JPH111839A - 扁平糸織物とその製造方法 - Google Patents

扁平糸織物とその製造方法

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JPH111839A
JPH111839A JP10182906A JP18290698A JPH111839A JP H111839 A JPH111839 A JP H111839A JP 10182906 A JP10182906 A JP 10182906A JP 18290698 A JP18290698 A JP 18290698A JP H111839 A JPH111839 A JP H111839A
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yarn
flat
woven fabric
carbon fiber
weft
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JP10182906A
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Akira Nishimura
明 西村
Kiyoshi Honma
清 本間
Ikuo Horibe
郁夫 堀部
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Original Assignee
Toray Industries Inc
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    • D03WEAVING
    • D03DWOVEN FABRICS; METHODS OF WEAVING; LOOMS
    • D03D41/00Looms not otherwise provided for, e.g. for weaving chenille yarn; Details peculiar to these looms
    • D03D41/008Looms for weaving flat yarns

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  • Moulding By Coating Moulds (AREA)
  • Yarns And Mechanical Finishing Of Yarns Or Ropes (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 太い繊維からなる扁平糸であっても、その扁
平状態が維持されたFRP用の補強基材として、安価で
高い強度特性を発揮し得る扁平糸織物とその製造方法を
提供する。 【解決手段】 繊維単糸数が3000〜24000本で
ある太い無撚りの炭素繊維扁平糸条をたて糸Twrおよび
よこ糸Twfとして用いて製織されてなり、たて糸および
よこ糸は、織られた状態で無撚りで捻れがなく扁平状態
が潰されておらず、かつ、その糸幅と実質的に同等の織
り糸間隔で配列されてなる扁平糸織物とその製造方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、繊維複合材料として優
れた特性を発揮する扁平糸織物並びにその製造方法に関
するものである。さらに詳しくは扁平状の炭素繊維糸を
用いた薄くて繊維密度の均一な扁平糸織物並びにその製
造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】比弾性率が大きく、かつ、比強度が大き
い炭素繊維からなる炭素繊維織物は、通常、一般のシャ
トル織機やレピア織機により製織されており、合成樹脂
と複合して所定形状に成形することにより炭素繊維強化
プラスチック(以下、「CFRP」という)等の複合材
料用補強基材として多用されている。
【0003】このような複合材料用補強基材として、例
えば、CFRPは、その優れた性能を生かして航空機の
構造材等に使われ始めているが、さらにCFRPの使用
範囲を拡大させるためには、成形のみならず炭素繊維や
炭素繊維織物等の中間基材のコストダウンが大きな課題
である。
【0004】さて、炭素繊維は、繊維が太くなり繊度が
大きくなるほどプリカーサおよび耐炎化工程や焼成工程
での生産性が向上し、安価な炭素繊維糸を製造すること
が可能となる。
【0005】しかし、通常の炭素繊維織物は、ほぼ円形
断面に収束させた炭素繊維糸を織糸として織物にしてい
るので、織り込まれた状態においては、たて糸とよこ糸
が交錯する交錯部における炭素繊維糸の断面が楕円形
で、織糸が大きくクリンプしている。特に、太い炭素繊
維糸を使用した炭素繊維織物では、太いよこ糸と太いた
て糸が交錯しているのでこの傾向が大である。
【0006】このため、織糸たる炭素繊維糸が大きくク
リンプした炭素繊維織物では、繊維密度が不均一となっ
て炭素繊維の特徴である高強度特性が充分に発揮できな
い。また、太い炭素繊維糸を使用した炭素繊維織物は、
一般に、織物目付や厚みが大きくなるため、プリプレグ
や繊維強化プラスチック(以下、「FRP」という)を
成形するときの樹脂含浸性が悪くなる。
【0007】従って、太い炭素繊維糸を使用した炭素繊
維織物を用いて得られるCFRPは、樹脂中に存在する
ボイドが多くなり高い強度特性が期待できない。
【0008】一方、太い炭素繊維糸を使用した目付の小
さい炭素繊維織物では、炭素繊維糸間に形成される空隙
が大きくなる。このため、目付の小さい炭素繊維織物を
用いてCFRPを成形すると、炭素繊維糸の含有率が低
く、炭素繊維糸間に形成される空隙部分に樹脂のボイド
が集中的に発生し、高性能なCFRPが得られなくなる
という欠点があった。
【0009】このような欠点に対して、特開昭58−1912
44号公報に、薄くて幅の広い扁平な炭素繊維糸を織っ
た、厚みが0.09mm以下で、目付が85g/m2以下の薄
地織物とその製造法が開示されている。この薄地織物
は、厚みが非常に薄いために、織糸のクリンプが小さ
く、高い補強効果を発揮し、薄いCFRPの成形には優
れた基材である。
【0010】このように扁平な炭素繊維糸を用いた炭素
繊維織物の製織方法は、炭素繊維糸が必要本数巻かれた
たて糸ビーム、またはクリールに仕掛けられた炭素繊維
糸ボビンから供給されるたて糸シートを綜絖により順次
開口させ、その開口にシャトルまたはレピアでよこ糸を
挿入させるものである。
【0011】たて糸に関しては、ビーム供給とボビンか
ら直接供給する方法があるが、どちらにしても炭素繊維
糸ボビンをゆっくり回転させながら解舒させる横取り解
舒、あるいはボビンの軸方向に解舒させる縦取り解舒の
2つの方法が採られている。
【0012】また、よこ糸に関しては、供給速度がたて
糸に比べて一段と速いため、繊維糸ボビンから縦取り解
舒させる方法しかない。扁平糸に撚が掛からないようよ
こ糸を横取り解舒させる方法として、特開平2−746
45号公報には、ボビンをモーターで積極的に回転さ
せ、重力を利用してよこ糸挿入に必要な長さを貯溜させ
る方法が提案されている。
【0013】
【発明が解決しようとする課題】ところで、たて糸に関
し、扁平糸が巻かれたボビンを縦取り解舒させるとボビ
ンが一周する毎に1回の撚が掛かり、扁平状態が潰され
て部分的に収束してしまう問題がある。一方、横取り解
舒させて撚が掛からないように供給しても、たて糸密度
を揃えるコームならびに綜絖のメールによって扁平状態
が潰されてしまい糸幅が均一に拡がった織物が得られな
い。
【0014】また、よこ糸に関しては、特開平2−74
645号公報に開示された方法によると、横取り解舒さ
せるのでよこ糸に撚が掛かることはないが、積極的にボ
ビンを回転させる方式では巻量によって解舒速度が異な
るため、起動・停止が頻繁に起こり、特に停止動作の遅
れによる弛みで扁平糸が捩じれてしまうという問題が起
こる。
【0015】しかも、たて糸とよこ糸の交錯部における
織糸のクリンプを小さくするためには、織糸を構成する
繊維は可能な限り繊度が大きく、かつ、織糸は厚みの薄
い扁平糸であることが好ましく、たて糸とよこ糸とがそ
れぞれの糸幅とほぼ等しい糸間隔で織物構造をなしてい
ることが望ましい。
【0016】しかし、織糸の繊維が太くなると糸幅が極
端に広くなり、製織時に扁平状態が潰されて繊維密度が
均一な織物が得られないという問題がある。また、織糸
が極端に幅が狭く薄い扁平糸であると、糸幅方向の剛性
が小さくなって製織時に簡単に扁平状態が潰れてしまう
という問題がある。この場合、織糸の扁平状態を維持さ
せるためにサイジング剤を付着させることも考えられる
が、多量に付着させると、CFRPの成形の際に樹脂の
含浸性が阻害され、成形されるCFRPが高い強度特性
を発揮できなくなるという問題がある。
【0017】さらに、前記特開昭58−191244号公報に開
示された薄地織物とその製造法においては、中肉あるい
は厚肉のCFRPの成形に膨大な枚数の織物基材あるい
は織物プリプレグを積層しなければならないことから、
成形されるCFRPが高価になると共に、成形作業に非
常に手間が掛かるという欠点がある。
【0018】このように、従来は、炭素繊維が太いとき
には優れた強度特性を有するCFRPを成形できず、ま
た、扁平糸を製織して扁平糸織物を製造する際、従来は
満足すべき方法がなく、その提供が望まれていた。
【0019】本発明は上記の点に鑑みてなされたもの
で、前記従来技術の欠点を改善し、太い繊維からなる扁
平糸であっても、その扁平状態が維持されたFRP用の
補強基材として、安価で高い強度特性を発揮し得る扁平
糸織物並びにその製造方法を提供することを目的とす
る。
【0020】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
本発明の炭素繊維(以下、「CF」という)扁平糸織物
によれば、繊維単糸数が3000〜24000本である
太い無撚りの炭素繊維扁平糸条をたて糸およびよこ糸と
して用いて製織されてなり、該たて糸およびよこ糸は、
織られた状態で無撚りで捻れがなく扁平状態が潰されて
おらず、かつ、その糸幅と実質的に同等の織り糸間隔で
配列されてなるCF扁平糸織物としたものである。
【0021】好ましくは、用いる前記炭素繊維扁平糸条
の扁平状態を実質的に保持する。
【0022】また好ましくは、前記炭素繊維扁平糸条
は、その扁平率が30〜80の薄いものとする。
【0023】さらに好ましくは、炭素繊維密度を織物全
体にわたって実質的に均一とする。
【0024】また、前記第一及び第二のCF扁平糸織物
に、30〜67重量%の合成樹脂を含浸させてプリプレグと
する。
【0025】さらに、前記第一及び第二のCF扁平糸織
物に、30〜67重量%のマトリックス樹脂を含ませた繊維
強化プラスチックとする。
【0026】上記CF扁平糸織物は、CF扁平糸からな
るたて糸とよこ糸とが交錯した織物で、その織物組織は
特に限定されるものではない。しかし、平織組織のよう
に各織糸が一本一本交互に交錯してクリンプが大きくな
り易い組織であっても、実際には織糸自体が扁平で薄い
ので、織糸のクリンプが非常に小さく抑えられ、強度特
性が低下することはない。
【0027】CF扁平糸は、繊維の製造工程において、
複数の繊維からなる繊維束をサイジング工程に入るまで
にリボン状にひき揃えておき、サイジング剤で形態を保
持させてボビンに巻いてもよいし、別工程で扁平糸を開
繊してリボン状にひき揃え、サイジング剤で固着しても
よい。
【0028】特に、炭素繊維糸は高強度・高弾性である
が、前記のように織糸がクリンプした状態では炭素繊維
の有する高強度特性を充分発揮することができない。こ
のため、織糸のクリンプ率が小さく、繊維密度が均一な
炭素繊維織物を得るには、薄くて扁平な炭素繊維糸を用
い、その糸幅とほぼ等しいピッチで織物とする必要があ
る。
【0029】したがって、CF扁平糸を構成する繊維
は、繊度が3,000〜20,000デニールで、適正な織物厚み
から糸の厚みは0.05〜0.2mm、糸幅は4〜16mmが好ま
しく、糸幅/糸厚み比が30以上であることが好ましい。
【0030】扁平形状を保持するためには、扁平糸は0.
5〜2.5重量%程度の小量のサイジング剤を付着させて
おくことが好ましい。
【0031】また、CF扁平糸は、撚りがないことが条
件である。扁平糸に撚りがあると、その撚りがある部分
で糸幅が狭く収束して分厚くなり、製織された織物の表
面に凹凸が発生する。このため、製織された織物は、外
力が作用した際にその撚り部分に応力が集中し、FRP
等に成形した場合に強度特性が不均一となってしまう。
【0032】このように撚りのない扁平糸を製織するた
め本発明の扁平糸織物の製造方法によれば、繊維単糸数
が3000〜24000本である太い無撚りの炭素繊維
扁平糸条をたて糸およびよこ糸として用い、前記炭素繊
維扁平糸条を捻ることなく扁平状態を潰さずに、かつ、
その糸幅と実質的に同等の織り糸間隔で配列するように
製織する製造方法としたものである。
【0033】好ましくは、得られる扁平糸織物におい
て、用いる前記炭素繊維扁平糸条の扁平状態を実質的に
保持する。
【0034】また好ましくは、前記炭素繊維扁平糸条
は、その扁平率が30〜80の薄いものとする。
【0035】更に好ましくは、得られる扁平糸織物は、
その炭素繊維密度が織物全体にわたって実質的に均一な
ものとする。
【0036】好ましくは、扁平糸織物の製造に際して
は、扁平糸の扁平面に並行な横長のメールによって扁平
形状を保持しながら杼道を形成する。
【0037】従来、高性能なCF扁平糸を用いても、織
糸クリンプが大きいために高い強度特性を充分に発揮す
ることはできなかった。上記本発明の製造方法によって
製織された本発明の扁平糸織物は、上記扁平糸を用いて
いるので織糸クリンプが小さく、織物構造面から繊維の
高強度特性が発揮される。
【0038】この場合、使用するCF扁平糸の特性とし
て、引張破断伸度が大きく、引張破断強度が高い必要が
あり、引張破断伸度は1.5〜2.3%、引張破断強度は20
0〜800kg・f/mm2、引張弾性率は20,000〜70,000k
g・f/mm2であることが望ましい。
【0039】上記CF扁平糸からなるたて糸とよこ糸を
用いて製織された扁平糸織物は、それぞれの糸幅とほぼ
等しい織物構造をなし、これによりたて糸とよこ糸が交
錯する交錯部においては、空隙が殆どなく繊維密度の高
い織物となっている。
【0040】しかし、製織された扁平糸織物において
は、実際にはたて糸とよこ糸が交錯しているため、糸幅
と等しい糸間隔にすることは難しい。そこで、製織され
た扁平糸織物においては、たて糸またはよこ糸のいずれ
か一方の糸間は糸幅と等しく、他方の糸間隔は糸幅より
若干大きくなっていてもよい。但し、糸間隔が、糸幅の
1.2倍を越えると空隙が大きくなって繊維密度の高い織
物が得られない。このため、たて糸やよこ糸の糸間隔
は、糸幅の1.0〜1.2倍であることが望ましい。
【0041】ここで、繊維密度とは、次式で定義される
値をいう。
【0042】繊維密度(g/cm3)=〔織物目付(g/m2)〕/
〔織物厚さ(mm)〕
【0043】また、織物目付(g/m2)および織物厚さ(mm)
は、JIS R7602炭素繊維織物試験法に準拠して
測定した値である。
【0044】本発明の扁平糸織物は、CF扁平糸からな
るたて糸とよこ糸から製織するときは、織物目付が100
〜300g/m2、織物厚みが0.1〜0.4mm、CF扁平糸から
なるたて糸またはよこ糸と、他の補助糸とから製織する
ときは、目付が 90〜200g/m2、厚みが0.1〜0.3mmであ
る。
【0045】このとき、繊度が3,000〜20,000デニール
の太い繊維を用いた場合、目付が100g/m2よりも小さい
と、非常に扁平度の高いCF扁平糸で扁平糸織物を製織
することになって製織が難しく、たとえ製織できたとし
ても扁平糸の扁平状態が潰されて非常に織り目の粗い織
物になってしまう。一方、目付が300 g/m2よりも大きく
なると、プリプレグやFRPに成形する際の合成樹脂の
含浸性が悪く、樹脂中に多数のボイドが発生してしま
う。
【0046】本発明の扁平糸織物は、上記条件を満た
し、かつ、前記した式で定義される繊維密度が0.8g/
cm3以上であることが特徴である。
【0047】一般に、FRPの強度特性は繊維の体積含
有率に依存し、特に、炭素繊維織物基材を用いたFRP
において高い強度特性を得るためには、繊維密度の高い
織物基材が必要である。ここにおいて、FRP等におけ
る繊維の体積含有率とは、FRPの体積に対する繊維基
材の体積割合をいい、次式で表される。
【0048】繊維の体積含有率(%)=〔繊維基材重量
(g)/繊維密度(g/cm3)〕/〔FRPの体積(cm3)〕
【0049】この場合、繊維密度の高い炭素繊維織物を
得るには、炭素繊維糸の織り密度を大きくすれば可能で
ある。しかし、従来は、織り密度を大きくすると、炭素
繊維織物における炭素繊維糸のクリンプが大きくなり、
高強度のCFRPが得られなかった。
【0050】このため、従来の炭素繊維織物では、繊維
密度を0.8g/cm3よりも小さくする必要があった。特
に、炭素繊維が太くその繊度が大きい場合には、織物の
繊維密度をさらに小さくしなければならなかった。
【0051】本発明の扁平糸織物は、繊度の大きい繊維
からなるCF扁平糸を用いているが、糸幅が4〜16mm
で、糸幅/糸厚み比が30以上の扁平糸をその糸幅とほ
ぼ等しい1.0〜1.2倍の糸間隔で製織したものである。
したがって、得られる扁平糸織物は、空隙の発生や織糸
のクリンプが最小に抑えられ、繊維密度が高く、繊維密
度が0.8g/cm3以上となっても高い強度特性を発揮す
る。
【0052】上記扁平糸織物を用いたプリプレグやFR
Pは、公知の方法により合成樹脂を含浸させて製造する
ことができる。このとき使用する合成樹脂は、エポキシ
樹脂,不飽和ポリエステル樹脂,フェノール樹脂などの
熱硬化性樹脂、ナイロン樹脂,ポリエステル樹脂,ポリ
ブチレンテレフタレート樹脂,ポリエーテルエーテルケ
トン(PEEK)樹脂,ビスマレイミド樹脂などの熱可
塑性樹脂が使用でき、30〜67重量%の合成樹脂を扁平糸
織物に含浸させる。
【0053】
【作用】繊維単糸数が3000〜24000本である太
い無撚りの炭素繊維扁平糸条をたて糸およびよこ糸とし
て用いて製織されてなり、該たて糸およびよこ糸は、織
られた状態で無撚りで捻れがなく扁平状態が潰されてお
らず、かつ、その糸幅と実質的に同等の織り糸間隔で配
列されてなる扁平糸織物とすると、扁平状態を維持した
状態で扁平糸織物が製織され、太いたて糸とよこ糸であ
っても、交錯部におけるクリンプが小さく抑えられ、繊
維密度が均一となる。
【0054】また、CF扁平糸からなるたて糸とよこ糸
は非常に粗い糸密度で製織されており、さらに織糸のク
リンプが小さいので剪断変形させやすい。すなわち、扁
平糸織物を剪断変形させた場合、たて糸またはよこ糸の
糸間隔を詰める余裕が十分にあるので、扁平糸の糸幅を
狭めつつ糸間隔を小さくさせながら皺を発生させること
なく大きく変形させることができ、複雑な形状の成形型
にも沿わすことができる。
【0055】なお、本発明の扁平糸織物であれば、空隙
部が小さくて均一な織物でもって成形型の曲面のみを剪
断変形させて沿わせるものであるから、成形型の曲率の
大きい面も一様に高い繊維被覆度で沿わせることができ
る。
【0056】上記扁平糸織物を補強基材とするプリプレ
グやFRPは、樹脂含浸性が良いことから、樹脂中に殆
どボイドが発生せず、高い強度特性を示す。
【0057】扁平糸織物の製造方法及び製造装置におい
て、織機の主軸に連動させた引取りローラによりよこ糸
ボビンを一定回転させながら横取り解舒させ、たて糸に
対する1回のよこ糸供給によるよこ糸の弛みを吸収さ
せ、次いでガイドローラによりよこ糸の位置決めを行う
と共に、張力付与機構により張力を付与すると、よこ糸
が捩じれた状態で織り込まれることがない。
【0058】
【実施例】以下、本発明の扁平糸織物とその製造方法に
係る一実施例を図1乃至図5に基づいて詳細に説明す
る。
【0059】図1は本発明の扁平糸織物の製造方法を適
用した製造装置を示すもので、この製造装置は、よこ糸
供給装置として、ボビン1、引取りローラ3、テンショ
ン装置4、ガイドローラ5〜7、板バネテンション装置
8、押し板ガイド9及びレピア11等を備えており、た
て糸供給装置として、クリール20、コーム21、水平
ガイド22、綜絖23及び筬24を備えている。
【0060】先ず、よこ糸供給装置に説明すると、ボビ
ン1は、炭素繊維扁平糸(以下、単に「扁平糸」とい
う)からなるよこ糸Twfが巻回され、よこ糸Twfはテン
ションローラ2を経て織機の回転主軸で駆動されている
引取りローラ3に案内され、引取りローラ3の回転によ
り一定速度で解舒される。ここで、テンションローラ2
は、ボビン1からよこ糸Twfを解舒するときは上方に位
置し、織機が停止すると自動的に下方に下がると共に、
ブレーキが働いて惰性回転が停止する。
【0061】よこ糸Twfの解舒速度は、織機の回転数
(rpm)と1回転に必要なよこ糸長さ(m)が分かれ
ば容易に求めることができる。
【0062】よこ糸Twfやたて糸Twrとなる扁平糸は、
予め扁平状に加工され、サイジング剤などで形態保持さ
れて一定のトラバース幅で円筒状の管であるボビン1や
後述するクリール20のボビン20a,20bに巻かれ
ている。また、糸条の太さとしては、炭素繊維単糸数が
3,000〜24,000本からなっており、糸条の扁
平率は糸幅/糸厚み比で30〜80である。
【0063】そして、引取りローラ3から引き出された
よこ糸Twfは、テンション装置4のガイド4aを経て、
水平ガイドローラ5、垂直ガイドローラ6、水平ガイド
ローラ7に案内されて板バネテンション装置8へと導か
れる。
【0064】それぞれのガイドローラ5〜7は、直径が
10〜20mm程度で、長さが100mm〜300mm程度の
ベアリングを内蔵した回転方式が好ましい。直径があま
りにも小さいとよこ糸Twfを構成する炭素繊維が屈曲し
て単糸切れを起こし易く、また、20mm以上になると回
転の惰性が大きくなって始動、停止時の張力変動が大き
くなる問題がある。また、それぞれのガイドローラ5〜
7の長さは、通過するよこ糸Twfが左右または上下方向
に移動してガイドローラ5〜7を支持する支持部に接触
しない長さが必要である。よこ糸Twfがガイドローラ5
〜7の支持部に接触すると、扁平状態が潰れてしまう。
【0065】水平ガイドローラ5およびガイドローラ7
は、案内するよこ糸Twfの高さ方向の位置を決め、垂直
ガイドローラ6はよこ糸Twfの水平方向の位置を決め
る。したがって、ガイドローラは、少なくとも水平方向
と垂直方向のものが、それぞれ交互に配置されていれば
よい。
【0066】このとき、水平ガイドローラ5と垂直ガイ
ドローラ6との間および垂直ガイドローラ6と水平ガイ
ドローラ7との間で、よこ糸Twfの扁平面を90°捩じ
る必要がある。このため、ガイドローラ5,6間及びガ
イドローラ6,7間の距離は、よこ糸Twfの幅によって
異なるが、50mm以上離す必要がある。ガイドローラ間
の距離が50mmより小さいと、よこ糸Twfが捩じれたま
ま垂直ガイドローラ6や水平ガイドローラ7を通過して
織り込まれてしまう。また、短い距離で扁平糸を90°
捩じると、扁平糸の両端部に張力が加わり、毛羽が発生
する。
【0067】ガイドローラ5〜7は1本であってもよい
が、それぞれ2本の組にしてよこ糸TwfをS字状に通過
させると、よこ糸Twfに作用する張力が安定し、よこ糸
wfの位置決めを確実に行うことができる。
【0068】テンション装置4は、後述するレピア11
による間欠的なよこ糸Twfの挿入に際し、引取りローラ
3によって一定速度で解舒されるよこ糸Twfの引取りロ
ーラ3と水平ガイドローラ5間における弛みをスプリン
グ4bで吸収させて、よこ糸Twfを常に緊張させておく
ものである。よこ糸Twfは、スプリング4bで緊張させ
ておかないと、弛んだ際に捩じれてしまい、捩じれたま
まガイドローラ5〜7を通過して織り込まれてしまう問
題が起こる。そして、スプリング4bの下端に設けたガ
イド4aは、扁平糸の扁平面が水平に案内されるよう
に、横長に配置しておく。
【0069】よこ糸Twfを緊張させておくその他の方法
としては、エアの吸引による方法があるが、この方法で
は吸引中によこ糸Twfが捩じれてしまう問題がある。ま
た、重りによるよこ糸Twfの緊張方法では、張力変動が
大きくなり過ぎ、よこ糸Twfを構成する炭素繊維が損傷
する問題があり、前記スプリングによる方法が最も簡単
で、確実である。
【0070】更に、よこ糸Twfの水平ガイドローラ7の
下流側には、よこ糸Twfの張力を均一にさせるテンショ
ン装置8が配置されている。このテンション装置8は、
幅の広い2枚の板バネ8a,8bでよこ糸Twfを挟み込
むことにより、よこ糸Twfの張力を均一に保持するもの
である。
【0071】本発明の扁平糸織物を製造する製造装置の
よこ糸供給方法においては、原理的には、垂直ガイドロ
ーラ6によりよこ糸Twfの糸道を決めているが、張力変
動やレピア11への引っ掛け動作によりよこ糸Twfの糸
道が変わることがある。したがって、よこ糸Twfが幅方
向に移動してもよこ糸Twfの端部と干渉する物がないこ
とが必要であり、そのために幅の広い板バネ8a,8b
を備えたテンション装置8を用いる。板バネ8a,8b
の幅としては、よこ糸Twfの糸幅の5倍以上あればよ
い。
【0072】押し板ガイド9は、板バネテンション装置
8のよこ糸Twfの下流側に配置されており、先端にV字
形のガイド面9aが形成された板である。このガイド9
は、レピア11への給糸と連動して、織機の回転が伝達
されるカム機構を利用して矢印で示す前後方向に駆動さ
れる。
【0073】また、押し板ガイド9の下流側近傍には、
糸端把持ガイド10が配置されている。糸端把持ガイド
10は、図3に示すように、L字形の受け部材10aと
図示しない駆動手段によって上下方向に駆動される押圧
部材10bとを有している。このガイド10は、レピア
11へのよこ糸Twfの給糸時に、押し板ガイド9の前進
作動と並行して押圧部材10bが下降し、よこ糸Twf
受け部材10aに押しつけて糸端を把持している。
【0074】したがって、よこ糸Twfは、押し板ガイド
9が矢印方向に押し出されて扁平面がV字形のガイド面
9aの斜面に案内されて下降すると共に、糸端把持ガイ
ド10も下降し、扁平形態が潰れずにレピア11の先端
を横切る結果、後述するレピア11の爪11aに具合良
く引っ掛けられる。
【0075】ここで、通常、よこ糸Twfは、糸端把持ガ
イド10とガイド孔を有する給糸ガイドとによって、よ
こ糸Twfがレピア11を斜めに横断するように待機させ
ておき、レピア11が給糸位置に到達したときに、両ガ
イドを下降させてレピア11の爪11aによこ糸Twf
引っ掛けさせている。
【0076】しかし、レピア11への給糸に際して給糸
ガイドを用いると、よこ糸Twfが扁平糸の場合に、前記
ガイド孔でよこ糸Twfが擦られて扁平形態が潰れてしま
う。このため、本発明の扁平糸織物を製造する製造装置
では、板バネテンション装置8と糸端把持ガイド10と
の間に押し板ガイド9を設け、レピア11への給糸時に
糸端把持ガイド10を下降させると共に、押し板ガイド
9を前進させることにより、織機の後方によこ糸Twf
押し付けてレピア11に対して横切るようにしたのであ
る。
【0077】レピア11は、図1に示したように、後述
する筬24の前部に配置される長手条の部材で、間欠的
に横方向に作動して、よこ糸Twfを製織部のたて糸
wr,T wr間に挿入するものである。レピア11は、図
2に示すように、扁平なよこ糸T wfを引っ掛ける爪11
aが先端に設けられ、爪11aの近傍には押え具11b
が取付けられている。
【0078】また、レピア11で扁平なよこ糸Twfを把
持する方法として、図5に示すように、レピア11の先
端に導かれたよこ糸Twfの端部を挟み具12で挟んで把
持させることにより、ほとんど扁平状態を潰すことなく
よこ糸挿入を達成することができる。
【0079】本発明の扁平糸織物を製造する製造装置に
おいては、以上のようなよこ糸供給装置の横糸供給工程
により、ボビン1に巻回されたよこ糸Twfが、引取りロ
ーラ3によって一定速度で解舒され、レピア11の間欠
的なよこ糸挿入の際の弛みがテンション装置4のスプリ
ング4bで吸収される。そして、ボビン1から解舒され
たよこ糸Twfは、ガイドローラ5〜7で案内されると共
に、板バネテンション装置8で均一な張力に保持されな
がら、押し板ガイド9と糸端把持ガイド10との協働に
より、レピア11の爪11aに引っ掛けられ、図1に示
すように、製織部のたて糸Twr,Twr間に挿入される。
【0080】このため、扁平糸からなるよこ糸Twfは、
捩じれたり、扁平形態が潰されることなく織り込まれ
る。
【0081】次に、たて糸供給装置について説明する
と、クリール20は、多数のボビンが回転自在に支持さ
れ、図1においてはボビン20a,20bのみを図示し
てある。そして、ボビン20a,20bには、よこ糸供
給装置のボビン1と同様に、扁平糸からなるたて糸Twr
が巻回され、たて糸Twrは、横取り解舒で織機側に導か
れる。ボビン12からのたて糸Twrの解舒速度は、よこ
糸Twfに比べて極端に遅く、一定の速度であるから、ボ
ビン20a,20bは軽いブレーキ付きであれば問題な
い。
【0082】コーム21は、上下に配置された支持枠2
1a,21a間に織物のたて糸Twrの間隔と同じ間隔に
複数のワイヤー21bを上下方向に設けたものを多数連
結したもので、ワイヤー21b,21b間にたて糸Twr
を1本ずつ通して水平方向の位置を決める。ここにおい
て、ワイヤー21bは、クリール20のボビン20a,
20bから供給される扁平なたて糸Twrが支持枠21
a,21aと接触せず、たて糸Twrの扁平面がワイヤー
21bのみと接触するよう、所定の長さにする必要があ
る。ワイヤー21bの長さが所定長さ以下であると、た
て糸Twrが潰れてしまう。ワイヤー21bの最適な長さ
は、クリール20の高さと、クリール20からコーム2
1ならびに水平ガイド22までの距離によって決まる
が、300mm程度の長さが必要である。
【0083】水平ガイド22は、2本のガイドバー22
a,22aを有し、ボビン20a,20bから解舒され
るたて糸Twr,TwrをS字状に巻回して、上下方向の位
置を規制する。ここで、たて糸Twrは、コーム21と水
平ガイド22との間で扁平面を90゜捩じる必要があ
る。このため、コーム21と水平ガイド22との間隔
は、たて糸Twrの幅によって異なるが、50mm以上離す
必要がある。コーム21と水平ガイド22との間隔が、
50mm以下であるとたて糸Twrが捩じれたまま水平ガイ
ド22を通過して織り込まれてしまう。
【0084】綜絖23は、各たて糸Twrに一つずつ配置
されており、水平ガイド22で上下方向の位置が位置決
めされた各たて糸Twrを筬24へ案内するが、図示しな
い駆動手段によって昇降され、各たて糸Twrの筬24の
下流側によこ糸Twfを通す杼道を作る。ここで、従来の
綜絖においては、メールは隣接する糸と綜絖との間にお
ける干渉を少なくする目的で縦長形状になっている。し
かし、このように縦長形状のメールに扁平糸を通すと、
扁平形状が潰されてしまい、扁平形状のまま製織するこ
とが出来ない。したがって、綜絖23は、メール23a
の形状を横長に形成することが好ましく、メール23a
の横方向の長さは、たて糸Twrとして用いる扁平糸の糸
幅と同等または若干長く設定する。メール23aの形状
としては、矩形あるいは横長楕円が好ましい。
【0085】筬24は、クリール20に設けた複数のボ
ビン20a,20b等から解舒された複数のたて糸Twr
を所定の密度に配列させて、織前へ案内するもので、フ
レーム24aに多数の筬羽24bが上下方向に配置され
ている。ここにおいて、たて糸Twrは、張力をできるだ
け低く設定することが望ましい。これは、綜絖23に案
内されてくるたて糸Twrの筬24の横方向の位置が僅か
にずれて筬羽24bと接触しても、たて糸Twrの張力が
低いと扁平形状が潰されることがなく、また、綜絖23
が揺れてたて糸Twrの位置がずれ、たて糸Twrがメール
23aの片側によっても扁平形状が潰されることがない
からである。
【0086】上記たて糸供給装置においては、以下の工
程に従ってたて糸Twrが織前に導かれ、よこ糸供給装置
から送られてくるよこ糸Twfに織り込まれて扁平糸織物
が製造される。
【0087】先ず、クリール20に設けた複数のボビン
20a,20b等から複数のたて糸Twrが解舒される。
【0088】各たて糸Twrは、コーム21で水平方向の
位置が位置決めされた後、90゜捩じりを付与されて水
平ガイド22へと導かれる。
【0089】水平ガイド22へ導かれた各たて糸T
wrは、上下方向の位置が位置決めされた後、綜絖23に
案内され、図示しない駆動手段によって昇降されて筬2
4の下流側によこ糸Twfを通す杼道を形成する。
【0090】このようにしてクリール20の複数のボビ
ン20a,20b等から解舒された複数のたて糸T
wrは、筬24で所定密度に配列させて、織前へ案内され
る。
【0091】そして、綜絖23によって杼道が形成され
たときに、レピア11の間欠作動により多数のたて糸T
wr間によこ糸Twfが挿入され、図1に示すように、扁平
糸織物が製造されてゆく。
【0092】このたて糸供給工程により、各たて糸Twr
は等間隔でシート状に揃えられ、安定した製織が可能に
なる。
【0093】次に、上記製造方法に基づき、上記製造装
置を用いて製織した扁平糸織物に関する実施例を以下に
説明する。
【0094】実施例1 引張破断強度が500 kg・f/mm2、引張弾性率が23,50
0kg・f/mm2、破断伸度が2.1%の炭素繊維糸(東レ
(株)社製トレカT700 SC−12K(繊度7,200デニー
ル))からなり、糸幅が6.5mm、糸の厚みが0.10mm、糸
幅/糸厚み比が65の扁平形態で、サイジング剤を1%付
着させて形態を保持させた扁平糸を使用し、たて糸およ
びよこ糸の密度が1.25本/cmの平織組織で、目付が20
0g/m2、織物厚みが0.22mm、繊維密度が0.91g/
cm3の扁平糸織物を製織した。
【0095】このとき、前記炭素繊維糸は、炭素繊維単
糸数が3,000〜24,000本からなっており、糸
条の扁平率は糸幅/糸厚み比で30〜80であった。
【0096】得られた扁平糸織物は、たて糸とよこ糸の
交錯部において殆ど空隙のない繊維密度が均一な織物で
あった。また、製織速度は、類似の炭素繊維糸(東レ
(株)社製トレカT300 B−3K(繊度1,800 デニー
ル))を用いた、たて糸およびよこ糸の密度が5.0本/c
mの平織組織で、目付が200g/m2の従来の扁平糸織物
に比べて4倍という早い速度で、非常に生産性が向上し
ていた。
【0097】次いで、得られた前記織物にエポキシ樹脂
を含浸させ、これを同方向に4枚積層させてオートクレ
ーブ成形法で硬化板を作製し、JIS K7073のC
FRPの引張試験法に準拠して引張破断強度を評価し
た。
【0098】その結果を、炭素繊維の体積含有率および
引張弾性率と共に表1に示す。
【0099】比較例1 比較のため実施例1の扁平糸を使用し、たて糸およびよ
こ糸の密度が1.25本/cmの平織組織となっている扁平
糸織物を、従来の製織法により製織した。
【0100】得られた織物は、非常に織り目が粗く、目
付が200g/m2、織物厚みが0.34mm、繊維密度が0.6
0g/cm3であった。
【0101】この織物を、実施例1と同様にしてエポキ
シ樹脂に含浸させ、これを同方向に4枚積層させてオー
トクレーブ成形法で硬化板を作製した。
【0102】その結果、積層工程において、織物の空隙
部の樹脂が離形フィルムに取られて欠けてしまい、その
分樹脂を追加しなければならなかった。また、得られた
硬化板は、表面が織物の空隙部が窪んで凹凸しており、
ボイドが多数みられた。
【0103】さらに、この硬化板を、実施例1の試験法
により引張破断強度を評価し、その結果を、炭素繊維の
体積含有率および引張弾性率と共に表1に示した。
【0104】
【表1】
【0105】表1に示す結果から明らかなように、本発
明の扁平糸織物から作製した硬化板は、非常に高い引張
破断強度を備え、引張弾性率においても、従来の炭素繊
維織物基材では考えられない高い値を示している。
【0106】また、比較例1の結果から明らかなよう
に、繊維密度が0.60g/cm3のように小さい織物で、
炭素繊維の体積含有率が高い硬化板を作製しようとして
も、樹脂含浸性が悪いため強度の低い硬化板になってし
まう。この場合、使用する樹脂量を増加させて樹脂含浸
性を高めることも考えられるが、このようにすると炭素
繊維の体積含有率が低い硬化板となってしまう。
【0107】実施例2 実施例1と同じ扁平糸織物を製織し、この扁平糸織物に
不飽和ポリエステル樹脂をハンドレイアップ(hand lay-
up) で含浸させ、これを4枚積層して常温で硬化させた
硬化板を作製した。
【0108】得られた硬化板は、ハンドレイアップ成形
であるにも拘らず、45%という炭素繊維の高い体積含有
率を示し、かつ、完全に樹脂が含浸されてボイドのない
ものであった。これは、製織された扁平糸織物の繊維密
度が0.91g/cm3と高いことから可能になったもので
ある。
【0109】このようにして得た硬化板を、実施例1の
試験法により評価したところ、表2に示すように、実施
例1のオートクレーブ成形法で得られた硬化板並みの高
い強度を有する結果が得られた。
【0110】
【表2】
【0111】比較例2 引張破断強度が360kg・f/mm2、引張弾性率が23,500
kg・f/mm2、破断伸度が1.5%の炭素繊維糸(東レ
(株)社製トレカT300 B−3K(繊度1,800デニール
))を使用し、たて糸およびよこ糸の密度が5.0本/cm
の平織組織からなる炭素繊維糸織物を、従来の製織法に
より製織した。
【0112】得られた炭素繊維糸織物は、目付が200g
/m2、織物厚みが0.27mm、繊維密度が0.74g/cm3
であった。
【0113】この織物に、実施例2と同様に、不飽和ポ
リエステル樹脂をハンドレイアップで含浸させ、4枚積
層して常温硬化させた硬化板を作製した。得られた硬化
板は、炭素繊維の体積含有率が32.1%と通常の値で、
樹脂含浸性も良好であった。
【0114】この硬化板を実施例1の試験法により評価
し、その結果を表2に炭素繊維の体積含有率および引張
弾性率と共に併記した。
【0115】比較例2の硬化板は、樹脂含浸性の点では
問題がなく、実施例2の硬化板と比べ、用いた炭素繊維
糸だけが異なっていた。しかし、表2に示したように、
これら炭素繊維糸が硬化板の強度に寄与する引張強度利
用率から判断しても、実施例2の硬化板に比べて引張破
断強度が極端に小さかった。
【0116】比較例2の硬化板は、用いた炭素繊維糸織
物の繊維密度が0.74g/cm3であるのに対し、実施例
2の硬化板に用いた扁平糸織物では、繊維密度が0.91
g/cm3と高く、したがって硬化板における炭素繊維の
体積含有率が高くなること、また、実施例2の扁平糸織
物では、織糸のクリンプも小さいので高い強度特性が発
現したものである。
【0117】ここで、実施例1,2並びに比較例1,2
における引張試験に基づき、横軸を引張歪み(%)、縦
軸を引張破断強度(kg・f/mm2)として、図4に示
す強度−歪み曲線に関する強度特性図を描いた。
【0118】図4からも明らかなように、比較例2の硬
化板では引張歪みが0.6%の付近から引張弾性強度の変
化率の低下が見られた。これは、比較例2の硬化板を観
察したとろ、樹脂にクラックが発生していたことから、
用いた炭素繊維糸のクリンプが伸ばされた結果、含浸さ
せた樹脂で炭素繊維糸を支えきれなくなったことに起因
するものと推定される。
【0119】したがって、この硬化板を構造材料として
使用する場合には、引張破断強度を基準にすることは危
険であり、より低い引張破断強度を基準にする必要があ
る。
【0120】ここで、引張強度利用率とは、炭素繊維の
強度から算出した理論強度に対する実測による引張強度
の比をいう。
【0121】
【発明の効果】以上の説明で明らかなように、本発明の
扁平糸織物は、繊維単糸数が3000〜24000本で
ある太い無撚りの炭素繊維扁平糸条をたて糸およびよこ
糸として用いて製織されてなり、該たて糸およびよこ糸
は、織られた状態で無撚りで捻れがなく扁平状態が潰さ
れておらず、かつ、その糸幅と実質的に同等の織り糸間
隔で配列したので、織糸間の空隙が殆どなく、繊維が非
常に均一で高密度な織物となる。
【0122】特に、薄地の炭素繊維織物は、従来高価な
細い炭素繊維糸を高密度で製織していたので非常に高価
な織物であったが、本発明の製造方法によれば安価な太
い炭素繊維糸を用いて、しかも粗密度で製織するので生
産性が高く、製造原価が安価となる。さらに、本発明の
扁平糸織物は、CF扁平糸で粗く製織されたものである
から剪断変形させやすく、複雑な形状の成形型に均一に
沿わせることができる。また、炭素繊維織物は、扁平状
態の糸が粗密度で織られているので織糸のクリンプが小
さく、かつ、繊度の大きい太い繊維からなる扁平糸を使
用し、繊維密度が0.8g/cm3以上と高いので、空隙が
小さいため、CFRPを作製した場合に炭素繊維の体積
含有率が高くなり、非常に高い強度特性を発揮する等の
優れた効果を奏する。
【0123】さらに、本発明の扁平糸織物は、表面が滑
らかなので、FRPを作製したときにFRPの表面が平
坦となり塗装が容易となる。
【0124】また、本発明の扁平糸織物の製造方法によ
れば、扁平糸が捩れたり、その扁平状態が潰されること
なく扁平糸織物を製織することができ、非常に薄い織物
が安定して得られ、この織物でCFRPを製造したと
き、捩れ部の厚みムラで表面に凹凸ができたり、捩れ部
の空隙に樹脂過多な部分が生じたり、ボイドが発生する
等の不都合や、捩れ部の応力集中による強度低下を回避
することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の扁平糸織物の製造方法を適用して扁平
糸織物を製織する製造装置の概略構成図である。
【図2】レピアの先端を拡大した拡大図である。
【図3】糸端把持ガイドを拡大して示した斜視図であ
る。
【図4】本発明の扁平糸織物を用いて作製した硬化板の
強度−歪み曲線に関する強度特性図である。
【図5】レピアによってよこ糸を把持する他の態様を示
す斜視図である。
【符号の説明】
1 ボビン(よこ糸用) 2 テンションローラ 3 引取りローラ 4 テンション装置(弾性懸垂機構) 4a ガイド 4b スプリング 5〜7 ガイドローラ 8 板バネテンション装置(張力付与機
構) 9 押し板ガイド 10 糸端把持ガイド 11 レピア 20 クリール 20a,20b ボビン(たて糸用) 21 コーム 22 水平ガイド 23 綜絖 23a メール 24 筬 Twf よこ糸 Twr たて糸
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 FI D03D 41/00 D03D 41/00 E // B29C 70/10 D01F 9/12 70/06 B29C 67/14 X 70/30 G D01F 9/12 E B29K 105:08

Claims (9)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 繊維単糸数が3000〜24000本で
    ある太い無撚りの炭素繊維扁平糸条をたて糸およびよこ
    糸として用いて製織されてなり、該たて糸およびよこ糸
    は、織られた状態で無撚りで捻れがなく扁平状態が潰さ
    れておらず、かつ、その糸幅と実質的に同等の織り糸間
    隔で配列されてなることを特徴とする扁平糸織物。
  2. 【請求項2】 用いる前記炭素繊維扁平糸条の扁平状態
    が実質的に保持されてなる、請求項1に記載の扁平糸織
    物。
  3. 【請求項3】 前記炭素繊維扁平糸条は、その扁平率が
    30〜80の薄いものである、請求項1または2に記載
    の扁平糸織物。
  4. 【請求項4】 炭素繊維密度が織物全体にわたって実質
    的に均一である、請求項1乃至3いずれか1項に記載の
    扁平糸織物。
  5. 【請求項5】 繊維単糸数が3000〜24000本で
    ある太い無撚りの炭素繊維扁平糸条をたて糸およびよこ
    糸として用い、前記炭素繊維扁平糸条を捻ることなく扁
    平状態を潰さずに、かつ、その糸幅と実質的に同等の織
    り糸間隔で配列するように製織することを特徴とする扁
    平糸織物の製造方法。
  6. 【請求項6】 得られる扁平糸織物において、用いる前
    記炭素繊維扁平糸条の扁平状態が実質的に保持されてい
    る、請求項5に記載の扁平糸織物の製造方法。
  7. 【請求項7】 前記炭素繊維扁平糸条は、その扁平率が
    30〜80の薄いものである、請求項5または6に記載
    の扁平糸織物の製造方法。
  8. 【請求項8】 得られる扁平糸織物は、その炭素繊維密
    度が織物全体にわたって実質的に均一である、請求項5
    乃至7のいずれか1項に記載の扁平糸織物の製造方法。
  9. 【請求項9】 扁平糸の扁平面に並行な横長のメールに
    よって扁平形状を保持しながら杼道を形成することを特
    徴とする請求項5乃至8いずれか1項に記載の扁平糸織
    物の製造方法。
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Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
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WO2003031703A1 (en) * 2001-10-01 2003-04-17 Toray Industries, Inc. Method of producing reinforcing fiber woven fabric and production device therefor and reinforing fiber woven fabric
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KR101628748B1 (ko) * 2015-03-18 2016-06-09 주식회사 유니웜 패턴형성용 카본사 공급장치와 이를 이용한 면상발열체 직조방법
KR20160075122A (ko) 2014-12-19 2016-06-29 도레이첨단소재 주식회사 보풀 제거 가능한 직물제조장치 및 이로부터 제조된 직물

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