JP2007319743A - 水素精製フィルタおよびその製造方法 - Google Patents

水素精製フィルタおよびその製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】水素精製において優れた水素透過効率を示す水素精製フィルタと、この簡便な製造方法を提供する。
【解決手段】水素精製フィルタを、多孔支持体の一方の面に孔部を覆うように配設された前面Pd合金膜と、孔部の内壁面を含む多孔支持体の他方の面および孔部内に位置する前面Pd合金膜上に配設された背面Pd合金膜とを備えたものとし、前面Pd合金膜と背面Pd合金膜との積層部位を水素透過膜とする。この水素精製フィルタは、エッチング工程にて、複数の孔部を穿設して多孔支持体を作製し、無電解めっき工程にて、多孔支持体の一方の面にフィルムレジストを貼設し、多孔支持体の他方の面側から無電解めっきにより孔部の内壁面を含む多孔支持体上と、孔部内に位置するフィルムレジスト上とに背面Pd合金膜を形成し、電気めっき工程にて、フィルムレジストを除去して露出した面に、電気めっきにより前面Pd合金膜を形成することにより作製する。
【選択図】 図1

Description

本発明は、水素精製用フィルタとその製造方法に係り、特に各種の炭化水素系燃料を水蒸気改質して水素リッチガスを生成するための改質器等に使用する水素精製フィルタと、これを簡便に製造することができる製造方法に関する。
近年、地球規模の環境やエネルギー・資源の問題が顕在化し、これらと産業との調和を図るエネルギー供給システムの一つとして燃料電池が注目されている。燃料電池は、予め用意した水素ガスや、天然ガス、ガソリン、ブタンガス、メタノール等の炭化水素系燃料を改質して得られる水素リッチガスを、空気中の酸素と電気化学的に反応させて直接電気を取り出す発電装置である。上記の水素リッチガスを用いる燃料電池は炭化水素系燃料を水蒸気改質して水素リッチガスを生成する改質器と、電気を発生させる燃料電池本体と、発生した直流電気を交流に変換する変換器等で構成されている。
このような燃料電池は、燃料電池本体に使用する電解質、反応形態等により、リン酸型燃料電池(PAFC)、溶融炭酸塩型燃料電池(MCFC)、固体電解質型燃料電池(SOFC)、アルカリ型燃料電池(AFC)、固体高分子型燃料電池(PEFC)の5種類がある。このうち、固体高分子型燃料電池(PEFC)は、リン酸型燃料電池(PAFC)、アルカリ型燃料電池(AFC)等の他の燃料電池と比較して、電解質が固体である点において有利な条件を備えている。
しかし、固体高分子型燃料電池(PEFC)は触媒に白金を使用し、かつ、作動温度が低いため、電極触媒が少量のCOによって被毒し、特に高電流密度領域において性能劣化が著しいという欠点がある。このため、改質器で生成された改質ガス(水素リッチガス)に含有されるCO濃度を10ppm程度まで低減する必要がある。
改質ガスからCOを除去して水素を精製する手段の一つとして、Pd合金膜を備えた水素精製フィルタが開発されており、Pd合金膜は、膜にピンホールやクラック等がなければ原理的には水素のみが透過可能であり、改質ガス側を高温高圧(例えば、500℃、3〜10kg/cm2(0.29〜0.98MPa))とすることにより、低水素分圧側に水素を透過する。
上記のようなPd合金膜を使用した水素精製法では、水素の透過速度は膜厚に反比例するため薄膜化が要求されるが、Pd合金膜は機械的強度の面から、単体では30μm程度までの薄膜化が限度であり、膜厚が十数μm程度のPd合金膜を使用する場合には、Pd合金膜の低水素分圧側に多孔構造の支持体を配置していた。しかし、Pd合金膜と支持体とを別体で改質器に装着するので、良好なシーリングを得るための作業性が悪く、また、Pd合金膜と支持体との擦れが生じてPd合金膜の耐久性が十分ではないという問題があった。
上記の問題を解消するために、支持体上に直接Pd合金膜を形成し、Pd合金膜と支持体とを一体化した水素精製フィルタが開発されている。例えば、金属支持体の片面にPd合金膜を形成し、この金属支持体に片面エッチングにより細孔を形成して第1支持体とし、上記のPd合金膜上に、エッチングにより予め貫通孔が形成された第2支持体を積層して製造された水素精製フィルタがある(特許文献1)。また、仮支持体上にPd合金膜を形成し、このPd合金膜上にレジストパターンを形成し、次に、Pd合金膜の30〜95%を覆うように、微細な開口部を有する金属ベース膜を電解めっきで形成し、その後、仮支持体を除去することにより製造された水素精製フィルタがある(特許文献2)。
特開平7−124453号公報 特開2002−292259号公報
しかしながら、上述の特許文献1の水素精製フィルタでは、片面エッチングにより金属支持体(第1支持体)に細孔を形成するので、形成された細孔の内径は、Pd合金膜側が小さいものとなり、水素透過効率が低いという問題があった。一方、水素透過効率を高めるため、細孔の内径を大きくすると、Pd合金膜の形成時の残留応力によって第1支持体に反りが発生し易くなる。さらに、第2支持体との接合のために、Pd合金膜の外周部位に枠部材を設け、また、第2支持体の外周部にも枠部材を設け、この枠部材を溶接して一体化するので、第2支持体とPd合金膜は接合されておらず、第2支持体の支持体としての機能が十分に発現されず、強度が低いという問題があった。
また、上述の特許文献2の水素精製フィルタでは、仮支持体上に成膜されたPd合金膜の密着力が弱く、工程中に剥離を生じ易いという問題があった。また、レジストパターンの厚みが薄いと、電解めっきにて形成する金属ベース膜がレジストパターンの開口部を塞いでしまい、一方、レジストパターンを厚くすると、形成した金属ベース膜の微細な開口部にレジストが残存し易いという問題もあった。さらに、Pd合金膜上への金属ベース膜の電解めっきによる形成に長時間を要し、また、充分な強度を有する厚みの大きな金属ベース膜の形成が困難であるという問題があった。
また、従来の水素精製フィルタは、反りが発生し易くハンドリング性が悪いという問題もあった。
本発明は上述のような事情に鑑みてなされたものであり、水素精製において優れた水素透過効率を示す水素精製フィルタと、このようなフィルタを簡便に製造するための製造方法を提供することを目的とする。
このような目的を達成するために、本発明の水素精製フィルタは、孔部を複数有する多孔支持体と、該多孔支持体の一方の面に前記孔部を覆うように配設された前面Pd合金膜と、前記孔部の内壁面を含む前記多孔支持体の他方の面および前記孔部内に位置する前記前面Pd合金膜上に配設された背面Pd合金膜とを備え、前記孔部に位置する前記前面Pd合金膜と前記背面Pd合金膜との積層部位が水素透過膜であるような構成とした。
本発明の他の態様として、前記孔部の開口面積の合計が前記多孔支持体の面積の20〜80%を占めるような構成とした。
本発明の他の態様として、前記多孔支持体は、ステンレス鋼であるような構成とした。
本発明の他の態様として、前記多孔支持体の厚みは10〜100μmの範囲内であり、前記水素透過膜の厚みは1〜10μmの範囲内であるような構成とした。
また、本発明の水素精製フィルタの製造方法は、複数の開口部を有するレジストパターンを金属支持体の両面に形成し、該レジストパターンをマスクとして前記金属支持体を表裏からエッチングして孔部を穿設することにより、孔部を複数有する多孔支持体を作製するエッチング工程と、前記多孔支持体の一方の面にフィルムレジストを貼設し、前記多孔支持体の他方の面側から無電解めっきにより前記孔部の内壁面を含む多孔支持体上と、前記孔部内に位置する前記フィルムレジスト上とに背面Pd合金膜を形成する無電解めっき工程と、前記フィルムレジストを除去して露出した面に、電気めっきにより前面Pd合金膜を形成し、該前面Pd合金膜と前記背面Pd合金膜との積層部位を水素透過膜とする電気めっき工程と、を有するような構成とした。
本発明の他の態様として、前記金属支持体はステンレス鋼であるような構成とした。
本発明の他の態様として、前記エッチング工程では、前記孔部の開口面積の合計が前記多孔支持体の面積の20〜80%を占めるように複数の孔部を穿設するような構成とした。
本発明の他の態様として、前記無電解めっき工程では、前記背面Pd合金膜を、厚みが0.01〜3μmの範囲となるように形成するような構成とした。
本発明の他の態様として、前記電気めっき工程では、前記前面Pd合金膜を、厚みが0.1〜10μmの範囲となるように形成するような構成とした。
本発明の水素精製フィルタは、前面Pd合金膜と背面Pd合金膜との積層部位が水素透過膜を構成するので、この水素透過膜は薄く、かつ、ピンホール等の欠陥のないものであり、水素透過効率が高く信頼性に優れたものとなり、また、多孔支持体の一方の面に前面Pd合金膜を備え、他方の面に背面Pd合金膜を備えており、すなわち、多孔支持体の両面にPd系の薄膜を備えているので、これらのPd系の膜の応力が相殺されて反りが発生し難くなり、ハンドリング性に優れたものとなる。
本発明の水素精製フィルタの製造方法は、水素透過膜の形成前に金属支持体に両面エッチングで複数の孔部を穿設して多孔支持体を作製するので、高開口率の多孔支持体を得ることができ、また、多孔支持体の片面をフィルムレジストで覆った状態で多孔支持体の一方の面から無電解めっきを行うので、孔部の内部にも背面Pd合金膜を確実に形成することができるとともに、フィルムレジストと多孔支持体との密着性が良好であるため、工程中にフィルムレジストが剥離することが防止され、かつ、ハンドリング性も良好であり、さらに、多孔支持体の他方の面から電気めっきにより前面Pd合金膜を形成し、孔部における前面Pd合金膜と背面Pd合金膜との積層部位を水素透過膜とするので、ピンホール等の欠陥がなく薄い水素透過膜を形成することができ、かつ、成膜応力が緩和され、反りの発生を低減でき、ハンドリング性が良好である。
以下、本発明の実施形態について図面を参照して説明する。
[水素精製フィルタ]
図1は、本発明の水素精製フィルタの一実施形態を示す部分断面図である。図1において、水素精製フィルタ1は、複数の微細な孔部3を有する多孔支持体2と、この多孔支持体2の一方の面2a側に孔部3を覆うように配設された前面Pd合金膜5と、孔部3の内壁面3aを含む多孔支持体2の他方の面2bおよび孔部3内に位置する前面Pd合金膜5上に配設された背面Pd合金膜6とを備えている。この背面Pd合金膜6は、多孔支持体2の面2bに位置する背面Pd合金膜6aと、孔部3の内壁面3aに位置する背面Pd合金膜6bと、前面Pd合金膜5に積層されるように位置する背面Pd合金膜6cからなっている。そして、孔部3に位置する前面Pd合金膜5と背面Pd合金膜6cとの積層部位が水素透過膜4となっている。尚、本発明では、前面Pd合金膜5と背面Pd合金膜6は、その材質がPdのみからなるものも包含する。
水素精製フィルタ1を構成する多孔支持体2は、SUS304、SUS430等のオーステナイト系、フェライト系のステンレス鋼、銅、ニッケル等の電気導電性を有する材料を用いて作製することができ、厚みは10〜100μm、好ましくは20〜50μmの範囲内で適宜設定することができる。
この多孔支持体2が有する孔部3は、開口径が10〜500μm、好ましくは15〜150μmの範囲とすることができる。また、孔部3の開口の合計面積は、多孔支持体2の面積の20〜80%、好ましくは30〜80%を占めるように設定することができる。尚、孔部3の開口とは、水素透過膜4が形成されている領域における開口を意味する。
水素精製フィルタ1を構成する水素透過膜4は、上述のように、孔部3に位置する前面Pd合金膜5と背面Pd合金膜6cとの積層部位からなっている。この水素透過膜4の厚みは1〜10μm、好ましくは2〜5μmの範囲とすることができる。
前面Pd合金膜5、および、背面Pd合金膜6は、Pd含有量が60重量%以上の薄膜であり、上述のように、その材質がPdのみからなるものも包含する。前面Pd合金膜5や背面Pd合金膜6がPd合金である場合、添加元素としてAg、Cu、Pt、Au、Ni、Co、V、Nb、Ta、Zr等の1種あるいは2種以上を含有するものであってよい。このような水素透過膜4の厚みは、水素透過速度向上の点から薄いほど好ましいが、例えば、1〜5μmの範囲内で適宜設定することができる。尚、前面Pd合金膜5と背面Pd合金膜6の材質は、同一であってもよく、また、相違するものであってもよい。
また、水素透過膜4を構成する前面Pd合金膜5の厚みは、例えば、0.1〜10μm、好ましくは0.5〜5μmの範囲で設定することができる。また、水素透過膜4を構成する背面Pd合金膜6cの厚みは、例えば、0.01〜3μm、好ましくは0.05〜1μmの範囲で設定することができる。
このような水素精製フィルタ1は、前面Pd合金膜5と背面Pd合金膜6cとの積層部位が水素透過膜4を構成するので、この水素透過膜4は薄く、かつ、ピンホール等の欠陥のないものであり、水素透過効率が高く信頼性に優れたものである。また、多孔支持体2の一方の面に前面Pd合金膜5を備え、他方の面に背面Pd合金膜6を備えているので反りが発生し難く、ハンドリング性に優れている。
尚、上述の実施形態は例示であり、本発明の水素精製フィルタは、これらに限定されるものではない。
[水素精製フィルタの製造方法]
次に、本発明の水素精製フィルタの製造方法を説明する。
図2および図3は、本発明の水素精製フィルタの製造方法の一実施形態を、上述の本発明の水素精製フィルタ1を例として示す工程図である。
本発明の製造方法は、まず、エッチング工程において、複数の開口部9aを有するレジストパターン9を金属支持体8の両面に形成し(図2(A))、このレジストパターン9,9をマスクとして金属支持体8を表裏からエッチングして孔部3を穿設する(図2(B))。これにより、複数の孔部3を有する多孔支持体2を作製する。金属支持体8は、例えば、多孔支持体2がSUS304、SUS430等のオーステナイト系、フェライト系のステンレス鋼、銅、ニッケル等を使用することができる。金属支持体8の厚みは、例えば、10〜100μm、好ましくは20〜50μmの範囲で設定することができる。
孔部3を穿設するためのエッチングは、スプレー方式、浸漬方式、吹きかけ方式等の従来公知のエッチングにより行うことができる。このエッチング工程では、孔部3の開口面積の合計が多孔支持体2の面積の20〜80%、好ましくは30〜80%を占めるように複数の孔部3を穿設することができる。穿設する各孔部3の開口径は、例えば、10〜500μm、好ましくは15〜150μmの範囲で適宜設定することができる。このように水素透過膜の形成前に金属支持体8に両面エッチングで複数の孔部3を穿設して多孔支持体2を作製するので、高開口率の多孔支持体2を得ることができる。
次いで、無電解めっき工程において、多孔支持体2の一方の面2aにフィルムレジスト10を貼設し(図2(C))、この多孔支持体2の他方の面2b側から無電解めっきにより孔部3の内壁面3aを含む多孔支持体2上と、フィルムレジスト10のうち孔部3内に位置する部位10′上とに背面Pd合金膜6を形成する(図3(A))。フィルムレジスト10は、例えば、材質がポリエチレンテレフタレート、ポリプロピレン、ポリカーボネートのようなフィルムを使用することができる。このようの形成した背面Pd合金膜6は、多孔支持体2の面2bに位置する背面Pd合金膜6aと、孔部3の内壁面3aに位置する背面Pd合金膜6bと、前面Pd合金膜5に積層されるように位置する背面Pd合金膜6cからなっている。
この無電解めっき工程では、背面Pd合金膜6を、その厚みが0.01〜3μm、好ましくは0.05〜1μmの範囲となるように形成することができる。
次いで、電気めっき工程において、上記のフィルムレジスト10を除去し(図3(B))、露出した面2a(孔部3に位置する背面Pd合金膜6cを含む面)に、電気めっきによりPdまたはPd合金を析出させて前面Pd合金膜5を形成する(図3(C))。これにより、形成された前面Pd合金膜5のうち、孔部3内に既に形成されている背面Pd合金膜6cとの積層部位を水素透過膜4とし、本発明の水素精製フィルタ1が得られる。
この電気めっき工程では、前面Pd合金膜5を、その厚みが0.1〜10μm、好ましくは0.5〜5μmの範囲となるように形成することが好ましい。
このような本発明の水素精製フィルタの製造方法は、多孔支持体2の片面2aをフィルムレジスト10で覆った状態で多孔支持体2の他方の面2b側から無電解めっきを行うので、孔部3の内部にも背面Pd合金膜6を確実に形成することができる。また、フィルムレジスト10と多孔支持体2との密着性が良好であるため、工程中にフィルムレジスト10が剥離することが防止され、かつ、ハンドリング性も良好である。さらに、フィルムレジスト10を剥離した多孔支持体2の面2a側から電気めっきにより前面Pd合金膜5を形成し、孔部3における前面Pd合金膜5と背面Pd合金膜6cとの積層部位を水素透過膜4とするので、ピンホール等の欠陥がなく薄い水素透過膜を形成することができる。
尚、上述の実施形態は例示であり、本発明の水素精製フィルタの製造方法は、これらに限定されるものではない。
次に、より具体的な実施例を示して本発明を更に詳細に説明する。
[実施例]
(エッチング工程)
金属支持体として厚み40μmのSUS304材を準備した。次いで、このSUS304材の両面に感光性レジスト材料(東京応化工業(株)製 OFPR)をディップ法により塗布(塗布量7μm(乾燥時))した。次に、所定のフォトマスクを介して両面のレジスト塗膜を露光し、炭酸水素ナトリウム水溶液を使用して現像した。これにより、SUS304材の両面に、直径が80μmの円形開口をピッチ110μmで複数備えたレジストパターンを形成した。尚、表裏の円形開口はSUS304材を介して対向するものであった。
次に、上記のレジストパターンをマスクとして、下記の条件でSUS304材を両面からスプレー方式でエッチングした。
(エッチング条件)
・温度 : 50℃
・塩化第二鉄濃度: 45ボーメ
・圧力 : 0.30MPa
上記のエッチング処理が終了した後、水酸化ナトリウムを用いてレジストパターンを除去し、水洗した。これにより、複数の孔部を穿設して多孔支持体とした。これらの孔部は、SUS304材の表面の開口径が90μmであり、深さ方向の中央部での開口径が85μmである断面円形状のものであった。
(無電解めっき工程)
上記のように作製した多孔支持体の一方の面にフィルムレジスト(旭化成(株)製 サンフォート)を貼設した。
次いで、フィルムレジストを貼設していない多孔支持体の面を、無電解めっき用の触媒含有溶液(SnCl2−HCl/PdCl2−HCl混合液)に接触させ、その後、乾燥した。これにより、孔部内を含む多孔支持体面に触媒層を形成した。その後、下記の条件で無電解めっきを行った。これにより、触媒層上に背面Pd合金膜(PdとAgとの合金、厚み2μm、Pd含有量80%)を形成した。
(無電解Pdめっき(背面Pd合金膜の形成)条件)
・浴組成 :Pd(NH34Cl2・H2O … 0.02mol/L
AgNO3 … 0.002mol/L
ジエチレントリアミン五酢酸(DTPA)… 0.2mol/L
NH4OH … 1.0mol/L
硫酸ヒドラジン … 0.005mol/L
・pH :9〜14
・液温 :70℃
(電気めっき工程)
次に、上記のフィルムレジストを剥離し、露出した面に下記の条件で電気めっきにより前面Pd合金膜(PdとAgとの合金、厚み4μm、Pd含有量70%)を形成した。このように形成した前面Pd合金膜のうち、孔部に既に形成されている上記の背面Pd合金膜との積層部位を水素透過膜とした。これにより本発明の水素精製フィルタを作製した。
(電気めっき(前面Pd合金膜の形成)条件)
・使用浴 : 塩化Pdめっき浴(Pd濃度:12g/L)
・pH : 7〜8
・電流密度 : 1A/dm2
・液温 : 40℃
上記の水素精製フィルタを3cm×3cmの寸法に切断して改質器に装着し、メタノールと水蒸気の混合物を高温高圧条件(500℃、0.50MPa)で連続100時間供給し、水素精製フィルタの多孔支持体側へ透過する水素リッチガスのCO濃度、および、水素リッチガスの流量を測定した。その結果、改質開始直後から300時間経過するまでの間のCO濃度は5〜10ppmと極めて低く、また、水素リッチガスの流量は1.5L/分であり、本発明の水素精製フィルタが優れた耐久性、水素透過効率を有することを確認した。
また、作製工程中、および作製した水素精製フィルタには反りが認められなかった。
[比較例1]
第1支持体として厚み40μmのSUS304材を準備した。次いで、このSUS304材の一方の面に下記の条件で電解めっきによりPd合金膜(厚み5μm)を形成して水素透過膜とした。
(Pd合金膜の成膜条件)
・使用浴 : 塩化Pdめっき浴(Pd濃度:12g/L)
・pH : 7〜8
・電流密度 : 1A/dm2
・液温 : 40℃
次に、このSUS304材の両面に感光性レジスト材料(東京応化工業(株)製 OFPR)をディップ法により塗布(塗布量7μm(乾燥時))した。次に、所定のフォトマスクを介して両面のレジスト塗膜を露光し、炭酸水素ナトリウム水溶液を使用して現像した。これにより、SUS304材の水素透過膜が形成されていない面に、直径が80μmの円形開口をピッチ110μmで複数備えたレジストパターンを形成した。
次に、上記のレジストパターンをマスクとして、下記の条件でSUS304材を片面からスプレー方式でエッチングした。
(エッチング条件)
・温度 : 50℃
・塩化第二鉄濃度: 45ボーメ
・圧力 : 0.30MPa
上記のエッチング処理が終了した後、水酸化ナトリウムを用いてレジストパターンを除去し、水洗した。これにより、第1支持体に複数の孔部を形成した。これらの孔部は、SUS304材の表面側の開口径が85μmであり、深さ方向の最奥部(水素透過膜が露出している部位)での開口径が45μmであるテーパー形状であった。
また、第2支持体として厚み40μmのSUS304材を準備した。次いで、このSUS304材の両面に感光性レジスト材料(東京応化工業(株)製 OFPR)をディップ法により塗布(塗布量7μm(乾燥時))した。次に、所定のフォトマスクを介して両面のレジスト塗膜を露光し、炭酸水素ナトリウム水溶液を使用して現像した。これにより、SUS304材の両面に、直径が80μmの円形開口をピッチ110μmで複数備えたレジストパターンを形成した。尚、表裏の円形開口はSUS304材を介して対向するものであった。
次に、上記のレジストパターンをマスクとして、下記の条件でSUS304材を両面からスプレー方式でエッチングした。
(エッチング条件)
・温度 : 50℃
・塩化第二鉄濃度: 45ボーメ
・圧力 : 0.30MPa
上記のエッチング処理が終了した後、水酸化ナトリウムを用いてレジストパターンを除去し、水洗した。これにより、複数の孔部を穿設して第2支持体とした。これらの孔部は、SUS304材の表面の開口径が85μmであり、深さ方向の中央部での開口径が80μmである断面円形状のものであった。
次に、第1支持体に支持されている水素透過膜に、第2支持体をレーザー溶接により接合し、その後、3cm×3cmの寸法に切断して、水素精製用フィルタとした。この接合では、第1支持体の孔部と第2支持体の孔部とが、水素透過膜を介して対向するように位置合わせを行った。
このように作製した水素精製フィルタを改質器に装着し、実施例と同様の高温高圧条件でフィルタのPd合金膜にメタノールと水蒸気の混合物を供給し、フィルタの多孔支持体側へ透過する水素リッチガスのCO濃度、および、水素リッチガスの流量を測定した。その結果、改質開始直後から300時間経過するまでの間のCO濃度は5〜10ppmと極めて低いものであったが、水素リッチガスの流量は0.6L/分と低いものであった。
[比較例2]
SUS304材に形成するレジストパターンの円形開口の直径を95μmとし、エッチングにより第1支持体に形成する孔部のSUS304材の表面側での開口径を100μm、深さ方向の最奥部(水素透過膜が露出している部位)での開口径を60μmとした他は、比較例1と同様にして、水素精製フィルタを作製した。
この水素精製フィルタを改質器に装着し、メタノールと水蒸気の混合物を高温高圧条件(300℃、0.50MPa)で連続100時間供給し、水素精製フィルタの多孔支持体側へ透過する水素リッチガスのCO濃度、および、水素リッチガスの流量を測定した。その結果、改質開始直後から300時間経過するまでの間のCO濃度は5〜10ppmと極めて低く、また、水素リッチガスの流量は1.1L/分であった。しかし、この水素精製フィルタの作製工程では、第1支持体に孔部を形成した段階で反りが発生し、その後の工程での作業性が著しく悪いものであった。
高純度の水素リッチガスを必要とする種々の分野に利用することができる。
本発明の水素精製フィルタの一実施形態を示す部分断面図である。 本発明の水素精製フィルタの製造方法の一実施形態を示す工程図である。 本発明の水素精製フィルタの製造方法の一実施形態を示す工程図である。
符号の説明
1…水素精製フィルタ
2…多孔支持体
3…孔部
4…水素透過膜
5…前面Pd合金膜
6,6a,6b,6c…背面Pd合金膜
8…金属支持体
9…レジストパターン
10…フィルムレジスト

Claims (9)

  1. 孔部を複数有する多孔支持体と、該多孔支持体の一方の面に前記孔部を覆うように配設された前面Pd合金膜と、前記孔部の内壁面を含む前記多孔支持体の他方の面および前記孔部内に位置する前記前面Pd合金膜上に配設された背面Pd合金膜とを備え、前記孔部に位置する前記前面Pd合金膜と前記背面Pd合金膜との積層部位が水素透過膜であることを特徴とする水素精製フィルタ。
  2. 前記孔部の開口面積の合計が前記多孔支持体の面積の20〜80%を占めることを特徴とする請求項1に記載の水素精製フィルタ。
  3. 前記多孔支持体は、ステンレス鋼であることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の水素精製フィルタ。
  4. 前記多孔支持体の厚みは10〜100μmの範囲内であり、前記水素透過膜の厚みは1〜10μmの範囲内であることを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれかに記載の水素精製フィルタ。
  5. 複数の開口部を有するレジストパターンを金属支持体の両面に形成し、該レジストパターンをマスクとして前記金属支持体を表裏からエッチングして孔部を穿設することにより、孔部を複数有する多孔支持体を作製するエッチング工程と、
    前記多孔支持体の一方の面にフィルムレジストを貼設し、前記多孔支持体の他方の面側から無電解めっきにより前記孔部の内壁面を含む多孔支持体上と、前記孔部内に位置する前記フィルムレジスト上とに背面Pd合金膜を形成する無電解めっき工程と、
    前記フィルムレジストを除去して露出した面に、電気めっきにより前面Pd合金膜を形成し、該前面Pd合金膜と前記背面Pd合金膜との積層部位を水素透過膜とする電気めっき工程と、を有することを特徴とする水素精製フィルタの製造方法。
  6. 前記金属支持体はステンレス鋼であることを特徴とする請求項5に記載の水素精製フィルタの製造方法。
  7. 前記エッチング工程では、前記孔部の開口面積の合計が前記多孔支持体の面積の20〜80%を占めるように複数の孔部を穿設することを特徴とする請求項5または請求項6に記載の水素精製フィルタの製造方法。
  8. 前記無電解めっき工程では、前記背面Pd合金膜を、厚みが0.01〜3μmの範囲となるように形成することを特徴とする請求項5乃至請求項7のいずれかに記載の水素精製フィルタの製造方法。
  9. 前記電気めっき工程では、前記前面Pd合金膜を、厚みが0.1〜10μmの範囲となるように形成することを特徴とする請求項5乃至請求項8のいずれかに記載の水素精製フィルタの製造方法。
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