクジェット記録装置に使用するインクとして、本明細書中では、顔料インクを用いた場合を例として挙げているが、染料インクを用いる場合にも本発明は適用可能であり、吐出口形成面を適正な状態に保つ上で有効である。
また、上記実施形態では、第1の処理液保持部32の通気部を、多孔質体によって形成されたウエット液伝達部材31A、31Bによって形成する場合を示した。しかし、第1の処理液保持部32の通気部は、ウエット液伝達部材以外の箇所に形成することも可能である。例えば、蓋体部32Lと本体部32Mとの間に僅かな隙間を形成したり、蓋体部32Lに貫通孔を形成し、これを漏洩防止吸収体32bで覆うようにしたりすることも可能である。また、これら以外の箇所に貫通孔を形成すると共に、液体の流通を遮断しかつ気体の通過は可能とするような部材で前記貫通孔を閉塞するようにしてもよい。
さらに、上記実施形態では、シリアル型のインクジェット記録装置を例に採り説明したが、本発明は、記録ヘッドの吐出口形成面をワイパーによって払拭する機能を有するライン型のインクジェット記録装置においても適用可能であり、同様の効果を期待できる。
本発明の実施形態におけるインクジェット記録装置の全体構成を概略的に示す斜視図である。 本発明の実施形態における記録ヘッド回復装置のウェット液供給機構の各弁が閉じた状態を概念的に示す縦断側面図である。 本発明の実施形態における記録ヘッド回復装置のウェット液供給機構の各弁が開いた状態を概念的に示す縦断側面図である。 従来のインクジェット記録装置における記録ヘッド回復装置を前面方向から見て示す模式的正面図である。 図5は図4の記録ヘッド回復装置を側面から見て示す模式的側面図である。
符号の説明
1A マットBkヘッド
1B カラーヘッド
2 キャリッジ
4A マットBkヘッド用のキャップ(キャッピング手段)
4B カラーヘッド用のキャップ(キャッピング手段)
5A、5B 吸引手段(吸引ポンプ)
9A、9B インク吸収部材
10A マットBkヘッド用のクリーニング部材(クリーニング手段)
10B カラーヘッド用のクリーニング部材(クリーニング手段)
11A、11B クリーナ
12 搬送ローラ
1Aa、1Ba 吐出口部(吐出口)
20 ウェット液保持部
31 ウエット液伝達部材
31a 当接部
32 第1の処理液保持部
32a 貯液部吸収体
32b 漏洩防止吸収体
32c 貯液部
33 ウェット液流路
33a ウェット液流路結合部
33b ウェット液流路弁
34 空気流路
34a 空気流路結合部
34b 空気流路弁
35 第1の処理液保持部
35a ウェット液
35b ウェット液連通口
35c 空気連通管
30 記録媒体

Claims (5)

  1. 記録ヘッドの吐出口形成面を払拭するためのワイパーと、前記吐出口形成面の払拭効果を向上させる処理液を保持するための第1の処理液保持部と、を備え、該第1の処理液保持部から前記ワイパーに処理液が転写されるインクジェット記録装置において、
    前記第1の処理液保持部に供給される処理液を保持するための第2の処理液保持部と、
    該第2の処理液保持部から前記第1の処理液保持部へ処理液を供給するための処理液流路と、
    該処理液流路に配され、前記第2の処理液保持部から前記第1の処理液保持部へ処理液が供給される状態と供給されない状態とを切り替えるための処理液流路弁と、
    前記第1の処理液保持部から前記第2の処理液保持部へ空気を供給するための空気流路と、
    該空気流路に配され、前記第1の処理液保持部から前記第2の処理液保持部へ空気が供給される状態と供給されない状態とを切り替えるための空気流路弁と、
    を備えることを特徴とするインクジェット記録装置。
  2. 前記第1の処理液保持部に保持可能な処理液の容量に対して、前記第2の処理液保持部に保持可能な処理液の容量のほうが大きいことを特徴とする請求項1に記載のインクジェット記録装置。
  3. 前記第1の処理液保持部に対して前記第2の処理液保持部が上方に配置され、水頭差により前記第2の処理液保持部から前記第1の処理液保持部に処理液が供給されることを特徴とする請求項1または2に記載のインクジェット記録装置。
  4. 前記第1の処理液保持部の前記処理液流路が連結される連結部に対して、前記第1の処理保持部の前記空気流路が連結される連結部が上方に設けられることを特徴とする請求項1ないし3のいずれか1項に記載のインクジェット記録装置。
  5. 前記第2の処理液保持部から前記第1の処理液保持部に供給された処理液が前記空気流路が連結される連結部を塞ぐと、前記第2の処理液保持部から前記第1の処理液保持部への処理液の供給が停止することを特徴とする請求項4に記載のインクジェット記録装置。
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