JP2007314926A - 炭素繊維織物の製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】
炭素繊維糸条からなるたて糸の長さがそれぞれ均一で、かつ、よこ糸が蛇行せずに真直に配列している品位に優れた炭素繊維織物を高い生産性(生産速度)で製造することが可能な炭素繊維織物の製造方法を提供する。
【解決手段】
繊度が400〜6,000texの炭素繊維糸条をたて糸とし、繊度が該炭素繊維糸条の1/5以下の補助繊維をよこ糸として、一方向性炭素繊維織物を製織する際に、ヘルドの開閉口におけるヘルド静止角度が0〜50°の範囲内としたエアジェット織機を用いる。
【選択図】図1

Description

本発明は、炭素繊維糸条からなるたて糸の長さがそれぞれ均一で、かつ、よこ糸が蛇行せずに真直に配列している品位に優れた一方向性炭素繊維織物の製造方法に関する。詳しくは、生産性(生産速度)を格段に高めつつ、炭素繊維糸条からなるたて糸の長さがそれぞれ均一で、かつ、よこ糸が蛇行せずに真直に配列している炭素繊維織物を得ることができる炭素繊維織物の製造方法に関する。
従来より、ガラス繊維織物では、例えば特許文献1、2にあるように、エアジェット織機を用いて製織されている場合が多い。これは、用いるガラス繊維の破断伸度が約4%と高いため毛羽立ち難いこと、その繊度が例えば8〜100texと小さく、織密度(たて糸本数、よこ糸本数)が密であること、製織する織物がガラス繊維を二方向に配列している二方向織物であること、の条件が揃っているために工業的な製織が可能となっているためである。
一方、炭素繊維織物では、例えば特許文献3にあるように、シャトル織機や、レピア織機などを用いて製織されている場合が多い。これは、特許文献1に、織機の一例としてエアジェット織機が、また、織物の一例として炭素繊維等の無機繊維からなる織物が記載されているものの、具体的にエアジェット織機で炭素繊維織物を製織する具体的な態様の説明がないこと、また、炭素繊維の破断伸度が約1.5〜2%と低いため容易に毛羽立つこと、その繊度が例えば333〜3,333texと大きく、織密度が粗であることなどの理由から、実際にエアジェット織機を用いて炭素繊維織物を工業的に製織することは困難であると考えられていたためである。
しかしながら、シャトル織機やレピア織機を用いて炭素繊維織物を製造するにあたっては、下記の理由から、高い生産性、すなわち高い生産速度(織機の回転数)を実現できずにいた。
A.織機の製織機構の制約
(1)シャトル織機またはレピア織機を用いた場合、シャトルやレピアによる、よこ糸挿入運動に物理的な速度の上限が存在すること。
(2)よこ糸の挿入に関して、高回転での製織時に、シャトルやレピアとたて糸とが直接接触することにより擦過して、炭素繊維糸条が容易に毛羽立つこと。
(3)たて糸の供給に関して、高回転での製織時に、隣り合うたて糸同士が、たて糸の開口運動により擦過して、炭素繊維糸条が容易に毛羽立つこと。
B.製織する織物の制約
(1)炭素繊維糸条をたて糸およびよこ糸に用いた二方向性織物の場合、用いる織機および製織条件によっては、よこ糸の挿入に関して、高回転での製織時に、たて糸とよこ糸とが直接接触することにより擦過して、炭素繊維糸条が容易に毛羽立つこと。
C.用いる炭素繊維の制約
(1)炭素繊維糸条の破断伸度が低いため、容易に毛羽立つこと。
また、シャトル織機やレピア織機で製織する場合、ヘルドの開閉口におけるヘルド静止角度を小さくすることは難しく、そのために、たて糸の張力変動が大きくなり、製織された炭素繊維織物には無視できないほどの凹凸が生じ易いという問題があった。特に、炭素繊維織物においては、太繊度の炭素繊維糸条をたて糸とし、細繊度の補助糸(例えば、ガラス繊維ヤーン)をよこ糸とした一方向性織物が、例えばコンクリート構造物の補修・補強用途などに広く用いられているが、かかる一方向性織物を製織する場合、炭素繊維織物の織成、搬送または巻取の各工程において、太繊度の炭素繊維糸条であるたて糸が僅かに動くことにより、細繊度であるよこ糸が簡単にズレてしまい、蛇行して(屈曲して)真直に配列できないという問題があった。
なお、前記の生産性の問題に対しては、特許文献4に、水を用いたウォータージェット織機にて、炭素繊維織物を製造する内容が開示されている。この文献には、繊度が200texの炭素繊維を用いて、たて糸およびよこ糸の何れもが炭素繊維で構成された平織組織の炭素繊維織物を、0.8m/分の速度で製造可能である旨の記載がある。しかしながら、水を用いて炭素繊維織物を製織すると、炭素繊維糸条に付与されていた表面処理剤(サイジング剤やカップリング剤など)が水によって流出あるいは劣化してしまい、製織された炭素繊維織物で所望する物性を得ることが難しいという問題がある(ガラス繊維織物でも同様)。また、表面処理剤が溶けだした廃液の処理という点でも問題がある。したがって、ウォータージェット織機にて炭素繊維織物を製造することは、工業的な製織方法として現実的でない。
このように、特許文献1〜4をはじめとした従来の技術では、高い生産性を実現した炭素繊維織物の製造方法は見出されておらず、かかる技術が渇望されている。
特開2000−8241号公報 特開平08−325943号公報 特開平11−001839号公報 特開平06−341034号公報
そこで本発明は、上記背景技術に挙げた問題点を解決することを課題とし、炭素繊維糸条からなるたて糸の長さがそれぞれ均一で、かつ、よこ糸が蛇行せずに真直に配列している品位に優れた炭素繊維織物を、高い生産性(生産速度)で得ることができる炭素繊維織物の製造方法を提供することを目的とする。
上記目的を達成するための本発明は、次の(1)〜(19)のいずれかの構成を有するものである。
(1)繊度が400〜6,000texの炭素繊維糸条をたて糸とし、繊度が該炭素繊維糸条の1/5以下の補助繊維をよこ糸として製織する一方向性炭素繊維織物の製造方法であって、製織に際し、ヘルドの開閉口におけるヘルド静止角度が0〜50°の範囲内としたエアジェット織機を用いる、炭素繊維織物の製造方法。
(2)前記炭素繊維織物のたて糸密度が1〜8本/cm、よこ糸密度が0.4〜8本/cmである、前記(1)に記載の炭素繊維織物の製造方法。
(3)織成する炭素繊維織物の少なくともよこ糸挿入側とは反対側の端部に、該炭素繊維織物を織成するよこ糸を用いて別組織を同時に織成するとともに、該別組織と前記炭素繊維織物との間でよこ糸を切断してそれら別組織と炭素繊維織物とを分離し、該別組織に撚りを加える、前記(1)または(2)に記載の炭素繊維織物の製造方法。
(4)穴を有したガイドに前記別組織を通し、該ガイドを回転させることで前記別組織に撚りを加える、前記(3)に炭素繊維織物の製造方法。
(5)前記別組織を織成しながら、または、織成した後に、該別組織と前記炭素繊維織物との距離が広くなるように該別組織を導く、前記(3)または(4)に記載の炭素繊維織物の製造方法。
(6)前記炭素繊維織物が平織、綾織または繻子織の組織であり、前記別組織が平織、からみ織またはそれらの組み合わせの組織である、前記(3)〜(5)のいずれかに記載の炭素繊維織物の製造方法。
(7)織成する炭素繊維織物のよこ糸挿入側とは反対側に、軸が該よこ糸の飛走方向と交差するように管状体を配置し、または、軸が屈曲している管状体を配置し、炭素繊維織物を織成するために挿入したよこ糸を該管状体の一方の開口から他方の開口へと通す、前記(1)〜(6)のいずれかに記載の炭素繊維織物の製造方法。
(8)前記エアジェット織機は、エアを噴射する1つのメインノズルおよび複数のサブノズルを有し、それぞれのサブノズルはよこ糸飛走方向に関して該メインノズルの下流側に織物幅2〜15cm当たり1つの間隔で配置され、かつ、よこ糸飛走方向に関して前記メインノズルの上流側に、エアを噴射する補助メインノズルを有し、それらノズルからエアを噴射してよこ糸を飛走させる、前記(1)〜(7)のいずれかに記載の炭素繊維織物の製造方法。
(9)前記エアジェット織機は、ヘルドの開口量が10〜75mmの範囲内である、前記(1)〜(8)のいずれかに記載の炭素繊維織物の製造方法。
(10)ヘルドに導入されるたて糸の開口を少なくとも部分的に抑制する、前記(1)〜(9)のいずれかに記載の炭素繊維織物の製造方法。
(11)前記エアジェット織機は、エアを噴射する複数のサブノズルを有し、それぞれのサブノズルは、該サブノズルの中心と筬羽の中心とが織物の長手方向に平行な実質的に同一の直線上に存在するように配置される、前記(1)〜(10)のいずれかに炭素繊維織物の製造方法。
(12)前記エアジェット織機は、筬の筬羽厚が0.1〜2mmの範囲内である、前記(1)〜(11)のいずれかに記載の炭素繊維織物の製造方法。
(13)前記エアジェット織機は、筬打のストローク量が50〜150mmの範囲内である、前記(1)〜(12)のいずれかに記載の炭素繊維織物の製造方法。
(14)前記エアジェット織機は、エアを噴射する複数のサブノズルを有し、筬入幅が100〜350cmの範囲内であり、かつ、よこ糸挿入側における最端部のサブノズルとそれに隣り合うサブノズルとの間の距離よりも、よこ糸挿入側とは反対側における最端部のサブノズルとそれに隣り合うサブノズルとの間の距離の方が短い、前記(1)〜(13)のいずれかに記載の炭素繊維織物の製造方法。
(15)前記エアジェット織機は、筬入幅が100〜350cmの範囲内であり、かつ、該筬入幅の両端部以外の筬入幅内に耳組織を形成する、前記(1)〜(14)のいずれかに記載の炭素繊維織物の製造方法。
(16)よこ糸が、ガラス繊維と有機繊維との紡績糸、ガラス繊維の紡績糸、有機繊維の紡績糸、ガラス繊維と有機繊維との交絡加工糸、ガラス繊維の交絡加工糸、および有機繊維の交絡加工糸からなる群から選ばれる少なくとも一種である、前記(1)〜(15)のいずれかに記載の炭素繊維織物の製造方法。
(17)よこ糸が、ガラス繊維を芯糸として有機繊維のフィラメント糸をカバリングしたカバリング糸である、前記(1)〜(16)のいずれかに記載の炭素繊維織物の製造方法。
(18)製織した炭素繊維織物を所定長L1で一旦巻き取り、巻き取った炭素繊維織物を所定長L1の半分以下である製品長L2に分割して再度巻き取る、前記(1)〜(17)のいずれかに記載の炭素繊維織物の製造方法。
(19)たて糸である炭素繊維糸条は、各ボビンから解舒して引き揃えられ、直接エアジェット織機に導かれる、前記(1)〜(18)のいずれかに記載の炭素繊維織物の製造方法。
本発明によれば、炭素繊維織物の工業的な生産には現実的でないとされていたエアジェット織機を用いて一方向性炭素繊維織物を製織することで生産性を高めることができるうえに、ヘルドの開閉口におけるヘルド静止角度を0〜50°の範囲内とすることで炭素繊維糸条のたて糸長を均一にできる。さらに、よこ糸挿入においてよこ糸に張力を付与し難いエアジェット織機を用いた製織においても、よこ糸が蛇行せずに真直に配列している品位に優れた炭素繊維織物を製造することができる。
本発明においては、繊度が400〜6,000texの炭素繊維糸条をたて糸とし、繊度が該炭素繊維糸条の1/5以下の補助繊維をよこ糸として一方向性炭素繊維織物を製織するに際し、エアジェット織機を用いる。
前述したように、シャトル織機や、レピア織機で炭素繊維織物を製造する場合には
(1)シャトル織機またはレピア織機を用いた場合、シャトルやレピアによる、よこ糸挿入運動に物理的な速度の上限が存在する、
(2)よこ糸の挿入に関して、高回転での製織時に、シャトルやレピアとたて糸とが直接接触することにより擦過して、炭素繊維糸条が容易に毛羽立つ、
という問題(前記A(1)、(2)項の問題)があった。しかしながら、エアジェット織機を用いることにより、シャトルやレピアなどの物理的な速度の影響を受けず、また、たて糸とシャトルやレピアなどとの擦過が本質的に発生しない。ここでウォータージェット織機を用いると、織糸である炭素繊維糸条に予め付着されているサイジング剤(多くは水溶性の樹脂組成物)の脱落・付着量のムラが発生する懸念があり、かつ、織物を後から乾燥させる工程が必要となる問題がある。
かかるエアジェット織機を用いる製織においては、ヘルドの開閉口におけるヘルド静止角度を0〜50°の範囲内、好ましくは0〜25°の範囲内、より好ましくは0°とする。かかるヘルド静止角度は小さければ小さいほど好ましい。
ヘルド静止角度とは、よこ糸を挿入する織機の繰り返し動作の1周期分を、織機のモーター主軸(クランク)の回転角度、すなわち360度に割り振った場合に、ヘルドの開閉口の動き(変位)において連続して変位に動きがない範囲の角度をいう。
一般的なシャトル織機やレピア織機などを用いると、よこ糸挿入手段であるシャトルやレピアとたて糸群とが局所的に接触したりする場合があり、製織時に負荷されるたて糸それぞれへの張力を均一にすることができない。また、シャトルやレピアなどを杼口に挿入するため、ヘルドの開口量を大きく、かつ、シャトルやレピアが運動する間はヘルドを開口した状態で静止させざるを得ない。そのため、たとえば一般的なレピア織機では、ヘルド静止角度が150〜220°となってしまう。このことにより、製織の運動が間欠運動(不連続運動)となり、たて糸が張ったり緩んだりして不安定となるだけでなく、たて糸それぞれへの張力を不均一にする原因の一つとなっていた。このことに起因して、得られる炭素繊維織物におけるたて糸の長さの差を0.15%以下、かつ、たて糸の長さの変動係数を8%以下とすることができないだけでなく、停止していたたて糸が動き出すために炭素繊維糸条とヘルドとの擦過も大きくなり毛羽も多く発生するため、品位に優れる織物を得ることが難しかった。一方、エアジェット織機においてはヘルドの開口状態を長く維持する必要がない。すなわち、エアジェット織機を用いることにより、よこ糸挿入手段とたて糸群との物理的な接触が皆無となり、かつ、開口状態を維持するためにヘルドを長い間静止する必要がないため、ヘルド静止角度を0〜50°の範囲内とすることができ、製織時に負荷されるたて糸それぞれへの張力をより均一にすることができる。その結果、たて糸の長さの差が0.15%以下であり、かつ、たて糸の長さの変動係数が8%以下である炭素繊維織物を容易に得ることができる。より好ましいたて糸の長さの差は0.1%以下、更に好ましくは0.05%以下である。また、より好ましい変動係数は6%以下、更に好ましくは4%以下である。上記範囲のたて糸の長さの差およびその変動係数であると、床上に織物を延反した場合の織物の凹凸が最小限に抑制されて外観品位に優れるだけでなく、得られた織物をCFRPに成形した際に優れた力学特性を発揮することになる。なお、上記たて糸の長さの差およびたて糸長さの変動係数は、次の手順で測定される。
(a)炭素繊維織物が弛まないように5500mmを延反して無張力下で静置する。
(b)測定基準として、延反した織物の長手方向と垂直に1箇所切断する。
(c)測定基準から、織物幅方向の両端部のたて糸それぞれに関して5000mmを測長し、その箇所を結んだ線で切断する。測長にあたっては、織物が弛まないように延反して無張力下で静置して5000mmを長尺メジャーで測長する。
(d)織物を分解しながら、織物全幅に渡りたて糸を5本おきに順に抜き取る。
(e)抜き取ったたて糸長さを0.1mmの桁までそれぞれ測長する。測長にあたっては、たて糸が蛇行しないように手で引っ張る程度の張力をかけながら長尺メジャーで測長する。
(f)測長したたて糸長さの最大値と最小値との差を算出する。算出した差を5000mmで除して100を乗じた値をたて糸の長さの差とする(単位は%)。
(g)測長したたて糸長さの全ての値の標準偏差および平均値を算出する。算出した標準偏差を平均値で除して100を乗じた値を変動係数とする(単位は%)。
元来、エアジェット織機は、ガラス繊維の二方向性織物の工業的な製造に用いられてきたが、これは、用いるガラス繊維の破断伸度が約4%と高く毛羽立ち難いことだけが理由ではない。その他、用いるガラス繊維の繊度が例えば8〜100texと細く、織密度(たて糸本数、よこ糸本数)が密な織物を対象としているため、よこ糸の飛走において噴射するエアの漏れを最小限にでき、かつ、よこ糸の蛇行(屈曲)が顕在化しない、という条件が揃っているためである(FUTURE TEXTILES、p81〜84、堀照夫、繊維社)。一方、本発明では、用いる炭素繊維糸条はガラス繊維に比べて毛羽立ち易くかつ太繊度であること、製造する織物が一方向性織物であること、というエアジェット織機を用いるには不利な障害が明確に複数存在する。それにも係わらず、本発明においては、一方向性炭素繊維織物をエアジェット織機で製織するというコンセプトに想致し、さらには上記の不利な障害を解決してエアジェット織機による製織を実現したものである。
本発明で製造する炭素繊維織物においては、たて糸密度が1〜8本/cm、よこ糸密度が0.4〜8本/cmであるのが好ましい。より好ましくはたて糸密度が2〜6本/cm、よこ糸密度が1〜6本/cm、更に好ましくはたて糸密度が3〜5本/cm、よこ糸密度が2〜5本/cmの範囲であるのが好ましい。たて糸密度が小さすぎると、炭素繊維織物の形態安定性に劣るだけでなく、たて糸の隙間が大きくなりすぎ、エアジェット織機のよこ糸挿入効率があまりにも低下し過ぎる場合がある。一方、たて糸密度が大きすぎると、前記A項(3)に記載の通り、炭素繊維糸条の擦過による毛羽が多くなり、炭素繊維織物の品位を損なう場合がある。また、よこ糸密度が小さすぎると、炭素繊維織物の形態安定性に劣り、得られる織物の取扱性に劣りやすい。一方、よこ糸密度が大きすぎると、炭素繊維織物の製造速度を高速にすることが困難に場合があるだけでなく、よこ糸の蛇行を抑制しきれない場合がある。
本発明の炭素繊維織物の製造方法は、たて糸同士の隙間が0.1〜0.8mm、好ましくは0.15〜0.6mm、より好ましくは0.2〜0.5mmの範囲である炭素繊維織物を製造するのに適している。得られる織物において、たて糸同士の隙間が小さすぎると、前記A項(3)に記載の通り、炭素繊維糸条の擦過による毛羽が多くなり、炭素繊維織物の品位を損なう場合があるだけでなく、炭素繊維織物を製織した後にマトリックス樹脂を含浸させてCFRP(炭素繊維強化プラスチック)を成形する場合に、マトリックス樹脂の含浸性を阻害する場合がある。エアジェット織機を用いる場合は、製織時に炭素繊維糸条の間に突出するサブノズル(詳細は後述)が炭素繊維糸条と擦過するため、炭素繊維糸条の毛羽が想像以上に多くなってしまう場合がある。一方、たて糸同士の隙間が大きすぎる場合には、毛羽は抑制されるが、よこ糸挿入効率が低下する場合があり、さらには、CFRPを成形した場合に、樹脂リッチ部分を大きく形成し、CFRPの力学特性を低下させる場合がある。
本発明においては、織成する炭素繊維織物のよこ糸挿入側とは反対側(以下、「反よこ糸挿入側」という)に、両端が開口している管状体を配置し、炭素繊維織物を織成するために挿入して飛走させたよこ糸を該管状体の一方の開口から他方の開口へと通すことが好ましい。よこ糸と該管状体の内壁との摩擦でよこ糸のたるみを防ぐことができる。管状体は、軸が直線のもののほか、軸が屈曲しているようなものでもよく、軸が直線の管状体は、該軸がよこ糸の飛走方向と交差するように(平行にならないように)管状体を配置する。
具体的に図1、図2に示す。図1は、エアジェット織機における各種ノズルおよび管状体の位置関係を示す概略平面図である。図2は、他の態様における各種ノズルおよび管状体の位置関係を示す概略正面図である。なお、いずれの図においても、たて糸は省略している。
図1、図2のエアジェット織機10では、少なくともメインノズル12およびサブノズル2a、2b・・・からエアを噴射し、よこ糸14を、よこ糸挿入側Aから反よこ糸挿入側Bへと、筬羽群1aを通過させながら飛走させる。よこ糸がよこ入れされた後には、筬7にて筬打ちして、たて糸とよこ糸14とを織成する。
ここで、メインノズルとは、織機のよこ糸挿入側に配置され、飛走させるよこ糸に対して最初に圧空を付与するノズルであり、サブノズルとは、該メインノズルによって飛走しているよこ糸をさらに飛走させ続けるため、補助的に圧空を作用させるノズルのことをいう。
本発明で用いるエアジェット織機としては、よこ糸挿入側Aに1つのメインノズル12配置し、よこ糸挿入側Aと反よこ糸挿入側Bとの間に、複数のサブノズル2a、2b・・・を、織物幅2〜15cm当たり1つの間隔で配置したものが好ましい。サブノズルの好ましい配置間隔は、織物幅3〜12cm当たりに1つ、更に好ましくは織物幅4〜10cm当たりに1つである。また、サブノズルの総数は、織物幅により異なるが、織物幅が100cmの場合は7〜30個、織物幅が350cmの場合は23〜105個の範囲内が好ましい。
これら複数のサブノズル2a、2b・・・の配置は、特にエアジェット織機の筬入幅が後述するような範囲(筬入幅が100〜350cmの範囲内)のような広幅である場合、よこ糸挿入側Aにおける最端部のサブノズルとそれに隣り合うサブノズルとの間の距離よりも、反よこ糸挿入側Bにおける最端部のサブノズルとそれに隣り合うサブノズルとの間の距離の方が短くなるようにすることが好ましい。具体的には、よこ糸挿入側Aにおけるサブノズル同士の配置間隔L1よりも、反よこ糸挿入側Bに向かってサブノズル同士の配置間隔L2、L3の方が広くならないように配置されているのが好ましい。より好ましくは、サブノズル同士の配置間隔がよこ糸挿入方向に沿って短くなるように配置するのが好ましい。複数のサブノズル2a、2b・・・がかかる態様で配列されていると、メインノズル12からのエアを効率的に活用できるだけでなく、反よこ糸挿入側Bにおけるよこ糸の飛走を安定させることができ、よこ糸挿入自体を長期間安定して行うことができる。もちろん、かかるサブノズル同士の配置間隔L1〜L3の関係は織物幅によって適宜選択されるものであるが、例えばL1>L2>L3としてもよいし、L1>L2=L3としてもよい。
さらに、本発明において、エアジェット織機としては、よこ糸挿入側に配置されるメインノズルが複数個存在するようなものを用いてもよい。たとえば、よこ糸挿入側Aに配置されるメインノズル12よりもよこ糸飛走方向の上流側に、もう一つのメインノズル(補助メインノズル13)を有するものを用いるのが好ましい。さらに好ましくは、メインノズル12、補助メインノズル13それぞれからエアを実質的に同時に噴射してよこ糸を飛走させるのが好ましい。かかる補助メインノズル13を用いることにより、次の挿入のために待機しているよこ糸に急激なエアを噴射して飛走させる必要がなくなる。すなわち、メインノズルが1つの場合、よこ糸の1箇所にエアを噴射して飛走させるために、必然的にそのエアの圧力を高くせざるを得ない。しかしながら、補助メインノズル13を併用し、メインノズルを複数個とする場合には、よこ糸の複数箇所にエアを噴射して飛走させることになるので、エア圧力を低くすることができる。このことにより、よこ糸切れやよこ糸割れ・ばらけ、よこ糸毛羽などを抑制できるだけでなく、飛走し難いよこ糸も飛走させることができ、よこ糸の選択の自由度を広くとることができる。なお、エアを実質的に同時に噴射するとは、織機の主軸(クランク)角度における20°以内の範囲でエアを噴射することをいう。
また、エアジェット織機において、それぞれのサブノズルは、該サブノズルの中心と筬羽の中心とが、織物の長手方向に平行な実質的に同一の直線上に存在するように配置されることが好ましい。換言すれば、サブノズルと筬羽との位置関係を示す、エアジェット織機の部分拡大図である図3、4に示すように、エアを噴射するサブノズル2の中心と筬羽1の中心とが、織物の幅方向に関して実質的に同じ位置に揃うように設けることが好ましい。
なお、本発明において、サブノズルの中心と筬羽の中心とが、長手方向に平行な実質的に同一の直線上に存在するとは、長手方向に完全に平行な同一直線上に存在している状態はもちろんのこと、後述するような問題を生じないのであれば、図4に示すように若干ずれている態様も含むものとする。具体的には、サブノズル2の中心と筬羽1の中心との、織物の幅方向に関するズレD1が、0〜3mmの範囲内であることを指す。より具体的には、D1は、織物の幅方向に関するサブノズルの中心線4と、織物の幅方向に関する筬羽の中心線3との距離で示される。サブノズル2の中心と筬羽1の中心とが実質的に同一直線上に配置されていないと、サブノズル2がたて糸5b(炭素繊維糸条)と擦過してしまうため、該炭素繊維糸条における毛羽の発生を抑制することができない場合がある。すなわち、サブノズル2の中心と筬羽1の中心とが実質的に同一直線上に配置されてこそ、たて糸5aとの擦過を抑制することができるのである。
筬の筬羽厚は、0.1〜2mm、好ましくは0.3〜0.8mm、より好ましくは0.4〜0.7mmの範囲内であるのが良い。筬羽厚が小さすぎると、サブノズル2の物理的な寸法の差異が大きくなりすぎ、サブノズル2が突出しすぎてたて糸5と擦過してしまう場合がある。一方、筬羽厚が大きすぎると、筬自体の重量が大きくなりすぎるだけでなく、筬羽1間のたて糸5の通る糸道が細くなり、筬羽1がたて糸5と強く擦過し過ぎてしまう場合がある。
続いて、図5、図6は、それぞれエアジェット織機の一例を示す概略断面図である。
エアジェット織機における筬打ストローク量D2は、50〜150mm、好ましくは60〜130mm、より好ましくは70〜90mmの範囲内であるのが良い。筬打ストローク量D2が小さすぎると、よこ糸挿入のスペースを形成できない場合がある。一方で、筬打ストローク量D2が大きすぎると、筬打自体の動きが大きくなりすぎて本発明の課題である高速化を阻害する場合があるだけでなく、炭素繊維糸条と筬羽との擦過も大きくなり、炭素繊維糸条からの毛羽を抑制することができない場合がある。なお、筬打ストローク量D2とは、最も前進した筬位置(筬打時)と、最も後退した筬位置(よこ糸挿入時)とを結んだ直線距離を指す。
また、前記A項(3)の制約に対して、エアジェット織機におけるヘルド開口量D3は、10〜75mm、好ましくは20〜65mm、より好ましくは30〜60mmの範囲内であるのが良い。かかる範囲のヘルド開口量D3であると、高回転での製織時に、隣り合うたて糸同士の擦過を最小限にし、炭素繊維糸条の毛羽立ちを抑制することができる。より具体的には、開口量が大きすぎると、たて糸張力の絶対値が高くなるため炭素繊維糸条の毛羽立ちが多くなり、開口量が小さすぎると杼口(よこ糸が通過するための空間)の形成が十分でなく、よこ糸挿入を安定して行えないだけでなく、たて糸とよこ糸との擦過が相対的に強くなり、毛羽が発生する場合がある。なお、ヘルド開口量D3とは、開口上死点でのヘルドのメイルの位置と、閉口下死点でのヘルドのメイルの位置とを結んだ直線距離を指す。
そして、エアジェット織機には、ヘルドに導入されるたて糸の開口を少なくとも部分的に抑制する押さえバーを設けることが好ましい。押さえバー8a、8bとは、具体的に図5、図6に示すように、イージングロール11a、11bとヘルド6との間(間丁)に設けられるものであって、イージングロール11a、11bを経てヘルド6に導入されるたて糸5cを押さえ、該たて糸5cの開口が、押さえバー8a、8bがない場合の本来の糸道9a、9bで形成される開口よりも小さくなるように抑制する役割を果たすものを指す。すなわち、該たて糸による開口をより小さく抑制するものをいう。ヘルドに導入されるたて糸の開口を少なくとも部分的に抑制することで、開口運動による隣り合うたて糸5c同士の擦過を更に低減することができる。
なお、少なくとも部分的に抑制するとは、図5に示すように、複数本のたて糸5cの全部を押さえて全体の開口を抑制してもよいし、図6に示すように、複数本のたて糸5cのうちの一部を押さえて一部の開口を抑制してもよいという意味である。
押さえバー8a、8bとしては、開口を抑制できるものであればよく、例えば自由回転ロール(特に表面梨地加工したもの)、固定ロール(特に表面鏡面加工したもの)、パイプ、ビーム、バーなどの様々な形態が挙げられる。たて糸と押さえバーとの擦過を最小限に抑制する観点からは、梨地加工した自由回転ロールであるのが好ましい。
さらに、上記効果を最大限に発現させるためには、間丁の間にたて糸の張力変動を吸収するイージング機構(図5、6では位置が変化できるイージングロール11a、11bに相当)を備えるのが好ましい。かかるイージング機構により、特に、開口運動による隣り合うたて糸5c同士の擦過を低減するために、たて糸が開口をはじめる箇所からヘルドまでのたて糸長D4を短くした場合でも、安定かつ均一なたて糸張力を実現できる。かかる効果は、たて糸が開口をはじめる箇所からヘルドまでのたて糸長D4が、ヘルドの開口量の10倍以下の時に特に顕著に発現する。かかるイージング機構は、ヘルド枚数と同じ数だけ備えられ、通糸されるヘルド毎にイージング機構が使い分けるのが更に好ましい。また、かかるイージング機構は、イージングロール11a、11bをバネなどによりたて糸の張力変動により運動させる消極方式であってもよいが、織機駆動動力や別モータなどにより強制的に運動させる積極方式であるのが好ましい。積極方式であると、より高い速度においても毛羽低減に貢献できる。
本発明において、エアジェット織機の筬入幅は100〜350cmが好ましい。さらに好ましくは130〜310cm、より好ましくは150〜260cmの範囲内である。一般的なシャトル織機やレピア織機などを用いると、よこ糸挿入手段であるシャトルやレピアが直接よこ糸を挿入する必要があるため、織機幅すなわち織機の筬入幅に制約があった。一方、エアジェット織機においては、よこ糸はエアで挿入するため、前記サブノズルを幅方向に追加するだけで容易に筬入幅を広くすることができる。すなわち、エアジェット織機を用いる効果を最大限に発現させるためには、上記範囲内のような広幅で製織するのが好ましい。
続いて、図7に示す、エアジェット織機での織成の一例を示す概略平面図に基づいて、さらに好ましい態様を説明する。
エアジェット織機の筬入幅が上記範囲内のような広幅である場合、筬入幅の両端部以外の筬入幅内に耳組織19cを形成して、複数幅の炭素繊維織物18a、18b・・・を得るのが好ましい。一般的には筬入幅の両端部のみに耳組織を形成して1巾の炭素繊維織物を得るが、両端部以外の筬入幅内にも耳組織19c・・・を形成して、2巾以上の炭素繊維織物18a、18b・・・を同時に得ると、より一層生産性が向上できる。より好ましくは、2〜12巾、更に好ましくは3〜7巾の範囲内である。12巾を越えると、筬入幅内に耳組織を形成するための装置(例えば、耳組装置、デュープヘルド、“クロッカー”ヘルドなど)などが多く必要となり、高速化の妨げになるだけでなく、装置配置上の制約を受ける場合もある。
なお、エアジェット織機を用いる製織において、よこ糸挿入後にヘルドを開閉口して炭素繊維織物を織成した後、よこ糸の房耳を織物幅内にタックインすることもできる。タックイン装置で房耳を織物幅内に折り返すことにより、シャトル織機で製織したが如き房耳がない織物を得ることができる。タックインされた耳組織を有する一方向性炭素繊維織物は、例えばコンクリート補修・補強に用いられる場合、コンクリートに樹脂を塗布して一方向性炭素繊維織物を接着する場合に、塗布する樹脂量を最小限に抑制することができる。
本発明では、上記B項(1)の制約に対しては、繊度が400〜6,000texの炭素繊維糸条をたて糸とし、補助繊維をよこ糸とした一方向性炭素繊維織物を製織する。本発明で用いる炭素繊維糸条の繊度が小さすぎると、たて糸の織密度が密になりすぎ、前記A項(3)に記載の通り、炭素繊維糸条の毛羽が多くなり、炭素繊維織物の品位を損なう。一方、用いる炭素繊維糸条の繊度が大きすぎると、たて糸の隙間が大きくなりすぎ、エアジェット織機のよこ糸挿入効率が低下する。また別の視点からは、炭素繊維糸条の繊度が上記の範囲であると、炭素繊維糸条を安価に入手することができる。かかる範囲の炭素繊維糸条を用いてエアジェット織機により製織することは、一層生産性を向上させることを意味し、本発明の効果が大きく発揮されるのである。
本発明で用いる補助繊維は、たて糸である炭素繊維糸条の繊度の1/5以下、好ましくは1/20〜1/500、より好ましくは、1/100〜1/250の繊度のものを用いる。かかる繊度が大きすぎると、一方向性織物において炭素繊維糸条を屈曲させることによる力学特性の低下を誘発する。一方、かかる繊度が小さすぎると、補助繊維の強度が低くなりすぎることを意味し、製織時によこ糸切れが多く発生する場合がある。
よこ糸挿入をエアジェット織機で行った場合、よこ糸に炭素繊維糸条を用いると、炭素繊維糸条が容易に毛羽立つこと、発生した毛羽がノズルなどの織機部品に詰まる問題が発生する場合がある。かかる補助繊維をよこ糸に用いた一方向性織物であると、よこ糸挿入をエアジェット織機で行っても前記問題が発生せず、炭素繊維織物の生産性を損なうことがない。
かかる補助繊維としては、例えばガラス繊維、金属繊維などの無機繊維(炭素繊維は除く)や、アラミド繊維、PBO繊維、ナイロン繊維、ポリエステル繊維、ポリビニルアルコール繊維、ポリエチレン繊維、ポリプロピレン繊維、ポリフェニレンサルファイド繊維、綿繊維などの有機繊維を用いることができるが、中でも、特に加熱時収縮率が小さく炭素繊維織物の幅方向の収縮を最小限にできる、炭素繊維以外の無機繊維が好ましく、毛羽発生を最小限に抑えるものとしてとりわけガラス繊維が好ましい。
また、補助繊維としては、エアの噴射によるよこ糸の飛走性の観点から、紡績糸、撚糸、交絡加工糸、またはカバリング加工糸(芯糸に鞘糸を巻き付けた複合糸)が好ましい。具体例としては、ガラス繊維および/もしくは有機繊維の紡績糸、または、ガラス繊維および/もしくは有機繊維の交絡加工糸(好ましくはタスラン加工糸)であるのが好ましい。かかる補助繊維を用いると、単なるフィラメント糸に比べ格段にエアジェットによる飛走性を安定させることができる。また、織成した後の、炭素繊維糸条との摩擦係数を大きくすることができ、本発明の課題であるよこ糸の蛇行を最小限に抑制することもできる。別の具体例として、ガラス繊維を芯糸として有機繊維のフィラメント糸をカバリングしたカバリング加工糸も好ましい。カバリング加工糸において、ガラス繊維および有機繊維のいずれもがフィラメント糸であっても、カバリング加工によってよこ糸の糸割れ・よこ糸毛羽などを抑制できエアジェットによる飛走性を安定性させることができる。ここで用いる好ましい有機繊維としては、低融点ポリマー繊維(共重合ポリアミド、共重合ポリエステル、ポリオレフィン、共重合ポリオレフィンなどからなる繊維)が挙げられる。かかる低融点ポリマー繊維を用いると、得られた炭素繊維織物を加熱することにより炭素繊維糸条と補助繊維とを接着して目どめを行うことができ、得られた炭素繊維織物においてよこ糸が蛇行せずに真直に配列している品位に優れた形態を維持することが容易になる。
別の視点から、本発明では、前記C項(1)の制約に対して、JIS−R7601(1986)「炭素繊維試験方法」に沿って測定された引張強度が4,000MPa以上、好ましくは5,000MPa以上である炭素繊維糸条を用いるのが良い。かかる範囲の引張強度であると、毛羽が発生しにくく、品位の高い炭素繊維織物が製造できる。なお、引張強度に上限はなく、高ければ高い方が好ましいが、現在考えられる技術範囲では7,000MPaが上限と考えられる。
ところで、従来、炭素繊維織物の製造に用いられていたシャトル織機やレピア織機では、よこ糸を直接引っ張って挿入するためよこ糸自体に張力を付与することができ、本発明の課題であるよこ糸の蛇行に関する問題は比較的顕在化し難いが、よこ糸の挿入においてよこ糸に直接張力を付与できないエアジェット織機においては、かかる問題が顕在化しやすい。しかしながら、本発明においては、織成前および/または織成後によこ糸に張力を付与することにより、かかる課題を解決することが好ましい。以下に、図7を参照しながら詳細に説明する。
まず、織成する炭素繊維織物の、少なくとも反よこ糸挿入側Bの端部に、炭素繊維織物を構成するよこ糸と同じよこ糸14にて別組織19bを同時に織成する。このとき、織成された炭素繊維織物や別組織19は、連続的に下流側へと搬送されるが、下流側では、別組織19bと炭素繊維織物18bとの間でよこ糸を切断して、搬送中の別組織と炭素繊維織物とを部分的に分離し、別組織に撚りを加える。もちろん、反よこ糸挿入側Bと同様に、よこ糸挿入側Aの端部に、炭素繊維織物と同じよこ糸14にて別組織19aを同時に織成し、さらには、筬入幅の両端部以外の筬入幅内に別組織を織成し、それら別組織に撚りを加えてもよい。かかる別組織19a、19b・・・を加撚することにより、炭素繊維織物18a、18b、18c・・・中に織成されたよこ糸14に張力を加えることができ、よこ糸が真直に配列している品位に優れた炭素繊維織物をさらに容易に得ることができる。
別組織に撚りを加える方法としては、例えば、穴を有したガイドを用い、該穴に別組織を通してガイドを回転させたり、別組織の上下面をそれぞれエンドレスベルトで挟み込んでベルトを回転させたりする方法を例示できる。中でも、装置が簡便でエアジェット織機上に容易に取り付けられるということからは、前者が好ましい。
更に、よこ糸14に張力を加えためには、前記別組織を織成しながら、または、織成した後に、前記別組織19a、19bと炭素繊維織物18a、18bとの間の距離が広くなるように、別組織を導くのが好ましい。そのように別組織を導く方法としては、下流側で与える撚りを大きくしたり、下流側で分離された別組織を把持して炭素繊維織物18a、18bから退避させる方向に導いたりする方法を例示できる。より効率的に効果を発現させるためには、別組織19a、19bと炭素繊維織物18a、18bとの間でよこ糸が切断される前に別組織と炭素繊維織物との距離が広がるように、下流側で与える撚りを大きくする方法が好ましい。
また、かかる態様では、一方向性炭素繊維織物18a、18b、18c・・・が平織、綾織または繻子織の組織であり、別組織19a、19b・・・が平織、からみ織またはそれらの組み合わせの組織であるのが好ましい。特に上述の様によこ糸に張力付与させるためには、別組織のたて糸17とよこ糸14との交錯が多いまたは強い方が好ましい。したがって、別組織はからみ織組織であるのが特に好ましい。なお、一方向性炭素繊維織物18a、18b、18cのたて糸5は、繊度が400〜6,000texの炭素繊維糸条であるが、別組織19a、19b・・・のたて糸17は高価な炭素繊維糸条である必要はなく、上述のよこ糸に用いる補助繊維と同じものを用いるのが好ましい。なお、炭素繊維糸条ではなく、補助繊維として説明した上記繊維を、別組織のたて糸17として用いる場合、加熱時収縮率が小さく炭素繊維織物の収縮を最小限に抑制できるという点から、よこ糸と同様のガラス繊維をたて糸17として用いるのが好ましいが、糸切れを最小限に抑制するという観点からは有機繊維であるアラミド繊維をかかるたて糸17として用いるのが好ましい。
そして、織成前および/または織成後によこ糸に張力を付与するためには、図1、図2に示して前述したように、織成する炭素繊維織物の反よこ糸挿入側に、両端が開口している管状体15a、bを配置し、炭素繊維織物を織成するために挿入したよこ糸14を該管状体15a、bの一方の開口(入口)から他方の開口(出口)へと通すことも好ましい。
具体的に、図1に示す態様においては、屈曲している管状体15aが筬7の裏側(よこ糸が挿入されない側)に配置されており、筬入幅の端部にまで飛走してきたよこ糸14に、ストレッチノズル16などを用いて筬の表側から裏側に向かうエアを吹き付けることで、該よこ糸14が管状体15aの中を通過する。また、図2においては、直線状の管状体15bが、よこ糸の飛走方向と交差するように(すなわち、飛走方向に平行にならないように)、かつ、筬の表側(よこ糸が挿入される側)に配置されており、筬入幅の端部にまで飛走してきたよこ糸14に、ストレッチノズル(図示せず)などを用いて管状体の出口に向かうエアを吹き付けることで、よこ糸14が管状体15bの中を通過する。かかる管状体へは、ストレッチノズルなどによるエアの吹きつけだけでなく、管状体内を減圧することにより、更に効率的かつ確実によこ糸を管状体の中を通過させることができる。
織成前および/または織成後によこ糸に張力を付与するためには、挿入したよこ糸を反よこ糸挿入側Bに配置されたクランプ手段(図示せず)で直接的に把持してもよい。かかるクランプ手段は、よこ糸が挿入されたことを検出する検出器からの信号と同期して運動するものが好ましい。また、ヘルドの閉口運動の直前に挿入したよこ糸に、よこ糸挿入側Aに引き戻す方向の力を付与してもよい。かかる態様によっても、織成前および/または織成後によこ糸に張力を付与することもできる。よこ糸に引き戻す方向の力を付与する方法としては、よこ糸挿入側に配置されている、よこ糸を通過させるガイド位置を、筬打ごとによこ糸が引き戻される方向に移動させるという方法や、よこ糸を貯留するプーリング装置(引き込み装置)を設置して、よこ糸が飛走している時以外は、よこ糸が引き戻される方向に常に張力を付与しておく方法などが挙げられる。装置が簡易になるという点からは、前者が好ましい。
また、本発明では、製造する炭素繊維織物に線状または点状の形態で樹脂を接着するのが好ましい。樹脂が織物に接着していると、炭素繊維織物の形態を安定させることができ、炭素繊維織物の取扱性を向上させることができる。
樹脂は、繊維形態、粒子形態、水に溶解または分散させたエマルジョン形態やディスパージョン形態など、任意の形態にて炭素繊維織物に付与して接着させることができる。中でも、簡易に接着できること、および、上記の機能発現の面から、固形の繊維形態、固形の粒子形態の樹脂を用い、それを織物に接着させるのが好ましい。かかる繊維形態の場合、炭素繊維糸条や補助繊維と引き揃えて共に製織し、接着してもよいし、炭素繊維糸条や補助繊維と、カバリング加工、合撚加工、混紡などにより複合糸を形成したものを用いて共に製織し、接着してもよい。特に、織物の取り扱いを向上させる場合は、繊維形態の樹脂をよこ糸として引き揃えて挿入したり、炭素繊維または補助繊維とカバリング加工や合撚加工して複合糸にしたものをよこ糸として挿入して接着すると効果的である。また、粒子形態の樹脂を用いる場合、製織した炭素繊維織物の表面に、固形の粒子状樹脂を塗布して接着してもよいし、水などの液体に分散させた状態で、その分散体を塗布して接着してもよい。
炭素繊維織物に接着する樹脂としては、炭素繊維織物の取扱性を向上させる、および/または、炭素繊維織物を用いた複合材料の力学特性を向上させるものであれば特に限定されず、熱硬化性樹脂および/または熱可塑性樹脂を適宜選択して使用することができる。織物の取り扱いを向上させるというだけの観点からは、エポキシ、不飽和ポリエステル、ビニルエステル、フェノキシ、ポリアミド、ポリエステル、ポリビニルフォルマールおよびポリオレフィンから選ばれる少なくとも1種であるのが好ましく、その中でもとりわけエポキシ、ポリアミドがとりわけ好ましい。かかる樹脂は、DSC(示差走査熱量計)にて絶乾状態から20℃/分の昇温速度で測定される融点Tm(融点を有さないものはガラス転移点+50℃)が150℃以下であるのが好ましい。一方、融点Tmは炭素繊維織物を通常環境下で扱う場合の取扱性の面から、50℃以上であるのが好ましい。
かかる樹脂を接着させる方法としては、炭素繊維織物と熱源とを接触させて加熱してもよいし、炭素繊維織物と熱源とを接触させずに加熱することにより、付着した樹脂を織物に接着させてもよい。例えば1m/分以上の高速で炭素繊維織物を製造する場合、炭素繊維織物と熱源とを接触させて加熱するのが好ましい。より好ましくは、熱源と接触させて加熱する方法と、接触させずに加熱する方法とを、併用して加熱するのがよい。本発明では、熱伝導性に優れる炭素繊維を用いるので、前記熱源を複数個で連続して炭素繊維織物の製造工程に配置することにより、例えば1m/分以上の高速でも樹脂を効率的に接着させることができる。かかる熱源としては、接触させる場合は加熱ロールや熱板が挙げられる。また、接触させない場合は、遠赤外線や近赤外線などの放射熱ヒーターなどが挙げられる。
更に、より一層生産性を高くするため、製織した炭素繊維織物を所定長L1で一旦巻き取り、巻き取った炭素繊維織物を所定長L1の半分以下である製品長L2に分割して再度巻き取ることが好ましい。本発明で得られる炭素繊維織物は、主にCFRPの強化材として用いられるため、巻き取らずに箱詰めされると、皺や屈曲が発生して炭素繊維糸条を損傷したり、炭素繊維糸条の配列(真直性)を乱す場合がある。そのため、巻き取られた態様を製品形態とするのが好ましい。
一方、巻き取ることを前提とすると、本発明により高い生産速度を達成しても巻取長が短いと、織機を頻繁に停機させる必要があり、本発明の効果が効率よく発現され難い。したがって、上述の通り、製品長L2の2倍以上の長さの所定長L1を連続して製織し、製品コアとは異なる中間コア(例えば、紙管、鉄管等)に一旦巻き取ることが好ましい。こうすることにより、織機の停機頻度を最小限に抑え、一層高い生産速度(織機の回転数)を達成することができる。一旦巻き取った所定長L1の炭素繊維織物は、別工程で所定長L1の半分以下である製品長L2に分割して再度巻き取るのが好ましい。
所定長L1は、製品長L2の3倍以上がより好ましく、更には5倍以上が好ましい。また、別の視点からは、所定長L1は300m以上が好ましく、500m以上がさらに好ましく、700m以上がより好ましくはである。
本発明においては、たて糸である炭素繊維糸条を各ボビンから解舒して引き揃えて、直接織機に導いて製織することが好ましい。一旦、各ボビンを整経または部分整経してから(ビーミングしてから)シート状のたて糸群を引き揃えて織機に導くと、特に、繊度が400〜6,000texである太繊度の炭素繊維糸条を用いる場合、各炭素繊維糸条での厚みムラが発生し易く、糸条間に糸長の差が生じる場合が多い。このことに起因して、緩んだ炭素繊維糸条が製織中にバタついてその配列(真直性)を乱す場合がある。更に、得られた織物自体にも凹凸が発生して、織物品位に劣る場合がある。上記問題は、整経または部分整経を行わずに、各ボビンから炭素繊維糸条をそれぞれ引き揃えて直接織機に導き製織することによって解消される。
以下に、本発明の実施例、比較例について説明する。なお、各特性については下記のように評価した。
(製織性)
少なくとも300mの連続運転が可能か否かで判断した。
A:300m以上の連続運転が可能
B:300m以上の連続運転が不可能
(発生毛羽)
製織時のヘルド、筬に引っかかったたて糸の毛羽発生の量を、比較例1のときの量を基準に目視で判断した。
A:比較例1のときの量よりも極めて少ない
B:比較例1のときの量よりも少ない
C:比較例1のときの量
(よこ糸飛走性)
製織時のよこ糸の毛羽発生の量を、比較例1のときの量を基準に目視で判断した。
A:比較例1のときの量よりも極めて少ない
B:比較例1のときの量よりも少ない
C:比較例1のときの量
(織物取扱性)
織物を15cmの正方形にハサミで切り出した際の、目ズレと解れ性を目視確認した。
A:製品として無視できるほどの目ズレ、解れ
(織物におけるたて糸長さ差およびたて糸長さ変動係数)
次の手順で測定した。
(a)炭素繊維織物が弛まないように5500mmを延反して無張力下で静置する。
(b)測定基準として、延反した織物の長手方向と垂直に1箇所切断する。
(c)測定基準から、織物幅方向の両端部のたて糸それぞれに関して5000mmを測長し、その箇所を結んだ線で切断する。測長にあたっては、織物が弛まないように延反して無張力下で静置して5000mmを長尺メジャーで測長する。
(d)織物を分解しながら、織物全幅に渡りたて糸を5本おきに順に抜き取る。
(e)抜き取ったたて糸長さを0.1mmの桁までそれぞれ測長する。測長にあたっては、たて糸が蛇行しないように手で引っ張る程度の張力をかけながら長尺メジャーで測長する。
(f)測長したたて糸長さの最大値と最小値との差を算出する。算出した差を5000mmで除して100を乗じた値をたて糸の長さの差とする(単位は%)。
(g)測長したたて糸長さの全ての値の標準偏差および平均値を算出する。算出した標準偏差を平均値で除して100を乗じた値を変動係数とする(単位は%)。
(織物におけるたて糸隙間)
次の手順で測定した。
(h)炭素繊維織物から15cm長を切り出す。
(i)切り出した織物を光学顕微鏡で観察して、織物全幅にわたって、たて糸同士の隙間の距離を順に0.01mmの桁まで測定し、それらの値の平均値を算出する。
(織物における樹脂含浸性)
2枚重ねた一方向性織物の上面に常温硬化型エポキシ樹脂(東レ(株)製TSレジン(S))を垂らして、ハンドレイアップ法で含浸させた際の裏面への含浸性を目視で確認した。
A:樹脂が速やかに含浸
B:Aより遅いが、製品として用いることができる程度の時間で樹脂が含浸
(織物の凹凸)
床上に一方向織物を5m延反して目視確認した。製品として無視できないほどの凹凸(高低差が3mm程度以上の凹凸)の有無で判断した。
A:製品として無視できないほどの凹凸なし
B:製品として無視できないほどの凹凸(高低差が3mm程度以上の凹凸)あり
(織物におけるよこ糸の蛇行)
A:比較例2、もしくは、比較例2と同等の真直性
B:比較例2のときの真直性よりも若干劣るが、製品として無視できるほどの蛇行
(実施例1)
以下のたて糸、よこ糸を用いて、たて糸密度が2.5本/cm、よこ糸密度が3本/cmである一方向性織物(平織組織、炭素繊維目付200g/m)を、エアジェット織機(津田駒工業(株)製ZA100)にて1.1m/分の速度で製織した。
たて糸:繊度が800texの炭素繊維糸条(JIS−R7601(1986)に沿って測定された引張強度4,900MPa、撚数0ターン/m)
よこ糸:ガラスヤーン(ECE225 1/0 1.0Z)に、共重合ナイロン糸(5.5tex、融点110℃)を250ターン/mにてカバリングしたもの(繊度28tex)
炭素繊維糸条(たて糸)は、各ボビンから解舒して引き揃えて、整経せずに直接筬入幅127cmにて織機に導いた。たて糸が開口をはじめる箇所からヘルドまでのたて糸長は、ヘルド開口量の12倍とした。また、図5に示すように、押さえバー8aとして自由回転ロール(表面梨地加工)を用い、ヘルドに導入されるたて糸の開口を部分的に抑制するようにした。(本来押さえバー8aがない場合の糸道9aよりも、該押さえバー8aを配置することにより抑制されたたて糸5cの開口量(鉛直方向の長さ)が、該押さえバー8aの位置において5cm小さくした)。
よこ糸挿入は、メインノズル1個(0.25MPa)、サブノズル16個(0.4MPa)により、打込回数が340回/分となるように行った。ここで、サブノズルの配置間隔は、よこ糸挿入側から順に70mm間隔で2つ、55mm間隔で6つ、50mm間隔で4つ、45mm間隔で4つ、となるようにして、よこ糸挿入側における最端部のサブノズルと隣り合うサブノズルとの間の距離よりも、反よこ糸挿入側における距離を短くした。
また、ヘルドの開口量は60mm、ヘルドの開閉口におけるヘルド静止角度は0°、筬打ストロークは85mm、筬羽厚は0.5mmであった。サブノズルと筬羽とは、それらの中心が、織物の長手方向に平行な同一直線上に存在するように配置した。また、モーター駆動の積極方式のイージング機構を用い、たて糸の張力変動を吸収した。
織成後は、熱源である4つの加熱ローラーと織物とを直接接触させながら加熱することにより、よこ糸に用いた共重合ナイロン糸を炭素繊維糸条に接着した。
かかる製織において、ヘルド、筬での毛羽発生は抑制されており、少なくとも300mの連続運転が可能であった。また、よこ糸の反よこ糸挿入側への到着タイミングは僅かにバラツキがあったが、飛走性としては製織に問題ないレベルであった。
製織した炭素繊維織物を所定長300mで一旦巻き取り、巻き取った炭素繊維織物を製品長である50mに分割して再度巻き取った。このことにより、連続して300m長を製織でき、50m毎に織機を停機させる必要はなく、高速での製織を継続することができた。すなわち生産性に優れていた。
得られた一方向性織物は、線状に共重合ナイロン糸が接着して目どめされており、取扱性に優れていた。また、たて糸同士の隙間が0.15mmであり、十分に隙間が開いているので、樹脂を含浸させた際の含浸性にも優れていた。また、一方向性織物におけるたて糸の長さの差は0.06%、その変動係数は4%であり、床上に一方向織物を5m延反したところ、製品として問題になる程度の凹凸は全く見られなかった。よこ糸は、僅かに蛇行して配向し、レピア織機を用いた比較例2よりは若干劣るものの、製品として問題になる程ではなかった。
(実施例2)
下記の点を変更した以外は、実施例1と同様にして炭素繊維織物を製織した。
・エアジェット織機として広幅機(筬入幅152cm)を用いた点
・サブノズルを24個とし、それらサブノズルの配置間隔を、よこ糸挿入側から順に70mm間隔で2つ、55mm間隔で10つ、50mm間隔で10つ、45mm間隔で4つ、となるようにして、よこ糸挿入側における最端部のサブノズルと隣り合うサブノズルとの間の距離よりも、反よこ糸挿入側における距離を短くした点
・よこ糸のガラスヤーンとしてガラスバルキーヤーン(ECE225 1/0 1.0Zのタズラン加工糸)を用い、それを実施例1と同じ共重合ナイロン糸でカバリングした点
・図6に示すように、押さえバー8bとして自由回転ロール(表面梨地加工)を用い、ヘルドに導入されるたて糸5cを部分的に開口しないように(押さえバー8bの位置までたて糸5cの糸道が揃うように、たて糸が開口をはじめる箇所(押さえバー8b)からヘルドまでのたて糸長D4がヘルド開口量の5倍となるように)抑制し織機に導いた点
・バネによる消極方式のイージング機構を用いた点
・加熱ローラーに加えて遠赤外線ヒーター2つと織物とを接触させずに織成後に加熱した点
かかる製織においても、たて糸ヘルド、筬での毛羽発生は実施例1よりも抑制されており、少なくとも300mは連続運転が可能であった。また、よこ糸の反よこ糸挿入側への到着タイミングが実施例1よりも安定しており、飛走性が安定していた。
製織した炭素繊維織物を所定長300mで一旦巻き取り、巻き取った炭素繊維織物を製品長である50mに分割して再度巻き取った。
得られた一方向性織物は、線状に共重合ナイロン糸が接着して目どめされており、取扱性に優れていた。また、たて糸同士の隙間が0.21mmであり、十分に隙間が開いているので、樹脂を含浸させた際の含浸性にも優れた。また、一方向性織物におけるたて糸の長さの差は0.07%、その変動係数は5%であり、床上に一方向織物を5m延反したところ、製品として問題になる程度の凹凸は全く見られなかった。よこ糸は実施例1と同様に、僅かながら蛇行して配向していたものの製品として問題になる程ではなかった。
(実施例3)
下記の点を変更した以外は、実施例1と同様にして炭素繊維織物を製織した。
・炭素繊維織物のたて糸密度を3.9本/cm、よこ糸密度を5本/cm、炭素繊維目付を315g/mにした点
・織成する炭素繊維織物のよこ糸挿入側および反よこ糸挿入側の端部に、炭素繊維織物(平織組織)と同じよこ糸にて別組織(絡織組織)を同時に織成するとともに、下流側で、よこ糸を別組織と炭素繊維織物との間で切断して別組織と炭素繊維織物とを分離し、分離された別組織の一部を、穴を有したガイドに通して、該ガイドを回転させ別組織に撚りを加えた点(すなわち、前記別組織を織成しながら前記別組織と炭素繊維織物との距離が広くなるように別組織を導くようにした点)
・織成する炭素繊維織物のよこ糸挿入側とは反対側に軸が屈曲している管状体を配置し、炭素繊維織物を織成するために挿入したよこ糸を、筬の表側から裏側に向かって吹き付けたエアによって該管状体の一方の開口から他方の開口へと通した点
・メインノズルを複数個設けた点(すなわちメインノズル12の上流側に補助メインノズルを配置した点)
かかる製織においては、実施例1と同様にたて糸ヘルド、筬での毛羽発生は抑制されており、少なくとも300mは連続運転が可能であった。また、よこ糸の反よこ糸挿入側への到着タイミングは、実施例2と同様に安定しており、飛走性が安定していた。
製織した炭素繊維織物を所定長300mで一旦巻き取り、巻き取った炭素繊維織物を製品長である50mに分割して再度巻き取った。
得られた一方向性織物は、線状に共重合ナイロン糸が接着して目どめされており、取扱性に優れた。たて糸同士の隙間は0.1mmであり、実施例1、2ほどではないが、隙間が開いているので樹脂を含浸させた際の含浸性は良好であった。また、一方向性織物におけるたて糸の長さの差は0.05%、その変動係数は4%であり、床上に一方向織物を5m延反したところ、製品として問題になる程度の凹凸は全く見られなかった。よこ糸、実施例1、2よりも蛇行が抑制されており、レピア織機を用いた比較例2と同レベルに、非常に真直に配向されていた。
(実施例4)
下記の点を変更した以外は、実施例3と同様にして炭素繊維織物を製織した。
・炭素繊維織物の織組織を平織に替えて2/2綾織組織とし、別組織を絡織に替えて平織組織とした点、
・前記別組織を織成した後に前記別組織と炭素繊維織物との距離が広くなるように別組織を導いた点
・屈曲した管状体に替えて直線上の管状体を、軸がよこ糸の飛走方向と交差するように筬の表側に配置し、炭素繊維織物を織成するために挿入したよこ糸に、管状体の出口に向かうエアを吹き付けて、該よこ糸を管状体の中へ通した点
・よこ糸挿入側によこ糸を通過させるガイドを配置し、そのガイド位置を筬打ごとによこ糸が引き戻される方向に移動させ、挿入したよこ糸によこ糸挿入側に引き戻す方向の力を付与した点
・よこ糸として、カバリング加工糸に替えてガラス繊維と共重合ナイロン糸(5.5tex、融点110℃)との紡績糸を用いた点
かかる製織においても、実施例3と同様にヘルド、筬での毛羽発生は抑制されており、少なくとも300mは連続運転が可能であった。また、よこ糸の反よこ糸挿入側への到着タイミングが実施例2、3と同様に安定しており、飛走性が安定していた。
製織した炭素繊維織物を所定長300mで一旦巻き取り、巻き取った炭素繊維織物を製品長である50mに分割して再度巻き取った。
得られた一方向性織物は、線状に共重合ナイロン糸が接着して目どめされており、取扱性に優れた。また、一方向性織物におけるたて糸の長さの差は0.07%、その変動係数は5%であり、床上に一方向織物を5m延反したところ、製品として問題になる程度の凹凸は全く見られなかった。よこ糸の蛇行は実施例3と同様に抑制されており、よこ糸が非常に真直に配向されていた。
(実施例5)
下記の点を変更した以外は、実施例1と同様にして炭素繊維織物を製織した。
・管状体に替えて、よこ糸が挿入されたことを検出する検出器からの信号と同期して運動するクランプ手段を設け、該クランプ手段で挿入したよこ糸を把持し、よこ糸に張力を付与した点
かかる製織においても、実施例1と同様にヘルド、筬での毛羽発生は抑制されており、少なくとも300mは連続運転が可能であった。また、よこ糸の反よこ糸挿入側への到着タイミングは実施例1と同様であり、飛走性として製織には問題ないレベルであった。
製織した炭素繊維織物を所定長300mで一旦巻き取り、巻き取った炭素繊維織物を製品長である50mに分割して再度巻き取った。
得られた一方向性織物は、線状に共重合ナイロン糸が接着して目どめされており、取扱性に優れていた。たて糸同士の隙間が0.1mmであり、実施例1、2ほどではないが、隙間が開いているので樹脂を含浸させた際の含浸性は良好であった。また、一方向性織物におけるたて糸の長さの差は0.07%、その変動係数は5%であり、床上に一方向織物を5m延反したしたところ、製品として問題になる程度の凹凸は全く見られなかった。よこ糸の蛇行は、実施例3、4と同レベルに抑制されており、よこ糸が非常に真直に配向されていた。
(実施例6)
下記の点を変更した以外は、実施例1と同様にして炭素繊維織物を製織した。
・押さえバー8aを用いず、ヘルドに導入されるたて糸の開口を部分的に抑制しないようにした点
かかる製織においても、ヘルド、筬での毛羽発生は実施例1に比べて若干多いものの製品として問題になる程度ではなく、少なくとも300mは連続運転が可能であった。また、よこ糸の反よこ糸挿入側への到着タイミングは実施例1と同様であり、飛走性として製織には問題ないレベルであった。
製織した炭素繊維織物を所定長300mで巻き取った。
得られた一方向性織物は、実施例1とほぼ同等のものであった。具体的には、線状に共重合ナイロン糸が接着して目どめされており、取扱性に優れた。また、たて糸同士の隙間が0.17mmであり、十分に隙間が開いているので、樹脂を含浸させた際の含浸性にも優れていた。また、一方向性織物におけるたて糸の長さの差は0.08%、その変動係数は4%であり、床上に一方向織物を5m延反したところ、製品として問題になる程度の凹凸は全く見られなかった。よこ糸は、僅かに蛇行して配向し、レピア織機を用いた比較例2よりは若干劣るものの、製品として問題になる程ではなかった。
(比較例1)
たて糸およびよこ糸に、繊度が200texの炭素繊維糸条(東レ製“トレカ(登録商標)”T300B−3K、JIS−R7601(1986)に準拠して測定された引張強度3,540MPa、撚数0ターン/m)を用いて、たて糸密度およびよこ糸密度が5本/cmである二方向性織物(炭素繊維目付200g/m)を、ウォータージェット織機にて製織した。製織は、0.8m/分(よこ糸打込400回/分)の速度で、ヘルドの開口量が80mmの条件で、消極方式のイージング機構を用い、押さえバーを用いずに、たて糸が開口をはじめる箇所からヘルドまでのたて糸長がヘルド開口量(80mm)の12倍で製織した。炭素繊維糸条は、各ボビンから解舒して引き揃えて、一旦整経してたて糸ビームを得、これを用いて製織を行った。
なお、織成後に引き続いて、熱源である4つのローラーと織物とを直接接触させることにより、炭素繊維糸条に付着した水分を乾燥させた。なお、この乾燥工程は、エアジェット織機では必要なく、ウォータージェット織機でのみ必須となる工程であった。
かかる製織において、よこ糸打込部、ヘルド、筬で毛羽が非常に多く発生し、停機しての毛羽除去なしに200m以上の連続運転は困難であった。また、たて糸に糸長差が生じ、得られた織物自体にも製品として問題になる程度の凹凸が発生していた。また、二方向性織物におけるたて糸の長さの差は0.3%、その変動係数は17%であった。
(比較例2)
実施例1と同じたて糸およびよこ糸を用い、同じたて糸密度およびよこ糸密度の一方向性織物を、レピア織機にて製織した。炭素繊維糸条は、各ボビンから解舒して引き揃えて、整経せずに筬入幅100cmにて織機に導いた。製織は、ヘルドの開口量85mm、ヘルドの開閉口におけるヘルド静止角度150°、筬打ストローク100mm、筬羽厚0.2mmでの条件で、イージング機構および押さえバーを用いずに、たて糸が開口をはじめる箇所からヘルドまでのたて糸長がヘルド開口量(80mm)の12倍となるようにして製織した。
その結果、0.6m/分(よこ糸打込180回/分)の速度でしか実施例1と同レベルの毛羽を抑制した製織ができなかった。また得られた一方向性織物は、線状に共重合ナイロン糸が接着して目どめされており、取扱性に優れていた。たて糸同士の隙間が0.15mmであり、十分に隙間が開いていたが、一方向性織物におけるたて糸の長さの差が0.21%、その変動係数が11%であった。また、床上に一方向織物を5m延反すると、高低差が5mm以上はある凹凸散在していた。なお、よこ糸の蛇行は抑制されており、非常によこ糸が真直に配向されていた。
以上の結果を表1にまとめる。
Figure 2007314926
以上説明したように、本発明の炭素繊維織物の製造方法では、織物の生産性(生産速度)を、エアジェット織機を用いることにより格段に高めることが可能となる。
得られた炭素繊維織物は、よこ糸が蛇行せずに真直に配列して、かつ、たて糸の長さの差およびたて糸の長さの変動係数が特定範囲の、品位の優れた織物となる。かかる炭素繊維織物は、一般産業分野、特に土木・建築分野に用いられる補修・補強用途の織物や、真空成形方法などでCFRPへ成形するための織物や、ホットメルト法などでプリプレグに後加工するための織物として好適である。
本発明で用い得るエアジェット織機における各種ノズルおよび管状体の位置関係を示す概略平面図である。 本発明で用い得るエアジェット織機における各種ノズルおよび管状体の別態様の位置関係を示す概略正面図である。 本発明で用い得るエアジェット織機におけるサブノズルと筬羽との位置関係を示す概略平面図である。 本発明で用い得るエアジェット織機におけるサブノズルと筬羽との位置関係を示す概略平面図である。 本発明で用い得るエアジェット織機での糸道の一例を示す概略断面図である。 本発明で用い得るエアジェット織機での糸道の別の一例を示す概略断面図である。 本発明における織成の一例を示す概略平面図である。
符号の説明
1 筬羽
1a 筬羽群
2、2a、2b、2c、2d、2e サブノズル
3 織物の長手方向に対する筬羽の中心線
4 織物の長手方向に対するサブノズルの中心線
5、5a、5b、5c たて糸
6 ヘルド
7 筬
8a、8b 押さえバー
9a、9b 押さえバーがない場合の糸道
10 エアジェット織機
11a、11b イージングロール
12 メインノズル
13 補助メインノズル
14 よこ糸
15a 屈曲した管状体
15b よこ糸の飛走方向と角度を有する方向に配置された管状体
16 ストレッチノズル
17 別組織のたて糸
18a、18b、18c 炭素繊維織物
19a、19b 別組織
19c 耳組織
A よこ糸挿入側
B 反よこ糸挿入側
D1 サブノズルの中心と筬羽の中心との織物の長手方向に対するズレ
D2 筬打ストローク量
D3 ヘルド開口量
D4 たて糸が開口をはじめる箇所からヘルドまでのたて糸長
L1、L2、L3 サブノズル同士の配置間隔

Claims (19)

  1. 繊度が400〜6,000texの炭素繊維糸条をたて糸とし、繊度が該炭素繊維糸条の1/5以下の補助繊維をよこ糸として製織する一方向性炭素繊維織物の製造方法であって、製織に際し、ヘルドの開閉口におけるヘルド静止角度が0〜50°の範囲内としたエアジェット織機を用いる、炭素繊維織物の製造方法。
  2. 前記炭素繊維織物のたて糸密度が1〜8本/cm、よこ糸密度が0.4〜8本/cmである、請求項1に記載の炭素繊維織物の製造方法。
  3. 織成する炭素繊維織物の少なくともよこ糸挿入側とは反対側の端部に、該炭素繊維織物を織成するよこ糸を用いて別組織を同時に織成するとともに、該別組織と前記炭素繊維織物との間でよこ糸を切断してそれら別組織と炭素繊維織物とを分離し、該別組織に撚りを加える、請求項1または2に記載の炭素繊維織物の製造方法。
  4. 穴を有したガイドに前記別組織を通し、該ガイドを回転させることで前記別組織に撚りを加える、請求項3に炭素繊維織物の製造方法。
  5. 前記別組織を織成しながら、または、織成した後に、該別組織と前記炭素繊維織物との距離が広くなるように該別組織を導く、請求項3または4に記載の炭素繊維織物の製造方法。
  6. 前記炭素繊維織物が平織、綾織または繻子織の組織であり、前記別組織が平織、からみ織またはそれらの組み合わせの組織である、請求項3〜5のいずれかに記載の炭素繊維織物の製造方法。
  7. 織成する炭素繊維織物のよこ糸挿入側とは反対側に、軸が該よこ糸の飛走方向と交差するように管状体を配置し、または、軸が屈曲している管状体を配置し、炭素繊維織物を織成するために挿入したよこ糸を該管状体の一方の開口から他方の開口へと通す、請求項1〜6のいずれかに記載の炭素繊維織物の製造方法。
  8. 前記エアジェット織機は、エアを噴射する1つのメインノズルおよび複数のサブノズルを有し、それぞれのサブノズルはよこ糸飛走方向に関して該メインノズルの下流側に織物幅2〜15cm当たり1つの間隔で配置され、かつ、よこ糸飛走方向に関して前記メインノズルの上流側に、エアを噴射する補助メインノズルを有し、それらノズルからエアを噴射してよこ糸を飛走させる、請求項1〜7のいずれかに記載の炭素繊維織物の製造方法。
  9. 前記エアジェット織機は、ヘルドの開口量が10〜75mmの範囲内である、請求項1〜8のいずれかに記載の炭素繊維織物の製造方法。
  10. ヘルドに導入されるたて糸の開口を少なくとも部分的に抑制する、請求項1〜9のいずれかに記載の炭素繊維織物の製造方法。
  11. 前記エアジェット織機は、エアを噴射する複数のサブノズルを有し、それぞれのサブノズルは、該サブノズルの中心と筬羽の中心とが織物の長手方向に平行な実質的に同一の直線上に存在するように配置される、請求項1〜10のいずれかに炭素繊維織物の製造方法。
  12. 前記エアジェット織機は、筬の筬羽厚が0.1〜2mmの範囲内である、請求項1〜11のいずれかに記載の炭素繊維織物の製造方法。
  13. 前記エアジェット織機は、筬打のストローク量が50〜150mmの範囲内である、請求項1〜12のいずれかに記載の炭素繊維織物の製造方法。
  14. 前記エアジェット織機は、エアを噴射する複数のサブノズルを有し、筬入幅が100〜350cmの範囲内であり、かつ、よこ糸挿入側における最端部のサブノズルとそれに隣り合うサブノズルとの間の距離よりも、よこ糸挿入側とは反対側における最端部のサブノズルとそれに隣り合うサブノズルとの間の距離の方が短い、請求項1〜13のいずれかに記載の炭素繊維織物の製造方法。
  15. 前記エアジェット織機は、筬入幅が100〜350cmの範囲内であり、かつ、該筬入幅の両端部以外の筬入幅内に耳組織を形成する、請求項1〜14のいずれかに記載の炭素繊維織物の製造方法。
  16. よこ糸が、ガラス繊維と有機繊維との紡績糸、ガラス繊維の紡績糸、有機繊維の紡績糸、ガラス繊維と有機繊維との交絡加工糸、ガラス繊維の交絡加工糸、および有機繊維の交絡加工糸からなる群から選ばれる少なくとも一種である、請求項1〜15のいずれかに記載の炭素繊維織物の製造方法。
  17. よこ糸が、ガラス繊維を芯糸として有機繊維のフィラメント糸をカバリングしたカバリング糸である、請求項1〜16のいずれかに記載の炭素繊維織物の製造方法。
  18. 製織した炭素繊維織物を所定長L1で一旦巻き取り、巻き取った炭素繊維織物を所定長L1の半分以下である製品長L2に分割して再度巻き取る、請求項1〜17のいずれかに記載の炭素繊維織物の製造方法。
  19. たて糸である炭素繊維糸条は、各ボビンから解舒して引き揃えられ、直接エアジェット織機に導かれる、請求項1〜18のいずれかに記載の炭素繊維織物の製造方法。
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