JP2007023431A - 炭素繊維織物およびその製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】 繊度の高い炭素繊維を用いる場合にも生産性(生産速度)を高めることが可能な一方向性炭素繊維織物およびその製造方法を提供する。
【解決手段】 炭素繊維糸条をたて糸とし、該炭素繊維糸条の1/5以下の繊度である、炭素繊維糸条とは異なる種類の補助繊維をよこ糸とした一方向性炭素繊維織物であって、よこ糸間隔を特定の範囲とし、かつよこ糸が織物端部で連続した耳組織とした炭素繊維織物。ニードル織機を用いて製織することが好ましい。
【選択図】 図1

Description

本発明は、太繊度の炭素繊維を用いる場合にも生産性(生産速度)を高めることが可能な一方向性炭素繊維織物の製造方法および炭素繊維織物に関する。
従来より、合成繊維やガラス繊維の織物は、ニードル織機を用いて製織されている(例えば、特許文献1)。これは、たとえば合成繊維織物の場合、用いる合成繊維の破断伸度が10%以上と高いため毛羽立ち難いこと、その繊度が例えば1000〜1500デニール(111〜167tex)と細く、織密度(たて糸本数、よこ糸本数)が密であること、製織する織物が合成繊維を二方向に配列している二方向織物であること、の条件が揃っているがために工業的な製織が可能となっているためである。
一方、炭素繊維織物は、用いる炭素繊維の破断伸度が約1.5〜2%と低いため容易に毛羽立つこと、その繊度が例えば333〜3,333texと太く、織密度が粗であることから、シャトル織機や、レピア織機などを用いて製織されている場合が多い(例えば特許文献2、3)。
しかしながら、レピア織機を用いた場合は、レピアによるよこ糸挿入運動において物理的な速度(回転数)の制約があり、1.5m/分未満の速度が上限である。そのため、生産性が低いという問題がある。また、一般的なレピア織機で製織された織物は、よこ糸を織物端部で切断しながら製織するため、切断されたよこ糸からなる房耳が織物端部に存在することになる。そのため、該織物をコンクリート構造物などに樹脂で貼り合わせて補修・補強する場合には、強度を全く保持しない房耳をも樹脂で固める必要がある。したがって、かかる房耳が存在するため、樹脂を無駄にするだけでなく、樹脂で貼り合わせる面積(手間)も増えるといった問題がある。
これに対して、シャトル織機では、よこ糸を切断せずに製織するために房耳は形成されず、よこ糸が織物端部で連続して折り返された耳組織となる。しかしながら、シャトル織機でもシャトルによるよこ糸挿入運動において物理的な速度(回転数)の制約があり、一般的にはレピア織機より更に速度が遅くなる。また、体積の小さいシャトル自体によこ糸を巻いてよこ糸を打ち込む必要があるため、必然的にシャトルを頻繁に交換せねばならず、炭素繊維織物の生産性が著しく劣るという問題がある。
前記の生産性の問題に対して、特許文献4には、ウォータージェット・ルームにて、炭素繊維織物を製造する内容が開示されており、繊度が200texの炭素繊維を用いて、たて糸およびよこ糸の何れもが炭素繊維で構成された平織組織の炭素繊維織物を、0.8m/分の速度で製造可能である旨が記載されている。しかしながら、かかる方法では、繊度が200texを越える炭素繊維においては、炭素繊維がさばけてしまい、品位の高い織組織を維持することは不可能である。
つまり、特許文献1〜4をはじめとした従来の技術では、太繊度の炭素繊維を用いる場合にも適用可能な、高い生産性を実現できる現実的な炭素繊維織物およびその製造方法は見出されておらず、かかる技術が渇望されている。
実開平05−035870号公報 特開2002−115145号公報 特開平11−001839号公報 特開平06−341034号公報
そこで本発明は、上記背景技術に挙げた問題点を解決することを課題とし、太繊度の炭素繊維を用いる場合にも生産性を高めることができる炭素繊維織物の製造方法および炭素繊維織物を提供することを目的とする。
上記目的を達成するための本発明は、次の(1)〜(18)を特徴とするものである。
(1)炭素繊維糸条をたて糸とし、該炭素繊維糸条の1/5以下の繊度である、炭素繊維糸条とは異なる種類の補助繊維をよこ糸とした一方向性の炭素繊維織物であって、隣り合う3本のよこ糸によって形成されるよこ糸間距離が不均一であり、該よこ糸間距離のうち幅広の方の距離Xが、もう一方の距離Yの1.2〜50倍の範囲内であり、かつ、よこ糸が織物端部で連続している耳組織を有していることを特徴とする炭素繊維織物。
(2)炭素繊維糸条の繊度が750〜6,000texの範囲内であることを特徴とする、上記(1)に記載の炭素繊維織物。
(3)炭素繊維糸条間の静摩擦係数が0.25〜0.5の範囲内であることを特徴とする、上記(1)または(2)に記載の炭素繊維織物。
(4)炭素繊維糸条のJIS−R7601に沿って測定された引張弾性率が290GPa以上であることを特徴とする、上記(1)〜(3)のいずれかに記載の炭素繊維織物。
(5)たて糸密度が1〜8本/cmの範囲内で、かつ、よこ糸密度が0.4〜8本/cmの範囲内であることを特徴とする、上記(1)〜(4)のいずれかに記載の炭素繊維織物。
(6)隣り合う2本のたて糸によって形成されるたて糸間距離が0.1〜0.8mmの範囲内であることを特徴とする、上記(1)〜(5)のいずれかに記載の炭素繊維織物。
(7)線状または点状の形態で樹脂が接着されていることを特徴とする、上記(1)〜(6)のいずれかに記載の炭素繊維織物。
(8)コンクリート構造体の補修・補強に用いられることを特徴とする、上記(1)〜(7)のいずれかに記載の炭素繊維織物。
(9)炭素繊維糸条をたて糸とし、該炭素繊維糸条の1/5以下の繊度である、炭素繊維糸条とは異なる種類の補助繊維をよこ糸とした一方向性の炭素繊維織物の製造方法であって、ニードル織機を用いて製織することを特徴とする炭素繊維織物の製造方法。
(10)製織速度が1.7m/分以上であることを特徴とする、上記(9)に記載の炭素繊維織物の製造方法。
(11)繊度が750〜6,000texの範囲内である炭素繊維糸条を用いることを特徴とする、上記(9)または(10)に記載の炭素繊維織物の製造方法。
(12)炭素繊維糸条間の静摩擦係数が0.25〜0.5となる炭素繊維糸条を用いることを特徴とする、上記(9)〜(11)のいずれかに記載の炭素繊維織物の製造方法。
(13)JIS−R7601に沿って測定された引張弾性率が290GPa以上の炭素繊維糸条を用いることを特徴とする、上記(9)〜(12)に記載の炭素繊維織物の製造方法。
(14)たて糸密度を1〜8本/cm、よこ糸密度を0.4〜8本/cmとするとともに、隣り合う3本のよこ糸によって形成されるよこ糸間距離を不均一とし、かつ、該よこ糸間距離のうち幅広の方の距離Xを、もう一方の距離Yの1.2〜50倍の範囲内とすることを特徴とする、上記(9)〜(13)のいずれかに記載の炭素繊維織物の製造方法。
(15)ヘルドの開口量を10〜75mmの範囲内とすることを特徴とする、上記(9)〜(14)のいずれかに記載の炭素繊維織物の製造方法。
(16)線状または点状の形態で樹脂を接着することを特徴とする、上記(9)〜(15)のいずれかに記載の炭素繊維織物の製造方法。
(17)織物を加熱することにより樹脂を接着する、上記(16)に記載の炭素繊維織物の製造方法。
(18)製織した炭素繊維織物を所定長L1で一旦巻き取り、巻き取った炭素繊維織物を所定長L1の半分以下である製品長L2に分割して再度巻き取ることを特徴とする、上記(9)〜(17)のいずれかに記載の炭素繊維織物の製造方法。
本発明によれば、炭素繊維糸条をたて糸とし、該炭素繊維糸条の1/5以下の繊度である、炭素繊維糸条とは異なる種類の補助繊維をよこ糸とし、さらに、ニードル織機を用いて一方向性の炭素繊維織物を製織するので、生産性(生産速度)を格段に高めることができる。
また、上記の方法によって製織される本発明の炭素繊維織物は、炭素繊維糸条をたて糸とし、該炭素繊維糸条の1/5以下の繊度である、炭素繊維糸条とは異なる種類の補助繊維をよこ糸とした一方向性の炭素繊維織物であって、隣り合う3本のよこ糸によって形成されるよこ糸間距離が不均一であり、該よこ糸間距離のうち幅広の方の距離Xが、もう一方の距離Yの1.2〜50倍の範囲内であり、かつ、よこ糸が織物端部で連続している耳組織を有しているので、織物の柔軟性、たて糸の真直性に優れ、織物をコンクリート構造体に貼り付けるときの手間や使用する樹脂のロスを最小限に抑制することができる。
以下に、本発明の望ましい実施の形態について説明する。
図1に、本発明の一実施形態である炭素繊維織物の一方の織物端部を示す。
本発明の炭素繊維織物は、炭素繊維糸条をたて糸とし、該炭素繊維糸条の1/5以下の繊度で、かつ、たて糸とは異なる種類の補助繊維をよこ糸とした一方向性の炭素繊維織物であって、図1に示すように、 補助繊維2で構成された隣り合う3本のよこ糸2a、2b、2cのよこ糸間距離X、Yが不均一である。更に、該よこ糸間距離のうち幅広の方の距離X(よこ糸2a、2bの間の距離X)が、もう一方の短い方の距離Y(よこ糸2a、2cの間の距離Y)の1.2〜50倍、すなわちX=1.2Y〜50Yという構成を有する。より好ましくは1.4〜25倍、更に好ましくは2〜15倍である。
本発明の炭素繊維織物は、かかる特定の種類の糸条をたて糸、よこ糸とすることにより、太繊度の炭素繊維糸条を用いる場合であってもニードル織機を用いた製織が可能になり、生産性(生産速度)を格段に高めることができるものである。
また、本発明の炭素繊維織物は、かかる特定のよこ糸間距離を有する構成により、織物の柔軟性、たて糸の真直性を兼ね備えることができるのである。すなわち本発明は、炭素繊維糸条からなるたて糸と、そのたて糸の繊度の1/5以下の繊度である、炭素繊維糸条とは異なる種類のよこ糸とから構成される織物において、よこ糸間距離として、特定の関係にある長い距離Xと短い距離Yとが一定の周期で繰り返されることにより、主に距離Xにより織物の柔軟性が、主に距離Yによりたて糸の真直性が発現され、高い次元で両者のバランスがとれることを見出したものである。
さらに、本発明の一方向性の炭素繊維織物は、よこ糸が織物端部で連続している耳組織を有する。つまり、よこ糸を織物端部で切断することにより形成される房耳を有していない。かかる耳組織を有していることにより、例えば一方向性織物をコンクリート構造物などに樹脂で貼り合わせて補修・補強する場合に、樹脂のロスだけでなく、貼り合わせる面積(手間)をも最小限に抑制できるのである。かかる観点から、土木・建築分野に用いられる補修・補強用途に用いられるのが好ましい。
ここで、たて糸となる炭素繊維糸条としては、繊度が750〜6,000texであることが好ましい。より好ましくは1,500〜4,000texの範囲である。繊度が750tex未満であると、たて糸の織密度が密になりすぎ、炭素繊維糸条の毛羽が多くなり、炭素繊維織物の品位を損なう場合がある。一方、6,000texを越えると、炭素繊維織物の形態安定性が劣り、また、たて糸の隙間が大きくなりすぎてCFRP(炭素繊維強化プラスチック)を成形した場合に樹脂リッチ部分を大きく形成することになってしまい、CFRPの力学特性を低下させやすい。また別の視点からは、繊度が上記の範囲であると、炭素繊維糸条を安価に入手することができるので、より低コストな炭素繊維織物とすることができる。
また、炭素繊維糸条と炭素繊維糸条との間の静摩擦係数μは0.25〜0.5の範囲内であることが好ましい。より好ましくは0.3〜0.45、更に好ましくは0.3〜0.35の範囲である。静摩擦係数μが0.25未満であると、摩擦による擦過は発生しにくいものの、炭素繊維糸条の集束性に劣り、その集束性不足に起因して糸条がさばけてしまい、毛羽立つ場合がある。一方、静摩擦係数μが0.5を越えると、隣り合うたて糸の端部同士や、たて糸とよこ糸とが擦過して、炭素繊維糸条が容易に毛羽立つ場合がある。 そして、本発明の炭素繊維織物は、たて糸密度が1〜8本/cmの範囲内で、かつ、よこ糸密度が0.4〜8本/cmの範囲内であるのが好ましい。より好ましくはたて糸密度が2〜6本/cm、よこ糸密度が1〜6本/cm、更に好ましくはたて糸密度が3〜5本/cm、よこ糸密度が2〜5本/cmの範囲である。
たて糸密度が1本/cm未満であると、炭素繊維織物の形態安定性に劣るだけでなく、たて糸の隙間が大きくなりすぎ、CFRP(炭素繊維強化プラスチック)の力学特性を低下させる場合がある。一方、たて糸密度が8本/cmを越えると、炭素繊維糸条の毛羽が多くなり、炭素繊維織物の品位を損なう場合がある。
また、よこ糸密度が0.4本/cm未満であると、炭素繊維織物の形態安定性に劣り、織物の取扱性に劣りやすい。一方、よこ糸密度が8本/cmを越えると、炭素繊維織物の製造速度を高めることが困難な場合がある。
なお、かかるたて糸密度またはよこ糸密度とは、たて糸またはよこ糸30本に相当する距離Zを1mm単位まで読み取り、30(本)/Z(cm)にて算出した値を指す(単位は、本/cm)。
さらに、本発明の炭素繊維織物は、隣り合う2本のたて糸によって形成されるたて糸間距離が0.1〜0.8mmの範囲内であるのが好ましい。より好ましくは0.15〜0.6mm、更に好ましくは0.2〜0.5mmの範囲である。たて糸間距離が0.1mm未満であると、炭素繊維糸条の毛羽が多くなり、炭素繊維織物の品位を損なう場合があるだけでなく、マトリックス樹脂を含浸させてCFRPを成形する場合に、マトリックス樹脂の含浸性を阻害する場合がある。一方、隙間が0.8mmを越えると、CFRPを成形した場合に樹脂リッチ部分を大きく形成させ、CFRPの力学特性を低下させる場合がある。
さらに、本発明の炭素繊維織物には線状または点状の形態で樹脂を接着して形態を安定させることが好ましい。樹脂の好ましい付着量は、樹脂が付着した炭素繊維織物を100重量%とした場合に2〜20重量%の範囲内、更に好ましい付着量は5〜17重量%の範囲内である。この結果、炭素繊維織物の取扱性を向上させることができ、また、この炭素繊維織物を用いたCFRPの力学特性を向上させることもできる。すなわち、かかる樹脂が接着していると、炭素繊維織物を積層してマトリックス樹脂を含浸・固化して得られるCFRPにおいて、クラックストッパーの役目を果たす。特に、CFRPが衝撃を受けた時に、損傷抑制の役目を果たし、優れた力学特性(特に衝撃付与後の圧縮強度)をもたらす(層間強化効果)。
前記の高靭性化効果に加え、炭素繊維織物を積層した場合に、接着している樹脂がスペーサーとなって、厚み方向に隣接する炭素繊維織物の層間にスペースが形成される。かかるスペースは、マトリックス樹脂を注入してCFRPを成形する際、マトリックス樹脂の流路の役目を果たす(層間流路形成効果)。これにより、マトリックス樹脂の含浸が容易になるだけでなく、その含浸速度も速くなり、CFRPの優れた生産性をもたらす。
樹脂の付着量が20重量%を越えると、CFRPにした場合の炭素繊維配合率が低くなり過ぎて、力学特性にも劣る場合がある。また、加熱して炭素繊維織物同士を接着する場合、樹脂が変形することによりマトリックス樹脂の流路を潰し、かえって含浸を妨げる場合があるため好ましくない。一方、樹脂の付着量が2重量%未満であると、上記効果が充分に発現しない場合がある。
かかる樹脂は、炭素繊維織物の表面に接着しているのが好ましいが、表面以外に炭素繊維織物の内部、すなわち、炭素繊維糸条の中(炭素繊維フィラメントの間)に接着していてもよい。しかしながら、上述の層間強化効果、層間流路形成効果は、樹脂が表面に接着していることにより、特に高い効果が発現されるため、樹脂は炭素繊維織物の表面にのみ存在しているのが好ましい。表面にのみ存在していると、樹脂の付着量を最小限に抑えることができ、CFRPにした場合の炭素繊維配合率を一層高くすることができ、その軽量化効果を一層高く発現させることができる。
そして、樹脂を炭素繊維織物の表面に設ける場合、かかる樹脂は炭素繊維織物の片面に接着していても、その両面に接着していてもよい。より低コストに炭素繊維織物を製造する場合は前者が好ましい。炭素繊維織物の表裏の使い分けをしたくない場合は後者が好ましく、目的によって使い分けることができる。
かかる樹脂の種類としては、炭素繊維織物の取扱性を向上させたり、CFRPの力学特性を向上させるものであれば特に限定されないが、熱硬化性樹脂や熱可塑性樹脂を適宜選択して単独もしくは混合して使用することができる。
織物の取り扱いを向上させる機能を付与する場合は、エポキシ、不飽和ポリエステル、ビニルエステル、ポリアミド、ポリエステル、ポリオレフィンから選ばれる少なくとも1種であるのが好ましく、その中でもとりわけエポキシ、ポリアミドがとりわけ好ましい。かかる樹脂は、DSC(示差走査熱量計)にて絶乾状態から20℃/分の昇温速度で測定される融点Tm(融点を有さないものはガラス転移点+50℃)が150℃以下であるのが好ましい。
また、CFRPの力学特性を向上させる機能を付与する場合は、エポキシ、不飽和ポリエステル、ビニルエステル、フェノール、ビスマレイミド、ポリアミド、ポリスルフォン、ポリエーテルスルフォン、ポリエーテルイミド、ポリフェニレンエーテル、ポリイミド、ポリアミドイミド、フェノキシから選ばれる少なくとも1種であるのが好ましく、その中でもとりわけエポキシ、ポリアミド、ポリエーテルイミド、ポリフェニレンエーテル、ポリエーテルスルフォン、フェノキシがとりわけ好ましい。なお、上記樹脂は単独でもよいし、複数のものを併用しそれらを混合または別々に付与してもよい。
上述のような本発明の炭素繊維織物は、少なくとも炭素繊維糸条をたて糸とし、炭素繊維糸条の1/5以下の繊度である、炭素繊維糸条とは異なる種類の補助繊維をよこ糸として、ニードル織機を用いて製織することができる。このとき、製織速度は1.7m/分以上であることが好ましい。より好ましい製織速度は2m/分、更に好ましくは2.5m/分以上の速度である。かかる速度よりも遅い速度であると、ニードル織機を用いて製織する意味合いが希薄となる。なお、製織速度に上限はなく、速ければ速い方が好ましいが、現在考えられる技術範囲では15m/分が上限と考えられる。
従来、炭素繊維織物の製造においては、シャトル織機や、レピア織機などが用いられていたが、高い生産性、すなわち高い生産速度(織機の回転数)を実現できずにいた。それは、織機の製織機構、製織する織物、および、用いる炭素繊維のそれぞれに下記の制約があったためである。
A.織機の製織機構の制約
(1)シャトル織機またはレピア織機を用いた場合、よこ糸挿入手段であるシャトルやレピアによる、よこ糸挿入運動に物理的な速度の上限が存在すること。
(2)よこ糸の挿入に関して、高回転での製織時に、よこ糸挿入手段とたて糸とが直接接触する、または、たて糸とシャトルやレピアを走行させるための支持体とが直接接触することにより擦過して、炭素繊維糸条が容易に毛羽立つこと。
(3)たて糸の供給に関して、高回転での製織時に、隣り合うたて糸の端部同士が、たて糸の開口運動により擦過して、炭素繊維糸条が容易に毛羽立つこと。
B.製織する織物の制約
(1)炭素繊維糸条をたて糸およびよこ糸に用いた二方向性織物の場合、用いる織機および製織条件によっては、よこ糸の挿入に関して、高回転での製織時に、よこ糸挿入手段(それらのガイドを含む)とよこ糸との擦過、および、たて糸とよこ糸とが直接接触することによる擦過により、炭素繊維糸条が容易に毛羽立つこと。
C.用いる炭素繊維の制約
(1)炭素繊維糸条の破断伸度が低いため、容易に毛羽立つこと。
本発明では、かかるA項(1)および(2)の制約に対して、ニードル織機を用いる。ニードル織機を用いることにより、シャトルやレピアなどのよこ糸挿入手段の重量(慣性)の影響を大幅に抑制できるのである。そして、ニードル織機を用いて炭素繊維織物を製織するので、よこ糸が織物端部で連続した織物、すなわち、房耳を有していない織物とすることができ、その結果、織物をコンクリート構造体等に貼り付ける際の手間や使用する樹脂のロスを最小限に抑制することができる。
また、上記B項(1)の制約に対しては、炭素繊維糸条をたて糸に、そして、たて糸である炭素繊維糸条の1/5以下の繊度で、かつ、炭素繊維糸条とは異なる種類の補助繊維をよこ糸に用い一方向性織物を製織する。かかる繊度比率が1/5を超えると、補助繊維が太過ぎることを意味し、一方向性織物において炭素繊維糸条を屈曲させることによる力学特性の低下を誘発する場合がある。そして、かかる繊度比率は、より好ましくは、1/20〜1/500、更に好ましくは、1/100〜1/250の範囲である。1/500未満ということは、補助繊維の強度が低くなりすぎることを意味し、製織時によこ糸切れが多く発生する場合がある。
補助繊維としては、炭素繊維以外の例えばガラス繊維、金属繊維、セラミック繊維などの無機繊維や、アラミド繊維、PBO繊維、ポリアミド繊維、ポリエステル繊維、ポリビニルアルコール繊維、ポリエチレン繊維、ポリプロピレン繊維、ポリフェニレンサルファイド繊維などの有機繊維を用いることができるが、中でも、特に加熱時収縮率が小さく炭素繊維織物の幅方向の収縮を最小限にできる炭素繊維以外の無機繊維が好ましく、とりわけガラス繊維が好ましい。また、繊度を小さくして炭素繊維の屈曲を抑制するといった観点からは、細繊度の有機繊維、特にポリアミド繊維が好ましい。
仮によこ糸に炭素繊維糸条を用いてよこ糸挿入をニードル織機で行った場合、炭素繊維糸条が容易に毛羽立つこと、発生した毛羽がニードルのガイドなどに詰まる問題が発生するが、本発明においては、上述のように炭素繊維糸条とは異なる種類の補助繊維をよこ糸に用いるので、ニードル織機で行っても前記問題が発生せず、炭素繊維織物の生産性を高めることができる。
また、本発明では、上記A項(3)の制約に対して、たて糸である炭素繊維糸条が、炭素繊維糸条と炭素繊維糸条との間の静摩擦係数μが0.25〜0.5になるようなものであることが好ましい。より好ましくは0.3〜0.45、更に好ましくは0.3〜0.35の範囲である。静摩擦係数μが0.25未満であると、摩擦による擦過は発生しにくいものの、炭素繊維糸条の集束性に劣り、その集束性不足に起因して糸条がさばけてしまい、毛羽立つ場合がある。一方、静摩擦係数μが0.5を越えると、A項(3)やB項(1)にある通り、隣り合うたて糸の端部同士や、たて糸とよこ糸とが擦過して、炭素繊維糸条が容易に毛羽立つ場合がある。
なお、かかる静摩擦係数μは、下記手順に従って測定された値を指す。
図2に、本発明の炭素繊維糸条間の静摩擦係数μの測定装置20の概略斜視図を示す。
(a)炭素繊維糸条1が巻き付けられたボビン6を用意し、そこから炭素繊維糸条を約1m引き出して切断し、炭素繊維糸条1の両端をそれぞれ結んで直径約3cmの輪を作る。なお、炭素繊維糸条1のボビン6表面の炭素繊維糸条1が痛んでいる、すなわち毛羽立っている場合は、本来の炭素繊維糸条のボビン表面状態になるように、少なくとも10m以上の炭素繊維糸条1を廃棄してサンプリングする。
(b)次に、糸条端部が解舒されないように、炭素繊維糸条1を紙管7の端部にテープで接着して固定し、水平方向に軸が設定されているボビンホルダー3にそのボビン6をセットする。ここで、用いるボビンホルダー3は、後述のプッシュプル・ゲージにより測定される張力の5%以下の力で回転するものを用いる。
(c)その後、図2に示すように、約1mにカットした炭素繊維糸条1をボビン6に1.5回転巻き付ける。ここで、巻き付ける際に、炭素繊維糸条1に仮撚が入らないようにする。
(d)巻き付けた炭素繊維糸条1の一方の端部(輪)に150gの分銅4を取り付け、もう一方にプッシュプル・ゲージ5を取り付ける。
(e)プッシュプル・ゲージ5を垂直下方に引っ張り、分銅4が動き出したときのプッシュプル・ゲージ5の目盛を読む。
(f)測定した値を用いて、次式(A)にて静摩擦係数μを算出する。
静摩擦係数μ=ln(T1/T2)/θ ・・・ 式(A)
T1:プッシュプル・ゲージで測定した張力(gf)
T2:分銅の重量(gf)=150g
θ :接触角(rad)=3π
(g)その後、テープによる接着固定位置は維持したまま、前記(c)における炭素繊維糸条1の巻き付ける部所をずらし、前記(c)〜(f)を2回繰り返し、n数を6として、それらの平均値を測定サンプルの静摩擦係数μとする。
更に、本発明では、前記A項(3)の制約に対して、ヘルド(綜絖)の開口量が10〜75mmであるのが好ましい。より好ましくは30〜70mm、更に好ましくは35〜65mmの範囲である。かかる範囲のヘルド開口量であると、高回転での製織時に、隣り合うたて糸の端部同士の擦過を最小限にし、炭素繊維糸条の毛羽立ちを抑制することができる。より具体的には、開口量が70mmを越えると、炭素繊維糸条の毛羽立ちが多くなる場合がある。一方、開口量が10mm未満だと杼口(ニードルが通過するための空間)の形成が十分でなく、よこ糸挿入を安定して行えないだけでなく、たて糸とよこ糸との擦過が相対的に強くなり、毛羽が発生する場合がある。
また、本発明では、前記C項(1)の制約に対して、JIS−R7601に沿って測定された引張強度が4,000MPa以上である炭素繊維糸条を用いるのが好ましい。より好ましくは5,000MPa以上である。かかる範囲の引張強度であると、毛羽が発生しにくく、品位の高い炭素繊維織物が製造できる。なお、引張強度に上限はなく、高ければ高い方が好ましいが、現在考えられる技術範囲では7,000MPaが上限と考えられる。
本発明の製造方法によれば、JIS−R7601に沿って測定された引張弾性率が290GPa以上である炭素繊維糸条を用いても毛羽立ちを抑制することができ、本発明の効果を最大限に発現できるため好ましい。より好ましくは380GPa以上である。なお、引張弾性率に上限はなく、高ければ高い方が好ましいが、現在考えられる技術範囲では700GPaが上限と考えられる。
本発明の炭素繊維織物の製造方法では、繊度が750〜6,000texである炭素繊維糸条を用いるのが好ましい。より好ましくは1,500〜4,000texの範囲である。繊度が750tex未満であると、たて糸の織密度が密になりすぎ、前記A項(3)に記載の通り、炭素繊維糸条の毛羽が多くなり、炭素繊維織物の品位を損なう場合がある。一方、6,000texを越えると、炭素繊維織物の形態安定性に劣るだけでなく、たて糸の隙間が大きくなりすぎ、CFRPを成形した場合に樹脂リッチ部分を大きく形成させ、CFRPの力学特性を低下させる場合がある。また別の視点からは、繊度が上記の範囲であると、炭素繊維糸条を安価に入手することができ、本発明に係る炭素繊維織物をより低コストに製造できる。
さらに、本発明の炭素繊維織物の製造方法では、製造する織物に線状または点状の形態で樹脂を接着するのが好ましい。樹脂が織物に接着していると、炭素繊維織物の形態を安定させることができ、炭素繊維織物の取扱性を向上させる機能を付与することができる。また、別の視点からは、炭素繊維織物を用いたCFRPの力学特性を向上させる機能を付与することも可能である。
かかる形態で樹脂を接着するためには、樹脂を、繊維形態、粒子形態、水に溶解または分散させたエマルジョン形態やディスパージョン形態など、任意の形態にて炭素繊維織物に付与すればよい。中でも、簡易に接着できること、および、上記の機能発現の面から、固形の繊維形態、固形の粒子形態にて織物に付与し、接着させるのが好ましい。
かかる繊維形態の場合、炭素繊維糸条や補助繊維と引き揃えてもよいし、炭素繊維糸条や補助繊維とカバリング加工や合撚加工や混紡により複合糸を形成したものを用いてもよい。特に、織物の取り扱いを向上させる機能を付与する場合は、繊維形態の樹脂をよこ糸として引き揃えて挿入したり、炭素繊維または補助繊維とカバリング加工や合撚加工して複合糸にしたものをよこ糸として挿入すると効果的に機能を付与することができる。
一方、粒子形態、エマルジョン形態またはディスパージョン形態の場合、予め炭素繊維または補助繊維に付与して接着したものを製織してもよいし、製織した後に付与して接着してもよいが、定量的に炭素繊維織物に付与する場合は、後者の方が確実性に優れるため、本発明の好ましい態様といえる。
なお、用いる樹脂としては、上述の種類のものを用いることができる。
かかる樹脂を接着させる方法としては、炭素繊維織物と熱源とを接触させて加熱してもよいし、炭素繊維織物と熱源とを接触させず、非接触で加熱することにより、付着した樹脂を接着してもよい。本発明においては、極めて速い速度で製織することから、炭素繊維織物と熱源とを接触させて加熱するのが好ましい。より好ましくは、熱源と接触させて加熱する方法と、接触させずに加熱する方法とを、併用して加熱するのがよい。本発明では、熱伝導性に優れる炭素繊維を用いるので、前記熱源を複数個連続して炭素繊維織物の製造工程に配置することにより、速い速度でも樹脂を効率的に接着させることができるのである。
かかる熱源としては、接触式では加熱ロールや熱板が挙げられる。また、非接触式では遠赤外線や近赤外線などの放射熱ヒーターなどが挙げられる。
そして、本発明においては、より一層生産性を高くするために、1台で3つ以上の織物を同時に製織できるニードル織機を用いることが好ましい。一方、1台で多くの織物を同時に製織した場合、1つの織物で挿入ミスや絡みミスが発生すると織機自体が停機するため全ての織物の製織が中断され、逆に生産性を損なう場合があるので、1台で10以上の織物を同時に製織することは好ましくない。
更に、より一層生産性を高くするため、製織した炭素繊維織物を所定長L1で一旦巻き取り、巻き取った炭素繊維織物を所定長L1の半分以下である製品長L2に分割して再度巻き取ることが好ましい。本発明の炭素繊維織物は、主にCFRPの強化材として用いられるため、ニードル織機で製造された合成繊維織物のように巻き取らずに箱詰めされると、皺や屈曲が発生して炭素繊維糸条を損傷したり、炭素繊維糸条の配列(真直性)を乱す場合がある。そのため、巻き取られた態様を製品形態とするのが好ましい。一方、巻き取ることを前提とすると、本発明により高い生産速度を達成しても、製品長L2が短いものであると、織機を頻繁に停機させる必要があり、本発明の効果が効率よく発現され難い。したがって、上述の通り、製品長L2の2倍以上長い所定長L1を連続して製織して製品コアとは異なる中間コア(例えば、紙管、鉄管等)に一旦巻き取ることにより、織機の停機頻度を最小限に抑え、一層高い生産速度(織機の回転数)を達成することができる。一旦巻き取った所定長L1の炭素繊維織物は、別工程で所定長L1の半分以下である製品長L2に分割して再度巻き取るのが好ましい。より好ましい所定長L1は製品長L2の3倍以上である。また、別の視点からは、好ましい所定長L1は100m以上である。より好ましくは200m以上、更に好ましくは300m以上である。
(実施例1)
たて糸に、繊度が800texの炭素繊維糸条(JIS−R7601に沿って測定された引張強度=4,900MPa、引張弾性率=235GPa、静摩擦係数が0.34、撚数0ターン/m)を用い、よこ糸に、ガラス繊維(ECE225 1/0 1.0Z)に、共重合ナイロン糸(5.5tex、融点110℃)を300ターン/mにてカバリングしたもの(繊度28tex)を用いて、たて糸密度が2.5本/cm、よこ糸密度が3本/cmである一方向性織物(炭素繊維目付200g/m2 )を、ニードル織機にて製織した。製織は、1.8m/分の速度で、ヘルドの開口量が65mmの条件で製織した。なお、製織幅は15cm幅とし、3列の織物を一緒に製織した。
織成後、得られた織物を、熱源である3つの加熱ローラーとは直接接触させながら、またもう1つの熱源である赤外線ヒーター3つとは接触させずに加熱し、よこ糸に用いた共重合ナイロン糸を炭素繊維糸条に接着して、3列の織物を外径80mm紙管に一緒に巻き取った。
かかる製織において、たて糸ヘルド、筬での毛羽発生は抑制されており、300mの連続製織が可能であった。なお、一旦巻き取った210m長の上記織物は、別に用意したリワインド装置(検反装置)で50m長の小巻に4分割し、外径80mm紙管に巻き返して製品とした。
得られた一方向性織物は、線状に共重合ナイロン糸が接着して目どめされており、取扱性に優れていた。また、隣り合う3本のよこ糸によって形成されるよこ糸間距離が不均一であり、該よこ糸間距離のうち幅広の方の距離Xが、もう一方の距離Yの10倍であった。かかるよこ糸は織物端部で連続している耳組織であり、一方の端部では単純に折り返しされ、もう一方の端部では経編組織を形成しており、房耳を有さない態様であった。更に、たて糸同士の隙間が0.2mmであり、十分に隙間が開いているので、樹脂を含浸させた際の含浸性にも優れた。
(実施例2)
たて糸に、繊度が445texの炭素繊維糸条(JIS−R7601に沿って測定された引張強度=3,800MPa、引張弾性率=438GPa、静摩擦係数が0.4、撚数0.2ターン/m)を2本引き揃えて用い、よこ糸に、ガラス繊維(ECE225 1/0 1.0Z)に、共重合ナイロン糸(5.5tex、融点110℃)を300ターン/mにてカバリングしたもの(繊度28tex)を用いて、たて糸密度が6.7本/cm(2本引き揃えたものを1本として扱うと3.3本/cm)、よこ糸密度が6本/cmである一方向性織物(炭素繊維目付300g/m2 )を、ニードル織機にて製織した。製織は、1.8m/分の速度で、ヘルドの開口量が65mmの条件で製織した。なお、製織幅は15cm幅とし、3列の織物を一緒に製織した。
織成後、得られた織物を実施例1と同様にして加熱し、共重合ナイロン糸を炭素繊維糸条に接着して、3列の織物を外径80mm紙管に一緒に巻き取った。
かかる製織において、たて糸ヘルド、筬での毛羽発生は抑制されており、300mの連続製織が可能であった。なお、一旦巻き取った210m長の織物を、実施例1と同様に50m長の小巻に4分割して巻き返し、製品とした。
得られた一方向性織物は、線状に共重合ナイロン糸が接着して目どめされており、取扱性に優れていた。また、隣り合う3本のよこ糸によって形成されるよこ糸間距離が不均一であり、該よこ糸間距離のうち幅広の方の距離Xが、もう一方の距離Yの3倍であった。かかるよこ糸は織物端部で連続している耳組織であり、一方の端部では単純に折り返しされ、もう一方の端部では経編組織を形成している編糸(よこ糸とは別の糸)とともに編組織を成形しており、房耳を有さない態様であった。更に、たて糸同士の隙間が0.12mmであった。
(比較例1)
たて糸およびよこ糸に、繊度が200texの炭素繊維糸条(東レ製トレカT300B−3K、JIS−R7601に沿って測定された引張強度=3,540MPa、静摩擦係数が0.18、撚数0.1ターン/m)を用いて、たて糸密度およびよこ糸密度が5本/cmである二方向性織物(炭素繊維目付200g/m2 )を、ウォータージェット織機にて製織した。製織は、0.8m/分の速度で、ヘルドの開口量が80mmの条件で製織した。
織成後、得られた織物を、熱源である4つのローラーと直接接触させることにより、炭素繊維糸条に付着した水分を乾燥させた。
かかる製織において、よこ糸打込部、たて糸ヘルド、筬で毛羽が非常に多く発生し、停機しての毛羽除去なしに200m以上の連続製織は困難であった。
得られた二方向性織物は、隣り合う3本のよこ糸によって形成されるよこ糸間距離は均一なものであった。かかるよこ糸は織物端部でそれぞれ切断されて不連続な耳組織であり、7mm長の房耳を有している態様であった。かかる房耳は、コンクリート構造体に貼り付ける際の手間や使用する貼り付け樹脂のロスに繋がるだけでなく、よこ糸のロスをも増やすものであった。
以上説明したように、本発明の炭素繊維織物の製造方法によれば、繊度の高い炭素繊維を用いる場合にも生産性を高めることができるうえ、得られた炭素繊維織物は、柔軟性、たて糸の真直性に優れ、織物をコンクリート構造体に貼り付けるときの手間や使用する樹脂のロスを最小限に抑制することが可能となる。このため、かかる炭素繊維織物は、一般産業分野、特に土木・建築分野に用いられる補修・補強用途の強化材や、航空機分野に用いられるCFRPの強化材に好適である。
本発明の炭素繊維織物の一方の織物端部を示す概略平面図である。 炭素繊維糸条間の静摩擦係数μの測定装置を示す概略斜視図である。
符号の説明
1 炭素繊維糸条
2 補助繊維
2a、2b、2c よこ糸
3 ボビンホルダー
4 分銅
5 プッシュプル・ゲージ
6 ボビン
7 紙管
X 幅広のよこ糸間距離
Y 幅狭のよこ糸間距離
10 炭素繊維織物
20 静摩擦係数μの測定装置

Claims (18)

  1. 炭素繊維糸条をたて糸とし、該炭素繊維糸条の1/5以下の繊度である、炭素繊維糸条とは異なる種類の補助繊維をよこ糸とした一方向性の炭素繊維織物であって、隣り合う3本のよこ糸によって形成されるよこ糸間距離が不均一であり、該よこ糸間距離のうち幅広の方の距離Xが、もう一方の距離Yの1.2〜50倍の範囲内であり、かつ、よこ糸が織物端部で連続している耳組織を有していることを特徴とする炭素繊維織物。
  2. 炭素繊維糸条の繊度が750〜6,000texの範囲内であることを特徴とする、請求項1に記載の炭素繊維織物。
  3. 炭素繊維糸条間の静摩擦係数が0.25〜0.5の範囲内であることを特徴とする、請求項1または2に記載の炭素繊維織物。
  4. 炭素繊維糸条のJIS−R7601に沿って測定された引張弾性率が290GPa以上であることを特徴とする、請求項1〜3のいずれかに記載の炭素繊維織物。
  5. たて糸密度が1〜8本/cmの範囲内で、かつ、よこ糸密度が0.4〜8本/cmの範囲内であることを特徴とする、請求項1〜4のいずれかに記載の炭素繊維織物。
  6. 隣り合う2本のたて糸によって形成されるたて糸間距離が0.1〜0.8mmの範囲内であることを特徴とする、請求項1〜5のいずれかに記載の炭素繊維織物。
  7. 線状または点状の形態で樹脂が接着されていることを特徴とする、請求項1〜6のいずれかに記載の炭素繊維織物。
  8. コンクリート構造体の補修・補強に用いられることを特徴とする、請求項1〜7のいずれかに記載の炭素繊維織物。
  9. 炭素繊維糸条をたて糸とし、該炭素繊維糸条の1/5以下の繊度である、炭素繊維糸条とは異なる種類の補助繊維をよこ糸とした一方向性の炭素繊維織物の製造方法であって、ニードル織機を用いて製織することを特徴とする炭素繊維織物の製造方法。
  10. 製織速度が1.7m/分以上であることを特徴とする、請求項9に記載の炭素繊維織物の製造方法。
  11. 繊度が750〜6,000texの範囲内である炭素繊維糸条を用いることを特徴とする、請求項9または10に記載の炭素繊維織物の製造方法。
  12. 炭素繊維糸条間の静摩擦係数が0.25〜0.5となる炭素繊維糸条を用いることを特徴とする、請求項9〜11のいずれかに記載の炭素繊維織物の製造方法。
  13. JIS−R7601に沿って測定された引張弾性率が290GPa以上の炭素繊維糸条を用いることを特徴とする、請求項9〜11のいずれかに記載の炭素繊維織物の製造方法。
  14. たて糸密度を1〜8本/cm、よこ糸密度を0.4〜8本/cmとするとともに、隣り合う3本のよこ糸によって形成されるよこ糸間距離を不均一とし、かつ、該よこ糸間距離のうち幅広の方の距離Xを、もう一方の距離Yの1.2〜50倍の範囲内とすることを特徴とする、請求項9〜13のいずれかに記載の炭素繊維織物の製造方法。
  15. ヘルドの開口量を10〜75mmの範囲内とすることを特徴とする、請求項9〜14のいずれかに記載の炭素繊維織物の製造方法。
  16. 線状または点状の形態で樹脂を接着することを特徴とする、請求項9〜15のいずれかに記載の炭素繊維織物の製造方法。
  17. 織物を加熱することにより樹脂を接着する、請求項16に記載の炭素繊維織物の製造方法。
  18. 製織した炭素繊維織物を所定長L1で一旦巻き取り、巻き取った炭素繊維織物を所定長L1の半分以下である製品長L2に分割して再度巻き取ることを特徴とする、請求項9〜17のいずれかに記載の炭素繊維織物の製造方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2009127169A (ja) * 2007-11-28 2009-06-11 Toray Ind Inc 強化繊維基材、積層体および繊維強化樹脂
JP2010018909A (ja) * 2008-07-10 2010-01-28 Mitsubishi Rayon Co Ltd 強化繊維織物とその製織方法
JP2015178765A (ja) * 2014-02-27 2015-10-08 電源開発株式会社 鋼製中空円筒構造物の補強構造

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