JP2836457B2 - 炭素繊維織物とその製造方法および装置 - Google Patents

炭素繊維織物とその製造方法および装置

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JP2836457B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、繊維複合材料として優
れた特性を発揮する炭素繊維織物とその製造方法および
装置に関する。
【0002】
【従来の技術】炭素繊維は比弾性率や比強度などの機械
的性質に優れることから、織物、織物プリプレグや一方
向プリプレグなどの中間材料に加工され、成形に供され
ている。炭素繊維織物をマトリックス樹脂に含浸させた
炭素繊維強化樹脂(CFRP)は、炭素繊維の引張り弾
性率がマトリックス樹脂の引張り弾性率と比較すると極
端に大きい。このため、成形品としてのCFRPは、引
張応力が働いたときに、特に織糸が屈曲(以下、「クリ
ンプ」という)しているクリンプ部に大きな応力が集中
するという不具合がある。
【0003】従って、CFRP用の炭素繊維織物におい
ては、1,000〜3,000本程度の炭素繊維が集束した繊度の
小さい細い炭素繊維糸を用いて織密度を小さくし、織糸
のクリンプを小さくした織物が使われている。繊度が大
きく、太い炭素繊維糸はプリカーサおよび耐炎化工程や
焼成工程での生産性が向上し、安価に製造することが出
来る。しかし、繊度の大きい太い炭素繊維糸で織物を作
ると、織糸の断面が円形または楕円形で、織糸が大きく
クリンプしていることから、この炭素繊維織物を用いた
成形品は強度が小さくなる。またこのような太い糸で目
付の大きな織物を作ると、たて糸およびよこ糸の交錯に
よる拘束が強く、織物のドレープ性(柔らかさ)が乏し
くなる。
【0004】このようなことから、繊度が大きい太い糸
ではあるが、薄い扁平な炭素繊維糸からなる織物ならび
にその製造方法および製造装置を特願平5−77967
号で提案した。しかし、薄い扁平な炭素繊維糸は、糸の
繊度に対応して糸幅が限定され、目抜け度の小さな、す
なわちカバーファクターの大きな織物はほぼ糸幅に近い
織糸間隔となるので、織物目付が限定されてしまう。
【0005】このとき、糸幅より織糸間隔を小さくして
織物密度を大きくすることで、目付の大きな織物を製造
することはできる。但し、炭素繊維糸は製織性をよくす
るため、サイジング剤を付着して扁平形状に形態保持さ
れている。したがって、織糸間隔を糸幅より小さくする
と、扁平な炭素繊維糸は、製織された状態で糸軸方向に
折れ曲がってしまい、織糸の部分的な厚みムラが大きく
なる。このため、このような炭素繊維糸からなる炭素繊
維織物を用いて成形しても均一な成形品(プリプレグ
等)が得られず、成形品にボイドが入ったり、応力が集
中するような繊維分布ムラが発生する。
【0006】もっとも、炭素繊維織物の織物目付、織糸
間隔に適した糸幅を有する扁平な炭素繊維糸を製造すれ
ば上記問題は解消する。しかし、このためには、炭素繊
維糸の製造段階まで遡って炭素繊維織物の製造工程を見
直さなければならず、厄介である。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、上記した従
来の欠点を改善し、繊度が大きく、太い炭素繊維糸であ
っても、CFRPの補強基材として、織物目付が大き
く、繊維分布が均一で、ドレープ性に優れ、かつ、安価
で高い強度特性を発揮し得る炭素繊維織物とその製造方
法および装置を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
本発明の炭素繊維織物においては、多数本の炭素繊維か
らなる撚りのない扁平な炭素繊維糸をたて糸とよこ糸の
少なくとも一方とする炭素繊維織物であって、前記たて
糸とよこ糸の少なくとも一方は前記炭素繊維糸を複数積
層してなり、前記たて糸とよこ糸は、織物の状態で撚り
がない構成としたものである。
【0009】好ましくは、前記炭素繊維糸は、炭素繊維
が 3,000〜12,000本並行に配列され、繊度が 1,500〜1
0,000デニール、糸幅が4〜16mm、糸厚みが0.07〜0.2m
m、糸幅/糸厚み比が30〜 150の範囲のものとする。ま
た好ましくは、他方のたて糸またはよこ糸を、繊度が50
〜 600デニールの範囲にある補助糸とする。
【0010】更に好ましくは、扁平な炭素繊維糸が積層
された前記たて糸またはよこ糸の繊度が 3,000〜40,000
デニール、糸幅が4〜16mm、糸厚みが0.14〜0.5mm、
糸幅/糸厚み比が10〜70、前記たて糸またはよこ糸の織
糸ピッチの前記糸幅に対する比が1.0〜1.2、織物目付
が200〜600g/m2、繊維密度が0.8〜1.2g/m3の範
囲とする。
【0011】また好ましくは、前記織物目付Wと前記た
て糸またはよこ糸の繊度Dとが、W=k・D1/2 の関係
を満たし、かつ、カバーファクターが 95〜100%の範囲
にある織物とする。但し、kは比例定数(k=2.0〜4.
2)好ましくは、前記炭素繊維織物に、30〜67重量%の
マトリックス樹脂を含浸させてプリプレグとする。
【0012】また好ましくは、前記炭素繊維織物と30〜
67重量%のマトリックス樹脂とを含む繊維強化プラスチ
ックとする。本発明の炭素繊維織物は、扁平な炭素繊維
糸からなるたて糸とよこ糸とが交錯した織物で、織り組
織は綾組織や繻子組織など特に限定はない。しかし、通
常の織物に比べ糸間隔が大きく、目ずれしやすいので、
形態安定性の点から平織組織が好ましい。
【0013】扁平な炭素繊維糸は、繊維の製造工程にお
いて、複数の繊維からなる繊維束をサイジング工程に入
るまでリボン状に引き揃えておき、サイジング剤で扁平
形態を保持させてボビンに巻いておく。あるいは、多数
の炭素繊維からなる撚りのない扁平な炭素繊維糸を別工
程で開繊してリボン状に引き揃え、サイジング剤で扁平
に成形してもよい。
【0014】このとき、扁平形状を保持するためには、
0.5〜2.5重量%程度のエポキシ樹脂系のサイジング剤
を扁平糸に付着させておくとよい。このような、エポキ
シ樹脂系のサイジング剤を用いると、直接マトリックス
樹脂を含浸して成形したときに、精錬などの脱サイジン
グ処理をしなくとも、成形されたプリプレグ等の物性が
サイジング剤によって低下することがない。
【0015】サイジング剤が0.5重量%より少ないと、
ボビンに巻かれている時は扁平であっても、織物化する
たて糸工程やよこ糸工程で扁平形状を保持することが出
来ず、また製織工程での毛羽発生が多くなってしまう。
また、サイジング剤が2.5重量%を越えると、サイジン
グ剤によってマトリックス樹脂の含浸が阻害されたり、
成形されたプリプレグ等の物性がサイジング剤によって
低下することがあるので好ましくない。
【0016】特に、炭素繊維糸は、高強度・高弾性とい
う特性を有しているが、前記のように織糸がクリンプし
ていると炭素繊維の有する高強度特性を充分に発揮する
ことができない。このため、織糸のクリンプ率が小さ
く、繊維密度が均一な炭素繊維織物を得るためには、撚
りのない薄くて扁平な炭素繊維糸を1層あるいは複数積
層して少なくともたて糸とよこ糸の一方として製造さ
れ、製織された織物は、たて糸とよこ糸に撚りがないこ
とが必要である。
【0017】したがって、本発明の炭素繊維織物に用い
る扁平な炭素繊維糸は、撚りがなく、炭素繊維が 3,000
〜12,000本並行に配列され、繊度が 1,500〜10,000デニ
ールであり、適正な織物厚みとするため、糸幅が4〜16
mm、糸厚みが0.07〜0.2mm、糸幅/糸厚み比が30〜 150
であることが好ましい。また、たて糸とよこ糸の他方
は、繊度が50〜 600デニールの補助糸であってもよい。
【0018】また、本発明の炭素繊維織物は、たて糸と
よこ糸に撚りがないことが要件である。織糸に撚りがか
かっていると、撚りがかかった状態で織糸が織り込まれ
てしまい、織物に撚りが全く入らないようにすることは
出来ない。また、織糸に撚りがかかっていると、撚りの
部分でくびれ、くびれた部分では織糸が存在しなくなる
空隙部ができる。したがって、プリプレグ等を成形した
ときこの空隙部が樹脂リッチになって、この空隙部にボ
イドが集中し、応力が作用するとこのくびれ部の樹脂か
ら破壊が進行する。さらに、くびれ部では繊維束が折れ
曲がり、繊維軸が織糸の方向からずれるので、繊維軸方
向に対して弱くなってしまう。
【0019】このようにたて糸とよこ糸に撚りのない炭
素繊維織物を製造するため、本発明方法によれば、少な
くともよこ糸が多数本の炭素繊維からなる撚りのない扁
平な炭素繊維糸からなり、配列された複数本のたて糸間
に前記よこ糸を供給して炭素繊維織物を製造する方法に
おいて、複数本の扁平な炭素繊維糸を横取り解舒した
後、扁平状態を保持しながら積層してよこ糸とし、この
よこ糸をガイド手段によってよこ糸供給位置において水
平方向に位置決めするとともに、よこ糸の解舒位置とガ
イド手段との間で前記たて糸に対する1回のよこ糸供給
に必要な長さのよこ糸を保留しつつ緊張状態でよこ糸を
前記ガイド手段に供給するよこ糸供給工程と、複数本の
扁平な炭素繊維糸を横取り解舒した後、これら複数本の
炭素繊維糸を扁平状態を保持しながら任意の本数積層し
て所望密度の複数本のたて糸とし、それぞれのたて糸を
杼道形成手段に導くたて糸供給工程との少なくとも一方
を備えた方法としたのである。
【0020】更に、本発明の炭素繊維織物の製造装置に
よれば、少なくともよこ糸が多数本の炭素繊維からなる
撚りのない扁平な炭素繊維糸からなり、配列された複数
本のたて糸間に前記よこ糸を供給して炭素繊維織物を製
造する装置において、該装置の回転主軸と連動して回転
し、前記扁平な炭素繊維糸を巻回した複数個のよこ糸ボ
ビンから前記炭素繊維糸をそれぞれ定速で横取り解舒す
る引取りローラ、引き出された複数本の炭素繊維糸をよ
こ糸供給位置において水平方向に位置決めすると共に積
層してよこ糸とする少なくとも2個のガイドローラ、た
て糸に対する1回のよこ糸挿入に必要な長さの前記よこ
糸を、前記引取りローラとガイドローラとの間で保留
し、前記少なくとも2個のガイドローラに供給する弾性
懸垂機構、及び前記ガイドローラから送り出されてくる
前記よこ糸を緊張状態に保つ張力付与機構を備えたよこ
糸供給手段と、複数本のワイヤを有し、扁平な炭素繊維
糸を巻回した複数個のたて糸ボビンから引き出される複
数本の炭素繊維糸のそれぞれを、対応する位置にある前
記各ワイヤのみに接触させて扁平状態を保持しながら任
意の本数積層して所望密度の複数本のたて糸に引き揃え
るコーム、このコームから送り出されてくる前記複数本
のたて糸の向きを、それぞれ前記コームの複数本のワイ
ヤに対して直交する方向に変換するガイド、及びこのガ
イドから送り出されてくる前記複数本のたて糸に、変換
された方向の姿勢を保ちつつ開口運動を付与する綜絖を
備えたたて糸供給手段との少なくとも一方を備えた装置
としたのである。
【0021】通常の織物は、糸の断面積が円形または楕
円形なので、繊度が大きく、太い炭素繊維糸で構成され
た織物は、たて糸を横切るよこ糸は、たて糸幅の中央部
が最も厚くなっているので、たて糸の中央部の上または
下で大きく屈曲し、クリンプが大きくなる。この状況
は、よこ糸においても同様である。これに対し上記した
本発明の製造方法および製造装置によって製造された本
発明の炭素繊維織物は、扁平な炭素繊維糸が積層された
前記たて糸またはよこ糸の繊度が 3,000〜40,000デニー
ル、糸幅が4〜16mm、糸厚みが0.14〜0.5mm、糸幅/
糸厚み比が10〜70、前記たて糸またはよこ糸の織糸ピッ
チの前記糸幅に対する比が1.0〜1.2、織物目付が200
〜600g/m2、繊維密度が0.8〜1.2g/m3の範囲で
ある。
【0022】即ち、本発明の炭素繊維織物は、繊度が大
きくて、少なくとも一方が太い炭素繊維糸からなるたて
糸とよこ糸とが交錯した織り組織となっているが、たて
糸とよこ糸は、扁平で糸幅方向の厚みムラが小さく、断
面形状が矩形に近い糸が積層された扁平な織糸である。
したがって、本発明の炭素繊維織物は、織物目付が大き
くなっても、たて糸とよこ糸の交錯による織糸のクリン
プは小さい。すなわち、本発明の炭素繊維織物において
は、たて糸とよこ糸が扁平であるので、たて糸とよこ糸
は、互いに交錯する交錯部でほとんどクリンプを生ずる
ことなく真っ直ぐに配列する。
【0023】このとき、炭素繊維糸は、炭素繊維の直径
が5〜10μmで、JIS R7601に基づく引張破
断伸度が1.5〜2.3%、引張破断強度が200〜800kg・f/m
m2、引張弾性率が20,000〜70,000kg・f/mm2のものを用い
る。扁平な織糸を用いた通常の織物においては、たて糸
とよこ糸は、互いに交錯しているため、糸幅と等しい糸
間隔にすることは難しい。
【0024】そこで本発明の炭素繊維織物においては、
たて糸とよこ糸のいずれか一方の糸間隔は糸幅と等し
く、他方の糸間隔は糸幅より若干大きくなっていてもよ
い。ただし、糸間隔が、糸幅の1.2倍を越えると空隙が
大きくなって繊維密度の大きな織物が得られない。この
ため、たて糸とよこ糸の織糸間隔は、糸幅の1.0〜1.2
倍、すなわち、織糸間隔/糸幅比は1.0〜1.2であるこ
とが好ましい。
【0025】ここで、織物の繊維密度とは、次式で定義
される値をいう。 織物の繊維密度(g/m3)=[織物目付(g/m2)]/[織物厚
さ(mm)] 尚、織物目付(g/m2)および織物厚さ(mm)は、それぞれ
JIS R7602に準拠して測定した値である。本発
明の炭素繊維織物は、織糸のクリンプが小さくかつ糸間
隔が糸幅とほぼ同じであるので、織物の繊維密度の大き
い織物となり、通常の炭素繊維織物の繊維密度が0.8g
/m3 であるのに対し、0.8〜1.2g/m3 となる。織
物の繊維密度が1.2g/m3 を越えると、扁平な炭素繊
維糸の幅が狭くなり、織糸の幅方向の厚みムラが大きく
なって好ましくない。
【0026】繊維密度が上記範囲の織物は、ハンドレイ
アップ成形法や真空バッグ成形法などの簡易成形法であ
っても繊維体積含有率の大きな、すなわち機械的特性に
優れるFRPを成形することができる。さらに本発明の
炭素繊維織物は、織物目付Wと炭素繊維糸を積層したた
て糸またはよこ糸の繊度Dとが、W=k・D1/2 (k=
2.0〜4.2)の関係を満たし、カバーファクターが95
〜100%であることが好ましい。
【0027】カバーファクターが95%より小さくなる
と、炭素繊維糸相互間に繊維が存在しない空隙部が大き
くなり、プリプレグやCFRPを製造したとき、この空
隙部が樹脂リッチ部となるのみならず、この空隙部に樹
脂が偏在して充填されてボイドが集中する。このため、
このようなプリプレグやCFRPは、応力が作用したと
き、樹脂リッチ部やボイドが集中した部分から破壊が進
み好ましくない。
【0028】ここで、カバーファクターCfは、織糸間
に形成される空隙部の大きさに関係する要素で、織物上
に面積S1 の領域を設定したとき、面積S1 内において
織糸間に形成される空隙部の面積をS2 とすると、次式
で定義される値をいう。 カバーファクターCf={(S1 −S2 )/S1 }×1
00 本発明の炭素繊維織物は、薄い扁平な炭素繊維糸を積層
したたて糸やよこ糸を用いている。従って、目抜け度の
小さな、すなわちカバーファクターが大きく、所望の目
付を有する炭素繊維織物は、積層する炭素繊維糸の本
数、すなわち積層数を適性にすることによって得られ
る。
【0029】このため、本発明の炭素繊維織物は、1層
の炭素繊維糸で、織糸間隔を使用する糸幅より小さくす
ることによって織物目付の大きな織物を製織した場合と
異なり、扁平な炭素繊維糸が折れ曲がれるようなことは
なく、織糸の部分的な厚みムラが小さい。この結果、本
発明の炭素繊維織物を用いてプリプレグやFRPを成形
すると、均一な成形品が得られ、樹脂中にボイドが入っ
たり、応力が集中するような繊維分布ムラが発生しな
い。
【0030】一般に、織物目付が大きい、すなわち厚い
織物は、成形型の曲面に沿わせて変形したときに、織物
の凸側が引っ張られる。従来の炭素繊維織物は、繊維の
弾性率が大きく、また織糸もサイジング剤などで収束し
ているので成形型に沿いにくかった。これに対し、本発
明の炭素繊維織物は、たて糸またはよこ糸の少なくとも
一方が扁平な炭素繊維糸を積層した織物である。従っ
て、本発明の炭素繊維織物は、織物目付が大きくてもこ
の層間で扁平な炭素繊維糸が相互に滑り、簡単に曲率の
大きな成形型に沿わせることができる。
【0031】また、本発明の炭素繊維織物は、扁平なた
て糸とよこ糸が非常に粗い密度で製織され、織糸のクリ
ンプが小さいので剪断変形させやすい。すなわち、本発
明の炭素繊維織物は、たて糸またはよこ糸の間隔を詰め
る余裕が充分あるので、剪断変形させたときに織糸の糸
幅並びに糸間隔を狭めながら皺を発生させることなく大
きく変形させることができる。
【0032】更に、本発明の炭素繊維織物は、空隙部が
小さく、均一な織物を剪断変形させて成形型の曲面に沿
わせる事が出来る。従って、本発明の炭素繊維織物は、
成形型の曲率の大小に拘らず一様に高い繊維被覆度で沿
わせることができ、FRPにおける繊維の分散性がよ
い。上記炭素繊維織物を用いたプリプレグは、公知の方
法によりマトリックス樹脂を含浸させて製造することが
できる。このとき使用するマトリックス樹脂は、エポキ
シ樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、ポリイミド樹脂、フ
ェノール樹脂等がある。これらの熱硬化性樹脂は、織物
に含浸された状態でBステージである。
【0033】また、マトリックス樹脂は、ナイロン樹
脂、ポリエステル樹脂、ポリブチレンテレフタレート樹
脂、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)樹脂、ビ
スマレイミド樹脂などの熱可塑性樹脂も使用することが
できる。なお、炭素繊維織物に占める熱硬化性樹脂また
は熱可塑性樹脂の量は、好ましくは30〜67重量%、
より好ましくは34〜45重量%である。
【0034】本発明の炭素繊維織物は、たて糸とよこ糸
の少なくとも一方を扁平な炭素繊維糸とし、クリンプが
小さい。このため、この織物を用いたCFRPは、織糸
のクリンプが原因となって生ずる、小さな引張り歪み領
域におけるCF糸の破断に先行したマトリックス樹脂の
破壊がなく、引張り応力が作用する方向における破断伸
びが大きく強くなる。
【0035】従って、本発明の織物を用いたCFRP
は、引張り応力が作用する方向、例えば、織物のたて糸
方向に引張った場合に、たて糸方向には強くなる。しか
し、引張り応力に対して直交する方向、即ち、よこ糸方
向においては、よこ糸が繊維の向きに対して直角方向に
引張られることになるうえ、よこ糸が通常の織糸に比べ
て幅が広いので、よこ糸の炭素繊維に沿ってマイクロク
ラックが発生する。
【0036】このようなマイクロクラックの発生を防ぐ
ためには、マトリックス樹脂の引張破断伸度を大きくす
ることが効果的であり、JIS K6911に基づく引
張破断伸度が、熱硬化性樹脂では3.5〜10%、熱可塑
性樹脂では8〜 200%であることが好ましい。
【0037】
【実施例】以下、本発明の炭素繊維織物、その製造方法
および製造装置に係る一実施例を添付図面に基づいて詳
細に説明する。図1は、本発明の炭素繊維織物に係る第
一の実施例を説明する断面図で、炭素繊維織物1は、扁
平で撚りのない炭素繊維糸Tcfを2層積層したたて糸T
wr及びよこ糸Twfが、撚りのない状態で交互に交錯させ
て製織した平織組織の織物である。
【0038】本発明の炭素繊維織物は、たて糸Twrとよ
こ糸Twfの少なくとも一方が扁平な炭素繊維糸Tcfを複
数積層したものであれば、たて糸Twrおよびよこ糸Twf
を構成する扁平な炭素繊維糸Tcfの層数は必ずしも同じ
である必要はない。また、積層する扁平な炭素繊維糸T
cfの積層数は2〜5層程度が好ましい。炭素繊維糸Tcf
の積層数が5層以上になると、炭素繊維織物のたて糸T
wrまたはよこ糸Twfのクリンプが大きくなるので、FR
Pの補強基材としては好ましくない。
【0039】本実施例の炭素繊維織物1は、たて糸Twr
およびよこ糸Twfが、扁平な炭素繊維糸Tcfの状態なら
びに積層された状態で撚りがなく、積層状態におけるた
て糸Twrおよびよこ糸Twfの繊度が3,000〜40,000 デニ
ール、糸幅が4〜16mm、糸厚みが0.14〜0.5mm、糸幅
/糸厚み比が10〜70の扁平形状で、織物目付は200〜600
g/m2程度が好ましい。
【0040】ここで、上記炭素繊維織物において、たて
糸Twrおよびよこ糸Twfは、これらを構成する扁平な炭
素繊維糸Tcfの積層数、糸繊度、密度及び糸幅を同一に
してもよい。このように、たて糸およびよこ糸を構成す
る炭素繊維糸の積層数を同一にするときは、CFRPに
したときのたて糸およびよこ糸のクリンプによる応力集
中を小さくし、強度や弾性率の低下を防ぐ目的から積層
数は2層ないし3層が好ましい。
【0041】積層数が3層以上になると、糸繊度や糸幅
にもよるが、強度や弾性率の低下を招くことがある。こ
のとき、炭素繊維織物は、たて糸およびよこ糸を構成す
る炭素繊維糸の積層数が同じであるから、たて糸および
よこ糸のクリンプが同じになり、CFRPにしたとき、
たて糸およびよこ糸の繊維軸方向の強度、弾性率が同じ
になる。
【0042】また、補強繊維が炭素繊維であるCFRP
は異方性が極めて高い材料であるため、繊維軸方向には
強いが、繊維軸方向から外れると急激に強度、弾性率が
低くなる。したがって、この炭素繊維織物を使用して、
繊維配向が0°、90°方向の織物と、バイアスに裁断
した繊維配向が+45°、−45°方向の織物を交互に
積層すると、0°、90°、+45°、−45°の繊維
軸方向の特性が同じなので、FRPの全ての方向が同じ
強度、弾性率となり、特に航空機の構造材料として好適
である。
【0043】また、図2は、本発明の炭素繊維織物に係
る第二の実施例を説明する断面図で、炭素繊維織物3
は、織物の幅方向中央部が扁平な炭素繊維糸Tcfを1
層、幅方向両縁端部付近が扁平な炭素繊維糸Tcfを2層
積層したそれぞれのたて糸Twrと、1層の炭素繊維糸T
cfからなるよこ糸Twfとを交互に交錯させて製織したも
ので、両縁端部付近のたて糸Twrが中央部のたて糸Twr
の2倍の厚さの平織組織に製織されている。
【0044】ここで、扁平な炭素繊維糸Tcfは撚りがな
く、製織された炭素繊維織物3におけるたて糸Twr及び
よこ糸Twfも撚りがない。この炭素繊維織物3は、例え
ば、I型断面を有する桁材を成形するためのプリフォー
ムを作成する場合、炭素繊維が0°方向(たて糸方向)
と90°方向(よこ糸方向)に配列した本発明の炭素繊
維織物を、剪断変形により繊維配向が0°と45°方向
に配列する織物に加工し、炭素繊維糸が積層して帯状に
なっている幅方向両縁端部が桁材のフランジ部、幅方向
中央部が桁材のウエブ部になるように積層すると、桁材
におけるフランジ部の長手方向に繊維量を多くしたプリ
フォーム作成が効率的となり、かつ正確な繊維配向が可
能となる。
【0045】ここで、本実施例の炭素繊維織物は、幅方
向中央部のたて糸Twrは、炭素繊維糸が積層されていな
い扁平な1層の炭素繊維糸Tcfであるが、扁平でない通
常の炭素繊維糸であっても良く、更に、炭素繊維以外の
他の種類の繊維であってもよい。ここで、炭素繊維糸が
積層されたたて糸またはよこ糸は、積層数が2〜5層で
あることが好ましく、5層を越えると織物のたて糸また
はよこ糸のクリンプが大きくなるので、CFRPの補強
基材としては好ましくない。
【0046】本実施例の炭素繊維織物は、炭素繊維糸並
びに炭素繊維糸が積層されたたて糸またはよこ糸が、い
ずれの状態においても撚りがなく、積層されたたて糸お
よびよこ糸は、繊度が3,000〜40,000デニール、糸幅が
4〜16mm、糸厚みが0.14〜0.5mm、糸幅/糸厚み比が
10〜70で、扁平状になっていて、織物目付は200〜500g
/m2 程度が好ましい。
【0047】上記炭素繊維織物において、扁平な炭素繊
維糸が積層される位置は、必ずしもたて糸方向に見たと
きの織物の幅方向両端縁付近に限定されるものではな
く、よこ糸方向で重なり合う部分があってよい。また、
炭素繊維糸が積層される位置は、たて糸方向に見たとき
の織物の中央部に位置していてもよく、更に、たて糸方
向とよこ糸方向で部分的に重なり合う部分があってもよ
い。また、炭素繊維糸の重なり合う幅は3〜15cm程度
が好ましい。
【0048】更に、図3は、よこ糸Twfに補助糸を使用
した本発明の炭素繊維織物に係る第三の実施例を説明す
る断面図で、炭素繊維織物5は、たて糸Twrは撚りのな
い炭素繊維糸Tcfが3層積層され、多数のたて糸Twr
補助糸であるよこ糸Twfとが交互に交錯した一方向性の
平織組織となっている。この炭素繊維織物5において
は、補助糸であるよこ糸Twfは、たて糸Twrを構成する
炭素繊維糸Tcfの屈曲を小さくするため、繊度を50〜60
0デニールとする。また、よこ糸Twfとなる補助糸は、
プリプレグやCFRPを製造する際、熱収縮を防ぐ意味
合いから、100℃における乾熱収縮率が3%以下のガ
ラス繊維、炭素繊維、ポリアラミド繊維やビニロン繊維
などを用いる。
【0049】上記第三の実施例では、たて糸Twrが扁平
な炭素繊維糸Tcfでよこ糸Twfが補助糸である一方向性
の炭素繊維織物5について説明した。しかし、上記とは
逆に、たて糸Twrが補助糸で、よこ糸Twfが扁平な炭素
繊維糸Tcfである一方向性の炭素繊維織物であってもよ
い。また、本実施例の炭素繊維織物は、たて糸またはよ
こ糸を構成する扁平な炭素繊維糸の積層数は2〜5層が
好ましく、6層以上になるとCFRPを製造するときの
樹脂含浸性が悪くなり、CFRPにボイドが入るので好
ましくない。
【0050】本実施例の炭素繊維織物は、炭素繊維糸並
びに炭素繊維糸が積層された一方のたて糸またはよこ糸
が、いずれの状態においても撚りがなく、積層されたた
て糸またはよこ糸は、繊度が 3,000〜40,000デニール、
糸幅が4〜16mm、糸厚みが0.14〜0.4mm、糸幅/糸厚
み比が10〜70で、織物目付は200〜500g/m2 程度が好
ましい。
【0051】次に、本発明の炭素繊維織物の製造方法を
適用して上記炭素繊維織物を製造する際に使用する本発
明の炭素繊維織物の製造装置を、図4乃至図6に基づい
て説明する。製造装置10は、よこ糸供給装置として、
2個のボビン11、引取りローラ113、テンション装
置14、ガイドローラ15〜17、板バネテンション装
置18、押板ガイド19及びレピア21等を備えてお
り、たて糸供給装置として、クリール30、コーム3
1、水平ガイド32、綜絖33及び筬34を備えてい
る。
【0052】先ず、よこ糸供給装置に説明すると、各ボ
ビン11は、撚りのない扁平な炭素繊維糸Tcfが巻回さ
れ、各炭素繊維糸Tcfはそれぞれテンションローラ12
を経て装置10の回転主軸で駆動されている引取りロー
ラ13に案内され、引取りローラ13の回転により一定
速度で解舒される。ここで、各テンションローラ12
は、各ボビン11から炭素繊維糸Tcfを解舒するときは
上方に位置し、装置10が停止すると自動的に下方に下
がると共に、ブレーキが働いて惰性回転が停止する。
【0053】各ボビン11からの炭素繊維糸Tcfの解舒
速度は、回転主軸の回転数(rpm)と1回転に必要な
よこ糸長さ(m)が分かれば容易に求めることができ
る。積層されてよこ糸Twfやたて糸Twrとなる炭素繊維
糸Tcfは、予め扁平状に加工され、サイジング剤などで
形態保持されて一定のトラバース幅で円筒状の管である
各ボビン11や後述するクリール30の各ボビン30a
に巻かれている。また、炭素繊維糸Tcfを積層したよこ
糸Twfやたて糸Twrの太さとしては、炭素繊維の数が6,
000〜48,000 本からなっており、よこ糸Twfやたて糸T
wrの扁平率は糸幅/糸厚み比で15〜100である。
【0054】そして、引取りローラ13から引き出され
た各炭素繊維糸Tcfは、テンション装置14のガイド1
4aを経て、水平ガイドローラ15、垂直ガイドローラ
16及び水平ガイドローラ17に案内されて板バネテン
ション装置18へと導かれる。このとき、2個のボビン
11から解舒されたそれぞれ2本の炭素繊維糸Tcfは、
垂直ガイドローラ16で積層されてよこ糸Twfとなる。
【0055】それぞれのガイドローラ15〜17は、直
径が10〜20mm程度で、長さが100mm〜300mm程
度のベアリングを内蔵した回転方式が好ましい。直径が
あまりにも小さいと炭素繊維糸を構成する炭素繊維が屈
曲して単糸切れを起こし易く、また、20mm以上になる
と回転の惰性が大きくなって始動、停止時の張力変動が
大きくなる問題がある。
【0056】また、それぞれのガイドローラ15〜17
の長さは、通過する炭素繊維糸Tcfやよこ糸Twfが左右
または上下方向に移動してガイドローラ15〜17を支
持する支持部に接触しない長さが必要である。炭素繊維
糸Tcfやよこ糸Twfがガイドローラ15〜17の支持部
に接触すると、扁平状態が潰れてしまう。水平ガイドロ
ーラ15,17は、案内する炭素繊維糸Tcfやよこ糸T
wfの高さ方向の位置を決め、垂直ガイドローラ16はよ
こ糸Twfの水平方向の位置を決める。したがって、ガイ
ドローラは、少なくとも水平方向と垂直方向のものが、
それぞれ交互に配置されていればよい。
【0057】このとき、水平ガイドローラ15と垂直ガ
イドローラ16との間および垂直ガイドローラ16と水
平ガイドローラ17との間で、炭素繊維糸Tcfやよこ糸
wfの扁平面を90°捩じる必要がある。このため、ガ
イドローラ15,16間及びガイドローラ16,17間
の距離は、炭素繊維糸Tcfやよこ糸Twfの幅によって異
なるが、50mm以上離す必要がある。
【0058】ガイドローラ間の距離が50mmより小さい
と、垂直ガイドローラ16や水平ガイドローラ17を通
過したよこ糸Twfが捩じれた状態で織り込まれてしま
う。また、短い距離で炭素繊維糸Tcfやよこ糸Twfを9
0°捩じると、炭素繊維糸Tcfやよこ糸Twfの両端部に
張力が加わり、毛羽が発生する。ガイドローラ15〜1
7は1本であってもよいが、それぞれ2本の組にして炭
素繊維糸Tcfやよこ糸TwfをS字状に通過させると、炭
素繊維糸Tcfやよこ糸T wfに作用する張力が安定し、炭
素繊維糸Tcfやよこ糸Twfの位置決めを確実に行うこと
ができる。
【0059】テンション装置14は、後述するレピア2
1による間欠的なよこ糸Twfの挿入に際し、引取りロー
ラ13によって一定速度で解舒される各炭素繊維糸Tcf
の引取りローラ13と水平ガイドローラ15間における
弛みをスプリング14bで吸収させて、常に緊張させて
おくものである。各炭素繊維糸は、スプリング14bで
緊張させておかないと、弛んだ際に捩じれてしまい、捩
じれたままガイドローラ15〜17を通過して織り込ま
れてしまう問題が起こる。そして、各スプリング14b
の下端に設けたガイド14aは、炭素繊維糸Tcfの扁平
面が水平に案内されるように、横長に配置しておく。
【0060】炭素繊維糸を緊張させておくその他の方法
としては、エアの吸引による方法があるが、この方法で
は吸引中に炭素繊維糸が捩じれてしまう問題がある。ま
た、重りによる炭素繊維糸の緊張方法では、張力変動が
大きくなり過ぎ、炭素繊維糸を構成する炭素繊維が損傷
する問題があり、前記スプリングによる方法が最も簡単
で、確実である。
【0061】ここにおいて、図4は、炭素繊維糸Tcf
2本積層してよこ糸Twfとするときの炭素繊維織物の製
造装置を説明するものであるが、炭素繊維糸Tcfを3層
以上積層したよこ糸とする場合は、ボビン11とガイド
14a及びスプリング14bをそれぞれ1個ずつ追加す
ればよい。更に、水平ガイドローラ17の下流側には、
よこ糸Twfの張力を均一にさせるテンション装置18が
配置されている。このテンション装置18は、幅の広い
2枚の板バネ18a,18bでよこ糸Twfを挟み込むこ
とにより、よこ糸Twfの張力を均一に保持するものであ
る。
【0062】本発明の炭素繊維織物の製造装置のよこ糸
wf供給方法においては、原理的には、垂直ガイドロー
ラ16によりよこ糸Twfの糸道を決めているが、張力変
動やレピア21への引っ掛け動作によりよこ糸Twfの糸
道が変わることがある。したがって、よこ糸Twfが幅方
向に移動してもよこ糸Twfの端部と干渉する物がないこ
とが必要であり、そのために幅の広い板バネ18a,1
8bを備えたテンション装置18を用いる。板バネ18
a,18bの幅としては、よこ糸Twfの糸幅の5倍以上
あればよい。
【0063】押し板ガイド19は、板バネテンション装
置18のよこ糸Twfの下流側に配置されており、先端に
V字形のガイド面19aが形成された板である。このガ
イド19は、レピア21への給糸と連動して、回転主軸
の回転が伝達されるカム機構を利用して矢印で示す前後
方向に駆動される。また、押し板ガイド19の下流側近
傍には、糸端把持ガイド20が配置されている。糸端把
持ガイド20は、図6に示すように、L字形の受け部材
20aと図示しない駆動手段によって上下方向に駆動さ
れる押圧部材20bとを有している。このガイド20
は、レピア21によるよこ糸Twfの給糸時に、押し板ガ
イド19の前進作動と並行して押圧部材20bが下降
し、よこ糸Twfを受け部材20aに押しつけて糸端を把
持している。
【0064】したがって、よこ糸Twfは、押し板ガイド
19が矢印方向に押し出されて扁平面がV字形のガイド
面19aの斜面に案内されて下降すると共に、糸端把持
ガイド20も下降し、扁平形態が潰れずにレピア21の
先端を横切る結果、後述するレピア21の爪21aに具
合良く引っ掛けられる。ここで、通常、よこ糸Twfは、
糸端把持ガイド20とガイド孔を有する給糸ガイドとに
よって、よこ糸Twfがレピア21を斜めに横断するよう
に待機させておき、レピア21が給糸位置に到達したと
きに、両ガイドを下降させてレピア21の爪21aによ
こ糸Twfを引っ掛けさせている。
【0065】しかし、レピア21への給糸に際して給糸
ガイドを用いると、よこ糸Twfが炭素繊維糸の場合に、
前記ガイド孔でよこ糸Twfが擦られて扁平形態が潰れて
しまう。このため、本発明の製造装置では、板バネテン
ション装置18と糸端把持ガイド20との間に押し板ガ
イド19を設け、レピア21への給糸時に糸端把持ガイ
ド20を下降させると共に、押し板ガイド19を前進さ
せることにより、装置の後方によこ糸Twfを押し付けて
レピア21に対して横切るようにしたのである。
【0066】レピア21は、図4に示したように、後述
する筬34の前部に配置される長手条の部材で、間欠的
に横方向に作動して、よこ糸Twfを製織部のたて糸
wr,T wr間に挿入するものである。レピア21は、図
5に示すように、扁平なよこ糸T wfを引っ掛ける爪21
aが先端に設けられ、爪21aの近傍には押え具21b
が取付けられている。
【0067】また、レピア21で扁平なよこ糸Twfを把
持する方法として、図7に示すように、レピア21の先
端に導かれたよこ糸Twfの端部を挟み具22で挟んで把
持させることにより、ほとんど扁平状態を潰すことなく
よこ糸挿入を達成することができる。本発明の炭素繊維
織物の製造装置においては、以上のようなよこ糸供給装
置の横糸供給工程により、各ボビン11に巻回された扁
平な炭素繊維糸Tcfが、引取りローラ13によってそれ
ぞれ一定速度で解舒され、レピア21の間欠的なよこ糸
挿入の際の弛みがテンション装置14のスプリング14
bで吸収される。そして、2個のボビン11から解舒さ
れ、垂直ガイドローラ16で積層された2本の炭素繊維
糸Tcfからなるよこ糸Twfは、ガイドローラ15〜17
で案内されると共に、板バネテンション装置18で均一
な張力に保持されながら、押し板ガイド19と糸端把持
ガイド20との協働により、レピア21の爪21aに引
っ掛けられ、図4に示すように、製織部のたて糸Twr
wr間に挿入される。
【0068】このため、2本の炭素繊維糸Tcfを積層し
たよこ糸Twfは、捩じれたり、扁平形態が潰されること
なく織り込まれる。次に、たて糸供給装置について説明
すると、クリール30は、多数のボビン30aが回転自
在に支持され、各ボビン30aには、よこ糸供給装置の
ボビン11と同様に、扁平な炭素繊維糸Tcfが巻回さ
れ、炭素繊維糸Tcfは、横取り解舒で装置側に導かれ
る。ボビン30aからの炭素繊維糸Tcfの解舒速度は、
よこ糸T wfとなる炭素繊維糸に比べて極端に遅く、一定
の速度であるから、ボビン30aは軽いブレーキ付きで
あれば問題ない。
【0069】コーム31は、上下に配置された支持枠3
1a,31a間に織物のたて糸Twrの間隔と同じ間隔に
複数のワイヤ31bを上下方向に設けたものを多数連結
したもので、ワイヤ31b,31b間に炭素繊維糸Tcf
を2〜5本ずつ通して水平方向の位置を決める。ここに
おいて、ワイヤ31bは、クリール30の各ボビン30
aから供給される扁平な炭素繊維糸Tcfが支持枠31
a,31aと接触せず、炭素繊維糸Tcfの扁平面がワイ
ヤ31bのみと接触するよう、所定の長さにする必要が
ある。ワイヤ31bの長さが所定長さ以下であると、炭
素繊維糸Tcfが幅方向に潰れてしまう。
【0070】ワイヤ31bの最適な長さは、クリール3
0の高さと、クリール30からコーム31ならびに水平
ガイド32までの距離によって決まるが、300 mm程度の
長さが必要である。水平ガイド32は、上方に位置する
2本のガイドバー32aと下方に位置する2本のガイド
バー32bの4本のガイドバーを有しており、各ボビン
30aから解舒される炭素繊維糸TcfをS字状に巻回し
て、上下方向の位置を規制する。ここで、炭素繊維糸T
cfを2層積層したたて糸を用いる場合、同一のワイヤ3
1b,31b間に2本の炭素繊維糸Tcfを通し、上方に
位置する2本のガイドバー32aと下方に位置する2本
のガイドバー32bとによって、互いに緩衝することが
ないように2本の炭素繊維糸Tcfの上下位置を規制す
る。
【0071】このとき、各ボビン30aから解舒された
炭素繊維糸Tcfは、コーム31と水平ガイド32との間
で扁平面を90゜捩じる必要がある。このため、コーム
31と水平ガイド32との間隔は、炭素繊維糸Tcfの幅
によって異なるが、50mm以上離す必要がある。コーム
31と水平ガイド32との間隔が50mm以下であると、
水平ガイド32を通過した炭素繊維糸Tcfが捩じれた状
態で織り込まれてしまう。
【0072】綜絖33は、2本の炭素繊維糸Tcf毎に一
つずつ多数配置されており、水平ガイド32で上下方向
の位置が位置決めされた2本の炭素繊維糸Tcfを積層し
てたて糸Twrとし、このたて糸Twrを筬34へ案内す
る。綜絖33は、図示しない駆動手段によって昇降さ
れ、炭素繊維糸Tcfが2本積層された各たて糸Twrの筬
34の下流側によこ糸Twfを通す杼道を作る。
【0073】ここで、従来の綜絖においては、メールは
隣接する糸と綜絖との間における干渉を少なくする目的
で縦長形状になっている。しかし、このように縦長形状
のメールに炭素繊維糸を通すと、扁平形状が潰されてし
まい、扁平形状のまま製織することが出来ない。したが
って、綜絖33は、メール33aの形状を横長に形成す
ることが好ましく、メール33aの横方向の長さは、た
て糸Twrとして用いる炭素繊維糸の糸幅と同等または若
干長く設定する。メール33aの形状としては、矩形あ
るいは横長楕円が好ましい。
【0074】筬34は、炭素繊維糸Tcfが2本ずつ積層
された多数のたて糸Twrを所定の密度に配列させて織前
へ案内するもので、フレーム34aに多数の筬羽34b
が上下方向に配置されている。ここにおいて、たて糸T
wrは、張力をできるだけ低く設定することが望ましい。
これは、綜絖33に案内されてくるたて糸Twrの筬34
の横方向の位置が僅かにずれて筬羽34bと接触して
も、たて糸Twrの張力が低いと扁平形状が潰されること
がなく、また、綜絖33が揺れてたて糸Twrの位置がず
れ、たて糸Twrがメール33aの片側によっても扁平形
状が潰されることがないからである。
【0075】上記たて糸供給装置においては、以下の工
程に従って炭素繊維糸Tcfが積層された多数のたて糸T
wrが織前に導かれ、よこ糸供給装置から送られてくるよ
こ糸Twfに織り込まれて炭素繊維織物が製織される。先
ず、クリール30に設けた多数のボビン30aから多数
の炭素繊維糸Tcfが解舒される。
【0076】解舒された各炭素繊維糸Tcfは、コーム3
1で水平方向の位置が位置決めされた後、90゜捩じり
を付与されて水平ガイド32へと導かれる。水平ガイド
32へ導かれた各炭素繊維糸Tcfは、上下方向の位置が
位置決めされた後、綜絖33に案内されて2本ずつ積層
されてたて糸Twrとされ、図示しない駆動手段によって
昇降されて筬34の下流側によこ糸Twfを通す杼道を形
成する。
【0077】このようにして積層されたたて糸Twrは、
筬34で所定密度に配列させて、織前へ案内される。そ
して、綜絖33によって杼道が形成されたときに、レピ
ア21の間欠作動により多数のたて糸Twr間によこ糸T
wfが挿入され、図4に示すように、炭素繊維織物が製織
されてゆく。
【0078】以上炭素繊維糸が2本積層されたよこ糸T
wfとたて糸Twrを用いて製織された炭素繊維織物につい
て説明したが、炭素繊維糸が3本以上積層されたよこ糸
wfやたて糸Twrを用いた炭素繊維織物も同様の原理で
製織することが出来る。このたて糸供給工程により、各
たて糸Twrは等間隔でシート状に揃えられ、安定した炭
素繊維織物の製織が可能になる。
【0079】次に、上記製造方法に基づき、上記製造装
置を用いて製織した炭素繊維織物に関する実施例を以下
に説明する。 実施例1 引張破断強度が500kg・f/mm2、引張弾性率が23,500kg・f/
mm2、引張破断伸度が2.1%の撚りのない炭素繊維糸
(東レ(株)社製トレカT700SC-12K(炭素繊維の数12,000
本、繊度7,200デニール))からなり、糸幅が6.5mm、糸
の厚みが0.12mmで、サイジング剤を0.8%付着させて
形態を保持させた扁平な炭素繊維糸を用い、本発明の製
造方法及び製造装置により、回転主軸の回転数120rpmで
本発明の炭素繊維織物を製織した。
【0080】このとき、よこ糸供給装置の引取りローラ
13によって、予め取り付けた2個のボビン11から炭
素繊維糸Tcfを解舒して2本積層させてよこ糸Twfとす
ると共に、たて糸供給装置の2個のボビン30aから解
舒した炭素繊維糸Tcfを2本積層させてたて糸Twr
し、本発明の製造方法によりたて糸Twr及びよこ糸Twf
の密度を1.56本/cmで炭素繊維織物を製織した。
【0081】得られた炭素繊維織物に関する用いた炭素
繊維糸Tcf、織物仕様並びに織物の特性を表1に示す。
尚、織物仕様におけるたて糸及びよこ糸は、それぞれ炭
素繊維糸Tcfが2本積層された状態である。
【0082】
【表1】
【0083】表1から明らかなように、得られた炭素繊
維織物は、織物目付500g/m2と大きいにも拘らず、繊
維分布が均一で、ドレープ性に優れていた。次に、この
ようにして得た炭素繊維織物を用い、引張破断伸度が3.
5%のエポキシ樹脂を36重量%含浸させてプリプレグを
得、各プリプレグを同方向に4枚積層させてオートクレ
ーブ成形法でCFRP板を作製し、JIS K7073
に基づくCFRP引張試験法に準拠して引張破断強度と
引張弾性率とを測定した。その結果を、炭素繊維の体積
含有率,表面平滑性及びボイド率と共に表2に示した。
表中、炭素繊維はCFと表記した。
【0084】その結果、表1から明らかなように、本実
施例の炭素繊維織物は、織物目付が大きいために樹脂含
浸性が良くないことが懸念された。しかし、本実施例の
炭素繊維織物は、扁平な炭素繊維糸を積層した織糸を使
用している。このため、プリプレグの成形に際し、扁平
な炭素繊維糸相互間の空隙を通して樹脂が滲み込んで含
浸されたので、大きなボイドが発生することがなく、作
製したCFRPは、表2に示すように、高い引張破断強
度を示していた。
【0085】
【表2】
【0086】比較例1 比較のため、実施例1で用いた撚のない扁平な炭素繊維
糸を積層することなく、本発明の製造装置を用い本発明
の製造方法により、織物目付が実施例1で得られた炭素
繊維織物と同一の500g/m2となるように、たて糸及びよ
こ糸の密度が3.13本/cmの平織組織で、たて糸及びよこ
糸に撚りが掛からないようにして炭素繊維織物を製織し
た。
【0087】得られた炭素繊維織物に関し、用いた炭素
繊維糸、織物仕様並びに織物の特性を表1に併記した。
得られた織物は、表1に示したように実施例1と同様の
高いカバーファクターを有していたが、たて糸及びよこ
糸の織糸ピッチが3.2mm(= 3×1.07)と実施例1の織糸ピ
ッチ(たて糸: 6.4mm=6.1×1.05,よこ糸: 6.4mm=6.0×
1.07)に比べて小さいために扁平な炭素繊維糸が幅方向
に潰されており、表面が不均一であった。
【0088】また、このようにして得た炭素繊維織物を
使用し、実施例1と同様にしてプリプレグを得、CFR
Pを作製した。得られたCFRPに関し、実施例1と同
様に測定した引張破断強度及び引張弾性率の値を、炭素
繊維の体積含有率,表面平滑性及びボイド率と共に表2
に併記した。その結果、本比較例の炭素繊維織物は、織
物目付が大きくクリンプが大きいことから、たて糸(よ
こ糸)がよこ糸(たて糸)によって締めつけられてお
り、プリプレグの作製工程において樹脂含浸性が悪かっ
た。
【0089】このため、作製したCFRPは、表2に示
すように、表面平滑性が不良で、高いボイド率であり、
引張破断強度及び引張弾性率も実施例1の炭素繊維織物
を用いたCFRPに比べて低かった。従って、実施例1
と比較例1の結果から明らかなように、扁平で撚りのな
い炭素繊維糸を積層したたて糸とよこ糸とによって製織
した炭素繊維織物においては、織物目付が大きくても樹
脂含浸性が低下するようなことはない。 実施例2 実施例1の炭素繊維糸と同様に構成される炭素繊維糸を
使用し、本発明の製造方法及び製造装置により回転主軸
の回転数120rpmで本発明の炭素繊維織物を製織した。
【0090】このとき、たて糸供給装置の2個のボビン
30aから解舒した炭素繊維糸Tcfを2本積層させてた
て糸Twrとし、補助糸として202.5 デニールのガラス繊
維糸(ECE 225 1/0 )をよこ糸供給装置のボビン11か
ら解舒させてよこ糸Twfとした。また、よこ糸Twfは、
通常の方法によって供給し、本発明の製造方法によりた
て糸Twr及びよこ糸Twfの密度が、それぞれ1.75本/
cm,7.0本/cmの平織組織からなり、織物目付が29
6g/m2の一方向性の炭素繊維織物を製織した。
【0091】得られた織物は、たて糸Twrを構成する各
炭素繊維糸Tcfの繊維分布が均一で、扁平状態が保持さ
れると共にたて糸Twr相互間の間隙が小さく、織物表面
の平滑性やドレープ性に優れていた。得られた炭素繊維
織物に関する織物仕様及び織物特性を表3に示す。尚、
織物仕様におけるたて糸及びよこ糸は、それぞれ炭素繊
維糸Tcfが積層された状態である。
【0092】
【表3】
【0093】次に、このようにして得た炭素繊維織物を
用い、引張破断伸度が4.2%のビニルエステル樹脂をハ
ンドレイアップにより含浸させてプリプレグを得、これ
らのプリプレグを同方向に3枚積層させて一方向に炭素
繊維が配向したCFRP板を作製した。このCFRP板
に、実施例1と同一の方法で炭素繊維の配向方向におけ
る引張試験を行い、引張破断強度と引張弾性率とを測定
した。その結果を、炭素繊維及びガラス繊維の体積含有
率,表面平滑性及びボイド率と共に表4に示した。表
中、炭素繊維はCF,ガラス繊維はGFと表記した。
【0094】
【表4】
【0095】表4から明らかなように、実施例2の炭素
繊維織物は、繊維密度が大きく織物の嵩が小さいうえ、
炭素繊維のクリンプも小さいので、この織物から得たC
FRP板は、ハンドレイアップによる成形にも拘らず、
炭素繊維含有率が大きく、高い引張破断強度を示した。
また、よこ糸を構成するガラス繊維によるたて糸を構成
する炭素繊維の拘束力が弱いので、実施例2の炭素繊維
織物は樹脂の含浸性が良く、ボイド率が小さいうえ、得
られたCFRP板は表面の平滑性に優れていた。 比較例2 比較のため、実施例1で用いた撚りのない扁平な炭素繊
維糸を積層することなくたて糸とし、実施例2で用いた
補助糸を横糸として、実施例2の装置を用いて同じ方法
により、実施例2と同一の織物目付(296g/m2)となる
ように、たて糸及びよこ糸の密度がそれぞれ3.5本/c
m,7.0本/cmの平織組織で、たて糸に撚りが掛からな
いようにして炭素繊維織物を製織した。
【0096】得られた織物は、扁平な炭素繊維糸からな
るよこ糸に対してたて糸の密度が大きい、すなわち、た
て糸間隔が小さく、扁平状態が潰されて表面が凸凹して
いた。また、この織物は、たて糸の横断面における中央
部が厚く、両側部付近は薄くなっており、織物自体の繊
維密度が小さかった。本比較例で得られた織物の織物仕
様及び織物特性を表3に併記した。
【0097】次に、実施例2と同じ方法で、同様に構成
されたCFRP板を作製した。このCFRP板に、実施
例2と同様にして引張試験を行い、その結果に基づくを
引張破断強度と引張弾性率とを、炭素繊維及びガラス繊
維の体積含有率,表面平滑性及びボイド率と共に表4に
併記した。この結果から明らかなように、本比較例の炭
素繊維織物は、織物目付が実施例2の織物と同じで、カ
バーファクターが実施例2の織物に比べて僅かに大きい
にも拘らず、たて糸間隔が小さく扁平状態が潰されてい
ることにより、表面平滑性が不良であった。
【0098】このため、作製したCFRPは、表4から
明らかなように、ボイド率が実施例2の場合に比べて非
常に大きく、引張破断強度及び引張弾性率も実施例2の
炭素繊維織物を用いたCFRPの約3/4と低かった。
【0099】
【発明の効果】以上の説明で明らかなように、本発明の
炭素繊維織物は、多数本の炭素繊維からなる撚りのない
扁平な炭素繊維糸をたて糸とよこ糸の少なくとも一方と
し、たて糸とよこ糸の少なくとも一方が炭素繊維糸を積
層したものであるので、織物目付が大きくても、繊維分
布が均一でドレープ性に優れており、高い引張破断強度
を示しCFRPの補強基材として優れた織物である。
【0100】このため、本発明の炭素繊維織物を用いた
プリプレグやCFRPは、体積含有率が高く、非常に高
い強度特性を発揮する等の優れた効果を奏する。また、
本発明の炭素繊維織物の製造方法および製造装置によれ
ば、炭素繊維糸および炭素繊維糸からなるたて糸やよこ
糸の扁平状態を保持して織物を製織することができるの
で、上記特性を有する炭素繊維織物を安価に製織するこ
とが可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の炭素繊維織物の第一の実施例を示す断
面図である。
【図2】本発明の炭素繊維織物の第二の実施例を示す断
面図である。
【図3】本発明の炭素繊維織物の第三の実施例を示す断
面図である。
【図4】本発明の製造方法を適用して炭素繊維織物を製
造する製造装置の概略構成図である。
【図5】レピアの先端を拡大して示した拡大図である。
【図6】糸端把持ガイドを拡大して示した斜視図であ
る。
【図7】レピアによってよこ糸を把持する他の変形例を
示す斜視図である。
【符号の説明】
1,3,5 炭素繊維織物 11 ボビン 12 テンションローラ 13 引取りローラ 14 テンション装置(弾性懸垂機構) 14a ガイド 14b スプリング 15〜17 ガイドローラ 18 板バネテンション装置 19 押し板ガイド 20 糸端把持ガイド 21 レピア 30 クリール 30a ボビン 31 コーム 32 水平ガイド 33 綜絖 33a メール 34 筬 Tcf 炭素繊維糸 Twf よこ糸 Twr たて糸
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 FI D03D 15/00 D03D 15/00 C 15/12 15/12 Z 47/34 47/34 (56)参考文献 特開 平6−136632(JP,A) 特開 昭63−203844(JP,A) 特開 昭54−160860(JP,A) 特開 平2−74645(JP,A) 特開 昭62−276053(JP,A) 特開 昭58−191244(JP,A) 特開 平2−74645(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) D03D 1/00 C08J 5/24 D02G 3/16 D02H 1/00 D02H 13/16 D03D 15/00 D03D 15/12 D03D 47/34

Claims (13)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 多数本の炭素繊維からなる撚りのない扁
    平な炭素繊維糸をたて糸とよこ糸の少なくとも一方とす
    る炭素繊維織物であって、前記たて糸とよこ糸の少なく
    とも一方は前記炭素繊維糸を複数積層してなり、前記た
    て糸とよこ糸は、織物の状態で撚りがないことを特徴と
    する炭素繊維織物。
  2. 【請求項2】 前記炭素繊維糸は、炭素繊維が 3,000〜
    12,000本並行に配列され、繊度が 1,500〜10,000デニー
    ル、糸幅が4〜16mm、糸厚みが0.07〜0.2mm、糸幅/糸
    厚み比が30〜 150の範囲にある、請求項1に記載の炭素
    繊維織物。
  3. 【請求項3】 他方のたて糸またはよこ糸は、繊度が50
    〜 600デニールの範囲にある補助糸である、請求項1ま
    たは2に記載の炭素繊維織物。
  4. 【請求項4】 扁平な炭素繊維糸が積層された前記たて
    糸またはよこ糸の繊度が3,000〜40,000デニール、糸幅
    が4〜16mm、糸厚みが0.14〜0.5mm、糸幅/糸厚み比
    が10〜70、前記たて糸またはよこ糸の織糸ピッチの前記
    糸幅に対する比が1.0〜1.2、織物目付が200〜600g/
    2、繊維密度が0.8〜1.2g/m3の範囲にある、請求
    項1〜3のいずれかに記載の炭素繊維織物。
  5. 【請求項5】 前記織物目付Wと前記たて糸またはよこ
    糸の繊度Dとが次式の関係を満たし、かつ、カバーファ
    クターが 95〜100%の範囲にある、請求項1〜4いずれ
    かに記載の炭素繊維織物。 W=k・D1/2 但し、k:比例定数(2.0〜4.2)
  6. 【請求項6】 請求項1〜5いずれかに記載の炭素繊維
    織物に、30〜67重量%のマトリックス樹脂が含浸されて
    いるプリプレグ。
  7. 【請求項7】 請求項1〜5いずれかに記載の炭素繊維
    織物と、30〜67重量%のマトリックス樹脂とを含む、繊
    維強化プラスチック。
  8. 【請求項8】 少なくともよこ糸が多数本の炭素繊維か
    らなる撚りのない扁平な炭素繊維糸からなり、配列され
    た複数本のたて糸間に前記よこ糸を供給して炭素繊維織
    物を製造する方法において、 複数本の扁平な炭素繊維糸を横取り解舒した後、扁平状
    態を保持しながら積層してよこ糸とし、 このよこ糸をガイド手段によってよこ糸供給位置におい
    て水平方向に位置決めするとともに、よこ糸の解舒位置
    とガイド手段との間で前記たて糸に対する1回のよこ糸
    供給に必要な長さのよこ糸を保留しつつ緊張状態でよこ
    糸を前記ガイド手段に供給するよこ糸供給工程を含む、
    炭素繊維織物の製造方法。
  9. 【請求項9】 少なくともたて糸が多数本の炭素繊維か
    らなる撚りのない扁平な炭素繊維糸からなり、配列され
    た複数本のたて糸間に前記よこ糸を供給して炭素繊維織
    物を製造する方法において、 複数本の扁平な炭素繊維糸を横取り解舒した後、これら
    複数本の炭素繊維糸を扁平状態を保持しながら任意の本
    数積層して所望密度の複数本のたて糸とし、 それぞれのたて糸を杼道形成手段に導くたて糸供給工程
    を含む、炭素繊維織物の製造方法。
  10. 【請求項10】 請求項8のよこ糸供給工程および請求
    項9のたて糸供給工程を含む、炭素繊維織物の製造方
    法。
  11. 【請求項11】 少なくともよこ糸が多数本の炭素繊維
    からなる撚りのない扁平な炭素繊維糸からなり、配列さ
    れた複数本のたて糸間に前記よこ糸を供給して炭素繊維
    織物を製造する装置において、 該装置の回転主軸と連動して回転し、前記扁平な炭素繊
    維糸を巻回した複数個のよこ糸ボビンから前記炭素繊維
    糸をそれぞれ定速で横取り解舒する引取りローラ、 引き出された複数本の炭素繊維糸をよこ糸供給位置にお
    いて水平方向に位置決めすると共に積層してよこ糸とす
    る少なくとも2個のガイドローラ、 たて糸に対する1回のよこ糸挿入に必要な長さの前記よ
    こ糸を、前記引取りローラとガイドローラとの間で弾性
    的に保留し、前記少なくとも2個のガイドローラに供給
    する弾性懸垂機構、及び前記ガイドローラから送り出さ
    れてくる前記よこ糸を緊張状態に保つ張力付与機構、 を備えたよこ糸供給手段を含む、炭素繊維織物の製造装
    置。
  12. 【請求項12】 少なくともたて糸が多数本の炭素繊維
    からなる撚りのない扁平な炭素繊維糸からなり、配列さ
    れた複数本のたて糸間に前記よこ糸を供給して炭素繊維
    織物を製造する装置において、 複数本のワイヤを有し、扁平な炭素繊維糸を巻回した複
    数個のたて糸ボビンから引き出される複数本の炭素繊維
    糸のそれぞれを、対応する位置にある前記各ワイヤのみ
    に接触させて扁平状態を保持しながら任意の本数積層し
    て所望密度の複数本のたて糸に引き揃えるコーム、 このコームから送り出されてくる前記複数本のたて糸の
    向きを、それぞれ前記コームの複数本のワイヤに対して
    直交する方向に変換するガイド、及びこのガイドから送
    り出されてくる前記複数本のたて糸に、変換された方向
    の姿勢を保ちつつ開口運動を付与する綜絖、 を備えたたて糸供給手段を含む、炭素繊維織物の製造装
    置。
  13. 【請求項13】 請求項11のよこ糸供給手段と請求項
    12のたて糸供給手段とを備えた、炭素繊維織物の製造
    装置。
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