JP4974589B2 - インクジェット記録装置およびインクジェット記録装置の制御方法 - Google Patents

インクジェット記録装置およびインクジェット記録装置の制御方法 Download PDF

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Description

本発明は、インクジェット記録装置およびインクジェット記録装置の制御方法に関する。詳しくは、インクを吐出する記録ヘッドの吐出口が形成された面(以下フェイス面と言う)をワイパーによって払拭し吐出性能を維持するために行うワイピングに関するものである。
プリンタ、複写機、ファクシミリ等の機能を有する記録装置、あるいはコンピューターやワードプロセッサ等を含む複合型電子機器やワークステーションなどの出力機器として用いられる記録装置が知られている。これらの記録装置は、記録情報に基づいて紙、布、プラスチックシート、OHP用シート等の記録媒体に画像(文字や記号等を含む)を記録するものである。そのうち、インクジェット式の記録装置は、記録ヘッドから記録媒体にインクを吐出して記録を行うものである。この方式の装置は、記録ヘッドのコンパクト化が容易であり、高精細な画像を高速で記録することができ、普通紙に特別の処理を必要とせずに記録することができる。また、ランニングコストが安く、ノンインパクト方式であるため騒音が少なく、しかも、多種類のインクを使用してカラー画像を記録するのが容易であるなど、種々の利点を有している。
記録ヘッドにおいてインクを吐出するためのエネルギーを発生する素子として、ピエゾ素子等の電気機械変換素子を用いるもの、レーザー等の電磁波を照射して発熱させ、この発熱作用を利用したもの、発熱抵抗体を有する電気熱変換素子を用いるものなどがある。中でも、電気熱変換素子を用いた記録ヘッドは、吐出口を高密度に配列することができ高解像度の記録をすることが可能である。また、電気熱変換体素子を用いる記録ヘッドは、特に小型化が容易であり、かつ最近の半導体分野における技術の進歩と信頼性の向上性が著しいIC技術やマイクロ加工技術の長所を十分に活用でき、高密度実装化が容易で製造コストも安価である。
また、記録媒体の材質に関する様々な要求に対して、通常の記録媒体である紙(薄紙や加工紙を含む)や樹脂薄板(OHP等)などの他に、布、皮革、不織布、さらには金属等が記録媒体として用いられている。
以上の記録装置は、記録媒体の搬送方向と交叉する方向に走査しつつ記録を行うシリアル型の記録装置と記録紙の幅方向の範囲に対応して吐出口を配列した記録ヘッドを保持し、それに対して記録媒体を搬送して記録を行うフルライン型の記録装置とに大別できる。シリアル型の記録装置は、記録媒体を所定の記録位置に搬送した後、記録媒体に沿って移動するキャリッジ上に搭載した記録ヘッドによって画像を記録する主走査と所定量の紙送り(副走査)を繰返すことにより記録媒体全体に画像を形成する。
ところで、インクジェット記録装置では、記録動作によって記録ヘッドのヘッド面にインク滴、ごみ、ほこり、紙粉等の異物が付着することがあり、これらの異物を除去するためにワイピング(例えば摺擦による拭き取り)が行われている。ワイピングに用いるワイパー(ワイピング部材)としては、通常、ゴム状弾性材から成るゴムブレード等の可撓性の部材が用いられる。また、記録ヘッドの吐出口近傍のインクが乾燥し、インクの増粘、固着、堆積により吐出口の目詰まりが生じることがある。また、吐出口内部(液路)に発生した気泡やゴミ等によって吐出口の目詰まりが生じることもある。このような目詰まりを回復(予防、解消等)する構成として吸引回復が行われている。すなわち、キャッピング部材を用いて記録ヘッドのフェイス面との間に密閉系を形成し、ポンプを用いてこの密閉系に負圧吸引力を発生させることにより吐出口からインクを強制的に排出させるものである。そして、この吸引回復が行われた後でも、上述のワイピングが行われる。これにより、キャッピングなどでフェイス面に付着したインクを除去することができる。
また、インクジェット記録装置に用いるインクとしては、従来は水性染料インクを用いたものが主流であった。しかし、染料インクは、染料の分子が小さいために耐光性、耐ガス性といったいわゆる耐候性が不十分であり、その他得に記録物の色味が径時的に変化してしまうという問題があった。そこで近年、水性染料インクにかわり水性顔料インクが実用化されてきている。現在用いられている顔料インクは、顔料の粒径がおよそ100nm程度と染料分子に比較してはるかに大きいため光やオゾンの影響を受けたとしても色材の退色が顕著ではなく、耐候性は染料インクに比較してはるかに良好である。
しかし、このような顔料インクを用いるインクジェット記録ヘッドでは、ワイピングに関して、染料インクを用いる装置では顕著に見られない問題を生じることがある。すなわち、顔料インクは、インクが増粘したり固着したりするまでの時間が染料インクを用いる場合より短い。加えて、ワイピング部材によって掻き取る(または拭き取る)場合のクリーニング性も染料インクを用いる場合より悪い。このため、記録ヘッドのフェイス面をワイピングしても、それによってフェイス面に顔料インクの薄膜が形成され、さらにそのインクが固着してしまい、ワイピングの効果を十分に発揮できないという問題がある。
顔料インクは一般に顔料粒子が水には溶解しないので顔料分散体によって親水性を与え分散させたもの、あるいは顔料粒子の構造自体の末端に親水基を持たせることで水溶液中に自己分散させたものである。従って、記録ヘッドから顔料インクを吐出させたときにフェイス面が顔料インクでぬれやすくなる。また、樹脂などの分散材を用いたものは、顔料とともに樹脂もフェイス面をぬらし易くなる。さらに、顔料粒子がフェイス面に存在する状態でワイピングを行うことによって、フェイス面が損傷(削れなど)することもフェイス面をぬれやすくする一因である。そして、このような顔料インクによるフェイス面のぬれは不均一に形成されて、吐出されるインクがその不均一なぬれによって影響を受け吐出方向が安定しないなどの吐出不良を生じさせる。
この問題に対して、記録ヘッドの吐出口面に顔料インクを弾くいわゆる撥水処理を施した記録ヘッドを用いるものが考えられる。しかし、記録ヘッドを使用する初期は吐出方向が不安定になるなどの問題は生じないが、顔料インク等のぬれ易いインクを用いた場合は、徐々に撥水性が劣化し吐出方向を安定させるなどの効果はなくなる。また、ワイピングによっても結果的にぬれやすい顔料インクを吐出口面に広げてしまうためその撥水性は劣化して行く。
これに関して、特許文献1には、記録ヘッドの吐出口周辺を親水化し、それによって顔料インクの均一なぬれを生じさせ、結果としてぬれが不均一であることによる吐出方向のずれなどを防ぐことが記載されている。しかし、フェイス面の親水処理は撥水処理と同じく長期間維持できるものではなく、経時的に劣化する。比較的よく知られているUVオゾン処理等でも、処理直後は親水性を有するが時間と共にその親水の程度が変化してしまう。
このようなフェイス面の撥水性能もしくは親水性能の変化の問題に対して、例えば、特許文献2には、いわゆるウェットワイピングと言う技術が記載されている。これは、フェイス面を払拭するワイパーに例えばグリセリンやポリエチレングリコール等の揮発性のきわめて低い溶剤(以下、ウェット液と言う)を付着させて、ウェット液が付着したワイパーでフェイス面を払拭するものである。これにより、フェイス面のぬれ性の変化を防止することができる。すなわち、ウェット液をワイパーに付着させて用いることの作用は、第1にフェイス面に蓄積されたインク増粘物や増膜物を溶解することである。第2に、ワイパーとフェイス面との間に介在することによって潤滑材の働きをすること、第3にフェイス面にウェット液を付着させてフェイス面保護のための膜を形成することである。
ウェットワイピングのための一構成例は次のようなものである。先ず、ワイパーの移動範囲にウェット液を保持するウェット保持部が設けられる。この保持部はウェット液を保持しており、また、ワイパーがこの保持部に設けられた転写部に当接し、ウェット液をワイパーに転写することができる。ワイパーは、その移動に伴ってワイパーを清掃する部材と当接してワイパーの清掃が行われる。清掃が行われた後、ワイパーは同じ方向に移動してウェット液保持部の転写部に当接する。これにより、ウェット液がワイパーに転写される。その後、ワイパーは元の位置に戻り、上記と同じ方向に移動しながらウェット液が転写された部分で記録ヘッドのフェイス面をワイピングする。
特開平11−334074号公報 特開平10−138502号公報 特開平11−342620号公報 特開2002−166560号公報
しかしながら、従来のウェットワイピングの構成には、ウェット液保持部におけるウェット液の残量が少なくなることに起因したいくつかの問題がある。
第1の問題は、ウェット液の残量が少なくなるのに伴いワイパーへの転写量が少なくなる問題である。
図1は、ウェット液の転写の様子を模式的に説明する図である。図において、10はワイパー、21aはウェット液保持部の吸収体もしくは発泡体等で形成された転写部をそれぞれ示している。ウェット液保持部ないし転写部21aには多数の細孔があり、ウェット液はこの細孔内でメニスカスを形成している。この状態にある転写部にワイパー10が接触すると接触部分でメニスカスが破れ、ウェット液がワイパー表面を濡らす。このとき、ウェット液の残量が多いときは、それぞれの細孔内のメニスカスを形成する力が弱いのでメニスカスが破れやすく、また、メニスカスが破れた後もメニスカスが細孔内部へそれほど後退しない。このため、ワイパーに対するウェット液の濡れが速く、結果としてワイパーへの転写量が多くなる。逆に、ウェット液の残量が比較的少ないときは、細孔内に形成されるメニスカスの形成力が強いのでメニスカスが破れにくく、また、メニスカスが破れた後メニスカスが後退する。このため、ワイパーへの濡れが遅く、結果としてワイパーへの転写量が少なくなる。このように、ウェット液の残量が少なくなるとワイパーへの転写量が減少する。その結果、ワイピングの効果を十分に発揮できず、それによって吐出不良を生じることがある。
また、以上のような転写が不十分な状態が極端になると、ワイパーにウェット液がない状態でワイピングを行う、いわゆるドライワイピング状態になることもある。この状態が長く続くと、記録ヘッドフェイス面の撥水状態が大幅に劣化し、ひいては吐出方向が不安定になることで着弾位置のばらつきの増大によって画像劣化の影響が顕著になる。また、例えば、装置を使用しているユーザはどのような原因で画像劣化が発生しているのかが分らずに不必要にクリーニングを繰り返し、それによって無駄にインクを消耗してしまうといった弊害も起こりうる。このため、ユーザにとって使い勝手が悪い装置になる。
上述の残量が極端に少なくなることに関して、ウェット液保持部は、通常インクジェット記録装置の耐久枚数(記録枚数に換算した装置寿命)を想定した量の塗布液を保持できるような容積を持つ。一方、このウェット液保持部の容積は記録装置のサイズやコストに大きく影響を及ぼす。このため、一般には、装置の耐久枚数について、ユーザの通常使用形態を想定して算出したウェット液の総使用量から、ウェット液保持部の容積を見積もる。この場合、仮にユーザがプリンタの耐久枚数を越えた状態で使い続けたり耐久枚数は超えなくてもユーザの使用状況によってワイピングが想定以上に多く行われた場合には、ウェットワイピングによるウェット液の消費が進み、残量が極端に少なくなることがある。ワイピングが想定以上に多く行われる場合としては、記録デューティーや記録頻度が高い場合などがある。
第2の問題は、ウェット液が少なくなることにより、耐久枚数に対応して定められる他の要素に余裕があるにも係わらず記録装置の使用ができなることによる問題である。
記録ヘッドの電気熱変換素子に供給される累積のパルス数や廃インク吸収体の容量は、ウェット液の保持部容量と同じく記録装置の耐久枚数に対応して定められる要素である。このような他の要素に比較的余裕があるにもかかわらず、ウェット液の残量が残り少なくなることによって、記録装置の使用を禁止すると、ユーザの使い勝手が悪いものとなる。
例えば、記録装置の耐久枚数を規定する複数の要素は、ユーザの使われ方によってどの要素が初めに想定耐久枚数の限界に達するかが違ってくる。例えば、ユーザが少量部数の原稿を間歇的に記録するようなケース(例えば、10分おきに1枚のテキスト記録を行うようなケース)が多い場合は、記録後に行われるキャッピング動作時のワイピングが記録ごとに行われる。この場合、初期からの記録枚数や記録デューティーが少ない状態、すなわち、累積パルス数や廃インク吸収体の容量は余裕がある状態であるが、ウェット液の残量が少ない状態となる。この場合にウェット液の残量が残り少ないことによって、ユーザに何らの報知を行わずに記録装置の使用を禁止すると、理由の分らない禁止によってユーザの使い勝手感の悪いものとなる。
本発明の目的は、ウェット液残量が少なくなったときに生じる、転写量の減少や記録装置の使用禁止の問題を解決したインクジェット記録装置および該装置の制御方法を提供することにある。
そのために本発明では、記録ヘッドのインク吐出口面をワイピングするためのワイパーと、該ワイパーに転写されるウェット液を保持する保持部と、該保持部に保持されたウェット液を転写するために前記ワイパーが当接する転写部と、を備えるインクジェット記録装置において、前記保持部に保持されているウェット液の残量が第1の量の場合に前記ワイパーと前記転写部を当接させる面積に対して、前記残量が前記第1の量よりも少ない第2の量の場合に前記ワイパーと前記転写部を当接させる面積を大きくすることを特徴とする。
他の形態では、記録ヘッドのインク吐出口面をワイピングするためのワイパーと、該ワイパーに転写されるウェット液を保持する保持部と、該保持部に保持されたウェット液を転写するために前記ワイパーが当接する転写部と、を備えるインクジェット記録装置において、前記保持部に保持されているウェット液の残量が第1の量の場合に前記ワイパーと前記転写部を当接させる時間に対して、前記残量が前記第1の量よりも少ない第2の量の場合に前記ワイパーと前記転写部を当接させる時間を長くすることを特徴とする
以上の第1の形態によれば、ウェット液の残量が少なくなっても、ウェット液のワイパーへの転写量が大きく変わることがない。これにより、残量が少ないことに起因した転写量不足によるウェットワイピングの不具合を防止することができる。
また、第2の形態によれば、ウェット液の残量が少なくなっても、複数回ワイピングやインクをワイパーに付与したワイピングなど、ウェット液不足を補うワイピング動作が行われる。これにより、ウェット液の残量が少なくても、ワイピング自体を良好に行うことができる。
以下、図面を参照して本発明の実施形態を詳細に説明する。先ず、本発明のいくつかの実施形態の特徴構成を説明する前に、本発明の一実施形態に係るインクジェット記録装置の基本構成を説明する。
1.基本構成
本実施形態で適用する記録装置における各機構部の構成を説明する。本実施形態における記録装置本体は、各機構部の役割から、概して、給紙部、用紙搬送部、排紙部、キャリッジ部、フラットパス記録部、およびクリーニング部等に分類することができ、これらは外装部に収納されている。
図2、図3、図4、図8および図9は、本実施形態において適用する記録装置の外観を示す斜視図である。図2は、記録装置の非使用時における前面から見た状態、図3は、記録装置の非使用時における背面から見た状態、図4は、記録装置の使用時における前面から見た状態をそれぞれ示す。また図8は、フラットパス記録時における前面から見た状態、図9は、フラットパス記録時における背面から見た状態をそれぞれ示す。また、図5〜図7および図10〜図12は、記録装置本体の内部機構を説明するための図である。ここで、図5は右上部からの斜視図、図6は左上部からの斜視図、図7は記録装置本体の側断面図、図10はフラットパス記録時の断面図である。また、図11はクリーニング部の斜視図、図12は、クリーニング部におけるワイピング機構の構成および動作を説明するための断面図、図13は、クリーニング部におけるウエット液転写部の断面図である。
以下、これらの図面を適宜参照しながら、各部を順次説明する。
外装部(図2、図3)
外装部は、給紙部、用紙搬送部、排紙部、キャリッジ部、クリーニング部、フラットパス部およびウエット液転写部の回りを覆うように取り付けられている。外装部は主に、下ケースM7080、上ケースM7040、アクセスカバーM7030、コネクタカバーおよびフロントカバーM7010から構成されている。
下ケースM7080の下部には、不図示の排紙トレイレールが設けられており、分割された排紙トレイM3160が収納可能に構成されている。また、フロントカバーM7010は、非使用時に排紙口を塞ぐ構成になっている。
上ケースM7040には、アクセスカバーM7030が取り付けられており、それは回動可能に構成されている。上ケースの上面の一部は開口部を有しており、この開口部の位置において、インクタンクH1900および記録ヘッドH1001(図17)が交換可能となるように構成されている。本実施形態の記録装置において、記録ヘッドH1001は、1色のインクを吐出可能な吐出部を複数色分、一体的に構成したユニットの形態であり、インクタンクH1900が色毎に独立に着脱可能な記録ヘッドカートリッジH1000として構成されている。上ケースには、アクセスカバーM7030の開閉を検知するための不図示のドアスイッチレバー、LEDの光を伝達・表示するLEDガイドM7060、電源キーE0018、リジュームキーE0019およびフラットパスキーE3004等が設けられている。また、多段式の給紙トレイM2060が回動可能に取り付けられており、給紙部が使われない時は、給紙トレイM2060を収納することにより、給紙部のカバーにもなるように構成されている。
上ケースM7040と下ケースM7080は、弾性を持った勘合爪で取り付けられており、それの間のコネクタ部分が設けられている部分は、不図示のコネクタカバーによって覆われている。
給紙部(図4、図7)
給紙部においては、記録媒体を積載する圧板M2010、記録媒体を1枚ずつ給紙する給紙ローラM2080、記録媒体を分離する分離ローラM2041、記録媒体を積載位置に戻すための戻しレバーM2020等がベースM2000に取り付けられている。
用紙搬送部(図4〜図7)
曲げ起こした板金からなるシャーシM1010には、記録媒体を搬送する搬送ローラM3060とペーパエンドセンサ(以下PEセンサと称す)E0007が回動可能に取り付けられている。搬送ローラM3060は、金属軸の表面にセラミックの微小粒がコーティングされた構成となっており、両軸の金属部分を不図示の軸受けが受ける状態で、シャーシM1010に取り付けられている。搬送ローラM3060にはローラテンションバネ(不図示)が設けられており、搬送ローラM3060を付勢することにより、回転時に適量の負荷を与えて安定した搬送が行えるようになっている。
搬送ローラM3060には、従動する複数のピンチローラM3070が当接して設けられている。ピンチローラM3070は、ピンチローラホルダM3000に保持されているが、不図示のピンチローラバネによって付勢されることで、搬送ローラM3060に圧接し、ここで記録媒体の搬送力を生み出している。この時、ピンチローラホルダM3000の回転軸は、シャーシM1010の軸受けに取り付けられ、この位置を中心に回転する。
記録媒体が搬送されてくる入口には、記録媒体をガイドするためのペーパガイドフラッパM3030およびプラテンM3040が配設されている。また、ピンチローラホルダM3000には、PEセンサレバーM3021が設けられており、そのPEセンサレバーM3021は、記録媒体の先端および後端の検出をPEセンサE0007に伝える役割を果たす。プラテンM3040は、シャーシM1010に取り付けられて、位置決めされている。ペーパガイドフラッパM3030は、不図示の軸受け部を中心に回転可能であり、シャーシM1010に当接することで位置決めされる。
搬送ローラM3060の記録媒体搬送方向における下流側には、記録ヘッドH1001(図17)が設けられている。
上記構成における搬送の過程を説明する。用紙搬送部に送られた記録媒体は、ピンチローラーホルダM3000およびペーパガイドフラッパM3030に案内されて、搬送ローラM3060とピンチローラM3070とのローラ対に送られる。この時、PEセンサレバ−M3021が記録媒体の先端を検知し、これにより記録媒体に対する記録位置が求められている。搬送ローラM3060とピンチローラM3070とからなるローラ対は、LFモータE0002の駆動により回転され、この回転により記録媒体がプラテンM3040上を搬送される。プラテンM3040には搬送基準面となるリブが形成されており、このリブにより、記録ヘッドH1001と記録媒体表面との間のギャップが管理されている。また同時に、そのリブが、後述する排紙部と合わせて、記録媒体の波打ちを抑制する役割も果たしている。
搬送ローラM3060が回転するための駆動力は、例えば、DCモータからなるLFモータE0002の回転力が、不図示のタイミングベルトを介して、搬送ローラM3060の軸上に配設されたプーリM3061に伝達されることによって得られる。搬送ローラM3060の軸上には、搬送ローラM3060による搬送量を検出するためのコードホイールM3062が設けられている。また、隣接するシャーシM1010には、コードホイールM3062に形成されたマーキングを読み取るためのエンコードセンサM3090が配設されている。なお、コードホイールM3062に形成されたマーキングは、150〜300lpi(ライン/インチ;参考値)のピッチで形成されているものとする。
排紙部(図4〜図7)
排紙部は、第1の排紙ローラM3100および第2の排紙ローラM3110、複数の拍車M3120およびギア列などから構成されている。
第1の排紙ローラM3100は、金属軸に複数のゴム部を設けて構成されている。第1の排紙ローラM3100の駆動は、搬送ローラM3060の駆動が、アイドラギアを介して第1の排紙ローラM3100まで伝達されることによって行われている。
第2の排紙ローラM3110は、樹脂の軸にエラストマの弾性体M3111を複数取り付けた構成になっている。第2の排紙ローラM3110の駆動は、第1の排紙ローラM3100の駆動が、アイドラギアを介して伝達されることによって行われる。
拍車M3120は、周囲に凸形状を複数設けた例えばSUSでなる円形の薄板を樹脂部と一体としたものであり、拍車ホルダM3130に複数取り付けられている。この取り付けは、コイルバネを棒状に設けた拍車バネによって行われているが、同時に拍車バネのばね力は、拍車M3120を排紙ローラM3100およびM3110に対して所定圧で当接させる。この構成によって拍車M3120は、2つの排紙ローラM3100およびM3110に従動して回転可能となっている。拍車M3120のいくつかは、第1の排紙ローラM3100のゴム部、あるいは第2の排紙ローラM3110の弾性体M3111の位置に設けられており、主に記録媒体の搬送力を生み出す役割を果たしている。また、その他のいくつかは、ゴム部あるいは弾性体M3111が無い位置に設けられ、主に記録時の記録媒体の浮き上がりを抑える役割を果たしている。
また、ギア列は、搬送ローラM3060の駆動を排紙ローラM3100およびM3110に伝達する役割を果たしている。
以上の構成によって、画像形成された記録媒体は、第1の排紙ローラM3110と拍車M3120とのニップに挟まれ、そして搬送されて排紙トレイM3160に排出される。排紙トレイM3160は複数に分割され、後述する下ケースM7080の下部に収納できる構成になっている。排紙トレイM3160は、図4のように引出して使用する。また排紙トレイM3160は、先端に向けて高さが上がり、更にその両端は高い位置に保持されるように設計されており、排出された記録媒体の積載性を向上し、記録面の擦れなどを防止している。
キャリッジ部(図5〜図7)
キャリッジ部は、記録ヘッドH1001を取り付けるためのキャリッジM4000を有しており、そのキャリッジM4000は、ガイドシャフトM4020およびガイドレールM1011によって支持されている。ガイドシャフトM4020は、シャーシM1010に取り付けられており、記録媒体の搬送方向に対して直角方向にキャリッジM4000を往復走査させるように案内支持している。ガイドレールM1011は、シャーシM1010に一体に形成されており、キャリッジM4000の後端を保持して記録ヘッドH1001と記録媒体との隙間を維持する役割を果たしている。また、ガイドレールM1011のキャリッジM4000との摺動側には、ステンレス等の薄板からなる摺動シートM4030が張設され、記録装置の摺動音の低減化を図っている。
キャリッジM4000は、シャーシM1010に取り付けられたキャリッジモータE0001によりタイミングベルトM4041を介して駆動される。また、タイミングベルトM4041は、アイドルプーリM4042によって張設、支持されている。さらに、タイミングベルトM4041は、キャリッジM4000とゴム等からなるキャリッジダンパを介して結合されており、キャリッジモータE0001等の振動を減衰することにより、記録される画像のむら等を低減している。
キャリッジM4000の位置を検出するためのエンコーダスケールE0005(図14について後述)は、タイミングベルトM4041と平行に設けられている。エンコーダスケールE0005上には、150lpi〜300lpiのピッチでマーキングが形成されている。そのマーキングを読み取るためのエンコーダセンサE0004(図14について後述)は、キャリッジM4000に搭載されたキャリッジ基板E0013(図14について後述)に設けられている。キャリッジ基板E0013には、記録ヘッドH1001と電気的な接続を行うためのヘッドコンタクトE0101も設けられている。また、キャリッジM4000には、電気基板E0014から記録ヘッドH1001へ駆動信号を伝えるために、不図示のフレキシブルケーブルE0012(図14について後述)が接続されている。
記録ヘッドH1001をキャリッジM4000に固定するための構成として、キャリッジM4000上に、不図示の突き当て部と不図示の押圧手段が設けられている。前者の突き当て部は、記録ヘッドH1001をキャリッジM4000に押し付けながら位置決めするための突き当て部であり、後者の押圧手段は、記録ヘッドH1001を所定の位置に固定するための押圧手段である。押圧手段は、ヘッドセットレバーM4010に搭載されており、記録ヘッドH1001をセットする際に、ヘッドセットレバーM4010を回転支点を中心に回して、記録ヘッドH1001に作用する構成になっている。
さらにキャリッジM4000には、反射型の光センサからなる位置検出センサM4090が取り付けられており、それは、CD−R等の特殊メディアへ記録を行う際や、記録結果や用紙端部等の位置を検出する際に用いられる。位置検出センサM4090は、発光素子より発光し、その反射光を受光することによって、キャリッジM4000の現在位置を検出することができる。
上記構成において記録媒体に画像形成する場合、行位置に対しては、搬送ローラM3060およびピンチローラM3070からなるローラ対が、記録媒体を搬送して位置決めする。また、列位置に対しては、キャリッジモータE0001によりキャリッジM4000を上記搬送方向と垂直な方向に移動させて、記録ヘッドH1001を目的の画像形成位置に配置させる。位置決めされた記録ヘッドH1001は、電気基板E0014からの信号に従って、記録媒体に対してインクを吐出する。記録ヘッドH1001についての詳細な構成および記録システムは、後述する。本実施形態の記録装置は、記録主走査と副走査とを交互に繰り返すことにより、記録媒体上に画像を形成する構成となっている。前者の記録主走査においては、記録ヘッドH1001により記録を行いながらキャリッジM4000が列方向に走査し、後者の副走査においては、搬送ローラM3060により記録媒体が行方向に搬送される。
フラットパス記録部(図8〜図10)
給紙部からの給紙は、図7に示したように、記録媒体が通る経路がピンチローラに達するまで曲がっているため、記録媒体を曲げた状態で行われることになる。従って、例えば0.5mm程度以上の厚い記録媒体等を給紙部から給紙しようとすると、曲げられた記録媒体の反力が発生し、給紙抵抗が増えて給紙が行えない場合がある。また、給紙が可能であっても、排紙後の記録媒体が曲がったままとなったり、折れたりするおそれもある。
厚い記録媒体等、曲げたくない記録媒体や、CD−R等、曲げることのできない記録媒体に対して記録を行う方式がフラットパス記録である。
ここでフラットパス記録には、本体背面のスリット上の開口部から(給紙装置の下)、手差し給紙の態様で記録媒体を本体のピンチローラにニップさせて、記録を行うタイプがある。しかし本実施形態のフラットパス記録は、記録媒体を本体手前の排紙口から記録位置まで給紙し、スイッチバックしてから記録を行う形態である。
フロントカバーM7010は、通常記録した記録媒体を数十枚程度積載しておくためのトレイを兼ねるために、排紙部より下方にある(図4)。フラットパス記録時には、記録媒体を排紙口から水平に、通常の搬送方向とは反対方向に給紙するために、フロントトレイM7010を排紙口の位置まで上げる(図8)。フロントトレイM7010には不図示のフック等が設けられており、フラットパス給紙位置にフロントトレイを固定可能である。フロントトレイM7010がフラットパス記録位置にあることはセンサによって検知可能であり、その検知に応じてフラットパス記録モードと判断することができる。
フラットパス記録モードでは、記録媒体をフロントトレイM7010に載せて、その記録媒体を排紙口から挿入する。そのために、まずは、フラットパスキーE3004を操作することにより、想定している記録媒体の厚みよりも高い位置まで、拍車ホルダM3130とピンチローラホルダM3000とを不図示の機構により持ち上げる。また、リアトレイボタンM7110を押すことによりリアトレイM7090を開き、さらにリアサブトレイM7091をV字に開くことも可能である(図9)。長い記録媒体を本体前面から挿入した場合には、それが本体背面から突出することがあり、リアトレイM7090およびリアサブトレイM7091は、そのような長い記録媒体を本体背面でも支えるためのトレイである。厚い記録媒体は、記録中にフラットな姿勢を保たないとヘッドフェイス面と擦れたり、搬送負荷が変化したりして、記録品位に影響を及ぼすおそれがあるため、これらのトレイの配設は有効である。しかし、本体背面からはみ出ない程度の長さの記録媒体を用いる場合には、それらのリアトレイM7090等を開く必要はない。
このようにして、記録媒体を排紙口から本体内に挿入可能となる。記録媒体の後端部(ユーザに最も近く位置する手前側の端部)と右端部とをフロントトレイM7010のマーカ位置に揃えて、フロントトレイM7010に載せる。
ここで再度フラットパスキーE3004を操作すると、拍車ホルダ3130が降りて、排紙ローラM3100およびM3110と拍車3120とが記録媒体をニップする。その後、排紙ローラM3100,M3110によって、記録媒体を所定量本体内に引き込む(通常記録時の搬送方向とは逆方向)。最初に記録媒体をセットした際に、記録媒体の手前側の端部(後端部)を揃えているため、短い記録媒体の前端部(ユーザから見て最も奥側の端部)は、搬送ローラM3060まで届いていないことがある。したがって、記録媒体を本体内に引き込む所定量は、想定している一番短い記録媒体の後端が搬送ローラM3060に届くまでの距離とする。所定量送られた記録媒体は、搬送ローラM3060にまで届いているため、その位置にピンチローラホルダM3000を降ろして、搬送ローラM3060とピンチローラM3070によって記録媒体をニップする。そして、記録媒体をさらに送り、その後端部が搬送ローラM3060とピンチローラM3070とでニップされるようにする。これにより、記録媒体のフラットパス記録のための給紙が終了したことになる(記録待機位置)。
排紙ローラM3100およびM3110と拍車M3120とのニップ力は、通常記録の排紙時に形成画像に影響を与えないよう、比較的小さく設定されている。従って、フラットパス記録時には、記録を行うまでに記録媒体の位置がずれてしまうおそれがある。しかし本実施形態では、ニップ力が比較的強い搬送ローラM3060とピンチローラM3070とによって記録媒体をニップするため、記録媒体のセット位置が確保されたことになる。また、記録媒体を上記所定量だけ本体内に送るときには、プラテンM3040と拍車ホルダM3130の間にあるフラットパス紙検知センサM3170によって、記録媒体の後端位置(記録時の前端位置となる)を検知することができる。
記録媒体が上記の記録待機位置に設定されると、記録コマンドを実行する。すなわち、記録ヘッドH1001による記録位置まで、搬送ローラM3060によって記録媒体を搬送し、その後は、通常の記録動作と同じように記録を行い、その記録後はフロントトレイM7010に排紙することになる。
フラットパス記録をさらに行いたい場合は、記録した記録媒体をフロントトレイM7010から取り出して、次の記録媒体をセットし、その後は前述した処理を繰り返せばよい。具体的には、フラットパスキーE3004を押すことによって、拍車ホルダM3130とピンチローラホルダM3000とを持ち上げて、記録媒体をセットすることから始まる。
一方、フラットパス記録を終了する場合は、フロントトレイM7010を通常記録位置に戻すことによって通常記録モードに戻すことができる。
クリーニング部(図11、図12)
クリーニング部は、記録ヘッドH1001のクリーニングを行うための機構である。このクリーニング部は、ポンプM5000、記録ヘッドH1001の乾燥を抑えるためのキャップM5010、記録ヘッドH1001の吐出口形成面をクリーニングするためのブレードM5020などから構成されている。
クリーニング部には、専用のクリーニングモータE0003が配されている。クリーニングモータE0003には、不図示のワンウェイクラッチが設けられており、一方向の回転でポンプM5000を作動させ、もう一方向の回転では、ブレードM5020の移動およびキャップM5010の昇降を行わせるようになっている。
キャップM5010は、モータE0003により不図示の昇降機構を介して昇降可能に駆動され、上昇位置では、記録ヘッドH1500に設けた数個の吐出部のフェイス面毎にキャッピングを施す。そのキャッピングにより、非記録動作時等において、フェイス面を保護したり、吸引回復を行なうことが可能である。その吸引回復においては、画像の記録に寄与しないインクが記録ヘッドからキャップM5010内に吸引排出される。また、画像の記録に寄与しないインクを記録ヘッドからキャップM5010内に加圧排出(加圧回復)させることも可能である。キャップM5010は、記録動作時には、記録ヘッド9との干渉を避ける下降位置に設定され、その下降位置においては、フェイス面と対向して予備吐出を受けることが可能である。その予備吐出においては、画像の記録に寄与しないインクが記録ヘッドからキャップM5010内に向かって吐出される。記録ヘッドH1001に10個の吐出部が設けられている場合には、例えば、5個の吐出部のフェイス面毎に一括してキャッピングを施すことが可能となるように、図のようにキャップM5010は2つ設けられる。
ゴム等の弾性部材でなるワイパー部H5020は、ワイパホルダH5021に固定されている。ワイパホルダH5021は、図12中の+Yおよび−Y方向(吐出部における吐出口の配列方向)に移動可能である。そして、記録ヘッドH1001がホームポジションに到達したときに、矢印−Y方向にワイパホルダ25が移動することによって、ワイピングが可能である。ワイピング動作が終了すると、キャリッジをワイピング領域の外に退避させてから、ワイパーをフェイス面等と干渉しない位置に戻す。本例のワイパー部M5020には、ワイパーブレード(単に、ワイパーとも言う)M5020A、M5020B、およびM5020Cが設けられている。ワイパーブレードM5020Aは、全吐出部のフェイス面を含む記録ヘッドH1001の面全体をワイピングする。ワイパーブレードM5020B,M5020Cは、5つの吐出部のフェイス面毎に、ノズル近傍をするワイピングする。
そしてワイピング後には、ワイパー部M5020がブレードクリーナM5060に当接することにより、ワイパーM5020A〜M5020C自身へ付着したインクなども除去することができる。また、ワイピングに先立って、ワイパーM5020A〜M5020Cにウェット液を転写させておくことにより、ワイピングによるクリーニング性を向上させるための構成(ウエット液転写部)が設けられている。このウェット液転写部の構成およびワイピング動作については、後述する。
吸引ポンプM5000は、キャップM5010がフェイス面に接合して、その内部に密閉空間が形成された状態のときに、そのキャップM5010内に負圧を発生させることが可能である。これにより、インクタンクH1900から吐出部内にインクを充填させたり、吐出口もしくはその内方のインク路に存在する塵埃、固着物、気泡等を吸引除去したりすることができる。
吸引ポンプM5000としては、例えば、チューブポンプ形態のものが用いられる。これは、可撓性を有するチューブと、そのチューブの少なくとも一部を沿わせて保持する曲面が形成された部材と、この部材に向けて可撓性チューブを押圧可能なローラと、このローラを支持して回転可能なローラ支持部と、を有するものとすることができる。すなわち、ローラ支持部を所定方向に回転させることにより、ローラが曲面形成部材上において可撓性チューブを押し潰しながら転動する。これに伴い、キャップM5010が形成する密閉空間に負圧が生じて、インクが吐出口より吸引され、そのインクは、キャップM5010からチューブないし吸引ポンプに引き込まれる。そこに引き込まれるインクは、さらに下ケースM7080に設けた適宜の部材(廃インク吸収体)に向けて移送される。
なお、キャップM5010の内側部分には、吸引後の記録ヘッドH1001のフェイス面に残るインクを削減するために、吸収体M5011が設けられている。また、キャップM5010を開放した状態で、キャップM5010ないし吸収体M5011に残っているインクを吸引することにより、残インクによる固着およびその後の弊害が起こらないように配慮されている。ここで、インク吸引経路の途中に大気開放弁(不図示)を設けて、キャップM5010をフェイス面から離脱させる際に、予め、この大気解放弁を開放しておいて、フェイス面に急激な負圧が作用しないようにしておくことが好ましい。
また吸引ポンプM5000は、吸引回復だけではなく、予備吐出動作などによってキャップM5010に受容されたインクを排出するためにも作動させることができる。すなわち、予備吐出されてキャップM5010に保持されたインクが所定量に達したときに、吸引ポンプM5000を作動させることにより、キャップM5010内に保持されていたインクをチューブを介して廃インク吸収体に移送することができる。予備吐出動作は、キャップM5010がフェイス面に対向した状態で行われる。
以上のワイパー部M5020の動作、キャップM5010の昇降および弁の開閉などの連続して行われる一連の動作は、モータE0003の出力軸上に設けた不図示のメインカムおよびこれに従動する複数のカム,アーム等によって制御可能である。すなわち、モータE0003の回転方向に応じたメインカムの回動によって、それぞれのカムの部位のカム部およびアーム等が作動することにより、所定の動作を行うことが可能である。メインカムの位置は、フォトインタラプタ等の位置検出センサによって検出することができる。
ウェット液転写部(図13、図12)
最近では、記録物の記録濃度、耐水性および耐光性等の向上のために、色材として顔料成分を含有するインク(以下、「顔料インク」という)が使用されることが多くなってきている。顔料インクは、元来固体である色材を、分散剤や、顔料表面に官能基を導入するなどして、水中に分散させてなるものである。従って、フェイス面上においてインク中の水分が蒸発して乾燥した顔料インクの乾燥物は、色材自体が分子レベルで溶解している染料系インクの乾燥固着物と比べ、フェイス面に与えるダメージが大きい。また、また顔料を溶剤中に分散させるために用いている高分子化合物には、吐出面に対して吸着されやすいという性質が見られる。このような問題は、インクの粘度調整や耐光性向上などを目的としてインクに反応液を添加する結果、インク中に高分子化合物が存在する場合には、顔料インク以外でも生じる。
このような課題に対し、本実施形態では、ブレードM5020に液体を転写・付着させることにより、濡れたブレードM5020でワイピングを行う。これにより、顔料インクによるフェイス面の劣化を防ぎ、かつワイパーの磨耗を軽減し、さらにはフェイス面に蓄積したインク残渣を溶解させることによって、蓄積物を除去することができる。かかる液体は、その機能から本明細書ではウェット液と称し、これを用いるワイピングをウェットワイピングと称する。
本実施形態では、ウェット液を記録装置本体内部に貯蔵する構成が採られている。M5090はウェット液タンクであり、ウェット液としてグリセリン溶液等を収納している。M5100はウェット液保持部材であり、ウェット液がウェット液タンクM5090から漏れないように、適度な表面張力を有する繊維質部材等であり、ウェット液を含浸保持している。M5080はウェット液転写部材であり、例えば、多孔質であって適度な毛管力を備えた材質でなり、ワイパーブレードと接触するウェット液転写部M5081を有している。ウェット液転写部材M5080は、ウェット液が染み込んだウェット液保持部材M5090と接しており、これにより、ウェット液転写部材M5080にもウェット液が染み込むことになる。ウェット液転写部材M5080は、ウェット液が残り少なくなっても、ウェット液転写部M5081へウェット液を供給できるだけの毛管力を有する材質である。
ウェット液転写部およびワイパー部の動作は以下のとおりである。
まず、キャップM5010を下降位置に設定し、キャリッジM4000を、ワイパーM5020A〜M5020Cに触れない位置に退避させる。この状態において、ワイパー部M5020を−Y方向に移動させ、ブレードクリーナM5060の部位を通過させてウェット液転写部M5081に接触させる(図13)。すなわち、ワイパーM5020A、5020B、5020Cを転写部M5081にこの順序で順次接触させる。これにより、それぞれのワイパーにウェット液が適量転写される。ここで、ワイパーM5020Aは、図11にて上述したように1枚の板状をなすものである。一方、他のワイパーブレードM5020B、M5020Cはそれぞれ2つの板状部分に分割された形態である。そして、ワイピングでは、ワイパーM5020A、M5020B、M5020Cが順次記録ヘッドのフェイス面を掃拭する。この際、先頭のワイパーM5020Aは主に転写されたウェット液をフェイス面に付与しつつ掃拭する。また、後続のワイパーM5020B、M5020Cは主にブレードM5020Aのウェット液で溶解したフェイス面のインク滴などを掻き取る機能を果たす。
次に、ワイパー部M5020を+Y方向に移動させる。それぞれのブレードがブレードクリーナM5060に触れる部分は、ウェット液が付着していない面であるため、ウェット液はそれぞれのブレードM5020A、M5020B、M5020Cに保持されたままになる。
ブレードをワイピング開始位置まで戻した後、キャリッジM4000をワイピング位置まで移動させる。再度、ワイパー部M5020を−Y方向に移動させることにより、ウェットワイピングを行う。すなわち、ワイパーM5020Aのウェット液が付いた面によって記録ヘッドH1001のフェイス面を掃拭するとともに、その後に続くブレードM5020B、M5020Cによってフェイス面にウェット液を付与しつつインクなどを掻き取る。そして、これらワイパーに付着したインクなどは、ワイパーM5020が移動しつつブレードクリーナM5060に当接することによって除去される。
電気回路構成
次に、本実施形態における電気的回路の構成を説明する。
図14は、本実施形態の記録装置における電気的回路の全体構成を概略的に説明するためのブロック図である。本実施形態において適用する記録装置の電気的回路は、主に、キャリッジ基板E0013、メイン基板E0014、電源ユニットE0015、およびフロントパネルE0106等によって構成されている。
電源ユニットE0015は、メイン基板E0014に接続されて、各種駆動電源を供給するものである。
キャリッジ基板E0013は、キャリッジM4000に搭載されたプリント基板ユニットであり、ヘッドコネクタE0101を通じて記録ヘッドH1001との信号の授受、およびヘッド駆動電源の供給を行うインターフェースとして機能する。ヘッド駆動電源の制御に供する部分として、記録ヘッドH1001の各色吐出部に対する複数チャネルのヘッド駆動電圧変調回路E3001を有する。そのヘッド駆動電圧変調回路E3001は、フレキシブルフラットケーブル(CRFFC)E0012を通じてメイン基板E0014から指定された条件に従って、ヘッド駆動電源電圧を発生する。また、キャリッジM4000の移動に伴ってエンコーダセンサE0004から出力されるパルス信号に基づいて、エンコーダスケールE0005とエンコーダセンサE0004との位置関係の変化を検出する。さらに、その出力信号をフレキシブルフラットケーブル(CRFFC)E0012を通じてメイン基板E0014へと出力する。
キャリッジ基板E0013には、図16に示すように、光学センサ、および周囲温度を検出するためのサーミスタが接続されている(以下、これらのセンサを「マルチセンサE3000」として参照する)。マルチセンサE3000により得られる情報は、フレキシブルフラットケーブル(CRFFC)E0012を通じてメイン基板E0014へと出力される。
メイン基板E0014は、本実施形態におけるインクジェット記録装置の各部の駆動制御を司るプリント基板ユニットである。後述するウェットワイピングに関する各実施形態の制御もこの基板に形成された制御構成によって制御され、また、処理される。その基板上は、ホストインタフェース(ホストI/F)E0017を有しており、不図示のホストコンピュータからの受信データに基づいて、記録動作の制御を行う。またメイン基板E0014は、キャリッジモータE0001、LFモータE0002、APモータE3005、およびPRモータE3006など各種モータに接続されて、各機能の駆動を制御する。キャリッジモータE0001は、キャリッジM4000を主走査させるための駆動源となるモータであり、LFモータE0002は、記録媒体を搬送するための駆動源となるモータである。またAPモータE3005は、記録ヘッドH1001の回復動作および記録媒体の給紙動作の駆動源となるモータであり、PRモータE3006は、フラットパス記録動作の駆動源となるモータである。さらにメイン基板E0014は、プリンタ各部の動作状態を検出するPEセンサ、CRリフトセンサ、LFエンコーダセンサ、PGセンサなどの様々なセンサに対し、センサ信号E0104によって制御信号および検出信号の送受信を行う。またメイン基板E0014は、CRFFC E0012および電源ユニットE0015のそれぞれに接続されると共に、パネル信号E0107を介してフロントパネルE0106との間にて情報の授受を行うためのインターフェースを有している。
フロントパネルE0106は、ユーザ操作の利便性のために、記録装置本体の正面に設けられたユニットであり、リジュームキーE0019、LED E0020、電源キーE0018、およびフラットパスキーE3004を有する(図2)。さらにフロントパネルE0106は、デジタルカメラ等の周辺デバイスとの接続に用いるデバイスI/F E0100を有している。
図15は、メイン基板E1004の内部構成を示すブロック図である。
図15において、E1102はASIC(Application Specific Integrated Circuit)であり、制御バスE1014を通じてROM E1004に接続される。ASIC E1102は、ROM E1004に格納されたプログラムに従って各種制御を行う。例えば、各種センサに関連するセンサ信号E0104、およびマルチセンサE3000に関連するマルチセンサ信号E4003の送受信を行なう。さらにASIC E1102は、エンコーダ信号E1020の出力状態、およびフロントパネルE0106上の電源キーE0018、リジュームキーE0019、フラットパスキーE3004から出力状態を検出する。またASIC E1102は、ホストI/F E0017、フロントパネル上のデバイスI/F E0100の接続およびデータ入力状態に応じて、各種論理演算や条件判断等を行い、各構成要素を制御してインクジェット記録装置の駆動制御を司る。
E1103はドライバ・リセット回路であって、ASIC E1102からのモータ制御信号E1106に従って、CRモータ駆動信号E1037、LFモータ駆動信号E1035、APモータ駆動信号E4001およびPRモータ駆動信号E4002を生成する。これらの駆動信号に基づいて各モータが駆動される。ドライバ・リセット回路E1103は電源回路を有しており、メイン基板E0014、キャリッジ基板E0013、フロントパネルE0106などの各部に必要な電源を供給し、さらに電源電圧の低下を検出して、リセット信号E1015の発生および初期化を行う。
E1010は電源制御回路であり、ASIC E1102からの電源制御信号E1024に従って、発光素子を有する各センサ等への電源供給を制御する。ホストI/F E0017は、ASIC E1102からのホストI/F信号E1028を、外部に接続されるホストI/FケーブルE1029に伝達し、また、このケーブルE1029からの信号をASIC E1102に伝達する。
一方、電源ユニットE0015からは電力が供給される。供給された電力は、メイン基板E0014内外の各部に対して、必要に応じて電圧変換された上で供給される。また、ASIC E1102からの電源ユニット制御信号E4000が電源ユニットE0015に入力されることにより、記録装置本体の低消費電力モード等が制御される。
ASIC E1102は、1チップの演算処理装置内蔵の半導体集積回路であり、前述したモータ制御信号E1106、電源制御信号E1024、および電源ユニット制御信号E4000等を出力する。そしてASIC E1102は、ホストI/F E0017との信号の授受を行うと共に、パネル信号E0107を通じて、フロントパネル上のデバイスI/F E0100との信号の授受を行う。さらにASIC E1102は、センサ信号E0104を通じてPEセンサ、ASFセンサ等の各部センサ類を制御すると共に状態を検知し、またマルチセンサ信号E4003を通じてマルチセンサE3000を制御すると共に状態を検知する。さらにASIC E1102は、パネル信号E0107の状態を検知し、パネル信号E0107の駆動を制御して、フロントパネル上のLED E0020を点滅させる。
さらにASIC E1102は、エンコーダ信号(ENC)E1020の状態を検知してタイミング信号を生成し、ヘッド制御信号E1021によって記録ヘッドH1001とのインターフェースをとることにより、記録動作を制御する。エンコーダ信号(ENC)E1020は、CRFFC E0012を通じて入力されるエンコーダセンサE0004の出力信号である。また、ヘッド制御信号E1021は、フレキシブルフラットケーブルE0012を通じてキャリッジ基板E0013に入力され、前述のヘッド駆動電圧変調回路E3001およびヘッドコネクタE0101を経て記録ヘッドH1001に供給される。また、記録ヘッドH1001からの各種情報はASIC E1102に伝達される。それらの情報の内、吐出部毎のヘッド温度情報については、メイン基板上のヘッド温度検出回路E3002にて信号増幅された後、ASIC E1102に入力されることにより各種制御の判断に用いられる。
図15中、E3007はDRAMであり、記録用のデータバッファ、ホストコンピュータからの受信データバッファ等として利用され、さらに、各種制御動作に必要なワーク領域しても使用される。
記録ヘッド構成
次に、本実施形態において適用するヘッドカートリッジH1000の構成について説明する。
本実施形態におけるヘッドカートリッジH1000は、記録ヘッドH1001と、インクタンクH1900を搭載する手段と、インクタンクH1900から記録ヘッドH1001にインクを供給するための手段と、を有している。このようなヘッドカートリッジH1000は、キャリッジM4000に対して着脱可能に搭載される。
図17は、本実施形態において適用するヘッドカートリッジH1000に対して、インクタンクH1900を装着する様子を示す図である。本実施形態の記録装置は、10色の顔料インクによって画像を形成する。それらの顔料インクは、シアン(C)、ライトシアン(Lc)、マゼンタ(M)、ライトマゼンタ(Lm)、イエロー(Y)、第1ブラック(K1)、第2ブラック(K2)、レッド(R)、グリーン(G)、およびグレー(Gray)の10色のインクである。そのため、インクタンクT0001は10色分が独立に用意されている。そして、図に示すように、インクタンクT0001のそれぞれがヘッドカートリッジH1000に対して着脱自在となっている。なお、インクタンクH1900の着脱は、キャリッジM4000にヘッドカートリッジH1000が搭載された状態で行えるようになっている。
インク構成
次に、本実施形態において使用する10色のインクについて説明する。
本実施形態において用いられる10色のインクとは、前述したように、シアン、ライトシアン、マゼンタ、ライトマゼンタ、イエロー、第一ブラック、第二ブラック、グレー、レッドおよびグリーンである。各色のインクに用いられる着色剤は、全てが顔料であることが好ましい。本発明の主旨にあえば、少なくとも一部の色に用いられる着色剤が染料であってもよい。また、少なくとも一部の色に用いられる着色剤が顔料と染料とを調色したものであってもよく、顔料を複数種含んでいてもよい。また、これらの10色のインクには、本発明の主旨にある範疇において、水溶性有機溶剤・添加剤・界面活性剤・バインダー・防腐剤から選ばれる少なくとも1種以上が含まれてもよい。
次に、本実施形態において使用する10色のインクの好ましい構成材料について、具体的に説明する。
顔料について
カラー顔料としては、有機顔料を挙げることができる。具体的には、酸性染料系レーキ、塩基性染料系レーキのような染付けレーキ系顔料、モノアゾイエロー、ジスアゾイエロー、β−ナフトール系、ナフトールAS系、ピラゾロン系、ベンズイミダゾロン系のような不溶性アゾ顔料、縮合アゾ顔料、アゾレーキ顔料、フタロシアニン系、キナクリドン系、アントラキノン系、ペリレン系、インジゴ系、ジオキサジン系、キノフタロン系、イソインドリノン系、ジケトピロロピロール系のような縮合多環系顔料などを挙げることができる。勿論、カラー顔料はこれらに限定されず、その他の有機顔料であってもよい。
ブラック顔料に使用される顔料としては、カーボンブラックが好適である。例えば、ファーネスブラック、ランプブラック、アセチレンブラック、チャンネルブラック等のカーボンブラックのいずれも使用することができる。また、本発明のために別途新たに調製されたカーボンブラックを使用することもできる。しかし本発明は、これらに限定されるものではなく、従来公知のカーボンブラックをいずれも使用することができる。また、カーボンブラックに限定されず、マグネタイト、フェライト等の磁性体微粒子、またはチタンブラック等を黒色顔料として用いてもよい。
顔料の分散を行うためには公知一般の分散剤を用いてもよく、または公知一般の方法により顔料表面を改質して、自己分散性を付与してもよい。
また、インクには水溶性有機溶剤、添加剤、界面活性剤、防腐剤を添加することができ、それらの材料としては、公知一般の材料をそれぞれ用いることができる。
2.実施形態の特徴構成
以下で説明する本発明の各実施形態の特徴構成は、ウェットワイピングに関し、特に、ウェット液の残量が少なくなったときの動作ないし処理に関するものである。
ウェットワイピングの基本構成は、図12、図13にて前述したとおりであるが、各実施形態を説明する前に、それら実施形態に係るウェットワイピングについて、さらに詳細に説明する。
図18は、ウェットワイピングの構成を示す図である。なお、図18に示す各要素は、図12、図13などに示す要素と同じ要素について異なる参照符号を用いている。しかし、それらの基本的な機能や動作は、図12、図13などにて説明したものと同じであることは以下の説明から明らかである。また、図18では、図12などに示した3つのワイパーM5020A、M5020B、M5020Cのうち、ワイパーM5020Aのみをワイパー10Aとして示している。不図示のワイパーM5020B、M5020Cは、以下で説明するワイパー10Aの動作と同じ動作を行う。
図18において、ブレードクリーナ11Aよりも右側のワイパー(ブレード)折り返し位置近傍にウェットワイピングのユニットが設けられている。このユニットにおいて、20はウェット液保持部材、21はウェット液転写部材、21aはワイパー10Aが当接しウェット液をウェイパーに付着させる転写部をそれぞれ示す。ワイパー10Aは図中左側から移動してブレードクリーナ11Aにて清掃された後、そのクリーナを通過してウェットワイピングユニットに達する(図中(4)→(5)→(6)の動作)。ワイパー10Aは図中左右に往復動するが、折り返し位置にてワイパー10Aが位置(6)で転写部21aに当たるようにウェットワイピングユニットが配置されている。この転写部で所定のニップ幅分に応じてウェット液が転写される。
ウェット液の転写後、ワイパー10Aは再び(6)→(1)と移動しワイパーの待機位置に停止する。ただし、このときブレードクリーナ11Aは、図示しない機構によって退避した位置にある。また、キャリッジ2もワイピング位置から移動して、ワイパーのワイピング面とは反対側の面ではヘッドのフェイス面を払拭しないようにしている。すなわち、(6)→(5)→(3)→(1)と移動してワイパーは停止位置(1)に戻ることになる。なお、上記の系では初回のワイピング時は、実際にはウェット液がワイパーに転写されていない状態でワイピングすることになる。しかし、ウェット液は非常に蒸発しにくいため以前のワイピング時のものがワイパーに残っている。またウェット液は通常のインクジェットプリンタに用いられるインクより高い粘度を有しているため、ワイパーに付着した後に流失してしまうこともない。さらに、初回回のみのドイワイピングによるフェイスの状態変化は装置寿命の間のワイピング耐久回数等に比較すると無視できるものである。
なお、本発明の適用は上記のような構成に限るものではなく、特許文献2に示されるような、回転ワイパーを用いたウェットワイピングの構成に対しても有効である。あるいは上記のようなワイパーがスライド移動する他の構成に対しても有効である。具体的には上記のようなスライドワイパーの系において位置(5)と位置(6)の間に折り返し位置を設け、そこから停止位置(1)に戻る構成であってもよい。これにより、ウェット液の転写工程((6)の位置まで移動してから(1)へ戻る工程)を含むワイピングと、ウェット液の転写を含まない((5)と(6)の間の位置にて折り返し(1)へ戻る)ワイピング工程とを有することができる。
以上のようなウェットワイピングの系における、ウェット液やそれの保持/転写部、ヘッドのフェイス面の状態については以下のとおりである。
ウェット液保持部材20は、ここではポリプロピレン繊維をスポンジ状にしたもの(以下PPスポンジと言う)で形成される。ポリプロピレン繊維の繊維径、繊維をスポンジ化したときの見かけ密度、スポンジ内の繊維の配向方向、スポンジを装置内に組み込むときの圧縮率、等は適宜選択することができる。転写部材21は、ウェット液保持部材20のPPスポンジから、ウェット液を伝達し転写部21aにウェット液を伝達する部材であり、転写部21aと一体となっている。本実施形態では、転写部材21として旭化成製サンファインAQ900を用いている。ウェット液保持部材20から転写部材21へ確実にウェット液の供給が行われるようにするため、ウェット液保持部材20の毛管力よりも転写部材21の毛管力のほうが強い関係を有している。この関係を維持しつつ、転写部材の平均気孔径、見かけ密度、毛管力等を適宜選択することができる。
また、ワイパー10Aは、本実施形態ではポリエーテルウレタンを用い、ヘッドのフェイス面の状態は表面に撥水材をコートしたものである。
ウェット液は、本実施形態ではグリセリンを用いている。グリセリンそのものは蒸発しにくいが、空気中の水分を吸湿しやすく、また一旦吸湿した場合でも低湿度環境下では水分を放出する特性がある。このため、ウェット液保持部材20や転写部材21等は吸湿、乾燥の影響を受けないように、その外周を図示しない水蒸気透過性の低い材料で遮蔽することが好ましいい。ただし、ウェット液保持部材に存在するエアーの膨張収縮に耐えられるように、完全密閉ではなく、一部に大気連通の細孔を設けることが望ましい。
また、ウェット液保持部材の大きさ、すなわちウェット液の必要量から逆算されるタンクの容積については、次のように算出できる。先ず、搭載するインクジェット記録装置の耐久枚数相当分のウェットワイピングを行ったとしてもフェイスの撥水状態に大きな変化がなく吐出インクの着弾位置精度が許容範囲内であるために必要なウェット液の転写量を実験等で求める。そして、これに耐久枚数相当分のワイピング回数を乗じただけのウェット液を保持可能な容積とする。
例えば図18に示した系では1回のウェットワイプに1mgのグリセリンをワイパーに転写した上で撥水処理された記録ヘッドのフェイス面に塗布することにより、目標とする耐久枚数10000枚を問題なく行うことができるとする。この場合、耐久枚数の間に必要なグリセリン量は10gとなる。これに、グリセリンの密度、PPスポンジのグリセリン保持量、転写部材のグリセリン保持量、グリセリン使いきり時の残量等を考慮すると、グリセリン保持部の容積は20cc程度が必要となる。初期のグリセリン注入量は使いきり効率にもよるが、通常100%の使い切りは期待できないので、必要量の1.2倍程度は注入しておく必要がある。もちろんこれらの条件、すなわち1回のワイピングで必要なグリセリンの量、耐久枚数、PPスポンジや伝達部材のグリセリン保持量に関しては、記録装置の要件に応じて異なるものなので適宜設定されるべきものである。
ウェット液の残量検出機構は、本実施形態では、装置本体内のEEPROM(不図示)にカウンタメモリーを割り当て、これに残量を記憶させる。例えば、初期値を10gとし、1回のワイピングによって変動を見込んだとしても最大転写される量が上記の1mgであるように設定することで、毎回のワイピングで1mgずつ減算していくようにすれば良い。このウェット液の残量を用いた制御に関しては後に詳細に説明する。
なお、本発明は上記のような形態にのみ限って適用されるものではない。例えば、ウェット液、ウェット液保持部材、転写部材等の材料や、フェイス面の状態の撥水/非撥水/親水性等や、インクの濡れ性の指標であるインク表面張力や前記フェイスに対するインクの接触角等の様々な変更が可能であり様々な形態に変形可能である。もちろんインクに関しても本明細書中は顔料インクを用いた場合を例としてあげているが、染料インクであっても本発明を適用することは可能である。
以下、本発明の特徴的な構成であるウェット液の残量減少時におけるウェットワイピングの制御に関する種々の実施形態を説明する。
(実施形態1)
本発明の第1の実施形態は、残量検出手段が検出(本実施形態では推定)したウェット液の残量に応じて、転写量を変更するものである。すなわち、ウェットワイピングユニットを機械的に上下動させることにより、ワイパーが転写部に当接するときの侵入量を変え、それによってワイパーが当接する部分のニップ幅を変えるものである。これにより、ウェット液の残量が少ないほど侵入量(ニップ幅)を大きくして転写する量ができるだけ変化しないようにする。
図19は、本実施形態のウェットワイピングの構成を示す図である。図中、23は軸22を回転軸として回転する偏心カムを示す。ウェット保持部材(ウェット液タンク)はこの偏心カムに支持されて上下動可能に設けられている。そして、前述した制御部及び駆動部によって、次の表1示すように、ウェット液の残量に応じて上下動するように制御される。すなわち、本実施形態では、表1に示すテーブルを参照して制御を行う。
Figure 0004974589
この表1では、例えば残量が7〜4gのときの転写部に対するワイパーの侵入量を基準値とし、かつこのときのワイピング1回でのウェット液の転写量が1.0mgであることを示している。そして、ウェット液の残量が減っていき4〜2gと推定されると、偏心カム23を回転してウェット液保持部材20を下降させ、侵入量を上記基準値より0.2mm多くする。これにより、ワイパー10Aの転写部21aに当接する範囲が大きくなり、転写量を約0.9mgと、基準値の場合と略同じ転写量に維持することができる。同様に、ウェット液の残量が2g未満と判断されたときは、ワイパーの侵入量を基準値よりも0.5mm多くする。これによってほぼ同じ転写量(0.8mg)を維持することができる。
仮にこのような制御を行わない場合、表1の右に参考として示したようにウェット液の転写量はウェット液の残量が少なくなると減少し、特に、装置寿命後期に所望のウェットワイピングの性能が発揮できないことが分かる。
これに対し、本実施形態によれば、機械的にワイパーの侵入量の制御を行うことにより、残量が少なくなったときに転写量が少なくなることを防止でき、装置寿命の後期であってもほぼ初期と同等の転写量を確保することができる。
なお、上記の実施形態ではウェット液保持部材(タンク)を上下動するものとしたが、図19において左右に移動させることによってワイパーの転写部21aへの侵入量を変えるようにしてもよい。ワイパーの折り返し位置(6)は機械的に固定されているので、図19に示す構成、すなわち、ワイパーの当接部が45°等の(水平以外の)角度を有して配置されている場合は上下動のみならず左右の移動によってもワイパーの侵入量は変化させることができる。
このようにウェット液の残量に応じてワイパーが転写部に侵入する侵入量を可変とすることで、装置寿命後期のウェット液の転写量の減少を防止し、所望のウェットワイピングの性能を発揮することができる。結果として、装置寿命の期間を通してワイピングによるヘッドフェイス面の状態の変化が少なく、寿命後期までインク着弾精度の劣化がなく記録品位を維持することができる。
(実施形態2)
本発明の第2の実施形態は、上記実施形態1と異なり、図20に示すように、保持部材20(ウェット液タンク)が軸24を中心に回転するように設けられる。このような回転機構とすることにより、実施形態1の上下動の構成よりも省スペース化を図ることができる。すなわち、実施形態1のようにウェット液タンクの上下動のためのスペースを広く持つ必要がなく、稼動範囲を狭くしつつワイパーの転写部21aへの侵入量を実施形態1と略同等に変えることができる。
記録装置におけるウェット液の残量に応じて、ウェット液タンクを回転させ侵入量を制御する点は実施形態1と同じである。もちろん所定の残量において侵入量を変化させる程度は適宜設定して、所望のウェットワイピングの性能が発揮できるように設定すればよい。
(実施形態3)
本発明の第3の実施形態は、ワイパーが転写部に当接する時間を、ウェット液の残量に応じて変化させるものである。図21は、本発明の第3実施形態に係るウェットワイピングのシーケンスを示すフローチャートである。
図21において、先ず、ステップ221で記録ヘッドおよびワイパーがワイピングポジションにあることを確認する。そして、ステップ222でワイピングを行う。すなわち、このワイピングでは、その前の動作でワイパー10Aに転写されたウェット液でフェイス面のインクなどを溶解する。次に、ステップ223で、ワイパー10Aをウェット液転写部21aに当接させる。この際、ステップ224で、ワイパー10Aが転写部21aに当接した状態で、ウェット液の残量に応じた時間(転写時間)待機する。この転写時間はプリンタのEEPROMに記憶されたウェット液残量に応じて、下記表2のテーブルに従って定める。なお、3つのワイパー(M5020A、M5020B、M5020C)に転写時間は、本実施形態では同じであり、以下の説明では、1つのワイパーに関して説明をする。また、実施形態4およびそれ以降の実施形態においても同様である。
上記転写のための待機時間が経過すると、次にステップ225で、記録ヘッドをワイパーの当たらない位置に退避させ、ステップ225でワイパーをワイパーのホームポジションに戻す。そして、次のワイピングに備える。
Figure 0004974589
表2に示すように、本実施形態のウェット液残量に応じたウェット液転写時間の制御は、ウェット液の残量が減少するほど転写量を確保するために転写時間を多くするものである。
例えば残量が4〜2gのときは、ワイパーの当接時間を1秒とし、ウェット液の転写を促進することにより、基準転写時間(0.5sec)の場合と略同じ0.9mgの転写量を維持することができる。なお、このワイパー当接時間は、ウェット液保持部の負圧の強さや、ワイパー材質、当接部材の材質、メカ構成等に応じて適宜設定されるものであることはもちろんである。
このように、本実施形態はウェット液の残量に応じてワイパーのウェット液転写部への当接時間を変更することによりウェット液の転写量制御を行うようにする。これにより、本実施形態では、実施例1、実施例2のようなウェット液タンクを動作させる機構を持つ必要がない。従って、実施例1、実施例2に対して装置のコストダウンや小
型化において利点がある。
(実施形態4)
本実施形態は、上述した実施形態3に示した転写処理をワイピングの直前に行うようにしたものである。また、この残量に応じた転写を必要に応じて複数回行う。
図22は、本発明の第4実施形態に係るワイピング動作を示すフローチャートである。この処理は、図21に示した処理に対してステップ211〜216の工程を追加したものである。
ステップ211〜216は、ワイピング動作の直前にウェット液の転写を行う処理を示している。先ず、ステップ211で記録ヘッドを退避させ、ステップ212でワイパー10Aの移動動作を行う。そして、ステップ213で、ウェット液転写部21aにワイパー10Aを当接させる。ステップ214では、この当接時間を、上述した実施形態3と同様、ウェット液の残量に応じて設定する。そして、ステップ215でワイパーをワイパーのホームポジションに戻す。さらに、ステップ216では、必要な回数、ステップ211〜215の工程を繰り返す。この繰り返し回数も、ウェット液の残量に応じて定めることができる。
このようにワイピングの直前にウェット液を転写するようにすることにより、より確実にウェットワイピングの機能を発揮させることができる。また、転写工程を複数回繰返すようにすることによっても、転写量を増すことが可能となる。
(実施形態5)
本発明の第5の実施形態は、上記各実施形態で説明したウェット液の残量に加え、本記録装置がおかれている環境の温度をも用い、ウェット液の残量および環境温度に応じて転写条件を制御するようにするものである。
ウェット液はそもそも装置寿命が来るまでの間保持されているべきものである。このため、ウェット液は空気中の飽和蒸気圧の低いもの、すなわち蒸発しにくいものが好ましく用いられる。また、インク増粘物への溶解性やヘッド各部材との接液性を考慮すると、インクジェット記録で用いるインクの組成としてもしばしば用いられるグリセリンやポリエチレングリコール等の多価アルコール類が好ましい。これらの溶剤は一般的に分子量が大きく粘度が高いものが多いので低温環境下での粘度上昇の程度も大きい。図23は、一例としてグリセリンの温度粘度曲線を示したものである。常温で800cp程度の粘度が、15℃で2300cp、5℃で7000cpと、低温に行くほど急激に粘度が上昇する。
このため、特に低温環境下ではウェット液の転写量が減少する。これは、ワイパーが転写部に当接したときのウェット液のワイパーに対する濡れが粘性のために不十分であるためである。あるいはワイパーが当接してから戻るときにウェット液の粘性が大きいために転写部からウェット液を引きちぎりにくくなるからであると考えられる。
本実施形態では、回復装置近傍にサーミスタなどで構成される温度検出部を設け、ウェット液に影響を与える環境温度を検出する。そして、表3に示すように、検出される環境温度の所定範囲ごとに当接時間のテーブルを参照して転写部への当接時間を制御する。因みに、表3に示すテーブルにおいて検出される環境温度が20℃〜30℃の範囲は上述した表2のテーブルに対応する。
表4は、本実施形態の制御によって、ウェット液残量と環境温度の変化に関わらず、転写量が略一定に維持されることを示している。
Figure 0004974589
Figure 0004974589
なお、本実施形態によれば、高温環境下での転写時間を常温より短い転写時間とすることで高温環境下でのウェット液の転写量の増加も抑えることができる。そうすることでウェット液の環境によらない安定供給が可能となり、高温であっても大量のウェット液を持ち出すということがなくなる。これにより、本体出荷時に収容させておくべきウェット液の量を適切な最小量とすることができる。
なお、ウェット液残量と環境温度に応じて制御する対象は、ワイパーの当接時間ばかりでなく、例えば、実施形態1、2にて説明した侵入量でもよい。
(実施形態6)
上述した実施形態1〜5は、ウェット液の転写量を制御するものである。これに対し、本発明の第6の実施形態は、1回のワイピング指令で行うワイピング動作の回数をウェット液残量(および環境温度)に応じて変更するものである。
図24は、本発明の第6の実施形態に係るワイピング動作を示すフローチャートである。図24に示すステップ221〜226は図21に示すステップ221〜226の処理と同じである。そして、ステップ227で、ウェット液の残量(および環境温度)ごとに定められた回数、ワイピングを実行したか否かを判断する。この回数に実行していないと判断したときは、ステップ221〜226の処理を繰り返す。ここで、この繰り返し回数は、ウェット液の残量の減少に応じて増やすようにする。
装置使用の初期はウェット液のワイパーへの転写量が十分であるため、1回のワイピングでフェイス面の清掃が可能である。しかしながら、装置寿命の後期になってウェット液残量が少なくなってくると、ワイパーへのウェット液の転写量が少なくない。このため、1回のワイピングでは本来のウェットワイピングの機能を発揮できず、ヘッドのフェイス面に増粘したインク残留物などの拭き残しがでてしまう。そこで、ワイピングの繰り返し回数を、残量や環境温度に応じて回数とすることにより、拭き残しを除去し、ヘッドのフェイス面を好適に保つことが可能となる。
また、ウェット液の残量などに応じて繰り返し回数を制御するのに加え、転写時間も組み合わせて制御することにより、より好適な制御を行うことが可能となる。
なお、本実施形態は、上述した実施形態4に比べて比較的簡単な機械構成で実施することができる。実施形態4では、図18に示すワイパー移動に関して、記録ヘッドをワイピングした直後の(3)→(4)→(5)のワイパー移動と、ワイピングを行わず、図22のステップ211〜215の繰り返しのために(3)→(4)→(5)とワイパーが動作するときの2つの場合が存在する。
ここで、ワイピング後は、位置(4)でワイパーの清掃のためにブレードクリーナ11Aとワイパーを接触させる必要がある。逆に、上記繰り返しのウェット液の転写のために移動しているときは、位置(4)でワイパーとブレードクリーナ11Aが接触すると、ワイパーに保持されていたウェット液がクリーナにより除去されてしまうため、クリーナを接触しない位置に退避させる必要がある。このように、実施形態4では(3)→(4)→(5)の同一方向へのワイパーの移動に対し、ブレードクリーナ11Aの位置を2つの位置から制御する必要があり、機械構成が複雑なものになってしまう。それに対して、本実施形態ではそのような構成が必要とならないため、比較的簡単な構成でウェットワイピングの機能を増強することができる。
なお、上述した各実施形態のウェットワイピング動作を実行するタイミングは、従来と同様である。すなわち、記録ヘッドのキャップオープン状態が所定時間継続したときに、吐出口面が乾燥している可能性があるので行うようにした、いわゆるタイマワイピングがある。また、吐出ドットカウントを行って所定量以上の記録がなされた場合に吐出口面がインクミストで汚れている可能性があるために行う、いわゆるドットカウントワイピングとするのが好ましい。あるいは、キャップクローズの前に記録ヘッドの吐出口面に付着したインクを除去しその後の放置に備えるようにするため、キャップクローズ前のタイミングであってもよい。
また長期放置後であって、記録ヘッドの吐出口に固着/増粘インクが存在する場合に行われる吸引回復動作後も吐出口面に吸引残りのインクが比較的大量に付着しているため、このインク残りを除去するために吸引後のタイミングであってもよい。
また、機械構成としては、図18に示したように転写部21aの上方にウェット液保持部材20および転写部材21があるような構成であってもよい。あるいは図25に示すように転写部21aの下方にウェット液保持部材20および転写部材21があるような構成であってもよい。
図25に示すウェット液を下方から汲み上げる方式は、物流時のウェット液の漏れ等に有利であるという長所がある。しかし、ウェット液の残量と転写量の相関が大きくなる傾向にあるため、本発明は、特には図25に示すような下方からウェット液を汲み上げる方式において特に有効である。
以上説明してきたように、上述の各実施形態によれば、ウェット液の残量に応じてウェット液の転写量やワイピング回数を制御するので、常に所望のウェットワイピングの性能を発揮することができる。結果として、装置寿命の期間を通してワイピングによるフェイス面の状態の変化が少なく、装置寿命後期までインク着弾精度の劣化のない記録品位の良好な記録を行うことができる。
以下で説明する実施形態7〜10は、ウェット液残量が無いときや少なくなったとき、以上説明した実施形態のようにウェットワイピングの内容を変更するのではなく、エラー表示やウェットワイピングを補助する他の動作を行う。これにより、装置全体で使い勝手のよい記録装置とするものである。
(実施形態7)
本発明の第7の実施形態は、ウェット液が不足すると、ウェット液残量が少ないこともしくは残量が無いことをユーザに警告あるいはエラー表示する構成に関する。
最初に、上記実施形態1〜6では簡単に説明した、ウェット液保持部20のウェット液容量とウェットワイピング可能な回数の関係について説明する。ウェット液保持部20の大きさ、すなわちウェット液の必要量から逆算される保持部の容積については、次のように算出できる。まず、ウェット液タンクを搭載する記録装置の耐久枚数(装置寿命)相当分のウェットワイピングを行ったとしてもフェイス面の撥水状態に大きな変化がなく吐出インクの着弾位置精度が許容範囲内であるために必要なウェット液の転写量を実験等で求める。そして、これに耐久枚数相当分のワイピング回数を乗じただけのウェット液を保持可能な容積とする。
例えば、本実施形態のウェットワイピング系で、1回の転写で0.5mgのグリセリンをワイパー(この場合、3枚のワイパー)に転写しそのワイパーでフェイス面をワイピングするとする。そして、そのワイピングによって目標とする耐久枚数21000枚を問題なく記録することができるようにする。そのために耐久枚数の記録の間に必要なワイピング回数は耐久枚数の1.5倍の約32000回と見積もると、グリセリン量のトータルは16gとなる。
これに、グリセリンの密度、PPスポンジのグリセリン保持量、伝達部材のグリセリン保持量、グリセリン使いきり時の残量等を考慮すると、グリセリン保持部の容積は32cc程度となる。初期のグリセリン注入量(Gross量)は使いきり効率にもよるが、通常100%の使い切りは期待できないので、Gross量の80%が使用可能として必要量(Net量)を見積もる。逆に言えば必要量の1/0.8=1.25倍程度は注入しておく必要がある。もちろんこれらの条件、すなわち1回のワイピングで必要なグリセリンの量、耐久枚数、PPスポンジや伝達部材のグリセリン保持量に関しては、各プリンタの要件に応じて異なるものなので適宜設定されるべきものである。
上記グリセリンの残量を正確にかつ安価な機構で測定することは困難であるため、通常はグリセリンの残量ではなく、ウェットワイピングを行った回数をカウントする。本実施形態では、このようにウェット液の残量を推測する。前述したように本体耐久枚数が21000枚と想定した場合にはウェットワイピングの回数(これをウェットワイピングカウント値とする)は約1.5倍の32000回を上限とする。
次に、ウェット液消費量の温度による違いを説明する。図26(a)および(b)は、この関係を示す図である。図26(a)から明らかなように、温度が高いほどウェット液のフェイス面への転写量は多くなり、温度が低いほどウェット液転写量は少なくなる。これは、前述したように、温度変化によってウェット液に使用するグリセリンの粘度が変化するためであり、特に、グリセリン粘度が高くなる低温環境ではウェット液転写量は大幅に少なくなる。そこで、図26(b)に示しまた前述したように、ワイパーの転写部への当接時間を環境温度によって変更する。これにより、温度によるウェット液転写量のばらつきを抑えることができる。しかしながら、当接時間のみの制御では一定の限界があり、図26(b)に示すように、0.3mg〜0.5mgの範囲でばらつきを生じることがある。
本実施形態では、ウェット液の残量Wr(g)は、プリンタの初期充填量T(g)に対して、安全率0.8を掛けた0.8T(g)をウェット液の初期ネット量とする。そして、これとウェットワイピングカウント数N、および1回のワイピングにおけるウェット液転写量の最大値Wに基づいて算出することができる。算出式は下記のように表される。
Wr=T×0.8−W×N
ここで、仮にウェット液保持部のグリセリン初期充填量Tを20gとする。従って、ウェット液が実際にウェットワイピングに使用できるネット量は20×0.8=16(g)となる。1回のワイピングにおけるウェット液転写量の最大値Wは、図26(b)からわかるように、0.5mgであるので、例えばワイピングを10000回実施した時点でのウェット液残量Wrは次のようになる。
Wr=20×0.8−(0.5/1000)×10000=11(g)
プリンタの初期状態から、ウェットワイピングの回数を重ね、ウェット液の消費率がネット量に対してある閾値(Th%)に達したとき、エラーを出してプリンタを強制停止させる。本実施形態では上記閾値Thを100%とする。ウェット液消費率が閾値Th=100%に達した時のワイピング回数N_Thは次のようになる。
N_Th=20×0.8×100%/(0.5/1000)=32000
このように32000回のウェットワイピングによって、ウェット液が100%消費されることになる。このウェット液消費率が100%となったとき、すなわち、ウェット液の残量がネット量に対して0%となったときのワイピング回数N_Thを残量なしエラー閾値とする。
図27は、本実施形態のウェットワイピングに関する処理を示すフローチャートである。本処理は、ウェットワイピングを行う直前に毎回行う。先ず、ステップ0201で本処理を起動する。ステップ0202では、ウェットワイピングの初期からの累積回数をカウントしたウェットワイピングカウント値Nと、上記のように定められたウェット液残量なしエラー閾値N_Thとの比較を行う。ウェットワイピングカウント値Nがウェット液残量なしエラー閾値N_Thよりも少ないときは何もせずにステップ0204に進んで本処理を終了する。ウェットワイピングカウント値Nがウェット液残量なしエラー閾値N_Thよりも多いときは、ステップ0203で、ウェット液残量なしエラーを表示し、ステップ0205でプリンタをエラー状態にして強制停止させる。
上記ステップ0203のウェット液残量なしエラーは、プリンタに接続されたホストPCのプリンタドライバUI上に、図28に示すようにプリンタがこれ以上記録できない旨を表示する。そして、プリンタの機能を停止させる。この際、プリンタは装置電源スイッチによるON・OFF以外の動作は受け付けない。装置電源スイッチONの際に上記エラー表示を行う。
以上説明したように、本実施形態では、ウェット液によるウェットワイピングを行った回数によってウェット液の残量を管理し、その残量が所定の閾値を超えた場合には、エラーを表示し、プリンタの機能を停止させるエラー処理を行う。仮に上記エラー処理が行われずに、ウェット液がなくなった状態で記録を行い続けると、記録ヘッドのフェイス面が損傷を受け撥水状態が著しく劣化するため、吐出状態の悪化による記録不具合が発生する。例えば、この記録不具合の原因がユーザには直接わからないため、クリーニングを頻繁に繰り返したり、場合によっては新しいインクタンクに交換して、不必要にインクを消費してしまう場合も起こりうる。これに対し、本実施形態によるエラー処理が適切に行われることにより、ユーザは耐久枚数以内では安定した状態で装置を使用でき、かつ装置の耐久枚数に達したときは、その状態がエラー表示によって識別可能となるため、ユーザの利便性向上につながる。
(実施形態8)
上記実施形態7では、ウェット液残量が0%になったときのみエラーを表示してプリンタ機能を強制停止する処理について説明した。本実施形態ではそれに加えて、ウェット液残量が残り少なくなった段階から警告を表示し、ユーザにプリンタの耐久枚数に近づいたことを通知する。
プリンタの初期状態から、ウェットワイピングの回数を重ね、ウェット液の消費率がネット量に対して第1の閾値(Th1%とする)に達した段階でユーザに対して警告を出す。さらにその閾値よりも大きい第2の閾値(Th2%とする)に達した段階でエラー処理を行い、プリンタを強制停止させる。本実施形態では上記第1の閾値Th1を95%、Th2を100%とする。
従って、ウェット液消費率が第1の閾値Th1=95%に達した時のワイピング回数は
N_Th1=20×0.8×95%/(0.5/1000)=30400
となる。30400回のウェットワイピングによって、ウェット液が95%消費される計算となる。このウェット液消費率が95%となるとき、すなわちウェット液の残量がNet量に対して5%となった時のワイピング回数N_Th1を残量警告閾値とする。
また、ウェット液消費率が第2の閾値Th2=100%に達した時のワイピング回数は
N_Th2=20×0.8×100%/(0.5/1000)=32000
となる。この32000回のウェットワイピングによって、ウェット液が100%消費されることになる。このウェット液消費率が100%となる、すなわちウェット液の残量がNet量に対して0%となった時のワイピング回数N_Th2を残量なしエラー閾値とする。
図29は、本実施形態のウェットワイピングに関わる処理を示すフローチャートである。この処理は、上記ウェットワイピング回数のカウント値と、ウェット液残量警告閾値および残量なしエラー閾値を基に、警告およびエラー表示を行う。本処理はウェットワイピングを行う直前に毎回行う。ステップ0301で本処理が起動されると、ステップ0302でウェットワイピングの初期からの累積回数であるウェットワイピングカウント値Nと、上記のように定められたウェット液残量警告の閾値N_Th1との比較を行う。ウェットワイピングカウント値Nがウェット液残量警告閾値N_Th1よりも小さいときは、何もせずにステップ0307に進んで本処理を終了する。ウェットワイピングカウント値Nがウェット液残量警告閾値N_Th1よりも大きいときは、ステップ0303で、さらにウェット液残量なしエラー閾値N_Th2との比較を行う。ウェットワイピングカウント値Nがウェット液残量なしエラー閾値N_Th2よりも小さいときは、ステップ0304で、ウェット液残量警告を行う。
本実施形態のウェット液残量警告は、PC上のプリンタドライバのUI上に警告画面を表示する。しかし、ユーザはウェットワイピングのウェット液の残量に関しては、特に関知する必要がない。従って、図30に示すような、近い時期にプリンタの耐久枚数に到達する旨のメッセージを表示させる。そして、他には何も行わずにステップ0307に進んで本処理を終了する。
ステップ0303でウェットワイピングカウント値Nがウェット液残量なしエラー閾値N_Th2よりも大きいと判断したときは、ステップ0305でエラー表示を行い、プリンタを機能停止させる。このステップ0305以降の処理内容は上記実施形態7と同様である。
以上説明したように、本実施形態によれば、実施形態7に対してさらにユーザに事前に耐久枚数に近づいたことを警告できる。これより、ユーザの使い勝手をより向上させることが可能となる。
(実施形態9)
本発明の第9の実施形態は、ウェット液残量の他に記録装置の耐久枚数を規定する、回復処理で排出されたインクを保持する廃インク容量、記録ヘッドの電気熱変換素子に印可した吐出パルス数を加えた3つの規定要素を管理する。そして、それら3つのカウント値に応じて2種類のワイピング方法を選択的に使用するものである。
以上の各実施形態で示したように、プリンタの耐久枚数を決める要素としてウェットワイピングに使用するウェット液の残量が存在する。ウェット液が十分残っているときは、ワイピング時の問題は特に発生しないが、ウェット液残量が不足しウェットワイピングの効果が果たせなくなると、記録ヘッドのフェイス面に対して損傷が生じることがある。そして、そのために吐出が不安定になって記録品位の低下の原因となる。
ところで、フェイス面における撥水性能もしくは親水性能の変化の問題に対処する別の手段として、特許文献3や特許文献4に記載されている、いわゆる予備吐出による濡らしワイピングの技術がある。これはワイパーに対して記録ヘッドからインクを吐出し、ワイパー表面を濡らしてからワイピングするものである。これにより、ワイピング性能の向上を図ることができる。
図31は、ワイピング動作を模式的に示す図である。ワイパー103が記録ヘッドのフェイス面101に当接しながら矢印Dの方向に移動する。この移動によってワイパー103がフェイス面上を清掃するのに同期して、呼び吐出102を行うことにより、前述したウェットワイピングと同等の効果を得ることが可能である。すなわち、ウェット液の代わりに予備吐出によってインクをワイパー表面に付着させ、湿潤な状態でワイピングするようにする。これにより、ワイピング性の向上をはかるとともに、撥水性能、親水性能の劣化を低減することもできる。
しかしながら、予備吐出による濡らしワイピングでは、ワイパーそのものやその近傍の部材に予備吐出によるミストが付着し、そのミストが固着することで、ワイピング動作や性能に悪影響を及ぼすことがある。また、にミストが浮遊して機内汚染が発生しやすくなるという問題がある。さらには予備吐出をすることで無駄なインクを消費することとなり、ランニングコストが高くなるという別の弊害もある。従って、ウェット液によるワイピングを完全に置き換えて、予備吐出による濡らしワイピングのみとすることは現実的ではない。
次に、インクジェット記録装置の耐久枚数を規定する廃インク容量について説明する。吸引回復や予備吐出によって発生する廃インクは、廃インク処理部材に排出され保持される。この廃インク処理部材の容量については、記録装置の通常の使われ方を想定し、所定期間内に処理された廃インクの蒸発分も加味して、記録装置が処理可能な限界値を設定する。そして、それを超える量の廃インクを処理しようとした際にはエラーを発生し記録装置を使用できない状態とする。仮にこの限界値を超えて廃インクを処理しようとした場合には、吸収しきれない廃インクが機内から機外に漏れて、周辺を汚してしまうといった弊害を引き起こす可能性がある。従って、この廃インク容量はマージンを加味して設定し、廃インク処理部材の吸収容量を超えて廃インクが発生することがないように、直ちにエラーを発生させてプリンタの機能を停止させる。この廃インク量は吸引回数や予備吐出数について全てカウントを行い、それらの総和(廃インクカウント値とする)が所定の閾値を超えたときに廃インクエラーを出してプリンタの全ての機能を停止させる。
さらに、記録ヘッドの耐久パルス数について説明する。本実施形態で用いられる記録ヘッドは、前述したように電気熱変換素子(ヒータ)の発生する熱エネルギーを利用してインクを吐出する。このヒータは熱エネルギーを与え続けていくことで、ヒータ表面に焦げが発生したり、表面が改質することでヒータ近傍の熱伝導率が悪くなり、インク吐出が不安定になることがある。さらにはヒータに与えられた熱ストレスによってヒータが断線し、全く吐出できない状態になることもある。これらの現象は記録ヘッド使用開始初期には発生しないが、記録ヘッドに相当数の吐出パルスを印加していくことで徐々に現象が現れる。インクジェット記録装置に対して、固定の1個の記録ヘッドを使う、いわゆるパーマネント式の記録ヘッドについては、インクジェット記録装置の耐久枚数に見合った記録ヘッドの耐久性を有する必要がある。しかし、記録する画像がユーザによって異なり、すなわち記録ヘッドに与えられる吐出パルス数もユーザの使用状況によって変化する。このため、記録ヘッドに与えられるパルス数をカウント(印加パルスカウント値とする)し、所定の閾値を超えた段階で記録ヘッドエラーを出して、記録を停止する。この印加パルス数のカウントを全吐出口に対して行うことは、ソフト処理、ハード処理いずれでも処理的な負荷が大きすぎて現実的ではないため、全吐出口数に与えられる総数をカウントして平均的な印加パルスカウント値で管理を行う。この場合、吐出口によっては印加されるパルス数に偏りが生じるため、上記印加パルスカウント値の閾値は、記録ヘッドのヒータの寿命に対して一定のマージンを持って設定する。
以上説明したように、インクジェット記録装置の耐久枚数を規定するパラメータとしては次の3つがある。ウェットワイピング回数をカウントするウェットワイピングカウント値、廃インク量を管理する廃インクカウント値、記録ヘッドのパルス数をカウントする印加パルスカウント値の3種類である。これらはそれぞれインクジェット記録装置の一般的な使用状態を想定して、本体の耐久枚数を満たすように閾値が設定される。例えば、本実施形態のインクジェット記録装置の耐久枚数がA4原稿10000枚であったとする。この時ユーザの使用状況として、記録デューティーが各色平均15%の原稿を10000枚印刷することを想定したとする。A4の記録可能領域21×29.7cmに対して、記録解像度が1200dpi×1200dpiの記録を行う場合は次のようになる。記録ヘッドの副走査方向の解像度が1200dpiで、吐出口数が各色512のとき、各吐出口単位の平均印加パルス数は(21÷2.54)×(29.7÷2.54)×1200×1200×0.15×10000÷512=4.0×10^8となる。従って、印加パルスカウント値の閾値を4.0×10^8と設定する。また、廃インクカウントに関しては1ヶ月平均**枚印刷を行うものとして、吸引・予備吐によって発生する廃インク量の見積もりを行い、その値を閾値と設定する。さらにウェットワイピングカウント値に関しては、最もワイピングが多く実行される場合として、装置の耐久枚数10000枚全てでワイピングが実行される場合を想定する。この場合に10000回を閾値と設定する。また、廃インクカウント値としては、インクジェット記録装置を使用する間に実行する全ての吸引および全ての予備吐出で消費するインク量の合計を計算する。この吸引には、インクタンク交換時に行う吸引や、記録デューティーの高いパターンを記録した際に発生する気泡を定期的に排出されるための吸引等がある。また、予備吐出には、記録中に待機が発生した際に吐出口の固着を防止するための予備吐出や、吸引時にノズル内に流入した混色インクを排出するための予備吐出等がある。例えば上記全ての吸引について、吸引A、吸引B、吸引Cと3種類の吸引が存在し、それぞれの吸引量がa[mg]、b[mg]、c[mg]であったとする。また、それぞれの吸引が本体耐久枚数10000枚使用までにx回、y回、z回発生したとする。この場合、耐久枚数1万枚までの吸引総量はa×x+b×y+c×z[mg]となる。また、予備吐についても同様に、全ての予備吐について予備吐P、予備吐Q、予備吐Rの3種類が存在し、それぞれのインク消費量がp[mg]、q[mg]、r[mg]であったとする。そして、それぞれの予備吐がs回、t回、u回発生したとする。この場合、耐久枚数1万枚までの予備吐総量はp×s+q×t+r×u[mg]となる。よって廃インクカウント値としては(a×x+b×y+c×z)+(p×s+q×t+r×u)[mg]となる。この廃インクカウント値が数値としていくつになったら廃インクエラーを出すかの閾値設定については、記録装置本体に具備する廃インク吸収体の体積と、吸収体のインク保持率および蒸発率によって決まる。例えば吸収体体積が800ccであり、インク保持率が80%、蒸発率が60%とした際には800×0.8/0.6×1000=1066667[mg]が閾値となる。この閾値を越えると廃インクが吸収体に吸収し切れずにインクが機外にあふれてしまうといった弊害を引き起こす可能性があるため、エラーを出して記録装置の機能全てを停止させる。
図32は、耐久枚数を規定する上記3種類の要素のカウント値が、記録枚数の増加に伴ってどのように推移するかを模式的に示す図である。同図に示すように、記録装置の使用状態によって多少の上下はあるが、概ねそれぞれの要素は設定した閾値に対して平均的に増加していく。
これに対し、図33は、3種類の要素の推移に偏りが発生する場合を示す図である。同図に示す例は、ウェットワイピングのカウント値のみ、閾値への到達が早く他の2つの要素パラメータが閾値よりも比較的低い数値となるケースを示している。例えば、記録デューティーが比較的少ないパターンを低速に記録することが多い場合、印加パルス数は少なく、かつ吸引や予備吐出による廃インク量も少ない状態であるが、記録中の吐出口の乾燥を防ぐためのワイピングは毎ページ終了ごとに実施される。このような場合、図32に示す状況となる。
記録ヘッドの耐久パルス数や、廃インクカウントの閾値については、それを超えた場合の記録装置の性能および品質に比較的大きな弊害を引き起こす可能性がある。また、記録ヘッド交換や廃インク吸収体交換を行う以外には、それを補う代替手段もない。従って、これらの閾値を超えたときはエラーを発生させて記録装置を停止させる必要がある。
しかし、ウェットワイピングに関しては、ウェット液がなくなった状態でも、前述した予備吐出による濡らしワイピングを行うことによって、本来ウェットワイピングが目的としているフェイス面の撥水性能、親水性能の劣化を抑えることがほぼ可能である。また、耐久枚数10000枚を想定した時のワイピング回数10000回全てに対して予備吐出による濡らしワイピングを行うことはミストによる機内汚染といった別の弊害も発生する恐れがある。しかし、耐久後期の1000〜2000枚分程度について、ワイピングを予備吐出による濡らしワイピングに置き換えても、上記弊害はほとんど無視できる程度となる。
そこで、本実施形態は、ウェット液の残量に応じてウェットワイピングから予備吐出による濡らしワイピングに変更する制御を行う。図34は、この処理を示すフローチャートである。
インクジェット記録装置において、ワイピングを実行するタイミングで同図に示す処理が起動される。最初に、ステップ102でウェットワイピングカウント値がウェットワイピングの閾値(Th_wetwipeとする)を超えているか否かを判定する。ここで、閾値以下と判定されたときは、ウェットワイピング実行が行える、すなわちウェット液残量が十分残っている状態とみなしてステップ108に移行し、ウェットワイピングをそのまま実行する。また、ステップ102で閾値を超えていると判定された場合は、ステップ103で、廃インクカウント値が廃インクカウントの閾値(Th_Inkとする)に対して所定の比率K%を超えているか否かを判定する。ここで、Th_Ink×K%の値を超えている場合は、ウェットワイピングのみならず、廃インク容量も相当数になっていると推定されるため、耐久枚数に達したと判定してエラー出力を行う。ここでK%は、ウェットワイピングの実施が行えなくなった時点で、廃インクエラーが出されるまでのどのタイミングまで予備吐出による濡らしワイピングを実施するかを設定するものである。廃インクエラー出力タイミングと同じに設定する場合は、K=100%となり、また、多少廃インクエラーに対して安全を見込む場合は、K=90%とする等、適宜設定すれば良い。
但し、ステップ103でエラー出力を行うと判定された場合でも、ワイピング実施を行うタイミングとして本処理が起動されているため、ステップ107で予備吐出による濡らしワイピングを1回行う。そして、その後、ステップ110でエラー出力のフラグを立ててから、ステップ113のエラー処理へと移行する。エラー処理フローについては特に詳述しないが、上記ステップ110でエラー出力フラグが立てられているか否かによって適切なシーケンスを実行した後、プリンタエラーを出して全ての機能停止を行う。
ステップ103で、廃インクカウント値がTh_Ink×K%の値を下回っている場合は、ステップ104に移行する。ステップ104では、印加パルスカウント値が印加パルスカウントの閾値(Th_pulseとする)に対して所定の比率L%を超えているか否かを判定する。ここで、Th_pulse×L%の値を超えている場合は、ウェットワイピングのみならず、記録ヘッドの印加パルス数も相当数になっていると想定されるため、耐久枚数に達したと判定してエラー出力を行う。ここでL%とは、ウェットワイピングの実施が行えなくなった時点で、記録ヘッドエラーが出されるまでのどのタイミングまで予備吐による濡らしワイピングを実施するかを設定するものである。記録ヘッドエラー出力タイミングと同じに設定する場合にはL=100%となり、また、多少記録ヘッドエラーに対して安全を見込むのであれば、L=90%とする等、適宜設定すれば良い。
ステップ104で印加パルスカウント値がTh_pulse×L%の値を下回っていた場合は、ステップ105に移行する。ステップ105では、予備吐出による濡らしワイピングを行った回数が、閾値(Th_prejet)以下か否かを判定する。ここで、閾値Th_prejetを上回っていた場合は、予備吐出による濡らしワイピングを所定回数以上行うこととなって、ミストによる汚れ等の弊害発生の恐れもある。このため、ステップ107に移行して1回のみ予備吐出による濡らしワイピングを実行しステップ110でエラー出力フラグをONとする。ここで、ステップ107で予備吐出による濡らしワイピングを実施しても1回のみの実施であれば、致命的な弊害にはつながらないため問題はない。
さらに、ステップ105で予備吐出による濡らしワイピングの回数が閾値Th_prejet以下である場合は、ステップ106で予備吐出による濡らしワイピングを実施する。そして、ステップ109で予備吐出による濡らしワイピングの回数をカウントアップし、ステップ112で本処理を終了する。
ここで、閾値Th_prejetについては前述したように1000〜2000回程度の、予備吐出による濡らしワイピングによるミスト汚れの弊害が発生しない程度の回数に設定する。
以上説明したように、本実施形態によれば、ウェットワイピングに用いるウェット液の残量が少なくなった場合でも、一定期間はウェットワイピングとほぼ同等の機能を果たす予備吐出による濡らしワイピングに切り替えることができる。これにより、ユーザがより長い期間インクジェット記録装置を使用することができる。
(実施形態10)
本実施形態は、一定期間ウェットワイピングと予備吐出による濡らしワイピングを併用することを特徴とする。
前述したように、ウェット液保持部材はPP繊維によるスポンジを使用しており、ウェット液が保持できるような負圧が保たれている。しかしながら、ウェット液が十分含浸されている初期の負圧と、ウェット液の残量が減ってきたときの耐久枚数後期の負圧は、ウェット液の水頭の影響による比較的大きな差が生じる。このため、ウェット液の転写量は初期と耐久枚数後期では若干異なり、初期のウェット液転写量はやや多く、耐久後期はウェット液転写量が若干少なくなる傾向にある。
このように記録枚数が増えるに従ってウェット液の転写量が徐々に減少していく場合、最も少なくなった時点で最低必要な転写量を確保しようとすると、ウェット液の使いきり状態に対してかなり早い段階でウェットワイピングを中断することになる。すなわち、ウェット液の残量が相当量残っている状態でウェットワイピングを中断しなければならなくなる。また、逆に、プリンタの耐久枚数(例えば10000枚)の時点で、必要最低限の転写量を確保しようとすると、初期からウェット液を余分に保持させる必要がある。このため、ウェット液保持部の容積が増え、ひいては記録装置自体の大型化につながる。
そこで、本実施形態では、必要最小限の転写量を確保できなくなった段階で、ウェットワイピングを行うと同時に予備吐出による濡らしワイピングを追加で実施する。これにより、ワイピング時の必要な湿潤状態を保つことが特徴となる。
図35(a)および(b)は、耐久枚数の推移に対して、ウェットワイピングと予備吐出による濡らしワイピングの切り替え制御をどのように行うかを模式的に示す図である。図35(a)は、上述した実施形態9の処理の切り替わりタイミングを示している。同図に示すように、初期から10000枚まではウェットワイピングを行い、10000枚以降は12000枚まで予備吐出による濡らしワイピングを実行する。
これに対し、図35(b)は、本実施例によるワイピング制御の切り替わりタイミングを示している。同図に示すように、初期から9000枚まではウェットワイピングを行い、9000枚の時点でウェット液の現象による転写量不足を補うために、9000枚から11000枚まではウェットワイピングと予備吐出による濡らしワイピングを併用する。この間の予備吐出によるワイピングの予備吐出量はウェットワイピングによるワイピングを補うレベルで良いため比較的少ない予備吐出量で良い。さらに、11000枚を過ぎた段階で、予備吐出による濡らしワイピングのみに切り替えを行う。ここで、ウェットワイピングと予備吐出による濡らしワイピングの併用領域が、実施形態9の切り替えタイミングの10000枚の場合よりも増えているのは次の理由からである。ウェット液によるウェットワイピングのみで必要最低限のウェット液の転写量(例えば1mg)を確保しようとすると、耐久枚数を10000枚に設定する必要があるからである。それに対し、実際には10000枚を超えてもある一定量の転写(例えば0.7mg)は実施可能である。従って、本実施形態のようにウェット液によるウェットワイピングで不足するウェット液量分(上記例で言うと0.3mg)を予備吐出によって補うことができれば、ウェット液をさらに有効に使用することが可能となる。これにより、トータルの耐久枚数を増やすこともできる。
以上説明したように本実施形態によれば、ウェットワイピングと予備吐出による濡らしワイピングを切り替え、かつ併用する。これにより、信頼性上必要となるワイピング性能を満たしつつ、インクジェット記録装置の耐久枚数をさらに増すことが可能となる。
以上の実施形態7〜10によれば、ウェット液がなくなった状態でユーザが使用し、記録ヘッドのフェイス面にダメージを与えたまま使いつづけることによるメディアやインクの浪費を最小限に食い止められる。
また、耐久枚数の後期でも記録品位を良好に保つことができる。また、ウェット液を保持する容器の体積を必要以上に増やす必要もなくなるため、本体サイズの肥大化を避けつつ、耐久枚数の増加も行うことが可能となる。
(他の実施形態)
上述の実施形態では、3枚のワイパーそれぞれにウェット液を転写する形態について説明したが、本発明の適用はこの形態に限られないことはもちろんである。例えば、3枚のうち、1枚あるいは2枚のみにウェット液を転写する形態であってもよい。また、ワイパーそのものが3枚の構成である必要もない。例えば、1枚のみのワイパーを備え、これにウェット液を転写する構成にも本発明を適用できることは、以上の説明からも明らかである。
また、上述した実施形態1〜5や実施形態9、10において、ウェット液の残量が少なくなったときに、実施形態8で説明した、装置の寿命が残り少ない旨の警告表示を併せてするようにしてもよい。また、実施形態1〜5や実施形態9、10において、ウェット液がなくなったときに、実施形態7で説明した、装置の記録動作ができない旨のエラー表示を併せてするようにしてもよい。
ウェット液の転写の様子を模式的に説明する図である。 本発明を適用可能な記録装置を非使用時に前面から見た斜視図である。 図2の記録装置を非使用時に背面から見た斜視図である。 図2の記録装置を使用時に前面から見た斜視図である。 図2の記録装置の内部機構を右上部から見た斜視図である。 図2の記録装置の内部機構を左上部から見た斜視図である。 図2の記録装置の内部機構の側断面図である。 図2の記録装置をフラットパス記録時に前面から見た斜視図である。 図2の記録装置をフラットパス記録時に背面から見た斜視図である。 図2の記録装置におけるフラットパス記録を説明するための模式的側断面図である。 図2の記録装置におけるクリーニング部の斜視図である。 図11のクリーニング部におけるワイパ部の断面図である。 図11のクリーニング部におけるウエット液転写部の断面図である。 図2の記録装置における電気的回路のブロック図である。 図14におけるメイン基板のブロック構成図である。 図14におけるキャリッジ基板に実装されるマルチセンサの構成図である。 図2の記録装置に用いられるヘッドカートリッジとインクタンクの斜視図である。 本発明の実施形態に係るウェットワイピングの基本構成を示す図である。 本発明の第1の実施形態に係るウェットワイピングの構成を示す図である。 本発明の第2の実施形態に係るウェットワイピングの構成を示す図である。 本発明の第3実施形態に係るウェットワイピングのシーケンスを示すフローチャートである。 本発明の第4実施形態に係るウェットワイピング動作を示すフローチャートである。 ウェット液に用いるグリセリンの温度粘度曲線を示す図である。 本発明の第6の実施形態に係るワイピング動作を示すフローチャートである。 ウェット液転写部の下方にウェット液保持部材がある本発明の一実施形態にかかる構成を示す図である。 (a)および(b)は、ウェット液消費量の温度による違いを説明する図である。 本発明の第7の実施形態によるウェットワイピングに関する処理を示すフローチャートである。 本発明の一実施形態に係るエラー表示を示す図である。 本発明の第8の実施形態によるウェットワイピングに関わる処理を示すフローチャートである。 本発明の一実施形態に係り、近い時期にプリンタの耐久枚数に到達する旨のメッセージを表示する例を示す図である。 本発明の第9の実施形態に係るワイピング動作を模式的に示す図である。 本発明の一実施形態に係り、耐久枚数を規定する要素のカウント値が、記録枚数の増加に伴ってどのように推移するかを模式的に示す図である。 図32における要素の推移に偏りが発生する場合を示す図である。 ウェット液の残量に応じてウェットワイピングから予備吐出による濡らしワイピングに変更する制御を示すフローチャートである。 (a)および(b)は、耐久枚数の推移に対して、ウェットワイピングと予備吐出による濡らしワイピングの切り替え制御をどのように行うかを模式的に示す図である。
符号の説明
10A、M5020A、M5020B、M5020C ワイパー(ブレード)
11a、M5060 ブレードクリーナ
20、M5100 ウェット液保持部材
21、M5080 ウェット液転写部材
21a、M5081 ウエット液転写部
E0014 メイン基板
E1102 ASIC
E1004 ROM
E3007 RAM

Claims (8)

  1. 記録ヘッドのインク吐出口面をワイピングするためのワイパーと、該ワイパーに転写されるウェット液を保持する保持部と、該保持部に保持されたウェット液を転写するために前記ワイパーが当接する転写部と、を備えるインクジェット記録装置において、
    前記保持部に保持されているウェット液の残量が第1の量の場合に前記ワイパーと前記転写部を当接させる面積に対して、前記残量が前記第1の量よりも少ない第2の量の場合に前記ワイパーと前記転写部を当接させる面積を大きくすることを特徴とするインクジェット記録装置。
  2. 前記転写部が上下に移動することにより、前記ワイパーと前記転写部を当接させる面積を変更することを特徴とする請求項1に記載のインクジェット記録装置。
  3. 前記転写部が回転することにより、前記ワイパーと前記転写部を当接させる面積を変更することを特徴とする請求項1に記載のインクジェット記録装置。
  4. 記録ヘッドのインク吐出口面をワイピングするためのワイパーと、該ワイパーに転写されるウェット液を保持する保持部と、該保持部に保持されたウェット液を転写するために前記ワイパーが当接する転写部と、を備えるインクジェット記録装置において、
    前記保持部に保持されているウェット液の残量が第1の量の場合に前記ワイパーと前記転写部を当接させる時間に対して、前記残量が前記第1の量よりも少ない第2の量の場合に前記ワイパーと前記転写部を当接させる時間を長くすることを特徴とするインクジェット記録装置
  5. 記録ヘッドのインク吐出口面をワイピングするためのワイパーと、該ワイパーに転写されるウェット液を保持する保持部と、該保持部に保持されたウェット液を転写するために前記ワイパーが当接する転写部と、を備えるインクジェット記録装置において、
    前記保持部に保持されているウェット液の残量が第1の量の場合に前記ワイパーが前記吐出口面をワイピングする回数に対して、前記残量が前記第1の量よりも少ない第2の量の場合に前記ワイパーが前記吐出口面をワイピングする回数を多くすることを特徴とするインクジェット記録装置。
  6. 記録ヘッドのインク吐出口面をワイピングするためのワイパーと、該ワイパーに転写されるウェット液を保持する保持部と、該保持部に保持されたウェット液を転写するために前記ワイパーが当接する転写部と、を備えるインクジェット記録装置において、
    前記保持部に保持されているウェット液の残量に応じて、ウェット液が転写された前記ワイパーでワイピングするウェット液ワイピングと、前記記録ヘッドから吐出されたインクを付着させた前記ワイパーでワイピングするインクワイピングと、を選択的に行うことを特徴とするインクジェット記録装置。
  7. 記録ヘッドのインク吐出口面をワイピングするためのワイパーと、該ワイパーに転写されるウェット液を保持する保持部と、該保持部に保持されたウェット液を転写するために前記ワイパーが当接する転写部と、を備えるインクジェット記録装置の制御方法において、
    前記保持部に保持されているウェット液の残量が第1の量の場合に、前記ワイパーと前記転写部を第1の面積当接させる工程と、
    前記残量が前記第1の量よりも少ない第2の量の場合に、前記ワイパーと前記転写部を前記第1の面積より大きい第2の面積当接させる工程と、
    を備えることを特徴とするインクジェット記録装置の制御方法。
  8. 記録ヘッドのインク吐出口面をワイピングするためのワイパーと、該ワイパーに転写されるウェット液を保持する保持部と、該保持部に保持されたウェット液を転写するために前記ワイパーが当接する転写部と、を備えるインクジェット記録装置の転写方法において、
    前記保持部に保持されているウェット液の残量が第1の量の場合に、前記ワイパーと前記転写部を第1の時間当接させる工程と、
    前記残量が前記第1の量よりも少ない第2の量の場合に、前記ワイパーと前記転写部を前記第1の時間より長い第2の時間当接させる工程と、
    を備えることを特徴とするインクジェット記録装置の転写方法
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