JP2007317942A - 圧電トランス及び電源回路 - Google Patents
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Abstract
【課題】特性劣化が少なく、圧電材料の破壊限界応力に近い応力で励振が可能で、入出力インピーダンスが小さく、容易に制御可能で、より低電圧で大きな電力を伝送する。
【解決手段】圧電トランスは、長さ方向に分極された圧電セラミックスからなる圧電矩形板10の長さ方向のほぼ中央部分に、圧電矩形板10を挟むように幅全面にわたって対向する駆動電極対1a及び1bを形成する。駆動電極対1a及び1bから、引出電極2及び3を圧電矩形板10の長手方向の異なる端部に引き出して、それぞれ、一方の入力電極4a及び他方の出力電極5bに接続し、一方の入力電極4a及び他方の出力電極5bと対向する他方の入力電極4b,一方の出力電極5aを形成する。
【選択図】図1
【解決手段】圧電トランスは、長さ方向に分極された圧電セラミックスからなる圧電矩形板10の長さ方向のほぼ中央部分に、圧電矩形板10を挟むように幅全面にわたって対向する駆動電極対1a及び1bを形成する。駆動電極対1a及び1bから、引出電極2及び3を圧電矩形板10の長手方向の異なる端部に引き出して、それぞれ、一方の入力電極4a及び他方の出力電極5bに接続し、一方の入力電極4a及び他方の出力電極5bと対向する他方の入力電極4b,一方の出力電極5aを形成する。
【選択図】図1
Description
本発明は、小形の電子機器やOA機器等に用いられる圧電トランスに関し、特に小形で信頼性の高い圧電トランス及び電源回路に関する。
従来から、直流や交流の所望の電圧を供給するための電圧源として利用することができるように、例えば、DC/DCコンバータやDC/ACインバータに用いられる圧電トランスがあった。
この圧電トランスは圧電振動子の逆圧電効果と圧電効果を利用するものであり、まず、圧電振動子を機械的に励振して電気的入力を機械エネルギーに変換する。次に、この機械エネルギーを再び電気的エネルギーに変換して出力端子から取り出す。
このようにして、圧電トランスは電圧の昇圧や降圧等の作用により、所望の電圧を得ることができる電子デバイスであり、従来の電磁トランスと比較して、巻線が無いことや、電磁ノイズの放射が少ないなどの特徴を有しているものである。
また、圧電トランスは、薄型のトランスを実現することができることから、液晶バックライト用のインバータに広く用いられている。
また、圧電トランスは、薄型のトランスを実現することができることから、液晶バックライト用のインバータに広く用いられている。
図10は、圧電トランスとして最も良く知られている従来のローゼン型圧電トランスの構造を示す斜視図及びその振動変位分布を示す図である。
図10において、矩形の圧電セラミック板100の長さ方向の一方の端部側の約半分の領域の上下面に対向する入力用対向電極101,102が形成され、矢印で示すように厚さ方向に分極されている。また、圧電セラミック100の残りの半分の他方の端部側の領域の長さ方向の端面には出力用電極103が形成され、この領域は矢印で示すように長さ方向に分極されている。
図10において、矩形の圧電セラミック板100の長さ方向の一方の端部側の約半分の領域の上下面に対向する入力用対向電極101,102が形成され、矢印で示すように厚さ方向に分極されている。また、圧電セラミック100の残りの半分の他方の端部側の領域の長さ方向の端面には出力用電極103が形成され、この領域は矢印で示すように長さ方向に分極されている。
図10において、対向電極101と102の間に、圧電セラミック板100の長さ方向の振動の共振周波数にほぼ等しい周波数の交流電圧を印加すると、逆圧電効果により圧電セラミック板100の内部に歪が発生し、圧電セラミック板100は対応する振動モードで共振する。このとき圧電効果により出力用電極103に電圧が発生し、結果として、入力電圧を印加したときに出力電圧を生ずるトランスの機能を発揮する。圧電セラミック板100の共振モードとしては、一般に1次(半波長)或いは2次(1波長)モードが利用される。
図10中には、圧電セラミック板100を2次(1波長)モードで励振したときの振動変位分布104を曲線で示している。本来の振動変位の進行方向は圧電セラミック板100の長さ方向の一方の端部側から他方の端部側へ向かう方向であるが、振動変位分布104の曲線は、振幅の大きさで振動変位の大きさを示し、正負の符号(+、−)が、ある瞬間の変位の向きを示している。
すなわち圧電矩形板は、長さ方向が伸び縮みするように振動しているところ、2次モード(1波長)共振の場合には、長さ方向の両端部から長さの1/4の部分が振動の節の位置になる(図10参照)。この振動の節の位置を境に、変位の向きは互いに逆向きになり、図10では、左下の節から左端面までの変位の向きが(+)である場合、左下の節から右上の節までの変位の向きは(−)になって、また、右上の節の位置から右端面までの変位は(+)となる。
この振動変位分布104の曲線からわかるように、圧電セラミック板100は、圧電セラミック板100の長さ方向の両端部及び中央部分に振動の腹(+最大振幅及び−最大振幅)を有し、長さ方向の両端部から長さの1/4だけ内側の位置が振動の節(最小振幅=振幅0)の位置になるように振動する。
一般に、共振している振動子では、振動の節(最小振幅=振幅0)の位置では応力が最大となる。図10に示すように長さ方向の2次(1波長)振動モードで共振している振動子では、振動の節(最小振幅=振幅0)の位置では断面全体の応力が最大となり、もし振動の節(最小振幅=振幅0)の位置に微小クラックが存在した場合、そのクラックが拡大し、圧電トランスが破壊する危険がある。
そのため、図10に示した従来の圧電トランスにおいては、材料自身の有する破壊限界強度に対して十分な安全係数を考慮した実用限界強度の長さ範囲で使用され、圧電トランスの小形化を阻む大きな要因となっていた。
また、図10に示した従来の圧電トランスは、一般に振動に与える影響が比較的少ない振動の節(最小振幅=振幅0)の位置で支持、固定されるが、小形の圧電トランスを構成しようとした場合に、支持による振動の減衰が大きくなるという問題があった。
また、図10に示した従来の圧電トランスは、一般に振動に与える影響が比較的少ない振動の節(最小振幅=振幅0)の位置で支持、固定されるが、小形の圧電トランスを構成しようとした場合に、支持による振動の減衰が大きくなるという問題があった。
さらに、図10に示した圧電トランスでは、圧電体において振幅の大きい部分に入出力電極対が形成されることになることから、信頼性の高い外部接続が困難となるという不都合があった。また、振幅の節となる部位に機械的な欠陥が存在すると、その欠陥が振動によって圧電体の広範囲に伝播し、圧電体自体が破損する虞がある。
一方、支持が容易で、支持により振動に与える影響が少なく、同時に応力が最大となる振動の節(最小振幅=振幅0)の位置が、振動子表面にほとんど存在しないようにした厚みすべり振動のエネルギー閉じ込めを利用した圧電トランスが知られている。
図11は、上述した厚みすべり振動を説明するための図であり、圧電振動子を1次(1/2波長)モードで励振したときの振動変位分布の一例を示している。
図11から分かるように、圧電体110の振動変位分布112は、上下両面の一方の対向電極111aで(+)最大振幅の振動の腹となり、他方の対向電極111bで(−)最大振幅の振動の腹となるように振動している。つまり、図10に示す従来のローゼン型圧電トランスの振動方向が圧電体の長手方向であるのに対し、図11で示す厚みすべり振動は、圧電体の面に平行な振動が厚み方向に分布しているという点で異なっている。
図11から分かるように、圧電体110の振動変位分布112は、上下両面の一方の対向電極111aで(+)最大振幅の振動の腹となり、他方の対向電極111bで(−)最大振幅の振動の腹となるように振動している。つまり、図10に示す従来のローゼン型圧電トランスの振動方向が圧電体の長手方向であるのに対し、図11で示す厚みすべり振動は、圧電体の面に平行な振動が厚み方向に分布しているという点で異なっている。
従って、圧電振動子を1次(1/2波長)モードで励振した場合、圧電体の厚さ方向に対し、両側からそれぞれ全厚さの1/2の位置が振動の節(最小振幅=振幅0)となる。この振動の節が振動変位ゼロすなわち応力最大の位置となる。
この応力最大となる領域は線状に存在し、その一部は点として圧電トランスの側面に現れるので、たとえその位置が微小クラックの位置と重なった場合でも、クラックが拡大することはない。そのため、材料の有する最大限界強度の近くでの動作が可能となり、小形で、大電力の圧電トランスが実現できる。
ここで、上述の問題点を解消し得る構造を有する厚みすべり振動のエネルギー閉じ込め型圧電トランスとして、例えば、特許文献1に示された圧電トランスが知られている。
図12は、特許文献1の厚みすべり振動のエネルギー閉じ込めを利用した圧電トランスの構造例を示す図であるが、説明のために符号は変えてある。
図12において、圧電矩形板120の中央部に厚さ方向に対向する一次側電極121a、121bと二次側電極122a,122bが形成される。一次側電極121a,121bは、圧電矩形板120の厚み方向に一次側交流電圧を印加して厚みすべり振動を起こさせるものであり、二次側電極122a,122bは、厚みすべり振動を二次側交流電圧に変換するために使用される。
また、圧電矩形板120は、板の厚さ方向に電圧を印加した時に、効率よく厚みすべり振動を励振するために、LiNbO3単結晶のY軸を163゜回転させた163゜回転Yカット板が使用されている。この163゜回転Yカット板は、圧電矩形板120の横方向に平行なX軸を回転軸として、Y軸を163°回転して圧電矩形板120に垂直になるようにY’軸を得、このY’軸と垂直な方向、すなわち圧電矩形板120の長手方向と平行になる方向がZ’軸となるようにカットしたものである。
特開平6−132580号公報 (図1、図2)
しかし、特許文献1の圧電トランスにおいては、圧電矩形板120の同一面に一次側電極121aと二次側電極122aを形成し、これらをそれぞれ入力端子及び出力端子(図示せず)に接続している。このため、これらと向かい合う面に形成した電極121bと122bを共通グランド電極として圧電トランスを構成した場合に、入出力端子の静電容量が小さくなって、入出力インピーダンスが小さくなり、同じ電力を伝送するためにより高い電圧を印加する必要があるという欠点があった。
また、同一面内に近接して、一次側電極121aと二次側電極122aが形成され、しかも、一方の一次側電極121aを他方の二次側電極122aが囲む構造となっているため、入力端子と出力端子の間の静電容量が大きくなり、入力電圧が直接出力側に漏れて、圧電トランスの効率を下げる原因となっていた。
さらに、一次側電極121aと二次側電極122aの面積比を変化させると振動子の特性が大きく変化してしまうため、圧電トランスの入出力インピーダンスの制御範囲が狭いという欠点を有しているとともに、圧電トランスの設計自由度もまた狭い。
この特許文献1に記載される圧電トランスでは、入力電極である一次側電極121aと出力電極である二次側電極122aとが、同一面上でかつ近接して形成されているため、裏面に形成した一次側電極121b(入力電極)と二次側電極122b(出力電極)とが共通グランド電極として構成されている。このように圧電トランスを構成した場合、入出力端子対の静電容量が小さくなる結果、入出力インピーダンスが大きくなるため、同じ電力を伝送するためにはより高い電圧を印加する必要があるという不都合がある。
そこで、本発明は、使用する圧電材料の破壊限界応力に近い応力で励振させることができ、しかもより低電圧で大きな電力を伝送することが可能な、特性劣化の少ない圧電トランス及び電源回路を提供することを目的とするものである。さらに、本発明の圧電トランスは、入力インピーダンスを小さくすることができ、その制御も容易に行うことができるものである。
上記課題を解決し、本発明の目的を達成するため、本発明の圧電トランスは、長手方向に分極軸成分を有し、一方及び他方の幅広面に垂直方向に印加される電界により分極軸に平行方向に厚みすべり振動を励振する圧電体を用いて構成される。
さらに、本発明の圧電トランスは、このように構成される圧電体に対して、電極を以下のように配置することを特徴とするものである。
さらに、本発明の圧電トランスは、このように構成される圧電体に対して、電極を以下のように配置することを特徴とするものである。
すなわち、本発明の圧電トランスは、圧電体の長手方向における一方の端部であって、一方の幅広面上に形成された一方の入力電極、及びこの一方の入力電極と対向する他方の幅広面上に形成された他方の入力電極からなる入力電極対と、長手方向における他方の端部であって、一方の幅広面上に形成された一方の出力電極、及びこの一方の出力電極と対向する他方の幅広面上に形成された他方の出力電極からなる出力電極対とを有している。
また、本発明の圧電トランスは、一方の入力電極及び一方の出力電極の間に形成され、かつ一方の入力電極と電気的に接続された一方の駆動電極と、他方の入力電極及び他方の出力電極の間に形成され、かつ他方の出力電極と電気的に接続された他方の駆動電極とを有している。
本発明によれば、圧電体の分極軸及び振動方向を限定し、圧電体に対して、入力電極対、出力電極対及び駆動電極対の配置を特定したので、入力電極対、出力電極対がそれぞれ圧電体の両端部に位置するよう構成されていることから、外部接続のための電極形成が容易に実現可能となる。
また、入力電極対、出力電極対は、電圧の入出力に係る機能の他、圧電振動子にトランスの作用を付与する静電容量の機能を兼ね備えていることから、当該圧電トランスの外部に別途コンデンサ部品等の静電容量を設ける必要がない。
さらに、圧電体の入力電極対、出力電極対が形成された部位の間の中間位置には駆動電極対が形成されている。そして、この駆動電極対の形成領域近傍にて“すべり振動”が発生するので、入力電極へ交流電圧を印加することによって励振された振動のほぼ全てが、出力電極へ圧電効果を及ぼすことになる。このため、電機−機械変換効率を向上させることができる。
従って、本発明の圧電トランスによれば、入力電極対、出力電極対に対する外部接続による特性劣化が少なく、使用する圧電材料の破壊限界応力に近い応力で励振が可能で、支持が容易で、小形で大電力の伝送が可能となる。
また、電機−機械変換効率が向上することにより、入出力インピーダンスを小さく、より低電圧で大きな電力を伝送することができる。さらに用途により圧電トランスの入出力インピーダンスを容易に制御することが可能となる。
また、本発明の圧電トランスでは、上述したように、入力電極対及び出力電極対において、少なくとも一方の入力電極及び一方の出力電極には導電性材料または非導電性材料が塗布又は接続されている。
本発明によれば、入力電極対、出力電極対のうち、少なくとも圧電体の上面部に位置する入出力電極は、導電性材料又は非導電性材料が塗布又は接続されているので、この塗布又は接続された導電性材料又は非導電性材料によって、その入出力電極の厚み寸法が変化する。
また、導電性材料又は非導電性材料を塗布した場合には、塗布表面が球面状となり、振動の放射及び反射特性が変化する。従って、上記入出力電極の部位における圧電体の振動共振周波数が他の部位と異なることから振動を抑制することが可能となる。このため、外部接続される電極としての信頼性が高くなる。
また、本発明の電源回路は、上述した圧電体に対して上述したように電極を配置した圧電トランスを、入力電圧から所望の出力電圧を得るための電圧変換あるいは伝送手段として用いることを特徴としている。
本発明によれば、上述した圧電トランスを電源回路に用いることにより、入出力インピーダンスを小さくすることができ、これにより、低電圧で大きな電力を伝送することが可能となる。このため、小型で高効率かつ電磁ノイズの発生が少ない高性能な電源回路を実現することができる。
本発明によれば、振動モードとして、応力最大となる領域が圧電トランスを構成する圧電矩形板の表面に現れないようにすることができる。このために、材料の有する破壊限界強度に近い応力で励振することが可能となり、小形で大電力の伝送が可能な圧電トランスを得ることができる。
また、本発明によれば、単一モードの共振を効率よく励振できる圧電トランスを構成しているため、電気−機械結合係数の大きな圧電トランスを得ることができる。
さらに、入力側と出力側の静電容量を電極の面積を変えることにより制御できるので、圧電トランスの入出力インピーダンスの制御範囲を容易に広げることができる。従って、入力条件や出力条件により静電容量の値を簡単に制御することができる。
さらに、入力側と出力側の静電容量を電極の面積を変えることにより制御できるので、圧電トランスの入出力インピーダンスの制御範囲を容易に広げることができる。従って、入力条件や出力条件により静電容量の値を簡単に制御することができる。
また、エネルギー閉じ込め振動を利用することにより、圧電矩形板の長さ方向のほぼ中央部分だけしか振動しないようにすることができる。このため、両端部に対向電極を形成するだけで静電容量を形成することができるので、外付けコンデンサが不要で構造が簡単になる。
従来例における圧電トランスは、いずれの圧電トランスにおいても入力電極対に交流電圧を印加すれば、逆圧電効果によって発生した振動が出力電極対に圧電効果という形で影響が及び、その結果、電圧を取り出すことができるものである。
図15は、図10のローゼン型圧電トランスを含む、一般的な圧電トランスの電気的な等価回路である。図15の等価回路は、圧電トランスとしての伝送特性の電気的要素を示したもので、入力端子に電源を接続し、出力端子に負荷抵抗を接続することにより、圧電トランスの伝送特性を計算するために使用される。図15の等価回路では、L,C,R直列回路の入力側及び出力側に入力容量C01及び出力容量C02が接続されている。
従って、圧電トランスにおける逆圧電効果および圧電効果の一連の動作を電気的な等価回路で示すと、図15に示す従来の圧電トランスの電気的等価回路になる。換言すれば、従来の圧電トランスの構造とは異なる形態/形状をなす圧電トランスであっても、等価回路として図15と同様に表すことができれば、圧電トランスと同じ機能を有することとなる。
図1は、本発明の実施の形態の圧電トランスの構造を示す斜視図であり、図2および図3は、図1に示した圧電トランスの電極配線を説明するための回路図である。以下、図1及び図2,図3を用いて本発明の実施の形態の圧電トランスの構造および原理を詳しく説明する。
図1に示すように、本発明の実施の形態の圧電トランスは、基板の長手方向に分極軸成分を有し、基板における一方及び他方の幅広面に垂直方向に印加される電界により幅広面に平行な方向に厚みすべり振動を励振する圧電矩形板(圧電体)10を用いて構成される。
さらに、本発明の圧電トランスは、このように構成される圧電矩形板10に対して、電極を以下のように配置する。
さらに、本発明の圧電トランスは、このように構成される圧電矩形板10に対して、電極を以下のように配置する。
図1において、長さ方向に分極された圧電セラミックスからなる圧電矩形板10の長さ方向のほぼ中央部分に、圧電矩形板10を挟むように幅全面にわたって対向する駆動電極1a及び1bを形成して、エネルギー閉じ込め厚みすべり振動子用の駆動電極対とする。
これとともに、前記駆動電極1a及び1bから、引出電極2及び3を前記圧電矩形板10の長手方向の異なる端部に引き出して、それぞれ、入力電極4a及び出力電極5bに接続する。また、入力電極4a及び出力電極5bと対向する入力電極4b,出力電極5aを形成する。
入力電極4aと4b及び出力電極5aと5bは、互いに圧電矩形板10を挟んで対向しているので、それぞれ、この部分で静電容量C01とC02が形成される。これとともに、入力電極4aと4b及び出力電極5aと5bは、それぞれ、一方が圧電トランスの入力電極対、他方が圧電トランスの出力電極対となる。
ここで、上述した入力電極4b及び出力電極5aは、後述する圧電トランスが搭載される端子台、又は端子台に搭載された圧電トランスが実装基板に実装された状態で電気的に接続されるとともに、共通グランドとして接続される。
次いで、本発明の圧電トランスに係る等価回路について、図2,図3の電極配線図を基に説明する。
先ず、本実施の形態に係る圧電トランスについて、図2Aに太線で示すように、引出電極2−駆動電極1a−圧電体10−駆動電極1b−引出電極3のみに注目すると、図2Bに示すような圧電体10の配置による圧電振動子として置き換えることができ、さらに、圧電体10は図2Cに示すように、一般的な圧電振動子の等価回路として表すことができる。
先ず、本実施の形態に係る圧電トランスについて、図2Aに太線で示すように、引出電極2−駆動電極1a−圧電体10−駆動電極1b−引出電極3のみに注目すると、図2Bに示すような圧電体10の配置による圧電振動子として置き換えることができ、さらに、圧電体10は図2Cに示すように、一般的な圧電振動子の等価回路として表すことができる。
図2Cにおいて、Cdは制動容量として扱われ、圧電振動子の等価回路はL,C,Rの直列回路と、上記制動容量Cdが並列に接続された回路で表されることとなる。
つまり、図2Bの圧電振動子の状態において引出電極2、3を介して駆動電極1a,1b間に交流電圧を印加することによって、圧電体10には“すべり振動”が励振される状態となる。しかし、この圧電振動子の状態ではトランスの機能を有するものではない。
つまり、図2Bの圧電振動子の状態において引出電極2、3を介して駆動電極1a,1b間に交流電圧を印加することによって、圧電体10には“すべり振動”が励振される状態となる。しかし、この圧電振動子の状態ではトランスの機能を有するものではない。
従って、上記の圧電振動子にトランスの機能を付与するためには、少なくとも図15に示す等価回路と同等の構成、つまりトランス成分である静電容量C01,C02を付与する必要性が生じることとなる。
このとき、図1に示す圧電トランスを側面視(図8を参照)して、圧電トランスの一方の幅広面(上面)から他方の幅広面(下面)を見て、さらにそれに対応させるように等価回路を考えていけば、図3A乃至Cのように示すことができる。
先ず、図2Bの圧電振動子を中心とし、引出電極2,3を介して入力電極4a及び出力電極5bとを接続する。このとき、入力電極4a及び出力電極5bには、それぞれ対向して入力電極4b及び出力電極5aが配置されていることから、得られる等価回路は図3Aのようになる。
次に、図3Bに示すように、上記の圧電振動子のうちの駆動電極1a,1b間に挟まれた圧電体10の部分を、図2Cに示した、L,C,Rの直列回路と制動容量Cdが並列に接続された圧電振動子の等価回路20に置き換える。
さらに、図3Cに示すように、他方の入力電極4bと一方の出力電極5aを接続して共通グランドとし、説明の便宜上、出力電極5aおよび5bの配置関係を反転させれば、他方の入力電極4bと一方の出力電極5aを共通グランドとする3端子型圧電トランスが構成される。
つまり、本実施の形態に係る圧電トランスもまた、その構造を等価回路として考えれば従来の圧電トランスと同様のものとなるため、十分に圧電トランスの機能を有することとなる。
図4は、図3Cにて得られた圧電トランスの電気的等価回路に着目したものでありL,C,Rの直列回路と制動容量Cdが並列に接続された圧電振動子の等価回路20を、破線で囲んだものである。
本実施の形態の図4の等価回路を、図15に示す従来の圧電トランスの等価回路と比較すると、本実施の形態の圧電トランスでは、2端子圧電振動子を入出力端子間に直列に挿入した構成となっているため、従来の等価回路のL,C,R直列回路に並列に制動容量Cdが接続された回路になっている点、すなわち破線によって囲まれている領域において 相違していることがわかる。以下、この相違点について、説明する。
本実施の形態に係る圧電トランスは、従来の圧電トランスが有する等価回路において、L−C−Rの直列接続に対して制動容量Cdが、並列に配置されている。
一般に、圧電振動子の等価回路はLCRの直列回路とコンデンサCdが並列に接続された回路で表される。圧電振動子の等価回路をこのように表したとき、コンデンサCdのことを制動容量と呼ぶ。
一般に、圧電振動子の等価回路はLCRの直列回路とコンデンサCdが並列に接続された回路で表される。圧電振動子の等価回路をこのように表したとき、コンデンサCdのことを制動容量と呼ぶ。
ここで、「制動」と言う意味は、「圧電振動子の振動を拘束した状態で測定した静電容量」という意味がある。
つまり、圧電振動子の共振周波数の近くでは、振動のリアクションとしてL,C,R直列回路が現れるが、共振周波数から離れた周波数では単なるコンデンサになるということである。厳密には「制動」であるが、現実には共振周波数から十分離れた周波数(1kHz)で測定した静電容量CfからLCRの直列回路のCを差し引いた値を制動容量としている。
つまり、圧電振動子の共振周波数の近くでは、振動のリアクションとしてL,C,R直列回路が現れるが、共振周波数から離れた周波数では単なるコンデンサになるということである。厳密には「制動」であるが、現実には共振周波数から十分離れた周波数(1kHz)で測定した静電容量CfからLCRの直列回路のCを差し引いた値を制動容量としている。
このため、表1からわかるように、制動容量Cdが図15に示した従来の圧電トランスの入力側静電容量であるコンデンサ成分C01と出力側コンデンサ成分C02の静電容量の合計の値とほぼ同じ値か、それ以上になっている。
ここで、特に、本発明の実施の形態による圧電トランスでは、出力側静電容量であるコンデンサ成分C02は、従来値と同じ63[pF]か、それ以上の63[pF]〜200[pF]までの範囲内で調整可能である。この場合、基板の厚さは一定であることから、静電容量は電極の長手寸法に依存することとなる。つまり、少なくとも出力電極5aが駆動電極1aに接触しない範囲において、自由に設定することが可能である。
また、上下面の駆動電極1aと1bで挟まれる圧電体部分の全面を使用して振動子を励振している。このため、電気−機械変換効率が高くなることから、容量比の値は、従来の半分の値になっている。
「容量比」とは、制動容量CdをLCRの直列回路の容量Cで割った値であり、圧電特性の良さを表すための指標である。
「容量比」とは、制動容量CdをLCRの直列回路の容量Cで割った値であり、圧電特性の良さを表すための指標である。
つまり、容量比が小さいほどLCRの直列回路の容量Cが大きいことを意味し、また機械的なエネルギーが大きくなっていることを意味する。つまり、容量比が小さいほど電気−機械変換効率が高いことを意味する。
図5は、表1に示した本発明に係る圧電トランスの等価回路定数を用いて、出力側のコンデンサ成分C02の値を、63pF、100pF、200pFとした場合の、最大出力電圧の負荷抵抗依存性を示した結果である。ここでは、比較のために、図15に示した従来の圧電トランスの等価回路を用いて、出力側の静電容量C02の値を63pFとした場合の結果も付している。
図5において、◆は従来の圧電トランスにおける出力側の静電容量C02の値が63pFである結果を示している。これに対し、■は本発明の圧電トランスにおける出力側の静電容量C02の値を63pFとした結果である。また、▲は本発明の圧電トランスにおける出力側の静電容量C02の値を100pFとした結果であり、×は本発明の圧電トランスにおける出力側の静電容量C02の値を200pFとした結果である。
このとき、◆の推移および■の推移を比較すると、負荷抵抗が3000Ωであるときに双方の出力電圧はほぼ同等の値となるものの、負荷抵抗が低下するにつれて本発明に係る圧電トランスの出力電圧は高い値を示していることがわかる。換言すれば、本発明に係る圧電トランスは、従来の圧電トランスよりも大電力を伝送可能にすることが可能となる。
さらに、本実施の形態の圧電トランスは、以下に示すような効果を有する圧電トランスが得られる。
第1に、厚みすべりモードのエネルギー閉じ込め振動子を形成しているため、最大応力を示す領域の大部分が圧電セラミック板の内部に存在するため、大振幅での動作が可能となる。
第1に、厚みすべりモードのエネルギー閉じ込め振動子を形成しているため、最大応力を示す領域の大部分が圧電セラミック板の内部に存在するため、大振幅での動作が可能となる。
第2に、入出力電極の機能とは別個の構成として、駆動電極対が圧電体を挟んで対向するよう構成されていることから、単一モードの振動を効率良く励振できるため、容量比の値が小さくなる結果、電気−機械変換効率に優れた圧電トランスを得ることができる。
また、駆動電極対1a,1bは、入出力電極対に求められる設計/寸法条件等とは別に、単に圧電体の厚み寸法より導かれる所望の面積とすればよいため、設計の簡素化を図ることができる。
また、駆動電極対1a,1bは、入出力電極対に求められる設計/寸法条件等とは別に、単に圧電体の厚み寸法より導かれる所望の面積とすればよいため、設計の簡素化を図ることができる。
第3に、矩形の圧電セラミック板の両端部に対向電極を形成することにより、容易に入出力側の並列容量を形成することが可能となる。
第4に、入力側と出力側の静電容量を電極の面積を変えることにより制御できるので、入力条件や出力条件により静電容量の値を変えることが可能となる。
第4に、入力側と出力側の静電容量を電極の面積を変えることにより制御できるので、入力条件や出力条件により静電容量の値を変えることが可能となる。
ここで、本発明の実施の形態に係る圧電トランスは、一方及び他方の入力電極4a,4bと一方及び他方の出力電極5a,5bは、電極の形成面積を設計によって適宜変更することが可能である。
また、入出力電極の形成面積,容量値および/または出力側に配置される負荷抵抗の値から決定される条件によって、昇降圧を可能にすることにより昇降圧トランスとしたり、入力電圧を出力電圧と同じにすることにより絶縁トランスとしたり、他にも種々の仕様に対応することが可能となる。
さらに、本実施の形態においては、引出電極2の形成によって入力電極4aと駆動電極1aとを接続し、引出電極3の形成によって駆動電極1bと出力電極5bとを接続した。このとき、引出電極2,3の形成位置については図1の形態に限定されるものではなく、引出電極2,3を同一面上に形成しないこと、及び対向状態にしない等の規則性を満足すれば、図6のように変形して配置させてもよい。
図6に示す60は、図1と同様に圧電体の図中上側に一方及び他方の引出電極2(上面),3(下面)を形成する例を示している。図6に示す61は、図1と幅方向の反対側端部の圧電体の図中下側に一方及び他方の引出電極2(上面),3(下面)を形成する例を示している。
図6に示す62は、一方の引出電極2(上面)を図1と同様に圧電体の図中上側に形成し、他方の引出電極3(下面)を図1と幅方向の反対側端部の圧電体の図中下側に形成する例を示している。図6に示す63は、一方の引出電極2(上面)を図1と幅方向の反対側端部の圧電体の図中下側に形成し、他方の引出電極3(下面)を図1と同様に圧電体の図中上側に形成する例を示している。
図6に示す64は、図1と上面と下面を逆にして圧電体の図中上側に一方及び他方の引出電極2(下面),3(上面)を形成する例を示している。図6に示す65は、図1と上面と下面を逆にして図1と幅方向の反対側端部の圧電体の図中下側に一方及び他方の引出電極2(下面),3(上面)を形成する例を示している。
図6に示す66は、図1と上面と下面を逆にして一方の引出電極2(下面)を図1と同様に圧電体の図中上側に形成し、他方の引出電極3(上面)を図1と幅方向の反対側端部の圧電体の図中下側に形成する例を示している。
図6に示す67は、図1と上面と下面を逆にして一方の引出電極2(下面)を図1と幅方向の反対側端部の圧電体の図中下側に形成し、他方の引出電極3(上面)を図1と同様に圧電体の図中上側に形成する例を示している。
また、上述の他にも、68乃至69に示すように引出電極2,3を形成した場合であっても、上述と同様の性能・効果を得ることが可能である。
また、上述の他にも、68乃至69に示すように引出電極2,3を形成した場合であっても、上述と同様の性能・効果を得ることが可能である。
ここで、本実施の形態における引出電極2及び3は、圧電体における一方の幅広面(上面)の電極として、入力電極4a,引出電極2,駆動電極1a,出力電極5aを一括して形成し、他方の幅広面(下面)の電極として、入力電極4b,駆動電極1b,引出電極3,出力電極5bを一括して形成することができるため、電極形成工程が極めて容易となる。上述の利点を得ることができる電極形成手段の例としては、例えば、金属蒸着、メッキ、電極ペーストをスクリーン印刷・焼成する等の手段を採用することが望ましい。
また、これに限らず、電気的接続という目的を果たすことのみを考慮すれば、引出電極2,3を採用せずに、入力電極4a及び駆動電極1aと,駆動電極1b及び出力電極5bとを、リード線接続やバンプ接続等の手段を用いて行ってもよい。
次いで、上述した本実施の形態の圧電トランスは、図7に示す圧電トランス用端子台70に搭載することによって、電源回路等の基板に実装することが可能となる。ここで、圧電トランスの“すべり振動”が起こる部分が圧電トランス用端子台70に干渉しないように、空間を形成することが望ましい。
まず、圧電トランス用端子台70の構造について説明する。
図7において、圧電トランス用端子台70は、樹脂部材71で構成され、上述した本実施の形態の圧電トランスを内部に収納可能な凹部を上面に設けている。圧電トランス用端子台70は、長手方向の両端部に、上面側の端子72、75と下面側の端子73、76とを設けている。上面側の端子72、75と下面側の端子73、76は、圧電トランス用端子台70に実装される電源回路等の基板に接続される。
図7において、圧電トランス用端子台70は、樹脂部材71で構成され、上述した本実施の形態の圧電トランスを内部に収納可能な凹部を上面に設けている。圧電トランス用端子台70は、長手方向の両端部に、上面側の端子72、75と下面側の端子73、76とを設けている。上面側の端子72、75と下面側の端子73、76は、圧電トランス用端子台70に実装される電源回路等の基板に接続される。
ここで、電源回路等に本発明に係る圧電トランスを収納可能にする凹部、孔部を形成し、さらに電気的接続を行うための端子を有していれば、本発明の圧電トランスは、図7の圧電トランス用端子台70を用いることなく、基板に直接的に実装することも可能である。
次に、圧電トランス用端子台70に上述した本実施の形態の圧電トランスを収納して、接続した状態について説明する。
図7において、圧電トランス用端子台70の上面に設けている凹部に上述した本実施の形態の圧電トランスを収納する。このとき、圧電トランスの下面側の入力電極4b及び出力電極5bは、圧電トランス用端子台70の長手方向の両端部から凹部の下方へ延出された下面側の端子73、76に接続される。また、圧電トランスの上面側の入力電極4a及び出力電極5aは、圧電トランス用端子台70の長手方向の両端部から凹部の上方へ延出された上面側の端子72、75に接続される。
図7において、圧電トランス用端子台70の上面に設けている凹部に上述した本実施の形態の圧電トランスを収納する。このとき、圧電トランスの下面側の入力電極4b及び出力電極5bは、圧電トランス用端子台70の長手方向の両端部から凹部の下方へ延出された下面側の端子73、76に接続される。また、圧電トランスの上面側の入力電極4a及び出力電極5aは、圧電トランス用端子台70の長手方向の両端部から凹部の上方へ延出された上面側の端子72、75に接続される。
ここで、入力電極4b及び出力電極5aは、圧電トランス用端子台の凹部の中、又は端子台に搭載された圧電トランスが実装基板に実装された状態で電気的に接続されるとともに、共通グランドとして接続される。
さらに、圧電トランスの下面側の入力電極4b及び出力電極5bと、圧電トランス用端子台70の長手方向の両端部から凹部の下方へ延出された下面側の端子73、76は、共に導電性材料78及び導電性材料79が塗布され、又は導電性材料78及び導電性材料79により電気的に接続される。
また、圧電トランスの上面側の入力電極4a及び出力電極5aと、圧電トランス用端子台70の長手方向の両端部から凹部の上方へ延出された上面側の端子72、75は、共に導電性材料74及び導電性材料77が塗布され、又は導電性材料78及び導電性材料77により電気的に接続される。
上述した導電性材料の材質としては、半田合金、導電性接着剤等が一般的である。また、本発明に係る圧電トランスを機械的にのみ固定する場合は、導電性材料に限定されることなく、非導電性材料として、例えば樹脂接着剤等を用いてもよい。
このとき、圧電トランス用端子台70の上面に設けている凹部の幅方向(長手方向と直交する方向)及び上下方には、上述した圧電トランスの収納状態で、圧電トランスの振動部位が干渉しないよう、空隙が設けられるようになされている。
ここで、上述した凹部の幅方向に設けられる空隙とは、引出電極2,3及び駆動電極1a,1b間に挟まれた圧電体10(圧電振動子2,3、1a,1b、10)の幅方向の振動を妨げない範囲のものである。
また、上述した凹部の上下方に設けられる空隙とは、引出電極2,3及び駆動電極1a,1b間に挟まれた圧電体10(圧電振動子2,3、1a,1b、10)の上下方向の振動を妨げない範囲のものである。
また、圧電トランス用端子台70の上面に設けている凹部の長手方向の両端部は、圧電トランスの長手方向の両端部の入力電極対4a,4b及び出力電極対5a,5b間に挟まれた圧電体10が嵌め込まれて、固定されるように形成されている。
また、上述した入力電極対4a,4bと出力電極対5a,5bとを圧電トランス用端子台70の端子72、75、73,76(実装基板側)へ導電性材料74、77、78,79を介して固定する際の、具体的な実装状態は以下のようにしてもよい。
ここで、上述した導電性材料として好適に用いることができる材料としては、導電性接着材やクリーム半田等がある。
ここで、上述した導電性材料として好適に用いることができる材料としては、導電性接着材やクリーム半田等がある。
仮に、入力電極4b(下面),出力電極5b(下面)のみを導電性材料78,79を介して固定し、入力電極4a(上面),出力電極5a(上面)はリード線等で接続するようにしてもよい。
また、入力電極対4a,4b、出力電極対5a,5bの全てを、導電性材料74、77、78,79にて接合されるようにしてもよい。この場合には、入出力電極が接合される圧電トランス用端子台70の端子72、75、73,76(実装基板側)の端子形状を、導電性材料74、77、78,79が塗布可能な形状とする等の工夫が必要となる。
これにより、入力電極対4a,4b、出力電極対5a,5bは導電性材料74、77、78,79によって固定され、実装基板へ実装可能な形態になるとともに、圧電振動子に対してトランスの機能を付与するための静電容量として作用させることができる。
本実施の形態の圧電トランスのエネルギー閉じ込め振動では、上述したように厚みすべり振動を利用している。この厚みすべり振動の共振周波数は、圧電体10の厚さに反比例することが知られている。このとき、仮に、本実施の形態の圧電トランスが圧電トランス用端子台等に搭載されずに圧電トランス素体のまま、交流電圧を印加された場合、本来であれば入力電極対4a,4b、出力電極対5a,5b間に挟まれた圧電体10の部分も同じ周波数で振動することとなる。
しかし、図8Aに示すように、入力電極対4a,4b、出力電極対5a,5bに導電性材料又は非導電性材料81を塗布することによって、以下の三つの効果を奏し、本来の共振周波数に影響を与えないようにすることができる。
第1の効果は、図8Bに示すように、入力電極対4a,4b及び出力電極対5a,5bに導電性材料又は非導電性材料81の塗布がなされていることにより、圧電体10の厚み寸法10′に対して、材料塗布による厚み寸法の増加82が生じる。一般的に振動の共振周波数は圧電体の厚み寸法より決定されることから、圧電体を励振するために好適な共振周波数で交流電圧を印加しても、材料塗布による厚み寸法の増加82が生じた入出力電極対近傍の圧電体は振動の共振周波数は、駆動電極対近傍の圧電体の共振周波数と異なるものとなり、振動を発生しないようにすることが可能となる。
第2の効果は、塗布材料がある程度の流動性を有するようなものであれば、材料塗布後において、表面張力によって材料表面が球体状となる。このため、たとえ、入出力電極対近傍の圧電体に振動が発生したとしても、振動の放射及び反射特性の変化53が生じることから、入出力電極対と駆動電極対とが形成されている部位において、振動の共振周波数が変化することとなる。従って、入力電極対4a,4b及び出力電極対5a,5bに対して駆動電極対にあたる部位を励振させるよう特定の交流電圧を加えたとしても、励振は起きないか、振動が発生しても微弱となるかのいずれかとなる。
第3の効果は、入力電極対4a,4b、出力電極対5a,5bに導電性材料又は非導電性材料81を塗布することによって、入出力電極対が形成された部位近傍の重量配分が増加する。結果、振動は1/100程度に減衰することが予想される。
従って、入出力電極対が形成された部位近傍の圧電体の制振を目的とするならば、導電性材料74、77、78,79(図7参照)を塗布する部位は、圧電トランスの上面又は下面の一方の面だけでも十分に制振効果を得ることが可能である。具体的には、入力電極対4a、出力電極対5a両端を圧電トランス用端子台70の端子72、75と接続するだけで十分な効果が得られる。
このため、回路基板または端子台等へ、圧電トランスを実装・搭載固定した際の機械的な制振作用に加え、入出力電極対へ材料塗布を行ったことによる共振周波数の変化を制振作用として活用することができることから、入力電極対4a,4b及び出力電極対5a,5bの外部接続に対する信頼性を確保できるとともに、トランス機能を付与するための必須構成となる静電容量C01,C02としてのみ機能させることが可能となる。
これに対して、従来例は、入出力電極対にて静電容量と励振の機能を併せて行わせている点で明確に相違する。
これに対して、従来例は、入出力電極対にて静電容量と励振の機能を併せて行わせている点で明確に相違する。
従って、上述したとおり、本実施の形態では、駆動電極対1a,1bの対向領域及びその近傍のみにて励振を起こすよう構成されているため、トランス成分となる静電容量C01,C02の面積を容易にかつ所望の値に変化させることができ、入出力電圧の調整に係る設計の自由度を高くすることができる。また、単一モードの共振を効率よく励振できる圧電トランスとなる。
最後に、上述した本実施の形態の圧電トランスを電圧の昇降等に用いた電源回路の具体的な例について、説明する。
図9は、圧電トランスを用いたDC−DCコンバータのブロック図である。
まず、図9に示すDC−DCコンバータの構成について説明する。
図9において、DC−DCコンバータは、電圧変換部として、直流電圧入力91を交流方形波に変換するスイッチング回路92と、変換された交流方形波を正弦波に整形する整合回路93と、整形された交流方形波を所望の電圧に変換する圧電トランス94と、変換された電圧を整流して直流電圧出力96を出力する整流回路95とを備えている。
図9は、圧電トランスを用いたDC−DCコンバータのブロック図である。
まず、図9に示すDC−DCコンバータの構成について説明する。
図9において、DC−DCコンバータは、電圧変換部として、直流電圧入力91を交流方形波に変換するスイッチング回路92と、変換された交流方形波を正弦波に整形する整合回路93と、整形された交流方形波を所望の電圧に変換する圧電トランス94と、変換された電圧を整流して直流電圧出力96を出力する整流回路95とを備えている。
また、DC−DCコンバータは、制御部として、整流回路95の出力電圧を検出して基準電圧と比較し出力電圧が一定になるように制御する出力電圧検出回路97と、出力電圧検出回路97の出力電圧により、圧電トランスの共振周波数にほぼ等しい周波数の方形波を発振する発振制御回路98とを備えている。
次に、動作の概略及び各ブロックの作用を説明する。
発振制御回路98は、圧電トランス94の共振周波数にほぼ等しい周波数の方形波を発振する。また、発振制御回路98は、出力電圧検出回路97の出力電圧により、発振周波数及びデューティを制御する。
発振制御回路98は、圧電トランス94の共振周波数にほぼ等しい周波数の方形波を発振する。また、発振制御回路98は、出力電圧検出回路97の出力電圧により、発振周波数及びデューティを制御する。
スイッチング回路92は、発振制御回路98の出力により直流電圧を方形波交流電圧(電流)に変換して、方形波交流電圧を、整合回路93を介して圧電トランス94に入力する。
整合回路93は、圧電トランス94のインピーダンスと整合をとるための回路で、一般には、入力容量Cd1と圧電トランス94の共振周波数で共振するインダクタンス値Lsを有するインダクタが用いられる。この整合回路93は圧電トランス94の入力電圧波形を方形波から正弦波に変換する機能がある。
整合回路93は、圧電トランス94のインピーダンスと整合をとるための回路で、一般には、入力容量Cd1と圧電トランス94の共振周波数で共振するインダクタンス値Lsを有するインダクタが用いられる。この整合回路93は圧電トランス94の入力電圧波形を方形波から正弦波に変換する機能がある。
整合回路93を介して圧電トランスに入力された正弦波は、圧電トランス94により、昇圧あるいは降圧される。昇圧あるいは降圧された交流出力電圧は、整流回路95により直流電圧に変換される。
圧電トランス94は、本実施の形態の圧電トランスであり、入力電圧を昇圧あるいは降圧する昇圧・降圧トランス又は入力電圧をそのまま出力電圧とする絶縁トランスとして機能する。
圧電トランス94は、本実施の形態の圧電トランスであり、入力電圧を昇圧あるいは降圧する昇圧・降圧トランス又は入力電圧をそのまま出力電圧とする絶縁トランスとして機能する。
整流回路95は、圧電トランス94の正弦波出力電圧を直流電圧に変換する。整流回路105としては、一般的なダイオードブリッジやFET(電界効果トランジスタ)検波器が用いられる。
出力電圧検出回路97は、整流回路95の出力電圧を検出して基準電圧と比較し、比較結果を発振制御回路98に送り、出力電圧が一定になるように制御する。
出力電圧検出回路97は、整流回路95の出力電圧を検出して基準電圧と比較し、比較結果を発振制御回路98に送り、出力電圧が一定になるように制御する。
上述したように、圧電トランスを電源回路に用いることにより、入出力インピーダンスを小さくことができ、これにより、低電圧で大きな電力を伝送することが可能となる。このため、小型で高効率かつ電磁ノイズの発生が少ない高性能な電源回路を実現することができる。
上述した本発明の実施の形態に限らず、本発明の要旨を逸脱しない限り、適宜、変更しうることはいうまでもない。
10…圧電矩形板(圧電体)、1a,1b…駆動電極、2,3…引出電極、4a,4b…入力電極、5a,5b…出力電極、L,C,R,Cd,C01,C02…圧電トランスの等価回路定数、20…圧電振動子の等価回路、61〜68…引出電極の配置の組合せ、70…圧電トランス用端子台、71…樹脂部材、72、75、73、76…端子、74,75,78,79…導電性材料、81…導電性又は非導電性材料、82…材料塗布による厚み寸法の増加、83…振動の放射及び反射特性の変化、91…直流電圧入力、92…スイッチング回路、93…整合回路、94…圧電トランス、95…整流回路、96…直流電圧出力、97…出力電圧検出回路、98…発振制御回路
Claims (3)
- 長手方向に分極軸成分を有し、一方及び他方の幅広面に垂直方向に印加される電界により上記分極軸に平行方向に厚みすべり振動を励振する圧電体と、
上記長手方向における一方の端部にあって、上記一方の幅広面上に形成された一方の入力電極、及び他方の幅広面上に形成され、上記一方の入力電極と対向する他方の入力電極からなる入力電極対と、
上記長手方向における他方の端部にあって、上記一方の幅広面上に形成された一方の出力電極、及び他方の幅広面上に形成され、上記一方の出力電極と対向する他方の出力電極からなる出力電極対と、
上記一方の入力電極及び一方の出力電極の間に形成され、かつ上記一方の入力電極と電気的に接続された一方の駆動電極と、
上記他方の入力電極及び他方の出力電極の間に形成され、かつ上記他方の出力電極と電気的に接続された他方の駆動電極と、
から構成されることを特徴とする圧電トランス。 - 上記入力電極対及び上記出力電極対は、少なくとも上記一方の入力電極及び上記一方の出力電極に、導電性材料または非導電性材料が塗布又は接続されている
ことを特徴とする請求項1に記載の圧電トランス。 - 請求項1又は2に記載の圧電トランスを、入力電圧から所望の出力電圧を得るための電圧変換または伝送手段として用いることを特徴とする電源回路。
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JP2008198847A (ja) * | 2007-02-14 | 2008-08-28 | Sumida Corporation | 圧電トランス及び電源装置 |
EP2288233A1 (en) * | 2009-07-24 | 2011-02-23 | Midas Wei Trading Co., Ltd. | Lighting device implemented through utilizing insulating type piezoelectric transformer in driving light-emitting-diodes (LEDs) |
KR20160101484A (ko) * | 2015-02-17 | 2016-08-25 | 삼성전기주식회사 | 복합 전자 부품 |
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