JP5019942B2 - 炭素繊維織物の製造方法 - Google Patents
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Description
(1)シャトル織機またはレピア織機を用いた場合、シャトルやレピアによる、よこ糸挿入運動に物理的な速度の上限が存在すること。
(2)よこ糸の挿入に関して、高回転での製織時に、シャトルやレピアとたて糸とが直接接触することにより擦過して、炭素繊維糸条が容易に毛羽立つこと。
(3)たて糸の供給に関して、高回転での製織時に、隣り合うたて糸同士が、たて糸の開口運動により擦過して、炭素繊維糸条が容易に毛羽立つこと。
(1)炭素繊維糸条をたて糸およびよこ糸に用いた二方向性織物の場合、用いる織機および製織条件によっては、よこ糸の挿入に関して、高回転での製織時に、たて糸とよこ糸とが直接接触することにより擦過して、炭素繊維糸条が容易に毛羽立つこと。
(1)炭素繊維糸条の破断伸度が低いため、容易に毛羽立つこと。
(1)繊度が400〜6,000texの炭素繊維糸条をたて糸とし、繊度が該炭素繊維糸条の1/5以下の補助繊維をよこ糸として製織する一方向性炭素繊維織物の製造方法であって、製織に際し、ヘルドの開閉口におけるヘルド静止角度が0〜50°の範囲内としたエアジェット織機を用い、かつ、織成する炭素繊維織物の少なくともよこ糸挿入側とは反対側の端部に、該炭素繊維織物を織成するよこ糸を用いて別組織を同時に織成するとともに、該別組織と前記炭素繊維織物との間でよこ糸を切断してそれら別組織と炭素繊維織物とを分離し、前記別組織を織成しながらまたは織成した後に、該別組織と前記炭素繊維織物との距離が広くなるように該別組織を導いてよこ糸に張力を付与する、炭素繊維織物の製造方法。
(2)織成する炭素繊維織物のよこ糸挿入側とは反対側に、軸が該よこ糸の飛走方向と交差するように管状体を配置し、または、軸が屈曲している管状体を配置し、炭素繊維織物を織成するために挿入したよこ糸を該管状体の一方の開口から他方の開口へと通す、前記
(3)前記炭素繊維織物のたて糸密度が1〜8本/cm、よこ糸密度が0.4〜8本/cmである、前記1または2に記載の炭素繊維織物の製造方法。
(4)炭素繊維織物と分離した別組織に撚りを加える、前記(1)〜(3)のいずれかに記載の炭素繊維織物の製造方法。
(5)穴を有したガイドに前記別組織を通し、該ガイドを回転させることで前記別組織に撚りを加える、前記(4)に炭素繊維織物の製造方法。
(6)前記炭素繊維織物が平織、綾織または繻子織の組織であり、前記別組織が平織、からみ織またはそれらの組み合わせの組織である、前記(3)〜(5)のいずれかに記載の炭素繊維織物の製造方法。
(7)前記エアジェット織機は、エアを噴射する複数のサブノズルを有し、筬入幅が100〜350cmの範囲内であり、エアを噴射する1つのメインノズルおよび複数のサブノズルを有し、それぞれのサブノズルはよこ糸飛走方向に関して該メインノズルの下流側に織物幅2〜15cm当たり1つの間隔で配置され、よこ糸挿入側における最端部のサブノズルとそれに隣り合うサブノズルとの間の距離よりも、よこ糸挿入側とは反対側における最端部のサブノズルとそれに隣り合うサブノズルとの間の距離の方が短く、かつ、よこ糸飛走方向に関して前記メインノズルの上流側に、エアを噴射する補助メインノズルを有し、それらノズルからエアを噴射してよこ糸を飛走させる、前記(1)〜(6)のいずれかに記載の炭素繊維織物の製造方法。
(8)前記エアジェット織機は、ヘルドの開口量が10〜75mmの範囲内である、前記(1)〜(7)のいずれかに記載の炭素繊維織物の製造方法。
(9)ヘルドに導入されるたて糸の開口を少なくとも部分的に抑制する、前記(1)〜(8)のいずれかに記載の炭素繊維織物の製造方法。
(10)前記エアジェット織機は、エアを噴射する複数のサブノズルを有し、それぞれのサブノズルは、該サブノズルの中心と筬羽の中心とが織物の長手方向に平行な実質的に同一の直線上に存在するように配置され、かつ、筬の筬羽厚が0.1〜2mmの範囲内である、前記(1)〜(9)のいずれかに炭素繊維織物の製造方法。
(11)前記エアジェット織機は、筬打のストローク量が50〜150mmの範囲内である、前記(1)〜(10)のいずれかに記載の炭素繊維織物の製造方法。
(12)前記エアジェット織機は、筬入幅が100〜350cmの範囲内であり、かつ、該筬入幅の両端部以外の筬入幅内に耳組織を形成する、前記(1)〜(11)のいずれかに記載の炭素繊維織物の製造方法。
(13)よこ糸が、ガラス繊維と有機繊維との紡績糸、ガラス繊維の紡績糸、有機繊維の紡績糸、ガラス繊維と有機繊維との交絡加工糸、ガラス繊維の交絡加工糸、および有機繊維の交絡加工糸からなる群から選ばれる少なくとも一種である、前記(1)〜(12)のいずれかに記載の炭素繊維織物の製造方法。
(14)よこ糸が、ガラス繊維を芯糸として有機繊維のフィラメント糸をカバリングしたカバリング糸である、前記(1)〜(13)のいずれかに記載の炭素繊維織物の製造方法。
(15)製織した炭素繊維織物を所定長L1で一旦巻き取り、巻き取った炭素繊維織物を所定長L1の半分以下である製品長L2に分割して再度巻き取る、前記(1)〜(14)のいずれかに記載の炭素繊維織物の製造方法。
(16)たて糸である炭素繊維糸条は、各ボビンから解舒して引き揃えられ、直接エアジェット織機に導かれる、前記(1)〜(15)のいずれかに記載の炭素繊維織物の製造方法。
(1)シャトル織機またはレピア織機を用いた場合、シャトルやレピアによる、よこ糸挿入運動に物理的な速度の上限が存在する、
(2)よこ糸の挿入に関して、高回転での製織時に、シャトルやレピアとたて糸とが直接接触することにより擦過して、炭素繊維糸条が容易に毛羽立つ、
という問題(前記A(1)、(2)項の問題)があった。しかしながら、エアジェット織機を用いることにより、シャトルやレピアなどの物理的な速度の影響を受けず、また、たて糸とシャトルやレピアなどとの擦過が本質的に発生しない。ここでウォータージェット織機を用いると、織糸である炭素繊維糸条に予め付着されているサイジング剤(多くは水溶性の樹脂組成物)の脱落・付着量のムラが発生する懸念があり、かつ、織物を後から乾燥させる工程が必要となる問題がある。
(a)炭素繊維織物が弛まないように5500mmを延反して無張力下で静置する。
(b)測定基準として、延反した織物の長手方向と垂直に1箇所切断する。
(c)測定基準から、織物幅方向の両端部のたて糸それぞれに関して5000mmを測長し、その箇所を結んだ線で切断する。測長にあたっては、織物が弛まないように延反して無張力下で静置して5000mmを長尺メジャーで測長する。
(d)織物を分解しながら、織物全幅に渡りたて糸を5本おきに順に抜き取る。
(e)抜き取ったたて糸長さを0.1mmの桁までそれぞれ測長する。測長にあたっては、たて糸が蛇行しないように手で引っ張る程度の張力をかけながら長尺メジャーで測長する。
(f)測長したたて糸長さの最大値と最小値との差を算出する。算出した差を5000mmで除して100を乗じた値をたて糸の長さの差とする(単位は%)。
(g)測長したたて糸長さの全ての値の標準偏差および平均値を算出する。算出した標準偏差を平均値で除して100を乗じた値を変動係数とする(単位は%)。
本発明で製造する炭素繊維織物においては、たて糸密度が1〜8本/cm、よこ糸密度が0.4〜8本/cmであるのが好ましい。より好ましくはたて糸密度が2〜6本/cm、よこ糸密度が1〜6本/cm、更に好ましくはたて糸密度が3〜5本/cm、よこ糸密度が2〜5本/cmの範囲であるのが好ましい。たて糸密度が小さすぎると、炭素繊維織物の形態安定性に劣るだけでなく、たて糸の隙間が大きくなりすぎ、エアジェット織機のよこ糸挿入効率があまりにも低下し過ぎる場合がある。一方、たて糸密度が大きすぎると、前記A項(3)に記載の通り、炭素繊維糸条の擦過による毛羽が多くなり、炭素繊維織物の品位を損なう場合がある。また、よこ糸密度が小さすぎると、炭素繊維織物の形態安定性に劣り、得られる織物の取扱性に劣りやすい。一方、よこ糸密度が大きすぎると、炭素繊維織物の製造速度を高速にすることが困難に場合があるだけでなく、よこ糸の蛇行を抑制しきれない場合がある。
エアジェット織機の筬入幅が上記範囲内のような広幅である場合、筬入幅の両端部以外の筬入幅内に耳組織19cを形成して、複数幅の炭素繊維織物18a、18b・・・を得るのが好ましい。一般的には筬入幅の両端部のみに耳組織を形成して1巾の炭素繊維織物を得るが、両端部以外の筬入幅内にも耳組織19c・・・を形成して、2巾以上の炭素繊維織物18a、18b・・・を同時に得ると、より一層生産性が向上できる。より好ましくは、2〜12巾、更に好ましくは3〜7巾の範囲内である。12巾を越えると、筬入幅内に耳組織を形成するための装置(例えば、耳組装置、デュープヘルド、“クロッカー”ヘルドなど)などが多く必要となり、高速化の妨げになるだけでなく、装置配置上の制約を受ける場合もある。
ところで、従来、炭素繊維織物の製造に用いられていたシャトル織機やレピア織機では、よこ糸を直接引っ張って挿入するためよこ糸自体に張力を付与することができ、本発明の課題であるよこ糸の蛇行に関する問題は比較的顕在化し難いが、よこ糸の挿入においてよこ糸に直接張力を付与できないエアジェット織機においては、かかる問題が顕在化しやすい。しかしながら、本発明においては、織成前および/または織成後によこ糸に張力を付与することにより、かかる課題を解決することが好ましい。以下に、図7を参照しながら詳細に説明する。
まず、織成する炭素繊維織物の、少なくとも反よこ糸挿入側Bの端部に、炭素繊維織物を構成するよこ糸と同じよこ糸14にて別組織19bを同時に織成する。このとき、織成された炭素繊維織物や別組織19は、連続的に下流側へと搬送されるが、下流側では、別組織19bと炭素繊維織物18bとの間でよこ糸を切断して、搬送中の別組織と炭素繊維織物とを部分的に分離し、別組織に撚りを加える。もちろん、反よこ糸挿入側Bと同様に、よこ糸挿入側Aの端部に、炭素繊維織物と同じよこ糸14にて別組織19aを同時に織成し、さらには、筬入幅の両端部以外の筬入幅内に別組織を織成し、それら別組織に撚りを加えてもよい。かかる別組織19a、19b・・・を加撚することにより、炭素繊維織物18a、18b、18c・・・中に織成されたよこ糸14に張力を加えることができ、よこ糸が真直に配列している品位に優れた炭素繊維織物をさらに容易に得ることができる。
少なくとも300mの連続運転が可能か否かで判断した。
A:300m以上の連続運転が可能
B:300m以上の連続運転が不可能
(発生毛羽)
製織時のヘルド、筬に引っかかったたて糸の毛羽発生の量を、比較例1のときの量を基準に目視で判断した。
A:比較例1のときの量よりも極めて少ない
B:比較例1のときの量よりも少ない
C:比較例1のときの量
(よこ糸飛走性)
製織時のよこ糸の毛羽発生の量を、比較例1のときの量を基準に目視で判断した。
A:比較例1のときの量よりも極めて少ない
B:比較例1のときの量よりも少ない
C:比較例1のときの量
(織物取扱性)
織物を15cmの正方形にハサミで切り出した際の、目ズレと解れ性を目視確認した。
A:製品として無視できるほどの目ズレ、解れ
(織物におけるたて糸長さ差およびたて糸長さ変動係数)
次の手順で測定した。
(a)炭素繊維織物が弛まないように5500mmを延反して無張力下で静置する。
(b)測定基準として、延反した織物の長手方向と垂直に1箇所切断する。
(c)測定基準から、織物幅方向の両端部のたて糸それぞれに関して5000mmを測長し、その箇所を結んだ線で切断する。測長にあたっては、織物が弛まないように延反して無張力下で静置して5000mmを長尺メジャーで測長する。
(d)織物を分解しながら、織物全幅に渡りたて糸を5本おきに順に抜き取る。
(e)抜き取ったたて糸長さを0.1mmの桁までそれぞれ測長する。測長にあたっては、たて糸が蛇行しないように手で引っ張る程度の張力をかけながら長尺メジャーで測長する。
(f)測長したたて糸長さの最大値と最小値との差を算出する。算出した差を5000mmで除して100を乗じた値をたて糸の長さの差とする(単位は%)。
(g)測長したたて糸長さの全ての値の標準偏差および平均値を算出する。算出した標準偏差を平均値で除して100を乗じた値を変動係数とする(単位は%)。
次の手順で測定した。
(h)炭素繊維織物から15cm長を切り出す。
(i)切り出した織物を光学顕微鏡で観察して、織物全幅にわたって、たて糸同士の隙間の距離を順に0.01mmの桁まで測定し、それらの値の平均値を算出する。
2枚重ねた一方向性織物の上面に常温硬化型エポキシ樹脂(東レ(株)製TSレジン(S))を垂らして、ハンドレイアップ法で含浸させた際の裏面への含浸性を目視で確認した。
A:樹脂が速やかに含浸
B:Aより遅いが、製品として用いることができる程度の時間で樹脂が含浸
(織物の凹凸)
床上に一方向織物を5m延反して目視確認した。製品として無視できないほどの凹凸(高低差が3mm程度以上の凹凸)の有無で判断した。
A:製品として無視できないほどの凹凸なし
B:製品として無視できないほどの凹凸(高低差が3mm程度以上の凹凸)あり
(織物におけるよこ糸の蛇行)
A:比較例2、もしくは、比較例2と同等の真直性
B:比較例2のときの真直性よりも若干劣るが、製品として無視できるほどの蛇行
(参考例1)
以下のたて糸、よこ糸を用いて、たて糸密度が2.5本/cm、よこ糸密度が3本/cmである一方向性織物(平織組織、炭素繊維目付200g/m2)を、エアジェット織機(津田駒工業(株)製ZA100)にて1.1m/分の速度で製織した。
よこ糸:ガラスヤーン(ECE225 1/0 1.0Z)に、共重合ナイロン糸(5.5tex、融点110℃)を250ターン/mにてカバリングしたもの(繊度28tex)
炭素繊維糸条(たて糸)は、各ボビンから解舒して引き揃えて、整経せずに直接筬入幅127cmにて織機に導いた。たて糸が開口をはじめる箇所からヘルドまでのたて糸長は、ヘルド開口量の12倍とした。また、図5に示すように、押さえバー8aとして自由回転ロール(表面梨地加工)を用い、ヘルドに導入されるたて糸の開口を部分的に抑制するようにした。(本来押さえバー8aがない場合の糸道9aよりも、該押さえバー8aを配置することにより抑制されたたて糸5cの開口量(鉛直方向の長さ)が、該押さえバー8aの位置において5cm小さくした)。
下記の点を変更した以外は、参考例1と同様にして炭素繊維織物を製織した。
・エアジェット織機として広幅機(筬入幅152cm)を用いた点
・サブノズルを24個とし、それらサブノズルの配置間隔を、よこ糸挿入側から順に70mm間隔で2つ、55mm間隔で10つ、50mm間隔で10つ、45mm間隔で4つ、となるようにして、よこ糸挿入側における最端部のサブノズルと隣り合うサブノズルとの間の距離よりも、反よこ糸挿入側における距離を短くした点
・よこ糸のガラスヤーンとしてガラスバルキーヤーン(ECE225 1/0 1.0Zのタズラン加工糸)を用い、それを参考例1と同じ共重合ナイロン糸でカバリングした点
・図6に示すように、押さえバー8bとして自由回転ロール(表面梨地加工)を用い、ヘルドに導入されるたて糸5cを部分的に開口しないように(押さえバー8bの位置までたて糸5cの糸道が揃うように、たて糸が開口をはじめる箇所(押さえバー8b)からヘルドまでのたて糸長D4がヘルド開口量の5倍となるように)抑制し織機に導いた点
・バネによる消極方式のイージング機構を用いた点
・加熱ローラーに加えて遠赤外線ヒーター2つと織物とを接触させずに織成後に加熱した点
かかる製織においても、たて糸ヘルド、筬での毛羽発生は参考例1よりも抑制されており、少なくとも300mは連続運転が可能であった。また、よこ糸の反よこ糸挿入側への到着タイミングが参考例1よりも安定しており、飛走性が安定していた。
製織した炭素繊維織物を所定長300mで一旦巻き取り、巻き取った炭素繊維織物を製品長である50mに分割して再度巻き取った。
下記の点を変更した以外は、参考例1と同様にして炭素繊維織物を製織した。
・炭素繊維織物のたて糸密度を3.9本/cm、よこ糸密度を5本/cm、炭素繊維目付を315g/m2にした点
・織成する炭素繊維織物のよこ糸挿入側および反よこ糸挿入側の端部に、炭素繊維織物(平織組織)と同じよこ糸にて別組織(絡織組織)を同時に織成するとともに、下流側で、よこ糸を別組織と炭素繊維織物との間で切断して別組織と炭素繊維織物とを分離し、分離された別組織の一部を、穴を有したガイドに通して、該ガイドを回転させ別組織に撚りを加えた点(すなわち、前記別組織を織成しながら前記別組織と炭素繊維織物との距離が広くなるように別組織を導くようにした点)
・織成する炭素繊維織物のよこ糸挿入側とは反対側に軸が屈曲している管状体を配置し、炭素繊維織物を織成するために挿入したよこ糸を、筬の表側から裏側に向かって吹き付けたエアによって該管状体の一方の開口から他方の開口へと通した点
・メインノズルを複数個設けた点(すなわちメインノズル12の上流側に補助メインノズルを配置した点)
かかる製織においては、参考例1と同様にたて糸ヘルド、筬での毛羽発生は抑制されており、少なくとも300mは連続運転が可能であった。また、よこ糸の反よこ糸挿入側への到着タイミングは、参考例2と同様に安定しており、飛走性が安定していた。
下記の点を変更した以外は、実施例1と同様にして炭素繊維織物を製織した。
・炭素繊維織物の織組織を平織に替えて2/2綾織組織とし、別組織を絡織に替えて平織組織とした点、
・前記別組織を織成した後に前記別組織と炭素繊維織物との距離が広くなるように別組織を導いた点
・屈曲した管状体に替えて直線上の管状体を、軸がよこ糸の飛走方向と交差するように筬の表側に配置し、炭素繊維織物を織成するために挿入したよこ糸に、管状体の出口に向かうエアを吹き付けて、該よこ糸を管状体の中へ通した点
・よこ糸挿入側によこ糸を通過させるガイドを配置し、そのガイド位置を筬打ごとによこ糸が引き戻される方向に移動させ、挿入したよこ糸によこ糸挿入側に引き戻す方向の力を付与した点
・よこ糸として、カバリング加工糸に替えてガラス繊維と共重合ナイロン糸(5.5tex、融点110℃)との紡績糸を用いた点
かかる製織においても、実施例1と同様にヘルド、筬での毛羽発生は抑制されており、少なくとも300mは連続運転が可能であった。また、よこ糸の反よこ糸挿入側への到着タイミングが参考例2、実施例1と同様に安定しており、飛走性が安定していた。
下記の点を変更した以外は、参考例1と同様にして炭素繊維織物を製織した。
・管状体に替えて、よこ糸が挿入されたことを検出する検出器からの信号と同期して運動するクランプ手段を設け、該クランプ手段で挿入したよこ糸を把持し、よこ糸に張力を付与した点
かかる製織においても、参考例1と同様にヘルド、筬での毛羽発生は抑制されており、少なくとも300mは連続運転が可能であった。また、よこ糸の反よこ糸挿入側への到着タイミングは参考例1と同様であり、飛走性として製織には問題ないレベルであった。
下記の点を変更した以外は、参考例1と同様にして炭素繊維織物を製織した。
・押さえバー8aを用いず、ヘルドに導入されるたて糸の開口を部分的に抑制しないようにした点
かかる製織においても、ヘルド、筬での毛羽発生は参考例1に比べて若干多いものの製品として問題になる程度ではなく、少なくとも300mは連続運転が可能であった。また、よこ糸の反よこ糸挿入側への到着タイミングは参考例1と同様であり、飛走性として製織には問題ないレベルであった。
たて糸およびよこ糸に、繊度が200texの炭素繊維糸条(東レ製“トレカ(登録商標)”T300B−3K、JIS−R7601(1986)に準拠して測定された引張強度3,540MPa、撚数0ターン/m)を用いて、たて糸密度およびよこ糸密度が5本/cmである二方向性織物(炭素繊維目付200g/m2)を、ウォータージェット織機にて製織した。製織は、0.8m/分(よこ糸打込400回/分)の速度で、ヘルドの開口量が80mmの条件で、消極方式のイージング機構を用い、押さえバーを用いずに、たて糸が開口をはじめる箇所からヘルドまでのたて糸長がヘルド開口量(80mm)の12倍で製織した。炭素繊維糸条は、各ボビンから解舒して引き揃えて、一旦整経してたて糸ビームを得、これを用いて製織を行った。
参考例1と同じたて糸およびよこ糸を用い、同じたて糸密度およびよこ糸密度の一方向性織物を、レピア織機にて製織した。炭素繊維糸条は、各ボビンから解舒して引き揃えて、整経せずに筬入幅100cmにて織機に導いた。製織は、ヘルドの開口量85mm、ヘルドの開閉口におけるヘルド静止角度150°、筬打ストローク100mm、筬羽厚0.2mmでの条件で、イージング機構および押さえバーを用いずに、たて糸が開口をはじめる箇所からヘルドまでのたて糸長がヘルド開口量(80mm)の12倍となるようにして製織した。
1a 筬羽群
2、2a、2b、2c、2d、2e サブノズル
3 織物の長手方向に対する筬羽の中心線
4 織物の長手方向に対するサブノズルの中心線
5、5a、5b、5c たて糸
6 ヘルド
7 筬
8a、8b 押さえバー
9a、9b 押さえバーがない場合の糸道
10 エアジェット織機
11a、11b イージングロール
12 メインノズル
13 補助メインノズル
14 よこ糸
15a 屈曲した管状体
15b よこ糸の飛走方向と角度を有する方向に配置された管状体
16 ストレッチノズル
17 別組織のたて糸
18a、18b、18c 炭素繊維織物
19a、19b 別組織
19c 耳組織
A よこ糸挿入側
B 反よこ糸挿入側
D1 サブノズルの中心と筬羽の中心との織物の長手方向に対するズレ
D2 筬打ストローク量
D3 ヘルド開口量
D4 たて糸が開口をはじめる箇所からヘルドまでのたて糸長
L1、L2、L3 サブノズル同士の配置間隔
Claims (16)
- 繊度が400〜6,000texの炭素繊維糸条をたて糸とし、繊度が該炭素繊維糸条の1/5以下の補助繊維をよこ糸として製織する一方向性炭素繊維織物の製造方法であって、製織に際し、ヘルドの開閉口におけるヘルド静止角度が0〜50°の範囲内としたエアジェット織機を用い、かつ、織成する炭素繊維織物の少なくともよこ糸挿入側とは反対側の端部に、該炭素繊維織物を織成するよこ糸を用いて別組織を同時に織成するとともに、該別組織と前記炭素繊維織物との間でよこ糸を切断してそれら別組織と炭素繊維織物とを分離し、前記別組織を織成しながらまたは織成した後に、該別組織と前記炭素繊維織物との距離が広くなるように該別組織を導いてよこ糸に張力を付与する、炭素繊維織物の製造方法。
- 織成する炭素繊維織物のよこ糸挿入側とは反対側に、軸が該よこ糸の飛走方向と交差するように管状体を配置し、または、軸が屈曲している管状体を配置し、炭素繊維織物を織成するために挿入したよこ糸を該管状体の一方の開口から他方の開口へと通す、請求項1に記載の炭素繊維織物の製造方法。
- 前記炭素繊維織物のたて糸密度が1〜8本/cm、よこ糸密度が0.4〜8本/cmである、請求項または2記載の炭素繊維織物の製造方法。
- 炭素繊維織物と分離した別組織に撚りを加える、請求項1〜3のいずれかに記載の炭素繊維織物の製造方法。
- 穴を有したガイドに前記別組織を通し、該ガイドを回転させることで前記別組織に撚りを加える、請求項4に炭素繊維織物の製造方法。
- 前記炭素繊維織物が平織、綾織または繻子織の組織であり、前記別組織が平織、からみ織またはそれらの組み合わせの組織である、請求項3〜5のいずれかに記載の炭素繊維織物の製造方法。
- 前記エアジェット織機は、エアを噴射する複数のサブノズルを有し、筬入幅が100〜350cmの範囲内であり、エアを噴射する1つのメインノズルおよび複数のサブノズルを有し、それぞれのサブノズルはよこ糸飛走方向に関して該メインノズルの下流側に織物幅2〜15cm当たり1つの間隔で配置され、よこ糸挿入側における最端部のサブノズルとそれに隣り合うサブノズルとの間の距離よりも、よこ糸挿入側とは反対側における最端部のサブノズルとそれに隣り合うサブノズルとの間の距離の方が短く、かつ、よこ糸飛走方向に関して前記メインノズルの上流側に、エアを噴射する補助メインノズルを有し、それらノズルからエアを噴射してよこ糸を飛走させる、請求項1〜6のいずれかに記載の炭素繊維織物の製造方法。
- 前記エアジェット織機は、ヘルドの開口量が10〜75mmの範囲内である、請求項1〜7のいずれかに記載の炭素繊維織物の製造方法。
- ヘルドに導入されるたて糸の開口を少なくとも部分的に抑制する、請求項1〜8のいずれかに記載の炭素繊維織物の製造方法。
- 前記エアジェット織機は、エアを噴射する複数のサブノズルを有し、それぞれのサブノズルは、該サブノズルの中心と筬羽の中心とが織物の長手方向に平行な実質的に同一の直線上に存在するように配置され、かつ、筬の筬羽厚が0.1〜2mmの範囲内である、請求項1〜9のいずれかに炭素繊維織物の製造方法。
- 前記エアジェット織機は、筬打のストローク量が50〜150mmの範囲内である、請求項1〜10のいずれかに記載の炭素繊維織物の製造方法。
- 前記エアジェット織機は、筬入幅が100〜350cmの範囲内であり、かつ、該筬入幅の両端部以外の筬入幅内に耳組織を形成する、請求項1〜11のいずれかに記載の炭素繊維織物の製造方法。
- よこ糸が、ガラス繊維と有機繊維との紡績糸、ガラス繊維の紡績糸、有機繊維の紡績糸、ガラス繊維と有機繊維との交絡加工糸、ガラス繊維の交絡加工糸、および有機繊維の交絡加工糸からなる群から選ばれる少なくとも一種である、請求項1〜12のいずれかに記載の炭素繊維織物の製造方法。
- よこ糸が、ガラス繊維を芯糸として有機繊維のフィラメント糸をカバリングしたカバリング糸である、請求項1〜13のいずれかに記載の炭素繊維織物の製造方法。
- 製織した炭素繊維織物を所定長L1で一旦巻き取り、巻き取った炭素繊維織物を所定長L1の半分以下である製品長L2に分割して再度巻き取る、請求項1〜14のいずれかに記載の炭素繊維織物の製造方法。
- たて糸である炭素繊維糸条は、各ボビンから解舒して引き揃えられ、直接エアジェット織機に導かれる、請求項1〜15のいずれかに記載の炭素繊維織物の製造方法。
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